説明

ディスク装置

【課題】ディスクの種別に対応した光ピックアップの基準位置の検出方法を選択でき、かつ部品点数の増加および機構系の複雑化を防止して機構系の小型化を図ることができるディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスクにレーザ光を照射してその反射光を光信号として読み取る光ピックアップ101と、光ピックアップ101をディスクの径方向に沿って駆動させるスレッドモータ108と、スレッドモータ108による光ピックアップ101の移動に伴う、当該光ピックアップ101が読み取る光信号の変化に基づいて当該光ピックアップ101の移動の際の基準位置を検出する検出方法が、ディスクの種別に対応して設定されており、光ピックアップ101が読み取った光信号に基づいてディスクの種別を判別し、当該ディスクの種別に対応する検出方法で基準位置を検出する信号処理部106jとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク装置に係り、特に光ピックアップを駆動する際の基準位置の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置は、電源が投入された場合、あるいは、ディスクを入れ替えられた場合、光ピックアップの初期位置を検出するため、スレッドモータを使用して、内周スイッチ(SW)に当接するまで光ピックアップをディスクの内周方向に移動させる。この初期位置を基準として、ディスクからデータの読み出しを開始する。なお、スレッドモータには、近年、ステッピングモータを使用することが多くなってきている。
【0003】
特許文献1には、内周SW(初期位置検出スイッチ)で検出された位置と、ディスクのリードインの位置との差を求めて、予め保持された上記差と姿勢情報との対応表を用い、ディスク装置の姿勢変化に応じたアクセス初期位置の補正を行う技術が開示されている。このようにすることにより、姿勢変化に応じたアクセス初期位置の補正を高速に実施することが可能である。
【0004】
また、特許文献2には、ディスクに記録されたピット(RF信号)を利用して光ピックアップの位置を判別するディスク装置が開示されている。この装置では、光ピックアップから出射された光のディスクからの戻り光を検出して、この戻り光がディスクを特定する情報のピットの影響を受け始めてから所定時間後に、光ピックアップの送りを停止若しくは低速送りにしてディスクを特定する情報を読み出す。これにより、ディスクを特定する情報が記録されたコントロールトラックに光ピックアップの光ヘッドを位置決めすることができる。
【0005】
特許文献3には、バーコード領域とミラー領域を有する光ディスクにおいて、トラッキングエラー信号(TE信号)の変化からバーコード領域か否かを判定し、光ピックアップをバーコード領域に位置決めする光ディスク装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−96533号公報
【特許文献2】特開昭64−48230号公報
【特許文献3】特開2003−67937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に代表される従来のディスク装置では、光ピックアップを接触式の内周SWに当接させることで光ピックアップの初期位置を検出していたため、経年変化に起因する劣化の影響を受けやすいという課題があった。
また、内周SWを設けることによる機構系の制約や、内周SWを配置するための領域を確保する必要がある。
【0008】
特許文献2では、ディスクに記録されたピット(RF信号)のみを利用して、光ピックアップの動作基準位置を検出することから、ピット以外を利用するディスクの種別に対応した光ピックアップの基準位置の検出方法を選択できないという課題があった。
【0009】
