説明

ディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置及びこの浄化装置の製造方法、並びに排出ガスの浄化方法

本発明は光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型に構成されたディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置及びその製造方法に関するものであり、ディーゼルエンジンから排出されるガスを濾過し、捕集した粒子状物質を除去する電極装置を含む浄化装置及びそれを製造する方法において、セラミック材質の多孔性のハニカムモノリス担体内部に光触媒物質をコーティングして、上記の光触媒物質が内部にコーティングされた多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を構成するそれぞれの単位セルの入口側及び出口側が交互に詰まるように導電性金属でプラギングした後、上記の導電性金属でプラギングされた多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を導電性金属でコーティングして上記の多孔性のハニカムモノリス担体を熱処理して、上記の熱処理された多孔性のハニカムモノリス担体を電源供給部が設けられたケースに内蔵させることを特徴とする、光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型に構成されたディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置及びその製造方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光触媒層が内部にコーティングされて、また電極が一体型で構成されているディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置及びその製造方法に関するものである。詳細には、光触媒をコーティングしたセラミックハニカムモノリス担体の両端面の単位セルの開放部を導電性金属でプラギングして、さらにその表面を導電性金属でコーティングして、浄化装置のフィルターとして適用する。それによって、排気ガスが多孔性の壁に沿って流れるようになって、排気内に存在する粒子状物が捕集される。本発明は、捕集された粒子状物質を除去する電極が一体型で構成されているディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置及びその製造方法に関するものである。両端面及びセルの一端をプラギングした導電性金属に印加される高電圧により低温プラズマが発生され、その低温プラズマ内に存在する紫外線により単位セルの壁面にコーティングされた光触媒が励起され、その光触媒により捕集された粒子状物質を酸化及び除去する。
【背景技術】
【0002】
一般に従来のディーゼルエンジンの排気後処理システムは、大きくディーゼル酸化触媒(DOC、Diesel Oxidation Catalyst)と煤煙濾過フィルター(DPF、Diesel Particulate Matter Filter)及びNOx浄化装置で構成されている。
【0003】
上記のDOCは既存の三元触媒の中で酸化機能のみを強化して、また耐被毒性を増加させた形態で技術的に大した無理なく現に乗用ディーゼル車両に装着されている。しかし、硫黄成分が多い燃料の場合、触媒の後端部で人体呼吸器に非常に有害な100nm以下の粒子状物質が多量に排出される。また、硫黄成分によって触媒が被毒を受けて、耐久性が低下する短所がある。
【0004】
本発明の解決しようとする対象でもあり、またディーゼル車両の排気ガスの中で最も大きい問題である粒子状物質の処理技術として現在海外で研究されている技術を下記表1にまとめた。
【表1】

【0005】
ディーゼル車両の排気ガスに含まれている粒子状物質の処理技術
【0006】
表1に示したとおりジョンソン-メッシュ(Johnson-Matthey)社で開発したCRT(Continuously Regenerating Trap or Technology)とEngethard社で開発した DPX(Diesel Particulate Filter)とは吸気部、触媒部、濾過部及び排気部から構成されている。濾過部はセラミックハニカムモノリスフィルター(Ceramic Honeycomb Monolith Filter)を用いたDPF(101)であり、流入するディーゼル排気ガス内の粒子状物質を捕集するDPF(101)の前端部に貴金属を用いた触媒部のディーゼル酸化触媒機(DOC;102)を置いて、排気ガスに豊富に存在する酸素と窒素酸化物とを反応させて、優れた酸化力の二酸化窒素を生成して、DPF(101)で捕集した粒子状物質を酸化させる方法で粒子状物質を除去する装置である。
【0007】
上記のような方式のDPF(101)装置で粒子状物質を捕集する原理は図2に示したとおりである。フィルターの入口側が開放されたそれぞれの単位セル(103)を通して排気ガスが流入し、その開放された単位セル(103)の下流側はフィルターと同一の材料で詰まったプラギング(Plugging;104)によって排気ガスの気体成分は多孔性の壁(105)を通って入口側が閉鎖されている単位セル(106)に流れるようになるが、固相成分の粒子状物質(107)は壁の小さな気孔を通ることができず捕集される。
