説明

デサチュラーゼをコードする核酸および改変植物油

本発明は、ドレクスレラ・トリチシ-レペンチス(Drechslera tritici-repentis)、シリンドルカルポン・ハーテロネマ(Cylindorcarpon herteronema)、ディプロイダ・ナタレンシス(Diploida natalensis)、スタゴノスポラ・ノドラム(Stagonospora nodorum)、ミクロドチウム・ニバラ(Microdochium nivalae)およびペリプラネタ・アメリカーナ(Periplaneta americana)に由来する核酸に関する。本発明はまた、個々のコード配列および他の配列と共にこれらの配列によりコードされるタンパク質ならびにオレイン酸をリノール酸に変換するためのプロセスおよび植物におけるアラキドン酸、エイコサペンタエン酸および/もしくはドコサヘキサエン酸の生産にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレクスレラ・トリチシ-レペンチス(Drechslera tritici-repentis;Drechsler tritici-repentis)、シリンドルカルポン・ハーテロネマ(Cylindorcarpon herteronema;又はシリンドロカルポン・ヘテロネマ(Cylindrocarpon heteronema))、ディプロイダ・ナタレンシス(Diploida natalensis;又はディプロディア・ナタレンシス(Diplodia natalensis))、ミクロドチウム・ニバラ(Microdochium nivalae)、ペリプラネタ・アメリカーナ(Periplaneta americana)およびスタゴノスポラ・ノドラム(Stagonospora nodorum)に由来する核酸に関する。本発明はまた、個々のコード配列および他の配列と共にこれらの配列によりコードされるタンパク質ならびにオレイン酸をリノール酸に変換するためのプロセス(方法)およびアラキドン酸、エイコサペンタエン酸および/もしくはドコサヘキサエン酸の生産にも関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸およびトリアシルグリセリドは、食品産業、動物栄養、化粧品および医薬部門において多数の用途を有する。それらが遊離飽和もしくは不飽和脂肪酸であるか、または他に高い含量の飽和もしくは不飽和脂肪酸を含むトリアシルグリセリドであるかに応じて、それらは非常に異なる用途に好適である。リノール酸およびリノレン酸などのポリ不飽和脂肪酸は、哺乳動物によって産生することができないため、それらは哺乳動物にとって必須である。従って、ポリ不飽和ω3脂肪酸およびω6脂肪酸は、動物およびヒトの栄養において重要な構成要素である。
【0003】
以後、ポリ不飽和脂肪酸を、PUFA、PUFAs、LCPUFAまたはLCPUFAs(ポリ不飽和脂肪酸(poly unsaturated fatty acids:PUFA)、長鎖ポリ不飽和脂肪酸(long chain poly unsaturated fatty acids:LCPUFA))と呼ぶ。
【0004】
様々な脂肪酸およびトリグリセリドは、一般に、それらをそのトリアシルグリセリド(=トリグリセリド=トリグリセロール)の形態で取得する場合、モルチエレラ(Mortierella)およびシゾキトリウム(Schizochytrium)などの微生物から、ならびに大豆、菜種などの油生成植物、クリプテコジニウム(Crypthecodinium)もしくはフェオダクチラム(Phaeodactylum)などの藻類などから主に得られる。しかしながら、それらを、例えば、魚類などの動物から取得することもできる。遊離脂肪酸は、加水分解により有利に調製される。ドコサヘキサエン酸(= DHA, C22:6Δ4,7,10,13,16,19)、エイコサペンタエン酸(= EPA, C20:5Δ5,8,11,14,17)、アラキドン酸(= ARA, C20:4Δ5,8,11,14)、ジホモ-γ-リノレン酸 (C20:3Δ8,11,14)またはドコサペンタエン酸(DPA, C22:5Δ7,10,13,16,19)などの超長鎖ポリ不飽和脂肪酸は、菜種、大豆、ヒマワリもしくは紅花などの油作物においては合成されない。これらの脂肪酸の従来の天然起源は、ニシン、サケ、イワシ、レッドフィッシュ、ウナギ、鯉、オヒョウ、鯖、ザンダーもしくはマグロなどの魚類、または藻類である。
【0005】
意図される使用に応じて、飽和もしくは不飽和脂肪酸を含む油が好ましい。ヒトの栄養においては、例えば、不飽和脂肪酸、特に、ポリ不飽和脂肪酸を含む脂質が好ましい。ポリ不飽和ω3脂肪酸は、血中コレステロールレベル、かくして、心臓病を予防する可能性に対する有益な効果を有すると言われている。これらのω3脂肪酸を食品に添加することにより、心臓病、卒中または高血圧の危険性を顕著に低下させることができる。また、ω3脂肪酸は、慢性関節リウマチなどの免疫疾患に関連する炎症、特に、慢性炎症プロセスに対する有益な効果を有する。従って、それらを食品、特に、栄養食に添加するか、または医薬品中で用いる。アラキドン酸などのω6脂肪酸は、我々の通常の食事摂取の理由でこれらのリウマチ疾患に関連してこれらの障害に対する否定的な効果を有する傾向がある。
【0006】
ω3およびω6脂肪酸は、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸およびエイコサペンタエン酸から誘導される、プロスタグランジンなどのエイコサノイドとして知られる組織ホルモン、ならびにアラキドン酸およびエイコサペンタエン酸から誘導される、トロンボキサンおよびロイコトリエンの前駆体である。ω6脂肪酸から形成されるエイコサノイド(PG2シリーズとして知られる)は、一般的には、炎症反応を促進するが、ω3脂肪酸に由来するエイコサノイド(PG3シリーズとして知られる)は前炎症効果をほとんど有さないか、全く有さない。
【0007】
ポリ不飽和脂肪酸の有益な特性のおかげで、改変された含量の不飽和脂肪酸と共に、様々な生物における油の生産のためのこれらの脂肪酸またはトリグリセリドの合成に関与する利用可能な遺伝子を作製するための試みが過去に事欠かなかった。かくして、WO 91/13972およびその米国の等価物は、Δ9-デサチュラーゼを記載している。WO 93/11245は、Δ15-デサチュラーゼを特許請求し、WO 94/11516はΔ12-デサチュラーゼを特許請求している。さらなるデサチュラーゼが、例えば、EP-A-0 550 162、WO 94/18337、WO 97/30582、WO 97/21340、WO 95/18222、EP-A-0 794 250、Stukeyら、J. Biol. Chem., 265, 1990: 20144-20149、Wadaら、Nature 347, 1990: 200-203またはHuangら、Lipids 34, 1999: 649-659に記載されている。しかしながら、様々なデサチュラーゼの生化学的特性評価は、この酵素が膜結合タンパク質であり、その単離および特性評価における大きな困難をもたらすため、現在まで不十分である(McKeonら、Methods in Enzymol. 71, 1981: 12141-12147、Wangら、Plant Physiol. Biochem., 26, 1988: 777-792)。一般に、膜結合デサチュラーゼは、好適な生物中に導入された後、出発材料と生成物を分析することにより酵素活性について分析されることを特徴とする。Δ6-デサチュラーゼは、WO 93/06712、米国特許第5,614,393号、同第5614393号、WO 96/21022、WO 00/21557およびWO 99/27111に記載されており、トランスジェニック生物中での脂肪酸の産生のための適用はWO 98/46763、WO 98/46764およびWO 98/46765に記載されている。この文脈においては、様々なデサチュラーゼの発現およびポリ不飽和脂肪酸の形成も、WO 99/64616またはWO 98/46776に記載され、特許請求されている。デサチュラーゼの発現効果およびポリ不飽和脂肪酸の形成に対するその効果に関して、現在まで記載されている単一のデサチュラーゼの発現が、例えば、γ-リノレン酸およびステアリドン酸などの低含量の不飽和脂肪酸/脂質をもたらしたに過ぎないことに留意しなければならない。さらに、一般に、ω3およびω6脂肪酸の混合物が得られた。
【0008】
PUFAの産生のための特に好適な微生物は、フェオダクチラム・トリコルナタム(Phaeodactylum tricornutum)、ポルフィリジウム(Porphiridium)種、トラウストキトリウム(Thraustochytrium)種、シゾキトリウム(Schizochytrium)種もしくはクリプテコジニウム(Crypthecodinium)種などの微細藻類、スチロニシア(Stylonychia)もしくはコルピジウム(Colpidium)などの繊毛虫類、モルチエレラ(Mortierella)、エントモフトラ(Entomophthora)もしくはムコル(Mucor)などの菌類ならびに/またはフィスコミトレラ(Physcomitrella)、セラトドン(Ceratodon)およびマルチャンティア(Marchantia)などのコケ類である(R. Vazhappilly & F. Chen (1998) Botanica Marina 41: 553-558; K. Totani & K. Oba (1987) Lipids 22: 1060-1062; M. Akimotoら(1998) Appl. Biochemistry and Biotechnology 73: 269-278)。株の選択は、PUFAを含む一連の所望の化合物を産生する問題の微生物のいくつかの突然変異株の開発をもたらした。しかしながら、ポリ不飽和脂肪酸などの特定の分子の産生が改善された株の突然変異および選択は時間消費的であり、困難なプロセスである。これが上記の組換え方法が可能な場合はいつでも好ましい理由である。
【0009】
様々な合成経路が、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の合成について考察されている(図1)。かくして、EPAまたはDHAは、ビブリオ(Vibrio)種またはシェワネラ(Shewanella)種などの海洋微生物中で、ポリケチド経路を介して産生される(Yu, R.ら、Lipids 35:1061-1064, 2000; Takeyama, H.ら、Microbiology 143:2725-2731, 1997)。
【0010】
代替的な戦略は、デサチュラーゼおよびエロンガーゼの代替活性である(Zank, T.K.ら、Plant Journal 31:255-268, 2002; Sakuradani, E.ら、Gene 238:445-453, 1999)。Δ6-デサチュラーゼ、Δ6-エロンガーゼ、Δ5-デサチュラーゼ、Δ5-エロンガーゼおよびΔ4-デサチュラーゼによる上記の経路の改変は、哺乳動物におけるSprecher経路(Sprecher 2000, Biochim. Biophys. Acta 1486:219-231)である。Δ4-脱飽和の代わりに、さらなる伸長工程をここで行って、C24を与えた後、さらにΔ6-脱飽和および最後にβ-酸化を行って、C22鎖長を得る。かくして、Sprecher経路として知られるもの(図1を参照)は、しかしながら、調節機構が公知ではないため、植物および微生物中での産生にとっては好適ではない。
【0011】
その脱飽和パターンに応じて、ポリ不飽和脂肪酸を2つの大きなクラス、すなわち、その代謝活性および機能活性に関して異なる、ω6脂肪酸またはω3脂肪酸に分割することができる(図1)。
【0012】
ω6代謝経路の出発材料は、脂肪酸リノール酸(18:2Δ9,12)であるが、ω3経路はリノレン酸(18:3Δ9,12,15)を介して進行する。リノレン酸は、ω3デサチュラーゼの活性により形成される(Tocherら、1998, Prog. Lipid Res. 37, 73-117; Domergueら、2002, Eur. J. Biochem. 269, 4105-4113)。
【0013】
哺乳動物、およびかくしてヒトも、対応するデサチュラーゼ活性(Δ12-およびω3デサチュラーゼ)を有しておらず、これらの脂肪酸(必須脂肪酸)を食品を介して摂取しなければならない。これらの前駆体から始まって、生理学的に重要なポリ不飽和脂肪酸であるアラキドン酸(=ARA、20:4Δ5,8,11,14)、ω6脂肪酸および2種のω3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(=EPA, 20:5Δ5,8,11,14,17)とドコサヘキサエン酸(DHA, 22:6Δ4,7,10,13,17,19)は、一連のデサチュラーゼおよびエロンガーゼ反応を介して合成される。ω3脂肪酸の適用は、心血管疾患(Shimikawa 2001, World Rev. Nutr. Diet. 88, 100-108)、炎症(Calder 2002, Proc. Nutr. Soc. 61, 345-358)および関節炎(ClelandおよびJames 2000, J. Rheumatol. 27, 2305-2307)の治療において上記の治療活性を示す。
【0014】
2もしくは4個のC原子による、エロンガーゼによる脂肪酸の伸長は、それぞれ、C20-およびC22-PUFAの産生にとって非常に重要である。このプロセスは、4つの工程を介して進行する。第1の工程は、ケトアシル-CoAシンターゼ(KCS、以後エロンガーゼと呼ぶ)によるマロニル-CoAと脂肪酸-アシル-CoAとの縮合である。この後、還元工程(ケトアシル-CoAリダクターゼ、KCR)、脱水工程(デヒドラターゼ)および最後の還元工程(エノイル-CoAリダクターゼ)が続く。エロンガーゼ活性は全体のプロセスの特異性および速度に影響することを前提としている(MillarおよびKunst, 1997 Plant Journal 12:121-131)。
【0015】
エロンガーゼ遺伝子を取得するために数多くの試みが過去に行われてきた。MillarおよびKunst, 1997 (Plant Journal 12:121-131)ならびにMillarら、1999, (Plant Cell 11:825-838)は、モノ不飽和長鎖脂肪酸(C22:1)の合成のため、および植物中でのワックスの形成のための超長鎖脂肪酸(C28-C32)の合成のための植物エロンガーゼの特性評価を記載している。アラキドン酸およびEPAの合成に関する記載は、例えば、WO0159128、WO0012720、WO02077213およびWO0208401に見出される。ポリ不飽和C24-脂肪酸の合成は、例えば、Tvrdikら、2000, JCB 149:707-717またはWO0244320に記載されている。
【0016】
高等植物は、リノール酸(18:2Δ9,12)およびリノレン酸(18:3Δ9,12,15)などのポリ不飽和脂肪酸を含む。ARA、EPAおよびDHAは、高等植物の種子油中には全く認められないか、または極めて少ない量でのみ認められる(E. Ucciani: Nouveau Dictionnaire des Huiles Vegetales [New Dictionary of Vegetable Oils]. Technique & Documentation - Lavoisier, 1995. ISBN: 2-7430-0009-0)。しかしながら、食品産業、動物栄養および医薬目的のために大量の高品質LCPUFAを経済的に取得することができるため、高等植物、好ましくは、菜種、亜麻仁、ヒマワリおよび大豆などの油作物におけるLCPUFAの産生は有利であろう。この目的のために、油作物中に、LCPUFA生合成の酵素をコードする遺伝子を、組換え方法を介して導入し、それらをそこで発現させることが有利である。これらの遺伝子を、LCPUFAを産生する微生物および下等植物から有利に単離し、それらを膜またはトリアシルグリセリド中に組込むことができる。かくして、コケ類のフィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)からΔ6-デサチュラーゼ遺伝子を、P. patensおよび線虫類のC. elegansからΔ6-エロンガーゼ遺伝子を単離することが既に可能であった。
【0017】
LCPUFA生合成酵素をコードする遺伝子を含み、これを発現し、結果として、LCPUFAを産生する最初のトランスジェニック植物が、例えば、WO2003/064638、WO2003/093482(植物中でのポリ不飽和脂肪酸の産生のためのプロセス)中で初めて記載された。しかしながら、これらの植物は、植物中に存在する油を加工するためにさらなる最適化を要する量でLCPUFAを産生する。PUFAレベルの増加が、大豆についてはWO2004/071467で、カラシナ(Brassica juncea)についてはWO2005/083093で証明された。
【0018】
バイオテクノロジーはPUFAの産生のための魅力的な経路を提供するが、現在の技術は、大規模生産のための効率的な手段を提供することはできていない。従って、ARA、EPAおよびDHAなどのPUFAの産生のための改良された効率的な方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0019】
本発明の基礎となる技術的問題を、上記の必要性に適合する手段および方法の提供として見ることができる。この技術的問題は、特許請求の範囲および以下の説明で特性評価される実施形態により解決される。
【0020】
かくして、本発明は、原理的には、菌類のドレクスレラ・トリチシ-レペンチス、シリンドルカルポン・ハーテロネマ、ディプロイダ・ナタレンシス、ミクロドチウム・ニバラ、ペリプラネタ・アメリカーナおよびスタゴノスポラ・ノドラムに由来する新規デサチュラーゼをコードする核酸分子を意図する。特に、ドレクスレラ・トリチシ-レペンチスのΔ12-デサチュラーゼ、ディプロイダ・ナタレンシスのΔ12-デサチュラーゼ、ミクロドチウム・ニバラのΔ12-デサチュラーゼ、ペリプラネタ・アメリカーナのΔ12-デサチュラーゼおよびスタゴノスポラ・ノドラムのΔ12-デサチュラーゼ、さらにシリンドルカルポン・ハーテロネマのΔ15-デサチュラーゼおよびミクロドチウム・ニバラのΔ12-デサチュラーゼが同定された。さらに、高レベルのARA、EPAおよびDHAを製造するプロセス(方法)におけるこれらの核酸の使用も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ω-6およびω-3脂肪酸の生合成に関する様々な合成経路を示す。
【図2】ClustalWアルゴリズムに基づく配列番号2、4、6、8、32、34、36および38のアラインメントを示す。
【図3A】d12Des(Dt)(B)、d12Des(Dn)(C)およびd12Des(Sn)(D)のΔ12-デサチュラーゼ活性を示すオレイン酸(18:1Δ9)のリノール酸(18:2Δ9,12)への変換を実証するガスクロマトグラフィートレースを示す。(A)には、d12-デサチュラーゼ活性のないベクター対照を示す。
【図3B】図3Aの続きである。
【図3C】図3Bの続きである。
【図3D】図3Cの続きである。
【図4A】d15Des(Cyh)のΔ15-デサチュラーゼ活性を示すリノール酸(18:2Δ9,12)のα-リノレン酸(18:3Δ9,12,15)への変換を実証するガスクロマトグラフィートレースを示す(A)。(B)には、d15Des(Cyh)に関するΔ12-デサチュラーゼ活性がないことを示す。
【図4B】図4Aの続きである。
【図5】植物の形質転換のためのバイナリーベクターNapin-A、Napin-3、Napin-4、Napin-5の構築を示す。
【図6】高レベルのEPAを産生する構築物LJB1139で形質転換されたアブラナ系統由来の種子油のガスクロマトグラフィートレースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
具体的には、本発明は、
a)配列番号1、3、5、7、31、33、35もしくは37のいずれか1つに示される核酸配列を有する核酸;
b)配列番号2、4、6、8、32、34、36もしくは38のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸;
