説明

ディスプレイ装置及びディスプレイ装置の製造方法

【課題】ディスプレイユニットが不透明基板上に形成されている場合であっても、ドライバICとの位置合わせを的確に行うことができるディスプレイ装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ディスプレイ装置100は、ドライバIC300と当該ドライバIC300を実装するディスプレイユニット200と、を有し、ドライバIC300には、ディスプレイユニット200との接合面と反対の裏面に接合面に形成された各電極Eの配置位置の基準となる第2アライメントマークAM2が形成されている。そして、この第2アライメントマークに基づいてドライバIC300及びディスプレイユニット200の位置合わせを高精度に実行することができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路を有するドライバICが実装されたディスプレイ装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶または有機ELを用いたディスプレイ装置または通信端末装置など各種の電子機器の発達に伴って、集積回路(IC)のパッケージ(ICチップ)などの電子部品を他の電子部品上に実装することが一般的に行われている。例えば、フェイスダウンボンディングタイプのICチップなどのファインピッチを有する電子部品を他の電子部品上に実装する実装方法としては、異方性導電膜(Anisotropic conductive film)または異方性導電剤などの異方性導電材を用いることによって多接点を一括して電気的に接続するものが知られている。特に、この実装方法(以下、単に「電子部品の実装方法」という。)は、液晶ディスプレイ装置または有機ELディスプレイ装置などのディスプレイ装置を製造する際に用いられている。
【0003】
具体的には、この電子部品の実装方法を用いてディスプレイ装置を製造する場合には、複数の画素からなる表示領域を有するディスプレイユニットと、当該ディスプレイユニットの駆動を制御する駆動回路が組み込まれたドライバICと、を位置合わせしつつ、ディスプレイユニット上にドライバICを載置し、異方性導電膜を介してディスプレイユニットとドライバICの各電極同士を熱圧着させて接合するようになっている。
【0004】
一方、このような実装方法においては、ディスプレイユニットとドライバICそれぞれの電極を的確に接合するために、当該ディスプレイユニットとドライバICの位置合わせを高精度に行う必要がある。例えば、このような位置合わせを高精度に行う実装方法としては、ガラス基板上に形成されたディスプレイユニットの、ドライバICとの接合面と反対の面側にCCDなどの撮像カメラを設け、当該ガラス基板を介して撮像カメラによってそれぞれの電極を認識し、接合面における位置合わせを高精度に行うものが知られている(例えば、特許文献1)。また、この撮像カメラによって位置合わせを行う際にドライバIC及びディスプレイユニットに設けられたアライメントマークを用いて、自動的に位置ずれを補正しつつ、ドライバICをディスプレイユニットに実装する方法も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−198623号公報
【特許文献2】特開平8−162503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1または2に記載の実装方法にあっては、ディスプレイユニットのドライバICが実装される接合面とは反対の面からガラス基板を介して各電極などの接合面を撮像カメラによって撮像しているので、当該ディスプレイユニットが不透明基板上に形成されている場合には撮像カメラによって電極を認識することができず、位置合わせを行うことができない。
【0007】
すなわち、これらの実装方法は、当該ディスプレイユニットがガラスなどの透明基板上に形成されているので、ガラス基板側に設けられた撮像カメラによってディスプレイユニット及びドライバICの電極またはアライメントマークを認識することができるようになっているため、当該ディスプレイユニットが不透明基板上に形成されている場合には撮像カメラによって電極を認識することができずにそれらの位置合わせを行うことができない。
【0008】
