説明

テトラフルオロプロペン及び二酸化炭素を含んでなる組成物

開示されるものは、非常に好ましい、そして予期しないほど優れた特性の組合せを保有する熱伝達流体を含む広い範囲の適用において有用な組成物、並びにこれらの流体に基づく熱伝達系及び方法である。好ましい熱伝達流体は、重量基準で約1乃至約40パーセントの二酸化炭素(CO)及び重量基準で約99乃至約60パーセントの、式I:XCF3−z(I)(ここで、XはC又はCの、不飽和の置換された又は置換されていないアルキルラジカルであり、それぞれのRが独立にCl、F、Br、I又はHであり、そしてzが1乃至3である)を有する化合物を含んでなる。式Iの好ましい化合物は、テトラフルオロプロペン、特に1,1,1,3−テトラフルオロプロペン及び/又は1,1,1,3−テトラフルオロプロペンである。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、C3フルオロオレフィン、特にテトラフルオロプロペン及び二酸化炭素(CO)を含んでなる組成物に関する。
【0002】
発明の背景
フルオロカーボン基剤の流体は、冷媒、エアゾール噴射剤、発泡剤、熱伝達媒体、及びガス状誘電体を含むような多くの適用において工業的に広く使用されている。これらに伴う比較的高い地球温暖化係数を含むいくつかのこれらの流体の使用に伴う予想される環境問題のために、ハイドロフルオロカーボン(“HFC”)のような低い又はむしろゼロのオゾン破壊係数を有する流体を使用することが好ましい。従って、クロロフルオロカーボン(“CFC”)又はハイドロクロロフルオロカーボン(“HCFC”)を含有しない流体の使用が好ましい。更にいくつかのHFC流体は、それに伴う比較的高い地球温暖化係数を有することができ、そしてこれは、使用特性において所望する性能を維持する一方、可能な限り低い地球温暖化係数を有するハイドロフルオロカーボン又は他のフッ素化された流体を使用することが好ましい。然しながら、新しい環境的に安全な混合物の同定は、このような特性の多様な組合せを伴う組成物を達成する必要性及び/又は要望によってしばしば複雑である。
【0003】
熱伝達流体に関して、多くの異なった状況において、流体及び冷却又は温められるべき物体間で選択的に熱を伝達することが好ましい。本明細書中で使用される場合、用語“物体”は、固体の物体だけでなく、更にそれらが存在する容器の形状を採る流体物質をも指す。
【0004】
このような熱の伝達を達成するための一つの既知の系は、まず気体相の熱伝達流体を圧縮し、そして次いでこれを、弁、オリフィス、又は他の種類の流量狭窄のようなジュール−トムソン膨張素子を通して膨張させることによって物体の冷却を達成する。いずれものこのようなデバイスは、本明細書中で以下に単純にジュール−トムソン膨張素子と呼ばれるものであり、そしてこのような素子を使用する系を本明細書中で時にジュール−トムソン系と呼ぶ。殆んどのジュール−トムソン系において、単一成分の非理想気体を圧縮し、そして次いで絞り部品又は膨張素子を通して膨張させて、実質的に等エンタルピー冷却を生じさせる。沸点、逆転温度、臨界温度、及び臨界圧力のような使用されるガスの特質は、所望する冷却温度に達するために必要な出発圧力に影響する。このような特質は、単一成分の流体に対して、全て一般的に既知及び/又は受容可能な程度の確実性を持って比較的容易に予想されるが、これは、多成分流体の場合には必然的ではない。
【0005】
特に、しかし多くの他の流体に対して一般的に、熱伝達流体の有効性及び要望性に関する多くの特性又は特質のために、いずれかの特別の多成分流体が、如何に熱伝達流体として機能するものであるかを前もって予測することはしばしば困難である。例えば、Bivensへの米国特許第5,774,052号は、共沸混合物流体の形態のジフルオロエタン(HFC−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)及び少量(即ち、5重量%まで)の二酸化炭素(CO)の組合せを開示し、これが、ある種の適用における冷媒として有益であると記述している。更に特定的に、Bivensの多成分流体は、不燃性であり、そしてその共沸混合物の特質のために、蒸発において比較的わずかな分留を受けることが記述されている。然しながら、出願人は、Bivensの流体が、地球温暖化の観点から潜在的に環境を破壊する比較的高度にフッ素化された化合物から構成されていることを認識している。更に、共沸混合物の特性を持つ流体を得ることは、冷媒として使用する場合、時にこのような流体の費用に有意に加算されることができる。
【0006】
Richardらへの米国特許第5,763,063号は、HFC−32を含む各種の炭化水素及び二酸化炭素の非共沸混合物の組合せを開示し、これは、クロロ−trans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFC−22)に対する代替物質として受容可能であると記述されている流体を形成する。特に、Richardらの特許は、この流体の蒸気圧が、実質的にわずか約83psiaであるHCFC−22に等しいことを教示している。従って、Richardらの流体が、ある種の冷媒の適用において十分に機能することが予想されるが、Bivensの流体に関する上述の同一の種類の適用には不十分であると考えることができる。
【0007】
発明の概要
出願人は、特に熱伝達への適用、装置及び方法に関連した非常に好ましい、そして予期しなかった優れた特性の組合せを保有するが、しかし更に例えば、発泡剤、噴射剤及び殺菌剤のような他の使用に関しても利益を有する組成物を発見した。熱伝達への適用に関して、本発明の組成物は、特に、自動車用空調及びヒートポンプ装置、並びに固定式空調、ヒートポンプ及び冷却装置の冷媒として使用することができる。
【0008】
好ましい態様において、本発明の流体は、化学的安定性、低毒性、不燃性、及び使用中の効率を含むこれまでCFCに伴われてきた特性を保有し、一方同時にこのような組成物の有害なオゾン破壊の潜在性を実質的に減少又は排除する。更に、本発明の好ましい態様は、熱伝達流体、発泡剤、噴射剤、殺菌剤、等として従来使用されてきた多くの組成物に伴う有害な地球温暖化効果をも更に実質的に減少又は排除する組成物を提供する。この困難な特質の組合せを達成することは、特に例えば、低温の空調、冷蔵及びヒートポンプの適用において重要である。
【0009】
従って、本発明は、重量基準で約1乃至約40パーセントの二酸化炭素(CO)及び重量基準で約60乃至約99パーセントの以下の式I:
XCF3−z (I)
を有する化合物を含んでなる好ましい組成物を提供し、式中、Xは、C又はCの不飽和の、置換された或いは置換されていないアルキルラジカルであり、それぞれのRは、独立にCl、F、Br、I又はHであり、そしてzは、1乃至3である。好ましい態様において、式(I)の化合物は、テトラフルオロプロペン、更に好ましくは1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(cis又はtransのいずれか、しかし好ましくはtransHFO−1234ze)、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、及びこれらの組合せからなる群から選択されるテトラフルオロプロペンである。式Iの化合物は、同時係属中の米国特許出願10/694,273中に開示され、これは、本明細書中に参考文献として援用される。特に組成物が熱伝達流体である本発明の好ましい組成物は、約5乃至約30重量パーセントの二酸化炭素(CO)及び約70乃至約95重量パーセントの式Iの化合物、好ましくはHFO−1234ze及び/又はHFO−1234yfを含んでなる。本発明の好ましい流体は、35°Fにおいて少なくとも約30psiaの蒸気圧を有する。流体は、好ましくは更に共沸混合物でもない。
【0010】
好ましい態様の詳細な説明
本発明者らは、CFC及びHCFCのための代替物質に対する継続する必要性を満足することに役立つ組成物を開発した。ある態様によれば、本発明は、CO並びに好ましくはtrans−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(“transHFO−1234ze”)、cis−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(“cisHFO−1234ze”)、HFO−1234yf及びこれらの組合せを含む一つ又はそれより多いテトラフルオロプロペン化合物、を含んでなる組成物を提供する。
【0011】
