説明

テープ印刷装置およびテープ印刷装置の印刷制御方法

【課題】カットマーク位置でテープを切断した場合でも、見栄えの良いラベルを作成することができるテープ印刷装置およびテープ印刷装置の印刷制御方法を提供する。
【解決手段】テープ状媒体Tに対し、手動切断するためのカット位置を示すカットマークCMを印刷するカットマーク印刷処理と、カットマークCM以外の印刷画像である基本印刷画像を印刷する通常印刷処理と、を実行する印刷ヘッド26と、印刷ヘッド26を制御し、カットマーク印刷処理を実行する場合、テープ状媒体Tに対するカットマークCMの付着強度が、基本印刷画像の付着強度よりも弱くなるように、カットマークCMの印字強度を、基本印刷画像の印字強度よりも弱い強度で印刷させる印刷処理制御部40と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ状媒体に、当該テープ状媒体を手動切断するためのカット位置を示すカットマークを印刷することが可能なテープ印刷装置およびテープ印刷装置の印刷制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テープ状媒体(印刷テープ)に印刷を行い、所望のラベルを作成するテープ印刷装置が知られている。この種のテープ印刷装置では、複数枚のラベルを連続して作成する場合や、指定されたテープ余白の長さ(余白距離)が、印刷位置とテープカット位置との距離(印刷ヘッド(印字ヘッド)とテープカッターとの距離)よりも短いラベルを作成する場合は、ラベル間またはラベル先頭(ラベル前端)に、テープのカット位置を示すカットマークを印刷する(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。ユーザーは、ハサミやカッターを使用して、このカットマーク位置を目安にテープを切断することにより、ラベルを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−001600号公報
【特許文献2】特開2002−113914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のカットマーク位置で、ユーザーがハサミやカッターによりテープを切断してラベルを作成した場合、そのラベルの前端や後端にカットマークの一部が残ってしまい、作成したラベルの見栄えを損ねてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、カットマーク位置でテープを切断した場合でも、見栄えの良いラベルを作成することができるテープ印刷装置およびテープ印刷装置の印刷制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープ印刷装置は、テープ状媒体に対し、手動切断するためのカット位置を示すカットマークを印刷するカットマーク印刷処理と、カットマーク以外の印刷画像である基本印刷画像を印刷する通常印刷処理と、を実行する印刷ヘッドと、印刷ヘッドを制御し、カットマーク印刷処理を実行する場合、テープ状媒体に対するカットマークの付着強度が、基本印刷画像の付着強度よりも弱くなるように、カットマークの印字強度を、基本印刷画像の印字強度よりも弱い強度で印刷させる印刷処理制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のテープ印刷装置の印刷制御方法は、テープ状媒体に対し、手動切断するためのカット位置を示すカットマークを印刷するカットマーク印刷処理と、カットマーク以外の印刷画像である基本印刷画像を印刷する通常印刷処理とを、印刷ヘッドを用いて実行するテープ印刷装置の印刷制御方法であって、カットマーク印刷処理を実行する場合、テープ状媒体に対するカットマークの付着強度が、基本印刷画像の付着強度よりも弱くなるように、カットマークの印字強度を、基本印刷画像の印字強度よりも弱い強度で印刷することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、カットマークの印字強度を、通常の印刷画像(基本印刷画像)の印字強度よりも弱くすることで、テープ(テープ状媒体)に対するカットマーク部分の付着強度(インクの付着強度)を弱め、結果、カットマーク部分の耐摩耗性(耐摩擦性)および耐剥離製を低くすることが可能となる。これにより、カットマークをテープに印刷した後、カットマーク部分をこすることで、当該カットマークを剥がすことができる。即ち、ユーザーがハサミやカッター等を用い、カットマーク位置でテープを切断してラベルを作成した場合に、ラベルにカットマークの一部が残ったとしても、当該カットマークを消す(こすって剥がす)ことができるため、見栄えの良いラベルを作成することが出来る。
