説明

ディスプレイおよびそれに用いられる視野角制御装置

【課題】表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイを提供する。
【解決手段】表示装置の背面および前面の少なくとも一方に、ホモジニアス配向またはスプレイ配向させた液晶セルを有する視野角制御用液晶パネルを備えたディスプレイである。前記液晶セルは、透光性電極212a,212bと、これに直交する透光性電極214a,214bとを有する。前記駆動回路が、透光性電極212a,212b間および透光性電極214a,214b間のいずれかに選択的に電圧を印加し、電圧が印加された電極群において隣接する電極間に電界を発生させ、液晶の複屈折を利用して、表示状態を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの視野角を広視野角と狭視野角との間で切替えられる視野角制御装置と、それを用いたディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイは、一般的には、どの視角から見ても鮮明な画像を見ることができるように、可能な限り広い視野角を有することが求められている。特に、最近広く普及している液晶ディスプレイは、液晶そのものが視角依存性を有することから、広視野角化に関して様々な技術開発がなされてきた。しかしながら、使用環境によっては、使用者本人にしか表示内容が視認できないよう、視野角が狭い方が好都合であることもある。特に、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型情報端末(PDA)、または携帯電話等は、電車や飛行機内など、不特定多数の人間が存在し得る場所で使用される可能性も高い。そのような使用環境においては、機密保持やプライバシー保護等の観点から、近傍の他人から表示内容を覗かれたくないので、ディスプレイの視野角が狭いことが望ましい。このように、近年、1台のディスプレイの視野角を、使用状況に応じて広視野角と狭視野角との間で切替えたいという要求が高まっている。なお、この要求は、液晶ディスプレイに限らず、任意のディスプレイに対して共通の課題である。
【0003】
このような要求に対して、画像を表示する表示装置に加えて位相差制御用装置を備え、位相差制御用装置に印加する電圧を制御することによって視野角特性を変化させようとする技術が提案されている(例えば、下記の特許文献1)。この特許文献1では、位相差制御用液晶表示装置で用いる液晶モードとして、カイラルネマティック液晶、ホモジニアス液晶、ランダム配向のネマティック液晶などが例示されている。
【0004】
また、表示用液晶パネル上部に、視野角制御用液晶パネルを設け、これらのパネルを2枚の偏光板で挟持し、視野角制御用液晶パネルへの印加電圧を調整することによって、視野角制御を行う構成も従来開示されている(例えば、特許文献2,3)。特許文献2では、視野角制御用液晶パネルの液晶モードはツイストネマティック方式である。特許文献3には、平行な透過軸を有する2枚の偏光板の間に視野角制御用液晶パネルを備えた構成が開示されている。
【特許文献1】特許第3322197号公報
【特許文献2】特開平10−268251号公報
【特許文献3】特開2005−316470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、位相差制御用液晶素子を用いることによって広視野角と狭視野角との切替えが可能であると述べられているが、その効果は十分とは言えない。例えば特許文献1の図4には、コントラスト比が10:1の等コントラスト曲線が示されており、狭視野角では、確かに広視野角方向のコントラストが低下している。しかしながら、この程度の変化では、隣にいる人から表示が十分に視認されてしまう。一般に、コントラスト比が2:1まで低下しても、十分に表示を視認できるからである。
【0006】
また、特許文献2の技術も、視野角制御用液晶パネルへの印加電圧を変化させてコントラストを調整することによって、広視野角と狭視野角との切替えを行うものであり、その効果は十分とは言えない。
【0007】
すなわち、特許文献1,2のいずれの技術も、広視野角方向のコントラストを低下させることによって、広視野角と狭視野角との切替えを行う手法を採用しているが、このような手法では、狭視野角時に広視野角方向の遮蔽が十分ではなく、他人から画像が見られてしまう可能性があるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、広視野角と狭視野角とを切替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイと、これに用いられる視野角制御装置とを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明にかかるディスプレイは、表示すべき画像に応じて駆動される表示装置と、前記表示装置の背面および前面の少なくとも一方に配置され、前記表示装置の視野角を制御する視野角制御装置とを備えたディスプレイであって、前記視野角制御装置は、一対の透光性基板間に液晶分子をホモジニアス配向またはスプレイ配向させた液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、前記液晶セルは、前記一対の透光性基板の一方である第1の透光性基板に、第1の透光性電極群を備えると共に、前記第1の透光性基板または前記一対の透光性基板の他方である第2の透光性基板に、前記第1の透光性電極群における電極の延伸方向に略直交するように設けられた第2の透光性電極群を備え、前記駆動回路は、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群に接続され、前記液晶セルは、当該ディスプレイ内で、2枚の偏光板の間に配置され、前記駆動回路が、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群のいずれかに選択的に電圧を印加し、電圧が印加された電極群において隣接する電極間に電界を発生させることにより、表示状態を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とする。
【0010】
上記の構成では、視野角制御装置が、ホモジニアス配向またはスプレイ配向させた液晶層を有する液晶セルは、前記一対の透光性基板の一方である第1の透光性基板にストライプ状の第1の透光性電極群を備えると共に、前記第1の透光性基板または前記一対の透光性基板の他方である第2の透光性基板に、前記第1の透光性電極群における電極の延伸方向に略直交するように設けられた第2の透光性電極群を備えている。そして、駆動回路が、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群のいずれかに選択的に電圧を印加し、電圧が印加された電極群において隣接する電極間に電界を発生させることにより、視野角制御装置の液晶層の液晶分子の配列状態を変化させる。このとき、液晶分子は、電圧が印加された電極群において隣接する電極間に発生する等電位面にダイレクタを揃えるように回転する。
【0011】
このように、視野角制御装置の液晶分子の向きを切り替えることにより、液晶の複屈折性を利用して、正面方向と斜め方向とのそれぞれに対して、観察者側に配置された偏光板を透過する光の量を互いに異ならせることができる。これにより、上記の構成にかかるディスプレイでは、その表示状態を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態(広視野角)と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態(狭視野角)との間で切替え可能となる。なお、「広視野角」と「狭視野角」とは、特定の絶対的な角度範囲を意味するのではなく、相対的に広い視野角と、相対的に狭い視野角とを意味する。また、上記の構成では、液晶分子をホモジニアス配向またはスプレイ配向させた液晶セルを用いることにより、限られた視野角のみ表示を視認できる狭視野角状態が実現可能である。これにより、上記従来の視野角制御技術のように広視野角側の表示のコントラストを低下させるのではなく、光の透過および遮蔽の切替えによって視野角制御を行うことができる。この結果、様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイを提供することができる。
