説明

デジタルカメラおよびその制御方法並びにプログラム

【課題】撮像素子をより適切に保護する。
【解決手段】通常時にはシャッターを開すると共に絞り値を所定値としてイメージセンサーへの入光が開放されるよう制御し(S100〜110)、温度センサーから入力したイメージセンサーの温度である検出温度Tが所定温度Tref以上のときには(S180〜190)、イメージセンサーが発熱した旨のエラーメッセージを表示して(S200)、シャッターを閉すると共に絞り値を最小値としてイメージセンサーへの入光が遮断されるよう制御して(S220〜230)、電源をオフする。これにより、温度センサーからの検出温度Tに基づいて、イメージセンサーの駆動の有無に拘わらず、イメージセンサーが発熱するのを防止することができるから、撮像素子をより適切に保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラおよびその制御方法並びにプログラムに関し、詳しくは、撮像素子が受光した光を光電変換した信号に基づいて画像を生成するデジタルカメラおよびその制御方法並びにデジタルカメラの制御方法をコンピューターに実現させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のデジタルカメラとしては、CCDやCMOSセンサーなどの撮像素子の光電変換により生成された画像をファインダー用の画像としてリアルタイムに液晶モニターに表示する、いわゆるライブビュー表示を行なうデジタルカメラが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このデジタルカメラでは、撮像素子から画像信号を読み出す際に撮像素子に損傷を与えるおそれのある高輝度部を検出した場合には、シャッターを閉じるものとしている。これにより、撮像素子への入光を遮断して、発熱などにより撮像素子が損傷するのを防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−258983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したデジタルカメラでは、撮像素子の損傷を防止することができるものの、画像信号を用いるため、撮像素子の駆動が前提となる。ここで、ライブビュー表示は、実際に撮影するときに必要なものではあるが、撮影しない場合には必ずしも必要のないものである。一方で、撮像素子は、消費電力が比較的大きいため、ライブビュー表示が不要の場合には、無用な電力消費を抑えるためにその駆動を停止することが求められる。しかし、駆動を停止した場合には、撮像素子からの画像信号が出力されなくなるため、撮像素子を適切に保護することができなくなってしまう。
【0005】
本発明のデジタルカメラおよびその制御方法並びにプログラムは、撮像素子をより適切に保護することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデジタルカメラおよびその制御方法並びにプログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のデジタルカメラは、
撮像素子が受光した光を光電変換した信号に基づいて画像を生成するデジタルカメラであって、
前記撮像素子の温度に関連する物理量である温度関連物理量を検出する温度関連物理量検出手段と、
前記撮像素子への入光を調整する入光量調整手段と、
通常時には前記撮像素子へ所定量の光が入射するよう前記入光量調整手段を制御し、前記検出された温度関連物理量から把握される温度が所定の高温領域にある非通常時には前記撮像素子への入光が前記所定量よりも少なくなるよう制限して前記入光量調整手段を制御する制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のデジタルカメラでは、通常時には撮像素子へ所定量の光が入射するよう入光量調整手段を制御し、撮像素子の温度に関連する温度関連物理量から把握される温度が所定の高温領域にある非通常時には撮像素子への入光が所定量よりも少なくなるよう制限して入光量調整手段を制御する。これにより、撮像素子が所定の高温領域にあるときには、撮像素子への入光を制限して、それ以上撮像素子が発熱するのを防止することができる。この入光の制限は、温度関連物理量から把握される温度に基づいて行なうから、撮像素子の駆動の有無に拘わらず撮像素子の保護を図ることができる。この結果、撮像素子をより適切に保護することができる。ここで、入光量調整手段は、シャッターであってもよいし、絞りであってもよいし、シャッターと絞りとであってもよい。
【0009】