c)配列番号1、3、5、7、31、33、35もしくは37のいずれか1つに示される核酸配列と少なくとも60%同一である核酸配列を有する核酸であって、デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記核酸;
d)配列番号2、4、6、8、32、34、36もしくは38のいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも74.1%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸であって、デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記核酸;
e)a)〜d)のいずれか1つに記載の核酸に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸であって、デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記核酸;
f)デサチュラーゼ活性を有する、a)〜e)のいずれか1つに記載の核酸配列によりコードされるポリペプチドの断片をコードする核酸;ならびに
g)a)〜f)のいずれか1つに記載の核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む核酸、
からなる群より選択される核酸を含むポリヌクレオチドに関する。
【0023】
本明細書で用いられる用語「ポリヌクレオチド」は、DNAもしくはRNAならびにその化学的に改変された誘導体、例えば、ビオチン化もしくはメチル化された核酸分子である核酸分子に関する。本明細書で用いられるDNAは、cDNAおよびゲノムDNAを含む。ポリヌクレオチドは、線状もしくは環状の形態にあってよく、一本鎖もしくは二本鎖であってよい。
【0024】
本発明に従って、上記の本発明のポリヌクレオチドが、デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする、すなわち、デサチュラーゼであることがわかった。
【0025】
用語「デサチュラーゼ」とは、一般的には、炭水化物中に二重結合を導入することができる酵素活性を指す。本発明に従う特に好ましいものは、脂肪酸の位置12または15に二重結合を導入するデサチュラーゼである。より好ましくは、本発明に従うデサチュラーゼ活性は、従って、Δ12またはΔ15デサチュラーゼ活性である。最も好ましくは、Δ12またはΔ15デサチュラーゼは、以下の添付の図面に示される生成物への基質の変換を可能にする。具体的には、配列番号2、6、8、32もしくは34のいずれか1つに示される核酸配列を有する核酸を含むポリヌクレオチド、または上記で特定されたその変異体は、好ましくは、Δ12デサチュラーゼ活性を示すデサチュラーゼをコードするが、配列番号4のいずれか1つに示される核酸配列を有する核酸を含むポリヌクレオチドまたは上記で特定されたその変異体は、好ましくは、Δ15デサチュラーゼ活性を示すデサチュラーゼをコードする。配列番号36もしくは38に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたは上記のその変異体は、デサチュラーゼ酵素をコードする。ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを、好ましくは以下の添付の実施例に記載のようにデサチュラーゼ活性について試験することができる。
【0026】
本発明のポリヌクレオチドはまた、特定の核酸またはアミノ酸配列による上記のものの変異体ポリヌクレオチドも包含する。前記変異体ポリヌクレオチドは、相同体、好ましくは、対立遺伝子変異体、パラログまたはオルトログを含む。そのようなポリヌクレオチド変異体は、好ましくは、配列を、少なくとも1個のヌクレオチド置換、付加および/もしくは欠失により配列番号1、3、5、7、31、33、35もしくは37に示される上記の特定の核酸配列から誘導し、それによって変異体核酸配列が上記で特定されたデサチュラーゼ活性を有するポリペプチドを依然としてコードすることができることを特徴とする核酸配列を含む。変異体はまた、好ましくは、ストリンジェント名ハイブリダイゼーション条件下で、上記の特定の核酸配列にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む核酸分子も包含する。これらのストリンジェントな条件は、当業者には公知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に見出すことができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい例は、約65℃での6 x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(=SSC)中でのハイブリダイゼーション条件、好ましくは、次いで、50〜65℃での0.2 x SSC、0.1%SDS中での1回以上の洗浄工程である。当業者であれば、これらのハイブリダイゼーション条件が、核酸の型に応じて、ならびに例えば、有機溶媒が存在する場合、バッファーの温度および濃度に関して異なることを知っている。例えば、「標準的なハイブリダイゼーション条件」下では、温度は核酸の型に応じて、0.1〜5 x SSC(pH 7.2)の濃度を有する水性バッファー中で42℃〜58℃で異なる。有機溶媒が上記バッファー中に存在する場合、例えば、50%ホルムアミドの場合、標準的な条件下での温度は約42℃である。DNA:DNAハイブリッドのためのハイブリダイゼーション条件は、好ましくは、0.1 x SSCおよび20℃〜45℃、好ましくは30℃〜45℃である。DNA:RNAハイブリッドのためのハイブリダイゼーション条件は、好ましくは、0.1 x SSCおよび30℃〜55℃、好ましくは45℃〜55℃である。上記のハイブリダイゼーション温度を、例えば、ホルムアミドの非存在下で長さ約100 bp(=塩基対)および50%のG+C含量を有する核酸について決定する。当業者であれば、上記の教科書、または以下の教科書:Sambrookら、「Molecular Cloning」、Cold Spring Harbor Laboratory, 1989; HamesおよびHiggins (編) 1985、「Nucleic Acids Hybridization: A Practical Approach」、IRL Press at Oxford University Press, Oxford; Brown (編) 1991、「Essential Molecular Biology: A Practical Approach」、IRL Press at Oxford University Press, Oxfordなどの教科書を参照することにより必要とされるハイブリダイゼーション条件を決定する方法を知っている。あるいは、核酸分子変異体は、混合オリゴヌクレオチドプライマーに基づくDNAの増幅、すなわち、本発明のポリペプチドの保存されたドメインに対する縮重プライマーの使用などのPCRに基づく技術により取得可能である。本発明のポリペプチドの保存されたドメインを、本発明の核酸分子の核酸配列または本発明のポリペプチドのアミノ酸配列と、他のデサチュラーゼ配列との配列比較により同定することができる。以下の図2も参照されたい。PCRプライマーとして好適なオリゴヌクレオチドならびに好適なPCR条件は、添付の実施例に記載されている。鋳型として、細菌、菌類、植物もしくは動物に由来するDNAもしくはcDNAを用いることができる。さらに、変異体は、デサチュラーゼ活性を保持する配列番号1、3、5、7、31、33、35または37に示される核酸配列と少なくとも74.1%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である核酸配列を含む核酸分子を含む。さらに、配列番号2、4、6、8または32、34、36または38に示されるアミノ酸配列と少なくとも74.1%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるアミノ酸配列であって、デサチュラーゼ活性を保持するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子も包含される。好ましくは、同一性%の値を、全アミノ酸または核酸配列領域にわたって算出する。様々なアルゴリズムに基づく一連のプログラムが、異なる配列を比較するために当業者にとって利用可能である。この文脈においては、NeedlemanおよびWunschまたはSmithおよびWatermanのアルゴリズムが特に信頼できる結果を与える。配列アラインメントを実行するために、PileUpプログラム(J. Mol. Evolution., 25, 351-360, 1987, Higginsら、CABIOS, 5 1989: 151-153)またはGCGソフトウェアパケット[Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wisconsin, USA 53711 (1991)]の一部であるGapおよびBestFitプログラム (NeedlemanおよびWunsch (J. Mol. Biol. 48; 443-453 (1970))ならびにSmithおよびWaterman (Adv. Appl. Math. 2; 482-489 (1981)))を用いるべきである。%で上記で記載される配列同一性の値を、好ましくは、以下の設定:ギャップ重量:50、長さ重量:3、平均一致:10.000および平均不一致:0.000(別途特定しない限り、配列アラインメントのための標準設定として常に用いるべきである)で、全配列領域にわたってGAPプログラムを用いて決定すべきである。
【0027】
本発明の上記ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの生物学的に活性な断片、すなわち、上記で特定されたデサチュラーゼ活性を示す断片をコードするポリヌクレオチドも、本発明により包含される。従って、前記ポリペプチドは、前記生物学的活性を付与する本発明のポリペプチドのドメインを含むか、またはそれからなってもよい。本明細書で意味される断片は、好ましくは、上記の核酸配列のいずれか1つの少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも250個もしくは少なくとも500個の連続するヌクレオチドを含むか、または上記のアミノ酸配列のいずれか1つの少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも50個、少なくとも80個、少なくとも100個もしくは少なくとも150個の連続するアミノ酸をコードする。
【0028】
上記の変異体ポリヌクレオチドは、好ましくは、配列番号2、4、6、8または32、34、36または38に示されるポリペプチドにより示されるデサチュラーゼ活性の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%を保持するポリペプチドをコードする。この活性を、添付の実施例に記載のように試験することができる。
【0029】
本発明の核酸分子は、上記の核酸配列から本質的になるか、または上記の核酸配列を含む。かくして、それらは同様にさらなる核酸配列を含んでもよい。好ましくは、本発明の核酸分子は、コード遺伝子領域の3'および5'末端にさらなる非翻訳配列:コード領域の5'末端の上流の少なくとも500、好ましくは200、より好ましくは100ヌクレオチドの配列と、コード遺伝子領域の3'末端の下流の少なくとも100、好ましくは50、より好ましくは20ヌクレオチドの配列を含んでもよい。さらに、本発明の核酸分子は、融合タンパク質の一方のパートナーが、上記の核酸配列によりコードされるポリペプチドであり、融合タンパク質の他方のパートナーが、異種ポリペプチドである融合タンパク質をコードしてもよい。そのような融合タンパク質は、追加部分として、脂肪酸もしくは脂質生合成経路の他の酵素、発現をモニターするためのポリペプチド(例えば、緑色、黄色、青色もしくは赤色蛍光タンパク質、アルカリホスファターゼなど)または検出マーカーもしくは精製のための補助尺度として役立ち得るいわゆる「タグ」を含んでもよい。様々な目的のためのタグが当業界でよく知られており、FLAG-タグ、6-ヒスチジン-タグ、MYC-タグなどが挙げられる。
【0030】
本発明に従って言及される変異体ポリヌクレオチドを、様々な天然起源ならびに人工起源により取得することができる。例えば、核酸分子を、基礎として上記の特異的核酸分子を用いるin vitroおよびin vivo突然変異誘発手法により取得することができる。さらに、相同体またはオルトログである核酸分子を、様々な動物、植物または菌類種から取得することができる。好ましくは、それらを藻類、例えば、イソクリシス(Isochrysis)、マントニエラ(Mantoniella)、オストレオコッカス(Ostreococcus)もしくはクリプテコジニウム(Crypthecodinium)、フェオダクチラム(Phaeodactylum)もしくはトラウストキトリウム(Thraustochytrium)などの藻類/珪藻類、フィスコミトレラ(Physcomitrella)もしくはセラトドン(Ceratodon)などのコケ類、またはアレウリティア(Aleuritia)、カレンデュラ・ステラータ(Calendula stellata)、オステオスペルマム・スピネセンス(Osteospermum spinescens)もしくはオステオスペルマム・ヒオセロイデス(Osteospermum hyoseroides)などのプリムラセア(Primulaceae)などの高等植物、アスペルギルス(Aspergillus)、トラウストキトリウム(Thraustochytrium)、フィトフトラ(Phytophthora)、エントモフトラ(Entomophthora)、ムコル(Mucor)、ドレクスレラ(Drechslera)、ディプロディア(Diplodia)、ミクロドチウム(Microdochium)、ペリプラネタ(Periplaneta)、スタゴノスポラ(Stagonospora)、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)、ミクロドチウム(Microdochium)もしくはモルチエレラ(Mortierella)などの菌類、シェワネラ(Shewanella)などの細菌、酵母などの微生物または動物から取得する。好ましい動物は、セノルハブディティス(Caenorhabditis)などの線虫、昆虫または脊椎動物である。脊椎動物の間で、好ましくは、核酸分子は、ユーテレオストミ(Euteleostomi)、アクチノプテリギ(Actinopterygii); ネオプテリギ(Neopterygii); テレオステイ(Teleostei); ユーテレオステイ(Euteleostei)、プロタカントプテリギ(Protacanthopterygii)、サルモニホルメス(Salmoniformes); サルモニダ(Salmonidae)もしくはオンコリンクス(Oncorhynchus)、より好ましくは、サルモニホルメス目(Salmoniformes)、最も好ましくは、サルモニダ科(Salmonidae)、例えば、サルモ属(Salmo)、例えば、オンコリンクス・ミキス(Oncorhynchus mykiss)、トラッタ・トラッタ(Trutta trutta)もしくはサルモ・トラッタ・ファリオ(Salmo trutta fario)の属および種に由来するものであってよい。さらに、核酸分子を、タラシオシラ(Thallasiosira)またはクリプテコジニウム(Crypthecodinium)属などの珪藻類から取得することができる。
【0031】
本発明のポリヌクレオチドを、好ましくは、単離された核酸分子(すなわち、遺伝子座などのその天然の状況から単離された)として、または遺伝的に改変された形態で提供するべきである。単離された核酸分子は、例えば、該核酸が誘導される細胞のゲノムDNA中の核酸分子に天然でフランキングする約5 kb、4 kb、3 kb、2 kb、1 kb、0.5 kbまたは0.1 kb未満のヌクレオチド配列を含んでもよい。好ましくは、前記核酸分子は、cDNAまたはRNAなどの二本鎖または一本鎖DNAである。この用語は、一本鎖ならびに二本鎖核酸分子を包含する。さらに、糖鎖付加された、もしくはメチル化された核酸分子などの天然の改変核酸分子またはビオチン化された核酸分子などの人工的に改変されたものなどの化学的に改変された核酸分子も含まれる。
【0032】
具体的には、Δ12-デサチュラーゼを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、変異体がアミノ酸レベルで配列番号2に対して少なくとも75.1%の同一性を有するポリペプチドをコードする、配列番号1に示されるそのようなデサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドの変異体である。
【0033】
さらに、Δ15-デサチュラーゼを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、変異体がアミノ酸レベルで配列番号4に対して少なくとも74.1%の同一性を有するポリペプチドをコードする、配列番号3に示されるそのようなデサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドの変異体である。
【0034】
さらに、Δ12-デサチュラーゼを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、変異体がアミノ酸レベルで配列番号6に対して少なくとも74.1%の同一性を有するポリペプチドをコードする、配列番号5に示されるそのようなデサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドの変異体である。
【0035】
さらに、Δ12-デサチュラーゼを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、変異体がアミノ酸レベルで配列番号8に対して少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードする、配列番号7に示されるそのようなデサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドの変異体である。
【0036】
さらに、Δ12-デサチュラーゼを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、変異体がアミノ酸レベルで配列番号32に対して少なくとも75%の同一性を有するポリペプチドをコードする、配列番号31に示されるそのようなデサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドの変異体である。
【0037】
さらに、Δ15-デサチュラーゼを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、変異体がアミノ酸レベルで配列番号34に対して少なくとも75%の同一性を有するポリペプチドをコードする、配列番号33に示されるそのようなデサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドの変異体である。
【0038】
さらに、デサチュラーゼを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、それぞれ、変異体がアミノ酸レベルで配列番号36または38に対して少なくとも75%の同一性を有するポリペプチドをコードする、配列番号35または37に示されるそのようなデサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドの変異体である。
【0039】
本発明の基礎となる研究において、有利には、本明細書で特定されるようなPUFAおよびLCPUFAの製造に適用することができる様々な菌類に由来する新規デサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドを同定した。デサチュラーゼの概説を以下の表に記載する:

