説明

ディスクドライブ装置

【課題】簡易な構成で蓋部材のロックおよび装置の誤動作を防止する。
【解決手段】ディスクドライブ装置は、筐体の媒体挿入口14を開閉する蓋部材16と、記録媒体を保持し、媒体挿入口を通して装填取出し位置と動作位置との間を移動可能に筐体に設けられた記録媒体保持体と、退避位置と駆動位置との間を移動可能に筐体に支持された媒体駆動部22と、記録媒体保持体および媒体駆動部を移動させる移動機構50と、を備えている。移動機構は、媒体駆動部と係合し媒体駆動部を移動させる摺動部材58と、駆動源と、媒体駆動部が駆動位置にある際、蓋部材と係合して蓋部材を閉塞位置にロックするロック部62と、蓋部材が開放位置に位置した状態で媒体駆動部が駆動位置に移動する際摺動部材の移動を規制する規制部と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク状の記録媒体に対して情報処理を行うディスクドライブ装置に関し、特に、記録媒体の挿入口を開閉する開閉部材を備えたディスクドライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスク状の記録媒体として、DVD−ROMに代表される再生専用タイプ、DVD−Rに代表される1回記録タイプ、ならびにコンピュータの外付けメモリや録再ビデオに利用可能なDVD−RAMおよびDVD−RWに代表される書き換え可能タイプ等の光ディスクが広く普及している。
【0003】
光ディスクに情報を記録し、または光ディスクから情報を再生する光ディスク装置は、ディスク挿入口を有した筐体と、光ディスクを支持し、筐体に対して光ディスクを装填および排出するディスクトレイと、を備えている。筐体内には、装填された光ディスクを支持および回転させるモータおよび光ディスクに対して情報を読み出し、書き込みを行う光ピックアップ等が配設されている。
【0004】
ディスクトレイは、ディスクを装填および取り出し可能な引出し位置と、筐体内に引き込まれディスクを駆動可能な駆動位置との間を移動可能に設けられている。ディスクトレイが駆動位置に引き込まれると、モータおよび光ピックアップが上昇してディスクをクランプする。
【0005】
筐体には、ディスク挿入口を開閉する蓋部材が設けられている。光ディスクおよびディスクトレイを筐体内の所定位置に装填した状態において、蓋部材は、閉じられてディスク挿入口を閉塞し、ロック機構によりロックされ不用意な開放が規制される。
【特許文献1】特開2003−242705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のディスクドライブ装置では、機構的不具合が生じた場合や使用者の誤操作により、蓋部材が開いている状態で光ディスクをクランプさせることが可能であり、ディスク挿入口を通してゴミ、粉等が筐体内に侵入し誤動作の原因となり得る。また、蓋部材が開いたままの状態で光ディスクをクランプしないようにするため、蓋部材の状態を検出する機構を別途設けることが考えられるが、この場合、部品点数が増大し装置の構成が複雑になるとともに製造コスト増加の要因となり得る。
【0007】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、簡易な構成で蓋部材のロックおよび装置の誤動作を防止し、構成の簡略化および製造コストの低減を図ることが可能なディスクドライブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の態様に係るディスクドライブ装置は、媒体挿入口を有する筐体と、媒体挿入口を閉塞する閉塞位置と媒体挿入口を開放する開放位置との間を移動可能に筐体に支持された蓋部材と、記録媒体を保持し、媒体挿入口を通して筐体外部に突出する装填取出し位置と、筐体内の所定位置で記録媒体を駆動可能な動作位置との間を移動可能に筐体に設けられた記録媒体保持体と、記録媒体を支持および回転するモータと、記録媒体に対して情報処理を行うヘッド部とを有し、記録媒体の装填および取り出しを許容する退避位置と、記録媒体を駆動する駆動位置との間を移動可能に筐体に支持された媒体駆動部と、記録媒体保持体を装填取出し位置と動作位置との間で移動させるとともに、記録媒体保持体が移動する間、媒体駆動部を退避位置に移動させ、記録媒体保持体が動作位置に移動した際、媒体駆動部を駆動位置に移動させる移動機構と、を備え、
移動機構は、媒体駆動部と係合し媒体駆動部を駆動位置と退避位置との間で移動させる摺動部材と、摺動部材を移動させる駆動源と、摺動部材に設けられ媒体駆動部が駆動位置にある際、蓋部材と係合して蓋部材を閉塞位置にロックするロック部と、蓋部材が開放位置に位置した状態で媒体駆動部が駆動位置に移動する際、摺動部材の移動を規制する規制部と、を有している。
