説明

テンプレート用の基板の処理装置及びテンプレート用の基板の処理方法

【課題】 裏面に凹部を有するテンプレート用の基板を用いる場合の問題を解決することが可能なテンプレートの処理装置を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、インプリントリソグラフィに用いるテンプレート用の基板の処理装置であって、テンプレート用の基板14の裏面に形成された凹部に整合する凸部を有する載置台12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テンプレート用の基板の処理装置及びテンプレート用の基板の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のリソグラフィ技術として、インプリント(ナノインプリント)リソグラフィが提案されている。
【0003】
インプリントリソグラフィで用いるテンプレートには、裏面に凹部を有するもの(ざぐり加工されたもの)が用いられる場合がある。しかしながら、裏面に凹部を有するテンプレートを用いる場合、以下のような問題が生じるおそれがある。
【0004】
第1の問題は、テンプレートを加熱して処理する際に生じる問題である。例えば、テンプレートを洗浄する場合、洗浄効率を高めるために、テンプレートを載置する載置台を加熱する場合が多い。しかしながら、テンプレートに凹部が形成されているため、熱の伝導が悪く、良好な加熱効率が得られないという問題がある。
【0005】
第2の問題は、テンプレートパターンを形成する前の基板(以下、パターン形成前基板という)を載置台に載置して、載置台に高周波(RF)電力を印加する際に生じる問題である。例えば、パターン形成前基板にRIE(reactive ion etching)処理を施して、パターン形成前基板の表面にテンプレートパターン(テンプレートの表面領域に溝等で形成された集積回路形成用のパターン)を形成する際に、載置台にRF電力が印加される。しかしながら、テンプレートに凹部が形成されているため、パターン形成前基板に効率的にRF電力が印加されないという問題がある。
【0006】
このように、裏面に凹部を有するテンプレート用の基板を用いる場合、熱の伝導が悪くなるといった問題や、効率的にRF電力が印加されないといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−194838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
裏面に凹部を有するテンプレート用の基板を用いる場合の問題を解決することが可能なテンプレート用の基板の処理装置及びテンプレート用の基板の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係るテンプレート用の基板の処理装置は、インプリントリソグラフィに用いるテンプレート用の基板の処理装置であって、前記テンプレート用の基板の裏面に形成された凹部に整合する凸部を有する載置台を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る処理装置の構成を模式的に示した図である。
【図2】第1の実施形態に係り、テンプレートを載置台上に載置するときの状態を示した図である。
【図3】第1の実施形態に係り、テンプレートを載置台上に載置するときの状態を示した図である。
【図4】第1の実施形態の動作を示したフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る処理装置の構成を模式的に示した図である。
【図6】第2の実施形態に係り、テンプレートを載置台上に載置するときの状態を示した図である。
【図7】第2の実施形態に係り、テンプレートを載置台上に載置するときの状態を示した図である。
【図8】第2の実施形態の動作を示したフローチャートである。
【図9】半導体装置の製造方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、テンプレート用の基板として、テンプレートパターンがすでに形成されている基板、テンプレートパターンが形成される前の基板(パターン形成前基板)の、両方を含むものとする。また、テンプレート用の基板の表面にテンプレートパターンが形成されているものをテンプレートと呼ぶこととする。
【0013】
(実施形態1)
図1は、インプリントリソグラフィで用いるテンプレート(テンプレート用の基板)の処理装置の構成を模式的に示した図である。
【0014】
図1の処理装置は、テンプレートを洗浄するためのプラズマ洗浄装置を示している。すなわち、インプリントリソグラフィでは、光硬化性樹脂のようなインプリント剤をテンプレートのパターン面に接触させるため、硬化したインプリント剤がテンプレートのパターン面に付着するという問題がある。そのため、テンプレートの洗浄が必要となる。
