説明

テトラヒドロカンナビノールの改良された送達

ドロナビノールまたはその他のカンナビノイドの薬剤化合物の溶出性、安定性、およびバイオアベイラビリティを改良するための、自己乳化性薬物送達システムである。薬剤化合物(1種または複数)を、油性媒体(たとえば、トリグリセリドおよび/または混合グリセリドおよび/または中および/または長鎖飽和、モノ不飽和、および/またはポリ不飽和遊離脂肪酸を含む遊離脂肪酸)の中に、少なくとも1種の界面活性剤と共に溶解させる。界面活性剤が自己乳化を促進し、それによって目的とするキロミクロン送達および哺乳動物の腸管への最適なバイオアベイラビリティを促進する。場合によっては、その好適な剤型には、共溶媒、抗酸化剤、粘度調節剤、シトクロムP450代謝阻害剤、P−GP流出阻害剤、および目標とする放出速度を得るための半固形状物の形成を誘導するための両親媒性/非両親媒性の溶質などを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許仮出願第60/734,160号(出願日:2005年11月7日)の利益を主張するものである。
本発明は、一般的には、患者に対するカンナビノイド(THC)への投与を改良するための送達システムに関し、より詳しくは、自己乳化薬物送達システムに関する。本発明の薬物送達システムによって、THCの溶出性が最適化され、肝初回通過代謝が回避されるために、消化管経由のバイオアベイラビリティが向上する。本発明の送達システムは、速放または徐放速度のために、カプセルのシェル内の液状または半固形状マトリックスのいずれかとして投与することができる。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドは、一般にはマリファナとして知られている大麻(cannabis sativa)植物に由来する化合物である。この植物には、400種を超える化学物質および約60種のカンナビノイドが含まれている。天然由来のカンナビノイドの内で最も活性の高い化学物質は、テトラヒドロカンナビノール(THC)、特にΔ9−THCである。
【0003】
最近では、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノールとも呼ばれる)は、マリノール(Marinol)(登録商標)軟質ゼラチンカプセル剤の形状で市販されており、このものは、食品・医薬品庁(FDA)によって、化学療法に伴う悪心および嘔吐を調節するためならびに消耗性症候群に罹患しているエイズ患者の食欲を増進させるためとして承認されている。Δ9−テトラヒドロカンナビノールはその他の生物活性も示すので、たとえば緑内障、偏頭痛、痙性、不安、無痛、および薬物耽溺症の治療における、有望な治療用途を有している。
【0004】
マリノール(Marinol)(登録商標)においては、Δ9−THCは、経口投与の目的でゴマ油の中に溶解され、ゼラチンカプセルの中にカプセル化されている。経口投与をすると、ドロナビノールは約0.5〜1時間で作用発現し、ピーク効果は2〜4時間である。精神活性効果の作用時間は4〜6時間であるが、食欲増進効果は、投与後24時間またはそれ以上継続する可能性がある。ゴマ油処方中に20mgのTHCを経口投与した後の最大血漿レベルは、約10mg/mLである。
【0005】
現時点においては、疼痛、さらには化学療法が原因の悪心および嘔吐を緩和させる目的で、いくらかの癌患者にはマリファナが処方されている。この後者のケースは、経口療法からのレスポンスが貧弱または部分的であるために生じるのであって、マリファナを喫煙して得られるのと同等の急性の心理学的および生理的効果を得るためには、1日に2〜3回の経口投与が必要となることが多い。
【0006】
経口投与した場合、THCまたはドロナビノールは、単回経口投与後に、ほとんど完全に(90〜95%)吸収される。しかしながら、初回通過肝代謝と高脂溶性の組み合わせ効果のために、投与された用量のほんの約10〜20%だけしか全身循環には到達せず、最大濃度の変化も大きい。絶食や空腹状態であると、現在市場で入手可能なゴマ油カプセル剤からのTHCの吸収速度が低下する可能性があることが見出された。経口投与されたTHCのまた別な限界としては、患者間でその吸収に大きなばらつきがあるということが過去の研究で報告されている。
【0007】
生物薬剤学的異常性についてその他に仮定されるメカニズムは、Δ9−THCの物理化学的性質に起因する可能性もある。この化合物は親油性が強く、水には実質的に不溶性であり、そして潜在的に胃の中では酸に不安定である。この化合物はさらに、貯蔵環境や過酷な条件の影響を受けやすい。たとえば、この化合物は、熱不安定性かつ光不安定性であって、長期間の保存をすると、カンナビノール(CBN)が形成される酸化反応によって、Δ9−THC含量が漸減する可能性がある。
【0008】
よく知られていることであるが、哺乳類においては、消化管のある種の領域では静脈ドレナージがあって、それには肝臓の初回通過が含まれない。初回通過効果を回避するということは、直腸製剤、口腔製剤、経鼻製剤、および舌下製剤を使用する場合の理論的根拠である。Δ9−THCとカンナビジオールとの組合せが、口腔スプレーとして処方された。経鼻、舌下および口腔経路の投与に伴う欠点のいくつかとしては、鼻粘膜に苦痛や反射性のくしゃみが発生し、極端な場合には、鼻粘膜に対して刺激および損傷をもたらす可能性があるということが挙げられる。舌下製剤は、唾液の流れを刺激し、相当量の唾液が生成されると患者が嚥下を回避するのが困難となる。さらに、口腔製剤もまた、舌下製剤と同様の限界に陥りやすい。
【0009】
舌下および口腔製剤のいずれもが、親水性ビヒクルから舌下の粘膜または口腔粘膜への医薬品の効率的な移行に依存している。上皮細胞の間隙または上皮細胞を通過しての医薬品の移行は、主としてその医薬品の脂溶性によって支配される。カンナビノイドの場合のように薬物が水不溶性である場合には、このことが舌下領域からの吸収に対するさらなる障壁となる。
【0010】
THCの局所的な薬物送達を改良する努力において、研究者たちは経皮送達システムの開発を試みてきた。しかしながら、経皮的に投与される生物活性物質は、その吸収性において不安定で、不規則的なものになりやすい。したがって、吸収促進薬を添加する必要が存在するが、いくつかの場合においては、それが局所副作用のために皮膚に対して有害となることもあり得る。
【0011】
特許文献に記載されているTHCまたはカンナビノイドのためのその他の送達システムとしては、以下のものが挙げられる:非CFC噴射剤を用いた服用計量吸入剤(米国特許第6,509,005号明細書および米国特許第6,713,048号明細書);ポンプ作動スプレー器(米国特許第6,946,150号明細書);ミクロスフェア鼻送達システム(米国特許第6,383,513号明細書);鼻孔内投与のための水溶性プロドラッグ(米国特許第6,380,175号明細書);外用リニメント剤(米国特許第6,949,582号明細書);カンナビノイドとのシクロデキストリン錯体(米国特許出願公開第20050153931号明細書);および経口投与のための固形脂質組成物(米国特許第5,891,469号明細書および米国特許第5,989,583号明細書)。
【0012】
この固形脂質組成物には、乾燥脂質混合物中の非精神活性カンナビノイド(すなわち、デキサナビノール)を送達するための方法が含まれていて、公知の製剤に比較して経口的なバイオアベイラビリティが著しく向上する。経口送達システムの吸収特性の向上があるために、この特許権者らは、その処置が卒中、頭部外傷、および心停止に伴う脳の損傷を対象とすることができると予想している。しかしながら、そのためには、薬物化合物が充分に高いバイオアベイラビリティを有している必要がある。経口THCまたはドロナビノール療法では、上述の各種の症状を治療するためには、バイオアベイラビリティを改良すれば、極めて有益となるであろう。
【0013】
経口剤型は、有効成分化合物をその作用部位で充分なアベイラビリティが得られるように設計する。薬物のバイオアベイラビリティは、いくつかのパラメーター、すなわち、その有効成分化合物の物理化学的特性、剤型、さらには生理的な因子などに依存する。カンナビノイド化合物は、その特性上疎水性であるので、ぬれが困難であり、消化管領域における溶出性に乏しい。さらに、THCまたはドロナビノールは肝初回通過代謝を激しく受ける。これらの性質が、経口剤型からの薬物吸収の障壁となっている。そのような障壁はさらに、それに続くバイオアベイラビリティを低下させる原因となる。
【0014】
多くの薬物において示される貧吸収性を補償する目的で、医薬製剤では投与された薬物が吸収される速度および/または程度を向上させるための1種または複数のメカニズムを使用または利用することができる。
【0015】
ドロナビノールまたはΔ9−THCは、生物薬剤学的分類体系(BCS)のクラスII(低水溶解性および高膜透過性)に属する。したがって、薬物系の水性環境への溶出性を向上させるための、自己乳化(SEDDS)脂質に基づいた送達システムに伴う利点が存在するであろう。親油性薬物のためにSEDDSまたは脂質送達システムの使用の可能性を示した特許としては以下のものが挙げられる:米国特許第5,484,801号明細書;米国特許第5,798,333号明細書;米国特許第5,965,160号明細書;米国特許第6,008,228号明細書;米国特許第6,730,330号明細書。米国特許出願公開第20050209345号明細書および国際出願第PCT/EP96/02431号明細書(国際公開第96/39142号パンフレット)も、参照されたい。
【0016】
溶出特性を改良し、キロミクロン/リンパ系を通しての経口バイオアベイラビリティを向上させることを目的とした、SEDDS技術をベースとしたTHCの経口送達を開示した報告は知られていない。その他の投与経路を目的としたTHC剤型では、患者内および患者間の変動性が高くなりやすい。
【0017】
しかしながら、カンナビノイドに関しては、いくつかの理由からSEDDS系が使用されたことはなかった;第一に、SEDDS系はコロイド状態にありながら胃内容物排出を受ける可能性が高いため;第二に、そうでなければ、乳化系のために急速な吸収が起きて、薬物のピーク濃度がより高くなる;第三に、SEDDS系における界面活性剤の濃度が高いために消化管に刺激反応を与える可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的の一つは、患者の所望する必要性に合わせることを目的とした、THCのための最適化され、改良された送達システムを提供することである。
【0019】
THCまたはドロナビノールの経口剤型を提供することが本発明のさらに別の目的であって、それにより、この薬物が治療(たとえば、卒中、熱外傷、および心停止に伴う脳の損傷)の上で有益であるような各種の医療合併症の治療のために、この薬物の充分なバイオアベイラビリティが与えられる。
【0020】
THCまたはドロナビノールによって示される貧吸収性を補償する医薬製剤を提供することが、本発明のまた別な目的である。
【0021】
コロイド状態にありながらも、胃内容物排出の結果を招かないようなTHCまたはドロナビノールのための医薬製剤を提供することが、本発明のさらに別な目的である。
【0022】
消化管の刺激をもたらさないTHCまたはドロナビノールのための医薬製剤を提供することが、本発明のまた別な目的である。
【0023】
本発明のまた別な目的は、高い初回通過効率という結果を招く、従来からの肝門脈輸送メカニズムとは異なった、代替えの消化管経路による薬物吸収を促進させることである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本願発明者らは、精力的な調査・研究の結果、思いがけないことには上述の本発明の目的を達成するカンナビノイドの経口剤型を発見した。
【0025】
本発明は、ドロナビノールまたはその他のカンナビノイドの、等方性相を有し化学的に安定化された経口送達システムを提供する。薬剤化合物(1種または複数)を、自己乳化を促進するための少なくとも1種の界面活性剤と共に、油性媒体(たとえば、トリグリセリドおよび/または混合グリセリドおよび/または中/長鎖飽和、モノ不飽和、およびポリ不飽和脂肪酸)の中に溶解させる。思いがけないことには、この製剤は、内因性胆汁酸塩が存在する哺乳動物の腸管に投与すると、目的とするキロミクロン送達および最適なバイオアベイラビリティを促進させるということが見出された。
【0026】
本発明のSEDDS配合物は、等方性混合物として定義される、三つのカテゴリーすなわち、タイプI、タイプII、およびタイプIIIの内の一つに分類されているのが好ましい。それらの混合物には、以下のタイプの成分が含まれる:(1)天然または合成油媒体、(2)固体状または液体状の界面活性剤、および(3)1種または複数の親水性溶媒および共溶媒/界面活性剤。
【0027】
Δ9−THCのSEDDSの場合、タイプI、IIおよびIIIは以下のように分類されるのが好ましい。
(i)タイプI製剤は、油性媒体(たとえば、トリグリセリドおよび/または混合グリセリドおよび/または中/長鎖飽和、モノ不飽和、およびポリ不飽和遊離脂肪酸)からなり;ここでその油性媒体は、自己乳化を促進させるための潜在的界面活性剤特性を有する多官能であってもよい。
(ii)タイプIIは、油性媒体(たとえば、トリグリセリドおよび/または混合グリセリドおよび/または中/長鎖飽和、モノ不飽和、およびポリ不飽和遊離脂肪酸)および自己乳化を促進させるための少なくとも1種の界面活性剤成分からなる。
(iii)タイプIIIは、油性媒体(たとえば、トリグリセリドおよび/または混合グリセリドおよび/または中/長鎖飽和、モノ不飽和、およびポリ不飽和遊離脂肪酸)および自己乳化を促進させるための少なくとも1種の界面活性剤成分、および少なくとも1種の親水性共溶媒からなる。
【0028】
場合によっては、その剤型には、共溶媒、抗酸化剤、粘度調節剤、シトクロムP450代謝阻害剤、P−GP流出阻害剤、および目標とする放出速度を得るための半固形状物の形成を誘導するための、最終的に両親媒性/非両親媒性の溶質などを含むことができる。
【0029】
等方性液状、半固形状、またはワックス状の固形状相として投与され、哺乳類の胃部内で最初の希釈を受けると、その内容物が直ちに固形物分散体または粗なコロイド状分散体を形成し、それによって酸が触媒として働く分解からカンナビノイドを保護する。その分散体が胃内容物排出されて腸管に入ると、胆汁酸塩によるさらなる可溶化と下流における脂肪酸プロセシングとによって、脂質吸収経路、特に腸細胞の細胞内環境の小胞体中でのキロミクロン合成への薬剤の選択的特異的輸送が促進され、それによって肝初回通過代謝が回避される。
【0030】
等方性の半固形状またはワックス状固形状相は、上述のような油状液体の中に高濃度のアスコルビルパルミテート(またはその他の両親媒性/非両親媒性溶質)を溶解させることにより調製される。等方性半固形状相として投与され、哺乳類の胃部内で最初の希釈を受けると、その内容物が直ちに固形物分散体または粗なコロイド状分散体を形成し、それによって酸が触媒として働く分解からカンナビノイドを保護する。
【0031】
その分散体が胃内容物排出されて腸管に入ると、胆汁酸塩によるさらなる可溶化と下流における脂肪酸プロセシングとによって、脂質吸収経路、特に腸細胞の細胞内環境の小胞体中でのキロミクロン合成への薬剤の選択的特異的輸送が促進され、それによって肝初回通過代謝が回避される。
【0032】
Δ9−THCのための本発明の自己乳化製剤は以下のように分類することができる:
(i)タイプI製剤は、油性媒体(たとえば、トリグリセリドおよび/または混合グリセリドおよび/または中/長鎖飽和、モノ不飽和、およびポリ不飽和遊離脂肪酸)からなり;ここでその油性媒体は、自己乳化を促進させるための潜在的界面活性剤特性を有する多官能であってもよい。
(ii)タイプIIは、油性媒体(たとえば、トリグリセリドおよび/または混合グリセリドおよび/または中/長鎖飽和、モノ不飽和、およびポリ不飽和遊離脂肪酸)および自己乳化を促進させるための少なくとも1種の界面活性剤成分からなる。
【0033】
第一の好ましい実施態様において、トリグリセリド、グリセリド、混合グリセリド、C6〜C32の炭素原子を有する遊離脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群より選択される油性媒体;ならびに自己乳化を促進する界面活性剤を含む自己乳化系の中の、カンナビノイドの薬理学的に活性な形態を含むカンナビノイドの経口剤型を出願人らは見出した。
【0034】