用語“HFO−1234”は、総てのテトラフルオロプロペンを示すために本明細書中で使用される。テトラフルオロプロペンの中に、HFO−1234yf並びにcis−及びtrans−1,1,1,3−テトラフルオルプロペン(HFO−1234ze)が含まれる。用語HFO−1234zeは、これがcis−又はtrans−の形態のいずれであるかとは関係なく、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを総括的に指すために本明細書中で使用される。用語“cisHFO−1234ze”及び“transHFO−1234ze”は、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンのcis−及びtrans−の形態を、それぞれ記載するために本明細書中で使用される。従って、用語“HFO−1234ze”は、その範囲にcisHFO−1234ze、transHFO−1234ze、並びにこれらの総ての組合せ及び混合物を含む。
【0012】
cisHFO−1234ze及びtransHFO−1234zeの特性は、少なくともいくつかの点において異なるが、これらの化合物のそれぞれが、本明細書中に記載される組成物、適用、方法及び装置のそれぞれに関連して、単独で又はその立体異性体を含む他の化合物といっしょのいずれかでの使用のために適合されることは企図されている。例えば、transHFO−1234zeは、その比較的低い沸点(−19℃)のために、ある種の冷蔵装置における使用のために好ましいことができるが、然しながら+9℃の沸点を持つcisHFO−1234zeも、更に本発明のある種の冷蔵装置において用途を有することは企図されている。従って、用語“HFO−1234ze”及び1,1,1,3−テトラフルオロプロペンが、両方の立体異性体を指し、そしてこの用語の使用が、cis−及びtrans−の形態のそれぞれが、他に示されない限り、記述された目的のために適用され及び/又は有用であることを示すことを意図していることは理解されることである。
【0013】
HFO−1234化合物は、既知の物質であり、そしてケミカルアブストラクトのデータベース中に列挙されている。CFCH=CHのようなフルオロプロペンの各種の飽和及び不飽和のハロゲン含有C3化合物の接触的気相フッ素化による製造は、米国特許第2,889,379号;4,798,818号及び4,465,786号中に記載され、これらのそれぞれは本明細書中に参考文献として援用される。更に本明細書中に参考文献として援用される、EP974,571号も、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を、クロム基剤の触媒と上昇した温度で気相で、或いは液相中でKOH、NaOH、Ca(OH)又はMg(OH)のアルコール性溶液と接触させることによる、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンの製造を開示している。更に、本発明による化合物を製造するための方法は、“Process for Producing Fluoropropenes”の表題の、弁理士ドケット番号(H0003789(26267))を有する係属中の米国特許出願に関連して一般的に記載され、これも更に本明細書中に参考文献として援用される。
【0014】
更に、出願人は、本発明の組成物、そして好ましくはHFO−1234及びCOの組合せが、組成物の少なくとも約50重量%を構成する組成物が、熱伝達組成物(自動車用空調及びヒートポンプ装置、並びに固定式空調、ヒートポンプ及び冷却装置中の冷媒を含む)、発泡剤、噴射剤、殺菌剤等を含む、多くの適用としての、又はそれにおける使用のために利益のあるものにする特性を示すことを認識している。従って、なお他の態様において、本発明は、これら及び他の使用に伴う組成物及び方法を提供する。
【0015】
本発明の組成物、特にHFO−1234yf、HFO−1234ze及びこれらの組合せを含んでなるものは、多くの重要な根拠に対して好都合である特性を保有すると考えられる。例えば、出願人は、少なくとも部分的に数学モデルに基づいて、本発明のフルオロオレフィンが、環境化学において、いくつかの他のハロゲン化された種との比較においてオゾン層破壊に対する無視可能な寄与物質である、実質的な有害な影響を有しないものであると考える。従って本発明の好ましい組成物は、オゾン層破壊に対して実質的に寄与しない利益を有する。好ましい組成物は、更に現在使用されている多くのハイドロフルオロアルカンと比較して地球温暖化に対しても実質的に寄与しない。
【0016】
ある好ましい形態において、本発明の組成物は、約1000より大きくない、更に好ましくは約500より大きくない、そしてなお更に好ましくは約150より大きくない地球温暖化係数(GWP)を有する。ある態様において、本発明の組成物のGWPは、約100より大きくなく、そしてなお更にこのましくは約75より大きくない。本明細書中で使用される場合、“GWP”は、本明細書中に参考文献として援用される“The Scientific Assessment of Ozone Depletion,2002,a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project”中に定義されているように、二酸化炭素のそれに関して、そして100年の時間範囲にわたって測定される。
【0017】
ある好ましい形態において、本発明の組成物は、更に好ましくは0.05より大きくない、更に好ましくは0.02より大きくない、そしてなお更に好ましくは約ゼロのオゾン層破壊係数(ODP)を有する。本明細書中で使用される場合、“ODP”は、本明細書中に参考文献として援用される“The Scientific Assessment of Ozone Depletion,2002,A report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project”中に定義されているとおりである。
【0018】
本発明の組成物中に含有される式Iの化合物、特にHFO−1234の量は、特定の適用によって広く変化することができ、そして痕跡の量より多く、そして100%より少ない化合物を含有する組成物は、本発明の広い範囲内である。好ましい態様において、本発明の組成物は、HFO−1234、好ましくはHFO−1234yf及び/又はHFO−1234zeを、約5重量%乃至約99重量%、そしてなお更に好ましくは約5%乃至約95%の量で含んでなる。多くの更なる化合物を本発明の組成物中に含むことができ、そして総てのこのような化合物の存在は、本発明の広い範囲内である。ある好ましい態様において、本発明の化合物は、HFO−1234ze及び/又はHFO−1234yfに加えて、一つ又はそれより多い以下:
トリクロロフルオロメタン(CFC−11)
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)
ジフルオロメタン(HFC−32)
ペンタフルオロエタン(HFC−125)
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
ジフルオロエタン(HFC−152a)
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)

を含む。
【0019】
上記に記述した成分のいずれも、並びに本発明の組成物中に含むことができるいずれもの付加的成分の相対的な量は、組成物の特定の適用によって、本発明の一般的な広い範囲内で広く変化することができ、そして総てのこのような相対的な量は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0020】
従って、出願人は、本発明のある種の組成物が、多くの適用において多くの利益に対して使用することができることを認識している。例えば、本発明に含まれるものは、熱伝達への適用、フォーム及び発泡剤への適用、噴射剤への適用、噴霧可能な組成物への適用、殺菌剤への適用、等に関する方法及び組成物である。本発明の組成物は、一般的に、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)のようなCFC、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)のようなHCFC、テトラフルオロエタン(HFC−134a)のようなHFC、並びにCFC−12及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の組合せ(CFC−12:HFC−152aの73.8:26.2の質量比の組合せは、R−500として知られる)のようなHFC及びCFCの組合せの、冷媒、エアゾール、及び他の適用における置換物質として有用である。
【0021】
ある好ましい態様によれば、本発明の組成物は、有効な量のHFO−1234及びCOを含んでなり、そして好ましくは本質的にこれらからなる。用語“有効な量”は、本明細書中で使用される場合、他の成分(類)と組合わされた場合、所望する特性、特質及び機能を有する組成物の形成となるそれぞれの成分の量を指す。有効な量を与えるために必要なそれぞれの化合物の量は、当業者によって本明細書中に含有される教示の観点から不当な実験を伴わずに容易に決定することができると考えられる。
【0022】
