説明

テープ状部材の供給装置及び供給方法

【課題】2つのテープ状部材が接続された接続部がダンサケースに引っ掛かることなく、テープ状部材を搬送できるようにした供給装置を提供することにある。
【解決手段】テープ状部材4の供給リール9と、供給リールから供給されたテープ状部材を巻き取る巻き取りリール12と、供給リールと巻き取りリールとの間に設けられテープ状部材を吸引して張力を与える張力付与手段35を具備し、張力付与手段は、一側面が開口した箱型状のダンサケース36と、テープ状部材を開口部からダンサケース内へ吸引する吸引ブロア37と、テープ状部材に2つのテープ状部材の端部を重ねて接続した接続部があるとき、その接続部が開口部を通過するときに吸引ブロアによる吸引を停止してダンサケース内に吸引されるのを阻止する制御装置によって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は供給部から供給されるテープ状部材を巻き取り部で巻き取るテープ状部材の供給装置及び供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルに代表されるフラットパネルディスプレイなどの製造工程においては、ガラス製の基板の側部上面に設けられた端子部にTCP(Tape Carrier Package)を、μm単位の直径の金属粒子を含有する熱硬化性の樹脂によって形成された異方性導電テープを介して貼着する工程がある。
【0003】
すなわち、上記TCPを上記基板の側部上面の端子部に貼着する前に、基板の側部上面には所定の長さに切断された上記異方性導電テープが貼着される。異方性導電テープの一側面には、この異方性導電テープとでテープ状部材を形成する剥離テープが貼着されていて、この剥離テープとともに供給リールに巻装されている。
【0004】
基板の側部上面にTCPを異方性導電テープによって貼着する場合、まず、剥離テープとともに供給リールから繰り出された異方性導電テープを所定長さに切断する。このときの異方性導電テープの切断長さは、上記基板の側部上面に設けられた端子部に対応する長さに設定される。
【0005】
ついで、所定長さに切断された異方性導電テープは、その切断された部分が基板の端子部が設けられた一側部の上面に対向するよう上記供給リールから上記剥離テープとともに引き出されて位置決めされる。上記基板は水平方向に駆動されるステージ上に載置されていて、端子部が設けられた一側部がバックアップツール上に対向位置するよう位置決めされる。
【0006】
基板が位置決めされると、上記バックアップツールの上方に上下駆動可能に配置されたヒータを有する加圧ツールを下降させ、異方性導電テープの所定の長さに切断された部分を、上記基板に加圧加熱して貼着する。つまり、異方性導電部材は基板の一側部上面に仮圧着される。仮圧着された異方性導電テープには上記TCPが仮圧着されてから本圧着されることで、上記TCPが基板に固着されることになる。
【0007】
所定長さに切断された異方性導電テープを精度よく位置決めするためには、この異方性導電テープに所定の張力を与えるようにしている。異方性導電テープに張力を与える手段として従来はダンサローラが用いられていた。
【0008】
上記ダンサローラは上下動可能に設けられ、錘の重量によって上昇方向或いは下降方向に付勢されている。上記供給リールから繰り出されたテープ状部材は上記ダンサローラに係合される。それによって、上記テープ状部材には錘の重量がダンサローラを介して加わるから、その重量に応じた張力が付与されることになる。
【0009】
特許文献1には、ダンサローラによってテープ状部材に張力を与えるようにした装置が示されている。
しかしながら、ダンサローラを用いてテープ状部材に張力を与える場合、ダンサローラを上下動可能に設けたり、ダンサローラに錘の重量が加わるよう錘をダンサローラに中途部を滑車に係合させたワイヤを介して連結するなどの構造としなければならない。
【0010】
そのため、ダンサローラを用いてテープ状部材に張力を付与するための構造は複雑かつ大掛かりになるということがあるため、コストアップや装置の大型化を招くということがあった。
【0011】
そこで、ダンサローラに代わり、簡単な構造でテープ状部材に張力を与えることができるエアーダンサ構造が採用されている。エアーダンサ構造は一側面が開口したダンサケースを有する。ダンサケースには吸引ブロアなどの吸引手段が接続され、このダンサケース内を負圧にする。
【0012】
上記テープ状部材は上記ダンサケースの一側面から内部に吸引されて湾曲する。それによって、テープ状部材には吸引ブロアの吸引力に応じた張力が与えられることになる。特許文献2にはテープ状部材にダンサケースによって張力を与えることが示されている。
