説明

テレビ放送受信機

【課題】地上波アナログ放送の中止時に、動作プログラム処理負担を軽減させ、ユーザー操作を簡単にして操作の利便性を向上させ、消費電力の低減を計れるテレビ受信機を提供する。
【解決手段】アナログチューナ2とアナログ処理部4からなるアナログ放送受信系統と、デジタルチューナ1とMPEG処理部3とからなるデジタル放送受信系統と、映像・音声信号出力部5と、映像表示部6と、各部を統括制御する制御部8を備えたテレビ放送受信機であって、制御部8は、アナログ放送の放送中止時期の到来を検知すると、アナログ放送処理停止要求を出力し、制御部8の動作プログラム中のアナログ放送を対象とした動作プログラムの機能を無能化し、アナログ放送に関連する構成部分の制御動作が行われないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送受信機に係わり、特に、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送の両テレビ放送が受信可能であって、予定されている地上波アナログ放送中止時に有効に対応することが可能なテレビ放送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地上波テレビ放送においては、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送とが混在(同時放送)した状態になっているが、2011年になると、地上波アナログ放送が中止になり、地上波デジタル放送のみの放送が実施されることとなっている。このような放送形態に対して、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送の双方を受信できるテレビ放送受信機においては、地上波アナログ放送の受信及び地上波デジタル放送の受信を実施するため、ユーザーによるメニュー画面の選択の操作や、ユーザーによるリモコン操作等が複雑になっており、非常に煩雑な操作を必要としている。また、テレビ放送受信機は、地上波アナログ放送の受信及び地上波デジタル放送の受信に対応した動作プログラムを備えており、この動作プログラムアの処理時においても、負担の増大をもたらすことになる。
【0003】
この種のテレビ放送受信機は、その受信性能として、地上波アナログ放送の受信時または地上波デジタル放送の受信時に、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送がそれぞれ他の放送に対して妨害、例えば、同一チャンネル妨害、隣接チャンネル妨害等を与えることが知られている。このため、かかるテレビ放送受信機においては、これらの妨害放送の影響を軽減するため、必要とする放送信号の受信レベルを調整する他に、最適な放送受信状態が得られるように、動作プログラムを用いて必要な処理を行っている。
【0004】
ところで、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送とが受信できるテレビ放送受信機において、地上波デジタル放送だけが受信可能な状態になったときに、選択的にデジタル処理回路への電源電圧の供給を行い、受信機における消費電力の軽減を図るとともに、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送とが隣接状態で存在そている場合等に確実にそれぞれの放送の有無を確認し、選局する放送に対して必要な処理回路だけを動作させる手段を有するテレビ放送受信機が知られており、その例としてWO99−093056号がある。
【0005】
かかるテレビ放送受信機は、地上波アナログ放送を受信した際に、その受信信号を処理してオーディオ信号を取り出すアナログ処理回路と、地上波デジタル放送を受信した際に、その受信信号を処理してオーディオ信号を取り出すデジタル処理回路と、アナログ処理回路からのオーディオ信号またはデジタル処理回路からのオーディオ信号を選択的に取り出す切替回路と、デジタル処理回路の電源電圧を制御する制御回路と、地上波デジタル放送への選局を検出する検出回路とを備え、制御回路は、選局時に検出回路が地上波デジタル放送の選局を検出しているときだけ、デジタル処理回路に電源電圧を供給するようにして消費電力の削減を計るようにしたものである。
【特許文献1】WO99−093056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地上波デジタル放送及び地上波アナログ放送の双方を受信できるテレビ放送受信機は、前述のように、ユーザーによるメニュー画面の選択の操作や、ユーザーによるリモコン操作等が複雑になっており、ユーザーがかかる操作を行ったときに強いストレスになることがあり、地上波アナログ放送の受信及び地上波デジタル放送の受信に対応した動作プログラムの処理時においても、その処理が地上波アナログ放送と地上波デジタル放送の双方の方式を融合させるものであるため、複雑なものとなり、視聴していない放送についても内部処理を行われる等、その処理負担も非常に大きくなっている。
