説明

テンション器具、キットおよび関連方法

【課題】長骨周囲にケーブルを張るために用いる整形外科手術用の器具を提供する。
【解決手段】この器具は本体を有する。また器具は、ケーブルの第1の端部を器具に接続するために、本体に操作可能に結合された第1の接続手段を有する。器具はまた、ケーブルの第2の端部を器具に接続するために、本体に操作可能に結合された第2の接続手段も備える。第1の接続手段および/もしくは第2の接続手段は、ケーブルを締め付けるための一方向性のロック機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、全般的に整形外科の分野に関し、特に関節形成術に用いるインプラントに関する。
【0002】
〔関連出願のクロスリファレンス〕
同時に出願した「整形外科手術用のキット、器具および関連方法(KIT FOR USE IN ORTHOPAEDIC PROCEDURES, DEVICE AND RELATED METHOD)」DEP5719USNPをクロスリファレンスとしてここに参照し、本願の一部とする。
【0003】
〔発明の背景〕
変形性関節症や関節リウマチを原因とする痛みや不動性状態に苦しむ患者は、関節置換術の選択肢がある。関節置換術は非常に一般的であり、その選択肢以外に方法がないようであれば、多様な部分を適切に機能させることが可能である。人工関節は通常、金属、セラミックおよび/もしくはプラスチック構成材で形成され、これらは存在する骨に固定される。
【0004】
このような関節置換術は、他に関節形成術として知られている。関節形成術は、病気および/もしくは損傷した関節を人工装具で置換する、よく知られた外科手術である。一般的な関節全置換術では、関節に隣接した骨の端部もしくは遠位部を切除するか、もしくは骨の遠位部の一部を取り除き、そこへ人工関節を固定する。
【0005】
人工骨のような植え込み物を製造するために、様々なデザインおよび方法があることが知られている。このような人工骨は、肘、股関節、膝および肩などの人工関節の構成要素を含む。
【0006】
人体内部の関節は2つ以上の骨もしくは他の骨格部分相互間の接合を形成する。足首、股関節、膝、肩、肘および手首は、体内に見られる多数の関節わずかな例に過ぎない。上記に挙げた関節の例から明らかなように、多くの関節によって、骨と骨との相対的な動きが可能となる。例えば、スライド、グライド、ヒンジもしくは球関節運動の動きは、関節により機能させることが可能である。例えば、足首は、ヒンジの動きを可能とし、膝はグライドとヒンジの動きの組み合わせを可能とし、肩および股関節は球関節構成を通じて動くことが可能となる。
【0007】
体内の関節は、様々な状態でストレスもしくは損傷を受ける。例えば、長年にわたる関節の連続的な使用によって、関節の段階的な磨耗および断裂が起こる。動きが可能な関節は、動きを円滑にするため骨の間に位置する軟骨を有し、関節にかかる直接の力をある程度緩和する。長期にわたると、関節の通常の使用で軟骨が磨耗し、動く骨が互いに直接接触するようになる。通常の使用とは対照的に、例えば自動車事故などのアクシデントで大きな力が加えられるような関節への衝撃は、骨、軟骨もしくは腱や靭帯のような他の結合組織にかなりの損傷を与える。
【0008】
関節の疾病に関する専門用語である「関節症」とは、関節が損傷を受けることとはまた別の状態である。関節の病気として最も知られているのはおそらく関節炎であり、一般的には関節の疾患もしくは炎症とされ、痛み、腫れ、凝り、不安定感、時には変形の原因となる。
【0009】
最も一般的な変形性関節症による関節炎には種々の形態があり、関節内の軟骨の磨耗や裂傷が原因である。別の関節炎の種類は骨壊死であり、供給血液の欠乏によって骨の一部が死ぬことが原因である。他の種類の関節炎は関節の外傷によって起こり、関節リウマチ、狼瘡および乾癬性関節炎など他の関節炎が軟骨を破損させるもので、関節内面の炎症に関係する。
【0010】
股関節は通常、関節症に苦しめられる関節の1つである。股関節は、大腿もしくは大腿骨を骨盤と結合する球関節(ball and socket joint)である。骨盤には大腿の球状骨頭を受けるための寛骨臼と呼ばれる半球状の受け口がある。大腿骨頭と寛骨臼は両方共に、大腿が骨盤内で滑らかに動くようにするための軟骨で覆われている。通常、関節症で苦しむその他の関節は、背骨、膝、肩、手根骨、中手骨、および手の指骨である。
【0011】
関節症に対する関節形成術は、人工関節での施術が一般的である。関節炎、もしくは激しい痛みがある場合や関節の可動域が限定的な場合などの他の関節症の重症例では、人工関節の許す範囲で一部もしくは全ての関節置換が理にかなっている。関節置換の処置は当然、個々に該当する関節によって様々であるが、一般的には痛みを伴う骨の末端部を人工器官インプラントで置換し、軟骨の代替物として機能する構成要素を挿入することが必要となる。
【0012】
人工器官インプラントは、関節、およびこの関節に平滑性を与えかつ圧縮力を吸収するように選択された軟骨の代替物、に強度と剛性を与え、かつ、骨と結合する、堅い材料で形成される。インプラントの適切な材料は、金属、チタン、コバルトクロム、ステンレス鋼などの複合材料、およびセラミックなどがあり、軟骨代替物の適切な材料としてはポリエチレンがある。また、セメントも人工装具インプラントを受け側の骨に固定するために使用可能である。
【0013】
完全股関節置換術では例えば、大腿骨の球状頭部を除去し、髄腔もしくは骨髄と呼ばれるこの骨の中心部にステムインプラントを挿入することが必要である。このステムインプラントは、髄腔の中へセメントで固められてもよいし、もしくはステムインプラントは、骨が直接インプラントに癒着するための多孔質の皮膜面を有してよい。ステムインプラントは頚部および球状頭部を有し、これらは健康な大腿骨頚部および大腿骨の球状頭部と同じ機能を果たすことを目的としている。ポリエチレンカップは寛骨臼に挿入され、ステムインプラントの頭部を支える受け口を有する。
【0014】
完全股関節置換術のステムインプラントは、髄腔もしくは骨髄の穴を広げ、もしくは髄腔から外科的に取り除いた後、髄腔に配置される。大腿骨が切除され、髄腔が広げられた後の外側もしくは皮質骨または大腿骨の状態は、その厚さおよび強さに応じて様々である。もし患者が特に高齢であり骨粗鬆症ならば、髄腔を広げた後に残る皮質骨の厚さおよび強さは薄く弱くなる。この完全股関節人工器官のステム要素の髄腔への挿入は、皮質骨を骨折、粉砕もしくは破砕させる可能性もある。
【0015】
切断した大腿骨における皮質骨のこのような骨折、破砕もしくは粉砕に対処するため、ワイヤーもしくはケーブルを皮質骨の外周の周囲に延在させ、皮質骨の断片をそれ自体に固定し、全ての股関節人工器官のステムインプラントを支持してもよい。ケーブルの端部はクランプもしくはスリーブによって固定される。このようなケーブルはセルクラージュケーブルとして知られている。実際には、複数の離間したケーブルが骨折した大腿骨を適切に固定するため、および、ステムインプラントを支持するために必要となることもある。
【0016】
理解すべきは、皮質骨の骨折もしくは破砕の機会を低減する人工器官を受け入れるための追加的な支持を提供するために、ケーブルもしくはワイヤーをいずれかの長骨の周囲に配置させることである。また、当然のことながら、ケーブルまたはワイヤーはいずれの長骨においても使用可能であり、例えば、いずれの長骨の骨幹部に配置してもよい。例えば、ケーブルまたはワイヤーは脛骨、腓骨、大腿骨、上腕骨、尺骨、もしくは身体の他の長骨などに配置することができる。
【0017】
ケーブルは、骨、特に長骨の骨幹が骨折した場合、具体的には、長骨が軸方向の骨折をした場合に、外傷性障害治療の一部として利用可能である。ケーブルもしくはワイヤーは、例えば、高齢の患者の転倒に関係する体液性の骨折もしくは、大腿骨、脛骨または腓骨の骨折に用いることが可能である。
【0018】
セルクラージュケーブルもしくはワイヤーを骨の骨幹部周囲に適切に取りつけるため、ケーブルのテンションもしくはクランプの力を適切かつ正確に制御する。
【0019】
従来技術の器具は、セルクラージュケーブルの正確なテンションを与えるために開発されてきた。
【0020】
様々な従来技術がセルクラージュケーブルを正確に張る問題を処理するように試みている。例えば、アーレンド他(Ahrend et al.)に付与された米国特許第6,482,208号、およびキルペラ他(Kilpela et al.)に付与された米国特許第5,595,994号は、セルクラージュケーブルにテンションをかけるように回転させるネジ式のシャフトを利用している。これとは別に、プレイスマン(Preissman)に付与された米国特許第5,449,361号、およびワグナー他(Wagner et al.)によるPCT特許出願第WO99/09904号は、セルクラージュケーブルにテンションをかけるためにラチェットおよび歯止め式機構を提供している。これらの特許は、全てを参照して本願に組み込む。
【0021】
図2および図3を参照すると、デピュー・オーソピーディック社(DePuy Orthopaedics Inc.)から発売された制御ケーブル・テンショナー・スロットル(control cable tensioner throttle)第2739-42-000番の形式の別の従来技術によるセルクラージュテンショナーが示されている。
【0022】
ここで図2を参照すると、軸方向の骨折部2を有する大腿骨1の形状とした長骨が示されている。長骨1は、切断され、股関節ステム3の形状とされた人口器官が大腿骨1の内部に挿入されている。理解すべきは、大腿骨1の骨折部2は大腿骨1を非常に弱体化させ、股関節ステム3を不適切に支持することもありうることである。当然のことながら、股関節ステム3を適切に支持するため、大腿骨1の骨折部2に対する治療が必要である。ここで図3を参照すると、大腿骨1の骨折部2に対する通常の治療がセルクラージュケーブル4として示されている。セルクラージュケーブル4は、大腿骨1の周囲を取り巻き、股関節ステム3を一層支持するように大腿骨1の骨折部分を囲む働きをする。例えば、図3に示すように、複数の離間したセルクラージュケーブル4を、股関節ステム3を適切に支持する大腿骨1を支援するために利用することが可能である。