また、特許文献3のようにバーコード領域またはミラー領域に基づいて光ピックアップの位置をする方法では、バーコード領域またはミラー領域が光ディスクに必ず存在するものではないため、当該方法をそのまま適用できない場合があるという課題があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ディスクの種別に対応した光ピックアップの基準位置の検出方法を選択でき、かつ部品点数の増加および機構系の複雑化を防止して機構系の小型化を図ることができるディスク装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るディスク装置は、ディスクにレーザ光を照射してその反射光を光信号として読み取る光ピックアップと、光ピックアップをディスクの径方向に沿って駆動させる駆動部と、駆動部による光ピックアップの移動に伴う、当該光ピックアップが読み取る光信号の変化に基づいて当該光ピックアップの移動の際の基準位置を検出する検出方法が、ディスクの種別に対応して設定されており、光ピックアップが読み取った光信号に基づいてディスクの種別を判別し、当該ディスクの種別に対応する検出方法で基準位置を検出する信号処理部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ディスクの種別に対応した光ピックアップの基準位置の検出方法を選択でき、かつ部品点数の増加および機構系の複雑化を防止して機構系の小型化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】BD/DVD/CDディスクの構造を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るディスク装置の構造を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係るディスク装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、BD/DVD/CDディスクの構造を示す図であり、BD(Blu-ray Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disk)の構造を示している。BD、DVD、CDディスクは、通常、図1に示すように、ディスクを挟み込み回転させるための透明なクランプエリア10が最内周部分にある。クランプエリア10の外周側には、ミラーエリア11、そのさらに外周側にはバーコード状のBCA(Burst Cutting Area)12が設けられている。なお、BCA12には、ディスクに記録されたデータの改竄を防止するために、ディスクごとに異なった情報が記録される。また、BCA12は、BDやDVDなどの記録可能なディスクに存在する。
【0015】
BCA12の外周側にはリードインエリア13が設けられ、そのさらに外周側にデータエリア14が設けられる。リードインエリア13には、音楽や映像などのコンテンツが記録されたデータエリア14のTOC(Table Of Contents)情報などの管理情報が記録される。データエリア14の外周側には、データエリア14の終端を示すリードアウトエリア15が設けられている。リードアウトエリア15の外周側には、ディスク端であるリムエリア16がある。
【0016】
クランプエリア10およびリムエリア16では、フォーカスやトラッキングのサーボを実施することができない。また、ミラーエリア11およびBCA12では、トラッキングのサーボを実施することができない。一方、リードインエリア13、データエリア14およびリードアウトエリア15では、フォーカスやトラッキングのサーボを実施することができ、記録された情報を読み出すことができる。
【0017】
図2は、この発明の実施の形態1に係るディスク装置の構造を示すブロック図であり、再生系に関する機能ブロックのみを記載している。実施の形態1に係るディスク装置は、光ピックアップ101、信号生成回路102、サーボ回路103、レーザ駆動回路104、復調回路105、コントローラ106、スピンドルモータ107、スレッドモータ108およびAV処理回路109を備える。
【0018】
光ピックアップ101には、波長405nm程度の青色レーザ光、波長655nm程度の赤色レーザ光および波長780nm程度の赤外レーザ光を出射する半導体レーザが配備される。さらに、光ピックアップ101は、図示は省略したが、対物レンズ、対物レンズアクチュエータ、光検出器および光学系を備える。
【0019】
対物レンズは、上記半導体レーザが出射するレーザ光をディスク上に収束する。また、対物レンズアクチュエータは、対物レンズをフォーカス方向およびトラッキング方向へ駆動させる。光検出器は、ディスクからの反射光を受光する。光学系は、半導体レーザから出射された各レーザ光を対物レンズに導くとともに、ディスクからの反射光を光検出器へ導く。なお、スレッドモータ108は、当該光ピックアップ101を、ディスクの径方向(内周側から外周側または外周側から内周側)へ移動させる駆動部である。