第二の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその薬理学的に活性なカンナビノイドは、次のものからなる群から選択される:テトラヒドロカンナビノール、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)、Δ8−テトラヒドロカンナビノール、Δ8−テトラヒドロカンナビノール−DMH、Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロピル類似体(THCV)、11−ヒドロキシ−テトラヒドロカンナビノール、11−ノル−9−カルボキシ−テトラヒドロカンナビノール、5’−アジド−Δ8−テトラヒドロカンナビノール、AMG−1、AMG−3、AM411、AM708、AM836、AM855、AM919、AM926、AM938、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオールプロピル類似体(CBDV)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン、カンナビクロメンプロピル類似体、カンナビゲロール、CP47497、CP55940、CP55244、CP50556、CT−3(アジュレム酸(ajulemic acid))、ジメチルヘプチルHHC、HU−210、HU−211、HU−308、WIN55212−2、デスアセチル−L−ナントラドール、デキサナビノール、JWH−051、レボナントラドール、L−759633、ナビロン、O−1184、およびそれらの混合物。
【0035】
第三の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその油性媒体は、次のものからなる群から選択される:C6〜C32の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC6〜C32の炭素原子を有する脂肪酸とから形成されるトリグリセリド、C6〜C32の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC6〜C32の炭素原子を有する脂肪酸とから形成される混合グリセリド、C6〜C32の炭素原子を有する遊離脂肪酸と少なくとも75%のC6〜C32の炭素原子を有する脂肪酸、およびそれらの混合物。
【0036】
第四の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその油性媒体は、次のものからなる群から選択される:ルリジサ油、ヤシ油、綿実油、ダイズ油、サフラワー油、ヒマワリ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油、パーム油、ラッカセイ油、ハッカ油、ケシ油、カノーラ油、硬化ダイズ油、硬化植物油、飽和脂肪酸のグリセリルエステル、グリセリルベヘネート、グリセリルジステアレート、グリセリルイソステアレート、グリセリルラウレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノリノレエート、グリセリルパルミテート、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルリシノレエート、グリセリルステアレート、ポリグリセリル10−オレエート、ポリグリセリル3−オレエート、ポリグリセリル4−オレエート、ポリグリセリル10−テトラリノレエート、ベヘン酸、カプリリイック/カプリックグリセリド、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、パルミトステアリン酸、リシノール酸、ステアリン酸、ダイズ脂肪酸、オレイン酸、α−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンE、およびビタミンA、ならびにそれらの混合物。
【0037】
第五の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでそのトリグリセリドおよび混合グリセリドには、少なくとも75%の、C6〜C32の炭素原子を有する脂肪酸が含まれる。
【0038】
第六の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその油は、合成油、半合成油、天然油、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0039】
第七の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその界面活性剤は、次のものからなる群から選択される:ポリグリコライズドグリセリド、ポリオキシエチレングリセリド、ポリエチレングリコール−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、油とアルコールのエステル交換反応生成物、ポリグリセライズド脂肪酸、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノおよびジグリセリド、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、ポリオキシエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート、ポリソルベート、およびそれらの混合物。
【0040】
第八の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその界面活性剤は、次のものからなる群から選択される:アーモンド油PEG−6エステル、アーモンド油PEG−60エステル、杏仁油PEG−6エステル、カプリリック/カプリックトリグリセリドPEG−4エステル、カプリリック/カプリックトリグリセリドPEG−4錯体、カプリリック/カプリックグリセリドPEG−6エステル、カプリリック/カプリックグリセリドPEG−8エステル、ヒマシ油PEG−50エステル、硬化ヒマシ油PEG−5エステル、硬化ヒマシ油PEG−7エステル、9硬化ヒマシ油PEG−9エステル、トウモロコシ油PEG−6エステル、トウモロコシ油PEG−8エステル、トウモロコシグリセリドPEG−60エステル、オリーブ油PEG−6エステル、硬化パーム/パーム核油PEG−6エステル、パーム核油およびPEG−6およびパーム油を含む硬化パーム/パーム核油PEG−6エステル、パーム核油PEG−40エステル、ラッカセイ油PEG−6エステル、飽和C8〜C18脂肪酸のグリセロールエステル、飽和C12〜C18脂肪酸のグリセリルエステル、グリセリルラウレート/PEG−32ラウレート、グリセリルラウレートグリセリル/PEG20ラウレート、グリセリルラウレートグリセリル/PEG32ラウレート、グリセリル、ラウレートグリセリル/PEG40ラウレート、グリセリルオレエート/PEG−20グリセリル、グリセリルオレエート/PEG−30オレエート、グリセリルパルミトステアレート/PEG−32パルミトステアレート、グリセリルステアレート/PEGステアレート、グリセリルステアレート/PEG−32ステアレート、飽和ポリグリコライズドグリセリド、トリイソステアリンPEG−6エステル、トリオレインPEG−6エステル、トリオレエートPEG−25エステル、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル60硬化ヒマシ油、PEG−8カプロエート、PEG−8カプリレート、PEG−8カプレートPEG−8ラウレート、PEG−8オレエート、PEG−8ステアレート、PEG−9カプロエート、PEG−9カプリレート、PEG−9カプレートPEG−9ラウレート、PEG−9オレエート、PEG−9ステアレート、PEG−10カプロエート、PEG−10カプリレート、PEG−10カプレートPEG−10ラウレート、PEG−10オレエート、PEG−10ステアレート、PEG−10ラウレート、PEG−12オレエート、PEG−15オレエート、PEG−20ラウレート、PEG−20オレエート、カプリレート/カプレートジグリセリド、グリセリルモノオレエート、グリセリルリシノレエート、グリセリルラウレート、グリセリルジラウレート、グリセリルジオレエート、グリセリルモノ/ジオレエート、グリセリルカプリレート/カプレート、中鎖(C8/C10)モノ−およびジグリセリド、モノ−およびジアセチル化モノグリセリド、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリル−2ジオレエート、ポリグリセリル−10トリオレエート、ポリグリセリル−10ラウレート、ポリグリセリル−10オレエート、ポリグリセリル−10モノジオレエート、プロピレングリコールカプリレート/カプレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールリシノレエート、プロピレングリコールモノオレエート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールジオクタノエート、PEG−20ソルビタンモノラウレート、PEG−20ソルビタンモノパルミテート、PEG−20ソルビタンモノステアレート、PEG−20ソルビタンモノオレエート、ポロキサマー(108、124、182、183、188、212、217、238、288、331、338、335、407)、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、ポリソルベート20、ポリソルベート、ポリエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート、およびそれらの混合物。
【0041】
第九の好ましい実施態様において、出願人らは、任意成分の共溶媒、可溶化剤および抗酸化剤を含むカンナビノイドの経口剤型を見出したが、それらは、次のものからなる群から選択される:エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、α−シクロデキストリン、リン脂質(HSPC、DSPG、DMPC、DMPG)、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシアニソール、プロピルガレート、α−トコフェロール、およびγ−トコフェロール、ならびにそれらの混合物。
【0042】
第十の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでカンナビノイドが約1〜90重量%含まれ、油性媒体が約5〜90重量%含まれ、そして界面活性剤が約5〜90重量%含まれる。
【0043】
第十一の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、それにはさらに、約1〜80重量%の量からなる任意成分の共溶媒、および約0.01〜15重量%の量からなる任意成分の抗酸化剤が含まれる。
【0044】
第十二の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、それには、約10〜80重量%の量の油性媒体、約10〜80重量%の量の界面活性剤、場合によっては約5〜50重量%の量の可溶化共溶媒、および場合によっては約0.01〜12.5重量%の量の抗酸化剤を含む自己乳化系の中に、カンナビノイドの薬理学的に活性な形態が約1〜80重量%の量で含まれる。
【0045】
第十三の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその薬理学的に活性なカンナビノイドは、次のものからなる群から選択される:テトラヒドロカンナビノール、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)、Δ8−テトラヒドロカンナビノール、Δ8−テトラヒドロカンナビノール−DMH、Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロピル類似体(THCV)、11−ヒドロキシ−テトラヒドロカンナビノール、11−ノル−9−カルボキシ−テトラヒドロカンナビノール、5’−アジド−Δ8−テトラヒドロカンナビノール、AMG−1、AMG−3、AM411、AM708、AM836、AM855、AM919、AM926、AM938、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオールプロピル類似体(CBDV)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン、カンナビクロメンプロピル類似体、カンナビゲロール、CP47497、CP55940、CP55244、CP50556、CT−3(アジュレム酸(ajulemic acid))、ジメチルヘプチルHHC、HU−210、HU−211、HU−308、WIN55212−2、デスアセチル−L−ナントラドール、デキサナビノール、JWH−051、レボナントラドール、L−759633、ナビロン、O−1184、およびそれらの混合物。
【0046】
第十四の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその油性媒体は、次のものからなる群から選択される:C8〜C24の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C24の炭素原子を有する脂肪酸とから形成されるトリグリセリド、C8〜C24の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C24の炭素原子を有する脂肪酸とから形成される混合グリセリド、C8〜C24の炭素原子を有する遊離脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C24の炭素原子を有する遊離脂肪酸、およびそれらの混合物。
【0047】
第十五の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその油性媒体は、次のものからなる群から選択される:C8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸とから形成されるトリグリセリド、C8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸から形成される混合グリセリド、C8〜C18の炭素原子を有する遊離脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸、およびそれらの混合物。
【0048】
第十六の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその油状媒体は、合成油、半合成油、天然油、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0049】
第十七の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその界面活性剤は、次のものからなる群から選択される:ポリグリコライズドグリセリド、ポリオキシエチレングリセリド、ポリエチレングリコール−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、油とアルコールのエステル交換反応生成物、ポリグリセライズド脂肪酸、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノおよびジグリセリド、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、ポリオキシエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート、ポリソルベート、およびそれらの混合物。
【0050】