また、本発明のデジタルカメラにおいて、前記制御手段は、前記非通常時には前記撮像素子への入光を禁止する手段であるものとすることができる。こうすれば、より確実に撮像素子を保護することができる。
【0010】
さらに、本発明のデジタルカメラにおいて、前記制御手段は、前記把握される温度が第1の所定温度以上のときに前記撮像素子への入光を制限し、該制限している最中に前記把握される温度が前記第1の所定温度よりも低い第2の所定温度以下となったときに入光の制限を解除する手段であるものとすることができる。こうすれば、撮像素子の損傷のおそれがなくなったときには、通常時の動作にスムーズに復帰させることができる。
【0011】
また、本発明のデジタルカメラにおいて、前記制御手段は、入光を制限している最中にユーザーから撮像指示がなされたときには、前記撮像素子への入光の制限を維持して所定の警告を出力することもできる。こうすれば、撮像素子を保護するために撮像指示を受け付けられない状態であることをユーザーに知らせることができる。この態様の本発明のデジタルカメラにおいて、前記制御手段は、前記所定の警告の出力にも拘わらず、再度撮像指示がなされたときには、前記撮像素子への入光の制限を解除して撮像動作を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、撮像素子の保護よりもユーザーの意思を優先させることができる。
【0012】
本発明のデジタルカメラの制御方法は、
撮像素子への入光を調整する入光量調整手段と前記撮像素子の温度に関連する物理量である温度関連物理量を検出する温度関連物理量検出手段とを備え、前記撮像素子が受光した光を光電変換した信号に基づいて画像を生成するデジタルカメラの制御方法であって、
通常時には前記撮像素子へ所定量の光が入射するよう前記入光量調整手段を制御し、前記検出された温度関連物理量から把握される温度が所定の高温領域にある非通常時には前記撮像素子への入光が前記所定量よりも少なくなるよう制限して前記入光量調整手段を制御する
ことを特徴とする。
【0013】
この本発明のデジタルカメラの制御方法では、通常時には撮像素子へ所定量の光が入射するよう入光量調整手段を制御し、撮像素子の温度に関連する温度関連物理量から把握される温度が所定の高温領域にある非通常時には撮像素子への入光が所定量よりも少なくなるよう制限して入光量調整手段を制御する。これにより、撮像素子が所定の高温領域にあるときには、撮像素子への入光を制限して、それ以上撮像素子が発熱するのを防止することができる。この入光の制限は、温度関連物理量から把握される温度に基づいて行なうから、撮像素子の駆動の有無に拘わらず撮像素子の保護を図ることができる。この結果、撮像素子をより適切に保護することができる。なお、上述したデジタルカメラのいずれかの機能を実現するステップを追加してもよい。
【0014】
本発明のプログラムは、上述したデジタルカメラの制御方法をコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピューターに実行させれば、上述したデジタルカメラの制御方法が実行されるため、該制御方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】デジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図。
【図2】撮影モード時処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図3】メインルーチンの一例を示すフローチャート。
【図4】変形例の撮影モード時処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態であるデジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図である。
【0017】
本実施形態のデジタルカメラ10は、被写体の像を光電変換しデジタル信号を出力する電子撮像ユニット20と、電子撮像ユニット20から出力される信号を入力して所定の画像処理を施して画像データや画像ファイルを生成する画像処理部70と、画像処理部70から入力した画像データをEVF(Electronic View Finder)82や液晶モニター84に表示させる表示制御部80と、ユーザーによって操作される各種の操作ボタン群90と、画像処理部70により生成された画像ファイルを保存可能なメモリーカード60と、デジタルカメラ10の各部に電力を供給するバッテリー65と、装置全体を制御するメインコントローラー30とを備える。
【0018】