本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドから誘導され、本発明のポリヌクレオチドの転写または翻訳を阻害することができるポリヌクレオチド変異体にも関する。そのような変異体ポリヌクレオチドとしては、アンチセンス核酸、リボザイム、siRNA分子、モルホリノ核酸(ホスホロジアミダートモルホリノオリゴ)、三重らせん形成オリゴヌクレオチド、阻害的オリゴヌクレオチド、またはマイクロRNA分子が挙げられ、それらは全て本発明のポリヌクレオチドを特異的に認識する。これらの技術は当業者にはよく知られている。上記の種類の好適な変異体ポリヌクレオチドを、本発明のポリヌクレオチドの構造に基づいて容易に設計することができる。
【0040】
本発明はまた、アシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドも意図する。ARA、EPAおよび/もしくはDHAなどの特殊な脂肪酸のさらなる増加のため、または新規脂肪酸の全体の産生の増加のためには、そのようなアシルトランスフェラーゼが有益である。これらの酵素は、その対応する生産プール(リン脂質、アシル-CoA)に由来する様々な脂肪酸のシャッフリング、または新規脂肪酸の様々な分子(ジアシルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルセリン、1-アシル-ホスファチジルコリンなど)へのエステル化に関与する。前記酵素を適用する方法は、添付の実施例および例えば、WO2004/076617またはWO2004/087902に記載されている。
【0041】
かくして、本発明は、
a)配列番号102、104、106、108、110、112、135、137もしくは139のいずれか1つに示される核酸配列を有する核酸;
b)配列番号102、104、106、108、110、112、135、137もしくは139のいずれか1つに示される核酸配列によりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸;
c)a)で特定された核酸配列と少なくとも60%同一である核酸配列を有する核酸;
d)配列番号102、104、106、108、110、112、135、137もしくは139のいずれか1つに示される核酸配列によりコードされるアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸であって、該ポリペプチドをコードする前記核酸がアシルトランスフェラーゼ活性を有する前記核酸;
e)a)〜d)のいずれか1つに記載の核酸に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸であって、デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記核酸;
f)アシルトランスフェラーゼ活性を有する、a)〜e)のいずれか1つに記載の核酸配列によりコードされるポリペプチドの断片をコードする核酸;ならびに
g)a)〜f)のいずれか1つに記載の核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む核酸、
からなる群より選択される核酸を含む、アシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを意図する。
【0042】
本発明のデサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドに関して上記で作られた定義は、変更すべきところは変更して、アシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドにも適用される。
【0043】
本明細書で用いられる用語「アシルトランスフェラーゼ活性」または「アシルトランスフェラーゼ」は、トランスエステル化プロセスにより、PUFA、および特に、LCPUFAを、アシル-CoAプールもしくは膜リン脂質からトリグリセリドに、またはアシル-CoAプールから膜脂質に、および膜脂質からアシル-CoAプールに転移させることができるか、もしくはそれに関与する全ての酵素活性および酵素を包含する。このアシルトランスフェラーゼ活性は、例えば、種子油中で、トリグリセリドにエステル化されたLCPUFAの増加をもたらすことが理解されるであろう。特に、これらのアシルトランスフェラーゼがエステル化されたARA、EPAもしくはDHAでさえ有するトリグリセリドを産生することができるか、またはこれらのアシルトランスフェラーゼがアシル-CoAプール(伸長部位)と膜脂質(脱飽和の主要部位)との間で所望のPUFAの特定の中間体に関する流動を増加させることにより所望のPUFAの合成を増強することができることが予想される。具体的には、本明細書で用いられるアシルトランスフェラーゼ活性は、リゾリン脂質アシルトランスフェラーゼ(LPLAT)活性、好ましくは、リゾホスホファチジルエタノールアミンアシルトランスフェラーゼ(LPEAT)活性に関する。具体的には、配列番号102、104、および106ならびに135、137および139に示されるアシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列は、LPLAT活性をコードする。配列番号108、110および112に示されるアシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列は、LPEAT活性をコードする。
【0044】
本発明のアシルトランスフェラーゼポリヌクレオチドはまた、特異的核酸またはアミノ酸配列による上記のものの変異体ポリヌクレオチドをも包含する。前記変異体ポリヌクレオチドとしては、相同体、好ましくは、対立遺伝子変異体、パラログまたはオルトログが挙げられる。そのようなポリヌクレオチド変異体は、好ましくは、配列を、少なくとも1個のヌクレオチド置換、付加および/もしくは欠失により配列番号102、104、106、108、110、112、135、137もしくは139に示される上記の特異的核酸配列から誘導し、それによって変異体核酸配列が依然として上記で特定されたデサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードすることができることを特徴とする核酸配列を含む。変異体はまた、好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、上記の特異的核酸配列にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む核酸分子も包含する。あるいは、核酸分子変異体は、本明細書の他の場所で特定されるようにPCRに基づく技術により取得可能である。さらに、変異体は、アシルトランスフェラーゼ活性を保持する、配列番号102、104、106、108、110、112、135、137もしくは139に示される核酸配列と少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である核酸配列を含む核酸分子を含む。さらに、配列番号102、104、106、108、110、112、135、137もしくは139に示される核酸配列によりコードされるアミノ酸配列であって、該アミノ酸配列を含むポリペプチドがアシルトランスフェラーゼ活性を保持する前記アミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸分子も包含される。
【0045】
本発明の上記ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの生物学的に活性な断片、すなわち、上記で特定されたアシルトランスフェラーゼ活性を示す断片をコードするポリヌクレオチドも、本発明により包含される。
【0046】
上記の変異体ポリヌクレオチドは、好ましくは、配列番号102、104、106、108、110、112、135、137もしくは139に示される核酸配列によりコードされるポリペプチドにより示されるアシルトランスフェラーゼ活性の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%を保持するポリペプチドをコードする。この活性を、添付の実施例に記載のように試験することができる。
【0047】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド(すなわち、デサチュラーゼまたはアシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド)を含むベクターを意図する。
【0048】
用語「ベクター」は、好ましくは、ファージ、プラスミド、ウイルスもしくはレトロウイルスベクターならびに細菌もしくは酵母人工染色体などの人工染色体を包含する。さらに、この用語はまた、ゲノムDNA中への標的化構築物の無作為または部位特異的組込みを可能にする標的化構築物にも関する。そのような標的構築物は、好ましくは、以下で詳細に説明する相同組換えまたは異種組換えのための十分な長さのDNAを含む。本発明のポリヌクレオチドを包含するベクターは、好ましくは、宿主中での増殖および/または選択のための選択マーカーをさらに含む。前記ベクターを、当業界でよく知られた様々な技術によって宿主細胞中に組込むことができる。宿主細胞中に導入された場合、ベクターは細胞質中に滞在するか、またはゲノム中に組込まれる。後者の場合、ベクターは相同組換えまたは異種挿入を可能にする核酸配列をさらに含んでもよいことが理解されるべきである。ベクターを、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して、原核または真核細胞中に導入することができる。本文脈で用いられる用語「形質転換」および「トランスフェクション」、コンジュゲーションおよび形質導入は、リン酸カルシウム、塩化ルビジウムもしくは塩化カルシウム共沈降法、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクション、ナチュラルコンピテンス、炭素の基づくクラスター、化学媒介性導入、エレクトロポレーションもしくは粒子ボンバードメントなどの、宿主細胞中に外来核酸(例えば、DNA)を導入するための複数の従来技術プロセスを含むと意図される。植物細胞などの宿主細胞の形質転換またはトランスフェクションのための好適な方法を、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)およびMethods in Molecular Biology, 1995, Vol. 44, Agrobacterium protocols, GartlandおよびDavey(編), Humana Press, Totowa, New Jerseyなどの他の実験室マニュアルに見出すことができる。あるいは、プラスミドベクターを、熱ショックまたはエレクトロポレーション技術により導入することができる。ベクターがウイルスである場合、宿主細胞への適用の前に、好適なパッケージング細胞系を用いて、それをin vitroでパッケージングすることができる。レトロウイルスベクターは、複製能力を有するか、または複製欠損であってもよい。後者の場合、ウイルス増殖は、一般的には補完宿主/細胞中でのみ起こるであろう。
【0049】
好ましくは、本明細書に記載のベクターは、クローニングベクターとして好適である、すなわち、微生物系において複製可能である。そのようなベクターは、細菌および好ましくは、酵母もしくは菌類中での効率的なクローニングを確保し、植物の安定な形質転換を可能にする。言及しなければならないものは、特に、T-DNA媒介性形質転換にとって好適である様々なバイナリーおよび同時組込みベクター系である。そのようなベクター系は、一般に、それらがアグロバクテリウムを介する形質転換にとって必要である少なくともvir遺伝子と、T-DNAを区切る配列(T-DNAボーダー)とを含むことを特徴とする。これらのベクター系はまた、好ましくは、プロモーターおよびターミネーターなどのシス調節領域ならびに/または好適な形質転換された宿主細胞もしくは生物を同定することができる選択マーカーをさらに含む。同時組込みベクター系は同じベクター上に配置されたvir遺伝子とT-DNA配列とを有するが、バイナリー系は一方がvir遺伝子を担持し、T-DNAを担持しないが、第2のベクターがT-DNAを担持するが、vir遺伝子を担持しない、少なくとも2個のベクターに基づく。結果として、最後に言及したベクターは比較的小さく、操作が容易であり、大腸菌およびアグロバクテリウムの両方において複製することができる。これらのバイナリーベクターとしては、pBIB-HYG、pPZP、pBecks、pGreenシリーズに由来するベクターが挙げられる。本発明に従って好ましく用いられるものは、Bin19、pBI101、pBinAR、pGPTVおよびpCAMBIAである。バイナリーベクターの概説およびその使用を、Hellensら、Trends in Plant Science (2000) 5, 446-451に見出すことができる。さらに、好適なクローニングベクターを用いることにより、前記ポリヌクレオチドを宿主細胞または植物もしくは動物などの生物中に導入し、かくして、Plant Molecular Biology and Biotechnology (CRC Press, Boca Raton, Florida), chapter 6/7, pp. 71-119 (1993); F.F. White, Vectors for Gene Transfer in Higher Plants; Transgenic Plants, vol. 1, Engineering and Utilization, KungおよびR. Wu(編), Academic Press, 1993, 15-38; B. Jenesら、Techniques for Gene Transfer, Transgenic Plants, vol. 1, Engineering and Utilization, KungおよびR. Wu(編), Academic Press (1993), 128-143; Potrykus, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Molec. Biol. 42 (1991), 205-225に公開され、記載されたものなどの植物の形質転換において用いることができる。
【0050】
より好ましくは、本発明のベクターは、発現ベクターである。そのような発現ベクターにおいては、核酸分子を、原核もしくは真核細胞またはその単離された画分における発現を可能にする発現制御配列(「発現カセット」とも呼ばれる)に機能し得る形で連結する。前記ポリヌクレオチドの発現は、好ましくは、翻訳可能なmRNAへの核酸分子の転写を含む。真核細胞、好ましくは、哺乳動物細胞中での発現を確保する調節エレメントは、当業界でよく知られている。それらは、好ましくは、転写の開始を確保する調節配列、および必要に応じて、転写の終結および転写物の安定化を確保するポリAシグナルを含む。さらなる調節エレメントとしては、転写ならびに翻訳エンハンサーが挙げられる。原核宿主細胞中での発現を可能にする可能な調節エレメントは、例えば、大腸菌におけるlac、trpもしくはtacプロモーターを含み、真核宿主細胞中での発現を可能にする調節エレメントの例は、酵母におけるAOX1もしくはGAL1プロモーターまたは哺乳動物および他の動物細胞におけるCMV-、SV40-、RSV-プロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMV-エンハンサー、SV40-エンハンサーもしくはグロビンイントロンである。さらに、誘導可能な発現制御配列を、本発明により包含される発現ベクター中で用いることができる。そのような誘導性ベクターは、tetもしくはlacオペレーター配列または熱ショックもしくは他の環境因子により誘導可能な配列を含んでもよい。好適な発現制御配列は、当業界でよく知られている。転写の開始を担うエレメントの他に、そのような調節エレメントはまた、前記ポリヌクレオチドの下流に、SV40-ポリA部位またはtk-ポリA部位などの転写終結シグナルを含んでもよい。好ましくは、発現ベクターはまた、遺伝子導入または標的化ベクターでもある。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、もしくはウシパピローマウイルスなどのウイルスに由来するベクターを、標的化された細胞集団中への本発明の核酸分子またはベクターの送達に用いることができる。当業者にはよく知られた方法を用いて、組換えウイルスベクターを構築することができる;例えば、Sambrook, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1989) N.Y.およびAusubel, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1994)に記載の技術を参照されたい。
【0051】
Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1 (Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3 (Invitrogene)またはpSPORT1 (GIBCO BRL)などの好適な発現ベクターが当業界で公知である。典型的な融合発現ベクターのさらなる例は、それぞれ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質およびプロテインAを、組換え標的タンパク質と融合させたpGEX (Pharmacia Biotech Inc; Smith, D.B.,およびJohnson, K.S. (1988) Gene 67:31-40)、pMAL (New England Biolabs, Beverly, MA) およびpRIT5 (Pharmacia, Piscataway, NJ)である。好適な誘導性非融合大腸菌発現ベクターの例は、特に、pTrc (Amannら(1988) Gene 69:301-315)およびpET 11d (Studierら、Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 60-89)である。pTrcベクターの標的遺伝子発現は、宿主のRNAポリメラーゼによるハイブリッドtrp-lac融合プロモーターからの転写に基づく。pET 11dベクターからの標的遺伝子発現は、同時発現されるウイルスRNAポリメラーゼ(T7 gn1)により媒介されるT7-gn10-lac融合プロモーターの転写に基づく。このウイルスポリメラーゼは、lacUV5プロモーターの転写制御下でT7 gn1遺伝子を担持する内在性λ-プロファージから、宿主株BL21(DE3)またはHMS174(DE3)により提供される。当業者であれば、原核生物において好適である他のベクターに精通している;これらのベクターは、例えば、大腸菌においては、pLG338、pACYC184、pBR322などのpBRシリーズ、pUC18もしくはpUC19などのpUCシリーズ、M113mpシリーズ、pKC30、pRep4、pHS1、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN-III113-B1、λgt11もしくはpBdCl、ストレプトミセスにおいては、plJ101、plJ364、plJ702もしくはplJ361、バチルスにおいては、pUB110、pC194もしくはpBD214、コリネバクテリウムにおいては、pSA77もしくはpAJ667である。酵母サッカロミセス・セレビジア中での発現のためのベクターの例は、pYeDesaturasec1 (Baldariら(1987) Embo J. 6:229-234)、pMFa (KurjanおよびHerskowitz (1982) Cell 30:933-943)、pJRY88 (Schultzら(1987) Gene 54:113-123)およびpYES2 (Invitrogen Corporation, San Diego, CA)を含む。繊維性菌類などの他の菌類における使用にとって好適であるベクターおよびベクターの構築のためのプロセスとしては、van den Hondel, C.A.M.J.J., & Punt, P.J. (1991)「Gene transfer systems and vector development for filamentous fungi」、Applied Molecular Genetics of fungi, J.F.Peberdyら(編)、pp. 1-28, Cambridge University Press: Cambridge、またはMore Gene Manipulations in Fungi (J.W. Bennett & L.L. Lasure(編)、pp. 396-428: Academic Press: San Diego)に詳細に記載されたものが挙げられる。さらに好適な酵母ベクターは、例えば、pAG-1、YEp6、YEp13またはpEMBLYe23である。代替として、本発明のポリヌクレオチドを、バキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞中で発現させることもできる。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)中でのタンパク質の発現に利用可能であるバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smithら(1983) Mol. Cell Biol. 3:2156-2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers (1989) Virology 170:31-39)が挙げられる。
【0052】
好ましくは、以下のプロモーターおよび発現制御配列を、本発明に従う発現ベクター中で用いることができる。好ましくは、cos、tac、trp、tet、trp-tet、lpp、lac、lpp-lac、lacIq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、SP6、λ-PRまたはλ-PLプロモーターを、グラム陰性細菌において用いる。グラム陽性細菌については、プロモーターamyおよびSPO2を用いることができる。酵母または菌類から、好ましくは、プロモーターADC1、MFα、AC、P-60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADH、または植物から、プロモーターCaMV/35S [Franckら、Cell 21 (1980) 285-294]、PRP1 [Wardら、Plant. Mol. Biol. 22 (1993)]、SSU、OCS、lib4、usp、STLS1、B33、nosまたはユビキチンもしくはファセオリンプロモーターを用いる。本文脈においてまた好ましいのは、EP A 0 388 186 (ベンジルスルホンアミド誘導性)、Plant J. 2, 1992:397-404 (Gatzら、テトラサイクリン誘導性)、EP A 0 335 528 (アブシジン酸誘導性)またはWO 93/21334(エタノールもしくはシクロヘキセノール誘導性)に記載のプロモーターなどの誘導性プロモーターである。さらなる好適な植物プロモーターは、ジャガイモに由来する細胞質FBPaseのプロモーターもしくはST-LSIプロモーター(Stockhausら、EMBO J. 8, 1989, 2445)、大豆に由来するホスホリボシル-ピロリン酸アミドトランスフェラーゼプロモーター (Genbank受託番号U87999)またはEP-A-0 249 676に記載の結節特異的プロモーターである。特に好ましいのは、脂肪酸の生合成に関与する組織中での発現を可能にするプロモーターである。また、特に好ましいのは、慣行に従うUSPプロモーターなどの種子特異的プロモーターだけでなく、LeB4、DC3、ファセオリンまたはナピンプロモーターなどの他のプロモーターである。さらに特に有利なプロモーターは、単子葉植物もしくは双子葉植物に用いることができ、米国特許第5,608,152号(菜種由来ナピンプロモーター)、WO 98/45461 (シロイヌナズナ由来オレオシンプロモーター)、米国特許第5,504,200号(インゲンマメ由来ファセオリンプロモーター)、WO 91/13980 (アブラナ由来Bce4プロモーター)、Baeumleinら、Plant J., 2, 2, 1992:233-239 (マメ科植物由来LeB4プロモーター)に記載された種子特異的プロモーターである(これらのプロモーターは双子葉植物にとって好適である)。以下のプロモーターは、例えば、単子葉植物にとって好適である:大麦由来lpt-2またはlpt-1プロモーター(WO 95/15389およびWO 95/23230)、大麦由来ホルデインプロモーターならびに好適であり、WO 99/16890に記載された他のプロモーター。原理的には、新規プロセスのために、上記のものなどの全ての天然プロモーターをその調節配列と共に用いることができる。同様に、特にそれらが例えば、WO 99/16890に記載のように種子特異的発現を媒介する場合、追加的に、または単独で、合成プロモーターを使用することもでき、有利である。
