説明

テント用シート

【課題】この発明は、建築中の建物の上側を覆うテントや、雨や日除けのために張られる一般テント等に使用されるテント用シートに関する。
【解決手段】この発明のテント用シート1は、複数の横方向に長尺な可撓性のシート帯2を勾配上側のシート帯2の下端部が勾配下側のシート帯2の上端部の上に段重ねして勾配方向に並列して配置されるように複数の固着ライン3に固着し、この各シート帯2を横方向に固着ライン3によって区分して形成される多数のシート帯区分4は隣接する2つの固着ライン3に緊張して張るように固着されたシート帯緊張部5と、該シート帯緊張部5の勾配方向の上下側において該シート帯緊張部5に対して弛緩するように固着されたシート帯弛緩部6とを有することにより、風抜き口7を形成してなるテント用シート1において、前記シート帯弛緩部6の裏面にネット8が設けられてなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築中の建物の上側を覆うテントや、雨や日除けのために張られる一般テント等に使用されるテント用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場において養生のために足場の上部等にテントを張設することや、雨や日除けのためにパイプ等で組んだ骨組みにテントを張設することは周知である。例えば、木造住宅を建築する際には、屋根が施工されるまで降雨により柱材等が濡れることを防いだり、日除けとして、建築中の建物を覆うテントが張設される。このようなテントは、足場や建物に適宜固定されて張設されているが、該テントが風を受けた場合、その風圧が足場等に作用するが、風が強い場合には足場や建物が損壊するおそれもあるので、テントを外すようにしていた。
【0003】
これに対し、開口を設けて風を逃がすテント用シートが考案されている。例えば、図9に示すように、勾配上側のシート帯100A,100Bの下端部が勾配下側のシート帯100B,100Cの上端部の上に夫々段重ねされて勾配方向に並列して配置され、各シート帯100と直交し且つ所定間隔を空けて配置されている複数の固着ライン101により、シート帯100Bを勾配上下側に隣接するシート帯100A,100Cに対して弛ませることでシート帯弛緩部Uを形成し、また、これにより風抜き口102AB,102BCが形成されるように、シート帯100A,100B,100Cが固着されたテント用シート103も考案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開2005−330756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの考案によるテント用シートにおいては、雨が降った際には、図10に示すように、シート帯弛緩部Uに雨水Wが溜まるという問題が生じる可能性がある。そのため、前述のように溜まった雨水Wを作業者が、自ら取除く必要があると共に、溜まった雨水Wの重さに耐えることができなくなったシート帯が破損する、さらには、テント用シートを取付けた足場が損壊する、という問題が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、これらの点に鑑みてなされたものであり、敷地に組まれた足場等に所定勾配で張設されて建築中の建物の上側を覆うテントや、雨や日除けとして使用される一般テントにおいて、雨水が浸入することなく、吹き上げる風及び吹きつける風のいずれに対しても風を逃がすことができ、さらに、テント用シート上面に雨水が溜まることのないテント用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載のテント用シートは、複数の横方向に長尺な可撓性のシート帯を勾配上側のシート帯の下端部が勾配下側のシート帯の上端部の上に段重ねして勾配方向に並列して配置されるようにこれらシート帯と直交し且つ所定間隔を空けて配置されている複数の固着ラインに固着し、この各シート帯を横方向に固着ラインによって区分して形成される多数のシート帯区分は隣接する2つの固着ラインに緊張して張るように固着されたシート帯緊張部と該シート帯緊張部の勾配方向の上下側において該シート帯緊張部に対して弛緩するように固着されたシート帯弛緩部とを有することにより、シート帯緊張部とシート帯弛緩部の段重ねした箇所において風抜き口を形成してなるテント用シートにおいて、前記シート帯弛緩部の裏面にネットが設けられたことを特徴とするテント用シート。
【0008】