電子撮像ユニット20は、デジタルカメラ10の本体に図示しないレンズマウントを介して交換可能に取り付けられる撮影レンズ21と、撮影レンズ21を介して入力した光を光電変換によって電気信号に変換するイメージセンサー22と、撮影レンズ21とイメージセンサー22との間に配置されたシャッター23と、イメージセンサー22を駆動するドライバー回路24と、イメージセンサー22から出力された電気信号をデジタル信号に変換して出力するアナログフロントエンド(AFE)26と、イメージセンサー22の近傍に配置されてイメージセンサー22の周辺温度を検出可能な温度センサー28とを備える。温度センサー28は、熱電対やサーミスタなどの周知の温度センサーで構成される。イメージセンサー22は、光を集めるマイクロレンズやある特定の波長の光のみを通過させるカラーフィルター、光を電荷に変換するフォトダイオードなどからなる周知のCCDイメージセンサーとして構成されている。なお、イメージセンサー22としてCCDイメージセンサーを例示したが、CMOS型などの他のイメージセンサーを採用してもよい。
【0019】
撮影レンズ21は、凸レンズと凹レンズとを組み合わせて構成された第1レンズ群21aと、イメージセンサー22に入射する光量を調節する絞り機構21bを図示しないモーターにより駆動可能な絞り調節部21cと、図示しない測距センサや撮影レンズ21からの情報に基づいて焦点合わせを行なうオートフォーカス機構29とを備える。オートフォーカス機構29は、光の入射方向に移動可能に支持された第2レンズ群29aと、移動不能に支持された第3レンズ群29bと、図示しないモーターの駆動により第2レンズ群29aを前後に移動可能な焦点調節部29cとを備える。絞り調節部21cや焦点調節部29cは、メインコントローラー30からの信号により駆動制御される。
【0020】
シャッター23は、金属素材の長方形状の羽根をそれぞれ複数枚ずつ組み合わせた図示しない先幕と後幕とからなるシャッター幕を有し、このシャッター幕が作動することにより開閉する周知のスクエア型のフォーカルプレーンシャッターとして構成されている。このシャッター23を開くと、イメージセンサー22の光の入射経路と干渉しない位置で先幕の羽根と後幕の羽根とをそれぞれ重ねた状態として、イメージセンサー22への光の入射経路が開放される。また、シャッター23を閉じると、先幕の羽根または後幕の羽根のいずれかを上下方向にずらした状態として、イメージセンサー22への光の入射経路が遮断される。なお、シャッター幕の作動は図示しない電磁石による電磁力やスプリングによる付勢力により行なわれるが、本実施形態では、シャッター23を開または閉の状態でロックする際にはバッテリー65からの給電を必要とせず、シャッター23を開から閉するときや閉から開するときにバッテリー65からの給電を必要とするものとした。また、このシャッター23では、イメージセンサー22の1点に注目したときに、その1点を先幕の後端が通過して露光され始めてから後幕の先端が通過して遮光されるまでの時間がシャッタースピードに相当し、このシャッタースピードを制御することにより、イメージセンサー22へ被写体像が照射される時間を制御している。なお、本実施形態のデジタルカメラ10は、イメージセンサー22の光の入射経路上にミラーのないミラーレス構造を採用している。このため、シャッター23を開いているときには、イメージセンサー22に直接的に入光可能な状態となる。
【0021】
画像処理部70は、図示しないが、RGB画素の色補間処理やホワイトバランス処理、色再現処理、リサイズ処理、ガンマ補正処理、画像ファイル生成処理などのデジタルカメラにおける周知の画像処理を実行する各種の画像処理機能ブロックを備える。この画像処理部70は、ユーザーからの指示に応じて定まるタイミングで電子撮像ユニット20から出力されるデジタル信号を入力し画像処理を実行して撮影画像を生成したり、生成した撮影画像を所定形式の画像に変換し撮影情報を付加して画像ファイルを生成したりする。また、所定時間毎のタイミングで電子撮像ユニット20から出力されるデジタル信号を順次入力してライブビュー表示用の画像を生成したりする。
【0022】
表示制御部80は、画像処理部70で生成された撮影画像を液晶モニター84に表示したり、画像処理部70で生成されたライブビュー表示用の画像を順次表示するライブビュー表示をしたりする。ライブビュー表示は、本実施形態では、EVF82または液晶モニター84のいずれか一方を用いて行なうものとしており、図示しない選択キーによりいずれに表示するのかを選択可能となっている。
【0023】
