説明

デジタルサーボアンプシステムおよびそのパラメータ調整方法

【課題】デジタル制御を用いたサーボアンプシステムにおいて、パラメータ調整を迅速に進めるとともにパラメータ調整データを保護する。
【解決手段】デジタルサーボアンプシステムは、ネットワーク経由でパラメータを調整するパラメータ調整装置140を有する。センサ201〜203の信号と目標指令とをデジタル信号に変換し、パラメータ調整装置が調整したパラメータを用いてデジタル制御信号をサーボアンプユニット120が生成する。サーボアンプユニットは、デジタル変換されたセンサ信号と指令信号とを比較演算して制御信号を生成するサーボ制御部222と、演算に使用するパラメータを管理するパラメータ管理装置227とを有する。パラメータ管理装置は、パラメータ調整装置からのパラメータ更新通知に基づいて記憶装置226に更新されたパラメータを書込んでいるときは、サーボ制御部が記憶装置へアクセスすることを禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧加振機を駆動するサーボ弁等に指令を与えるデジタルサーボアンプシステムおよびそのパラメータ調整方法に係り、特に、ネットワークにより接統された場合に好適なデジタルサーボアンプシステムおよびそのパラメータ調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧加振機等のサーボアンプシステムを有する試験装置では、装置の立上げ時などに、装置の安定動作や特性向上を目的として、制御装置の制御用パラメータを調整する必要がある。従来のアナログ型コントローラを有する制御装置の場合には、制御用パラメータを調整するために回路基板に取り付けた可変抵抗を調整していた。
【0003】
一方、デジタル制御システムでは、別途パラメータ調整装置が必要となっている。このように、コントローラと別にパラメータ調整装置を有するシステムの例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1では、ロボット本体制御用のコントローラとは別に、パラメータ調整用の装置を有しており、本体制御用のコントローラとパラメータ調整用装置間で通信して、パラメータ調整を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−292584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のアナログ型コントローラを有する制御装置では、制御用パラメータの調整のために、回路上に実装されている可変抵抗を調整していた。ところで、アナログ回路の場合、オペアンプ出力特性が機器ごとに異なることが多く、同型のオペアンプを用いた回路であっても、調整値である可変抵抗の抵抗値が大きく異なる可能性がある。したがって、調整作業を一律にすることが難しく、個々の機器に応じた作業が必要であり、作業者の熟練度に左右されている。
【0006】
一方デジタル制御システムに関しては、上記回路特性による調整値のばらつきは存在しないので、一律に作業を進めることができ、定量的に調整値を把握もできる。特許文献1に記載のロボットの場合には、本体制御用のコントローラとは別にパラメータ調整用のサーバコンピュータを有し、ネットワークを通じてパラメータ調整を実行している。その際、ロボット制御盤には、ロボット本体を制御する制御用プログラム(ロボットコントロールプログラム)の他に、調整用パラメータの設定作業のためのパラメータ調整用プログラムが搭載されている。そして、このパラメータ調整用プログラムを独立して動作させて、調整作業を進めている。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に記載のパラメータ設定方法では、サーバコンピュータから送信されたパラメータの更新タイミングや更新されたパラメータの反映タイミングが、ロボット自体の制御に及ぼす影響については考慮されていない。
【0008】
つまり、パラメータ調整用プログラムが最新のパラメータを何らかの記憶手段に記憶中に、ロボットコントロールプログラムがパラメータを利用しようとすると、同時アクセスによりパラメータデータが破壊されるおそれがある。または、パラメータ調整用プログラムがパラメータを記憶手段に記憶させる処理が終了するまで、ロボットコントロールプログラムが処理を待たされるおそれがある。さらには、パラメータ調整用プログラムを動作させればさせるだけ、制御装置の処理負荷が増大する。
