説明

ディスプレイ・システム

【課題】 本発明は、増大したディスプレイ周波数及び同時に2以上のユーザに1つ以上のメディア・ソースを提供できるフレーム・インターチェンジ技術を用いたディスプレイ・システムを提供する。
【解決手段】 ディスプレイ・システムは、ブロードキャスト装置を用いる。該ブロードキャスト装置は、複数のメディア信号を複数のメディア・ソースから受信し、2以上のメディア信号をフレーム毎にインターレースして、該ブロードキャスト装置のパネルに表示される増大された周波数を有する表示信号を形成する。複数のゴーグル及び対応する同期装置、選択器及び音声再生構成要素は、各専用のメディア信号を選択し、見/聴くためにディスプレイ・システムで用いられる。各ユーザにより用いられる各ゴーグルは、同期されて、自身の選択されたメディア信号のタイミングに従うことによりオンに切り替えられ、専用のゴーグルを掛けている2人以上のユーザが単一のブロードキャスト装置で異なる番組を同時に見ることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ・システムに関し、より詳細には増大したディスプレイ周波数及び同時に2以上のユーザに1つ以上のメディア・ソースを提供できるフレーム・インターチェンジ技術を用いたディスプレイ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
TV、プロジェクタ、種々の携帯型装置のようなディスプレイ・システムは、従来のディスプレイ技術に基づき同時に1つのメディア・ソースのみをブロードキャストできる。ディスプレイ技術の引き続き行われる進歩では、第1の番組がTV画面全体に表示されているのと同時に1又は複数の第2の番組が挿入ウインドウ内に表示される画面内画面(picture-in-picture:PIP)、又はしばしば画面外画面(picture-outside-picture:POP)と称される単純に2つの同一の大きさの画像に分割されている画面が、複数のメディア・ソースを同時に提供するために発明されている。しかしながら、各メディア・ソースの表示領域は、PIP又はPOPの何れの場合も必然的に相当に縮小される。
【0003】
「デュアル・ビュー」と称される別の技術は、正に同時に2人のユーザに二重の画像を提供するために現在提供されている。この技術は、2人のユーザがディスプレイ・システムに対してそれぞれ2つの特定の角度に位置することを要求する。デュアル・ビュー技術については、追加のブロッキング部がディスプレイ・システム内に構成されなければならない。各メディア・ソースからの2つの別個のフレームは、二重画像フレームを形成するために混合される。各ユーザが彼/彼女の特定の角度において対応するメディア・ソースのみを見ることができるように、ブロッキング部により部分的に遮断され、二重画像の各フレームの画素は半分の大きさにされる。これは、デュアル・ビュー技術の幾つかの欠点をもたらす。例えば、各メディアの解像度は半分に低下し、2つのソースのみが同時に提供され、各メディアは厳密な角度でしか見ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、増大したディスプレイ周波数及び同時に2以上のユーザに1つ以上のメディア・ソースを提供できるフレーム・インターチェンジ技術を用いたディスプレイ・システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、ブロードキャスト装置及び複数の受信装置を有するディスプレイ・システムを提供する。ブロードキャスト装置は、複数のメディア信号を複数のメディア・ソースから受信するために用いられ、プロセッサ及びパネルを有する。複数のメディア・ソースからの複数のメディア信号は、プロセッサにより受信され、プロセッサによりフレーム毎にインターレースされて表示信号を形成する。パネルは、表示信号を第1の周波数で表示するために用いられる。各受信装置は、表示信号を第2の周波数で見るためのゴーグル、複数のメディア・ソースから選択されたメディア信号に同期して表示信号を見るためにゴーグルをオンに切り替えるよう制御する同期装置、を有する。第1の周波数は第2の周波数のn倍であり、nはプロセッサによりインターレースされる複数のメディア信号の数に等しい。
【0006】
本願は、ブロードキャスト装置も提供する。ブロードキャスト装置は、プロセッサ及びパネルを有する。複数のメディア・ソースからの複数のメディア信号は、プロセッサにより受信され、プロセッサによりフレーム毎にインターレースされて表示信号を形成する。パネルは、表示信号を表示するために用いられる。プロセッサにより受信された複数のメディア信号は、少なくとも2つの異なるメディア・ソースからのものである。
【0007】
本考案のこれら及び他の目的は、以下の種々の図及びグラフに説明された好適な実施形態の詳細な説明を読むことにより、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願のディスプレイ・システムのブロック図を示す概略図である。