操作ボタン群90は、イメージセンサー22上に結像された画像を取り込む指示をメインコントローラー30へ出力するためのシャッターボタン90aのほか、シャッタースピードや露出値,絞り値などの撮影に関する各種設定値を設定するための各種設定ボタン90bや電源のオンオフを指示する電源ボタン90cなどからなる。
【0024】
メインコントローラー30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、処理プログラムや各種テーブルを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、データを書き換え可能で電源を切ってもデータを保持するフラッシュメモリー38と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。メインコントローラー30には、温度センサー28からのイメージセンサー22の周辺温度の検出値(以下、検出温度Tとする)や操作ボタン群90からの各種の操作信号、撮影レンズ21の情報、メモリーカード60から読み出した画像ファイル、画像処理部70からの各種画像などが入力される。また、メインコントローラー30からは、撮影レンズ21への駆動信号やシャッター23への駆動信号、ドライバー回路24への制御信号、メモリーカード60へ書き込む画像ファイル、画像処理部70への画像処理指令、表示制御部80への表示制御指令などが出力される。
【0025】
ここで、本実施形態のデジタルカメラ10は、電力の消費を抑えるためのスリープモードを有し、電源をオンとしている状態で操作ボタン群90からの各種の操作信号が所定時間に亘って入力されないときにはスリープモードに移行する。このスリープモードにおいては、比較的電力消費の多いイメージセンサー22やシャッター23,EVF82,液晶モニター84などへのバッテリー65からの給電が停止され、比較的電力消費の少ない温度センサー28などへの給電は継続される。また、スリープモード中に操作ボタン群90からの操作信号が入力されると、スリープモードを解除して、通常の動作モードに移行する。なお、スリープモードに移行するか否かを判定するための所定時間は、ユーザーによる各種設定ボタン90bの操作により予め設定が可能となっている。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態のデジタルカメラ10の動作について説明する。図2は、メインコントローラー30により実行される撮影モード時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ユーザーの操作により電源ボタン90cがオンにされて、撮影レンズ21の情報の入力やメモリーカード60の装着の確認などの所定の起動時処理が実行された後に実行される。このルーチンが実行されると、メインコントローラー30は、まず、シャッター23を開くと共に(ステップS100)、絞り機構21bの絞り値が所定の絞り値となるよう絞り調節部21cを制御する(ステップS110)。なお、所定の絞り値は、ライブビュー処理を行なうための絞り値として予め設定されている。次に、電子撮像ユニット20のイメージセンサー22をオンして(ステップS120)、ライブビュー処理を開始する(ステップS130)。なお、ライブビュー処理は、上述したように、所定時間毎のタイミングで電子撮像ユニット20から出力されるデジタル信号を画像処理部70が順次入力してライブビュー表示用の画像を生成したり、生成されたライブビュー表示用の画像を表示制御部80により液晶モニター84に順次表示したりすることにより行なわれる。
【0027】
こうしてライブビュー処理を開始すると、ユーザーによるボタン操作がされたか否かを判定し(ステップS140)、ボタン操作されたときには、操作されたボタン種に応じて(ステップS150)、各処理を実行する。電源ボタン90cが操作されたときには、デジタルカメラ10の電源オフが指示されているため、まず、イメージセンサー22をオフする(ステップS210)。これにより、ライブビュー処理が終了する。また、絞り機構21bの絞り値が最小値となるよう絞り調節部21cを制御して(ステップS220)、シャッター23を閉としてから(ステップS230)、電源をオフして(ステップS240)、本ルーチンを終了する。このように、電源をオフするときには、シャッター23を閉とすると共に絞り値を最小値とするから、イメージセンサー22への入光を遮断することができる。このため、電源オフの間に太陽光などが撮影レンズ21を介してイメージセンサー22に到達することがなく、イメージセンサー22が許容できる範囲を超えて発熱する可能性が減少する。これにより、イメージセンサー22のマイクロレンズやカラーフィルターなどが劣化したり退色したりするなど、発熱に伴うイメージセンサー22の劣化や損傷を抑制することができる。