請求項2記載のテント用シートは、前記テント用シートの勾配面において千鳥状に、前記シート帯弛緩部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のテント用シート。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のテント用シートは、複数の横方向に長尺な可撓性のシート帯を勾配上側のシート帯の下端部が勾配下側のシート帯の上端部の上に段重ねして勾配方向に並列して配置したので、勾配に従って流れ落ちる雨水がシート帯間から内側へ浸入することがなく、且つ、シート帯緊張部とシート帯弛緩部の段重ねした箇所において風抜き口を形成したので、吹き上げる風に対しては該シート帯と勾配下側のシート帯との間に形成された風抜き口が開口して風を逃がし、吹きつける風に対しては該シート帯と勾配上側のシート帯との間に形成された風抜き口が開口して風を逃がす。これにより、吹き上げる風及び吹きつける風のいずれに対しても風を逃がしてテント用シートに作用する風圧を軽減することができ、また、風抜き口が開口した状態でも雨水が浸入しない。さらに、前記シート帯弛緩部の裏面にネットが設けられたことにより、該シート帯におけるシート帯弛緩部の弛みをネットが規制するため、勾配に従って流れる雨水が該シート帯弛緩部に溜まることがなく、雨水がシート帯表面をスムーズに流れる落ちる。
【0010】
請求項2記載のテント用シートは、前記テント用シートの勾配面において千鳥状に、前記シート帯弛緩部が設けられることにより、テント用シートの全面に平均して多数の風抜き口を形成することができ、効果を最大に発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明のテント用シート1における最良の実施形態について、以下図5に基づいて説明する。この実施例のテント用シート1は、複数の横方向に長尺な可撓性のシート帯2を勾配上側のシート帯2の下端部が勾配下側のシート帯2の上端部の上に段重ねして勾配方向に並列して配置されるようにこれらシート帯2と直交し且つ所定間隔を空けて配置されている複数の固着ライン3に固着し、この各シート帯2を横方向に固着ライン3によって区分して形成される多数のシート帯区分4は隣接する2つの固着ライン3に緊張して張るように固着されたシート帯緊張部5と該シート帯緊張部5の勾配方向の上下側において該シート帯緊張部5に対して弛緩するように固着されたシート帯弛緩部6とを有することにより、シート帯緊張部5とシート帯弛緩部6の段重ねした箇所において風抜き口7を形成してなるテント用シート1において、前記シート帯弛緩部6の裏面にネット8が設けられてなるものである。
【0012】
そして、必要に応じて、前記テント用シート1の勾配面において千鳥状に、前記シート帯弛緩部6が設けられている。
【0013】
テント用シート1は、図1に示すように、複数の可撓性のシート帯2A〜2J,2Xが一部重ねられて勾配方向に並列されており、本願実施例における、本テント用シート1は、例えば、切妻屋根状に張設するものであるから、5つのシート帯2A〜2Eと、5つのシート帯2F〜2Jとが各勾配面を夫々形成するように構成され、棟に相当する中央部にシート帯2Xが設けられている。テント用シート1の棟に相当する中央部が足場9間に架設されたワイヤ10a上に載せられて、又は、テント用シート1の略中央部に設けられたハト目や布テープ等の連結部11を介してカラビナ等で吊り下げられて、ワイヤ10aから各勾配面が垂れ下がるように切妻屋根状にテント用シート1が張られる。そして、軒先に相当する縁部や、固着ライン3上に適宜設けられた、ハト目や布テープ等の連結部11にもワイヤ10bが挿通されて足場9や建築物(不図示)に固定されている。また、連結部11の取付け位置や、数などはテント用シート1の大きさや形状、また、足場9の大きさや形状等によって適宜変更可能である。
【0014】
また、テント用シート1はワイヤ10aに対して摺動可能であり、各シート帯2A〜2Jは可撓性であるので、テント用シート1の縁部を足場9から外して一方へ折り畳むように摺動させることにより、テント用シート1で覆われていた足場9の上部を開放することができる。なお、このようなテント用シート1の張設方法は一例であって、必ずしも切妻屋根状に張設する必要はなく、所定の勾配で張設するのであれば片流れ屋根や差掛け屋根のような形状にテント用シート1を張設してもよい。
【0015】
