説明

ディスプレイ監視システム

本発明は、ディスプレイを有し、前記ディスプレイを一定間隔で再測定する少なくとも1つの光センサを含む消費者電子装置(CED)であって、前記ディスプレイおよび前記少なくとも1つの光センサは、前記消費者電子装置(CED)が使用されないとき前記光センサが前記ディスプレイからの光を監視することができるように、一つのハウジングの異なる部分に収容されることを特徴とする消費者電子装置を提供する。好ましくは、一つのハウジングの異なる部分は、前記ハウジングの一部にちょうつがいで接続される第1および第2部分を含み、前記第1部分が前記ディスプレイを収容し、前記第2部分が前記センサの少なくとも光感知部分を収容する請求項1に記載の消費者電子装置(CED)を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ディスプレイの監視システムおよび方法、特に、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレイの監視システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にディスプレイ、特に、OLEDに関する1つの問題は、ディスプレイの画素の不均一な寿命である。したがって、「スクリーンバーン」は初期のコンピュータシステムの陰極線管系監視の特徴であった。コンピューターにおいては、スクリーンセーバーの使用がスクリーンバーンの影響を減らしたが、製品によっては、このような技術は必ずしも適用できなかった。さらに、異なる色の画素がしばしば異なる速度で劣化するカラーOLEDディスプレイにおいては、特に問題が生じる。本明細書においては、一般的な用語である「画素」は、カラーディスプレイの異なる色のサブ画素を意味するためにも使用される。
【特許文献1】国際公開2005/069259号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,414,661号明細書
【特許文献3】米国特許第5,793,344号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
OLEDディスプレイの不均一性を減らすための1つの技術はWO2005/069259に記載されている。これは、この装置が発電機上に載せられ、持ち運び可能な装置が再充電される発電機中の光センサによって監視される構成について記載している、しかしながら、これは少なくともディスプレイの大きさのかさばった充電器を必要とするという欠点を有する。他の欠点は、監視される装置専用の独立した装置が必要とされるという点である。
【0004】
これに替わる手法は、2004年4月22日に出願した出願人の英国特許出願第0408960.3に記載されている。この文献は、光センサをOLEDディスプレイに組み込む構成、特に、ディスプレイ基板において案内される光波動感知について記載している。しかしながら、これはディスプレイの製造コストを増加するという欠点を有する。
【0005】
他の背景技術は、米国特許第6,414,661号明細書および米国特許第5,793,344号明細書に見出される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、ディスプレイを有し、前記ディスプレイを一定間隔で再測定する少なくとも1つのセンサを含む消費者電子装置(CED)を提供し、前記ディスプレイおよび前記少なくとも1つのセンサは、CEDが使用されないとき前記光センサが前記ディスプレイからの光を監視することができるように、一つのハウジングの異なる部分に収容される。
【0007】
好ましくは、一つのハウジングの異なる部分は、互いにちょうつがいで接続される第1および第2の部分を含み、ディスプレイが1つの部分に収容され、センサまたは前記センサのすくなくとも光感知部分が他の部分に収容される。このように、実施態様において、センサとディスプレイは互いに隔離される。このハウジングのちょうつがい接続部は、その1つの部分がディスプレイを保持し、他の部分がキーボードを保持する二枚貝の貝殻型ハウジングを構成する。次いで、センサの光感知部分は、キーボードに組み込まれ、センサは二枚貝が閉じたときにディスプレイからに光を感知できるようにされている。
【0008】
1または2以上の光センサはキーボードのキーの間に配置され、および/またはキーボードのキーは、ディスプレイからの光がキーの上面から真下にある光センサを通過するときキーボードのキーは透過性であることができる。光センサは、実施態様において、ハウジングの一部として一緒に形成される繊維計量器または波動案内のような光案内器に接続される光感知装置からなることができる。これは、スペースがしばしば重要となるコンパクトな消費者装置における光感知装置の配置を容易にする。携帯電話のようないくつかの消費者装置は発光ダイオード系キーボード照明を有し、装置が使用されないときはLEDの1または2以上は光センサとして使用される。
【0009】