【0028】
また、シャッターボタン90aが操作されたときには、撮影処理を実行し(ステップS160)、各種設定ボタン90bが操作されたときには、操作された設定ボタンに従って各種の設定処理を実行する(ステップS170)。こうして、操作されたボタン種に応じた処理を実行すると、温度センサー28により検出された検出温度Tを入力し(ステップS180)、検出温度Tが所定温度Tref以上であるか否かを判定する(ステップS190)。ここで、所定温度Trefは、イメージセンサー22の温度が、許容できる範囲を超えて高温となることがないよう、許容範囲の上限近傍の温度よりも低温側に若干のマージンをもって予め設定された温度である。
【0029】
検出温度Tが所定温度Tref以上であると判定したときには、イメージセンサー22の温度が許容範囲を超えて高温となるおそれがあり、イメージセンサー22が発熱した旨のエラーメッセージを液晶モニター84に表示する(ステップS200)。なお、イメージセンサー22の保護のためしばらく待ってから再度操作するよう促す指示などをエラーメッセージと併せて表示してもよい。エラーメッセージを表示すると、ステップS210〜S240の処理を実行して、本ルーチンを終了する。これにより、検出温度Tが所定温度Tref以上のときには、イメージセンサー22への入光を遮断して、太陽光などがイメージセンサー22に入光するのを防止するから、イメージセンサー22の温度が検出温度T以上に上昇するのを抑制することができる。これにより、イメージセンサー22が許容できる範囲を超えて発熱するのを防止して、発熱に伴うイメージセンサー22の劣化や損傷を防止することができる。
【0030】
一方、ステップS190で検出温度Tが所定温度Tref以上ではないと判定したときには、イメージセンサー22は、発熱に伴う影響が生じるような温度にはなっていないと判断し、ステップS140に戻り、処理を繰り返す。
【0031】
ステップS140に戻ってボタン操作されていないと判定したときには、ボタン操作されていない非操作状態が所定時間に亘って継続しているか否かを判定する(ステップS260)。そして、所定時間に亘って継続していないと判定したときには、ステップS180で検出温度Tを入力し、ステップS190で検出温度Tが所定温度Tref以上であるか否かを判定する。このように、ライブビュー処理中は、イメージセンサー22が発熱により劣化しないよう、温度センサー28からの検出温度Tを用いて監視するのである。この理由は、ライブビュー処理中は、イメージセンサー22に直接的に継続して入光され、イメージセンサー22が発熱しやすい状態にあることによる。
【0032】
一方、ステップS260で非操作状態が所定時間に亘って継続していると判定したときには、イメージセンサー22をオフしてスリープモードに移行する(ステップS270)。なお、これにより、ライブビュー処理は終了する。また、上述したように、スリープモードに移行したあとは、温度センサー28やメインコントローラー30への給電は継続され、イメージセンサー22やシャッター23などへの給電が遮断される。このとき、開閉に伴う電力消費を抑えてライブビュー処理を速やかに再開できるようにするため、シャッター23は開状態を維持するものとし、絞り機構21bもそのままの状態を維持するものとした。このため、ミラーレスの構造を採用する本実施形態のデジタルカメラ10において、スリープモード中は、ライブビュー処理中と同様に、イメージセンサー22に直接的に継続して入光するためイメージセンサー22が発熱しやすい状態にある。そのため、スリープモード中においても、温度センサー28から検出温度Tを入力し(ステップS280)、検出温度Tが所定温度Tref以上であるか否かを判定する(ステップS290)。検出温度Tが所定温度Tref以上ではないと判定したときには、ユーザーによるボタン操作がされたか否かを判定する(ステップS300)。ボタン操作されたと判定したときには、イメージセンサー22をオンしてスリープモードを解除し(ステップS310)、ステップS130の処理に戻り再びライブビュー処理を開始する。このとき、シャッター23は開状態のままであり、絞り機構21bもスリープモードの開始前の状態を維持しているため、ライブビュー処理をすぐに再開することができる。一方、ステップS300でボタン操作されていないと判定したときには、ステップS280に戻って検出温度Tを入力し続くステップS290で検出温度Tが所定温度Tref以上であるか否かを判定する処理を繰り返す。
【0033】