【発明の効果】
【0009】
構成によれば、簡易な構成で蓋部材のロックおよび装置の誤動作を防止し、構成の簡略化および製造コストの低減を図ることが可能なディスクドライブ装置を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係るディスクドライブ装置について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る光ディスクドライブ装置の外観を示し、図2は、トップカバーを取り外して光ディスクドライブ装置の内部構造を示している。図3は、後述するディスクトレイを省略して光ディスクドライブの内部構造を示している。
【0011】
図1ないし図3に示すように、光ディスクドライブ装置は矩形箱状の筐体10を備え、この筐体は、上面が開口した矩形箱状のメインフレーム11およびメインフレームの上面、両側面を覆って設けられたトップカバー12を有している。メインフレーム11の長手方向一端部には、矩形状の開口からなるディスク挿入口14が形成されている。
【0012】
メインフレーム11内には、記録媒体として光ディスク8を保持し搬送するディスクトレイ20、光ディスクを支持および回転する昇降自在なディスク駆動部22、およびディスクトレイおよびディスク駆動を移動させる移動機構50が設けられている。メインフレーム11の底面には、制御部を構成する回路基板40が実装されている。
【0013】
記録媒体保持体として機能するディスクトレイ20はほぼ矩形板状に形成され、その一部には、光ディスク8に対するディスク駆動部22のアクセスを許容する窓部21が形成されている。ディスクトレイ20は、メインフレーム11内の所定位置に引き込まれた図2に示す作動位置と、ディスク挿入口14を通して筐体10の外部に突出する図4に示す装填取出し位置との間を直線的に移動可能に支持されている。作動位置において、ディスクトレイ20に保持された光ディスク8はディスク駆動部22によって駆動可能であり、装填取出し位置において、ディスクトレイ20に対して光ディスク8の装填および取出し出しが可能となる。
【0014】
ディスク挿入口14は、蓋部材として機能するフロントパネル16によって開閉される。フロントパネル16は、ディスク挿入口14に対応した寸法を有する矩形板状のパネル本体(蓋本体)16aと、パネル本体の長手方向両端部からほぼ直角に延出した一対の支持アーム(アーム部)16bと、を一体に備えている。支持アーム16bはメインフレーム11の側壁前端部に枢軸16cの周りで回動自在に支持されている。これにより、フロントパネル16は、ディスク挿入口を閉塞する閉塞位置とディスク挿入口を開放する開放位置との間を回動可能にメインフレーム11に支持されている。一方の支持アーム16bの延出端には、後述するカムスライダのロック部と係合可能なストッパ部16dが形成されている。支持アーム16bとメインフレーム11との間にねじりばね17が架設され、フロントパネル16はねじりばね17により閉塞位置に付勢されている。閉塞位置において、パネル本体16aはメインフレーム11の前端縁に押し当てられている。
【0015】
図4に示すように、ディスクトレイ20が作動位置から装填取り出し位置に移動されると、フロントパネル16はディスクトレイ20に押されて閉塞位置から開放位置に回動し、ディスクトレイの底面に当接した状態で開放位置に保持される。また、ディスクトレイ20が装填取り出し位置から作動位置に移動しメインフレーム11内に収納されると、フロントパネル16は、ねじりばね17の付勢力により閉塞位置へ回動される。
【0016】
図3、5、6に示すように、メインフレーム11には、ほぼU字形状のシャーシーマウント24が回動自在に取り付けられている。シャーシーマウント24には、ディスク駆動部22を支持する一対の支持ピン25および後述する移動機構50のスライドカムと係合する一対の係合ピン26が設けられている。
【0017】
ディスク駆動部22は矩形枠状の基台28を有している。この基台28は、その長手方向一端部が一対の第1ダンパ30aによりメインフレーム11に弾性的に支持され、長手方向他端部が一対の第2ダンパ30bによりシャーシーマウント24の支持ピン25に支持されている。これにより、基台28は、4つのダンパ30a、30bによって弾性的に支持され、ディスクトレイ20の窓部21と対向している。また、基台28は、第1ダンパ30aを支点として、図3に示す駆動位置と図6に示す退避位置との間をシャーシーマウント24と共に回動可能に、つまり、昇降可能に支持されている。基台28は、駆動位置において、ディスクトレイ20とほぼ平行に位置し、退避位置において、第2ダンパ30b側の端部がディスクトレイ20から下方に離間して位置する。