【図2】増大されたディスプレイ周波数を有する表示信号を形成するために、どのように複数のメディア信号がフレーム毎にインターレースされるかを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照する。図1は、本願のディスプレイ・システム100のブロック図を示す概略図である。ディスプレイ・システム100は、ブロードキャスト装置1及び複数の受信装置70、80、90を有する。ブロードキャスト装置1は、フラット・パネル・テレビジョン、プロジェクタ、又は携帯型TV、携帯型ナビゲーション装置(PND)等のような携帯型装置であってよく、種々のソースから同時に複数のユーザにマルチメディア・コンテンツを提供する。各受信装置70、80、90は、番組、映画、アニメ、ビデオ、種々のマルチメディア・コンテンツを見る又は単に音楽若しくは声楽素材のような音声コンテンツを聴く単一のユーザのためのものである。
【0010】
ブロードキャスト装置1は、複数のメディア信号を複数のメディア・ソースから受信する多くの種類の入力ポートを有する。図1に示される好適な実施形態では、ブロードキャスト装置1は、複数のTVチューナ20、HDMI/VDIポート21、Sビデオ・ポート22、YPbPrポート23、及びネットワーク・ポート24のうちの全て又は幾つかを有する。TVチューナ20は、無線アンテナ又はケーブルからTV番組を受信しうる。次にTV番組は、ブロードキャスト装置1の復調器13により復調されるために送信される。HDMI/VDIポート21、Sビデオ・ポート22、YPbPrポート23及びネットワーク・ポート24は、メディア信号を、メディア・プレーヤ、セット・トップ・ボックス(STB)、パーソナル・コンピュータ(PC)及びインターネットのような種々のメディア・ソースから受信しうる。そして、メディア信号は、プロセッサ10のビデオ復号器12により復号化されるために、ブロードキャスト装置1のプロセッサ10へ送信される。ブロードキャスト装置1のプロセッサ10は、ユーザにより行われた選択に従って、メディア信号を上述のような1又は1以上のメディア・ソースから同時に受信してもよい。プロセッサ10では、マルチメディア信号は、出力される表示信号を形成するために、プロセッサ10によりフレーム毎にインターレースされる。
【0011】
ブロードキャスト装置1は、増大された周波数でブロードキャスト装置1のパネル40に表示するためにプロセッサ10により生成される表示信号を制御する時間制御(T−con)部60も有する。
【0012】
各ユーザにより選択された対応するメディア・ソースから各個別のユーザに各個別のメディア信号を効率的にブロードキャストするために、各受信装置は、特定のタイミングでブロードキャスト装置1に同期するようゴーグルを制御する同期装置を有する。受信装置70を例に取る。受信装置70はゴーグル71を有する。ゴーグル71は、望ましくは、光を通過させるようオンに切り替え、又は光が遮断されるようオフに切り替えるよう制御されうるシャッタ・グラスである。同期装置72は、無線受信器、望ましくはRF受信器であり、RF信号を受信しゴーグル71を制御しうる制御回路を有する。受信装置70は、選択器73、特にリモコン(RC)も有する。選択器73は、制御信号をブロードキャスト装置1のプロセッサ10へ送信することにより、上述の複数のメディア・ソースからメディア・ソースを選択するためにユーザにより用いられうる。次に、プロセッサ10は、制御信号に従って、選択されたメディア・ソースのメディア信号を受信し処理する。選択されたメディア・ソースがTV番組であるとき、選択器73は、チャネル選択の機能を提供してもよい。メディア・ソースが選択器73により選択されると、プロセッサ10は同期信号を生成し、無線送信器30、望ましくはRFモジュールは同期信号を同期装置72へ送信し、ゴーグル71を制御して特定の周波数及び選択されたメディア信号をパネル40に表示するタイミングに同期したタイミングでオン及びオフに切り替えるようにする。
【0013】
受信装置70の選択器73により選択されパネル40に表示される選択されたメディア信号のタイミングのみがゴーグル71をオンに切り替えるタイミングに同期しているので、ゴーグル71を掛けているユーザは、選択されたメディア信号のみを見ることができ、他の選択器により選択されパネル40によりブロードキャストされたメディア信号を見ることはできない。
【0014】
音声再生に関し、プロセッサ10は、メディア・ソースの各メディア信号から受信された音声信号を復号化し処理する音声復号器11を有する。ブロードキャスト装置1は、音声増幅器50を用い、各復号化された音声信号を別個のチャネル、例えば第1のチャネル、第2のチャネル、・・・、及び第Nのチャネルでブロードキャストする。各音声信号は、対応する音声再生部74、84、94により受信され、メディア・ソースから選択されたメディア信号に同期している。受信装置70、80、90の音声再生部74、84、94は、望ましくは各ユーザに独立した聴取条件を提供しうるヘッドセット・イヤホンである。また、音声増幅器50と各音声再生部74、84、94との間の接続は、無線で接続されるか又は物理的に接続されうる。受信装置80、90は、受信装置70と同様の構造及び機能を有する。
【0015】