特に、特許文献2に記載の実装方法にあっては、ドライバICとディスプレイユニットの間に接着のために用いる接着剤が不透明な場合に実行されるものであるものの、ディスプレイユニットがそもそも不透明な場合には、当該ディスプレイユニットの接合面に形成されている接続電極を完全に撮像カメラによって認識することができずに、ドライバICとディスプレイユニットとの位置合わせを的確に行うことができない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ディスプレイユニットが不透明基板上に形成されている場合であっても、ドライバICなどの電子部品との位置合わせを的確に行うことができるディスプレイ装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するための本発明のディスプレイ装置は、不透明基板を有し、当該不透明基板上に複数の画素からなる表示領域が形成されたディスプレイユニットと、前記ディスプレイユニットを駆動するための電子部品であって、前記ディスプレイユニットと接合される接合面に形成された当該接合面の基準位置を示す第1アライメントマークと当該接合面と反対の面である反対面に前記第1アライメントマークに基づいて形成位置が定められた第2アライメントマークとを有する電子部品と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、第2アライメントマークの形成位置が第1アライメントマークに基づいて定められており、第1アライメントマークが接合面の基準位置を示しているため、第2アライメントマークによって当該接合面の基準位置を認識することができる。すなわち、この発明においては、撮像カメラなどによって電子部品のディスプレイユニットとの接合面の反対面の上方から第2アライメントマークを認識することができるとともに、当該第2アライメントマークを用いて電子部品のディスプレイユニットにおける位置合わせを行うことができるので、ディスプレイユニットの基板が不透明基板によって形成されている場合であっても、当該電子部品を的確にディスプレイユニットに実装することができる。
【0012】
(2)本発明のディスプレイ装置は、少なくとも前記第2アライメントマークが、インクパターンまたは立体的な凹凸形状によって前記反対面上に形成されている。本発明によれば、印刷によってまたはレーザ光など簡易な手段によって第2アライメントマークを形成することができる。
【0013】
(3)本発明のディスプレイ装置は、前記ディスプレイユニットが、前記電子部品と接合される接合面に当該接合面の基準位置を示す第3アライメントマークを有する。本発明によれば、第2アライメントマークと第3アライメントマークによって位置決めを行うことができるので、電子部品のディスプレイユニットにおける位置合わせを容易に行うことができる。
【0014】
(4)本発明のディスプレイ装置は、前記第3アライメントマークが、前記ディスプレイユニットの接合面における前記電子部品が接合される接合領域内に形成されている。本発明によれば、例えば、第2アライメントマークを第3アライメントマークの位置に合わせれば電子部品のディスプレイユニットにおける位置合わせができるので、当該位置合わせを容易に行うことができる。
【0015】
(5)本発明のディスプレイ装置は、前記第3アライメントマークが、前記ディスプレイユニットの接合面における前記電子部品が接合される接合領域内とは異なる非接合領域に形成されている。本発明によれば、上記位置合わせが行われる際に、第3アライメントマークを最後まで認識することができるので、当該位置合わせを的確に行うことができる。
【0016】
(6)本発明のディスプレイ装置の製造方法は、不透明基板上に複数の画素からなる表示領域が形成されたディスプレイユニットと、前記ディスプレイユニットと接合される接合面に形成された第1アライメントマークと当該接合面と反対の面である反対面に前記第1アライメントマークに基づいて形成位置が定められた第2アライメントマークとを有する電子部品と、に基づいてディスプレイ装置を製造する製造方法であって、前記反対面から前記接合面に向かって撮像を行う撮像手段によって前記第2アライメントマークを撮像しつつ、前記電子部品の前記ディスプレイユニット上における位置合わせを行う位置合わせ工程と、前記位置合わせされた電子部品と前記ディスプレイユニットとを所定の接着剤を介して圧着させる圧着工程と、を含み、前記第2アライメントマークに基づいて前記電子部品の実装位置を算出しつつ、前記電子部品の前記ディスプレイユニット上における位置合わせを行う。
【0017】