【0013】
ところで、供給リールに巻装されたテープ状部材の残量がわずかになった場合、その供給リールはテープ状部材が巻装された新たな供給リールに交換される。供給リールを交換する場合、テープ状部材を連続して供給できるようにするため、交換される供給リールに巻装された残りのテープ状部材を切断してその終端部に、つぎの供給リールに巻装された新たなテープ状部材の始端部を重合して接続するということが行われる。テープ状部材の接続は通常、超音波などによって自動的に行われる。
【特許文献1】特開2003−103499号公報
【特許文献2】特開平09−39929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
交換される供給リールに巻装された残りのテープ状部材を切断した終端部に、つぎの供給リールに巻装されたテープ状部材の始端部を重合して接続すると、その接続部分は他の部分よりも厚手になって柔軟性が低下する。
【0015】
そのため、テープ状部材がダンサケース内に吸引されるとき、その接続部分がケースの開口部や内部に引っ掛かって円滑に送ることができなくなったり、引っ掛かった状態で接続部が吸引ブロアによって吸引され続けること、接続部分が剥離するなどのことが生じる。
【0016】
上記ダンサケースの一側面の開口は、テープ状部材をダンサケース内に効率よく確実に吸引できるようにするため、テープ状部材の幅寸法よりもわずかに大きな幅寸法に形成されている。つまり、吸引ブロアの吸引力がテープ状部材に作用し易い寸法に設定されている。
【0017】
一方、交換される供給リールに巻装されたテープ状部材の終端部と、つぎの供給リールに巻装されたテープ状部材の始端部とを接続すると、その接続部分にずれが生じることがある。接続部分の2つのテープ状部材の端部にずれがあると、その部分の幅寸法がダンサケースの開口部の幅寸法よりも大きくなる。そのため、接続部がダンサケースの開口部に引掛かり易いということもある。
【0018】
この発明は、テープ状部材に2つのテープ状部材の端部を接続した接続部があるとき、その接続部がダンサケースの開口部などに引っ掛かって円滑に送ることができなくなるのを防止したテープ状部材の供給装置及び供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明は、テープ状部材を供給する供給装置であって、
上記テープ状部材の供給部と、
この供給部から供給されたテープ状部材を巻き取る巻き取り部と、
上記供給部と巻き取り部との間に設けられ上記テープ状部材を吸引して張力を与える張力付与手段を具備し、
上記張力付与手段は、
一側面が開口した箱型状のダンサケースと、
上記テープ状部材を上記開口部から上記ダンサケース内へ吸引する吸引手段と、
上記テープ状部材に2つのテープ状部材の端部を重ねて接続した接続部があるとき、その接続部が上記開口部を通過するときに上記吸引手段による吸引を停止して上記ダンサケース内に吸引されるのを阻止する制御手段と
によって構成されていることを特徴とするテープ状部材の供給装置にある。
【0020】
上記ダンサケースの開口部と対向する位置には、上記接続部が上記ダンサケースの開口部を通過して上記テープ状部材を上記吸引手段によって上記ダンサケース内に吸引するときに、上記テープ状部材を上記ダンサケース内へ湾曲するよう付勢する加圧空気を噴射する加圧手段が設けられていることが好ましい。
【0021】
上記ダンサケースには、このダンサケース内に吸引されたテープ状部材の湾曲量を検出する検出手段が設けられ、この検出手段の検出に基づいて上記テープ状部材が上記供給部から繰り出される単位時間当たりの供給長さを調整することが好ましい。
【0022】
上記テープ状部材は剥離テープに異方性導電テープが貼着されてなり、
上記供給部と巻き取り部との間には上記異方性導電テープを基板に圧着させる加圧部が設けられていることが好ましい。
【0023】
この発明は、テープ状部材を供給する供給方法であって、
供給部から供給された上記テープ状部材を巻き取り部で巻き取る工程と、
上記テープ状部材を上記供給部と巻き取り部との間でダンサケース内に吸引して湾曲させながら張力を与える工程と、
上記テープ状部材に2つのテープ状部材の端部を重ねて接続した接続部があるとき、その接続部を上記ダンサケース内に吸引せずに通過させる工程と
を具備したことを特徴とするテープ状部材の供給方法にある。
【0024】
