説明

テルル化カドミウム太陽電池の薄膜層をスクライブする方法及び装置

【課題】基板上の薄膜材料のスクライブ加工に好適なレーザパルスを用いる方法及び装置を提供する。
【解決手段】光パルスを生成するように動作可能なレーザを用意するステップを含む。光パルスは、第1のパワーレベルを光パルスの第1の部分の期間中有し、第1のパワーレベル未満の第2のパワーレベルを光パルスの第2の部分の期間中有する時間プロファイルを特徴とする。この方法はまた、光パルスをCdTe太陽電池構造に当てるように誘導するステップを含む。CdTe太陽電池構造は、基板、基板に隣接する透過スペクトル制御層、透過スペクトル制御層に隣接するバリア層、及びバリア層に隣接する導電層を含む。この方法はまた、導電層の除去加工を開始するステップと、絶縁層を除去する前に除去加工を終了するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2010年9月24日出願の「Method and Apparatus to Scribe a Line in a Thin Film Material Using a Burst of Laser Pulses With Beneficial Pulse Shape」という名称の米国特許出願第12/889,435号の一部継続出願であり、同出願は、2009年9月24日出願の「Method and Apparatus to Scribe a Line in a Thin Film Material Using a Burst of Laser Pulses With Beneficial Pulse Shape」という名称の米国特許仮出願第61/245,582号の優先権を主張する。上記出願の開示の全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]本発明は一般に、材料のレーザ加工に関する。より具体的には、本発明は、レーザ加工用途においてより好適な加工品質、及びより高いスループットが得られるよう特別に成形された一連のレーザパルスを用いる方法及び装置に関する。本発明はまた、基板上の薄膜材料のスクライブにも関する。しかし、本発明は適用範囲がより広く、他の用途及び材料に適用することもできる。
【0003】
[0003]Nd:YAGレーザなどのパルスレーザ源が、刻印、彫刻、微細機械加工、切削、及びスクライブなどの用途でレーザによる材料加工を行うために使用されてきた。レーザが一般に使用されるこのような加工の1つは、厚い基板上の材料の薄膜にラインをスクライブすることである。薄膜は、非常に大まかな言い方で、数個の分子の厚さしかない材料の層と定義される。実際には、薄膜は通常、厚さが25nm〜2ミクロンの間である。基板は、上に薄膜が堆積される材料であり、通常では薄膜よりもかなり厚い。薄膜を使用する多くの例が、電子デバイス、電子光学デバイス、光学デバイス、及び防食などの分野にある。例えば、光電池又は太陽電池は、アモルファスシリコン、テルル化カドミウム、2セレン化銅インジウム、2セレン化銅インジウムガリウム、又はモリブデンの薄膜と、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)などの透明導電酸化物(TCO)材料の薄膜、及びアルミニウム又はモリブデンなど他の材料の酸化物の薄膜を使用して作られる電極とを有することがある。これら及びその他の材料の薄膜はまた、フラットパネルディスプレイ及びデジタルディスプレイにも使用される。
【0004】
[0004]厚い基板上の薄膜材料にラインをスクライブするということは、基板に至るまで全ての薄膜材料を除去すること、及びこれをラインに沿って行うことを意味する。比較的太いラインではナイフを使用することができるが、そうすると縁部が粗くなり、薄膜材料の除去が不完全になることが多い。電子デバイスで必要とされるラインの幅は非常に細いことがある。レーザは、非常に細いラインを刻み薄膜材料をきれいに切除するのに使用できるので、薄膜材料にラインをスクライブする用途に使用される。
【0005】
[0005]TCOをスクライブする場合、監視される1つのパラメータは、スクライブされるラインをまたいで得られる抵抗率である。抵抗率は、スクライブ加工で除去されるTCO材料の量の影響を受け、したがって目標は、刻まれる溝の中の全てのTCO材料を除去することである。1つの問題は、切削加工で発生する残留物及び破片の量であることがある。切除されたTCO材料が、溝がスクライブされているときに溝全体にわたって落下し、それによって抵抗率が低下することがある。この落下がすぐには起きなくても、破片が存在することで、後でいつか破片が払われて溝に入った場合に抵抗率が低下することになりうる。この製造工程の目標は、残留物及び破片の量を最小限にすることである。この理由のために、レーザスクライブが、ビームがガラス基板を通過する「第2面」加工になるように行われることが多く、こうすることは、表面にくっつく残留物及び破片の量を低減する助けにはなるが、残留物及び破片がいくらか残る。抵抗率の典型的な許容値は200メガオームであるが、理想的な値は用途によって決まる。
【0006】
[0006]レーザスクライブ加工の品質に影響を及ぼす別の問題は、ガラス基板中、又はスクライブされる溝のTCO材料の壁に微小亀裂が発生することである。時間が経つにつれて、微小亀裂が広がり大きくなることがあり、その結果、機械的な傷がスクライブされた溝に、又は溝を横断して現れる可能性がある。このようなことが起きることは、それが標準的な「初期故障」試験段階後のある時点でのデバイス不良につながる可能性があり、またそれゆえに抑制することが困難であるので、回避されるべきである。レーザパルスによる薄膜又は基板のいかなる物理的劣化も最小限にしなければならない。微小亀裂並びに残留物及び破片が存在すれば、高倍率の光学顕微鏡を使用して観察することができる。
【0007】
[0007]用途及び加工されるべき材料に応じて、パルスエネルギー、パルス幅、パルス繰返し率、ピークパワー又はピークエネルギー、及びパルス形状を含む様々なレーザパルスの特性を、特定の用途で適宜に選択できることは有利なことがある。様々な材料の加工応用を最適化するようにパルスエネルギー及びパルスパワーを慎重に制御する多くの例が存在する。
【0008】
[0008]1パルス当たり0.5mJより大きいパルスエネルギーを特徴とする多くの既存の高出力パルスレーザは、光パルスを発生するのにQスイッチング及びモードロッキングなどの技法に依拠する。しかし、このようなレーザは、空洞形状、ミラー反射率などによって特性があらかじめ決まる光パルスを生成する。このようなレーザを使用すると、当面の用途に最適なパルス形状を得ることは一般に困難であり、したがって多くの場合でレーザ加工には、困難なことがいくつかある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]したがって、薄膜スクライブ加工の品質及び歩留まりを改善する、材料の薄膜をスクライブするためのシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]本発明は、図1Aに概略的に示されている、有益な形の時間パルス形状を有する個々のパルスからなるレーザパルスのバーストを使用して、基板上の材料の薄膜層にラインをスクライブする、又は刻む方法を開示し、このパルス形状を、レーザから放出される従来の時間パルス形状(レーザパルス時間パルス形状とも称する)の代わりに使用することには、薄膜スクライブ加工の品質及び歩留まりを改善する様々な利点がある。一実施形態では、有益な形のパルスは、いす形状(chair shape)パワー時間プロファイルとして大まかに描写することができ、図1Bに概略的に示されるように、初期のパワースパイク部の後にかなり長いが低パワーの平坦部が続く。集束レーザビームスポットの複数のパルスが、スポットの一部を重ねて薄膜材料の全体にわたって走査されるスクライブ加工では、有益な形のパルスのこの大まかな形状が、以前に使用された従来の時間パルス形状の代わりに使用される場合、スクライブ加工の顕著な改善が実現される。より具体的には、複数のパルスのバースト中の各パルスのパルス長(FWHM 半値全幅)は、1ns〜200nsの間であり、スパイク部のパルス長FWHMは、0.3nsを超えるが全パルスのパルス長の30%未満である。スパイク部のピークパワーは、全パルスの平均ピークパワーの1.5倍〜10倍の間である。