出願人は、一般的に、本発明の組成物が、一般的に有効であり、そして特に冷媒組成物、発泡剤組成物、相溶性剤、エアゾール、噴射剤、芳香剤、香味製剤、及び溶媒組成物としての用途を示すと考える。
【0023】
熱伝達流体
本発明の熱伝達組成物は、一般的に熱伝達への適用における、即ち、加熱及び/又は冷却媒体として使用するために適合可能である。本発明の組成物が、フルオロオレフィン及びCOに加えて広い範囲の量の化合物及び/又は成分を含むことができることを企図しているが、冷媒組成物を含めた本発明の熱伝達組成物が、式Iのフルオロオレフィン及びCOから本質的になり、そしていくつかの態様において、これらからなることが一般的に好ましい。
【0024】
好ましい熱伝達流体は、HFO−1234及びCOを含んでなり、そしてある好ましい態様において本質的にこれらからなる。ある好ましい態様において、組成物は、本質的にHFO−1234ze及びCOからなり、そして他の好ましい態様において、組成物は、本質的にHFO−1234yf及びCOからなる。本発明によって使用されるハイドロフルオロオレフィンの相対的な量は、好ましくは必要な熱伝達能力、特に冷却能力を有し、そして好ましくは同時に不燃性である熱伝達流体を製造するために選択される。本明細書中で使用される場合、用語、不燃性は、ASTM E−681によって測定される場合、空気中で総ての比率において不燃性である流体を指す。
【0025】
性能及び不燃性の両方が特に重要であるようなある態様において、熱伝達流体が、約1乃至約40重量%のCO及び約60乃至約99重量%の式Iの化合物、好ましくはHFO−1234ze及び/又はHFO−1234yfを含んでなり、そして好ましくはこれらからなることが好ましく、流体が、約5乃至約35重量%のCO及び約65乃至約95重量%のHFO−1234ze及び/又はHFO−1234yfを含んでなることがなお更に好ましい。非常に好ましい態様において、熱伝達流体は、HFO−1234ze及びCOから本質的になり、そしてある態様においてこれらからなる。ある他の非常に好ましい態様において、熱伝達流体は、HFO−1234yf及びCOから本質的になり、そしてある態様においてこれらからなる。
【0026】
本発明の熱伝達流体は、広い範囲の熱伝達への適用における使用のために適合可能であり、そして総てのこのような適用は、本発明の範囲内である。本発明の流体は、低い又は無視可能な地球温暖化効果、及び低いオゾン層破壊係数又はそれがないことを示す、非常に効率のよい不燃性の冷媒の使用を必要とする及び/又はそれから利益を得ることができる適用に関連して特別な利益及び予測できないような利益のある特性を認める。本発明の流体は、冷媒が約−20℃又はそれより低い温度で与えられ、そして比較的高い冷却力を有するもののような、低温冷却への適用に対しても更に利益を与える。好ましい熱伝達流体は、これらが、流体の個々の成分のCOPに対して、及び/又は従来使用されてきた多くの冷媒に対して高い成績係数(COP)を示すことにおいて非常に効率的である。用語、COPは、当業者にとって周知であり、そして冷媒の熱力学的特性から、標準的な冷却サイクル分析技術を使用して推定されるような、特定の操作条件における冷媒の理論的性能に基づいている。例えば、本明細書中に参考文献として援用される、“Fluorocarbons Refrigerants Handbook”,Ch.3,Prentice−Hall,(1988),by R.C.Downingを参照されたい。成績係数、COPは、普遍的に受容された測定値であり、冷媒の蒸発又は凝縮を含む特定の加熱又は冷却サイクルにおける冷媒の相対的熱力学的効率を表すことにおいて特に有用である。COPは、気体を圧縮する圧縮機によって適用されるエネルギーに対する有用な冷却の比に関係し、又はそれの測定値であり、そして従って冷媒のような熱伝達流体の与えられた体積流量に対する熱の量を給送するために与えられた圧縮機の能力を表示する。言い換えれば、特定の圧縮機が与えられた場合、より高いCOPを持つ冷媒は、より多い冷却又は加熱力を放出する。
【0027】
同様に冷媒の冷却能力も更に重要なパラメーターであり、そして冷媒の熱力学的特性から推定することができる。冷媒が、もう一つの冷媒のために設計された装置において使用される場合、二つの冷媒の能力は、同様な性能を得るために、そして置換過程の一部として必要な装置の調節及び/又は変更を最小にするために同様でなければならない。冷却及び空調/ヒートポンプにおいて使用される普通の冷媒の中で、そして本発明の組成物によって置換することができるものは、R−507A、R−404A、R−22、R−407C及びR−410Aである。出願人は、本発明の各種の組成物を、これらの冷媒が使用されている適用において、組成物のわずかな調節により使用することができることを見出した。
【0028】
ある好ましい態様において、本発明の組成物は、例えば、HFC−134aのようなHFC冷媒、又は例えばHCFC−22のようなHCFC冷媒で使用するために本来設計された冷却系において使用される。本発明の好ましい組成物は、慣用的なHFC冷媒のそれのように低い、又はそれより低いGWP、及びこのような冷媒と実質的に同様な、又は実質的に匹敵する、そして好ましくはそのように高い、或いはそれより高い能力を含む、HFC−134a及び他のHFC冷媒の多くの好ましい特質を示す傾向がある。特に、出願人は、本発明の好ましい組成物が、好ましくは約1000より小さい、更に好ましくは約500より小さい、そしてなお更に好ましくは約150より小さい、比較的低い地球温暖化係数(“GWP”)を示す傾向があることを認識している。ある態様は、R−404A又はHFC−32、HFC−125及びHFC−134aの組合せ(HFC−32:HFC−125:HFC−134aの概略23:25:52の重量比の組合せは、R−407Cと呼ばれる)のような、多くの適用における冷媒として使用するためのある種の慣用的なHFCに対する代替物質又は置換物質として特に好ましい。本発明の熱伝達組成物は、HFC−32、HFC−125、HFC−134a、HFC−143a、HFC−152a、HFC−22、R−12及びR−500に対する代替物質又は置換物質として特に好ましい。
【0029】
ある他の好ましい態様において、本発明の組成物は、一般的に熱伝達系において、そして特にCFC冷媒で使用するために本来設計された冷却系において使用される。本明細書中で使用される場合、用語“冷却系”は、冷却を得るために冷媒を使用するいずれもの系又は装置、或いはこのような系又は装置のいずれもの一部又は部分を一般的に指す。このような冷却系は、例えば、空調機、電気冷蔵庫、チラー(遠心圧縮機を使用するチラーを含む)、輸送用冷蔵装置、商業用冷蔵装置等を含む。
【0030】
ある好ましい態様において、本発明の組成物、特に、一般的に熱伝達流体の形態の組成物、そして特に冷媒は、更に潤滑剤を含んでなる。各種の慣用的な及び非慣用的な潤滑剤のいずれも本発明の組成物中に使用することができる。潤滑剤に対する重要な要求事項は、冷媒系において使用する場合、圧縮機が潤滑されるように系の圧縮機に戻される、十分な潤滑剤がなければならない。従って、いずれもの与えられた系のための潤滑剤の適性は、一部冷媒/潤滑剤の特質によって、そして一部使用されることが意図される系の特質によって決定される。一般的にハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒、クロロフルオロカーボン冷媒及びハイドロクロロフルオロカーボン冷媒を使用する、又は使用するために設計された冷却機において普通に使用される適した潤滑剤の例は、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン(時にPABと呼ばれる)、ポリオールエステル(時にPOEと呼ばれる)、ポリアルキレングリコール(時にPAGと呼ばれる)、ポリアルキレングリコールエステル(時にPAGエステルと呼ばれる)、ポリビニルエーテル(時にPVEと呼ばれる)、ポリ(アルファ−オレフィン)(時にPAOと呼ばれる)、及びハロカーボン油、特にポリ(クロロトリフルオロエチレン)等を含む。パラフィン系油又はナフテン系油を含んでなる鉱油は、商業的に入手可能である。商業的に入手可能な鉱油は、WitcoからのWitco LP250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015を含む。商業的に入手可能なポリアルキルベンゼン潤滑剤は、Zerol 150(登録商標)を含む。商業的に入手可能なエステルは、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能であるジペラルゴン酸ネオペンチルグリコールを含む。商業的に入手可能なPAGは、Fordから入手可能なMotorcraft PAG Refrigerant Compressor Oilを含み、同様な製品は、Dowから入手可能である。商業的に入手可能なPAOは、CPI EngineeringからのCP−4600を含む。商業的に入手可能なPVEは、Idemitsu Kosanから入手可能である。商業的に入手可能なPAGエステルは、Chryslerから入手可能である。他の有用なエステルは、リン酸エステル、二塩基性酸のエステル、及びフルオロエステルを含む。