上記テープ状部材の接続部が上記ダンサケースを通過してダンサケース内へ吸引するときに、このテープ状部材に加圧空気を噴射してダンサケース内へ付勢して湾曲させる工程を有することを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、テープ状部材に2つのテープ状部材の端部を重ねて接続した接続部があるとき、その接続部がダンサケースの開口部を通過するとき、ダンサケース内に吸引させないようにしたから、上記接続部がダンサケースの開口部や内部に引っ掛かるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1はこの発明の一実施の形態に係るテープ状部材の供給装置としての貼着装置を示し、この貼着装置は基板ステージ5を備えている。この基板ステージ5はベース6を有し、このベース6の上面にX駆動源6a、Y駆動源6b及びθ駆動源6cによってX、Y及びθ方向に駆動されるテーブル7が設けられている。
【0028】
上記テーブル7上には、液晶ディスプレイパネルからなる基板Wが供給されて真空吸着される。基板Wの上面の一側部には図3(b)に示すように複数の端子1aが所定間隔で形成された複数、この実施の形態では3つの端子部1が設けられている。
【0029】
上記基板Wの端子部1が設けられた側部上面には、後述するように3つの端子部1にわたる長さに切断された、両面粘着性の異方性導電テープ2が図3(a)に示すように貼着されるようになっている。上記異方性導電テープ2は金属粒子が混入された熱硬化性樹脂からなる。そして、各端子部1には、TCPなどの電子部品3が異方性導電テープ2を介して貼着される。
【0030】
図1に示すように、上記異方性導電テープ2は、この異方性導電テープ2とでテープ状部材4を構成する剥離テープ8に貼着されていて、供給部としての供給リール9に巻装されている。テープ状部材4は異方性導電テープ2を下方に向けて上記供給リール9から繰り出され、一対のガイドローラ11にガイドされて巻き取り部としての巻き取りリール12に巻き取られる。それによって、テープ状部材4は一対のガイドローラ11にガイドされた部分が上記テーブル7に載置された上記基板Wの端子部1の上方に平行に対向して走行するようになっている。
【0031】
上記テーブル7の上方にはヒータ13aを有する加圧部としての加圧ツール13が上下駆動機構14によって上下動可能に設けられている。上記テープ状部材4の異方性導電テープ2は、後述する切断ユニット23によって所定長さに切断され、その切断部分2aが上記加圧ツール13の下方に後述するように位置決めされる。
【0032】
異方性導電テープ2の切断部分2aが位置決めされると、上記加圧ツール13が下降して異方性導電テープ2の切断部分2aが上記基板Wの側辺部の端子部1が設けられた部分に仮圧着される。その後、上記剥離テープ8が図示しない離型ローラによって異方性導電テープ2から剥離され、その剥離テープ8だけが上記巻き取りリール12に巻き取られるようになっている。
【0033】
上記テープ状部材4の搬送は送り装置20によって行なわれる。この送り装置20は剥離テープ8を挟持可能に形成されたチャック21を有する。このチャック21は図示しないガイド体によって回転不能にガイドされ、サーボモータなどの送り駆動源22bによって回転駆動される駆動ねじ22aによって直線駆動されるようになっている。
【0034】
したがって、上記チャック21が剥離テープ8を挟持した状態で上記駆動ねじ22aを回転駆動し、このチャック21を図1に矢印Xで示す方向へ駆動すれば、上記剥離テープ8とともに異方性導電テープ2をX方向へ繰り出し、その切断部分2aを加圧ツール13の下方に位置決めできるようになっている。
【0035】
上記供給リール9は繰り出し駆動源15(図4に示す)によって回転駆動されてテープ状部材4を繰り出すようになっており、上記巻き取りリール12は巻き取り駆動源16によって回転駆動されて剥離テープ8を巻き取るようになっている。上記繰り出し駆動源15、巻き取り駆動源16及び送り駆動源22bは制御装置18によって後述するように駆動が制御される。
【0036】
上記異方性導電テープ2は基板Wよりも搬送方向上流側において、上記切断ユニット23によって所定の長さに切断される。この切断ユニット23は、カッタ24と剥離機構25から構成されている。
【0037】
上記カッタ24は、テープ状部材4が供給リール9から引き出されて水平に走行する部分の下方に先端を対向させて配置されていて、図示しない駆動機構によって上下方向に駆動可能となっている。上記剥離機構25は、上記カッタ24よりもテープ状部材4の走行方向下流側にテープ状部材4の下方に対向して配置されている。
【0038】
