説明

ディスクローディング装置

【課題】 簡単な構成で、筺体を大型化せずにコスト低減を行い、しかもトレイの位置決め精度が確保されるディスクローディング装置を提供する。
【解決手段】 第2トレイ7の後部端部に設けられた略L字形の溝部7oと、トレイホルダー8(不図示)内にあって記録媒体再生手段を回動可能なメカホルダー昇降部材23と、メカホルダー昇降部材23により回動させられるトレイ引き込み部材24とから構成される位置ロック手段を用いる。ここでは、トレイホルダー8に第2トレイ7が挿入されて、メカホルダー昇降部材23の動作により、トレイ引き込み部材24の引き込み部24dが、第2トレイ7の後部端部に設けられた略L字形の溝部7oを押圧することで、ターンテーブルが、ディスクの穴に嵌合する以前に位置決めが行われ、ディスクの装着を確実にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクや光磁気ディスクのような情報記録媒体としてのディスクを、ディスク再生装置にローディングするディスクローディング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ディスクや光磁気ディスクのような情報記録媒体としてのディスクの普及に伴い、複数のディスクをまとめて容易に取り扱うために、これら複数のディスクを一度に収納し、これらのディスクの中から選択的に再生を行うディスクローディング装置が提案されている。このようなディスクローディング装置においては、或るディスクを再生又は記録中に、再生又は記録に関わらない他のディスクを出し入れしたり、或いは交換したりできることが利便性の上で重要であり、このようなディスクローディング装置が求められてきた。
【0003】
そこで、このような要求を満たすディスクローディング装置が、特許文献1に開示されている。このディスクローディング装置は、筺体外部でのディスク着脱を可能にする着脱位置と、筺体内部でディスクを収納する収納位置と、この収納位置よりさらに筺体奥部でディスクを再生する再生位置との間で、ディスクを往復移動させるディスクローディング装置である。
【0004】
そして、ディスクを載置しながら上記3位置間を移動自在に設けられる第1トレイと、着脱位置と収納位置との間で第1トレイを支持しながら移動自在に設けられる第2トレイと、第1トレイを上記3位置間で往復移動するように駆動するトレイ駆動手段と、第2トレイを第1トレイに保持させる保持部材と、第1トレイが収納位置から再生位置に移動する際、保持部材による保持を解除する保持解除手段とを備えている。
【0005】
また、筺体側壁には、トレイ位置検出機構である回動可能な4個のスイッチレバーと、スイッチレバーに操作される4個のトレイ位置検出スイッチとが備えられている。そして第1トレイ,及び第2トレイの側面には、スイッチレバーと当接する凹凸面が形成されている。
【0006】
着脱位置と収納位置との間での位置検出は、第2トレイの側面に設けられた凹凸面に当接している2個のスイッチレバーを介して、2個のスイッチで行われる。また、収納位置と再生位置との間での位置検出は、第1トレイの側面に設けられた凹凸面に当接しているもう一方の2個のスイッチレバーを介して、もう一方の2個のスイッチで行われる。これにより、トレイの駆動と停止を行っている。
【特許文献1】特開平10−162478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているようなトレイ位置検出機構の構成では、スイッチレバーの配置分だけ装置の左右方向が大きくなり、装置全体の大型化を招くとともに、製造コストの上昇をもたらせていた。このような不都合を解消するために、トレイレバーを廃止して、モーターからトレイへの駆動連結部分の途中にカムギヤ等を設け、これによりスイッチを操作させ、トレイ位置検出を行う構成にすれば、カムギヤ,スイッチを装置底部に配置することができるので、装置の小型化が図れる。
【0008】
ところが、駆動連結部分途中のカムギヤ等によりスイッチを操作させて、トレイの駆動を停止させた場合、上記スイッチレバーによる位置検出のように、移動しているトレイを直接検知していないため、トレイの停止位置がばらつくという問題がおこる。これは、カムギヤからトレイまでの駆動連結部分において、歯車精度のバラツキによるバックラッシュの変化や、筺体のバラツキによる歯車軸間距離や回転軸隙間の変化により、スイッチを操作しているカムギヤの回転位置と、トレイの位置関係がばらつくためである。
【0009】
加えて、再生位置において、上記バラツキにより第1トレイの移動距離が少なくなり、第1トレイ上に載置されたディスクを、再生機構ユニットのターンテーブルで挟持できなくなる問題がおこる。これに対し、各部品の精度を限りなく高めることが考えられるが、部品が温度による影響を受けること等もあり、その実現は非常に難しく、また、大幅なコストの上昇につながる。
【0010】
本発明は、以上のような問題点に鑑み、簡単な構成で、筺体を大型化せずにコスト低減を行い、しかもトレイの位置決め精度が確保されるディスクローディング装置を提供することを目的としている。なお、背景技術に記載している第1トレイ,第2トレイと、以下に記載している本発明における第1トレイ,第2トレイとは、上下位置が逆の異なる構成部品を指している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、ディスクが脱着可能な第1位置と、ディスクを収納して待機する第2位置と、ディスクが再生可能な第3位置との間を移動可能なトレイユニットを有し、前記トレイユニットは、前記第1位置と前記第2位置との間を移動可能な第1トレイと、前記第1トレイに重畳して設けられ、前記第1トレイが前記第2位置にあるとき前記第2位置と前記第3位置との間を移動可能な第2トレイとを備え、前記第1トレイ及び前記第2トレイを駆動するトレイ駆動ユニットを設けたディスクローディング装置において、
ディスクを再生するディスク再生手段と、そのディスク再生手段を上下動或いは回動せしめるディスク再生手段移動手段と、前記第2トレイの位置を保持する第2トレイ位置ロック手段とを設け、
前記第2トレイによってディスクを前記第3位置に搬送した後、前記ディスク再生手段移動手段が作動して前記ディスク再生手段に前記ディスクを装着する前に、前記第2トレイ位置ロック手段で前記第2トレイの位置を保持するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、前記第2トレイ位置ロック手段は、前記第2トレイによってディスクを前記第3位置に搬送した後にその第2トレイを更に装置奥側に引き込むトレイ引き込み部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成で、筺体を大型化せずにコスト低減を行い、しかもトレイの位置決め精度が確保されるディスクローディング装置を提供することができる。
【0014】
後述するように、第2トレイ7が第2位置から第3位置に移動する場合に、トレイ駆動カム30から第3トレイ駆動カムギヤ53→中間ギヤ54→中間ギヤ55→中間ギヤ56→中間ギヤ9→第2トレイ駆動ギヤ11と駆動力が伝達され、第2トレイ7を駆動している。このため、歯車部品精度のバラツキによるバックラッシュの変化や、筺体1のバラツキによる歯車軸間距離や回転軸隙間等の影響を受けて、第2トレイ7の移動距離が少なくなり、第2トレイ7上に載置されたディスクを再生するためにディスク押さえとターンテーブルとで挟持することができなくなるという問題がある。
【0015】
この対策として、各部品の精度を限りなく高めれば、問題解決可能であるが、部品の多くが成型品であり、温度の影響も受けるために、その実現は非常に難しく、また大幅なコストアップとなる。
【0016】
そこで本発明では、ディスクを再生するディスク再生手段を上下動或いは回動せしめるディスク再生手段移動手段(実施例ではメカホルダー昇降部材23)の駆動源と共通の駆動源によって駆動される、第2トレイ位置ロック手段(実施例ではトレイ引き込み部材24等)を設けた構成としている。そして、前記第2トレイ7によってディスクを第3位置に搬送した後、前記ディスク再生手段移動手段が作動して、前記ディスク押さえと前記ターンテーブルが前記ディスクを挟持する(即ちディスク再生手段にディスクを装着する)前に、この第2トレイ位置ロック手段で前記第2トレイ7の位置を保持するようにしている。これにより、ディスクが第3位置において確実に位置決めされる。
【0017】
また、第2トレイ位置ロック手段を以下のように構成する。即ち、第2トレイ7の後部端部に略L字形の溝部7oを設け、トレイホルダー8内にあってディスク再生手段を回動可能なメカホルダー昇降部材23と、メカホルダー昇降部材23により回動させられるトレイ引き込み部材24を備え、トレイホルダー8に第2トレイ7が挿入されて、メカホルダー昇降部材23の動作によりトレイ引き込み部材24の引き込み部24dが、前記第2トレイ7の後部端部に設けられた略L字形の溝部7oを押圧する構成としている。これにより、第2トレイ7の第3位置への移動不足を補正する安価で確実な機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1に係るディスクローディング装置の外観を示す斜視図であり、図2はその一内部構造を示す分解斜視図である。これらの図に示すように、本実施例のディスクローディング装置は、略箱状の筐体1を備えている。筐体1の前部には、重畳している第1トレイ6及び第2トレイ7が、複数組重畳して収納される収納部3が設けられている。
【0020】
収納部3は、筐体1の前部右側面部1Rと、筐体1の前部左側面に装着された枠状の第1トレイ収納部4と、筐体1の中部左側面に装着された枠状の第2トレイ収納部5とにより構成されている。また、筐体1の後部には、トレイ重畳方向に移動可能なトレイホルダー8が配置され、ディスク再生機構ユニット22を搭載している。そして、筐体1の上部には、上部カバー2が装着されている。
【0021】
図3は、収納部及びトレイ駆動選択に関連する部分の構成を示す分解斜視図であり、左前側より見た図である。図4は、第1トレイ収納部及び第2トレイ収納部に関連する部分の構成を示す拡大分解斜視図であり、左前側より見た図である。図5は、収納部及びトレイ駆動選択に関連する部分の構成を示す分解斜視図であり、右前側より見た図である。各図に示すように、収納部3には、装置内に収納可能なディスクの枚数、即ち重畳される第1トレイ6,第2トレイ7の組数(ここでは5組)に応じた段数を持つように、装置左側にトレイガイド部4a,5aが設けられている。
【0022】
装置右側には、図3に示すように、筺体1の前部右側面部1Rの内壁より内側へと、断面が略L字状をした長板状のトレイガイド部1aが各段に突設し、またトレイガイド部1a最上段の上側には、長板状のトレイガイド部1bが、トレイガイド部1aと同様に、前部右側面部1Rの内壁より内側へと突設している。また、装置左側には、図5に示すように、第1トレイ収納部4及び第2トレイ収納部5の各内壁より内側へと、断面が略L字状をした長板状のトレイガイド部4a,5aが各段に突設し、またトレイガイド部4a,5a最上段の上側には、長板状のトレイガイド部4b,5bが、第1トレイ収納部4及び第2トレイ収納部5の各内壁より内側へと突設している。
【0023】
また、図4(a),(b)それぞれに示すように、第1トレイ収納部4の外壁、及び第2トレイ収納部5の外壁には、それぞれ中間ギヤ9が回転自在に取り付けられている。そして、同図(a)に示すように、第1トレイ6,第2トレイ7を駆動する第1トレイ駆動ギヤ10は、中央の穴部10aに中間ギヤ9の長軸部9aを嵌入され、トレイ重畳方向に摺動自在に取り付けられている。同様に、同図(b)に示すように、第2トレイ7を駆動する第2トレイ駆動ギヤ11は、中央の穴部11aに中間ギヤ9の長軸部9aを嵌入され、トレイ重畳方向に摺動自在に取り付けられている。
【0024】
中間ギヤ9は、上下に延びる長軸部9aを有しており、その外周の長手方向に溝部9b,9cが設けられている。溝部9bは断面が略U字状を成し、溝部9cは断面が略V字状を成し、各溝部9b,9cは長軸部9aの略対角上に位置している。そして、長軸部9aの下端には、長軸部9aと同心のギヤ部9dが設けられ、また長軸部9aの上端には、長軸部9aと同心の略半円弧状を成す2個の回転支点部9eが、略対角上に設けられている。
【0025】
第1トレイ収納部4の外壁上面には穴部4cが設けられ、外壁下面には穴部4cと同心上に位置する穴部4dが設けられている。同様に、第2トレイ収納部5の外壁上面には穴部5cが設けられ、外壁下面には穴部5cと同心上に位置する円弧部5dが設けられている。第1トレイ収納部4には、中間ギヤ9の長軸9aが穴部4dに嵌入し、且つ回転支点部9eが穴部4cに嵌入することにより、第1トレイ収納部4の外壁に中間ギヤ9が回転自在に取り付けられている。同様に、第2トレイ収納部5には、中間ギヤ9の長軸9aが円弧部5dに嵌入し、且つ回転支点部9eが穴部5cに嵌入することにより、第2トレイ収納部5の外壁に中間ギヤ9が回転自在に取り付けられている。
【0026】
第1トレイ駆動ギヤ10の穴部10a内周には、中間ギヤ9の溝部9bに嵌入する略U字状の凸部10b、及び中間ギヤ9の溝部9cに嵌入する略V字状の凸部10cが、それぞれ内側へ突設している。また、第1トレイ駆動ギヤ10外周の歯部10dには、歯巾の略上半分を歯底より径の小さい位置まで削り取った欠歯部10eと、歯巾の略下側半分を歯底より径の小さい位置まで削り取った欠歯部10fが形成されている。
【0027】
なお、歯部10dは、第1トレイ6のラック6e(後述)と第2トレイ7のラック7j(後述)とに、第1トレイ6,第2トレイ7が重畳した状態で噛み合える歯巾で形成されている。そして、第1トレイ駆動ギヤ10は、その凸部10b及び凸部10cが中間ギヤ9の溝部9b及び9cと係合することにより、回転方向に規制を受けつつ、第1トレイ収納部4外壁内で、中間ギヤ9の長軸部9aの長手方向に摺動自在に取り付けられている。
【0028】
同様に、第2トレイ駆動ギヤ11の穴部11a内周には、中間ギヤ9の溝部9bに嵌入する略U字状の凸部11b、及び中間ギヤ9の溝部9cに嵌入する略V字状の凸部11cが、それぞれ内側へ突設している。また、第2トレイ駆動ギヤ11外周の歯部11dには、歯巾の略上半分を歯底より径の小さい位置まで削り取った欠歯部11eと、歯巾の略下半分を歯底より径の小さい位置まで削り取った欠歯部11fが形成されている。
【0029】
なお、歯部11dは、第1トレイ6のラック6e(後述)と第2トレイ7のラック7j(後述)とに、第1トレイ6,第2トレイ7が重畳した状態で噛み合える歯巾で形成されている。そして、第2トレイ駆動ギヤ11は、その凸部11b及び凸部11cが中間ギヤ9の溝部9b及び9cと係合することにより、回転方向に規制を受けつつ、第2トレイ収納部5外壁内で、中間ギヤ9の長軸部9aの長手方向に摺動自在に取り付けられている。
【0030】
図5に示すように、第1ギヤカバー12は、第1トレイ駆動ギヤ10(図2参照)を保持する、略コの字の断面を持つ半円柱状であるギヤ保持部12aを、一端に有している。ギヤ保持部12aの上面及び下面には、第1トレイ駆動ギヤ10の回転軸となる中間ギヤ9の長軸部9aとの径方向の接触を避けるため、U字状の切り欠き部12bが設けられている。
【0031】
また、第1ギヤカバー12の中央部付近には、上下2箇所に向い合った二つのコの字形状からなるガイド部12c,12dが設けられている。ガイド部12c,12dは、図3に示した筺体1の前部左側面の外壁より外側へと突設する、断面が略T字状をした長板状のガイド部1c,1dと係合する。これにより、第1ギヤカバー12は、上記筺体1の前部左側面外壁で、装置上下方向に摺動自在に取り付けられる。
【0032】
また、第1ギヤカバー12の他端には、ガイド部12c,12dと反対側面(装置外側の面)に装置外側へ突設したガイド軸12e(図3に図示)が形成されている。ガイド軸12eは、後述するカム板15に設けられたカム溝15cに嵌入され、カム板15の摺動により、カム溝15cに沿って、第1ギヤカバー12及びこれに保持されている第1トレイ駆動ギヤ10を昇降させ、所定の各段まで移動させる。
【0033】
同様にして、図5に示すように、第2ギヤカバー13は、第2トレイ駆動ギヤ11(図2参照)を保持する、略コの字の断面を持つ半円柱状であるギヤ保持部13aを、一端に有している。ギヤ保持部13aの上面及び下面には、第2トレイ駆動ギヤ11の回転軸となる中間ギヤ9の長軸部9aとの径方向の接触を避けるため、U字状の切り欠き部13bが設けられている。
【0034】
また、第2ギヤカバー13の中央部付近には、上下2箇所に向い合った二つのコの字形状からなるガイド部13c,13dが設けられている。ガイド部13c,13dは、図3に示した筺体1の中部左側面の外壁より外側へと突設する、断面が略T字状をした長板状のガイド部1e,1fと係合する。これにより、第2ギヤカバー13は、上記筺体1の中部左側面外壁で、装置上下方向に摺動自在に取り付けられる。
【0035】
また、第2ギヤカバー13の他端には、ガイド部13c,13dと反対側面(装置外側の面)に装置外側へ突設したガイド軸13e(図3に図示)が形成されている。ガイド軸13eは、後述するカム板15に設けられたカム溝15dに嵌入され、カム板15の摺動により、カム溝15dに沿って、第2ギヤカバー13及びこれにより保持されている第2トレイ駆動ギヤ11を昇降させ、所定の各段まで移動させる。
【0036】
図3に示すように、筺体1の左側面外壁中央部付近には、装置上下方向に略円柱状のガイド軸1gが形成されている。また、ガイド軸1gより装置前方には、長板状のロック部材ガイド1hが、筺体1外壁より外側へと突設し、ガイド軸1gより装置後方には、小判形状のロック部材ガイド1iが、筺体1の外壁より外側へと突設している。上記突設しているロック部材ガイド1h間の筺体1外壁には、のぞき穴1jが形成されている。
【0037】
そして、各段に収納される上記第1トレイ6,第2トレイ7の組にそれぞれ対応したトレイロック部材14は、略半円柱状の回動中心穴14aをガイド軸1gに嵌入され、トレイロック部材の前部14bがロック部材ガイド1h間に係合し、且つトレイロック部材の後部14cがロック部材ガイド1i間に係合されることにより、筺体1の左側面外壁に、装置平面方向に回動自在に取り付けられている。
【0038】
トレイロック部材14の前部14bには、装置内側方向の面にロック部14d(図5に図示)が突設されており、上記のぞき穴1jを介して、第1トレイ6,第2トレイ7の各組のロックを行う。また、前部14b,後部14cには、装置外側方向の面に各々ガイド部14e,ガイド部14fが突設され、カム板15に設けられたカム凹凸部15e(図5に図示)に当接している。これにより、カム板15が摺動することによって、上記カム凹凸部15eはガイド部14e,14fを所定の順序で押し、トレイロック部材14を回動させ、ロック動作と解除動作を行う。詳しくは後述する。
【0039】
また、図3に示すように、筺体1の左側面外壁の上面より下方へと、長板状のガイド部1kが突設し、筺体1の左側面外壁の下面より上方へと、長板状のガイド部1Lが突設している。そして、カム板15は、その上部に設けられた長板状の凸部15aと筺体1ガイド部1kとが係合し、カム板下面部15bと筺体1ガイド部1Lとが係合することにより、筺体1の左側面外壁部で装置前後方向に摺動自在に取り付けられている。またカム板15には、図5に示すように、装置内側方向の面に、上述した第1ギヤカバー12,第2ギヤカバー13の昇降移動を操作するカム溝15c,15d、及びトレイロック部材14の回動を操作するカム凹凸部15e,ラック15fが形成されている。詳しくは後述する。