【0012】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群のそれぞれが、互いに対向して配置される櫛歯状電極を含むことが好ましい。
【0013】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が−10°〜10°の範囲で交差するよう配置され、前記液晶セルの正面方向のリタデーションがλ/4であることが好ましい。あるいは、前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が80°〜100°の範囲で交差するよう配置され、前記液晶セルの正面方向のリタデーションがλ/4であることも好ましい。
【0014】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記視野角制御装置が、前記一対の透光性基板の一方と前記液晶セルとの間に、少なくとも1枚の位相差板をさらに備えた構成であることが好ましい。
【0015】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記位相差板が1/2波長位相差板を含み、前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が−10°〜10°の範囲で交差するよう配置され、前記液晶セルの正面方向のリタデーションが、前記第1の状態および第2の状態において、λ/4と3λ/4との間で切り替わることが好ましい。あるいは、前記位相差板が1/2波長位相差板を含み、前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が80°〜100°の範囲で交差するよう配置され、前記液晶セルの正面方向のリタデーションが、前記第1の状態および第2の状態において、λ/4と3λ/4との間で切り替わる構成も好ましい。また、これらの場合に、前記1/2波長位相差板の光軸と前記偏光板の偏光吸収軸とが、略45°または略135°をなすように、前記1/2波長位相差板と前記偏光板とが配置されていることがさらに好ましい。
【0016】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記位相差板が1/4波長位相差板を含み、前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が−10°〜10°の範囲で交差するよう配置され、前記液晶セルの正面方向のリタデーションがλ/2である構成も好ましい。あるいは、前記位相差板が1/4波長位相差板を含み、前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が80°〜100°の範囲で交差するよう配置され、前記液晶セルの正面方向のリタデーションがλ/2である構成も好ましい。
【0017】
また、本発明にかかるディスプレイにおいて、前記2枚の偏光板の間に光学補償フィルムをさらに含む構成としても良い。この場合、前記光学補償フィルムの3次元屈折率がnx=ny>nzの関係を満たすことが好ましい。あるいは、前記光学補償フィルムの3次元屈折率がnx>ny>nzの関係を満たすことも好ましい。
【0018】
本発明にかかるディスプレイにおいては、前記液晶セルにおける液晶の配向方向が、前記偏光板の偏光吸収軸と略平行であっても良いし、前記液晶セルにおける液晶の配向方向が、前記偏光板の偏光吸収軸と略垂直であっても良い。また、前記視野角制御装置の液晶層が、ポジ型のネマティック液晶を含んでも良いし、前記視野角制御装置の液晶層が、ネガ型のネマティック液晶を含んでも良い。
【0019】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記表示装置が、直線偏光を出射する表示装置であって、前記2枚の偏光板のうち1枚が、前記表示装置に設けられた偏光板であることが好ましい。例えば、前記表示装置が透過型液晶表示装置であり、バックライトをさらに備えた構成とすれば良い。この場合、前記視野角制御装置が、前記バックライトと前記透過型液晶表示装置との間に配置された構成としても良いし、前記視野角制御装置が、前記透過型液晶表示装置の前面に配置された構成としても良い。また、前記バックライトが、法線方向に指向性を有する指向性バックライトであることが好ましい。
【0020】
あるいは、本発明にかかるディスプレイにおいて、前記表示装置が、反射型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置であることも好ましい。
【0021】
あるいは、本発明にかかるディスプレイにおいて、前記表示装置が、自発光型表示装置であって、前記2枚の偏光板のうち1枚は、前記自発光型表示装置と前記視野角制御装置との間に設けられている構成も好ましい。
【0022】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる第1の視野角制御装置は、表示すべき画像に応じて駆動され直線偏光を出射する表示装置の背面および前面の少なくとも一方に配置され、前記表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、一対の透光性基板間に液晶分子をホモジニアス配向またはスプレイ配向させた液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路と、前記液晶セルに対して前記表示装置の反対側に配置された直線偏光板とを備え、前記液晶セルは、前記一対の透光性基板の一方である第1の透光性基板に、第1の透光性電極群を備えると共に、前記第1の透光性基板または前記一対の透光性基板の他方である第2の透光性基板に、前記第1の透光性電極群における電極の延伸方向に略直交するように設けられた第2の透光性電極群を備え、前記駆動回路は、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群に接続され、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群のいずれかに選択的に電圧を印加し、電圧が印加された電極群において隣接する電極間に電界を発生させることにより、光の出射範囲を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とする。