第十八の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、それには、約20〜80重量%の量の油性媒体、約20〜60重量%の量の界面活性剤、場合によっては約10〜50重量%の量の可溶化共溶媒、および場合によっては約0.5〜12.5重量%の量の抗酸化剤を含む自己乳化系の中に、カンナビノイドの薬理学的に活性な形態が約1〜60重量%の量で含まれており:その薬理学的に活性なカンナビノイドは次のものからなる群から選択され:テトラヒドロカンナビノール、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)、Δ8−テトラヒドロカンナビノール、Δ8−テトラヒドロカンナビノール−DMH、Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロピル類似体(THCV)、11−ヒドロキシ−テトラヒドロカンナビノール、11−ノル−9−カルボキシ−テトラヒドロカンナビノール、5’−アジド−Δ8−テトラヒドロカンナビノール、AMG−1、AMG−3、AM411、AM708、AM836、AM855、AM919、AM926、AM938、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオールプロピル類似体(CBDV)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン、カンナビクロメンプロピル類似体、カンナビゲロール、CP47497、CP55940、CP55244、CP50556、CT−3(アジュレム酸(ajulemic acid))、ジメチルヘプチルHHC、HU−210、HU−211、HU−308、WIN55212−2、デスアセチル−L−ナントラドール、デキサナビノール、JWH−051、レボナントラドール、L−759633、ナビロン、O−1184、およびそれらの混合物;そしてその油性媒体は、脂肪酸から形成されるトリグリセリド、および/または混合グリセリド、および/または中/長鎖遊離脂肪酸からなる群から選択されるが、そのトリグリセリドは、C8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸とから形成され、その混合グリセリドは、C8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸とから形成され、C8〜C18の炭素原子を有する遊離脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する遊離脂肪酸である。
【0051】
第十九の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその界面活性剤は、次のものからなる群から選択される:ポリグリコライズドグリセリド、ポリオキシエチレングリセリド、ポリエチレングリコール−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、油とアルコールのエステル交換反応生成物、ポリグリセライズド脂肪酸、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノおよびジグリセリド、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、ポリオキシエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート、ポリソルベート、およびそれらの混合物。
【0052】
第二十の好ましい実施態様において、出願人らはカンナビノイドの経口剤型を見出したが、ここでその油性媒体は、次のものからなる群から選択される:ルリジサ油、ヤシ油、綿実油、ダイズ油、サフラワー油、ヒマワリ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油、パーム油、ラッカセイ油、ハッカ油、ケシ油、カノーラ油、硬化ダイズ油、硬化植物油、飽和脂肪酸のグリセリルエステル、グリセリルベヘネート、グリセリルジステアレート、グリセリルイソステアレート、グリセリルラウレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノリノレエート、グリセリルパルミテート、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルリシノレエート、グリセリルステアレート、ポリグリセリル10−オレエート、ポリグリセリル3−オレエート、ポリグリセリル4−オレエート、ポリグリセリル10−テトラリノレエート、ベヘン酸、カプリリイック/カプリックグリセリド、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、パルミトステアリン酸、リシノール酸、ステアリン酸、ダイズ脂肪酸、オレイン酸、α−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンE、およびビタミンA、ならびにそれらの混合物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本発明においては、少なくとも1種の界面活性剤成分を含む、トリグリセリドおよび/または混合グリセリドおよび/または中/長鎖飽和、モノ不飽和、およびポリ不飽和脂肪酸を含む油性媒体中にΔ9−THCを溶解させることによって、改良されたΔ9−THCの溶出性、安定性、およびバイオアベイラビリティが達成される。この組成物は、自己乳化を促進させ、それによって、哺乳動物の内因性胆汁酸塩が存在する腸管へ投与したときに、目標とするキロミクロン送達および最適なバイオアベイラビリティが促される。
【0054】
場合によっては、その好適な剤型には、共溶媒、抗酸化剤、粘度調節剤、シトクロムP450代謝阻害剤、P−GP流出阻害剤、および目標とする放出速度を得るための半固形状物の形成を誘導するための両親媒性/非両親媒性の溶質などを含むことができる。
【0055】
好ましい実施態様においては、親油性薬剤の溶解性を向上させるために、その製剤の油性媒体を次のものからなる群から選択することができる:1種または複数の、長鎖トリグリセリドまたはポリグリコライズドグリセリドおよびポリオキシエチレングリセリドを含む混合グリセリド、たとえばアニス油、杏仁油、杏仁油PEG−6エステル、蜜ろう、ルリジサ油、カノーラ油、ヒマシ油、ヒマシ油ポリオキシル35、ヒマシ油ポリオキシル40、ヒマシ油ポリオキシル40水素化物、ヒマシ油ポリオキシル60、ヒマシ油ポリオキシル60硬化ヒマシ油水素化物、ケイ皮油、チョウジ油、ヤシ油、ヤシ油−レシチン、ヤシ油分留物、コリアンダー油、トウモロコシ油、トウモロコシ油PEG−6エステル、トウモロコシ油PEG−8エステル、綿実油、綿実油水素化物、核油(kernel oil)、核油PEG−6エステル、レモン油、鉱油、鉱油(軽質)、ニュートラル油、ニクズク油、オリーブ油、オリーブ油PEG−6エステル、オレンジ油、パーム核油、パーム核油/水素化物、パーム核油PEG−6エステル、ラッカセイ油、ラッカセイ油PEG−6エステル、ハッカ油、ケシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、ダイズ油、ダイズ油水素化物、ダイズ油精製物、トリイソステアリンPEG−6エステル、植物油、植物油水素化物、植物油グリセリド水素化物、植物油PEGエステル、およびそれらの混合物。
【0056】
その他の好適な油性媒体は、長鎖モノ−またはジ−グリセリド、および/またはポリグリコライズドグリセリドおよびポリオキシエチレングリセリドであって、そのようなものの例としては以下のものが挙げられる:飽和C8〜C18脂肪酸のグリセロールエステル(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)33/01)、飽和C12〜C18脂肪酸のグリセリルエステル(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)39/01および43/01)、グリセリルベヘネート、グリセリルジステアレート、グリセリルイソステアレート、グリセリルラウレート、グリセリルラウレート/PEG−32ラウレート(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)44/14)、グリセリルモノオレエート(ペセオール(Peceol)(登録商標))およびグリセリルモノリノレエート(メイサイン(Maisine)(登録商標))、グリセリルパルミテート、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルパルミトステアレート/PEG−32(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)50/13)パルミトステアレートグリセリルリシノレエート、グリセリルステアレート、グリセリルステアレート/PEGステアレート、グリセリルステアレート/PEG−32ステアレート(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)53/10)、グリセリルステアレート/PEG−40ステアレート、グリセリルステアレート/PEG−75ステアレート、グリセリルステアレート/PEG−100ステアレート、ポリグリセリル10−オレエート、ポリグリセリル3−オレエート、ポリグリセリル4−オレエート、ポリグリセリル10−テトラリノレエート、ポリオキシル100グリセリルステアレート、および飽和ポリグリコライズドグリセリド(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)37/02およびゲルシアー(Gelucire)(登録商標)50/02)、ならびにそれらの混合物。
【0057】
その他の好適な油性媒体は、長鎖飽和脂肪酸であって、たとえば、アラキジン酸、ベヘン酸、3−ヒドロキシミリスチン酸、ラウリン酸、リグノセリン酸、マイコセラン酸(mycoceranic acid)、ミリスチン酸、パルミチン酸、フィタン酸、ステアリン酸、ツベルキュロステアリン酸などが挙げられる。好適な長鎖不飽和脂肪酸としては、アラキドン酸、リノール酸、(αまたはγ型)、ネルボン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、ダイズ脂肪酸、およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0058】
ポリグリコライズドグリセリド誘導体およびポリオキシエチレングリセリドを含めた、好適な中鎖モノ−、ジ−、またはトリ−グリセリドとしては以下のものが挙げられる:カプリリック/カプリックグリセリド、ヤシ油またはパーム種子油から誘導されるカプリリック/カプリックグリセリド(たとえば、ラブラファック(Labrafac)(登録商標)、ミグリオール(Miglyol)(登録商標)810、812、クロダモール(Crodamol)GTCC−PN、ソフティゾン(Softison)(登録商標)378)、プロピレングリコールカプリレート/カプレート(ラブラファック(Labrafac)(登録商標)PC)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(ミグリオール(Miglyol)(登録商標)840)、中鎖(C8/C10)モノ−およびジグリセリド(キャプムル(Capmul)(登録商標)MCM、キャプムル(Capmul)(登録商標)MCM(L))、および飽和C8〜C18脂肪酸のグリセロールエステル(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)33/01)、ならびにそれらの混合物。
【0059】
好適な中鎖脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0060】
好適な脂溶性ビタミンおよび誘導体としては、ビタミンA、ビタミンE(αもしくはγトコフェロール)、ビタミンE PEG1000サクシネート(d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネートまたはTPGS)、およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0061】
配合物における界面活性剤成分は、その配合物の自己乳化性を改良するために、単独で使用することもできるし、あるいは、他の界面活性剤と組み合わせることもできる。好適な界面活性剤成分は、次のものからなる群から選択される:中〜長鎖モノ−、ジ−、およびトリグリセリドのポリグリコライズドグリセリドおよびポリオキシエチレングリセリド:たとえば、アーモンド油PEG−6エステル、アーモンド油PEG−60エステル、杏仁油PEG−6エステル(ラブラフィル(Labrafil)(登録商標)M1944CS)、カプリリック/カプリックトリグリセリドPEG−4エステル(ラブラファック(Labrafac)(登録商標)HydroWL1219)、カプリリック/カプリックトリグリセリドPEG−4錯体(ラブラファック(Labrafac)(登録商標)Hydrophile)、カプリリック/カプリックグリセリドPEG−6エステル(ソフティゲン(Softigen)(登録商標)767)、カプリリック/カプリックグリセリドPEG−8エステル(ラブラゾール(Labrasol)(登録商標))、ヒマシ油PEG−50エステル、硬化ヒマシ油PEG−5エステル、硬化ヒマシ油PEG−7エステル、9硬化ヒマシ油PEG−9エステル、トウモロコシ油PEG−6エステル(ラブラフィル(Labrafil)(登録商標)M2125CS)、トウモロコシ油PEG−8エステル(ラブラフィル(Labrafil)(登録商標)WL2609BS)、トウモロコシグリセリドPEG−60エステル、オリーブ油PEG−6エステル(ラブラフィル(Labrafil)(登録商標)M1980CS)、硬化パーム/パーム核油PEG−6エステル(ラブラフィル(Labrafil)(登録商標)M2130BS)、硬化パーム/パーム核油PEG−6エステルプラスパーム核油、PEG−6、パーム油(ラブラフィル(Labrafil)(登録商標)M2130CS)、パーム核油PEG−40エステル、ラッカセイ油PEG−6エステル(ラブラフィル(Labrafil)(登録商標)M1969CS)、飽和C8〜C18脂肪酸のグリセロールエステル(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)33/01)、飽和C12〜C18脂肪酸のグリセリルエステル(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)39/01および43/01)、グリセリルラウレート/PEG−32ラウレート(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)44/14)、グリセリルラウレートグリセリル/PEG20ラウレート、グリセリルラウレートグリセリル/PEG32ラウレート、グリセリル、ラウレートグリセリル/PEG40ラウレート、グリセリルオレエート/PEG−20グリセリル、グリセリルオレエート/PEG−30オレエート、グリセリルパルミトステアレート/PEG−32パルミトステアレート(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)50/13)、グリセリルステアレート/PEGステアレート、グリセリルステアレート/PEG−32ステアレート(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)53/10)、飽和ポリグリコライズドグリセリド(ゲルシアー(Gelucire)(登録商標)37/02およびゲルシアー(Gelucire)(登録商標)50/02)、トリイソステアリンPEG−6エステル(すなわち、ラブラフィル(Labrafil)(登録商標)Isostearique)、トリオレインPEG−6エステル、トリオレエートPEG−25エステル、ポリオキシル35ヒマシ油(クレモフォア(Cremophor)(登録商標)EL)、ポリオキシル40硬化ヒマシ油(クレモフォア(Cremophor)(登録商標)RH40)、ポリオキシル60硬化ヒマシ油(クレモフォア(Cremophor)(登録商標)RH60)、ならびにそれらの混合物。
【0062】
本発明において使用可能な、好適な中〜長鎖脂肪酸のポリグリコライズド誘導体およびポリオキシエチレン誘導体としては、PEG−8カプロエート、PEG−8カプリレート、PEG−8カプレートPEG−8ラウレート、PEG−8オレエート、PEG−8ステアレート、PEG−9カプロエート、PEG−9カプリレート、PEG−9カプレートPEG−9ラウレート、PEG−9オレエート、PEG−9ステアレート、PEG−10カプロエート、PEG−10カプリレート、PEG−10カプレートPEG−10ラウレート、PEG−10オレエート、PEG−10ステアレート、PEG−10ラウレート、PEG−12オレエート、PEG−15オレエート、PEG−20ラウレート、PEG−20オレエート、およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0063】