【0011】
[0011]別の実施形態では、スクライブ加工は、図2Aに概略的に示されたレーザパルスのバーストを使用し、各パルスは有益な形のパルス形状を有し、このパルス形状は、図2Bに概略的に示されるように、急に立ち上がる立上がり区間を有する単純な方形上部パルス形状として描写することができる。集束レーザビームスポットの複数のパルスが、スポットの一部を重ねて薄膜材料の全体にわたって走査されるスクライブ加工では、この方形上部形状の有益な形のパルスが、以前に使用された従来の時間パルス形状の代わりに使用される場合、スクライブ加工の顕著な改善が実現される。より具体的には、方形パルスのパルス長(FWHM 半値全幅)は、1ns〜200nsの間である。
【0012】
[0012]薄膜スクライブ加工において有益なパルス形状を使用することには、いくつかの利点がある。例えば、太陽電池パネルで一般に使用される材料であるガラス基板上の酸化亜鉛薄膜のレーザスクライブでは、方形時間パルス形状を使用すると、従来のレーザ時間パルス形状が使用される結果基板中に顕著な微小亀裂が生じる状況と比較して、ガラス基板中に微小亀裂が発生しなくなる。同じ材料に対し、スパイク部/平坦部を有するいす形状のレーザパルス形状を使用すると、従来のレーザ時間パルス形状が使用される結果ガラス基板中及びZnO材料のスクライブされた縁部上に顕著な微小亀裂が生じる状況と比較して、ガラス基板でもZnO材料のスクライブされた縁部でも微小亀裂が発生しなくなる。加えて、スパイク部/平坦部を有するいす形状のレーザパルス形状を使用するとまた、スクライブされたラインにおけるZnOの残留物及び破片の発生が顕著に減少することになる。有益なパルス形状を使用すると、それによって生成されたデバイスの品質の顕著な改善が実現し、また、次の製造段階に進むことが許容可能なデバイスの数が増加するので、歩留まりの顕著な改善も実現する。
【0013】
[0013]ほとんどのレーザは、平均パワー又はパルスエネルギー、又は繰返し周波数を最大にするように設計され、出力パルスの形状はほとんど考慮されない。自走レーザ、Qスイッチレーザ、又はモードロックレーザの図3に示される従来の時間パルス形状は、立上がり端、丸みのある上部、及び徐々に低下する立下がり端を有する。このパルス形状は主として、レーザ利得媒体、レーザ励起手段、及び空洞設計によって決まる。しかし、一部のレーザシステムの出力パルス形状は制御することが可能である。ダイオードレーザなどのパルスレーザ源は、パルス電子駆動信号を供給することによって簡単にパルス出力させることができる。こうして生成される光レーザパルスのパルス形状は、ダイオードレーザへの電子駆動信号の形状を選ぶことによってあらかじめ決定することができる。このようなパルスレーザ源からの成形された信号は、次に、ファイバレーザ増幅器などのレーザ増幅器で増幅することができる。本発明の一実施形態では、この設計の発振増幅器レーザシステムは、薄膜材料をスクライブするのに適した有益な形の時間パルス形状を有する一連のレーザパルスを生成するために提供される。
【0014】
[0014]別の実施形態では、より高性能のレーザシステムが、有益な形の時間パルス形状を有する一連のレーザパルスを生成するために提供される。2008年9月12日出願の「Method and system for a Pulsed Laser Source Emitting Shaped Optical Waveforms」という名称の米国特許出願第12/210,028号には、可同調パルスレーザ源の諸例が記載されている。パルスレーザ源は、シード信号を発生するように構成されたシード源と、シード源に結合された第1のポート、第2のポート及び第3のポートを有する光サーキュレータとを含む。パルスレーザ源はまた、成形された電気波形を生成するように構成された変調器ドライバと、変調器ドライバに結合され、成形された電気波形を受け取るように構成された振幅変調器とを含む。パルスレーザ源は、光サーキュレータの第2のポートに結合された第1の側面、及び第2の側面を特徴とする。パルスレーザ源は、入力端及び反射端を特徴とする第1の光増幅器をさらに含む。入力端は、振幅変調器の第2の側面に結合される。さらに、パルスレーザ源は、光サーキュレータの第3のポートに結合された第2の光増幅器を含む。2008年9月27日発行の「Method and System for Pulsed Laser Source with Shaped Optical Waveforms」という名称の米国特許第7,428,253号にもまた、可同調パルスレーザ源の諸例が記載されている。
【0015】
[0015]さらに別の実施形態では、別のレーザ設計が、有益な形の時間パルス形状を有する一連のレーザパルスを生成するために提供される。米国特許仮出願第61/186,317号には、安定なパルスレーザ源の諸例が記載されている。このパルスレーザ源は、安定化光放射を発生するように構成された安定化光源と、安定化光源に結合された第1のポート、第2のポート及び第3のポートを有する光サーキュレータとを含む。パルスレーザ源はまた、所望の形状の信号パルスを生成するように構成された信号源を含み、この信号源は、光サーキュレータの第2のポートに結合されている。パルスレーザ源は、光サーキュレータの第3のポートに結合された光増幅器をさらに含む。米国特許出願第12/210,028号、米国特許第7,428,253号及び米国特許仮出願第61/186,317号に記載の内容は参照することにより本明細書に援用する。
【0016】
[0016]有益な形の時間パルス形状を要望通り得るために使用できるいくつかの設計がある。本発明の別の実施形態では、基板上の薄膜材料の1つ又は複数の層にラインをスクライブする、又は刻むための材料加工システムが開示される。このシステムは、有益な形の1つ又は複数の時間パルス形状を供給して、以下の利益の1つ以上が得られるように薄膜材料を最適に処理する。(1)基板中に微小亀裂が形成することを低減又は除外する、(2)薄膜切除領域の縁部に沿って微小亀裂が形成することを低減又は除外する、(3)破片形成を低減する、(4)表面領域残留物を低減する。レーザばかりでなく、材料加工システムは、薄膜材料全体にわたってレーザビームを集束し、投影し、まっすぐに走査してスクライブ加工を実施する手段と、走査されるレーザスポットの重なりを調整する手段と、加工を制御するコンピュータとを含む。関連する実施形態では、材料加工システムはまた、高調波発生の作用を利用してレーザの波長を変える手段を含む。
【0017】
[0017]従来の技法と比べて多くの利益が本発明を用いて得られる。例えば、本発明による一実施形態では、薄膜材料のレーザスクライブに適した高出力パルスレーザが提示され、このレーザは、同様の動作特性を有するレーザと比較して安価であるコンパクトな構成を利用する。さらに、本発明による一実施形態では、薄膜材料のレーザスクライブに適したパルスレーザが得られ、その結果、薄膜材料の前記スクライブに対してレーザパルスプロファイルを最適にするように光パルスを成形できるようになる。この実施形態に応じて、多くの利益が、例えば加工される物品の品質及び歩留まりの改善を含めて存在する。これら及びその他の利益を本明細書全体にわたって、またより具体的に以下で説明した。本発明の様々な追加の目的、特徴、及び利点は、詳細な説明及び以下の添付図面を参照して、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】基板上の薄膜材料にラインをスクライブするのに適した、いすパルス形式の有益な形のパルス形状を有するパルスのバーストを示す、一実施形態の概略図である。この図では、時間が水平軸上であり、パワーが垂直軸に沿っている。
