説明

デザイン製作装置、デザイン製作方法

【課題】設置場所の画像や周辺情報のみに基づいて、設置場所に最適なデザインを製作する構成要素を算出することができる、デザイン製作装置を提供する。
【解決手段】本発明のデザイン製作装置3は、デザインを製作する設置領域1の面積を算出する面積算出手段4と、設置領域1の周辺情報を記憶する第1記憶部5と、設置領域1に用いられるデザインの複数の原画を記憶する第2記憶部6と、面積、周辺情報および原画の少なくとも2つに基づいて、デザインの構成要素を算出する算出手段7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デザインの設置場所、デザインの原画、デザインを製作する素材などの情報および設置場所の面積算出に基づいて、設置場所の写真のみで、デザインの構成要素を演算できる、デザイン製作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物や建造物の壁面におけるデザイン設置場所に、塗装を施したり看板やポスターを設置(すなわちデザインを施す)したりする際に、予めこれらの建物や建造物の壁面の面積が算出されていることが好ましい。壁面の面積が不明であると、どの程度の塗料や材料が必要となるのか、どの程度の面積の看板やポスターを設置できるのか不明であるからである。壁面の面積が予め分かっている場合には、塗装を施したり、看板やポスターを設置したりする工事の効率が向上する。
【0003】
また、設置場所に施すデザインの構成要素(最適な原画、面積、必要となる塗料量、コスト、色度、輝度など)を、早期に予測することは、設置場所にデザインを製作する場合に重要である。屋外の設置場所にデザインを製作する場合にデザインの構成要素が不明であると、作業中に必要な材料が不足したり、余分な材料が余ったりしてコスト面での問題が生じうる。あるいは、製作したデザインが、設置場所の周辺環境や方角によって、十分なデザイン効果を発揮できない問題も生じる。
【0004】
このように、屋外の設置場所にデザインを施す場合には、設置場所の面積、最適な原画、必要となる塗料量、コストなどのデザインの構成要素を、デザインを施す前に把握できることが重要である。特に、設置場所における測量などの大掛かりな作業によらずこれらの構成要素を予め推定できることが必要である。
【0005】
例えば、屋外の設置場所の面積を算出するには、危険な作業に基づいて実測を行うか、基準点測量やステレオカメラによる測量を行うのが一般的であった。
【0006】
しかしながら、実測による測量は、危険を伴う上に、対象となる領域が変更になってしまうと、改めて実測による測量作業を必要とする不便を有する。基準点測量やステレオカメラによる作業は、作業時間や作業工数が多くなる上に、測量対象となる建物や建造物を目視できる現場での作業しかできない。
【0007】
近年では、様々な場所における建物や建造物の種々の場所に、看板やポスターを設置したい事業者が数多い。これらの事業者は、設置する看板やポスターを決めてから壁面の面積の測量に入るよりも、壁面の面積に基づいて、設置する看板やポスターの種類を事後的に検討したい。事業者は、壁面における看板やポスターによる宣伝効果を高める工夫を追求するからである。
【0008】
このような看板やポスターを設置する事業者にとっては、設置現場以外で壁面における任意の領域を、事後的に測量したいことが多い。特に、種々の看板やポスターを設置できる面積を有する領域を、壁面の中で任意に探したい場合もある。
【0009】
このため、撮像装置で撮像された画像を用いて、建物や建造物の壁面を計測する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−147522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1は、複数の角度から撮像された画像に含まれる被写体の視差を、調整する技術を開示するだけである。
【0012】
このため、特許文献1は、被写体の面積を算出する技術を開示していない。また、特許文献1の標定基準体は、被写体の位置と面積を算出することに適用が難しい。特に、種々の角度から撮像された画像に含まれる標定基準体の任意の点を、高い精度で識別することが困難であり、事後的に撮像された画像を用いて、被写体の面積算出に必要となるデータを得ることが困難である。撮像された写真の角度や位置によっては、標定基準体の写り方が大きく異なって、標定基準体と被写体との関連性を得ることが難しいからである。
【0013】
また、従来技術は、被写体の面積を十分に算出できないだけでなく、設置場所に最適なデザインを製作するためのデザインの構成要素を算出することができない。この結果、設置場所において実際にデザインを製作する以前に、デザイン製作を効率化するための準備ができない問題がある。特に、デザインオフィスなどの設置場所と離隔した場所にてデザイン製作を効率化する準備が行えない問題がある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑み、設置場所の画像や周辺情報のみに基づいて、設置場所に最適なデザインを製作する構成要素を算出することができる、デザイン製作装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題に鑑み、本発明のデザイン製作装置は、デザインを製作する設置領域の面積を算出する面積算出手段と、設置領域の周辺情報を記憶する第1記憶部と、設置領域に用いられるデザインの複数の原画を記憶する第2記憶部と、面積、周辺情報および原画の少なくとも2つに基づいて、デザインの構成要素を算出する算出手段と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明のデザイン製作装置は、実際にデザインを設置する設置領域の写真および周辺情報を用意しておくだけで、設置領域に最適なデザインの構成要素を算出できる。これらの構成要素が予め算出できることで、実際に設置領域にデザインを製作する際の、作業効率、製作コストを最適化できる。加えて、設置領域の環境に合わせたデザインを製作できる。結果として、設置領域の環境に長期間耐えうるデザインを設置できる。
【0017】
また、設置領域の写真や周辺情報は、フィールドにおける作業員による作業によって収集できる。一方、デザインの構成要素の算出は、写真や周辺情報に基づいて、フィールドとは離隔した作業場所において集中的に処理できる。この結果、情報収集作業(フィールドでの作業)、算出作業(フィールドでの作業もしくはオフィスでの作業)とを、並列化できるので、設置領域の現場に最適なデザイン製作を、効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1における製作されるデザインの設置場所を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるデザイン製作装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1における設置領域の模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1における算出手段によって輝度を変化させられたデザインの模式図である。
【図5】本発明の実施の形態2におけるデザイン製作装置のブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態3におけるデザイン製作システムの概念図である。
【図7】本発明の実施の形態3における第1画像と第2画像との撮像を説明する模式図である。
【図8】本発明の実施の形態3における面積算出手段4の内部ブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態3における第1画像と第2画像の写真例である。
【図10】本発明の実施の形態3における標識の正面図である。
【図11】本発明の実施の形態3における撮像装置の方向推定の模式図である。
【図12】本発明の実施の形態3における撮像装置と標識との距離の推定を説明する模式図である。
【図13】本発明の実施の形態3における特定点座標の推定を説明する写真である。
【図14】本発明の実施の形態3における特定点の3次元座標の推定を説明する模式図である。
【図15】本発明の実施の形態4におけるデザイン製作装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の発明に係るデザイン製作装置は、デザインを製作する設置領域の面積を算出する面積算出手段と、設置領域の周辺情報を記憶する第1記憶部と、設置領域に用いられるデザインの複数の原画を記憶する第2記憶部と、面積、周辺情報および原画の少なくとも2つに基づいて、デザインの構成要素を算出する算出手段と、を備える。
【0020】
この構成により、デザイン製作装置は、設置領域の設置状況や周辺環境に最適なデザインを製作できる。結果として、設置者にとって費用対効果の高いデザインを設置できる。
【0021】
本発明の第2の発明に係るデザイン製作装置では、第1の発明に加えて、構成要素は、複数の原画の内で設置領域に製作されるデザインとして選択される原画、設置領域に製作されるデザインに必要な塗料量、設置領域に製作されるデザインに必要なコスト、設置領域に製作されるデザインに適する輝度、設置領域に製作されるデザインに適する色度および設置領域に製作されるデザインの中の文字列の位置の少なくとも一つを含む。
【0022】
この構成により、デザイン製作装置は、設置領域の設置状況や周辺環境に最適なデザインを製作できる。結果として、設置者にとって費用対効果の高いデザインを設置できる。
【0023】
本発明の第3の発明に係るデザイン製作装置では、第2の発明に加えて、算出手段は、複数の原画の内で設置領域に製作されるデザインとしての原画の選択、設置領域に製作されるデザインに必要な塗料量の算出、設置領域に製作されるデザインに必要なコストの算出、設置領域に製作されるデザインに適する輝度の算出、設置領域に製作されるデザインに適する色度の算出および設置領域に製作されるデザインの中の文字列の位置の決定の少なくとも一つを行う。
【0024】
この構成により、デザイン製作装置は、周辺環境に最適なデザインの構成要素を算出したり決定したりできる。
【0025】
本発明の第4の発明に係るデザイン製作装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、周辺情報は、設置領域の位置、設置領域の周辺の建造物、設置領域の材質、設置領域の方角、設置領域の角度および設置領域の高さの少なくとも一つの情報を含む。
【0026】
この構成により、デザイン製作装置は、周辺の建造物による影響は設置領域の設置状態の影響を考慮して、デザインを製作できる。
【0027】
本発明の第5の発明に係るデザイン製作装置では、第4の発明に加えて、算出手段は、設置領域の方角および角度の少なくとも一つに基づいて、設置領域に製作されるデザインに適する輝度および色度の少なくとも一方を算出する。
【0028】
この構成により、デザイン製作装置は、周辺環境の影響に対応できる、明るさや色味のデザインを製作できる。
【0029】
本発明の第6の発明に係るデザイン製作装置では、第4又は第5の発明に加えて、算出手段は、設置領域の周辺の建造物および設置領域の高さの少なくとも一つに基づいて、設置領域に製作されるデザインの中の文字列の位置を決定する。
【0030】
この構成により、デザイン製作装置は、周辺建造物の影響に対応しつつ情報発信を行えるデザインを製作できる。
【0031】
本発明の第7の発明に係るデザイン製作装置では、第4から第6のいずれかの発明に加えて、算出手段は、原画および面積に基づいて、設置領域に製作されるデザインに必要な塗料量および設置領域に製作されるデザインに必要なコストの少なくとも一方を算出する。
【0032】
この構成により、デザイン製作装置は、予め製作コストを提供できる。
【0033】
本発明の第8の発明に係るデザイン製作装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、周辺情報を取得し、取得した周辺情報を、第1記憶部に記憶させる取得手段を更に備える。
【0034】
この構成により、デザイン製作装置は、周辺情報の取得を行える。また周辺情報の取得は、デザイン製作装置が設置されている作業場所以外でのフィールド作業によってもよい。
【0035】
本発明の第9の発明に係るデザイン製作装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、算出手段から算出された構成要素に基づくデザイン見本を出力する出力手段を更に備える。
【0036】
この構成により、デザイン製作装置は、設置場所に最適なデザインを、事前に提供できる。