また、カットマークの印字強度を、通常の印刷画像の印字強度よりも弱くすることで、カットマーク部分が経時変化により消えるため(通常の印刷画像より早く消えるため)、見栄えの良いラベルを作成することが出来る。
【0009】
本発明のテープ印刷装置において、印刷処理制御部は、カットマーク印刷処理を実行する場合、印刷ヘッドへの通電時間を、通常印刷処理時よりも短くすることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、カットマークを印刷する場合、印刷ヘッドへの通電時間を通常よりも短くすることで、カットマークの印字強度を弱くし、テープに対するカットマーク部分の付着強度を弱くする。即ち、カットマーク部分の耐摩耗性(耐摩擦性)および耐剥離製を低くすることが可能となる。また、従来のテープ印刷装置に比べて、カットマークを印刷する際にかかる消費電力を削減することができ、省エネを図ることができる。特に、大量のラベルを連続して作成する時のように、ラベル間に印刷するカットマークの印刷回数が多くなる場合には、その印刷に係る消費電力の削減効果が大きい。
【0011】
本発明のテープ印刷装置において、印刷処理制御部は、カットマーク印刷処理を実行する場合、印刷ヘッドへの印加電圧を、通常印刷処理時よりも低電圧にすることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、カットマークを印刷する場合、印刷ヘッドへの印加電圧を通常よりも低くすることで、カットマークの印字強度を弱くし、テープに対するカットマーク部分の付着強度を弱くする。即ち、カットマーク部分の耐摩耗性(耐摩擦性)および耐剥離製を低くすることが可能となる。また、従来のテープ印刷装置に比べて、カットマークを印刷する際にかかる消費電力を軽減することができ、省エネを図ることができる。
【0013】
本発明のテープ印刷装置において、カットマーク印刷処理を実行する場合、テープ状媒体に対する印刷ヘッドの接触を、通常印刷処理時よりも弱くすることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、カットマークを印刷する場合、テープ状媒体に対する印刷ヘッドの接触を、通常よりも弱くすることで、カットマークの印字強度を弱くし、テープに対するカットマーク部分の付着強度を弱くする。即ち、カットマーク部分の耐摩耗性(耐摩擦性)および耐剥離製を低くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置の開蓋状態における外観斜視図である。
【図2】テープ印刷装置の制御ブロック図である。
【図3】ラベル間、またはラベルの前端にカットマークCMを印刷する場合の印刷処理手順について説明するフローチャートである。
【図4】印刷したラベルのカット前の状態を説明する図(a)、カットマーク位置でカットした後のラベルを説明する図(b)、カットマークを消去した状態を説明する図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置について説明する。図1は、本実施形態に係るテープ印刷装置1の開閉蓋4を開いた状態の外観斜視図である。図1に示すようにテープ印刷装置1は、装置ケース2により外装が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード3が配置されると共に、後部上面には、その左部に開閉蓋4が取り付けられ、その右部には表示画面5が配設されている。開閉蓋4の内側にはテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6が窪入形成されており、テープカートリッジCは、開閉蓋4を開放した状態でカートリッジ装着部6に着脱可能に装着される。また、開閉蓋4にはこれを閉じた状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓7が形成されている。
【0017】
キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、JIS配列に基づいたフルキー構成であり、操作するキー数の増加を抑えるためのシフトキーを備えるなど、一般のワードプロセッサー等と同様である。機能キー群3bには、[印刷]キー11、カーソルキー12、[選択]キー13等が含まれる。なお、これらのキー入力は、一般的なキーボードと同様に、キー入力毎に個別にキーを設けても良いし、シフトキー等と組み合わせてより少ない数のキーを用いて入力するようにしても良い。
【0018】