【図1B】スパイク部/平坦部を有するいす形状のパルス形状の一実施形態を示す図である。
【図1C】垂下部があるスパイク部/平坦部を有するいす形パルスの実施形態を示す図である。
【図1D】いす形パルス形状の別の実施形態を示す図である。
【図1E】いす形パルス形状のさらなる実施形態を示す図である。
【図2A】基板上の薄膜材料にラインをスクライブするのに適した、方形パルス形式の有益な形のパルス形状を有するパルスのバーストを示す、一実施形態の概略図である。
【図2B】時間が水平軸上にありパワーが垂直軸に沿っている、上部が平坦な方形パルスを示す図である。
【図2C】時間が水平軸上にありパワーが垂直軸に沿っている、垂下部がある方形パルスを示す図である。
【図3】基板上の薄膜材料をスクライブするために使用される従来のレーザパルスの時間パルス形状を示す概略図である。この図では、時間が水平軸上でありパワーが垂直軸に沿っている。
【図4】各パルスの加工領域が、前のパルスによって加工される領域と部分的に重なるように、また次のパルスによって加工される領域とも部分的に重なるように複数のレーザパルスを使用する、薄膜材料におけるレーザスクライブ加工の基板を通した上面図を示す概略図である。この特定の図では、スポット重なりは約30%であるが、この加工のために選択されるスポット重なりの値は、10%〜95%の間で変動しうる。
【図5A】基板36上に堆積され、薄膜に溝35がスクライブされている単一の薄膜材料37の断面側面を示す概略図である。また、基板の微小亀裂40、スクライブされた薄膜の縁部の微小亀裂39、及び表面に付着しうる切除薄膜材料からの残留物及び破片38も示されている。このような微小亀裂並びに残留物及び破片は、レーザで薄膜材料をスクライブするときに従来のレーザパルス形状を使用することの結果であることが多い。
【図5B】図5Aに示された構造であるが、本発明の別の実施形態を使用して得られた、基板中に微小亀裂がなく、スクライブされた膜の縁部の微小亀裂が減少していない構造の断面側面を示す概略図である。
【図5C】図5Aに示された構造であるが、本発明の別の実施形態を使用して得られた、微小亀裂が基板にもスクライブされた薄膜の縁部にもなく、また残留物及び破片の量も減少していない構造の断面側面を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施形態による有益なパルス形状のレーザパルスの出力バーストを供給する、同調可能パルス特性を有するパルスレーザの簡略化概略図である。
【図7】本発明の一実施形態による有益なパルス形状のレーザパルスの出力バーストを供給する、同調可能パルス特性を有するパルスレーザの簡略化概略図である。
【図8】本発明の別の実施形態による有益なパルス形状のレーザパルスの出力バーストを供給する、同調可能パルス特性を有するパルスレーザの簡略化概略図である。
【図9】本発明の一実施形態による、基板上の薄膜にラインをスクライブするのに適したレーザ加工システムの簡略化概略図である。
【図10】本発明の一実施形態による有益なパルス形状を有するパルスのバーストを使用して薄膜材料にラインをスクライブする方法を示す流れ図である。
【図11】本発明の一実施形態による加工に適した多層積層薄膜構造の簡略化概略図である。
【図12】本発明の一実施形態によるレーザパルス形状及びエッチング深さを時間との関係で表す簡略化グラフである。
【図13】本発明の一実施形態によるエッチングピット形態の変化を時間との関係で示す一連の光学像である。
【図14】レーザパルスのレーザピークパワーと相互関連しているターゲット領域温度を時間との関係で表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0040]太陽電池、フラットパネルディスプレイ、及びデジタルディスプレイの製造工程では、ガラス基板上に堆積された透明導電酸化物(TCO)材料の薄膜が、TCO材料にラインをスクライブすることによってセグメント化されなければならず、それによって、ラインの一方の側のTCOセグメントとラインのもう一方の側TCOセグメントとの間を電気的に分離するようにセグメント化される。パルスレーザを使用してラインをスクライブするのは、多くのレーザパルスのバーストを使用する多パルス加工であり、各パルスが薄膜上のスポットに集束され、このスポットは、各スポットと前のスポット及び次のスポットとの間にいくらかの重なりがあるようにして、スクライブされるべき所望のラインに沿って走査される。スクライブされるラインの幅は主として、集束されるレーザスポットのサイズによって決まる。ガラス基板上のZnO薄膜にスクライブされるラインの幅は、10ミクロン〜100ミクロンの範囲であるが、もっと細いラインを実現することもできる。TCO材料を適切に除去して基板上にきれいなラインを残すために、ある特定のスポット重なりの量が用いられる。したがって、スクライブ加工は本質的に、単パルス加工ではなく多パルス加工である。パルスからパルスまでの重なりの量を用いてスクライブ加工を制御することができる。例えば、薄膜が厚ければ厚いほど、より多くの重なりが用いられることがある。一例では、パルス重なりは30%であるが、この値は、加工される材料の特性に応じて、10%しかない低い値から95%もの高い値まで変わりうる。
【0020】
[0041]図4に、薄膜のレーザスクライブの概略図が示されている。スクライブ加工は一般に、レーザビームがまず基板を通過して薄膜にアクセスする第2面加工であるが、薄膜を直接スクライブするために、レーザが基板を通過せずに使用されることもまたありうる。薄膜のレーザスクライブは、少なくとも10パルスを含むレーザパルスのバーストが必要な多パルス加工である。各パルスは、薄膜材料のところでスポットに集束又は投影される。バースト中の第1のパルス31は、第1のスポットが、スクライブされるべきラインの開始位置にあるように誘導される。バースト中の後続の各パルスは、前のスポットに隣接するスポットに誘導されるが、10%〜95%の間の値OL%で一部が重なる。図4に示されるスポット重なりの値は約30%である。すなわち、複数のパルスのバースト中の各パルスは、スクライブされるべきラインに沿った位置に誘導され、最後のパルス32は、この最後のパルスによるスポットが、スクライブされるべきラインの末端にあるように誘導される。Nがバースト中のパルスの数、dが薄膜にある集束スポットの直径、OL%がパーセント単位の重なり値とすれば、スクライブされるラインの長さLは次式で与えられる。
L=dN−d(N−l)(OL%)/l00
【0021】
[0042]スクライブされるラインの幅は、集束スポットサイズ、スポット重なり、及び薄膜との相互作用の関数であるが、理想的には、スクライブされるラインの幅は、集束スポットの直径とおおよそ同じになる。スポット重なりの選択は、加工を最適化するために変更される加工パラメータである。薄い材料では、10%などの非常に小さいスポット重なりを使用できることが多く、このスポット重なりでは、例えば1m/秒までの速いスクライブ速度が得られる。より厚い材料では、薄膜材料がきれいに除去されるように、より大きい重なりが通常選択される。
【0022】
[0043]図5Aは、基板36上に堆積され、薄膜に溝35がスクライブされている単一の薄膜材料37の側面を示す概略図である。基板の微小亀裂40、切削された薄膜の縁部の微小亀裂39、及び表面に付着しうる切除薄膜材料からの残留物及び破片38もまた示されている。このような微小亀裂並びに残留物及び破片は、レーザで薄膜材料をスクライブするときに従来の、図3に概略的に示されたものなどのレーザパルス形状を使用した結果であることが多い。本発明の目的は、微小亀裂並びに残留物及び破片形成を低減又は無くすことによって薄膜スクライブの品質を改善する方法及び装置を提供することである。