【0037】
本発明の第10の発明に係るデザイン製作装置では、第9の発明に加えて、出力手段は、設置領域に設置可能なデザイン画を出力可能である。
【0038】
この構成により、デザイン製作装置は、設置場所に最適なデザインの製作までをも一貫して行える。
【0039】
本発明の第11の発明に係るデザイン製作装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、設置領域の画像を記憶する第3記憶部を更に備え、面積算出手段は、画像に基づいて、設置領域の面積を算出する。
【0040】
この構成により、デザイン製作装置は、設置領域の写真のみで、設置領域の面積を算出できる。
【0041】
本発明の第12の発明に係るデザイン製作装置では、第11の発明に加えて、画像を撮像する撮像手段を更に備え、撮像手段が撮像した画像は、第3記憶部に記憶される。
【0042】
この構成により、デザイン製作装置は、設置領域の面積を容易に算出できる。
【0043】
本発明の第13の発明に係るデザイン製作装置では、第11又は第12の発明に加えて、画像は、第1撮像装置により撮像された設置領域と標識とを含む第1画像と、第1撮像装置と異なる角度から第2撮像装置により撮像された設置領域と標識とを含む第2画像を有し、面積算出手段は、第1撮像装置の第1位置の3次元座標の値と、第2撮像装置の第2位置の3次元座標の値とを推定する撮像装置座標推定部と、第1位置および第2位置に基づいて、設置領域に含まれる複数の特定点のそれぞれの3次元座標の値を推定する特定点座標推定部と、複数の特定点のそれぞれの3次元座標の値に基づいて、設置領域の面積を算出する算出部と、を備え、標識は、3以上のポインタを備える2次元形状を有する。
【0044】
この構成により、面積算出手段は、標識を含む設置領域の写真のみで、設置領域の面積を算出できる。
【0045】
本発明の第14の発明に係るデザイン製作装置では、第13の発明に加えて、標識は、相互に色度が異なると共に略球形を有する3つのポインタを頂点とする3角形を有する。
【0046】
この構成により、撮像画像の中での標識の区別が容易となり、面積算出手段が、高い精度で設置領域の面積を算出できる。
【0047】
本発明の第15の発明に係るデザイン製作装置では、第13又は第14の発明に加えて、撮像装置座標推定部は、第1画像に含まれる標識の傾きに基づいて、第1撮像装置の標識に対する方向を第1方向として推定し、第1画像に含まれる標識の面積に基づいて、第1撮像装置と標識との距離を第1距離として推定し、第2画像に含まれる標識の傾きに基づいて、第2撮像装置の標識に対する方向を第2方向として推定し、第2画像に含まれる標識の面積に基づいて、第2撮像装置と標識との距離を第2距離として推定し、第1方向および第1距離に基づいて、第1位置を推定し、第2方向および第2距離に基づいて、第2位置を推定する。
【0048】
この構成により、面積算出手段は、高い精度で、設置領域の面積を算出できる。
【0049】
本発明の第16の発明に係るデザイン製作装置では、第13から第15のいずれかの発明に加えて、第1位置から得られる特定点の3次元座標の値である第1特定座標と、第2位置から得られる特定点の3次元座標の値である第2特定座標と、が一致しない場合には、特定点座標推定部は、第1特定座標および第2特定座標から、特定点の3次元座標の値を近似する。
【0050】
この構成により、面積算出手段は、撮像画像の写りが悪い場合でも、設置領域の面積を算出できる。
【0051】
本発明の第17の発明に係るデザイン製作装置では、第13から第16のいずれかの発明に加えて、画像は、第3撮像装置によって、第1撮像装置および第2撮像装置のそれぞれと異なる角度から撮像された被写体と標識とを含む第3画像を更に有し、撮像装置座標推定部は、第3撮像装置の第3位置の3次元座標の値を推定し、特定点座標推定部は、第1位置、第2位置および第3位置に基づいて、被写体に含まれる複数の特定点のそれぞれの3次元座標の値を推定する。
【0052】
この構成により、面積算出手段は、より精密に、設置領域の面積を算出できる。
【0053】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0054】
(実施の形態1)
【0055】
実施の形態1について説明する。
(全体概要)
【0056】
まずは、デザイン製作装置の全体概要について、図1、図2を用いて説明する。
【0057】
図1は、本発明の実施の形態1における製作されるデザインの設置場所を示す説明図である。図2は、本発明の実施の形態1におけるデザイン製作装置のブロック図である。
【0058】
図1に示されるように、屋外の建造物2A、2Bには、宣伝広告用のポスター、デザイン画、看板や旗などが設置されることがある。近年では、LEDなどを用いた画像による看板も増えているが、従来どおり塗料の塗布による画面やポスターによる画面が設置されるケースも多い。このようなポスター、デザイン画、看板や旗などのデザインは、屋外の建造物2A、2Bに設置されて屋外を行き交う通行人や自動車から視認される状態である。このため、屋外の建造物2A、2Bに設置されるデザインは、設置場所の周辺環境によっては、通行人や自動車から見えにくかったり分かりにくかったりすることもある。
【0059】
例えば、図1においては、建造物2Aの屋上にデザインの設置領域1が設けられ、この設置領域1に看板1Aが設置される。建造物2Aが高い建物である場合には、地上の道路を行き交う通行人は、看板1Aを見にくい場合がある。あるいは、看板1Aの仰角、看板1Aの周囲の建物との位置関係、看板1Aの方角(西日が当たるのか、日中の陽射しが当たるのかなど)などによって、通行人が、看板1Aを見にくい場合もある。
【0060】
また、図1においては、建造物2Bの壁面にデザインの設置領域1が設けられ、この設置領域1にポスター1Bが設置される。ポスター1Bは、壁面に垂れ下がるように設置されるので、建造物2Bの壁面の角度に沿って設置される。この場合には、隣接する建造物2Aの影による影響で見にくくなったり、看板1Aと同じくポスター1Bの方角によって見にくくなったりする場合もある。
【0061】
このように、周辺環境の影響によって、設置領域1に設置されるデザインが見えにくい場合が生じる。このように、通行人や自動車から見えにくいデザインは、折角の屋外に設置される情報発信の役割を果たすことができない。このように情報発信の役割を果たすことができないデザインは、その製作コストと効果とのバランスが不十分である。
【0062】
一方で、設置領域1にデザインを実際に製作する段階では、選択されたデザインを製作することだけに注力されるので、設置領域1の周辺環境に応じたデザインの構成要素の変更などは困難である。例えば、陽射しの関係上、デザインの輝度を向上させてより目立たせる必要がある設置領域1であることなどを、設置領域1の現場での製作の際には判断して作業することは難しい。もちろん、デザインの原画の選択も、周辺環境や設置領域1の面積などに依存するが、実際に製作作業を現場で始めた後では、原画の選択の余地が無い問題もある。
【0063】
加えて、塗料が不要に余ったり、足りなかったりなどの問題も生じうるので、製作における効率性が低くなることも生じうる。
【0064】
図1に示されるように、屋外に設置されるデザインは、周辺環境によって様々な影響を受ける。実施の形態1におけるデザイン製作装置は、このような設置領域1および周辺環境における問題を事前に解決した上で、設置領域およびその周辺環境に最適なデザインを作成できる。
【0065】
図2は、実施の形態1におけるデザイン製作装置3の構成を示している。デザイン製作装置3は、デザインを製作する設置領域1の面積を算出する面積算出手段4と、設置領域1の周辺情報を記憶する第1記憶部5と、設置領域1に用いるデザインの複数の原画を記憶する第2記憶部6と、設置領域1の面積、周辺情報および原画の少なくとも2つの情報に基づいて、設置領域に製作されるデザインの構成要素を算出する算出手段7と、を備える。
【0066】
デザイン製作装置1は、これらの要素を備えることで、設置領域1が存在する屋外の現場での手間が掛かったり危険を伴ったりする作業を排除した上で、設置現場と離れた作業場所において集中的にデザインに必要な構成要素を算出し決定できる。現場と離れた作業場所においてデザインに必要な構成要素を決定できることで、デザイン製作の精度を向上させることができ、加えて製作後の不具合を未然に防止でき、更には製作コストを低減できる。
【0067】
設置領域1は、図1に示されるように、建造物の屋上や壁面に設けられる領域であり、設置領域1として形成される枠や壁面に設けられた一定の範囲である。この設置領域1に製作されたポスターや看板が設置される。あるいは、この設置領域1において、ポスターや看板の製作が行われる。
【0068】
面積算出手段4は、この設置領域1の面積を算出する。設置領域1に、ポスターや看板などのデザインが製作されるので、設置領域1の面積を算出する。製作されるデザインの見た目、必要となる塗料量、バランスなどの最適化においては、実際の設置領域1の面積が算出される必要があるからである。設置領域1は、方形である場合もあるが、円形であったり、多角形であったりすることもあるので、面積を算出することは、実際にデザインを製作するに当たっては重要である。
【0069】
第1記憶部5は、設置領域1の周辺情報を記憶する。周辺情報は、設置領域1の位置、設置領域1の周辺の建造物(図1においては、建造物2)、設置領域1の材質、設置領域1の方角、設置領域1の角度および設置領域1の高さの少なくとも一つの情報を含む。これらの情報は、設置領域1に製作されたデザインの外観、見た目および通行人や自動車からの見え方に影響する要因だからである。第1記憶部5は、何らかの手段によって得られた周辺情報を記憶する。また、後述の算出手段7は、この第1記憶部5から必要となる周辺情報を読み出す。
【0070】
第2記憶部6は、設置領域に製作されるデザインの複数の原画を記憶する。第2記憶部6は、第1記憶部5と同じような部材で構成されれば良く、電子的に原画を記憶する。デザインの複数の原画は、例えば、デザイナーが作成した原画であったり、予め用意されている画像要素や画像要素の組み合わせであったりする。第2記憶部6は、設置領域1に製作されるデザインの基本的な骨格を、算出手段7に提供する。第2記憶部6が記憶する原画の情報は、算出手段7によって読み出される。
【0071】
算出手段7は、面積算出手段4で算出された設置領域1の面積、第1記憶部5から読み出される周辺情報、第2記憶部6から読み出される原画の少なくとも2つに基づいて、デザインに必要な構成要素を算出する。デザインに必要な構成要素とは、実際に製作されるデザインに用いられる看板やポスターといった最終結果物でもよいし、デザインに必要となる要素であってもよい。例えば、構成要素は、複数の原画から製作されるデザインとして選択される原画、設置領域1に製作されるデザインに必要な塗料量、設置領域1に製作されるデザインに必要なコスト、設置領域1に製作されるデザインに適する輝度、設置領域1に製作されるデザインに適する色度および設置領域1に製作されるデザイン中の文字列の位置の少なくとも一つを含む。
【0072】
算出手段7は、例えば周辺情報から、設置領域1の一部に隣接する建造物が存在して設置領域の底部近辺が見えにくいと判断する場合には、デザインの中の文字列を上部に配置するように決定する。あるいは、算出手段7が、周辺情報から設置領域1が商業地区に位置することを把握する場合には、複数の原画の内、商店や飲食店に関する原画を選択する。
【0073】
このように、設置領域1の設置現場でなくとも、周辺情報などを前提に、デザイン製作装置3は、設置領域1に最適な(通行人に見やすい、設置場所に適しているなど)デザインを製作できる。加えて、設置領域1の設置現場から離れた場所で作業できるので、作業効率は高く、作業に要する人件費や工賃といったコストを低減できる。また、作業における危険性も低下する。
【0074】
算出手段7が、周辺情報に基づいて、上述のように設置領域の上部にデザインの中の文字列を配置するように決定することで、通行人や自動車は、文字列を見やすくなる。文字列が見やすいことで、デザインの提供者(商店や会社など)は、電話番号やホームページアドレスなど、広く衆知させたい情報を、確実に通行人や運転者などに提供できる。結果として、このようなデザインは、デザインの提供者にとって、コスト対効果の非常に高いものとなる。
【0075】
実施の形態1におけるデザイン製作装置3は、低コストかつ高能率で、コスト対効果の高いデザインを製作できる。
【0076】
次に、各部の詳細に付いて説明する。
【0077】
(面積算出手段)
