説明

テーブル型情報端末における表示切替方式

【課題】 ユーザが複数のコンテンツの中から、希望するコンテンツに、階層を辿ることなく容易に到達でき、コンテンツの提供を迅速、かつ確実に受ける。
【解決手段】 テーブル201のテーブル面102にスクリーン101が設けられており、テーブル201内の投影装置203によって、広告や選択されたコンテンツなどが表示される。このスクリーン101には複数の赤外線LED204から均一に赤外線が照射されており、これによって生じるスクリーン101上に置かれた、識別情報付透明シート(例えば、文字による識別情報付透明シート(フローラ)104)に記載された文字などの識別情報(例えば、文字による識別情報(フローラ)103)の影を赤外線カメラ205により撮影し、その影から文字列を認識し、その文字列に対応したコンテンツを、識別情報付透明シートの領域内もしくはスクリーン101全体に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末において、特に、テーブルの天板にスクリーンを設け、このスクリーンでユーザが要求するコンテンツを提供するテーブル型情報端末において、ユーザが希望するコンテンツの提供を容易に受けることができる手段を提供する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに所望するコンテンツを提供するための手段として、従来、複数のメニュー項目(メニューリスト)を表示し、このメニューリストから、希望するコンテンツのメニュー項目を選択することにより、選択したコンテンツを同じ表示画面に表示するようにした方法が知られている。
【0003】
この方法では、希望するコンテンツが、メニューリストに表示されるまで、いくつかの階層をたどる必要があり、また、希望するコンテンツに到達できず、提供を受けることができない場合があるという問題点を有している。
【0004】
この問題点を解決するための方法として、キーワードによる検索が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1では、検索に使用したキーワードを、後日使用するために保存しておき、保存しておいたキーワードを検索に再度使用する方法や、一般的なキーワードのデータベースを用い、この中から検索キーワードを選択して検索することで、正確なキーワードを使用した検索を行なうことを可能にする方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−273298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
街角や、店舗内などに設置される情報端末では、ユーザがどのようにして希望するコンテンツを探し出し、コンテンツの提供を受けるかという点について、十分に配慮されていないため、ユーザが所望するコンテンツの提供を受けるためには、多くの操作を必要とし、また、希望するコンテンツの提供を受けられないこともあるという問題点を有している。
【0008】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、ユーザが希望するコンテンツへ容易に到達し、コンテンツの提供を迅速かつ、確実に受けることができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
テーブルのテーブル面にスクリーンを設け、テーブル内に設けた投影装置からスクリーンに映像を投影して表示させるテーブル型情報端末において、テーブル面上方に、テーブル面に置かれた物体の影を生じさせる手段を設けるとともに、テーブル内に、スクリーンを裏側から撮影するカメラを設け、カメラからの映像信号からスクリーン面での影を検出して、影に対応した処理を行なう。また、物体の影を生じさせる手段は、前記投影装置からスクリーンに投影される映像の光の波長領域とは異なる所定波長領域の光を放射する発光手段であって、スクリーン全体がこの光によって均一に照射され、カメラは、この所定波長領域の光のみを受光する。そして、スクリーン上に識別情報の記載された透明シートを置くことで、識別情報によって生じる影から識別情報を認識し、対応するコンテンツへ表示を切替える、もしくはシートの領域内に対応するコンテンツを表示する。これらにより、ユーザは所望するコンテンツへ容易に到達でき、コンテンツの提供を迅速、かつ確実に受けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、ユーザは、所望するコンテンツの提供を簡単かつ、確実に受けることができ、また、メニューリストが不要となるため、ユーザによる操作がない状態の時には、広告などのコンテンツを大きく表示することができ、また、コンテンツの追加を行なう際には、識別情報の記載された透明シートと、それに対応したコンテンツを用意すればよく、コンテンツの追加を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
【0012】
図1は本発明による表示切替えの一実施例であり、本実施例について、以下、図を用いて説明する。
【0013】
図2は図1に示す実施例における装置の一構成例における断面図である。
【0014】
図2において、テーブル201の天板の上面、すなわち、テーブル面102には、スクリーン101が設けられている。また、テーブル面102の上方に複数の赤外線LED204が設けられ、スクリーン101全体にほぼ均一の強度で赤外線が照射される。テーブル201内部には、制御装置202と、投影装置203と、赤外線カメラ205が設けられており、制御装置202は、CPUなどを備え各部の制御や信号処理を行い、投影装置203は、制御装置202より入力された映像信号をスクリーン101に投影する。また、赤外線カメラ205は、赤外線LED204から赤外線が照射されるスクリーン101を裏側から撮影する。