【0031】
HFCを使用する、又は使用するために設計された冷却系において、特に圧縮冷却、空調(特に自動車用空調)及びヒートポンプを含んでなる系のためにPAG、PAGエステル、PVE、及びPOEを潤滑剤として使用することが一般的に好ましい。CFC又はHCFCを使用する、又は使用するために設計された冷却系において、鉱油又はPABを潤滑剤として使用することが一般的に好ましい。ある好ましい態様において、本発明の潤滑剤は、炭素、水素及び酸素を含んでなり、使用される量との組合せで、圧縮機への潤滑剤の十分な戻りを確実にするために、冷媒との有効な溶解性及び/又は混和性を与える酸素と炭素の比を持つ有機化合物である。この溶解性又は混和性は、好ましくは約−30℃乃至70℃の少なくとも一つの温度において存在する。
【0032】
PAG及びPAGエステルは、これらが、現時点で移動式空調装置の本来の機器のような特別の適用において使用されているために、ある態様において非常に好ましい。ポリオールエステルは、これらが、現時点で住居用、商業用、及び工業用空調及び冷蔵のような特別な非移動式適用において使用されているために、他のある種の態様において非常に好ましい。もちろん、異なった種類の潤滑剤の異なった混合物を使用することができる。
【0033】
多くの既存の冷却系は、現時点で既存の冷媒との関連で使用するために適合され、そして本発明の組成物は、多くのこのような系における使用のために、系の変更を伴って又は伴わずのいずれかで適合可能であると信じられる。多くの適用において、本発明の組成物は、現時点である種の冷媒に基づいた、例えば小さい冷却能力を必要とし、そしてこれによって比較的小さい圧縮機の排気量に対する必要性が規定される、より小さい系における置換物質としての利益を提供することができる。更に、例えば効率の理由から、より高い能力の冷媒を置換するために、本発明のより低い能力の冷媒組成物を使用することが好ましい態様において、本発明の組成物のこのような態様は、潜在的利益を提供する。従って、ある態様において、本発明の組成物、特に本発明の組成物を実質的な比率で含んでなる、そしていくつかの態様において、本質的にこれからなる組成物を:HFC−134a;CFC−12;HCFC−22;HFC−152a;ペンタフルオロエタン(HFC−125)、トリフルオロエタン(HFC−143a)及びテトラフルオロエタン(HFC−134a)の組合せ(HFC−125:HFC−143a:HFC−134aの概略44:52:4の重量比の組合せは、R−404Aと呼ばれる);HFC−32、HFC−125及びHFC−134aの組合せ(HFC−32:HFC−125:HFC−134aの概略23:25:52の重量比の組合せは、R−407Cと呼ばれる);フッ化メチレン(HFC−32)及びペンタフルオロエタン(HFC−125)の組合せ(HFC−32:HFC−125の概略50:50の重量比の組合せは、R−410A、そしてAZ−20とも呼ばれる);CFC−12及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の組合せ(CFC−12:HFC−152aの73.8:26.2の重量比の組合せは、R−500と呼ばれる);並びにHFC−125及びHFC−143aの組合せ(HFC−125:HFC−143aの概略50:50の重量比の組合せは、R−507Aと呼ばれる)のような既存の冷媒の置換物質として使用することが好ましい。ある態様において、本発明の組成物を、HFC−32:HFC−125:HFC−134aの、R−407Aと呼ばれる概略20:40:40の重量比の、又はR−407Dと呼ばれる概略15:15:70の重量比の組合せから形成された冷媒の置換に関連して使用することも更に有益であることができる。本発明の組成物は、更にエアゾール、発泡剤等のような他の適用における上記に記述した組成物に対する置換物質としても適していると信じられる。
【0034】
ある適用において、本発明の冷媒は、より大きい排気量の圧縮機の有益な使用を潜在的に可能にし、これによってHFC−134aのような他の冷媒より良好なエネルギー効率となる。従って、本発明の冷媒組成物は、冷媒の置換の適用に対してエネルギー基準で競合的利益を達成する可能性を提供する。
【0035】
本発明の組成物が、更に商業的空調及び冷蔵装置に関連して典型的に使用されるチラーにおいても利益を有する(本来の装置で、又はCFC−12、HCFC−22、HFC−134a、HFC−152a、R−500及びR−507Aのような冷媒の置換物質として使用される場合のいずれか)ことは企図している。このような態様のあるものにおいて、約0.5乃至約30%、そしてある場合には、更に好ましくは0.5%乃至約15重量%、そしてなお更に好ましくは重量基準で約0.5乃至約10%の補助的燃焼性抑制剤を本発明の組成物中に含むことが好ましい。これに関連して、本発明の組成物のCO及びHFO−1234成分が、ある態様において組成物中の他の成分に対して燃焼性抑制剤として作用することができることを注記する。例えば、COは、HFO−1234zeの燃焼性を抑制するために機能すると信じられる。更に燃焼性の他の成分が組成物中に含まれた場合、HFO1234−ze及びCOは、それぞれこのような他の成分の燃焼性を抑制するために機能することができる。従って、組成物中の燃焼性抑制剤の機能を有するHFO1234−ze及びCO以外の成分は、本明細書中で時に補助的燃焼性抑制剤と呼ばれるものである。
【0036】
ある態様において、例えばHFC、HCFC及びCFCを含み、いずれもの、そして総てのその異性体を含む、一つ又はそれより多い以下の共冷媒(co-refrigerant):
トリクロロフルオロメタン(CFC−11)
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)
ジフルオロメタン(HFC−32)
ペンタフルオロエタン(HFC−125)
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
ジフルオロエタン(HFC−152a)
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)

を、本発明の熱伝達組成物中に含むことができる。
【0037】
上記に記述した成分のいずれも、並びに本発明の組成物中に含むことができるいずれもの付加的成分の相対的な量は、組成物の具体的な適用による量で組込むことができ、そして総てのこのような相対的な量は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0038】
従って、本発明の方法、系及び組成物は、自動車用空調系及び装置、商業的冷蔵系及び装置、チラー(遠心圧縮機を使用する系を含む)、住居用冷蔵庫及び冷凍庫、一般的空調系、ヒートポンプ、等に関連する使用のために適合可能である。
【0039】
先に記述したように、本明細書中で具体的に記述しないが、しかし当業者にとって既知のいずれもの付加的成分(安定剤、不動態化剤、等)は、組成物に加えて、必要に応じて特性を目的に合わせることができる。
【0040】
熱伝達の方法及び装置
本発明の方法の側面は、本発明による熱伝達流体を使用して、物体に、又はそれから熱を伝達することを含んでなる。顕熱の伝達及び/又は蒸発又は凝縮による熱の伝達は、本発明の範囲内である。当業者は、本明細書中に含有される教示の観点から、多くの既知の方法を、本発明による使用のために適合することができることを認識するものであり、そして総てのこのような方法は、本発明の広い範囲内である。例えば、気体圧縮サイクルは、冷却及び/又は空調のために普通に使用される方法である。その最も簡単な形態において、気体圧縮サイクルは、液体の形態の本発明の熱伝達流体を用意し、そして冷媒を、一般的に比較的低い圧力における熱の吸収により液相から気相に、そして次いで一般的に上昇された圧力における熱の除去により気相から液相に変化することを含む。このような態様において、本発明の冷媒は、冷却される物体と直接又は間接的に接触する蒸発器のような一つ又はそれより多い容器中で蒸発される。蒸発器中の圧力は、熱伝達流体の蒸発が、冷却される物体の温度より低い温度で行われるようなものである。従って、熱は、物体から冷媒に流れ、そして冷媒の蒸発を起こす。次いで気体の形態の熱伝達流体は、好ましくは圧縮機又は同様なものによって除去され、これは、蒸発器中の比較的低い圧力を維持し、同時に気体を比較的高い圧力に圧縮する。気体の温度は、更に一般的に圧縮機による機械的エネルギーの付加の結果として増加する。次いで高圧の気体は、一つ又はそれより多い容器、好ましくは凝縮器を通過し、ここで低温の媒体と熱交換して、顕熱及び潜熱が除去され、結果としての凝縮を生じる。所望により更に冷却された液体の冷媒は、次いで膨張弁を通過し、そして再び循環される準備ができる。
