説明

テレビジョン信号送信機

【課題】 送信すべきテレビジョン信号のチャンネルの帯域内のレベル偏差を少なくする。
【解決手段】 テレビジョンの中間周波帯の信号を処理する中間周波回路部1と、第一の周波数変換器2aと第一のバンドパスフィルタ2bと第二の周波数変換器2dとが順次縦続接続されて中間周波帯の信号を二回の周波数変換をしてテレビジョンの放送帯域内の特定のチャンネルのテレビジョン信号に変換して出力する周波数変換部2と、第二のバンドパスフィルタ3aを有すると共に、テレビジョン信号を処理するテレビジョン信号出力部3とを備え、テレビジョン信号の帯域内のレベルが平坦になるように調整するレベル偏差補正回路1cを中間周波回路部1に設けた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CATV(ケーブルテレビジョン)システムのヘッドエンド(送信側)等で使用されるテレビジョン信号送信機に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来のテレビジョン信号送信機の構成を示す回路図である。図5において、テレビジョンの中間周波帯の信号(中間周波信号という)が入力される中間周波回路部41は中間周波増幅器41a、アッテネータ41bを有している。また、中間周波信号を周波数変換する周波数変換部42は第一の周波数変換器42a、第一のバンドパスフィルタ42b、第一周波数帯信号増幅器42c、第二の周波数変換器42dを有し、中間周波信号を放送帯域(およそ50MHz〜1000MHz)内の送信すべき特定チャンネルのテレビジョン信号に変換する。また、周波数変換部42から出力される特定チャンネルのテレビジョン信号を処理するテレビジョン信号出力部43は第二のバンドパスフィルタ43aと出力増幅器43bを有している。第二のバンドパスフィルタ43aは連続した複数チャンネルのテレビジョン信号を通過出来るように広い通過帯域を有している。
【0003】以上の構成において、図示しない変調器から出力された40MHz帯の中間周波信号は中間周波回路部41で所定のレベルに設定され、第一の周波数変換器42aによって1300MHz帯の第一周波数帯信号に周波数変換される。第一周波数帯信号は6MHzの通過帯域を有する第一のバンドパスフィルタ42bによって不要帯域の信号が除去される。次いで、第一周波数帯信号増幅器42cで増幅される。そして、第二の周波数変換器42dによって第二周波数帯信号である送信すべき特定チャンネルのテレビジョン信号に変換される。このテレビジョン信号は、第二のバンドパスフィルタ43a、出力増幅器43bを経て図示しないケーブルに送出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した従来のテレビジョン信号送信機では、送信される特定チャンネルの帯域におけるレスポンス(帯域内のレベル偏差)は、主として第一バンドパスフィルタ42b、第二のバンドパスフィルタ43aのそれぞれの通過帯域におけるレベル偏差に左右されるが、そのほかにも、中間周波増幅器41a、第一周波数帯信号増幅器42c、出力増幅器43b等の増幅度の帯域内偏差にも左右される。このため、テレビジョン信号の帯域内にレベル偏差が生じ、出力増幅器43bから出力されるテレビジョン信号が、例えば、図6に示すように、映像搬送波Pと音声搬送波Sとの間にレベル差Aが生じても、そのまま、ケーブルに送出される。この結果、画像品質の低下等を引き起こす。
【0005】従って、本発明のテレビジョン信号送信機は、送信すべきテレビジョン信号のチャンネルの帯域内のレベル偏差を少なくすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明のテレビジョン信号送信機は、テレビジョンの中間周波帯の信号を処理する中間周波回路部と、第一の周波数変換器と第一のバンドパスフィルタと第二の周波数変換器とが順次縦続接続されて前記中間周波帯の信号を二回の周波数変換をしてテレビジョンの放送帯域内の特定のチャンネルのテレビジョン信号に変換して出力する周波数変換部と、第二のバンドパスフィルタを有すると共に、前記テレビジョン信号を処理するテレビジョン信号出力部とを備え、前記テレビジョン信号の帯域内のレベルが平坦になるように調整するレベル偏差補正回路を前記中間周波回路部に設けた。
【0007】また、本発明のテレビジョン信号送信機は、前記レベル偏差補正回路を同調回路で構成し、前記同調回路の同調周波数を変えられるようにした。
【0008】また、本発明のテレビジョン信号送信機は、前記同調回路を単同調回路で構成した。
【0009】また、本発明のテレビジョン信号送信機は、前記同調回路を複同調回路とし、前記複同調回路を構成する一次同調回路と二次同調回路とのそれぞれの同調周波数を変えられるようにした。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のテレビジョン信号送信機を図1乃至図4に従って説明する。ここで、図1は本発明のテレビジョン信号送信機の構成を説明する回路図であり、図2は本発明のテレビジョン信号送信機におけるレベル偏差補正回路の構成例を示す回路図であり、図3は本発明のテレビジョン信号送信機におけるレベル偏差補正回路の他の構成例を示す回路図であり、図4R>4はレベル偏差の補正の説明図である。