この発明によれば、第2アライメントマークの形成位置が第1アライメントマークに基づいて定められており、第1アライメントマークが接合面の基準位置を示しているため、第2アライメントマークによって当該接合面の基準位置を認識することができる。すなわち、この発明においては、撮像カメラなどによって電子部品のディスプレイユニットとの接合面の反対面の上方から第2アライメントマークを認識することができるとともに、当該第2アライメントマークを用いて電子部品のディスプレイユニットにおける位置合わせを行うことができるので、ディスプレイユニットの基板が不透明基板によって形成されている場合であっても、当該電子部品を的確にディスプレイユニットに実装することができる。
【0018】
(7)本発明のディスプレイ装置の製造方法は、複数の前記電子部品を一のウエハ上に形成する電子部品形成工程を更に含み、前記電子部品を前記ウエハ上に形成する際に前記第2アライメントマークを各電子部品に形成し、当該ウエハから切断された各電子部品に基づいて前記位置合わせ工程が実行される。
【0019】
本発明によれば、印刷によってまたはレーザ光など簡易な手段によって第2アライメントマークを形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るディスプレイ装置及びディスプレイ装置の製造方法は、撮像カメラなどによって電子部品のディスプレイユニットとの接合面の反対面の上方から第2アライメントマークを認識することができるとともに、当該第2アライメントマークを用いて電子部品のディスプレイユニットにおける位置合わせを行うことができるので、ディスプレイユニットの基板が不透明基板によって形成されている場合であっても、当該電子部品を的確にディスプレイユニットに実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るディスプレイ装置の一実施形態における構造を示す側面図である。
【図2】一実施形態におけるドライバICの外観を示す外観図である。
【図3】一実施形態のドライバICにおける第2アライメントマークの形成方法を説明するための図である。
【図4】一実施形態の実装装置及びそれを用いた実装方法を説明するための図である。
【図5】一実施形態におけるディスプレイ装置のその他の例を示す図であって、当該ディスプレイ装置の構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
なお、以下に説明する実施形態は、フレキシブルディスプレイユニット(以下、単に「ディスプレイユニット」という。)に当該ディスプレイユニットを駆動するための駆動回路を有するICチップ(以下、「ドライバIC」という。)を実装したディスプレイ装置に、本発明のディスプレイ装置及びディスプレイ装置の製造方法を適用した場合の実施形態である。
【0024】
<ディスプレイ装置>
まず、図1を用いて本発明に係るディスプレイ装置100の実施形態について説明する。なお、図1は、本実施形態のディスプレイ装置100の構造を示す側面図である。
【0025】
本実施形態のディスプレイ装置100は、図1に示すように、ディスプレイユニット200と、ディスプレイユニット200の一方の面上に接合され、当該ディスプレイユニット200を駆動するドライバIC300と、から形成されている。
【0026】
特に、ドライバIC300は、ディスプレイユニット200と対向(接合)する接合面に接続端子であって導体突起形状のバンプBを有している。このバンプBは、電極Eを介して当該ドライバIC300に形成された駆動回路と接続されているとともに、ディスプレイユニット200に形成された接続端子となるパッドPに接合されるようになっている。そして、このドライバIC300は、ディスプレイユニット200との接合面(以下、「表面」ともいう。)と反対の面(以下、「裏面」ともいう。)に各電極Eの配置位置の基準となるアライメントマーク(後述する第2アライメントマークAM2)を有し、当該アライメントマークに基づいてディスプレイユニット200と高精度に位置合わせが実行されるようになっている。
【0027】
また、バンプBは、異方性導電接着フィルム(ACF)を介してパッドPと熱圧着によって接合されており、この接合によってドライバIC300は、ディスプレイユニット200に固定されて実装されるようになっている。
【0028】
(ドライバIC)
次に、図1及び図2を用いて本実施形態のディスプレイユニット200について説明する。なお、図2は、本実施形態のドライバIC300の外観を示す外観図である。
【0029】
本実施形態のドライバIC300は、ディスプレイユニット200に所定の画像を表示するための表示制御を行う駆動回路が内部に形成されたICチップ(電子部品)であり、ディスプレイユニット200の表示領域において当該表示領域の水平方向に延在する走査線を駆動する走査線駆動回路及び/または当該表示領域の垂直方向に延在するデータ線を駆動するデータ線駆動回路などのディスプレイユニット200の表示制御を行うための周辺回路を形成するデバイスである。