【0023】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる第2の視野角制御装置は、表示すべき画像に応じて駆動される自発光型表示装置の前面に配置され、前記自発光型表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、一対の透光性基板間に液晶分子をホモジニアス配向またはスプレイ配向させた液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路と、前記一対の透光性基板の外側に設けられた一対の偏光板とを備え、前記液晶セルは、前記一対の透光性基板の一方である第1の透光性基板に、第1の透光性電極群を備えると共に、前記第1の透光性基板または前記一対の透光性基板の他方である第2の透光性基板に、前記第1の透光性電極群における電極の延伸方向に略直交するように設けられた第2の透光性電極群を備え、前記駆動回路は、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群に接続され、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群のいずれかに選択的に電圧を印加し、電圧が印加された電極群において隣接する電極間に電界を発生させることにより、光の出射範囲を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上のとおり、本発明によれば、表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイと、これに用いられる視野角制御装置とを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明にかかるディスプレイは、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態にかかる液晶ディスプレイ100の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、液晶ディスプレイ100は、画像を表示する表示用液晶パネル1(表示装置)と視野角制御用液晶パネル2(視野角制御装置)との2枚の液晶パネルを備えている。本実施形態における表示用液晶パネル1は透過型であり、光源としてバックライト3が用いられる。視野角制御用液晶パネル2は、バックライト3と表示用液晶パネル1との間に設けられている。液晶ディスプレイ100は、視野角制御用液晶パネル2における液晶をスイッチング動作させることにより、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が広い状態(広視野角)と、視野角が狭い状態(狭視野角)との間で、表示状態を切替えることができる。狭視野角は、他人に表示用液晶パネル1の画像を見られたくない場合に特に好適に用いられ、広視野角は、それ以外の通常の使用時や、表示用液晶パネル1の画像を複数人で同時に見たい場合等に好適に用いられる。
【0027】
表示用液晶パネル1は、一対の透光性基板間に液晶を挟持した液晶セル11と、液晶セル11の表裏に設けられた偏光板12,13とを有する。液晶セル11の液晶モードやセル構造は任意である。また、表示用液晶パネル1の駆動モードも任意である。すなわち、表示用液晶パネル1としては、文字や画像あるいは動画を表示できる任意の液晶パネルを用いることができる。従って、図1においては表示用液晶パネル1の詳細な構造を図示せず、その説明も省略する。また、表示用液晶パネル1は、カラー表示可能なパネルであっても良いし、モノクロ表示専用のパネルであっても良い。さらに、バックライト3の構成にも何ら限定がなく、公知の任意のバックライトを用いることができるので、バックライト3の詳細な構造の図示および説明も省略する。
【0028】
視野角制御用液晶パネル2は、一対の透光性基板間に液晶層を挟持した液晶セル21と、液晶セル21に対してバックライト3側に設けられた偏光板22と、液晶セル21と偏光板22との間に配置された1/2波長位相差板23とを備えている。
【0029】
ここで、視野角制御用液晶パネル2の液晶セル21の構造について、図2および図3を参照しながら説明する。図2は、液晶セル21の概略構造を示す断面模式図である。図3は、液晶セル21が備える透光性電極の構造を示す模式図である。
【0030】
図2に示すように、液晶セル21は、透光性基板211a,211bを備えている。透光性基板211aの表面には、配向膜215aが形成されている。一方、透光性基板211bの表面には、例えばITO(Indium Tin Oxide)を材料として、図3に示すように、互いに対向する櫛歯状の透光性電極212a,212bが形成されている。なお、図2は、1本の透光性電極212a上を、その延伸方向に沿って切断した断面を示しているので、図2には透光性電極212bが表れていない。透光性電極212の上層には、絶縁膜213を介して、透光性電極212a,212bに直交する方向に延伸する透光性電極214a,214bが形成されている。透光性電極214a,214bも、例えばITO(Indium Tin Oxide)を材料として用い、互いに対向する櫛歯状に形成されている。
【0031】
図3に示すように、透光性電極212aおよび透光性電極214aは所定電圧を供給する配線に接続されており、透光性電極212b,214bは駆動回路217にスイッチを介して接続されている。すなわち、駆動回路217は、透光性電極212bと透光性電極214bとのいずれか一方に選択的に電圧を印加するようになっている。これにより、透光性電極212bへ駆動回路217から電圧が印加された場合は、櫛歯状に形成されている透光性電極212aと透光性電極212bとの間に、これらの電極の延伸方向にほぼ垂直な電界が生じる。また、透光性電極214bへ駆動回路217から電圧が印加された場合は、櫛歯状に形成されている透光性電極214aと透光性電極214bとの間に、これらの電極の延伸方向にほぼ垂直な電界が生じる。
【0032】
透光性電極214a,214bの上層は、配向膜215bで覆われている。そして、透光性基板211a,211bは所定の間隔を保ってシール材(図示せず)を介して貼り合わされ、配向膜215a,215bと前記シール材によって形成された空隙に液晶材料が注入されることにより、液晶層216が形成されている。液晶層216の液晶材料としては、本実施形態においてはポジ型のネマティック液晶を用いるが、ネガ型のネマティック液晶であっても良い。
【0033】
図4は、偏光板22の偏光吸収軸X22、1/2波長位相差板23の光軸(遅相軸)X23、液晶セル21の配向膜215a,215bにおける配向軸Ra,Rb、および、偏光板13の偏光吸収軸X13の関係を示す模式図である。図4に示すように、偏光板22の偏光吸収軸X22と、偏光板13の偏光吸収軸X13とは、互いに平行に設定されている。なお、偏光吸収軸X22と偏光吸収軸X13とは、完全に平行でなくても良く、それらのなす角が−10°〜10°の範囲内であれば、視野角切替えの十分な効果が得られる。1/2波長位相差板23の光軸X23は、偏光板22の偏光吸収軸X22に対して、ほぼ45°をなすように配置されている。液晶セル21の配向膜215a,215bにおける配向軸Ra,Rbは、偏光板22の偏光吸収軸X22にほぼ平行に設定されている。なお、図4の例では、配向軸Ra,Rbは、互いに平行かつ逆方向になるよう設定されているが、平行かつ同方向になるよう設定されていても良い。
【0034】
図5は、液晶セル21の配向膜215a,215bにおける配向軸Ra,Rbの向きと、液晶層216の液晶分子の配向状態(電圧無印加時)とを示す断面模式図である。図5(a)に示すように、配向軸Ra,Rbが互いに平行かつ逆方向になるように、配向膜215a,215bに配向処理がなされている場合は、液晶層216の液晶分子216mは、ホモジニアス配向をなす。一方、図5(b)に示すように、配向軸Ra,Rbが互いに平行かつ同方向になるように、配向膜215a,215bに配向処理がなされている場合は、液晶層216の液晶分子216mは、スプレイ配向をなす。なお、図5(a)および(b)においては、説明を分かりやすくするために、プレチルト角の大きさが実際よりも誇張して示されている。本実施形態にかかる視野角制御用液晶パネル2では、図5(a)および(b)にそれぞれ示すホモジニアス配向およびスプレイ配向のいずれであっても、ほぼ同様の効果が得られる。
【0035】
ここで、図6(a)〜(c)を参照し、印加電圧に応じた液晶分子216mのふるまいについて説明する。図6(a)は、液晶セル21に対して電圧が印加されていないとき、図6(b)は、液晶セル21の透光性電極212a,212b間に駆動回路217より所定の電圧が印加されたとき、図6(c)は、液晶セル21の透光性電極214a,214b間に所定の電圧が印加されたときの、液晶分子216mの状態をそれぞれ示す模式図である。なお、本実施形態では、前述したように、液晶層216はポジ型のネマティック液晶、すなわち、液晶分子の長軸方向の誘電率が短軸方向の誘電率よりも大きい液晶であるものとする。