いくつかの好ましい態様において、複数の光センサはディスプレイの異なる部分および/または色を感知するために採用される。これらセンサからの出力は組み合わせて、または独立して処理される。
【0010】
実施態様において、ディスプレイの複数の照明された画素(サブ画素)を同時に感知する複数の光センサを使用するシステムが提供される。このようなシステムは、複数の照明された画素の光出力データを決めるために測定マトリックスによって複数の光センサからの信号によって規定される値を有するベクトルを掛け算するデータプロセサーを有する。このようにして、特定のセンサは2以上の照明された画素からの光を検出することができるが、センサからの信号はそれぞれの独立した照明された画素のための光出力信号を実質的に切り離すために処理される。
【0011】
したがって、他の実施態様において、本発明は、複数の画素を有する定期的にディスプレイを計測するための複数の画素を含むディスプレイ消費者電子装置の監視のため、定期的に前記ディスプレイを計測するための監視システムであって、前記監視システムは、複数の前記画素の光出力を同時に監視する複数の光センサからの信号を受信する入力、前記入力に接続され、前記複数の光センサからの前記信号を処理し、同時に監視された前記複数のディスプレイ画素の光出力データを決める処理システム、および前記処理システムに接続され、前記光出力データを出力する出力を含む。
【0012】
監視システムは、画素(サブ画素を含む)特性における劣化関連または他の変化を補償するための光出力データを使用するために設計されたディスプレイドライバーと共に導入される。
【0013】
上記のまたはこのような監視システムを含む消費者電子装置(CED)は、装置のOLEDディスプレイを駆動するためのOLEDディスプレイドライバー、および1または2以上の光センサからの任意に上記の処理をされた信号に応答してOLEDディスプレイの駆動を制御するための、前記光センサまたは監視システムおよびOLEDディスプレイドライバーに接続されるOLEDディスプレイ制御システムをさらに含む。好ましくは、CEDが使用されないとき、ディスプレイの画素を制御するために、例えば、画素を順番に連続的に照明するためにディスプレイを駆動するためのシステムが提供される。2以上の画素が同時に照明される場合、ディスプレイは論理的に2以上のサブフィールド(空間的に区別されたおよび/または色によって区別された)に区切られ、画素はそれぞれのサブフィールドにおいて同時に順番に駆動される。
【0014】
好ましくは、ディスプレイはOLEDディスプレイからなり、次の限定されない種類の材料の1または2以上を使用するOLEDからなる。すなわち、ポリマー材料、低分子材料、デンドリマー材料、有機および有機金属材料である。ポリマー系有機LEDの例は、WO90/13148、WO95/06400およびWO99/48160に記載されている。デンドリマー系材料の例はWO99/219535およびWO02/067343に記載されている。また、いわゆる低分子系装置はUS4,539,507に記載されている。
【0015】
本発明のこれらおよび他の側面は、図面を参照してさらに説明される。
【0016】
図1aは、1つがディスプレイ102を含み、他がキーボード104を含むちょうつがい部100a、bを有する二枚貝の貝殻型携帯通信装置100の例を示す。2つの二者択一のセンサ位置106a、bが示され、センサ106bは装置のキーボード部からの繊維光ガイド108を有する。二枚貝が閉じるとき、ディスプレイ102からの光はセンサ106、光ダイオードによって検出される。
【0017】
図1bは、キーボードとディスプレイが装置の第1部110aに収容され、第2の下側に裏返される部分110bはマクロフォンまたは音ディフレクターを有する。図1bの例においては、センサ112は110a部に収容され、繊維光接続114は、装置が使用されないときに装置からの光を感知するために110bに供給される。
【0018】
図2aは、キーボード104の断面図を示し、特に、200a位置にキーを有し、200b位置にキーの間の空間を有するゴムまたはプラスチックのキーカバー200を示す。図は、キーの下側のセンサSのいくつかの替わりの位置202a、b、cを例示する。202位置のセンサは、センサとしても機能するキーボードを照明する発光ダイオードを有する。一つのまたは複数のセンサが採用され得る。センサはパンクロまたは色特定、特に、赤、緑および青色フィルターを有する独立したセンサがディスプレイの赤、緑および青色画素を監視するために採用される。
【0019】
図2bは、図1aの二枚貝が閉じたときディスプレイに対向するようにキーボードのほぼ中央に位置する単一のセンサの例を示す。図2cは、ディスプレイの異なる部分を感知するための異なる位置における複数のセンサの使用を示す。これらセンサからの信号は、図示されるように独立してまたは結合して処理される。多数のセンサの使用はディスプレイの迅速な評価に有利である。
【0020】
大まかに言って、動作において、ディスプレイは一時点で一つの画素を照明するように駆動され、画素の光出力は1または2以上のセンサによって測定される。光出力は、決められた初期値、例えば、最初の使用または製造時の測定によるか、または事前に決められた基準値(ディスプレイの特性が実質的に予測できる場合)と比較される。