シート帯2A〜2J,2Xは、織布、樹脂シート若しくは織布に樹脂をコーティングしたもの等からなり、防水性を有し且つ軽量のものが好適である。本願実施例では、例えば約900mm幅の10枚のシート帯2A〜2Jを5枚ずつで1つの勾配面としているが、シート帯2の幅や勾配面当りのシート帯2の並列数は適宜変更可能である。また、5枚のシート帯2A〜2Eにより構成される勾配面と、他の5枚のシート帯2F〜2Jにより構成される勾配面とは同様であるので、切妻屋根状に張設されるテント用シート1の片側の勾配面を構成する各シート帯2A〜2Eを例に説明する。
【0016】
本願実施例における各シート帯2A〜2Eは、例えば図2に示すように、勾配方向に並列して、即ち長手方向が勾配方向と直交するようにして、勾配上側から勾配下側へシート帯2A,2B,2C,2D,2Eの順序で配置されており、勾配上側のシート帯2Aの下端部が勾配直下側のシート帯2Bの上端部の上に段重ねされ、該シート帯2Bの下端部が更に勾配直下側のシート帯2Cの上端部の上に段重ねされ、シート帯2C,2D,2Eも夫々同様に段重ねされている。各シート帯2A〜2Eの重ね代は、勾配面に従って流れ落ちる雨水が重ね合わせ部分からテント用シート1の内側へ浸入せず、且つ、風抜き口7が開口し易いように設定し、例えば本願実施例のように約900mm幅の各シート帯2A〜2Eであれば約300mm程度が好適であるが、これらの重ね代は適宜変更可能である。
【0017】
このように、各シート帯2が夫々段重ねされて勾配方向に並列に配置された各シート帯2A〜2Eは、図2に示すように、所定間隔、例えば約900mm間隔で、こららシート帯と直交し且つ所定間隔を空けて配置されている複数の固着ライン3に固着されることにより一体とされるが、図5に示すように、この各シート帯2を横方向に固着ライン3によって区分して形成される多数のシート帯区分4は、隣接する2つの固着ライン3に緊張して張るように固着されたシート帯緊張部5と該シート帯緊張部5の勾配方向の上下側において該シート帯緊張部6に対して弛緩するように固着されている。詳細には、図5に示すように、シート帯2Cの固着ライン3で挟まれたシート帯区分42Cの長手方向の距離を、その勾配上側のシート帯2Bのシート帯区分42B及び勾配下側のシート帯2Dのシート帯区分42Dの長手方向の距離である約900mmより大きくすることでシート帯区分42Cに、シート帯弛緩部6を形成している。これにより、シート帯2Cにおけるシート帯弛緩部6の上端部とシート帯2Bにおけるシート帯緊張部5の下端部とを段重ねした箇所、及びシート帯2Cにおけるシート帯弛緩部6の下端部とシート帯2Dにおけるシート帯緊張部5の上端部とを段重ねした箇所に開口が形成され、該開口が夫々風抜き口7BC,7CDとなっている。
【0018】
シート帯2Cでは、各固着ライン間において間欠して、即ち、図2に示すように、シート帯区分44C,46Cにおいて、前記シート帯区分42Cと同様のシート帯弛緩部6が設けられ、その上端部及び下端部に風抜き口7が夫々形成されている。その他のシート帯2A,2B,2D,2Eでも同様のシート帯弛緩部6が設けられているが、各シート帯弛緩部6は、シート帯2A〜2Eにより構成される勾配面において千鳥状に設けられている。即ち、シート帯2A及びシート帯2Eでは、シート帯2Cと同様に、シート帯区分42A,44A,46A、及びシート帯区分42E,44E,46Eにシート帯弛緩部6が設けられ、シート帯2B及びシート帯2Dでは、シート帯2A,2C,2Eにおいてシート帯弛緩部6が設けられない間欠部分であるシート帯区分41B,43B,45B,47B、及びシート帯区分41D,43D,45D,47Dにシート帯弛緩部6が設けられている。そして、各シート帯2A〜2Eのシート帯弛緩部6における弛み部Yの寸法は風抜き口7とする開口の大きさを考慮して設定され、本願実施例においては、例えば約1000mmとなっているが、これらの寸法は適宜変更することができる。
【0019】
ネット8は、図4に示すように、シート帯弛緩部6の裏面に設けられている。そして、本願実施例においてネット8は、例えば樹脂製若しくは布製からなり、その網目の大きささが例えば約10mm角程度のネットが好適である。さらに本願実施例においては、図4に示すネット8の弛み部Zは、シート帯弛緩部6における弛み部Yの寸法よりも若干短く、例えば、約950mmに形成されている。そして、これらのネット8の取付け位置は、図4に示すように、風抜き口7の開口を妨げることがないように、ネット8がシート帯弛緩部6における弛み部Yよりも勾配下方向に設けられることが好ましい。しかしネット8の取付け位置及び大きさは、本願実施例に限定されるものではなく、シート帯2の大きさや、勾配等によって適宜変更可能である。
【0020】
また、ネット8を上述のように設けない時には、図8(a)に示すように、雨水W
