説明

テレビドアホン装置

【課題】子機の設置環境に対応させてカメラにて撮像される映像の露光設定の最適化を行い、出画映像の視認性を高める。
【解決手段】子機1のカメラ110にて撮像された映像信号に含まれる被写体を人体検知部111にて検知し、カメラにて撮像され人体検知部により人体の存在があると検知された映像信号を時系列で記憶部112に保存するにあたり、解析部113は、記憶部に保存された映像信号が有する分割された複数の測光領域毎の明るさを解析して測光領域毎の明暗差を算出し、この算出結果をもとに測光領域毎の測光量の重み付け演算を作成部114にて行わせ測光領域設定値を作成する。また、子機映像処理部115は、作成部にて作成された測光領域設定値をもとに子機の設置環境による複数の測光領域の露光の最適化を行うように映像信号を信号処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子機のカメラにて撮像される映像を親機のモニタに出画させるテレビドアホン装置に係り、特に、出画映像の視認性を高めたテレビドアホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、子機の設置環境の条件としては、太陽(太陽光)が直接撮像される条件が存在し、カメラにて撮像される来訪者の映像として、その顔部が真っ暗になることが多く、これを解消するにあたっては、逆光補正ボタンの操作に起因した逆光補正を行う技術(例えば、特許文献1に記載のテレビインターホン装置を参照。)や、逆光を自動的に感知して補正を行う技術(例えば、特許文献2に記載のカメラ付きインターホン装置を参照。)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−245758号公報
【特許文献2】特開2002−10247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術に記載された特許文献1、2のうち、特許文献1に記載された逆光補正ボタンを操作するにあたっては、その操作に煩雑さを有するばかりでなく、子機の設置環境の相違に起因して、補正の精度にバラつきが生じる虞があった。
【0005】
一方、特許文献2に記載された自動的な逆光感知による補正を行うにあたっては、子機から親機への呼び出しの動作が行われるたびに、補正動作が能動となるものの、モニタ画面の立ち上がり直後における画像変化に対応することが困難であるばかりでなく、特許文献1と同様、子機の設置環境の相違に起因して、補正の精度にバラつきが生じる虞があった。
【0006】
本発明は、これらの難点を解消するためになされたもので、子機の設置環境に対応させてカメラにて撮像される映像の露光設定の最適化を行い、出画映像の視認性を高めたテレビドアホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるテレビドアホン装置は、被写体の映像を撮像して映像信号を生成するためのカメラを有する子機と、子機のカメラにて撮像された映像信号を出画するためのモニタを有する親機とを設け、子機には、カメラにて撮像された映像信号を時系列で保存するための記憶部と、記億部に保存された映像信号が有する分割された複数の測光領域毎の明るさを解析し、当該測光領域毎の明暗差を算出するための解析部と、解析部の算出結果をもとに測光領域毎の測光量の重み付け演算を行って測光領域設定値を作成するための作成部と、作成部にて作成された測光領域設定値をもとに当該子機の設置環境による複数の測光領域の露光の最適化を行うように映像信号を信号処理する子機映像処理部とを備えている。
【0008】
また、本発明の第2の態様であるテレビドアホン装置は、被写体の映像を撮像して映像信号を生成するためのカメラを有する子機と、子機のカメラにて撮像された映像信号を出画するためのモニタを有する親機とを設けている。子機には、カメラにて撮像された映像信号に含まれる被写体を検知するための人体検知部と、カメラにて撮像され人体検知部により人体の存在があると検知された映像信号を時系列で保存するための記憶部と、記憶部に保存された映像信号が有する分割された複数の測光領域毎の明るさを解析し、当該測光領域毎の明暗差を算出するための解析部と、解析部の算出結果をもとに測光領域毎の測光量の重み付け演算を行って測光領域設定値を作成するための作成部と、作成部にて作成された測光領域設定値をもとに当該子機の設置環境による複数の測光領域の露光の最適化を行うように映像信号を信号処理する子機映像処理部とを備えている。
【0009】
また、本発明の第3の態様であるテレビドアホン装置は、本発明の第2の態様において、解析部は、人体検知部にて存在が検知された人体の明るさが一定以下となったとき、記憶部に予め記憶された映像信号の明るさとのレベル差を参照して作成部にて測光領域設定値を作成させるものである。
