説明

ディスク再生装置及びディスク再生方法

【課題】スライドショーの再生中に早戻しを実行したとき、再生中のトラックと結びつく正しい静止画を表示することができるディスク再生装置を提供する。
【解決手段】ディスク媒体に記録された情報を読取るピックアップ部と、ピックアップ部により読取られた情報から画像・音声データを再生するデータ再生部と、データ再生部によって再生した静止画像データと音声データをデコードしてスライドショーの再生を可能にした映像・音声デコーダと、スライドショーの再生時に早戻しが実行され、ピックアップ部が現トラックから前トラックに進入したときに、進入トラックがスライドショーのトラックである場合は、進入トラックの先頭部にある静止画像をデコードし進入トラックの終端から早戻しするように制御する制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク媒体であるDVD(Digital Versatile Disk)に記録された情報を再生するディスク再生装置に係り、特にスライドショーの再生を可能にしたディスク再生装置及びディスク再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD−Video規格又はDVD−Audio規格に準拠した光ディスク媒体(以下DVDと称す)に対して音声信号や映像信号等の情報を記録し、それを再生するディスク再生装置が普及している。このようなディスク再生装置の再生処理機能の1つとして、スライドショーの機能がある。
【0003】
スライドショーは、DVD−Video及びDVD−Audioのビデオゾーンに記録されたスライドショー用の静止画信号と音声信号をデコードして、静止画像を表示しながら同時に音声を再生するものであり、所定の時間間隔毎に静止画像を切替えて表示する機能である。スライドショーの再生は、音楽を重視して映像の変化が少ないため、車載用の再生機器等に適している。
【0004】
またスライドショーには、トラックの先頭のみに静止画が記録され、先頭の静止画を読み出して表示した後の同一トラックの再生中には画像が切り替わらないものが存在する。このようなディスクの場合、各トラックを再生中の音声信号と静止画像は関連性が強く、例えば、再生中の曲のCDジャケットや曲名を静止画で表示する場合がある。
【0005】
しかしながら、従来のディスク装置では、任意のトラックから早戻しでスライドショーのトラックに遷移した場合に、早戻し箇所に画像データが存在せず表示画像が更新されないため、スライドショーの音声と組み合わせて表示されるべき本来の静止画とは異なる画像を表示してしまい、ユーザに違和感を与えるという不具合がある。
【0006】
図5は、スライドショーの再生中に早戻しを実行した場合の不具合を説明する図である。図5において、横軸は時間軸を示している。スライドショー用の静止画像データ(S1,S2…Sn)は、所定の時間間隔、例えばディスク媒体の各トラック(トラック1,2,3…)の先頭に記録されている。
【0007】
スライドショーの再生時は、図5に示すように所定間隔で記録されている静止画像データ(S1,S2…Sn)を順次に読取り、新たな静止画像データが読み込まれるまでは同じ静止画像を繰り返し表示する。このとき音声信号A1は途切れることなく再生される。
【0008】
ところで、スライドショーの再生中に早戻しの操作を行った場合、例えばトラック3を再生中(静止画S3を表示中)に、トラック3のA点からトラック2に向かって早戻しを行った場合、トラック2の早戻し中は静止画S2ではなく静止画S3が表示されることになる。
【0009】
また、トラック2の途中で早戻しを解除した場合、B点からトラック3の先頭までの間にはデコード可能な静止画データが存在しないために、前にデコードした静止画S3を表示しながらトラック2の音声を再生してしまう。
【0010】
このため、表示している静止画と再生している音声の関係がずれてしまうため、ユーザはプレーヤの不具合であると判断しかねない。また早戻し中に音声を出力しないプレーヤでは、所望のトラックまで早戻しを実行する際に、表示している静止画をもとに早戻し中のトラックを判断したいところであるが、静止画が切り替わらないために早戻し中のトラックを判断することができないという不具合がある。
【0011】