【0015】
図3は、図1に示す実施例における機能構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
図3において、制御装置202は、制御部301、コンテンツデータベース302およびコンテンツID判定表303からなり、制御部301は、コンテンツID判定表303の情報をもとに、コンテンツデータベース302に格納されたコンテンツを取得し、コンテンツを表示する映像信号を投影装置203に入力する。投影装置203は、制御部301より入力された映像信号を、スクリーン101に投影する。赤外線カメラ205は、スクリーン101を裏側から撮影し、映像信号を制御部301に入力する。制御部301は、入力された映像信号をからスクリーン101上の物体によってスクリーン101に生じる影を検出し、影の位置や形状に応じた処理を行い、表示内容に反映する。
【0017】
図4は、図3におけるコンテンツデータベース302とコンテンツID判定表303の一例を模式的に示す図である。
【0018】
図4において、コンテンツデータベース302には、コンテンツファイルがそれぞれ固有のコンテンツIDが付与されて格納されており、また、コンテンツID判定表303には識別情報に対応する識別情報ID、および複数の識別情報の組み合わせに対応する識別情報IDと、各識別情報IDに対応するコンテンツIDが定義されている。
【0019】
図1、図2および図3において、通常コンテンツ107がスクリーン101に表示されている状態で、文字による識別情報(フローラ)103が記載された識別情報付透明シート(フローラ)104が、スクリーン101上に置かれると、赤外線LED204より照射された赤外線が、文字による識別情報(フローラ)103によってさえぎられ、テーブル201内部に設けられた赤外線カメラ205にまで到達しないため、文字による識別情報(フローラ)103は、影として撮影される。赤外線カメラ205はこの影を撮影した映像を制御部301に入力する。制御部301は入力された映像に含まれる文字による識別情報(フローラ)103によって生じた影から、文字列「フローラ」を認識し、これに対応するコンテンツID「C-00001」を、コンテンツID判定表302によって判定し、コンテンツID「C-00001」に対応するコンテンツファイル「フローラ白 コンテンツファイル」をコンテンツデータベース302より取得し、投影装置203によって、スクリーン101に表示する。なお、図1に示す選択コンテンツ(フローラ白)108は、コンテンツファイル「フローラ白 コンテンツファイル」の表示結果である。
【0020】
また、スクリーン101上に識別情報付透明シート(フローラ)104が置かれ、選択コンテンツ(フローラ白)108がスクリーン101に表示されている状態で、文字による識別情報(黒)105が記載された識別情報付透明シート(黒)106が、識別情報付透明シート(フローラ)104の上に重ねて置かれると、上記と同様に、制御部301は、入力された映像に含まれる文字による識別情報(フローラ)103と文字による識別情報(黒)105とによって生じた影から、「フローラ」と「黒」とを、それぞれ別の文字列として認識し、これらの組み合わせに対応するコンテンツID「C-00002」を、コンテンツID判定表302によって判定し、コンテンツID「C-00002」に対応するコンテンツファイル「フローラ黒 コンテンツファイル」をコンテンツデータベース302より取得し、投影装置203によって、スクリーン101に表示する。なお、図1に示す選択コンテンツ(フローラ黒)109はコンテンツファイル「フローラ黒 コンテンツファイル」の表示結果である。
【0021】
図5は、識別情報付透明シートの例である。
【0022】
図1に示す実施例では、識別情報として文字を透明シートに記載しているが、例えば、バーコードによる識別情報505や、2次元コードによる識別情報507を透明シートに記載してもよい。
【0023】
図6は、図1に示す実施例における動作の一例を示すフローチャートであり、図7は、図1に示す実施例におけるスクリーン上の状態と撮像画像との関係を示す図である。
【0024】
ユーザによる操作がない状態では、スクリーン101に、広告などの通常コンテンツ107が表示される(ステップ601)。このとき、赤外線カメラ205は撮像(ステップ602)を繰り返し行い、制御部301に入力する。制御部301は入力された画像に影が存在するか否かを判定する(ステップ603)。
【0025】
ここで、図1において、通常コンテンツ107が表示されている状態で、文字による識別情報(フローラ)103が記載された、識別情報付透明シート(フローラ)104が、スクリーン101上に置かれると、撮像画像は、透明シートが置かれた状態における撮像画像702のようになる。制御部301は、撮像された画像に影が存在するか否かを判定し(ステップ603)、影が存在するため、撮像された画像の影から文字認識処理を実施し(ステップ604)、文字による識別情報(フローラ)103によって生じた影から文字列「フローラ」が認識できると、コンテンツID判定表303によってコンテンツIDを判定し(ステップ605)、該コンテンツIDが、選択されているコンテンツのコンテンツIDと同一であるかを判定する(ステップ606)。ここでは、選択されているコンテンツのコンテンツIDは存在しないため、選択されているコンテンツのコンテンツIDとは異なるコンテンツIDであると判定し、影画像とコンテンツIDを更新し(ステップ607)、コンテンツIDに対応したコンテンツファイル「フローラ白 コンテンツファイル」を表示する(ステップ608)。
【0026】