面積算出手段4について説明する。面積算出手段4は、種々の手順と手法で、設置領域1の面積を算出する。このとき、面積算出手段4は、設置領域1の全体の面積を算出しても良いし、設置領域1の一部の面積を算出しても良い。例えば、設置領域1の一部にのみデザインが設置され、それ以外の部分にデザインと別の素材が設置される場合には、面積算出手段4は、この設置領域1のデザインが設置される一部の面積のみを算出する。
【0078】
面積算出手段4は、設置領域1の撮像画像に基づいて設置領域1の面積を算出する。設置領域1の撮像画像によって、設置領域に含まれる特定点の3次元座標が推定されるので、設置領域1の面積を算出できる。
【0079】
面積算出手段4は、このように設置領域1に含まれる(特に、その外周に位置する)複数の特定点の3次元座標によって、設置領域1の面積を算出する。面積算出手段4は、算出した面積を、算出手段7に出力する(あるいは、算出手段7が、面積算出手段4が算出した面積を読み出す)。
【0080】
なお、面積算出手段4は、デザイン製作装置1の製作しようとする対象の設置領域の面積を、デザイン製作の都度、算出しても良いが、予め記憶している複数の設置領域の撮像画像に基づいて、予め、複数の設置領域のそれぞれの面積を算出しておき、算出したそれぞれの面積を記憶しておくことでも良い。もちろん、算出したそれぞれの面積を、算出手段7に出力したり、デザイン製作装置1の備える記憶装置や記憶部に、記憶させたりしておくことでも良い。
【0081】
(第1記憶部)
【0082】
第1記憶部5は、設置領域の周辺情報を記憶する。
【0083】
周辺情報は、設置領域1の位置、設置領域1の周辺の建造物(図1においては、建造物2)、設置領域1の材質、設置領域1の方角、設置領域1の角度および設置領域1の高さの少なくとも一つの情報を含む。更には、周辺情報は、設置領域1の周辺の建造物の高さ、構造、形状、設置領域1と周辺の建造物との位置関係などの情報を含んでも良い。更には、周辺情報は、設置領域1の平均的な天気、平均気温、平均照度、平均日照時間などの気候に関する情報や、設置領域1周辺の地図情報、設置領域1周辺の人口動向などの情報を含んでいても良い。周辺情報は、設置領域1に製作されて設置される最適なデザインの選択の精度を上げる役割を有するからである。
【0084】
設置領域1は、デザイン製作を依頼する企業や個人の要望に応じて、様々な場所に位置する。ビルやマンションの屋上であったり、ビルの上に立つ看板用フレームであったり、道路上であったり、バス停や駅の広告板であったりする。一方、デザインを製作する製作者は、依頼者によるデザインの目的(会社の宣伝、顧客へのお知らせなど)に合わせて、絵柄としてのデザインを製作するだけであることがほとんどであった。
【0085】
すなわち、製作者が製作するデザインは、依頼者の直接的な目的には対応するが、実際の設置場所1における設置後の効果については確認されていなかった。
【0086】
一方で、設置場所1の周辺環境は、設置後のデザインがその目的を発揮できるか否かに大きな影響を与える。例えば、設置領域1の周囲に多数の建造物がある場合には、設置領域1には、多くの情報を詰め込んだデザインは不適切である。このため、設置領域1の周囲に多数の建造物がある場合には、設置領域1には、単純であるが重要なポイントに絞り込んだ情報を備えるデザインが適している。
【0087】
周辺情報を用いることの無いデザイン製作では、このような設置場所に応じたデザインが選択されない問題がある。もちろん、デザインを製作する製作者が現場の情報を確認しながら製作すれば問題はないが、製作者が現場の確認をしながらの製作は手間とコストがかかる。更には、製作者のノウハウやスキルに依存してデザインが製作されることになるので、一定の水準を保ったデザインの製作の維持が困難となる問題がる。
【0088】
一方、実施の形態1のデザイン製作装置3は、第1記憶部5の記憶する周辺情報をも活用してデザインの構成要素を決定するので、製作されるデザインは、周辺情報による影響を考慮したものとなる。加えて、周辺情報は、デザイン製作装置3の備える第1記憶部5に記憶されているので、製作者が設置現場に出向く必要もない。また、後述の算出手段7が、デザインの原画などと合わせて周辺情報を活用してデザインの構成要素を決定するので、製作者の個人的スキルに依存したばらつきも防止できる。
【0089】
以上のように、第1記憶部5は、設置後に効果を持続させることのできるデザインの製作に必要な周辺情報を提供できる。
【0090】
第1記憶部5は、記憶する周辺情報を算出手段7に出力する。あるいは、算出手段7が、第1記憶部5に記憶される周辺情報を読み出す。また、第1記憶部5は、面積算出手段4が算出した面積の値を記憶しても良い。
【0091】
第1記憶部5は、デザイン製作装置3が備えるハードディスクドライブ、光ディスク、磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリ、半導体メモリ、光メモリ、磁気メモリなど、データを電気信号として記憶できる種々の記憶可能なデバイスを含む。また、デザイン製作装置3が予め備えているこれらの記憶可能なデバイスが、第1記憶部5として用いられても良いし、デザイン製作装置3が、汎用のパーソナルコンピュータである場合には、パーソナルコンピュータが備えるハードディスクドライブや内部メモリなどが、第1記憶部5として用いられても良い。
【0092】
なお、第1記憶部5は、内部のアドレスがバンク分割されており、周辺情報が所定のジャンルに分類された上で、バンク毎に記憶されても良い。バンク毎に分類されていることで、算出手段7による周辺情報の読み出し速度が速くなり、算出手段7による算出速度が向上するからである。
【0093】
また、第1記憶部5は、第2記憶部6と共通のデバイスであっても良いし、別体のデバイスであっても良い。更には、第1記憶部5は、デザイン製作装置3が必要とする他の記憶部と共通のデバイスの一部であっても良い。例えば、デザイン製作装置3は、汎用のパーソナルコンピュータであって、このパーソナルコンピュータが備えるハードディスクドライブが、第1記憶部5、第2記憶部6およびその他の記憶部を、含んでいることでも良い。
【0094】
(第2記憶部)
第2記憶部6は、設置領域1に用いられるデザインに対応する複数の原画を記憶する。
【0095】
デザイン製作装置3は、設置領域1に実際のデザインを製作するに当たって、複数の原画から、最終的に使用する原画を選択する。例えば、ある設置領域1に、飲食店の広告看板を製作する必要がある場合に、飲食店の外観、飲食店の店主、飲食店のメニュー、飲食店の地図、飲食店の代表料理、など、多くの原画の選択肢が存在する。このような複数の選択肢から、いずれの原画を選択するのが適当であるかは、設置領域1の周辺環境に依存することも多い。
【0096】
例えば、設置領域1が当該飲食店のある繁華街の中である場合には、設置領域1に選択される原画としては、飲食店の外観や地図などが適している。飲食店の近辺にいる通行人に宣伝する上では、飲食店に到達可能な情報を提供することが、デザインとしては最適だからである。
【0097】
逆に、設置領域1が当該飲食店のある繁華街より離れた場所に位置する場合には、設置領域1に選択される原画としては、飲食店のメニューや代表料理の原画が適している。飲食店に対する興味を通行人に持たせる点で、デザインとしては最適だからである。
【0098】
また、周辺情報に基づいて、設置領域1への日当たりが強いと思われる場所においては輝度を抑えたデザインが好ましい。一方で、原画の種類によっては輝度を抑えることが難しい場合もある。例えば、代表料理の写真をベースとした原画の場合には、輝度を抑えることが難しい。このような周辺情報がある場合には、デザイン製作装置3は、複数の原画から、代表料理の写真を含む原画を選択しないことが好ましい。
【0099】
このように、デザイン製作装置3は、設置領域1に適用するデザインに用いられる原画を、周辺情報も考慮することで、最適な原画を選択できる。第2記憶部6は、複数の原画を全て記憶していても良いし、ある設置領域1に対応する原画のみを記憶していても良い。また、デザイン製作装置3によるデザイン製作作業の際に、第2記憶部6が必要な原画を記憶する逐次的な処理でもよいし、デザイン製作装置3によるデザイン製作作業に必要と思われる多数の原画が記憶されていても良い。
【0100】
また、第2記憶部6は、第1記憶部5と同様に、デザイン製作装置3が備えるハードディスクドライブ、光ディスク、磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリ、半導体メモリ、光メモリ、磁気メモリなど、データを電気信号として記憶できる種々の記憶可能なデバイスを含む。また、デザイン製作装置3が予め備えているこれらの記憶可能なデバイスが、第2記憶部6として用いられても良いし、デザイン製作装置3が、汎用のパーソナルコンピュータである場合には、パーソナルコンピュータが備えるハードディスクドライブや内部メモリなどが、第2記憶部6として用いられても良い。
【0101】
また、第2記憶部6は、第1記憶部5と同じデバイスが用いられても良い。更には、他の要素にとって必要となるメモリや記憶部と同じデバイスが用いられても良い。第1記憶部5、第2記憶部6における「第1」、「第2」との用語は、便宜上のものであり、データを記憶できるデバイスを特段に区別するものではない。
【0102】
第2記憶部6は、記憶している原画を算出手段7に出力する。あるいは、算出手段7が、第2記憶部6から原画を読み出す。また、第2記憶部6は、設置領域1に適用されるデザインとしての原画を記憶していても良いし、このデザインを作成するのに必要となる絵画テンプレートを記憶しておいても良い。絵画テンプレートとは、例えば、人の写真、料理の画像、地図の画像、連絡先等の画像、キャッチコピーの画像などの、デザインを構成する一部分である。
【0103】
算出手段7もしくは第2記憶部6は、これらの絵画テンプレートを組み合わせることで、原画を選択することと同じ結果を得ても良い。
【0104】
(算出手段)
算出手段7は、面積、周辺情報および原画の少なくとも2つに基づいて、設置領域1に製作されるデザインの構成要素を算出する。すなわち、設置領域1に製作されるデザインそのものを決定したり、デザインを製作する際に必要となる各種パラメータを算出(あるいは決定)したりする。すなわち、算出手段7は、種々の情報に基づいて、設置領域1に最適なデザインを決定できる。
【0105】
デザイン製作装置3は、設置現場だけでなく、オフィスなどの集中的な作業を行える場所においても、デザイン製作を行える。デザイン製作装置3は、この算出手段7によって、設置現場に限らない場所での集中的なデザイン製作を実現できる。加えて、算出手段7は、複数の情報に基づいて、最適なデザインの構成要素を決定できるので、作業者や製作者の個人的スキルなどに依存しないデザイン製作を行える。
【0106】
ここでデザインの構成要素は、設置領域1に製作されるデザインとして選択される原画、設置領域1に製作されるデザインに必要な塗料量(塗装、印刷の場合を含む)、設置領域1に製作されるデザインに必要なコスト、設置領域1に製作されるデザインに適する輝度、設置領域1に製作されるデザインに適する色度および設置領域1に製作されるデザインの中の文字列の位置の少なくとも一つを有する。これらのいずれかの要素が算出されて決定されることで、設置領域1の面積および設置領域1の周辺環境に最適なデザインが決定されるからである。
【0107】
すなわち、算出手段7は、複数の原画の内で設置領域1に製作されるデザインとしての原画の選択、設置領域1に製作されるデザインに必要な塗料量の算出、設置領域1に製作されるデザインに必要なコストの算出、設置領域1に製作されるデザインに適する輝度の算出、設置領域1に製作されるデザインに適する色度の算出および設置領域1に製作されるデザインの中の文字列の位置の決定の少なくとも一つを行う。
【0108】
もちろん、ここで列挙したデザインの構成要素や算出手段7が行う算出(決定)は一例であり、他の要素がデザインの構成要素として含まれて、この他の要素について、算出手段7が算出を行っても良い。
【0109】
算出手段7は、設置領域1の面積、設置領域1の周辺環境および用意されている原画の情報を活用して、所定の基準を基にデザインの構成要素を算出する。なお、算出とは、輝度や色度などのように値で定まる構成要素については、その値を算出することであり、複数の原画からある原画を選択する場合には、原画を選択することであり、文字列の位置を決める必要がある場合には、文字列の位置を決定することであり、最終的なデザインを製作する場合には、デザインを決定(製作)することである。
【0110】
算出手段7は、この役割を果たすために、面積算出手段4から面積の値を読み出し、第1記憶部5から周辺情報を読み出し、第2記憶部6から原画を読み出す。これらの読み出した情報を整理して、所定の閾値や演算処理によって、対象としている設置領域1における最適なデザインの構成要素を算出する。
【0111】