【0008】
一方、排気ガス内に二酸化窒素(NO2)が充分に生成されれば、CRTの粒子状物質(107)に対する除去性能は優れている。しかし、この二酸化窒素の生成は排気温度に非常に敏感である。すなわち、排気温度が低い場合は、貴金属触媒が活性化せず一酸化窒素(NO)を酸素と反応させることができなくて二酸化窒素の生成率が急激に減少する。さらに、ディーゼルの排気ガス内に存在する硫黄成分によって貴金属触媒が被毒を受け、性能が急激に低下するという短所がある。
【0009】
また、図3に示したとおり、上記の方式と同じ再生概念に基づいてプラズマ発生装置(PLSM)(111)をDPF(101)前端部に設置して、プラズマの強力な酸化力を利用して排気温度と硫黄成分に関わらず一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させて、DPF(101)を再生する方法が開発されたが、そのようにプラズマのみを再生手段とする方式はプラズマ発生にたくさんの電力を要するので、現在のバッテリー(蓄電池)>(112)の容量では使用不可能であり、プラズマ発生用のインバーター(113)は高価で、サイズも大きいという短所がある。
【0010】
また、図4に示したとおり、イビデン社(Ibiden社)で開発したSiC-DPFは、従来のDPFの材質であるコーディエライト(Cordierite)セラミックを機械的な強度が優れているシリコーンカーバイド(SiC)材料に変えて製作したもので、フィルターの単位セルの壁の気孔度を向上させて、中間層をコーティングすることができるように改善した。
【0011】
従って、捕集した粒子状物質(PM)をDPF(101)の前端部に位置した熱線のような加熱手段(121)で強制的に燃焼させるという方法があるが、この方式では水気がたくさん含まれている排気ガスの温度を粒子状物質の強制燃焼温度の350℃以上に高めるのに電力の消耗があまりにも多過ぎて現在のディーゼル乗用車の蓄電池の電源としては常用化が難しいという問題点がある。
【0012】
上記のディーゼルの排気ガスを浄化する技術の他に、燃料にppm単位で CeやFeを触媒として添加した燃料添加剤方式が開発されている。しかし、この方式では燃料に含まれている金属触媒がDPFの再生時にDPFの再生温度を低めて再生時間を縮める等の長所はあるが、触媒成分が金属であるため、エンジンオイルの灰(Ash)成分とともにDPFの背圧を増加させて、DPFの交換周期を縮めてしまう短所がある。
【0013】
一方、上記のようなディーゼルの排気ガスに含まれている粒子状物質を除去する技術ではないが、図5に示したとおり内燃機関の排気ガスに含まれている有害物質を除去する装置として開発された排出ガスの光反応浄化システムがある。上記の光反応浄化システムは排気ガスの温度、空気/燃料費、硫黄成分などに関わらず低電力で作動するという長所がある。
【0014】
すなわち、排気ガスに含まれている粒子状物質を除去するDPFとは違って、前述の光反応浄化システムは、両端が全開したセル(34)を持つハニカムモノリス担体(30)に光触媒をコーティングして、両端に金属網や板を利用した電極(40)を使って高電圧を印加すると、ハニカムモノリス担体(30)の単位セル(34)にプラズマが生成され、光触媒を励起させ、排気ガスに存在する気相の有害成分を效果的に低減させる。
【0015】
上述の従来の光反応を利用した排気ガスの浄化システムは強力な酸化力及び還元力に基づいて気相(Gas Phase)の有害成分を除去するのに效果的ではあるが、ディーゼルの排気ガスに含まれている粒子状物質のような固相(Solid Phase)成分の場合には酸化反応にかかる時間が気相成分より長いため、両端が開いた状態では固相粒子がセルを通る時間の間は十分な酸化を行うことができないので、粒子状物質の除去が不可能だという問題点を抱えている。
【0016】
従って、上記の粒子状物質の除去のために、粒子状物質を捕集して十分な時間をかけて酸化させる方法である既存のDPFを光反応システムに単純に応用するという方法を考え出すことができるが、このような単純な組み合わせ、すなわち既存のセラミックハニカムモノリスを光触媒でコーティングしたDPFに取り換えてDPFの両端に高電圧を印加して、プラズマを発生させる方法には次のような問題点がある。
【0017】
第一に、DPFのハニカムモノリス担体の両端部のどちらかはセラミック材質のプラギングで詰まっているので、モノリス担体(30)の両端に位置した電極(40)と電極(46)の間に絶縁体が置かれるようになって、プラズマの生成が不可能になる。
【0018】
第二に、ハニカムモノリス担体の両端部のどちらかがプラギングで詰まってしまうと、光触媒のコーティング時に常圧でコーティングを行うため、空気が抜けるスペースが足りなくなって、コーティングにかかる時間が増えて、コーティング層が不均一になるという短所がある。従って、大量生産性が低下して、プラズマの発生が不可能になるか不均一になって、全体的な浄化性能の低下と共に電流が1ヵ所に集中する確率が増加して、システムの安全性及び耐久性も減少するようになる。
【0019】