【0009】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、デジタル制御を用いたサーボアンプシステムにおいて、パラメータ調整を迅速に進めるとともにパラメータ調整データを保護することにある。本発明の他の目的は、デジタル制御を用いたサーボアンプシステムの調整パラメータを迅速に調整するとともに、サーボアンプシステムが有する制御装置の処理負荷を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の特徴は、ネットワーク経由でパラメータを調整するパラメータ調整装置を有し、被制御対象の状態を検出するセンサの信号と目標指令とをデジタル信号に変換し、前記パラメータ調整装置が調整したパラメータを用いてデジタル制御信号をサーボアンプユニットが生成し、このサーボアンプユニットの制御信号に基づいて前記被制御対象が有する被制御手段を制御するデジタルサーボアンプシステムにおいて、前記サーボアンプユニットは、デジタル変換されたセンサ信号と指令信号とを比較演算して制御信号を生成するサーボ制御部と、前記演算に使用するパラメータを管理するパラメータ管理装置と、前記パラメータ管理装置がパラメータを書き込む記憶装置と、前記パラメータ管理装置が前記記憶装置にパラメータを書込み中に前記サーボ制御部に通知する書込み通知装置とを有し、前記パラメータ管理装置は、前記パラメータ調整装置からのパラメータ更新通知に基づいて前記記憶装置に更新されたパラメータを書込んでいるときは、前記サーボ制御部が前記記憶装置へアクセスすることを禁止することにある。
【0011】
そしてこの特徴において、前記サーボ制御部は、前記記憶装置へのアクセスを禁止されているときは、それまで使用していたパラメータを用いて制御信号を生成するのがよく、パラメータ調整装置からの終了通知やパラメータ更新通知を確認し、予め定めた時間通知がない場合は前記パラメータ管理装置は動作を休止するよう指令するのがよい。また、パラメータ調整装置は、各パラメータが一覧表示されたユーザインターフェース画面を表示可能な表示手段を有し、この表示画面上でユーザがデジタルデータ入力可能になっていてもよい。さらに、前記被制御対象が加振機であり、被制御手段がサーボ弁であってもよい。
【0012】
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、ネットワーク経由でパラメータを調整するパラメータ調整装置からの更新指令に基づいて、デジタルサーボアンプシステムのパラメータを調整するパラメータ調整方法において、このデジタルサーボアンプシステムの被制御対象が有する被制御手段をサーボ制御部がパラメータを用いて制御するときに、前記パラメータ調整装置からの更新指令に基づいてパラメータ管理装置が記憶装置に記憶されたパラメータを更新しているときは、サーボ制御部が前記記憶措置へのアクセスを禁止して、それまで使用していたパラメータを継続使用させることにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、デジタル制御を用いたサーボアンプシステムにおいて、制御対象装置を制御するサーボアンプのアクセス権をパラメータ調整手段のアクセス権よりも優先させているので、パラメータ調整を迅速に進めるとともにパラメータ調整データを保護できる。また、ネットワークからの情報でパラメータ更新タイミングを確認できるので、デジタル制御を用いたサーボアンプシステムの調整パラメータを迅速に調整できるとともに、サーボアンプシステムが有する制御装置の処理負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るデジタルサーボアンプシステムの一実施例のブロック図である。
【図2】図1に示したデジタルサーボアンプシステムの一部を取り出した詳細ブロック図である。
【図3】図2に示したデジタルサーボアンプシステムが有するパラメータ調整装置のユーザインターフェース画面の一例を示す図である。