このため、算出手段7は、専用のハードウェアや専用のLSIを備えても良い。あるいは、汎用プロセッサによって実行されるソフトウェアを備えても良い。例えば、デザイン製作装置3が、汎用のパーソナルコンピュータである場合には、パーソナルコンピュータが備えるCPUが算出手段7の機能を発揮してもよい。CPUがメモリ(キャッシュメモリや外部メモリを含む)に記憶されたプログラムを読み出して、所定の手順を実行する。所定の手順は、(1)面積算出手段4から設置領域1の面積値を読み出し、(2)第1記憶部5から周辺情報を読み出し、(3)第2記憶部6から原画を読み出し、(4−1)面積値と周辺情報に基づいてデザインに適した原画を選択し、(4−2)面積値と原画とに基づいて、デザインに必要なコスト等を算出し、(4−3)周辺情報と原画とに基づいて、デザインの輝度や色度を算出し、(4−4)周辺情報と原画とに基づいて、デザインの中の文字列の位置を決定する、ステップを含む。もちろん、これ等以外のステップを含んでも良い。
【0112】
ステップの(4−1)〜(4−4)のそれぞれにおいては、算出や選択における基準値を、算出手段7が有していることも好適である。更には、基準値に基づく判定の詳細手順を備えていることも好適である。
【0113】
算出手段7は、所定の手順に従って、デザインの構成要素を算出する。周辺情報などの各種情報に基づいて算出手段7がデザインの構成要素を算出する例について説明する。なお、算出手段7は、設置領域1の面積が、設置現場と離隔した作業場所にあるデザイン製作装置3によって算出されることで、正しい面積に基づくデザインの決定ができることになる。
【0114】
(例1)
【0115】
算出手段7は、設置領域1の方角および角度の少なくとも一つに基づいて、設置領域1に製作されるデザインに適する輝度および色度の少なくとも一方を算出する。
【0116】
例えば、設置領域1が、建造物の屋上の看板である場合に、この看板が下方に向けて傾いている場合には、設置領域1に対しては自然光や照明が当たりにくい。この場合には、設置領域1に設置されるデザインの輝度は高いことが見易さの点で好ましい。また設置領域1に自然光や照明が当たりやすい角度である場合には、デザインの輝度は低いことが見易さの点で好ましい。
【0117】
また、設置領域1の方角が西日を受ける角度である場合には、見易さを確保するために、設置領域1に製作されるデザインの色度は濃いことが好適である。
【0118】
もちろん、算出手段7は、設置領域1の周辺の建造物や他の看板などとの関係から、設置領域1に製作されるデザインの輝度や色度を決定しても良い。例えば、設置領域1の周辺に色味の弱い建造物や看板しかない場合には、設置領域1のデザインの色度を濃くしたり、明るい色度を選択したりすることも好適である。当然ながら輝度についても同様である。
【0119】
(例2)
【0120】
算出手段7は、設置領域1の周辺の建造物および設置領域1の高さの少なくとも一つに基づいて、設置領域1に製作されるデザインの中の文字列の位置を決定する。
【0121】
図3は、本発明の実施の形態1における設置領域の模式図である。図3では、複数の建造物が隣接して立地している。
【0122】
建造物2Cは、その屋上に看板としての設置領域1Cを備え、設置領域1Cには、デザイン10Cが製作される。デザイン10Cが、設置領域1Cにおいて製作された上で、デザイン1Cは、通行人や運転者に情報を発信する。
【0123】
ここで、建造物2Cは、非常に高さが高い。このような高さの高い建造物2Cの屋上に位置する設置領域1Cは、その高さが高いことになる。デザイン10Cに含まれる文字列101Cは、通行人や運転者に所定の情報を伝達する役割を有する。図3においては、デザイン10Cに係る店舗や会社の電話番号を、文字列101Cは示している。ここで、設置領域1Cはその高さが高いため、デザイン10Cに含まれる文字列101Cが高い位置にあると、道路を通行する通行人や運転者からは見えづらくなる。
【0124】
このため、算出手段7は、設置領域1Cの高さが所定値以上である場合には、デザイン10Cに含まれる文字列101Cの位置を低い位置に決定する。図3では、文字列101Cは、デザイン10Cの下に位置するように決定されている。文字列101Cがデザイン10Cの下に位置することで、高い建造物1Cの屋上に設置されるデザイン10Cが伝えようとする情報を、通行人や運転者は確実に確認できるようになる。
【0125】
また、図3では、建造物2Eは、高さは高くないが、その前に被るようにして建造物2Dが建っている。建造物2Eの屋上の設置領域1Eに製作されるデザインには、通行人や運転者から見る角度によっては、建造物2Dが重複する可能性がある。このように重複する場合には、デザイン10Eの絵としての部分が見えにくくて問題は少ないが、情報発信を行う文字列101Eが見えにくい場合には問題がある。建造物2Dと設置領域1Eとが重複しやすいのは、設置領域1Eの下方である。
【0126】
このため、算出手段7は、設置領域1Eに製作されるデザイン10Eが含む文字列101Eの位置を上方に決定する。文字列101Eがデザイン10Eの上方の位置になることで、建造物2Dと重複する場合でも通行人等から見えやすくなる。デザイン10Eは、文字列101Eを伝達したい情報として有しているので、文字列101Eが見えやすいことは、デザイン10Eの設置者にとっては、費用対効果が高い。
【0127】
また、図3を用いた説明では、文字列の位置を上方もしくは下方のいずれかで説明したが、これら以外でも当然に良い。例えば、左右のいずれかの位置に決定されることでもよい。あるいは、算出手段7は、文字列の位置の決定だけでなく、文字列の輝度、色度を決定しても良い。例えば、設置領域の高さが高い場合には、通行人の意識をひきつけるために、文字列は、蛍光色を有していることも好ましい。従来のデザイン製作では、現場での製作者のノウハウに依存するこのような工夫も、実施の形態1のデザイン製作装置3は、算出手段7によって、周辺情報を活用しながら、文字列の色度を最適化することができる。
【0128】
以上のように、算出手段7は、周辺環境に応じて、デザインに含まれる文字列の位置、輝度、色度などを決定できる。
【0129】
また、算出手段7は、設置領域1の高さ、設置領域1の周辺の建造物更には設置領域1の方角や角度をも考慮して、設置領域1に製作されるデザインの原画、輝度、色度、色味および文字列の位置の複数の組み合わせを決定することも好適である。設置領域1の周辺環境によって、文字列の位置のみならず、輝度や色度との組み合わせの最適化も必要となるからである。
【0130】
例えば、算出手段7は、図4に示されるように、ある図柄の原画を選択した上で、設置領域1の周辺環境の情報に基づいて、原画に含まれる主たる図柄の輝度を変更する。図4は、本発明の実施の形態1における算出手段によって輝度を変化させられたデザインの模式図である。
【0131】
図4(a)は、算出手段7によって選択された原画に基づくデザイン10Fを示している。デザイン10Fは、中央に太陽のマークを含んでいる。ここで、算出手段7は、第1記憶部5から周辺情報を読み出す。読み出された周辺情報は、設置領域1に対しては陽射しが非常に強いとの情報を含んでいる場合には、太陽のマーク(これがデザイン10Fのもっともアピールする図柄である)の輝度を下げたほうが、通行人には見やすくなる。このため、算出手段7は、太陽のマークの輝度を下げる算出を行う。すなわち、図4(b)に示されるデザイン10Gのように変更する。
【0132】
このように輝度が低下させられたデザイン10Gは、陽射しの強い場所における設置領域1に製作されても、通行人などから見えやすい。
【0133】
(例3)
【0134】
算出手段7は、原画および面積算出手段4で算出された面積に基づいて、設置領域1に製作されるデザインに必要な塗料量(塗装でデザインを製作する場合の塗料量および印刷でデザインを製作する場合の塗料量などを含む)およびデザインに必要なコストの少なくとも一方を算出する。
【0135】
面積算出手段4は、設置領域1の撮像画像から面積を算出できる。また、算出手段7は、設置領域1にデザインを設置する設置者の意向、設置領域1の周辺環境に基づいて、複数の原画の候補から特定の原画を選択する。また、算出手段7は、面積算出手段4が算出した面積を読み出せる。この原画および面積の2つによって、算出手段7は、設置領域1に製作されるデザインに必要な塗料量算出できる。
【0136】
また、算出手段7が塗料の単価などの情報をも備えている場合には、算出手段7は、算出された塗料量からデザインに必要なコストを算出できる。塗料単価に塗料の量を乗算することで、コストが算出されるからである。あるいは、工賃などのコストを加味して算出することもできる。
【0137】
また、算出手段7は、許容されるコストに基づいて原画を選択することもできる。算出手段7の算出時に、予め制限値を設定しておくことができる。この設定値は、第1記憶部5や第2記憶部6に記憶されていても良い。あるいは使用者がデザイン製作装置3を使用する際に入力しても良い。算出手段7は、設定された許容コスト、面積および塗料単価に基づいて、原画を選択できる。例えば、原画の色度分布を解析し、色度分布と塗料の単価から産出されるコストが許容コスト以下であるか以上であるかに基づいて、算出手段7は、原画を選択できる。もちろん、原画の選択の手段はその他の方法であっても良い。
【0138】
また、周辺情報に基づいてコストを算出することもよい。例えば、陽射しが弱いために、蛍光色や色度の高いデザインとしなければならない場合には、算出手段7は、面積、原画に加えてこの周辺情報に基づいて、製作されるデザインのコストを算出する。
【0139】
以上のように、算出手段7は、面積算出手段4が算出した面積、第1記憶部5が記憶する周辺情報および第2記憶部6が記憶する原画に基づいて、設置領域1に最適なデザインの構成要素を算出する。
【0140】
なお、算出手段7は、面積算出手段4の機能を兼用してもよく、同じハードウェアとして構成されても良い。例えば、デザイン製作装置3が汎用のパーソナルコンピュータである場合には、CPUが、面積算出手段4と算出手段7との機能を果たしても良い。
【0141】
また、算出手段7は、必要に応じてメモリや半導体記憶素子を備え、これらのメモリや半導体記憶素子が、第1記憶部5および第2記憶部6の機能を果たしても良い。
【0142】
以上、実施の形態1におけるデザイン製作装置3は、設置領域1に関する種々の情報に基づいて、設置後の効果の高い設置領域1に最適なデザインを製作できる。しかも、設置現場と離れた作業場所で集中的に作業でき、デザイン製作者のノウハウやスキルに依存しないで、一定以上のレベルのデザインを安定的に製作できる。この結果、製作にかかる手間やコストが低減でき、製作依頼者にとって費用対効果の高いデザインを提供できる。
【0143】
(実施の形態2)
【0144】
次に、実施の形態2について説明する。
【0145】
実施の形態2では、デザイン製作を容易化する更なる要素を備えるデザイン製作装置31について説明する。
【0146】
図5は、本発明の実施の形態2におけるデザイン製作装置のブロック図である。図5に示されるデザイン製作装置31は、図2に示されるデザイン製作装置3の備える要素に更なる要素が追加されている。この追加された要素によって、デザイン製作装置31は、新たな機能を発揮できる。
【0147】
取得手段8は、設置領域1の周辺情報を取得する。取得手段8は、周辺情報の画像として取得できる撮像装置や、周辺情報の音声を取得できる録音装置や、周辺情報をインターネットなどのネットワーク経由でデータとして取得できるネットワーク装置を含む。例えば、デザイン製作装置31が汎用のパーソナルコンピュータである場合には、インターネット経由で設置領域1の周辺情報を取得できる機能が、この取得手段8に対応する。例えばネットワークカメラによって得られる設置領域1周辺の画像や緯度経度でもよい。
【0148】
このように、取得手段8がネットワーク装置やネットワーク経由での装置である場合には、取得手段8は、作業場所に設置されるデザイン製作装置31と一体である。
【0149】
また、取得手段8は、設置領域1の周辺情報を取得する。この取得のためには、取得手段8は、設置領域1の現場において用いられる必要がある。このためデザイン製作装置31が、作業場所にすえつけられている場合には、取得手段8は、デザイン製作装置31のその他の要素とは別体となる。例えば、取得手段8は、GPS機能を有する撮像装置であり、この撮像装置を持った作業員が、設置領域1の現場の画像を撮像したり、現場の音声を録音したりすることで、周辺情報を取得する。このとき、撮像装置は、GPS機能や地図機能を有しており、撮像画像に緯度経度や地図情報を加味することができる。
【0150】
作業者は、撮像装置で撮像した画像などのデータをネットワーク経由あるいはハンドキャリーによってデザイン製作装置31の第1記憶部5に転送する。転送されることで、第1記憶部5は、周辺情報を記憶できる。