【0015】
図1において、処理容器11の内部には載置台12が配置されており、載置台12の内部にはヒータ13が設けられている。このヒータ13により、載置台12上に載置されたテンプレート14を加熱できるようになっている。
【0016】
処理容器11の外部にはマイクロ波導入部15及びガス導入部16が設けられている。ガス導入部16から所定の洗浄ガス(例えば、酸素)を導入し、マイクロ波導入部15からマイクロ波を導入することで、処理容器11内にプラズマ17が発生する。このプラズマによって洗浄ガスが活性化され、テンプレート14に付着したインプリント剤が除去されるようになっている。
【0017】
また、処理容器11の内部は、排気管18を通してポンプ19によって排気されるようになっている。
【0018】
図2及び図3は、テンプレート14を載置台12上に載置するときの状態を示している。
【0019】
図2に示されるように、テンプレート14の裏面(テンプレートパターン14bが形成されたパターン面の反対の面)には、ざぐり加工された凹部14aが形成されている。また、載置台12は、テンプレート14の凹部14aに整合する凸部12aを有している。この凸部12aは、載置台12の載置面に平行な断面において、下部から上部に向かって断面積が減少している。より具体的には、凸部12aはテーパー形状を有している。
【0020】
図2に示すように、テンプレート14を載置台12の上方から下降させる。そして、図3に示すように、テンプレート14の凹部14aが載置台12の凸部12aと一致するようにして、テンプレート14が載置台12に載置される。
【0021】
図4は、本実施形態の動作を示したフローチャートである。
【0022】
まず、上述した凸部12aを有する載置台12が設けられた処理装置、及び上述した凹部14aを有するテンプレート14を用意し、テンプレート14を処理容器11内に搬入する(S11)。
【0023】
次に、搬送機構(図示せず)により、テンプレート14を載置台12の上方から下降させ、テンプレート14の凹部14aが載置台12の凸部12aと一致するようにして、テンプレート14を載置台12上に載置する(S12)。
【0024】
このとき、載置台12にはテンプレート14の凹部14aに整合する凸部12aが設けられているため、載置台12とテンプレート14の接触面積を増やすことができる。そのため、載置台12の内部に設けられたヒータ13によってテンプレート14を加熱する際に、載置台12からテンプレート14に効率的に熱を伝達させることができる。
【0025】
また、載置台12の凸部12a及びテンプレート14の凹部14aがテーパー状になっているため、載置台12とテンプレート14との位置合わせが多少ずれていても、自動的に載置台12の凸部12aとテンプレート14の凹部14aとを一致させることができる。そのため、載置台12とテンプレート14との位置合わせを厳密に行わなくても、載置台12の凸部12aとテンプレート14の凹部14aとを確実に一致させることができる。したがって、高精度の搬送機構を設ける必要がなく、装置のコストを低減することが可能である。
【0026】
次に、載置台12に載置されたテンプレート14に、所定の処理として洗浄処理を施す(S13)。すなわち、処理容器11内に発生させたプラズマによって洗浄ガスを活性化し、この活性化された洗浄ガスによってテンプレート14に付着したインプリント剤を除去する。この洗浄処理は、載置台12をヒータ13によって加熱した状態で行われるが、載置台12からテンプレート14に効率的に熱が伝導するため、テンプレート14に付着したインプリント剤を確実に除去することができる。
【0027】
以上のように、本実施形態では、テンプレート14の裏面に形成された凹部14aに整合するように、載置台12の上面に凸部12aが設けられている。そのため、載置台12からテンプレート14に効率的に熱を伝達することができ、テンプレートの洗浄を確実に行うことが可能である。また、載置台12の凸部12a及びテンプレート14の凹部14aがテーパー状になっているため、凸部12aと凹部14aとを自動的に一致させることができる。そのため、高精度の搬送機構を設ける必要がなく、装置のコストを低減することが可能である。
【0028】
なお、上述したプラズマ洗浄の後、ウェット洗浄処理をさらに行ってもよい。このウェット洗浄処理の際に加熱を行う場合にも、ウェット洗浄処理装置内の載置台に上述したような凸部を設けてもよい。このような場合にも、上述した効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0029】
(実施形態2)
次に、第2の実施形態を説明する。なお、基本的な装置構成や処理動作は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態で説明した事項についての説明は省略する。
【0030】