【0011】図1において、テレビジョンの中間周波帯の信号(中間周波信号という)IFが入力される中間周波回路部1は中間周波増幅器1a、アッテネータ1b、レベル偏差補正回路1cを有している。アッテネータ1bはピンダイオードを用いて構成されている。また、レベル偏差補正回路1cは図2、図3に示すように同調回路で構成され、その同調周波数が変えられるようになっている。中間周波信号IFは40MHz帯の周波数となっており、映像中間周波数と音声中間周波周数との間隔は4.5MHzとなっている。
【0012】図2に示すレベル偏差補正回路1cは並列接続されたインダクタンス手段であるコイル11と容量手段であるトリマコンデンサ12とからなる単同調回路で構成され、例えば、トリマコンデンサ12の容量値を変えることでその同調周波数が変えられる。
【0013】また、図3に示すレベル偏差補正回路1cは複同調回路で構成され、一次インダクタンス手段となる一次コイル13aとこれに並列接続された容量手段であるトリマコンデンサ13bとからなる一次同調回路と13、二次インダクタンス手段となる二次コイル14aとこれに並列接続された容量手段であるトリマコンデンサ14bとからなる二次同調回路14とを有し一次同調回路13と二次同調回路14とがインダクタンス手段15によって互いに結合し、さらに、一次コイル13aと二次コイル14aとが互いに結合している。
【0014】また、中間周波信号IFを周波数変換する周波数変換部2は第一の周波数変換器2a、第一のバンドパスフィルタ2b、第一周波数帯信号増幅器2c、第二の周波数変換器2dを有し、中間周波信号IFをテレビジョンの放送帯域(およそ50MHz〜1000MHz)内のいずれかの送信すべき特定チャンネルのテレビジョン信号RFに変換する。なお、第一のバンドパスフィルタ2bの通過帯域はおよそ6MHzとなっており、その中心周波数は1300MHz帯に設定されている。また、図示はしないが、第一の周波数変換器2aには発振周波数が固定の局部発振器が備えられており、第二の周波数変換器2dには発振周波数が可変出来る局部発振器(いずれも図示せず)が備えられている。
【0015】また、周波数変換部2から出力されるテレビジョン信号RFを処理するテレビジョン信号出力部3は第二のバンドパスフィルタ3aと出力増幅器3bを有している。第二のバンドパスフィルタ3aは複数の分割フィルタを有し、それぞれの分割フィルタは連続した複数チャンネルのテレビジョン信号を通過出来るように広い通過帯域を有し、何れかの分割フィルタが使用されることで放送帯域内の何れか一つのチャンネルに周波数変換されたテレビジョン信号を通過させるようにしている。
【0016】以上の構成において、図示しない変調器から出力された中間周波信号IFは中間周波増幅器1aとアッテネータ1bとによって所定のレベルに設定される。また、レベル偏差補正回路1cによって、映像中間周波信号のレベルと音声中間周波信号のレベルとの相対的な差を変えて第一の周波数変換器2aに入力される。第一の周波数変換器2aに入力された中間周波信号は、局部発振器から出力される1250MHz帯の局部発振信号と混合されて1300MHz帯の第一周波数帯信号に周波数変換される。
【0017】第一周波数帯信号は第一のバンドパスフィルタ2bによって不要帯域の信号が除去される。次いで、第一周波数帯信号増幅器2cで増幅される。そして、第二の周波数変換器2dによって第二周波数帯信号である送信すべき特定チャンネルのテレビジョン信号RFに変換される。テレビジョン信号RFは、第二のバンドパスフィルタ3a、出力増幅器3bを経て図示しないケーブルに送出される。
【0018】ここで、レベル偏差補正回路1cとして図2R>2に示す単同調回路を用いた場合、その同調周波数を映像中間周波信号に近づけることによって出力増幅器3bから出力されるテレビジョン信号RFにおける映像搬送波信号Pのレベルを高くすると共に音声搬送波信号Sのレベルを低くすることが出来る。反対に、同調周波数を音声中間周波信号に近づけることによって出力増幅器3bから出力されるテレビジョン信号RFにおける映像搬送波信号Pのレベルを低くすると共に音声搬送波信号Sのレベルを高くすることが出来る。
【0019】従って、例えば、レベル補正回路1cを除く他の回路、第一のバンドパスフィルタ2b、第二のバンドパスフィルタ3a等による帯域内のレスポンスが図4R>4のXに示すように映像搬送波信号Pのレベルが音声搬送波信号SよりもBだけ低くなっていた場合でも、レベル偏差補正回路1cの同調周波数を映像中間周波信号側に変えることによって(図4Y参照)全体のレスポンスを同図Zのようにフラットにすることが出来る。