の重みによりシート帯弛緩部6におけるシート帯2が弛み、雨水Wが該シート帯弛緩部6に溜まるという問題が生じる。しかし、上述のようにネット8を設けた際には、図8(b)に示すように、該ネット8によりシート帯2におけるシート帯弛緩部6の弛みが規制されるため、雨水Wがシート帯2上を勾配に従って流れる。そのため、シート帯弛緩部6に、雨水Wが溜まることがなく、また、ネット8の網目から風が通るため、風の影響を受けることもない。
【0021】
このように、本願実施例においては、図2及び図3に示すように、千鳥状にシート帯弛緩部6が形成され、各シート帯2A〜2E及びネット8が各固着ライン3に縫合するようにして固着されている。そして、図には詳細に示していないが、切妻屋根状に張設されるテント用シート1の他の勾配面を構成するシート帯2F〜2Jも同様に、千鳥状にシート帯弛緩部6が形成され、各固着ライン3に縫合するようにして固着されている。また、各勾配面の最上側となるシート帯2Aとシート帯2Fとは、図2及び図3に示すように、シート帯2A,2Fの上端部にシート帯2Xが段重ねされて各固着ライン3に縫合するようにして固着され、1枚のテント用シート1が構成されている。なお、本願実施例では、各シート帯2A〜2J,2Xを縫合することにより固着ライン3に縫合するようにして固着しているが、接着剤による接着や熱融着等の他の固着手段を用いてもよい。
【0022】
以下、図5に示す、シート帯区分42B,42C,42Dにおける風抜き口7BC,7CDを例に、吹き上げる風及び吹きつける風の抜け方及び雨水の流れ方について説明する。
【0023】
図5に示すように、シート帯2Cのシート帯区分42Cにシート帯弛緩部6を形成し、シート帯2Cのシート帯弛緩部6の上端部と、シート帯2Bのシート帯緊張部5の下端部との段重ねした箇所、及びシート帯2Cのシート帯弛緩部6の下端部と、シート帯2Dのシート帯緊張部5の上端部と段重ねした箇所に夫々風抜き口7BC,7CDが形成されている。テント用シート1の内側から風が吹き上げた場合には、各シート帯2B,2C,2Dが風を受けて上側へ孕もうとするが、図6に示すように、風抜き口7BCは、風圧によりシート帯区分42Cのシート帯2Cの上端部がシート帯区分42Bのシート帯2Bの下端部に押し付けられるので殆ど開口しない状態となる。したがって、風抜き口7BCを風は殆ど通過しない。一方、風抜き口7CDは、風圧によりシート帯区分42Cのシート帯2Cの下端部が上側へ孕み、シート帯区分42Dのシート帯2Dの上端部に対する弛み分だけ開口した状態となる。したがって、テント用シート1の内側から吹き上げる風は、風抜き口7CDを通過してテント用シート1の外側へ抜ける。
【0024】
逆に、テント用シート1の外側から風が吹きつけた場合には、各シート帯2B,2C,2Dが風を受けて下側へ孕もうとするが、図7に示すように、風抜き口7BCは、風圧によりシート帯区分42Cのシート帯2Cの上端部が下側へ孕み、シート帯区分42Bのシート帯2Bの下端部に対する弛み分だけ開口した状態となる。したがって、テント用シート1の外側から吹きつける風は、風抜き口7BCを通過してテント用シート1の内側へ抜ける。一方、風抜き口7CDは、風圧によりシート帯区分42Cのシート帯2Cの下端部がシート帯区分42Dのシート帯2Dの上端部に押し付けられるので殆ど開口しない状態となる。したがって、風抜き口7CDを風は殆ど通過しない。このように、テント用シート1の内側から吹き上げる風に対しては風抜き口7CDが開口して風を逃がし、外側から吹きつける風に対しては風抜き口7BCが開口して風を逃がすので、吹き上げる風及び吹きつける風のいずれに対してもテント用シート1に作用する風圧を軽減することができる。
【0025】
また、各シート帯2B,2C,2Dは、勾配上側のシート帯2の下端部が勾配下側のシート帯2の上端部の上に段重ねされているので、勾配に従って流れ落ちる雨水が各シート帯2間から内側へ浸入することがない。そして、テント用シート1の内側から風が吹き上げている場合には、図6に示すように、風抜き口7BCは殆ど開口していないので雨水が風抜き口7BCから内側へ浸入することはなく、また、風抜き口7CDは開口しているが、シート帯区分42Cにおいてシート帯2Cの下端部は上側へ孕んでいるので、雨水は風抜き口7CDの両側へ流れて風抜き口7CDから内側へ浸入することもない。仮に、風抜き口7CDに雨水が流れたとしても、該雨水は勾配下側のシート帯区分42Dのシート帯2Dに受けられて、更に勾配に従って流れ落ちる。
【0026】