そして、ステップS290で検出温度Tが所定温度Tref以上であると判定したときには、ステップS200〜S240の処理を実行して、本ルーチンを終了する。このように、イメージセンサー22への給電を停止するスリープモードにおいても、温度センサー28への給電を継続して、イメージセンサー22の発熱状態を監視するのである。ここで、イメージセンサー22からの出力信号の輝度値などを用いてその発熱を監視するものにおいては、スリープモード中であってもイメージセンサー22をオフすることができず、消費電力の抑制効果としてそれほどの多くの効果を得られない場合がある。これに対して、本実施形態では、温度センサー28からの検出温度Tを用いてイメージセンサー22の発熱を監視しつつ、イメージセンサー22の給電の停止を可能として消費電力を抑制することができる。なお、温度センサー28の消費電力は、一般的にイメージセンサー22に比して小さく、イメージセンサー22の給電を停止できる効果の方が大きなものとなるため、温度センサー28を設けることによる消費電力の影響は大きな問題とはならない。これらのことから、イメージセンサー22の発熱からの保護と消費電力の抑制とを両立することができる。イメージセンサー22の近傍に温度センサー28を設けてイメージセンサー22の発熱を監視するのは、こうした理由による。
【0034】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の温度センサー28が本発明の「温度関連物理量検出手段」に相当し、シャッター23や絞り機構21bが「入光量調整手段」に相当し、メインコントローラー30が「制御手段」に相当する。
【0035】
以上詳述した本実施形態のデジタルカメラ10によれば、通常時にはシャッター23を開すると共に絞り機構21bの絞り値が所定値となるよう絞り調節部21cを制御してイメージセンサー22への入光が開放されるよう制御し、イメージセンサー22の近傍に配置した温度センサー28からの検出温度Tが所定温度Tref以上のときにはイメージセンサー22が発熱した旨のエラーメッセージを液晶モニター84に表示して、シャッター23を閉すると共に絞り値を最小値としてイメージセンサー22への入光が遮断されるよう制御するから、温度センサー28からの検出温度Tに基づいてイメージセンサー22が発熱するのを防止して、イメージセンサー22をより適切に保護することができる。
【0036】
また、イメージセンサー22への入光を遮断すると、デジタルカメラ10の電源をオフするから電力の無駄な消費を抑制することができる。さらに、非操作状態が所定時間に亘って継続したときにはイメージセンサー22をオフしてスリープモードに移行し、スリープモード中においてもイメージセンサー22の発熱を監視するから、イメージセンサー22の保護と消費電力の抑制とを両立することができる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施態様に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。例えば、下記の変形例やこれらを組み合わせたものとして、実施することも可能である。
【0038】
上述した実施形態では、温度センサー28からの検出温度Tが所定温度Tref以上であるか否かに拘わらず撮影モード時処理ルーチンを開始するものとしたが、検出温度Tが所定温度Tref以上であるときには開始しないものとしてもよい。図3は、この場合に実行されるメインルーチンの一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、電源ボタン90cがオンされたときに実行される。このメインルーチンが実行されると、メインコントローラー30は、まず、上述した所定の起動時処理を実行し(ステップS400)、検出温度Tを入力して(ステップS410)、所定温度Tref以上であるか否かを判定する(ステップS420)。そして、検出温度Tが所定温度Tref以上ではないと判定したときには、図2の撮影モード時処理を実行して(ステップS430)、本ルーチンを終了する。一方、検出温度Tが所定温度Tref以上であると判定したときには、上述したエラーメッセージを液晶モニター84に表示し(ステップS440)、電源をオフして(ステップS450)、本ルーチンを終了する。これにより、検出温度Tが所定温度Tref以上のときに撮影モード時処理を実行することによる無駄な電力消費を抑制することができる。
【0039】
上述した実施形態では、スリープモードを有するものとしたが、これを有しないものとしてもよい。この場合、図2の撮影モード時処理におけるステップS260〜S310の処理を省略し、ステップS140でボタン操作がされていないと判定した次の処理としてステップS180の検出温度Tの入力を行なうものとすればよい。