【0030】
このドライバIC300は、図2(a)、(b)及び(c)に示すように、接合面(表面)に各電極Eとともに配列され、かつ、ディスプレイユニット200と接合される際の基準位置を示す第1アライメントマークAM1と、接合面と反対の反対面(裏面)に第1アライメントマークAM1に基づいて形成位置が定められた第2アライメントマークAM2とが形成されている。
【0031】
第1アライメントマークAM1は、プロセスの観点からバンプBと同時に形成されるようになっており、当該バンプBと同一の電極材料、具体的には、アルミニウム(Al)または銅(Cu)によって形成されている。例えば、この第1アライメントマークAM1は、電極Eが形成されるフォトリソ工程によって各電極Eの位置に基づいて各電極Eとともに形成されるようになっている。また、第1アライメントマークAM1は、所定の幅を有する十字の形状を有している。ただし、第1アライメントマークAm1は、この十字形状に限らず、正方形や長方形などの接合面の面方向を基準に上下左右(図2(a)における紙面の左右上下)及び回転(ドライバIC300の紙面手前から奥に形成される中心軸に基づく回転)に対してドライバIC300の位置決めを行うことが可能な形状であればよい。
【0032】
第2アライメントマークAM2は、印刷またはレーザ光によって形成されるようになっており、所定の形状を有するインクパターンまたは所定の形状に形成された溝によって形成されている。特に、第2アライメントマークAM2は、第1アライメントマークAM1に基づいてその形成位置が定められているとともに、後述するように、ドライバIC300の裏面の上方から撮像カメラ430によって認識されるように形成されている。
【0033】
また、第2アライメントマークAM2は、所定の幅を有する十字の形状を有している。ただし、第2アライメントマークAM2においては、この十字形状に限らず、正方形や長方形などの接合面の面方向を基準に上下左右(図2(c)における紙面の左右上下)及び回転(図2(c)におけるドライバIC300の紙面手前から奥に形成される中心軸に基づく回転)に対してドライバIC300の位置決めを行うことが可能な形状であればよい。
【0034】
例えば、所定の形状の溝によって第2アライメントマークを形成する場合には、当該第2アライメントマークAM2は、図3(a)に示すように、ディスプレイユニット200に実装される前に、第1アライメントマークAM1を基準にレーザ装置Sから照射されたレーザ光に基づいて形成されるようになっている。なお、図3(b)に示すように、複数のドライバIC300が同時に形成されたシリコンウエハ(以下、「ドライバICウエハ」ともいう。)350からダイシング(切断)する前に、各ドライバIC300における第1アライメントマークAM1に基づいて、それぞれの第2アライメントマークを同時に形成するようにしてもよい。
【0035】
なお、第2アライメントマークAM2をインクによって形成する場合には、インクには、顔料、銀コロイドなどの材料を用いるようになっており、予め定められた形成面に当該材料を用いてインクパターンを形成するスクリーン印刷又はインクジェットなどの印刷によって当該第2アライメントマークAM2が形成されるようになっている。また、第2アライメントマークAM2が銀コロイドインクによって形成される場合には、後述する撮像カメラ430で認識可能な所定の線幅(例えば、10μm以上)及び所定の大きさ(例えば、30μm)以上であって、所定の厚さ(例えば100nm〜4μm)を有するマークが成されていればよい。一方、第2アライメントマークAM2がレーザによって形成される場合には、後述する撮像カメラ430で認識可能な所定の線幅(例えば、10μm)及び所定の大きさ(例えば、30μm)以上であって、所定の深さ(例えば、1μm〜500μm)を有する溝が立体的な凹凸形状として形成されていればよい。
【0036】
(ディスプレイユニット)
次に、図1を用いて本実施形態のディスプレイユニット200について説明する。
【0037】
本実施形態のディスプレイユニット200は、複数の画素から形成される表示領域を有し、画素毎に表示制御を行うことによってこの表示領域に所定の画像を表示するためのユニットである。このディスプレイユニット200は、図1に示すように、不透明なフレキシブル基板(以下、「フレキシブル不透明基板」という。)210と、当該フレキシブル不透明基板210上であってドライバIC300との接合面に、画素毎に形成された表示素子層220及び薄膜トランジスタ(以下、「画素駆動用薄膜トランジスタ」という。)230と、接合面上にドライバIC300が実装される際に位置合わせの基準となる第3アライメントマークAM3と、を有している。特に、表示素子層220及び画素駆動用薄膜トランジスタ230は、フレキシブル不透明基板210上において、ドライバIC300が形成された領域と接合面上において異なる領域に積層されている。