【0023】
セルクラージュケーブル4は、骨折したいかなる長骨の補助的な支持をするためにも利用可能であることを理解すべきである。特にセルクラージュケーブル4は、骨髄内のステム部を有する人工器官部材が、骨折した長骨によって適切に支持されうるように、あらゆる長骨の骨幹部を支持するために適合させられることができる。
【0024】
ここで図3Aおよび3Bを参照すると、セルクラージュ制御ケーブルテンショナーが制御ケーブルテンショナー10で示されている。
【0025】
ここで図3Aを参照すると、ケーブルテンショナー10が示されている。ケーブルテンショナー10は、本体12と、本体12に対してスライドするように動かせるスライド部14とを備える。本体12は、長骨1を位置決めするための開口部16を有する。ケーブル4はケーブルテンショナー10に接続されている。例えば、ケーブル4はスライド部14から開口部16の全体にわたって本体12に接続されている。その後ケーブル4はスライド部14の反対側の端部で固定される。ケーブル4は本体12の開口部16内で長骨1の周囲に巻かれて、スライド部14に固定される。スライド部14が矢印18の方向に進むと、ケーブル14が張られる。
【0026】
ここで図3Bを参照すると、スライド部14は、本体12に形成されてスライド部にぴったりと一致するトラック20の手段によって、本体12にスライド可能に取り付けられている。スライド部14は例えば、雌ねじ開口部22を有し、雄ねじシャフト24と連携する。シャフト24は、例えば、ハンドル26に接続され、矢印28の方向に回転させると、スライド14は本体に対して矢印18の方向に進み、これによってケーブル14を長骨1の周囲で締め付けることができる。
【0027】
図3Aおよび図3Bのケーブルテンショナー10は製造が複雑で高価である。また、テンショナー10は機械的な利点が制限され、ケーブルに与える最大のテンションに制限がある。さらに、トラック20は、雌ねじ開口部22および雄ねじシャフト24とともに、潤滑性および維持管理が必要となりうる調整機構を提供する。テンショナーはまた、正確なテンション制御を行うことができないこともある。
【0028】
本発明は、従来技術が有する上記の問題の少なくともいくつかを解決するために構成される。
【0029】
〔発明の概要〕
本発明によれば、クリンプ留め機構の取り付けを十分に達成できるセルクラージュケーブルを張るための器具が提供される。
【0030】
このケーブルテンション器具は、ケーブル端部を保持するための2つの結合機構と、様々な張力に応じた正確なテンション制御を行うためのラチェットプーリーと、を利用する。
【0031】
本発明のケーブルテンショナーは、フォーク様本体を有する。このフォーク様本体は、ケーブルの第1の端部を受け入れる。ケーブルの第1の端部は本体に固定される。ケーブルは、フォーク様本体の開口部にわたって延在され、長骨の周囲に位置決めされる。ケーブルの第2の端部は、ラチェット機構に接続される。ラチェット機構はケーブルを張るために使用する。一旦ケーブルが適切に張られると、ケーブルは、例えばクリンプ留めの方法で固定される。ラチェット機構は、駆動プーリーと一体であってもよく、ケーブルを張るために回転させられてもよい。
【0032】
本発明の態様によれば、整形外科手術に使用する長骨周囲にケーブルを張るために用いる器具が提供される。この器具は本体を有する。また器具は、ケーブルの第1の端部を器具に接続するため、本体と操作可能に結合する第1の接続手段を備える。器具はまた、ケーブルの第2の端部を器具に接続するため、本体と操作可能に結合する第2の接続手段も備える。第1の接続手段および/もしくは第2の接続手段は、ケーブルを締めるための一方向性のロック機構を備える。
【0033】
本発明の別の態様によれば、長骨の整形外科手術に用いるためのキットが提供される。このキットは、ケーブルおよび器具を含む。この器具は、ベースと、このベースから延びる第1および第2の離間したアームと、を有する。第1および第2のアームはそれぞれが、ベースに取り付けられた閉鎖端部と、この閉鎖端部に対向する開口端部と、を有する。また器具は第1の接続手段を備える。第1の接続手段は、ケーブルの第1の端部を器具に接続するための第1のアームに接続されている。器具はさらに、ケーブルの第2の端部を器具に接続するための第2のアームに接続される第2の接続手段を有する。第1の接続手段は、ケーブルを締め付けるための一方向性のロック機構を備える。
【0034】
本発明の別の態様によれば、患者の長骨の骨断片を結合するための方法が提供される。この方法は、ベース、ならびに、このベースから延びる第1および第2の離間したアームを有する本体を含む器具を準備する工程を含む。この器具は第2のアームに接続されたテンション器具を有する。また、この方法は、ケーブルを準備する工程と、器具の第1のアームにケーブルを固定する工程と、長骨の周囲にケーブルを巻く工程と、器具の第2のアームにケーブルを固定する工程と、テンション器具でケーブルを張る工程と、を備える。
【0035】
本発明のさらに別の態様によれば、長骨の整形外科手術に用いるキットが提供される。このキットは、ケーブルと器具とを備える。器具は本体を有する。器具はまた、ケーブルの第1の端部を器具に接続するため、本体と操作可能に結合する第1の接続手段を備える。さらに器具は、ケーブルの第2の端部を器具に接続するため、本体と操作可能に結合する第2の接続手段も備える。第1の接続手段および/もしくは第2の接続手段は、ケーブルを締めるための一方向性のロック機構を備える。
【0036】
本発明のさらにまた別の態様によれば、長骨周囲にケーブルを張るために用いる整形外科用の器具が提供される。この器具は、ベースと、このベースから延びる第1の離間したアームと、を有する。第1のアームは、ベースに取り付けられた閉鎖端部と、この閉鎖端部に対向する開口端部と、を有する。器具はまた、ベースから延びる第2の離間したアームも有する。第2のアームは、ベースに取り付けられた閉鎖端部と、この閉鎖端部に対向する開口端部と、を有する。また器具は第1の接続手段を備える。第1の接続手段は、ケーブルの第1の端部を器具に接続するための第1のアームに接続されている。第1の接続手段は、ケーブルを締め付けるための一方向性のロック機構を備える。第1の接続手段は、ケーブルの第1の端部を器具に接続するため、本体または第1のアームと操作可能に結合されている。器具はまた、ケーブルの第2の端部を器具に接続するための第2のアームと接続された第2の接続手段も備える。
【0037】
本発明の他の態様によれば、患者の長骨の骨断片を結合するための方法が提供される。この方法は、ベース、ならびにベースから延びる第1および第2の離間したアームを有する本体を備えた器具を準備する工程を含む。アームは、アームの近位端および遠位端を有し、第2のアームを結合するテンション器具を備える。この方法はまた、ケーブルを準備する工程と、器具の第1のアームの遠位端にケーブルを固定する工程とを含む。この方法はまた、長骨周囲にケーブルを巻く工程と、器具の第2のアームの遠位端にケーブルを固定する工程と、テンション器具でケーブルを張る工程とを備える。
【0038】
本発明の技術的利点は、テンション器具が使用中に急に止まることのない機能である。例えば、本発明の一態様によれば、長骨周囲にケーブルを張るために用いる器具が提供される。この器具は、ベース、ならびに第1および第2の離間したアームを有する本体を具備する。器具はまた、第1の接続手段、および第2の接続手段を有し、ケーブルを第1の接続手段、および第2の接続手段の間で位置決めする。器具はさらに、ケーブルを第1の接続手段、および第2の接続手段の間において低摩擦ガイディング(low friction guiding)を提供する。このように、本発明は、ケーブルが急に止まることのないケーブルテンション器具を提供する。
【0039】
本発明の技術的利点は、セルクラージュケーブルを張るために、より大きな最大張力、および最終的なテンションを広範囲に制御する、能力をさらに備える。例えば、本発明の別の態様によれば、長骨周辺のケーブルにテンションをかけるために使用する器具が提供される。この器具は、第1および第2の離間したアームと、ケーブを締めるための一方向性のロック機構を有する接続手段とを具備する本体を備える。一方向性のロック機構は、広範囲のテンション制御を行い、より大きな最大張力を与えるラチェット機構などの低摩擦機構を有してもよい。このように、本発明は、最終的な張力、およびより大きな最大張力を広範囲に制御するテンション器具を提供する。
【0040】
本発明の技術的な利点は、単純な機構によって整形外科用のケーブルテンション器具を提供できることをさらに含む。例えば、本発明の別の態様によれば、長骨周囲にケーブルを張るために用いる器具が提供される。この器具は、ベース、およびこのベースから延びる離間したアームを有する。さらにこの器具は、ケーブルの第1の端部を接続するための第1の接続手段と、ケーブルの第2の端部を接続するための第2の接続手段とを有する。第2の接続手段は、ケーブルを締め付けるための一方向性のロック機構を備える。この締め付け機構は、単純なラチェット機構であってもよく、例えば、一方向性のロック機構となるために歯を有する、一対の付勢バネによるホイールであってもよい。このように本発明は、単純な機構でケーブルテンション器具を提供する。
【0041】