【0018】
基台28において第2ダンパ30b側の端部には、駆動源としてのスピンドルモータ32が取り付けられ、このスピンドルモータの回転軸には、光ディスク8を支持および所定の速度で回転するターンテーブル33が固定されている。基台28には、互いに平行に延びた一対のガイドレール34が取り付けられている。ディスク駆動部22は、光ディスク8に対して情報の書き込み、読み出しを行う光ピックアップ36を備え、この光ピックアップは一対のガイドレール34によりこれらのガイドレールに沿って移動可能に支持されている。光ディスク8からの情報の読み出しおよび情報の書き込み時、ヘッド部として機能する光ピックアップ36は、ターンテーブル33上に支持された光ディスクの表面と対向して位置し、ガイドレール34に沿って光ディスクの径方向に移動される。
【0019】
図3、5、7に示すように、ディスクトレイ20およびディスク駆動部22を移動させる移動機構50は、メインフレーム11に設けられディスクトレイ20の下方に位置している。移動機構50は、ローディングモータ51、ローディングモータの回転軸に圧入されたプーリー52、プーリーギア54、プーリー52とプーリーギア54に掛け渡された駆動ベルト53、中継ギア55、トレイギア56、カムスライダ58を備えている。ローディングモータ51の回転軸、プーリー52、プーリーギア54、中継ギア55、トレイギア56のそれぞれの回転軸は、ディスクトレイ20の表面と直交する方向に延びている。
【0020】
プーリーギア54は中継ギア55に歯合し、中継ギア55はトレイギア56に歯合している。トレイギア56は、ディスクトレイ20の裏面に形成された図示しないラックと歯合している。このラックは、ディスクトレイ20の移動方向に沿って延びている。
【0021】
図5ないし図7に示すように、摺動部材として機能するカムスライダ58は、ディスクトレイ20の移動方向Aと直行する方向Bに延びた細長いスライドロッド58aと、スライドロッドから垂直方向下方に延出しシャーシーマウント24と対向したカム板58bとを一体に有している。カムスライダ58は、ディスクトレイ20の移動方向Aと直行する移動方向Bに沿って移動可能にメインフレーム11に支持されている。
【0022】
スライドロッド58aの一端部には、トレイギア56と歯合可能なラック60が形成されている。そして、カムスライダ58は、トレイギア56により駆動され、ディスクトレイ20の移動に連動して移動方向Bに移動される。スライドロッド58aの他端はピン形状のロック部62を形成している。メインフレーム11の側壁には、ロック部62と対向して開口11aが形成されている。図3および図5に示すように、ロック部62は、フロントパネル16が閉塞位置に位置した状態で、開口11aを通ってメインフレーム11の外面から突出し、フロントパネル16の支持アーム16bに設けられたストッパ部16dと係合して支持アーム16bの回動を規制する。これにより、フロントパネル16はロック部62によって閉塞位置にロックされる。ロック部62の先端には係合凹所62aが形成されている。
【0023】
スライドロッド58aの中途部には、一対の押圧突起64a、64bが一体に突設され、移動方向Bに沿って互いに所定間隔離間している。これらの押圧突起64a、64bは、回路基板40上に実装されディスク駆動部30の昇降移動を検知する検出スイッチ70を切換える。カム板58bには、それぞれ斜めに傾斜して延びた一対のカム溝64が形成されている。これらのカム溝64には、シャーシーマウント24に突設された係合ピン26がそれぞれ係合している。
【0024】
移動機構50のローディングモータ51が駆動されると、プーリー52から駆動ベルト53を介してプーリーギア54、中継ギア55、トレイギア65へと動力が伝達され、カムスライダ58を移動方向Bに移動させる。カムスライダ58の移動に伴ない、カム溝64に沿ってシャーシーマウント24の係合ピン26が移動する。そして、シャーシーマウント24は、カムスライダの動作に連動して、第1ダンパ30aを支点に回動し、昇降動作を行なう。これにより、ディスク駆動部22もシャーシーマウント24と共に昇降動作を行なう。
【0025】