図5は、テンプレートパターンが形成される前の基板(パターン形成前基板)の処理装置の構成を模式的に示した図である。図5の装置は、パターン形成前基板の表面に集積回路用のパターン(溝等)を形成するためのエッチング装置(RIE装置)である。なお、図5において、第1の実施形態の図1の構成要素に対応する構成素嘘については同一の参照番号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0031】
図5に示した装置は、載置台12に高周波(RF)を供給する高周波供給部(RF電源)21を備えている。RF電力によってプラズマを発生させ、RIEを行うことで、パターン形成前基板14’の表面に所望のテンプレートパターンが形成される。
【0032】
図6及び図7は、パターン形成前基板14’を載置台12上に載置するときの状態を示している。
【0033】
図6に示されるように、パターン形成前基板14’の裏面には、ざぐり加工された凹部14aが形成されている。載置台12は、第1の実施形態と同様、パターン形成前基板14’の凹部14aに整合する凸部12aを有している。この凸部12aは、載置台12の載置面に平行な断面において、下部から上部に向かって断面積が減少している。より具体的には、凸部12aはテーパー形状を有している。
【0034】
図6に示すように、パターン形成前基板14’を載置台12の上方から下降させる。そして、図7に示すように、パターン形成前基板14’の凹部14aが載置台12の凸部12aと一致するようにして、パターン形成前基板14’が載置台12に載置される。
【0035】
図8は、本実施形態の動作を示したフローチャートである。
【0036】
まず、上述した凸部12aを有する載置台12が設けられた処理装置、及び上述した凹部を有するパターン形成前基板14’を用意し、パターン形成前基板14’を処理容器11内に搬入する(S21)。
【0037】
次に、搬送機構(図示せず)により、パターン形成前基板14’を載置台12の上方から下降させ、パターン形成前基板14’の凹部14aが載置台12の凸部12aと一致するようにして、パターン形成前基板14’を載置台12上に載置する(S22)。
【0038】
このとき、載置台12にはパターン形成前基板14’の凹部14aに整合する凸部12aが設けられているため、載置台12とパターン形成前基板14’の接触面積を増やすことができる。そのため、載置台12に接続された高周波供給部21からパターン形成前基板14’に高周波電力を供給してRIE処理を行う際に、パターン形成前基板14’に対して効率的にRIE処理を施すことができる。
【0039】
また、載置台12の凸部12a及びパターン形成前基板14’の凹部14aがテーパー状になっているため、載置台12とパターン形成前基板14’との位置合わせが多少ずれていても、自動的に載置台12の凸部12aとパターン形成前基板14’の凹部14aとを一致させることができる。そのため、載置台12とパターン形成前基板14’との位置合わせを厳密に行わなくても、載置台12の凸部12aとパターン形成前基板14’の凹部14aとを確実に一致させることができる。したがって、高精度の搬送機構を設ける必要がなく、装置のコストを低減することが可能である。
【0040】
次に、載置台12に載置されたパターン形成前基板14’に、所定の処理としてRIE処理を施して、テンプレートパターンを形成する(S23)。すなわち、載置台12に載置されたパターン形成前基板14’に集積回路用のパターンを形成するために、所望のレジストパターンが形成されたパターン形成前基板14’の表面に対してRIE処理を施す。このRIE処理は、載置台12に高周波が供給された状態で行われるが、パターン形成前基板14’の表面に効率的にRIE処理を施すことができるため、パターン形成前基板14’に的確に、半導体集積回路用のテンプレートパターンを形成することができる。
【0041】
以上のように、本実施形態では、パターン形成前基板14’の裏面に形成された凹部14aに整合するように、載置台12の上面に凸部12aが設けられている。そのため、載置台12に載置されたパターン形成前基板14’に効率的RIE電力を供給することができ、パターン形成前基板14’に的確にテンプレートパターンを形成することが可能である。また、載置台12の凸部12a及びパターン形成前基板14’の凹部14aがテーパー状になっているため、凸部12aと凹部14aとを自動的に一致させることができる。そのため、高精度の搬送機構を設ける必要がなく、装置のコストを低減することが可能である。
【0042】
なお、上述した各実施形態で得られたテンプレートは、半導体装置の製造に適用される。図9は、半導体装置の製造方法を示したフローチャートである。
【0043】