【0053】
本発明のポリヌクレオチドを、植物発現ベクターを用いることにより、単細胞植物細胞(藻類など)(Falciatoreら、1999, Marine Biotechnology 1 (3):239-251およびそこに引用された参考文献を参照)、および高等植物に由来する植物細胞(例えば、耕地作物などの種子植物)中で発現させることができる。植物発現ベクターの例としては、Becker, D., Kemper, E., Schell, J.,およびMasterson, R. (1992) “New plant binary vectors with selectable markers located proximal to the left border”, Plant Mol. Biol. 20:1195-1197; ならびにBevan, M.W. (1984) “Binary Agrobacterium vectors for plant transformation”, Nucl. Acids Res. 12:8711-8721; Vectors for Gene Transfer in Higher Plants; Transgenic Plants, Vol. 1, Engineering and Utilization, KungおよびR. Wu(編), Academic Press, 1993, p. 15-38に詳細に記載されたものが挙げられる。好ましくは、植物発現カセットは、植物細胞中での遺伝子発現を制御することができ、各配列が、転写終結などのその機能を果たすことができるように、機能し得る形で連結された調節配列、例えば、ポリアデニル化シグナルを含む。好ましいポリアデニル化シグナルは、オクトパインシンターゼ(Gielenら、EMBO J. 3(1984)835以下参照)として知られる、TiプラスミドpTiACH5の遺伝子3などのアグロバクテリウム・ツメファシエンスのT-DNAから誘導されたもの、またはそれらの機能的等価物であるが、植物において機能的に活性である全ての他のターミネーターも好適である。植物遺伝子発現は転写レベルに限定されることが非常に多いため、植物発現カセットは、好ましくは、翻訳エンハンサーなどの他の機能し得る形で連結された配列、例えば、タンパク質/RNA比を増加させる、5'非翻訳タバコモザイクウイルスリーダー配列を含むオーバードライブ配列(Gallieら、1987, Nucl. Acids Research 15:8963-8711)を含む。上記のように、植物遺伝子発現を、時宜にかなった、細胞特異的または組織特異的様式での遺伝子の発現を実行する好適なプロモーターに機能し得る形で連結しなければならない。用いることができるプロモーターは、35S CAMV (Franckら、Cell 21 (1980) 285-294)、19S CaMV (米国特許第5352605号およびWO 84/02913も参照)などの植物ウイルスに由来するもの、または米国特許第4,962,028号に記載された、Rubisco小サブユニットのプロモーターなどの植物プロモーターなどの構成的プロモーター(Benfeyら、EMBO J. 8 (1989) 2195-2202)である。植物遺伝子発現カセット中での機能的連結における使用のための他の好ましい配列は、遺伝子産物を、その関連する細胞区画(概説については、Kermode, Crit. Rev. Plant Sci. 15, 4 (1996) 285-423およびそこに引用される参考文献を参照されたい)、例えば、液胞、核、アミロプラスト、クロロプラスト、クロモプラストなどのあらゆる型のプラスチド、細胞外空間、ミトコンドリア、小胞体、油体、ペルオキシソームおよび植物細胞の他の区画に標的化するのに必要とされる標的化配列である。上記のように、植物遺伝子発現を、化学誘導性プロモーター(概説については、Gatz 1997, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol., 48:89-108を参照されたい)を介して容易にすることもできる。化学誘導性プロモーターは、遺伝子を時間特異的様式で発現させることが望ましい場合に特に好適である。そのようなプロモーターの例は、サリチル酸誘導性プロモーター(WO 95/19443)、テトラサイクリン誘導性プロモーター(Gatzら、(1992) Plant J. 2, 397-404)およびエタノール誘導性プロモーターである。生物的または非生物的ストレス条件に応答するプロモーターも好適なプロモーターであり、例えば、病原体誘導性PRP1遺伝子プロモーター(Wardら、Plant Mol. Biol. 22 (1993) 361-366)、トマト由来熱誘導性hsp80プロモーター(米国特許第5,187,267号)、ジャガイモ由来低温誘導性α-アミラーゼプロモーター(WO 96/12814)または創傷誘導性pinIIプロモーター(EP A 0 375 091)が挙げられる。特に好ましいプロモーターは、脂肪酸、脂質および油生合成が起こる組織および器官、内胚乳および発生中の胚の細胞などの種子細胞中で遺伝子の発現をもたらすものである。好適なプロモーターは、菜種由来ナピン遺伝子プロモーター(米国特許第5,608,152号)、ソラマメ由来USPプロモーター(Baeumleinら、Mol. Gen. Genet., 1991, 225 (3):459-67)、シロイヌナズナ由来オレオシンプロモーター(WO 98/45461)、インゲンマメ由来ファセオリンプロモーター(米国特許第5,504,200号)、アブラナ由来Bce4プロモーター(WO 91/13980)またはレグミン由来B4プロモーター(LeB4; Baeumleinら、1992, Plant Journal, 2 (2):233-9)、ならびにトウモロコシ、大麦、小麦、ライ麦、コメなどの単子葉植物において種子特異的発現をもたらすプロモーターである。考慮すべき好適なプロモーターは、大麦由来lpt2もしくはlpt1遺伝子プロモーター(WO 95/15389およびWO 95/23230)またはWO 99/16890に記載されたもの(大麦ホルデイン遺伝子、コメグルテリン遺伝子、コメオリジン遺伝子、コメプロラミン遺伝子、小麦グリアジン遺伝子、小麦グルテリン遺伝子、トウモロコシゼイン遺伝子、オート麦グルテリン遺伝子、ソルガムカシリン遺伝子、ライ麦セカリン遺伝子に由来するプロモーター)である。同様に、特に好適なものは、プラスチドは脂質生合成の前駆体およびいくつかの最終生成物が合成される区画であるため、プラスチド特異的発現をもたらすプロモーターである。ウイルスRNA-ポリメラーゼプロモーターなどの好適なプロモーターは、WO 95/16783およびWO 97/06250に記載されており、WO 99/46394に記載されたシロイヌナズナ由来clpPプロモーターである。
【0054】
上記のベクターは、本発明に従って用いられるベクターのわずかな例に過ぎない。さらなるベクターが当業者には公知であり、例えば、Cloning Vectors (Pouwels, P.H.ら(編)、Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985, ISBN 0 444 904018)に記載されている。原核および真核細胞のためのさらに好適な発現系については、Sambrook, J., Fritsch, E.F.,およびManiatis, T., Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989の第16および17章を参照されたい。
【0055】
上記から、好ましくは、前記ベクターは発現ベクターであるということになる。より好ましくは、本発明の前記ポリヌクレオチドは、本発明のベクター中で種子特異的プロモーターの制御下にある。本明細書で意味される好ましい種子特異的プロモーターを、コンリニン1、コンリニン2、ナピン、LuFad3、USP、LeB4、Arc、Fae、ACP、LuPXR、およびSBPからなる群より選択する。
【0056】
さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むか、または本発明のベクターで形質転換された宿主細胞に関する。
【0057】
好ましくは、前記宿主細胞は、植物細胞であり、より好ましくは、油種子作物から得られた植物細胞である。より好ましくは、前記油種子作物を、亜麻(Linum種)、菜種(Brassica種)、大豆(GlycineおよびSoja種)、ヒマワリ(Helianthus種)、綿(Gossypium種)、トウモロコシ(Zea mays)、オリーブ(Olea種)、紅花(Carthamus種)、ココア(Theobroma cacoa)、ピーナッツ(Arachis種)、麻、カメリナ、ハマナ、油ヤシ、ココナッツ、アメリカホドイモ、ゴマ種子、トウゴマの実、ブラッダーポッド、シラキ、シアの実、タングナッツ、カポックの実、ポピー種子、ホホバ種子およびエゴマからなる群より選択する。
【0058】
また好ましくは、前記宿主細胞は、微生物細胞である。より好ましくは、前記微生物細胞を、カンジダ(Candida)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、リポミセス(Lipomyces)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、ヤロウイア(Yarrowia)、トラウストキトリウム(Thraustochytrium)、ピチウム(Pythium)、シゾキトリウム(Schizochytrium)およびクリテコジニウム(Crythecodinium)からなる群より選択する。
【0059】
本発明は、本発明の核酸分子、本発明のベクターまたは本発明の宿主細胞を含む植物または植物種子に関する。
【0060】
本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを導入するのに用いられる好ましい植物は、全ての双子葉植物または単子葉植物、藻類またはコケ類などの脂肪酸を合成することができる植物である。植物に由来する宿主細胞を、本発明に従う植物を生産するために用いることもできることが理解されるべきである。有利な植物を、植物科:アブラゴケ科(Adelotheciaceae)、ウルシ科(Anacardiaceae)、キク科(Asteraceae)、セリ科(Apiaceae)、カバノキ科(Betulaceae)、ムラサキ科 (Boraginaceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、パイナップル科(Bromeliaceae)、パパイヤ科 (Caricaceae)、アサ科(Cannabaceae)、ヒルガオ科(Convolvulaceae)、アカザ科(Chenopodiaceae)、クリプテコジニアセア科(Crypthecodiniaceae)、ウリ科(Cucurbitaceae)、キンシゴケ科(Ditrichaceae)、グミ科(Elaeagnaceae)、ツツジ科(Ericaceae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、マメ科(Fabaceae)、フウロソウ科(Geraniaceae)、イネ科(Gramineae)、クルミ科(Juglandaceae)、クスノキ科(Lauraceae)、マメ科(Leguminosae)、アマ科(Linaceae)、プラシノ藻綱(Prasinophyceae)、または野菜植物またはマンジュギクなどの観賞植物からなる群より選択する。言及することができる例は、アブラゴケ科(Adelotheciaceae)、例えば、フィスコミトレラ属(Physcomitrella)、例えば、属および種Physcomitrella patens、ウルシ科(Anacardiaceae)、例えば、カイノキ属(Pistacia)、マンゴー属(Mangifera)、カシュー属(Anacardium)、例えば属および種Pistacia vera[ピスタチオ]、Mangifer indica[マンゴー]もしくはAnacardium occidentale[カシュー]、キク科(Asteraceae)、例えばキンセンカ属(Calendula)、ベニバナ属(Carthamus)、 ヤグルマギク属(Centaurea)、キコリウム属(Cichorium)、チョウセンアザミ属(Cynara)、ヒマワリ属 (Helianthus)、アキノゲシ属(Lactuca)、Locusta属、タゲテス属(Tagetes)、カノコソウ属(Valeriana)、例えば属および種Calendula officinalis[一般のマリゴールド]、Carthamus tinctorius[ベニバナ]、Centaurea cyanus[コーンフラワー]、Cichorium intybus[チコリー]、Cynara scolymus[チョウセンアザミ]、Helianthus annus[ヒマワリ]、Lactuca sativa、Lactuca crispa、Lactuca esculenta、Lactuca scariola L. ssp. sativa、Lactuca scariola L. var. integrata、Lactuca scariola L. var. integrifolia、Lactuca sativa subsp. romana、Locusta communis、Valeriana locusta [サラダ野菜]、Tagetes lucida、Tagetes erectaもしくはTagetes tenuifolia[アフリカもしくはフレンチマリーゴールド]、セリ科(Apiaceae)、例えばニンジン属(Daucus)、例えば属および種 Daucus carota[ニンジン]、カバノキ科(Betulaceae)、例えばハシバミ属(Corylus)、例えば属および種Corylus avellanaもしくはCorylus colurna[ヘーゼルナッツ]、ムラサキ科(Boraginaceae)、例えばボラゴ属(Borago)、例えば属および種Borago officinalis[ボリジ]、アブラナ科(Brassicaceae)、例えばアブラナ属(Brassica)、メラノシナピス属(Melanosinapis)、シロガラシ属(Sinapis)、シロイナズナ属(Arabadopsis)、例えば属および種Brassica napus、Brassica rapa ssp.[アブラナ]、Sinapis arvensis、Brassica juncea、Brassica juncea var. juncea、Brassica juncea var. crispifolia、Brassica juncea var. foliosa、Brassica nigra、Brassica sinapioides、Melanosinapis communis[カラシ]、Brassica oleracea [飼料用ビート]もしくはArabidopsis thaliana、パイナップル科(Bromeliaceae)、例えばアナナ属(Anana)、パイナップル属(Bromelia)(パイナップル)、例えば属および種Anana comosus、Ananas ananasもしくはBromelia comosa[パイナップル]、パパイヤ科(Caricaceae)、例えばパパイヤ属(Carica)、例えば属および種Carica papaya[パパイヤ]、アサ科(Cannabaceae)、例えばアサ属(Cannabis)、例えばCannabis sativa[麻]、ヒルガオ科(Convolvulaceae)、例えばサツマイモ属(Ipomea)、ヒルガオ属(Convolvulus)、例えば属および種Ipomoea batatus、Ipomoea pandurata、Convolvulus batatas、Convolvulus tiliaceus、Ipomoea fastigiata、Ipomoea tiliacea、Ipomoea trilobaもしくはConvolvulus panduratus[カンショ、batate]、アカザ科(Chenopodiaceae)、例えばフダンソウ属(Beta)、例えば属および種 Beta vulgaris、Beta vulgaris var. altissima、Beta vulgaris var. vulgaris、Beta maritima、Beta vulgaris var. perennis、Beta vulgaris var. conditivaもしくはBeta vulgaris var. esculenta[テンサイ]、クリプテコジニアセア科(Crypthecodiniaceae)、例えばクリプセコジニウム属(Crypthecodinium)、例えば属および種Crypthecodinium cohnii、ウリ科(Cucurbitaceae)、例えばカボチャ属(Cucurbita)、例えば属および種Cucurbita maxima、Cucurbita mixta、Cucurbita pepoもしくはCucurbita moschata[カボチャ/スカッシュ]、キンベラ科(Cymbellaceae)、例えば、アンホラ属(Amphora)、キンベラ属(Cymbella)、オケデニア属(Okedenia)、フェオダクチラム属(Phaeodactylum)、レイメリア属(Reimeria)、例えば、属および種Phaeodactylum tricornutum、キンシゴケ科(Ditrichaceae)、例えば、キンシゴケ属(Ditrichaceae)、アストミオプシス属(Astomiopsis)、セラトドン属(Ceratodon)、クリゾブラステラ属(Chrysoblastella)、ディトリカム属(Ditrichum)、ディストリチウム属(Distichium)、エクレミジウム属(Eccremidium)、ロフィジオン属(Lophidion)、フィリベルチエラ属(Philibertiella)、プレウリジウム属(Pleuridium)、サエラニア属(Saelania)、トリコドン属(Trichodon)、スコッツバージア属(Skottsbergia)、例えば、属および種Ceratodon antarcticus、Ceratodon columbiae、Ceratodon heterophyllus、Ceratodon purpureus、Ceratodon purpureus、Ceratodon purpureus ssp. convolutus、Ceratodon、purpureus spp. stenocarpus、Ceratodon purpureus var. rotundifolius、Ceratodon ratodon、Ceratodon stenocarpus、Chrysoblastella chilensis、Ditrichum ambiguum、Ditrichum brevisetum、Ditrichum crispatissimum、Ditrichum difficile、Ditrichum falcifolium、Ditrichum flexicaule、Ditrichum giganteum、Ditrichum heteromallum、Ditrichum lineare、Ditrichum lineare、Ditrichum montanum、Ditrichum montanum、Ditrichum pallidum、Ditrichum punctulatum、Ditrichum pusillum、Ditrichum pusillum var. tortile、Ditrichum rhynchostegium、Ditrichum schimperi、Ditrichum tortile、Distichium capillaceum、Distichium hagenii、Distichium inclinatum、Distichium macounii、Eccremidium floridanum、Eccremidium whiteleggei、Lophidion strictus、Pleuridium acuminatum、Pleuridium alternifolium、Pleuridium holdridgei、Pleuridium mexicanum、Pleuridium ravenelii、Pleuridium subulatum、Saelania glaucescens、Trichodon borealis、Trichodon cylindricus or Trichodon cylindricus var. oblongus、グミ科(Elaeagnaceae)、例えばグミ属(Elaeagnus)、例えば属および種Olea europaea[オリーブ]、ツツジ科(Ericaceae)、例えばカルミア属(Kalmia)、例えば属および種Kalmia latifolia、Kalmia angustifolia、Kalmia microphylla、Kalmia polifolia、Kalmia occidentalis、Cistus chamaerhodendrosもしくはKalmia lucida[マウンテンローレル]、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、例えばキャッサバ属(Manihot)、ジャニファ属(Janipha)、タイワンアブラギリ属(Jatropha)、ヒマ属(Ricinus)、例えば属および種Manihot utilissima、Janipha manihot、Jatropha manihot、Manihot aipil、Manihot dulcis、Manihot manihot、Manihot melanobasis、Manihot esculenta[キャッサバ]もしくはRicinus communis[ヒマシ油植物]、マメ科(Fabaceae)、例えばエンドウ属(Pisum)、ネムノキ属(Albizia)、カトルミオン属(Cathormion)、フェビレア属(Feuillea)、インガ属(Inga)、ピテコロビウム属(Pithecolobium)、アカシア属(Acacia)、オジギソウ属(Mimosa)、ウマゴヤシ属(Medicajo)、ダイズ属(Glycine)、ドリコス属(Dolichos)、インゲン属 (Phaseolus)、ダイズ(Soja)、例えば属および種Pisum sativum、Pisum arvense、Pisum humile[エンドウマメ]、Albizia berteriana、Albizia julibrissin、Albizia lebbeck、Acacia berteriana、Acacia littoralis、Albizia berteriana、Albizzia berteriana、Cathormion berteriana、Feuillea berteriana、Inga fragrans、Pithecellobium berterianum、Pithecellobium fragrans、Pithecolobium berterianum、Pseudalbizzia berteriana、Acacia julibrissin、Acacia nemu、Albizia nemu、Feuilleea julibrissin、Mimosa julibrissin、Mimosa speciosa、Sericanrda julibrissin、Acacia lebbeck、Acacia macrophylla、Albizia lebbeck、Feuilleea lebbeck、Mimosa lebbeck、Mimosa speciosa[ネムノキ]、Medicago sativa、Medicago falcata、Medicago varia[アルファルファ]、Glycine max、Dolichos soja、Glycine gracilis、Glycine hispida、Phaseolus max、Soja hispidaもしくはSoja max[ダイズ]、ヒョウタンゴケ科(Funariaceae)、例えば、アファノレグマ属(Aphanorrhegma)、エントストドン属(Entosthodon)、フナリア属(Funaria)、フィスコミトレラ属(Physcomitrella)、フィスコミトリウム属(Physcomitrium)、例えば、属および種Aphanorrhegma serratum、Entosthodon attenuatus、Entosthodon bolanderi、Entosthodon bonplandii、Entosthodon californicus、Entosthodon drummondii、Entosthodon jamesonii、Entosthodon leibergii、Entosthodon neoscoticus、Entosthodon rubrisetus、Entosthodon spathulifolius、Entosthodon tucsoni、Funaria americana、Funaria bolanderi、Funaria calcarea、Funaria californica、Funaria calvescens、Funaria convoluta、Funaria flavicans、Funaria groutiana、Funaria hygrometrica、Funaria hygrometrica var. arctica、Funaria hygrometrica var. calvescens、Funaria hygrometrica var. convoluta、Funaria hygrometrica var. muralis、Funaria hygrometrica var. utahensis、Funaria microstoma、Funaria microstoma var. obtusifolia、Funaria muhlenbergii、Funaria orcuttii、Funaria plano-convexa、Funaria polaris、Funaria ravenelii、Funaria rubriseta、Funaria serrata、Funaria sonorae、Funaria sublimbatus、Funaria tucsoni、Physcomitrella californica、Physcomitrella patens、Physcomitrella readeri、Physcomitrium australe、Physcomitrium californicum、Physcomitrium collenchymatum、Physcomitrium coloradense、Physcomitrium cupuliferum、Physcomitrium drummondii、Physcomitrium eurystomum、Physcomitrium flexifolium、Physcomitrium hookeri、Physcomitrium hookeri var. serratum、Physcomitrium immersum、Physcomitrium kellermanii、Physcomitrium megalocarpum、Physcomitrium pyriforme、Physcomitrium pyriforme var. serratum、Physcomitrium rufipes、Physcomitrium sandbergii、Physcomitrium subsphaericum、Physcomitrium washingtoniense、フウロソウ科(Geraniaceae)、例えばペラルゴニウム属(Pelargonium)、ココヤシ属(Cocos)、オレウム属(Oleum)、例えば属および種Cocos nucifera、Pelargonium grossularioidesもしくはOleum cocois[ココナッツ]、イネ科(Gramineae)、例えばサトウキビ属(Saccharum)、例えば属および種Saccharum officinarum、クルミ科(Juglandaceae)、例えばクルミ属(Juglans)、ワリア属(Wallia)、例えば属および種Juglans regia、Juglans ailanthifolia、Juglans sieboldiana、Juglans cinerea、Wallia cinerea、Juglans bixbyi、Juglans californica、Juglans hindsii、Juglans intermedia、Juglans jamaicensis、Juglans major、Juglans microcarpa、Juglans nigraもしくはWallia nigra[クルミ]、クスノキ科(Lauraceae)、例えばワニナシ属(Persea)、ゲッケイジュ属(Laurus)、例えば属および種Laurus nobilis[月桂樹]、Persea americana、Persea gratissimaもしくはPersea persea [アボカド]、マメ科(Leguminosae)、