【0040】
上述した実施形態では、検出温度Tが所定温度Tref以上であると判定したときには電源をオフするものとしたが、電源をオフしないものとしてもよい。この場合、図2の撮影モード時処理ルーチンの代わりに、図4に示す変形例の撮影モード時処理ルーチンを実行するものとすればよい。なお、図4の処理ルーチンにおいて、図2と同じ処理には同じステップ番号を付してその説明を省略し、一部を除き図示も省略する。ステップS190で温度センサー28からの検出温度Tが所定温度Tref以上であると判定したときには、イメージセンサー22をオフして(ステップS500)、絞り値を最小値として(ステップS510)、シャッター23を閉とする(ステップS520)。次に、シャッターボタン90aが操作されたか否かを判定し(ステップS530)、操作されていないときには検出温度Tを入力して(ステップS540)、復帰判定用の所定温度Tref1以下であるか否かを判定する(ステップS550)。ここで、復帰判定用の所定温度Tref1は、所定温度Trefよりも低く、イメージセンサー22が発熱により損傷されるおそれのない温度として予め設定された温度である。ステップS550で所定温度Tref1以下ではないと判定したときには、ステップS530に戻り処理を繰り返す。また、所定温度Tref1以下であると判定したときには、ステップS100に戻り通常時の処理を行なう。これにより、発熱による損傷のおそれがなくなったときには、スムーズに通常時の動作に復帰させることができる。一方、ステップS530でシャッターボタン90aが操作されたと判定したときには、シャッターボタン90aに伴う操作をすることなく、発熱した旨のエラーメッセージと通常時の動作に復帰させるか否かを選択可能に液晶モニター84に表示する(ステップS560)。そして、再度ユーザーがシャッターボタン90aを操作することで復帰が選択されたときには(ステップS570)、ステップS100に戻り通常時の動作を行ない、復帰が選択されないときにはステップS530に戻り処理を繰り返す。これにより、通常時の動作に戻って一時的には撮影処理が可能となり、イメージセンサー22の保護よりもユーザーの意思を優先させることができる。なお、各種設定ボタン90bが操作されたときも同様の処理をするものとすればよく、電源ボタン90cが操作されたときにはそのまま電源をオフするものとしてもよい。なお、ステップS530でシャッターボタン90aが操作されたと判定したときに、検出温度Tを再び入力し、入力した検出温度Tが所定温度Trefを超える温度である所定温度Tref2以上であれば、復帰選択をさせずにエラー表示を行なって復帰の禁止をするものとしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、ライブビュー表示を液晶モニター84またはEVF82のいずれか一方に表示するものとしたが、これに限られず、両方に表示するものとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、イメージセンサー22の近傍に取り付けられた温度センサー28からの検出温度Tを用いるものとしたが、これに限られず、イメージセンサー22自体の温度を検出するものとしてもよいし、イメージセンサー22の周囲の雰囲気温度を検出するものとしてもよい。このように、イメージセンサー22の温度を直接的にまたは間接的に検出するものとすればよい。
【0043】
上述した実施形態では、絞り機構21bの絞りとシャッター23の開閉とを共に制御するものとしたが、これに限られず、絞りだけを制御するものとしてもよいし、シャッター23の開閉だけを制御するものとしてもよい。シャッター23の開閉だけを制御するものとした場合には、絞り調節部21cがメインコントローラー30による電気的な制御を受け付けず、ユーザーからの手動操作のみを受け付けるものとして構成してもよい。
【0044】
上述した実施形態では、液晶モニター84にエラー表示を行なうものとしたが、これに限られず、EVF82に表示するものとしてもよい。また、表示するものに限られず、アラーム音などの警告音を発するものとしてもよいし、警告ランプなどを点灯あるいは点滅させるものなどとしてもよい。なお、必ずしもエラーを報知する必要はなく、ステップS200,S440,S560の処理を省略して次のステップに進むようにしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、撮影モード時処理ルーチンにおいてライブビュー処理を行なうものとしたが、ライブビュー処理を行なわないものとしてもよい。この場合、ファインダー画像を生成するためのファインダー機構を別途設けるものとすればよい。