[印刷]キー11は、印刷実行を指示するためのキーである。カーソルキー12は、上下左右キー([↑],[↓],[←],[→])から成り、カーソル移動やスクロール操作を行うためのキーである。[選択]キー13は、選択候補(選択肢)の選択および確定操作を行うためのキーである。
【0019】
表示画面5は、液晶ディスプレイで形成されている。表示画面5は、ユーザーがキーボード3により所望のテキストや画像等(基本印刷画像)を入力して、テキストデータや画像データ等の印刷データを作成・編集したり、その結果等を視認(確認)したりする際に用いられる。
【0020】
装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通するテープ排出口21が形成され、このテープ排出口21には、送り出した印刷テープTを切断するためのテープカッター22が臨んでいる。そして、テープ排出口21から印刷済みの印刷テープTが所定長さだけ送り出され、送りを一旦停止させた状態で、この印刷済みの印刷テープTをテープカッター22により切断することにより、短冊状のラベルL(図4参照)を作成する。
【0021】
一方、カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー25内にサーマルタイプの印刷ヘッド26が内蔵されたヘッドユニット24と、印刷ヘッド26に対峙するプラテン駆動軸27と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸28と、後述のテープリール32の位置決め突起29とを備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸27および巻き取り駆動軸28を回転させるテープ送りモーター30(図2参照)が内蔵されている。
【0022】
テープカートリッジCは、カートリッジケース31内部の上部中央部に、一定の幅(4mm〜48mm程度)の印刷テープTを巻回したテープリール32と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール33とを収容して構成されており、印刷テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール32の左下部には前記ヘッドユニット24が差し込まれるための貫通孔34が形成されている。さらに、貫通孔34にヘッドユニット24が差し込まれた状態で、当該ヘッドユニット24に内蔵された印刷ヘッド26に対し、印刷テープTとインクリボンRとが重なる部分を挟んで対向する位置に、前記プラテン駆動軸27に嵌合されて回転駆動するプラテンローラー35が配設されている。一方、前記リボンリール33に近接してリボン巻き取りリール36が配置され、リボンリール33から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー25を周回するように配置され、リボン巻き取りリール36に巻き取られるようになっている。
【0023】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー25に貫通孔34が、位置決め突起29にテープリール32の中心孔が、巻き取り駆動軸28にリボン巻き取りリール36の中心孔がそれぞれ差し込まれ、印刷テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド26がプラテンローラー35に当接して印刷が可能になる。その後、ユーザーが表示画面5の編集結果を確認しながらキーボード3により所望のテキストや画像を入力し、印刷を指示すると、テープ印刷装置1は、テープ送りモーター30によりテープカートリッジCから印刷テープTを繰り出し、印刷ヘッド26の発熱素子を選択的に発熱させることにより印刷テープTに所望の印刷を行う。印刷テープTの印刷済み部分はテープ排出口21から随時外部に送り出され、印刷を完了すると、テープ送りモーター30は、余白分を含むテープ長さの位置まで印刷テープTの送りを行った後、その送りを停止する(その後、切断処理に移行する)。
【0024】
一方、印刷テープTは、裏面に粘着剤層が形成された記録テープTaと、この粘着剤層により記録テープTaに貼り付けられた剥離テープTbとから構成されている。そして、印刷テープTは、記録テープTaを外側にし、かつ剥離テープTbを内側にしてロール状に巻回されてカートリッジケース31内に収容されている。また、印刷テープTは、テープ種別(テープ幅、テープの地色、地模様、材質(質感)など)が異なる複数種のものが用意されており、各カートリッジケース31には、このうち1種類の印刷テープTおよびインクリボンRが収容されている。また、カートリッジケース31の裏面にはテープカートリッジCの種別を特定する複数の孔(図示省略)が設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサー(マイクロスイッチ等)37(図2参照)が、複数設けられており、このテープ識別センサー37により複数の孔の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