【0036】
液晶セル21に対して電圧が印加されていないとき、図6(a)に示すように、液晶セル21の液晶分子216mは、その分子長軸が、配向軸Ra,Rbに平行になるよう配向している。一方、駆動回路217が、透光性電極212a,212b間に所定の電圧を印加したときは、図6(b)に示すように、液晶分子216mは、透光性電極212a,212b間に形成される電界の方向に分子長軸の向きを揃えるように配向する。言い換えると、透光性電極212a,212b間に電圧が印加されると、透光性電極212a,212bの延伸方向にほぼ垂直に等電位面が生じる。液晶分子216mは、この等電位面にダイレクタを一致させるように配向する。また、駆動回路217が、透光性電極214a,214b間に所定の電圧を印加したときは、図6(c)に示すように、液晶分子216mは、透光性電極214a,214b間に形成される電界の方向に分子長軸の向きを揃えるように配向する。
【0037】
以上のように、駆動回路217が液晶セル21の透光性電極212a,212b、および透光性電極214a,214bのいずれかへ電圧を選択的に印加することにより、図6(b)および(c)に示すように、液晶分子216mのダイレクタの向きを、基板に平行な面内でスイッチさせることができる。言い換えると、液晶セル21は、図6(b)に示すように、透光性電極212a,212b間に所定の電圧を印加したときには、正面方向に透過する光に対して+λ/4の位相差を生じ、図6(c)に示すように、透光性電極214a,214b間に所定の電圧を印加したときには、正面方向に透過する光に対して−λ/4の位相差を生じる。
【0038】
ここで、上述したように、駆動回路217が液晶セル21の透光性電極212a,212b、または透光性電極214a,214bへ電圧を選択的に印加した場合のそれぞれに、視野角制御用液晶パネル2を透過する光に生じる位相差について、図7を参照しながら説明する。図7は、透光性電極212a,212bまたは透光性電極214a,214bに所定の電圧を印加したときに、視野角制御用液晶パネル2を正面方向または斜め方向に透過する光について、各光学部材で生じる位相差を説明する図である。なお、ここでの「斜め方向」とは、方位角が1/2波長位相差板23の光軸にほぼ直交する方向であって、極角が所定の角度(例えば45°)よりも大きい視角方向をいう。なお、極角とは、液晶セル21の基板法線に対して、観察者の視点と液晶セル21の表面中央とを結ぶ線とがなす角度である。
【0039】
図7の一番左の欄に示すように、透光性電極212a,212bに電圧を印加した場合は、視野角制御用液晶パネル2を正面方向に透過する光は、まず、偏光板22において偏光吸収軸X22に略直交する直線偏光成分のみが透過する。そして、偏光板22を透過した直線偏光成分は、1/2波長位相差板23に入射して+λ/2の位相遅れを生じ、次に液晶セル21へ入射して上述したようにさらに+λ/4の位相遅れを生じ、合計で4λ/3の位相遅れを持つ円偏光となる。この円偏光が偏光板13へ入射することにより、偏光板13の偏光吸収軸X13に略直交する直線偏光成分のみが透過して観察者に視認されることとなる。
【0040】
一方、透光性電極214a,214bに電圧を印加した場合は、図7の左から二番目の欄に示すように、視野角制御用液晶パネル2を正面方向に透過する光は、上記と同様に、まず、偏光板22において偏光吸収軸X22に略直交する直線偏光成分のみが透過する。そして、偏光板22を透過した直線偏光成分は、1/2波長位相差板23に入射して+λ/2の位相遅れを生じ、次に液晶セル21へ入射して、この場合は上述したように−λ/4の位相遅れを生じ、合計でλ/4の位相遅れを持つ円偏光となる。この円偏光が偏光板13へ入射することにより、偏光板13の偏光吸収軸X13に略直交する直線偏光成分のみが透過して観察者に視認されることとなる。
【0041】
また、透光性電極212a,212bに電圧を印加した場合は、図7の左から三番目の欄に示すように、視野角制御用液晶パネル2を斜め方向に透過する光は、まず、偏光板22において偏光吸収軸X22に略直交する直線偏光成分のみが透過する。そして、偏光板22を透過した直線偏光成分は、1/2波長位相差板23に入射するが、入射方向が斜めであるので、正面方向から入射した場合の+λ/2よりも大きい位相遅れ(+λ/2+α)を生じ、楕円偏光となる。さらに、液晶セル21においても、正面方向から入射した場合の+λ/4よりも大きい位相遅れ(+λ/4+β)を生じ、合計で(4λ/3+α+β)の位相遅れを持つ楕円偏光となる。この位相差(4λ/3+α+β)は、ほぼλに近い値となる。この楕円偏光が偏光板13へ入射することにより、偏光板13の偏光吸収軸X13に略直交する直線偏光成分のみが透過して観察者に視認されることとなる。
【0042】
一方で、透光性電極214a,214bに電圧を印加した場合は、図7の最も右の欄に示すように、視野角制御用液晶パネル2を斜め方向に透過する光は、まず、偏光板22において偏光吸収軸X22に略直交する直線偏光成分のみが透過する。そして、偏光板22を透過した直線偏光成分は、1/2波長位相差板23に入射するが、入射方向が斜めであるので、正面方向から入射した場合の+λ/2よりも大きい位相遅れ(+λ/2+α)を生じ、楕円偏光となる。さらに、液晶セル21においては、正面方向から入射した場合の−λ/4よりも大きい位相遅れ(−λ/4+β)を生じ、合計で(λ/4+α+β)の位相遅れを持つ楕円偏光となる。この位相差(λ/4+α+β)は、ほぼλ/2に近い値となる。この円偏光は、偏光板13へ入射することにより、偏光板13の偏光吸収軸X13に略直交する直線偏光成分のみが透過して観察者に視認されることとなる。
【0043】
ここで、最終的に偏光板13を透過して観察者に視認される光の量は、図7から分かるように、正面方向から観察した場合は、透光性電極212a,212bおよび透光性電極214a,214bのいずれに電圧を印加する場合であっても同様であり、正面方向については十分な輝度が得られる。一方、斜め方向から観察した場合は、透光性電極212a,212bに電圧を印加した場合は十分な輝度が得られるが、透光性電極214a,214bに電圧を印加した場合は、透過光量が大きく制限され、表示用液晶パネル1からの出射光をほとんど視認することができない状態となる。従って、透光性電極212a,212bに電圧を印加することにより、正面方向と斜め方向との両方について十分な輝度が得られる広視野角状態を実現できる。一方、透光性電極214a,214bに電圧を印加することにより、正面方向については十分な輝度が得られるが、斜め方向については視野が遮蔽される、いわゆる狭視野角状態を実現できる。
【0044】
なお、1/2波長位相差板23の光軸方向の方位角については、極角が大きい視角についても、液晶層216における複屈折の影響を受けないので、透光性電極212a,212b,214a,214bへの電圧印加状況にかかわらず、視野は遮蔽されない。
【0045】
なお、図7は、図4に示したように、偏光板22と偏光板13とをパラレルニコル配置とした場合の状態を示すが、偏光板22と偏光板13とをクロスニコル配置とした場合は、図8に示すように、図7とは逆に、透光性電極212a,212bに電圧を印加することによって狭視野角状態が得られ、透光性電極214a,214bに電圧を印加することによって広視野角状態が得られる。
【0046】
以上のように、本実施形態にかかる視野角制御用液晶パネル2を備えた液晶ディスプレイ100は、透光性電極212a,212bまたは透光性電極214a,214bに選択的に電圧を印加することにより、広視野角状態と狭視野角状態とを切り替えることができる。