【0010】
また、本発明の第4の態様であるテレビドアホン装置は、本発明の第2の態様又は第3の態様において、人体検知部は、親機の親機操作部の操作により手動のタイミングで駆動されるものである。
【0011】
また、本発明の第5の態様であるテレビドアホン装置は、本発明の第1の態様又は第2の態様において、カメラは、親機の親機操作部の操作により手動のタイミングで駆動されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のテレビドアホン装置によれば、子機が設置される周囲環境の相違を問わずして、その周囲環境に対応させてカメラの露光設定の最適化を行うことができるばかりでなく、被写体である来訪者の人体への露光動作を安定化させることができる。また、カメラの露光設定や露光動作の設定については、自動のみならず手動による任意のタイミングで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、子機のカメラにて撮像される映像信号を分割させた一例を示す分割領域図である。
【図3】図3(A)は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、子機のカメラにて撮像される映像信号の一例を示す背景映像図である。また、図3(B)は、図3(A)に示す映像信号を図2の分解領域図に重畳させた領域映像重畳図である。
【図4】図4(A)は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、子機のカメラにて撮像される映像信号の他の例を示す背景映像付き来訪者映像図である。また、図4(B)は、図4(A)に示す映像信号を図2の分解領域図に重畳させた領域映像重畳図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のテレビドアホン装置を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置の具体的な構成を示すブロック図である。同図に示すテレビドアホン装置には、住戸外の例えば、住戸玄関に設置される子機1と、子機/親機ラインLを経由して子機1に接続され住戸内に設置される親機2とが設けられている。
【0016】
また、子機1には、子機操作部100、映像撮像部101、子機マイク102、子機スピーカ103、子機音声処理部104、子機電源部105、子機制御部106及び子機インターフェース部(以下、同様なインターフェース部を「I/F」という。)107が備えられている。
【0017】
この子機1において、子機操作部100は、子機制御部106によって操作検出され、住戸外に居る来訪者が住戸内に在室中の居住者を呼び出すために所定の呼出操作を行うものであり、例えば、呼出ボタンで構成されている。
【0018】
映像撮像部101は、子機制御部106によって制御されるものであり、カメラ110、人体検知部111、記憶部112、解析部113、作成部114及び子機映像処理部115が備えられている。
【0019】
ここで、カメラ110は、被写体である住戸玄関の周囲近傍の映像や来訪者の映像を撮像して映像信号を生成するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種の撮像媒体で構成されている。また、人体検知部111は、カメラ110にて撮像された映像信号に含まれる被写体として、来訪者のような人体の存在があることを検知するためのものである。また、記憶部112は、カメラ110にて撮像され人体検知部111により人体の存在があると検知された映像信号を時系列で保存するためのものであり、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体で構成されている。また、解析部113は、記憶部112に保存された映像信号が有する分割された複数の測光領域毎の明るさを解析し、当該測光領域毎の明暗差を算出するためのものである。また、作成部114は、解析部の算出結果をもとに測光領域毎の測光量の重み付け演算を行って測光領域設定値を作成するためのものである。さらに、子機映像処理部115は、作成部114にて作成された測光領域設定値をもとに当該子機の設置環境による複数の測光領域の露光の最適化を行うように映像信号を信号処理するためのものであり、この信号処理の後、例えば、FM変調や増幅を行うことができる。
【0020】
また、解析部113は、前述の機能のみならず、人体検知部111にて存在が検知された人体の明るさが一定以下となったとき、記憶部112に予め記憶された映像信号の明るさとのレベル差を参照して作成部114にて測光領域設定値を作成させることができる。