【0025】
次に、図2の制御ブロック図を参照し、テープ印刷装置1の制御構成について説明する。テープ印刷装置1は、操作部41、検出部42、印刷部43、切断部44、駆動部45、およびこれら各部と接続して、テープ印刷装置1全体を制御する制御部40(印刷処理制御部)を有している。
【0026】
操作部41は、キーボード3上の文字キー群3aや機能キー群3bからの情報の入力・編集や設定、およびこれら各種情報の表示画面5への表示等、ユーザーインターフェイスとして機能する。
【0027】
検出部42は、上述したテープ識別センサー37を有し、印刷テープT(テープカートリッジC)の種別を検出する。印刷部43は、印刷ヘッド26(サーマルヘッド)およびテープ送りモーター30を有し、印刷テープTおよびインクリボンRを搬送しながら印刷テープT上に、生成された印刷データに基づく印刷を行う。
【0028】
切断部44は、テープカッター22と、これを駆動するカッターモーター51と、を有している。そして、テープカッター22により、印刷部43で印刷処理済みの印刷テープTを所定の長さになるように切断し、ラベルLを作成する。駆動部45は、ディスプレイドライバー55、ヘッドドライバー56、テープ送りモータードライバー57およびカッターモータードライバー58を有し、各部を駆動する。
【0029】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63、および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」と称する)64を備え、これらは互いに内部バス65により接続されている。RAM63は、CPU61が各種処理を実行するための作業領域として使用される。ROM62は、CPU61が各種制御を行うための制御プログラムおよび制御データを記憶している。
【0030】
この制御プログラムとしては、印刷テープTに対して、カットマークCM(図4参照)を印刷する印刷処理(カットマーク印刷処理)と、カットマークCM以外の印刷画像(ユーザーが入力したテキストや画像等,基本印刷画像)を印刷する印刷処理(通常印刷処理)とで、その印字強度を変えて印刷を行なうための印刷制御プログラムが含まれる。具体的には、カットマークCMの印字強度を、カットマークCM以外の印刷画像の印字強度よりも弱い強度で印刷するように制御する(カットマークCMの印字強度<カットマークCM以外の印刷画像の印字強度となるように印刷制御する)。
【0031】
なお、カットマークCMとは、複数のラベルLを連続して作成する場合や、印刷ヘッド26からテープカッター22までの距離より、ユーザーが指定した余白長が短いラベルLを作成する場合に、ラベルL間やラベルLの前端(先頭)に、ラベルLの幅方向に印刷されるものであり、印刷テープTを手動切断するためのカット位置を示すものである。ユーザーは、このカットマークCMの位置を目安として、ハサミやカッターなどを用いて印刷テープTを手動切断し、所望のラベルLを作成する。
【0032】
上記の構成により、CPU61は、ROM62内の各種制御プログラムに従って、IOC64を介してテープ印刷装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力された各種信号・データに基づいてRAM63内の各種データを処理し、IOC64を介してテープ印刷装置1の各部に各種信号・データを出力することにより、各種処理制御を行なう。
【0033】
ここで、図3のフローチャートを参照して、本発明のテープ印刷装置1により、ラベルLとラベルLとの間、またはラベルLの前端(先端)にカットマークCMを印刷する場合の印刷処理手順(印刷制御方法)について説明する。本発明のテープ印刷装置1では、カットマークCMの印字強度を、カットマークCM以外の印刷画像(ここでは、便宜上「テキスト」とする)の印字強度よりも弱い強度で印刷するために、カットマークCMを印刷する時の印刷ヘッド26への通電時間(以下、「カットマーク用通電時間」と称する)を、テキストを印刷する時の印刷ヘッド26への通電時間(以下、「通常用通電時間」と称する)よりも短く設定して印刷を行なう(即ち、「通常用通電時間>カットマーク用通電時間」の関係が成立する)。
【0034】