【0023】
[0044]図1A及び図2Bはそれぞれ、本発明の諸実施形態による様々の有益なパルス形状を有するパルスのバースト11及び21を示し、これらのパルスにより、同じ加工をするのに図3に示された従来のパルス形状のレーザパルスのバーストを使用して得られる低い品質と比較して、ガラス基板上の薄膜にラインをスクライブする品質が改善された。各バーストは少なくとも10パルスを含む。特に図2Aは、本発明の一実施形態によるパルスのバーストを示す。図2Bは、本発明の一実施形態による有益なパルス形状を示し、パルス長FWHMがT1、前縁立上がり時間(10%〜90%)がRT1、後縁立下がり時間(90%〜10%)がFT1である。平坦上部のピークパワーはH1である。図5Aに示されるように、ガラス基板及びZnOスクライブの縁部の顕著な微小亀裂が見られた、従来のパルス形状を有するパルスのバーストを使用してスクライブされたラインと比較して、図2Bの方形パルス形状のパルスのバーストを使用してスクライブされたラインでは、図5Bに概略的に示されるように、ガラス基板に微小亀裂が見られず、ZnOがスクライブされた領域の縁部に微小亀裂の減少が見られる。本発明の一実施形態では、厚さ6mmのガラス基板上の厚さ450nmのZnO膜に、波長1064nmのレーザからの図2Bのパルス形状を有するパルスのバーストを、135マイクロジュールのパルスエネルギー、50ミクロンのスポットサイズ、50nsのパルス長、1nsのRT1及びFT1の値、1秒当たり36,000パルスの繰返し率、及び様々な値のスポット重なり(10%、25%及び50%の重なりを含む)で使用してスクライブされた幅54ミクロンのラインに、基板の微小亀裂が見られない。加えて、除去される材料の幅が、従来のパルス形状の44ミクロンから、同じパルスエネルギーを用いて方形パルス形状の54ミクロンに増加するので、スクライブ加工の効率は向上する。方形パルス形状に変更することにより、スクライブされるラインの幅が明確に増加し、またガラス基板に微小亀裂を形成することが効果的に防止される。しかし、本発明による一実施形態の具体的な諸パラメータは、これらの値に限定されない。一実施形態では、方形パルスのパルス長T1は1ns〜200nsの間である。方形パルスの立上がり時間RT1は0.3nsを超えるが、パルス長T1の10%未満である。立下がり時間FT1は、パルス長T1の30%未満である。同様の改善がまた、図2に示されたいくらかの垂下部が方形パルス形状にあっても、H1−H2がH1の50%未満であるような垂下である限り、得られる。
【0024】
[0045]同様の改善が、異なる値のスポットサイズ及びスクライブ速度を用いて得られる。例えば、幅25ミクロンのラインをスクライブしたときに同様の品質の改善が、パルスエネルギーが42マイクロジュールの、1秒当たり72,000パルスで動作し25ミクロンのスポットサイズに集束されるレーザを、様々な値のスポット重なりで(10%、25%及び50%重なりを含む)使用して認められた。同じく、ZnOスクライブの同様の品質の改善が、パルスエネルギーが7マイクロジュールの、1秒当たり260,000パルスで動作し10ミクロンのスポットに集束され、スポット重なりが様々な値の(10%、25%及び50%重なりを含む)レーザを使用して認められた。全ての場合で、本明細書に記載の上部が方形のパルスを使用することで、上記のスクライブ品質の改善がもたらされた。
【0025】
[0046]非常に薄い膜では、小さい重なりを用いて各集束スポットにある材料を除去することができるが、材料の厚さが増すときには、パルスエネルギーを増大するのではなく、スポット重なりを増加させることがより適切なことがある。少ないスポット重なりでは、スポットが重なるスクライブラインの縁部の変調が、スポット重なりが多い場合のスクライブラインの縁部よりも多くなりうる。しかし、各スポット重なりの縁部のこの鋭い先端は、薄膜縁部に見られる微小亀裂と同じではない。したがって、一実施形態では、スポット重なりを増加させることによって、どちらのパルス形状でも微小亀裂に影響を及ぼすことなく、スポットが重なる鋭い縁部が低減される。
【0026】
[0047]本発明の別の実施形態では、図1Aに概略的に示されたレーザパルスのバーストが、薄膜材料をエッチングするために使用される。パルスの各バーストは、少なくとも10パルスを含む。一実施形態では、パルスのバースト中の各バーストは、図1Bにスパイク部/平坦部を有するいす形のパルス形状として描写され概略的に示された有益なパルス形状を有する。図1Bでは、パルス形状が、ピークパワーH3、立上がり時間RT3、及び幅FWHM T3を有する初期スパイク部と、ピークパワーH4及び立下がり時間FT4を有する水平の平坦部との2つの領域からなる。10%ピークパワーにおけるパルス全長はT4である。図5Aに示されるように、ガラス基板及びZnOスクライブの縁部の顕著な微小亀裂が見える、図3の従来のパルス形状を有するパルスのバーストを使用してZnO薄膜にスクライブされたラインと比較して、図1Bのいすパルス形状を有するパルスのバーストを使用してスクライブされたラインでは、図5Cに示されるようにガラス基板に微小亀裂が見られず、ZnOがスクライブされた領域の縁部に微小亀裂が見られない。加えて、方形パルス形状について前に説明したものと同様にスクライブラインが幅広くなるので、スクライブ加工の効率が向上する。図1Bのいすパルス形状では、スクライブ加工の際に発生するZnOの残留物及び破片もまた、図3の従来のパルス形状が使用されるときに観察されるものと比較して著しく低減する。厚さ6mmのガラス基板上の厚さ450nmの薄膜ZnO層に、本発明の一実施形態による、図1Bのパルス形状を有するレーザパルスのバーストを使用して幅54ミクロンのラインをスクライブするための具体的なパラメータは、レーザ波長1064nm、パルスエネルギー135マイクロジュール、繰返し率1秒当たり36,000パルス、スポットサイズ50ミクロン、パルス長T4が50ns、立上がり時間がRT3が1ns、立下がり時間FT3が1ns、スパイクパルス長T3が10ns、パワー比H3/H4が3:1、及びスポット重なりが様々な値(10%、25%及び50%重なりを含む)である。1m/秒より速いスクライブ速度が実現可能である。しかし、本発明による一実施形態の具体的な諸パラメータは、これらの値に限定されない。一実施形態では、パルス長T4は1ns〜200nsの間であり、スパイク部のパルス長T3は0.3nsを超え、T4の30%未満である。立上がり時間RT3は0.1nsを超え、T3の30%未満であり、比率H3/H4は1.5より大きいが10未満である。スポット重なりは10%〜95%の間である。
【0027】
[0048]同様の改善が、異なる値のスポットサイズ及びスクライブ速度を用いて実現される。例えば、同様のZnOスクライブ品質の改善が、パルスエネルギーが34マイクロジュールであり、1秒当たり72,000パルスで動作し、25ミクロンのスポットサイズに集束され、スポット重なりが様々な値(10%、25%及び50%重なりを含む)をとるレーザを使用して認められた。同じく、ZnOスクライブの同様の品質の改善が、パルスエネルギーが4マイクロジュールであり、1秒当たり260,000パルスで動作し、10ミクロンのスポットに集束され、スポット重なりが様々な値(10%、25%及び50%を含む)をとるレーザを使用して認められた。全ての場合で、本明細書に記載のいす形パルスを使用することで、上記のスクライブ品質の改善がもたらされた。
【0028】