【0021】
子機マイク102及び子機スピーカ103は、来訪者が居住者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)信号を入出力するものである。また、子機音声処理部104は、子機制御部106によって制御され、子機マイク102及び子機スピーカ103にて入出力される音声(送話音声、受話音声)信号について所定の信号処理を行う例えば、4線/2線変換、2線/4線変換や増幅を行うためのものである。
【0022】
子機電源部105は、親機2の後述する子機用電源供給部207にて生成され子機/親機ラインLを経由して電源供給されてくる子機用電源(待受電源、動作電源)を受電し、当該子機の構成各部に電源供給するためのものである。
【0023】
子機制御部106は、当該子機の構成各部を制御するためのものである。また、子機I/F107は、映像撮像部101の子機映像処理部115から子機/親機ラインLへの信号伝送路と、子機音声処理部104及び子機/親機ラインLの間の信号伝送路と、子機/親機ラインLから子機電源部105への電源供給路と、子機制御部106及び子機/親機ラインLの間の信号伝送路とをそれぞれ形成するためのものである。
【0024】
また、親機2には、親機操作部200、モニタ201、親機映像処理部202、親機マイク203、親機スピーカ204、親機音声処理部205、親機電源部206、子機用電源供給部207、親機制御部208及び親機I/F209が備えられている。
【0025】
この親機2において、親機操作部200は、親機制御部208によって操作検出され、居住者が来訪者からの呼び出しに応答して通話を成立させるための所定の応答操作と、成立中の通話を終了させるための所定の終話操作と、当該装置が例えば待受状態において、子機1の映像撮像部101(110、111、112、113、114、115)及び自親機のモニタ201、親機映像処理部202をそれぞれ駆動させ、モニタ監視するための所定の監視操作や、カメラ110の露光設定動作や人体検知部111の検知動作を開始させるための所定の駆動操作を行うものであり、例えば、前述の各種操作に対応させた押圧ボタンやモニタ201の前面に配置されるタッチパネルで構成されている。
【0026】
モニタ201は、親機制御部208によって制御され、子機1の映像撮像部101を構成するカメラ110にて生成された映像信号を出画するためのものであって、例えば、LCD、PDP、有機ELディスプレイ等の各種の表示媒体で構成されており、このモニタ201には、来訪者からの呼び出しがある旨の呼出表示を行うこともできる。また、親機映像処理部202は、親機制御部208によって制御され、子機1から子機/親機ラインLを経由して伝送されてくる映像信号について所定の信号処理を行う例えば、FM復調や増幅を行うためのものである。
【0027】
親機マイク203及び親機スピーカ204は、居住者が来訪者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)信号を入出力するものであって、この親機スピーカ204は、前述の通話機能のみならず、親機制御部208の制御によって、来訪者からの呼び出しがある旨の呼出発報を行うこともできる。また、親機音声処理部205は、親機制御部208によって制御され、親機マイク203及び親機スピーカ204にて入出力される音声(送話音声、受話音声)信号について所定の信号処理を行う例えば、4線/2線変換、2線/4線変換や増幅を行うためのものである。
【0028】
親機電源部206は、親機制御部208によって制御され、例えば、AC100Vの商用電源を整流・平滑して生成された直流電源を、当該親機の待受電源又は動作電源として電源供給するためのものである。また、子機用電源供給部207は、親機制御部208によって制御され、親機電源部206にて生成された直流電源を、子機1の待受電源又は動作電源の子機用電源として生成し、電源供給するためのものである。
【0029】
親機制御部208は、当該親機の構成各部を制御するためのものである。また、親機I/F209は、子機/親機ラインLから親機映像処理部202への信号伝送路と、親機音声処理部205及び子機/親機ラインLの間の信号伝送路と、子機用電源供給部207から子機/親機ラインLへの電源供給路と、親機制御部208及び子機/親機ラインLの間の信号伝送路とをそれぞれ形成するためのものである。
【0030】
このように構成された本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、以下、具体的な動作について説明する。
【0031】