【0038】
例えば、このディスプレイユニット200は、画素毎に形成された画素駆動用薄膜トランジスタ230と、画素毎に一対の電極221及び当該電極間221に設けられた表示層222からなる表示素子層220と、を有している。この画素駆動用薄膜トランジスタ230は、ゲート電極231、半導体層233、ソース電極234及びドレイン電極235が積層されて形成されている。また、このディスプレイユニット200は、フレキシブル不透明基板210上に積層された平坦化層240と、当該平坦化層240上に画素駆動用薄膜トランジスタ230とともに積層されたゲート絶縁膜232及び層間絶縁膜250と、を有している。そして、表示素子層220は、層間絶縁膜250上であって、ドライバIC300と対向する接合面上に形成されており、電極221bがドレイン電極235と接続している。
【0039】
ディスプレイユニット200のパッドPは、層間絶縁膜250上であって、ドライバIC300との接合面に形成されている。ただし、表示素子層220及び画素駆動用薄膜トランジスタ230が形成されている接合面上の領域と異なる領域に形成されている。
【0040】
なお、画素駆動用薄膜トランジスタ230が画素毎に1つ必要な場合(例えば表示素子が液晶素子の場合)には、上述のように、本実施形態のディスプレイユニット200においては、当該画素駆動用トランジスタ230は、図1に示すように形成される。一方、画素駆動用薄膜トランジスタ230が画素毎に2つ必要な場合(例えば、表示素子が有機EL素子の場合)には、上記の画素駆動用薄膜トランジスタ230がフレキシブル不透明基板210上の面方向に隣接して形成されるようになっている。また、本実施形態の表示素子層220は、表示素子が有機EL素子の場合には正孔注入輸送層などの表示素子によって必要な層構造を有している。
【0041】
フレキシブル不透明基板210は、例えば、ステンレス(SUS)など薄膜合金であって、不透明基板によって形成されている。不透明基板とは、一方の面から視覚した場合に、当該一方の面の反対の面に形成された部分を視覚不能とうる材料によって形成された基板をいい、当該不透明基板には、ガラスなどの透明基板のみならず、当該反対面に形成された部分が視覚可能な半透明基板も含まれない。なお、本実施形態のフレキシブル不透明基板は、可撓性を有する不透明な材料で形成されていれば、上記の材料に限定されない。
【0042】
表示素子層220は、有機EL素子、液晶素子、電子ペーパ表示素子などの用途に応じて各種の表示素子から形成されている。
【0043】
画素駆動用薄膜トランジスタ230は、有機EL素子、液晶素子、電子ペーパ表示素子など各表示素子を駆動するために適切な電界効果トランジスタ(TFT)から形成されている。この画素駆動用トランジスタは、各画素における表示素子の点灯及び消灯などの種々の制御を実行するようになっている。
【0044】
例えば、本実施形態においては、表示素子の特性に基づいて1または複数の薄膜トランジスタが画素毎にそれぞれ形成されている。また、薄膜トランジスタのタイプとしては、有機半導体膜を用いた有機TFT、アモルファスシリコンTFT(以下、「a−SiTFT」という。)、ポリシリコンTFT(以下、「p−SiTFT」という。)または酸化物TFTなどの各種のTFTが用いられる。
【0045】
第3アライメントマークAM3は、プロセスの観点からパッド(電極)Pと同時に形成されるようになっており、当該パッドPと同一の電極材料、具体的には、アルミニウム(Al)または銅(Cu)によって形成されている。例えば、この第3アライメントマークAM3は、パッドPが形成されるフォトリソ工程によって各パッドPの位置に基づいて各パッドPとともに形成されるようになっている。特に、第3アライメントマークAM3は、ドライバIC300の裏面の上方から撮像カメラ430によって認識されるように形成されている。
【0046】
また、第3アライメントマークAM3は、第1アライメントマークAM1及び第2アライメントマークAM2と同様に、所定の幅を有する十字の形状を有している。ただし、第3アライメントマークAM3においても、この十字形状に限らず、正方形や長方形などの接合面の面方向を基準に上下左右(図1における紙面の左右及び紙面手前と後)及び回転(図1におけるドライバIC300の紙面上下に形成される中心軸に基づく回転)に対してドライバIC300の位置決めを行うことが可能な形状であればよい。