【0007】
また、現在の地上波テレビ放送においては、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送が混在した状態になっており、多くの受信地域においては、それらの複数チャンネルが同一の周波数帯域(例えばUHF帯等)内でそれぞれ放送されている。このような場合、地上波アナログ放送波と地上波デジタル放送波とがそれぞれ他の放送に対して妨害、例えば、同一チャンネル妨害、隣接チャンネル妨害等を与えることになる。このため、この種のテレビ放送受信機は、地上波デジタル放送を受信する場合、選局チャンネルを受信する際にチューナ入力部において受信レベルの調整を行っている。
【0008】
この受信レベルの調整は、隣接チャンネルや同一チャンネルの妨害により、受信した地上波デジタル放送の受信状態がビットエラーレート等により判断して劣悪になった際に、チューナ入力部における受信信号の増幅度を低下させるようにして、妨害放送波の影響を軽減する手段に係るものである。しかしながら、この手段は、受信信号の増幅度を低下させるようにするものであるため、本来の地上波デジタル放送が備える性能を低下させることになり、他の妨害要因に対する耐性が劣化し、結果的に良好な放送受信を行うことができないケースを生じることになる。
【0009】
また、前記WO99−093056号に係るテレビ放送受信機は、地上波デジタル放送の選局を検出しているときだけ、デジタル処理回路に電源電圧を供給するようにし、それによってテレビ放送受信機の消費電力の削減を計ることが可能になるものであるが、テレビ放送受信機に用いている動作プログラムの処理の複雑さを解消したり、テレビ放送受信機に用いているユーザーによる操作の複雑さを解消させるものではない。
【0010】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、地上波アナログ放送の中止時に、動作プログラム処理負担を軽減させ、動作時のユーザー操作を簡単化して操作の利便性を向上させ、消費電力の低減を計れるテレビ受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明によるテレビ受信機は、少なくとも、地上波アナログ放送受信チューナとアナログ信号処理部とからなるアナログ放送受信系統と、地上波デジタル放送受信チューナとデジタル信号処理部とからなるデジタル放送受信系統と、映像・音声信号出力部と、映像表示部と、各部を動作プログラムに従って統括制御する制御部とを備えたものであって、制御部は、地上波アナログ放送の放送中止時期が到来したことを検知すると、地上波アナログ放送処理停止要求を出力し、動作プログラムの中の地上波アナログ放送を対象とした動作プログラムの機能を無能化して当該地上波アナログ放送に関連する構成部分の制御動作が行われないようにする主たる手段を具備する。
【0012】
この場合、前記主たる手段における地上波アナログ放送に関連する構成部分は、地上波アナログ放送選局を行う構成部分である第1の手段を具備する。
【0013】
また、前記主たる手段における地上波アナログ放送に関連する構成部分は、デジタル復調処理部に設けられた地上波アナログ放送による妨害処理を行う構成部分である第2の手段を具備する。
【0014】
さらに、前記主たる手段における動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期についての情報は、テレビ放送受信機の出荷前に予め動作プログラム中に組み込まれており、制御部がこの放送中止時期が到来したことを検知すると、自動的に地上波アナログ放送処理停止要求を出力する第3の手段を具備する。
【0015】
また、前記主たる手段における動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期についての情報は、ユーザーの操作によって動作プログラム中に組み込まれるもので、制御部がこの放送中止時期が到来したことを検知すると、自動的に地上波アナログ放送処理停止要求を出力する第4の手段を具備する。
【0016】
さらに、前記主たる手段における動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期についての情報は、地上波アナログ放送のサーチ動作により検知して動作プログラム中に組み込まれるもので、制御部がこの放送中止時期が到来した検知すると、自動的に地上波アナログ放送処理停止要求を出力する第5の手段を具備する。
【0017】
また、前記主たる手段において、動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期が到来した場合、映像表示部に表示されるメニュー画面における地上波アナログ放送の中止に伴って表示不要になった部分を表示しないように再編成される第6の手段を具備する。
【0018】