最初に、図1に示す子機1及び親機2が待受状態、すなわち、来訪者による子機1から親機2への呼び出しがなく通話も成立していない状態であり、子機1の映像撮像部101(110、111、112、113、114、115)と、親機2のモニタ201及び親機映像処理部202とがそれぞれ非能動(駆動停止)状態であるとき、親機2の親機電源部206は、例えば、AC100Vの商用電源を整流・平滑して所定の電圧レベルである待受用の直流電源を生成し、当該親機の構成各部に電源供給しているとともに、この直流電源を待受用の子機用電源として、子機用電源供給部207から親機I/F209、子機/親機ラインL、子機1の子機I/F107、子機電源部105を経由して当該子機の構成各部に電源供給している。
【0032】
次に、第1の動作として、住戸内に在室中の居住者が住戸外の様子を監視するにあたり手動のタイミングで操作される親機2の親機操作部200を使用した所定のモニタ監視操作、又は親機制御部208が有する計時機能に連動したモニタ監視動作への自動のタイミングによる移行動作を検出した親機制御部208は、待受状態からモニタ監視状態に遷移し、親機電源部206を制御して前述の待受用よりも高い電圧レベルであるモニタ監視用の直流電源を生成して当該親機の構成各部に電源供給させるとともに、この直流電源をモニタ監視用の子機用電源として前述の待受用の子機用電源と同様な電源供給路を経由して子機電源部105から当該子機の構成各部に電源供給させることができる。
【0033】
また、親機2において、モニタ監視状態の親機制御部208は、モニタ201及び親機映像処理部202がそれぞれ能動(駆動)状態となるように制御する。
【0034】
さらに、子機1において、映像撮像部101を構成するカメラ110、人体検知部111、記憶部112、解析部113、作成部114及び子機映像処理部115はそれぞれ、子機電源部105からの子機用電源を受電し、子機制御部106の制御によって能動(駆動)状態となる。
【0035】
ここで、子機1の映像撮像部101による具体的な動作として、カメラ110は、被写体の映像として、例えば、図3(A)の背景映像図に示すような住戸玄関の周囲近傍の映像を撮像して映像信号を生成し、子機映像処理部115を経由して時系列で記憶部112に保存する。なお、人体検知部111は、カメラ110にて撮像される映像信号が住戸玄関の周囲近傍の映像であるため、来訪者のような人体の顔部を検出することがなく、その検出結果情報が記憶部112に記憶されることもない。
【0036】
解析部113は、記憶部112に保存された映像信号を複数の測光領域に分割、ここでは、図2の分割領域図に示すように9つの測光領域「Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9」に分割するとともに、例えば、36箇所の検出ポイント「a1〜a6」、「b1〜b6」、「c1〜c6」、「d1〜d6」、「e1〜e6」、「f1〜f6」毎の明るさを解析し、例えば、数値が大きくなるにつれて明度が高いことを表す18(1〜18)段階で数値化した明るさの最大値と最小値との引き算を行い、その算出結果情報を作成部114に送出する。
【0037】
その数値化の具体例としては、図3(B)の領域映像重畳図に示す太陽光が位置する検出ポイント「a3」の明るさの差分=「18」、建物や玄関柵・棒等の影が位置する検出ポイント「a1、a2、b1、b2、c1、c2、d1、d2、e1、e2、f1、f2」の明るさの差分=「1」、建物や玄関柵・棒等の映像が位置する検出ポイント及びその他、例えば、空や雲の映像が位置する検出ポイント「a4〜a6、b3〜b6、c3〜c6、d3〜d6、e3〜e6、f1〜f6」の明るさの差分=「2、3、4、・・・16、17」のように適宜に数値化することができ、式(1)のように表される。
a1:a2:a3:・・・:f4:f5:f6=1:1:18:・・・:8:2:4……(1)
【0038】
作成部114は、解析部113からの算出結果情報をもとに、9つの測光領域Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9毎の平均をとり、その割合を算出することにより、例えば、式(2)に示す関係式を得ることができる。
Z1:Z2:Z3:・・・:Z8:Z9=1:18:14:・・・:6:3……(2)
【0039】
また、作成部114は、式(2)の逆数を算出して式(3)に示す関係式を得た後、その結果を16倍して小数点以下を切り捨てするような重み付け演算を行い、式(4)に示す関係式を算出し、その算出結果情報を測光領域設定値として子機映像処理部115に送出する。
Z1:Z2:Z3:・・・:Z8:Z9=1:1/18:1/14:・・・:1/6:1/3……(3)
Z1:Z2:Z3:・・・:Z8:Z9=16:0:1:・・・:2:5……(4)
【0040】