本発明において使用可能な、好適な中〜長鎖脂肪酸の好適なグリセロール、ポリグリセロール、およびプロピレングリコールエステルとしては、カプリレート/カプレートジグリセリド、グリセリルモノオレエート、グリセリルリシノレエート、グリセリルラウレート、グリセリルジラウレート、グリセリルジオレエート、グリセリルモノ/ジオレエート、グリセリルカプリレート/カプレート、中鎖(C8/C10)モノ−およびジグリセリド(キャプムル(Capmul)(登録商標)MCM、キャプムル(Capmul)(登録商標)MCM(L))、モノ−およびジアセチル化モノグリセリド、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリル−2ジオレエート、ポリグリセリル−10トリオレエート、ポリグリセリル−10ラウレート、ポリグリセリル−10オレエート、およびポリグリセリル−10モノジオレエート、プロピレングリコールカプリレート/カプレート(ラブラファック(Labrafac)(登録商標)PC)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(ミグリオール(Miglyol)(登録商標)840)、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールリシノレエート、プロピレングリコールモノオレエート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールジオクタノエート、ならびにそれらの混合物などが挙げられる。
【0064】
使用可能な、好適なポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルとしては、PEG−20ソルビタンモノラウレート、PEG−20ソルビタンモノパルミテート、PEG−20ソルビタンモノステアレート、およびPEG−20ソルビタンモノオレエート、ならびにそれらの混合物などが挙げられる。
【0065】
使用可能な、好適なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、ポロキサマー(108、124、182、183、188、212、217、238、288、331、338、335、および407)、ならびにそれらの混合物などが挙げられる。
【0066】
使用可能な、好適なソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレート(スパン(Span)(登録商標)20)、ソルビタンモノステアレートおよびソルビタントリステアレート、ならびにそれらの混合物などが挙げられる。
【0067】
使用可能なその他の界面活性剤としては、TPGS(d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート)、ポリソルベート20(ツイーン(登録商標)20)、ポリソルベート(ツイーン(登録商標)80)、ポリエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート(ソリュトール(Solutol)(登録商標)HS−15)、ならびにそれらの混合物などが挙げられる。
【0068】
好ましい実施態様においては、配合物の任意成分としては、共溶媒、抗酸化剤、粘度調節剤、シトクロムP450代謝阻害剤、P−GP流出阻害剤、そして最後に両親媒性/非両親媒性溶質などが挙げられる。これらの任意成分は、単独で使用することもできるし、あるいは、自己乳化薬物送達システムの科学的および物理的性質を改良する目的で、他の成分と組み合わせて使用することもできる。
【0069】
好適な共溶媒または可溶化剤としては、たとえば、エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、α−シクロデキストリン、グリセリン、および各種のリン脂質(HSPC、DSPG、DMPC、およびDMPG)、ならびにそれらの混合物のような薬剤が挙げられる。
【0070】
好適な抗酸化剤としては、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、プロピルガレート、α−トコフェロール、そして最後にγ−トコフェロールなどが挙げられる。選択することが可能な抗酸化剤には、上述の2種以上の薬剤の組合せも含まれるが、その場合、アスコルビルパルミテートとトコフェロールは、最適な相乗効果を与える。
【0071】
使用可能な好適な粘度調節剤としては、以下のものが挙げられる:未変性デンプン、アルファ化デンプン、架橋デンプン、グアーゴム、キサンタンゴム、アラビアゴム、トラガカント、カラゲナン、アルギネート、キトサン、ポリビニルピロリドン(PVP、たとえば、コリドン(Kollidon)(登録商標)、ポビドン(Povidone)(登録商標))、ポリエチレンオキシド(たとえば、ポリオックス(Polyox)(登録商標))、ポリエチレングリコール(PEG、たとえば、カーボワックス(Carbowax)(登録商標))、ポリカルボフィル(たとえば、カーボポール(Carbopol)(登録商標))、ユードラギット(Eudragit)(登録商標)シリーズポリマー(E、L、S、RL、RS、NE)、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセロースナトリウム(Na−CMC)、エチルセルロース(たとえば、エトセル(Ethocel)(登録商標))、セルロースアセテート、およびセルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテート/ポリビニルピロリドン(PVA/PVP、たとえば、コリドン(Kollidon)SR(登録商標))、PVA/PEGグラフトコポリマー(たとえば、コリドン(Kollidon)IR(登録商標))、硬化植物油、脂肪酸のポリグリコライズドエステル、カルナウバワックス、ステアリルアルコール、および蜜ろう、ならびにそれらの混合物。
【0072】
好適なシトクロムP450阻害剤としては、前全身性(pre−systemic)肝初回通過代謝(すなわち、初回通過代謝)を阻害するSEDDSマトリックスの中に組み入れられる各種の薬剤、たとえばd−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、アニス油、ケイ皮油、コリアンダー油、グレープフルーツ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、アスコルビルパルミテート、プロピルガレート、ならびにそれらの各種組合せなどが挙げられる。
【0073】
好適なPGP流出阻害剤としては、PGP誘発細胞流出メカニズム(すなわち、MDR)を阻害するSEDDSマトリックスの中に組み入れられる各種の薬剤、たとえば、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレングリセリド、ならびにそれらの各種組合せなどが挙げられる。
【0074】
好適な両親媒性/非両親媒性溶質としては、液体状態から半固形状物の形成を誘導するSEDDSマトリックスの中に組み入れられる各種の薬剤が挙げられる。それらの薬剤は、水不溶性の医薬品グレードの粉体物質(たとえば、アスコルビルパルミテート)であるのが好ましい。
【0075】
一つの好ましい実施態様において、Δ9−THCまたはその他のカンナビノイドに分類される化合物を、市販されている、賦形剤、界面活性剤、共界面活性剤、および脂質相の専売ブレンド物の中に直接組み入れることが可能である。スメッズ(SMEDDS)(登録商標)(ガッテフォッセ・コーポレーション(Gattefosse Corporation)から入手可能)として知られているそれらの専売ブレンド物は、自己乳化マトリックスであって、親油性化合物の溶出およびバイオアベイラビリティの改良に役立つ。共溶媒、抗酸化剤、粘度調節剤、シトクロムP450代謝阻害剤、P−GP流出阻害剤、および両親媒性/非両親媒性溶質のような任意成分を添加することも可能である。
【0076】
一つの好ましい実施態様において、本発明の組成物中の成分の割合は、
1〜90重量%、好ましくは約1〜80重量%、より好ましくは約1〜60重量%の活性カンナビノイド;
約5〜90重量%、好ましくは約10〜80重量%、より好ましくは約20〜80重量%の油性媒体;および
約5〜90重量%、好ましくは約10〜80重量%、より好ましくは約20〜60重量%の界面活性剤、である。
【0077】
任意成分の可溶化剤および共溶媒の量は、約1〜80重量%、好ましくは約5〜50重量%、より好ましくは約10〜50重量%の範囲で変化させる。
【0078】
任意成分の抗酸化剤は、約0.01〜15重量%、好ましくは約0.5〜12.5重量%の範囲で変化させる。
【0079】
一つの好ましい実施態様において、液状のSEDDSマトリックスを半固形状のSEDDSマトリックスに転換させる半固形誘導剤の量は、約2.5〜15重量%、好ましくは約5〜10重量%、より好ましくは約7.5〜10重量%の範囲で変化させる。
【0080】
自己乳化薬物送達システムの場合、硬質ゼラチンカプセルの中に加熱溶融させたマトリックスを直接充填する方法を実施することができる。ビヒクルが、遊離される薬剤のための分散剤または乳化剤として機能して、微細に分散された状態とする。このようにして作られた薬剤では表面積がより大きくなるために、特に胆汁酸塩、レシチン、および脂質消化混合物の存在下において、消化管流体の中への溶出が容易となる。
【0081】
生産を容易とするためには、キャリアは、硬質ゼラチンカプセルの中へ、マトリックス化された加熱溶融物として液体充填が可能であるものでなければならない。キャリア溶液の融点が80℃を超えないのが好ましいが、この温度は硬質ゼラチンカプセルのシェルの最大許容温度である。このような好ましいアプローチをしてから、本発明の好適な配合物を充填をする。
【0082】
適切なインビトロ溶出試験を使用して、製剤の品質とバッチ間の一貫性を確保するために、各種の液状および半固形状の経口剤型の治療における性能を予測することができる。最適な溶出試験方法によって、消化管送達を目的とした自己乳化薬物送達配合物の溶出が解明される。その剤型の熱的性質および組織構造的性質、さらには粘度および軟度を利用することにより、脂質ベースの配合物からの薬剤放出を調節することができる。
【0083】
さらに、エージングによる溶出速度における変化は、脂質ベースの配合物からのバイオアベイラビリティにおける変化とは必ずしも相関しないということが見出された。したがって、溶出の際により意味のある結果を得るためには、SEDDSを、食後状態および空腹状態下における模擬的な胃腸条件下で解析する。このことを、各種の界面活性剤の存在下での水系媒体中への通常の溶出に付け加える。
【0084】
本発明においては、日常分析のための理想的な条件を確認する目的で、組成物を、各種の界面活性剤濃度(1〜5%(w/w)のラウリル硫酸ナトリウム、トリトンX−100、およびポリソルベート80)を含む各種の溶出媒体の下で最初に試験する。それらの組成物はさらに、市販されている製品と比較して、より良好なインビボ放出プロファイルがあることを予見する。その後で、親油性化合物および脂質賦形剤が存在しているために独特となっているSEDDS配合物について、安定性試験を実施する。このように、有効成分に加えて、賦形剤の安定性を調べておくことも重要である。
【0085】
カプセルの漏れは一般的な問題であって、そのような漏れをチェックするには高級な検出システムが採用されることが多い。製品の完全性と外部環境からの密閉を維持するために、本発明においてSEDDSを使用して得られたカプセル剤型は、軟質ゼラチンの形態、バンドシールされた硬質ゼラチン、溶液シールされた硬質ゼラチン(たとえば、カプシュゲル(Capsugel)のリキャップス(Licaps))のいずれかになると考えられる。たとえば、バンドシールでは、ゼラチンを含むシーリング溶液を使用する。この組成物は、好ましくは45〜48℃に維持して、カプセルのまわりに良好なバンドを形成させて、その製品でのいかなる漏れや偶発的な開口を防止する。
【0086】
本発明においては、各種のカンナビノイドを単独で、または相乗効果を得るために組合せの形態で使用することができる。単独または組合せで使用することが可能な好適なカンナビノイド化合物としては、以下のものが挙げられる:テトラヒドロカンナビノール、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)、Δ8−テトラヒドロカンナビノール、Δ8−テトラヒドロカンナビノール−DMH、Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロピル類似体(THCV)、11−ヒドロキシ−テトラヒドロカンナビノール、11−ノル−9−カルボキシ−テトラヒドロカンナビノール、5’−アジド−Δ8−テトラヒドロカンナビノール、AMG−1、AMG−3、AM411、AM708、AM836、AM855、AM919、AM926、AM938、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオールプロピル類似体(CBDV)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン、カンナビクロメンプロピル類似体、カンナビゲロール、CP47497、CP55940、CP55244、CP50556、CT−3(アジュレム酸(ajulemic acid))、ジメチルヘプチルHHC、HU−210、HU−211、HU−308、WIN55212−2、デスアセチル−L−ナントラドール、デキサナビノール、JWH−051、レボナントラドール、L−759633、ナビロン、O−1184。本発明ではさらに、カンナビノイドに分類される化合物に共通する類似の構造的特徴を有する他の薬剤も範囲とする。
【0087】
本発明で提案されたSEDDS組成物は、水への溶解性が乏しい各種の親油性薬剤の溶出性、バイオアベイラビリティ、および安定性を改良するためにも有用である。それらの薬剤は、たとえば以下の薬剤カテゴリーに属することができる:鎮痛薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗凝血薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗真菌薬、抗痛風薬、抗高血圧症薬、抗マラリア薬、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬(antimuscuranic)、抗悪性腫瘍薬、抗原虫薬、抗甲状腺薬、鎮咳薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、神経遮断薬、強心薬、コルチコステロイド、利尿薬、抗パーキンソン病薬、胃腸薬、抗ヒスタミン薬、角質溶解薬、脂質調節薬、筋弛緩薬、抗狭心症薬、栄養物摂取、性ホルモン、および興奮薬。
【実施例】
【0088】
以下の実施例により、配合物、溶出方法、および物理化学的安定性評価を説明する。しかしながら、以下の実施例は例示だけを目的としているものであって、いかなる面においても本発明を限定するものではない。列記された成分は、当業者公知の類似の医薬品添加物と好適に置き換えることが可能である。
【0089】
実施例において使用された物質およびそれらの物質の供給源を以下に列記する:
(i)Δ9−THC(国立薬物中毒研究所(National Institute on Drug Abuse)、メリーランド州ロックビル(Rockville,MD))
(ii)オレイン酸、超精製品(クローダ(Croda),米国)
(iii)ハッカ油
(iv)ゴマ油、超精製品(クローダ(Croda),米国)
(v)ダイズ油、超精製品(クローダ(Croda),米国)
(vi)キャプムル(Capmul)MCM(L)(アビテック・コーポレーション(Abitec Corp.),米国)
(vii)クレモフォア(Cremophor)EL(BASF,独国)
(viii)クレモフォア(Cremophor)RH40(BASF,独国)
(ix)ラブラゾール(Labrasol)(ガッテフォッセ(Gattefosse),米国)
(x)ラブラフィル(Labrafil)M1944CS(ガッテフォッセ(Gattefosse),米国)
(xi)アスコルビルパルミテート(スペクトラム・ケミカルズ(Spectrum Chemicals),米国)
(xii)ビタミンE、FCC(スペクトラム・ケミカルズ(Spectrum Chemicals),米国)
(xiii)ポビドン(Povidone)K−30(BASF,独国)
【0090】
実施例1
既存のゴマ油ベースの組成物(すなわち、マリノール(Marinol)(登録商標))よりも改良すると共に、THCのためのタイプIおよびタイプII自己乳化薬物送達システムの適用可能性を調べた。最初の結果に基づくと、親水性共溶媒(たとえば、エタノール)を添加すると、タイプIII自己乳化薬物送達システムを使用できることが判った。THCの溶出性を改良するために試験した配合物を表1に示す。THC(樹脂形)と共にそこに挙げられた医薬品添加物の必要量を試験管に移し、30〜45分間(温度50℃以下)超音波処理して、透明な溶液を得た。それぞれの配合物の溶液を、サイズ「1」のカプセルの中に充填した。配合物の含量均一性および均質性を改良するために、配合加工プロセスで熱を加えてもよいことが、後になって判った。
【0091】
【表1】