例えばラッカセイ属(Arachis)、例えば属および種Arachis hypogaea[落花生]、アマ科(Linaceae)、例えばリナム属(Linum)、アデノリナム属(Adenolinum)、例えば属および種Linum usitatissimum、Linum humile、Linum austriacum、Linum bienne、Linum angustifolium、Linum catharticum、Linum flavum、Linum grandiflorum、Adenolinum grandiflorum、Linum lewisii、Linum narbonense、Linum perenne、Linum perenne var. lewisii、Linum pratense もしくはLinum trigynum[アマニ]、Lythrarieae科、例えばザクロ属(Punica)、例えば属および種Punica granatum [ザクロ]、アオイ科(Malvaceae)、例えばワタ属(Gossypium)、例えば属および種Gossypium hirsutum、Gossypium arboreum、Gossypium barbadense、Gossypium herbaceumもしくは Gossypium thurberi[木綿]、ゼニゴケ科(Marchantiaceae)、例えばゼニゴケ属(Marchantia)、例えば属および種 Marchantia berteroana、Marchantia foliacea、Marchantia macropora、バショウ科(Musaceae)、例えばバショウ属(Musa)、例えば属および種Musa nana、Musa acuminata、Musa paradisiaca、Musa spp. [バナナ]、アカバナ科(Onagraceae)、例えばカミソニア属(Camissonia)、オエノセラ属(Oenothera)、例えば属および種 Oenothera biennisもしくはCamissonia brevipes[月見草]、ヤシ科(Palmae)、例えばアブラヤシ属(Elaeis)、例えば属および種Elaeis guineensis[油ヤシ]、ケシ科(Papaveraceae)、例えば、ケシ属(Papaver)、例えば属および種Papaver orientale、Papaver rhoeas、Papaver dubium [ケシ]、ゴマ科(Pedaliaceae)、例えばゴマ属(Sesamum)、例えば属および種Sesamum indicum[ゴマ]、コショウ科(Piperaceae)、例えばコショウ属(Piper)、アルタンテ属(Artanthe)、サダソウ属(Peperomia)、ステフェンシア属(Steffensia)、例えば属および種Piper aduncum、Piper amalago、Piper angustifolium、Piper auritum、Piper betel、Piper cubeba、Piper longum、Piper nigrum、Piper retrofractum、Artanthe adunca、Artanthe elongata、Peperomia elongata、Piper elongatum、Steffensia elongata[カイエンペッパー]、イネ科(Poaceae)、例えばオオムギ属(Hordeum)、ライムギ属(Secale)、エンバク属(Avena)、ソルガム属(Sorghum)、ウシクサ属(Andropogon)、シラゲガヤ属(Holcus)、キビ属(Panicum)、イネ属(Oryza)、トウモロコシ属(Zea(トウモロコシ))、コムギ属(Triticum)、例えば属および種Hordeum vulgare、Hordeum jubatum、Hordeum murinum、Hordeum secalinum、Hordeum distichon、Hordeum aegiceras、Hordeum hexastichon、Hordeum hexastichum、Hordeum irregulare、Hordeum sativum、Hordeum secalinum[オオムギ]、Secale cereale[ライムギ]、Avena sativa、Avena fatua、Avena byzantina、Avena fatua var. sativa、Avena hybrida[オートムギ]、Sorghum bicolor、Sorghum halepense、Sorghum saccharatum、Sorghum vulgare、Andropogon drummondii、Holcus bicolor、Holcus sorghum、Sorghum aethiopicum、Sorghum arundinaceum、Sorghum caffrorum、Sorghum cernuum、Sorghum dochna、Sorghum drummondii、Sorghum durra、Sorghum guineense、Sorghum lanceolatum、Sorghum nervosum、Sorghum saccharatum、Sorghum subglabrescens、Sorghum verticilliflorum、Sorghum vulgare、Holcus halepensis、Sorghum miliaceum、Panicum militaceum[ミレット]、Oryza sativa、Oryza latifolia [イネ]、Zea mays[トウモロコシ]、Triticum aestivum、Triticum durum、Triticum turgidum、Triticum hybernum、Triticum macha、Triticum sativumもしくはTriticum vulgare[コムギ]、チノリモ科(Porphyridiaceae)、例えばクロテス属(Chroothece)、フリンチエラ属(Flintiella)、ペトロバネラ属(Petrovanella)、チノリモ属(Porphyridium)、ロデラ属(Rhodella)、ロドソラス属(Rhodosorus)、バンホエフェニア属(Vanhoeffenia)、例えば属および種Porphyridium cruentum、ヤマモガシ科(Proteaceae)、例えばマカデミア属(Macadamia)、例えば属および種Macadamia intergrifolia[マカデミア]、プラシノ藻綱(Prasinophyceae)、例えば、ネフロセルミス属(Nephroselmis)、プラシノコッカス属(Prasinococcus)、シェルフェリア属(Scherffelia)、テトラセルミス属(Tetraselmis)、マントニエラ属(Mantoniella)、オストレオコッカス属(Ostreococcus)、例えば、属および種Nephroselmis olivacea、Prasinococcus capsulatus、Scherffelia dubia、Tetraselmis chui、Tetraselmis suecica、Mantoniella squamata、Ostreococcus tauri、アカネ科(Rubiaceae)、例えばコーヒーノキ属(Coffea)、例えば属および種Coffea spp.、Coffea arabica、Coffea canephoraもしくはCoffea liberica [コーヒー]、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)、例えば、モウズイカ属(Verbascum)、例えば属および種Verbascum blattaria、Verbascum chaixii、Verbascum densiflorum、Verbascum lagurus、Verbascum longifolium、Verbascum lychnitis、Verbascum nigrum、Verbascum olympicum、Verbascum phlomoides、Verbascum phoenicum、Verbascum pulverulentumもしくはVerbascum thapsus[ビロードモウズイカ]、ナス科(Solanaceae)、例えばトウガラシ属(Capsicum)、タバコ属(Nicotiana)、ナス属(Solanum)、トマト属(Lycopersicon)、例えば属および種Capsicum annuum、Capsicum annuum var. glabriusculum、Capsicum frutescens[コショウ]、Capsicum annuum[パプリカ]、Nicotiana tabacum、Nicotiana alata、Nicotiana attenuata、Nicotiana glauca、Nicotiana langsdorffii、Nicotiana obtusifolia、Nicotiana quadrivalvis、Nicotiana repanda、Nicotiana rustica、Nicotiana sylvestris[タバコ]、Solanum tuberosum[ジャガイモ]、Solanum melongena[ナス]、Lycopersicon esculentum、Lycopersicon lycopersicum、Lycopersicon pyriforme、Solanum integrifoliumもしくはSolanum lycopersicum[トマト]、アオギリ科(Sterculiaceae)、例えばカカオ属(Theobroma)、例えば属および種 Theobroma cacao[カカオ]またはツバキ科(Theaceae)、例えばツバキ属(Camellia)、例えば属および種Camellia sinensis[茶]からなる群より選択される植物である。本発明に従ってトランスジェニック植物として用いられる特に好ましい植物は、大量の脂質化合物を含む油果実作物、例えば、ラッカセイ、菜種、キャノーラ、ヒマワリ、紅花、ケシ、カラシ、麻、ヒマシ油植物、オリーブ、ゴマ、キンセンカ、ザクロ、月見草、ビロードモウズイカ、アザミ、野バラ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、マカダミア、アボカド、月桂樹、カボチャ、亜麻仁、大豆、ピスタチオ、ルリヂサ、樹木(油ヤシ、ココナッツ、クルミ)または作物、例えば、トウモロコシ、小麦、ライ麦、オート麦、ライ小麦、コメ、大麦、綿、キャッサバ、コショウ、マンジュギク、ジャガイモ、タバコ、ナスおよびトマトなどのナス科植物、ソラマメ種、エンドウ豆、アルファルファもしくは低木(コーヒー、カカオ、茶)、ヤナギ種、ならびに多年草および飼料作物である。本発明に従う好ましい植物は、ピーナッツ、菜種、キャノーラ、ヒマワリ、紅花、ケシ、カラシ、麻、ヒマシ油植物、オリーブ、キンセンカ、ザクロ、月見草、カボチャ、亜麻仁、大豆、ルリヂサ、樹木(油ヤシ、ココナッツ)である。特に好ましいのは、ヒマワリ、紅花、タバコ、ビロードモウズイカ、ゴマ、綿、カボチャ、ケシ、月見草、クルミ、亜麻仁、麻、アザミまたは紅花である。非常に特に好ましい植物は、紅花、ヒマワリ、ケシ、月見草、クルミ、亜麻仁、または麻などの植物である。
【0061】
好ましいコケ類は、フィスコミトレラまたはセラトドンである。好ましい藻類は、イソクリシス(Isochrysis)、マントニエラ(Mantoniella)、オストレオコッカス(Ostreococcus)もしくはクリプテコジニウム(Crypthecodinium)、およびフェオダクチラム(Phaeodactylum)もしくはトラウストキトリウム(Thraustochytrium)などの藻類/珪藻である。より好ましくは、前記藻類またはコケ類を、シェワネラ(Shewanella)、フィスコミトレラ(Physcomitrella)、トラウストキトリウム(Thraustochytrium)、フサリウム(Fusarium)、フィトフトラ(Phytophthora)、セラトドン(Ceratodon)、イソクリシス(Isochrysis)、アレウリタ(Aleurita)、ムスカリオイデス(Muscarioides)、モルチエレラ(Mortierella)、フェオダクチラム(Phaeodactylum)、クリプテコジニウム(Cryphthecodinium)、特に、属および種Thallasiosira pseudonona、Euglena gracilis、Physcomitrella patens、Phytophtora infestans、Fusarium graminaeum、Cryptocodinium cohnii、Ceratodon purpureus、Isochrysis galbana、Aleurita farinosa、Thraustochytrium sp.、Muscarioides viallii、Mortierella alpina、Phaeodactylum tricornutumもしくはCaenorhabditis elegans、または特に有利には、Phytophtora infestans、Thallasiosira pseudonona and Cryptocodinium cohniiからなる群より選択する。
【0062】
トランスジェニック植物を、Plant Molecular Biology and Biotechnology (CRC Press, Boca Raton, Florida), chapter 6/7, pp.71-119 (1993); F.F. White, Vectors for Gene Transfer in Higher Plants; Transgenic Plants, vol. 1, Engineering and Utilization, KungおよびR. Wu(編), Academic Press, 1993, 15-38; B. Jenesら、Techniques for Gene Transfer;Transgenic Plants, vol. 1, Engineering and Utilization, KungおよびR. Wu(編), Academic Press (1993), 128-143; Potrykus, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Molec. Biol. 42 (1991), 205-225に公開され、引用された形質転換技術により取得することができる。好ましくは、トランスジェニック植物を、T-DNAを介する形質転換により取得することができる。そのようなベクター系は、一般に、それらがアグロバクテリウムを介する形質転換に必要とされる少なくともvir遺伝子と、T-DNAを区切る配列(T-DNAボーダー)とを含むことを特徴とする。好適なベクターは、本明細書の他の場所に詳細に記載されている。
【0063】
本発明の宿主細胞は、より好ましくは、以下で詳細に特定される不飽和脂肪酸を産生することができる。この目的のために、他のデサチュラーゼまたはエロンガーゼを含むさらなる酵素が、宿主細胞中に内因的に存在する酵素設定に応じて必要となり得る。不飽和脂肪酸の産生にとって必要となり得るさらなる酵素を、例えば、前記酵素をコードする発現可能なポリヌクレオチドで宿主細胞を形質転換することにより、外因的に供給することができることが理解されるべきである。あるいは、望ましくない内因的に存在する酵素の活性を、例えば、アンチセンス核酸、リボザイム、siRNA分子、モルホリノ核酸(ホスホロジアミダートモルホリノオリゴ)、三重らせん形成オリゴヌクレオチド、阻害的オリゴヌクレオチド、またはマイクロRNA分子を適用することにより阻害することができる。特に、本発明により想定される宿主細胞は、より好ましくは、Δ-4-デサチュラーゼ、Δ-5-デサチュラーゼ、Δ-5-エロンガーゼ、Δ-6-デサチュラーゼ、Δ12-デサチュラーゼ、Δ15-デサチュラーゼ、ω3-デサチュラーゼおよびΔ-6-エロンガーゼ活性からなる群より選択される少なくとも1種の酵素活性を含む。さらに、PUFA産生を増加させるため、ならびに特に、ARA、EPAおよび/またはDHA製造のために本発明のデサチュラーゼおよびアシルトランスフェラーゼを発現させることができることが理解されるであろう。
【0064】
本発明はまた、好適な培養培地中で本発明の宿主細胞を培養することによって、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを製造することを含む、ポリペプチドの製造方法も提供する。
【0065】
前記ポリペプチドを、例えば、アフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および抗体沈降などの沈降技術などのあらゆる従来の精製技術により取得することができる。この方法は、好ましいが、ポリペプチドの本質的に純粋な調製を必ずしも得ることができるわけではないことが理解されるべきである。前記方法により得られるポリペプチドは、翻訳後修飾された、例えば、リン酸化もしくはミリスチル化されたか、またはRNAもしくはタンパク質レベルで加工された変異体ポリペプチドを含む。
【0066】
しかしながら、原理的には、本発明は、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドに関する。
【0067】
本明細書で用いられる用語「ポリペプチド」は、他のタンパク質をさらに含む、本質的に精製されたポリペプチドまたはポリペプチド調製物を包含する。さらに、この用語はまた、好ましくは、ポリペプチドが天然に存在する生物起源ではない宿主細胞、植物または植物種子中に存在するポリペプチドを含む。さらに、この用語はまた、上記の本発明のポリヌクレオチドにより少なくとも部分的にコードされる融合タンパク質またはポリペプチド断片にも関する。さらに、それは化学的に改変されたポリペプチドを含む。そのような改変は、人工的な改変またはリン酸化、糖鎖付加、ミリスチル化などの天然の改変であってよい。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」または「タンパク質」は本明細書を通して互換的に用いられる。上記のように、本発明のポリペプチドは、デヒドラターゼ活性を示すべきであり、かくして、本明細書の他の場所に記載されるような宿主細胞またはトランスジェニック動物もしくは植物中での不飽和脂肪酸の製造に用いることができる。
【0068】
本発明はまた、本発明のポリペプチドを特異的に認識する抗体にも関する。
【0069】
本発明のポリペプチドに対する抗体を、本発明に従う精製されたポリペプチドまたはそれから誘導された好適な断片を抗原として用いるよく知られた方法により調製することができる。抗原として好適である断片を、当業界でよく知られた抗原性決定アルゴリズムにより同定することができる。そのような断片を、タンパク質溶解的消化により本発明のポリペプチドから取得するか、またはそのような断片は合成ペプチドであってもよい。好ましくは、本発明の抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体、ヒトもしくはヒト化抗体または霊長類化、キメラ化抗体またはその断片である。また、本発明の抗体として、二特異的抗体、合成抗体、Fab、FvもしくはscFvフラグメントなどの抗体フラグメント、またはこれらのいずれかの化学的に改変された誘導体も含まれる。本発明の抗体は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する(すなわち、他のポリペプチドまたはペプチドと交叉反応しない)べきである。特異的結合を、様々なよく知られた技術により試験することができる。
【0070】
抗体またはそのフラグメントを、例えば、HarlowおよびLane, Antibodies, A Laboratory Manual, CSH Press, Cold Spring Harbor, 1988に記載された方法を用いることにより取得することができる。モノクローナル抗体を、マウスミエローマ細胞と、免疫された哺乳動物から誘導された脾臓細胞との融合を含む、KohlerおよびMilstein, Nature 256 (1975), 495, and Galfre, Meth. Enzymol. 73 (1981), 3に元々記載された技術により調製することができる。
【0071】
抗体を、例えば、本発明のポリペプチドの免疫沈降、免疫局在化もしくは精製(例えば、アフィニティクロマトグラフィーによる)ならびに例えば、組換え生物における前記変異体ポリペプチドの存在のモニタリング、および本発明に従うタンパク質と相互作用する化合物の同定のために用いることができる。
【0072】
不飽和脂肪酸が産生されるように本発明の宿主細胞または本発明の植物もしくは植物種子を培養することを含む、不飽和脂肪酸を製造する方法も本発明により包含される。好ましくは、前記方法は、宿主細胞から不飽和脂肪酸を単離するのに必要とされるさらなる工程を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0073】
また、不飽和脂肪酸の産生の調節が起こるように、本発明の宿主細胞または本発明の植物もしくは植物種子を培養することを含む、不飽和脂肪酸の産生を調節する方法も意図される。
【0074】
本発明の方法の好ましい実施形態においては、前記方法は、前記培養物から不飽和脂肪酸を回収する工程をさらに含む。
【0075】
本発明はさらに、少なくとも1種のデサチュラーゼ標的分子を含む組成物と、少なくとも1種の本発明のポリペプチドとを、不飽和脂肪酸が産生される条件下で接触させることを含む、不飽和脂肪酸を製造する方法に関する。
【0076】
本明細書で用いられる用語「不飽和脂肪酸」または「伸長脂肪酸」は、好ましくは、一般式I:
【化1】