【0041】
一つの態様において、本発明は、一段又は多段であることができる遠心チラー(centrifugal chiller)で流体を圧縮することを含んでなる冷却される物体から本発明の熱伝達流体へ熱を伝達するための方法を提供する。本明細書中で使用される場合、用語“遠心チラー”は、本発明の熱伝達流体の圧力の増加を起こす一つ又はそれより多い機器の部分を指す。流体又は物体を加熱するためのある好ましい方法は、本発明の共沸混合物様組成物を含んでなる冷媒組成物を、加熱される流体又は物体の近辺で凝縮させ、そしてその後前記冷媒組成物を蒸発させることを含んでなる。本明細書中の開示に照らして、当業者は、不当な実験を行わずに本発明によって容易に物品を加熱及び冷却することが可能となるものである。
【0042】
出願人は、本発明の系において、多くの重要な冷却系の性能パラメーターが、R−134a、HCFC−22、R−407C、R−410A及びこれらの組合せのような冷媒に対するパラメーターと比較的近似していることを見出している。多くの既存の冷却系がこれらの冷媒、特にR−134a又はこれらと同様な特性を持つ他の冷媒に対して設計されているために、当業者は、R−134a、HCFC−22、R−407C、R−410A又は同様な冷媒に対する置換物質として、系に対する比較的最小の変更を伴って使用することができる低いGWP及び/又は低いオゾン層破壊性の冷媒の実質的な利益を認識するものである。ある態様において、本発明が、既存の系の冷媒を、本発明の組成物と、系の実質的な変更を伴わずに置換することを含んでなる改造方法を提供することは企図している。ある好ましい態様において、置換工程は、系の実質的な再設計が必要なく、そして本発明の冷媒を受入れるために、主要な項目の機器を置換える必要がないという意味において、ドロップイン(drop-in)置換である。ある好ましい態様において、この方法は、系の能力が、置換前の系の能力の少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約85%、そしてなお更に好ましくは少なくとも約90%であるドロップイン置換を含んでなる。ある好ましい態様において、この方法は、系の吸入圧力及び/又は吐出圧力、そしてなお更に好ましくは両方が、置換前の系の能力の少なくとも約70%、更に好ましくは少なくとも約90%、そしてなお更に好ましくは少なくとも約95%であるドロップイン置換を含んでなる。ある好ましい態様において、この方法は、系の質量流量が、置換前の系の能力の少なくとも約80%、そしてなお更に好ましくは少なくとも90%であるドロップイン置換を含んでなる。
【0043】
ある好ましい態様において、他の流体を直接又は間接的のいずれかで、或いは物体を直接又は間接的に冷却することを含む冷却するための方法は、本発明の冷媒組成物を凝縮させ、そしてその後前記冷媒組成物を冷却される流体又は物体の近辺で蒸発させることを含んでなる。本明細書中で使用される場合、用語“物体”は、無生命の物体だけでなく、更に一般的に動物の組織、そして特にヒトの組織を含む生きた組織を指すことを意図する。例えば、本発明のある側面は、鎮痛技術、予備麻酔として、又は治療される身体の温度を減少することを含む療法の一部としてのような一つ又はそれより多い治療的目的のための本発明の組成物のヒトの組織への適用を含む。ある態様において、身体への適用は、好ましくは一方向放出弁及び/又はノズルを有する加圧容器中の、圧力下の液体の形態の本発明の組成物を用意し、そして液体を加圧容器から噴霧又は他の方法によって放出し、組成物を身体に適用することを含んでなる。液体が噴霧された表面から蒸発するときに、表面は冷却される。
【0044】
本発明は、更に物体又は物体の非常に小さい部分を非常に低い温度に冷却するための方法、系及び装置も提供する。その方法は、時に本明細書中で便宜上の目的で、しかし制約するためではなく、マイクロ冷凍と呼ばれる。本発明のマイクロ冷凍法によって冷却される物体は、無生命の物質(例えば、電子部品)だけでなく、更に生命のある物質(生物学的物質)を含むことができる。ある態様において、本発明は、非常に小さい、又は顕微鏡的物体でさえ周囲の物体の温度に実質的に影響せずに、非常に低い温度に選択的に冷却することを提供する。時に本明細書中で“選択的マイクロ冷凍”と呼ばれるこのような方法は、例えば、回路板上の小型の部品に、隣接する部品を実質的に冷却することなく、冷却を適用することが好ましいことであることができる、電子工学のようないくつかの分野で好都合である。このような方法は、更に麻酔目的、鎮痛目的、治療目的(例えば冷凍手術)を含む医学技術の遂行において、好ましくは隣接する組織を実質的に冷却することなく、生物学的組織の小型の分離した部分を、非常に低い温度に冷却することが好ましいことであることができる医学の分野においても利益を提供する。
【0045】
本発明の冷凍手術法は、制約されるものではないが、医学(産婦人科、皮膚科、脳神経外科及び泌尿器科のような)、歯科、及び獣医学的方法を含む。不幸にも、現時点で既知の選択的マイクロ冷凍のための装置及び方法は、このような分野におけるその使用を困難又は不可能にするいくつかの制約を有する。具体的には、既知の装置は、内視鏡的及び経皮的冷凍手術におけるその広い使用を可能にする十分な精度及び柔軟性を、常には有しない。
【0046】
本発明の方法及び装置の一つの主要な利益は、比較的簡単な機器を必要とする及び/又は中程度に上昇した圧力のみを必要とする装置及び方法により比較的低温の冷却を与える能力である。対照的に、典型的な従来の技術の冷凍手術法は、冷却剤流体として液体窒素又は亜酸化窒素を使用していた。液体窒素は、通常破壊される組織上に噴霧するか、又はこれは、組織に適用されるプローブを冷却するために循環されるかのいずれかである。液体窒素は、概略77Kの極めて低い温度、及び高い冷却能力を有し、これを、この目的のために非常に好ましいものにする。然しながら、液体窒素は、典型的には使用中に蒸発し、そして大気に脱出し、保存タンクの継続した入換えを必要とする。更に、液体が非常に冷たいために、この適用のために使用されるプローブ及び他の機器は、周囲の組織を保護するために真空ジャケット又は他の種類の断熱を必要とする。これは、プローブを比較的複雑な、嵩張った、そして硬直した、そして従って内視鏡的又は血管内的使用に対して不適当なものにする。比較的嵩張った供給ホース及び総ての関連する構成要素の漸進的冷却に対する必要性は、液体窒素装置を医師にとっても同様に快適ではないものとし、そしてこれらは、好ましくない組織の損傷を起こす。更に、冷凍手術に使用される亜酸化窒素装置は、約190K乃至210Kより低くない実際的冷却温度に達するために、ガスを、700乃至800psiaに加圧する。本発明の好ましい装置及び方法、特にレーザー、超伝導体及び電子部品の製造、並びに冷凍手術において使用される冷却装置において、装置及び方法は、本発明の熱伝達流体を使用して有効に、そして高い程度の効率を伴って操作され、そして流体の降下圧力(let-down pressure)は、約420psiaより小さい。
【0047】
噴射剤及びエアゾール組成物
もう一つの態様において、本発明の組成物は、単独で、又は既知の噴射剤との組合せのいずれかで、噴霧可能な組成物の噴射剤として使用することができる。噴射剤組成物は、本発明の組成物を含んでなり、更に好ましくは本質的に本発明の組成物からなり、そしてなお更に好ましくは本発明の組成物からなる。不活性成分、溶媒、及び他の物質といっしょに噴霧される活性成分も、更に噴霧可能な混合物中に存在することができる。好ましくは、噴霧可能な組成物は、エアゾールである。噴霧される適した活性物質は、制約されるものではないが、デオドラント、香水、ヘアスプレー、クレンザー、及びポリッシング剤のような化粧品物質、並びに抗喘息剤、及び好ましくは吸入されることを意図したいずれもの他の製剤又は薬剤を含むいずれもの他の医薬等のような医薬物質及び/又は生物学的に活性な物質を含む。
【0048】
製剤又は他の治療剤は、好ましくは組成物中に治療的な量で、残部の実質的な部分の本発明の式Iの化合物、好ましくはHFO−1234、そしてなお更に好ましくはHFO−1234yf及び/又はHFO−1234zeを含んでなる組成物を伴って存在する。
【0049】
工業的、消費者的又は医薬的使用のためのエアゾール製品は、典型的には一つ若しくはそれより多い活性成分、不活性成分又は溶媒と共に、一つ又はそれより多い噴射剤を含有する。噴射剤は、製品をエアゾール化された形態で排出する力を与える。いくつかのエアゾール製品は、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素及び更に空気のような圧縮されたガスで噴射されるが、殆んどの商業的エアゾールは、液化ガス噴射剤を使用する。殆んどの普通に使用される液化ガス噴射剤は、ブタン、イソブタン、及びプロパンのような炭化水素である。ジメチルエーテル及びHFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)も更に単独で又は炭化水素噴射剤との配合物中のいずれかで使用される。不幸にも、総てのこれらの液化ガス噴射剤は、非常に可燃性であり、そしてエアゾール製剤へのこれらの組込みは、しばしば可燃性エアゾール製品となるものである。