なお、「通常用通電時間」とは、テープ印刷装置1で印刷を行った際、印刷部分が、摩擦などにより剥離しない程度の印字強度(付着強度)を保つことが可能な通電時間である。また、「カットマーク用通電時間」とは、印刷部分が、摩擦などにより剥離する程度の印字強度(付着強度)になるような通電時間(例えば、「通常用通電時間」の半分の時間)である。
【0035】
まず、ユーザーにより、印刷対象となるテキストが入力され、[印刷]キー11の押下により印刷指示がなされると(S01)、テープ印刷装置1(制御部40)は、印刷対象となる印字ラインを、印刷するテキスト(テキストに基づく印刷データ)の先頭ラインに設定する(S02)。次に、テープ印刷装置1は、印刷対象となる印字ラインが、カットマークCMか否かを判定する(S03)。印字ラインがカットマークCMでない場合(S03;No)、テープ印刷装置1は、印刷ヘッド26(サーマルヘッド)への通電時間を「通常用通電時間」に設定し(S04)、設定した通電時間で1ラインを印刷する(S05,通常印刷処理)。
【0036】
一方、印字ラインがカットマークCMの場合(S03;Yes)、テープ印刷装置1は、印刷ヘッド26への通電時間を「カットマーク用通電時間」に設定し(S06)、設定した通電時間で1ライン(カットマークCM)を印刷する(S05,カットマーク印刷処理)。即ち、印刷対象となる印字ラインがカットマークCMの場合、通常のテキスト印刷時の印刷ヘッド26への通電時間よりも短い通電時間で印刷を行う。
【0037】
次に、テープ印刷装置1は、S05で印刷した印字ラインが、印刷するテキスト(テキストに基づく印刷データ)の最終ラインか否かを判定する(S07)。印刷した印字ラインが、最終ラインであった場合(S07;Yes)、テープ印刷装置1は、一連の印刷処理を終了する(S08)。一方、印刷した印字ラインが、最終ラインでない場合(S07;No)、テープ印刷装置1は、印字ラインを、次のラインに更新し(S09)、最終ラインを印刷するまでS03以降の処理(S03からS07の処理)を繰り返し実行する。
【0038】
次に、図4を参照して、上記の図3のフローチャートの手順に基づいて作成されたラベルLの一例について説明する。図4(a)は、テープ印刷装置1により印刷したラベルLのカット前の状態を示す図である。同図は、ユーザーにより入力されたラベル画像71およびラベル画像72を連続して印刷した時に、ラベル画像71の前端部分、およびラベル画像71とラベル画像72と間に位置する部分に、それぞれカットマークCMを印刷し(図中では計4個のカットマークCMを例示)、1つのラベルLとして出力した状態を示している。なお、カットマークCMを網掛け(ハッチ)で表現しているが、これは、黒色で示す文字(ラベル画像71およびラベル画像72)の印刷時よりも印刷ヘッド26への通電時間が短く、印字強度(付着強度)が弱いことを示している。
【0039】
図4(b)は、図4(a)のカットマークCMの位置で、ユーザーが印刷テープTをカット(手動切断)することにより作成されたラベルL(ラベルL1〜ラベルL3)を示す図である。同図に示すように、ユーザーがカットマークCMの位置で(カットマークCMに沿って)、ハサミやカッター等で印刷テープTを切断した場合、切断箇所の両側、即ち、ラベルL1の前端と後端、およびラベルL2の前端、並びにラベルL3の後端に、カットマークCMの一部(カットマーク片CM1〜CM8)が残ってしまう。
【0040】
このような場合、ユーザーが、カットマーク片CM1〜CM8をこすることで、ラベルL1〜ラベルL3に印刷されたカットマーク片CM1〜CM8を剥がすことができ、結果として、図4(c)のようなカットマーク片CM1〜CM8を消去したラベルL(ラベルL1〜L3)を作成することができる(図4(c)の点線で示す部分は、図4(b)のカットマーク片CM1〜CM8が消えた状態を示している)。なお、図4(b)および図4(c)のラベルL3で示す部分は、ラベルL1を作成する際の不要部分(不要領域)を意味しており、実際にはラベルLとして使用されないものである。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、カットマークCMを印刷する場合の印刷ヘッド26への通電時間を、通常の印刷画像(基本印刷画像)を印刷する場合の印刷ヘッド26への通電時間よりも短くすることで、カットマークCMの印字強度を弱くし、結果、印刷テープTに対するカットマークCM部分の付着強度(インクの付着強度)を弱めることができる。即ち、カットマークCM部分の耐摩耗性(耐摩擦性)および耐剥離製を低くすることが可能となる。これにより、カットマークCMを印刷テープTに印刷した後、カットマークCM部分をこすることで、当該カットマークCMを剥がすことができる。
【0042】