【0092】
図1から、試験した配合物が市販の配合物よりも好適であることが証明された。これらの溶出についての検討は、水媒体中2%SLSを用いて実施した(パドル試験装置、75rpm)。これらの試験から、自己乳化薬物送達システムを用いてTHCの溶出を加速させることが可能であることも立証された。
【0093】
実施例2
タイプIのSEDDS系として分類される、上述のようにして調製された配合物vii(表1)について、最も適切な試験条件を求めるために、各種の溶出媒体中37℃(パドル、75RPM)で評価した。試験した溶出媒体のそれぞれにおいて得られた放出パーセントを表2に示す。
【0094】
【表2】

【0095】
上述の表2における結果から、2%SLSまたは5%トリトンX−100が、THC SEDDS配合物を評価するためには理想的な選択であるということが明らかである。さらなる評価のためには、模擬胃液媒体および腸液媒体のようなさらなる媒体が必要となる可能性がある。特に、空腹状態の模擬腸液媒体(FaSSIF)および食後状態の模擬腸液媒体(FeSSIF)を使用するのが好ましい。
【0096】
表2のデータからさらに、胃環境内で酸が触媒として働く分解に対して、SEDDS系がΔ9−THCのための保護効果を有していることもまた立証される。この理由は、水媒体の中での最初の希釈に際しては、薬剤がSEDDSマトリックス中に保持され、周りの媒体の中に放出され得ないという事実のためである。下記のようなプラセボ配合物に対する水希釈試験(実施例3および4)を実施すると、粗い固形物分散体または濁った分散体が形成されるということから、胃において酸が触媒として働く分解に対して、SEDDS系が活性カンナビノイドを保護していることがさらにわかる(実施例5)。
【0097】
実施例3
好適なタイプI、タイプII、およびタイプIIIのSEDDS系は、本来的に等方性であって、水系媒体で希釈するまでは、均質な相挙動を有している。相分離されたSEDDS処方物は、本来的に等方性ではなく、半固形状の場合にはクラッキングを示したり、マトリックスの均質性に乏しかったりする。
【0098】
下記の表3に、選択されたSEDDS、油状キャリア媒体とクレモフォア(Cremophor)ELとを組み合わせて使用したプラセボ配合物についての、相挙動の試験結果を示す。その試験は、肉眼的観察(すなわち、視覚検査)、さらには顕微鏡観察(オリンパス(Olympus)(商標)立体顕微鏡)であった。
【0099】
【表3】

*「( )」の中のパーセントは、すべての薬剤担持製剤において、260mgの充填重量を基準にしたものである。
【0100】
表3から、アスコルビルパルミテート濃度を高くしていくと、SEDDSマトリックスが、液体状態から流動性半固形状態、または半固形状態へと変化することが判る。したがって、アスコルビルパルミテート、両親媒性溶質をSEDDS配合物マトリックス中に過剰量で存在させると、半固形誘導剤として働く。
【0101】
本発明の実施例においては、油状キャリア媒体は、各種の「油(oils)」で置き換えられる。界面活性剤成分を各種の成分で置き換える。SEDDSマトリックス中のさらなる成分としては、粘度調節剤、抗酸化剤、および代謝性/PGP阻害剤などが挙げられる。SEDDSマトリックスをカプセルのシェルの存在下または非存在下に哺乳動物の消化管系に投与した場合(実施例5を参照)、以下のことが起きる:
(i)酸性の胃内容物中のSEDDS系の初期水性分散体は、粗い分散体または固形物分散体となって、酸性条件に対して保護を与える。
(ii)上部十二指腸内で胆汁酸塩が存在する場合には、SEDDS剤型が哺乳動物の脂質吸収経路に取り込まれ、それによって、肝初回通過代謝を迂回する。
(iii)液状のSEDDSを、両親媒性/非両親媒性が高濃度であることが理由の半固形状SEDDS組成物と比較すると、それぞれ、前者の系は、より迅速な薬剤溶出プロファイルを与えるのに対して、後者の系は、より徐放的な溶出プロファイルを与える。
(iv)液状SEDDS系が速放型の剤型であるのに対して、半固形状SEDDS系は徐放型の剤型である。
【0102】
実施例4
好適なタイプI、タイプII、およびタイプIIIのSEDDS系は、本来的に等方性であって、水系媒体で希釈するまでは、均質な相挙動を有している。本来的に等方性ではない、相分離されたSEDDS処方物は、半固形状の場合にはクラッキングを示したり、マトリックスの均質性に乏しかったりする。
【0103】
下記の表4に、選択されたSEDDS、油状キャリア媒体とラブラゾール(Labrasol)とを組み合わせて使用したプラセボ配合物についての、相挙動の試験結果を示す。その試験は、肉眼的観察(すなわち、視覚検査)、さらには顕微鏡観察(オリンパス(Olympus)(商標)立体顕微鏡)であった。
【0104】
【表4】