【0020】
信号生成回路102は、光ピックアップ101が備える光検出器からの検出信号を演算処理してRF信号、フォーカスエラー信号(FE信号)、トラッキングエラー信号(TE信号)などの各種信号を生成する回路である。信号生成回路102で生成された各種信号が、信号検出部106bを介して信号処理部106jへ出力される。
【0021】
サーボ回路103は、信号生成回路102から入力した信号に基づいて、フォーカスサーボ信号およびトラッキングサーボ信号を生成し、光ピックアップ101の対物レンズアクチュエータへ出力する。また、サーボ回路103は、サーボ指示部106aからの信号に基づいてモータサーボ信号を生成し、スピンドルモータ107およびスレッドモータ108へ出力する。レーザ駆動回路104は、コントローラ106から入力した制御信号に従い、光ピックアップ101内の半導体レーザへ駆動信号を出力する。かかる制御により青色レーザ光、赤色レーザ光および赤外レーザ光の発光が適宜切り替えられる。
【0022】
復調回路105は、信号生成回路102から入力したRF信号を復調して再生データを生成し、AV処理回路109へ出力する回路であり、BDデコーダ105a、DVDデコード105bおよびCDデコーダ105cを備える。
BDデコーダ105aは、BDデータフォーマットに従ってデータ復調を行う。また、DVDデコーダ105bは、DVDデータフォーマットに従ってデータ復調を行う。CDデコーダ105cは、CDデータフォーマットに従ってデータ復調を行う。
いずれの復調部105a〜105cを用いるかは、コントローラ106からの制御信号に従って設定される。また、デコーダ105a〜105cによる復調の可否およびリードイン情報などのサブ情報が復調回路105からコントローラ106へ出力される。
【0023】
コントローラ106は、内蔵メモリに各種データを格納するとともに、予め設定されたプログラムに従って各構成部を制御する制御部である。
また、コントローラ106には、ディスク判別の際に、信号生成回路102からフォーカスエラー信号が入力され、この信号を基にディスク判別が行われる。
さらに、コントローラ106は、その機能構成として、サーボ指示部106a、信号検出部106b、レーザ切り替え指示部106c、デコード切り替え指示部106d、デコードエラー判定部106e、サブ情報処理部106f、ショックガードメモリ操作指示部106g、パルス検出部106h、不揮発性メモリ106i、信号処理部106j、書き込み部106kおよび読み出し部106lを備える。
【0024】
サーボ指示部106aは、再生対象となるBD、DVD、CDのそれぞれに適したサーボ指示またはディスク上のデータ取得位置への移動指示を行う。信号検出部106bは、信号生成回路102に生成されたサーボ用信号(FE信号、TE信号)、データ用信号(RF信号)を検出する。レーザ切り替え指示部106cは、BD用レーザ、DVD用レーザ、CD用レーザのいずれを駆動させるかの切り替え指示を行う。デコード切り替え指示部106dは、BDのデコード、DVDのデコード、CDのデコードのいずれを実施させるかの切り替え指示を行う。
【0025】
デコードエラー判定部106eは、BD、DVDあるいはCDのデコードでエラーが発生したか否かを判定する判定部である。サブ情報処理部106fは、ディスクのリードインエリア13に記録されたTOC情報などのサブ情報を処理する。ショックガードメモリ操作指示部106gは、AV処理回路109のショックガードメモリ109aの操作指示を行う。すなわち、ショックガードメモリ109aに蓄えられた再生データのうち、処理対象のデータを指定してAV処理回路109に処理させる制御信号を出力する。
【0026】
パルス検出部106hは、ステッピングモータであるスレッドモータ108のステップ数を、当該ステッピングモータのパルス数として検出する。不揮発性メモリ106iは、パルス検出部106hで検出されたパルス数を記憶する記憶部である。
信号処理部106jは、信号検出部106bに検出された信号に基づいて、ディスクの種別に対応した基準位置の検出方法の選択、ディスクからの情報取得、および各種処理の指示制御を行う。書き込み部106kは、光ピックアップ101の初期位置またはこれに代わる基準位置を規定するパルス数を不揮発性メモリ106iへ書き込む処理を行う。読み出し部106lは、光ピックアップ101の初期位置または基準位置を規定するパルス数を不揮発性メモリ106iから読み出す処理を行う。