【0047】
上記の説明においては、1/2波長位相差板23を備えた構成(図4参照)を例示したが、1/2波長位相差板23は必須ではなく、図9に示すように、図4に示した構成から1/2波長位相差板23を省略した構成も、本発明の一実施形態である。図9に示した構成の場合、液晶セル21の正面方向(法線方向)のリタデーションをλ/4とすればよい。この構成では、液晶セル21の透光性電極212a,212bおよび透光性電極214a,214bのいずれにも電圧を印加しない状態で広視野角状態が得られる。一方、透光性電極212a,212bおよび透光性電極214a,214bの一方に電圧を印加することで狭視野角状態が得られる。このとき、透光性電極212a,212bに電圧を印加した場合と、透光性電極214a,214bに電圧を印加した場合とにおいて、視野が制御される方向(方位角の範囲)が互いに異なる。
【0048】
また、図10に示すように、図4に示した構成における1/2波長位相差板23の代わりに、1/4波長位相差板25を備えた構成も、本発明の一実施形態である。この場合、1/4波長位相差板25の光軸X25は、偏光板22の偏光吸収軸X22に対して、ほぼ45°をなすように配置される。また、液晶セル21の正面方向のリタデーションをλ/2とする。図10の構成によれば、透光性電極212a,212bに電圧を印加することにより、正面方向と斜め方向との両方について十分な輝度が得られる広視野角状態を実現できる。一方、透光性電極214a,214bに電圧を印加することにより、正面方向については十分な輝度が得られるが、斜め方向については視野が遮蔽される、いわゆる狭視野角状態を実現できる。
【0049】
さらに、図11に示すように、図4に示した構成に対して、光学補償フィルム26をさらに備えた構成も、本発明の一実施形態であり、広視野角状態と狭視野角状態との切り替えに関して、図4に示した構成と同じ動作をなす。なお、光学補償フィルム26としては、3次元屈折率がnx=ny>nzの関係を満たすいわゆるネガティブCプレートや、3次元屈折率がnx>ny>nzの関係を満たすいわゆるXプレート等を用いることができる。このような光学補償フィルム26を備えることにより、斜め方向から見た場合の楕円偏光を補償して、出射光を完全な直線偏光とすることができ、当該斜め方向から見たときの遮蔽性を改善することができる。なお、光学補償フィルム26として上記のいわゆるXプレートを用いる場合は、正面方向に対して複屈折の影響がないようにするために、そのnx軸が偏光板22,13の偏光透過軸に対してほぼ平行またはほぼ垂直になるよう配置すれば良い。光学補償フィルム26として上記のいわゆるネガティブCプレートを用いる場合は、ネガティブCプレートは正面方向に対して複屈折を持たないので、光軸の方向は任意で良い。また、図11に示した構成では、光学補償フィルム26が偏光板22と1/2波長位相差板23との間に配置されているが、光学補償フィルム26の位置はこれに限定されない。すなわち、光学補償フィルム26は、1/2波長位相差板23と液晶セル21との間に配置されていても良いし、液晶セル21と位相差板13との間に配置されていても良い。
【0050】
なお、図9〜図11においては、偏光板22と偏光板13とがパラレルニコルに配置された例を示したが、偏光板22と偏光板13とはクロスニコル配置であっても良い。
【0051】
また、上記の説明では、透光性電極212a,212bが平行な電極を有する櫛形状に形成されている例を示したが、透光性電極212a,212bの各電極がジグザグ形状に形成されていても良い。透光性電極214a,214bについても同様である。また、図4においては、1/2波長位相差板23の光軸X23に対して配向軸Ra,Rbがほぼ45°をなすように設定された構成を例示した。しかし、1/2波長位相差板23の光軸に対して、配向軸Ra,Rbは、必ずしも45°をなしていなくても良い。
【0052】
また、上記の説明においては、透光性基板211b側に、透光性電極212a,212bと透光性電極214a,214bとの両方を備え、透光性基板211a側には電極を有しない構成を例示した。しかし、透光性電極212a,212bを透光性基板211a側に形成した構成としても良いし、透光性基板211a側に透光性電極212a,212bと透光性電極214a,214bとの両方を備え、透光性基板211b側には電極を有しない構成としても良い。
【0053】
さらに、本実施形態にかかる液晶ディスプレイ100は、バックライト3として、一般的なバックライト(極角全範囲にわたってほぼ平均的な輝度分布を有するバックライト)を用いても良いが、指向性バックライトを用いることが好ましい。指向性バックライトとは、ディスプレイの正面方向、すなわち極角φ=0°を中心とした比較的狭い角度範囲の輝度が、他の部分の輝度よりも高くなるような輝度分布を有するバックライトであり、一般的なバックライトに1枚または複数枚のレンズシートを積層することによって実現できる。
【0054】
ここで、図12〜図17を参照し、本実施形態にかかる液晶ディスプレイ100に対して適用可能なバックライトの特性について説明する。図12は、指向性バックライトではない一般的なバックライト(レンズシートなし)を用いた場合のバックライト3の輝度分布図である。この場合、バックライト3は、水平方向(方位角θ=0°からθ=180°の方向)に対称的な輝度分布を有するが、垂直方向(方位角θ=90°からθ=270°の方向)については、輝度のピークP1を方位角θ=270°、極角φ=45°の付近に有する。なお、バックライト3の輝度ピークP1をこのように正面方向からずらした設計としたのは、後述するようにレンズシートを2枚積層した場合に、輝度ピークが真正面(極角φ=0°)に位置するようにしたためである。つまり、レンズシートを用いない場合、あるいはレンズシートを1枚だけ積層する場合は、バックライト3の輝度ピークは、図12に示した位置とは異なる。
【0055】
図13〜図15は、レンズシートを用いた指向性バックライトとした場合の、バックライト3の輝度分布を示す。図13は、図12の輝度特性を持つバックライトの光出射面にレンズシートを1枚積層した構成とした場合の、バックライト3の輝度分布図である。レンズシートとしては、住友スリーエム株式会社製の「BEF II 90/50(商品名)」を用いたが、これに限定されない。この場合、図13に示すように、レンズシートを光出射面に1枚積層したことによって輝度分布が変化し、輝度のピークP2が方位角θ=270°、極角φ=30°付近に現われる。また、水平方向については極角がおよそ0°≦φ≦40°の範囲、垂直方向については極角がおよそ0°≦φ≦60°の範囲において、他の部分よりも相対的に輝度が高くなる。
【0056】
図14は、図12の輝度特性を持つバックライトの光出射面に、上記と同じレンズシートを、図13とは配置角度が90°異なる向きに積層した構成とした場合の、バックライト3の輝度分布図である。この場合、図14に示すように、輝度のピークP3が方位角θ=270°、極角φ=15°付近に現われると共に、水平方向については極角がおよそ0°≦φ≦60°の範囲、垂直方向については極角がおよそ0°≦φ≦40°の範囲において、他の部分よりも相対的に輝度が高くなる。
【0057】
図15は、図12の輝度特性を持つバックライトの光出射面に、上記と同じレンズシートを2枚、配置角度が90°異なる向きで積層した構成とした場合の、バックライト3の輝度分布図である。この場合、図15に示すように、輝度のピークP4がほぼ正面(方位角θ=270°、極角φ=5°付近)に現われると共に、水平方向については極角がおよそ0°≦φ≦40°の範囲、垂直方向については極角がおよそ0°≦φ≦40°の範囲において、他の部分よりも相対的に輝度が高くなる。
【0058】