搬送されるテープ状部材4の上面側には、上記カッタ24と剥離機構25とに対向して保持ブロック26が配設されている。この保持ブロック26には、剥離テープ8を介して上記異方性導電テープ2の上面を押圧する押し出し部材27がスライド可能に設けられている。この押し出し部材27は図示せぬシリンダなどによって所定のタイミングで押圧される。
【0039】
上記押し出し部材27の下方には、テープ状部材4を介して剥離ヘッド28が対向して配置されている。この剥離ヘッド28はベース板29に取り付けられている。このベース板29には粘着テープ31が巻回された供給リール32が設けられ、この粘着テープ31は上記剥離ヘッド28の上面に沿って走行して巻取りリール33に巻き取られるようになっている。
【0040】
上記ベース板29は図示しないシリンダによって上下駆動される。ベース板29が上昇方向に駆動されると、押し出し部材27によって異方性導電テープ2の一対の切断線2bによって切断された箇所が押し下げられる。上記切断線2bは、上記カッタ24が上昇方向に駆動され、異方性導電テープ2の上記保持ブロック26の下面に対向する部分に突き当たることで形成される。なお、そのとき剥離テープ8は切断されない。
【0041】
それによって、異方性導電テープ2の上記カッタ24によって切断された部分2cが剥離ヘッド28の粘着テープ31に押し付けられるから、その部分2cが剥離テープ8から剥離される。つまり、異方性導電テープ2は、基板Wに貼着される所定長さの両端部分が上記カッタ24によって切断され、その切断部分2cが上記剥離機構25によって除去されてから、上記所定の長さに切断分離された部分2aが上記加圧ツール13によって基板Wの端子部1に貼着されることになる。
【0042】
上記供給リール9と切断ユニット23との間には、上記供給リール9から繰り出されたテープ状部材4に張力を付与する張力付与手段35が設けられている。この張力付与手段35はダンサケース36を有する。このダンサケース36は一側面が開口した扁平な箱型状に形成されていて、その開口部36aを横に向けるとともに長手方向と交差する方向を上下方向に沿わせて配置されている。つまり、ダンサケース36は横向きに配置されている。上記開口部36aの幅寸法は上記テープ状部材4の幅寸法よりもわずかに大きく設定されている。
【0043】
上記ダンサケース36の開口部36aと反対側の側面には吸引手段としての吸引ブロア37が設けられている。吸引ブロア37はダンサケース36内の気体を吸引して内部を負圧にする。
【0044】
上記供給リール9から繰り出されたテープ状部材4はガイドローラ38aにガイドされて上記ダンサケース36の開口部36aに対向して走行するようになっている。その状態で、上記吸引ブロア37を作動させてダンサケース36内を負圧すれば、上記テープ状部材4は上記吸引ブロア37の吸引力によってダンサケース36内に引き込まれて湾曲する。すなわち、テープ状部材4に吸引ブロア37の吸引力が作用することで、このテープ状部材4には上記吸引力に対応する張力が付与されることになる。
【0045】
上記ダンサケース36の開口部36aには,このダンサケース36内に引き込まれるテープ状部材4をガイドして円滑に湾曲させる一対のガイドローラ38bが設けられている。さらに、開口部36aと対向する部位には、吸引ブロア37の吸引力によってテープ状部材4をダンサケース36内へ引き込むときに、テープ状部材4をダンサケース36内へ付勢する加圧気体を噴射する加圧手段としての加圧ノズル39が配置されている。
【0046】
加圧ノズル39には開閉制御弁40を有する空気配管40aが接続されている。上記吸引ブロア37の発停と、上記開閉制御弁40の開閉は上記制御装置18によって制御される。
【0047】
図2に示すように、上記ダンサケース36には、この内部に吸引されて引き込まれたテープ状部材4の引き込み量を検出する第1乃至第5の検出センサ41〜45がダンサケース36の開口部36a側から閉塞端側に向かって所定の間隔で順次設けられている。第1乃至第5の検出センサ41〜45は、それぞれ上記ダンサケース36の上面と下面とに形成された開口部46に対向して設けられた投光器41a〜45aと受光器41b〜45bからなり、投光器からの光がテープ状部材4によって遮断されることで、ダンサケース36内に引き込まれたテープ状部材4の湾曲長さが検出される。
【0048】
第1乃至第5の検出センサ41〜45の検出信号はそれぞれ上記制御装置18に出力され、その検出信号に基づいて上記繰り出し駆動源15による供給リール9の回転速度が制御され、上記供給リール9からテープ状部材4が単位時間当たりに繰り出される長さが制御される。
【0049】