上記と類似した従来の技術として、日本特許公開昭61-164014号、日本特許公開平5-272326号等には、ハニカムモノリス担体の両端部でセルを交互にプラギングして製造されたディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置が開示されている。これらの従来の技術は本願発明の参照文献にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記の従来技術または従来技術の単純な組み合わせによって生じる問題点を解決するために、本発明は、セラミック材質のハニカムモノリス担体の内部面に光触媒物質をコーティングした後、担体の両端部の単位セルに出入口を隣接するセルの出入口と交互に一ずつ導電性金属でプラギング処理をして、さらにその表面を導電性金属でコーティングすることによって一体型の電極の光触媒ハニカムモノリス担体を製造して、排気ガスの浄化システムに適用するものである。これによって、光触媒上に低電力でプラズマを発生させて、光触媒を活性化させて、活性化した光触媒の酸化力を利用して光触媒フィルターに捕集した粒子状物質を效率的、かつ連続的に除去する。このような光触媒層が内部にコーティングされており、また電極が一体型であるディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を果たすために、本発明は、ディーゼルエンジンから排出されるガスを濾過するフィルターと捕集した粒子状物質を除去し上記のフィルターを再生する電極装置を含む浄化装置からなるディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置を提供する。上記の浄化装置は、内部面が光触媒物質でコーティングされてまたディーゼルエンジンの排気ガスを濾過して粒子状物質を捕集する多孔性のセラミックハニカムモノリス担体と;上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体を構成するそれぞれの単位セルの入口側及び出口側に交互に設けた導電性金属からなるプラギングと;上記の導電性金属でプラギングした多孔性のセラミックハニカムモノリス担体の両端部にコーティングされた金属層とからなる。上記の担体は電源供給部が形成されたケースに内蔵される。従って、上記の浄化装置は、上記の担体の内部にコーティングされた光触媒層及び一体化された電極を有する。
【0022】
また、本発明は、上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体にプラギングされた導電性金属及び上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体の両端部にコーティングされた金属層の金属が上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体の熱膨脹特性と類似した特性を有する金属であることを特徴とする、光触媒層が内部にコーティングされて、電極が一体型に構成されているディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置を提供するものである。
【0023】
また、上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体は、上記のケースに内蔵される際、絶縁体でその両端部が固定され、またその側面部は上記のケースとの緩衝作用のための緩衝マットにより支持される。
【0024】
一方、本発明は、ディーゼルエンジンから排出されるガスを濾過するフィルターと捕集した粒子状物質を除去し上記のフィルターを再生する電極装置を含む浄化装置からなるディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の製造方法を提供する。上記の製造方法は、
セラミック材質の多孔性のハニカムモノリス担体の内部に光触媒物質をコーティングする段階と;
上記の光触媒物質が内部にコーティングされた多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を構成するそれぞれの単位セルの入口側及び出口側が交互に詰まるように導電性金属でプラギングする段階と;
上記の導電性金属でプラギングした多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を導電性金属でコーティングする段階と;
上記の多孔性ハニカムモノリス担体を熱処理する段階と;
上記の熱処理された多孔性のハニカムモノリス担体を、電源供給部が設けられたケースに内蔵させる段階とを含み、
従って、上記の浄化装置は上記の担体の内部にコーティングされた光触媒層及び一体化された電極を含むことを特徴とする光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型に構成されたディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の製造方法を提供する。
【0025】
また、本発明は、上記の多孔性のハニカムモノリス担体に導電性金属でプラギングする段階及び上記の導電性金属でプラギングされた多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を導電性金属でコーティングする段階として、上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体の熱膨脹特性と類似した特性を有する金属でプラギング及びコーティングする段階を用い、光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型になっているディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の製造方法を提供する。