子機映像処理部115は、算出結果情報として作成部114にて作成された式(4)に示す測光領域設定値をもとに、その値が大きい領域である測光領域Z1(Z4、Z7)の明るさを参照し、この明るさでカメラ110の露光を合わせるように9つの測光領域Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9の最適化を行うことができる。このように最適化が行われた後に信号処理された映像信号は、子機I/F107、子機/親機ラインL、親機2の親機I/F209を経由して親機映像処理部202に送出される。
【0041】
親機2の親機映像処理部202は、子機1の映像撮像部101を構成するカメラ110にて撮像された映像信号であり、子機1の設置環境による9つの測光領域Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9毎の最適化が行われた映像信号を信号処理し、モニタ201に出画させることができる。
【0042】
前述までの第1の動作によれば、測光領域設定値が大きい領域の明るさを参照し、この明るさもとに、住戸玄関の周囲近傍の映像を撮像して映像信号を生成する子機1の映像撮像部101を構成するカメラ110の露光を合わせることができるため、親機2のモニタ201の出画映像も視認性の高い映像で確保される。
【0043】
次に、第2の動作として、住戸内に在室中の居住者を呼び出すにあたり、住戸玄関に居る来訪者が子機1の子機操作部100を使用して所定の呼出操作を行うと、この操作を検出した子機制御部106は、待受状態から呼出状態に遷移して呼出信号を生成し、子機I/F107、子機/親機ラインL、親機2の親機I/F209を経由して親機制御部208に送出する。
【0044】
親機2の親機制御部208は、子機1からの呼出信号をもとに来訪者による呼び出しがあることを検出し待受状態から呼出状態に遷移し、親機電源部206を制御して前述の待受用よりも高い電圧レベルである動作用の直流電源を生成して当該親機の構成各部に電源供給させるとともに、この直流電源を動作用の子機電源として前述の待受用の子機用電源と同様な電源供給路を経由して子機電源部105から当該子機の構成各部に電源供給させることができる。
【0045】
また、親機2において、呼出状態の親機制御部208は、来訪者による子機1からの呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージを親機スピーカ204から出力させて呼出発報を行うとともに、モニタ201及び親機映像処理部202がそれぞれ能動(駆動)状態となるように制御する。なお、モニタ201には、親機制御部208の制御によって、来訪者による子機からの呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データを表示させることもできる。
【0046】
さらに、子機1において、映像撮像部101を構成するカメラ110、人体検知部111、記憶部112、解析部113、作成部114及び子機映像処理部115はそれぞれ、子機電源部105からの子機用電源を受電し、子機制御部106の制御によって能動(駆動)状態となる。
【0047】
ここで、子機1の映像撮像部101による具体的な動作として、カメラ110は、被写体の映像として、図4(A)の背景映像付き来訪者映像図に示すような住戸玄関の周囲近傍の映像を含む来訪者の映像を撮像して映像信号を生成し、子機映像処理部115を経由して時系列で記憶部112に保存する。また、人体検知部111は、カメラ110にて撮像される映像信号に含まれる来訪者の人体の存在があることを検知し、その検知結果情報を時系列で記憶部112に保存する。
【0048】
解析部113は、記憶部112に保存された映像信号を複数の測光領域に分割、ここでは前述の第1の動作と同様、図2に示すように9つの測光領域「Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9」に分割するとともに、例えば、36箇所の検出ポイント「a1〜a6」、「b1〜b6」、「c1〜c6」、「d1〜d6」、「e1〜e6」、「f1〜f6」毎の明るさを解析し、例えば、数値が大きくなるにつれて明度が高いことを表す18(1〜18)段階で数値化した明るさの最大値と最小値との引き算を行い、その算出結果情報を作成部114に送出する。
【0049】
その数値化の具体例としては、図4(B)の背景映像付き来訪者映像図に示す太陽光及び来訪者の人体の一部、例えば、顔上部が位置する検出ポイント「a3」の明るさの差分=「16」、来訪者の人体の影、建物や玄関柵・棒等の影が位置する検出ポイント「a1、a2、b1、b2、c1、c2、d1、d2、e1、e2、f1、f2」の明るさの差分=「1」、来訪者の人体、建物や玄関柵・棒等の映像が位置する検出ポイント及びその他、空や雲の映像が位置する検出ポイント「a4〜a6、b3〜b6、c3〜c6、d3〜d6、e3〜e6、f1〜f6」の明るさの差分=「2、3、4、・・・16、17」のように適宜に数値化することができ、式(5)のように表される。