【0040】
ところで、図2に示したように、第1トレイ6と第2トレイ7は、重畳された状態で1組のトレイを成し、略平行に複数組重畳し、装置の前後方向に摺動自在に取り付けられている。図6は、上記1組のトレイユニット(第1トレイ6と第2トレイ7)の移動位置を示す斜視図である。図6(a)は、ディスク着脱可能位置を示す。このとき、第1トレイ6,第2トレイ7は共に、装置外部前方の着脱位置T1に位置し、ディスクの着脱を行う。
【0041】
図6(b)は、ディスク収納位置を示す。このとき、第1トレイ6,第2トレイ7は共に、装置前部の収納位置T2に位置する。図6(c)は、ディスク再生可能位置を示す。このとき、第1トレイ6は装置前部の収納位置T2に位置保持され、第2トレイ7は装置後部の再生可能位置T3へと移動している。上記のように、第1トレイ6は着脱位置T1と収納位置T2との間で移動し、第2トレイ7は着脱位置T1,収納位置T2,及び再生位置T3の間で移動する。詳しくは後述する。
【0042】
図7は、本実施例のディスクローディング装置に装着される、2種類のディスクを示す平面図である。図7(a)及び(b)には、それぞれ情報記録媒体としてのディスク16及び17を示している。ディスク16は、外径Dで示される大径のディスクであり、その中央に、後述する再生機構ユニット22のターンテーブル22bと嵌合する、穴16aを有している。また、ディスク17は、外径dで示される小径のディスクであり、その中央に、後述する再生機構ユニット22のターンテーブル22bと嵌合する、穴17aを有している。
【0043】
図8は、第2トレイ7を示す斜視図である。図8(a)はトレイ表面(装置上方向の面)側から見た斜視図であり、図8(b)はトレイ裏面(装置下方向の面)側から見た斜視図である。図9は、第1トレイ6を示す斜視図である。図9(a)はトレイ表面(装置上方向の面)側から見た斜視図であり、図9(b)はトレイ裏面(装置下方向の面)側から見た斜視図である。
【0044】
図10は、第1,第2トレイの組み合わせ状態及びガイド構成を示す図である。図10(a)は、第1トレイ6と第2トレイ7の組み合わせ状態を示す斜視図である。また図10(b)は、第1トレイ6と第2トレイ7の組の左側略中央部の断面aaを示し、図10(c)は、第1トレイ6と第2トレイ7の組の左側前面近傍部の断面bbを示し、図10(d)は第1トレイ6と第2トレイ7の組の右側略中央部の断面ccを示す。
【0045】
なお、図10(b)には、第1トレイ収納部4のトレイガイド部4a、及び同形状の第2トレイ収納部5のトレイガイド部5aを一点鎖線にて示し、図10(c)には、第1トレイ収納部4のトレイガイド部4aを一点鎖線にて示している。また、図10(d)には、筺体1のトレイガイド部1aを一点鎖線にて示している。
【0046】
図8に示すように、第2トレイ7は、その上面に径の異なる略円形状の凹部7a及び7bを略同心状に有している。凹部7aは、大径のディスク16を収納し得るように形成されており、凹部7bは、小径のディスク17を収納し得るように形成されている。第2トレイ7は、上記凹部7a,7bの中心部に穴部7cを形成しており、その後方に連設して穴部7dを形成している。穴部7cは、後述する再生機構ユニット22のターンテーブル22bを導入するものであり、穴部7dは、同じく再生機構ユニット22のピックアップ22cを導入するものである。
【0047】
また第2トレイ7には、凹部7bの内側に、位置決め用穴7eが左右2箇所に設けられている。これは、装置後部の再生位置T3において、後述するメカホルダー21に一体的に設けられた位置決め突起21dが嵌入し、第2トレイ7の再生位置T3での装置前後方向の移動を禁止するものである。また第2トレイ7は、装置前後方向に沿った左側縁部の下面側にガイド溝7fを形成している。ガイド溝7fは、後述する第1トレイ6のガイドレール6dと、或いは装置後部に位置するトレイホルダー8のガイド凸部8i(図13にて後述)と係合し、第2トレイ7の動作を案内する。
【0048】
さらに、第2トレイ7は、左側縁部の上面側に上面ガイド突起部7g、下面側に下面ガイド突起部7hが全長に渡って形成されている。図10(b)に示すように、上面ガイド突起部7gは、第1トレイ収納部4,第2トレイ収納部5の各トレイガイド部4a,5aの下面に、或いは装置後部に位置するトレイホルダー8の左トレイガイド部8h(図13にて後述)に当接する。そして、下面ガイド突起部7hは、第1トレイ6の上面に、或いはトレイホルダー8の左トレイガイド部8h(図13にて後述)に当接する。これらにより、第2トレイ7左部での上下方向の規制を行い、水平移動を行うための一翼を担う。
【0049】
そして、第2トレイ7は、装置前後方向に沿った右側面部より外側に向かって、右部ガイド突起部7iが全長に渡って形成されている。第2トレイ7は、右部ガイド突起部7iが、図10(d)に示すように、第1トレイ6のガイド溝6gと、或いは装置後部に位置するトレイホルダー8の右トレイガイド部8j(図13にて後述)と係合することにより、略水平移動を行える。
【0050】
さらに、図8に示すように、第2トレイ7の左側面には、装置前後方向に前部を除きほぼ全長に渡ってラック7jが形成されている。第2トレイ7は、ラック7jが第1トレイ駆動ギヤ10又は第2トレイ駆動ギヤ11と噛み合い、駆動されることにより、図6に示す着脱位置T1,収納位置T2,再生位置T3の間で移動する。また、ラック7jの一歯間7kが、図5に示したトレイロック部材14のロック部14dと係合することにより、第2トレイ7は、装置前後方向の動きを規制される。
【0051】
この場合、第1トレイ駆動手段と第2トレイ駆動手段の各駆動源(第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11)で駆動するラック6e,7jをロック部分として使用することにより、専用のロック機構を必要としなくなるため、省スペース化が可能となる。また、第2トレイ7の前面左端近傍には、前面より前方に向かってガイド突起部7Lが突設している。ガイド突起部7Lは、後述する第1トレイ6のガイド穴6kに嵌合し、着脱位置T1において第1トレイ6と第2トレイ7が上下方向に外れることを防止する。
【0052】
そして、第2トレイ7の前面中央部には、下方に向かって突出しているディスク蹴り出し面部7mを有している。ディスク蹴り出し面部7mには、装置後部に向かって切り込まれた3箇所の逃げ部7nが設けられている。これは、図6に示すディスク再生状態時に、装置外部より誤って第1トレイ6上にディスク17が押し入れられた場合、このディスク蹴り出し面部7mにより、誤挿入されたディスク17を装置外に押し出すものである。詳細は後述する。
【0053】
さらに、第2トレイ7は、凹部7aの後側に溝部7oが形成されている。溝部7oは、第2トレイ7が再生位置T3へ移動した時、後述するトレイホルダー8上のトレイ引き込み部材24と係合し、第2トレイ7の再生位置T3への移動を補助するものである。詳しくは後述する。なお、これより以降の説明においては、ディスク16或いはディスク17の何れかに特化した特徴を述べる場合を除いて、便宜上ディスク16のみを用いる。
【0054】
次に、図9に示すように、略長方形状の第1トレイ6は、その前面部に装置概観用パネルが装着可能な前面外壁6aを有する。また、第1トレイ6は、装置前後方向に沿った左側縁部の下面側にガイド溝6bを有し、同様にして、装置前後方向に沿った右側縁部の下面側にガイド溝6cを有している。図10(b),(c)に示すように、ガイド溝6bは、第1収納部4に設けられたトレイガイド部4a及び、第2収納部5に設けられたトレイガイド部5aと係合する。また、図10(d)に示すように、ガイド溝6cは、筺体1のトレイガイド部1aに係合して、第1トレイ6の動作を案内する。
【0055】
さらに、第1トレイ6には、装置前後方向に沿った左側縁部の上面側に、ガイドレール6dが前面外壁6aより後部末端まで形成されている。ガイドレール6dは、上述した第2トレイ7のガイド溝7fと係合して、第2トレイ7の動作を案内する。第1トレイ6の左側面には、前面外壁6aより装置後部方向にラック6eが形成されている。ラック6eは、第1トレイ駆動ギヤ10と噛み合い、第1トレイ6を着脱位置T1,収納位置T2の間で移動させる。また、ラック6eの一歯間6fが、トレイロック部材14のロック部14dと係合することにより、第1トレイ6は、装置前後方向の動きを規制される。
【0056】
この場合、第1トレイ駆動手段と第2トレイ駆動手段の各駆動源(第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11)で駆動するラック6e,7jをロック部分として使用することにより、専用のロック機構が必要でなくなる。このとき、重畳された状態のラック6e,7jを利用することにより、第1トレイ6,第2トレイ7に専用のロック部分を設ける必要がなくなり、その分、省スペース化が可能となる。
【0057】
また、第1トレイ6の右側縁部の上側には、トレイ左右方向の内側方向に向かって開口しているガイド溝6gが、前面外壁6aより装置後部方向に、ほぼ後部末端近傍まで形成されている。図10(d)に示すように、ガイド溝6gは、第2トレイ7の右部ガイド突起部7iと係合して、第2トレイ7の動作案内を行うとともに、着脱位置T1での、第1トレイ6と第2トレイ7との間の、装置上下方向の外れを防止している。
【0058】
第2トレイ7に載置した大径のディスク16を交換するためには、収納状態(第2位置の状態)からディスク16の径の2/3以上、第2トレイ7を第1位置(着脱位置)に移動しなければならないので、ガイド溝6gは少なくともディスク16の径の2/3の長さに渡って設けられている。
【0059】
なお、ガイド溝6gは、従来からの、例えば、本実施例の筺体1前部右側面部1Rに形成されているトレイガイド部1aのように、断面が略L字状のガイド形状ではないため、ガイド形状を形成するために必要な穴(例えば、図5に示す下穴1m)を開けなくてよい。そのため、従来であれば穴のために長いガイド部を形成できなかったため、薄型にすると強度不足となっていたものが、本実施例では十分な強度を得られる構成が可能となった。
【0060】
本実施例ではこのような強度を得るために、第1トレイ6のラック6eがある端部の反対側の端部を、溝形状で断面が略コの字形状のガイド溝6gとし、略コの字形状内に第2トレイ7の側部7iが挿通できるように構成している。これにより、略コの字形状の縦壁の高さを第1トレイ6と第2トレイ7を重畳した高さ寸法まで取ることが可能となり、その上、ディスク中心方向(トレイ中央部方向)に開口部を有する略コの字形状とすることで、ほぼ全長に渡って途切れることなくガイド部を形成することが可能となる。このため、着脱位置T1で外観上も穴が無く美しい薄型であり、しかも強度を有するトレイユニットが実現できる。
【0061】
さらに、第1トレイ6の上記ガイド溝6gの上面部に、右部ガイド突起部6hが前面外壁6aより装置後部方向に、後部末端近傍まで形成されている。図10(d)に示すように、右部ガイド突起部6hは、筺体1のトレイガイド部1aの下面に当接し、また上記ガイド溝6cの外壁側下面がトレイガイド部1a底上面に当接する。これにより、第1トレイ6右部での上下方向の規制を行い、水平移動を行うための一翼を担う。
【0062】
また、第1トレイ6のガイド溝6bの外壁側下面に、左部ガイド突起部6iが装置前後方向にほぼ全長に渡って形成されている。図10(b),(c)に示すように、左部ガイド突起部6iは、第1トレイ収納部4,第2トレイ収納部5の各トレイガイド部4a,5aの底上面に当接し、第2トレイ7左部での下方向の位置規制を行なっている。また、前面外壁6aの上面左側縁部の一部に、ガイド突起部6jが形成されている。
【0063】
第1トレイ6が収納位置T2にあるとき、図10(c)に示すように、ガイド突起部6jは、第1トレイ収納部4のトレイガイド部4aの下面に当接し、第2トレイ7左前部での上方向の位置規制を行う。また、図10(b)に示すように、第1トレイ6上に位置する第2トレイ7の上面ガイド突起部7gが、第1トレイ収納部4,第2トレイ収納部5の各トレイガイド部4a,5aの下面に当接することにより、第1トレイ6左部での上方向の位置規制を行う。これらの上下方向の位置規制により、第1トレイ6の略水平動作を案内する。
【0064】
また、図9に示すように、第1トレイ6の前面外壁6a左近傍には、ガイド穴6kが設けられている。このガイド穴6kに第2トレイ7のガイド突起部7Lが嵌合し、着脱位置T1における第1トレイ6と第2トレイ7間での上下方向の外れ防止を行う。そして、第1トレイ6の前面外壁6aには、後部に向かって傾斜面を有する三つの蹴り出し突起6L,6mが形成されている。前面外壁6a裏側の略中央に位置するのが蹴り出し突起6mであり、その左右に位置するのが蹴り出し突起6Lである。図6(c)に示すディスク再生状態時に、装置外部より誤って押し入れられたディスク17は、第2トレイ7のディスク蹴り出し面部7mに押され、蹴り出し突起6L,6mの斜面に沿って装置外部へ押し出される。
【0065】
図11に、装置外部より誤って押し入れられたディスクを蹴り出す機構に関する図を示す。同図(a)は、ディスク再生状態にある一組の第1トレイ6,第2トレイ7、及び誤って押し入れられたディスク16,17の位置関係を示す平面図である。ここでは第1トレイは収納位置T2、第2トレイは再生位置T3となっている。同図(b)は第1トレイ6,第2トレイ7の前面中央部付近の断面図(aa断面図)であり、同図(c)は第1トレイ6の前面中央部付近の断面図(bb断面図)である。同図(d)はディスク再生状態にある第1トレイ6(収納位置T2)、及びディスク17を示す平面図である。
【0066】
同図(a)に示すように、大径ディスク16が誤って装置内に押し入れられると、ディスク16はその一部が第2トレイ7上面に位置するか、又は一部が装置外に位置する状態となる。まず、ディスク16の一部が第2トレイ7上面に位置する状態であれば、第2トレイ7が収納位置T2に移動すると、ディスク16は第2トレイ7上面に位置した状態となる。そして、引き続き着脱位置T1まで移動することにより、ディスク16を取り出すことができる。また、ディスク16の一部が装置外に位置する状態であれば、第2トレイ7が収納位置T2に移動すると、ディスク16は第2トレイ7により装置外方向にさらに押され、容易に取り出すことができる。
【0067】
しかし、同じく同図(a)に示すように、小径のディスク17が誤って装置内に押し入れられた場合、ディスク16内に入り込んでしまい、上述した大径のディスク16と同様には取り出すことができない。そこで、第2トレイ7の前面中央部に前記ディスク蹴り出し面部7mを形成し、第1トレイ6前面外壁裏側に三つの前記蹴り出し突起6L,6mを形成して取り出し可能にしている。つまり、第2トレイ7が再生位置T3より収納位置T2へ移動するのに伴い、第2トレイ7前面に形成されているディスク蹴り出し面部7mが、小径のディスク17を、第1トレイ6の三つの蹴り出し突起6L,6mの斜面に沿って装置外部へと押し出す。
【0068】
同図(a)に示すように、第2トレイ7のディスク蹴り出し面部7mは前面に突出しているため、小径のディスク17には、ディスク蹴り出し面部7m以外の第2トレイ7の前面部には当接せずに、ディスク蹴り出し面部7mのみに当接する。また、同図(b)に示すように、第2トレイ7のディスク蹴り出し面部7m下端部と第1トレイ6の上面部との距離Aは、ディスクの板厚の半分量以下に設定されている。つまり、ディスク17が重畳する第1トレイ6と第2トレイ7との間に入ることはない。これらにより、第2トレイ7のディスク蹴り出し面部7mは、確実に小径ディスク17を押し出すことができる。
【0069】
また、同図(d)に示すように、第1トレイ6の蹴り出し突起6L,6mは、中央及び左右の計3箇所に渡って設けられているため、小径ディスク17は何処に挿入されても、傾斜面を有しない第1トレイ6の前面外壁6aに引っ掛かることなく、突起の傾斜面に沿って装置外部へ押し出される。以上の様にして、第1トレイ6と第2トレイ7の部品形状を工夫するだけで、ディスクの誤挿入対策を行うことができ、ディスク排出のための部品を必要としない、安価で確実な誤挿入対策機構を実現できる。
【0070】
図12は、トレイホルダーユニットの構成を示す外観斜視図である。同図(a)は左前側より見た筐体の分解斜視図であり、同図(b)は左後側より見た斜視図である。また同図(c)は、トレイホルダー8へメカホルダー21を組み込む際の詳細図である。
【0071】
図13は、トレイホルダーユニットの構成を示す分解斜視図である。トレイホルダー8は、同図に示すように、右側面壁8a及び左側面壁8b、並びに、左右両側面壁の後部上面が繋がって形成されている上面壁部8c、及び左右両側面壁の前面部が繋がって形成されている前面内側壁8d、さらには前面内側壁8dより前方に平行に位置し、この前面内側壁8dと上下数箇所で繋がって形成されている前面外側壁8eにより形成されている。
【0072】
トレイホルダー8の左側面壁8bには、これより外側に向かって突設した2段のガイド軸(大径軸部8f,小径軸部8g)が形成されている。同様に右側面壁8aには、前部と後部とに各1個で計2個の2段のガイド軸(大径軸部8f,小径軸部8g、図示せず)が形成されている。この左右側面壁8a,8bに位置する3箇所の大径軸部8fが、図12(a)に示す筺体1内に上下に渡って設けられた3箇所のガイド溝1n(左側は図示せず)に各々嵌入されることにより、トレイホルダー8は装置上下方向に摺動自在に配置されている。
【0073】
そして、左側面壁8b側の小径軸8gは、後述する左トレイホルダー昇降部材25(図14,図15に図示)に設けられたカム溝に係合する。同様に、右側面壁8a側の2個の小径軸8gは、後述する右トレイホルダー昇降部材26に設けられたカム溝(図示せず)に係合する。これによりトレイホルダー8は、後述する昇降連動部材27(図12に図示)により連動している、左右のトレイホルダー昇降部材25,26の摺動に伴って、各トレイ位置の高さに上下移動を行う。
【0074】
図13に示すように、トレイホルダー8の左側面壁8b上面には、断面が略コの字状の左トレイガイド部8hが一体的に設けられ、再生位置T3の第2トレイ7を上下より規制しながら保持する。また、トレイガイド部8hの下面より上側に向かってガイド凸部8iが形成されている。ガイド凸部8iは、第2トレイ7下面側に位置するガイド溝7fに係合し、再生位置T3での第2トレイ7の左右方向の位置規制を行っている。同様に、トレイホルダー8の右側面壁8a上面には、断面が略コの字状の右トレイガイド部8jが一体的に設けられ、再生位置T3の第2トレイ7を上下より規制しながら保持する役割を持つ。
【0075】
また図12に示すように、トレイホルダー8には、その中央前寄りに略円板状のディスク押さえ18が取り付けられている。そして図13に示すように、ディスク押さえ18は、中心上面側に磁石19を搭載し、トレイホルダー8の上面壁部8cの中央前寄りに位置するディスク押さえ用穴8kを介して、ディスク押さえ板20と結合しており、回転自在となっている。さらに図13に示すように、トレイホルダー8には、ディスク再生機構ユニット22を螺着しているメカホルダー21が、下側より組み込まれている。
【0076】
ディスク再生機構ユニット22は、図13に示すように、略長方形状のベース板22a上に、ターンテーブル22bやピックアップ22c、及びピックアップ駆動機構22e等が取り付けられた構成である。ターンテーブル22bは、ベース板22aの前部下面に螺着されているモーター22dから上方へ延びる回転軸に嵌合して設けられている。また、ピックアップ22cは、ベース板22a中央付近から後部の間で、ターンテーブル22b上に載置されるディスク16の径方向に、ピックアップ駆動機構22eにより直動する。そして、このディスク再生機構ユニット22は、ベース板22aの四隅に取り付けられた防振ゴム22fを介して、メカホルダー21の下面に螺着される。