特許文献1には、静止画情報のタイトル番号と静止画の切換位置を表示するディスク装置について記載されている。しかしながら、この例においても上述した早戻し時の不具合(表示している静止画と再生している音声の関係がずれる)を解消することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−80329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来のディスク再生装置では、スライドショーの再生中に早戻しの操作を行った場合、表示している静止画と再生している音声の関係がずれてしまう。また早戻し中に音声を出力しないプレーヤでは、所望のトラックまで早戻しを実行する際に、表示中している静止画をもとに早戻し中のトラックを判断したくても、静止画が切り替わらないために判断ができないという不具合がある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みて、スライドショーの早戻し実行時及び実行後に、再生中のトラックと結びつく正しい静止画を表示することができるディスク再生装置及びディスク再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の本発明のディスク再生装置は、ディスク媒体に記録された情報を読取るピックアップ部と、前記ピックアップ部により読取られた情報から画像・音声データを再生するとともに、前記ディスク媒体に記録されたビデオ・オブジェクト・ユニット(VOBU)に含まれているシーケンス・エンド・コード(Sequence_end_code)を検出するデータ再生部と、前記データ再生部によって再生した静止画像データと音声データをデコードして表示部及び音声出力部に供給し、スライドショーの再生を可能にした映像・音声デコーダと、ユーザ操作に応答して早戻しの指示を行う操作部と、前記スライドショーの再生時に早戻しが実行され、前記ピックアップ部が現トラックから前トラックに進入したときに、進入トラックがスライドショーのトラックである場合は、前記進入トラックの先頭部にある静止画像をデコードし前記進入トラックの終端から早戻しするように制御する制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5記載の本願発明のディスク再生方法は、ディスク媒体に記録された情報を読取るピックアップ部を備え、前記ピックアップ部により読取られた情報から静止画像データと音声データをデコードしてスライドショーを再生し、前記スライドショーの再生中に、早戻しが実行され、前記ピックアップ部が現トラックから前トラックに進入したときに、進入トラックがスライドショーのトラックであるか否かを判断し、進入トラックがスライドショーのトラックである場合は、前記進入トラックの先頭部にある静止画像をデコードし、前記進入トラックの終端から早戻しすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のディスク再生装置では、スライドショー再生モードにおいて、早戻しの操作を行っても違和感のない静止画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のディスク再生装置の一実施形態を示す全体構成図。
【図2】同実施形態のディスク媒体に記録されるデータの階層構造を説明する図。
【図3】同実施形態におけるスライドショーでの早戻し動作を説明する説明図。
【図4】同実施形態におけるスライドショーでの早戻し動作を説明するフローチャート。
【図5】従来のディスク再生装置におけるスライドショーでの早戻し動作を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明のディスク再生装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明のディスク再生装置100の全体構成を示すブロック図である。図1において、1はディスク媒体(DVD)であり、モータ2によって一定の線速度で回転される。ディスク媒体1に対する情報の記録、再生は、光ピックアップ3によって行われる。光ピックアップ3は、リニアモータ4によってディスク媒体1の径方向に駆動され、リニアモータ4は、リニアモータ制御回路5により制御される。
【0021】
光ピックアップ3には、対物レンズ31が設けられ、この対物レンズ31は、アクチュエータ32によってフォーカシング方向(レンズ31の光軸方向)への移動とトラッキング方向(レンズ31の光軸と直交する方向)への移動が制御される。
【0022】
ディスク媒体1への情報の書き込みは、半導体レーザ発振器33から発せられた光ビームを、ビームスプリッタ34を介してディスク媒体1に照射して行い、ディスク媒体1からの情報の読取り(リード)は、ディスク媒体1からの反射光を、対物レンズ31、ビームスプリッタ34、集光レンズ35、及びシリンドリカルレンズ36を介して、光検出器37に導くことによって行う。