本発明の技術的な利点は、製造および維持管理がし易いテンション器具を提供できることをさらに含む。例えば、本発明の別の態様によれば、長骨周囲にケーブルを張るために使用する器具が提供される。この器具は、本体から延びる離間したアームを有する本体を備える。接続手段は、どちらか一方のアームに取り付けられ、第2の接続手段は他方のアームに取り付けられる。第2の接続手段は、ケーブルを張るための一側性(unilateral)ロック機構を備えることができる。一側性ロック機構は、ラチェット機構を提供するための歯を有する、付勢バネによる一対のホイールの形態のラチェット機構を備えてもよい。この機構は維持管理が簡単で製造し易い。このように本発明は、製造および維持管理がし易い整形外科用のケーブルテンション器具を提供する
【0042】
本発明の技術的利点は、長骨周辺のケーブルを素早く簡単に張る能力をさらに含む。例えば、本発明のまたさらに別の態様によれば、長骨周囲にケーブルを張るために使用する器具を提供する。この器具は本体を有し、この本体は、本体のベースから延びる一対の離間したアームを有する。第1の接続手段はケーブルの一端を固定するために用いられ、第2の接続手段はケーブルを器具に固定して締め付けるために用いられる。第2の接続手段は、例えば、一側性ロック機構を提供するために付勢された、歯を有する一対の離間したホイールの形態のような、一側性ロック機構を備える。一側性ロック機構は、素早く簡単に利用できる単純なラチェット機構の手段で素早く簡単に固定される。このように、本発明は、素早く使い易いケーブルテンション器具を提供する。
【0043】
本発明の技術的利点は、部品数を削減したケーブルテンション器具を提供できることをさらに含む。例えば、本発明のまたさらに別の態様によれば、長骨周囲にケーブルを張るためのテンション器具が提供されており、このテンション器具は、例えば、ケーブルの第1の端部を受け入れるための、本体の開口部の形態である、一体化された第1の接続手段、および、ラチェット機構の形態である、第2の接続手段を有する本体を具備する。ラチェット機構は、第1のホイール、第1のホイールを本体に固定する留め具、および第1のホイールを本体に付勢するバネ、のただ単に3つの構成要素を含む。本体、および第1のホイールは、一側性ロック機構を提供するための歯を含むこともできる。このように、本発明は、最少の、すなわち構成要素の数を削減した、テンション器具を提供する。
【0044】
本発明による他の技術的利点は、以下の説明と添付の図面およびクレームから当業者に明らかとなるであろう。
【0045】
本発明およびその利点の、より完全な理解のため、添付の図面に関してなされる以下の説明を参照されたい。
【0046】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の実施形態およびその利点は、以下の説明および、同様の対応する要素に同様の符号を用いた図面を参照することで、最もよく理解される。
【0047】
本発明によれば、図1を参照すると、整形外科用手術用の、長骨1の周囲にケーブル4を張るために用いる器具100が示されている。器具100はベース104を有する本体102を具備する。第1のアーム106および第2のアーム108は、器具100の本体102のベース104から延びている。第1のアーム106は、ベース104に取り付けられた閉鎖端部110と、閉鎖端部110と対向する開口端部112とを備える。同様に、第2のアーム108は、ベース104に取り付けられた閉鎖端部114と、閉鎖端部114と対向する開口端部116とを備える。器具100は、ケーブル4の第1の端部120を器具100に接続するため、本体102と操作可能に結合された第1の接続手段118をさらに有する。
【0048】
器具100は、ケーブル4の第2の端部124を器具100に接続するため、本体102と操作可能に結合された第2の接続手段122をさらに有する。第1の接続手段118もしくは第2の接続手段122のいずれか、もしくはこれらの両方は、長骨もしくは大腿骨1の周囲にケーブル4を張るために、一方向性のロック機構126を有する。
【0049】
第1のアーム106および第2のアーム108は、適切であればいかなる形状および構造であってもよい。例えば、図1に示すように、第1のアーム106および第2のアーム108は、実質的に平行で離間する関係で延びていてもよい。さらに、第1のアーム106および第2のアーム108は、いかなる適切な形状であってもよい。例えば、図1に示すように、第1のアーム106は概ね長方形の断面を有することができる。
【0050】
例えば図1Fに示すように、第1のアーム106は幅Wで厚さTを有してもよい。同様に第2のアーム108も幅Wで厚さTとすることもできる。
【0051】
当然ながら、第1のアーム106および第2のアーム108は、同様もしくは異なる断面を有してもよい。さらに、理解すべきは、第1のアーム106および第2のアーム108が、円形、楕円形、もしくは多角形の断面のように適切ないかなる断面であってもよいことである。
【0052】
第1のアーム106は、器具100がケーブル4を張るために用いられた後、ケーブル4が固定できるように、十分な間隔を持って第2のアーム108から離間させてもよい。ケーブル4が張られると、クリンプもしくはスリーブ5は、長骨1にケーブル4を固定するために利用される。クリンプもしくはスリーブ5は、クリンパー(crimper)128(図1D参照)によって圧縮される。例えば、第1のアーム106は、図1Dに示すように、クリンパー128の使用に十分な広さを確保するため、第2のアーム108から距離Gだけ離間していてもよい。図1を再度参照すると、アーム106および108の開口端部112および116はそれぞれ、始点132から例えば半径Rの距離だけ延びる径の長さによって画定される半円筒形であってもよい弓状表面130の形状で、軟組織への損傷を回避する特徴を備える。弓状表面は器具100が使用されるとき、軟組織への損傷を最少にすることができる。当然ながら、第1のアーム106、および第2のアーム108のコーナー部分134も同様に、軟組織への損傷を最小にするために丸めるか面取りしてもよい。
【0053】
図1に示すように、アーム106および108は好ましくは、ベース104を越えて延びており、クリンパー128(図1D参照)によってクリンプもしくはスリーブ5のクリンプ留めを行うのに適している。例えば第1のアーム106の開口端部112および第2のアーム108の開口端部116は、ベース104から外側へ距離Gだけ延びている。距離Gは、クリンパー128(図1D参照)を効果的に利用するために十分であることが望ましい。
【0054】
図1を再度参照すると、ベース104はいかなる適切な形状であってもよく、例えば医療専門家の手で握るために構成された末端部136を有してもよい。例えば、末端部136は円形、楕円形、長方形、もしくは多角形の断面を有してもよく、器具100の握りを支援する構造を有してもよい。例えば、末端部136は、指と協働する溝(図示せず)を有してもよい。また、末端部136は、器具100の握りを支援するため、刻み付け(図示せず)もしくは別の粗い表面の特徴を備えることもできる。
【0055】
ベース104は、図1に示すように、第1のアーム106および第2のアーム108と一体化されていてもよい。また、アーム106および108は、モジュール式でもよく、もしくは別部品を含んでもよく、本体102を形成するためにベース104に固定されてもよい。
【0056】
第1の接続手段118、および第2の接続手段122は、本体102と操作可能に結合するいかなる場所に配置されてもよい。例えば、図1に示すように、第1の接続手段118は、第1のアーム106に接続することができる。同様に、第2の接続手段122は、第2のアーム108に配置することができる。第1の接続手段118を第1のアーム106に配置し、第2の接続手段122を第2のアーム108に配置することで、ケーブル4は、第1のアーム106の開口端部112と第2のアーム108の開口端部116との間に配置された開口部138にわたって張ることができる。
【0057】
第1の接続手段118、および第2の接続手段122は、いかなる適切な形状もしくは接続機能を行うことができる適切な形態であってもよい。例えば、図1に示すように、第1の接続手段118は、第1のアーム106に形成された開口部140で画定されてもよい。開口部140は、ケーブル4をスライド可能に受け入れる役目をする。
【0058】
ここで図1Bを参照すると、第1の接続手段118が詳細に示されている。ケーブル4は、例えば締まりばめ、溶接、または、はんだ付け、または機械的連結によって、第1のアーム106に機械的に固定されてもよい。一方これとは別に、簡素化のため、図1Bに示すように、ケーブル4は、第1のアーム106に形成された開口部140の直径ODよりわずかに小さい直径CDを画定することができる。開口部140は、ケーブル4を締めると、ケーブル4が、第1のアーム106の外層142で第1のアーム106にロックもしくは固定されるように、第1のアーム106の外層142に対して角度θを形成してもよい。
【0059】
図1を再度参照すると、ケーブル4は、第1の接続手段118から、開口部138をわたり、長骨1を取り囲んで、第2のアーム108に接続される。ケーブル4はその後、第2の接続手段122に接続される。図1に示すように、器具100は、ケーブル4が第1のアーム106から第2のアーム108に通るように、ケーブル4の位置を案内するための構造を有することができる。例えば、図1に示すように、第1のアーム106は、第1のアーム106の開口端部112に配置された第1の案内手段144を有してもよい。同様に、第2のアーム108は、ケーブル4を案内するために第2のアーム108の開口端部116に配置された第2の案内手段146を有してもよい。
【0060】
再び図1Bを参照すると、第1のアーム106の第1の開口部140から開口端部112をわたって張られたケーブル4自体は、第1の案内手段144に案内される。第1の案内手段144は、ケーブル4を案内可能な形状もしくは構造を有してもよい。例えば、図1Bに示すように、第1の案内手段144は、溝148の形態であってもよい。溝148は、ケーブル4に適合した形状を有する。