【0077】
(式中、式I中の変数および置換基は、
R1=ヒドロキシル、コエンザイムA(チオエステル)、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾジホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、スフィンゴ塩基もしくは式II:
【化2】

【0078】
のラジカルであり、
R2=水素、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾジホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトールまたは飽和もしくは不飽和C2-C24-アルキルカルボニルであり、
R3=水素、飽和もしくは不飽和C2-C24-アルキルカルボニルであるか、またはR2およびR3は互いに独立に、式Ia:
【化3】

【0079】
のラジカルであり、
n=2、3、4、5、6、7、または9であり、m=2、3、4、5または6であり、p=0または3である)
に示される構造を有する化合物を包含する。
【0080】
好ましくは、一般式I中のR1は、ヒドロキシル、コエンザイムA(チオエステル)、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾジホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、スフィンゴ塩基もしくは式II:
【化4】

【0081】
のラジカルである。
【0082】
R1の上記ラジカルは、そのチオエステルの形態で一般式Iの化合物に常に結合する。
【0083】
好ましくは、一般式II中のR2は、水素、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾジホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトールまたは飽和もしくは不飽和C2-C24-アルキルカルボニルである。さらに、言及することができるアルキルラジカルは、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和C2-C24-アルキルカルボニル鎖、例えば、1個以上の二重結合を含む、エチルカルボニル、n-プロピルカルボニル、n-ブチルカルボニル、n-ペンチルカルボニル、n-ヘキシルカルボニル、n-ヘプチルカルボニル、n-オクチルカルボニル、n-ノニルカルボニル、n-デシルカルボニル、n-ウンデシルカルボニル、n-ドデシルカルボニル、n-トリデシルカルボニル、n-テトラデシルカルボニル、n-ペンタデシルカルボニル、n-ヘキサデシルカルボニル、n-ヘプタデシルカルボニル、n-オクタデシルカルボニル、n-ノナデシルカルボニル、n-エイコシルカルボニル、n-ドコサニルカルボニルもしくはn-テトラコサニルカルボニルである。1個以上の二重結合を含むn-デシルカルボニル、n-ウンデシルカルボニル、n-ドデシルカルボニル、n-トリデシルカルボニル、n-テトラデシルカルボニル、n-ペンタデシルカルボニル、n-ヘキサデシルカルボニル、n-ヘプタデシルカルボニル、n-オクタデシルカルボニル、n-ノナデシルカルボニル、n-エイコシルカルボニル、n-ドコサニルカルボニルもしくはn-テトラコサニルカルボニルなどの飽和もしくは不飽和C10-C22-アルキルカルボニルラジカルが好ましい。好ましいのは、1個以上の二重結合を含むC10-アルキルカルボニル、C11-アルキルカルボニル、C12-アルキルカルボニル、C13-アルキルカルボニル、C14-アルキルカルボニル、C16-アルキルカルボニル、C18-アルキルカルボニル、C20-アルキルカルボニルもしくはC22-アルキルカルボニルラジカルなどの飽和および/もしくは不飽和C10-C22-アルキルカルボニルラジカルである。特に好ましいのは、1個以上の二重結合を含むC20-アルキルカルボニルもしくはC22-アルキルカルボニルラジカルなどの飽和もしくは不飽和C20-C22-アルキルカルボニルラジカルである。これらの好ましいラジカルは、2、3、4、5または6個の二重結合を含んでもよい。脂肪酸鎖において20または22個の炭素原子を有する特に好ましいラジカルは、最大6個の二重結合、有利には、2、3、4または5個の二重結合、特に好ましくは、2、3または4個の二重結合を含む。上記ラジカルは全て、対応する脂肪酸から誘導されたものである。
【0084】
好ましくは、式II中のR3は、水素、飽和もしくは不飽和C2-C24-アルキルカルボニルである。言及することができるアルキルラジカルは、1個以上の二重結合を含むエチルカルボニル、n-プロピルカルボニル、n-ブチルカルボニル、n-ペンチルカルボニル、n-ヘキシルカルボニル、n-ヘプチルカルボニル、n-オクチルカルボニル、n-ノニルカルボニル、n-デシルカルボニル、n-ウンデシルカルボニル、n-ドデシルカルボニル、n-トリデシルカルボニル、n-テトラデシルカルボニル、n-ペンタデシルカルボニル、n-ヘキサデシルカルボニル、n-ヘプタデシルカルボニル、n-オクタデシルカルボニル、n-ノナデシルカルボニル、n-エイコシルカルボニル、n-ドコサニルカルボニルもしくはn-テトラコサニルカルボニルなどの置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和C2-C24-アルキルカルボニル鎖である。1個以上の二重結合を含むn-デシルカルボニル、n-ウンデシルカルボニル、n-ドデシルカルボニル、n-トリデシルカルボニル、n-テトラデシルカルボニル、n-ペンタデシルカルボニル、n-ヘキサデシルカルボニル、n-ヘプタデシルカルボニル、n-オクタデシルカルボニル、n-ノナデシルカルボニル、n-エイコシルカルボニル、n-ドコサニルカルボニルもしくはn-テトラコサニルカルボニルなどの飽和もしくは不飽和C10-C22-アルキルカルボニルラジカルが好ましい。好ましいのは、1個以上の二重結合を含むC10-アルキルカルボニル、C11-アルキルカルボニル、C12-アルキルカルボニル、C13-アルキルカルボニル、C14-アルキルカルボニル、C16-アルキルカルボニル、C18-アルキルカルボニル、C20-アルキルカルボニルもしくはC22-アルキルカルボニルラジカルなどの飽和および/もしくは不飽和C10-C22-アルキルカルボニルラジカルである。特に好ましいのは、1個以上の二重結合を含むC20-アルキルカルボニルもしくはC22-アルキルカルボニルラジカルなどの飽和もしくは不飽和C20-C22-アルキルカルボニルラジカルである。これらの好ましいラジカルは、2、3、4、5または6個の二重結合を含んでもよい。脂肪酸鎖において20または22個の炭素原子を有する特に好ましいラジカルは、最大6個の二重結合、有利には、2、3、4または5個
の二重結合、特に好ましくは、2、3または4個の二重結合を含む。上記ラジカルは全て、対応する脂肪酸から誘導されたものである。
【0085】
R1、R2およびR3の上記ラジカルを、ヒドロキシルおよび/もしくはエポキシ基により置換してもよく、ならびに/またはそれらは三重結合を含んでもよい。
【0086】
本発明に従う不飽和脂肪酸は、好ましくは、ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)である。本発明に従うポリ不飽和脂肪酸は、有利には、少なくとも2個、有利には、3、4、5または6個の二重結合を含む。前記脂肪酸は、特に有利には、2、3、4または5個の二重結合を含む。不飽和脂肪酸は、好ましくは、脂肪酸鎖中に20または22個の炭素原子を含む。有利には、飽和脂肪酸を、前記プロセスにおいて用いられる核酸により少ない程度で反応させるか、または全く反応させない。少ない程度とは、飽和脂肪酸を、ポリ不飽和脂肪酸と比較して、5%未満の活性、有利には、3%未満、特に有利には、2%未満の活性で反応させることを意味すると理解されるべきである。産生されたこれらの脂肪酸を、単一の産物として前記委プロセス中で生産するか、または脂肪酸混合物中に存在させることができる。
【0087】
有利には、一般式IおよびII中の置換基R2またはR3は、互いに独立に、飽和もしくは不飽和C20-C22-アルキルカルボニルであり;特に有利には、互いに独立に、少なくとも2個の二重結合を含む不飽和C20-もしくはC22-アルキルカルボニルである。
【0088】
本発明に従うポリ不飽和脂肪酸は、膜脂質および/またはトリアシルグリセリド中で結合しているのが好ましいが、遊離脂肪酸として、または他の脂肪酸エステルの形態で結合して生物中に存在してもよい。本文脈においては、それらは「純粋な産物」として、または他に有利には、様々な脂肪酸の混合物、もしくは異なるグリセリドの混合物の形態で存在してもよい。トリアシルグリセリド中で結合している様々な脂肪酸を、4〜6個のC原子を有する短鎖脂肪酸、8〜12個のC原子を有する中鎖脂肪酸または14〜24個のC原子を有する長鎖脂肪酸から誘導することができる。本発明の方法に従えば、好ましいのは長鎖脂肪酸、特に、C20-および/またはC22-脂肪酸の長鎖PUFA(LCPUFA)である。
【0089】
本発明の意味における好ましい不飽和脂肪酸を、ARA 20:4 (5,8,11,14)、EPA 20:5 (5,8,11,14,17)、およびDHA 22:6 (4,7,10,13,16,19)からなる群より選択する。前記プロセスにおいて産生されるARA、EPAおよび/またはDHAは、上記のように、脂肪酸誘導体、例えば、スフィンゴ脂質、ホスホグリセリド、脂質、糖脂質、リン脂質、モノアシルグリセロール、時アシルグリセロール、トリアシルグリセロールまたは他の脂肪酸エステルの形態にあってもよい。存在するARA、EPAおよび/またはDHAならびに他のポリ不飽和脂肪酸を、例えば、アルカリ、例えば、水性KOHもしくはNaOHによる処理、または酸加水分解を介して、有利には、メタノールもしくはエタノールなどのアルコールの存在下、または酵素的切断を介して遊離させ、例えば、相分離および例えば、H2SO4を介するその後の酸性化を介して単離することができる。また、脂肪酸を上記の加工工程を用いずに直接遊離させることができる。
【0090】
用語「デサチュラーゼ標的分子」は、好ましくは、本発明のポリペプチドの基質を包含する。特に好ましい標的分子は、オレイン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、α-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸(n-3)、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサペンタエン酸である。
【0091】
本発明は、上記方法の工程および前記不飽和脂肪酸を含む油を調製するか、または単離するさらなる工程を含む、油の製造方法を提供する。
【0092】
本発明はまた、宿主細胞、植物または植物種子中に、本発明の核酸分子または本発明のベクターを導入することを含む、不飽和脂肪酸を生成することができる宿主細胞、植物または植物種子を製造する方法にも関する。
【0093】
本発明は、本発明の方法により取得可能な、または上記方法により製造された宿主細胞、植物もしくは植物種子により取得可能な、本発明の植物もしくは植物種子により産生される油を含む。
【0094】
用語「油」とは、不飽和または飽和の、好ましくはエステル化された脂肪酸を含む脂肪酸混合物を指す。油は、好ましくは、ポリ不飽和遊離または有利には、エステル化脂肪酸、特に好ましくは、上記のLCPUFAの含有量が高い。不飽和エステル化脂肪酸の量は、好ましくは、約30%の量であり、50%の含量がより好ましく、60%、70%、80%以上の含量がさらにより好ましい。分析のために、脂肪酸含量を、例えば、脂肪酸をトランスエステル化によりメチルエステルに変換した後、GCにより決定することができる。油は、様々な他の飽和もしくは不飽和脂肪酸、例えば、カレンジュラ酸、パルミチン酸、パルミトール酸、ステアリン酸、オレイン酸などを含んでもよい。油または脂肪中の様々な脂肪酸の含量は、特に、出発生物に応じて変化してもよい。しかしながら、油は、不飽和脂肪酸組成および含量に関して非天然の組成を有するべきである。さらに、本発明は油は、同様に他の分子種を含んでもよい。具体的には、それは本発明の核酸分子の少量の不純物を含んでもよい。しかしながら、そのような不純物は、PCRなどの高感度技術によってのみ検出することができる。
【0095】
本発明はまた、本発明の方法の工程と、前記不飽和脂肪酸を含む医薬を製剤化するさらなる工程とを含む医薬の製造のための方法も含む。
【0096】
用語「医薬」は、本明細書では以下に詳細に説明される用語「医薬組成物」と互換的に用いられる。本明細書で用いられる用語「医薬」または「医薬組成物」は、本発明の化合物と、必要に応じて、1種以上の製薬上許容し得る担体とを含む。本発明の化合物を、製薬上許容し得る塩として製剤化することができる。許容し得る塩としては、酢酸塩、メチルエステル、HCl、硫酸塩、塩化物などが挙げられる。医薬組成物を、好ましくは、局所的または全身的に投与する。薬剤投与に従来から用いられる好適な投与経路は、経口、静脈内、または非経口投与ならびに吸入である。しかしながら、化合物の作用の性質および様式に応じて、医薬組成物を同様に他の経路により投与してもよい。例えば、ポリヌクレオチド化合物を、ウイルスベクターまたはウイルスもしくはリポソームを用いることにより遺伝子療法手法において投与することができる。
【0097】
さらに、前記化合物を、共通の医薬組成物中で、またはキットの一部の形態で提供することができる別々の医薬組成物として、他の薬剤と組合わせて投与することができる。
【0098】
前記化合物を、好ましくは、従来の手順に従って前記薬剤と、標準的な医薬担体とを混合することにより調製された従来の剤形で投与する。これらの手順は、必要に応じて成分を混合、顆粒化および圧縮または溶解して所望の調製物にすることを含んでもよい。製薬上許容し得る担体または希釈剤の形態および特徴は、それと共に混合しようとする活性成分の量、投与経路および他のよく知られた変数により決定されることが理解されるであろう。
【0099】
前記担体は、製剤の他の成分と適合可能であり、そのレシピエントに対して有害ではないという意味で許容し得るものでなければならない。用いられる医薬担体は、例えば、固体、ゲルまたは液体であってよい。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。液体担体の例は、リン酸緩衝生理食塩溶液、シロップ、ピーナッツ油およびオリーブ油などの油、水、乳濁液、様々な型の湿潤剤、滅菌溶液などである。同様に、前記担体または希釈剤は、グリセリルモノ-ステアリン酸もしくはグリセリルジステアリン酸などの、当業界でよく知られた時間遅延材料を単独で、またはワックスと共に含んでもよい。前記好適な担体は、上記のものおよび当業界でよく知られた他のものを含んでもよく、例えば、Remington´s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照されたい。
【0100】
組合せ物の生物活性に影響しないように希釈剤を選択する。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、およびハンクス溶液である。さらに、医薬組成物または製剤はまた、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療的、非免疫原性安定剤などを含んでもよい。
【0101】
治療上有効用量とは、本明細書に記載の疾患または症状に付随する症候を予防、改善または治療する本発明の医薬組成物において用いられる化合物の量を指す。そのような化合物の治療効力および毒性、例えば、ED50(集団の50%において治療上有効な用量)およびLD50(集団の50%に対して致死的な用量)を、細胞培養物または実験動物における標準的な医薬手順により決定することができる。治療効果と毒性効果の間の用量比は治療指数であり、それをLD50/ED50比として表すことができる。
【0102】
投与計画を、好ましくは、上記方法のいずれか1つに従って、主治医および他の臨床因子により決定することができる。医学業界においてよく知られるように、任意の1人の患者のための用量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与しようとする特定の化合物、性別、投与の時間および経路、全体的な健康、および同時に投与する他の薬剤などの多くの因子に依存する。定期的評価により進行をモニターすることができる。典型的な用量は、例えば、1〜1000μgの範囲にあってよいが、特に、上記の因子を考慮して、この例示的範囲の前後の用量も想定される。一般的には、医薬組成物の規則的投与としての計画は、1日あたり1μg〜10 mgの範囲にあるべきである。この計画が連続輸液である場合、それはまた、それぞれ、1分あたり、体重1キログラムあたり、1μg〜10 mg単位の範囲にあるできである。定期的評価により進行をモニターすることができる。しかしながら、被験者および投与様式に応じて、物質投与の量は広範囲にわたって変化してもよい。
【0103】
本明細書に記載の医薬組成物および製剤を、少なくとも1回投与して、本明細書に記載の疾患または症状を治療または改善または予防する。しかしながら、前記医薬組成物を、毎日2回以上、例えば、1〜4回、非限定的日数投与することができる。
【0104】
特定の医薬組成物を、医薬業界でよく知られた様式で調製し、上記の少なくとも1種の活性化合物を、混合物中で、またはさもなければ製薬上許容し得る担体または希釈剤と共に含む。特定の医薬組成物を作製するために、通常、活性化合物を担体もしくは希釈剤と混合するか、またはカプセル、サチェット、カシェット、紙もしくは他の好適な容器もしくはビヒクル中に封入もしくは包含させることができる。得られる製剤を、投与様式、すなわち、錠剤、カプセル、坐剤、溶液、懸濁液などの形態に適合させる。用量の推奨を処方者または使用者用説明書において指示して、考えられるレシピエントに応じて用量調整を予測するべきである。
【0105】
化粧適用のためには、医薬の製薬上の活性成分としての本明細書に記載の化合物を、ヘアトニック、育毛剤組成物、シャンプー、粉末、ジェリー、ヘアリンス、軟膏、ヘアローション、ペースト、ヘアクリーム、ヘアスプレーおよび/またはヘアエアロゾルとして製剤化することができる。
【0106】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、ポリペプチド、植物もしくは植物種子または油を含む医薬に関する。
【0107】
さらに、本発明は、動物用飼料、栄養補助食品、または食品の製造のための、本発明のポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、ポリペプチド、植物もしくは植物種子または油の使用に関する。
【0108】
最後に、本発明は、
a)配列番号1、3、5、7、31、33、35、37、102、106、108、110、112、135、137もしくは139に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、点突然変異、トランケーション、反転、欠失、付加、置換および相同組換えからなる群より選択される少なくとも1つの技術により破壊される前記核酸分子;
b)配列番号1、3、5、7、31、33、35、37、102、106、108、110、112、135、137もしくは139に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、配列番号1、3、5、7、31、33、35、37、102、106、108、110、112、135、137もしくは139に記載の配列と比較して1個以上の核酸改変を含み、その改変が点突然変異、トランケーション、反転、欠失、付加および置換からなる群より選択される、前記核酸分子;ならびに
c)配列番号1、3、5、7、31、33、35、37、102、106、108、110、112、135、137もしくは139に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該核酸分子の調節領域が、点突然変異、トランケーション、反転、欠失、付加、置換および相同組換えからなる群より選択される少なくとも1つの技術により、該分子の野生型調節領域と比較して改変される、前記核酸分子、
からなる群より選択される核酸分子を含む細胞に関する。
【0109】
本出願を通して引用される全ての参考文献の内容は、一般的に、また上記のその特定の開示の内容に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0110】
(実施例)
ここで、本発明を以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、しかしながら、それらはどんなものでも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0111】
ドレクスレラ・トリチシ-レペンチス(Drechsler tritici-repentis)、シリンドルカルポン・ハーテロネマ(Cylindorcarpon heteronema)、ディプロイダ・ナタレンシス(Diplodia natalensis)、スタゴノスポラ・ノドラム(Stagonospora nodorum)、ミクロドチウム・ニバラ(Microdochium nivalae)およびペリプラネタ・アメリカーナ(Periplaneta americana)からのデサチュラーゼのクローニング
材料および方法
ドレクスレラ・トリチシ-レペンチス(Drechsler tritici-repentis)、シリンドルカルポン・ハーテロネマ(Cylindorcarpon heteronema)、ディプロイダ・ナタレンシス(Diplodia natalensis)、スタゴノスポラ・ノドラム(Stagonospora nodorum)およびミクロドチウム・ニバラ(Microdochium nivalae)の増殖と収穫
菌類をDSMZ(German collection of microorgamisms and cells, Braunschweig)から取得し、以下の条件下でプレート上で増殖させた。
【0112】

