説明

テンショナ

テンショナは、トーションバネと、トーションバネの端部に直接軸支されたプーリと、少なくとも270°の接触円弧を介してトーションバネのコイル内に閉じ込められたエラストマのダンピング部材とを備え、エラストマのダンピング部材はトーションバネのコイルにダンピング接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテンショナに関し、特に、少なくとも270°の接触円弧を介してトーションバネのコイル内に閉じ込められたエラストマのダンピング部材を有するテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトテンショナの主な目的はエンジンあるいはアクセサリドライブベルトの寿命を延ばすことである。このような自動ベルトテンショナに対する最も典型的な使用は、自動車エンジンのフロントエンドアクセサリドライブである。このドライブは、ベルトが空調機、ウォータポンプ、ファンそしてオルタネータに動力を供給するために必要とされる、各アクセサリのためにプーリ滑車を有する。それぞれのアクセサリは動作中、頻繁に動力の大きさを変化させることを要求する。これらの動力の変化はベルトの各スパンの弛緩と緊張を発生させる。ベルトテンショナはこれらの動力の変化を吸収するのに利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この技術の代表は田中に付与された米国特許第6,224,028号明細書であり、これは、静止支持部材の壁面に一端を強固に固定させたスチールパイプと、合成樹脂から成形され、スチールパイプに取外し可能に取付けられたボディ部とスチールパイプの外側に配置された端部とを有するコアシャフトとを有する、片持ちシャフトアセンブリを開示する。端部は片持ちシャフトアセンブリの自由端を形成し、被駆動スプロケットのような回転部材を回転自在に支持する。コアシャフトとスチールパイプは、ピンあるいはキーのようなロック装置によりロックされ、共に保持される。片持ちシャフトアセンブリは軽量であり、合成樹脂のコアシャフトの端部が損傷あるいは磨耗したとき、低コストで容易に修理できる。
【0004】
必要なものは少なくとも270°の接触円弧を介してトーションバネのコイル内に閉じ込められたエラストマのダンピング部材を有するテンショナである。本発明はこの必要性に合致する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主な特徴は、少なくとも270°の接触円弧を介してトーションバネのコイル内に閉じ込められたエラストマのダンピング部材を有するテンショナを提供することである。
【0006】
本発明のその他の特徴は、本発明の以下の説明と添付図面により指摘され、明らかになる。
【0007】
本発明は、トーションバネと、トーションバネの端部に直接軸支されたプーリと、少なくとも270°の接触円弧を介してトーションバネのコイル内に閉じ込められたエラストマのダンピング部材とを備え、エラストマのダンピング部材がトーションバネのコイルにダンピング接触するテンショナを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【図1】本発明テンショナの上方から見た斜視図である。
【図2】テンショナの下方から見た斜視図である。
【図3】テンショナの他の実施形態の分解図である。
【図4】テンショナの他の実施形態の分解図である。
【図5】図4の実施形態の底面図である。
【図6】テンショナの他の実施形態の分解図である。
【図7】図6の実施形態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1はテンショナの上方から見た斜視図である。テンショナ1000はトーションバネ10を備える。トーションバネ10は巻かれている。コイルの数はベルトに作用するバネ力の関数である。トーションバネ10は板バネとして示されるが、横断面は丸みを帯びたものでもよく、矩形であってもよい。本発明のテンショナは、トーションバネの比較的小さな巻取りあるいは解放が、トーションバネのアーム端において大きな振幅変化をもたらすトーションバネを用いる。
【0010】
アーム11はトーションバネの延長した端部である。アーム11はトーションバネの最後のコイルから延びる。従来技術とは異なり、本発明のテンショナは、テンショナのハウジングとテンショナアームを単一のトーションバネに結合し、これは装置を単純化しコストを減らす。しかし性能の低下はなく、大きなテンショナ振幅が小さなバネの捻りの巻取りと解放により得られる。テンショナは、バネが動作中に巻取りあるいは解放するようにアプリケーションにセットされる。
【0011】
プーリ30はベアリング31を介してアーム11に軸支される。締め具32はベアリング31をダンピング部材12に取付ける。ダンピング部材12はテンショナアセンブリに含まれてもよく、省略されてもよい。
【0012】
エラストマのダンピング部材20はトーションバネの内側のコイル内に収容される。トーションバネ10は、少なくとも1つの360°のコイルを備え、またユーザの設計パラメターに応じて2つ以上のコイルを備えてもよい。図2における実施形態は、最内端部から、接線上に延びるアーム11まで測ると2つのコイルを備える。部材20は好ましくは少なくとも270°の接触円弧αを介してトーションバネのコイルに接触する。しかし本発明のテンショナは、小さいダンピング効果が望ましいときは270°よりも小さい接触円弧αを採用する。部材20はトーションバネのコイルと直接ダンピング接触する。部材20はさらに、使用中にトーションバネ10が部材20の周りに巻付くのを防止する平面21を備える。
【0013】
プーリ30のダンピング動作は、バネコイル内にエラストマのダンピング部材20を鋳込み、接着し、あるいは単に挿入によることによって達成される。エラストマのダンピング部材20は、EPDM、VAMAC、NBRあるいはこれらの2つ以上の組合せのような、天然あるいは合成ゴムであってもよい。付加的なダンピングがプーリ30とトーションバネ20の間にダンピング部材12の形態で付加されてもよい。ダンピング部材12は部材20と同一材料を備える。
【0014】
図2はテンショナの下方から見た斜視図である。取付けベース13はテンショナを取付け面に取付けるために用いられる。エラストマ部材20はベース13のシャフト14に圧入される。締め具はボア15に係合する。ベース13におけるピン131は動作中、テンショナの回転を防止する。
【0015】