【0077】
メカホルダー21は、図13に示すように、下面方向に開口している箱状の形状をしている。そして、その上面にはディスク再生機構ユニット22のターンテーブル22b及びピックアップ22cが導入される穴部21bが形成されている。また上面の四隅より下方向に向かって4個の取り付け軸(図示せず)が形成されている。この4個の取り付け軸に、上記ディスク再生機構ユニット22が防振ゴム22fを介して螺着されている。
【0078】
また、メカホルダー21は、図13に示すように、後部両側面に各々外側に向かって回転支点軸21aが形成されている。そして、図12(b),(c)に示すように、回転支点軸21aが後述するトレイホルダー8の後部両側面に形成されている支点穴8Lに各々嵌入することにより、トレイホルダー8の支点穴8Lを中心に回動自在に取り付けられている。
【0079】
そして、メカホルダー21は、図13に示すように、前面より前方に向かって2本のガイド軸21cが形成されている。ガイド軸21cは、トレイホルダー8の前面内側壁8dに形成されている、上下方向に伸びる二つのガイド穴8m(1個のみ図示)に嵌入し、且つトレイホルダー8の前面内側壁8dと前面外側壁8e間に摺動自在に取り付けられているメカホルダー昇降部材23(後述)の二つのガイド溝23aに嵌入する。これにより、メカホルダー21は、ガイド穴8mにより左右方向の位置を規制され、且つメカホルダー昇降部材23(後述)の移動に伴い回転支点軸21aを中心に回動する。
【0080】
なお、これより以降の説明においては、メカホルダー21が回動して下がった位置、つまり、ディスク再生機構ユニット22のターンテーブル22bが、再生位置T3にあるディスク16より下がった位置を非再生位置P2と呼び、この下がった状態を非ディスク再生状態と呼ぶ。そして、メカホルダー21が回動して上がった位置、つまり、ディスク再生機構ユニット22のターンテーブル22bが、再生位置T3にあるディスク6をすくい上げて、ディスク押さえ18との間で狭持した位置を再生位置P1と呼び、この上がった状態をディスク再生可能状態と呼ぶ。
【0081】
ここで、図12(c)に示すように、トレイホルダー8の後部両側面には、略正方形状の支点穴8Lが形成されている。同図では左側のみ図示しているが、右側も同様である。支点穴8Lを形成している四つの面(前面,後面,上面,下面)のうち、後面は上側が上面より切り離され、下側には切り込みが形成されている。これにより支点穴8Lの後部面は装置左右方向に撓ませることができる。そして、支点穴8Lの後部面を外側方向に撓ませることにより、メカホルダー21をトレイホルダー8の後部より前方に向かって組み込むことができる。
【0082】
これにより、メカホルダー21のガイド軸21cが嵌入するトレイホルダー8のガイド穴8mには、従来であれば組み込みのために必要であった開口部を設ける必要がなくなるので、トレイホルダー8前面部の強度を維持することができる。なお、図示していないが、トレイホルダー8の支点穴8Lの左右の位置に、筺体1より延びる壁が設けられ、上記支点穴8Lの後面が外側に撓むのを規制している。これにより、トレイホルダー8を筺体1に組み込んだ後は、上記支点穴8Lの後面が撓んでメカホルダー21が外れるということはなくなる。
【0083】
図12(a)及び図13に示すように、装置前方より見て略長方形の板状をしたメカホルダー昇降部材23は、トレイホルダー8の前面内側壁8dと前面外側壁8eとの間で、装置左右方向に摺動自在に取り付けられている。メカホルダー昇降部材23には、長方形状の面にガイド溝23aが形成され、これにメカホルダー21のガイド軸21cが嵌入している。
【0084】
また、左縁側上部には略L字状のガイド溝23cが形成され、これに、後述するトレイ引き込み部材24における断面が略L字状のガイド突起部24cが係合している。さらに、メカホルダー昇降部材23の前面下部には装置左右方向にラック23bが形成され、後述する中間ギヤ59と噛み合うことにより駆動力が伝達される。この駆動力をうけたメカホルダー昇降部材23の摺動により、メカホルダー21,及び後述するトレイ引き込み部材24が回動する。詳しくは後述する。
【0085】
図13に示すように、トレイホルダー8の左側面壁部8b内側には、上方に突出する回転支点軸8nが形成され、またその付近で左側面壁部8b上面には、略L字状の抜け防止部8oが形成されている。一方、図12,図13に示すように、細長い板状をしたトレイ引き込み部材24は、その略中央部に回転中心穴24aが形成されており、且つその付近に同心の円弧面部24bが形成されている。回転中心穴24aは、上記トレイホルダー8の回転支点軸8nに嵌合し、円弧面部24bは、上記トレイホルダー8の抜け防止部8oの下部に挿入される。これにより、トレイ引き込み部材24は、トレイホルダー8上に回動自在に取り付けられる。
【0086】
トレイ引き込み部材24は、回転中心穴24aより前後に延びており、装置前方側の先端には、断面が略L字状のガイド突起部24cが形成されている。ガイド突起部24cは、上記メカホルダー昇降部材23のガイド溝23cに係合する。これによりトレイ引き込み部材24は、メカホルダー昇降部材23の摺動に連動して回転することとなる。一方、装置後方側の先端には、側面に突起を有する略円柱状の引き込み部24dが形成されている。引き込み部24dは、第2トレイ7の後部に形成されている溝部7oと係合する。これにより、メカホルダー昇降部材23の摺動に伴いトレイ引き込み部材24が回動し、第2トレイ7の再生位置T3への移動を補助する。詳しくは後述する。
【0087】
図14は、駆動力伝達機構の構成を示す平面図であり、図15は、駆動力伝達機構の構成を示す分解斜視図である。本実施例のディスクローディング装置前部に位置する前記収納部3下方には、図12(a)に示すように、ギヤ押さえ板28が筺体1に螺着されている。駆動力伝達機構各部は、このギヤ押さえ板28の下方に設けられている。また、駆動力伝達機構の各ギヤは、ギヤ押さえ板28より下方に突設した各ギヤ押さえ部(図示せず)により上方の位置規制が行われている。
【0088】
図14,図15に示すように、装置前部右端には、本ディスクローディング装置の駆動源である2つの略円柱状をしたモーター31,32が、前後に位置して1枚の基板70上に取り付けられ、筺体1表面側より螺着されている。なお、後述する本ディスクローディング装置の全検出回路部材であるスイッチ及びフォトインタラプタも上記基板上に取り付けられている。
【0089】
これらの図に示すように、モーター31の駆動力は、ピニオンギヤ31aより、中間ギヤ33,34,35,36,37,及び38の減速機構を介して、選択カム29へと伝達される。選択カム29は、略ドーナツ形状をしており、底面には全周にわたって凹形状のガイド溝29i(図示せず)が形成されている。このガイド溝29iが、筺体1の表面底部に位置する略円形状のガイドレール1oに係合案内されることにより、選択カム29は、筺体1の表面底部で回動自在に取り付けられている。
【0090】
また、選択カム29の外側面部及び内側面部には、数段のギヤが設けられており、これらのうち外側面部の最上段のギヤが上記中間ギヤ38と噛み合い、モーター31の駆動力を選択カム29に伝達する。他の外側面部に設けられているギヤは、トレイ選択ギヤ44及びトレイホルダー選択ギヤ46と噛み合い、一方、内側面部に設けられているギヤは、スイッチギヤ48と噛み合う。
【0091】
トレイ選択ギヤ44は、第1トレイ6,第2トレイ7の駆動を行う第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11を昇降させトレイの段を選択させるカム板15へと、駆動力を伝達する。またトレイホルダー選択ギヤ46は、ディスク再生機構ユニット22を搭載しているトレイホルダー8を昇降させトレイの段を選択させる左トレイホルダー昇降部材25,右トレイホルダー昇降部材26へと、駆動力を伝達する。
【0092】
また、スイッチギヤ48は、ディスク再生機構ユニット22を搭載しているトレイホルダー8の選択位置と、第1トレイ6,第2トレイ7の駆動を行う第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11の選択位置とが同じ選択位置の時には、後述するスイッチ73がOFF状態で保持される。そして、スイッチギヤ48は、トレイホルダー8の選択位置と、第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11の選択位置とが異なるディスク再生中での、他のトレイ選択時にスイッチ73を押しながらその選択移動分だけ回動する。
【0093】
これにより、再生中のディスクの選択位置と第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11の選択位置との関係を確認できるとともに、ディスク再生中の動作であることが確認できる。これらのように、選択カム29は、ディスク選択動作の駆動源となる。詳しくは後述する。
【0094】
また、図14,図15に示すように、モーター32の駆動力は、ピニオンギヤ32aより、中間ギヤ39,40,41,42,及び43の減速機構を介して、トレイ駆動カム30へと伝達される。トレイ駆動カム30は、ギヤ押さえ板28の下部に位置し、筺体1に回動自在に取り付けられた回転体である。なお、トレイ駆動カム30の回転軸部は、上記選択カム29の内側に設けられている。
【0095】
また、トレイ駆動カム30の外周部には数段のギヤ群が設けられており、このうちの1段のギヤが上記中間ギヤ43と噛み合い、モーター32の駆動力をトレイ選択カム30に伝達する。他のギヤは、トレイを移動させる第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11へと駆動力を伝達する中間ギヤ49,50,52,53、及び再生機構ユニット22を回動させるメカホルダー昇降部材23へと駆動力を伝達する再生ユニット駆動ギヤ57と噛み合って、駆動力を伝達している。
【0096】
つまり、トレイ駆動カム30は、装置外でのディスク着脱からディスク再生可能状態までのディスクの全移動動作の駆動源となる。詳しくは後述する。なお、中間ギヤ52,53の回転軸、及び再生ユニット駆動ギヤ57の回転軸は、上記選択カム29の内側に設けられている。
【0097】
図16に、選択カム29,トレイ駆動カム30,及び基板70の位置関係を示す。図16(a)は概略平面構成図であり、図16(b)はaa断面図、図16(c)はbb断面図である。図16(a)及び図15に示すように、基板70上には、モーター31,32と共に、本ディスクローディング装置の全検出回路部材である、フォトイタラプタ71及び、スイッチ72,73,74,75が取り付けられている。
【0098】
図16(b)に示すように、フォトインタラプタ71は、選択カム29の内側面部に形成されているフォト検知部29gのスリット29g1(後述)を検知し、トレイの選択位置検出を行う。また、図16(c)に示すように、装置の水平方向にノブ72aが形成されているスイッチ72は、フォト検知部29gの終端に位置する突起面29hによりノブ72aを押され、ON状態になる。
【0099】
スイッチ72のON位置は、トレイ選択の基準位置となる。これらのように、トレイ選択位置検出は、フォトインタラプタ71,スイッチ72が、選択カム29の内側面部に位置するフォト検知部29gのスリット29g1、及び突起面29hを検知することにより行われる。詳しくは後述する。
【0100】
図16(a)に示すように、高いノブ74a,75aが形成されているスイッチ74,75は、トレイ駆動カム30の底面部に位置する突起部30gに操作され、ON,OFFを行う。スイッチ74,75のON,OFFの組み合わせにより、トレイ移動位置検出を行う構成となっている。詳しくは後述する。
【0101】
また同図に示すように、高いノブ73aが形成されているスイッチ73は、選択カム29の内周部に位置するスイッチギヤ48の下方に位置している。スイッチギヤ48は、第2トレイ7が再生位置T3に移動すると同時に下降し、選択カム29の内周面部に位置するギヤ部29eと噛み合う。その後、ディスク再生中での他のトレイ選択を行うために、選択カム29が回動することにより、スイッチギヤ48も回動し、スイッチ73のノブ73aを押し下げる。
【0102】
つまり、再生中のディスクの選択位置と異なる選択位置のトレイユニットを選択した場合に、スイッチ73がON状態となる。これにより、再生中のディスクの選択位置と、トレイユニツトを駆動する第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11の選択位置とが同じか否かを確認できるとともに、再生中の動作であることが確認できる構成となっている。詳しくは後述する。
【0103】
図17は、本ディスクローディング装置における、トレイ駆動カム30に関する部分の構成を示す図である。同図(a)は天面斜視図、同図(b)は底面斜視図、同図(c)は外側面ギヤ部の展開図を示している。同図では、トレイ駆動カム30の中心から見た或る方位(ここでは装置前方)を0°とし、側面を360°まで展開している。そして、各ギヤ部の噛み合い状態を示している。
【0104】
同図に示すように、トレイ駆動カム30の側面周囲には、最上段にギヤ部30aが設けられている。これは、第1トレイ6,第2トレイ7を駆動するための駆動力を伝達する第2トレイ駆動カムギヤ49と噛み合うものである。ギヤ部30aは、第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49aと噛み合う複数の歯からなる歯部30a1と、歯部30a1のピッチ円直径を径とする円弧状の欠歯部30a2と、が連続して設けられるギヤ群と、ギヤ部49aと接触しないギヤ離間部30a3とから構成されている。
【0105】
トレイ駆動カム30の側面でギヤ部30aの下側には、ギヤ部30bが設けられている。これは、第1トレイ6,第2トレイ7を駆動するための駆動力を伝達する第1トレイ駆動カムギヤ50と噛み合うものである。ギヤ部30bは、第1トレイ駆動カムギヤ50のギヤ部50aと噛み合う複数の歯からなる歯部30b1と、歯部30b1のピッチ円直径を径とする円弧状の欠歯部30b2と、が連続して設けられるギヤ群と、ギヤ部50aと接触しないギヤ離間部30b3とから構成されている。
【0106】
また、トレイ駆動カム30の側面でギヤ部30bの下側には、回転保持部30cが設けられている。回転保持部30cは、外径の大きい保持部30c1と、保持を行わない外径の小さい離間部30c2とから構成されている。なお、本実施例においては、離間部30c2の一部に、歯部30b1と同形状の歯を有する歯部30c3が形成されている。
【0107】
図18は、第1トレイ駆動カムギヤ50及び第2トレイ駆動カムギヤ49、並びにトレイ駆動カム30に関連する部分の構成を示す平面図である。第1トレイ駆動カムギヤ50と第2トレイ駆動カムギヤ49は、筺体1の左前部に回転自在に取り付けられた中間伝達部材であって、同図(a)に示すように、第1トレイ駆動カムギヤ50のギヤ部50bは、第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49bと噛み合うように配設されている。
【0108】
トレイ駆動カム30のギヤ部30bと噛み合う第1トレイ駆動カムギヤ50のギヤ部50aには、そのピッチ円直径に沿って歯の先端部分を切り落とした形状の切欠歯50a1が設けてあり、上述したギヤ部30bの欠歯部30b2において、回転位置を保持するように予め設定されている。また、第1トレイ駆動カムギヤ50には、ギヤ部50aの下側に被保持部50cが設けられている。被保持部50cは、回転中心よりギヤ部50aのピッチ円直径まで突出しており、トレイ駆動カム30の保持部30c1と接触して、回転位置を保持するように構成されている。
【0109】
また、トレイ駆動カム30のギヤ部30aと噛み合う第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49aには、そのピッチ円直径に沿って歯の先端部分を切り落とした形状の切欠歯49a1が設けてあり、上述したギヤ部30aの欠歯部30a2において、回転保持するように予め設定されている。同図(a)の状態は、トレイ駆動カム30のギヤ部30aが、ギヤ離間部30a3となっており、トレイ駆動カム30のギヤ部30aと、第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49aとが噛み合わないように予め設定され、第1トレイ駆動カムギヤ50のみで、回転位置を保持している状態である。
【0110】
図18(b)に示すように、第1トレイ駆動カムギヤ50のギヤ部50aとトレイ駆動カム30の歯部30b1とが噛み合って、トレイ駆動カム30からの駆動力が、第1トレイ駆動カムギヤ50へと伝達される状態においては、トレイ駆動カム30のギヤ部30aはギヤ離間部30a3となっており、トレイ駆動カム30のギヤ部30aと、第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49aとは接触しないように予め設定されている。
【0111】
また、図18(c)に示すように、第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49aとトレイ駆動カム30の歯部30a1とが噛み合って、トレイ駆動カム30からの駆動力が、第2トレイ駆動カムギヤ49を介して第1トレイ駆動カム50へと伝達される状態においては、トレイ駆動カム30のギヤ部30bは、ギヤ離間部30b3となっており、トレイ駆動カム30のギヤ部30bと、第1トレイ駆動カムギヤ50のギヤ部50aとは接触しないように予め設定されている。
【0112】
以上のように、トレイ駆動カム30→第1トレイ駆動カムギヤ50と駆動力が伝達される場合と、トレイ駆動カム30→第2トレイ駆動カムギヤ49→第1トレイ駆動カムギヤ50と駆動力が伝達される場合とでは、トレイ駆動カム30が同じ方向に回転しても、第1トレイ駆動カムギヤ50は異なる方向に回転することになる。
【0113】
第1トレイ駆動カムギヤ50は、図14,図15に示すように、その駆動力を、中間ギヤ51及び中間ギヤ9を介して、第1トレイ6のラック6eと第2トレイ7のラック7jとに噛み合う第1トレイ駆動ギヤ10に伝達している。これにより、第1トレイ駆動カムギヤ50及び第2トレイ駆動カムギヤ49の駆動力が、第1トレイ6と第2トレイ7を、着脱位置T1と収納位置T2との間で移動させる。
【0114】
一方、図17に示すように、トレイ駆動カム30の側面で回転保持部30cの下側には、ギヤ部30dが設けられている。これは、第2トレイ7を駆動するための駆動力を伝達する第3トレイ駆動カムギヤ53と噛み合うものである。ギヤ部30dは、第3トレイ駆動カムギヤ53のギヤ部53aと噛み合う複数の歯からなる歯部30d1と、歯部30d1のピッチ円直径を径とする円弧状の欠歯部30d2と、が連続して設けられるギヤ群と、ギヤ53aと接触しないギヤ離間部30d3とから構成されている。
【0115】
また、同じく図17に示すように、トレイ駆動カム30の側面でギヤ部30dの下側には、ギヤ部30eが設けられている。これは、第2トレイ7を駆動するための駆動力を伝達する第4トレイ駆動カムギヤ52と噛み合うものである。ギヤ部30eは、第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aと噛み合う歯からなる歯部30e1と、歯部30e1のピッチ円直径を径とする円弧状の欠歯部30e2と、が連続して設けられるギヤ群と、ギヤ52aと接触しないピッチ円直径の小さい歯部30e3からなるギヤ群とから構成されている。