【図4】図2に示したデジタルサーボアンプシステムが有するパラメータ管理装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】図2に示したデジタルサーボアンプシステムが有するサーボ制御部の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明に係るデジタルサーボアンプシステムの一実施例を説明する。図1に、複数の油圧加振機100〜103を有する加振システムをブロック図で示す。ネットワーク130に、複数のサーボアンプユニット120〜123およびパラメータ調整装置140、電源ユニット141が接続されている。サーボアンプユニット120〜123は、それぞれ油圧加振機100〜103に取り付けられたサーボ弁110〜111を制御する。すなわち、サーボアンプユニット120に、サーボ弁110、油圧加振機100が対応している。同様に、サーボアンプユニット121に、サーボ弁111、油圧加振機101が対応している。サーボアンプユニット122に、サーボ弁112、油圧加振機102が対応している。サーボアンプユニット123に、サーボ弁113、油圧加振機103が対応している。
【0016】
ネットワーク130としては、例えば、インターネットに代表されるような公衆の通信回線や、LAN(ロ−カルエリアネットワーク)や専用の通信回線を使用できる。各サーボアンプユニット120〜123は、工場やプラント、試験設備等で用いられる産業用機器の油圧加振機100〜103に、それぞれ指令を与える。電源ユニット141は、サーボアンプユニット120〜123に一括して電源を供給する。なお、サーボアンプユニット120〜123は、ネットワーク130に接続されている。ネットワーク130には、パラメータ調整装置14も接続されており、各サーボアンプユニット120〜123に対して、制御用パラメータを設定する。
【0017】
油圧加振機100〜103は、工場やプラント、試験設備等の内部に設置された図示しない供試体を加振し、変形を加える。油圧加振機100〜103内には、詳細を図示しないがシリンダが形成されており、そのシリンダにピストンが移動可能に収容されている。ピストンはフランジ部を有しており、このフランジ部でシリンダ内を2つの部屋に区切っている。
【0018】
各サーボ弁110〜113が、対応する油圧加振機100〜103が有するシリンダ内に形成された2つの部屋に流入する油の流入方向や流入量を、対応するサーボアンプユニット120〜123からの指令を受けて制御する。すなわち、2つの部屋のうちのいずれに油を流入させるかにより、ピストンの動作方向が決定される。また、シリンダ内の部屋に流入する油の単位時間あたりの流入量を変化させれば、ピストンの動作速度が変化する。
【0019】
図2に、図1に示した加振システム中から1個のサーボアンプユニット120に関する部分だけを取り出し、単体のデジタルサーボアンプシステム200の例として説明する。この図2は、デジタルサーボアンプシステム200のブロック図である。
【0020】
油圧加振機100には、変位センサ201、圧力センサ202、203、加重センサ205が設けられており、図示しない供試体には加速度センサ204が設けられている。加速度センサ204は、センサヘッド204aとアンプ204bを有している。サーボアンプユニット120は、A/Dコンバータ221、サーボ制御部222、D/Aコンバータ223、デジタル入出力装置224、インターフェース(I/F)装置225、記憶装置226、パラメータ管理装置227、コントロール基板228、電圧電流変換装置229、書込み通知装置231を備えている。ここで、A/Dコンバータ221、サーボ制御部222、D/Aコンバータ223、デジタル入出力装置224、インターフェース装置225は、コントロール基板228に実装されている。
【0021】
変位センサ201は、油圧加振機100に設けたシリンダ内のピストン変位を計測する。変位センサ201として例えば差動変圧器を用いると、ピストン位置を磁気の変化として検出する。検出された信号は、増幅された後アナログ電圧値Aとして出力される。アナログ電圧出力Aは、油圧加振機100のピストン変位としてサーボアンプユニット120に入力される。
【0022】
圧カセンサ202、203は、油圧加振機100内に設けたシリンダ内のピストンのフランジ部で区画された2つの部屋の圧力をそれぞれ計測する。計測された圧力値は、アナログ電圧値B、Cとして出力され、サーボアンプユニット120に入力される。
【0023】