一方、テント用シート1の外側から風が吹きつけている場合には、図7に示すように、風抜き口7BCは開口しているが、該風抜き口7BCから流れ落ちた雨水は勾配下側のシート帯区分42Cのシート帯2Cに受けられて、更に勾配に従って流れ落ちるので、雨水が風抜き口7BCから内側へ浸入することはなく、また、風抜き口7CDは、殆ど開口していないので雨水が風抜き口7CDから内側へ浸入することもない。このように、吹き上げる風又は吹きつける風により風抜き口7BC,7CDが開口した状態であっても、雨水がテント用シート1の内側へ浸入することはない。
【0027】
さらに、図5に示すように、シート帯弛緩部6の裏面にネット8が設けられているため、図8(b)に示すように、ネット8がシート帯2におけるシート帯弛緩部6の弛みを規制し、勾配に従って流れる雨水Wが、その途中で該シート帯弛緩部6に溜まることなくスムーズに流れ落ちる。これにより、溜まった雨水Wを作業者が、自ら取除く必要がないと共に、溜まった雨水Wの重さに耐えることができなくなったシート帯2が破損する、さらには、テント用シート1を取付けた足場9が損壊する、という問題が生じることがない。
【0028】
他の風抜き口7についても同様なので詳細には説明しないが、テント用シート1の各勾配面においてシート帯区分4に千鳥状にシート帯弛緩部6が設けられることにより、各勾配面の全面に平均して多数の風抜き口7が形成されているので、吹き上げる風又は吹きつける風のいずれに対してもテント用シート1の全面から風を逃がすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
なお、本実施の形態では、テント用シート1を住宅建築において養生テントとして使用する場合を例に説明したが、本発明に係るテント用シート1の使用が養生テントに限定されるものでないことは当然である。また、本実施の形態では、風抜き口7を勾配面において千鳥状に形成したが、テント用シート1の使用目的に応じて風抜き口7を形成する箇所や数を適宜変更できることも当然である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願実施例に係るテント用シートを足場に張設した状態を示す概略図
【図2】本願実施例に係るテント用シートの一方の勾配面の構成を示す表面図
【図3】本願実施例に係るテント用シートの一方の勾配面の構成を示す裏面図
【図4】本願実施例に係るテント用シートの裏側からの斜視図
【図5】本願実施例に係るテント用シートの固着ライン間の風抜き口を示す斜視図
【図6】本願実施例に係るテント用シートの吹き上げる風を受けた場合の風抜き口を示す斜視図
【図7】本願実施例に係るテント用シートの吹きつける風を受けた場合の風抜き口を示す斜視図
【図8】従来及び本願実施例に係るテント用シートの断面図
【図9】従来技術に係るテント用シートの斜視図
【図10】従来技術に係るテント用シートの雨天時の斜視図
【符号の説明】
【0031】
1 テント用シート
2 シート帯
3 固着ライン
4 シート帯区分
5 シート帯緊張部
6 シート帯弛緩部
7 風抜き口
8 ネット
Y 弛み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の横方向に長尺な可撓性のシート帯を勾配上側のシート帯の下端部が勾配下側のシート帯の上端部の上に段重ねして勾配方向に並列して配置されるようにこれらシート帯と直交し且つ所定間隔を空けて配置されている複数の固着ラインに固着し、この各シート帯を横方向に固着ラインによって区分して形成される多数のシート帯区分は隣接する2つの固着ラインに緊張して張るように固着されたシート帯緊張部と該シート帯緊張部の勾配方向の上下側において該シート帯緊張部に対して弛緩するように固着されたシート帯弛緩部とを有することにより、シート帯緊張部とシート帯弛緩部の段重ねした箇所において風抜き口を形成してなるテント用シートにおいて、
前記シート帯弛緩部の裏面にネットが設けられたことを特徴とするテント用シート。
【請求項2】
前記テント用シートの勾配面において千鳥状に、前記シート帯弛緩部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のテント用シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−31691(P2008−31691A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204815(P2006−204815)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(506258291)フタバ産商株式会社 (1)
【Fターム(参考)】