【0061】
ここで図1Cを参照すると、器具100の第1のアーム106は、詳細に示された溝148の形態で第1の案内手段144とともに端面図に示されている。溝148は、開口部140に直線状に合わせる。
【0062】
再度図1を参照すると、ケーブル4は、開口部138を横断して張られ、第2のアーム108に固定される。ケーブル4は、いかなる適切な方法で第2のアーム108に固定され、第2のアーム108にケーブル4を案内するため、第2の接続手段146を備えてもよい。器具100は、ケーブル4を器具100に接続するための第2の接続手段122をさらに備える。器具100は、ケーブル4を器具100にロックもしくは張って固定するように構成されたロック機構126をさらに備える。第2の案内手段146、第2の接続手段122およびロック機構126は、いかなる適切な形状および形態であってもよく、第2アーム固定システム150の一部である図1に示すようなものでもよい。
【0063】
ここで図1Dを参照すると、第2のアーム固定システム150の詳細が示されている。図1Dに示すように、第2のアーム固定システム150は、ラチェットステム152を有し、このラチェットステム152は、器具100の第2のアーム108に形成された第2のアームホール154内に回転可能に嵌め込まれている。ラチェットステム152は、ラチェットステム152に形成されたラチェット156を有する。ラチェット156は、歯止め158と協働し、歯止め158は、ピボットピン160によって第2のアーム108に旋回可能に固定されている。歯止め158は、例えばバネ162の形態で付勢手段によってラチェット156と係合するように固定されている。
【0064】
ガイドプーリー164はラチェットステム152に嵌め込まれ、ケーブル4をスライド可能に受け入れるためのガイドプーリーケーブル開口部166を有する。ガイドプーリー164は、ケーブル4を案内するためのガイドプーリー溝168をさらに具備する。
【0065】
ここで図1Eを参照すると、器具100の本体102の詳細が示されている。本体102は、第1のアーム106および第2のアーム108とともにベース104を有する。第1のアーム106は、第1のアーム溝148とともに開口部140を有してもよい。開口部138は、第1のアーム106および第2のアーム108との間に形成される。第2のアーム108は、第2のアーム固定システム150(図1D参照)を受け入れるための第2のアームホール154を備える。
【0066】
本体102のベース104および第1のアーム106ならびに第2のアーム108はいかなる適切な形状であってもよい。例えば、図1Fに示すように、第1のアーム106は、第1のアーム106の幅W、厚さTで画定される略長方形であってもよい。図1Fおよび図1に示すように、第1のアーム106は、例えば均一な断面を有することが可能である。当然ながら、第1のアーム106の断面は、円形、楕円形、または、長方形以外の多角形、例えば三角形もしくは五角形であってもよい。
【0067】
図1Gを参照すると、第2のアーム108の詳細が示されている。第2のアーム108は、ラチェットステム152(図1D参照)と協働するための第2のアームホール154を備える。第2のアーム108はまた、ガイドプーリー164(図1D参照)を受け入れる第2のアームスロット170も備える。
【0068】
ここで図1Hおよび図1Iを参照すると、器具100の第2のアーム固定システム150におけるロック機構126のラチェットステム152の詳細が示されている。ラチェットステム152は、ラチェット156を有し、このラチェット156は、外部スプライン172および六角ヘッド174の間に配置されている。ラチェット156は、複数の離間した歯176を備えている。歯176は、矢印178の方向にラチェットステム152が回転するように構成され、一方、矢印180の方向にはラチェットステム152が回転しない。
【0069】
ここで図1Jを参照すると、ガイドプーリー164の詳細が示されている。ガイドプーリー164は、ケーブル4を受け入れるためのガイドプーリーケーブル開口部166を備えている。ガイドプーリー164はさらに、ケーブル4を案内するため、ガイドプーリー164の周囲に配置されたガイドプーリー溝168を備える。ガイドプーリー164はまた、ラチェットステム152(図1H参照)の外部スプライン172と協働する中央内部スプライン182をさらに備えている。
【0070】
ここで図1Kおよび図1Lを参照すると、器具100のロック機構126における歯止め158の詳細が示されている。歯止め158は、器具100の第2のアーム108に歯止め158を旋回可能に配置するためにピボットピン160と協働するピボットホール184を備える(図1D参照)。仮想線で示されたバネ162は歯止め158と係合し、歯止め158を矢印186の方向に回転させ、仮想線で示されたラチェット156の歯176と係合する。
【0071】
ここで図1Mを参照すると、バネ162の詳細が示されている。バネ162は、器具100のロック機構126におけるラチェットステム152のラチェット156と係合する歯止め158を付勢するために利用される。ばね162は、いかなる適切なバネであってもよく、コイルバネの形態で図1Mに示すようなものでもよい。
【0072】
ここで図1N、図1Oおよび図1Pを参照すると、器具100と接続するケーブル4とともに用いるためのスリーブ5の詳細が示されている。図1Oに示すように、スリーブ5はケーブル4の第1の部分190受け入れるための第1の開口部188を備える。スリーブ5はさらに、ケーブル4の第2の部分194受け入れるための第2の開口部192を備える。
【0073】
ここで図1Pを参照すると、スリーブ5は、いかなる適切な形状を有してもよく、図1Pに示すように、略長方形であってもよい。スリーブ5は第1の開口部188および第2の開口部192が形成された本体196を有してもよい。
【0074】
ここで図1Qを参照すると、セルクラージュケーブルシステム197を形成するため、スリーブ5と協働するケーブル4が示されている。
【0075】
ここで図1Rを参照すると、器具100とともに用いるソケットレンチ198が示されている。ソケットレンチ198は、ラチェットステム152の六角ヘッド174にかみ合うように嵌め込まれた内部ソケット199を有する(図1H参照)。
【0076】
ここで図1Sを参照すると、ビームトルクレンチ198Sが示されている。ビームトルクレンチ198Sは、図1Rのソケットレンチ198と同様であるが、トルクを制御するために、トルク測定分岐特徴部(a torque fork-measuring feature)を有し、ケーブル4のテンションもしくは力を制御する。
【0077】
これとは別に、図1Tに示すように、ブレーカウェイトルクレンチ(break away torque wrench)198Tが示されている。ブレーカウェイトルクレンチ198Tは、ブレーカウェイトルクレンチ198Tが、レンチが外れるような、または、トルクレンチが与えるであろうトルク力をそれ以上増大できないような、特定のトルクの大きさを与えるための特徴を有することを除き、図1Rのソケットレンチ198と同様である。
【0078】
ここで図1Uを参照すると、器具100を締める他の方法がパワーレンチ198Uとして示されている。パワーレンチ198Uは、パワーレンチ198Uが、動力源に接続して利用することを除き、図1Rのソケットレンチ198と同様である。そのようなパワーの源は、例えばバッテリー、電気回路、空気動力源、もしくは油圧の動力源であってもよい。
【0079】
ここで図1Vを参照すると、ケーブルを張るために、器具100とともに用いる他の器具が、トルクリミッタ付きのパワーレンチ198Vとして示されている。パワーレンチ198Vは、パワーレンチ198Vが、ケーブル4に与えるトルク量を制限するトルク制限の特徴を有することを除き、図1Uのパワーレンチ198Uと同様である。
【0080】
スリーブ5は、ケーブル4を固定するために潰して用いることもできる、適切な耐久力のある材料であればいかなるものからでも作ることが可能である。例えば、スリーブ5は柔らかい延性のある金属から作ることができる。スリーブ5は、例えば、図1Aのクリンパー128でクリンプ留めすることが可能である。
【0081】
ここで図1Wを参照すると、クリンパー128は、ケーブル4にスリーブ5を固定するためにクリンパー128で用いるクリンパー挿入部111を備えてもよい。
【0082】
ここで図1Xを参照すると、ケーブル4にスリーブ5をクリンプ留めするために図1Aのクリンパー128を利用した後、ケーブル4を切断するためにニッパー115が利用されてもよい。
【0083】
ここで図1Yを参照すると、長骨1の周囲でケーブル4を通すためにフック119が利用されてもよい。
【0084】
再度図1を参照すると、器具100は、商業的に利用可能な殺菌技術で殺菌可能な、耐久性のあるあらゆる適切な材料から作られることができる。例えば、器具100はプラスチック、複合材料もしくは金属から作られた構成要素から作られることもできる。例えば、本体102は、複合材料、プラスチックもしくは金属から作られることも可能である。もし金属から作られる場合、本体102は例えば、コバルトクロム合金、ステンレススチール合金もしくはチタン合金から作られることもできる。
【0085】
器具100のラチェットステム152は、例えば、プラスチック、複合材料もしくは金属から作られることも可能である。同様に歯止め158およびバネ162ならびにガイドプーリー164は、例えばプラスチック、複合材料もしくは金属から作られることも可能である。
【0086】
ここで図4を参照すると、本発明の別の実施形態が器具200として示されている。器具200は、器具200が、例えば切開部の長さが短いような、低侵襲の手術で用いられるように構成されていることを除き、図1の器具100と同様である。切開部が短い手術用のために、図4の器具200は、患者の皮膚表面7より上で長骨1からさらに離間した位置においてケーブルを締めるために利用できるよう構成されている。