さらに、前記主たる手段において、動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期の到来は、地上波アナログ放送チャンネルのサーチ動作により自動検知する第7の手段を具備する。
【0019】
さらに、前記主たる手段において、このテレビ放送受信機に用いるリモコンの地上波アナログ放送に関連する各キーにそれぞれ他の機能を割り当てておき、地上波アナログ放送の放送中止時期が到来したとき、それまでの地上波アナログ放送に関連する機能をそれぞれ割り当てた他の機能に自動変換するようにした第8の手段を具備する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、地上波アナログ放送の放送中止時期の到来を検知すると、地上波アナログ放送処理停止要求を出力し、動作プログラムの中の地上波アナログ放送を対象とした動作プログラムの機能を無能化して当該地上波アナログ放送に関連する構成部分の制御動作が行われないようにしているので、その中止時期になると、自動的に動作プログラム処理負担を軽減できるとともに、動作時のユーザー操作が簡単化されて操作の利便性が向上するようになり、ひいては、消費電力の低減を計ることが可能になるという効果があり、その他にも、地上波デジタル放送を受信するのに適した地上波デジタル放送チューナ部を最適な動作状態に設定することができ、地上波デジタル放送の受信性能を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、この実施の形態によるテレビ放送受信機の要部構成を示すブロック図であって、地上波デジタル放送及び地上波アナログ放送の双方を受信可能なものである。
【0023】
図1に示されるように、このテレビ放送受信機10は、地上波デジタル放送を受信する選局部1aを含むデジタルチューナ1と、地上波アナログ放送を受信する選局部2aを含むアナログチューナ2と、MPEG処理部3と、アナログ処理部4と、映像・音声出力部5と、映像表示部6と、音声出力部7と、制御部8と、操作部9と、デジタル放送入力端子ID と、アナログ放送入力端子IA とを備えている。また、テレビ放送受信機10の外部には、放送受信用アンテナ11と、分配器12が配置されている。なお、図1においては、説明を簡略化するために、本発明のテレビ放送受信機10に直接関係のないBSデジタル放送受信部、B−CASカード部、暗号デスクランブル処理部等については、その表記を省略している。
【0024】
そして、デジタルチューナ1は、入力端がデジタル放送入力端子ID に接続され、出力端がMPEG処理部3の入力端に接続される。アナログチューナ2は、入力端がアナログ放送入力端子IA に接続され、出力端がアナログ処理部4の入力端に接続される。MPEG処理部3は出力端が映像・音声出力部5の第1入力端に接続され、アナログ処理部4は出力端が映像・音声出力部5の第2入力端に接続される。映像・音声出力部5は、映像出力端が映像表示部6の入力端に接続され、音声出力端が音声出力部7の入力端に接続される。制御部8は、デジタルチューナ1の選局部1a、アナログチューナ2の選局部2a、MPEG処理部3、映像・音声出力部5、映像表示部6、音声出力部7、操作部9の各制御端にそれぞれ接続される。また、分配器12は、入力端が地上波放送受信用アンテナ11に接続され、デジタル放送出力端がデジタル放送入力端子ID に、アナログ放送出力端がアナログ放送入力端子IA にそれぞれ接続される。
【0025】
この場合、制御部8は、ユーザ等の操作者が操作部9を操作して希望するデジタル放送チャネルを選局すると、その放送チャネルを選局できる選局情報が選局部1aに供給され、デジタルチューナ1がその放送チャネルを選局する。同じように、ユーザ等の操作者が操作部9を操作して希望するアナログ放送チャネルを選局すると、その放送チャネルを選局できる選局情報が選局部2aに供給され、アナログチューナ2がその放送チャネルを選局する。MPEG処理部3は、MPEG規格によって定義されたトランスポートストリームからユーザが選択したサービス(映像・音声・データ等)を分離し、分離された各サービス(エレメンタリストリーム)に対して映像・音声信号をMPEGによる復号処理を行う。映像・音声出力部5は、接続された映像表示部6に合うようにフォーマット処理した映像信号を映像表示部6に供給し、音声信号を音声出力部7に供給する。また、分配器12は、地上波放送受信用アンテナ11で受信した放送信号を、地上波デジタル放送信号と地上波アナログ放送信号とに分配し、地上波デジタル放送信号をデジタル放送入力端子ID に供給し、地上波アナログ放送信号をアナログ放送入力端子IA に供給する。
【0026】
ここで、図1に図示されたテレビ放送受信機の動作について説明する。
【0027】