RNAの単離を、Qiagen社製RNAeasyキットを用いて、製造業者のプロトコルに従って行った。
【0113】
ペリプラネタ・アメリカーナ(Periplaneta americana)の増殖と収穫
ペリプラネタ・アメリカーナを、庭園土壌上、70加羅0%の湿度、25〜30℃で培養した。飼料として、新鮮な野菜を添加したドッグフードを用いた。RNAの単離を、EP0464553に記載のように行った。
【0114】
核酸操作とPCRに基づくクローニング
RNAの単離を上記のように行った。転写物を逆転写酵素PCR(RT-PCR)により分析した。第1鎖cDNAを、製造業者の説明書に従って、SMART RACE cDNA Amplificationキット(BD-Clontech, Basingstoke, UK)を用いて全RNAから合成した。一本鎖cDNAを以下のプライマーを用いて増幅した。
【0115】
ドレクスレラ・トリチシ-レペンチス(Drechsler tritici-repentis)、シリンドルカルポン・ハーテロネマ(Cylindorcarpon heteronema)、ディプロイダ・ナタレンシス(Diplodia natalensis)、スタゴノスポラ・ノドラム(Stagonospora nodorum)およびミクロドチウム・ニバラ(Microdochium nivalae)のデサチュラーゼのクローニングに用いたプライマーは以下の通りである。
【0116】

ペリプラネタ・アメリカーナ(Periplaneta americana)のデサチュラーゼのクローニングに用いたプライマーは以下の通りである。
【0117】

縮重プライマーは、IUPAC標準命名法にある。
【0118】
PCR増幅を、以下の方法で行った:反応を95℃で2分間、次いで、94℃で30秒を30サイクル、プライマー設計に従って55〜72℃の範囲の温度で30秒、および72℃で2分間、次いで、72℃で10分間の単一工程で加熱した。PCR増幅産物をTOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、配列決定により検証した。
【0119】
上記のセットのプライマーから、プライマー対Zan348-350およびSen014-015が、デサチュラーゼに対する配列相同性を有する断片を送達した。
【0120】
製造業者のプロトコルに従ってSmart-RACEキット(BD-Clontech, Basingstoke, UK)を用いることにより、DNA片の5'および3'領域をさらに活用した。
【0121】
全長配列を、表1に記載のプライマー対を用いて取得した。
【表1】

【0122】
全長断片から、ORF配列とアミノ酸配列を推定した(表2)。
【表2】

【0123】
全長配列のPCR断片を、製造業者のプロトコルに従ってpCR-bluntII-TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、配列決定により検証した。
【0124】
酵母発現ベクターのクローニング
酵母中での発現および特性評価のために、新規デサチュラーゼ遺伝子のORF配列を、5'末端にKozak配列を付加するプライマーを用いてORF配列を増幅することにより、ベクターpYES2-TOPO(Invitrogen)中にクローニングした(表3)。上記と同じPCRプロトコルを用いた。表4に記載のベクターを作製し、新規デサチュラーゼ遺伝子の機能的特性評価のために用いた。
【表3】

【表4】

【0125】
サッカロミセス・セレビジアにおける機能的特性評価
サッカロミセス・セレビジア株INVSC(Invitrogen)を、表4に記載の構築物または対照としての空のベクター(pYES2-bluntII-TOPO)を用いて形質転換した。形質転換された細胞を、ラフィノースを含む最少培地中で増殖させ、2%ガラクトースを用いて誘導した。48時間の増殖後、全酵母脂肪酸を抽出し、得られたFAMEをGCにより分析した。
【0126】
pYES-Dt、pYES-DnおよびpYES-Snを用いて形質転換された酵母のGC分析(図3)により、リノール酸として同定されたさらなる脂肪酸が産生され、本発明者らがクローニングした遺伝子がΔ12デサチュラーゼをコードすることを示していることが示された。Δ12デサチュラーゼを発現する酵母細胞は、C18:1Δ9基質を認識することができる。脂肪酸18:2Δ9,12を酵母培地に添加した場合、各デサチュラーゼ間のさらなる差異を同定することができた。さらに、酵母脂質組成16:1Δ7に由来する別の脂肪酸も、pYES-DnおよびpYES-Snで形質転換された酵母において16:2Δ7,10に変換されるが、pYES-Dtで形質転換された細胞はこの活性を示さない。
【0127】
表5に示される様々な活性は、新規デサチュラーゼの機能活性を示している。主な活性に基づいて、それらをd12-デサチュラーゼと命名する。さらに、他の活性は、新しく発見されたデサチュラーゼが互いに異なり、以前には証明されていなかったこのクラスの酵素に関する新しい活性を示すことの証拠である。特に、d12Des(Dn)の高い活性は予想外のものであり、本発明者らの知識はいかなる公知のd12-デサチュラーゼについても報告されていない。
【0128】
d15Des(Cyh)については、18:2Δ9,12を18:3Δ9,12,15に変換する18:2Δ9,12に関する活性のみを示すことができた。従って、d15Des(Cyh)はΔ15-デサチュラーゼ活性を有し、従ってΔ15-デサチュラーゼと命名された。
【0129】
例えば、18:1Δ9の18:2Δ9,12への変換率(%)を、以下の式により算出する。
【0130】

【表5】

【実施例2】
【0131】
植物における発現のための構築物の作製
植物における新規デサチュラーゼ遺伝子の発現のために、アグロバクテリウム形質転換のためのバイナリープラスミドを設計した。
【0132】
さらに、エイコサペンタエン酸に向かう全経路の多発現のための構築物を構築した。これらの構築物は、いくつかの酵素活性、すなわち、d12-デサチュラーゼ(オレイン酸のリノール酸への変換)、d15-デサチュラーゼ(リノール酸のリノレン酸への変換)、d6-デサチュラーゼ(それぞれ、リノール酸およびリノレン酸のγ-リノレン酸およびステアリドン酸への変換)、d6-エロンガーゼ(γ-リノレン酸およびステアリドン酸のジホモ-γ-リノレン酸およびエイコサテトラエン酸への変換)、d5-デサチュラーゼ(ジホモ-γ-リノレン酸およびエイコサテトラエン酸のARAおよびEPAへの変換)、ω3-デサチュラーゼ(ARAのEPAへの変換)を利用する。そのような構築物を、当業者には公知の標準的な分子生物学的方法を用いることにより集合させた。完全なバイナリーベクター(LJB1139)の配列を、配列番号71に列挙する。ベクターエレメントを表6に記載する。
【表6】

【0133】
さらに他のバイナリーベクターを、以下の実験工程に従って構築した。
【0134】
構築物Napin-3、Napin-4およびNapin-5を構築するために、3種のナピンプロモーター、3種の異なるマルチクローニング部位リンカーおよび3種のオクトパインシンターゼ(OCS)ターミネーターを含む三重カセットを、プラスミドpUC19 (Genbank M77789)中で構築した。ピチウム・イレグラレに由来するΔ6デサチュラーゼ遺伝子であるPiΔ6(Hongら、2002 High-level production of γ-linolenic acid in Brassica juncea using a Δ6 desaturase from Pythium irregulare. Plant Physiol. 129, 354-362)(配列番号9)、トラウストキトリウム種のATCC 26185に由来するΔ5デサチュラーゼ遺伝子であるTcΔ5(Qiuら、2001 Identification of a Δ4 fatty acid desaturase from Thraustochytrium sp. involved in the biosynthesis of docosahexanoic acid by heterologous expression in Saccharomyces cerevisiae and Brassica juncea. J. Biol. Chem. 276, 31561-31566)(配列番号13)およびタラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)に由来するエロンガーゼ遺伝子であるTpElo(Meyerら、2004 Novel fatty acid elongases and their use for the reconstitution of docosahexaenoic acid biosynthesis. J. Lipid Res. 45, 1899-1909)(配列番号11)をこのカセット中に挿入することにより、3遺伝子構築物を構築した。4遺伝子構築物Napin-4については、ナピンプロモーターに連結されたクラビセプス・パープレア(Claviceps purpurea)に由来するデサチュラーゼ遺伝子CpDesXを含むXhoI/SalI断片(Meesapyodsukら、2007 Primary structure, regioselectivity, and evoloution of the membrane-bound fatty acid desaturases of Claviceps purpurea. J. Biol. Chem. 282, 20191-20199)(配列番号25)とOCSターミネーターを1遺伝子構築物から除去し、三重遺伝子構築物中にサブクローニングした。5遺伝子構築物Napin-5については、同じ手法を用いて、ピチウム・イレグラレに由来するω3デサチュラーゼ遺伝子(Pi-ω3)(配列番号17)を付加した。最後に、これらの3、4、および5遺伝子構築物を、AscIを用いる消化によりpUC19から除去し、バイナリーベクターpSUN2中にクローニングした(図5)。上記と同じΔ5およびΔ6デサチュラーゼ+トラウストキトリウム種由来Δ6エロンガーゼ(配列番号15)、フィトフテラ・インフェスタンス由来ω3デサチュラーゼ(配列番号17)、ならびにカレンデュラ・オフィシアナリス由来Δ12デサチュラーゼ(配列番号72)を含むNapin-A構築物を、Wuら(2005) Stepwise engineering to produce high yields of very long-chain polyunsaturated fatty acids in plants. Nat. Biotechnol. 23, 1013-1017に記載のように構築した。Napin-Aは、ナピンプロモーターの制御下の各遺伝子を含む5遺伝子構築物である。
【0135】
全てのバイナリーベクターを、エレクトロポレーションによりアグロバクテリウム・ツメファシエンス株GV3101(pMP90)中に導入した。
【0136】
次いで、得られるアグロバクテリウム株を、トランスジェニック植物の作製に用いた(Deblaereら、1984, Nucl. Acids. Res. 13: 4777-4788)。
【実施例3】
【0137】
トランスジェニック植物の作製
a)トランスジェニック菜種植物の生成(Moloneyら、1992, Plant Cell Reports, 8:238-242に従う修正プロトコル)
菜種植物の形質転換については、3%サッカロースを補給したMurashige-Skoog培地(MurashigeおよびSkoog 1962 Physiol. Plant. 15, 473)(3MS培地)中で増殖させた陽性形質転換アグロバクテリウムコロニーの一晩培養物の1:50希釈液を用いた。滅菌菜種植物の葉柄(Petiol)または子葉下(Hypocotyledon)を、1:50のアグロバクテリウム希釈液と共に5〜10分間、ペトリ皿中でインキュベートした。次いで、0.8%bacto-Agarを含む3MS培地上、25℃で暗室中、3日間の同時インキュベーションを行った。3日後、培養物を、500 mg/l クラフォラン(セフォタキシム-ナトリウム)、50 mg/lカナマイシン、20μMベンジルアミノプリン(BAP)および1.6 g/lグルコースを含むMS培地上で毎週、16時間明室/8時間暗室上に置いた。成長する芽を、2%サッカロース、250 mg/lクラフォランおよび0.8%Bacto-Agarを含むMS培地に移した。3週間後でも、根の形成は観察されず、根の形成を増強するために、成長ホルモン2-インドールブチル酸を培地に添加した。
【0138】
カナマイシンおよびクラフォランを含む2MS培地上で、再生された芽が得られ、これを発芽のために温室に移した。開花後、成熟種子を収穫し、Quiら、2001, J. Biol. Chem. 276, 31561-31566に記載のように脂質分析を介して遺伝子の発現について分析した。
【0139】
b)トランスジェニックブラシカ・カリナタ(Brassica carinata)植物の作製(Moloneyら、1992, Plant Cell Reports, 8:238-242に従う修正プロトコル)
ブラシカ・カリナタ系列C90-1163(高エルカ酸系)および10H3(ゼロエルカ酸系)の種子を、形質転換に用いた。Moloneyら(1992)により記載されたプロトコルを、ブラシカ・カリナタの形質転換に用いた。5〜6日齢の苗に由来する子葉、葉柄を切り出し、所望の遺伝子構築物を含むアグロバクテリウム・ツメファシエンス株GV3101を接種し、22℃で2日間同時培養した後、25 mg/Lカナマイシンを含む再生培地に移した。
【0140】
c)トランスジェニック亜麻植物の作製
トランスジェニック亜麻植物の作製を、粒子ボンバードメントを用いるBellら、1999, In Vitro Cell. Dev. Biol. Plant 35(6):456-465の方法に従って実行した。アグロバクテリウム形質転換を、Mlynarovaら(1994), Plant Cell Report 13: 282-285に従って実行することができた。
【0141】
全ての実験について全ての得られた推定トランスジェニック植物を、PCR分析により検証した。
【実施例4】
【0142】
脂質抽出
Ullman, Encyclopedia of Industrial Chemistry, Bd. A2, S. 89-90およびS. 443-613, VCH: Weinheim (1985); Fallon, A.ら(1987) “Applications of HPLC in Biochemistry“ in: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Bd. 17; Rehmら(1993) Biotechnology, Bd. 3, Kapitel III: “Product recovery and purification“, S. 469-714, VCH: Weinheim; Belter, P.A.ら(1988) Bioseparations: downstream processing for Biotechnology, John Wiley and Sons; Kennedy, J.F.およびCabral, J.M.S. (1992) Recovery processes for biological Materials, John Wiley and Sons; Shaeiwitz, J.A., およびHenry, J.D. (1988) Biochemical Separations, in: Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Bd. B3; Kapitel 11, S. 1-27, VCH: Weinheim; ならびにDechow, F.J. (1989) Separation and purification techniques in biotechnology, Noyes Publicationsなどの標準的な文献に記載のように脂質を抽出することができる。
【0143】
あるいは、抽出を、Cahoonら(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96 (22):12935-12940, およびBrowseら(1986) Analytic Biochemistry 152:141-145に記載のように実行することができる。脂質または脂肪酸の定量および定性分析は、Christie, William W., Advances in Lipid Methodology, Ayr/Scotland: Oily Press (Oily Press Lipid Library; 2); Christie, William W., Gas Chromatography and Lipids. A Practical Guide - Ayr, Scotland: Oily Press, 1989, Repr. 1992, IX, 307 S. (Oily Press Lipid Library; 1); “Progress in Lipid Research, Oxford: Pergamon Press, 1 (1952) - 16 (1977) u.d.T.: Progress in the Chemistry of Fats and Other Lipids CODENに記載されている。
【0144】
上手く形質転換された植物種子の脂質パターンは対照植物種子のパターンと異なるであろうため、分析される脂質に基づいて、導入された遺伝子(デサチュラーゼおよびエロンガーゼ)の発現を決定することができる。種子の脂肪酸分析を、Qiuら、J. Biol. Chem. 276, 31561-31566により記載されたGCにより実施した。
【実施例5】
【0145】
新規植物油の生産
構築物LJB1139(配列番号71)のために、トランスジェニックセイヨウアブラナ植物を取得した。種子の脂肪酸分析により、予想された新規脂肪酸が産生されることが示された(図6)。オレイン酸およびリノール酸は、非トランスジェニックセイヨウアブラナ油と比較して、それぞれ、11.7%および2.3%減少した。GLA(24.4%)およびSDA(6.8%)が新規に産生された脂肪酸である。さらに高レベルのEPAを達成することができた(最大21.7%のEPA)。この油は、ヒトの消費および飼料にとって非常に有益な脂肪酸である。有益な脂肪酸組成物を産生する他の遺伝子組合せは、それぞれ、LJB1139においては配列番号23の除去、ならびに配列番号25、27もしくは29の付加である。配列番号11の除去および配列番号133の付加はさらに、別の新規脂肪酸スペクトルをもたらす。
【0146】
高エルカ酸ブラシカ・カリナタ系については、Napin-A構築物を担持するトランスジェニック植物を取得した。この植物は予想された新規脂肪酸を産生した(表7)。これらの植物においては、GLAおよびSDAは、それぞれ、種子中で総脂肪酸の平均18.2%および2.9%であった。ARAの量は、0.4〜4.3%(平均2.8%)の範囲であったが、EPAは9.3%の平均レベルに達し、観察された最も高い値は13.7%であった。DPAの平均量は1.4%であった。Δ6およびΔ5デサチュラーゼは共に、非常に良好に機能し、その変換レベルはそれぞれ81.5%および87.1%であったが、Δ6エロンガーゼは42.5%の変換レベルを示した。
【表7】