ディスクトレイ20はトレイギア56によって駆動され移動方向Aに沿って移動される。ディスクトレイ20によって装置内部に搬入された光ディスク8は、駆動位置に上昇したディスク駆動部22のターンテーブル33と、トップカバー12の内面に設けられた図示しないディスククランプ部材とによって挟まれ、回転自在に保持される。
【0026】
図8に示すように、メインフレーム11の底面に設けられた回路基板40は、CPU等からなり装置全体の動作を制御する制御部68、この制御部に接続されたイジェクトボタン61、検出部としての検出スイッチ70、ドライバ72、74等を備えている。ドライバ72、74はそれぞれディスク駆動部22のスピンドルモータ32、移動機構のローディングモータ51を駆動する。光ピックアップ36は制御部68によって動作が制御される。また、光ディスクドライブ装置は、この装置が組み込まれたDVDレコーダの操作部あるいはパーソナルコンピュータの操作部からの外部命令によって動作可能である。例えば、光ディスクを装填取り出しする際のディスクトレイ20の移動は、イジェクトボタン61に限らず、DVDレコーダあるいはパーソナルコンピュータからの外部命令によって起動される。
【0027】
上記のように構成された光ディスクドライブ装置に対して光ディスク8を装填あるいは取出しする場合、メインフレーム11の前面に設けられたイジェクトボタン61を押下すると、あるいは、光ディスク取り出しの外部命令により、ローディングモータ51が駆動され、カムスライダ58が図3および図5に示す第1位置から図7に示す第2位置に向かって移動される。カムスライダ58の移動に連動して、ディスク駆動部22が駆動位置から退避位置に下降する。また、カムスライダ58の移動により、スライドロッド58aのロック部62がロック位置からメインフレーム11の内側に引き込まれフロントパネル16のロックを解除する。カムスライダ58が第1位置から第2位置へ移動することにより、スライドロッド58aの押圧突起64bは検出スイッチ70の可動子を第1位置から第2位置へ切換える。これにより、制御部68はディスク駆動部22の駆動位置から退避位置へ移動を検知する。
【0028】
ディスク駆動部22が退避位置に移動した後、ローディングモータ51によりディスクトレイ20が図2に示す動作位置から図4に示す装填取出し位置に移動される。この間、フロントパネル16は、ディスクトレイ20に押されて閉塞位置から開放位置に回動し、ディスクトレイの底面に当接した状態で開放位置に保持される。この状態で、ディスクトレイ20に対して光ディスク8の装填あるいは取出しが可能となる。また、フロントパネル16が開放位置に移動することにより、ストッパ部16dはメインフレーム11の開口11aを塞いだ位置に移動し、カムスライダ58に形成されたロック部62の移動路上に位置する。これにより、ストッパ部16dは、カムスライダ58の第2位置から第1位置への移動を規制する。
【0029】
装填取出し位置に移動したディスクトレイ20に対して光ディスク8を載置し装填した後、光ディスク装填の外部命令が入力されると、ローディングモータ51が反転駆動され、ディスクトレイ20が装填取出し位置から動作位置に移動される。これにより、光ディスク8はディスクトレイ20と共にメインフレーム11内に引き込まれ、所定位置に保持される。また、ディスクトレイ20が動作位置に移動されると、フロントパネル16はなじりばね17により付勢され開放位置から閉塞位置へ回動される。フロントパネル16が閉塞位置へ移動することにより、フロントパネル16の一方の支持アーム16bに設けられたストッパ部16dは、メインフレーム11に形成された開口11aを塞いだ位置から離間し、開口11aを開放する。
【0030】
ディスクトレイ20が動作位置に移動した状態で、カムスライダ58が第2位置から第1位置に向かって移動される。カムスライダ58のロック部62はメインフレーム11の開口11aから突出し、フロントパネル16の支持アーム16bに設けられたストッパ部16dと係合することによりフロントパネル16を開放位置にロックする。これにより、光ディスク8の記録、再生中に使用者が手等でフロントパネル16を開くことを防止できる。
【0031】
カムスライダ58の移動に連動して、ディスク駆動部22が退避位置から駆動位置へ上昇する。これにより、ディスクトレイ20に載置されていた光ディスク8は、ディスク駆動部22のターンテーブル33と、トップカバー12の内面に設けられた図示しないディスククランプ部材とによって挟まれ、回転自在に保持される。
【0032】