【0023】
半導体レーザ発振器33は、レーザ制御回路6によって駆動制御され、半導体レーザ発振器33から発せられる光ビームは、コリメータレンズ38、ビームスプリッタ34、対物レンズ31を介してディスク媒体1上に照射される。レーザ制御回路6は、半導体レーザ発振器33から発せられる光ビームを記録/再生に応じて制御する。
【0024】
光検出器37は、例えば4分割の光検出セルから成り、各光検出セルの出力信号は、電流/電圧変換用のアンプを介して信号処理回路38に供給される。信号処理回路38は、光検出器37の出力信号を基に、フォーカス制御用の信号、トラッキング制御用の信号、及びデータ再生用の信号を出力する。
【0025】
フォーカス制御用の信号は、フォーカシング制御回路7に供給され、フォーカシング制御回路7の出力信号は、アクチュエータ32に供給される。これにより、光ビームが、ディスク媒体1上に常時ジャストフォーカスとなるような制御がなされる。
【0026】
また、トラッキング制御用の信号はトラッキング制御回路8に供給される。トラッキング制御回路8は、トラック駆動信号を作成してアクチュエータ32に供給する。これにより、光ピックアップ3のトラッキング方向の移動が制御される。また、トラッキング制御回路8からのトラック駆動信号は、リニアモータ制御回路5にも供給される。
トラッキング制御回路8によって対物レンズ31が移動されているとき、リニアモータ制御回路5によりモータ4を制御することで、対物レンズ31が光ピックアップ3内の中心位置近傍に位置するよう光ピックアップ3が移動制御される。また、モータ2はモータ制御回路9によって制御される。
【0027】
信号処理回路38からのデータ再生用の信号は、増幅回路10を介してデータ再生回路11に供給される。データ再生回路11は、増幅回路10の出力をデジタル化し、デジタル化された信号をPLL回路12からの再生用クロックに基づき記録データを再生する。
【0028】
リニアモータ制御回路5、レーザ制御回路6、フォーカシング制御回路7、トラッキング制御回路8、モータ制御回路9、データ再生回路11、PLL回路12は、バス13に接続され、これらの回路はバス13を介してコントローラ14によって制御される。
【0029】
コントローラ14はCPU141を含み、CPU141は、ROM15に記録されたプログラムに従ってディスク再生装置100を制御する。また、バス13にはRAM16が接続され、RAM16はプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。さらにバス13には、操作部17及び映像・音声デコーダ18が接続されている。操作部17はユーザによって操作され、例えば再生ボタン171、停止ボタン172、早戻しボタン173、早送りボタン174、パワーボタン175等を有している。
【0030】
映像・音声デコーダ18は、データ再生回路11で再生したデータから、映像信号及び音声信号をデコードし、映像信号を表示部19に供給し、音声信号を音声出力部(スピーカ)20に供給する。また、映像・音声デコーダ18は、操作部17の操作に応答してコントローラ14の制御のもとに、通常の再生や、スライドショーの再生に対応したモードで映像、音声信号を生成する。またバス13には記憶部(メモリ)21が接続されている。
【0031】
本発明のディスク再生装置100では、ディスク媒体1のビデオ・オブジェクト・ユニット(VOBU)内に含まれるシーケンス・エンド・コード(Sequence_end_code)を検出して、スライドショーの再生モードであることを判断する。またスライドショーの再生モードにおいて早戻しを実行した場合には、光ピックアップ3がトラックの境界を通過したときに進入したトラックの先頭部をサーチして静止画像をデコードし、デコードした静止画像を表示した後に進入トラックの終端から早戻しを継続する点に特徴がある。
【0032】
図2は、DVDデータの階層構造を示す図であり、シーケンス・エンド・コードを説明するための図である。
【0033】
ディスク媒体1(DVD1)に記録されるデータの階層構造は、DVD−V規格に準拠して定められており、図2に示すように、DVDビデオエリアには、ビデオマネージャ(VMG)及び多数のビデオ・タイトルセット(VTS)のデータが記録されている。VMGにはVTSを管理するデータが記述されており、VMGの内容は、コントローラ14に格納される。