【0147】
低エルカ酸ブラシカ・カリナタ系については、Napin-A構築物を担持するトランスジェニック植物を取得し、その種子は様々なレベルの予想された新規脂肪酸を含んでいた(表8)。GLAおよびSDAの量は、それぞれ、総脂肪酸の平均29.6%(27.7〜31.7%の範囲)および6.2%(3.9〜8.1%の範囲)であった。ARAの平均レベルは6.5%(6.1〜6.9%の範囲)であり、一方、EPAは個々の種子中で25.0%に達し、その平均は20.2%であった。DPA含量は平均2.5%であった。新規脂肪酸の凝集量は総脂肪酸の69.2%に達した。Δ6およびΔ5デサチュラーゼは非常に良好に機能し、その変換レベルはそれぞれ91.2%および87.7%であった。Δ6エロンガーゼは、低エルカ酸ブラシカ・カリナタ系においては47.9%の変換レベルを示し、これはいずれかの高エルカ酸ブラシカ・カリナタ系において観察されたものよりも高かった。トランスジェニック低エルカ酸ブラシカ・カリナタは、現在まで得られた最も高いレベルの22炭素PUFAの1つを産生し、これはΔ5-脱飽和産物に特異的なエロンガーゼを使用せずに達成された。
【表8】

【0148】
ブラシカ・カリナタにおけるEPA産生に対する2種のデサチュラーゼの効果
Δ5デサチュラーゼ、Δ6デサチュラーゼおよびΔ6エロンガーゼを含む3種の遺伝子の最小セットが、内因性LA(18:2Δ9,12)およびALA(18:3Δ9,12,15)からのARAおよびEPAの合成にとって必要である。トランスジェニック植物におけるEPA産生に対する、2種の新規デサチュラーゼ遺伝子CpDesXおよびPi-ω3の寄与を定量するために、本発明者らは、3種の遺伝子の最小セットを担持する植物におけるARAおよびEPAの基本レベルを知ることが必要であった。この目的のために、ピチウム・イレグラレ由来Δ6デサチュラーゼ(配列番号9)、トラウストキトリウム種由来Δ5デサチュラーゼ(配列番号13)、およびタラシオシラ・シュードナナ由来Δ6エロンガーゼ(配列番号11)を含む遺伝子構築物Napin-3(図5)を、高エルカ酸ブラシカ・カリナタ系に導入した。Napin-3を担持する植物のトランスジェニック種子中で、GLAおよびSDAはそれぞれ、総脂肪酸の平均17.6%および4.3%であった(表9)。ARAの量は12.2%(平均8.4%)に達し、EPAは2.3%の平均レベル(0.8%〜3.5%の範囲)を有していた。Δ6およびΔ5デサチュラーゼは非常に良好に機能し、その基質変換レベルはそれぞれ、73.7%および85.6%であったが、Δ6エロンガーゼの変換レベルは36.3%であった。新規ω-6脂肪酸(GLA、DGLAおよびAA)の総量は種子脂肪酸の27.5%であったが、ω3脂肪酸(SDA、ETAおよびEPA)は6.9%であり、これはω6経路がω3経路よりも効率的に動作していることを示している。
【表9】

【0149】
酵母における実験において、18炭素のω3デサチュラーゼ遺伝子CpDesXは、LAをALAに、GLAをSDAに変換することができた(Meesapyodsukら、2007)。本発明者らは、初期のω3基質ALAの増加および/またはGLAのSDAへの変換がより高いEPA産生をもたらし得ると感じた。CpDesXが植物中のω3脂肪酸のレベルを増加させることができたかどうかを決定するために、この遺伝子を3遺伝子構築物Napin-3に付加し、4遺伝子構築物Napin-4を作製した。トランスジェニック植物を取得した。CpDesX(配列番号25)の発現は、ω3脂肪酸のレベルを実質的に増加させた;SDAは個々の種子中で9.4%に達し、その平均レベルは6.3%であったが、平均EPAレベルが、Napin-3を担持するトランスジェニック種子中で見出された2.3%から4.2%に上昇した(表10)。新規ω6およびω3脂肪酸の総量は、それぞれ平均19.0%および10.9%であったが、これはCpDesXデサチュラーゼの活性に起因するω3経路を介する流量の増加を示している。ω3脂肪酸のこの増加は、CpDesXがトランスジェニック植物におけるEPA産生の重要な寄与をなすことができることを示唆している。
【表10】

【0150】
植物中でのARAのEPAへの変換における20炭素のω3デサチュラーゼPi-ω3の活性を試験するために、Pi-ω3を4遺伝子構築物Napin-4に付加した。様々なレベルの予想された新規脂肪酸を含むトランスジェニック植物を作製して取得した(表11)。Pi-ω3デサチュラーゼ(配列番号17)の発現は、ARAのEPAへの効率的な変換をもたらす。この遺伝子の添加に関して、EPA含量は、Napin-4を担持するトランスジェニック種子において4.2%の平均レベルから、Napin-5を含むトランスジェニック種子において9.7%の平均レベルまで実質的に増加し、観察された最も高い値は15.5%であった。新規ω6およびω3脂肪酸のレベルは、それぞれ、平均13.0%および16.5%であった。Napin-5構築物を担持するトランスジェニック種子において達成された高レベルのEPAを、2種の新規デサチュラーゼ遺伝子(CpDesXおよびPi-ω3)の活性に帰することができる。
【表11】

【実施例6】
【0151】
新規油産物の生産の最適化
実施例5に示されたように、様々な遺伝子と調節エレメントを組合わせることにより、様々なブラシカ種の種子油中で有意なレベルの新規脂肪酸を産生させることができる。ARA、EPAおよび/もしくはDHAなどの特殊な脂肪酸のさらなる増加のため、または新規脂肪酸の全体の産生の増加のためには、さらなる遺伝子が必要であり得る。そのようなさらなる遺伝子は、その対応する産生プール(リン脂質、アシル-CoA)からの様々な脂肪酸のシャッフリングにおいて、または新規脂肪酸を様々な分子(ジアシルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルセリン、1-アシル-ホスファチジルコリンなど)にエステル化することによる機能を有してもよい。アシルトランスフェラーゼは、上記のようにそのような活性を利用する。過去には、新規脂肪酸の産生を増加させるためのそのような活性を単離するいくつかの手法があった(例えば、WO2004/076617、WO2004/087902)。実施例5に記載の遺伝子と共に上記の遺伝子を形質転換することにより新規遺伝子活性を導入すること以外に、別の方法は過剰発現または下方調節(アンチセンスRNA、逆転RNAまたはmiRNA技術)によるアシルトランスフェラーゼ活性を有する内因性遺伝子の調節である。
【0152】
ブラシカ種については、ARA、EPAおよび/もしくはDHAレベルの増加または新規脂肪酸の全体の産生に関して有益なアシルトランスフェラーゼ活性を有するいくつかのアシルトランスフェラーゼを同定することができた。
【0153】
Chenら(2007) FEBS Lett. 581:5511-5516に記載のシロイヌナズナ相同体を用いることにより、いくつかのリゾホスファチジル活性アシルトランスフェラーゼのクローニングを、セイヨウアブラナから単離することができた。配列の単離のために、標準的なPCR法を、以下のプライマー対を用いて実施例2に記載のように用いた(表12)。PCR反応により、アミノ酸配列をコードする完全長ORF配列をコードする6個の断片が得られた(表13)。
【0154】
表13に示されるORF配列を、過剰発現、アンチセンス、逆転RNAもしくはmiRNA構築物の産生のために実施例5に記載のように用いるか、またはそれぞれの遺伝子の発現を下方調節し、それによって新規脂肪酸のレベルの変化を促進することができる。
【表12】

【表13】

【0155】
表13に記載のセイヨウアブラナアシルトランスフェラーゼのさらなる配列変異体を同定した。さらなる配列を、出発材料としてセイヨウアブラナ栽培品種KumilyのゲノムDNAを用いて実施例6に記載のPCR手法により同定することができた。LPLAT活性について欠損する酵母KO突然変異体中で対応するORFを過剰発現させることにより、配列変異体を機能的に試験した(実施例1に記載のものと同様の実験酵母研究)。以下の配列変異体を同定した:
BnLPLAT1_AA (ORF 配列番号137)は、BnLPLAT1_A_40 (配列番号102)の変異体である;
BnLPLAT1_CC (ORF 配列番号139)は、BnLPLAT1_C_40 (配列番号104)の変異体である; および
BnLPLAT2_AA (ORF 配列番号135)は、BnLPLAT2_C_50 (配列番号106)の変異体である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)配列番号1、3、5、7、31、33、35もしくは37のいずれか1つに示される核酸配列を有する核酸;
b)配列番号2、4、6、8、32、34、36もしくは38のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸;
c)配列番号1、3、5、7、31、33、35もしくは37のいずれか1つに示される核酸配列と少なくとも60%同一である核酸配列を有する核酸であって、デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記核酸;
d)配列番号2、4、6、8、32、34、36もしくは38のいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも74.1%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸であって、デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記核酸;
e)a)〜d)のいずれか1つに記載の核酸に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸であって、デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記核酸;
f)デサチュラーゼ活性を有する、a)〜e)のいずれか1つに記載の核酸配列によりコードされるポリペプチドの断片をコードする核酸;ならびに
g)a)〜f)のいずれか1つに記載の核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む核酸、
からなる群より選択される核酸を含むポリヌクレオチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項3】
発現ベクターである、請求項2に記載のベクター。
【請求項4】
前記ポリヌクレオチドが種子特異的プロモーターの制御下にある、請求項3に記載のベクター。
【請求項5】
種子特異的プロモーターが、コンリニン1、コンリニン2、ナピン、USP、LeB4、Arc、Fae、ACP、LuPXR、SBPおよびLuFad3からなる群より選択される、請求項4に記載のベクター。
【請求項6】
請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むか、または請求項3〜5のいずれか1項に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項7】
前記細胞が植物細胞である、請求項6に記載の宿主細胞。
【請求項8】
前記植物細胞が、油種子作物から得られた細胞である、請求項7に記載の宿主細胞。
【請求項9】
油種子作物が、亜麻(Linum種)、菜種(Brassica種)、大豆(GlycineおよびSoja種)、ヒマワリ(Helianthus種)、綿(Gossypium種)、トウモロコシ(Zea mays)、オリーブ(Olea種)、紅花(Carthamus種)、ココア(Theobroma cocoa)、ピーナッツ(Arachis種)、麻、カメリナ、ハマナ、油ヤシ、ココナッツ、アメリカホドイモ、ゴマ種子、トウゴマの実、ブラッダーポッド、シラキ、シアの実、タングナッツ、カポックの実、ポピー種子、ホホバ種子およびエゴマからなる群より選択される、請求項8に記載の宿主細胞。
【請求項10】
前記細胞が微生物細胞である、請求項6に記載の宿主細胞。
【請求項11】
微生物細胞が、カンジダ、クリプトコッカス、リポミセス、ロドスポリジウム、ヤロウイア、トラウストキトリウム、ピチウム、シゾキトリウムおよびクリテコジニウムからなる群より選択される、請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項12】
請求項1に記載のポリヌクレオチド、請求項2〜5のいずれか1項に記載のベクターもしくは請求項6〜9のいずれか1項に記載の宿主細胞を含む植物または植物種子。
【請求項13】
好適な培養培地中で請求項6〜11のいずれか1項に記載の宿主細胞を培養することによって、請求項1に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを製造することを含む、ポリペプチドの製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド。
【請求項15】
不飽和脂肪酸が産生されるように、請求項6〜11のいずれか1項に記載の宿主細胞または請求項12に記載の植物もしくは植物種子を培養することを含む、不飽和脂肪酸の製造方法。
【請求項16】
不飽和脂肪酸の産生調節が起こるように、請求項6〜11のいずれか1項に記載の宿主細胞または請求項12に記載の植物もしくは植物種子を培養することを含む、不飽和脂肪酸の産生を調節する方法。
【請求項17】
前記方法が、前記培養物から不飽和脂肪酸を回収する工程をさらに含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
不飽和脂肪酸が産生されるような条件下で、少なくとも1種のデサチュラーゼ標的分子を含む組成物と、請求項14に記載の少なくとも1種のポリペプチドとを接触させることを含む、不飽和脂肪酸の製造方法。
【請求項19】
デサチュラーゼ標的分子がオレイン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、α-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸(n-3)、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサペンタエン酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項20】
不飽和脂肪酸が、ARA 20:4 (5,8,11,14)、EPA 20:5 (5,8,11,14,17)、およびDHA 22:6 (4,7,10,13,16,19)からなる群より選択される、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法の工程と、前記不飽和脂肪酸を含む油を調製または単離するさらなる工程とを含む、油の製造方法。
【請求項22】
宿主細胞、植物または植物種子に、請求項1に記載のポリヌクレオチドまたは請求項2〜5のいずれか1項に記載のベクターを導入することを含む、不飽和脂肪酸を生成することができる宿主細胞、植物または植物種子の作製方法。
【請求項23】
請求項12に記載の植物もしくは植物種子により産生されるか、または請求項20に記載の方法により取得可能である油。
【請求項24】
動物飼料、栄養補助食品、または食品の製造における、請求項1に記載のポリヌクレオチド、請求項2〜5のいずれか1項に記載のベクター、請求項6〜11のいずれか1項に記載の宿主細胞、請求項12に記載の植物もしくは植物種子または請求項23に記載の油の使用。
【請求項25】
a)配列番号1、3、5、7、31、33、35もしくは37に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、点突然変異、トランケーション、反転、欠失、付加、置換および相同組換えからなる群より選択される少なくとも1つの技術により破壊された前記核酸分子;
b)配列番号1、3、5、7、31、33、35もしくは37に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、配列番号1、3、5、7もしくは9に記載の配列と比較して1個以上の核酸改変を含み、該改変が点突然変異、トランケーション、反転、欠失、付加および置換からなる群より選択される、前記核酸分子;ならびに
c)配列番号1、3、5、7、31、33、35もしくは37に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該核酸分子の調節領域が、点突然変異、トランケーション、反転、欠失、付加、置換および相同組換えからなる群より選択される少なくとも1つの技術により、該分子の野生型調節領域と比較して改変された、前記核酸分子、
からなる群より選択される核酸分子を含む細胞。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−500640(P2012−500640A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524355(P2011−524355)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060923
【国際公開番号】WO2010/023202
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(501383750)ビーエーエスエフ プラント サイエンス ゲーエムベーハー (17)
【出願人】(503117885)バイオリジナル フード アンド サイエンス コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】