【0151】
このように、取得手段8は、デザイン製作装置31と一体であってもよいし別体であってもよい。図5においては、デザイン製作装置31の内部に取得手段8が示されているが、これは、デザイン製作装置31の機能として取得手段8が備わっている場合であり、物理的に一体である必要はない。
【0152】
また、取得手段8は周辺情報を実際に撮像したり録音したりすることによる取得機能だけでなく、既に撮像されている画像や録音されている音声(あるいは、地図情報や緯度経度情報)を第1記憶部5に転送する機能のみを含んでも良い。この場合には、作業者によって携帯された撮像装置から得られた画像やデータを、取得手段8は、第1記憶部5に転送する。このため、デザイン製作装置31として提供される態様は、取得手段8を含んだ状態でもありえるし、取得手段8を含まない状態でもありえる。あるいは、取得手段8を含んだ状態で提供されるが、取得手段8は、デザイン製作装置31を設置している場所と異なる場所で使用される状態もありえる。
【0153】
すなわち、取得手段8が、使用においてデザイン製作装置31が設置されている作業場所と異なる場所(設置領域1の設置現場)において用いられることは、本発明の権利範囲を限定するものではない。
【0154】
取得手段8は、設置領域1の画像を撮像して、撮像画像を面積算出手段4に出力しても良い。
【0155】
次に、出力手段9について説明する。
【0156】
出力手段9は、算出手段7によって算出されたデザインの構成要素に基づいて、デザイン見本を作製して出力する。算出手段7は、実施の形態1で説明したように、デザインの構成要素を算出(決定)する。例えば、原画や使用される図柄の輝度や色度が算出される。
【0157】
デザインの製作者は、これらデザインの構成要素のデータのみを保有して設置領域1の現場においてデザインを製作したり、印刷会社などの別の主体者にデザインの製作を委託したりする場合がある。このような場合には、デザイン製作装置31は、デザインの構成要素のみを出力すれば足りる。デザインの構成要素のみによって、実際のデザインを製作することになるからである。
【0158】
一方、デザインの製作者は、算出されたり決定されたデザインの構成要素のデータだけでなく、これらのデザインの構成要素から得られる実際のデザインを確認したりしたいことも多い。あるいは、実際のデザインとなるポスターや看板などのデザイン画を出力させたいことも多い。
【0159】
出力手段9は、デザイン見本や実際のデザイン画を出力可能である。出力手段9は、算出手段7で算出されたデザインの構成要素を把握する。構成要素がデータとして転送されることによる。構成要素の中には、デザインの原画も含まれており出力すべきデザイン見本やデザイン画の基本的な構成は製作可能である。原画に加えて、輝度や色度のデータも出力手段9は把握できるので、これらの情報に基づいて、出力手段9は、デザイン見本やデザイン画を生成して出力できる。
【0160】
出力手段9は、ディスプレイに表示される画像としてデザイン見本を出力しても良いし、実際のデザインの縮尺版としてハードコピーして出力しても良い。また、実際の設置領域1に設置可能なデザイン画を、出力手段9は出力してもよい。例えば紙、布、樹脂板など設置領域1に設置されうるデザイン画を出力できる。デザイン画は、そのまま設置領域1に取り付けるだけで、設置領域1にデザインが製作される。
【0161】
また、複数のデザイン見本やデザイン画が出力可能である。例えば、同一のデザインを複数の設置領域1に設置する場合には、コストを低減できる。
【0162】
以上のように、出力手段9を更に備えることで、デザイン製作装置1は、設置領域1に製作されるデザインの構成要素を決定できるだけでなく、設置領域1に実際に設置されるデザイン見本やデザイン画をも製作できる。
【0163】
次に、第3記憶部11について説明する。
【0164】
デザイン製作装置3は、設置領域1の画像を記憶する第3記憶部11を更に備えても良い。面積算出手段4は、種々の手法で設置領域1の面積を算出するが、撮像された画像から設置領域1の面積を算出できる。特に、面積算出手段4が設置領域1の画像からその面積を算出する場合には、設置現場以外の場所で面積を算出できるメリットがある。
【0165】
ここで、第3記憶部11が設置領域1の画像を記憶できることで、面積算出手段4は、設置現場と離れた作業場所においてデザイン製作装置31の機能の一つを発揮できる。第3記憶部11が画像を記憶し、この画像が面積算出手段4に読み出されるだけで、面積算出手段4は、設置現場とは離れた作業場所において、設置領域1の面積を算出できる。面積が算出されれば、算出手段7は、デザインの構成要素を算出できる。
【0166】
なお、第3記憶部11は、第1記憶部5や第2記憶部6と同じ要素に含まれても良い。第1〜第3は、便宜上の名称であって、要素としての特段に物理的に区別することではない。
【0167】
以上のように、実施の形態2におけるデザイン製作装置31は、様々な機能を更に発揮し、デザインの製作を容易にする。
【0168】
(実施の形態3)
【0169】
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、面積算出手段4が、設置領域1の画像に基づいて、設置領域1の面積を算出する算出方式について説明する。この算出方法を、デザイン製作装置3を含むデザイン製作システムを基に説明する。
【0170】
面積算出手段4は、第3記憶部11から得られる設置領域1の画像に基づいて、設置領域1の面積を算出する。このとき、設置領域1の画像を撮像する撮像手段をさらに備え、この撮像手段によって撮像された画像が、第3記憶部11に記憶される。面積算出手段4は、第3記憶部11から画像を読み出すことで、撮像手段によって撮像された画像を用いて面積を算出できる。
【0171】
(システム全体の概要)
図6は、本発明の実施の形態3におけるデザイン製作システムの概念図である。
【0172】
デザイン製作システム1は、設置領域1と設置領域1と近接しておかれた標識12と、設置領域1と標識12とを撮像する撮像装置13と、撮像された画像を解析して、設置領域1の面積を算出するデザイン製作装置3とを備えている。
【0173】
設置領域1は、建物や建造物の一部もしくは全部であり、特には建物や建造物の壁面である。面積を算出したい領域を含む部分である。例えば、設置領域1の例は、ビルやマンションの壁面であったり、ビルやマンションの看板設置板であったりする。
【0174】
標識12は、3つのポインタ121、122,123を備える基準部材であり、標識12を基準とした撮像装置13の3次元座標から、設置領域1の面積を算出する。
【0175】
撮像装置13は、カメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯端末、携帯電話機などの撮像機能を有する電子機器や電子装置である。
【0176】
デザイン製作装置3として、図6ではパーソナルコンピュータが例として示されているが、パーソナルコンピュータだけでなく、実施の形態1、2で説明したデザイン製作の機能を有する専用装置、汎用装置などが幅広く用いられる。また、デザイン製作装置3は、面積算出手段4を備える。
【0177】
デザイン製作システム1では、まず標識12を設置領域1に近接して設置し、撮像装置13が標識12と設置領域1とを同時に撮影する。このとき、撮像装置13は、標識12と設置領域1とを含む第1画像と、第1画像と異なる角度から撮像される標識12と設置領域1とを含む第2画像(あるいは、第3画像以上を)を撮像する。
【0178】
図7に、第1撮像装置13aと第2撮像装置13bが、設置領域1と標識12とを撮像する様子を示す。図7は、本発明の実施の形態3における第1画像と第2画像との撮像を説明する模式図である。第1撮像装置13aは、所定の方向から設置領域1と標識12とを撮像して、第1画像を得る。一方、第2撮像装置13bは、第1撮像装置13aと異なる角度から、設置領域1と標識12とを撮像して、第2画像を得る。
【0179】
第3記憶部11もしくは面積算出手段4は、撮像装置13から第1画像と第2画像を得る。第1画像および第2画像は、上述の通り、設置領域1と標識12とを含んでいる。第1撮像装置13aと第2撮像装置13bとを、設置現場であるフィールドで作業する作業者が持参して対象となる設置領域1の第1画像と第2画像とを撮像する。もちろん、1枚の第1画像と第2画像とを撮像するだけでなく、多くの情報を得るために複数の第1画像と第2画像とを撮像してもよい。また、フィールド作業者は、第1画像と第2画像の撮像だけでなく、設置領域1の周辺情報についても収拾する。
【0180】
第1画像と第2画像は、データ転送、ネットワーク転送などによって、第3記憶部11(あるいは、面積算出手段4の備えるメモリ)に転送される。この作業の際に、周辺情報が第2記憶部5に転送されても良い。結果として、第3記憶部11に設置領域1の第1画像と第2画像とが記憶され、第1記憶部5に設置領域1の周辺情報が記憶される。
【0181】
面積算出手段4は、読み出し部41、撮像装置座標推定部42、特定点座標推定部43、算出部44を備えている。図8は、実施の形態3における面積算出手段4の内部ブロック図である。ここで、読み出し部41は、第3記憶部11に含まれる要素でも良い。図8は、第1撮像装置13aと第2撮像装置13bとによって撮像された第1画像と第2画像とを用いて設置領域1の面積を算出するのに必要な要素を示している。
【0182】
読み出し部41は、第3記憶部11に記憶されている第1画像と第2画像とを読み出す。読み出し部41は、第3記憶部11が記憶する画像を読み出す。このとき、1枚ずつ読み出しもよいし、一度に複数の画像を読み出しても良い。読み出し部41は、読み出した画像のデータを撮像装置座標推定部42に出力する。
【0183】
撮像装置座標推定部42は、第1画像を撮像した撮像装置(第1撮像装置13a)の3次元座標で表される第1位置と、第2画像を撮像した撮像装置(第2撮像装置13b)の3次元座標で表される第2位置とを推定する。なお、第1撮像装置13aと第2撮像装置13bとは、説明の便宜上「第1、第2」と記載されているだけで、第1撮像装置13aと第2撮像装置13bとは、同一の装置であっても異なる装置であってもかまわない。この点は、本明細書の全体に渡って同様である。
【0184】
また、他の画像があれば、撮像装置座標推定部42は、第3撮像装置が配置された第3位置の3次元座標(第n撮像装置が配置された第n位置の3次元座標も)を推定する。
【0185】
撮像装置座標推定部42は、画像の中に含まれる標識12の傾きに基づいて、撮像装置と標識12との方向を推定する。ついで、画像の中に含まれる標識12の面積に基づいて、撮像装置と標識12との距離を推定する。撮像装置座標推定部42は、この方向と距離を用いて、撮像装置の位置の3次元座標を推定する。なお、標識12は、その大きさ、形状、面積などが既知である。
【0186】
撮像装置座標推定部42によって、2次元座標であるローカル座標を有する撮像装置の座標が、標識12を基準とした3次元座標であるグローバル座標に変換される。なお、撮像装置座標推定部42は、複数の位置における撮像装置のそれぞれの3次元座標の値を推定する。結果として、異なる位置にある撮像装置それぞれの3次元座標の値が推定される。
【0187】
第1位置と第2位置が推定されると、第1位置と第2位置に基づいて、特定点座標推定部43が、設置領域1に含まれる複数の特定点のそれぞれの3次元座標を、推定する。設置領域1に含まれる複数の特定点の3次元座標が定まれば、面積を算出することができるようになる。
【0188】
特定点座標推定部43は、推定された撮像装置の3次元座標を基準に、設置領域1に含まれる特定点の3次元座標を推定する。設置領域1は、その面積を算出したい領域を有しており、特定点座標推定部43は、この領域の外縁に沿った複数の点を特定点として決定する。これら複数の特定点のグローバルな3次元座標の値が求まれば、これら特定点で囲まれる領域の面積が算出できる。
【0189】
撮像装置座標推定部43によって、撮像装置の3次元座標の値は推定されている。特定点の3次元座標は、撮像装置の3次元座標に基づいて推定される。すなわち、複数の撮像装置からある特定点の方向を推定し、複数の撮像装置から推定された特定点の方向の重複点が、特定点の3次元座標の値となる。このように、特定点の一つの3次元座標の値は、複数の撮像装置の位置に基づいて算出される。特定点座標推定部43は、複数の特定点のそれぞれに推定の作業を行うことで、複数の特定点のそれぞれの3次元座標の値を算出する。
【0190】
特定点座標推定部43は、推定した複数の特定点の3次元座標の値を、算出部44に出力する。
【0191】
算出部44は、特定点座標推定部43より受け取った特定点の3次元座標に基づいて、設置領域1の面積を算出できる。なお、算出部44は、設置領域1において、特定点によって囲まれる所定の領域の面積を算出する。