【0034】
VTSは、ビデオ・タイトルセット情報(VTSI)、ビデオ・タイトルセット・メニュー用ビデオ・オブジェクトセット(VTSM_VOBS)、ビデオタイトルセット・タイトル用ビデオ・オブジェクトセット(VTSTT_VOBS)、ビデオ・タイトルセット情報のバックアップ(VTSI_BUP)等を含んでいる。
【0035】
またVTSTT_VOBSは、複数のビデオ・オブジェクト・アイデンティフィケーション・ナンバー(VOB_IDN)によって構成されており、VOB_IDNに含まれるデータの階層構造は、複数のCellによって構成されている。
【0036】
Cellは、複数のビデオ・オブジェクト・ユニット(VOBU)から構成されており、VOBUは、ナビゲーション・パック(NV_PCK)、オーディオ・パック(A_PCK)、ビデオ・パック(V_PCK)、サブピクチャ・パック(SP_PCK)によって構成されている。V_PCK、A_PCK、SP_PCKは、VOBUに複数含まれている。そして、V_PCK,A_PCK,SP_PCKは、それぞれビデオデータ、音声データ、字幕等のデータを、個別に圧縮・符号化して記録している。
【0037】
またNV_PCKは、VOBUに必ず1つ含まれており、NV_PCKは、プレゼンテーション・コントロール情報パケット(PCI_PKT)と、データ・サーチ情報パケット(DSI_PKT)等から構成され、V_PCK、A_PCK、SP_PCKのアドレスデータと、通常再生や特殊再生の処理を円滑に行うための付加情報が記録されている。
【0038】
さらにPCI_PKTには、VOBUの再生を制御するナビゲーション・データであるPCIが記述されており、PCIには、シーケンス・エンド・コード(Sequence_end_code)が記録されている。
【0039】
シーケンス・エンド・コードは、VOBU内のビデオデータの再生終了時刻を記述したものであり、動画の場合には画像データが常に更新されるので最終画像だけに付加されるコードである。また、スライドショーの場合には、次の静止画像迄に時間間隔があるので、静止画像の終了を表すため必ず使われるコードである。したがって、再生中のVOBUからシーケンス・エンド・コードを検出した場合は、スライドショーの再生中であると判断することができる。
【0040】
本発明は、この点に着目したものであり、ディスク媒体1の再生中にシーケンス・エンド・コードを検出することで各種の処理を行う。尚、シーケンス・エンド・コードは、データ再生回路11によって検出することができ、検出結果はコントローラ14に伝えられる。コントローラ14は、検出結果に応答して映像・音声デコーダ18を制御する制御部を構成する。
【0041】
図3は、本発明のディスク再生装置100のスライドショーの再生モードを説明する図であり、図3(a)は通常のスライドショーの動作を示し、図3(b)は、スライドショーのモードにおいて早戻し操作を行ったときの動作を示す。スライドショー用の静止画像データ(S1,S2,S3…Sn)は、所定の時間間隔でディスク媒体1に記録されており、静止画像の表示更新タイミング(各トラックの先頭部分)に記録されている。また音声データA1は継続して記録されている。
【0042】
したがって再生ボタン171が操作され、ディスク媒体1に記録されているシーケンス・エンド・コードを有するVOBUが再生された場合、スライドショーによる再生が実行される。このとき、図3(a)で示すように所定間隔で記録されている静止画データ(S1,S2,S3…Sn)を順次に読取り、次の静止画データが読取られるまでは前の静止画像を繰り返し表示する。また音声信号A1は途切れることなく再生される。
【0043】
一方、操作部17を操作して早戻しボタン173が押されたとき、光ピックアップ3は、再生中のトラックから前のトラックに向けて所定間隔置きに飛び飛びにサーチしていく。このとき、コントローラ14は、再生しているトラックがスライドショーのモードであるか否かの判断を行う。
【0044】
つまりスライドショーの再生においては、例えば、図3の静止画S1を表示してから静止画S2が表示されるまでの間は、画像データの更新がされないことを示すシーケンス・エンド・コードが静止画S1のVOBUに記録されている。従ってシーケンス・エンド・コードを持つVOBUを再生した時点で、コントローラ14は、そのトラックはスライドショーのトラックであると判断し、判断結果を記憶部21に記憶する。
【0045】