いま、デジタル放送入力端子ID にデジタル放送信号が供給されており、そのデジタル放送信号がデジタルチューナ1に入力されると、デジタルチューナ1は、そのデジタル放送信号の中から選局部1aで選局されたチャンネルのデジタル放送信号を抽出し、その抽出したデジタル放送信号に対してデジタル復調、伝送デスクランブル、デインターリーブ、誤り訂正等の処理を行い、得られた復調信号をMPEG処理部3に供給する。MPEG処理部3は、前述のように復調信号をMPEGによる復号処理を行って映像・音声信号を形成し、映像信号を映像表示部6に供給して映像表示を行い、音声信号を音声出力部7に供給して音声出力を行う。
【0028】
一方、アナログ放送入力端子IA にアナログ放送信号が供給されており、そのアナログ放送信号がアナログチューナ2に入力されると、アナログチューナ2は、そのデジタル放送信号の中から選局部2aで選局されたチャンネルのアナログ放送信号を抽出し、その抽出したアナログ放送信号に対してアナログ復調等の処理を行い、得られた復調信号をアナログ処理部4に供給する。アナログ処理部4は、得られた復調信号から映像・音声信号を形成し、デジタル信号処理の場合と同様に、映像信号を映像表示部6に供給して映像表示を行い、音声信号を音声出力部7に供給して音声出力を行う。
【0029】
ところで、地上波テレビ放送は、現在のところ、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送とが混在した状態で放送されている。しかしながら、2011年になると、地上波アナログ放送が中止され、それ以後は、地上波デジタル放送だけに一本化されることが決まっている。このような地上波アナログ放送の中止時に、放送電波を有効利用するという観点から、放送が続行される地上波デジタル放送の放送チャンネルの配置を全面的に見直したり、あるいは特定の周波数帯域内に集約配置したりすることによって、空いた周波数帯域を放送以外の別の用途(例えば、携帯電話等)に利用する計画が進行している。
【0030】
ここで、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送の双方を受信可能なテレビ放送受信機は、地上波アナログ放送専用受信機等に比べると、以下に説明するような特有な機能を備えている。
【0031】
すなわち、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送の双方を受信可能なテレビ放送受信機は、アナログ放送専用受信機に比べて、内部の動作プログラムが大きく異なり、格段に多量のソフトウェア処理を行うような機能を備えている。例えば、地上波デジタル放送信号の選局処理を行う場合、それぞれのデジタル放送についての周波数情報や、各番組の番組情報等がデジタルデータとして、デジタル放送中に重畳配置されており、かかるデジタル放送を選局したとき、そのデジタル放送からデジタルデータを分離し、その内容を解析する等の処理を行っている。また、現在殆ど番組で実施されている視聴制限のための暗号復号化処理については、その番組を視聴している間中、常時、当該暗号復号化処理を続行している。その他にも、番組予約処理、メニュー画面等のユーザインターフェースや、外部接続機器とのインターフェースや、周辺機能についても、その殆どをソフトウェア処理によって実現している。
【0032】
一方、地上波アナログ放送信号の選局処理を行う場合においても、少なからずソフトウェア処理が必要になっており、その中にメニュー画面等のユーザインターフェース等がある。そして、地上波アナログ放送が中止された場合は、アナログ放送選局に関連するソフトウェア処理を行う必要がなくなるので、地上波アナログ放送選局に関連するソフトウェア処理部分の機能を無効にすれば、その分、ソフトウェア処理負担が軽減され、それと同時に消費電力を低減させる効果も得られる。
【0033】
以下、図2に図示のフローチャートを用いて、地上波アナログ放送の中止時にソフトウェア処理を無効にする際の処理経緯について説明する。
【0034】
始めに、ステップS1において、テレビ放送受信機に電源が投入され、テレビ放送受信機が起動されて動作状態に入る。
【0035】
次に、ステップS2において、制御部8は、地上波アナログ放送処理停止要求が出力されたか否かを判断する。そして、地上波アナログ放送処理停止要求が既に出力されていると判断した(Y)ときは次のステップS3に移行し、一方、地上波アナログ放送処理停止要求が未だ出力されていないと判断した(N)ときは他のステップS4に移行する。この場合、地上波アナログ放送処理停止要求は、ソフトウェア処理の中でフラグとして記憶されるもので、ソフトウェア処理時に、常時、参照可能となるものである。この地上波アナログ放送処理停止要求が出ている場合、地上波アナログ放送の選局に関連する全ての処理をスキップするために、処理ブロック毎に選択的に無効にするように処理用の動作プログラムに分岐処理を設けたものである。
【0036】
次いで、ステップS3において、制御部8は、地上波アナログ放送処理停止要求が出力されていない、すなわち地上波アナログ放送が中止されずに地上波アナログ放送の受信が続行していれば、地上波アナログ放送処理部は何の処理も行わずにスキップ状態になる。以前の状態と同じように通常の受信処理が行われる。