【0050】
出願人は、それと共にエアゾール製品を処方する不燃性の液化ガス噴射剤に対する継続する必要性を認識することとなった。本発明は、本発明の組成物、特に、そして好ましくはCO及びHFO−1234、そしてなお更に好ましくはHFO−1234yf及び/又はHFO−1234zeを含んでなる、例えば噴霧清浄剤、潤滑剤、等を含むある種の工業用エアゾール製品、及び例えば肺又は粘膜に薬物を放出するものを含む医薬用エアゾールにおける使用のための組成物を提供する。この例は、喘息及び他の慢性閉塞性肺疾病の治療、及び到達可能な粘膜への又は鼻腔的な薬剤の放出のための定量噴霧式吸入器(MDI)を含む。従って本発明は、薬剤又は他の治療的成分を含有する本発明の組成物を、治療を必要とする生物体に適用することを含んでなる、生物体(ヒト又は動物のような)の不快、疾病及び同様な健康に関連する問題を治療するための方法を含む。ある好ましい態様において、本発明の組成物を適用する段階は、本発明の組成物を含有するMDIを用意し(例えば、組成物をMDIに導入する)、そして次いで本発明の組成物をMDIから放出することを含んでなる。
【0051】
本発明の組成物、特にCO及びHFO−1234(好ましくはHFO−1234yf、HFO−1234ze及びこれらの組合せ)を含んでなる、又は本質的にこれらからなる組成物は、実質的に地球温暖化に寄与しない不燃性の液化ガス噴射剤及びエアゾールを提供することが可能である。本発明の組成物は、接点清浄剤、除塵剤、潤滑剤噴霧器等のような各種の工業用エアゾール及び個人用製品、家庭用製品及び自動車用製品のような消費者用エアゾール又は他の噴霧可能な組成物を処方するために使用することができる。本発明の組成物は、定量噴霧吸入器のような医薬的エアゾールのための噴射剤組成物の重要な成分として使用するために特に好ましい。多くの適用における本発明の医薬的エアゾール及び/又は噴射剤及び/又は噴霧可能な組成物は、CO及び式(I)又は(II)の化合物(好ましくはHFO−1234)に加えて、ベータアゴニスト、コルチコステロイド又は他の薬剤のような薬剤、並びに所望により、界面活性剤、溶媒、他の噴射剤、香料及び他の賦形剤のような他の成分を含む。本発明の組成物は、これらの適用において従来使用された多くの組成物とは異なり、良好な環境的特性を有し、そして地球温暖化又はオゾン層破壊に対する潜在的寄与物質ではないと考えられる。従って、本発明の組成物は、ある好ましい態様において、先に記載したように、非常に低い地球温暖化係数及び/又は低いオゾン層破壊を有する、実質的に不燃性の液化ガス噴射剤を提供する。
【0052】
発泡剤、フォーム、発泡性組成物及び発泡方法
本発明のなおもう一つの態様は、本発明の組成物を含んでなる発泡剤に関する。一つの態様において、発泡剤は、本発明の組成物を含んでなり、そして好ましくは本質的にこれからなる。一般的に、発泡剤は、本発明の組成物を広い範囲の量で含むことができる。然しながら、発泡剤が、式Iの化合物及びCOを、発泡剤の少なくとも約5重量%、そしてなお更に好ましくは少なくとも約15重量%のこれらの成分がいっしょになった量で構成されることが一般的に好ましい。ある好ましい態様において、式Iの化合物及びCOはいっしょに、発泡剤の少なくとも約50重量%を構成し、そしてある態様において、発泡剤は、本質的に式Iの化合物及びCOからなる。
【0053】
ある好ましい態様において、発泡剤は、式Iの化合物及びCOに加えて、一つ又はそれより多い補助発泡剤、充填剤、蒸気圧改良剤、燃焼抑制剤、安定剤及び同様なアジュバントを含む。
【0054】
他の態様において、本発明は、発泡性組成物を提供する。本発明の発泡性組成物は、一般的に気泡構造を有するフォームを形成することが可能な一つ又はそれより多い成分、及び本発明による発泡剤を一般的に含む。ある態様において、一つ又はそれより多い成分は、フォーム及び/又は発泡性組成物を形成することが可能な、熱硬化性組成物を含んでなる。熱硬化性組成物の例は、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム組成物、及び更にフェノール系フォーム組成物を含む。このようなフォームの態様において、一つ又はそれより多い本発明の組成物は、組成物が、好ましくは反応及び発泡することが可能な一つ又はそれより多い更なる成分を含む発泡性組成物中に発泡剤として、或いは一つ又はそれより多い発泡性組成物の一部を含有するプレミックスの一部として含まれ、これは、好ましくは当技術において公知であるように、適当な条件下で反応及び/又は発泡して、フォーム又は気泡構造を形成することが可能な一つ又はそれより多い成分を含む。
【0055】
本明細書中に参考文献として援用される、“Polyurethanes Chemistry and Technology”,Volume I and II,Saunders and Frisch,1962,John Wiley and Sons,New York,NY中に記載されているもののような、当技術において公知の方法のいずれもを、本発明のフォームの態様による使用のために使用、又は適合することができる。
【0056】
なお他の態様において、本発明は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレンテレフタレート(PET)フォーム、好ましくは低密度フォームのような熱可塑性又はポリオレフィンフォームを含んでなる発泡性組成物を提供する。即ち、ある好ましい態様において、一つ又はそれより多い成分は、熱可塑性物質、特に熱可塑性ポリマー及び/又は樹脂を含んでなる。熱可塑性フォーム成分の他の例は、含む。
【0057】
本発明は、更にgo、及びそれから形成されたフォーム、好ましくは低密度フォームを提供する。ある態様において、熱可塑性発泡性組成物は、押出し可能な組成物である。
【0058】
本発明の発泡剤が形成され及び/又は発泡性組成物に加えられる順序及び方法が、本発明の操作性に一般的に影響しないことは、特に本明細書中に含有される開示の観点から、当業者によって認識されるものである。例えば、押出し可能なフォームの場合、発泡剤の各種の成分、そして本発明の組成物の成分でさえ、押出し機器への導入に先立って混合されない、或いは成分が押出し機器の同じ位置にさえ加えられないことが可能である。従って、ある態様において、成分が押出し機中でいっしょになる及び/又はこの方法で更に有効に操作されるものであるという期待を伴って、発泡剤の一つ又はそれより多い成分を、発泡剤の一つ又はそれより多い他の成分の添加の位置の上流である、押出し機の第1の位置に導入することが好ましいことであることができる。然しながら、ある態様において、発泡剤の二つ又はそれより多い成分が前もって混合され、そして発泡性組成物中に直接又はプレミックスの一部としてのいずれかでいっしょに導入され、これは、次いで更に発泡性組成物の他の部分に加えられる。
【0059】
本発明は、更に本発明の組成物を、好ましくは発泡剤の一部として含有するポリマーフォーム処方から調製されるフォーム、そして好ましくは独立気泡フォームにも関する。
【0060】
本発明の組成物の他の使用は、溶媒、例えば超臨界又は高圧溶媒、析出剤として、芳香製剤のための担体又は放出系の一部として、及び植物性物質からを含む香水の香水製剤抽出用溶媒、洗浄剤、等の使用を含む。当業者は、本発明の組成物を、このような適用に使用するために不当な実験を行わずに、容易に適合させることが可能であるものである。
【0061】
実施例
本発明は、例示であることを意図するが、しかし如何なる方法でも制約するものではない、以下の実施例において更に説明される。
【0062】
実施例1
Trans−HFO−1234ze及びCOの各種の混合物の泡立ち点圧(Px)及び露点圧(Py)を、32°F(図1)及び100°F(図2)におけるCOのモル分率(組成)の関数として以下に与える。混合物の組成のいずれもに対するこれらの圧力が、純粋の成分のそれ間の中間であり、そして純粋な成分のそれらの上又は下のいずれでもないという事実は、これらの組成物が、非共沸混合物であることを示している。
【0063】
比較実施例1
この実施例は、本発明のある種の好ましい組成物からなる熱伝達流体の性能特性を、R−507A及びR−404Aのそれと比較して示す。その二つの冷媒は、低温及び商業的冷却において普通に使用される。
【0064】
試験条件は、以下のとおりである:
平均蒸発器温度 −30°F
平均凝縮器温度 100°F
圧縮機排出量 10ft/分
結果を図3に示す。この試験の条件下で、良好な能力の合致が、R−404A及びR−507A(AZ−50としても知られる)との比較において本発明の好ましい組成物によって、8乃至14重量%のCO(92乃至86重量%のtransHFO−1234ze)の組成物において得られることが観察される。