カムスライダ58が第2位置から第1位置へ移動することにより、スライドロッド58aの押圧突起64aは検出スイッチ70の可動子を第2位置から第1位置へ切換える。これにより、制御部68はディスク駆動部22の退避位置から駆動位置への移動を検知し、ディスク駆動部の書き込み、読み出し動作を許容する。この状態で、スピンドルモータ32によってターンテーブル33および光ディスク8を所定の速度で回転し、光ピックアップ36により光ディスク8に対して情報の書き込みあるいは読み出しを行う。
【0033】
一方、ディスクトレイ20が装填取出し位置から動作位置へ移動する際、異物の挟み込みや使用者が手でフロントパネル16を保持するなどにより、フロントパネル16の閉塞位置への移動動作が妨げられた場合、ディスクトレイ20は装置内部の動作位置に入り、また、カムスライダ58がディスク駆動部22を駆動位置へ上昇させるために移動する。しかし、図9に示すように、フロントパネル16が閉じていない状態において、メインフレーム11の開口11aは支持アーム16bのストッパ部16dによって塞がれている。そのため、カムスライダ58は、そのロック部62が支持アーム16bのストッパ部16dに当接し移動が妨げられ、第1位置への移動が規制される。このため光ディスクのクランプ動作が完了しない。また、カムスライダ58が完全に第1位置まで移動しないため、検出スイッチも第2位置と第1位置との中途部に位置し、第1位置に切換えられない。制御部68は、光ディスク装填の外部命令が入力されてから、あるいは、イジェクトボタン61が押下されてから、所定時間経過後までに検出スイッチ70が第1位置に切換えられない場合、ディスクドライブ装置に異常が生じたと判断し、ディスクトレイ20を装填取出し位置へ戻すためにローディングモータ51を逆方向に回転させ、またはその場でローディングモータを停止する。これにより、制御部68は、フロントパネル16が開いたままの状態で光ディスク8の再生・記録が行われることを防止する。この際、制御部68により図示しない警告灯を点滅、あるいは、警告音を発信する構成としてもよい。
【0034】
図1に示すように、メインフレーム11の外側を覆ったトップカバー12の一方の側壁12aにおいて、カムスライダ58のロック部62と対向する位置には解除孔66が形成されている。また、前述したように、ロック部62の延出端には、このロック部を外部から押し易くするための係合凹所62aが形成されている。光ディスククランプ状態において、解除孔66にピン等を挿入してカムスライダ58のロック部62を押圧し、カムスライダを第1位置から第2位置へ移動させることにより、シャーシーマウント24およびディスク駆動部22を駆動位置から退避位置へ降下させ、手動で光ディスク8をアンクランプすることができる。そのため、何らかの異常によりローディングモータ51の動力ではアンクランプできない場合や電源が供給されていない場合でも、光ディスク8をアンクランプさせイジェクトすることが可能となる。
【0035】
以上のように構成された光ディスクドライブ装置によれば、ディスク駆動部を昇降させるためのカムスライダにロック部を設け、フロントパネルにストッパ部を設けることにより、別途部品を追加することなく、防塵、安全のためにフロントパネルをロックすることができる。また、フロントパネルが開いたままの状態で光ディスクの再生・記録することを防止することが出来る。更に、カムスライダのロック部を筐体の外部から押すことにより、手動で光ディスクをアンクランプすることができる。従って、簡易な構成で蓋部材のロックおよび装置の誤動作を防止し、構成の簡略化および製造コストの低減を図ることが可能なディスクドライブ装置が得られる。
【0036】
なお、本発明は実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0037】
例えば、カムスライダのロック部はフロントパネルの支持アームに設けられたストッパ部と係合してロックする構成としたが、これに限らず、ロック部はフロントパネルの他の部分と係合する構成としてもよい。ディスク駆動部の駆動位置と退避位置との間の移動を検出する検出スイッチは、可動子を有した機械的スイッチに限らず、フォトセンサ等の他のスイッチ、センサを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、この発明の実施形態に係る光ディスクドライブ装置の外観を示す斜視図。
【図2】図2は、ディスクトレイが動作位置に移動した状態において、トップカバーを取り外して光ディスクドライブ装置の内部構造を示す斜視図。
【図3】図3は、ディスクトレイを取り外した状態における光ディスクドライブ装置の内部構造を示す斜視図。
【図4】図4は、ディスクトレイが装填取出し位置に移動した状態において、トップカバーを取り外して光ディスクドライブ装置の内部構造を示す斜視図。