【0027】
なお、光ピックアップ101の初期位置またはこれに代わる基準位置とは、光ピックアップ101を移動させる際の基準位置である。初期位置は、例えば、ディスクのリードインエリア13の初期位置に相当する。これは、ディスクの内周方向に光ピックアップ101を移動させた際に、フォーカスが外れる位置またはトラッキングエラー信号がなくなった位置に相当する。初期位置は、ディスクの種別ごとの規格で、スピンドルセンタからどのくらいの距離にあるかが定められている。
また、初期位置に代わる基準位置としては、例えば、ディスクのリードインの読み取り位置が挙げられる。
【0028】
復調回路105からAV処理回路109へ出力される再生データは、一旦ショックガードメモリ109aに蓄えられる。AV処理回路109は、ショックガードメモリ109aに蓄えられた再生データを処理して、映像情報および音声情報を取得する。映像情報は、コントローラ106のショックガードメモリ操作指示部106gからの制御指示に従い、テレビなどの表示装置200に出力される。音声情報は、ショックガードメモリ操作指示部106gからの制御指示に従って、スピーカ等(図示せず)に出力される。このほか、ショックガードメモリ操作指示部106gからの制御指示信号に応じて、所定の画面あるいは音声を出力するための情報が、AV処理回路109から適宜出力される。
【0029】
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係るディスク装置の動作を示すフローチャートであり、ディスクの挿入から再生までの一連の処理を示している。なお、以降では、光ピックアップ101の初期位置ではなく、基準位置を検出してディスク再生を行う場合について示す。
先ず、ディスク装置にディスクが挿入されると(ステップST101)、どのような種別のディスクが挿入されたかを判別する(ステップST102)。すなわち、光ピックアップ1を用いてフォーカシング動作を行って、信号生成回路102が、フォーカス信号を生成して、信号検出部106bへ出力する。信号処理部106jは、信号検出部106bが検出したフォーカス信号の出方などを確認することにより、挿入されたディスクの種別が、BD、DVD、CDのいずれであるかを判別する。
【0030】
次に、基準位置が検出されておらず、不揮発性メモリ106iにおいて光ピックアップ101の現在位置(基準位置との差)が記憶されていない状態(初期状態)であるか否かを判定する(ステップST103)。ここでは、読み出し部106lが、不揮発性メモリ106iの内容から初期状態であるか否かを判定する。なお、不揮発性メモリ106iの記憶内容が不正である場合も初期状態とする。また、不揮発性メモリ106iの記憶内容が不正である場合としては、例えば書き込み部106kによる書き込み途中で電源がオフされて想定外のデータが記憶された場合などに相当する。また、スレッドモータ108のスレッド送りに異常があった場合や何らかの影響で不揮発性メモリに記憶ができなかった場合も初期状態と判定してよい。
【0031】
サーボ指示部106aおよびレーザ切り替え指示部106cは、読み出し部106lが初期状態であると判定した旨(ステップST103;YES)の通知を受けると、フォーカスサーボを実施するように、サーボ回路103およびレーザ駆動回路104へ制御信号を出力する。サーボ回路103は、サーボ指示部106aからの信号に基づいて、モータサーボ信号を生成し、スピンドルモータ107およびスレッドモータ108へ出力する。レーザ駆動回路104は、コントローラ106から入力した制御信号に従い、光ピックアップ101内の半導体レーザへ駆動信号を出力する。これによって、フォーカスサーボを掛ける(ステップST104)。
【0032】
次いで、ステップST102で判別したディスクの種別に対応する最適の基準位置検出方法を選択する(ステップST105)。すなわち、信号処理部106jが、フォーカスサーボを掛けた状態で、信号生成回路102で生成された信号を、信号検出部106bを介して受信して、ディスクの種別に対応付けて予め設定された下記(1)〜(3)の方法のうちのいずれかを選択する。例えば、DVDは下記(2)の方法で基準位置を検出し、CDでは下記(3)の方法で基準位置を検出する。