【0065】
比較実施例2
この実施例は、本発明の好ましい組成物からなる熱伝達流体の性能特性を、R−410A(AZ−20としても知られる)、R−407C及びR−22のそれと比較して示す。その三つの冷媒は、空調、ヒートポンプ及びチラーにおいて普通に使用される。試験条件は、以下のとおりである:
平均蒸発器温度 35°F
平均凝縮器温度 110°F
圧縮機排出量 10ft/分
結果を図4に示す。この試験の条件下で、良好な能力の合致が、本発明のある種の好ましい組成物、即ち8乃至16重量%のCO(92乃至84重量%のHFO−1234ze)との比較において、R−22及びR−407Cで得られ、そして良好な能力の合致が、本発明のある種の好ましい組成物、即ち20乃至35重量%のCO(80乃至65重量%のtransHFO−1234ze)との比較において、R−410A(AZ−20としても知られる)で得られることが観察される。
【0066】
本明細書中で先に記載したような本発明の多くの改変及び変種が、その思想及び範囲から逸脱することなく行うことができることは明白である。具体的な態様は、例のみのために与えられ、そして本発明は、特許請求の範囲の条項によってのみ制約される。
【0067】
実施例2
Trans−HFO−1234yf及びCOの各種の混合物の泡立ち点圧(Px)及び露点圧(Py)を、32°F(図1)及び100°F(図2)におけるCOのモル分率(組成)の関数として以下に与える。混合物の組成のいずれもに対するこれらの圧力が、純粋の成分のそれら間の中間であり、そして純粋な成分のそれらの上又は下のいずれでもないという事実は、これらの組成物が、非共沸混合物であることを示している。
【0068】
比較実施例1
この実施例は、本発明のある種の好ましい組成物からなる熱伝達流体の性能特性を、R−507A及びR−404Aのそれらと比較して示す。その二つの冷媒は、低温及び商業的冷却において普通に使用される。
【0069】
試験条件は、以下のとおりである:
平均蒸発器温度 −30°F
平均凝縮器温度 100°F
圧縮機排出量 10ft/分
結果を図3に示す。この試験の条件下で、良好な能力の合致が、R−404A及びR−507A(AZ−50としても知られる)との比較において本発明の好ましい組成物によって、5乃至12重量%のCO(95乃至88重量%のHFO−1234yf)の組成物において得られることが観察される。
【0070】
比較実施例2
この実施例は、本発明の好ましい組成物からなる熱伝達流体の性能特性を、R−410A(AZ−20としても知られる)、R−407C及びR−22のそれと比較して示す。その三つの冷媒は、空調、ヒートポンプ及びチラーにおいて普通に使用される。
【0071】
試験条件は、以下のとおりである:
平均蒸発器温度 35°F
平均凝縮器温度 110°F
圧縮機排出量 10ft/分
結果を図4に例示する。この試験の条件下で、良好な能力の合致が、本発明のある種の好ましい組成物、即ち5乃至10重量%のCO(95乃至90重量%のHFO−1234yf)との比較において、R−22及びR−407Cで得られ、そして良好な能力の合致が、本発明のある種の好ましい組成物、即ち15乃至25重量%のCO(85乃至75重量%のHFO−1234yf)との比較において、R−410A(AZ−20としても知られる)で得られることが観察される。
【0072】
本明細書中で先に記載したような本発明の多くの改変及び変種が、その思想及び範囲から逸脱することなく行うことができることは明白である。具体的な態様は、例のみのために与えられ、そして本発明は、特許請求の範囲の条項によってのみ制約される。

【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、transHFO−1234ze及びCOからなる本発明の組成物のある態様の約32°Fにおける露点及び泡立ち点のグラフ的表示である。
【図2】図2は、transHFO−1234ze及びCOからなる本発明の組成物のある態様の、約100°Fにおける露点及び泡立ち点のグラフ的表示である。
【図3】図3は、transHFO−1234ze及びCOからなる本発明の組成物のある態様の、従来の組成物と比較した性能を示す試験結果のグラフ的表示である。
【図4】図4は、transHFO−1234ze及びCOからなる本発明の組成物のある態様の、従来の組成物と比較した性能を示す試験結果のグラフ的表示である。
【図5】図5は、HFO−1234yf及びCOからなる本発明の組成物のある態様の、約32°Fにおける露点及び泡立ち点のグラフ的表示である。
【図6】図6は、HFO−1234yf及びCOからなる本発明の組成物のある態様の、約100°Fにおける露点及び泡立ち点のグラフ的表示である。
【図7】図7は、HFO−1234yf及びCOからなる本発明の組成物のある態様の、従来の組成物と比較した性能を示す試験結果のグラフ的表示である。
【図8】図8は、HFO−1234yf及びCOからなる本発明の組成物のある態様の、従来の組成物と比較した性能を示す試験結果のグラフ的表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1乃至約40重量パーセントの二酸化炭素(CO)及び約60乃至約99重量パーセントの一つ又はそれより多い、以下の式I:
XCF3−z (I)
[式中:
Xは、C2又はC3の不飽和の置換された或いは置換されていないアルキルラジカルであり、
それぞれのRは、Cl、F、Br、I又はHであり、そして
zは、1乃至3である]
の化合物を含んでなる組成物。
【請求項2】
前記一つ又はそれより多い式Iの化合物が、1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234)を含んでなり、そしてここにおいて前記組成物が、35°Fにおいて少なくとも約30psiaの蒸気圧を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記一つ又はそれより多い式Iの化合物が、1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記一つ又はそれより多い式Iの化合物が、trans−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(transHFO−1234ze)を含んでなり、そしてここにおいて前記組成物が、35°Fにおいて少なくとも約30psiaの蒸気圧を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記COが、少なくとも約5重量パーセントの量で存在し、そして前記trans−1,1,1,3−テトラフルオロプロペンが、約95重量パーセントより多くない量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記一つ又はそれより多い式Iの化合物が、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含んでなり、そしてここにおいて前記組成物が、35°Fにおいて少なくとも約30psiaの蒸気圧を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記COが、少なくとも約3重量パーセントの量で存在し、そして前記trans−1,1,1,2−テトラフルオロプロペンが、約97重量パーセントより多くない量で存在する、請求項6に記載の流体。
【請求項8】
前記組成物が、不燃性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
そして更に補助的潤滑剤、相溶化剤、界面活性剤、補助的燃焼性抑制剤、可溶化剤、分散剤、気泡安定剤、化粧品、研磨剤、薬剤、清浄剤、難燃剤、着色剤、化学的殺菌剤、安定剤、ポリオール、ポリオールプレミックス成分、及び二つ又はそれより多いこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも一つのアジュバントを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物を含んでなり、そして更に少なくとも一つの潤滑剤を含んでなる熱伝達組成物。
【請求項11】
前記潤滑剤が、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン(PAB)、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリアルキレングリコールエステル(PAGエステル)、ポリビニルエーテル(PVE)、ポリ(アルファ−オレフィン)(PAO)、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の熱伝達組成物。
【請求項12】
更に少なくとも一つの相溶化剤を含んでなる、請求項10に記載の熱伝達組成物。