図2を参照する。図2は、増大されたディスプレイ周波数を有する表示信号を形成するために、どのように複数のメディア信号がフレーム毎にインターレースされるかを示す本願の概略図である。図2の実施形態は、3つの異なるメディア・ソースからの3つのメディア信号200、300、400が3人のユーザにより選択され、増大された周波数でインターレースされるためにプロセッサ10により受信されることを示す。各メディア信号200、300、400は、本実施形態では、一般的な再生周波数、例えば60Hzを有する。換言すると、各メディア信号200、300、400は、1秒で60フレームのメディア信号をプロセッサ10に提供する。ゴーグル71、81、91は、表示信号を見るために60Hzの周波数でオンに切り替えられ且つオンに切り替えられる間隔が短い。本願のフレーム毎のインターレース技術を使用することにより、プロセッサ10は、3つのメディア信号200、300、400を受信し、表示信号500に示されるように3つのメディア信号200、300、400の同一のシリアル番号を有する各フレームをインターレースする。結果として、表示信号500は、メディア信号200の第1のフレームA1、メディア信号300の第1のフレームB1、メディア信号400の第1のフレームC1、メディア信号200の第2のフレームA2、メディア信号300の第2のフレームB2、メディア信号400の第2のフレームC2、以降同様、1列に有する。次に、時間制御(T−con)部60は、表示信号500を制御し、各フレームが1/180秒の間、表示されるようにする。これは、パネル40が表示信号500を増大された周波数、例えば180Hzで表示することを意味する。この増大された周波数は、表示信号500を見るために各ゴーグル71、81、91が3回オンに切り替わる周波数である。
【0016】
上述のように、各ゴーグルは対応する同期装置により制御される。パネル40が第1のフレームA1を第1のタイム・スロット(1/180s)で表示するとき、第1の同期装置72は第1のゴーグル71を上述のように短い間隔である1/180秒間オンに切り替え、ゴーグル71を掛けたユーザがゴーグル71を通じて第1のフレームA1を見ることができるようにし、同時に、全ての他のユーザの掛けているゴーグル81、・・・、91はそれらの同期装置によりオフに切り替えられるので、同一の時間間隔で、ゴーグル81、・・・、91を掛けている全ての他のユーザが第1のフレームA1を見ることができないようにする。パネル40が第2のフレームB1を第2のタイム・スロット(1/180s)で表示するとき、第2の同期装置82は第2のゴーグル81を1/180秒間オンに切り替え、第2のゴーグル81を掛けたユーザがゴーグル81を通じて第2のフレームB1を見ることができるようにする。表示信号500の全てのフレームはパネル40に表示され、受信装置の各ゴーグルは対応するメディア信号の表示タイミングに同期してオンに切り替えられる。複数のユーザは自信のゴーグルを掛けており、本願で開示されたディスプレイ・システムの使用により、異なるメディア・ソースからの異なる番組を同時に見ることができる。
【0017】
本願のディスプレイ・システムは、ブロードキャスト装置を用いる。該ブロードキャスト装置は、メディア信号を複数のメディア・ソースから受信し、2以上のメディア信号をフレーム毎にインターレースして、該ブロードキャスト装置のパネルに表示される増大された周波数を有する表示信号を形成する。複数のゴーグル及び対応する同期装置、選択器及び音声再生部は、各専用のメディア信号を選択するためにディスプレイ・システムで用いられる。各ユーザにより用いられる各ゴーグルは、同期されて、自身の選択されたメディア信号のタイミングに従うことによりオンに切り替えられ、専用のゴーグルを掛けている2人以上のユーザが単一のブロードキャスト装置で異なる番組を同時に見ることができるようにする。
【0018】
当業者は、本発明の教示を守りつつ、装置及び方法の多くの変形及び代替がなされうることを直ちに理解するだろう。
【符号の説明】
【0019】
10 プロセッサ
11 音声復号器
12 ビデオ復号器
13 復調器
20 チューナ
21 HDMI/VDI
22 Sビデオ
23 YPbPr
24 ネットワーク
30 RFモジュール
40 パネル
50 音声増幅器
60 T−con
71、81、91 ゴーグル
72、82、92 RF受信器
73、83、93 RC
74、84、94 音声再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメディア信号を複数のメディア・ソースから受信するブロードキャスト装置;及び
複数の受信装置;
を有し、
前記ブロードキャスト装置は:
前記複数のメディア・ソースから複数のメディア信号を受信し、フレーム毎にインターレースして表示信号を形成するプロセッサ;及び
前記表示信号を第1の周波数で表示するディスプレイ;
を有し、
各前記受信装置は:
第2の周波数で前記表示信号を見るためのゴーグル;及び
前記複数のメディア・ソースから選択されたメディア信号に同期して前記表示信号を見るために前記ゴーグルをオンに切り替えるよう制御する同期装置;
を有し、