【0037】
続いて、ステップS4において、制御部8は、以前の状態と同じように地上波アナログ放送及び地上波デジタル放送の双方の受信処理、すなわち通常の受信処理が行われる。
【0038】
このように、この実施の形態によるテレビ放送受信機によれば、地上波アナログ放送の中止時にソフトウェア処理を無効にしたので、地上波アナログ放送の中止時以降、アナログ放送選局に関連するソフトウェア処理を行う必要がなくなり、その分、ソフトウェア処理負担を軽減することができ、それと同時に放送中止以前に比べてテレビ放送受信機消費電力を低減させることができるものである。
【0039】
また、本発明のテレビ放送受信機においては、この実施の形態における第2の実施例として次のような機能が発揮されるテレビ放送受信機を形成している。すなわち、現在地上波テレビ放送の聴取地域は、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送が混在しており、同一の周波数帯域(例えばUHF帯等)内で放送されているそれらの放送チャンネルを地上波デジタル放送用チューナによって受信しているものであるが、この受信時に、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送とが相互に目的とする放送受信信号に対して同一チャンネル妨害や隣接チャンネル妨害等を与える。このため、当該地上波デジタル放送用チューナは、デジタル放送を受信する場合、チューナ入力部において目的とする放送受信信号のレベル調整を行っているもので、具体的には、隣接チャンネル妨害や同一チャンネル妨害によって、目的とする放送受信信号がビットエラーレート等により劣悪であると判断したとき、チューナ入力部の増幅量を低下させ、妨害波の影響を軽減している。
【0040】
ところが、チューナ入力部の増幅量を低下させると、受信したデジタル放送の性能も併せて低下させることになるので、それ以外の妨害要因があった場合にその耐性が低下し、結果的にデジタル放送を良好な状態で受信できない場合生じる。
【0041】
このような事態の発生を回避するために、第2の実施例においては、テレビ放送受信機に用いる放送受信チューナの制御プログラムとして、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送が混在しているときに用いられる制御プログラムと、地上波デジタル放送だけになったときに用いられる制御プログラムの双方を格納させており、地上波アナログ放送が中止時点になったことを検知すると、それまでの地上波デジタル放送に用いられていたチューナの制御プログラムの機能を無効にするとともに、地上波デジタル放送の受信に最適に設定されたチューナの制御プログラムの機能を有効にし、以後、有効になった制御プログラムを用いることによりデジタル放送の受信性能を向上させることが可能になる。
【0042】
一般に、地上波デジタル放送においては、送信されるデジタル放送電波に、日時情報を重畳しており、通常、この日時情報を用いて予約機能等を実現している。このため、この実施の形態においては、地上波アナログ放送の中止時の到来をこの日時情報を用いることにより、特別にハードウェアを追加することなく、制御プログラムにその日時情報を組み入れるだけで、地上波アナログ放送の中止時を検知することができる。そして、制御プログラムへのその日時の組み入れは、当該テレビ放送受信機の出荷前に行うようにしてもよく、あるいは、ユーザがメニュー操作によってその日時の組み入れを行うようにしてもよい。
【0043】
また、本発明のテレビ放送受信機においては、この実施の形態における第3の実施例として次のような機能が発揮されるテレビ放送受信機を形成することも可能である。すなわち、地上波アナログ放送の中止時の到来を、制御プログラムに組み入れた日時情報または内蔵タイマーへの当該日時の設定によって検知したとき、制御部8が地上波アナログ放送処理停止要求を出力することによって、アナログ放送受信に直接関連する構成部分を動作停止させるとともに、前述のようにチューナの制御プログラムの機能を変更させるように働き、デジタル放送の受信性能を向上させるようにしている。
【0044】
次に、制御部8から地上波アナログ放送処理停止要求の出力させる際に、メニュー画面を利用する方法について説明する。
【0045】
図3は、テレビ放送受信機の映像表示部6に表示されるユーザー操作画面の一例を示す説明図である。
【0046】
図3に示すように、この表示画面13は、3つの選択情報ブロック14、15、16と、確定ブロック17とを備えており、選択情報ブロック14は地上波アナログ放送のみの受信、選択情報ブロック15は地上波アナログ放送および地上波デジタル放送の受信、選択情報ブロック16は地上波デジタル放送のみの受信に係わり、確定ブロック17は選択OKを表すものである。
【0047】