すなわち、ダンサケース36内に引き込まれて湾曲したテープ状部材4の位置が第3の検出センサ43と第4の検出センサ44との間にあるときが原点位置として制御装置18によって認識される。
【0050】
そして、テープ状部材4の湾曲長さが原点位置よりも増大するにつれて供給リール9の回転速度が順次減速されてテープ状部材4の単位時間当たりの繰り出し量が減少させられる。同様に、テープ状部材4の湾曲長さが原点位置よりも減少するにつれて供給リール9の回転速度が順次加速させられてテープ状部材4の単位時間当たりの繰り出し長さが増大させられる。
【0051】
それによって、ダンサケース36内に引き込まれるテープ状部材4の湾曲長さは、巻き取りリール12による巻き取り量の変化に係らず、ほぼ一定に維持されるようになっている。
【0052】
このような構成によれば、供給リール9から繰り出されたテープ状部材4は、張力付与手段35の吸引ブロア37の吸引力によってダンサケース36内に吸引されて引き込まれる。それによって、テープ状部材4には吸引ブロア37の吸引力に応じた張力が付与される。
【0053】
テープ状部材4に所定の張力が付与されることで、供給リール9と巻き取りリール12との間でテープ状部材4に弛みが生じるのが防止されるから、所定長さに切断された異方性導電テープ2の切断部分2aをテーブル7上の基板Wに対して精度よく位置決めして貼着することが可能となる。
【0054】
基板Wに対する異方性導電テープ2の貼着を繰り返して行うことで、供給リール9に巻装されたテープ状部材4の残りがわずかになったならば、この供給リール9、つまり使用中の供給リール9を新たな供給リール9に交換することになる。
【0055】
供給リール9を交換する場合、ダンサケース36内を負圧に吸引する吸引ブロア37の運転を停止し、図5(a)に示すように使用中の供給リール9に巻装されたテープ状部材4−1の終端部を切断し、その部分に新たな供給リール9に巻装されたテープ状部材4−2の始端部を重ねて合わせ、たとえば超音波などによってこれら2つのテープ状部材4−2,4−2を接続する。
【0056】
2つのテープ状部材4−1,4−2を接続したならば、図5(b)に示すように、これらテープ状部材4−1,4−2の接続部4aがダンサケース36の開口部36aを通過する間、吸引ブロア37を作動させずに、供給リール9を回転させてテープ状部材4−2を繰り出すとともに、巻き取りリール12を回転させて巻き取る。
【0057】
なお、図5(b)にLで示す2つのテープ状部材4−1,4−2の端部を接続した接続部4aが開口部36aを通過するまでのテープ状部材4の繰り出し長さは、2つのテープ状部材4の端部を接続する位置と、ダンサケース36の配置位置とによって予め算出しておくことができる。
【0058】
したがって、供給リール9から繰り出されるテープ状部材4−2の長さを、繰り出し駆動源15の回転数から算出すれば、その算出によって接続部4aがダンサケース36の開口部36aを通過したか否かを検出することができる。
【0059】
上記接続部4aがダンサケース36の開口部36aを通過したとを検出したならば、その時点で吸引ブロア37を作動させる。それと同時に、加圧ノズル39から加圧空気をテープ状部材4−2に向かって噴射させる。
【0060】
それによって、テープ状部材4−2は図5(c)に示すように吸引ブロア37の吸引力によってダンサケース36内へ引き込まれるとともに、加圧ノズル39からテープ状部材4−2に向かって噴射される加圧空気によってダンサケース36内へ湾曲する方向に付勢されるから、テープ状部材4はダンサケース36内へ確実に湾曲して吸引されることになる。
【0061】
すなわち、供給リール9に巻装されたテープ状部材4−1の残量がわずかになり、その供給リール9を新たな供給リール9に交換する場合、2つの供給リール9のテープ状部材4−1,4−2の端部を接続することで接続部4aが生じるが、その接続部4aをダンサケース36内に吸引することなくテープ状部材4−2を搬送するようにした。
【0062】
そのため、接続部4aがテープ状部材4−1,4−2の他の部分に比べて厚手となったり、接続時にずれることで幅寸法が他の部分よりも大きくなったりしても、その接続部4aがダンサケース36の開口部36aや内部に引っ掛かるのを確実に防止することができる。すなわち、供給リール9の交換時に2つのテープ状部材4−1,4−2を接続することで接続部4aが生じても、その接続部4aによってテープ状部材4−1,4−2の搬送が円滑に行われなくなるということがない。
【0063】
