説明

ディスペンスヘッド及び気泡を減少させる方法

【課題】 ディスペンスヘッド用ポペット弁を提供する。
【解決手段】 ディスペンスヘッド(40)は再循環した流体をドラム挿入部(22)の下パイプ(32)を取り囲む環状の空間に吐出する帰還管路(52)を有する。気泡減少装置(192)は再循環した流体により生成される気泡を最小にする。スプリング(74)により付勢されたポペット弁(70)は、ディスペンスヘッド(40)が栓開口(30)から取り外された場合に閉鎖される。密閉確認導管(56)は、ディスペンスヘッド(40)及びドラム挿入部(22)の接合部分において2個の密閉部(138)の中間の空間と流体が流れるように連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2001年7月12日出願の米国特許仮出願第60/305,061号の利益を主張するとともに、前記出願は参照により本願に援用される。
本発明は取付具に関し、詳細には、腐食薬や高純度流体に利用可能な複数の流路を有するディスペンスヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理、薬剤及び化学製造業等の産業において、高純度且つ高侵食性を有し、かつ/又は高腐食性を有する液体が利用されている。安全性及び品質を考慮すれば、このような液体は信頼性及び完全性が高い容器や供給システムに収容される。このような流体を取り扱うための連結器、管、および取付具は、高不活性材料により形成されなければならない。このような状況で利用するにはフッ化ポリマーが最適であることが分かっている。管は通常PFAにより形成されており、取付具、弁部品及びディスペンスヘッドはPFA、PTFE及び他のフッ化ポリマー等の成分により形成される。このような液体を取り扱うための容器は一般的に、米国特許第6,045,000号に開示されているような高純度のポリエチレンにより形成されたプラスチックドラムである。米国特許第6,045,000号は、本発明の所有者の被合併企業であるフルオロウェア社(Fluoroware, Inc.,)に譲渡されている。このようなドラムと共に使用するのに最適なディスペンスヘッドの一例は、FSI社に譲渡された米国特許第4,699,298号、及びフルオロウェア社に譲渡された米国特許第5,108,015号に開示されている。上記3特許は引用することにより本明細書に援用される。
【0003】
通常、ドラムはドラム挿入部を備えた栓開口を有し、ドラム挿入部は上方に位置する同心の管継手と接続する下方内腔管部を有する。被覆部材が栓及びドラム挿入部と嵌合することにより、ドラムは輸送或いは貯蔵が可能となる。上記のようなディスペンスヘッドは挿入部と接続し、且つ管継手と接続すると共に密閉状態で係合する主流体通路を備える。
【0004】
一定の使用に際しては、ディスペンスヘッドがドラムから取り外された時には、ディスペンスヘッドを通る主流体通路の流れを自動的に遮断することが好ましい。通常、このような状態は中央に位置するばね荷重式ポペット弁により行われてきた。ばね荷重式ポペット弁はディスペンスヘッドがドラム挿入部に取り付けられたときに開放位置まで押し下げられる。このようなポペット弁はディスペンスヘッドが取り外された時に閉鎖される。これにより、ディスペンスヘッドが取り外されたときに、ディスペンスヘッド及び主管路中の流体は溢流することがない。このようなポペット弁は通常軸線方向係合部を有し、軸線方向係合部は挿入部の雄流体通路内で複数のスポークにより中央に支持される中央台座部材と接触する。このような構成により、流体はスポーク間を流通する。このような装置は、スポーク及び中央台座部材が主要流体流に干渉して同主要流体流を制限することになるが、機械的に良好に作用する。
【0005】
ディスペンスヘッドは通常、吐出された流体が気体によって置き換えられるのを可能にするための通気孔を有する。前記気体はディスペンスヘッド上の取付具と接続する第2管を介して供給される。ディスペンスヘッドはまた、密閉確認機能を有する。ディスペンスヘッドは一般的に、ドラム挿入部及び栓を密閉する幾つかの同心オーリングを有する。密閉確認機能は、隣接するオーリング間において閉鎖された室と接続するディスペンスヘッド上の取付具を含む。ディスペンスヘッド内に複数の流通路を備えるため、主流体通路及びポペット弁により利用することができる空間が制限される。従って、流量が理想よりも少なくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの用途において、供給される流体がドラムまで再循環する必要がある。これは通常、ドラムの第2栓開口上の第2ディスペンスヘッドにより行なわれる。流体の再循環により、多くの場合、気泡が生成される。この場合、気泡が通気管路内に入り、ディスペンスヘッドやガス補充管路の通常は乾燥した領域で潜在的な閉塞や汚染が発生したり、或いは流体が低位となったドラムを空にするというような問題が生じる。
【0007】
一般的に再循環機能は好ましいものである。ポペット弁遮断制御機能を有するディスペンスヘッドにおいて流量を増大させることが望ましい。ドラムが再循環管路を備える場合、抗気泡機構は有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