【0116】
歯部30e3は、前述した中間ギヤ43と噛み合い、モーターの駆動力をトレイ駆動カム30に伝達する。上述のように、ギヤ部30eには、第4トレイ駆動カムギヤ52を回動及び制御する機能と、中間ギヤ43と噛み合って駆動力を伝達する機能との、2つの機能を持ち合わせている。これにより、本来であればトレイ駆動カム30にもう一層のギヤ部が必要であるものが、第4トレイ駆動カムギヤ52と中間ギヤ43とを効率よく配設することにより、ギヤ部30eの層に2種類の機能を持たせることができるので、もう一層分を設ける必要がなくなり、その分、薄型化を図ることが可能となる。
【0117】
第3トレイ駆動カムギヤ53と第4トレイ駆動カムギヤ52は、筺体1の左側中ほどに回動自在に取り付けられた中間伝達部材であって、第3トレイ駆動カムギヤ53のギヤ部53bは、第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52bと噛み合うように配設されている。ここで、図19は、第3トレイ駆動カムギヤ53及び第4トレイ駆動カムギヤ52、並びにトレイ駆動カム30に関連する部分の構成を示す平面図である。
【0118】
同図(a)に示すように、トレイ駆動カム30のギヤ部30dと噛み合う第3トレイ駆動カムギヤ53のギヤ部53aには、そのピッチ円直径に沿って歯の先端部分を切り落とした形状の、複数の切欠歯53a1が設けてあり、上述したギヤ部30dは、欠歯部30d2において回転位置を保持するように予め設定されている。また、第3トレイ駆動カムギヤ53には、ギヤ部53aの上側に被保持部53cが設けられている。被保持部53cは、回転中心よりギヤ部53aのピッチ円直径まで突出しており、トレイ駆動カム30の保持部30c1と接触して、回転位置を保持するように構成されている。
【0119】
また、トレイ駆動カム30のギヤ部30eと噛み合う第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aには、そのピッチ円直径に沿って歯の先端部分を切り落とした形状の複数の切欠歯52a1が設けてあり、上述したギヤ部30eの欠歯部30e2において、回転保持するように予め設定されている。同図(a)の状態は、トレイ駆動カム30のギヤ部30eが、第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aと離間している歯部30e3となっており、歯部30eと第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aとが噛み合わないように予め設定され、第3トレイ駆動カムギヤ53のみで、回転位置を保持している。
【0120】
図19(b)に示すように、第3トレイ駆動カムギヤ53のギヤ部53aとトレイ駆動カム30の歯部30d1とが噛み合って、トレイ駆動カム30からの駆動力が、第3トレイ駆動カムギヤ53へと伝達される状態においては、トレイ駆動カム30のギヤ部30eが、第3トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aと離間している歯部30e3となっており、ギヤ部30eとギヤ部52aとは接触しないように予め設定されている。
【0121】
また、図19(c)に示すように、第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aとトレイ駆動カム30の歯部30e1とが噛み合って、トレイ駆動カム30からの駆動力が、第4トレイ駆動カムギヤ52を介して第3トレイ駆動カム53へと伝達される状態においては、トレイ駆動カム30のギヤ部30dはギヤ離間部30d3となっており、ギヤ部30dとギヤ部53aとは接触しないように予め設定されている。
【0122】
第3トレイ駆動カムギヤ53は、図14,図15に示すように、その駆動力を中間ギヤ54,55,56,及び中間ギヤ9を介して、第2トレイ7のラック7jと噛み合う第2トレイ駆動ギヤ11に伝達している。これにより、第3トレイ駆動カムギヤ53及び第4トレイ駆動カムギヤ52の駆動力が、第2トレイ7を収納位置T2と再生位置T3との間で移動させる。
【0123】
以上のように、トレイ駆動カム30→第3トレイ駆動カムギヤ53と駆動力が伝達される場合と、トレイ駆動カム30→第4トレイ駆動カムギヤ52→第3トレイ駆動カムギヤ53と駆動力が伝達される場合とでは、トレイ駆動カム30が同じ方向に回転しても、第3トレイ駆動カムギヤ53は異なる方向に回転することになる。
【0124】
また、図17に示すように、トレイ駆動カム30の側面でギヤ部30eの下側には、ギヤ部30fが設けられている。これは、ディスク再生機構ユニット22を再生可能状態にさせるための駆動力を伝達する、再生ユニット駆動ギヤ57と噛み合うものである。ギヤ部30fは、再生ユニット駆動ギヤ57のギヤ部57aと噛み合う複数の歯からなる歯部30f1と、歯部30f1のピッチ円直径を径とする円弧状の欠歯部30f2とから構成されている。
【0125】
再生ユニット駆動ギヤ57は、筺体1の略中央部に回動自在に取り付けられた中間伝達部材である。図15,図17に示すように、ギヤ部57aの下側には、直径が大きい鍔状の抜け防止部57bが形成されている。抜け防止部57bは、トレイ駆動カム30の下方に位置し、トレイ駆動カム30の底面が当接部になることにより、再生ユニット駆動ギヤ57の上方向への位置規制を行っている。また、抜け防止部57bより下方に向かって、断面がL字状の回り止め部57cが形成されている。回り止め部57cは、本ディスクローディング装置の輸送時に、下方に位置する選択カム29に位置規制され、強い衝撃に対しても回転位置の保持を行える構成になっている。
【0126】
図14,図15に示すように、再生ユニット駆動ギヤ57は、その駆動力を伝達ギヤ58,中間ギヤ59を介して、トレイホルダー8内のメカホルダー昇降部材23に伝達している。一方、図20は、本ディスクローディング装置における、再生ユニット駆動ギヤ57からの連結を示す斜視図である。同図(a)は、非ディスク再生状態時の連結を示す斜視図であり、同図(b)は、ディスク再生可能状態時の連結を示す斜視図である。
【0127】
図20に示すように、トレイ駆動カム30のギヤ部30fと噛み合う再生ユニット駆動ギヤ57のギヤ部57aには、そのピッチ円直径に沿って歯の先端部分を切り落とした形状の複数の切欠歯57a1が設けてあり、上述したギヤ部30fの欠歯部30f2において、回転位置を保持するように予め設定されている。また、再生ユニット駆動ギヤ57からの駆動力は、伝達ギヤ58,中間ギヤ59を介してメカホルダー昇降部材23に伝達されるとともに、伝達ギヤ58によりスイッチギヤ48の昇降が行われる。
【0128】
さらに、伝達ギヤ58より伝達レバー60,選択ギヤホルダー61を介して、駆動力がトレイホルダー選択ギヤ46に伝達され、これが昇降される。なお、スイッチギヤ48とトレイホルダー選択ギヤ46は、共に選択カム29と噛み合えるように筺体1に回動自在に配設され、各々その昇降により選択カム29のギヤ部29b,29eと回転保持部29c,29fとの間を昇降移動する。
【0129】
同図に示すように、伝達ギヤ58には、再生ユニット駆動ギヤ57と噛み合うギヤ部58aと、中間ギヤ59と噛み合うギヤ部58bが設けられるとともに、上面には伝達レバー60を回動させるガイド溝58c、及びスイッチギヤ48を下降させる開口部58dの端面58d1が設けられている。
【0130】
図20及び後述する図24に示すように、スイッチギヤ48は、筺体1に設けられた回転軸1pに回動自在に、且つ装置上下方向に摺動自在に取り付けられている。スイッチギヤ48には、選択カム29のギヤ部29eと噛み合うギヤ部48aと、選択カム29の回転保持部29fに接触する被回転保持部48bが設けられている。また、その上側には径の大きい円弧面48cが設けられ、更にその上面には斜面突起部48dが設けられている。
【0131】
円弧面48cには、開口部48c1が形成されており、これが回動することにより、下方に位置するスイッチ73のノブを操作して、ON,OFFさせている。また、斜面突起部48dに、上述した伝達ギヤ58の開口部58dの端面58d1が当接することにより、スイッチギヤ48が押し下げられる。なお、スイッチギヤ48は、底面側に圧縮ばね76が位置しているため、常時、ギヤ押さえ板28の底面(図示せず)まで、装置上方向に付勢されている。
【0132】
図20に示すように、伝達レバー60は、筺体1に回動自在に取り付けられている。両側に伸びた先端の一方には、上述した伝達ギヤ58のガイド溝58cに係合するガイド軸60aが設けられ、もう一方には、装置下方向に伸びた円弧状の面にガイド溝60bが形成されている。また、選択ギヤホルダー61は、筺体1に設けられた回転軸1q上で装置上下方向に摺動自在に取り付けられている。そして、下側に位置するトレイホルダー選択ギヤ46を回動自在に保持する、断面がコの字状のギヤ保持部61aが設けられている。
【0133】
また、選択ギヤホルダー61には、上述した伝達レバー60のガイド溝60bに係合するガイド軸61bが設けられているとともに、筺体1に形成された上下方向のガイド溝(図示せず)に係合する突起部61cが設けられ、回転を阻止されている。これにより、選択ギヤホルダー61は、トレイホルダー選択ギヤ46を回動自在に保持しつつ昇降方向にはこれと連結しながら、伝達レバー60のガイド溝60bに沿って上下動を行う。
【0134】
同図に示すように、トレイホルダー選択ギヤ46は、筺体1に設けられた回転軸1qに回動自在に、且つ装置上下方向に摺動自在に取り付けられている。トレイホルダー選択ギヤ46には、選択カム29のギヤ部と噛み合うギヤ部46aと、選択カム29の回転保持部に接触する被回転保持部46bが設けられている。また、その上側には、断面がT字状の円弧面(図示せず)が設けられ、上述した選択ギヤホルダー61のギヤ保持部61aに回動自在に保持されている。
【0135】
上記構成により、再生ユニット駆動ギヤ57の駆動力が、メカホルダー昇降部材23の摺動動作、及びスイッチギヤ48の昇降動作、さらにはトレイホルダー選択ギヤ46の昇降動作を行わせるべく伝達される。つまり、同図(a)の状態から同図(b)の状態へと、また逆に、同図(b)の状態から同図(a)の状態へと変化させことになる。具体的な動作説明については後述する。
【0136】
図21は、本ディスクローディング装置における、選択カム29に関する部分の構成を示す図である。同図(a)は天面斜視図、同図(b)は他の方向から見た天面斜視図、同図(c)は底面斜視図、そして同図(d)は外側面部の展開図、同図(e)は内側面部の展開図を示している。同図(d),(e)では、選択カム29の中心から見た或る方位(ここでは装置前方)を0°とし、側面を360°まで展開している。なお、同図(e)においては、説明の便宜上、展開図示方向を同図(d)に合わせている。そして、各ギヤの噛み合い状態、及び基板,検出回路部品の配置状態を示している。
【0137】
同図に示すように、選択カム29の外側面には、最上段の約半周の範囲(本実施例では225°より45°まで)にギヤ部29aが設けられている。これは、モーター31の駆動力を選択カム29に伝達する中間ギヤ38と噛み合うものである。ギヤ部29aは、中間ギヤ38と噛み合う複数の歯からなる歯部29a1と、組み込み用の欠歯部29a2とから構成されている。
【0138】
また、選択カム29の外側面の最上段でギヤ部29a以外の範囲(本実施例では45°より225°まで)には、ギヤ部29bが設けられている。これは、トレイホルダー8を装置上下方向に選択的に駆動するための駆動力を伝達するトレイホルダー選択ギヤ46と噛み合うものである。ギヤ部29bは、下段にトレイホルダー選択ギヤ46のギヤ部46aと噛み合う複数の歯からなる歯部29b1と、歯部29b1のピッチ円直径を外径とする円弧状の欠歯部29b2と、が連続して設けられるギヤ群より構成されている。歯部29b1,欠歯部29b2によるギヤ群の上段には、欠歯部29b2と同径の欠歯部29b3が形成されている。
【0139】
上述のように、中間ギヤ38と噛み合い、駆動力を伝達するギヤ部29aと、トレイホルダー選択ギヤ46と噛み合い、トレイホルダー選択ギヤ46の回動及び制御を行うギヤ部29bとは、同一層に構成されている。これにより、本来であれば選択カム29にもう一層のギヤ部が必要であるものが、中間ギヤ38とトレイホルダー選択ギヤ46とを効率よく配設することにより、同一層にギヤ部29aとギヤ部29bという2種類の機能を持たせることができるので、もう一層分を設ける必要がなくなり、その分、薄型化を図ることが可能となる。
【0140】
また、選択カム29の外側面でギヤ部29a,ギヤ部29bの下側には、回転保持部29cが設けられている。回転保持部29cは、外径の大きい保持部29c1と、保持が行われない歯部29c2が連続して設けられている。歯部29c2は、上側に位置する歯部29b1と同一の歯で構成されている。ここで図22は、選択カム29とトレイホルダー選択ギヤ46に関する構成を示す図であり、同図(a)は平面図である。また同図(b)は、トレイホルダー選択ギヤ46が下降した状態の斜視図であり、同図(c)は、トレイホルダー選択ギヤ46が上昇した状態の斜視図である。
【0141】
同図(a)に示すように、選択カム29のギヤ部29bに噛み合う、トレイホルダー選択ギヤ46のギヤ部46aには、そのピッチ円直径に沿って歯の先端部分を切り落とした形状の複数の切欠歯46a1が設けてあり、上述したギヤ部29bの欠歯部29b2、及び欠歯部29b3において、回転位置を保持するように予め設定されている。また、トレイホルダー選択ギヤ46には、ギヤ部46aの下側に複数の被保持部46bが設けられている。被保持部46bは、回転中心よりギヤ部46aのピッチ円直径まで突出しており、選択カム29の保持部29c1と接触して、回転位置を保持するように構成されている。
【0142】
同図(b)に示すように、トレイホルダー選択ギヤ46が下降状態のとき、ギヤ部46aは、選択カム29の歯部29b1,欠歯部29b2のギヤ群に位置する。故に、選択カム29の回動により、ギヤ部46aは、選択カム29の欠歯部29b2で位置保持されて歯部29b1と噛み合い、被保持部46bは、同様に保持部29c1で位置保持されて歯部29c2と噛み合う。これにより、トレイホルダー選択ギヤ46が下降位置にある時、その回動と保持は選択カム29の回動により行われる。
【0143】
同図(c)に示すように、トレイホルダー選択ギヤ46が上昇状態のとき、ギヤ部46aは、選択カム29の欠歯部29b3に位置する。故に、トレイホルダー選択ギヤ46は、選択カム29の回動に関係なく、回転しない状態が保たれる。トレイホルダー選択ギヤ46は、図14,図15に示すように、その回動による駆動力が中間ギヤ47を介して、左トレイホルダー昇降部材25に伝達される。左トレイホルダー昇降部材25は、昇降連動部材27(図12に図示)を介して連動する右トレイホルダー昇降部材26(図12に図示)と共に、トレイホルダー8を昇降させる。
【0144】
次に、図21に示すように、選択カム29の外側面で回転保持部29cの下側には、略半周の範囲(本実施例では80°より250°まで)にギヤ部29dが設けられている。これは、第1トレイ6,第2トレイ7を駆動する第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11を、選択的に昇降移動させるための駆動力を伝達するトレイ選択ギヤ44と噛み合うものである。ギヤ部29dは、トレイ選択ギヤ44のギヤ部44aと噛み合う複数の歯からなる歯部29d1と、歯部29d1のピッチ円直径を径とする円弧状の欠歯部29d2と、が連続して設けられている。
【0145】
歯部29d1は歯部29b1と同形状の歯で構成され、欠歯部29d2は欠歯部29b2と同じ径で構成されている。トレイ選択ギヤ44とトレイホルダー選択ギヤ46は、選択カム29の中心より同じ距離に位置し、且つ、選択カム29の中心から見た、トレイ選択ギヤ44とトレイホルダー選択ギヤ46との間の角度は、上記歯部29b1及び29d1の歯間角度の整数倍の位置に配設されている。つまり、トレイ選択ギヤ44はトレイホルダー選択ギヤ46と同様の動作ができるように構成されている。
【0146】
ここで図23は、トレイ選択ギヤ44と選択カム29に関連する部分の構成を示す平面図である。図22,図23に示すように、選択カム29のギヤ部29dと噛み合う、トレイ選択ギヤ44のギヤ部44aには、そのピッチ円直径に沿って歯の先端部分を切り落とした形状の、複数の切欠歯44a1が設けてあり、上述したギヤ部29dの欠歯部29d2において、回転位置を保持するように予め設定されている。また、トレイ選択ギヤ44には、ギヤ部44aの上側に複数の被保持部44bが設けられている。被保持部44bは、回転中心よりギヤ部44aのピッチ円直径まで突出しており、選択カム29の保持部29c1と接触して、回転しないよう保持するように構成されている。
【0147】
トレイ選択ギア44は、選択カム29の回動により、ギヤ部44aが、選択カム29の欠歯部29d2で位置保持されて歯部29d1に噛み合い、被保持部44bが、同様にして保持部29c1で位置保持されて歯部29c2に噛み合う。これにより、トレイ選択ギヤ44は、その回動と保持が選択カム29の回動により行われる。またトレイ選択ギヤ44は、図14,図15に示すように、その回動による駆動力が中間ギヤ45を介して、第1トレイ6,第2トレイ7を駆動する第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11を選択的に昇降させるカム板15に伝達される。
【0148】
次に、図21に示すように、選択カム29の内側面で、略半周の範囲(本実施例では350°より170°まで)の上段にはギヤ部29eが、下段には回転保持部29fが、それぞれ設けられている。これは、スイッチ73をON,OFFさせるスイッチギヤ48と噛み合うものである。ギヤ部29eは、スイッチギヤ48のギヤ部48aと噛み合う複数の歯からなる歯部29e1と、ギヤ部48aと接触しないギヤ離間部29e2と、が連続して設けられている。また、回転保持部29fには保持部29f1が設けられ、その下部には保持が行われないギヤ逃げ部29f2と保持部29f3とが連続して設けられている。保持部29f1と保持部29f3は同じ径である。また、ギヤ逃げ部29f2は、歯部29e1の下側に位置する。
【0149】
ここで、図24はスイッチギヤ48と選択カム29に関連する部分の構成を示す図である。同図(a)はスイッチギヤ48の回転保持状態を示す平面図であり、同図(b)は回転保持状態のスイッチギヤ48が上昇位置にある時の断面図であり、同図(c)は回転保持状態のスイッチギヤ48が下降位置にある時の断面図である。また、同図(d)は回動時のスイッチギヤ48を示す平面図であり、同図(e)は回動時のスイッチギヤ48を示す断面図である。
【0150】
同図(a)に示すように、選択カム29のギヤ部29eと噛み合う、スイッチギヤ48のギヤ部48aには、等間隔に欠歯部48a1が配設されている。また欠歯部48a1より下側に延びた位置には被保持部48bが設けられている。被保持部48bは、略歯型形状をしており、選択カム29の保持部29f1及び保持部29f3と接触して、回転しない状態を保持するように構成されている。
【0151】