【0192】
設置領域1がビルの壁面の一部であるとすると、特定点は、この壁面の一部を囲む線上の点である。特定点の3次元座標に基づいて計算することで、算出部44は、設置領域1の面積を算出できる。3次元座標が定まっていれば、座標値に基づく積分計算によって設置領域1の面積が算出できるからである。
【0193】
算出部44は、算出した面積の値を、算出手段7に出力する。この結果、算出手段7において、デザインの構成要素が算出される。
【0194】
以上のように、設置領域1に標識12を含む異なる位置からの複数の画像によって、面積算出手段4は、設置領域1の面積を算出できる。特に、標識12と設置領域1とは、撮像した画像に写っているので、第3記憶部11が画像を記憶していれば、いかなる場所においても、面積算出手段4は、面積を算出できる。また、標識と共に写りこんでいる設置領域であれば、その特定点の選び方によって、様々な領域の面積を算出できるので、デザイン製作者は、フレキシブルに領域を選択して、領域の面積を算出できる。
【0195】
なお、第3記憶部11は、面積算出の対象となる設置領域1の第1画像、第2画像(あるいは第3画像)を記憶しておけばよいが、予め、複数の設置領域のそれぞれに対応する第1画像や第2画像を記憶しておき、面積算出手段4は、デザイン製作者の指示に応じて、複数の設置領域のうちで選択された設置領域の面積を算出しても良い。
【0196】
なお、面積算出手段4は、設置領域1と標識12とが写っている画像について、より様々な位置や角度から撮像された多くの画像に基づくことで、面積算出の精度を向上させることができる。
【0197】
次に、面積算出手段4に含まれる要素の詳細および面積算出の詳細について説明する。
【0198】
(第1画像、第2画像)
図9に第1画像と第2画像の例を示す。図9は、本発明の実施の形態3における第1画像と第2画像の写真例である。第1画像および第2画像のそれぞれは、設置領域1であるブロック塀と三角形の形状を有する標識12とを含んでいる。また、設置領域1の一部の領域が線で枠囲いされているが、この枠囲いされている領域が、面積算出の対象となる対象領域15である。
【0199】
図9の第1画像と第2画像が示すように、第1画像と第2画像とは、異なる角度から設置領域1と標識12とを有している。図9に示される第1画像と第2画像とが第3記憶部11に記憶されている。
【0200】
(読み出し部)
読み出し部41は、第3記憶部11に記憶されている画像を読み出す。例えば、読み出し部41は、HDDやDVDドライブなどに設けられているデータの読取装置およびこの読取装置を駆動するソフトウェアなどを含む。第3記憶部11が半導体メモリや光ディスクである場合には、読み出し部41は、読み出し対象の画像が含まれているアドレスを指定し、当該アドレスに対応するデータを読み出す。
【0201】
読み出し部41は、第3記憶部11から画像を読み出せればよく、その実現手段や構成は、公知技術や一般的に用いられる技術でよい。また、読み出し部41は、データの読み出しだけに限定されるものではなく、データの書き込みを行っても良い。
【0202】
読み出し部41は、図9に示される第1画像と第2画像とを読み出す。読み出し部41は、読み出した第1画像と第2画像とのデータを、撮像装置座標推定部42に出力する。
【0203】
なお、読み出し部41は、ハードウェアで実現されてもソフトウェアで実現されも、ハードウェアとソフトウェアの混在で実現されても良い。
【0204】
(撮像装置座標推定部)
撮像装置座標推定部42は、第1撮像装置13aの配置される第1位置と、第2撮像装置13bの配置される第2位置の、グローバル座標に基づく3次元座標の値を推定する。撮像装置座標推定部42は、標識12を利用して、第1位置と第2位置の3次元座標の値を推定する。第1位置と第2位置の3次元座標の値に基づいて、設置領域1の特定点の3次元座標の値が推定できるようになる。
【0205】
ここで、撮像装置座標推定部42は、第1画像に写っている標識12の傾きに基づいて、第1撮像装置13aの標識12に対する方向を第1方向として推定する。ついで、撮像装置座標推定部42は、第1画像中における標識12の面積に基づいて、第1撮像装置13aと標識12との距離を第1距離として推定する。
【0206】
同様に、撮像装置座標推定部42は、第2画像に写っている標識12の傾きに基づいて、第2撮像装置13bの標識12に対する方向を第2方向として推定する。ついで、撮像装置座標推定部42は、第2画像中における標識12の面積に基づいて、第2撮像装置13bと標識12との距離を第2距離として推定する。
【0207】
なお、撮像装置座標推定部42は、具体的には標識12が含む特定の部位(ポインタ)を基準として、撮像装置と標識12との方向を推定する。このため、標識12は、ポインタを有していることが必要である。特には、ポインタから傾きを検出する必要があるので、標識12は3個以上のポインタを有している必要がある。
【0208】
撮像装置座標推定部42は、第1方向および第1距離に基づいて、第1位置の3次元座標の値を推定し、第2方向および第2距離に基づいて、第2位置の3次元座標の値を推定する。このとき、撮像装置座標推定部42は、第1画像および第2画像に写っている標識12の傾きと面積を利用する。このため、標識12は、画像に移っている状態だけでその傾きと面積とを容易に算出できる構成を有していることが好ましい。
【0209】
例えば、標識12は、その形状や面積が既知であって、画像中で標識12の全体形状や画像中における面積が算出しやすい形状を有していることが好適である。加えて、標識12は、画像のみで、標識12の傾きが判別しやすい形状を有していることが好適である。
【0210】
(標識について)
図10は、本発明の実施の形態3における標識の正面図である。上述のように、画像中で標識12を認識しやすい一例を、図10は示している。勿論、図10に示される形状や構成に、標識12の形状や構成が限られるものではない。
【0211】
標識12は、3以上のポインタを有している。図10では、標識12は、3つのポインタ121、122、123を有している。3つのポインタ121、122、123同士を結ぶ棒状部材によって、標識12は、3つのポインタ121、122、123を頂点とする略三角形の形状を有する。このとき、標識12を形成する三角形は、既知である所定の面積を有している。標識12の本来の面積が既知であることで、画像における標識12の面積(すなわち、三角形の面積)が算出されれば、算出された面積と本来の面積との縮尺率から、撮像装置から標識12までの距離が算出できる。
【0212】
また、標識12が図10に示されるように三角形を有していることで、最少の頂点数により面積を有するので、標識12が画像の中で判別しやすい上に面積や大きさが判別されやすい。
【0213】
このように、標識12が、3つのポインタ121、122、123を頂点とする三角形を有することで、(1)画像中における標識12が容易かつ確実に判別できる、(2)標識12の画像中における面積を算出しやすい、(3)画像中での標識12の面積と、実際の標識12の面積との比較から、撮像装置から標識12までの距離が容易に算出できる、とのメリットを生じる。
【0214】
また、撮像装置座標推定部42は、画像中の標識12の傾きから、撮像装置と標識12との方向を推定する。例えば、図9の第1画像では、標識12は、正面から見て右側に傾いている。一方、図9の第2画像では、標識12は、正面から見て左側に傾いている。第1画像と第2画像のいずれであっても、標識12がどのように傾いているかは、容易に判別できる。撮像装置座標推定部42にとって、標識12の傾きを容易かつ確実に判別できることは、撮像装置と標識12との方向を推定する上で重要である。
【0215】
ここで、3つのポインタ121、122、123のそれぞれは、相互に色度が異なっていることも好適である。相互に色度が異なっていることで、画像中における標識12の判別が確実になる。特に、撮像装置座標推定部42は、ポインタ121、122、123のそれぞれを基準として、撮像装置と標識12との方向を推定するので、ポインタ121、122、123のそれぞれは、確実に区別できることが好ましい。ポインタ121、122、123のそれぞれの色度が相互に異なることで、画像中に写っているポインタ121、122、123のそれぞれが、個々に区別できるようになる。
【0216】
また、3つのポインタ121、122、123のそれぞれは、略球形を有することが好ましい。
【0217】
撮像装置座標推定部42は、標識12に含まれるポインタ121、122、123のそれぞれを基準として撮像装置との方向を推定する。このため、標識12の画像中での写りこみの態様の如何にかかわらず、撮像装置座標推定部42は、画像中のポインタを確実に認識できる必要がある。このとき、ポインタ121、122、123のそれぞれが略球形であることで、標識12がどのような角度から撮像されていてもポインタ121、122、123の形状に変化がない(画像に写っている形状において)。このため、撮像装置座標推定部42は、画像の中から確実に標識12を認識できる。
【0218】
実際には、表示された第1画像や第2画像において、使用者がポインタを選択することで、ポインタと撮像装置との方向や距離が算出される。このとき、撮像されている角度によってポインタの形状が異なってしまっては、正確な選択ができない。ポインタが略球形を有していることで、撮像されている角度によることなく(異なる画像によることなく)、ポインタを正確に選択できる。
【0219】
このように、ポインタ121、122、123が異なる色度を有していたり、略球形を有していたりすることで、(1)画像中におけるポインタが容易かつ確実に判別できる、(2)画像の撮像角度の違いによっても、ポインタを一義的に選択できる、(3)ポインタが正確に選択できることで、標識12に対する撮像装置の方向が確実に推定できる、メリットが生じる。
【0220】
撮像装置座標推定部42は、第1画像に写っているポインタ121、122、123のそれぞれから、第1撮像装置13aの標識12に対する方向を推定する。同様に、撮像装置座標推定部42は、第2画像に写っているポインタ121、122、123のそれぞれから、第2撮像装置13bの標識12に対する方向を推定する。
【0221】
図11は、撮像装置の標識12に対する方向を推定する状態を示している。図11は、本発明の実施の形態3における撮像装置の方向推定の模式図である。
【0222】
標識12は、3つのポインタ121、122、123を有しており、第1位置に配置される第1撮像装置13aは、第1画像を撮像し、第2位置に配置される第2撮像装置13bは、第2画像を撮像する。
【0223】
撮像装置座標推定部42は、第1画像において、ポインタ121、ポインタ122およびポインタ123を選択して、ポインタ121、122、123のそれぞれで構成される平面(標識12の三角形の平面)の傾きを算出する。この傾きによって、第1撮像装置13aの標識12に対する第1方向が推定される。なお、標識12の画像中での形状と標識12の傾きとの相関関係を明示したテーブルに基づいて、撮像装置座標推定部42は、第1方向を推定しても良い。
【0224】
同様に、撮像装置座標推定部42は、第2画像において、ポインタ121、122、123を選択して、ポインタ121、122、123のそれぞれによって構成される平面(標識12の三角形の平面)の傾きを算出する。この傾きによって、第1撮像装置13bの標識12に対する第2方向が推定される。なお、第2方向も、標識12の画像中での形状と標識12の傾きとの相関関係を明示したテーブルに基づいて、推定されてもよい。
【0225】
第1方向および第2方向のいずれも、図11に示されるように、ポインタ121、122、123の各点と撮像装置とを結ぶベクトルによって、推定される。
【0226】
次に、撮像装置座標推定部42は、画像中の標識12の面積と本来の標識12の面積との比較から、撮像装置から標識12までの距離を推定する。図12は、距離の推定の状態を示す。図12は、本発明の実施の形態3における撮像装置と標識との距離の推定を説明する模式図である。
【0227】
図12より明らかな通り、撮像装置は、線形を保ったまま標識12を撮像するので、撮像装置から標識12までの距離は、標識12の撮像装置の位置における面積(既知である固有の面積)と画像中で算出される標識12の面積との比較によって推定される。
【0228】
撮像装置座標推定部42は、第1画像における標識12の面積を算出した上で既知の面積と比較して、第1撮像装置13aから標識12までの距離を第1距離として推定する。同様に、撮像装置座標推定部42は、第2画像における標識12の面積を算出した上で既知の面積と比較して、第2撮像装置13bから標識12までの距離を第2距離として推定する。
【0229】