【0026】
さらに、本発明では、上記の多孔性のハニカムモノリス担体をケースに内蔵させる段階は、絶縁体で上記の多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を上記のケースの内部空間に固定しつつ、その側面部を上記のケースの内壁と緩衝されるように緩衝マットで支持する段階からなり、光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型になっているディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の製造方法が提供される。
【0027】
以下、添付された図面を参照しながら本発明の構成の詳細を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図6は本発明による光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型になっているディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の全体構成を示した断面図で、図7は本発明による光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型に形成されたディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の多孔性のハニカムモノリス担体を図示した断面図及び拡大図である。
【0029】
本発明の具体的な構成及び作用を上記の添付図面を参照して実施例に従って詳しく説明するが、本発明の実施例は例示に過ぎないため、権利範囲を制限するものではない。
【0030】
図6に示した通り、本発明によるディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置は多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)が中空型の金属材質のケース(210)に内蔵される形に構成される。
【0031】
上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)は、通常のセラミックを押し出し成形して製作される多数の単位セル(207a、207b)からなり、外観的には円筒状になっていて、上記の単位セル(207a、207b)の断面は三角形、四角形、五角形、六角形及び円形などの多様な形態で製作されることができるが、本発明では単位セル(207a、207b)の断面が四角形のものを基本として説明する。
【0032】
上記の説明どおりに本発明を構成する多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)は断面が四角形であり、両端部が開放された単位セル(207a、270b)の一体型集合体である。
【0033】
これらの多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)の内部面は、まずプラズマ光源によって活性化される光触媒物質(203)でコーティングされる。コーティングの工程は光触媒物質(203)成分が溶解された溶液に多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)を浸漬させる通常の工程により行われる。
【0034】
また、上記の多孔性セラミックハニカムモノリス担体(208)の内部面にコーティングされる光触媒物質は光触媒(Photocatalyst)效果があると知られている、TiO2、ZnO、CdS、ZrO2、SnO2、V2O2、WO3、SrTiO3の中で一つあるいは二つ以上の混合物の中から選択することができるが、本発明の実施例では二酸化チタン(TiO2)を例として説明する。このような光触媒效果は特定の波長の光によって励起されるが、このような過程は特定の波長の光が光触媒物質である二酸化チタンに照射されれば、電子(e-)及び陽孔(h+)が発生して、これらの電子及び陽孔は空気中のO2、H2と反応を起こして二酸化チタンの表面にスーパーオキサイド陰イオン(O2-)とヒドロキシラジカル(・OH or OH-)という2種の活性酸素を生成して強い酸化または還元作用によって有害物質を分解する反応を起こす。
【0035】
上記の原理で光触媒物質(203)を多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)の各単位セル(207a、207b)の内部面にコーティングした後、電気伝導性が優れて、また熱的安定性がある導電性金属(粉末)(204)を用いて担体(208)の単位セル(207a、207b)の上流側と下流側とを交互にプラギング(Plugging)処理する。
【0036】
すなわち、上記の単位セル(207a、207b)の上流側と下流側とを交互にプラギング処理するという意味は、図6の(b)に示したとおり単位セル(207aまたは207b)の上流部(入口)が流入するガスを遮断するように導電性金属(204)でプラギング処理されればその反対部の下流側(出口)はプラギング処理されなくて開放される形態になることをいう。一方、単位セル(207aまたは207b)の上流部がガスが流入するように開放されれば、その反対側は導電性金属(204)でプラギング処理され、開放されない形態になる。