同図(b)に示すように、スイッチギヤ48が上昇位置のとき、ギヤ部48aは選択カム29のギヤ部29eの上側に位置し、互いに噛み合える位置関係にはなく、一方、被保持部48bは、選択カム29の保持部29f1に位置する。これにより、スイッチギヤ48は、選択カム29の回動には関係なく、常に回転しない状態にある。なお、このとき、円弧面48cの開口部48c1が、スイッチ73のノブ73aの上側に位置するため、スイッチ73はOFF状態となっている。
【0152】
同図(c)に示すように、スイッチギヤ48の斜面突起部48dが、伝達ギヤ58に設けた開口部58dの端面58d1と当接し、これによりスイッチギヤ48が下降させられることで、ギヤ部48aは選択カム29に設けたギヤ部29eのギヤ離間部29e2に位置することとなり、被保持部48bは選択カム29の保持部29f3に位置することとなる。このとき、スイッチ73のノブ73aは、スイッチギヤ48の円弧面48cの開口部48c1に位置するため、OFF状態にある。
【0153】
この後、選択カム29の回動により、ギヤ部48aは選択カム29の歯部29e1と噛み合い、ギヤ離間部29e2で位置保持され、被保持部48bはギヤ逃げ部29f2と噛み合い、保持部29f3で位置保持される。これにより、スイッチギヤ48は、その回動と保持が選択カム29の回動により行われる。この場合、スイッチギヤ48の回動と保持の動作が、トレイ選択ギヤ44及びトレイホルダー選択ギヤ46それぞれの回動と保持の動作と同期するように、選択カム29の各ギヤ部,保持部は設定されている。
【0154】
なお、スイッチギヤ48のギヤ部48aと噛み合う、選択カム29の歯部29e1は5箇所あり、そのうち1箇所は組み込み位置へと回動するため、残り4箇所にてスイッチギヤ48の回動を行う。これに対してスイッチギヤ48のギヤ部48aには、歯部48a2が欠歯部48a1を挟んで5箇所設けられている。故に、スイッチギヤ48は最大で5分の4回転回動し、1回転(360°)することはない。
【0155】
また、同図(d),(e)に示すように、スイッチギヤ48の下降後、選択カム29の回動により、スイッチギヤ48は回動を行う。そして、スイッチギヤ48の円弧面48cがスイッチ73のノブ73aを押し下げ、ON状態にさせる。ここで、円弧面48cには開口部48c1が1箇所しかなく、且つ上述したように1回転しないため、スイッチギヤ48が下降したときの選択カム29の回転位置のみ、スイッチ73がON状態にならない。つまり、スイッチ73のONにより、スイッチギヤ48の下降後に選択カム29が回動したことが分かるとともに、逆に、スイッチ73のOFFにより、スイッチギヤ48が下降したときの選択カム29の回転位置が分かる構成になっている。
【0156】
次に、図21に示すように、選択カム29の内側面で、ギヤ部29e及び回転保持部29f以外の範囲(本実施例では170°より350°まで)には、フォト検知部29gが設けられている。これは、フォトインタラプタ71により、選択カム29の回転位置の検出を行うものである。フォト検知部29gには、スリット29g1が複数設定されている。これは、選択カム29を任意のスリット29g1まで回動し、停止させる構成である。なお、各スリット29g1の位置は、トレイ選択ギヤ44,トレイホルダー選択ギヤ46,及びスイッチギヤ48の回転保持状態になる位置にそれぞれ合致している。
【0157】
また、同図に示すように、選択カム29の内側面で、フォト検知部29gの終端部(本実施例では350°の位置)には、突起面29hが設けられている。これは、スイッチ72のノブ72aを操作し、ON,OFFさせるものである。そして、上述したフォトインタラプタ71に、最終端のスリット29g1が位置するときのみ、スイッチ72がONするように構成されている。これにより、スイッチ72のONの位置が、選択カム29の回動基準位置となり、その基準位置より、フォトインタラプタ71を通過したスリット29g1の数を確認することにより、選択カム29の回動位置を検知する構成になっている。
【0158】
上述のように、スイッチギヤ48と噛み合い、スイッチギヤ48の回動及び制御を行うギヤ部29e及び回転保持部29fと、フォトインタラプタ71及びスイッチ72により回転位置の検出を行うフォト検知部29g及び突起面29hとは、同一層に構成されている。これにより、本来であれば選択カム29にもう一層以上のギヤ部が必要であるものが、スイッチギヤ48と、フォトインタラプタ71及びスイッチ72とを効率よく配設することにより、同一層にギヤ部29e及び29fと、フォト検知部29g及び突起面29hとの2種類の機能を持たせることができるので、もう一層分設ける必要がなくなり、その分、薄型化を図ることが可能となる。
【0159】
図25は、本実施例のディスクローディング装置における基本動作図である。同図は装置の左側面を示している。本実施例では、装置に収納可能なディスク枚数を5枚として説明する。各トレイは、以降の説明における便宜上、最下段をNo.1とし、最上段のNo.5まで順に番号を与えておく。
【0160】
同図(a)には、待機状態が示されている。なお、本ディスクローディング装置は、待機状態が輸送状態(商品を出荷する時の状態)でもある。待機状態においては、No.1〜No.5の全ての第1トレイ6,第2トレイ7が収納位置T2にある。また、第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11,及びトレイホルダー8(図示せず)は、No.1トレイ選択位置にある。さらに、メカホルダー21内のディスク再生機構ユニット22は非再生位置P2にある。
【0161】
待機状態より、例えばNo.4の第1トレイ6,第2トレイ7に対してディスクの着脱を行う場合、まず、同図(b)に示すように、第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11,及びトレイホルダー8が、選択されたNo.4トレイの選択位置へ上昇する。次に、同図(c)に示すように、第1トレイ駆動ギヤ10及び第2トレイ駆動ギヤ11によって、No.4の第1トレイ6,第2トレイ7を駆動し、着脱位置T1へと移動させる。
【0162】
続いて、No.4の第1トレイ6,第2トレイ7上のディスクを再生する場合には、まず、同図(b)に示すように、第1トレイ駆動ギヤ10によって、No.4の第1トレイ6,第2トレイ7を駆動し、収納位置T2へと移動させる。そして、引き続き、同図(d)に示すように、第2トレイ駆動ギヤ11によって、No.4の第2トレイ7を駆動し、再生位置T3へと移動させる。そして、同図(e)に示すように、ディスク再生機構ユニット22が再生位置P1へと移動して、No.4の第2トレイ7上に載置されていたディスクの再生が行われる。
【0163】
ここで、ディスクの再生中に、例えばNo.1の第1トレイ6,第2トレイ7に対してディスクの着脱を行う場合、まず、同図(f)に示すように、第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11のみが、新たに選択されたNo.1トレイ選択位置へ下降する。そして、同図(g)に示すように、第1トレイ駆動ギヤ10及び第2トレイ駆動ギヤ11によって、No.1の第1トレイ6,第2トレイ7を駆動し、着脱位置T1へと移動させる。そして、上記と逆の手順により、No.1の第1トレイ6,第2トレイ7を収納位置T2に移動させる。
【0164】
以上が本ディスクローディング装置における基本動作の概要であり、移動するトレイは、No.1からNo.5まで任意に選択することができる。以下、上記図25に示した基本動作に沿って、待機状態より、ディスクの選択,着脱,再生,及び再生中における別ディスクの交換、という本ディスクローディング装置の動作を詳しく説明する。
【0165】
図26は、選択カム29の構成を示す平面図である。同図に示すように、選択カム29は、中心の周りに所定の角度範囲を数箇所で等分した位置に、保持状態が可能な回転位置を有している。本実施例の説明上、黒丸印により回転位置を示す。ちなみに、同図は待機状態になる位置(以後Pm0で表す)を示している。
【0166】
そして図27は、トレイ駆動カム30の構成を示す平面図である。同図に示すように、トレイ駆動カム30は、中心の周りに数箇所で不等分した位置に、保持状態が可能な回転位置を有している。本実施例の説明上、黒丸印により回転位置を示す。ちなみに、同図は待機状態になる位置(以後Pt2で表す)を示している。
【0167】
図28〜図33は、選択カム29に関連する部分の模式的な状態遷移図である。それぞれ(a)は平面図、(b)は左側面図を示している。また図34〜図39は、トレイ駆動カム30に関連する部分の模式的な状態遷移図である。それぞれ、(a)はトレイ駆動カム30とそれに関連する各ギヤとの関係を示す平面図であり、(b)はトレイとトレイ駆動ギヤとの関係を示す平面図である。
【0168】
具体的には、図34〜図39の(a)は、トレイ駆動カム30を上下方向に分離して、左側にはトレイ駆動カム30の回転保持部30c、及びギヤ部30d,30e,30f、及び突起部30gと、それに関連する各ギヤとの関係を示しており、右側にはトレイ駆動カム30の回転保持部30c、及びギヤ部30a,30bと、それに関連する各ギヤとの関係を示している。また、図34〜図39の(b)は、第1トレイ6と第2トレイ7を分離して、第1トレイ駆動ギヤ10及び第2トレイ駆動ギヤ11との関係を示している。上記平面図は、図25の(a)〜(g)に示す基本動作に沿った状態を示す。
【0169】
さて、図28,図34,及び図25(a)は、待機状態を示している。ここでは図28に示すように、選択カム29はPm0の位置にあり、全ての第1トレイ6,第2トレイ7が収納位置T2にある。そして、第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11,及びトレイホルダー8は、No.1トレイの選択位置高さに、左トレイホルダー昇降部材25のカム溝25a、及び右トレイホルダー昇降部材26のカム溝26aにより保持されている。
【0170】
また、全ての第1トレイ6,第2トレイ7には、トレイロック部材14のロック部14dが、カム板15のカム凹凸部15eに押圧されて係合し、位置保持されている。さらに、スイッチ72は、選択カム29の内側面にある突起面29hにノブ72aを押されてON状態にあり、またフォトインタラプタ71は透過検知状態、スイッチ73はOFF状態にある。
【0171】
このとき、トレイ選択ギヤ44は、選択カム29に対して、ギヤ部44aが欠歯部29d2に、被保持部44bが保持部29c1に、それぞれ接触し、中間ギヤ45を介して、カム板15を保持している。つまり、カム板15のカム凹凸部15eに操作されるトレイロック部材14は、上述した全トレイを保持する状態となっている。そして、カム溝15cにより、第1ギヤカバー12を介して昇降を行う第1トレイ駆動ギヤ10が、No.1トレイ選択位置に保持されており、そして、カム溝15dにより、第2ギヤカバー13を介して昇降を行う第2トレイ駆動ギヤ11が、No.1トレイ選択位置に保持されている。
【0172】
また、トレイホルダー選択ギヤ46は、図20(a)及び図22(b)に示す下降位置にあり、ギヤ部46aが欠歯部29b2に、被保持部46bが保持部29c1に、それぞれ接触し、中間ギヤ47を介して、左トレイホルダー昇降部材25を保持している。つまり、左トレイホルダー昇降部材25と、昇降連動部材27を介して連動する右トレイホルダー昇降部材26とにより、昇降を行うトレイホルダー8は、No.1トレイ選択位置に保持されている。
【0173】
スイッチギヤ48は、図20(a)及び図24(b)に示すように、上昇位置にあり、円弧面48cの開口部48c1が、スイッチ73の上側に位置している。そして、ギヤ部48aが選択カム29のギヤ部29eの上側に位置し、被保持部48bが保持部29f1に接触して、保持されている。また、図34に示すように、トレイ駆動カム30はPt2の位置にあり、スイッチ74はOFF状態、スイッチ75はON状態にある。さらに、図25(a)にも示すように、ディスク再生機構ユニット22は非再生位置P2にある。
【0174】
このとき、第1トレイ駆動カムギヤ50は、トレイ駆動カム30に対して、ギヤ部50aが欠歯部30b2に、被保持部50cが保持部30c1に、それぞれ接触し、中間ギヤ51,中間ギヤ9を介して、第1トレイ駆動ギヤ10の回動を停止しているため、第1トレイ6は移動を禁止されている。このとき、第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49aは、ギヤ離間部30a3に位置している。
【0175】
第3トレイ駆動カムギヤ53は、ギヤ部53aが欠歯部30d2に、被保持部53cが保持部30c1に、それぞれ接触し、中間ギヤ54,55,56,及び中間ギヤ9を介して、第2トレイ駆動ギヤ11の回動を停止しているため、第2トレイ7は移動を禁止されている。このとき、第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aは、離間歯部30e3に位置している。
【0176】
再生ユニット駆動ギヤ57は、図20(a)に示すように、ギヤ部57aが欠歯部30f2に接触し、伝達ギヤ58,中間ギヤ59を介して連結しているメカホルダー昇降部材23の位置を保持している。これにより、メカホルダー昇降部材23のガイド溝23aに沿って回動を行うメカホルダー21、及びメカホルダー21に螺着されているディスク再生機構ユニット22は、非再生位置P2にて保持されている。また、スイッチギヤ48は上昇位置に保持され、トレイホルダー選択ギヤ46は、伝達レバー60,選択ギヤホルダー61を介して、下降位置に保持されている。
【0177】
図34(b)に示すように、第2トレイ7のラック7jは、収納位置T2にて第1トレイ駆動ギヤ10と噛み合わないように設定されている。また、待機状態では、ラック7jの1歯間7kにトレイロック部材14のロック部14dが係合し、第2トレイ7の保持を行っている。同様に、第1トレイ6のラック6eは、収納位置T2にて第2トレイ駆動ギヤ11と噛み合わないように、離間部6e1が設けられている。また、待機状態では、ラック6eの1歯間6fにトレイロック部材14のロック部14dが係合し、第1トレイ6の保持を行っている。
【0178】
次に、ディスクの選択は、モーター31の回転により、選択カム29を図26に示すPm0の位置からPm5の位置までの間で、矢印で示すように回動させることにより行われる。なお、選択動作は、モーター32は回転させず、モーター31の回転による選択カム29の回動のみで行われる。
【0179】
ここで、図28に示す待機状態から、図29に示すNo.1トレイ選択状態への動作について説明する。まず、図26に示す待機状態より、選択カム29を、フォトインタラプタ71の位置にフォト検知部29gの次のスリット29g1が来るまで、反時計方向に回転させる。つまり、選択カム29をPm0の位置よりPm1の位置まで回転させる。このとき、回動基準位置を判断するスイッチ72は、突起面29hの回動によりON状態からOFF状態となる。
【0180】
また、トレイ選択ギヤ44は、ギヤ部44aが選択カム29のギヤ部29dの歯部29d1と噛み合い、被保持部44bが回転保持部29cの歯部29c2と噛み合う。図21及び図22に示すように、歯部29d1と歯部29c2とは同一の歯で構成されているゆえ、トレイ選択ギヤ44は、歯部29d1(又は歯部29c2)の歯数分だけ回動駆動される。本実施例では、1/3回転だけ回動駆動されるように構成されている。そして、中間ギヤ45を介してカム板15を1ストローク分摺動させる。このカム板15の摺動により、カム凹凸部15eが、No.1トレイ位置のトレイロック部材14のみを回動させ、トレイロック状態を解除させる。
【0181】
なお、このときすでにNo.1トレイ位置に移動している第1トレイ駆動ギヤ10、及び第2トレイ駆動ギヤ11が動かないように、カム板15のカム溝15c,15dは設定されている。そして、トレイ選択ギヤ44は、再びギヤ部44aがギヤ部29dの欠歯部29d2と接触し、被保持部44bが回転保持部29cの保持部29c1と接触することにより、上述したNo.1トレイ位置での選択状態を保持する。
【0182】
このとき、トレイホルダー選択ギヤ46は、ギヤ部46aが欠歯部29b2との接触を維持することによって回転位置を保持する。これにより、トレイホルダー8は、No.1トレイ位置に引き続き保持される。同様に、スイッチギヤ48も、被保持部48bが保持部29f1との接触を維持することによって回転位置を保持する。これにより、スイッチ73は、引き続きOFF状態を維持される。また、以上と逆の手順によって、No.1トレイ選択状態から待機状態へと変えることができる。
【0183】
次に、図29に示すNo.1トレイ選択状態から、図31及び図25(b)に示すNo.4トレイ選択状態への動作について説明する。ここで、No.1トレイ選択状態からNo.4トレイ選択状態への動作は、No.1トレイ選択状態から、No.2トレイ選択状態への動作手順を繰り返し行うことにより、No.3トレイ選択状態,No.4トレイ選択状態へと動作する。
【0184】
まず、No.1トレイ選択状態から、図30に示すNo.2トレイ選択状態への動作について説明する。図29に示すNo.1トレイ選択状態より、選択カム29を、フォトインタラプタ71の位置にフォト検知部29gの次のスリット29g1が来るまで、反時計方向に回転させる。つまり、選択カム29をPm1の位置よりPm2の位置まで回転させる。このとき、回動基準位置を判断するスイッチ72は、引き続きOFF状態である。
【0185】
また、トレイ選択ギヤ44は、ギヤ部44aが選択カム29のギヤ部29dの歯部29d1と噛み合い、被保持部44bが回転保持部29cの歯部29c2と噛み合う。図21及び図22に示すように、歯部29d1と歯部29c2とは同一の歯で構成されているゆえ、トレイ選択ギヤ44は、歯部29d1(又は歯部29c2)の歯数分だけ回転駆動される。本実施例では、1/3回転だけ回動駆動されるように構成されている。
【0186】
そして、中間ギヤ45を介してカム板15を1ストローク分摺動させる。このカム板15の摺動により、カム凹凸部15eが、No.1トレイ位置のトレイロック部材14を回動させ、再びトレイロック状態にさせるとともに、No.2トレイ位置のトレイロック部材14を回動させ、トレイロック状態を解除させる。
【0187】
また、カム板15の摺動により、カム溝15cに沿って昇降する第1ギヤカバー12(図示せず)を介して、第1トレイ駆動ギヤ10がNo.1トレイ選択位置よりNo.2トレイ選択位置に上昇移動する。そして、第1トレイ駆動ギヤ10の歯部10dが、No.2トレイ選択位置の第1トレイ6のラック6eと噛み合う。同様に、カム溝15dに沿って昇降する第2ギヤカバー13(図示せず)を介して、第2トレイ駆動ギヤ11が、No.1トレイ選択位置よりNo.2トレイ選択位置に上昇移動する。そして、第2トレイ駆動ギヤ11の歯部11dが、No.2トレイ選択位置の第2トレイ7のラック7jと噛み合う。
【0188】
このとき、第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11は、共にトレイ駆動カム30により保持された状態にある。そして、第1トレイ駆動ギヤ10の歯部10dと、No.1トレイ選択位置にある第1トレイ6のラック6eとの噛み合いが外れる以前に、No.1トレイ選択位置のトレイロック部材14を回動させ、トレイロック状態にさせるように、カム板15のカム凹凸部15eとカム溝15cでトレイロック部材14が動かされる。
【0189】