まず、第2の実施形態で示したような方法で作製されたテンプレートを用意する(S31)。次に、用意されたテンプレートを用いてインプリントを実行する(S32)。すなわち、光硬化性樹脂等のインプリント剤が塗布された半導体ウェハにテンプレートのパターン面を接触させた後、インプリント剤を硬化させて、インプリントパターンを形成する。所定回数のインプリントを実行した後、テンプレートの表面に付着しているインプリント剤を除去するため、第1の実施形態で示したような方法によってテンプレートを洗浄する(S33)。その後、洗浄処理のなされたテンプレートを用いて、さらにインプリントを実行することが可能である。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
11…処理容器 12…載置台 12a…凸部
13…ヒータ 14…テンプレート 14’…パターン形成前基板
14a…凹部 14b…テンプレートパターン
15…マイクロ波導入部 16…ガス導入部 17…プラズマ
18…排気管 19…ポンプ 21…高周波供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプリントリソグラフィに用いるテンプレート用の基板の処理装置であって、
前記テンプレート用の基板の裏面に形成された凹部に整合する凸部を有する載置台と、
前記載置台を加熱するヒータと、
前記載置台に高周波電力を供給する高周波供給部と、
を備え、
前記凸部は、下部から上部に向かって断面積が減少し、
前記処理装置は、前記テンプレート用の基板を洗浄するために用いられる
ことを特徴とするテンプレート用の基板の処理装置。
【請求項2】
インプリントリソグラフィに用いるテンプレート用の基板の処理装置であって、
前記テンプレート用の基板の裏面に形成された凹部に整合する凸部を有する載置台を備えた
ことを特徴とするテンプレート用の基板の処理装置。
【請求項3】
前記凸部は、下部から上部に向かって断面積が減少している
ことを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記載置台を加熱するヒータをさらに備えた
ことを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記処理装置は、前記テンプレート用の基板を洗浄するために用いられる
ことを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項6】
前記載置台に高周波電力を供給する高周波供給部をさらに備えた
ことを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項7】
インプリントリソグラフィに用いるテンプレート用の基板の処理方法であって、
裏面に凹部を有するテンプレート用の基板を用意する工程と、
前記テンプレート用の基板の凹部に整合する凸部を有する載置台を用意する工程と、
前記テンプレート用の基板の凹部が前記載置台の凸部と一致するようにして、前記テンプレート用の基板を前記載置台に載置する工程と、
前記載置台に載置されたテンプレート用の基板に所定の処理を施す工程と、
を備え、
前記凸部は、下部から上部に向かって断面積が減少し、
前記所定の処理は、前記載置台を加熱した状態で行われ、
前記所定の処理は、前記テンプレート用の基板を洗浄する処理を含み、
前記所定の処理は、前記載置台に高周波電力が供給された状態で行われる
ことを特徴とするテンプレート用の基板の処理方法。
【請求項8】
インプリントリソグラフィに用いるテンプレート用の基板の処理方法であって、
裏面に凹部を有するテンプレート用の基板を用意する工程と、
前記テンプレート用の基板の凹部に整合する凸部を有する載置台を用意する工程と、
前記テンプレート用の基板の凹部が前記載置台の凸部と一致するようにして、前記テンプレート用の基板を前記載置台に載置する工程と、
前記載置台に載置されたテンプレート用の基板に所定の処理を施す工程と、
を備えたことを特徴とするテンプレート用の基板の処理方法。
【請求項9】
前記凸部は、下部から上部に向かって断面積が減少している
ことを特徴とする請求項8に記載の処理方法。
【請求項10】
前記所定の処理は、前記載置台を加熱した状態で行われる
ことを特徴とする請求項8に記載の処理方法。
【請求項11】
前記所定の処理は、前記テンプレート用の基板を洗浄する処理を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の処理方法。
【請求項12】
前記所定の処理は、前記載置台に高周波電力が供給された状態で行われる
ことを特徴とする請求項8に記載の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−182384(P2012−182384A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45423(P2011−45423)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】