【0047】
なお、本実施形態の第3アライメントマークAM3は、ドライバIC300がディスプレイユニット200に実装される際に実装終了時まで撮像カメラ430によって認識される必要がなく、最終的に撮像カメラ430においてドライバIC300の背後となる領域、言い換えれば、ディスプレイユニット200の接合面におけるドライバIC300が接合される接合領域内(ドライバIC300の裏面上方からの平面視においてドライバIC300によって覆われる接合面の領域)に形成されている。すなわち、ディスプレイユニット200は、位置合わせを行う際に第3アライメントマークAM3が一旦認識されれば、ディスプレイユニット200を移動させる移送部材(後述する支持移送部420)の位置との相対位置を認識することができるので、たとえ移送部材がその後に移動したとしても第3アライメントマークの位置を認識し続けることができるようになっている。したがって、ディスプレイユニット200の接合面におけるドライバIC300が接合される接合領域内に第3アライメントマークAM3が形成されていても高度に位置合わせを行うことができるようになっている。
【0048】
<実装装置を用いたディスプレイ装置の製造方法>
次に、図4を用いて本実施形態のディスプレイ装置100において、ドライバIC300をディスプレイユニット200に実装する実装装置(以下、単に「実装装置」という。)400とそれを用いた製造方法について説明する。なお、図4は、本実施形態の実装装置400及びそれを用いた実装方法を説明するための図である。なお、本実施形態のディスプレイ装置100の製造方法においては、第2アライメントマークAM2に基づいて、ドライバIC300をディスプレイプレイユニット200に実装する点に特徴がある。
【0049】
本実施形態の実装装置400は、ドライバIC300を保持しつつ移動自在に可動するIC保持移送部410と、ディスプレイユニット200を下方から支持しつつ移動自在に可動する支持移送部420と、ドライバIC300の裏面及びドライバIC300とディスプレイユニット200の接合面を撮像する撮像カメラ430と、撮像された第2アライメントマークAM2及び第3アライメントマークAM3の位置を認識する検出部440と、認識された第2及び第3アライメントマークAM3に基づいてIC保持移送部410を制御する制御部450と、撮像カメラ430によって撮像された画像を表示するモニタ460と、を有している。
【0050】
特に、撮像カメラ430は、CCDによって形成されており、ドライバIC300の裏面の上方から所定の領域を撮像し、撮像した画像を画像信号としてモニタMに出力しつつ、検出部440に出力するようになっている。そして、検出部440は、受信した画像信号に基づいて、所定の領域内における第2アライメントマークAM2及び第3アライメントマークAM3の位置(XY座標)を認識(算出)するようになっている。
【0051】
例えば、本実施形態の場合には、撮像カメラ430は、IC保持移送部410に組み込まれ、IC保持移送部410がトレーTからドライバIC300をその一部に吸着させる際にドライバIC300の裏面を撮像するようになっている。そして、このとき、検出部440は、撮像された画像に基づいてドライバIC300の裏面に形成された第2アライメントマークAM2を認識し、その位置情報を保持するようになっている。また、制御部450の制御の下、IC保持移送部410がドライバIC300を吸着して保持しつつ、支持移送部420の上部に移動すると、撮像カメラ430は、ディスプレイユニット200の実装面(接合面)を撮像するようになっている。そして、このとき、検出部440は、撮像された接合面の画像に基づいてディスプレイユニット200の接合面上に形成された第3アライメントマークAM3を認識し、その位置を位置情報として保持するようになっている。なお、支持移送部420は、制御部450の制御の下、所定のタイミングでドライバIC300が実装される位置にディスプレイユニット200を移送するようになっている。
【0052】
制御部450は、第2アライメントマークAM2と第3アライメントマークAM3が実装時にドライバIC300及びディスプレイユニット200上に実装されるべき位置、例えば、実装時におけるドライバIC300上におけるマーク形状のXY座標の値に対するディスプレイユニット200上におけるマーク形状のXY座標の値を予め図示しないメモリに記憶している。そして、この制御部450は、検出部440が保持している第2アライメントマークAM2の位置情報及び第3アライメントマークAM3の位置情報と、図示しないメモリに記憶されている位置情報とを比較しつつ、IC保持移送部410及び支持移送部420の移動を制御し、ドライバIC300の裏面の面方向において上下左右及び傾きを調整してディスプレイユニット200とドライバIC300との位置合わせを行うようになっている。