[0049]図1に示されるように、薄膜スクライブ加工の品質に何らかの利益が得られる他の様々ないすパルス形状がある。例えば、図1Cに示されるような垂下部があるスパイク部/平坦部の形にしたパルスでは、H6−H7がH6の50%未満である限り、顕著な利益が得られることが予想される。また、図1Dに示される、平坦部の中間にスパイク部があるパルス形状、あるいは図1Eに示される、平坦部から時間T12だけずれているスパイク部があるパルス形状を使用することも可能である。一実施形態では、ガラス基板上のZnO薄膜にラインをスクライブする場合に、5ns未満の値T12が使用される。本出願に記載の諸実施形態は、ZnO薄膜中のラインのスクライブを最適化し、それによって、従来のパルス形状を有するレーザを使用して実現可能な基板全体にわたる加工の品質及び歩留まりを改善するための、レーザパルスのバースト中の有益なパルス形状をつくる全ての可能性を必ずしも包含しない。当業者には、多くの変形形態、修正形態、及び代替形態が認識されよう。
【0029】
[0050]本発明の諸実施形態の適用は、ZnO薄膜又はTCO薄膜に限定されない。本発明で開示される諸実施形態による有益なパルス形状を使用することは、多くの材料の薄膜をスクライブする際に利益になる。また、本出願の有益なパルス形状を使用することは、スクライブされるべき薄膜材料に適宜に1064nm以外の波長を使用することから利益を得る。レーザ波長の選択は、一部には切除されるべき材料の吸収によって決まる。1064nmばかりでなく、1032nm、1,3ミクロン、1.5ミクロン、2ミクロン他を含む他の多くの波長のレーザが利用可能である。加えて、高調波発生などの非線形処理を使用して他の波長を必要に応じて得ることが可能であり、この場合、1064nmで動作するレーザが、532nm(緑)、354nm(近紫外線)、266nm(紫外線)などに変更された波長を有することができる。場合によって、緑又は紫外線などのより短い波長において吸収が大きければ、本明細書に記載の非常に薄い膜のスクライブは、高調波波長を使用することによって利益を得ることができる。
【0030】
[0051]薄膜材料の基板はガラスに限定されない。他の一般的な基板材料はポリマー又はプラスチックである。基板の第2面上の膜をスクライブする場合には、レーザビームが基板を通過しなければならず、レーザ波長の選択は、基板が実質的に透過性になる波長に限定される。しかし、本発明に関して開示された諸実施形態による有益なパルス形状を使用することは、薄膜の第2面のスクライブに限定されない。有益なパルス形状を適用することは、基板を通過せずに直接薄膜をスクライブする場合にも等しく利益になる。
【0031】
[0052]図6を参照すると、本出願で開示された種類の有益なパルス形状を発生できるレーザシステムが示されている。このレーザシステムは、電子ドライバ53から電力を供給される発振器51、及び増幅器52を含む。ダイオードレーザなどのパルスレーザ源は、パルス電子ドライブ信号を供給することによって簡単にパルス動作させることができる。発生されるパルスのバースト56中の各光レーザパルスのパルス形状は、電子ドライバ53から発振器51へ送出される電子ドライブ信号55の形状を選択することによってあらかじめ決めることができる。このようなパルスレーザ発振器からの成形された信号は次に、ダイオード励起固体ロッドレーザ又はファイバレーザ増幅器などのレーザ増幅器で、出力パルスのバースト57中の各パルスのパルス形状が、発振器で与えられるパルス形状から実質的に変化しないで維持されるように増幅される。
【0032】
[0053]発振器レーザは、半導体レーザ、ファイバレーザ、ダイオードレーザ、又は分布フィードバックダイオードレーザで構成することができる。特定の一実施形態では、パルス信号源は半導体ダイオードレーザであり、1064nmの波長で動作し、1ワットのピークパルス出力、500kHz(キロヘルツ)まで可変の繰返し率、パルス立上がり時間がナノ秒以下の100ナノ秒のパルス幅である。代替実施形態では、パルス信号源のピーク光出力は、1ワットより低くすることも高くすることもできる。例えば、出力は500mW、1ワット、2ワット、3ワット、4ワット、5ワット又はそれ以上とすることができる。またパルス幅は、100ナノ秒より小さくすることも大きくすることもできる。例えば、パルス幅は1ns(ナノ秒)、2ns、10ns、20ns、50ns、200ns、500ns又はそれ以上とすることができる。代替実施形態では、光パルスはより複雑にすることができ、図4の方形パルス、又は図5のいす形パルスなどの有益な形のパルスを含むことができる。発振器レーザは電子ドライバによって、発振器レーザ出力パルスの形状が、電子ドライバから供給される電流パルスの形状によく似るように駆動される。
【0033】
[0054]発振器51からの出力は、例えばファイバレーザ増幅器又はダイオード励起固体ロッドレーザ増幅器で構成されるレーザ増幅器モジュール52で増幅される。本発明の一実施形態では、増幅器は光増幅器であり、希土類ドープファイバループに光カプラを介して結合されるポンプを含む。一般に、半導体励起レーザがポンプとして使用されるが、光増幅器の励起は、当業者には明らかなように、他の手段によって実現することもできる。特定の一実施形態では、光増幅器は、5メートルの長さの希土類ドープファイバを含み、このファイバは、約4.8ミクロンのコア直径を有し、イッテルビウムで約6×1024イオン/m3の濃度にドープされている。増幅器はまた、FBG安定化半導体レーザダイオードであるポンプを含み、これは976nmの波長で動作し、500mWの出力パワーを有する。別の特定の実施形態では、光増幅器160は、2メートルの長さの希土類ドープファイバを含み、このファイバは、約10ミクロンのコア直径を有し、イッテルビウムで約1×1026イオン/m3の濃度にドープされている。増幅器はまた、半導体レーザダイオードであるポンプを含むこともでき、このポンプは5Wの出力パワーを有する。
【0034】
[0055]イッテルビウムドープファイバ増幅器及び1064nmの波長のレーザの例を示したが、ダイオードレーザ、固体レーザ、及び1064nm又は他の波長で動作するドープファイバを本発明の他の実施形態に使用することもできる。これらには、例えば、波長領域1550nmのエルビウムドープファイバ、波長領域2〜3ミクロンのツリウムドープファイバが含まれる。代替実施形態では、複数の光増幅器が、特定の用途で適宜に光サーキュレータ120の下流に利用される。
【0035】
[0056]図7を参照すると、本発明の一実施形態における、有益なパルス形状のパルスのバーストを発生するパルスレーザ源が提示されている。このパルスレーザ源は、シード信号を発生するように構成されたシード源110と、シード源に結合された第1のポート114、第2のポート122及び第3のポート116を有する光サーキュレータ120とを含む。パルスレーザ源はまた、光サーキュレータの第2のポート122に結合された第1の側面132、及び第2の側面134を特徴とする振幅変調器130を含む。パルスレーザ源は、入力端136及び反射端146を特徴とする第1の光増幅器150をさらに含む。入力端は、振幅変調器の第2の側面134に結合される。さらに、パルスレーザ源は、光サーキュレータの第3のポート116に結合された第2の光増幅器160を含む。図7では、光サーキュレータの第3のポートに結合された1つの光増幅器160を使用することが示されているが、本発明のいくつかの実施形態ではこれを使用する必要がない。代替実施形態では、複数の光増幅器が、特定の用途で適宜に光サーキュレータ120の下流で利用される。本発明の諸実施形態についての付加的な説明は、2008年9月12日出願の「Method and system for a Pulsed Laser Source Emitting Shaped Optical Waveforms」という名称の、本出願の譲渡人に譲渡された米国特許出願第12/210,028号に見出すことができ、同出願は、2008年9月27日発行の「Method and System for Pulsed Laser Source with Shaped Optical Waveforms」という名称の米国特許第7,428,253号の一部継続出願である。上記出願はそれぞれ、その全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