流体供給システムは栓を有するドラムと、栓に挿入される下パイプを備えたドラム挿入部と、下パイプと結合し且つ周知のものより機能的特性に改善されたディスペンスヘッドとを含む。好適な実施形態において、ディスペンスヘッドは、再循環した流体をドラム挿入部の下パイプを取り囲む環状の空間に吐出する帰還管路を備える。気泡制限装置は再循環により生成される気泡を最小にするか若しくは減少させる。好適な実施形態において、ディスペンスヘッドを通過する主流路は、ディスペンスヘッドが栓開口から取り外される場合に閉鎖するばね荷重式ポペット弁により制御される。ポペット弁は係合部材が環状部材となるように構成されており、環状部材は軸線方向に延出する支持部材を備え、ドラム挿入部の管継手上に配置されて管継手と結合する。管継手は台座部を有し、内側に延出するナブを含むポペット弁の係合部材と係合する。係合に際しては、ディスペンスヘッド及びドラム挿入部が結合することにより実質的に開口した主通路が提供され、該主通路は障害物として径方向内側に延出するナブを有するだけである。 このような装置によれば、
流体がドラムからディスペンスヘッドへ、自由に且つ大容量で流通する。
【0009】
本発明の好適な実施形態の特徴としては、従来のディスペンスヘッド及びポペット弁と比較して、本発明のポペット弁の構成により流体の流量が増大する。
本発明の好適な実施形態の特徴及び利点としては、比較可能な再循環システムよりも再循環する流体の気泡生成量が減少する。
【0010】
本発明の好適な実施形態の特徴及び利点としては、流体は流体を供給するために使用されるディスペンスヘッドを介して再循環してドラムに戻される。
本発明の好適な実施形態の特徴及び利点としては、ディスペンスヘッドのオーリングにおける密閉の完全性を確認するために、ディスペンスヘッドに密閉確認機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るディスペンスヘッドを示す斜視図。
【図2】本発明に係る流体供給装置を示す斜視図。
【図3】図1のディスペンスヘッドを示す分解図。
【図4】図1のディスペンスヘッドを示す上面図。
【図5】図1のディスペンスヘッドにおいてディスペンスヘッドがドラム挿入部から分離した状態を示す図4の5−5線断面図。
【図6】図1のディスペンスヘッドにおいてディスペンスヘッドがドラム挿入部に取り付けられた状態を示す図4の5−5線断面図。
【図7】図1のディスペンスヘッドを示す図4の6−6線断面図。
【図8】図3において遠近法によって示されたドラム挿入部を示す平面図。
【図9】本発明に係るポペット弁を示す正面図。
【図10】ポペット弁を示す斜視図。
【図11】ディスペンスヘッドの上部を示す図6の11−11線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2に示すように、流体供給システムは一般的にドラム20と、ドラム挿入部22と、ディスペンスヘッド24を有する。ドラム20は通常、ブロー成形工程により形成された多層ポリエチレンにより構成される。本明細書において、ディスペンスヘッドという用語は流体帰還ヘッドを含むものと見做される。
【0013】
ドラム挿入部は栓取り付け部30と下パイプ32を有する。図3、図4、図5、図6及び図7にはディスペンスヘッド及びドラム挿入部の詳細が示されている。ディスペンスヘッドは本体部40を有し、本体部40は上部42及び下部44を備える。上部42の上端には複数の取付具46が配置されており、これらの取付具46は、フレアテック(Flaretek(登録商標))接続等の通常の接続を利用して、管部材、好適にはPFA管部材をディスペンスヘッドに取り付ける。取付具により主流体導管50、再循環流体導管52、通気導管54及び密閉確認導管56が接続される。これらの導管は図11に示されており、図11は図6の11−11線で切断した断面図である。
【0014】
上部42は一体壁部60により適切に仕切られており、種々の内部導管を構成する。ディスペンスヘッド本体部の上部42は下部44にピュアボンド(Purebond(登録商標))により接着されている。ピュアボンドにより管端部を接続する方法は、マイケル・オスガー(Michael Osgar)により出願され、本発明の所有者であるフルオロウェア社への譲渡が示されている特許第4,929,293号に開示されている。
【0015】
下部の中央室64には、ポペット弁70、オーリング72及びプラスチックばね74が配置される。オーリング72は、ポペット弁70が閉鎖されている場合に、ポペット弁70及び一体壁部60と係合してそれらを密閉する。プラスチックばね74はポペット弁70を閉鎖位置に付勢し、且つスナップリング76により適所に固定される。組み付け時には、ポペット弁70、オーリング72、ばね74及びスナップリング76が、図5に最良に示されるように配置される。ポペット弁70は図5では閉鎖密閉位置で示されており、この状態ではディスペンスヘッド24は未だドラム挿入部22と完全に係合していない。
【0016】
ポペット弁70の詳細は図9及び図10に示されている。オーリング72は、ポペット弁の中央部82において密閉部80の周囲に設けられる。第一端部86はリング状に形成された係合部88を含む。支持部材90は係合部から中央部82まで延出する。複数の案内部材94及び中央案内部95が第2端部96から延出しており、ポペット弁をディスペンスヘッド24の中央室64内に摺動可能に支持する。スプリング74は第2端部96と係合すると共に、ポペット弁20とスナップリング76との間において圧縮させられる。スナップリング76は、図7に最良に示されるように、スナップリング溝102に適切に固定される。注目すべき点として、ポペット弁は中央開放領域106を有しており、中央開放領域106により流体の通路がドラム挿入部の管継手112まで延出する。円錐部108が、密封部80に近接した中央開放領域106内へ延びている。