【0053】
一方、ディスプレイユニット200とドライバIC300との位置合わせに先立って、ディスプレイユニット200のパッドP上には異方性導電接着フィルム(ACF)が仮圧着されており、位置合わせが終了したのちに、別のステージにおいて、IC保持移送部410によってドライバIC300がディスプレイユニット200に圧着されている状態で異方性導電接着フィルムを加熱などによって硬化させるようになっている。
【0054】
すなわち、本実施形態の実装装置400は、上述のようにドライバICアレイ350上で第2アライメントマークAM2を形成してダイシング(切断)するなど当該第2アライメントマークAM2を有するドライバIC300を形成してトレーTに載置する(電子部品形成工程)。そして、この実装装置400は、第2アライメントマークAM2を撮像及び認識しつつ、ドライバIC300によってドライバICを吸着させるとともに、ディスプレイユニット200とともにて所定の位置に移送し、第3アライメントマークを撮像及び認識しつつ、ドライバIC300の実装位置を算出してドライバIC300のディスプレイユニット200上における位置合わせを行う、すなわち、ドライバIC300のバンプBの位置を該当するディスプレイユニット200のパッドPにそれぞれ合わせる(位置合わせ工程)。最後に、この実装装置400は、位置合わせされたドライバIC300とディスプレイユニット200とを所定の接着剤(ACF)を介して熱圧着し(圧着工程)、電子部品300をディスプレイユニット200に実装するようになっている。
【0055】
<作用効果>
以上本実施形態のディスプレイ装置100及び実装装置400は、第2アライメントマークAM2の形成位置が第1アライメントマークAM1に基づいて定められており、第1アライメントマークAM1が接合面の基準位置を示しているため、ドライバIC300をディスプレイユニット200に実装する際に、第2アライメントマークAM2によって当該接合面の基準位置を認識することができる。すなわち、このディスプレイ装置100及び実装装置400は、第2アライメントマークAM2を用いてドライバIC300のディスプレイユニット200における位置合わせを行うことができるので、ディスプレイユニット200の基板がSUSなどの不透明基板によって形成され、当該基板を介して接合面におけるドライバIC300の第1アライメントマークAM1が認識できなくても、撮像カメラ430によるドライバIC300の反対面の上部から第2アライメントマークを認識することができる。したがって、本実施形態においては、ドライバIC300が的確に不透明な基板上に形成されたディスプレイユニット200に実装されたディスプレイ装置100を提供することができる。
【0056】
また、本実施形態のディスプレイ装置100は、第3アライメントマークAM3が、前記ディスプレイユニット200の接合面におけるドライバIC300が載置される(すなわち、実際に接合される)領域内に形成されるので、位置合わせを容易に行うことができる。
【0057】
<変形例>
次に、図5を用いて上記実施形態における変形例について説明する。なお、図5は、上記実施形態におけるディスプレイ装置100のその他の例を示す図であって、当該ディスプレイ装置100の構造を示す側面図である。
【0058】
本変形例は、上記実施形態において、ディスプレイユニット200の接合面に形成された第3アライメントマークAM3が接合領域内に形成されている点に代えて、非接合領域、すなわち、ドライバIC300の裏面上方からの平面視においてドライバIC300によって覆われる接合面の領域(接合領域)の外側に形成される領域)に形成されている点に特徴がある。なお、本変形例においては、第3アライメントマークAM3の形成された位置を除き、その他の構成は上記実施形態にと同一である。
【0059】
本変形例の第3アライメントマークAM3は、ドライバIC300がディスプレイユニット200に実装される際に実装終了時まで撮像カメラ430によって認識されるように、ディスプレイユニット200の接合面におけるドライバIC300が接合される接合領域外に形成されている。したがって、本変形例においては、位置合わせが行われる際に、第3アライメントマークAM3を最後まで認識することができるので、当該位置合わせ中にディスプレイユニット200の位置がずれた場合であっても的確に当該位置合わせを行うことができる。