図16は、バックライト3の水平方向(方位角θ=0°からθ=180°の方向)における輝度分布を、レンズシートの有無の別に示した輝度−極角特性図である。図17は、バックライト3の垂直方向(方位角θ=90°からθ=270°の方向)における輝度分布を、レンズシートの有無の別に示した輝度−極角特性図である。なお、図16では、正面方向(極角φ=0°)から方位角θ=180°側の極角に負の符号を付して表し、図17では、正面方向(極角φ=0°)から方位角θ=270°側の極角に負の符号を付して表した。
【0059】
図16および図17に示すように、レンズシートを1枚積層した場合、法線方向(極角φ=0°)の輝度は、レンズシートがない場合の約1.8倍(輝度上昇率は約1.60)となる。また、レンズシートを2枚積層した場合は、法線方向の輝度は、レンズシートがない場合の約2.8倍(輝度上昇率は約1.95)となる。ただし、輝度上昇率は、バックライトシステム全体の構成材料や設計または総合的な照明効果に応じて異なるので、上記の輝度上昇率が必ずしも最適であるとは限らない。
【0060】
また、図16および図17に示すThは、レンズシートを1枚積層した場合の法線方向の輝度の50%に相当する輝度を表す。このTh以上の輝度が得られる極角の範囲(水平方向)は、図13に示すレンズシートの配置の場合は約66°、図14に示すレンズシートの配置の場合は約96°である。同様に、このTh以上の輝度が得られる極角の範囲(垂直方向)は、図13に示すレンズシートの配置の場合は約99°、図14に示すレンズシートの配置の場合は約66°である。なお、レンズシートを2枚積層した場合、法線方向の輝度の50%に相当する輝度が得られる極角の範囲は、水平方向では約58°であり、垂直方向では約88°である。
【0061】
極角全範囲にわたってほぼ平均的な輝度分布を有する一般的なバックライトの代わりに、上述したような特性を有する指向性バックライトをバックライト3として用いることにより、挟視野角状態において、輝度ピークが正面方向へ近づくと共に、遮光状態となる方位角の範囲がより広くなる。従って、斜め後方にいる他人からの覗き見を、より確実に防止する表示装置を実現できる。
【0062】
図18は、本実施形態にかかる液晶ディスプレイ100の変形例としての液晶ディスプレイ200の構成を示す。図1と図18とを比較することから分かるように、液晶ディスプレイ100と液晶ディスプレイ200とは、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2との積層順序が逆になっている。すなわち、図18に示すように、液晶ディスプレイ200は、バックライト3の上に表示用液晶パネル1が積層され、さらにその上に視野角制御用液晶パネル2が積層された構成である。なお、液晶ディスプレイ200において、表示用液晶パネル1は、半透過型液晶パネルであっても良い。
【0063】
以上のように、本実施形態にかかる液晶ディスプレイ100,200によれば、視野角制御用液晶パネル2の液晶セル21において、透光性電極212a,212b間および透光性電極214a,214b間のいずれかに選択的に電圧を印加することにより、広い視野から表示を視認できる広視野角の表示と、限られた視野角からのみ表示を視認できる狭視野角の表示を実現できる。
【0064】
なお、本実施形態は、あくまでも本発明の具体例を示すものであって、本発明の技術的範囲をこれらの具体例に限定する意図はない。例えば、上記の説明では、視野角制御用液晶パネル2の液晶層216全体が一様に制御される構成を例示した。しかし、液晶セル21の電極構造や配向処理の向きを局所領域毎に異ならせれば、液晶の動作を局所領域毎に制御することができる。これにより、表示画面の視野角の広さを局所領域毎に異ならせることも可能である。
【0065】
また、上記の説明では、表示装置の背面または前面に視野角制御装置を配置した例を説明したが、表示装置の背面と前面との両方に視野角制御装置を配置した構成も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0066】
また、上記の説明では、表示装置の具体例として、透過型液晶パネルを挙げたが、表示装置はこれに限定されない。例えば、反射型または半透過型の液晶表示パネルを表示装置として用いることもできる。また、液晶表示パネルのような非発光型表示装置に限らず、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、プラズマディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)素子、無機EL素子、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)、表面電界ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display)等の自発光型表示装置を用いることもできる。
【0067】
図19は、表示装置として、反射型の液晶表示パネルを用いた場合の構成例である。図19に示す液晶ディスプレイ300は、反射型液晶表示パネル30の前面(観察者側)に、視野角制御用液晶パネル2を配置した構成である。反射型液晶表示パネル30は、観察者と反対側の基板に反射板(図示せず)を備えた反射型液晶セル31と、反射型液晶セル31の上面に配置された偏光板32とを備えている。反射型液晶セルの構造および動作は周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。図19に示す液晶ディスプレイ300においても、液晶ディスプレイ100と同様に、視野角制御用液晶パネル2の液晶セル21において、透光性電極212a,212b間および透光性電極214a,214b間のいずれかに選択的に電圧を印加することにより、液晶ディスプレイ300の表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替えることができる。
【0068】
また、図20は、表示装置として、例えばEL素子等の自発光型表示装置を用いた場合の構成例である。図20に示すディスプレイ400は、自発光型表示装置40の前面(観察者側)に、視野角制御用液晶パネル2を配置した構成である。この場合は、視野角制御用液晶パネル2は、液晶セル21の表裏に、一対の偏光板22,24を備えている。偏光板22,24の偏光吸収軸は、互いに略直交するよう配置されている。図20に示すディスプレイ400においても、液晶ディスプレイ100と同様に、視野角制御用液晶パネル2の液晶セル21において、透光性電極212a,212b間および透光性電極214a,214b間のいずれかに選択的に電圧を印加することにより、ディスプレイ400の表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替えることができる。
【0069】
なお、上記の実施形態のいずれにおいても、ディスプレイの表示状態が狭視野角であるときに、ユーザにその旨を知らせるためのメッセージ、画像、またはアイコン等を、表示装置の画面に表示するようにしても良い。
【0070】
また、上記の実施形態のいずれにおいても、表示装置で表示される画像の内容に応じて視野角制御装置の駆動回路が動作し、狭視野角と広視野角とを自動的に切替えるようにしても良い。例えば、ディスプレイがインターネットのウェブページを見るために用いられる場合、ウェブページの内容に応じて各ページに関連付けられたソフトウェアフラッグを参照し、他人から見られないことが好ましい内容である場合等に、狭視野角の表示状態に自動的に切替えるようにしても良い。また、ブラウザが暗号化モードで起動された場合に、狭視野角の表示状態へ切替えるようにしても良い。
【0071】
また、ディスプレイが、データ入力装置の一部である場合、またはデータ入力装置と関連し、入力されているデータタイプまたは入力されようとするデータタイプが機密性を有するものである場合等に、ディスプレイの表示状態を狭視野角に切替えるよう調整することも可能である。例えば、ユーザが何らかの個人識別番号を入力したとき等に、ディスプレイが自動的に狭視野角に切り替わるようにすれば良い。