a1:a2:a3:・・・:f4:f5:f6=1:1:16:・・・:2:2:4……(5)
【0050】
作成部114は、解析部113からの算出結果情報をもとに、9つの測光領域Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9毎の平均をとり、その割合を算出することにより、例えば、式(6)に示す関係式を得ることができる。
Z1:Z2:Z3:・・・:Z8:Z9=1:16:14:・・・:3:3……(6)
【0051】
また、作成部114は、式(6)の逆数を算出して式(7)に示す関係式を得た後、その結果を16倍して小数点以下を切り捨てするような重み付け演算を行い、式(8)に示す関係式を算出し、その算出結果情報を測光領域設定値として子機映像処理部115に送出する。
Z1:Z2:Z3:・・・:Z8:Z9=1:1/16:1/14:・・・:1/3:1/3……(7)
Z1:Z2:Z3:・・・:Z8:Z9=16:1:1:・・・:5:5……(8)
【0052】
なお、人体検知部111にて検知される来訪者の人体の位置について解析部113による解析を行うにあたり、人体の明るさが一定以下となり、その位置の解析が困難である場合、解析部113は、記憶部112に予め保存された映像信号、例えば、来訪者による前回の呼出時においてカメラ110で撮像された映像信号の明るさを参照し、比較された明るさのレベルをもとに人体のおおよその位置を判別することができる。この解析部113は、判別した位置の検出ポイントに対応させて前述の重み付け演算を作成部114にて行うように制御することにより、測光領域設定値を算出させることができる。
【0053】
子機映像処理部115は、算出結果情報として作成部114にて作成された式(8)に示す測光領域設定値をもとに、その値が大きい領域である測光領域Z1(Z4、Z7)の明るさを参照し、この明るさでカメラ110の露光を合わせるように9つの測光領域Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9の最適化を行うことができる。このように最適化が行われた後に信号処理された映像信号は、子機I/F107、子機/親機ラインL、親機2の親機I/F209を経由して親機映像処理部202に送出される。
【0054】
親機2の親機映像処理部202は、子機1の映像撮像部101を構成するカメラ110にて撮像された映像信号であり、子機1の設置環境による9つの測光領域Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9の最適化が行われた映像信号を信号処理し、モニタ201に出画させることができる。
【0055】
前述までの第2の動作によれば、測光領域設定値が大きい領域の明るさを参照し、この明るさもとに、住戸玄関の周囲近傍の映像を含む来訪者の映像を撮像して映像信号を生成する子機1の映像撮像部101を構成するカメラ110の露光を、その来訪者の人体に合わせることができるため、親機2のモニタ201の出画映像も視認性の高い映像で確保される。
【0056】
この後、来訪者による子機1からの呼び出しがあることを、来訪者の映像信号の出画と併せて確認できた居住者が親機2の親機操作部200を使用して所定の応答操作を行うと、この操作を検出した親機制御部208及び子機制御部106の制御により、居住者が使用する親機マイク203及び親機スピーカ204と、親機音声処理部205、親機I/F209、子機/親機ラインL、子機I/F107、子機音声処理部108を経由して来訪者が使用する子機マイク106及び子機スピーカ107との間の信号伝送路、すなわち、通話路が形成され、この通話路を経由して音声信号を送受信させることにより通話が成立し、特に、居住者にとっては、被写体である来訪者の映像信号を確認しながらの通話が可能となる。
【0057】
なお、前述までの第2の動作において、親機2のモニタ201の出画映像の視認性が低いとき、例えば、来訪者の顔部の露光が低い場合には、居住者による親機操作部200を使用した所定の操作を検出した親機制御部208及び子機1の子機制御部106の制御により、映像撮像部101の人体検知部111を再駆動させることで露光動作の再設定が可能となるように、手動による任意のタイミングで行うことができる。
【0058】
最後に、本発明のテレビドアホン装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、これらの形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【0059】