*「( )」の中のパーセントは、すべての薬剤担持製剤において、260mgの充填重量を基準にしたものである。
【0105】
表3から、アスコルビルパルミテート濃度を高くしていくと、SEDDSマトリックスが、液体状態から流動性半固形状態、または半固形状態へと変化することなどを知ることができる。したがって、アスコルビルパルミテート、両親媒性溶質をSEDDS配合物マトリックス中に過剰量で存在させると、半固形誘導剤として働く。
【0106】
本発明の実施例において、その油状キャリア媒体は、各種の「油」で置き換えられ、その界面活性剤成分は先に記述したような各種の成分で置き換えられる。追加の任意成分が、SEDDSマトリックスの中に存在する(たとえば、粘度調節剤、抗酸化剤、代謝性/PGP阻害剤など)。
【0107】
SEDDSマトリックスをカプセルのシェルの存在下または非存在下に哺乳動物の消化管系に投与した場合(実施例5を参照)、以下のような状況があてはまる:
(i)酸性の胃内容物中のSEDDS系の初期水性分散体は、粗い分散体または固形物分散体となって、酸性条件に対して保護を与える。
(ii)上部十二指腸内で胆汁酸塩が存在する場合には、SEDDS剤型内容物が哺乳動物の脂質吸収経路に取り込まれ、それによって、肝初回通過代謝を迂回する。
(iii)液状のSEDDSを、両親媒性/非両親媒性が高濃度であることが理由の半固形状SEDDS組成物と比較すると、それぞれ、前者の系は、より迅速な薬剤溶出プロファイルを与えるであろうし、それに対して、後者の系は、より徐放的な溶出プロファイルを与えるであろう。
(iv)液状のSEDDS系は速放性であり、半固形状のSEDDS系は徐放性となる。
【0108】
実施例5
本発明は、水系環境内で最初の希釈により粗いまたは固形物分散体を形成するTHC SEDDS組成物(すなわち、タイプI、II、およびIII)を提供する。上部腸管内で胆汁酸塩が存在すると、その剤型の崩壊によって生じる分散体成分は、脂質吸収経路に取り込まれる(すなわち、キロミクロン合成により肝初回通過代謝が回避される)。
【0109】
そのような結果の可能性を試験するために、分散性試験を水媒体内および界面活性剤媒体内の両方について実施した。下記の表5に、実施例3および4に先に記述したプラセボ製剤の水系分散性試験の結果を示す。さらに、実施例1に示した元のSEDDS処方物をベースとした選択されたプラセボ組成物についての分散性試験も実施した。
【0110】
それぞれのプラセボ製剤の約25mgを、37℃で撹拌バーを入れたビーカーの中の選択された媒体90mLに添加した。この手順は、実施例1において採用した、米国薬局方のタイプII溶出条件をシミュレートできるように設計した。
【0111】
【表5】

【0112】
この分散性試験の結果は、THC SEDDS組成物を哺乳動物の消化管系に投与した場合に予想される結果をさらに支持するものであった。表5をベースとして、以下のような結論があてはめられる:
(i)酸性の胃内容物中のSEDDS系の初期水性分散体は、粗い分散体または固形物分散体となって、酸性条件に対して保護を与える、および
(ii)上部十二指腸内で胆汁酸塩が存在する場合には、SEDDS剤型内容物が哺乳動物の脂質吸収経路に取り込まれ、それによって、肝初回通過代謝を迂回する。
【0113】
実施例1〜5で説明された結果は、THC SEDDS組成物の最適化に期待が持てる結果を与えた。以下に記載の実施例で示されるさらなる試みでは、賦形剤を選択することによる薬剤放出速度の調節、さらには相乗的な抗酸化剤の組合せを組み入れることによりSEDDS組成物を化学的に安定化させることに重点を置いている。
【0114】
実施例6
最初の組成物(表1)ならびに米国特許第6,232,333号明細書にある情報に基づいて、さらなるTHC SEDDS組成物の試験を行って、2%SLS媒体中での溶出性におよぼす、油および界面活性剤比率の変化の影響を評価する(実施例2参照)。得られた配合物マトリックスの評価を行って、それらが速放性製剤として機能するかどうかを調べた。表6に、実施例6において評価した組成をまとめた。それらのSEDDSの組合せを調製するために採用した基本的な手順には以下の工程が含まれる:
(i)油および界面活性剤成分を清浄なビーカーに加え、それらの成分を加熱して50℃とする工程;
(ii)その混合物にアスコルビルパルミテートを徐々に添加する工程;
(iii)その内容物を充分に撹拌して、均質な混合物を形成させ、溶液を50〜55℃に継続的に保持する工程;
(iv)上述の溶融マトリックスの中に、撹拌しながら徐々に必要量のΔ9−THCを添加し、50〜55℃になるよう加熱を続けて、溶解/溶融により、均質な配合物マトリックスを形成させる工程;および
(v)その配合物マトリックスを、ピペットを用いて目標重量ずつカプセル(サイズ「1」)の中に充填し、放冷して室温とする工程。
【0115】
【表6】

【0116】
油の界面活性剤に対する比率を変化させても、溶出性の結果に悪影響を与えることはない。表6に示した配合物#1、2、3、および4の場合、2%SLSの中への有効成分の溶出は、1時間以内にほぼ完了する(パドル、75RPM)。これらの結果は、表1および図1に示したSEDDS組成物の場合に類似している。実施例6に従って調製した配合物が液状SEDDS組成物の特徴を有していることに注目されたい。
【0117】
実施例7
最初の組成物(表1)ならびに米国特許第6,008,228号明細書にある情報に基づいて、さらなる組成物の試験を行って、粘度調節剤を加えた場合の過飽和SEDDS系の有効性を評価する。それらの過飽和SEDDS系について、マリノール(Marinol)(登録商標)の溶出性と比較した場合の、2%SLS媒体中へのTHC溶出性プロファイルの改良について評価する(図1)。キャプムル(Capmul)MCM(L)が、SEDDS系の油および界面活性剤成分のいずれとしても働いていることに注目されたい。この多官能医薬品添加剤には、複数の成分、特に中鎖のモノおよびジグリセリドが含まれている。得られた配合物マトリックスは、速放性製剤としての挙動を示した。
【0118】
表7に、実施例7に列挙した組成物をまとめた。それらのSEDDSの組合せを調製するために採用した基本的な手順には以下の工程が含まれる:
(i)キャプムル(Capmul)MCM(L)およびポビドン(Povidone)K−30を清浄なビーカーの中に加え、それらの成分を加熱して50℃とする工程;
(ii)前工程の混合物にアスコルビルパルミテートまたはDL−α−トコフェロールを徐々に添加する工程;
(iii)その内容物を充分に撹拌して、均質な混合物を形成させ、溶液を50〜55℃に継続的に保持する工程;
(iv)上述の溶融マトリックスの中に、撹拌しながら徐々に必要量のΔ9−THCを添加し、50〜55℃になるよう加熱を続けて、溶解/溶融により、均質な配合物マトリックスを形成させる工程;および
(v)その配合物マトリックスを、ピペットを用いて目標重量ずつカプセル(サイズ「1」)の中に充填し、放冷して室温として、半固体状のマトリックスを形成させる工程。
【0119】
【表7】

*米国特許第6,008,228号明細書の記載に従って、市販のサクイニビア(Saquinivir)(フォルトバーゼ(Fortvase)処方物をベースとしたキャプムル(Capmul)ベースの組成物
【0120】
抗酸化剤のタイプおよび濃度を変化させても(すなわち、アスコルビルパルミテートか、DL−α−トコフェロールか)、これらの過飽和SEDDS配合物(すなわち表7に示した#5、6、11および12)の溶出性プロファイルには大きな変化はない。しかしながら、2%SLS中のこれらの配合物におけるプロファイルは、最初の組成物(すなわち、図1)の場合のプロファイルとは明らかに異なっていた。
【0121】
表7に示した配合物#5の場合の溶出結果を図2に示したが、これによれば初期分散体が過飽和ピーク濃度を与えている。このことは、非晶質の薬剤溶出プロファイルで観察される状況に類似している。いずれの場合においても、最初の過飽和の後に、プラトー領域が生じる。
【0122】
実施例8
最初の組成物をベースとして、さらなるTHC SEDDS組成物の試験を行って、油性媒体を変化させた場合(すなわち、オレイン酸からダイズ油へ)の、2%SLS媒体中における溶出性におよぼす効果を評価した(実施例2参照)。得られた配合物マトリックスは、速放性製剤としての挙動を示す。
【0123】
表8に実施例8における組成をまとめた。それらのSEDDSの組合せを調製するために採用した基本的な手順には以下の工程が含まれる:
(i)油および界面活性剤成分を清浄なビーカーに加え、それらの成分を加熱して50℃とする工程;
(ii)その混合物にアスコルビルパルミテートを徐々に添加する工程;
(iii)その内容物を充分に撹拌して、均質な混合物を形成させ、溶液を50〜55℃に継続的に保持する工程;
(iv)上述の溶融マトリックスの中に、撹拌しながら徐々に必要量のΔ9−THCを添加し、50〜55℃になるよう加熱を続けて、溶解/溶融により、均質な配合物マトリックスを形成させる工程;および
(v)その配合物マトリックスを、ピペットを用いて目標重量ずつカプセル(サイズ「1」)の中に充填し、放冷して室温とする工程。
【0124】
【表8】

【0125】
油性媒体を変化させても、その放出プロファイルパターンは、先に元の組成物について記述したものからは変化しない。2%SLS媒体中へのその溶出プロセスは、1時間以内にほぼ完了する(パドル、75RPM)。
【0126】
実施例9
最初の組成物(表1)ならびに実施例3および4から得られる情報に基づいて、さらなるTHC SEDDS組成物について、半固形状物を形成させるために高いアスコルビルパルミテート含量を担持させて試験する。得られた配合物マトリックスは、徐放性製剤としての挙動を示す。表9に、実施例9において評価した組成をまとめた。それらのSEDDSの組合せを調製するために採用した基本的な手順には以下の工程が含まれる:
(i)Δ9−THCを清浄なビーカーの中に加え、その成分を加熱して65〜70℃とする工程;
(ii)そのビーカーに油成分を徐々に添加する工程;
(iii)その透明な混合物に界面活性剤成分を添加する工程;
(iv)その内容物を充分に撹拌して均質な混合物を形成させ、その透明な混合物を継続的に65〜70℃に保持する工程;
(v)上述の溶融マトリックスの中に、撹拌しながら徐々に必要量のアスコルビルパルミテートを添加し、65〜70℃になるよう加熱を続けて、溶解/溶融により、均質な配合物マトリックスを形成させる工程;および
(vi)その配合物マトリックスを、ピペットを用いて目標重量ずつカプセル(サイズ「1」)の中に充填し、放冷して室温として、半固体状のマトリックスまたは液状物を形成させる工程。
【0127】
【表9】