逆に、第1トレイ駆動ギヤ10の歯部10dと、No.2トレイ選択位置にある第1トレイ6のラック6eとが噛み合った後に、No.2トレイ選択位置のトレイロック部材14を回動させ、トレイロック状態を解除させるように、カム板15のカム凹凸部15eとカム溝15cでトレイロック部材14が動かされる。同様に、第2トレイ駆動ギヤ11の歯部11dと、No.1トレイ選択位置にある第2トレイ7のラック7jとの噛み合いが外れる以前に、No.1トレイ選択位置のトレイロック部材14を回動させ、トレイロック状態にさせるように、カム板15のカム凹凸部15eとカム溝15dでトレイロック部材14が動かされる。
【0190】
また、第2トレイ駆動ギヤ11の歯部11dと、No.2トレイ位置にある第2トレイ7のラック7jとが噛み合った後に、No.2トレイ選択位置のトレイロック部材14を回動させ、トレイロック状態を解除させるように、カム板15のカム凹凸部15eとカム溝15dでトレイロック部材14が動かされる。これらの動作により、常時、第1トレイ6,第2トレイ7は、トレイロック部材14によるトレイロック状態にあるか、或いは第1トレイ駆動ギヤ10及び第2トレイ駆動ギヤ11が噛み合っているため、本ディスクローディング装置を傾けて使用した場合でも、ディスク選択時にトレイが収納位置T2より外れることが防止される。
【0191】
そして、トレイ選択ギヤ44は、再びギヤ部44aが選択カム29の欠歯部29d2と接触し、被保持部44bが選択カム29の保持部29c1と接触することにより、上述したNo.2トレイ選択位置を保持する。
【0192】
次に、トレイホルダー選択ギヤ46は、ギヤ部46aが選択カム29の歯部29b1と噛み合い、被保持部46bが選択カム29の歯部29c2と噛み合う。図21に示すように、歯部29b1と歯部29c2とは同一の歯で構成されているゆえ、トレイホルダー選択ギヤ46は、歯部29b1(又は歯部29c2)の歯数分だけ回動駆動される。本実施例では、1/3回転だけ回動駆動されるように構成されている。
【0193】
そして、中間ギヤ47を介して、左トレイホルダー昇降部材25を1ストローク分摺動させる。左トレイホルダー昇降部材25と、昇降連動部材27(図示せず)を介して連動する右トレイホルダー昇降部材26との摺動により、トレイホルダー8の小径軸部8gが、左トレイホルダー昇降部材25のカム溝25a、及び右トレイホルダー昇降部材26のカム溝26aにより押圧され、トレイホルダー8は、No.2トレイ選択位置へと上昇する。
【0194】
そして、トレイホルダー選択ギヤ46は、再びギヤ部46aが選択カム29の欠歯部29b2と接触し、被保持部46bが選択カム29の保持部29c1と接触することにより、トレイホルダー8をNo.2トレイ選択位置に保持する。スイッチギヤ48は、被保持部48bが選択カム29の保持部29f1に接触を維持することによって、回転せずその位置を保持する。これにより、スイッチ73は、引き続きOFF状態を維持される。
【0195】
以上の手順により、No.1トレイ選択位置からNo.2トレイ選択位置へのディスク選択動作が行われる。図31及び図25(b)に示すNo.4トレイ選択位置へのディスク選択動作は、選択カム29をPm2よりPm3へと、そしてPm4へと、上述した手順を繰り返すことにより行わる。また、逆の手順を繰り返すことにより、下側のトレイ位置へのディスク選択が行われる。ここでは、No.4トレイ選択位置までのディスク選択動作を説明したが、No.5トレイ選択位置への選択動作も同様に、選択カム29をPm4からPm5に回動することにより、上述した手順と同様に選択動作が行われる。また、逆の手順を繰り返すことにより、上述した手順と同様に下側のトレイ位置への選択動作が行われる。
【0196】
次に、選択されたディスクの、図35及び図25(b)に示す収納位置T2から、図36及び図25(c)に示す着脱位置T1への動作について説明する。着脱位置T1への動作は、トレイ駆動カム30が、モーター32の回転により、スイッチ74がOFF状態、スイッチ75がON状態となるPt2位置より、スイッチ74がON状態、スイッチ75がOFF状態となるPt1へと回動することにより行われる。なお、モーター31は回転させず、モーター32の回転によるトレイ駆動カム30の回動のみで行われる。
【0197】
このとき、再生ユニット駆動ギヤ57は、ギヤ部57aがトレイ駆動カム30の欠歯部30f2との接触を維持することによって、回転せずその位置を保持する。これにより、ディスク再生機構ユニット22は、非再生位置P2状態が継続される。第1トレイ駆動カムギヤ50は、図18(b)に示すように、ギヤ部50aがトレイ駆動カム30の歯部30b1と噛み合い、回動駆動される。そして、第1トレイ駆動カムギヤ50の回動駆動力は、中間ギヤ51,中間ギヤ9を介して、第1トレイ駆動ギヤ10を回動させ、ラック6eが噛み合う第1トレイ6を駆動させる。
【0198】
また同時に、第3トレイ駆動カムギヤ53は、図19(b)に示すように、ギヤ部53aがトレイ駆動カム30の歯部30d1と噛み合い、回動駆動される。そして、第3トレイ駆動カムギヤ53の回動駆動は、中間ギヤ54,55,56,及び中間ギヤ9を介して、第2トレイ駆動ギヤ11を回動させ、ラック7jが噛み合う第2トレイ7を駆動させる。
【0199】
ここで、第1トレイ6と第2トレイ7が同期して駆動を行うように、各々の駆動源であるトレイ駆動カム30の歯部30b1と歯部30d1は、同じピッチ円直径の同一形状の歯で構成され、且つ、第1トレイ駆動カムギヤ50のギヤ部50aと、第3トレイ駆動カムギヤ53のギヤ部53aとが各々同時に噛み合うように、歯部30b1と歯部30d1は構成されている。また、歯部30b1から第1トレイ6のラック6eまでの減速比と、歯部30d1から第2トレイ7のラック7jまでの減速比は同一に設定されている。
【0200】
そして、図40(a)に示すように、第2トレイ駆動ギヤ11によって駆動された第2トレイ7のラック7jが、回動している第1トレイ駆動ギヤ10と噛み合い、その後、第2トレイ駆動ギヤ11との噛み合いが外れる。これにより、第2トレイ7を駆動するギヤは、第2トレイ駆動ギヤ11より第1トレイ駆動ギヤ10に変わり、第1トレイ6と共に着脱位置まで駆動される。なお、同図(d)は同図(a)のD部詳細、同図(e)は同図(b)のE部詳細、同図(f)は同図(c)のF部詳細、同図(g)は同図(c)のG部詳細をそれぞれ示している。
【0201】
ここで、第1トレイ駆動ギヤ10は、トレイ駆動カム30からのギヤ連結により回動している。同様に、第2トレイ駆動ギヤ11も、トレイ駆動カム30からのギヤ連結により回動している。このとき、ギヤ連結駆動時に各部品の精度のバラツキや強度不足により、第1トレイ駆動ギヤ10と第2トレイ駆動ギヤ11との回動ずれがおこり、上述した第2トレイ7のラック7jとの噛み合い不具合が生じる恐れがある。
【0202】
そこで、上述した駆動の切り替えにおいて、第2トレイ7のラック7jが、回動している第1トレイ駆動ギヤ10とスムーズに噛み合えるように、第2トレイ7のラック7jは、前面より向かって先頭の第1歯7j1が、2歯分を一つの歯にした全歯丈の長い形状となっている。そして、第1歯7j1には、歯先の後部側を斜めに削り落とした誘い込み面7j11が設けられている。また、第1トレイ駆動ギヤ10には、第2トレイ7の第1歯7j1と噛み合う欠歯部10eが設けられている。
【0203】
例えば、図40(a)に示すように、第2トレイ7が、第1トレイ駆動ギヤ10の回動より遅く駆動され、7j1’で示すように噛み合いが略半歯分遅れた状態になった場合でも、第1トレイ駆動ギヤ10の歯が、第2トレイ7の第1歯7j1に設けられた誘い込み面7j11と噛み合い、正規の噛み合い状態にすることができる。また逆に、噛み合いが早くなった場合でも、第2トレイ7の第1歯7j1は歯丈が長く成形されているが、第1トレイ駆動ギヤ10の欠歯部10eがあるため欠歯部10eに挿通され、第1トレイ駆動ギヤ10の歯を押し当てながら噛み合わせることができる。
【0204】
上述した構成により、第1トレイ駆動ギヤ10が、第1トレイ6,第2トレイ7を重畳した状態で着脱位置まで駆動する。このとき、第3トレイ駆動カムギヤ53は、再びギヤ部53aがトレイ駆動カム30の欠歯部30d2に接触することによって、回転位置を保持する。これにより、第2トレイ駆動ギヤ11は回転保持される。また、以上と逆の手順によって、第1トレイ10,第2トレイ11を着脱位置T1より収納位置T2に移動させることができる。
【0205】
ここで、図40(b),(c)は、収納位置T2への移動における、第1トレイ6,第2トレイ7と、第2トレイ駆動ギヤ11との噛み合い状態を示す。収納位置T2への移動時、第2トレイ7のラック7jが、回動している第2トレイ駆動ギヤ11とスムーズに噛み合えるように、第2トレイ7のラック7jは、前面より向かって最終歯7j2が、他の歯より歯丈の長い形状となっている。また、第2トレイ駆動ギヤ11は、第2トレイ7の最終歯7j2と噛み合う歯11a1が、歯先を円弧状に切り落とした形状となっており、もう一方の噛み合う歯11a2が、歯厚の薄い、歯先を斜めに切り落とした傾斜面を有する形状となっている。
【0206】
例えば、図40(c)に示すように、第2トレイ駆動ギヤ11が、第2トレイ7の駆動より遅く回動され、使用者が第1トレイ6,第2トレイ7を手で押込んだ場合に、第1トレイ駆動ギヤ10がバックラッシュや強度不足分、移動が進むことにより、結果的に第2トレイ駆動ギヤ11の回転が遅れたようになる。ここで、11a1’で示すように、噛み合いが略半歯分遅れた状態になった場合でも、第2トレイ7の最終歯7j2が、第2トレイ駆動ギヤ11の歯11a1の円弧状歯先を押し当て、回動遅れ分を回して噛み合わせることができる。また逆に、部品の精度バラツキ等により、噛み合わせが早くなった場合でも、第2トレイ駆動ギヤ11の歯11a2が、その歯先の傾斜面で第2トレイ7の最終歯7j2と噛み合わせて、正規の噛み合い状態にすることができる。
【0207】
また、収納位置T2への移動時、上述したような、ギヤ連結駆動時に部品精度のバラツキや強度不足が影響することによる噛み合い不具合のほかに、本ディスクローディング装置の使用者が、第1トレイ6,第2トレイ7を手動により強制的に装置内部方向に押し込んだ場合でも、第2トレイ駆動ギヤ11への駆動切り替えがスムーズに行われるように、第1トレイ6のラック6eには、離間部6e1の後部に、歯厚が広く歯丈の長い最終歯6e2が設けられている。そして、第2トレイ駆動ギヤ11には、第1トレイ6の最終歯6e2と噛み合う欠歯部11fが設けられている。
【0208】
通常動作では、モーター32の回転により、いくつかの中間ギヤを介し、トレイ駆動カム30が回動する。そして、トレイ駆動カム30の回動が、第1トレイ駆動カムギヤ50,第2トレイ駆動カムギヤ49等を介して、第1トレイ駆動ギヤ10の回動へと伝達される。同様に、トレイ駆動カム30の回動が、第3トレイ駆動カムギヤ53,第4トレイ駆動カムギヤ52等を介して、第2トレイ駆動ギヤ11の回動へと伝達される。故に、トレイ駆動カム30の駆動力が、第1トレイ駆動ギヤ10と第2トレイ駆動ギヤ11とを、上述したギヤ連結時の同期ズレからおこる略半歯分の回動遅れ以内に同期させ回動させている。
【0209】
しかし、第1トレイ6,第2トレイ7が手動により強制的に押し込まれた場合、強制的に押される第1トレイ6,第2トレイ7と噛合している第1トレイ駆動ギヤ10により、各中間ギヤのバックラッシュや強度不足による撓み分、第1トレイ駆動ギヤ10の回転が進むことになる。一方、第2トレイ駆動ギヤ11は、トレイ駆動カム30より中間ギヤを介して回転させられるが、外圧を受けないため、両者の間に位相ズレが生じ、第1トレイ駆動ギヤ10の回動より、第2トレイ駆動ギヤ11の回動が遅れ、第2トレイ駆動ギヤ11と第2トレイ7のラック7jとの噛み合いがずれることになる。
【0210】
しかし、第1トレイ6に最終歯6e2を設けることにより、最終歯6e2と噛み合う第2トレイ駆動ギヤ11の歯が、伝達による位相ズレにより、図40(b)に示す状態よりも、1歯分時計方向に遅れた場合でも、最終歯6e2の端面6e21に押し当てられて回動させられ、回動遅れが修正されて噛み合う。さらに、その後同図(c)において上述したように、第2トレイ7の最終歯7j2と、第2トレイ駆動ギヤ11の歯11a1,11a2とにより、正規の噛み合い状態に噛合して駆動することができる。なお、端面6e21は、繋いだ2歯のラックを位相ズレ分カットした形状となっており、これにより、第1トレイ6と第2トレイ7が重畳された状態で、最終歯6e2と7j2との間に所定の距離を設けた構成となっている。
【0211】
以上の構成により、第1トレイ6,第2トレイ7を、着脱位置T1より収納位置T2に移動させる。ここで、第1トレイ6,第2トレイ7が収納位置T2への移動を完了した状態は、図35に示すように、第1トレイ駆動カムギヤ50のギヤ部50aの噛み合いが、トレイ駆動カム30の歯部30b1より欠歯部30b2に移り、第3トレイ駆動カムギヤ53のギヤ部53aの噛み合いが、トレイ駆動カム30の歯部30d1より、欠歯部30d2に移ることによって行われる。つまり、第1トレイ6,第2トレイ7の移動停止位置設定、及びその停止位置での位置保持を、駆動部品である第1トレイ駆動カムギヤ50、及び第3トレイ駆動カムギヤ53自身で行っているため、位置保持機構を必要としない。
【0212】
また、収納位置T2において、他のトレイ選択位置にある第1トレイ6は、トレイロック部材14によって位置保持されている。しかし、上述した第1トレイ駆動カムギヤ50によって位置保持されている第1トレイ6は、第1トレイ駆動カムギヤ50よりの連結間でおこる連動損失により、収納位置T2まで行き着かない可能性がある。このとき、他の第1トレイ6との位置ズレにより、装置正面から見て外観的に違和感が発生する。この場合には、上述した収納位置T2への移動後、モーター31を回転させ、選択カム29を概ね1トレイ選択位置間分回動させる。
【0213】
本実施例上では、No.4トレイ選択位置より、No.3トレイ選択位置近傍、又はNo.5トレイ選択位置近傍に移動させる。これにより、No.4トレイ選択位置の第1トレイ6は、トレイロック部材14によって位置保持され、他のトレイ選択位置にある第1トレイ6と同じ位置に保持される。その後、モーター31を逆回転させ、No.4選択位置にもどす。これにより、連結損失による位置ズレの補正を行うことができる。
【0214】
上述した補正内容の一例を、図42(a)のタイミングチャートに示して説明する。まず、モーター32のCCW回転により、第1トレイ6,第2トレイ7を着脱位置T1より収納位置T2に移動させる。トレイが収納位置T2に達すると、スイッチ75がONになり、モーター32の回転を停止させる。それと同時に、モーター31をCWに回転させ、選択カム29をNo.4選択位置Pm4よりNo.3選択位置Pm3の方向に回転させる。選択カム29の回転により、No.4選択位置Pm4のスリット29g1(図中のA部)がフォトインタラプタ75より外れ、フォトインタラプタ75はOFFとなる。
【0215】
次に、No.3選択位置Pm3のスリット29g1(図中のB部)がフォトインタラプタ75の位置に回転してきたことを検知すると同時に、モーター31をCCW回転へと逆転させ、No.4選択位置Pm4のスリット29g1(図中のC部)まで回転させて、収納動作完了となる。つまり、No.4選択位置の第1トレイ6,第2トレイ7が収納位置T2に達すると同時に、モーター31と連結しているカム板15が摺動し、No.4選択位置のトレイロック部材14を回動させ、No.4選択位置の第1トレイ6,第2トレイ7をロックする。
【0216】
このトレイロック部材14のロック部14dが、各トレイのラックの一歯間6f,7kに挿入されるロック動作により、クサビ作用にて第1トレイ6と第2トレイ7とはズレ分だけ移動させられ、他のトレイユニットと位置が一致することになる。この状態では、第1トレイ駆動手段と第2トレイ駆動手段の各駆動源(第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11)が、第1トレイ6と第2トレイ7のラック6e,7jと噛合しているが、ロック部14dにより第1トレイ6と第2トレイが移動しても、ギヤ間のバックラッシュが変化するだけで、噛合関係に影響を与えない。
【0217】
そして、その直後にモーター31が逆回転して、カム板15を摺動させ、再びNo.4選択位置の第1トレイ6、第2トレイ7のロック解除を行う。なお、第1トレイ6と第2トレイ7は、自重により位置変化は生じない。上記の様に第2トレイの位置ズレ補正を行う方法は、別機構を必要とせず省スペースで安価な位置ズレ補正手法である。上述した内容においては、No.4選択位置でのトレイ収納時の位置ズレ対策を説明したが、他の選択位置においても同様な動作を行い、位置ズレ対策を行うことができる。
【0218】
次に、選択されたディスクを、図35及び図25(b)に示す収納位置T2から、図37及び図25(d)に示す再生位置T3へと搬送する動作について説明する。再生位置T3への動作は、トレイ駆動カム30が、モーター32の回転により、スイッチ74がOFF状態、スイッチ75がON状態となるPt2の位置より、Pt3の位置へと回動することにより行われる。なお、Pt3の位置は動作停止位置ではないため、スイッチ74,75による検知は行われない。また、モーター31は回転させず、モーター32の回転によるトレイ駆動カム30の回動のみで動作が行われる。
【0219】
このとき、再生ユニット駆動ギヤ57は、ギヤ部57aが欠歯部30f2との接触を維持することによって、回転位置を保持する。これにより、再生機構ユニット22は、非再生位置P2にて引き続き保持される。同様に、第1トレイ駆動カムギヤ50は、トレイ駆動カム30に対し、図18(a)に示すように、ギヤ部50aが欠歯部30b2に、被保持部50cが保持部30c1に、それぞれ接触し、中間ギヤ51,中間ギヤ9、そして第1トレイ駆動ギヤ10を介して、第1トレイ6の保持を行っている。なお、第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49aは、離間部30a3に位置している。
【0220】
第3トレイ駆動カムギヤ53は、図19(b)に示すように、ギヤ部53aがギヤ部30dの歯部30d1と噛み合い、回動駆動される。そして、第3トレイ駆動カムギヤ53の回動は、中間ギヤ54,55,56,及び中間ギヤ9を介して、第2トレイ駆動ギヤ11を回動させ、ラック7jが噛み合う第2トレイ7を再生位置T3に移動させる。そして、第3トレイ駆動カムギヤ53は、再びギヤ部53aがギヤ部30dの欠歯部30d2と接触することにより、第2トレイ7を再生位置T3に保持する。なお、第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aは、離間歯部30e3に位置している。また、以上と逆の手順によって、第2トレイ7を再生位置T3より、収納位置T2に移動させることができる。
【0221】
次に、再生位置T3に移動した第2トレイ7に載置されたディスク16を、図25(e)及び図38に示す再生可能状態とさせる動作について説明する。再生可能状態となるディスク再生機構ユニット22の再生位置P1への移動は、トレイ駆動カム30が、モーター32の回転により、Pt3の位置より、スイッチ74とスイッチ75が共にON状態となるPt4の位置に回動することにより行われる。また、モーター31は回転させず、モーター32の回転によるトレイ駆動カム30の回動のみで動作が行われる。
【0222】
このとき、第1トレイ駆動カムギヤ50の被保持部50cは、引き続きトレイ駆動カム30の保持部30c1に接触し、中間ギヤ51,中間ギヤ9,及び第1トレイ駆動ギヤ10を介して、第1トレイ6の保持を行っている。第1トレイ駆動カムギヤ50のギヤ部50aは、トレイ駆動カム30の欠歯部30b2より、離間部30b3に達する。同時に、第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49aは、トレイ駆動カム30の離間部30a3より、欠歯部30a2へと係合し、第1トレイ駆動カムギヤ50,中間ギヤ51,中間ギヤ9,及び第1トレイ駆動ギヤ10を介して、上述した第1トレイ駆動カムギヤ50の被保持部50cと共に、第1トレイ6の保持を行なっている。