標識12を基準とした第1撮像装置13aの方向と距離が分かれば、第1撮像装置13aの画像中における2次元座標が、標識12を基準としたグローバルな3次元座標に変換される。すなわち、第1位置の3次元座標の値が得られる。同様に、標識12を基準とした第2撮像装置13bの方向と距離が分かれば、第2撮像装置13bの画像中における2次元座標が、標識12を基準としたグローバルな3次元座標に変換される。
【0230】
このことから、撮像装置座標推定部42は、第1方向と第1距離とから第1位置の3次元座標の値を推定し、第2方向と第2距離と空第2位置の3次元座標の値を推定する。
【0231】
以上の処理手順によって、撮像装置座標推定部42は、第1撮像装置13aの配置されている第1位置と第2撮像装置13bの配置されている第2位置との3次元座標の値を推定する。
【0232】
(特定点座標推定部)
撮像装置座標推定部42は、特定点座標推定部43に、第1位置と第2位置の3次元座標の値を出力する。特定点座標推定部43は、この第1位置と第2位置の3次元座標の値に基づいて、設置領域1の特定点の3次元座標の値を推定する。
【0233】
図13は、本発明の実施の形態3における特定点座標の推定を説明する写真である。図13で示される画像は、標識12と一緒に撮像された設置領域1を含んでおり、設置領域1において、枠囲いされた面積を算出する対象である対象領域15を含んでいる。
【0234】
対象領域15は、任意に定まる複数の特定点を含んでいる。対象領域15は、特定点の3次元座標が分かれば、その面積が算出される。図13においては、対象領域15は、方形の領域であり、対象領域15の4つの頂点が、4つの特定点151、152、153、154として特定されている。特定点は、任意に定められれば良いが、面積算出の容易性から、対象領域の頂点に含まれればよい。あるいは対象領域の外枠の辺上の任意の点と頂点とが組み合わされて、特定点が定められても良い。
【0235】
実際には、表示手段に表示されている画像(図13に例示される画像)上で、使用者が任意の点を特定点として選択する。
【0236】
特定点座標推定部43は、特定点151、152、153、154のそれぞれに対して、第1位置からの方向と第2位置からの方向のそれぞれを推定する。例えば、一つの特定点151に対する第1位置からの方向と第2位置からの方向を推定する。このとき、第1位置と第2位置とは、それぞれ3次元座標の値を有しているので、この3次元座標の値に基づいて、特定点151への方向が推定される。更に、特定点座標推定部43は、第1位置からの方向と第2位置からの方向の交点の3次元座標の値を求める。交点の3次元座標の値が、求めるべき特定点151の3次元座標の値である。
【0237】
図14に特定点の3次元座標の推定の状態を示す。図14は、本発明の実施の形態3における特定点の3次元座標の推定を説明する模式図である。
【0238】
図14に示されるように、第1撮像装置13a(第1位置)から特定点151への方向を示す線51と第2撮像装置13b(第2位置)から特定点151への方向を示す線52とが描かれる。図14より明らかな通り、線51と線52とは、ある位置で交わる。この位置が、交点156である。線51は、第1画像に写っている特定点151と第1位置とを結ぶ線であり、線52は、第2画像に写っている特定点151と第2位置とを結ぶ線である。特定点151は、撮像された角度や位置によって、単一の画像だけでは、その3次元座標は正確に求まらない。これに対して、撮像角度が異なる複数の画像によって、それぞれの画像における特定点151への方向の共通項(交点)が得られる。この交点156は、単一の画像だけの場合よりも特定点151の位置に近い位置となりうる。
【0239】
このように、第1画像と第2画像のそれぞれにおいて、第1位置から特定点を結ぶ線と、第2位置から特定点を結ぶ線とを算出し、それぞれの線同士の交点156を算出することで、特定点の3次元座標(第1位置と第2位置が有する3次元座標と共通の座標)が求まる。交点156が、特定点151の座標位置となる。
【0240】
特定点座標推定部43は、残りの特定点152、153、154の3次元座標の値も求める。
【0241】
なお、ここでは、第1画像と第2画像の2つの画像に基づいて、特定点の3次元座標を求める処理を説明したが、3以上の画像に基づいて(すなわち、第3位置に配置される第3撮像装置にも基づいて)特定点の3次元座標の値を算出しても良い。
【0242】
なお、特定点は、対象領域を囲む外枠上のいくつかの点でもよいし、外枠の辺が特定点の集まりであるとして、辺を選択して、多数の特定点を選択したことにしてもよい。いずれにしても、特定点の数が多いほど、後述の算出44での対象領域の面積算出の精度が高まる。
【0243】
また、特定点座標推定部43は、第1位置からの直線と第2位置からの直線との交点を、特定点の位置として推定しても良いが、第1位置から特定点までの方向と距離によって、まず第1位置に基づく特定点の3次元座標の値(第1特定座標とする)を推定し、ついで、第2位置から特定点までの方向と距離によって、第2位置に基づく特定点の3次元座標の値(第2特定座標とする)を推定した上で、第1特定座標と第2特定座標とに基づいて、特定点の3次元座標の値を推定しても良い。
【0244】
このとき、特定点を含む設置領域1までの距離は、第1位置や第2位置から標識12までの距離と略同一であると考えればよい。方向は、特定点として選択した位置と第1位置(第2位置)の座標との角度で定まる。
【0245】
このとき、第1特定座標と第2特定座標が一致する場合には、第1特定座標と第2特定座標の値が、特定点の3次元座標の値として推定される。第1特定座標と第2特定座標とが不一致の場合には、実施の形態2で説明するように、第1特定座標と第2特定座標との近接位置が、特定点を近似する位置として定められる。
【0246】
このように、特定点座標推定部43は、特定点の3次元座標を推定し、推定結果を算出部44に出力する。
【0247】
なお、特定点座標推定部43は、ハードウェアで実現されても、ソフトウェアで実現されても、ハードウェアとソフトウェアの混在で実現されても良い。
【0248】
(算出部)
次に、算出部44について説明する。
【0249】
算出部44は、特定点座標推定部43で推定された、対象領域15を示す特定点の3次元座標の値に基づいて、対象領域15の面積を算出する。
【0250】
複数の特定点は、共通の3次元座標の値を有している。複数の特定点によって囲まれる対象領域15は、3次元座標によって、その面積が算出できる。3次元座標の値によって、対象領域15を形成する各辺の長さや辺同士が形成する角度が算出されるので、この長さと角度を用いて、算出部44は、対象領域15の面積を算出できる。
【0251】
ここで、算出部44は、領域を形成する点の3次元座標に基づいて領域の面積を算出する種々の公知技術や周知技術を利用できる。これらは、種々の公知技術や周知技術を参考にすればよいので、説明を割愛する。
【0252】
算出部44は、算出した対象領域15の面積値(これが結局は求めたい設置領域1の面積に対応する)を算出手段7に出力する。算出手段7は、この面積値を利用してデザインの構成要素を算出する。
【0253】
また、デザイン製作装置3は、表示手段を備えており、面積算出手段4が算出した面積が表示されても良い。実際の面積算出作業では、使用者は、コンピュータや専用装置のキー入力装置を用いて、第3記憶部11に記憶されている画像を読み出す。このとき、読み出し部41が動作して第3記憶部11に記憶されている画像を読み出す。読み出された画像は、例えば図9に示されるような第1画像と第2画像である。使用者は、第1画像および第2画像において、標識12のポインタのそれぞれをマウスやポインティングデバイスを用いてドラッグする。このドラッグによって、撮像装置座標推定部42が作動して、第1画像を撮像した位置である第1位置の3次元座標の値と、第2画像を撮像した位置である第2位置の3次元座標の値と、が推定される。
【0254】
次に使用者は、図13に示されるように、第1画像もしくは第2画像中の対象領域15を特定する特定点151、152、153、154を、画像中においてマウスやポインティングデバイスを用いてドラッグする。このドラッグによって、特定点座標推定手段が作動して、特定点151、152、153、154の3次元座標の値が推定される。更には、算出部44が作動して、特定点151、152、153、154で形成される対象領域15の面積が算出される。いずれも、画像上でのマウスやポインティングデバイスによるドラッグでは、画像中の座標値が決定されることによるものである。
【0255】
このように、面積算出手段4(デザイン製作装置3)が汎用のパーソナルコンピュータや専用装置に実装されている場合には、使用者は表示された画像において、必要となる点(標識12のポインタや対象領域15の特定点)を指定するだけで、対象領域15(すなわち設置領域1)の面積を算出できる。
【0256】
また、面積算出手段4は、面積算出の精度を上げるために対象領域1の第1画像および第2画像の撮像角度と異なる角度の第3画像を用いてもよい。このときには、設置領域1の第3画像によって得られる第3位置の3次元座標の値をも用いて、面積算出手段4は、設置領域1の面積を算出する。
【0257】
以上のように実施の形態3の面積算出手段4を備えることによって、デザイン製作装置3およびデザイン製作システム100は、対象領域1の写真のみで対象領域1の面積を算出できるので、デザインの構成要素を算出することが容易となる。加えて、デザインの構成要素の算出精度が向上する。
【0258】
特定点座標推定部43は、第1位置および第2位置から特定点の3次元座標を推定する。このとき、第1から特定点に向けて延伸する直線と第2位置から特定点に向けて延伸する直線との交点を、特定点の位置として推定する。このとき第1位置および第2位置の2つの位置からの交点だけでなく、更に第3位置に基づくことで、特定点の3次元座標を、高い精度で推定できる。すなわち、異なる角度からの3以上の撮像画像に基づいて、特定点座標推定部43は、特定点の3次元座標を高い精度で推定できる。
【0259】
このように、2つの撮像位置からだけでなく、3以上の撮像位置からの特定点の3次元座標の推定によって、被写体の対象領域の面積が高い精度で算出される。
【0260】
ここで、各撮像位置から特定点へ形成される各直線が、一つの点で交差せずねじれの関係になることが生じうる。第1位置から特定点への直線は、画像中において選択された特定点と第1位置との方向と距離によって定まり、第2位置から特定点への直線は、画像中において選択された特定点と第2位置との方向と距離によって定まる。このとき、特定点は、平面である画像中において使用者が選択した位置を示し、3次元において一意に定まる本来の特定点と同じ位置となるとは限らない。このため、第1位置から特定点(画像中で選択された特定点)へ形成される直線と第2位置から特定点(画像中で選択された特定点)へ形成される直線とが、交差しないことが生じうる。
【0261】
ねじれが生じる場合には、近似によって特定点の3次元座標を推定する。
【0262】
近似は、単純な近似や従量平均による近似などが用いられる。第1位置から特定点に向けて延伸する直線と第2位置から特定点に向けて延伸する直線の交点と、第2位置から特定点に向けて延伸する直線と第3位置から特定点に向けて延伸する直線の交点との離隔間隔に基づいて、近似を行うことで、特定点を近似できる。重み付け平均での近似でも良い。
【0263】
面積算出手段4は、特定点の推定精度に基づいて、算出する面積の誤差率および面積の誤差範囲の少なくとも一方を算出することも好適である。
【0264】
特定点座標推定部43は、第1位置から特定点への直線と第2位置から特定点への直線とが交差しない場合には、交差しないことによって生じる不一致量を算出する。あるいは、第1特定座標と第2特定座標との不一致量を算出する。
【0265】
第1位置から特定点への直線と第2位置から特定点への直線とが交差しない場合には、それぞれの直線の離隔量が生じる。特定点座標推定部43は、第1位置からの直線と第2位置からの直線とが近接する位置において、近接点を算出する。このとき、近接点を算出する位置における、2つの直線同士の離隔量が算出される。この離隔量が大きいことは、特定点の近似位置として算出される近接点の算出精度は低く、離隔量が小さいことは、特定点の近似位置として算出される近接点の算出精度が高いことを示す。言い換えると、特定点の推定精度を示す。特定点の3次元座標の推定精度が高いことは、算出部44が算出する面積の算出精度が高いことを示す。逆に、特定点の3次元座標の推定精度が低いことは、算出部44が算出する面積の算出精度が低いことを示す。
【0266】
特定点座標推定部43は、この離隔量を不一致量として算出する。
【0267】