即ち、図4(b)のように、ユーザーがカットマークCMを目安に印刷テープTを切断してラベルL(ラベルL1およびラベルL2)を作成する場合に、ラベルL(ラベルL1およびラベルL2)にカットマークCMの一部(カットマーク片CM3〜CM8)が残ったとしても、当該カットマークCM(カットマーク片CM3〜CM8)を消すことができるため(こすって剥がすことができるため)、図4(c)に示すような見栄えの良いラベルL(ラベルL1およびラベルL2)を作成することが出来る。
【0043】
また、印刷ヘッド26への通電時間を短くすることで、従来のテープ印刷装置に比べて、カットマークCMを印刷する際にかかる消費電力を削減することができ、省エネを図ることができる。特に、大量のラベルLを連続して作成する時のように、ラベルL間に印刷するカットマークCMの印刷回数が多くなる場合には、その印刷に係る消費電力の削減効果が大きい。
【0044】
なお、本実施形態では、カットマークCMの印字強度を弱くする方法として、印刷ヘッド26への通電時間を短くする方法を採用しているが、これに限るものではない。例えば、カットマークCMを印刷する際の印刷ヘッド26への印加電圧を、カットマークCM以外の印刷画像を印刷する際の印刷ヘッド26への印加電圧よりも低くすることで、カットマークCMの印字強度を弱くしても良い。また、カットマークCMを印刷する際、通常の印刷よりも印刷テープTに対する印刷ヘッド26の接触を弱くして印刷を行なうことで、カットマークCMの印字強度を弱くしても良い。
【0045】
また、図4では、カットマークCMを点(網掛け部分)で表現しているが、これは一例であり、例えば、印刷テープTの幅方向に延在する直線や点線で印刷する場合にも適用可能である。
【0046】
また、上述した実施例によらず、テープ印刷装置1の装置構成や処理の各工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…テープ印刷装置 26…印刷ヘッド 40…制御部 CM…カットマーク T…印刷テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状媒体に対し、手動切断するためのカット位置を示すカットマークを印刷するカットマーク印刷処理と、前記カットマーク以外の印刷画像である基本印刷画像を印刷する通常印刷処理と、を実行する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを制御し、
前記カットマーク印刷処理を実行する場合、前記テープ状媒体に対する前記カットマークの付着強度が、前記基本印刷画像の付着強度よりも弱くなるように、前記カットマークの印字強度を、前記基本印刷画像の印字強度よりも弱い強度で印刷させる印刷処理制御部と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
前記印刷処理制御部は、
前記カットマーク印刷処理を実行する場合、前記印刷ヘッドへの通電時間を、前記通常印刷処理時よりも短くすることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
前記印刷処理制御部は、
前記カットマーク印刷処理を実行する場合、前記印刷ヘッドへの印加電圧を、前記通常印刷処理時よりも低電圧にすることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記印刷処理制御部は、
前記カットマーク印刷処理を実行する場合、前記テープ状媒体に対する前記印刷ヘッドの接触を、前記通常印刷処理時よりも弱くすることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
テープ状媒体に対し、手動切断するためのカット位置を示すカットマークを印刷するカットマーク印刷処理と、前記カットマーク以外の印刷画像である基本印刷画像を印刷する通常印刷処理とを、印刷ヘッドを用いて実行するテープ印刷装置の印刷制御方法であって、
前記カットマーク印刷処理を実行する場合、前記テープ状媒体に対する前記カットマークの付着強度が、前記基本印刷画像の付着強度よりも弱くなるように、前記カットマークの印字強度を、前記基本印刷画像の印字強度よりも弱い強度で印刷することを特徴とするテープ印刷装置の印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−139827(P2012−139827A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292102(P2010−292102)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】