この方法を実施する際には、ユーザー操作によって映像表示部6にメニュー画面を表示させ、その表示画面を用いて希望する地上波放送の受信を選択するもので、地上波アナログ放送のみを受信する場合に選択情報ブロック14を、地上波デジタル放送及び地上波アナログ放送の両方を受信する場合に選択情報ブロック15を、地上波デジタル放送のみを受信する場合に選択情報ブロック16のいずれかをリモコン操作等によって選択し、次いで選択OKを表す確定ブロック17を同じようにリモコン操作等によって選択すると、その選択した内容に対応したチューナの制御プログラムが選択される。そして、その選択時点には、選択された制御プログラムの機能が有効になり、一方、非選択された制御プログラムの機能が無効になるもので、選択情報ブロック16を選択した場合、制御部8から地上波アナログ放送処理停止要求が出力される。
【0048】
このようなユーザーが表示画面を操作する方法によって、希望する地上波放送の受信を選択するようにすれば、例えば、地上波アナログ放送の中止時点が到来する以前に、地上波アナログ放送の受信を全面的に停止させ、それによりデジタル放送の受信性能を向上させることが可能になる。
【0049】
次いで、制御部8から地上波アナログ放送処理停止要求を出力させる際に、放送中のチャンネルの自動検出に基づいてアナログ放送の中止時点を検出する方法について説明する。
【0050】
一般に、地上波放送受信機においては、放送中のチャンネルを自動的に検出し、それをリモコンキーに割り当てることにより希望する放送の受信を可能にする機能、すなわちサーチ機能を有しており、この他にも、ユーザー操作が行われない場合でも定期的に地上波放送受信機内の裏処理によってサーチ動作を実施している受信機も存在する。この方法は、かかる機能を用いて、制御部8は地上波アナログ放送が中止したことを検出すると、地上波アナログ放送処理停止要求を出力するもので、前述のような地上波アナログ放送に直接関連する構成部分の処理無効を達成することができるものであり、この方法においても、ハードウェアを追加することなく、ソフトウェア処理のみによって前記機能を実現することができるものである。
【0051】
この場合、制御部8は、地上波アナログ放送の中止を検出した場合、直ちに地上波アナログ放送に直接関連する構成部分の処理無効を達成することも可能であるが、一般にデジタル放送受信機のお知らせ機能等を用いてユーザーに地上波アナログ放送の中止を通知することにより、その時点で改めて、メニュー画面を用いて地上波アナログ放送に直接関連する構成部分の処理無効の実現または処理無効の延期等の選択をするようにしてもよい。
【0052】
続いて、地上波アナログ放送に直接関連する構成部分の処理無効を達成した後、テレビ放送受信機におけるデジタル放送の受信性能を向上させる一つの方法について説明すると次の通りである。
【0053】
地上波アナログ放送の中止時点になった場合、テレビ放送受信機における地上波アナログ放送に直接関連する構成部分を処理無効にしたことに伴い、それ以前に地上波アナログ放送チャンネル受信に割り振られているリモコンキーが無駄になる。そこで、この実施の形態の他の実施例として、地上波アナログ放送チャンネル受信に割り振られているリモコンキーに、予め他の機能をそれぞれ割り当てておき、制御部8が地上波アナログ放送の中止時点になったことを検出すると、当該リモコンキーがそれまでの地上波アナログ放送チャンネル受信に代わって割り当てた他の機能を実現できるように制御することにより、無駄なリモコンキーを出現させることなく、有効に利用することが可能になる。
【0054】
その一例について述べると、地上波アナログ放送の各チャンネルに専用の番号キーが割り当てられている場合、地上波アナログ放送の中止時点になったとき、それらの番号キーのそれぞれを他の放送メディア、例えばBS放送、CS放送、CATV等に専用に割り当てること等である。この場合、該当する番号キーは、多チャンネル分になるため、ユーザーの選択によって希望する放送メディアの希望チャンネルをダイレクトに選局することに割り当てれば、ユーザーにとって選局時の利便性が向上する。
【0055】
さらに、地上波アナログ放送に直接関連する構成部分の処理無効を達成した後、テレビ放送受信機におけるデジタル放送の受信性能を向上させる他の方法について説明すると次の通りである。
【0056】
この方法は、地上波アナログ放送の中止時点になって、地上波アナログ放送に直接関連する構成部分を処理無効にしたとき、図3に図示されたメニュー画面13の中の地上波アナログ放送のみを受信する場合に用いる選択情報ブロック14の選択の必要性がなくなったことにより、ユーザーインターフェースとしてのメニュー画面13についても当該選択情報ブロック14を表示する意味がなくなり、その表示を省略するようにしたものである。すなわち、現状のテレビ放送受信機は、地上波デジタル放送にも対応しているため、その表示のための動作プログラムもメニュー画面13を階層化する等の非常に複雑なものになっているが、ここでアナログ放送に関する当該選択情報ブロック14の表示を省略することにより、ユーザーの利便性が非常に向上するだけでなく、動作プログラムも簡素化された状態になる。そして、この方法についても、当該選択情報ブロック14の表示を省略する際に、自動的にお知らせ機能等を用いてユーザーへ通知した後、ユーザーの選択操作によって表示消去を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係わるテレビ放送受信機の要部構成を示すブロック図である。