一方、記憶部21に判断結果が記憶されていない場合は、早戻しの途中でトラックの境界を通過した(跨いだ)瞬間に、進入したトラックのVOBUに映像データ(V_PCK)があるか否かの判断を行う。即ち進入したトラックのVOBUにV_PCKが存在しない場合、そのトラックはスライドショーのトラックであると判別する。V_PCKがある場合は動画であるため、スライドショーのトラックではないと判断する。
【0046】
そして、トラックの境界を跨いだときに、進入先のトラックがスライドショーのトラックではないと判断した場合は、従来の処理と同様にそのまま早戻しを行う。またスライドショーのトラックであると判断した場合は、一旦、進入したトラックの先頭部をサーチし、静止画像をデコードする。そして静止画を表示した後に、進入トラックの終端に戻って早戻しを行う。
【0047】
即ち、図3(b)に示すように、例えばスライドショーでトラック4を再生している途中で早戻しを実行した場合、光ピックアップ3は、番号1で示すようにトラック4からトラック3に向けて飛び飛びにトラックをサーチする。そしてトラックの境界を通過した瞬間、進入先のトラック3がスライドショーのトラックか否かを判断する。スライドショーのトラックである場合は、番号2で示すようにトラック3の先頭部にある静止画S3をデコードし、表示部19に静止画S3を表示する。
【0048】
そして静止画S3を表示した状態で、番号3で示すようにトラック3の終端に戻り、番号4で示すように終端から先頭に向かって早戻しを継続する。したがって、トラック3を早戻し中はトラック3の静止画S3が表示される。或いは早戻しと同時に静止画を表示するようにしてもよい。またトラック3から、さらに前のトラック2に向けて早戻しした場合は、点線で示すように同様の処理を行う。
【0049】
図4は、スライドショーの再生モードにおいて、早戻しを実行したときの動作を示すフローチャートである。図4において、S1は早戻しの動作開始ステップである。ステップS2で現トラックから前のトラックに進入したとき(トラックを跨いだとき)、ステップ3でコントローラ14は記憶部21に記憶された情報をもとに、スライドショーの判断が既に行われているか否かを確認する。
【0050】
スライドショーの判断が既に行われている場合は、ステップS4に進み、スライドショーである旨の判断がされている場合は、ステップS6に進む。またスライドショーの判断が未だ行われていない場合は、ステップS5において、進入先のトラックのVOBUに映像データ(V_PCK)があるか否かの判断を行う。進入したトラックのVOBUにV_PCKが存在しない場合は、そのトラックはスライドショーのトラックであると判別し、次のステップS6に進む。ステップS6では、進入したトラックの先頭部をサーチし、先頭部にある静止画をデコードし、静止画を表示する。そして静止画を表示した状態で、ステップS7ではトラックの終端をサーチし、ステップS8でトラックの終端から早戻しを継続する。
【0051】
またステップS4でスライドショーのトラックではないとの判断がされている場合は、ステップS8に進み、早戻しを継続する。同様にステップS5で、進入したトラックのVOBUにV_PCKがあると判断した場合は、動画であるためスライドショーのトラックではないと判断し、ステップS8に進み、そのまま早戻しを継続する。
【0052】
ステップS9では、早戻しの操作が解除されたか否かを判断し、早戻しが解除された場合は、ステップS10で早戻しを終了する。またステップS9で早戻し操作が継続している場合は、ステップS2に戻って前述した処理を続ける。したがって、早戻し中は現トラックの静止画が表示される。
【0053】
このように、本発明のディスク再生装置では、スライドショーの早戻し実行時及び実行後には、表示している静止画と再生している音声の関係が一致するため、再生中のトラックと結びつく正しい静止画を表示することができる。また早戻し中に音声を出力しないプレーヤでは、所望のトラックまで早戻しを実行する際に、表示中の静止画がトラックを跨ぐ毎に切り替わるため、所望のトラックまで早戻ししたことを容易に判断することができる。こうして本発明では、スライドショー再生中に早戻しを実行した場合に、再生中のトラックと結びつく正しい静止画の表示することができる。
【0054】
また本発明の実施形態は、以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…ディスク媒体
2…モータ
3…光ピックアップ
4…リニアモータ
5…リニアモータ制御回路
6…レーザ制御回路
7…フォーカシング制御回路
8…トラッキング制御回路
9…モータ制御回路
10…増幅回路
11…データ再生回路
12…PLL回路