【0128】
アスコルビルパルミテートを高濃度で組み入れると、2%SLS媒体の中では4〜6時間をかけての徐放的薬剤放出パターンが得られる(パドル、75RPM)。薬剤放出速度が長引くのは、半固形状マトリックスが形成されたためである。アスコルビルパルミテートによって誘発された半固形状マトリックスは、高い酸化可能性を示すΔ9−THCのような化合物に対する安定化メカニズムとして貢献する。最終的に、配合物を調製している際に、その加工温度を65〜70℃もの高さとすることが可能であることが認められた。このことは、Δ9−THC SEDDSマトリックスの化学的および物理的特性に悪影響を与えることはない。
【0129】
実施例10
最初の組成物(表1)ならびに実施例6から得られる情報に基づいて、さらなるTHC SEDDS組成物について、異なった界面活性剤成分(すなわち、クレモフォア(Cremophor)EL、ラブラフィル(Labrafil)M1944CS)を用いて評価する。さらに、界面活性剤を組み合わせることによって、タイプII SEDDS系が最適の性能を発揮するための、約11〜12の間の複合HLB値が得られるような試験をする。最終的に、抗酸化剤を組み合わせて、薬剤化合物およびSEDDSマトリックスに対する相乗的な保護作用を最適化するための試験をする。得られた配合物マトリックスは、速放性製剤としての挙動を示す。
【0130】
表10に、実施例10において評価した組成をまとめた。それらのSEDDSの組合せを調製するために採用した基本的な手順には以下の工程が含まれる:
(i)Δ9−THCを清浄なビーカーの中に加え、その成分を加熱して65〜70℃とする工程;
(ii)そのビーカーに油成分を徐々に添加する工程;
(iii)その透明な混合物に界面活性剤成分を添加する工程;
(iv)その内容物を充分に撹拌して均質な混合物を形成させ、その透明な混合物を継続的に65〜70℃に保持する工程;
(v)上述の溶融マトリックスの中に、撹拌しながら徐々に必要量のアスコルビルパルミテートを添加し、65〜70℃になるよう加熱を続けて、溶解/溶融により、均質な配合物マトリックスを形成させる工程;および
(vi)その配合物マトリックスを、ピペットを用いて目標重量ずつカプセル(サイズ「1」、ハイプロメロースまたは硬質ゼラチン)の中に充填し、放冷して室温として、半固体状のマトリックスまたは液状物を形成させる工程。
【0131】
【表10】

【0132】
界面活性剤成分を変化させても、元の組成物に比較して、その放出プロファイルパターンは変わらない。2%SLS媒体中へのその溶出プロセスは、1時間以内にほぼ完了する(パドル、75RPM)。さらに、追加の実施例で、各種の異なった界面活性剤成分を置き換えることも可能である。最終的に、配合物を調製している際に、その加工温度を65〜70℃もの高さとすることが可能であることが認められた。このことは、Δ9−THC SEDDSマトリックスの化学的および物理的特性に悪影響を与えることはない。
【0133】
実施例11
最初の組成物(表1)ならびに実施例10からの情報に基づいて、さらなるTHC SEDDS組成物について、異なった界面活性剤成分(すなわち、ラブラゾール(Labrasol)、ラブラフィル(Labrafil)M1944CS)を用いて試験する。さらに、界面活性剤を組み合わせることによって、タイプII SEDDS系が最適の性能を発揮するための、約11〜12の間の複合HLB値が得られるような試験をする。最終的に、抗酸化剤を組み合わせて、薬剤化合物およびSEDDSマトリックスに対する相乗的な保護作用を最適化するための試験をする。得られた配合物マトリックスは、速放性製剤としての挙動を示す。
【0134】
表11に、実施例11において評価した組成をまとめた。それらのSEDDSの組合せを調製するために採用した基本的な手順には以下の工程が含まれる:
(i)Δ9−THCを清浄なビーカーの中に加え、その成分を加熱して65〜70℃とする工程;
(ii)そのビーカーに油成分を徐々に添加する工程;
(iii)その透明な混合物に界面活性剤成分を添加する工程;
(iv)その内容物を充分に撹拌して均質な混合物を形成させ、その透明な混合物を継続的に65〜70℃に保持する工程;
(v)上述の溶融マトリックスの中に、撹拌しながら徐々に必要量のアスコルビルパルミテートを添加し、65〜70℃になるよう加熱を続けて、溶解/溶融により、均質な配合物マトリックスを形成させる工程;および
(vi)その配合物マトリックスを、ピペットを用いて目標重量ずつカプセル(サイズ「1」、ハイプロメロースまたは硬質ゼラチン)の中に充填し、放冷して室温として、半固体状のマトリックスまたは液状物を形成させる工程。
【0135】
【表11】

【0136】
界面活性剤成分を変化させても、元の組成物に比較して、その放出プロファイルパターンは変わらない。2%SLS媒体中へのその溶出プロセスは、1時間以内にほぼ完了する(パドル、75RPM)。さらに、追加の実施例で、各種の異なった界面活性剤成分を置き換えることにより実施してもよい。配合物を調製している際に、その加工温度を65〜70℃もの高さとすることも可能である。このことが、Δ9−THC SEDDSマトリックスの化学的および物理的特性に悪影響を与えることはない。
【0137】
実施例12
最初の組成物(表1)ならびに実施例9から得られる情報に基づいて、さらなるTHC SEDDS組成物について、アスコルビルパルミテートを高含量で担持した半固形状配合物の溶出パラメーターを最適化するための試験をする。さらに、得られた配合物マトリックスは、徐放性製剤としての挙動を示す。
【0138】
表12に、実施例12において評価した組成をまとめた。それらのSEDDSの組合せを調製するために採用した基本的な手順には以下の工程が含まれる:
(i)Δ9−THCを清浄なビーカーの中に加え、その成分を加熱して65〜70℃とする工程;
(ii)そのビーカーに油成分を徐々に添加する工程;
(iii)その透明な混合物に界面活性剤成分を添加する工程;
(iv)その内容物を充分に撹拌して均質な混合物を形成させ、その透明な混合物を継続的に65〜70℃に保持する工程;
(v)上述の溶融マトリックスの中に、撹拌しながら徐々に必要量のアスコルビルパルミテートを添加し、65〜70℃になるよう加熱を続けて、溶解/溶融により、均質な配合物マトリックスを形成させる工程;および
(vi)その配合物マトリックスを、ピペットを用いて目標重量ずつカプセル(サイズ「1」、ハイプロメロースまたは硬質ゼラチン)の中に充填し、放冷して室温として、半固体状のマトリックスまたは液状物を形成させる工程。
【0139】
【表12】

【0140】
図3(硬質ゼラチンおよびハイプロメロース・カプセル・シェル(Hypromellose Capsule Shells)中の配合物#25の溶出プロファイル)に見られるように、高いアスコルビルパルミテート濃度を使用することによって、2%SLS媒体中で4〜6時間にわたる徐放的薬剤放出パターンが得られる(パドル、75RPM)。薬剤放出速度が長引くのは、半固形状マトリックスが形成されたためである。アスコルビルパルミテートによって誘発された半固形状マトリックスは、高い酸化可能性を示すΔ9−THCのような化合物に対する安定化メカニズムとして貢献することが判った。配合物を調製している際に、その加工温度を65〜70℃もの高さとすることが可能であることが認められた。このことが、Δ9−THC SEDDSマトリックスの化学的および物理的特性に悪影響を与えることはない。
【0141】
実施例13
最初の組成物(表1)ならびに実施例6、10、および11から得られる情報に基づいて、さらなるTHC SEDDS組成物について、2%SLS媒体中への溶出性に対するさらなる油状成分(すなわち、ハッカ油)の効果を調べるための評価をする(実施例2参照)。得られた配合物マトリックスは、速放性製剤としての挙動を示す。
【0142】
表13に、実施例13において評価した組成をまとめた。それらのSEDDSの組合せを調製するために採用した基本的な手順には以下の工程が含まれる:
(i)Δ9−THCを清浄なビーカーの中に加え、その成分を加熱して65〜70℃とする工程;
(ii)そのビーカーに油成分を徐々に添加する工程;
(iii)その透明な混合物に界面活性剤成分を添加する工程;
(iv)その内容物を充分に撹拌して均質な混合物を形成させ、その透明な混合物を継続的に65〜70℃に保持する工程;
(v)上述の溶融マトリックスの中に、撹拌しながら徐々に必要量のアスコルビルパルミテートを添加し、65〜70℃になるよう加熱を続けて、溶解/溶融により、均質な配合物マトリックスを形成させる工程;および
(vi)その配合物マトリックスを、ピペットを用いて目標重量ずつカプセル(サイズ「1」)の中に充填し、放冷して室温として、半固体状のマトリックスまたは液状物を形成させる工程。
【0143】
【表13】

【0144】
この追加の油成分は、元の組成物(表1)に比較して、その放出プロファイルパターンは変わらない。2%SLS媒体中へのその溶出プロセスは、1時間以内にほぼ完了する(パドル、75RPM)。さらに、追加の実施例で、各種の異なった油成分を置き換えることにより評価してもよい。最終的に、配合物を調製している際に、その加工温度を65〜70℃もの高さとすることが可能であることが認められた。このことが、Δ9−THC SEDDSマトリックスの化学的および物理的特性に悪影響を与えることはない。
【0145】
実施例14
実施例10で得られた情報に基づいて、配合物#18について、ICH安定性試験条件下(すなわち、2〜8℃、25℃/60%RH、および40℃/75%RH)で評価する。配合物#18からの硬質ゼラチン充填カプセルおよびバルク配合物溶液を3ヶ月間保存したあとで、表14に示したようなパラメーターを評価する。
【0146】
ビタミンE、FCC(DL−α−トコフェロール)およびアスコルビルパルミテートを組み合わせると、薬剤化合物、さらにはSEDDSマトリックスのいずれに対しても相乗的な安定化が得られる。下記の表14に評価結果を示すが、薬剤化合物の安定性ならびにカプセルのシェルの完全性の維持において抗酸化剤が有効であることが判る。
【0147】
【表14】