【0087】
例えば、図4に示されるように、器具200は、ロック機構226を具備した第2のアーム固定システム250を備え、患者の皮膚表面7の上部に配置される。器具200は第1のアーム206および第2のアーム208を有する本体202を備える。ケーブル4は、第1のアーム206と第2のアーム208との間に張られる。ケーブル4は、第1の接続手段218によって第1のアーム206に接続され、第2の接続手段222によって第2のアーム208に接続される。
【0088】
第1の接続手段218は、図1の器具100の第1の接続手段118と同様でありうる。これとは別に、図4に示すように、第1の接続手段218は、第1のアームプーリー217を有し、第1のアームプーリー217は第1のアーム206に回転可能に固定されている。第1のアームプーリー217は、ケーブル4を受け入れるための開口部240を備える。
【0089】
第1のアームプーリー217は、図4Aに示すように、第1の位置221を有し、それによってケーブル4が開口部240内に挿入されることを可能にする。ケーブル4が開口部240内に挿入された後、第1のアームプーリー217を、図4Aに示すように矢印213の方向に回転させる。図4Aに示すように、ケーブル4は開口部240内に挿入され、第1のアームプーリー217は矢印213の方向に回転させられる。
【0090】
ここで図4Bを参照すると、第1のアームプーリー217が矢印213の方向に回転すると、ケーブル4は、第1のアームプーリー217および第1のアーム206の間で作用し、ケーブル4を所望の位置にロックする。
【0091】
再度図4を参照すると、器具200の第2のアーム固定システム250が示されている。第2のアーム固定システム250は、第2の接続手段222を備える。第2の接続手段222は、図1の器具100の第2の接続手段122と同様である。第2の接続手段222は、ケーブル4の対向する端部を器具200に固定する役目をする。第2のアーム固定システム250は、ロック機構226をさらに備える。ロック機構226が患者の皮膚7の外側の位置でアクセス可能であるようにロック機構226が第2の接続手段222から離間していることを除き、ロック機構226は、器具100のロック機構126と同様である。第2の接続手段222から離間しているロック機構226を提供するために、ギアトレイン225がロック機構226と第2の接続手段222との間に機械的に配置される。
【0092】
ここで図4Dおよび図4Eを参照すると、第2の接続手段222の詳細が示されている。第2の接続手段222は、ガイドプーリー264を有する。ガイドプーリー264は、ケーブル4を受け入れるケーブル開口部266を具備する。ガイドプーリー264は、ケーブル4と協働するためのガイドプーリー溝268をさらに備える。
【0093】
ここで図4Fを参照すると、ギアトレイン225が詳細に示されている。ギアトレイン225は、ガイドプーリー264に接続されている駆動ギア229を有する。一連の中間ギア231は、駆動ギア229に操作可能に接続されている。従動ギア233は、中間ギア231に接続されている。駆動ギア229、中間ギア231、および従動ギア233は、器具200の本体202における第2のアーム208に回転可能に固定されている。
【0094】
ここで図4Gを参照すると、ロック機構226が詳細に示されている。図4Gのロック機構226は、図1Dのロック機構126を同様である。ロック機構226は、ラチェット256が位置するラチェットステム252を有する。ラチェットステム252は、ロック機構226を操作するための駆動ヘッド274をさらに具備する。駆動ギア233は、ラチェットステム252に固定可能に取り付けられており、ラチェットステムと一緒に回転する。ラチェットステム252は、器具200の本体202における第2のアーム208に回転可能に固定されている。ラチェット256は、歯止め258と係合し、ラチェットステム252の矢印280への一側性の回転を可能にする。歯止め258は、矢印280の一側性の回転を提供するために、バネ262によって付勢されている。
【0095】
ここで図5を参照すると、本発明のまた別の実施形態が器具300として示されている。図5の器具300は、図5の器具300が、図1のロック機構126とは異なり、第2のアーム308の開口端部316から離間して患者の皮膚表面7の上部に配置されたロック機構326を有することを除き、図1の器具100と同様である。皮膚表面7の上部におけるロック機構326の位置は、図1の器具100におけるケーブル4よりもかなり長いケーブル5のために設ける。
【0096】
図5の器具300はまた、図1の器具100とは、ロック機構326が器具100のロック機構126と異なる構成である点で異なっている。ロック機構326は、図1の器具100のロック機構126のものと同様の端部接触型のラチェットおよび歯止め機構ではなく、面接触型のラチェットおよび歯止めロック機構を有する。
【0097】
図5の器具300は、図1の器具100における本体102と同様の本体302を備える。本体302は、第1のアーム306、および離間した平行の第2のアーム308を備える。第1のアーム306は、ケーブル4の端部を固定するための第1の接続手段318を具備する。第1の接続手段318は、図1の器具100における第1の接続手段118と同様であってもよい。
【0098】
器具300は、図1の器具100における第1の案内手段144と同様の第1の案内手段344をさらに備える。器具300は、第2のアーム308の開口端部316と操作可能に結合する第2の案内手段346をさらに備える。第2の案内手段346は、器具300の第1の案内手段344と同様であってもよく、ケーブル4を受け入れる溝355を含んでもよい。器具300は、第2の接続手段322およびロック手段326をさらに備える。第2の接続手段322およびロック手段326は、器具300の第2のアーム308における閉鎖端部314の近傍に配置されている。
【0099】
ここで図6および図6Aを参照すると、第1の接続手段318および第1の案内手段344が詳細に示されている。第1の接続手段318は、図6に示すように、ケーブル4を受け入れるための開口部340を含む。開口部340は、第1のアーム306に対して角θθを形成して配置される。
【0100】
ここで図6Aを参照すると、第1の案内手段344は溝348を有し、ケーブル4の一部がかみ合うように受け入れる。
【0101】
ここで図7を参照すると、ロック機構326および第2の接続手段322が詳細に説明されている。ロック機構326は、第2のアーム308に形成された開口部354に、回転可能に嵌め込まれたステム351を有する。ラチェット356は、ステム351に固定可能に取り付けられ、ともに回転する。六角ヘッド374は、ラチェット356に固定され、ロック機構326を駆動もしくは回転させるために利用される。バネ362は、第2のアーム308に形成された歯止め358と係合するようラチェット356を付勢するために、第2のアーム308とバネ止め353との間に配置されている。歯止め358は、ラチェット356に形成された複数の離間した歯376と係合している。キー355は、第2の接続手段322がステム351とともに回転するように、ステム351と第2の接続手段322との間に配置されている。歯376は、ラチェット356の面377から外側へ延び、歯止め358を係合し、これによって六角ヘッド374とともに第2の接続手段322を回転させる。第2の接続手段322は、図7に示すように、第2のアーム308に形成された第2のアームスロット370に配置される。
【0102】
ここで図8を参照すると、ケーブル4は、第2のアーム308に形成された第2の案内手段372に形成された溝335を通って第2の接続手段322に固定される。第2の接続手段322は、ロック機構326のラチェット356に回転可能に接続されている。
【0103】
ここで図9を参照すると、第2の接続手段322が詳細に示されている。第2の接続手段322は、ケーブル4を受け入れるための外部案内プーリー溝368を画定する円筒形の案内プーリー364を有する。ケーブルプーリー開口部366は、ケーブル4を受け入れ、ケーブル4を案内プーリー364に固定する。案内プーリー364は、ステム351の周囲を回転する。
【0104】
ここで図10を参照すると、ラチェットステム352が詳細に示されている。ラチェットステム352は、止め部353およびラチェット356が固定されているステム351を有する。
【0105】
ここで図11を参照すると、ラチェット356が、第2のアーム308に対して離間した位置に示されている。図11に示すように、第1の位置361において理解すべきは、ラチェット356が、矢印379、および第2のアーム308に対して反対方向の矢印377の両方向に回転可能である。第2のアーム308は、ラチェット356に形成された歯376と係合可能な歯止め358を有する。複数の歯止め358を使用してもよく、もしくは図示のように唯一の歯止め358で十分な場合もある。歯376は、ラチェット356の面375に対して角度θθθを形成する。当然ながら、歯止め358は、第2のアーム308に対して角度αを形成してもよく、これにより角度αおよび角度θθθは同様となる。
【0106】
ここで図12を参照すると、ロック機構326が、歯止め358を係合したラチェット356とともに示されている。図12に示すような位置において、ラチェット356は矢印379の方向に動くことを妨げられ、ラチェット356、およびラチェット356に取り付けられたケーブル4が固定される。歯止め358は、ラチェット356に形成された歯376と係合する。第2の位置363において、ラチェット356は、矢印379の方向に動くことを禁じられ、ラチェット356が矢印381の方向に第2のアームから離れる方向に動くときにのみ矢印379の方向に動くことが可能である。