【請求項13】
約0.5乃至約5重量パーセントの前記少なくとも一つの相溶化剤を含んでなる、請求項12に記載の熱伝達組成物。
【請求項14】
前記潤滑剤が、熱伝達組成物の約5乃至約50重量パーセントの量で存在する、請求項12に記載の熱伝達組成物。
【請求項15】
更に一つ又はそれより多い補助的燃焼性抑制剤を含んでなる、請求項10に記載の熱伝達組成物。
【請求項16】
いっしょにした前記一つ又はそれより多い燃焼性抑制剤が、熱伝達組成物の約0.5%乃至約30重量%の量で存在する、請求項15に記載の熱伝達組成物。
【請求項17】
請求項10に記載の熱伝達組成物を含んでなる冷媒。
【請求項18】
請求項17に記載の熱伝達組成物を含んでなる冷却装置。
【請求項19】
自動車用空調装置、住居用空調装置、商業用空調装置、住居用冷蔵装置、住居用冷凍装置、商業用冷蔵装置、商業用冷凍装置、チラー空調装置、チラー冷蔵装置、ヒートポンプ装置、及び二つ又はそれより多いこれらの組合せからなる群から選択される、請求項18に記載の冷却装置。
【請求項20】
請求項1に記載の組成物を含んでなる発泡剤。
【請求項21】
いっしょにした前記式Iの化合物及び前記COが、前記発泡剤の少なくとも約5重量%を構成する、請求項20に記載の発泡剤。
【請求項22】
本質的に一つ又はそれより多い式Iの化合物及びCOからなる発泡剤。
【請求項23】
請求項22に記載の発泡剤を含んでなる発泡性組成物。
【請求項24】
前記一つ又はそれより多いフォームを形成することが可能な成分が、熱可塑性フォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、低密度ポリエチレンフォーム、押出し熱可塑性フォーム、ポリウレタンフォーム、及びポリイソシアヌレートフォームからなる群から選択される一つ又はそれより多いフォームを形成することが可能な成分を含んでなる、請求項23に記載の発泡性組成物。
【請求項25】
更に分散剤、気泡安定剤、界面活性剤、難燃剤及び二つより多いこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも一つの添加剤を含んでなる、請求項23に記載の発泡性組成物。
【請求項26】
請求項25に記載の発泡性組成物から形成されたフォーム。
【請求項27】
請求項26に記載のフォームを含んでなる独立気泡フォーム。
【請求項28】
冷媒系中に含有された既存の冷媒を置換する方法であって、前記系から前記既存の冷媒の少なくとも一部を除去し、そして前記既存の冷媒の少なくとも一部を、請求項1に記載の組成物を含んでなる冷媒組成物を前記系に導入することによって置換することを含んでなる、前記方法。
【請求項29】
前記既存の冷媒が、HFC−134a、R−12、R−404A、R−500、HFC−152a、HFC−125、HFC−143a、HFC−32、HCFC−22、R−407C及びR−410A並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記既存の冷媒が、R−407C、R−404A、R−410A、HCFC−22及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項31】
前記既存の冷媒が、HFC−134a、HFC−143a、HFC−125、HFC−32及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記既存の冷媒系が、第1の排気量を有する少なくとも一つの第1の圧縮機を含んでなり、そして更に前記第1の圧縮機を系から除去し、そして前記系に前記第1の圧縮機より大きい排気量を有する少なくとも一つの第2の圧縮機を挿入する工程を含んでなる、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記既存の冷媒系が、自動車用空調装置、住居用空調装置、商業用空調装置、住居用冷蔵装置、住居用冷凍装置、営業用冷蔵装置、営業用冷凍装置、チラー空調装置、チラー冷蔵装置、ヒートポンプ装置、及び二つ又はそれより多いこれらの組合せからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記置換工程後の前記系の能力が、前記除去工程の前の前記系の能力の少なくとも約少なくとも約90%である、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記置換工程後の前記系の質量流量が、前記除去工程前の前記系の質量流量の少なくとも約90%である、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
請求項10に記載の前記冷媒が、約1000より大きくない地球温暖化係数(GWP)を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
噴霧される物質及び請求項1に記載の組成物を含んでなる噴射剤を含んでなる、噴射可能な組成物。
【請求項38】
エアゾールの形態の、請求項37に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項39】
前記噴霧される物質が、化粧品、洗浄溶媒、潤滑剤及び薬効のある物質からなる群から選択される、請求項38に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項40】
薬効のある物質を含んでなり、そしてここにおいて前記薬効のある物質が、薬物又は生物学的に活性な物質である、請求項39に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項41】
物品を殺菌する方法であって、前記物品を、請求項1に記載の組成物を含んでなる組成物と接触させることを含んでなる、前記方法。
【請求項42】
請求項1に記載の組成物を凝縮させ、そしてその後、冷却される物品の近辺で前記組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を冷却するための方法。
【請求項43】
加熱される物品の近辺で請求項1に記載の組成物を凝縮させ、そしてその後、前記冷媒組成物を蒸発させることを含んでなる、物品を加熱するための方法。
【請求項44】
R−22の冷却能力と実質的に匹敵する冷却能力を有する、熱伝達流体の形態の請求項1に記載の組成物。
【請求項45】
R−407Cの冷却能力と実質的に匹敵する冷却能力を有する、熱伝達流体の形態の請求項1に記載の組成物。
【請求項46】
R−410Aの冷却能力と実質的に匹敵する冷却能力を有する、熱伝達流体の形態の請求項1に記載の組成物。
【請求項47】
R−404Aの冷却能力と実質的に匹敵する冷却能力を有する、熱伝達流体の形態の請求項1に記載の組成物。
【請求項48】
R−507Aの冷却能力と実質的に匹敵する冷却能力を有する、熱伝達流体の形態の請求項1に記載の組成物。
【請求項49】
物体の熱含有率を変化するための方法であって、請求項1に記載の組成物を用意し、そして前記組成物及び前記物体間で熱を伝達することを含んでなる、前記方法。
【請求項50】
少なくとも一つの熱伝達流体及び一つ又はそれより多い前記熱伝達流体を蒸発及び凝縮するための容器を含んでなり、改良が、前記少なくとも一つの熱伝達流体が、本質的に一つ又はそれより多い以下の式I:
XCF3−z (I)
[式中、
Xは、C2又はC3の不飽和の置換された或いは置換されていないアルキルラジカルであり、
それぞれのRが、独立にCl、F、Br、I又はHであり、そして
zが、1乃至3である]
の化合物及び二酸化炭素(CO)からなる、不燃性流体であることによって特徴づけられる、改良された熱伝達系。
【請求項51】
噴霧される物質及び請求項1に記載の共沸混合物様組成物を含んでなる噴射剤を含んでなる噴霧可能な組成物。
【請求項52】
前記噴霧可能な組成物が、エアゾールである、請求項51に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項53】
前記噴霧可能な物質が、薬物又は生物学的に活性な物質である、請求項51に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項54】
前記噴霧可能な物質が、抗喘息及び抗口臭薬物のような薬効のある物質である、請求項51に記載の噴霧可能な組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−536390(P2007−536390A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511056(P2007−511056)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/015021
【国際公開番号】WO2005/108523
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】