[0057]図8を参照すると、本発明の別の実施形態における、有益なパルス形状のパルスのバーストを発生するパルスレーザ源が提示されている。このパルスレーザ源は、安定化光放射216を発生するように構成された安定化光源210と、安定化光源に結合された第1のポート214、第2のポート216及び第3のポート218を有する光サーキュレータ220とを含む。パルスレーザ源はまた、所望の形状の信号パルスを生成するように構成された信号源230を含み、この信号源は、光サーキュレータの第2のポート216に結合されている。パルスレーザ源は、光サーキュレータの第3のポート218に結合された光増幅器260をさらに含む。本発明の諸実施形態についての付加的な説明は、本出願の譲渡人に譲渡された米国特許仮出願第61/186,317号に見出すことができる。上記仮出願は、その全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
[0058]本発明の特定の一実施形態により、図9は、有益なパルス形状のパルスのバーストを発生するレーザを使用して、薄膜材料加工品304にラインをスクライブできる例示的なレーザ加工システムを示す。このシステムは、レーザ源300、波長変換器301、光学系302、コントローラ305、及び加工品ホルダ303の上部に配置されている加工品304を含む。レーザ源300は、波長、パルス長、パルス形状、及びパルス繰返し率などの、ある一定の特性を有するレーザパルスを供給する。波長はコントローラによって選択することができる。波長はまた、波長変換器を介して調整することもできる。パルス長及びパルス形状は、有益なパルス形状を有するパルスのバーストを使用して薄膜材料加工品にラインをスクライブするために、本発明の諸実施形態によって調整することができる。
【0038】
[0059]レーザ源300で発生された波長は、波長変換器301で、基本波の第2、第3、又は第4高調波などの高調波に変換することができる。システムによっては異なるレーザを使用するが、非線形水晶振動子のよく知られている高調波発生の作用を利用して、1つのレーザから異なる波長を得ることが可能である。例えば、1.06μmの波長を有する赤外線レーザから、非線形水晶振動子で3倍になる高調波を用いて、約353nmの波長を有する紫外光を得ることができる。波長変換器は、検流計装着ミラーなどのビーム誘導デバイスを含むことができる。ミラーは、レーザ源からのレーザビームの経路を速く変化させて、バイパスすることができる。波長変換器302を使用してビームのスポットサイズを調整することができる。この光学系は、レーザビームを加工品上に集束させるレンズ及びミラーと、ビームを加工品上の様々な位置に誘導する構成要素とを含むことができる。具体的な一実施形態では、ビームを誘導する構成要素は、検流計に装着されたミラーとすることができる。コントローラを使用して光学系、及びビームを誘導する構成要素の動きを制御することができる。例えば、薄膜加工品304にラインをスクライブする場合、光学系302はコントローラによって制御して、各集束レーザスポットが前の集束レーザスポットに隣接する位置に、ただしいくらか重なって誘導されるように、ビームを加工品の表面に沿ってまっすぐに走査することができる。別の実施形態では、光学系は、レーザビームを加工品の表面に集束することができ、加工品ホルダはコントローラによって制御して、各集束レーザパルスが、レーザパルスのバースト中の前の集束レーザパルスに隣接する場所に、ただしスポットがいくらか重なって当たるように、加工品をまっすぐに移動させることができる。
【0039】
[0060]図10は、本発明の一実施形態による有益なパルス形状を有するパルスのバーストを使用して薄膜材料にパターンをスクライブする方法を示す流れ図である一実施形態では、パターンは直線とすることができ、別の実施形態では、パターンは曲線とすることができる。動作1005で、有益なレーザパルス時間パルス形状が選択される。動作1010で、有益なレーザパルス時間パルス形状をそれぞれ有する一連のレーザパルスが供給される。動作1015で、第1のレーザパルスのスポットが薄膜材料の上に置かれる。動作1020で、後続パルスのそれぞれのレーザスポットが、各スポットが前のパルスのスポットと隣接するように、ただしスポット領域の一部を重ねて、直線又は曲線とすることができるパターンに沿って薄膜上に連続して置かれる。
【0040】
[0061]本発明の諸実施形態は、産業用途を含む様々な用途に適した新規のレーザ微細機械加工工程を提示する。本明細書で説明するように、本発明の諸実施形態は、新しいレーザの設計が要求されることなしに、パルス持続期間、繰返し率、及び/又はパルスエネルギーの新しい組合せを作り出すレーザシステムを提示する。従来の一部のシステムでは、単一のレーザパルス中のエネルギーの時間的分布の微妙な違いはほとんど注目されなかった。本明細書で説明するファイバレーザ構成では、従来の制約を克服し、単一レーザプラットフォームを可能にし、この単一レーザプラットフォームを用いて広範囲の用途に対処することができる。以下で説明するように、本発明の諸実施形態は、各レーザパルスの時間的エネルギー分布を特定の用途の要件に応じて適時に調整することによって得られる利点を例示する。
【0041】
[0062]いくつかの実施では、25ワット、1064nmパルスのプログラム可能ファイバレーザが利用される。従来のレーザと異なり、本明細書で説明するレーザシステムでは、パルス持続時間を広範囲のパルス幅にわたって変えることが可能である。一例として、パルス持続時間は、やはり可変であるレーザ繰返し率とは別個に、約2ナノ秒〜数百ナノ秒の所定の範囲にわたって変えることができる。一例として、レーザ繰返し率の変化は、単一パルスから500kHzの繰返し率まで様々でありうる。いくつかの実施では、繰返し率は500kHzを超える。パルス持続期間及び繰返し率の変化に加えて、各パルスは、瞬時レーザパワーの所定の(有益な、とも言う)時間プロファイルが得られるように任意にプログラムすることができる。これらの成形されたパルスを含むパルス列は、高い繰返し率での微細機械加工工程に適用することができる。
【0042】
[0063]本発明の諸実施形態は、CdTe太陽電池スクライブ用途に適用可能である。当業者には明らかなように、CdTeは、薄膜光起電力(PV)モジュールの材料系として利用される。CdTeのレーザスクライブでは、P1ステップは通常、ソーダ石灰ガラス(SLG)基板を露光することになる。そうすると、ガラスからのNa拡散がCdTe膜の性能に悪影響を及ぼす。この問題を緩和するために、従来の工程ではP1スクライブをCdTe堆積の後に実施し、次に、得られた溝がフォトレジストでバックフィルされる。このフォトレジストは、Na拡散バリアとして働き、上に重なる導電層の機械的支持体として働き、後に起こる電気的分路を防止する。このフォトレジスト塗布工程は、CdTeモジュール製造ラインにおける資本設備のコストのうちの大きな割合を占める。
【0043】
[0064]Na拡散の問題がなければ、P1スクライブは活性CdTe層の堆積の前に実施することができ、それによってフォトレジスト塗布ステップがなくなる。CdTe太陽電池に通常使用されるガラス基板は、建築業界向けに商業生産されているTECシリーズガラスである。これらのガラスの際だった特徴は、片側の多層透明導電酸化物コーティング(TCO)であり、これは表面に高い導電性を与える。図11は、本発明の一実施形態による加工に適した多層積層薄膜構造の簡略化概略図である。図11に示された構造はTEC15ガラスの多層積層であるが、他のガラス基板も本発明の諸実施形態で使用するのに適している。この構造は、厚さ約3mmのSLG基板、厚さ約30nmの真性SnO層、厚さ約20nmのSiO層、及び厚さ約300nmのSnO:F層を含む。SnO:F層は、この構造に高い導電性を与える。本発明の諸実施形態は、他の薄膜積層構造、例えば、類似の構造を有するがより厚いSnO:F層を含むTEC10ガラスにも適用可能である。