【0060】
なお、本実施形態では、ディスプレイユニット200に実装される電子部品としてドライバIC300を用いているが、これに限らず、薄膜トランジスタによって作成されたドライバ回路、チップインダクタンス、チップコンデンサ、または、表面実装タイプ電子部品(例えば、SSOP:Shrink Small−Outline PackageまたはSOP:Small−Outline Package)などの回路素子であって第2アライメントマークが形成可能なものであればよい。
【符号の説明】
【0061】
AM1 … 第1アライメントマーク
AM2 … 第2アライメントマーク
AM3 … 第3アライメントマーク
B … バンプ
P … パッド
S … レーザ装置
100 … ディスプレイ装置
200 … ディスプレイユニット
210 … フレキシブル不透明基板
220 … 表示素子層
230 … 画素駆動用薄膜トランジスタ
300 … ドライバIC
400 … 実装装置
410 … IC保持移送部
420 … 支持移送部
430 … 撮像カメラ
440 … 検出部
450 … 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明基板を有し、当該不透明基板上に複数の画素からなる表示領域が形成されたディスプレイユニットと、
前記ディスプレイユニットを駆動するための電子部品であって、前記ディスプレイユニットと接合される接合面に形成された当該接合面の基準位置を示す第1アライメントマークと、当該接合面と反対の面である反対面に前記第1アライメントマークに基づいて形成位置が定められた第2アライメントマークと、を有する電子部品と、
を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
少なくとも前記第2アライメントマークが、インクパターンまたは立体的な凹凸形状によって前記反対面上に形成されている請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ディスプレイユニットが、前記電子部品と接合される接合面に当該接合面の基準位置を示す第3アライメントマークを有する請求項1または2に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第3アライメントマークが、前記ディスプレイユニットの接合面における前記電子部品が接合される接合領域内に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第3アライメントマークが、前記ディスプレイユニットの接合面における前記電子部品が接合される接合領域内とは異なる非接合領域に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
不透明基板上に複数の画素からなる表示領域が形成されたディスプレイユニットと、前記ディスプレイユニットと接合される接合面に形成された当該接合面の基準位置を示す第1アライメントマークと当該接合面と反対の面である反対面に前記第1アライメントマークに基づいて形成位置が定められた第2アライメントマークとを有する電子部品と、に基づいてディスプレイ装置を製造する製造方法であって、
前記反対面から前記接合面に向かって撮像を行う撮像手段によって前記第2アライメントマークを撮像しつつ、前記電子部品の前記ディスプレイユニット上における位置合わせを行う位置合わせ工程と、
前記位置合わせされた電子部品と前記ディスプレイユニットとを所定の接着剤を介して圧着させる圧着工程と、
を含み、
前記第2アライメントマークに基づいて前記電子部品の実装位置を算出しつつ、前記電子部品の前記ディスプレイユニット上における位置合わせを行うことを特徴とするディスプレイ装置の製造方法。
【請求項7】
複数の前記電子部品を一のウエハ上に形成する電子部品形成工程を更に含み、
前記電子部品を前記ウエハ上に形成する際に前記第2アライメントマークを各電子部品に形成し、当該ウエハから切断された各電子部品に基づいて前記位置合わせ工程が実行される請求項6に記載のディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−191390(P2011−191390A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55838(P2010−55838)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】