【0223】
また、第3トレイ駆動カムギヤ53は、引き続き、ギヤ部53aが欠歯部30d2に対し、また被保持部53cが保持部30c1に対して、それぞれ接触を維持し、中間ギヤ54,55,56,及び中間ギヤ9、更には第2トレイ駆動ギヤ11を介して、第2トレイ7の保持を行っている。なお、第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aは、引き続き離間歯部30e3に位置している。そして、再生ユニット駆動ギヤ57は、図20(a),(b)に示すように、ギヤ部57aが歯部30f1と噛み合って回動駆動され、伝達ギヤ58,中間ギヤ59を介して、メカホルダー昇降部材23を摺動させる。
【0224】
そして、図13に示すように、メカホルダー昇降部材23の摺動により、後部に回転支点軸21aを有するメカホルダー21は、前面部のガイド軸21cがガイド溝23aの傾斜に沿って昇降し、非再生位置P2より再生位置P1へと回動される。この回動により、メカホルダー21に螺着されている再生機構ユニット22上のターンテーブル22bは、再生位置T3のディスク16の穴16aに嵌合し、ディスクを第2トレイ7上より再生位置P1へと持ち上げ、上部に位置するディスク押さえ18の磁石19による吸着力により保持する。これにより、再生位置T3のディスク16を再生可能状態にさせる。この後、再生機構ユニット22上のモーター22dによりディスク16を回転させ、ピックアップ22cによりディスク16の信号を読み取り、ディスク再生を行う。
【0225】
また、図41に示すように、メカホルダー昇降部材23の摺動により、ガイド溝23cと係合しているガイド突起部24cを有するトレイ引き込み部材24が、時計方向に回動する。ここで、第3トレイ駆動カムギヤ53の回動により、中間ギヤ等を介して第2トレイ7を再生位置T3へと移動させているが、ギヤ連結間の連動損失、即ち部品精度,バックラッシュ,及び強度不足によるストローク不足により、第2トレイ7が再生位置T3に行き着かない場合が生じる。
【0226】
このとき、上述したトレイ引き込み部材24の回動により、引き込み部24dの突起形状が、第2トレイ7の溝部7oの斜面に沿って、第2トレイ7を装置後部方向(即ち装置奥側)に押しこみ、再生位置T3への移動補正を行う。なお、トレイ引き込み部材24による再生位置T3への移動補正は、上述した再生機構ユニット22上のターンテーブル22bが、ディスクの穴16aに嵌合する以前に行われるように、メカホルダー昇降部材23が動作する。
【0227】
つまり、第2トレイ7が第2位置から第3位置に移動する場合に、トレイ駆動カム30から第3トレイ駆動カムギヤ53→中間ギヤ54→中間ギヤ55→中間ギヤ56→中間ギヤ9→第2トレイ駆動ギヤ11と駆動力が伝達され、第2トレイ7を駆動しているため、歯車部品精度のバラツキによるバックラッシュの変化や、筺体1の寸法のバラツキによる歯車軸間距離や回転軸隙間等の影響を受けて、第2トレイ7の移動距離が少なくなり、第2トレイ7上に載置されたディスクを演奏するべくターンテーブルで挟持することができなくなる問題が生じる。この対策として、各部品の精度を限りなく高めれば、問題解決可能であるが、部品の多くが成型品であり、温度の影響も受けるために、その実現は非常に難しく、また大幅なコストアップとなる。
【0228】
そこで、第2トレイ7の後部端部に設けられた略L字形の溝部7oと、トレイホルダー8と、トレイホルダー8内にあって記録媒体再生手段を回動可能なメカホルダー昇降部材23と、メカホルダー昇降部材23により回動させられるトレイ引き込み部材24とから構成される位置ロック手段を用いる。ここでは、トレイホルダー8に第2トレイ7が挿入されて、メカホルダー昇降部材23の動作により、トレイ引き込み部材24の引き込み部24dが、前記第2トレイ7の後部端部に設けられた略L字形の溝部7oを押圧することで、上述した再生機構ユニット22上のターンテーブル22bが、ディスクの穴16aに嵌合する以前に位置決めが行われ、ディスクの挟持を確実にすることができる。これが、第2トレイ7の第3位置への移動不足を補正するための、第2トレイ7の位置ロック手段である。
【0229】
次に、図38,及び図20(a),(b)に示すように、伝達ギヤ58の回動により、開口部58dの端面58d1が、スイッチギヤ48の斜面突起部48dに当接し、スイッチギヤ48を圧縮バネ76の付勢力に抗して押し下げる。なお、スイッチギヤ48の下降により、図24に示すとおり、非保持部48bは、選択カム29の内側面に位置する保持部29f1より保持部29f3へと、また、ギヤ部48aは、ギヤ部29eの上側位置よりギヤ部29eのギヤ離間部29e2へと移動する。そして、上述したように、スイッチギヤ48は、回転保持状態を維持しながら下降するため、円弧面48cの開口部48c1の位置は変わらず、スイッチ73はOFF状態を維持している。
【0230】
また、伝達ギヤ58の回動により、図20,22に示すとおり、ガイド溝58cに係合するガイド軸60aを有する伝達レバー60は、ガイド溝58cによって回動される。そして、伝達レバー60の回動により、ガイド溝60bに係合するガイド軸61bを有する選択ギヤホルダー61は、ガイド溝60bに沿って上昇する。そして、選択ギヤホルダー61の上昇により、ギヤ保持部61aに回動自在に保持されているトレイホルダー選択ギヤ46も上昇する。さらに、トレイホルダー選択ギヤ46の上昇により、非保持部46bは、引き続き選択カム29の保持部29c1に位置し、ギヤ部46aは、欠歯部29b2より欠歯部29b3へと移動する。上述した手順により、トレイホルダー選択ギヤ46は、回転を禁止された状態を維持しながら上昇を行う。
【0231】
以上の構成により、トレイ駆動カム30をPt3よりPt4に回動することにより、再生位置T3のディスクを再生可能状態である再生位置P1に移動させるとともに、スイッチギヤ48を回動保持状態に維持しながら下降位置に移動させ、且つ、トレイホルダー選択ギヤ46を回動保持状態に維持しながら上昇位置に移動させる。また、以上と逆の手順によって、ディスクを再生可能状態である再生位置P1より、非再生位置P2に移動させるとともに、スイッチギヤ48を上昇位置に、トレイホルダー選択ギヤ46を下降位置に移動させる。
【0232】
次に、ディスク再生中に他のディスクの選択を行う場合も、モーター31の回転により、選択カム29を、図26に示すPm0の位置からPm5の位置までの間で、矢印で示すように回動させる。なお、ディスク再生中での他のディスク選択動作は、モーター32の回転によらず、モーター31の回転による選択カム29の回動のみで行われる。以下、図25(e)に示すNo.4ディスク再生状態より、図25(f)及び図33に示すNo.4ディスク再生中のNo.1トレイ選択状態へと移行する動作について説明する。
【0233】
ここで、No.4ディスク再生状態からNo.4ディスク再生中のNo.1トレイ選択状態への動作は、No.4ディスク再生状態から、No.4ディスク再生中のNo.3トレイ選択状態への動作手順を繰り返し行うことにより行われ、No.2トレイ選択状態,No.1トレイ選択状態へと動作する。
【0234】
まず、No.4ディスク再生状態から、図32に示すNo.4ディスク再生中のNo.3トレイ選択状態への動作について説明する。図31に示すNo.4トレイ選択状態より、選択カム29を、フォトインタラプタ71の位置にフォト検知部29gの次のスリット29g1が来るまで、時計方向に回転させる。つまり、選択カム29をPm4の位置よりPm3の位置まで回転させる。このとき、回動基準位置を判断するスイッチ72は、引き続きOFF状態である。
【0235】
また、トレイ選択ギヤ44は、ギヤ部44aが選択カム29の歯部29d1と噛み合い、被保持部44bが選択カム29の歯部29c2と噛み合い回動する。そして、中間ギヤ45を介して、カム板15を1ストローク分摺動させる。このカム板15の摺動により、カム凹凸部15eが、No.4トレイ位置のトレイロック部材14を回動させ、再びトレイロック状態にさせるとともに、No.3トレイ位置のトレイロック部材14を回動させ、トレイロック状態を解除させる。
【0236】
また、カム板15の摺動により、カム溝15cに沿って下降する第1ギヤカバー12(図示せず)を介して、第1トレイ駆動ギヤ10がNo.4トレイ選択位置よりNo.3トレイ選択位置に下降移動し、No.3トレイ選択位置の第1トレイ6のラック6eと噛み合う。同様に、カム溝15dに沿って下降する第2ギヤカバー13(図示せず)を介して、第2トレイ駆動ギヤ11がNo.4トレイ選択位置よりNo.3トレイ選択位置に下降移動し、No.3トレイ選択位置の第2トレイ7のラック7jと噛み合う。
【0237】
このとき、上述したように、収納位置T2に位置する第1トレイ6,第2トレイ7に、常時、トレイロック部材14又は、第1トレイ駆動ギヤ10及び第2トレイ駆動ギヤ11が噛み合う設定になっているので、ディスク選択時にトレイが収納位置T2より外れることを防止できる。そして、トレイ選択ギヤ44は、再びギヤ部44aが選択カム29の欠歯部29d2と接触し、被保持部44bが選択カム29の保持部29c1と接触することにより、上述したトレイ駆動ギヤ関連における、No.3トレイ位置への選択状態を保持する。
【0238】
次に、トレイホルダー選択ギヤ46は、ギヤ部46aが選択カム29の欠歯部29b3との接触を維持し、被保持部46bが選択カム29の保持部29c1との接触を維持することによって、回転を禁止され位置を保持する。これにより、中間ギヤ47,左トレイホルダー昇降部材25,右トレイホルダー昇降部材26を介して、トレイホルダー8をNo.4トレイ選択位置に引き続き留まらせる。
【0239】
また、スイッチギヤ48は、図24(c),(d),(e)に示すように、ギヤ部48aが選択カム29の歯部29e1と噛み合い、被保持部48bがギヤ逃げ部29f2と噛み合い回動する。本実施例では、1つのトレイ選択位置分の選択動作に対し、1/5回転分だけ回動駆動されるように構成されている。そして、スイッチギヤ48の円弧面48cが、スイッチ73のノブを押し下げてON状態にさせる。このスイッチ73のON状態より、ディスク再生中でのディスク選択動作であることが判断できる。そして、スイッチギヤ48は、再びギヤ部48aが選択カム29のギヤ離間部29e2に位置し、被保持部48bが保持部29f3と接触することにより1/5回転し、スイッチ73のON状態を保持する。
【0240】
以上の手順により、No.4トレイ選択位置のディスクを再生中に、No.3トレイ選択位置へのディスク選択動作が行われる。また、図33及び図25(f)に示すNo.4トレイ選択位置のディスク再生中に、No.1トレイ選択位置への選択動作は、選択カム29をPm3よりPm2へ、さらにはPm1へと上記手段を繰り返すことにより行われる。また、逆の手順を繰り返すことにより、第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11のトレイ選択位置がNo.1よりNo.4へと移行し、ディスク再生中のトレイ選択位置と同じ位置になる。そして、スイッチギヤ48も元の回動位置にもどるため、スイッチ73がOFF状態となる。
【0241】
これにより、ディスク再生中での他のディスク選択時に、何らかの異常により、再生中のトレイ選択位置がわからなくなった場合でも、スイッチ73のON,OFF状態を検知すれば、再生中のトレイ選択位置を確認できる。なお、ここでは、No.4トレイ選択位置のディスク再生中での、他のトレイ選択位置への選択動作について説明したが、他のトレイ選択位置のディスク再生中においても、同様な手順にて、再生中以外のディスク選択が行える。
【0242】
次に、ディスク再生中において、他の選択されたディスクを、図35及び図25(f)に示す収納位置T2から、図39及び図25(g)に示す着脱位置T1へと搬送する動作について説明する。着脱位置T1への動作は、トレイ駆動カム30が、モーター32の回転により、スイッチ74がON状態、スイッチ75がON状態となるPt4位置より、スイッチ74がON状態、スイッチ75がOFF状態となるPt5位置(図27参照)へと回動することにより行われる。
【0243】
なお、モーター31は回転させず、モーター32の回転によるトレイ駆動カム30の回動のみで動作が行われる。このとき、再生ユニット駆動ギヤ57は、ギヤ部57aがトレイ駆動カム30の欠歯部30f2に接触維持することによって、回転位置を保持する。これにより、再生機構ユニット22は、再生位置P1にて引き続き保持される。
【0244】
第1トレイ駆動カムギヤ50は、図18(c)に示すように、ギヤ部50aがトレイ駆動カム30のギヤ離間部30b3に位置し、第2トレイ駆動カムギヤ49は、ギヤ部49aがトレイ駆動カム30の歯部30a1と噛み合い、回動駆動される。そして、第2トレイ駆動カムギヤ49の回動駆動は、第1トレイ駆動カムギヤ50,中間ギア51,中間ギヤ9を介して、第1トレイ駆動ギヤ10を回動させ、ラック6eが噛み合う第1トレイ6を駆動させる。
【0245】
また同時に、第4トレイ駆動カムギヤ52は、図19(c)に示すように、ギヤ部52aがトレイ駆動カム30の歯部30e1と噛み合い、駆動される。また、第3トレイ駆動カムギヤ53は、ギヤ部53aがトレイ駆動カム30のギヤ離間部30d3に位置する。そして、第4トレイ駆動カムギヤ52の回動は、第3トレイ駆動カムギヤ53,中間ギヤ54,55,56,及び中間ギヤ9を介して、第2トレイ駆動ギヤ11を回動させ、ラック7jが噛み合う第2トレイ7を駆動させる。
【0246】
ここで、第1トレイ6と第2トレイ7が、同期して駆動を行うように、各々の駆動源であるトレイ駆動カム30の歯部30a1と歯部30e1は、同じピッチ円直径の同一形状の歯で構成され、且つ、第2トレイ駆動カムギヤ49のギヤ部49aと、第4トレイ駆動カムギヤ52のギヤ部52aとが各々同時に噛み合うように配置されている。また、歯部30a1から第1トレイ6のラック6eまでの減速比と、歯部30e1から第2トレイ7のラック7jまでの減速比が同一に設定されている。
【0247】
そして、図35(b)の状態から、図40(a)に示すように、第2トレイ駆動ギヤ11によって駆動された第2トレイ7は、ラック7jが回動している第1トレイ駆動ギヤ10と噛み合い、その後、第2トレイ駆動ギヤ11とラック7jの噛み合いが外れる。これにより、第2トレイ7を駆動する部材は、第2トレイ駆動ギヤ11より第1トレイ駆動ギヤ10に変わり、第2トレイが第1トレイ6と共に着脱位置まで駆動され、スィツチ74がONされると、モーター32の回転を停止することにより、再生中の着脱位置への移動が完了する。
【0248】
このとき、第4トレイ駆動カムギヤ52は、ギヤ部52aがトレイ駆動カム30の欠歯部30e2更には離間歯部30e3の位置となる。これは、歯部30e3の外形が小さいため、歯先との隙間ができることによる。また、第3トレイ駆動カムギヤ53は、ギヤ部53aがトレイ駆動カム30のギヤ離間部30d3より欠歯部30d2へと接触することによって、回転位置を保持する。これにより、第2トレイ駆動ギヤ11は回転保持される。
【0249】
トレイ駆動カム30をPt4(再生可能状態位置)からPt5方向に回転させること、つまり、Pt2(トレイ待機位置)からPt3(トレイ再生位置)方向に回転する時と同じ方向に、トレイ駆動カム30を回転させることにより、再生可能状態を続行したまま、他の第1トレイ6,第2トレイ7をT2位置(収納位置)からT1位置(着脱位置)に移動させることができる。また、以上と逆の手順によって、第1トレイ6,第2トレイ7を着脱位置T1より収納位置T2に移動させることができる。なお、第2トレイ7に対する、第1トレイ駆動ギヤ10と第2トレイ駆動ギヤ11との駆動切り換えは、図40にて上述した構成と同じ構成にてスムーズに行える。
【0250】
続いて、収納位置T2に移動後の第1トレイ6の収納位置と、他のトレイロック部材14によりロック保持されている第1トレイ6との位置ズレ対策を、図42(b)のタイミングチャートに示し、説明する。まず、モーター32のCW回転により、第1トレイ6,第2トレイ7が着脱位置T1より収納位置T2に移動させられ、スイッチ75のONにより、モーター32の回転が停止する。それと同時に、モーター31をCWに回転させ、選択カム29をNo.1選択位置Pm1より待機位置Pm0の方向に回転させる。
【0251】
選択カム29の回転により、No.1選択位置Pm1のスリット29g1(図中のA部)がフォトインタラプタ71より外れ、フォトインタラプタ71はOFFとなる。次に、待機位置Pm0のスリット29g1(図中のB部)がフォトインタラプタ71の位置に回転してきたことを検知すると同時に、モーター31をCCW回転へと逆転させ、No.1選択位置Pm1のスリット29g1(図中のC部)まで回転させて、収納動作完了となる。
【0252】
つまり、No.1選択位置の第1トレイ6,第2トレイ6が収納位置T2に達すると同時に、モーター31と連結しているカム板15が摺動し、No.1選択位置のトレイロック部材14を回動させ、No.1選択位置の第1トレイ6,第2トレイ7をロックする。このトレイロック部材14のロック部14dが、各トレイのラックの一歯間6f,7kに挿入されるロック動作により、そのクサビ作用にて第1トレイ6と第2トレイ7はズレ分移動させられ、他のトレイユニットと位置が一致することになる。
【0253】
この状態では、第1トレイ駆動手段と第2トレイ駆動手段の各駆動源(第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11)が、第1トレイ6,第2トレイ7のラック6e,7jと噛合しているが、ロック部14dにより第1トレイ6と第2トレイが移動しても、ギヤ間のバックラッシュが変化するだけで、噛合関係に影響を与えない。そして、その直後にモーター31が逆回転して、カム板15を摺動させ、再びNo.1選択位置の第1トレイ6,第2トレイ7のロック解除を行う。なお、第1トレイ6と第2トレイ7は、自重により位置変化は生じない。
【0254】
以上のように、本実施例のトレイ位置合わせ機構は、トレイユニットが第1位置から第2位置に復帰する時の復帰不足による不揃いの補正のために、専用の位置合わせ機構を必要とせず、基本機能の組合せ動作で位置合わせを行う、安価で確実なトレイ位置合わせ機構となっている。上述した内容は、No.1選択位置でのトレイ収納時の位置ズレ対策を説明したが、他の選択位置においても同様な動作を行い、位置ズレ対策を行える。
【0255】
本実施例によれば、選択カム(29を含む歯車群:第2制御手段)は、複数のトレイユニットが第2位置(収納位置)にある時に、ユーザー(使用者)がトレイユニットの選択を行うことに対応して、選択されたトレイユニット位置に、ディスク再生手段(ディスク再生機構ユニット22に相当)をディスク再生手段選択手段で垂直に選択位置へ移動させるとともに、第1トレイ駆動手段と第2トレイ駆動手段との各駆動源(第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11)とを垂直に選択位置へ移動させる。
【0256】