(1)フォーカスサーボを掛けた状態で、光ピックアップ101をディスクの外周側から内周方向へ移動させ、フォーカスが外れた位置を基準位置として検出する。
(2)フォーカスサーボを掛けた状態で、光ピックアップ101をディスクの外周側から内周方向へ移動させ、TE信号が出なくなった位置を基準位置として検出する。
(3)フォーカスサーボを掛けた状態で、光ピックアップ101をディスクの外周側から内周方向へ移動させ、RF信号が出なくなった位置を基準位置として検出する。
なお、ディスク判別によるディスクの種類は、概ね、CD-ROM、CD-R/RW、DVD-ROM、DVD-R/RW、BD-ROM、BD-R/REの6種に分けられる。
DVD-R/RW、BD-R/REは、データエリアに未記録部を設けることを許容しているため、RF信号では適切に検知できない。RF信号は、トラックを跨いだ場合にも信号として現れるので、TE信号による検出を兼ねることが可能である。DVD-ROM、BD-ROMには、BCAがあり、RF信号が生成されるため、検知が少し遅れる。
このため、CD-ROM、CD-R/RWでは、RF信号にて主検出し、TE信号、およびフォーカス外れを保護として使用する。DVD-ROM、BD-ROMは、TE信号にて主検出し、RF信号、およびフォーカス外れを保護として使用する。DVD-R/RW、BD-R/REは、TE信号にて主検出し、フォーカス外れを保護として使用する。
【0033】
なお、基準位置を検出するための専用の機構が必要となるが、光ピックアップ101の送りシャフトを可変抵抗として、フォーカスサーボを掛けた状態で、光ピックアップ101をディスクの外周側から内周方向へ移動させ、ある抵抗値になった位置を基準位置としてもよい。この場合、例えば、上記可変抵抗の値を信号生成回路102で読み取り、信号処理部106jが、信号生成回路102および信号検出部106bを介して上記可変抵抗の値を取得して基準位置を検出する。
【0034】
次に、フォーカスサーボを掛けた状態で、スレッドモータ108により光ピックアップ101をディスクの内周方向へ移動させる(ステップST106)。すなわち、サーボ指示部106aが、信号処理部106jから基準位置検出方法の選択が通知されると、サーボ回路103に光ピックアップ101の移動を指示する。サーボ回路103は、サーボ指示部106aからの信号に基づいて、スレッドモータ108へモータ駆動信号を出力する。モータ駆動信号に基づいて、スレッドモータ108が、光ピックアップ101をディスクの外周側から内周方向へ移動させる。
【0035】
信号処理部106jは、ステップST105で選択した検出方法で、基準位置が検出されたか否かを判定する(ステップST107)。すなわち、信号処理部106jが、ディスクの内周方向へ移動中の光ピックアップ101から得られる信号(RF、TE、FE)あるいはサーボ外れを確認する。ここで、基準位置が検出されなければ(ステップST107;NO)、さらに光ピックアップ101の移動を継続する。また、基準位置が検出されると(ステップST107;YES)、スレッドモータ108を直ちに停止させる(ステップST108)。
【0036】
次に、書き込み部106kが、光ピックアップ101の基準位置からの差として、初期値“0”を不揮発性メモリ106iに記憶する(ステップST109)。なお、光ピックアップ101の基準位置からの差は、ステッピングモータであるスレッドモータ108のパルス数であり、パルス検出部106hで検出された値が書き込まれる。
【0037】
一方、不揮発性メモリ106iに光ピックアップ101の現在位置(基準位置からの差)が記憶されており、初期状態でないと判定された場合(ステップST103;NO)、読み出し部106lは、不揮発性メモリ106iから、光ピックアップ101の現在位置に相当するスレッドモータ108のパルス数を読み出す(ステップST121)。
【0038】
サーボ指示部106aは、読み出し部106lが読み出したパルス数分、光ピックアップ101を移動させるようにサーボ回路103へ指示する。サーボ回路103は、サーボ指示部106aからの指示信号に基づいてスレッドモータ108へモータ駆動信号を出力する。このモータ駆動信号に基づき、スレッドモータ108が、光ピックアップ101を読み出し部106lが読み出したパルス数分だけへ移動させる(ステップST122)。
【0039】