【図5】図5は、光ディスクドライブ装置において、フロントパネルが閉塞位置に移動した状態における移動機構、カムスライダ、マウントシャーシを示す斜視図。
【図6】図6は、カムスライダを拡大して示す斜視図。
【図7】図7は、光ディスクドライブ装置において、フロントパネルが開放位置に移動した状態における移動機構、カムスライダ、シャーシーマウント、ディスク駆動部を示す斜視図。
【図8】図8は、光ディスクドライブ装置の制御系を概略的に示すブロック図。
【図9】図9は、光ディスクドライブ装置において、フロントパネルが開放された状態でマウントシャーシが駆動位置に移動した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0039】
8…光ディスク、10…筐体、11…メインフレーム、12…トップカバー、
16…フロントパネル、16a…パネル本体、16b…支持アーム、
16d…ストッパ部、20…ディスクトレイ、22…ディスク駆動部、
24…シャーシーマウント、33…スピンドルモータ、36…光ピックアップ、
50…移動機構、51…ローディングモータ、58…カムスライダ、62…ロック部、
64…解除孔、64a、64b…押圧突起、70…検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体挿入口を有する筐体と、
媒体挿入口を閉塞する閉塞位置と媒体挿入口を開放する開放位置との間を移動可能に筐体に支持された蓋部材と、
記録媒体を保持し、媒体挿入口を通して筐体外部に突出する装填取出し位置と、筐体内の所定位置で記録媒体を駆動可能な動作位置との間を移動可能に筐体に設けられた記録媒体保持体と、
記録媒体を支持および回転するモータと、記録媒体に対して情報処理を行うヘッド部とを有し、記録媒体の装填および取り出しを許容する退避位置と、記録媒体を駆動する駆動位置との間を移動可能に筐体に支持された媒体駆動部と、
記録媒体保持体を装填取出し位置と動作位置との間で移動させるとともに、記録媒体保持体が移動する間、媒体駆動部を退避位置に移動させ、記録媒体保持体が動作位置に移動した際、媒体駆動部を駆動位置に移動させる移動機構と、を備え、
移動機構は、媒体駆動部と係合し媒体駆動部を駆動位置と退避位置との間で移動させる摺動部材と、摺動部材を移動させる駆動源と、摺動部材に設けられ媒体駆動部が駆動位置にある際、蓋部材と係合して蓋部材を閉塞位置にロックするロック部と、蓋部材が開放位置に位置した状態で媒体駆動部が駆動位置に移動する際、摺動部材の移動を規制する規制部と、を有しているディスクドライブ装置。
【請求項2】
蓋部材は、筐体の媒体挿入口と対向する蓋本体と、蓋本体から延出し筐体に移動自在に支持されたアーム部と、アーム部に形成されたストッパ部とを有し、摺動部材は、媒体駆動部を駆動位置に移動させる第1位置と、媒体駆動部を退避位置に移動させる第2位置との間を移動可能に設けられ、
ロック部は、摺動部材が第1位置に移動した際にストッパ部と係合してアーム部の移動を規制する請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項3】
蓋部材が開放位置に移動した状態において、ストッパ部は摺動部材の移動路上に位置し、摺動部材の第2位置から第1位置への移動を規制する位置に設けられている請求項2に記載のディスクドライブ装置。
【請求項4】
摺動部材の第1位置および第2位置への移動を検出する検出部と、摺動部材が第2位置から第1位置への移動を開始した後、所定時間経過後に検出部により摺動部材の第1位置への移動が検出されない場合、移動機構により摺動部材を第2位置へ戻す制御部を備えている請求項3に記載のディスクドライブ装置。
【請求項5】
摺動部材は、検出部と係合可能に設けられ摺動部材の第1位置と第2位置との間の移動に連動して検出部を切換える突起部を備えている請求項4に記載のディスクドライブ装置。
【請求項6】
筐体は移動機構を覆ったカバーを有し、カバーは、ロック部と対向して形成され筐体外部から摺動部材を媒体駆動部が退避位置に移動する位置へ押圧可能とする解除孔を有している請求項1ないし5のいずれか1項に記載のディスクドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−287283(P2007−287283A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116061(P2006−116061)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】