【0037】
また、図7に示したとおり本発明の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)を構成するそれぞれの単位セル(207aまたは207b)は、隣接している単位セル(207bまたは207a)とはプラギング処理が交互に行われるように形成される。すなわち、どれか一つの単位セル(207aまたは207b)がプラギング処理されればこれと隣接している4個の単位セル(207bまたは207a)はプラギング処理が行われないことになる。
【0038】
ここで、本発明と従来技術との相違点は、従来技術であるDPFのセルをプラギングする材料はDPFのセルと同様の材料であるセラミックを使用するのに対して、本発明では電気伝導度が優れている金属(粉末;204)を使用することである。また、従来のDPF(101;図1ないし図4参照)は両端部をプラギング(104;図2参照)した後、必要に応じて触媒中間層をコーティングしているのに対して、本発明では光触媒をコーティングした後、電気伝導度が優れているセラミックモノリス担体(208)と熱的特性が類似した導電性金属(204)でプラギング処理を行う点で相違している。
【0039】
上記のプラギング材料である導電性金属(204)はセラミックハニカムモノリス担体(208)と熱膨脹係数などの熱的特性が似ている金属または合金粉末を使用するので、粒子状粉末の再生過程で発生する莫大な酸化熱によって発生する熱膨脹の差によるハニカムモノリス担体(208)の破損が防止される。このようなプラギングの材料としては、ステンレス(Stainless)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、二酸化鉄(FeO2)などを適切に組み合わせた合金であり、コーディエライトまたはシリコーンカーバイド等のようなセラミック材質のハニカムモノリス担体(208)の熱的物性に相応するようにその組み合わせ及びその比率を変更する。
【0040】
上記のとおり多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)に対するプラギング処理が完了した後、プラギング材料と同一の材質の金属(合金)を使ってセラミックハニカムモノリス担体(208)の両端面をコーティングして金属層(205)を形成する。
【0041】
このような粉末のコーティング処理は金属(合金)粉末を利用するのが望ましく、金属粉末に揮発性溶剤を混合してセラミックハニカムモノリス担体(208)の両端面にコーティングした後、熱処理してそれぞれの単位セル(207a、270b)をプラギングした導電性金属(204)粉末と両端面をコーティングした金属層(205)とハニカムモノリス担体(208)とが互いに強く結合できるようにする。
【0042】
すなわち、上記のプラギングした金属(204)とコーティングされた金属層(205)とは高温熱処理過程を経て焼結し、互いに電気的に繋がって同一の相を持つようになるので高電圧が印加される場合に一つの繋がった電極になる。
【0043】
従って、両端が開いた多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)の単位セル(207a、207b)はプラギングした金属(204)によって両端の中で一端が交互に詰まっている仕組みになり、ディーゼルエンジンの排気ガス内の粒子状物質を捕集することができる。また、ハニカムモノリス担体(208)の両端はそれぞれプラギング材料と同一の材質の金属層(205)がコーティングされて焼結されるので、従来の光反応機システム(20;図5参照)で設置される電極(40;図5参照)が本発明では担体(208)と一体型に形成される構造になる。
【0044】
また、電極が一体型に形成された本発明のセラミックハニカムモノリス担体(208)のそれぞれの単位セル(207a、207b)の内部面には光触媒物質(203)がコーティングされているので、従来の光反応機の酸化反応がそのまま本発明のセラミックハニカムモノリス担体(208)の中で発生するようになる。
【0045】
上記のような構成で成り立つ本発明のセラミックハニカムモノリス担体(208)は、図6に示したとおり金属材質の中空型のケース(210)に内蔵される。すなわち排気ガスの流入部(212)及び排気部(211)が形成されたケース(210)に排気ガスが流れる方向と同様の方向にそれぞれの単位セル(207a、207b)の長手方向が配列されるように本発明のセラミックハニカムモノリス担体(208)が内蔵される。
【0046】
上記のケース(210)の内壁には本発明のセラミックハニカムモノリス担体(208)の長さと同じ間隔に担体の支持手段(215)が形成されて、この支持手段(215)の材質は電気が通らない絶縁材質からなり、セラミックハニカムモノリス担体(208)に電気が通る場合にもケース(210)まで通電しないようにする。
【0047】
また、上記のケース(210)に内蔵するセラミックハニカムモノリス担体(208)の外壁とケース(210)内壁との間には衝撃からセラミックハニカムモノリス担体(208)を保護するために緩衝の役目をする緩衝マット(209)が挿入される。この緩衝マット(209)は高温で耐えられるように石綿または雲母のような絶縁材質の纎維質材料を利用する。
【0048】