組立てのため、トーションバネ10はエラストマ部材20に圧入あるいは固定され、すなわち内部のコイルが開放されて部材20に係合し、そして静止位置に戻され、これによりバネを部材20の周りに固定する。ユーザが望むのであれば、従来公知の接着剤がトーションバネを部材20にさらに固定するために用いられてもよい。
【0016】
図3はテンショナの他の実施形態の分解図である。部材40はアーム11の端部にダンピング部材120を介して固定される。ダンピング部材120はプーリ30から部材40を通る振動を減衰する。ダンピング部材120はダンピング部材12と同じ材料を備える。
【0017】
プーリ30はシャフト33によりヨーク部材40に軸支される。ダストカバー35、36は異物がベアリング31に侵入することを防ぐ。ハブ部材71、72はシャフト33においてベアリング31を位置決めする。ナット330はシャフト33に係合する。
【0018】
図4はテンショナの他の実施形態の分解図である。テンショナはトーションバネ100を備える。エラストマのダンピング部材200は、隣接するコイル105、106の間において、少なくとも270°から360°までの円弧αを介して、トーションバネ100に係合する。エラストマ部材200はEPDM、VAMAC、NBR、あるいはこれらの2つ以上の組合せのような、天然あるいは合成ゴムを備えてもよい。
【0019】
プーリ300はベアリング310を介してトーションバネ100に軸支される。締め具320は受部101に係合する。ブッシュ321は受部101においてベアリング320を正確に位置決めする。ダストカバー350は異物がベアリングに侵入するのを防止する。プーリ300は直径(D)を有する。
【0020】
締め具はテンショナを取付け面に固定するために穴103に係合する。ピン104は動作中にテンショナが回転することを防止する。
【0021】
この他の実施形態において、バネ100はプーリ300の直径(D)内に配置され、2つの方法でベアリング310に取付けられる。ひとつめは、前述のようにプーリが受部101にボルトで留められる方法である。ふたつめは、バネの端部が丸いループに成形され、ベアリング310のアウタレース312がループに圧入される方法である。プーリはベアリングのインナレース311に取付けられる。従来公知のように、ベアリングのインナレースの回転はベアリングの少ない疲労のため、好都合である。プーリは、ベアリングのIDボアに圧入されるハブを有するか、あるいはベアリングのインナレースの上面にボルトで留められることができる。後者の場合、長さ約2mmの非常に小さい位置決めハブが、ボルトによって固定するのに先立ち、ベアリングを所定位置に定めることを補助する。
【0022】
図5は図4の実施形態の底面図である。取付け面102は説明の簡単のため、プーリの直径(D)の外側に配置される。
【0023】
図6はテンショナの他の実施形態の分解図である。この他の実施形態の要素は、取付け板1020が直径(D)内に配置されるのを除いて、図4および5に示されたものと同一である。この実施形態において、テンショナはプーリがない状態で取付け面に組み付けられなければならず、その後プーリがテンショナへ組み付けられる。プーリにあるアクセス穴を対向させて、完全に組み立てられたテンショナを取付け面に取付けるようにすることも可能である。これはテンショナを閉じた空間内に取付けることを可能にする。
【0024】
図7は図6の実施形態の底面図である。ピン1040は動作中においてテンショナの回転を防止する。ピン1040は取付け面(図示せず)において受容穴に係合する。
【0025】
本発明の1つの形態が説明されたが、当業者がここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成と部分の関係と方法において変形を施すことは自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーションバネと、
前記トーションバネの端部に軸支されるプーリと、
少なくとも270°の接触円弧を介してトーションバネのコイル内に閉じ込められるエラストマのダンピング部材とを備え、
前記エラストマのダンピング部材が前記トーションバネのコイルにダンピング接触する
テンショナ。
【請求項2】
前記トーションバネが平板バネである請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記エラストマのダンピング部材がEPDM、VAMAC、NBR、あるいはこれらの2つ以上の組合せのような、天然あるいは合成ゴムを備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記トーションバネがプーリの直径内に配置された取付け面をさらに備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項5】
前記プーリが前記トーションバネに結合されたヨーク部材に連結される請求項1に記載のテンショナ。
【請求項6】
前記テンショナを取付け面に取付けるためのエラストマのダンピング部材に係合された取付け部材をさらに備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項7】
前記プーリが、前記トーションバネと前記プーリの間に作用的に配置されたダンピング部材を介して軸支される請求項1に記載のテンショナ。
【請求項8】
トーションバネと、
前記トーションバネの端部に軸支されるプーリと、
約270°よりも小さい接触円弧を介してトーションバネのコイル内に閉じ込められたエラストマのダンピング部材とを備え、
前記エラストマのダンピング部材が前記トーションバネのコイルにダンピング接触する
テンショナ。
【請求項9】
トーションバネと、
前記トーションバネの端部に軸支されるプーリと、
接触円弧αを介してトーションバネのコイル内に閉じ込められるエラストマのダンピング部材とを備え、
前記エラストマのダンピング部材が前記トーションバネのコイルにダンピング接触する
テンショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−508650(P2013−508650A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535461(P2012−535461)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054375
【国際公開番号】WO2011/053664
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】