【0044】
[0065]図11は、本発明の諸実施形態を使用する加工に適した特定の材料を示すが、本発明は、これらの特定の材料に限定されない。他の実施形態では、真性SnOとして図示されている第1の層は、下にある基板(例えば、ソーダ石灰ガラス)に存在するナトリウム又は他の元素に対する拡散バリアになる1つ又は複数の層とすることができる。加えて、真性SnOとして図示されている第1の層は、接着性を増進することもできる。SiOとして図示されている第2の層は、フッ素又は他の適切なドーパントが第1の層又は下にある基板の中に拡散することを防ぐことができる。すなわち、第1の層でも第2の層でも、拡散バリア機能を実現することができる。いくつかの実施形態では、真性SnOとして図示されている第1の層により、構造体を透過又は反射する光をカラーバランスさせる透過スペクトル制御機能が得られる。したがって、SnO以外の材料は、カラー制御を利用する実施で使用することができる。さらに、絶縁性にすることができる第2の層は、P1スクライブ後の太陽電池の様々な部分間を分離する。SiOが図11に示されているが、本発明はこの特定の材料に限定されず、他の酸化物ベースの誘電体及び窒化物ベースの誘電体(例えば、Si)など他の絶縁層を、電気的分離が望ましい用途に利用することができる。
【0045】
[0066]従来のレーザスクライブによるCdTe P1加工では、図示の3つの層全てを除去し、それによってCdTe膜がガラス基板からの有害なNaにさらされる場合がある。本発明のいくつかの実施形態は、SnO2:F層だけを除去してSiO層で終わり、それによってガラス基板とCdTe膜の間にバリアを保存する。結果として、本明細書で説明する方法は、上で論じたNa拡散の問題を低減し、又はなくする。
【0046】
[0067]本発明者らは、1064nmでの膜アブレーションが興味深いレーザ相互作用現象を引き起こすことを突き止めた。特に、本発明者らは、単一パルスアブレーションピットの深さが、実質的にパルス持続時間とだけ関係があることを突き止めた。つまり、パルスエネルギー及びピークパワーは、結果として得られるアブレーションピットの深さに対し相対的にほとんど影響を及ぼさない。さらに、本発明者らは、ほぼ平坦なアブレーションピットの底部を生成できることを突き止めた。本発明の諸実施形態を限定することなしに、本発明者らは、SnO:F層の化学的解離がアブレーション中に起きており、したがって、その反応速度が、ピット深さが増加する速さを規定すると考える。SnOを形成するエンタルピーに基づく計算では、単一の直径25μmのピット内に存在する量のSnOの解離で、約4μJのエネルギーが単一パルス相互作用の際に使われることが示される。この計算に熱容量、融解熱及び気化熱が含まれないことを考慮すると、この結果はなお、15μJレーザパルスに与えられている実際のエネルギーとよく似ている。さらに、この反応は吸熱性であり、そのため、熱源が除かれると(すなわち、レーザパルスが停止すると)反応が終わることになる。いくつかの実施形態では、反応は、熱源の除去とほぼ同時に終わる。
【0047】
[0068]図12は、本発明の一実施形態によるレーザパルス形状及びエッチング深さを時間との関係で表す簡略化グラフである。図12を参照すると、レーザパルス形状(時間プロファイル)が実線で示され、エッチング深さが菱形で示されている。このレーザパルス形状は「いすパルス」と呼ぶことができ、約4ns〜約25nsの時間がいすの座面を表す。エッチング深さとは、単一パルスアブレーション事象により得られるエッチングピットの深さである。時間との関係でのエッチング深さプロファイルの約360nmにおける傾斜の変化は、SnO:F層とSiO層の間の境界面で起きるエッチング速度変化に対応する。本明細書で論じるように、「テール持続期間」は初期の高いピークパワースパイク(図12で2nsの長さ)を含む。すなわち、「テール持続期間」という語は、パルスの開始からパルスの終止までの時間を含む。図12に示されたレーザパルス形状は長さ2nsの第1の部分、及び長さ23nsの第2の部分を含むが、こうであることが本発明で必要ということではない。他の実施形態では、第1の部分は約0.1ns〜約5nsの範囲にあり、第2の部分は約5ns〜約50ns、例えば約10ns〜約25nsの範囲にある。
【0048】
[0069]本発明の諸実施形態では、時間との関係でのエネルギー入力の制御を利用して、総エネルギー入力、よって下の層への熱の影響、を低減又は最小限にしながらアブレーションピットの深さを精密に制御する。図12を参照すると、上で論じたパルス調整を利用してパルスが生成され、このパルスは、最初に所定の期間高いピークパワーから開始し、次に、SnO:F層が除去されるまでSnO;F解離反応(及び/又は昇華及び蒸発)を維持するのに十分なだけのレベルまでパワーを低減する。一例として、レーザピークパルスパワーは、最初の2nsでは解離反応を開始するために6kWであり、次いで、後の23nsでは解離反応を維持し完了するために300Wに低減される。他の実施形態では、パルスの最初の部分(例えば、最初の2ns)の期間中レーザピークパワーは、約500W〜約20kWの範囲にあり、第2の部分の期間中レーザピークパワーは、約100W〜約1kWの範囲にある。いくつかの実施形態では、単一パルス加工が、薄膜構造の所定の領域を除去するために使用される。他の実施形態では、単一パルスバーストが、単一レーザ点火事象中に生成される複数のサブパルスを含めて、除去加工に使用される。これらの実施形態では、単一光パルス又はパルスバーストは、最上層を除去する一方で、下にある層のかなりの部分は除去しない。直線的な構造を形成するために、ビーム成形を用いて非ガウス形の所定の断面(例えば、シルクハットプロファイルを有する長方形ビーム、又は他の均質化された形状)を有するビームを形成することができる。次に、成形されたレーザビームは、隣接する一連の所定の領域に誘導することができ、これらの領域を縫い合わせるように一緒にして、所定の各領域を隣接して配置することによって直線的な構造が形成される(類似したものは、接している一連の床タイルである)。長方形のビーム断面は、他の形状と同様に、これらの実施形態で利用することができる。
【0049】
[0070]上述のように、本発明の諸実施形態では、パルスの第2の部分の期間中、解離反応を維持する。本発明者らは、本発明の範囲を限定することなしに、解離反応の維持が、時間との関係で一定の温度プロファイルにすることによるものと考える。図14は、レーザパルスのレーザピークパワーと相互関連しているターゲット領域温度を時間との関係で表すグラフである。図14に示されるように、パルスの第2の部分の期間中に除去される領域の温度は、ほぼ一定である。レーザパルスの時間的形状を調整することによって、エネルギーの流入と流出を釣り合わせて一定の温度を維持することが可能である。他の実施形態では、解離反応がやはり維持される、ある範囲の温度が生成される。これらの実施形態では、温度は、図14に示された一定値に対して例えば約5%だけ、又は約10%だけ異なることがある。
【0050】
[0071]いくつかの実施形態では、初期ピークパワーの95%を超えるだけピークパワーを低減できる一方で、所望の反応がなお継続される。第2の部分の持続期間は、数十ナノメートルの精度まで制御可能な薄膜層の除去が行われるように制御される。
【0051】
[0072]図13は、本発明の一実施形態によるエッチングピット形態の変化を時間との関係で示す一連の光学像である。図13を参照すると、エッチングピット形態は、パルステイルの持続期間が増加されるときに、光学顕微鏡を使用して追跡することができる。像(a)から(j)は、光パルスの初めから2ns(すなわち、第1の部分の末端)(像(a))から、第2の部分の末端近くに生じる、パルスの初めから22ns(像(j))まで得られる。最初のいくつかの像(像(a)から(e))は、エッチングピット深さが増すときのSnO:F層の初期の除去を示す。約12ns(像(f))で、SnO:Fはほぼ除去され、約18ns(像(i))で、図11に示された残りのSiO及びSnO層が貫通される。図13に示されたリングは、顕微鏡像で観察される干渉に起因すると考えられる。