一方、上記のケース(210)の外部面には電源を供給することができる電源供給部(214)が設けられる。すなわちケース(210)を貫いて設置される電源供給部(214)はケース(210)と電気的に絶縁するように設置されて、上記のケース(210)に内蔵固定されるセラミックハニカムモノリス担体(208)の外壁とは電気的に通電されるように接触するようになる。
【0049】
上記のように構成される本発明のディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置は図3及び図4に図示した浄化システムのDPF(101)及びプラズマ発生装置(111)、加熱手段(121)の代わりに排出ガスを浄化する。
【0050】
以下、本発明の作用に関して説明する。
【0051】
図8は、本発明による光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型に形成されたディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の多孔性のハニカムモノリス担体の作用状態を図示した作用図である。
【0052】
図8は、本発明によるディーゼルエンジン排出ガス浄化装置を構成するセラミックハニカムモノリス担体(208)の一部を拡大して示した作用図であり、上流側(入口側)が導電性金属(204)でプラギングしていない単位セル(207a)を通じて流入されたディーゼルエンジン排出ガス(実線の矢印)は、上記の単位セル(207a)の下流側(出口側)が金属でプラギングしてあるので、上記の単位セル(207a)の多孔性の壁を通じて隣接する単位セル(207b)に濾過されて排気(点線の矢印)される。
【0053】
この際、本発明を構成するセラミックハニカムモノリス担体(208)に対してケース(210)の電源供給部(214)から高電圧を印加すると、光触媒物質に低電力でプラズマを発生させて光触媒を活性化させるようになる。こうして活性化された光触媒の酸化力を利用して上記の単位セル(207a)の多孔性の壁に濾過されて捕集された粒子状物質を效率よく連続的にとり除くようになる。
【0054】
上記のような粒子状物質の除去反応は多孔性のセラミックハニカムモノリス担体(208)を構成する全ての単位セル(207a、207b)で起こり、捕集した粒子状物質が效果的に除去される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
上述のとおり、本発明では、従来の多孔性のハニカムモノリス担体に光触媒物質をコーティングした後、両端のどちらかを一端ずつ交互に電気的伝導性と熱的安定性とが優秀な金属物質(粉末)を利用してプラギングするので、従来のDPFにおいて触媒を担持した中間層をコーティングする過程で発生する不均一のコーティングと、長いコーティングの工程時間の問題点を解決して光触媒の均一性を保ちながら速かにコーティングすることで多量生産性を追求し、特に高電圧を印加して低温プラズマを発生させる過程で電気的特性を均一に分布させることで安定的なプラズマ生成を保障する效果がある。
【0056】
また、本発明では、多孔性セラミックハニカムモノリス担体に光触媒物質をコーティングして、導電性金属で担体の単位セルの両端のどちらかをプラギング処理し、そのプラギング処理したセルに隣接したセルに対しては、その反対端をプラギング処理した後、担体の両端面をプラギングした金属と同一の材料でさらにコーティングし、次いで高温で熱処理を行って焼結するので、従来の光反応機システムに備えた電極と同じ効果を持つ電極が一体型に形成される。そのため、この担体に高電圧を印加すればプラズマを発生して、単位セルの中でコーティングされた光触媒物質を活性化させて酸化反応を誘導して排気に存在する酸素と捕集した粒子状物質とを反応させ、連続的にフィルターを再生することができる效果がある。また捕集された粒子状物質を除去しフィルターを強制再生する電極をプラギングとコーティングされた金属層とを担体に一体型に製造することで組み立ての工程が単純になってシステムもシンプルになる效果がある。
【0057】
また、本発明による浄化装置が適用された浄化システムでは、プラズマをフィルター(担体)内部に発生させることでプラズマの酸化力と紫外線とを直接利用できるので、エネルギーの消耗が少なくて、システムの構成がシンプルになる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来技術であるジョンソン-メッシュ社のCRT反応機を図示した概略図である。
【図2】従来技術であるジョンソン-メッシュ社のCRT反応機を構成するDPFシステムでのガスの流れ図である。
【図3】プラズマ発生装置が適用された従来のDPFシステムを図示した概略図である。
【図4】加熱手段が適用された従来のDPFシステムを図示した概略図である。
【図5】従来の光触媒反応システムを図示した概略図である。
【図6】本発明による光触媒層が内部にコーティングされて、また電極が一体型になっているディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の全体構成を図示した断面図である。
【図7】本発明による光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型になっているディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の多孔性のハニカムモノリス担体を図示した断面図及びその一部拡大図である。