続いて、書き込み部106kが、パルス検出部106hで検出された光ピックアップ101の移動した分のパルス数を、不揮発性メモリ106iに書き込む(ステップST123)。ステップST122では、光ピックアップ101を基準位置まで移動させるので、不揮発性メモリ106iには、基準位置との差、すなわち初期値“0”が記憶される。
【0040】
ステップST109またはステップST123において、不揮発性メモリ106iに初期値“0”が記憶されている、すなわち光ピックアップ101が基準位置に位置している場合、信号処理部106jは、光ピックアップ101、信号生成回路102および信号検出部106bを介して、ディスクからBCAおよびリードインの情報の取得を開始する(ステップST110)。
このとき、書き込み部106kは、光ピックアップ101が移動する度に、パルス検出部106hで検出された移動パルス数を、不揮発性メモリ106iに逐次記憶する(ステップST111)。
【0041】
信号処理部106jは、BCAおよびリードインの情報の取得を完了すると、ステップST102で判別したディスクの種別とBCAおよびリードインの情報を、デコード切り替え指示部106dへ通知する。
デコード切り替え指示部106dは、信号処理部106jから通知されたディスクの種別に対応するデコーダへ切り替える指示信号とともに、BCAおよびリードインの情報を復調回路105へ出力する。
復調回路105では、デコーダ105a〜105cのうち、デコード切り替え指示部106dから指示されたデコーダによって、BCAおよびリードインの情報に基づき、ディスクの再生を行わせる(ステップST112)。このとき、書き込み部106kは、光ピックアップ101が移動する度に、パルス検出部106hで検出された移動パルス数を、不揮発性メモリ106iに逐次記憶する(ステップST113)。
【0042】
以上のように、この実施の形態1によれば、ディスクにレーザ光を照射してその反射光を光信号として読み取る光ピックアップ101と、光ピックアップ101をディスクの径方向に沿って駆動させるスレッドモータ108と、スレッドモータ108による光ピックアップ101の移動に伴う、当該光ピックアップ101が読み取る光信号の変化に基づいて当該光ピックアップ101の移動の際の基準位置を検出する検出方法が、ディスクの種別に対応して設定されており、光ピックアップ101が読み取った光信号に基づいてディスクの種別を判別し、当該ディスクの種別に対応する検出方法で基準位置を検出する信号処理部106jとを備える。
特に、光ピックアップ101のフォーカスおよびトラッキングのサーボ動作を行うサーボ回路103を備え、信号処理部106jが、サーボ回路103によりフォーカスサーボを行った状態で、スレッドモータ108によって光ピックアップ101をディスクの外周側から内周方向へ移動させ、フォーカスが外れた位置を基準位置として検出する検出方法と、サーボ回路103によりフォーカスサーボを行った状態で、スレッドモータ108によって光ピックアップ101をディスクの外周側から内周方向へ移動させ、トラッキングエラー信号が検出されなくなった位置を基準位置として検出する検出方法と、サーボ回路103によりフォーカスサーボを行った状態で、スレッドモータ108によって光ピックアップ101をディスクの外周側から内周方向へ移動させ、RF信号が検出されなくなった位置を基準位置として検出する検出方法とが、ディスクの種別に対応して設定されており、判別したディスクの種別に対応する検出方法で基準位置を検出する。
このように構成することで、ディスクの種別に対応した光ピックアップの基準位置の検出方法を選択でき、さらに、内周スイッチを設ける必要がないことから、部品点数の増加および機構系の複雑化が防止されて機構系の小型化を図ることが可能である。
【0043】
また、この実施の形態1によれば、基準位置からの差で光ピックアップ101の位置を示す位置情報を記憶する不揮発性メモリ106iを備え、スレッドモータ108が、不揮発性メモリ106iに記憶されている位置情報に基づいて、光ピックアップ101を基準位置へ移動する。特に、スレッドモータ108が、光ピックアップ101を所定のステップごとに移動させるステッピングモータであり、不揮発性メモリ106iが、光ピックアップ101の位置を、基準位置からのステップ数で示す位置情報を記憶し、スレッドモータ108が、不揮発性メモリ106iに記憶された基準位置からのステップ数で光ピックアップ101を基準位置へ移動する。