具体的に、本発明の実施例においては、子機1を構成する映像撮像部101の解析部113の動作として、記憶部112に保存された映像信号を複数の測光領域に分割するにあたり、図2に示すように9つの測光領域「Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9」に分割し、36箇所の検出ポイント「a1〜a6」、「b1〜b6」、「c1〜c6」、「d1〜d6」、「e1〜e6」、「f1〜f6」毎の明るさを解析する態様について説明したが、この態様に限定されるものではなく、分割される測光領域数及び検出ポイント数は、任意の数に設定することができる。
【0060】
また、本発明の実施例における第1の動作によれば、子機1の映像撮像部101を構成するカメラ110にて撮像される映像として、住戸玄関の周囲近傍の映像のような監視映像である場合を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、監視映像としに泥棒等の不審者のような人体が含まれている場合には、第2の動作に基づいて、カメラ110の露光を、その不審者の人体に合わせることもできる。
【符号の説明】
【0061】
1……子機
110……カメラ
111……人体検知部
112……記憶部
113……解析部
114……作成部
115……子機映像処理部
2……親機
200……親機操作部
201……モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の映像を撮像して映像信号を生成するためのカメラ(110)を有する子機(1)と、前記子機のカメラにて撮像された映像信号を出画するためのモニタ(201)を有する親機(2)とを設け、
前記子機には、前記カメラにて撮像された映像信号を時系列で保存するための記憶部(112)と、前記記憶部に保存された映像信号が有する分割された複数の測光領域毎の明るさを解析し、当該測光領域毎の明暗差を算出するための解析部(113)と、前記解析部の算出結果をもとに前記測光領域毎の測光量の重み付け演算を行って測光領域設定値を作成するための作成部(114)と、前記作成部にて作成された前記測光領域設定値をもとに当該子機の設置環境による前記複数の測光領域の露光の最適化を行うように前記映像信号を信号処理する子機映像処理部(115)とを備えることを特徴とするテレビドアホン装置。
【請求項2】
被写体の映像を撮像して映像信号を生成するためのカメラ(110)を有する子機(1)と、前記子機のカメラにて撮像された映像信号を出画するためのモニタ(201)を有する親機(2)とを設け、
前記子機には、前記カメラにて撮像された映像信号に含まれる前記被写体を検知するための人体検知部(111)と、前記カメラにて撮像され前記人体検知部により人体の存在があると検知された映像信号を時系列で保存するための記憶部(112)と、前記記憶部に保存された映像信号が有する分割された複数の測光領域毎の明るさを解析し、当該測光領域毎の明暗差を算出するための解析部(113)と、前記解析部の算出結果をもとに前記測光領域毎の測光量の重み付け演算を行って測光領域設定値を作成するための作成部(114)と、前記作成部にて作成された前記測光領域設定値をもとに当該子機の設置環境による前記複数の測光領域の露光の最適化を行うように前記映像信号を信号処理する子機映像処理部(115)とを備えることを特徴とするテレビドアホン装置。
【請求項3】
前記解析部は、前記人体検知部にて存在が検知された前記人体の明るさが一定以下となったとき、前記記憶部に予め記憶された前記映像信号の明るさとのレベル差を参照して前記作成部にて前記測光領域設定値を作成させることを特徴とする請求項2記載のテレビドアホン装置。
【請求項4】
前記人体検知部は、前記親機の親機操作部(200)の操作により手動のタイミングで駆動されることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のテレビドアホン装置。
【請求項5】
前記カメラは、前記親機の親機操作部(200)の操作により手動のタイミングで駆動されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のテレビドアホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−200256(P2010−200256A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45823(P2009−45823)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】