上記一実施の形態では接続部がダンサケースの開口部を通過したとき、テープ状部材をダンサケース内へ湾曲させるために吸引ブロアの吸引力と、加圧ノズルから噴射される活空気の付勢力とを利用したが、吸引ブロアの吸引力だけであっても、テープ状部材をダンサケース内へ湾曲させることは可能である。
また、テープ状部材の供給部としては供給リールに限られず、カセット方式であっても差し支えない。
【0064】
また、上記一実施の形態では張力付与手段を基板にTCPを異方性導電テープを介して圧着するアウタ・リード・ボンディング装置(OLB装置)に適用した場合について説明したが、基板にTCPの一端部を圧着してから、このTCPの他端部に回路基板を異方性導電テープによって貼着する場合、この異方性導電テープを供給する供給装置として用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明の一実施の形態を示すテープ状部材の貼着装置が概略的構成図。
【図2】ダンサケースを拡大して示す一部断面した側面図。
【図3】(a)はTCPが貼着された基板の説明図、(b)はTCPが貼着される前の基板の説明図。
【図4】制御系統を示すブロック図。
【図5】(a)〜(c)は2つのテープ状部材を接続するときの手順を示す説明図。
【符号の説明】
【0066】
4…テープ状部材、7…テーブル、9…供給リール(供給部)、12…巻き取りリール(巻き取り部)、13…加圧ツール(加圧部)、18…制御装置(制御手段)、35…張力付与手段、36…ダンサケース、37…吸引ブロア、39…加圧ノズル(加圧手段)、41〜45…検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状部材を供給する供給装置であって、
上記テープ状部材の供給部と、
この供給部から供給されたテープ状部材を巻き取る巻き取り部と、
上記供給部と巻き取り部との間に設けられ上記テープ状部材を吸引して張力を与える張力付与手段を具備し、
上記張力付与手段は、
一側面が開口した箱型状のダンサケースと、
上記テープ状部材を上記開口部から上記ダンサケース内へ吸引する吸引手段と、
上記テープ状部材に2つのテープ状部材の端部を重ねて接続した接続部があるとき、その接続部が上記開口部を通過するときに上記吸引手段による吸引を停止して上記ダンサケース内に吸引されるのを阻止する制御手段と
によって構成されていることを特徴とするテープ状部材の供給装置。
【請求項2】
上記ダンサケースの開口部と対向する位置には、上記接続部が上記ダンサケースの開口部を通過して上記テープ状部材を上記吸引手段によって上記ダンサケース内に吸引するときに、上記テープ状部材を上記ダンサケース内へ湾曲するよう付勢する加圧空気を噴射する加圧手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のテープ状部材の供給装置。
【請求項3】
上記ダンサケースには、このダンサケース内に吸引されたテープ状部材の湾曲量を検出する検出手段が設けられ、この検出手段の検出に基づいて上記テープ状部材が上記供給部から繰り出される単位時間当たりの供給長さを調整することを特徴とする請求項1記載のテープ状部材の供給装置。
【請求項4】
上記テープ状部材は剥離テープに異方性導電テープが貼着されてなり、
上記供給部と巻き取り部との間には上記異方性導電テープを基板に圧着させる加圧部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のテープ状部材の供給装置。
【請求項5】
テープ状部材を供給する供給方法であって、
供給部から供給された上記テープ状部材を巻き取り部で巻き取る工程と、
上記テープ状部材を上記供給部と巻き取り部との間でダンサケース内に吸引して湾曲させながら張力を与える工程と、
上記テープ状部材に2つのテープ状部材の端部を重ねて接続した接続部があるとき、その接続部を上記ダンサケース内に吸引せずに通過させる工程と
を具備したことを特徴とするテープ状部材の供給方法。
【請求項6】
上記テープ状部材の接続部が上記ダンサケースを通過してダンサケース内へ吸引するときに、このテープ状部材に加圧空気を噴射してダンサケース内へ付勢して湾曲させる工程を有することを特徴とする請求項5記載のテープ状部材の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−269474(P2007−269474A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99381(P2006−99381)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】