【0017】
図3及び図8に示すように、ドラム挿入部22は上方に延出する管継手112を支持する。ドラム挿入部22はディスペンスヘッド24内において主流体供給導管52と接続する中央流体流通導管130を有する。複数の環状再循環導管132はディスペンスヘッド24の再循環導管50と接続する。複数の通気導管136はディスペンスヘッド24の通気導管54と接続する。ドラム挿入部内において各導管の中間に密閉面が配置されており、図3、図5及び図6に示すようにオーリング138と密閉状態で係合する。下パイプ管継手112は内側に延出するナブ150を有していてもよく、ナブ150によりポペット
弁の環状係合部88は係合が容易となる。下パイプ32はまた複数の鍵部160を有しており、鍵部160はディスペンスヘッド24の本体に取り付けられた鍵部部材166の対応する鍵部164を介して、適切なディスペンスヘッド24への接続を確実にする。更に、ナット180がドラム挿入部22に回転可能に係合されており、ディスペンスヘッド24はドラム挿入部22に確実に取り付けられる。
【0018】
図1及び図7には気泡減少部材192が示されている。気泡減少部材192はドラム挿入部22の下パイプ32及びその周囲に取り付けられる。気泡減少部材192は壁部205、漏斗部208及び排出部210を有する。壁部205及び漏斗部208は気泡減少室212を画定し、その内部には通気孔216を有する。気泡減少部材192は再循環した流体を再循環導管52からディスペンスヘッド24を介し、更にはドラム挿入部22を介して受容する。再循環した流体はドラム20内で残留流体と接触する前に気泡を生成することが多い。気泡減少部材192は再循環する流体の速度を減少させ、且つ下パイプ32の周囲において流体を排出させることにより、再循環する流体を安定させる効果を有する。気泡減少部材192はピュアボンド溶接により形成された突起230を有し、突起230は下パイプ32の縁250と係合する。
【0019】
気泡減少室212により気体は気泡から分離し、通気孔216から排出されるとともに、液体部分は通常安定した層流状態で流下する。これにより乱流を抑制することができる。乱流は流体がドラム20の流体最上位までドラム挿入部22からドラム20へ直接排出される場合に発生する。
【0020】
従って、本発明は上記の部品により構成されており、ディスペンスヘッド或いは流体帰還ヘッドにおいて個々に使用することが可能である。本明細書において、流体帰還ヘッドはディスペンスヘッドという用語に含まれている。
【0021】
本発明は、本発明のあらゆる必須特性の精神から逸脱することなく他の特定の構成で具体化することができる。従って、上述の実施例は全ての点において例証として考慮されるべきであり、限定物として考慮されるべきではない。本発明の範囲を示すための言及は、上記の詳述よりもむしろ添付の特許請求の範囲においてなされている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム挿入部と結合するように構成されたディスペンスヘッドに使用されるポペット弁であって、ディスペンスヘッドは主としてフッ化ポリマーにより構成されており、ドラム挿入部はポペット弁と係合する台座部を有する管継手を含み、前記台座部は前記管継手の中央流体流通導管内に延出するように内側に延びる複数のナブを含み、前記ポペット弁は、
前記ナブと係合する環状係合部と、
ポペット弁が閉鎖された場合に流体の流通を実質的に密閉する密閉部と、
環状係合部の末端に設けられた複数のフィン形案内部材と、
環状係合部と密閉部とを接続して中央開放領域を形成する複数の支持部材と、
複数の支持部材の間に形成されて、ポペット弁の中央開放領域と連通するとともに、ポペット弁が開放された場合にポペット弁を貫通する流体流通経路を形成する複数の流体流通路と、
ディスペンスヘッドがドラム挿入部に固定される場合にはポペット弁が開放され、ディスペンスヘッドがドラム挿入部から取り外される場合にはポペット弁が閉鎖されるように、ポペット弁を閉鎖位置に付勢する手段とを備えるポペット弁。
【請求項2】
前記係合部、密閉部及び支持部材により、ポペット弁が開放位置にある場合に、流体がポペット弁を介してディスペンスヘッドまで実質的に自由に流通するのを可能にする中央開放領域が形成される請求項に記載のポペット弁。
【請求項3】
付勢手段はプラスチックばねを含む請求項に記載のポペット弁。
【請求項4】
中央開放領域に延出しており、流体流をポペット弁を通って流体流通路から退出するようにさらに導くようにされた円錐部材を更に含む請求項に記載のポペット弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−105745(P2010−105745A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2978(P2010−2978)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【分割の表示】特願2003−512140(P2003−512140)の分割
【原出願日】平成14年7月11日(2002.7.11)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】