13…バス
14…コントローラ
15…ROM
16…RAM
17…操作部
18…映像・音声デコーダ
19…表示部
20…音声出力部
21…記憶部
100…ディスク再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク媒体に記録された情報を読取るピックアップ部と、
前記ピックアップ部により読取られた情報から画像・音声データを再生するとともに、前記ディスク媒体に記録されたビデオ・オブジェクト・ユニット(VOBU)に含まれているシーケンス・エンド・コード(Sequence_end_code)を検出するデータ再生部と、
前記データ再生部によって再生した静止画像データと音声データをデコードして表示部及び音声出力部に供給し、スライドショーの再生を可能にした映像・音声デコーダと、
ユーザ操作に応答して早戻しの指示を行う操作部と、
前記スライドショーの再生時に早戻しが実行され、前記ピックアップ部が現トラックから前トラックに進入したときに、進入トラックがスライドショーのトラックである場合は、前記進入トラックの先頭部にある静止画像をデコードし前記進入トラックの終端から早戻しするように制御する制御部と、
を具備したディスク再生装置。
【請求項2】
前記ディスク媒体のトラック再生中に前記VOBUに含まれるシーケンス・エンド・コードを検出したとき、その検出結果を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、前記早戻しの実行中に前記記憶部に記憶した検出結果をもとに前記進入トラックがスライドショーのトラックであるか否かの判断を行うことを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記早戻しの途中で前記ピックアップ部がトラックの境界を通過したときに、進入トラックのVOBUに映像データ(V_PCK)があるか否かを判断し、前記映像データ(V_PCK)がない場合は前記進入トラックがスライドショーのトラックであると判断することを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記進入トラックがスライドショーのトラックでないと判断した場合は、前記進入トラックの先頭部をサーチすることなく、早戻しを実行することを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項5】
ディスク媒体に記録された情報を読取るピックアップ部を備え、
前記ピックアップ部により読取られた情報から静止画像データと音声データをデコードしてスライドショーを再生し、
前記スライドショーの再生中に、早戻しが実行され、前記ピックアップ部が現トラックから前トラックに進入したときに、進入トラックがスライドショーのトラックであるか否かを判断し、
進入トラックがスライドショーのトラックである場合は、前記進入トラックの先頭部にある静止画像をデコードし、
前記進入トラックの終端から早戻しすることを特徴とするディスク再生方法。
【請求項6】
前記ディスク媒体のトラック再生中に、前記ディスク媒体に記録されたビデオ・オブジェクト・ユニット(VOBU)に含まれるシーケンス・エンド・コード(Sequence_end_code)を検出したとき、その検出結果を記憶部に記憶し、
前記早戻しが実行されたとき、前記記憶した検出結果をもとに前記進入トラックがスライドショーのトラックであるか否かを判断することを特徴とする請求項5記載のディスク再生方法。
【請求項7】
前記記憶部に前記検出結果が記憶されていない場合は、前記早戻しの途中で前記ピックアップ部がトラックの境界を通過したときに、進入トラックのVOBUに映像データ(V_PCK)があるか否かを判断し、
前記映像データ(V_PCK)がない場合は、前記進入トラックがスライドショーのトラックであると判断することを特徴とする請求項6記載のディスク再生方法。
【請求項8】
前記進入トラックがスライドショーのトラックでないと判断した場合は、前記進入トラックの先頭部をサーチすることなく、早戻しを実行することを特徴とする請求項5記載のディスク再生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−176763(P2010−176763A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19810(P2009−19810)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】