【図2】地上波アナログ放送の中止時にソフトウェア処理を無効にする際の処理経緯を示すフローチャートである。
【図3】テレビ放送受信機の映像表示部に表示されるユーザー操作画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 デジタルチューナ
1a 選局部
2 アナログチューナ
2a 選局部
3 MPEG処理部
4 アナログ処理部
5 映像・音声出力部
6 映像表示部
7 音声出力部
8 制御部
9 操作部
10 テレビ放送受信機
11 放送受信用アンテナ
ID デジタル放送入力端子
IA アナログ放送入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、地上波アナログ放送受信チューナとアナログ信号処理部とからなるアナログ放送受信系統と、地上波デジタル放送受信チューナとデジタル信号処理部とからなるデジタル放送受信系統と、映像・音声信号出力部と、映像表示部と、各部を動作プログラムに従って統括制御する制御部とを備えたテレビ放送受信機において、前記制御部は、地上波アナログ放送の放送中止時期が到来したことを検知すると、地上波アナログ放送処理停止要求を出力し、前記動作プログラムの中の地上波アナログ放送を対象とした動作プログラムの機能を無能化して当該地上波アナログ放送に関連する構成部分の制御動作が行われないようにすることを特徴とするテレビ放送受信機。
【請求項2】
前記地上波アナログ放送に関連する構成部分は、地上波アナログ放送選局を行う構成部分であることを特徴とする請求項1に記載のテレビ放送受信機。
【請求項3】
前記地上波アナログ放送に関連する構成部分は、デジタル復調処理部に設けられた地上波アナログ放送による妨害処理を行う構成部分であることを特徴とする請求項1に記載のテレビ放送受信機。
【請求項4】
前記動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期についての情報は、テレビ放送受信機の出荷前に予め動作プログラム中に組み込まれており、制御部がこの放送中止時期が到来したことを検知すると、自動的に地上波アナログ放送処理停止要求を出力することを特徴とする請求項1に記載のテレビ放送受信機。
【請求項5】
前記動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期についての情報は、ユーザーの操作によって動作プログラム中に組み込まれるもので、制御部がこの放送中止時期が到来したことを検知すると、自動的に地上波アナログ放送処理停止要求を出力することを特徴とする請求項1に記載のテレビ放送受信機。
【請求項6】
前記動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期についての情報は、地上波アナログ放送のサーチ動作により検知して動作プログラム中に組み込まれるもので、制御部がこの放送中止時期が到来したことを検知すると、自動的に地上波アナログ放送処理停止要求を出力することを特徴とする請求項1に記載のテレビ放送受信機。
【請求項7】
前記動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期が到来した場合、映像表示部に表示されるメニュー画面における地上波アナログ放送の中止に伴って表示不要になった部分を表示しないように再編成されることを特徴とする請求項1に記載のテレビ放送受信機。
【請求項8】
前記動作プログラムの中の地上波アナログ放送の放送中止時期の到来は、地上波アナログ放送チャンネルのサーチ動作により自動検知することを特徴とする請求項1に記載のテレビ放送受信機。
【請求項9】
前記テレビ放送受信機に用いるリモコンの地上波アナログ放送に関連する各キーにそれぞれ他の機能を割り当てておき、地上波アナログ放送の放送中止時期が到来したとき、それまでの地上波アナログ放送に関連する機能をそれぞれ割り当てた他の機能に自動変換するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のテレビ放送受信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−135064(P2007−135064A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327531(P2005−327531)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】