【0021】
次に、図3を参照すると、これは、左側において、照明された画素番号(ディスプレイの画素が連続的に番号付けられている)の曲線の例を示し、図示されるように曲線の異なる部分が異なるセンサS1、S2およびS3から得られている。最初の曲線300および後に測定された曲線302は、寿命関連の(または他の)ディスプレイ特性のばらつきを補償するための各画素の訂正値を決めるために比較される。
【0022】
図3のブロック図を参照すると、曲線300のためのデータが第1の不揮発性記憶装置300aに保存され、曲線302の捕獲されたデータが第2の記憶装置300bに保存される。これら2つの記憶装置の内容は、ディスプレイ310の画素の輝度/色値を規定するディスプレイデータを訂正するためにOLEDディスプレイドライバ308によって使用される訂正データ306を供給するためにそれぞれの画素に引き出される304。計測制御システム312は、ディスプレイの各画素を順番に照明するためにドライバー308に画素輝度制御信号を供給するだけでなく、データの捕獲および訂正データ306の生成を制御するための計測、タイミングおよび制御信号を供給する。計測制御システム312は、消費者電子装置が使用されないときに、例えば、既存の「二枚貝開放」センサの使用、または1または2以上のセンサによって感知される全般的な光レベルの使用をシステムが決めることを可能にする入力を有する。装置が使用されるときには、環境光に応じたディスプレイの輝度を制御するため、輝度環境条件が減少した状況でのディスプレイ全体の輝度を減少させ、これによって節電するために、感知された光レベルが導入される。
【0023】
いくつかの好ましい実施態様においては、複数のセンサ314がディスプレイの複数部を同時に監視するために導入される。このために、図示されるように、ディスプレイは多くのサブフィールド310a〜dの論理的に区分されなければならず、画素はこれらサブフィールドを横切って同時に検査される。それぞれのセンサがディスプレイのサブフィールドの1つだけからの光を主として受けるように、センサが位置され、および/またはバッフルが導入される。しかし、好ましくは、下記にさらに説明するように、画素信号分断のためにセンサ信号プロセサー316が採用される。
【0024】
仮に、例示の目的のために、3つの画素A、B、Cの光出力が、それぞれ出力α、β、γを有する3つの検出器によって同時に監視される。検出された光と画素光出力の関係は、下記の等式(1)で与えられる。
【数1】

次いで、画素値が下記の等式(2)を使用して決められる。
【数2】

上記式において、
【数3】

である。
【0025】
マトリックス変換を容易にするために、マトリックスの条件がよいこと、および図3に示されるタイプのサブフィールドスキャンニングシステムを採用することにより、対応する画素スキャンニングがそれぞれのサブフィールドに適用され、サブフィールドごとに1つのセンサ(検出器)を有することにより、対角線に近いマトリックスが得られる。等式(2)の作動は、ソフトウェア、専用ハードウェアまたはこれらの組合せによって実行される。
【0026】
異なる画素からの感知された信号を切り離すための上記の数学的な手法を採用するかまたはしない1または2以上のセンサの使用は、実施態様において、センサ上の汚れおよび同様の問題を解決するのを促進するだけでなく、迅速および/またはマルチカラーの計測を可能にする。しかしながら、後者の問題に関係して、画素訂正データは互いに関係する画素値を訂正するためのデータを有するものがよい。しかしながら、2以上の検出器は、全体に減少した感知された光出力値がディスプレイをよりオーバードライブさせないことを保証することを助ける。
【0027】
二枚貝(または同様のもの)配列が閉じ、離れた光源からの干渉を減らすとき、測定が始まる。しかしながら、好ましい実施態様において、試験のもとでは画素からの光出力は調節され、1または2以上の検出器に連結するハードウェア(ソフトウェア)は、同じに調節された信号のみを引き出すように設定されている。これは、太陽光、室内光および他の潜在的な干渉の効果を減らす。単純な履行において、調節波長の基準信号はドライバーを調節するために使用され、低い通過フィルタリングの前の画素からの感知された信号を増幅する。
【0028】
本発明の実施態様は、多くのタイプの電子装置、これに限定されずに、ラップトップコンピュータ、DVDプレーヤ、ゲームコンソール、PDA,携帯通信機および他の装置、特に携帯電話、巻き取りスクリーンを有する装置(ディスプレイが巻上げおよび/または巻かれないときにディスプレイの評価がなされる)を含む。
【0029】
他の多くの効果的な代替が当業者に明らかである。本発明は、上記の実施態様に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲の精神及び範囲内の当業者に自明な改良を含むことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1a】本発明の側面を実施する消費者電子装置の例を示す。