【0052】
[0073]本発明の諸実施形態は、CdTe太陽電池用途に使用される薄膜層に関して例示してきたが、本発明はこれらの特定の層に限定されない。他の適切な構造には、アモルファスシリコン、可撓性電子構造、フラットパネルディスプレイ、薄膜を利用する他の構造、ZnOベースの膜などが含まれる。単なる例として示すと、アモルファスシリコンを含む層を含む薄膜材料、テルル化カドミウム、2セレン化銅インジウム、2セレン化銅インジウムガリウム、酸化亜鉛、及びモリブデンが本発明の範囲内に含まれる。当業者には、多くの変形形態、修正形態及び代替形態が理解されよう。
【0053】
[0074]本発明を、その特定の実施形態及び具体的な例に関して説明してきたが、他の実施形態が本発明の趣旨及び範囲内に入ることもあることを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、その全範囲の等価物と共に参照して決定されるべきである。
【符号の説明】
【0054】
11 パルスのバースト
21 パルスのバースト
31 第1のパルス
32 最後のパルス
35 溝
36 基板
37 単一の薄膜材料
38 残留物及び破片
39 薄膜の縁部の微小亀裂
40 基板の微小亀裂
51 発振器
52 増幅器
53 電子ドライバ
55 電子ドライブ信号
56 発生されるパルスのバースト
57 出力パルスのバースト
110 シード源
114 第1のポート
116 第3のポート
120 光サーキュレータ
122 第2のポート
130 振幅変調器
132 第1の側面
134 第2の側面
136 入力端
146 反射端
150 第1の光増幅器
160 第2の光増幅器
210 安定化光源
214 第1のポート
216 第2のポート
218 第3のポート
220 光サーキュレータ
230 信号源
300 レーザ源
301 波長変換器
302 光学系
303 加工品ホルダ
304 加工品
305 コントローラ
平坦上部のピークパワー
ピークパワー
ピークパワー
FT 後縁立下がり時間
FT 立下がり時間
パルス長FWHM
スパイクのパルス長
パルス長
12 時間
RT 前縁立上がり時間
RT 立上がり時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の層と、前記第1の層と接触する第2の層とを含む薄膜構造の少なくとも一部分を除去する方法であって、
第1のピークパワーレベルを第1の部分の期間中有し、それに続く第2のピークパワーレベルを第2の部分の期間中有する時間パルス形状を特徴とするレーザパルスを供給するステップと、
前記レーザパルスを前記薄膜構造に当てるように誘導するステップと、
前記第1の層における除去加工を前記第1の部分の期間中に開始するステップと、
前記除去加工を前記第2の部分の期間中維持するステップと、
前記第2の部分の終わりに前記除去加工を終了させるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記薄膜構造が、絶縁膜の上に重なる導電膜を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電膜が透明導電酸化物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記透明導電酸化物がSnO:Fを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記絶縁膜が、酸化物ベース又は窒化物ベースの誘電体の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化物ベース又は窒化物ベースの誘電体がSiOを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の部分のピークパワーが前記第2の部分のピークパワーの少なくとも2倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の部分のピークパワーが前記第2の部分のピークパワーの少なくとも20倍である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の部分と前記第2の部分の期間中の立下がり時間が、時間パルス形状の持続期間の5%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記立下がり時間が2%未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記除去加工を前記第2の部分の期間中維持するステップが、前記第1の層の温度をほぼ一定の温度に前記第2の部分の期間中維持するサブステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
CdTe太陽電池構造をレーザスクライブする方法であって、
第1のパワーレベルを光パルスの第1の部分の期間中有し、前記第1のパワーレベル未満の第2のパワーレベルを前記光パルスの第2の部分の期間中有する時間プロファイルを特徴とする、前記光パルスを生成するように動作可能なレーザを用意するステップと、
前記光パルスを前記CdTe太陽電池構造に当てるように誘導するステップであり、前記CdTe太陽電池構造が、基板、前記基板に隣接する透過スペクトル制御層、前記透過スペクトル制御層に隣接するバリア層、及び前記バリア層に隣接する導電層を備えるステップと、
前記導電層の除去加工を開始するステップと、
前記絶縁層を除去する前に前記除去加工を終了するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記時間プロファイルが、約1ns〜600nsの間のパルス長を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板がソーダ石灰ガラスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記透過スペクトル制御層がSnOの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記バリア層が、SiO又はSiのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記導電層が透明導電酸化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記導電酸化物がSnO:F、In、ZnO、又はCdSnOのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記導電層に対する前記除去加工を開始するステップが、前記導電層の温度を一定の温度に、前記第2の部分の期間中維持するサブステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記光パルスが、非ガウス形空間プロファイルを特徴とする、請求項12に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−213802(P2012−213802A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−74462(P2012−74462)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(511300570)イ−エスアイ−パイロフォトニクス レーザーズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】