【0072】
なお、上記の実施形態のいずれにおいても、視野角制御装置は、表示装置から取り外しが可能なモジュールまたはカバーとして形成されても良い。そのような取り外し可能なモジュールは、表示装置に取り付けられたときに、表示装置に電気的に接続されることによって、適切な電力と制御信号を得ることができる。
【0073】
また、上記の実施形態のいずれにおいても、ディスプレイの周囲光を測定する光学センサ(アンビエントセンサ)をさらに備え、光学センサの測定値が所定の閾値を下回るときに、ディスプレイの表示状態を狭視野角とすることも好ましい。
【0074】
なお、本発明にかかるディスプレイおよび視野角制御装置の用途は多岐に亘る。例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型情報端末(PDA)、携帯型ゲーム機、または携帯電話等のディスプレイに適用されるだけでなく、ATM(現金自動受け払い機)、公共の場に設置される情報端末、券売機、および車載用ディスプレイ等、様々な機器のディスプレイに適用される。
【0075】
また、本発明にかかる視野角制御装置は、ディスプレイに組み込まれた状態で実施されることもあるが、ディスプレイの部品として、視野角制御装置単体で製造され、流通する可能性もある。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、広視野角と狭視野角とを切替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイと、これに用いられる視野角制御装置として、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態にかかるディスプレイの概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる視野角制御用液晶パネルが備える液晶セルの概略構造を示す断面模式図である。
【図3】上記液晶セルが備える透光性電極の構造を示す模式図である。
【図4】本実施形態にかかるディスプレイにおける入射側偏光板の偏光吸収軸、1/2波長位相差板の光軸、液晶セルの配向軸、および、出射側偏光板の偏光吸収軸の関係を示す模式図である。
【図5】上記液晶セルの配向軸の向きと、液晶分子の配向状態(電圧無印加時)とを示す断面模式図であり、(a)がアンチパラレル配向処理によるホモジニアス配向、(b)がパラレル配向処理によるスプレイ配向である。
【図6】(a)は、液晶セル21に対して電圧が印加されていないとき、(b)は、液晶セルの透光性電極212a,212b間に電圧が印加されたとき、(c)は、液晶セル21の透光性電極214a,214b間に電圧が印加されたときの、液晶分子の状態をそれぞれ示す模式図である。
【図7】偏光板がパラレルニコルの場合に、透光性電極212a,212bまたは透光性電極214a,214bに所定の電圧を印加したときに、視野角制御用液晶パネルを正面方向または斜め方向に透過する光について、各光学部材で生じる位相差を説明する図である。
【図8】偏光板がクロスニコルの場合に、透光性電極212a,212bまたは透光性電極214a,214bに所定の電圧を印加したときに、視野角制御用液晶パネルを正面方向または斜め方向に透過する光について、各光学部材で生じる位相差を説明する図である。
【図9】本実施形態にかかるディスプレイの変形例を示す模式図である。
【図10】本実施形態にかかるディスプレイの変形例を示す模式図である。
【図11】本実施形態にかかるディスプレイの変形例を示す模式図である。
【図12】一般的なバックライト(レンズシートなし)の輝度分布図である。
【図13】レンズシートを積層した指向性バックライトの一例の輝度分布図である。
【図14】レンズシートを積層した指向性バックライトの他の例の輝度分布図である。
【図15】レンズシートを積層した指向性バックライトのさらに他の例の輝度分布図である。
【図16】バックライトの水平方向(方位角θ=0°からθ=180°の方向)における輝度分布を、レンズシートの有無の別に示した輝度−極角特性図である。
【図17】バックライトの垂直方向(方位角θ=90°からθ=270°の方向)における輝度分布を、レンズシートの有無の別に示した輝度−極角特性図である。
【図18】本発明の実施形態にかかるディスプレイの他の変形例の構成を示す断面図である。
【図19】本発明の実施形態にかかるディスプレイのさらに他の変形例の構成を示す断面図である。
【図20】本発明の実施形態にかかるディスプレイのさらに他の変形例の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 表示用液晶パネル
2 視野角制御用液晶パネル
3 バックライト
11 液晶セル
12 偏光板
13 偏光板
21 液晶セル
212a,212b 透光性電極
213 絶縁膜
214a,214b 透光性電極
215a,215b 配向膜
216 液晶層
216m 液晶分子
217 駆動回路
22 偏光板
23 1/2波長位相差板
24 偏光板
25 1/4波長位相差板
26 光学補償フィルム
30 反射型液晶表示パネル
31 液晶セル
32 偏光板
40 自発光型表示装置
100 液晶ディスプレイ
200 液晶ディスプレイ
300 ディスプレイ
400 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示すべき画像に応じて駆動される表示装置と、
前記表示装置の背面および前面の少なくとも一方に配置され、前記表示装置の視野角を制御する視野角制御装置とを備えたディスプレイであって、
前記視野角制御装置は、一対の透光性基板間に液晶分子をホモジニアス配向またはスプレイ配向させた液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、
前記液晶セルは、前記一対の透光性基板の一方である第1の透光性基板に、第1の透光性電極群を備えると共に、前記第1の透光性基板または前記一対の透光性基板の他方である第2の透光性基板に、前記第1の透光性電極群における電極の延伸方向に略直交するように設けられた第2の透光性電極群を備え、
前記駆動回路は、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群に接続され、
前記液晶セルは、当該ディスプレイ内で、2枚の偏光板の間に配置され、
前記駆動回路が、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群のいずれかに選択的に電圧を印加し、電圧が印加された電極群において隣接する電極間に電界を発生させることにより、表示状態を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とするディスプレイ。
【請求項2】
前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群のそれぞれが、互いに対向して配置される櫛歯状電極を含む、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が−10°〜10°の範囲で交差するよう配置され、前記液晶セルの正面方向のリタデーションがλ/4である、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が80°〜100°の範囲で交差するよう配置され、前記液晶セルの正面方向のリタデーションがλ/4である、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記視野角制御装置が、前記一対の透光性基板の一方と前記液晶セルとの間に、少なくとも1枚の位相差板をさらに備えた、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記位相差板が1/2波長位相差板を含み、