【0107】
ここで図13を参照すると、本発明のさらに他の実施形態が、器具300Aとして示されている。器具300Aは、器具300Aが図5の器具300におけるロック機構326と若干異なるロック機構326Aを含むことを除き、図5の器具300と同様である。器具300Aのロック機構326Aは、ラチェット356Aに形成された内側の歯376Aと係合する、複数の離間した歯止めもしくは外部の歯358Aを有する。第2のアーム308Aに形成された外側の歯358A、およびラチェット356Aに形成された内側の歯376Aは、ラチェット356が第2のアーム308から離れて矢印379Aの方向に動けないとき、互いに係合するように付勢され、矢印377Aの方向に動くことができる。
【0108】
ここで図14を参照すると、図5の器具300におけるロック機構326に用いるバネ362が示されている。バネ362は、図14に示すようにコイルバネであり、金属から作られてもよい。例えば、バネ326は、殺菌可能なステンレススチール材料から作ることもできる。
【0109】
図5〜図14の器具300の構成要素は、例えば、オートクレーブ(Autoclave)(登録商標)の工程で商業的に殺菌可能な技術によって殺菌することができるあらゆる耐久性のある適切な材料から作ってもよい、ということは理解されよう。
【0110】
ここで図15を参照すると、本発明のさらに別の実施形態が器具400として示されている。器具400は、器具400が図1の器具100における第1の接続手段118と同様の第1の接続手段418を具備することを除き、図5の器具300と同様である。第1の接続手段418は、ケーブル4を受け入れるための開口部420の形態である。器具400は、図4の器具200における第1の案内部材244と同様の第1の案内部材444をさらに備える。器具400の第1の案内部材444は、プーリー417の形態であり、そのプーリー417はケーブル4を受け入れるための外部溝を有する。器具400は、図5の器具300における第2の案内部材346と同様の第2の案内部材446をさらに備える。器具400は、図5の器具300における第2の接続手段322と同様の第2の接続手段422をさらに備える。器具400は、図5の器具300におけるロック機構326と同様のロック機構426をさらに備える。
【0111】
ここで図16を参照すると、本発明のさらに別の実施形態が器具500として示されている。器具500は、器具500が装置500のベースもしくはハンドル504に配置されたロック機構526を具備することを除き、図15の器具400と同様である。器具500は、図15の器具400における第1の接続部材418と同様の第1の接続部材518を備える。器具500は、器具500の本体502における第1のアーム506の開口端部512の形態で第1の案内部材544をさらに備える。器具500は、プーリーの形態で第2の案内手段546をさらに備える。器具500は、図15の器具400における第2の接続手段422と同様の第2の接続手段522をさらに備える。
【0112】
ここで図17を参照すると、本発明のさらに別の実施形態が器具600として示されている。器具600は、第1のアーム606および離間した第2のアーム608を有する本体602を備える。器具600は、図16の器具500における第1の接続手段518と同様の第1の接続手段618を備える。器具600は、プーリーの形態で第1の案内手段644をさらに備える。
【0113】
器具600は、プーリーの形態で第2の案内手段646をさらに備える。器具600は、図16の器具500における第2の接続手段522と同様の第2の接続手段622をさらに備える。器具600は、図16の器具500におけるロック機構526と同様のロック機構626をさらに備える。
【0114】
ここで図18を参照すると、本発明のさらに別の実施形態が、図16の器具500における第1の案内手段544とは若干異なる第1の案内手段744として示されている。実際、第1の案内手段744は、図17の器具600における第1の案内手段644と同様である。器具700は、図16の器具500における第2の案内手段546と同様の第2の案内手段746をさらに備える。器具700は、図16の器具500における第2の接続手段522と同様の第2の接続手段722をさらに備える。器具700は、図18の器具500におけるロック機構526と同様のロック機構726をさらに備える。
【0115】
ここで図19を参照すると、本発明のさらに別の実施形態が器具800として示されている。器具800は、図17および図16の、それぞれ、器具700における本体702と、器具500における本体502とは若干異なる形状を持つ本体802を有する。例えば、図19に示すように、本体802は、図18の器具700もしくは図16の器具500のいずれよりも長い距離で第2のアーム808から離間した第1のアーム806を有する。第1のアーム806と第2のアーム808との間の追加された距離は、より大きな骨もしくはより大きな直径を有する長骨で利用するために提供される。器具800は、第2のアーム808の開口端部816の近傍に配置された、ロック機構826、および第2の接続手段822をさらに備える。第2のアーム808の開口端部816近傍における第2の接続手段822およびロック機構826の配置は、最短のケーブルの長さのために提供されるが、ケーブル4を装備するときに開放の工程が必要となる。第2の接続手段822、およびロック機構826はそれぞれ、図18の器具700における第2の接続手段722、およびロック機構726と同様である。
【0116】
ここで図20を参照すると、本発明のさらに別の実施形態が器具900として示されている。器具900は、図18の器具700と同様であり、かつ、本体902を備え、離間した第1のアーム906および第2のアーム908がその本体902から延びる。器具900は、図4の器具200における第1の接続手段218と同様の第1の接続手段918を備える。器具900は、図4の器具200における第1の案内手段244と同様の第1の案内部材944をさらに備える。器具900は、図19の器具800における第2の部材846、第2の接続部材822、および第2のロック機構826のそれぞれと同様の、第2の案内部材946、第2の接続部材922、および第2のロック機構926をさらに備える。
【0117】
ここで図21を参照すると、本発明のさらに別の実施形態がキット1000として示されている。このキット1000は、器具100およびセルクラージュケーブルシステム197を備える。
【0118】
ここで図22を参照すると、本発明のさらに別の実施形態が外科的処置もしくは方法1100として示されている。この方法1100は、ベース、ならびにこのベースから延びる第1および第2の離間したアームを有する本体を含み、かつ、第2のアームに接続されたテンション器具を有する、器具を準備するための第1の工程1110を含む。方法1100は、ケーブルを準備する第2の工程1112と、器具の第1のアームにケーブルを固定する第3の工程1114とをさらに備える。方法1100は、長骨周囲にケーブルを巻きつける第4の工程1116と、器具の第2のアームにケーブルを固定する第5の工程1118とをさらに備える。方法1100は、テンション器具でケーブルを張る第6の工程1120をさらに備える。
【0119】
ここで図23を参照すると、本発明のさらに別の実施形態が外科的処置もしくは方法1200として示されている。この方法1200は、ベースと、このベースから延びる近位端および遠位端を有する第1および第2の離間したアームと、第2のアームに取り付けられたテンション器具と、を有する本体を具備した器具を準備するための第1の工程1210を備える。方法1200は、ケーブルを準備する第2の工程1212と、器具の第1のアームの遠位端にケーブルを固定する第3の工程1214とをさらに備える。方法1200は、長骨周囲にケーブルを巻きつける第4の工程1216と、器具の第2のアームの遠位端にケーブルを固定する第5の工程1218とをさらに備える。方法1200は、テンション器具でケーブルを張る第6の工程1220をさらに備える。
【0120】
ここで図24を参照すると、図1Qのセルクラージュケーブルシステム197とともに用いるための人工股関節1300が示されている。人工股関節1300は、大腿骨もしくは長骨1に固定された股関節ステム1302を備える。人工股関節1300は、寛骨臼9に固定された寛骨臼シェル1304をさらに備える。人工股関節1300は、股関節ステム1302に接続されたヘッド1306をさらに備える。人工股関節1300は、ヘッド1306とシェル1304との間に配置されたライナー1308をさらに備えることができる。当然ながら、ヘッド1306は、シェル1304と直接協働してもよい。股関節ステム1302の大腿骨1への挿入は、大腿骨1の骨折の原因になるかもしれない。これは、セメントを使用した方式もしくはセメントを使用しない方式においても当てはまる。大腿骨1は、セメントを使用しない方式において股関節ステムを取りつける場合には、さらに骨折し易くなる可能性がある。もし股関節ステム1302の大腿骨1への挿入で大腿骨が骨折した場合、もしくは既に骨折している場合は、セルクラージュケーブルシステム197を大腿骨の皮質骨11の周囲に配置することができる。ケーブル4は大腿骨1の周囲のスリーブ5によって固定することができる。
【0121】
ここで図25を参照すると、大腿骨1に形成された骨折部2を固定するための、大腿骨1周囲に配置されたセルクラージュケーブルシステム197が示されている。セルクラージュケーブルシステム197は、スリーブ5によって固定されるケーブル4を備える。
【0122】
ここで図26を参照すると、コネクタもしくはスリーブ5が、コネクタ5に接続されたケーブル4とともに詳細に示されている。
【0123】