前記第1の周波数は前記第2の周波数のn倍であり、nは前記プロセッサによりインターレースされる前記複数のメディア信号の数に等しい、
ことを特徴とするディスプレイ・システム。
【請求項2】
各受信装置は:
制御信号を前記プロセッサへ送信することにより、前記複数のメディア・ソースのうちの1つにより提供される前記メディア信号を選択する選択器;
を更に有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ・システム。
【請求項3】
前記選択器はリモコンである、
ことを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ・システム。
【請求項4】
前記選択器は、前記メディア信号がTVチューナにより前記複数のメディア・ソースから提供されるとき、前記メディア信号のチャネルを選択するために更に用いられる、
ことを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ・システム。
【請求項5】
前記ブロードキャスト装置は:
前記選択器により行われた選択に基づき同期信号を送信する無線送信器;
を更に有し、
前記各受信装置の同期装置は、前記同期信号を受信し、前記メディア信号に同期して前記表示信号を見るために前記ゴーグルをオンに切り替えるよう制御する無線受信器である、
ことを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ・システム。
【請求項6】
前記無線送信器は、RFモジュールであり、
前記各受信装置の無線受信器は、RF受信器である、
ことを特徴とする請求項5に記載のディスプレイ・システム。
【請求項7】
前記ブロードキャスト装置は:
前記メディア信号がTVチューナにより提供されるとき、前記メディア信号を復調する復調器;
を更に有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ・システム。
【請求項8】
前記プロセッサは:
前記メディア信号を復号化するビデオ復号器;
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ・システム。
【請求項9】
前記ブロードキャスト装置は:
前記表示信号を前記パネルに前記第1の周波数で表示するよう制御する時間制御部;
を更に有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ・システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記メディア信号の前記音声信号を復号化する復号器を有し、
前記ブロードキャスト装置は、別個のチャネルの各復号化された音声信号をブロードキャストする音声増幅器を更に有し、
各受信装置は、前記複数のメディア信号から選択された前記メディア信号に同期して、対応するチャネルの前記音声信号を受信し再生する音声再生部を更に有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ・システム。
【請求項11】
前記各受信装置のゴーグルはシャッタ・グラスである、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ・システム。
【請求項12】
前記ブロードキャスト装置は、ケーブル/無線TV番組プロバイダ、ネットワーク、メディア・プレーヤ、セット・トップ・ボックス(STB)又はパーソナル・コンピュータからメディア信号を受信するTVチューナ、HDMI/VDIポート、Sビデオ・ポート、YPbPrポート又はネットワーク・ポートを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ・システム。
【請求項13】
前記第2の周波数は60Hzである、請求項1記載のディスプレイ・システム。
【請求項14】
複数のメディア・ソースから複数のメディア信号を受信し、フレーム毎にインターレースして表示信号を形成するプロセッサ;及び
前記表示信号を表示するパネル;
を有し、
前記プロセッサにより受信された前記複数のメディア信号は、少なくとも2つの異なるメディア・ソースからのものである、
ことを特徴とするブロードキャスト装置。
【請求項15】
前記メディア信号がTVチューナにより提供されるとき、前記メディア信号を復調する復調器;
を更に有する請求項14に記載のブロードキャスト装置。
【請求項16】
前記プロセッサは:
前記メディア信号を復号化するビデオ復号器;
を有する、
ことを特徴とする請求項14に記載のブロードキャスト装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−39589(P2012−39589A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236042(P2010−236042)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(510280268)創見資訊股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】