【0020】また、図3に示す複同調回路を用いた場合は、一次同調回路13の同調周波数と二次同調回路14の同調周波数との二つの同調周波数を変えられるので、単同調回路に比べて補正可能なレベル偏差の範囲が広くなり、より大きなレベル偏差までを補正できる。
【0021】そして、本発明のテレビジョン信号送信機では、レベル偏差補正回路1cを中間周波回路部1に設けたので、偏差を補正する対象の信号周波数が低くなり、レベル偏差補正回路1cによる信号ロスが少なくなる。また、同調回路で構成することによって同調周波数を変えるだけで補正が簡単に行える。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のテレビジョン信号送信機は、テレビジョンの中間周波帯の信号を処理する中間周波回路部と、第一の周波数変換器と第一のバンドパスフィルタと第二の周波数変換器とが順次縦続接続されて前記中間周波帯の信号を二回の周波数変換をしてテレビジョンの放送帯域内の特定のチャンネルのテレビジョン信号に変換して出力する周波数変換部と、第二のバンドパスフィルタを有すると共に、前記テレビジョン信号を処理するテレビジョン信号出力部とを備え、前記テレビジョン信号の帯域内のレベルが平坦になるように調整するレベル偏差補正回路を前記中間周波回路部に設けたので、偏差を補正する対象の信号周波数が低くなり、レベル偏差補正回路による信号ロスが少なくなる。
【0023】また、本発明のテレビジョン信号送信機は、前記レベル偏差補正回路を同調回路で構成し、前記同調回路の同調周波数を変えられるようにしたので、同調周波数を変えるだけで補正が簡単に行える。
【0024】また、本発明のテレビジョン信号送信機は、前記同調回路を単同調回路で構成したので、一つの同調周波数を変えるだけで簡単に補正できる。
【0025】また、本発明のテレビジョン信号送信機は、前記同調回路を複同調回路とし、前記複同調回路を構成する一次同調回路と二次同調回路とのそれぞれの同調周波数を変えられるようにしたので、単同調回路に比べて補正が可能なレベル偏差の範囲が広くなり、大きなレベル偏差を補正できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテレビジョン信号送信機の構成を説明する回路図である。
【図2】本発明のテレビジョン信号送信機におけるレベル偏差補正回路の構成例を示す回路図である。
【図3】本発明のテレビジョン信号送信機におけるレベル偏差補正回路の他の構成例を示す回路図である。
【図4】本発明のテレビジョン信号送信機におけるレベル偏差の補正の説明図である。
【図5】従来のテレビジョン信号送信機の構成を説明する回路図である。
【図6】本発明のテレビジョン信号送信機におけるレベル偏差の説明図である。
【符号の説明】
1 中間周波回路部
1a 中間周波増幅器
1b アッテネータ
1c レベル偏差補正回路
2 周波数変換部
2a 第一の周波数変換器
2b 第一のバンドパスフィルタ
2c 第一周波数帯信号増幅器
2d 第二の周波数変換器
3 テレビジョン信号出力部
3a 第二のバンドパスフィルタ
3b 出力増幅器
11 コイル
12 トリマコンデンサ
13 一次同調回路
13a 一次コイル
13b、14b トリマコンデンサ
14 二次同調回路
14a 二次コイル
15 結合コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 テレビジョンの中間周波帯の信号を処理する中間周波回路部と、第一の周波数変換器と第一のバンドパスフィルタと第二の周波数変換器とが順次縦続接続されて前記中間周波帯の信号を二回の周波数変換をしてテレビジョンの放送帯域内の特定のチャンネルのテレビジョン信号に変換して出力する周波数変換部と、第二のバンドパスフィルタを有すると共に、前記テレビジョン信号を処理するテレビジョン信号出力部とを備え、前記テレビジョン信号の帯域内のレベルが平坦になるように調整するレベル偏差補正回路を前記中間周波回路部に設けたことを特徴とするテレビジョン信号送信機。
【請求項2】 前記レベル偏差補正回路を同調回路で構成し、前記同調回路の同調周波数を変えられるようにしたことを特徴とする請求項1記載のテレビジョン信号送信機。
【請求項3】 前記同調回路を単同調回路で構成したことを特徴とする請求項2記載のテレビジョン信号送信機。
【請求項4】 前記同調回路を複同調回路とし、前記複同調回路を構成する一次同調回路と二次同調回路とのそれぞれの同調周波数を変えられるようにしたことを特徴とする請求項1記載のテレビジョン信号送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2000−197028(P2000−197028A)
【公開日】平成12年7月14日(2000.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−368035
【出願日】平成10年12月24日(1998.12.24)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】