本発明およびその利点を詳細に説明したが、理解すべきは、多くの変更、代替および置換が、添付のクレームによって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなしに可能なことである。
【0124】
〔実施の態様〕
(1)長骨周囲にケーブルを張るために用いる整形外科手術用の器具において、
本体であって、ベース、ならびに、前記ベースから延びる第1および第2の離間したアームを含み、前記第1および第2のアームはそれぞれ、前記ベースに取り付けられた閉鎖端部、および、前記閉鎖端部に対向する開口端部を有する、本体と、
前記ケーブルの第1の端部を前記器具に接続するため、前記本体、および前記第1のアームのうちの一方に、操作可能に結合された第1の接続手段と、
前記ケーブルの第2の端部を前記器具に接続するため、前記本体、および前記第2のアームのうちの一方に、操作可能に結合された第2の接続手段であって、前記第1の接続手段、および前記第2の接続手段の少なくとも一方は、前記ケーブルを締め付けるための一方向性のロック機構を有する、第2の接続手段と、
を備えた、器具。
(2)実施態様1に記載の器具において、
前記本体は、ベース、ならびに、前記ベースから延びる第1および第2の離間したアームを有し、前記第1および第2のアームはそれぞれ、前記ベースに取り付けられた閉鎖端部、および前記閉鎖端部に対向する開口端部を備える、器具。
(3)実施態様2に記載の器具において、
前記第1および第2のアームは、互いにほぼ平行に延びる、器具。
(4)実施態様1に記載の器具において、
前記一方向性のロック機構は、ラチェット機構を備える、器具。
(5)実施態様4に記載の器具において、
前記ラチェット機構は、離間した一対のホイールを備え、
各ホイールは、前記ホイールに形成された歯、およびホイールの前記歯を互いに係合させるように付勢するバイアス部材を有し、
前記ホイールは、第1の方向に相互間で相対的に回転するように、かつ、第1の方向と反対方向の第2の方向に係合してロックされるように構成されている、器具。
【0125】
(6)実施態様1に記載の器具において、
前記一方向性のロック機構は、カムロック機構を備える、器具。
(7)実施態様2に記載の器具において、
前記ロック機構は、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの一方の前記開口端部から離間して配置されている、器具。
(8)実施態様2に記載の器具において、
前記ケーブルを案内するため、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの少なくとも一方の前記開口端部に取り付けられた案内手段、
をさらに備えた、器具。
(9)実施態様8に記載の器具において、
前記案内手段は、前記ケーブルを案内するため、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの少なくとも一方の前記開口端部に取り付けられたプーリーを備える、器具。
(10)実施態様8に記載の器具において、
前記案内手段は、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの少なくとも一方の前記開口端部に形成された溝を備える、器具。
【0126】
(11)実施態様2に記載の器具において、
前記第1の接続手段、および前記第2の接続手段のうちの一方は、前記第1のアーム、および前記第2のアームのうちの一方に操作可能に結合されている、器具。
(12)実施態様10に記載の器具において、
前記第1の接続手段、および前記第2の接続手段のうちの一方は、前記第1のアーム、および前記第2のアームのうちの一方に取り付けられたクランプ機構を備える、器具。
(13)実施態様10に記載の器具において、
前記第1の接続手段、および前記第2の接続手段のうちの一方は、前記ケーブルをスライド可能に受け入れるために、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの一方に形成された開口部によって画定される、器具。
(14)長骨の整形外科手術用のキットにおいて、
ケーブルと、
器具であって、
ベース、ならびに前記ベースから延びる第1および第2の離間したアームを含み、
前記第1および第2のアームはそれぞれ、前記ベースに取り付けられた閉鎖端部、および前記閉鎖端部に対向する開口端部を含み、
前記器具は、第1の接続手段も含み、
前記第1の接続手段は、前記ケーブルの第1の端部を前記器具に接続するため、前記第1のアームに接続され
前記器具は、前記器具に前記ケーブルの第2の端部を接続するため、前記第2のアームに接続された第2の接続手段をさらに含み、
前記第1の接続手段は、前記ケーブルを締め付けるために、一方向性のロック機構を備える、
器具と、
を具備する、キット。
(15)実施態様14に記載のキットにおいて、
前記第1および第2のアームは、互いにほぼ平行に延びる、キット。
【0127】
(16)実施態様14に記載のキットにおいて、
前記一方向性のロック機構は、ラチェット機構を備える、キット。
(17)患者の長骨の断片を結合するための方法において、
器具を準備する工程であって、前記器具は、ベース、ならびに前記ベースから延びる第1および第2の離間したアーム、を有する本体を含み、かつ、前記第2のアームに接続されたテンション器具を有する、工程と、
ケーブルを準備する工程と、
前記器具の前記第1のアームに前記ケーブルを固定する工程と、
前記長骨の周囲に前記ケーブルを巻きつける工程と、
前記器具の前記第2のアームに前記ケーブルを固定する工程と、
前記テンション器具によって前記ケーブルを張る工程と、
を備えた、方法。
(18)実施態様17に記載の方法において、
前記器具の前記第1のアームに前記ケーブルを固定する前記工程は、前記器具の前記第1のアームの遠位端に前記ケーブルを固定する工程を含み、
前記器具の前記第2のアームに前記ケーブルを固定する前記工程は、前記器具の前記第2のアームの遠位端に前記ケーブルを固定する工程を含む、方法。
(19)実施態様17に記載の方法において、
前記器具の前記第1のアームに前記ケーブルを固定する前記工程は、前記器具の前記第1のアームの近位端に前記ケーブルを固定する工程を含み、
前記器具の前記第2のアームに前記ケーブルを固定する前記工程は、前記器具の前記第2のアームの近位端に前記ケーブルを固定する工程を含む、方法。
(20)実施態様17に記載の方法において、
前記ケーブルをクリンプ留めする工程、
をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明によるテンション器具の実施例の平面図である。
【図1A】本発明によるテンション器具とともに使用するクリンパーの斜視図である。
【図1B】図1のテンション器具の第1のアームの部分拡大平面図である。
【図1C】図1Bのアームの部分端面図である。
【図1D】図1のテンション器具の第2のアームの部分端面図である。
【図1E】図1のテンション器具における本体の平面図である。
【図1F】図1の断面線1E−1Fに沿って矢印の方向に見た断面図である。
【図1G】図1Eの本体の端面図である。
【図1H】図1のテンション器具のロック機構におけるラチェットステムの平面図である。
【図1I】図1Hのラチェットステムの端面図である。
【図1J】図1のテンション器具におけるプーリーの平面図である。
【図1K】図1のテンション器具におけるロック機構の歯止めの平面図である。
【図1L】図1Kの歯止めの端面図である。
【図1M】図1のテンション器具のロック機構におけるバネの平面図である。
【図1N】より詳細なスリーブを示す、図1のテンション器具の部分平面図である。
【図1O】スリーブ内に取り付けられたケーブルを有する、図1Nのスリーブの斜視図である。
【図1P】図1Nのスリーブの斜視図である。
【図1Q】スリーブ内に取り付けられたケーブルを有する、図1Nのスリーブの平面図である。
【図1R】図1のテンション器具とともに用いるソケットレンチの平面図である。
【図1S】図1のテンション器具とともに用いるビーム型トルクレンチの平面図である。
【図1T】図1のテンション器具とともに用いるブレーカウェイトルクレンチ(break away torque wrench)の平面図である。
【図1U】図1のテンション器具とともに用いるパワーレンチの平面図である。
【図1V】図1のテンション器具とともに用いる、トルクリミッタ付きのパワーレンチの平面図である。
【図1W】図1Aのクリンパーにおける顎部の斜視図である。
【図1X】図1Oのケーブルをカットするために用いるニッパー(diagonal pliers)の平面図である。
【図1Y】図1Oのケーブルを引っ張るために用いるフックの平面図である。
【図2】軸方向に骨折した大腿骨に設置された股関節ステムの平面図である。
【図3】セルクラージュケーブルが大腿骨の外部周囲を覆って配置された状態にある、軸方向に骨折した大腿骨に設置された股関節ステムの平面図である。
【図3A】従来のケーブルテンショナーの平面図である。
【図3B】図2の従来のケーブルテンショナーにおける端面図である。
【図4】本発明によるテンション器具の別の実施形態の平面図である。
【図4A】ロード位置にあるプーリーを示す、図4のテンション器具における第1のアームの部分平面図である。
【図4B】ロック位置にあるプーリーを示す、図4のテンション器具における第1のアームの部分平面図である。
【図4C】図4のテンション器具における第1のアームの部分端面図である。
【図4D】第2のプーリーを詳細に示す、図4のテンション器具の第2のアームの部分平面図である。
【図4E】図4Dの部分端面図である。
【図4F】ギアトレインを詳細に示す、図4のテンション器具の第2のアームの部分端面図である。
【図4G】ロック機構を詳細に示す、図4のテンション器具の第2のアームの部分端面図である。
【図5】本発明のテンション器具における別の実施形態の平面図である。