【図1b】本発明の側面を実施する消費者電子装置の例を示す。
【図2a】キーボードの下側位置のセンサの例を示す。
【図2b】キーボードの下側位置のセンサの例を示す。
【図2c】キーボードの下側位置のセンサの例を示す。
【図3】本発明のシステムの実施態様のブロック図を示す。
【符号の説明】
【0031】
100 二枚貝型携帯通信装置
102 ディスプレイ
104 キーボード
106a 替わりのセンサ位置
106b センサ
108 繊維光ガイド108
110 携帯通信装置
110a 第1部
110b 下側に折り返される第2部
112 センサ
114 繊維光接続
200a キーの位置
200b キー間の位置
202a 替わりの位置
202b 替わりの位置
202c 替わりの位置
300 曲線
302 曲線
304 2つの記憶装置の内容が引き出される
306 訂正データ
308 ドライバー
310 ディスプレイ
312 計測制御システム
314 複数のセンサ
316 センサ信号プロセサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを有し、前記ディスプレイを一定間隔で再測定する少なくとも1つの光センサを含む消費者電子装置(CED)であって、前記ディスプレイおよび前記少なくとも1つの光センサは、前記消費者電子装置(CED)が使用されないとき前記光センサが前記ディスプレイからの光を監視することができるように、一つのハウジングの異なる部分に収容されることを特徴とする消費者電子装置(CED)。
【請求項2】
前記一つのハウジングの異なる部分は、前記ハウジングの一部にちょうつがいで接続される第1および第2部分を含み、前記第1部分が前記ディスプレイを収容し、前記第2部分が前記センサの少なくとも光感知部分を収容する請求項1に記載の消費者電子装置(CED)。
【請求項3】
さらにキーボードを含み、前記ハウジングは二枚貝タイプであり、前記ハウジングの第2部分が前記キーボードを収容し、前記センサの少なくとも光感知部分が前記キーボードに組み込まれ、前記センサは前記二枚貝が閉じたときに前記ディスプレイからの光を感知できる請求項2に記載の消費者電子装置(CED)。
【請求項4】
前記センサの前記光感知部分は前記キーボードのキーの間に配置される請求項3に記載の消費者電子装置(CED)。
【請求項5】
前記キーボードのキーは半透明であり、前記光センサの前記光感知部分は前記キーの下側にある請求項3に記載の消費者電子装置(CED)。
【請求項6】
前記光センサは、光感知および光放射態様の両者の使用に設計された発光装置を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の消費者電子装置(CED)。
【請求項7】
前記光センサは、光感知装置および前記センサの光感知部分からの光を前記感知装置に導く光ガイドを有する請求項1ないし6のいずれかに記載の消費者電子装置(CED)。
【請求項8】
前記ディスプレイの異なる部分を感知する複数の前記光センサをさらに有する請求項1ないし7のいずれかに記載の消費者電子装置(CED)。
【請求項9】
前記ディスプレイの複数の照明された画素を同時に感知する前記複数の光センサを使用するシステムをさらに有する請求項1ないし8のいずれかに記載の消費者電子装置(CED)。
【請求項10】
前記複数の照明された画素の光出力データを決めるために測定マトリックスによって前記複数の光センサからの信号によって規定される値を有するベクトルを掛け算するデータプロセサーを有する請求項9に記載の消費者電子装置(CED)。
【請求項11】
定期的にディスプレイを計測するために、複数の画素を含む前記ディスプレイを有する消費者電子装置の監視のためのシステムであって、前記監視システムは、複数の前記画素の光出力を同時に監視する複数の光センサからの信号を受信する入力、前記入力に接続され、前記複数の光センサからの前記信号を処理し、同時に監視された前記複数のディスプレイ画素の光出力データを決める処理システム、および前記処理システムに接続され、前記光出力データを出力する出力を含む消費者電子装置(CED)の監視のためのシステム。
【請求項12】
前記ディスプレイはOLEDディスプレイである請求項1ないし11のいずれかに記載される消費者電子装置(CED)またはシステム。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−511973(P2009−511973A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535083(P2008−535083)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003729
【国際公開番号】WO2007/042774
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】