この状態で、トレイ駆動カム(30を含む歯車群:第1制御手段)を、トレイユニットが第2位置(収納位置)に在る時から所定方向に回転させると、第1トレイ6と第2トレイ7が一体的に第1位置(着脱位置)に移動する。この位置でディスクの交換ができる。第1位置からトレイ駆動カム30を前記とは反対方向に回転させると、第1トレイ6と第2トレイ7とが一体的に第2位置(収納位置)に移動する。第2位置から更にトレイ駆動カム30を同方向に回転させると、第1トレイ6は第2位置に保持され、第2トレイ7のみが第3位置(再生位置)に移動し、移動完了と共にディスク再生手段移動手段が作動し、ディスク再生手段(ディスク再生機構ユニット22)を回動させ、ディスクを再生可能状態とする。
【0257】
また、ユーザーがディスクを再生中に、再生中以外のトレイのディスク交換をする場合は、選択カム29を回転させることによりトレイユニットを選択できるが、再生中に選択カム29を回転させても、ディスク再生手段選択手段は回動しないため、ディスク再生手段は再生を続け、第1トレイ駆動手段と第2トレイ駆動手段との各駆動源(第1トレイ駆動ギヤ10, 第2トレイ駆動ギヤ11)のみが、指定のトレイユニットの位置に移動し噛合する。
【0258】
この状態で、選択カム29を停止し、トレイ駆動カム30を所定方向と反対方向に更に回転させると、第1トレイ駆動手段と第2トレイ駆動手段の各駆動源(第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11)が働き、第1トレイ6と第2トレイ7とを第2位置から第1位置一体的に移動させるので、ディスクの交換が可能となる。このディスクの装置への収納は、トレイ駆動カム30を所定方向に回転させ、第1トレイ6と第2トレイ7とを第1位置から第2位置に移動させることにより行われる。
【0259】
次に、選択カム29を回転させて再生中のトレイユニット位置の高さに復帰させ、第1トレイ駆動手段と第2トレイ駆動手段との各駆動源(第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11)を再生中のトレイユニットに噛合させ、初期の再生状態に戻る。この様に、再生中のディスクを停止しなくても、他のトレイユニットのディスクの交換ができる。
【0260】
ディスク再生を終了する時は、トレイ駆動カム30を所定方向に回転させると、前回とは逆にディスク再生手段移動手段が作動し、ディスク再生手段を下降方向に回動させ、回動完了後に第2トレイ7を第3位置から第2位置に復帰させる。この様に、トレイ駆動カム30と選択カム29を選択的に回動させることにより、再生中のディスク交換機能を有するディスクチェンジャー動作が行えるので、部品点数の少ない安価で確実な機構となっている。
【0261】
また、全てのトレイユニットが第2位置(収納位置)に有る時に、トレイ駆動カム30を回転させて第2トレイ7を第3位置に移動させる場合、第1トレイ6は第2位置に留まり、第2トレイ7のみが移動して第3位置に到達する。更に同方向にトレイ駆動カム30を回転させると、トレイ駆動カム30と噛合可能に配置されている再生ユニット駆動ギヤ57が噛合して回転を始め、再生ユニット駆動ギヤ57と噛合している伝達ギヤ58が回動する。伝達ギヤ58のギヤ部58bが中間ギヤ59を回すことにより、中間ギヤ59と噛合しているメカホルダー昇降部材23を移動させて、ディスク再生手段を回動し、再生状態となる。
【0262】
伝達ギヤ58の上部に設けられているガイド溝58cには、伝達レバー60のガイド軸60aが挿入当接されており、ガイド溝58cにより伝達レバー60は回動させられる。伝達レバー60の他端に設けられたガイド溝60bには、選択ギヤホルダー61のガイド軸61bが挿通されており、ガイド溝60bの回動により、選択ギヤホルダー61を上下動させることができる。選択ギヤホルダー61はトレイホルダー選択ギヤ46と連結されており、トレイホルダー選択ギヤ46を上下動させる。
【0263】
トレイホルダー選択ギヤ46が下降位置にある時は、選択カム29と噛合可能で、上昇位置にある時は、選択カム29により回転を阻止された状態で保持されている。つまり、選択カム29の駆動力は、トレイホルダー選択ギヤ46が下降した位置→中間ギヤ47→左トレイホルダー昇降部材25,右トレイホルダー昇降部材26のように伝達されている。但し、25と26は昇降連動部材27にて連結されている。
【0264】
左トレイホルダー昇降部材25と右トレイホルダー昇降部材26とには、トレイホルダー8の小径軸部8gを摺動案内するカム溝が設けられており、左トレイホルダー昇降部材25と右トレイホルダー昇降部材26との移動により、トレイホルダー8を複数個のトレイユニットに対応して再生可能高さに持ち来たらすことができる。トレイホルダー8にはディスク再生手段が取り付けられており、対応したトレイユニットのディスクが再生可能となる。
【0265】
トレイ駆動カム30により第2トレイ7が第3位置に来た後、更にトレイ駆動カム30を同方向に回すと、再生ユニット駆動ギヤ57が回転し、再生ユニット駆動ギヤ57により伝達ギヤ58更には伝達レバー60が回動すると、伝達レバー60のガイド溝60bにより選択ギヤホルダー61を上昇させ、トレイホルダー選択ギヤ46と選択カム29との噛合が解除され、回転保持されることになる。一方、伝達ギヤ58で中間ギヤ59を回すことにより、中間ギヤ59と噛合しているメカホルダー昇降部材23を移動させ、ディスク再生手段を回動して再生状態となり、ディスクが再生可能となる。
【0266】
再生状態で他のディスクを交換する場合には、上記状態より選択カム29を回転し、指定されたトレイユニットを選択させるが、トレイホルダー選択ギヤ46と選択カム29との噛合が解除され、回転保持されているために、選択カム29を回転し他のトレイユニットを選択しても、トレイホルダー8は移動せず、第1トレイ駆動手段と第2トレイ駆動手段と各駆動源(第1トレイ駆動ギヤ10,第2トレイ駆動ギヤ11)が選択移動するのみである。
【0267】
この状態から選択したトレイユニットを第2位置から第1位置に移動させるには、更に同方向にトレイ駆動カム30を回転すれば良い。従って、再生状態を保持したまま他のトレイユニットを選択移動させ、ディスクの交換ができることになる。このようにして、再生中のディスク再生手段の移動を禁止し、再生状態を続行したままディスクの交換ができる確実な禁止機構を実現している。
【0268】
また、全てのトレイユニットが第2位置(収納位置)に有る時に、トレイ駆動カム30を回転させて第2トレイ7を第3位置に移動させる場合、第1トレイ6は第2位置に留まり、第2トレイ7のみが移動して第3位置に到達する。更に同方向にトレイ駆動カム30を回転させると、トレイ駆動カム30と噛合可能に配置されている再生ユニット駆動ギヤ57が噛合して回転を始め、再生ユニット駆動ギヤ57と噛合している伝達ギヤ58が回動する。伝達ギヤ58のギヤ部58bが中間ギヤ59を回すことにより、中間ギヤ59と噛合しているメカホルダー昇降部材23を移動させて、ディスク再生手段を回動し再生状態となる。
【0269】
伝達ギヤ58の上部に設けられているガイド溝58cには、伝達レバー60のガイド軸60aが挿入当接されており、ガイド溝58cにより伝達レバー60は回動させられる。伝達レバー60の他端に設けられたガイド溝60bには、選択ギヤホルダー61のガイド軸61bが挿通されており、ガイド溝60bの回動により選択ギヤホルダー61を上下動させることができる。選択ギヤホルダー61はトレイホルダー選択ギヤ46と連結されており、トレイホルダー選択ギヤ46を上下動させる。
【0270】
トレイホルダー選択ギヤ46が下降位置にある時は、選択カム29と噛合可能であり、上昇位置にある時は、選択カム29により回転を阻止された状態で保持されている。つまり、選択カム29の駆動力は、トレイホルダー選択ギヤ46が下降した位置→中間ギヤ47→左トレイホルダー昇降部材25,右トレイホルダー昇降部材26のように伝達されている。但し、25と26は昇降連動部材27にて連結されている。
【0271】
左トレイホルダー昇降部材25と右トレイホルダー昇降部材26には、トレイホルダー8の小径軸部8gを摺動案内するカム溝が設けられており、左トレイホルダー昇降部材25と右トレイホルダー昇降部材26の移動により、トレイホルダー8を複数個のトレイユニットに対応して再生可能高さに持ち来たらすことができる。トレイホルダー8にはディスク再生手段が取り付けられており、対応したトレイユニットのディスクが再生可能となる。
【0272】
伝達ギヤ58の開口部端面58d1は、スイッチギヤ48の斜面突起部48dと当接し、スイッチギヤ48を押し下げることができる。スイッチギヤ48は筺体1に設けられた回転軸1pにスライド自在に挿入され、下部に挿入されたスプリングにより、常時上方に付勢されている。また、回転軸1pの上部はギヤ押さえ板28に挿入され、スイッチギヤ48の抜けを防止している。
【0273】
スイッチギヤ48には、円弧面48cと開口部48c1及び、選択カム29のギヤ部29eと回転保持部29fとに係合及び噛合可能な、ギヤ部48aと被保持部48bが設けられており、スプリングの付勢力で上方に位置する時は、被保持部48bが回転保持部29fと係合し、回転を阻止された状態に保持されている。この状態で選択カム29が回転しても、スイッチギヤ48は動作しない様に配置されている。伝達ギヤ58が回転し、開口部端面58d1がスイッチギヤ48の斜面突起部48dと当接し、スイッチギヤ48を押し下げると、ギヤ部48aが選択カム29のギヤ部29eと噛合可能となり、スイッチギヤ48は回転可能となる。
【0274】
開口部48c1の下方には、スイッチ73が回路基板70上に立設されており、スイッチギヤ48の斜面突起部48dでスイッチギヤ48が押し下げられた状態では、スイッチ73のノブは開口部48c1内に位置することになる。この状態で、スイッチギヤ48が選択カム29により回転させられると、円弧面48cでノブを押圧し、スイッチ73をONさせることができる。
【0275】
トレイ駆動カム30により第2トレイ7が第3位置に来た後、更にトレイ駆動カム30を同方向に回すと、再生ユニット駆動ギヤ57が回転し、再生ユニット駆動ギヤ57により伝達ギヤ58が回転させられる。伝達ギヤ58が回転し、開口部端面58d1がスイッチギヤ48の斜面突起部48dと当接すると、スイッチギヤ48が押し下げられ、ギヤ部48aが選択カム29のギヤ部29eと噛合するとともに、スイッチ73のノブが開口部48c1内に達する。更にトレイ駆動カム30が回動すると、前述の如く再生可能状態となる。
【0276】
再生中に他のトレイユニットのディスクを交換する場合は、選択カム29を回転させ、指定の位置に移動させるのであるが、選択カム29の回転に伴い、スイッチギヤ48が回転し、円弧面48cでスイッチ73のノブを押圧し、スイッチ73をONさせることになる。つまり、再生状態で選択カム29が回転するとスイッチ73がONとなり、再生状態のトレイユニットと選択カム29で選択したトレイユニットが、異なる選択位置であることを明確に知ることができる機構となっている。
【0277】
選択カム29を前記とは逆に回転させると、スイッチギヤ48が回転し、スイッチ73のノブが円弧面48cから離れ、開口部48c1内に達するため、スイッチ73がOFFとなり、再生状態に復帰したことを検出する。通常の動作検出以外にも、マイコンが動作途中で電源OFFされた時など、メカの状態が判らなくなった時に、スイッチ73がOFFとなる様に選択カム29を回転させれば、再生状態に復帰することが可能となる。このように、メカの位置検出が容易に判別できる簡単で確実な機構となっている。
【0278】
本実施例における2個のカムによる構成は、筺体1にドーナツ状の選択カム29を取り付け、ドーナツ状の内部に設けた中心軸に、トレイ駆動カム30とトレイ駆動カム30に噛合するギヤ群を取り付けたものである。そして、トレイ駆動カム30の下部に回路基板70を配置し、回路基板70上に立設されたスイッチ71,72,74,及び75により、選択カム29とトレイ駆動カム30のカム部(フォト検知部29g,突起面29h,突起部30g)を検出し、選択カム29とトレイ駆動カム30の回転角度を制御するものである。
【0279】
これにより、2個のカムギヤを平面状に配置する場合よりも、配置面積を大幅に削減できるとともに、トレイ駆動カム30と連結するギヤ群の中心軸もドーナツ状の内部に配置することにより、トレイ駆動カム30の伝達力を外側に出力できる、コンパクトな伝達機構となっている。また、トレイ駆動カム30の下部に回路基板70を配置して、回路基板70上のスイッチで2個のカムギヤの回転角度を検出するため、2個のカムギヤを連携する回路が回路基板70上で形成できるので、線材による配線が不要となる。
【0280】
その他、選択カム29の内周付近にトレイ駆動カム30の中心軸を配置し、選択カム9の中心軸から離すことにより、選択カム29内に三日月形の面積部分が生じるので、この部分が利用可能な2個のカムギヤを重畳して配置することで、省スペース化を計っている。
【0281】
以上のように、本実施例に係るディスクローディング装置では、第1トレイ6,第2トレイ7の着脱位置,収納位置,及び再生位置間の移動と、再生手段の非再生位置(P2),再生位置(P1)間の動作と、再生可能状態での第1トレイ6,第2トレイ7の収納位置,着脱位置間の移動と、を行うトレイ駆動カム30を有し、また、複数個重畳されたトレイユニット(第1トレイ6,第2トレイ7)の駆動源と再生手段の移動を選択動作させる選択カム29を備えている。
【0282】
そして、トレイ駆動カム30,選択カム29の2個のカムを選択的に動作させることにより、複数個のトレイユニットに載置されたディスクの再生とディスクの着脱、及び再生中での他のディスクの交換を可能としている。このように、本発明では、簡単な構成でしかも確実に動作する、安価で小型のディスクローディング装置を実現している。
【図面の簡単な説明】
【0283】
【図1】本発明の実施1に係るディスクローディング装置の外観を示す斜視図。
【図2】本ディスクローディング装置の構成を示す分解図。
【図3】筺体周辺の構成を示す分解図。
【図4】トレイのガイド及び駆動構成を示す分解図。
【図5】筺体周辺の構成を示す分解図。
【図6】トレイの移動位置を表す斜視図。
【図7】本装置に装着される2種類のディスクを示す平面図。
【図8】第2トレイの構造を示す斜視図。
【図9】第1トレイの構造を示す斜視図。
【図10】第1,第2トレイの組合せ状態とガイド構成を示す斜視図と断面図。
【図11】誤挿入ディスクの位置を示す図。
【図12】トレイホルダーの構成と筺体への組込み位置を示す斜視図。
【図13】ディスク再生機構ユニットに関する部分の構成を示す分解図。
【図14】選択カム,トレイ駆動カムに関連する部分の構成を示す平面図。
【図15】装置の全体構造を示す斜視図。
【図16】カム,スィツチ,基板等に関連する部分の構成を示す平面図とその断面図。
【図17】トレイ駆動カムの構成を示す図。
【図18】トレイ駆動に関する状態遷移図。
【図19】トレイ駆動に関する状態遷移図。
【図20】ディスク再生機構ユニットの動作に関する部分の状態遷移斜視図。
【図21】選択カムの構成を示す図。
【図22】選択カムの動作に関する部分の状態遷移図。
【図23】選択カムの動作に関する平面図。
【図24】再生位置記憶機構の動作に関する状態遷移図。
【図25】トレイ及びディスク再生機構ユニットの移動を模式的に示す基本動作図。
【図26】選択カムに関連する部分の構成を示す平面図。
【図27】トレイ駆動カムに関連する部分の構成を示す平面図。
【図28】選択カムの回転位置及び関連する部品の位置を示す平面図。
【図29】選択カムの回転位置及び関連する部品の位置を示す平面図。
【図30】選択カムの回転位置及び関連する部品の位置を示す平面図。
【図31】選択カムの回転位置及び関連する部品の位置を示す平面図。
【図32】選択カムの回転位置及び関連する部品の位置を示す平面図。
【図33】選択カムの回転位置及び関連する部品の位置を示す平面図。
【図34】トレイ駆動カムの回転位置とトレイ位置及び関連部品の位置を示す平面図。
【図35】トレイ駆動カムの回転位置とトレイ位置及び関連部品の位置を示す平面図。
【図36】トレイ駆動カムの回転位置とトレイ位置及び関連部品の位置を示す平面図。
【図37】トレイ駆動カムの回転位置とトレイ位置及び関連部品の位置を示す平面図。
【図38】トレイ駆動カムの回転位置とトレイ位置及び関連部品の位置を示す平面図。
【図39】トレイ駆動カムの回転位置とトレイ位置及び関連部品の位置を示す平面図。
【図40】トレイとトレイ駆動ギヤの噛合関係を示す状態遷移図。
【図41】第2トレイの位置補正に関連する部分の構成を示す平面図。
【図42】トレイ位置に関するモーターと検出手段の動作状態を示す状態遷移図。
【符号の説明】
【0284】
1 筺体
2 上部カバー
3 収納部
4 第1トレイ収納部
5 第2トレイ収納部
6 第1トレイ
7 第2トレイ
8 トレイホルダー
9 中間ギヤ
10 第1トレイ駆動ギヤ
11 第2トレイ駆動ギヤ
12 第1ギヤカバー
13 第2ギヤカバー
14 トレイロック部材
15 カム板
16 ディスク(大)
17 ディスク(小)
18 ディスク押さえ
19 磁石
20 ディスク押さえ板
21 メカホルダー
22 ディスク再生機構ユニット
23 メカホルダー昇降部材
24 トレイ引き込み部材
25 左トレイホルダー昇降部材
26 右トレイホルダー昇降部材
27 昇降連動部材
28 ギヤ押さえ板
29 選択カム
30 トレイ駆動カム
31 モーター(選択カム用)
32 モーター(トレイ駆動カム用)
33〜38 中間ギヤ(選択カム減速用)
39〜43 中間ギヤ(トレイ駆動カム減速用)
44 トレイ選択ギヤ
45 中間ギヤ
46 トレイホルダー選択ギヤ
47 中間ギヤ
48 スイッチギヤ
49 第2トレイ駆動カムギヤ
50 第1トレイ駆動カムギヤ
51 中間ギヤ
52 第4トレイ駆動カムギヤ
53 第3トレイ駆動カムギヤ
54〜56 中間ギヤ
57 再生ユニット駆動ギヤ
58 伝達ギヤ
59 中間ギヤ
60 伝達レバー
61 選択ギヤホルダー
70 基板
71 フォトインタラプタ
72 スイッチ
73 スイッチ
74 スイッチ
75 スイッチ
76 圧縮バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクが脱着可能な第1位置と、ディスクを収納して待機する第2位置と、ディスクが再生可能な第3位置との間を移動可能なトレイユニットを有し、前記トレイユニットは、前記第1位置と前記第2位置との間を移動可能な第1トレイと、前記第1トレイに重畳して設けられ、前記第1トレイが前記第2位置にあるとき前記第2位置と前記第3位置との間を移動可能な第2トレイとを備え、前記第1トレイ及び前記第2トレイを駆動するトレイ駆動ユニットを設けたディスクローディング装置において、
ディスクを再生するディスク再生手段と、該ディスク再生手段を上下動或いは回動せしめるディスク再生手段移動手段と、前記第2トレイの位置を保持する第2トレイ位置ロック手段とを設け、
前記第2トレイによってディスクを前記第3位置に搬送した後、前記ディスク再生手段移動手段が作動して前記ディスク再生手段に前記ディスクを装着する前に、前記第2トレイ位置ロック手段で前記第2トレイの位置を保持するようにしたことを特徴とするディスクローディング装置。
【請求項2】
前記第2トレイ位置ロック手段は、前記第2トレイによってディスクを前記第3位置に搬送した後に該第2トレイを更に装置奥側に引き込むトレイ引き込み部材を有することを特徴とする請求項1に記載のディスクローディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2006−18872(P2006−18872A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192928(P2004−192928)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】