【図6】図5のテンション器具における第1のアームの部分平面図である。
【図6A】図5のテンション器具の第1のアームの部分端面図である。
【図7】ロック機構を詳細に示す、図5のテンション器具のロック機構の部分端面図である。
【図8】図5のテンション器具におけるロック機構の部分平面図である。
【図9】図5のテンション器具における第1のアームのガイドプーリーの平面図である。
【図10】図5のテンション器具におけるラッチステムの平面図である。
【図11】ステムの歯を詳細に示す、図10のラッチステムの部分平面図である。
【図12】図5のテンション器具におけるアームの歯と係合しているステムの歯の部分平面図である。
【図13】ラッチを可能にする図5のケーブルテンション器具のアームの歯と接触するホイールの歯の部分平面図である。
【図14】図4のテンションスプールに用いるバネの平面図である。
【図15】テンション器具の第1のアームにスプールを有する、本発明によるテンション器具の別の実施形態における平面図である。
【図16】テンション器具の第2のアームの端部のスプールと、テンション器具のベースに配置されたロック機構とを有する、本発明によるテンション器具の別の実施形態の平面図である。
【図17】テンション器具の各アームの端部にスプールを有する、本発明によるテンション器具の別の実施形態の平面図である。
【図18】テンション器具の各アームの端部のスプールと、テンション器具のベースに配置されたロック機構とを有する、本発明によるテンション器具の別の実施形態の平面図である。
【図19】テンション器具の各アームの端部のスプールと、テンション器具のアームに配置されたロック機構とを有する、本発明によるテンション器具の他の実施形態の平面図である。
【図20】テンション器具の各アームの端部のスプールと、テンション器具のベースに配置されたロック機構の他の実施例とを有する、本発明によるテンション器具の別の実施例の平面図である。
【図21】本発明のテンション器具を含む関節形成術用キットの平面図である。
【図22】本発明のさらに別の実施形態による関節形成手術を行う方法のプロセスフロー図である。
【図23】本発明のさらなる実施形態による関節形成手術を行う方法のプロセスフロー図である。
【図24】本発明のケーブルテンショナーを用いて張られることもできる、大腿骨上に配置されたケーブルを用いた際の、股関節インプラントの部分断面平面図である。
【図25】図1Qのケーブルの部分透視図であって、長骨上に配置されたそのケーブルを示す。
【図26】図1Qのケーブルの部分平面図であって、ケーブル接続部を詳細に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長骨周囲にケーブルを張るために用いる整形外科手術用の器具において、
本体であって、ベース、ならびに、前記ベースから延びる第1および第2の離間したアームを含み、前記第1および第2のアームはそれぞれ、前記ベースに取り付けられた閉鎖端部、および、前記閉鎖端部に対向する開口端部を有する、本体と、
前記ケーブルの第1の端部を前記器具に接続するため、前記本体、および前記第1のアームのうちの一方に、操作可能に結合された第1の接続手段と、
前記ケーブルの第2の端部を前記器具に接続するため、前記本体、および前記第2のアームのうちの一方に、操作可能に結合された第2の接続手段であって、前記第1の接続手段、および前記第2の接続手段の少なくとも一方は、前記ケーブルを締め付けるための一方向性のロック機構を有する、第2の接続手段と、
を備えた、器具。
【請求項2】
請求項1に記載の器具において、
前記本体は、ベース、ならびに、前記ベースから延びる第1および第2の離間したアームを有し、前記第1および第2のアームはそれぞれ、前記ベースに取り付けられた閉鎖端部、および前記閉鎖端部に対向する開口端部を備える、器具。
【請求項3】
請求項2に記載の器具において、
前記第1および第2のアームは、互いにほぼ平行に延びる、器具。
【請求項4】
請求項1に記載の器具において、
前記一方向性のロック機構は、ラチェット機構を備える、器具。
【請求項5】
請求項4に記載の器具において、
前記ラチェット機構は、離間した一対のホイールを備え、
各ホイールは、前記ホイールに形成された歯、およびホイールの前記歯を互いに係合させるように付勢するバイアス部材を有し、
前記ホイールは、第1の方向に相互間で相対的に回転するように、かつ、第1の方向と反対方向の第2の方向に係合してロックされるように構成されている、器具。
【請求項6】
請求項1に記載の器具において、
前記一方向性のロック機構は、カムロック機構を備える、器具。
【請求項7】
請求項2に記載の器具において、
前記ロック機構は、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの一方の前記開口端部から離間して配置されている、器具。
【請求項8】
請求項2に記載の器具において、
前記ケーブルを案内するため、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの少なくとも一方の前記開口端部に取り付けられた案内手段、
をさらに備えた、器具。
【請求項9】
請求項8に記載の器具において、
前記案内手段は、前記ケーブルを案内するため、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの少なくとも一方の前記開口端部に取り付けられたプーリーを備える、器具。
【請求項10】
請求項8に記載の器具において、
前記案内手段は、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの少なくとも一方の前記開口端部に形成された溝を備える、器具。
【請求項11】
請求項2に記載の器具において、
前記第1の接続手段、および前記第2の接続手段のうちの一方は、前記第1のアーム、および前記第2のアームのうちの一方に操作可能に結合されている、器具。
【請求項12】
請求項10に記載の器具において、
前記第1の接続手段、および前記第2の接続手段のうちの一方は、前記第1のアーム、および前記第2のアームのうちの一方に取り付けられたクランプ機構を備える、器具。
【請求項13】
請求項10に記載の器具において、
前記第1の接続手段、および前記第2の接続手段のうちの一方は、前記ケーブルをスライド可能に受け入れるために、前記第1のアーム、および前記第2のアーム、のうちの一方に形成された開口部によって画定される、器具。
【請求項14】
長骨の整形外科手術用のキットにおいて、
ケーブルと、
器具であって、
ベース、ならびに前記ベースから延びる第1および第2の離間したアームを含み、
前記第1および第2のアームはそれぞれ、前記ベースに取り付けられた閉鎖端部、および前記閉鎖端部に対向する開口端部を含み、
前記器具は、第1の接続手段も含み、
前記第1の接続手段は、前記ケーブルの第1の端部を前記器具に接続するため、前記第1のアームに接続され、
前記器具は、前記器具に前記ケーブルの第2の端部を接続するため、前記第2のアームに接続された第2の接続手段をさらに含み、
前記第1の接続手段は、前記ケーブルを締め付けるために、一方向性のロック機構を備える、
器具と、
を具備する、キット。
【請求項15】
請求項14に記載のキットにおいて、
前記第1および第2のアームは、互いにほぼ平行に延びる、キット。
【請求項16】
請求項14に記載のキットにおいて、
前記一方向性のロック機構は、ラチェット機構を備える、キット。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図1K】
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【図1L】
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【図1M】
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【図1N】
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【図1O】
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【図1P】
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【図1Q】
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【図1R】
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【図1S】
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【図1T】
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【図1U】
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【図1V】
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【図1W】
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【図1X】
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【図1Y】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−268266(P2007−268266A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−88641(P2007−88641)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】