【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明のカンナビノイド含有製剤の溶出プロファイルおよび従来からのカンナビノイド含有製剤の溶出プロファイルを示すグラフである。
【図2】特に溶出プロファイルのピーク濃度およびプラトー領域を説明する、本発明のカンナビノイド含有製剤の溶出プロファイルを示すグラフである。
【図3】特に4時間ないし6時間にわたる徐放的薬剤放出パターンを示す、本発明のカンナビノイド含有製剤の溶出プロファイルを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリグリセリド、混合グリセリド、C6〜C32の炭素原子を有する遊離脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群より選択される油性媒体;ならびに自己乳化を促進する界面活性剤を含む自己乳化系の中の、カンナビノイドの薬理学的に活性な形態を含むカンナビノイドの経口剤型。
【請求項2】
前記薬理学的に活性なカンナビノイドが、テトラヒドロカンナビノール、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)、Δ8−テトラヒドロカンナビノール、Δ8−テトラヒドロカンナビノール−DMH、Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロピル類似体(THCV)、11−ヒドロキシ−テトラヒドロカンナビノール、11−ノル−9−カルボキシ−テトラヒドロカンナビノール、5’−アジド−Δ8−テトラヒドロカンナビノール、AMG−1、AMG−3、AM411、AM708、AM836、AM855、AM919、AM926、AM938、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオールプロピル類似体(CBDV)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン、カンナビクロメンプロピル類似体、カンナビゲロール、CP47497、CP55940、CP55244、CP50556、CT−3(アジュレム酸)、ジメチルヘプチルHHC、HU−210、HU−211、HU−308、WIN55212−2、デスアセチル−L−ナントラドール、デキサナビノール、JWH−051、レボナントラドール、L−759633、ナビロン、O−1184、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項3】
前記油性媒体が、C6〜C32の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC6〜C32の炭素原子を有する前記脂肪酸とから形成されるトリグリセリド、C6〜C32の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC6〜C32の炭素原子を有する前記脂肪酸とから形成される混合グリセリド、C6〜C32の炭素原子を有する遊離脂肪酸と少なくとも75%のC6〜C32の炭素原子を有する前記遊離脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項4】
前記油性媒体が、ルリジサ油、ヤシ油、綿実油、ダイズ油、サフラワー油、ヒマワリ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油、パーム油、ラッカセイ油、ハッカ油、ケシ油、カノーラ油、硬化ダイズ油、硬化植物油、飽和脂肪酸のグリセリルエステル、グリセリルベヘネート、グリセリルジステアレート、グリセリルイソステアレート、グリセリルラウレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノリノレエート、グリセリルパルミテート、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルリシノレエート、グリセリルステアレート、ポリグリセリル10−オレエート、ポリグリセリル3−オレエート、ポリグリセリル4−オレエート、ポリグリセリル10−テトラリノレエート、ベヘン酸、カプリリイック/カプリックグリセリド、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、パルミトステアリン酸、リシノール酸、ステアリン酸、ダイズ脂肪酸、オレイン酸、α−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンE、およびビタミンA、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項5】
前記トリグリセリドおよび混合グリセリドが、少なくとも75%のC6〜C32の炭素原子を有する脂肪酸を含む、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項6】
前記油が、合成油、半合成油、天然油、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項7】
前記界面活性剤が、ポリグリコライズドグリセリド、ポリオキシエチレングリセリド、ポリエチレングリコール−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、油とアルコールのエステル交換反応生成物、ポリグリセライズド脂肪酸、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノおよびジグリセリド、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、ポリオキシエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート、ポリソルベート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項8】
前記界面活性剤が、アーモンド油PEG−6エステル、アーモンド油PEG−60エステル、杏仁油PEG−6エステル、カプリリック/カプリックトリグリセリドPEG−4エステル、カプリリック/カプリックトリグリセリドPEG−4錯体、カプリリック/カプリックグリセリドPEG−6エステル、カプリリック/カプリックグリセリドPEG−8エステル、ヒマシ油PEG−50エステル、硬化ヒマシ油PEG−5エステル、硬化ヒマシ油PEG−7エステル、9硬化ヒマシ油PEG−9エステル、トウモロコシ油PEG−6エステル、トウモロコシ油PEG−8エステル、トウモロコシグリセリドPEG−60エステル、オリーブ油PEG−6エステル、硬化パーム/パーム核油PEG−6エステル、パーム核油およびPEG−6およびパーム油を含む硬化パーム/パーム核油PEG−6エステル、パーム核油PEG−40エステル、ラッカセイ油PEG−6エステル、飽和C8〜C18脂肪酸のグリセロールエステル、飽和C12〜C18脂肪酸のグリセリルエステル、グリセリルラウレート/PEG−32ラウレート、グリセリルラウレートグリセリル/PEG20ラウレート、グリセリルラウレートグリセリル/PEG32ラウレート、グリセリル、ラウレートグリセリル/PEG40ラウレート、グリセリルオレエート/PEG−20グリセリル、グリセリルオレエート/PEG−30オレエート、グリセリルパルミトステアレート/PEG−32パルミトステアレート、グリセリルステアレート/PEGステアレート、グリセリルステアレート/PEG−32ステアレート、飽和ポリグリコライズドグリセリド、トリイソステアリンPEG−6エステル、トリオレインPEG−6エステル、トリオレエートPEG−25エステル、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル60硬化ヒマシ油、PEG−8カプロエート、PEG−8カプリレート、PEG−8カプレートPEG−8ラウレート、PEG−8オレエート、PEG−8ステアレート、PEG−9カプロエート、PEG−9カプリレート、PEG−9カプレートPEG−9ラウレート、PEG−9オレエート、PEG−9ステアレート、PEG−10カプロエート、PEG−10カプリレート、PEG−10カプレートPEG−10ラウレート、PEG−10オレエート、PEG−10ステアレート、PEG−10ラウレート、PEG−12オレエート、PEG−15オレエート、PEG−20ラウレート、PEG−20オレエート、カプリレート/カプレートジグリセリド、グリセリルモノオレエート、グリセリルリシノレエート、グリセリルラウレート、グリセリルジラウレート、グリセリルジオレエート、グリセリルモノ/ジオレエート、グリセリルカプリレート/カプレート、中鎖C8/C10モノ−およびジグリセリド、モノ−およびジアセチル化モノグリセリド、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリル−2ジオレエート、ポリグリセリル−10トリオレエート、ポリグリセリル−10ラウレート、ポリグリセリル−10オレエート、ポリグリセリル−10モノジオレエート、プロピレングリコールカプリレート/カプレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールリシノレエート、プロピレングリコールモノオレエート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールジオクタノエート、PEG−20ソルビタンモノラウレート、PEG−20ソルビタンモノパルミテート、PEG−20ソルビタンモノステアレート、PEG−20ソルビタンモノオレエート、ポロキサマー108、ポロキサマー124、ポロキサマー182、ポロキサマー183、ポロキサマー188、ポロキサマー212、ポロキサマー217、ポロキサマー238、ポロキサマー288、ポロキサマー331、ポロキサマー338、ポロキサマー335、ポロキサマー407、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、ポリソルベート20、ポリソルベート、ポリエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項9】
エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、α−シクロデキストリン、HSPCリン脂質、DSPGリン脂質、DMPCリン脂質、DMPGリン脂質、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシアニソール、プロピルガレート、α−トコフェロール、およびγ−トコフェロール、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される任意成分の共溶媒、可溶化剤および抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項10】
前記カンナビノイドを約1〜90重量%含み、前記油性媒体を約5〜90重量%含み、そして前記界面活性剤を約5〜90重量%含む、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項11】
任意成分の可溶化共溶媒を約1〜80重量%、および任意成分の抗酸化剤を約0.01〜15重量%さらに含む、請求項1に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項12】
約10〜80重量%の量の油性媒体、約10〜80重量%の量の界面活性剤、場合によっては約5〜50重量%の量の可溶化共溶媒、および場合によっては約0.01〜12.5重量%の量の抗酸化剤を含む自己乳化系の中に、カンナビノイドの薬理学的に活性な形態を約1〜80重量%含む、カンナビノイドの経口剤型。
【請求項13】
前記薬理学的に活性なカンナビノイドが、テトラヒドロカンナビノール、Δ9−テトラヒドロカンナビノール、Δ8−テトラヒドロカンナビノール、Δ8−テトラヒドロカンナビノール−DMH、Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロピル類似体、11−ヒドロキシ−テトラヒドロカンナビノール、11−ノル−9−カルボキシ−テトラヒドロカンナビノール、5’−アジド−Δ8−テトラヒドロカンナビノール、AMG−1、AMG−3、AM411、AM708、AM836、AM855、AM919、AM926、AM938、カンナビジオール、カンナビジオールプロピル類似体、カンナビノール、カンナビクロメン、カンナビクロメンプロピル類似体、カンナビゲロール、CP47497、CP55940、CP55244、CP50556、CT−3、ジメチルヘプチルHHC、HU−210、HU−211、HU−308、WIN55212−2、デスアセチル−L−ナントラドール、デキサナビノール、JWH−051、レボナントラドール、L−759633、ナビロン、O−1184、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項14】
前記油性媒体が、C8〜C24の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C24の炭素原子を有する脂肪酸とから形成されるトリグリセリド、C8〜C24の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C24の炭素原子を有する脂肪酸とから形成される混合グリセリド、C8〜C24の炭素原子を有する遊離脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C24の炭素原子を有する遊離脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項15】
前記油性媒体が、C8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸とから形成されるトリグリセリド、C8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸から形成される混合グリセリド、C8〜C18の炭素原子を有する遊離脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項16】
前記油性媒体が、合成油、半合成油、天然油、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項12に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項17】
前記界面活性剤が、ポリグリコライズドグリセリド、ポリオキシエチレングリセリド、ポリエチレングリコール−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、油とアルコールのエステル交換反応生成物、ポリグリセライズド脂肪酸、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノおよびジグリセリド、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、ポリオキシエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート、ポリソルベート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項12に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項18】
約20〜80重量%の量の油性媒体、約20〜60重量%の量の界面活性剤、場合によっては約10〜50重量%の量の可溶化共溶媒、および場合によっては約0.5〜12.5重量%の量の抗酸化剤を含む自己乳化系の中に、カンナビノイドの薬理学的に活性な形態を約1〜60重量%の量で含むカンナビノイドの経口剤型であって、前記薬理学的に活性なカンナビノイドが、テトラヒドロカンナビノール、Δ9−テトラヒドロカンナビノール、Δ8−テトラヒドロカンナビノール、Δ8−テトラヒドロカンナビノール−DMH、Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロピル類似体、11−ヒドロキシ−テトラヒドロカンナビノール、11−ノル−9−カルボキシ−テトラヒドロカンナビノール、5’−アジド−Δ8−テトラヒドロカンナビノール、AMG−1、AMG−3、AM411、AM708、AM836、AM855、AM919、AM926、AM938、カンナビジオール、カンナビジオールプロピル類似体、カンナビノール、カンナビクロメン、カンナビクロメンプロピル類似体、カンナビゲロール、CP47497、CP55940、CP55244、CP50556、CT−3、ジメチルヘプチルHHC、HU−210、HU−211、HU−308、WIN55212−2、デスアセチル−L−ナントラドール、デキサナビノール、JWH−051、レボナントラドール、L−759633、ナビロン、O−1184、およびそれらの混合物からなる群から選択され、そして、前記油性媒体が、トリグリセリド、および/または混合グリセリド、および/または中/長鎖遊離脂肪酸からなる群から選択されるが、前記トリグリセリドが、C8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸とから形成され、前記混合グリセリドが、C8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する脂肪酸とから形成され、C8〜C18の炭素原子を有する遊離脂肪酸と少なくとも75%のC8〜C18の炭素原子を有する遊離脂肪酸である、カンナビノイドの経口剤型。
【請求項19】
前記界面活性剤が、ポリグリコライズドグリセリド、ポリオキシエチレングリセリド、ポリエチレングリコール−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、油とアルコールのエステル交換反応生成物、ポリグリセライズド脂肪酸、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノおよびジグリセリド、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、ポリオキシエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート、ポリソルベート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項18に記載のカンナビノイドの経口剤型。
【請求項20】
前記油性媒体が、ルリジサ油、ヤシ油、綿実油、ダイズ油、サフラワー油、ヒマワリ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油、パーム油、ラッカセイ油、ハッカ油、ケシ油、カノーラ油、硬化ダイズ油、硬化植物油、飽和脂肪酸のグリセリルエステル、グリセリルベヘネート、グリセリルジステアレート、グリセリルイソステアレート、グリセリルラウレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノリノレエート、グリセリルパルミテート、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルリシノレエート、グリセリルステアレート、ポリグリセリル10−オレエート、ポリグリセリル3−オレエート、ポリグリセリル4−オレエート、ポリグリセリル10−テトラリノレエート、ベヘン酸、カプリリイック/カプリックグリセリド、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、パルミトステアリン酸、リシノール酸、ステアリン酸、ダイズ脂肪酸、オレイン酸、α−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンE、およびビタミンA、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項18に記載のカンナビノイドの経口剤型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−514890(P2009−514890A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539101(P2008−539101)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/043126
【国際公開番号】WO2007/056242
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508133385)マーティ・ファーマシューティカルズ・インク (1)
【氏名又は名称原語表記】MURTY PHARMACEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】518 Codell Drive, Lexington, KY 40509 U.S.A.
【Fターム(参考)】