【図8】本発明による光触媒層が内部にコーティングされてまた電極が一体型になっているディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の多孔性のハニカムモノリス担体の作用の状態を図示した作用図である。
【符号の説明】
【0059】
101 DPF 102 ディーゼル酸化触媒機(DOC)
111 プラズマ発生装置 112 蓄電池
113 プラズマ発生用インバーター 121 加熱手段
203 光触媒物質
204 プラギングした導電性金属 205 コーティングされた金属層
207a、207b 単位セル
208 多孔性のセラミックハニカムモノリス担体
209 緩衝マット 210 ケース
211 排気部 212 流入部
214 電源供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンから排出されるガスを濾過するフィルターと、捕集された粒子状物質を除去し上記のフィルターを再生する電極装置を含む浄化装置において、
内部面が光触媒物質でコーティングされてまたディーゼルエンジンの排気ガスを濾過して粒子状物質を捕集する多孔性のセラミックハニカムモノリス担体と;
上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体を構成するそれぞれの単位セルの入口側及び出口側に交互に設けた導電性金属からなるプラギングと;
上記の導電性金属でプラギングした多孔性のセラミックハニカムモノリス担体の両端部にコーティングされた金属層とを含み、
上記の担体は電源供給部が形成されたケースに内蔵され、また上記の浄化装置は上記の担体の内部にコーティングされた光触媒層及び一体化された電極を有するディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置。
【請求項2】
上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体にプラギングされた導電性金属及び上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体の両端部にコーティングされた金属層の金属は、上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体の熱膨脹特性と類似した特性を有する金属であることを特徴とする請求項1に記載の浄化装置。
【請求項3】
上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体は、上記のケースに内蔵される際、絶縁体でその両端部が固定され、またその側面部は上記のケースとの緩衝作用のための緩衝マットにより支持されることを特徴とする請求項1に記載の浄化装置。
【請求項4】
ディーゼルエンジンから排出されるガスを濾過するフィルターと、捕集した粒子状物質を除去し上記のフィルターを再生する電極装置を含む浄化装置を製造する方法において、
セラミック材質の多孔性のハニカムモノリス担体の内部に光触媒物質をコーティングする段階と;
上記の光触媒物質が内部にコーティングされた多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を構成するそれぞれの単位セルの入口側及び出口側が交互に詰まるように導電性金属でプラギングする段階と;
上記の導電性金属でプラギングした多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を導電性金属でコーティングする段階と;
上記の多孔性ハニカムモノリス担体を熱処理する段階と;
上記の熱処理された多孔性のハニカムモノリス担体を、電源供給部が設けられたケースに内蔵させる段階とを含み、
上記の浄化装置は上記の担体の内部にコーティングされた光触媒層及び一体化された電極を有するディーゼルエンジンの排出ガスの浄化装置の製造方法。
【請求項5】
上記の多孔性のハニカムモノリス担体に導電性金属でプラギングする段階及び上記の導電性金属でプラギングされた多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を導電性金属でコーティングする段階は、上記の多孔性のセラミックハニカムモノリス担体の熱膨脹特性と類似した特性を有する金属でプラギング及びコーティングすることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
上記の多孔性のハニカムモノリス担体をケースに内蔵させる段階は、絶縁体で上記の多孔性のハニカムモノリス担体の両端部を上記のケースの内部空間に固定しつつ、その側面部を上記のケースの内壁と緩衝させるように緩衝マットで支持することからなることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−528063(P2006−528063A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521324(P2006−521324)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000296
【国際公開番号】WO2006/028322
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(505134246)ネオフォテク インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】