また、ステップ604において文字列の認識に失敗した場合には、選択されたコンテンツを表示しているかを判定し(ステップ609)、選択されたコンテンツを表示している場合には、該コンテンツが選択された時の影が、新たに撮像した画像の影に含まれるかを判定し(ステップ610)、含まれる場合(例えば、図7(b)、図7(c)の順に操作されたとき)、該コンテンツが選択された時の影と新たに撮像した影とで一致しない部分(例えば、図7(b)、図7(c)の順に操作されたとき、図7(d)のコンテンツ選択時の影と一致しない部分706)を、ユーザ操作情報として表示中のコンテンツに伝える。また、ステップ610において、コンテンツが選択された時の影が、新たに撮像した画像の影に含まれない場合、透明シートがスクリーン101上より取り除かれたものと判断し、保持している影画像とコンテンツIDをクリアし(ステップ612)、通常コンテンツ107を表示する(ステップ613)。また、ステップ609において、選択されたコンテンツを表示していない場合には、撮像した影を、ユーザ操作情報として表示中のコンテンツに伝える。
【0027】
また、ステップ603において、入力された画像に影が存在しない場合には、選択されたコンテンツを表示しているかを判定し(ステップ615)、存在する場合には保持している影画像とコンテンツIDをクリアし(ステップ616)、通常コンテンツ107を表示する(ステップ617)。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による表示切替えの一実施例である。
【図2】図1に示す実施例における装置の一構成例における断面図である。
【図3】図1に示す実施例における機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図3におけるコンテンツデータベースとコンテンツID判定表の一例を模式的に示す図である。
【図5】図1に示す実施例における識別情報付透明シートの例を示す図である。
【図6】図1に示す実施例における動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す実施例におけるスクリーン上の状態と撮像画像との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
101…スクリーン、102…テーブル面、103…文字による識別情報(フローラ)、104…識別情報付透明シート(フローラ)、105…文字による識別情報(黒)、106…識別情報付透明シート(黒)、107…通常コンテンツ、108…選択コンテンツ(フローラ白)、109…選択コンテンツ(フローラ黒)、201…テーブル、202…制御装置、203…投影装置、204…赤外線LED、205…赤外線カメラ、206…識別情報付透明シート、301…制御部、302…コンテンツデータベース、303…コンテンツID判定表、501…文字による識別情報(フローラII)、502…識別情報付透明シート(フローラII)、503…文字による識別情報(白)、504…識別情報付透明シート(白)、505…バーコードによる識別情報、506…識別情報付透明シート(バーコード)、507…2次元コードによる識別情報、508…識別情報付透明シート(2次元コード)、701…ユーザによる操作のない状態における撮像画像、702…透明シートが置かれた状態における撮像画像、703…識別情報によって生じた影、704…識別情報に手が重なっている状態における撮像画像、705…手によって生じた影、706…コンテンツ選択時の影と一致しない部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルのテーブル面にスクリーンを設け、テーブル内に設けた投影装置からスクリーンに映像を投影して表示させるテーブル型情報端末において、テーブル面上方に、テーブル面に置かれた物体の影を生じさせる手段を設けるとともに、テーブル内に、スクリーンを撮像するカメラと、カメラからの映像信号からスクリーン面での影を検出して、影に対応した処理を行なうテーブル型情報端末。
【請求項2】
請求項1において、物体の影を生じさせる手段は、スクリーンに投写される映像の光の波長領域とは異なる所定波長領域の光を放射する発光手段であって、スクリーン全体が所定波長領域の光によって均一に照射され、カメラは、該所定波長領域の光のみを受光することを特徴とするテーブル型情報端末。
【請求項3】
請求項1および2において、文字、バーコード、2次元コードなどの識別情報が記載された透明シートを、テーブル面に置くことで入力を行なう入力方式。
【請求項4】
請求項3において、識別情報が記載された透明シートをテーブル面に置くことで、表示中のコンテンツを、識別情報に対応したコンテンツに切替える、表示切替方式。
【請求項5】
請求項3において、識別情報が記載された透明シートをテーブル面に置くことで、表示中のコンテンツに変化を与える、表示切替方式。
【請求項6】
請求項4において、異なる識別情報が記載された複数の透明シートをテーブル面に重ねて置くことで、各々の透明シートに記載された識別情報の組み合わせに対応したコンテンツに切替える、表示切替方式。
【請求項7】
請求項4において、スクリーンよりも小さな枠を有し、かつ、識別情報が記載された透明シートをテーブル面に置くことで、表示中のコンテンツは切替えず、該枠内に、識別情報に対応するコンテンツを表示する、表示切替方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−338429(P2006−338429A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163435(P2005−163435)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】