このようにすることで、光ピックアップ101の基準位置を一度検出すれば、不揮発性メモリ106iに記憶させたステップ数を用いるので、基準位置の再検出が不要となる。これにより、電源投入時あるいはディスク交換時に、基準位置を再検出する必要が無く、迅速にディスクからデータ読み出しを開始することが可能である。
【0044】
なお、本発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 クランプエリア、11 ミラーエリア、12 BCA、13 リードインエリア、14 データエリア、15 リードアウトエリア、16 リムエリア、101 光ピックアップ、102 信号生成回路、103 サーボ回路、104 レーザ駆動回路、105 復調回路、105a BDデコーダ、105b DVDデコード、105c CDデコーダ、106 コントローラ、106a サーボ指示部、106b 信号検出部、106c レーザ切り替え指示部、106d デコード切り替え指示部、106e デコードエラー判定部、106f サブ情報処理部、106g ショックガードメモリ操作指示部、106h パルス検出部、106i 不揮発性メモリ、106j 信号処理部、106k 書き込み部、106l 読み出し部、107 スピンドルモータ、108 スレッドモータ、109 AV処理回路、109a ショックガードメモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクにレーザ光を照射してその反射光を光信号として読み取る光ピックアップと、
前記光ピックアップを前記ディスクの径方向に沿って駆動させる駆動部と、
前記駆動部による前記光ピックアップの移動に伴う、当該光ピックアップが読み取る光信号の変化に基づいて当該光ピックアップの移動の際の基準位置を検出する検出方法が、前記ディスクの種別に対応して設定されており、前記光ピックアップが読み取った光信号に基づいて前記ディスクの種別を判別し、当該ディスクの種別に対応する前記検出方法で前記基準位置を検出する信号処理部とを備えたディスク装置。
【請求項2】
前記光ピックアップのフォーカスおよびトラッキングのサーボ動作を行うサーボ回路を備え、
前記信号処理部は、
前記サーボ回路によりフォーカスサーボを行った状態で、前記駆動部によって前記光ピックアップをディスクの外周側から内周方向へ移動させ、フォーカスが外れた位置を基準位置として検出する検出方法と、
前記サーボ回路によりフォーカスサーボを行った状態で、前記駆動部によって前記光ピックアップをディスクの外周側から内周方向へ移動させ、トラッキングエラー信号が検出されなくなった位置を基準位置として検出する検出方法と、
前記サーボ回路によりフォーカスサーボを行った状態で、前記駆動部によって前記光ピックアップをディスクの外周側から内周方向へ移動させ、RF信号が検出されなくなった位置を基準位置として検出する検出方法とが、前記ディスクの種別に対応して設定されており、
判別したディスクの種別に対応する前記検出方法で前記基準位置を検出することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記基準位置からの差で前記光ピックアップの位置を示す位置情報を記憶する不揮発性の記憶部を備え、
前記駆動部は、前記不揮発性の記憶部に記憶されている前記位置情報に基づいて、前記光ピックアップを前記基準位置へ移動することを特徴とする請求項1または請求項2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記光ピックアップを所定のステップごとに移動させ、
前記不揮発性の記憶部は、前記光ピックアップの位置を、前記基準位置からのステップ数で示す位置情報を記憶し、
前記駆動部は、前記不揮発性の記憶部に記憶された前記基準位置からのステップ数で、前記光ピックアップを前記基準位置へ移動することを特徴とする請求項3記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−8415(P2013−8415A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140581(P2011−140581)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】