あるいは、特定点座標推定部43が、第1位置から特定点までの方向と距離によって定めた第1特定座標と第2位置から特定点までの方向と距離によって定めた第2特定座標(あるいは第3特定座標以降も含めて)とに基づいて、特定点の3次元座標を推定する場合には、第1特定座標の値と第2特定座標の値の差分値を不一致量として算出する。
【0268】
算出部44は、この不一致量に基づいて、算出する対象領域の面積の誤差率を算出する。例えば、算出部44は、不一致量と算出された面積の乗算によって、面積の誤差率を算出する。あるいは、不一致量を絶対値ではなく、レベル値(不一致量によって、レベル1〜レベル5までの段階評価としておく)と面積の値との関係によって誤差率を算出する。例えば、面積が所定範囲内であるときに、不一致量がレベル1である場合には、誤差率を1%と定義し、不一致量がレベル2である場合には、誤差率を2%と定義する。
【0269】
あるいは、算出した面積を、「**平方メートルから○○平方メートルの範囲である」とのように、面積の誤差範囲を明示して算出しても良い。誤差範囲が明示されることで、利用者の便宜がますます高まるからである。
【0270】
以上のように、特定点座標推定部43は不一致量を算出し、算出部44は誤差率を算出する。算出された誤差率は、算出された面積と共に表示手段16で表示される。誤差率が表示されることによって、使用者の便宜が高まる。
【0271】
以上のような面積算出手段4を備えるデザイン製作装置3およびデザイン製作システム100は、設置領域1の写真のみで設置領域1の面積を算出しつつデザインの構成要素を算出できる。
【0272】
(実施の形態4)
【0273】
次に、実施の形態4について説明する。
【0274】
実施の形態1〜3で説明したデザイン製作装置3は、デザインの構成要素を算出する方法として、あるいはこの方法を実行できるコンピュータ上で動作可能なプログラムとして実現されても良い。
【0275】
図15は、本発明の実施の形態4におけるデザイン製作装置のブロック図である。図15に示されるブロック図は、デザイン製作装置が汎用のコンピュータに実装され、コンピュータの備えるメモリやCPUがデザイン製作装置の機能であるデザイン製作方法を実行する状態を示す。
【0276】
コンピュータ200は、実施の形態1〜3で説明したデザイン製作装置の機能を有するプログラムを実行可能な処理装置である。コンピュータ200は、汎用コンピュータでもよいし、ワークステーションでもよいし、その一部もしくは全部が専用装置を有する処理装置であってもよい。
【0277】
コンピュータ200は、その内部もしくは外部にメモリ201を備える。めもり201は、ハードディスクドライブ、半導体メモリ、磁気メモリ、光ディスク、磁気ディスクなど、電子データを記憶できる種々のデバイスを含む。このメモリ201は、実施の形態1〜3で説明した第1記憶部、第2記憶部及び第3記憶部(更には、必要な他の記憶部)の機能を有する。
【0278】
また、コンピュータ200は、プログラムの読み込みおよび命令処理を実行するCPU(中央演算処理装置)202、プログラムを記憶するROM203、演算に必要なデータを読み書きするRAM(ランダムアクセスメモリ)204、CPU202の命令に従って演算を行う演算部205、演算結果や画像のデータのやり取りを行う通信I/F206を備える。また、表示部が備えられていても良い。
【0279】
CPU202は、ROM203に記憶されているプログラムを読み込む。プログラムは、使用者の指示に従い、
【0280】
(1)設置領域1の写真を読み出す読み出しステップ、
(2)設置領域1の写真に基づいて、設置領域1の面積を算出する算出ステップ、
(3)設置領域1の周辺情報を第1記憶部を含むメモリ201に記憶する第1記憶ステップ、
(4)設置領域1に用いるデザインの複数の原画を、第2記憶部を含むメモリ201に記憶する第2記憶ステップ、
(5)面積、周辺情報および原画の少なくとも二つに基づいて、デザインの構成要素を算出する算出ステップ、
との実行手順を含んでいる。
【0281】
この結果、ROM203から、これらの実行手順を含むプログラムを読み出したCPU202は、これらのステップを実行し、デザインの構成要素を算出する。更には、算出されたデザインの構成要素に基づいて実際のデザイン見本を製作したり、デザイン画を印刷したりする。
【0282】
以上のように、デザイン製作装置(デザイン製作方法)の機能の一部もしくは全部が、コンピュータで動作可能なプログラムで実装されることで、汎用のコンピュータでの実行が可能になったり、幅広い用途で活用できたりするメリットが生じる。
【0283】
以上、実施の形態1〜4で説明されたデザイン製作装置、デザイン製作方法、コンピュータプログラムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0284】
1 設置領域
2 建造物
3 デザイン製作装置
4 面積算出手段
5 第1記憶部
6 第2記憶部
7 算出手段
8 取得手段
9 出力手段
11 第3記憶部
12 標識
121、122、123 ポインタ
13 撮像装置
15 対象領域
200 コンピュータ
201 メモリ
202 CPU
203 ROM
204 RAM
205 演算部
206 通信I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デザインを製作する設置領域の面積を算出する面積算出手段と、
前記設置領域の周辺情報を記憶する第1記憶部と、
前記設置領域に用いられるデザインの複数の原画を記憶する第2記憶部と、
前記面積、前記周辺情報および前記原画の少なくとも2つに基づいて、前記デザインの構成要素を算出する算出手段と、を備えるデザイン製作装置。
【請求項2】
前記構成要素は、前記複数の原画の内で前記設置領域に製作されるデザインとして選択される原画、前記設置領域に製作されるデザインに必要な塗料量、前記設置領域に製作されるデザインに必要なコスト、前記設置領域に製作されるデザインに適する輝度、前記設置領域に製作されるデザインに適する色度および前記設置領域に製作されるデザインの中の文字列の位置の少なくとも一つを含む請求項1記載のデザイン製作装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記複数の原画の内で前記設置領域に製作されるデザインとしての原画の選択、前記設置領域に製作されるデザインに必要な塗料量の算出、前記設置領域に製作されるデザインに必要なコストの算出、前記設置領域に製作されるデザインに適する輝度の算出、前記設置領域に製作されるデザインに適する色度の算出および前記設置領域に製作されるデザインの中の文字列の位置の決定の少なくとも一つを行う請求項2記載のデザイン製作装置。
【請求項4】
前記周辺情報は、前記設置領域の位置、前記設置領域の周辺の建造物、前記設置領域の材質、前記設置領域の方角、前記設置領域の角度および前記設置領域の高さの少なくとも一つの情報を含む、請求項1から3のいずれか記載のデザイン製作装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記設置領域の方角および角度の少なくとも一つに基づいて、前記設置領域に製作されるデザインに適する輝度および色度の少なくとも一方を算出する、請求項4記載のデザイン製作装置。
【請求項6】
前記算出手段は、前記設置領域の周辺の建造物および前記設置領域の高さの少なくとも一つに基づいて、前記設置領域に製作されるデザインの中の文字列の位置を決定する請求項4又は5記載のデザイン製作装置。
【請求項7】
前記算出手段は、前記原画および前記面積に基づいて、前記設置領域に製作されるデザインに必要な塗料量および前記設置領域に製作されるデザインに必要なコストの少なくとも一方を算出する請求項4から6のいずれか記載のデザイン製作装置。
【請求項8】
前記周辺情報を取得し、取得した前記周辺情報を、前記第1記憶部に記憶させる取得手段を更に備える請求項1から7のいずれか記載のデザイン製作装置。
【請求項9】
前記算出手段から算出された前記構成要素に基づくデザイン見本を出力する出力手段を更に備える請求項1から8のいずれか記載のデザイン製作装置。
【請求項10】
前記出力手段は、前記設置領域に設置可能なデザイン画を出力可能である請求項9記載のデザイン製作装置。
【請求項11】
前記設置領域の画像を記憶する第3記憶部を更に備え、前記面積算出手段は、前記画像に基づいて、前記設置領域の面積を算出する請求項1から10のいずれか記載のデザイン製作装置。
【請求項12】
前記画像を撮像する撮像手段を更に備え、前記撮像手段が撮像した画像は、前記第3記憶部に記憶される請求項11記載のデザイン製作装置。
【請求項13】
前記画像は、第1撮像装置により撮像された前記設置領域と標識とを含む第1画像と、前記第1撮像装置と異なる角度から第2撮像装置により撮像された前記設置領域と前記標識とを含む第2画像を有し、
前記面積算出手段は、
前記第1撮像装置の第1位置の3次元座標の値と、前記第2撮像装置の第2位置の3次元座標の値とを推定する撮像装置座標推定部と、
前記第1位置および前記第2位置に基づいて、前記設置領域に含まれる複数の特定点のそれぞれの3次元座標の値を推定する特定点座標推定部と、
前記複数の特定点のそれぞれの3次元座標の値に基づいて、前記設置領域の面積を算出する算出部と、を備え、
前記標識は、3以上のポインタを備える2次元形状を有する、請求項11又は12記載のデザイン製作装置。
【請求項14】
前記標識は、相互に色度が異なると共に略球形を有する3つの前記ポインタを頂点とする3角形を有する請求項13記載のデザイン製作装置。
【請求項15】
前記撮像装置座標推定部は、
前記第1画像に含まれる前記標識の傾きに基づいて、前記第1撮像装置の前記標識に対する方向を第1方向として推定し、
前記第1画像に含まれる前記標識の面積に基づいて、前記第1撮像装置と前記標識との距離を第1距離として推定し、
前記第2画像に含まれる前記標識の傾きに基づいて、前記第2撮像装置の前記標識に対する方向を第2方向として推定し、
前記第2画像に含まれる前記標識の面積に基づいて、前記第2撮像装置と前記標識との距離を第2距離として推定し、
前記第1方向および前記第1距離に基づいて、前記第1位置を推定し、
前記第2方向および前記第2距離に基づいて、前記第2位置を推定する、請求項13又は14記載のデザイン製作装置。
【請求項16】
前記第1位置から得られる前記特定点の3次元座標の値である第1特定座標と、前記第2位置から得られる前記特定点の3次元座標の値である第2特定座標と、が一致しない場合には、
前記特定点座標推定部は、前記第1特定座標および前記第2特定座標から、前記特定点の3次元座標の値を近似する請求項13から15のいずれか記載のデザイン製作装置。
【請求項17】
前記画像は、第3撮像装置によって、前記第1撮像装置および前記第2撮像装置のそれぞれと異なる角度から撮像された前記被写体と前記標識とを含む第3画像を更に有し、
前記撮像装置座標推定部は、前記第3撮像装置の第3位置の3次元座標の値を推定し、
前記特定点座標推定部は、前記第1位置、前記第2位置および前記第3位置に基づいて、前記被写体に含まれる複数の特定点のそれぞれの3次元座標の値を推定する請求項13から16のいずれか記載のデザイン製作装置。
【請求項18】
第1記憶部と第2記憶部とを備え、
デザインを製作する設置領域の面積を算出する面積算出ステップと、
前記設置領域の周辺情報を、前記第1記憶部に記憶する第1記憶ステップと、
前記設置領域に用いるデザインの複数の原画を、前記第2記憶部に記憶する第2記憶ステップと、
前記面積、前記周辺情報および前記原画の少なくとも2つに基づいて、前記デザインの構成要素を算出する算出ステップと、を備えるデザイン製作方法。
【請求項19】
第1記憶部と第2記憶部とを備えるコンピュータ上で動作可能なコンピュータプログラムであって、
デザインを製作する設置領域の面積を算出する面積算出ステップと、
前記設置領域の周辺情報を、前記第1記憶部に記憶する第1記憶ステップと、
前記設置領域に用いるデザインの複数の原画を、前記第2記憶部に記憶する第2記憶ステップと、
前記面積、前記周辺情報および前記原画の少なくとも2つに基づいて、前記デザインの構成要素を算出する算出ステップと、を実行可能なコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−37945(P2012−37945A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174931(P2010−174931)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(503445054)マツノデザイン店舗建築株式会社 (4)
【出願人】(509121019)株式会社春田建設 (7)
【出願人】(591065549)福岡県 (121)
【Fターム(参考)】