【0046】
上述した実施形態では、シャッター23を開または閉の状態でロックする際にバッテリー65からの給電を必要としないものとしたが、これに限られず、開状態でロックする際に給電を必要とせず閉状態でロックする際に給電を必要とするものとしてもよいし、開状態でロックする際に給電を必要とし閉状態でロックする際に給電を必要としないものなどとしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 デジタルカメラ、20 電子撮像ユニット、21 撮影レンズ、21a 第1レンズ群、21b 絞り機構、21c 絞り調節部、22 イメージセンサー、23 シャッター、24 ドライバー回路、26 アナログフロントエンド(AFE)、28 温度センサー、29 オートフォーカス機構、29a 第2レンズ群、29b 第3レンズ群、29c 焦点調節部、30 メインコントローラー、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 フラッシュメモリー、60 メモリーカード、65 バッテリー、70 画像処理部、80 表示制御部、82 EVF、84 液晶モニター、90 操作ボタン群、90a シャッターボタン、90b 各種設定ボタン、90c 電源ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子が受光した光を光電変換した信号に基づいて画像を生成するデジタルカメラであって、
前記撮像素子の温度に関連する物理量である温度関連物理量を検出する温度関連物理量検出手段と、
前記撮像素子への入光を調整する入光量調整手段と、
通常時には前記撮像素子へ所定量の光が入射するよう前記入光量調整手段を制御し、前記検出された温度関連物理量から把握される温度が所定の高温領域にある非通常時には前記撮像素子への入光が前記所定量よりも少なくなるよう制限して前記入光量調整手段を制御する制御手段と
を備えるデジタルカメラ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記非通常時には前記撮像素子への入光を禁止する手段である請求項1記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記把握される温度が第1の所定温度以上のときに前記撮像素子への入光を制限し、該制限している最中に前記把握される温度が前記第1の所定温度よりも低い第2の所定温度以下となったときに入光の制限を解除する手段である請求項1または2記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記制御手段は、入光を制限している最中にユーザーから撮像指示がなされたときには、前記撮像素子への入光の制限を維持して所定の警告を出力する手段である請求項1ないし3いずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記制御手段は、前記所定の警告の出力にも拘わらず、再度撮像指示がなされたときには、前記撮像素子への入光の制限を解除して撮像動作を実行する手段である請求項4記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記入光量調整手段は、シャッターまたは絞りである請求項1ないし5いずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
撮像素子への入光を調整する入光量調整手段と前記撮像素子の温度に関連する物理量である温度関連物理量を検出する温度関連物理量検出手段とを備え、前記撮像素子が受光した光を光電変換した信号に基づいて画像を生成するデジタルカメラの制御方法であって、
通常時には前記撮像素子へ所定量の光が入射するよう前記入光量調整手段を制御し、前記検出された温度関連物理量から把握される温度が所定の高温領域にある非通常時には前記撮像素子への入光が前記所定量よりも少なくなるよう制限して前記入光量調整手段を制御する
ことを特徴とするデジタルカメラの制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載のデジタルカメラの制御方法をコンピューターに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−142398(P2011−142398A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−709(P2010−709)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】