前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が−10°〜10°の範囲で交差するよう配置され、
前記液晶セルの正面方向のリタデーションが、前記第1の状態および第2の状態において、λ/4と3λ/4との間で切り替わる、請求項5に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記位相差板が1/2波長位相差板を含み、
前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が80°〜100°の範囲で交差するよう配置され、
前記液晶セルの正面方向のリタデーションが、前記第1の状態および第2の状態において、λ/4と3λ/4との間で切り替わる、請求項5に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記1/2波長位相差板の光軸と前記偏光板の偏光吸収軸とが、略45°または略135°をなすように、前記1/2波長位相差板と前記偏光板とが配置されている、請求項6または7に記載のディスプレイ。
【請求項9】
前記位相差板が1/4波長位相差板を含み、
前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が−10°〜10°の範囲で交差するよう配置され、
前記液晶セルの正面方向のリタデーションがλ/2である、請求項5に記載のディスプレイ。
【請求項10】
前記位相差板が1/4波長位相差板を含み、
前記2枚の偏光板が、その偏光吸収軸が80°〜100°の範囲で交差するよう配置され、
前記液晶セルの正面方向のリタデーションがλ/2である、請求項5に記載のディスプレイ。
【請求項11】
前記2枚の偏光板の間に光学補償フィルムをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記光学補償フィルムの3次元屈折率がnx=ny>nzの関係を満たす、請求項11に記載のディスプレイ。
【請求項13】
前記光学補償フィルムの3次元屈折率がnx>ny>nzの関係を満たす、請求項11に記載のディスプレイ。
【請求項14】
前記液晶セルにおける液晶の配向方向が、前記偏光板の偏光吸収軸と略平行である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項15】
前記液晶セルにおける液晶の配向方向が、前記偏光板の偏光吸収軸と略垂直である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項16】
前記視野角制御装置の液晶層が、ポジ型のネマティック液晶を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項17】
前記視野角制御装置の液晶層が、ネガ型のネマティック液晶を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項18】
前記表示装置が、直線偏光を出射する表示装置であって、
前記2枚の偏光板のうち1枚が、前記表示装置に設けられた偏光板である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項19】
前記表示装置が透過型液晶表示装置であり、バックライトをさらに備えた、請求項1〜18のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項20】
前記視野角制御装置が、前記バックライトと前記透過型液晶表示装置との間に配置された、請求項19に記載のディスプレイ。
【請求項21】
前記視野角制御装置が、前記透過型液晶表示装置の前面に配置された、請求項19に記載のディスプレイ。
【請求項22】
前記バックライトが、法線方向に指向性を有する指向性バックライトである、請求項18〜21のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項23】
前記表示装置が、反射型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置である、請求項1〜18のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項24】
前記表示装置が、自発光型表示装置であって、
前記2枚の偏光板のうち1枚は、前記自発光型表示装置と前記視野角制御装置との間に設けられている、請求項1〜17のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項25】
表示すべき画像に応じて駆動され直線偏光を出射する表示装置の背面および前面の少なくとも一方に配置され、前記表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、
一対の透光性基板間に液晶分子をホモジニアス配向またはスプレイ配向させた液晶層を有する液晶セルと、
前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路と、
前記液晶セルに対して前記表示装置の反対側に配置された直線偏光板とを備え、
前記液晶セルは、前記一対の透光性基板の一方である第1の透光性基板に、第1の透光性電極群を備えると共に、前記第1の透光性基板または前記一対の透光性基板の他方である第2の透光性基板に、前記第1の透光性電極群における電極の延伸方向に略直交するように設けられた第2の透光性電極群を備え、
前記駆動回路は、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群に接続され、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群のいずれかに選択的に電圧を印加し、電圧が印加された電極群において隣接する電極間に電界を発生させることにより、光の出射範囲を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とする視野角制御装置。
【請求項26】
表示すべき画像に応じて駆動される自発光型表示装置の前面に配置され、前記自発光型表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、
一対の透光性基板間に液晶分子をホモジニアス配向またはスプレイ配向させた液晶層を有する液晶セルと、
前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路と、
前記一対の透光性基板の外側に設けられた一対の偏光板とを備え、
前記液晶セルは、前記一対の透光性基板の一方である第1の透光性基板に、第1の透光性電極群を備えると共に、前記第1の透光性基板または前記一対の透光性基板の他方である第2の透光性基板に、前記第1の透光性電極群における電極の延伸方向に略直交するように設けられた第2の透光性電極群を備え、
前記駆動回路は、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群に接続され、前記第1の透光性電極群および第2の透光性電極群のいずれかに選択的に電圧を印加し、電圧が印加された電極群において隣接する電極間に電界を発生させることにより、光の出射範囲を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とする視野角制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−20293(P2009−20293A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182533(P2007−182533)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】