加速度センサ204のセンサヘッド204aは、図示しない供試体に設置されている。センサヘッド204aは、油圧加振機100が供試体に加えた変形の度合いを計測する。供試体に設置したセンサヘッド204aが計測したデータは、加速度センサ204のアンプ204bに送られる。アンプ204bで信号を増幅した後、アナログ電圧値Dとしてサーボアンプユニット120に入力する。
【0024】
油圧加振機100が供試体に加えた変形に対する反力を計測できるように、ピストンの他端側に加重センサ205を取り付けている。計測した荷重値は、アナログ電圧値Eとして出力され、サーボアンプユニット120に入力される。これらの計測信号A〜Eが入力されるサーボアンプユニット120の構成について、以下に説明する。
【0025】
サーボアンプユニット120には、変位センサ201および圧カセンサ202、203、加速度センサ204、荷重センサ205の出力信号A〜Eの他に、図示しない指令装置から目標変位指令が入力される。これらの出力信号A〜Eや目標変位指令は、アナログ電圧信号で与えられるので、この信号を取り込むために、アナログ/デジタル変換するA/Dコンバータ221が、サーボアンプユニット120に設けられている。
【0026】
デジタル変換された信号の整形が可能で、指令信号と各種センサ201〜205からのフィードバック信号により、正確かつ速やかに追従させようとするサーボ制御部222と、D/Aコンバータ223は、サーボ制御部222から出力される信号をアナログ信号としてサーボ弁110に出力するため、デジタル/アナログ変換する。
【0027】
一方、図示しない外部装置から、加振開始等の指令信号を入力するため、およびサーボアンプユニット120の状態を外部に出力するため、デジタル入出力装置224も有している。さらに、ネットワーク130を介して外部と接続するためのインタ−フェース装置225や、ネットワーク130に接続されたパラメータ調整装置140からのパラメータ更新通知を受けてパラメータを更新するパラメータ管理装置227、パラメータ管理装置227が更新したパラメータを記憶する記憶装置226を、サーボアンプユニット120は備えている。
【0028】
ところで本実施例では、パラメータ情報を取得するためにパラメータ調整装置140とサーボアンプユニット120の双方からのアクセスが衝突するのを防止するために、書き込み通知装置231を備えている。書込み通知装置231は、パラメータ管理装置227が記憶装置226に更新されたパラメータを書込む際に、サーボ制御部222に書込み中であることを通知する。
【0029】
なお、上記A/Dコンバータ221およびデジタル入出力装置224、インターフェース装置225、サーボ制御部222、D/Aコンバータ223、書き込み通知装置、231、記憶装置226、パラメータ管理装置227は、1枚の基板に実装されて、コントロール基板228を構成する。サーボ弁110を駆動するためには、電流信号が必要なため、D/Aコンバータ223でアナログ信号に変換された信号を、さらに電圧電流変換装置229で、入力電圧信号に比例した電流信号に変換して、サーボ弁110を駆動する。この電圧電流変換装置229もサーボアンプユニット120に備えられている。
【0030】
以下に、A/Dコンバータ221およびD/Aコンバータ223での変換について説明する。A/Dコンバータ221では、入力されたアナログ信号をデジタル信号化するために、連続量であるアナログ値を離散値化する。具体的には、例えば±10V範囲のアナログ電圧値を4096段階(12bit A/D変換の場合)の離散値(デジタル値)の内、最も近い値に当てはめて数値情報に変換する。一方、D/Aコンバータ223では、A/Dコンバータ221と逆の処理を行う。すなわち、入力されたデジタル信号をアナログ電圧信号化するために、例えば±10V範囲が4096段階(12bit A/D変換の場合)の離散値(デジタル値)として定義されている場合に、離散値(デジタル値)をもっとも近いアナログ電圧値に変換する。
【0031】
次に、図2および図3を用いてパラメータ調整動作について説明する。パラメータ調整装置140は、サーボアンプユニット120に対して制御用パラメータを設定する。そのため、パラメータ調整装置140は表示手段を有しており、図3に一例を示すように表示手段は、調整画面300が表示される。この図3において、301は調整項目名称であり、例えば各種センサ201〜205毎に用意されている。調整項目名称301で示された各調整項目(パラメータ)ごとに、ゼロ点302やスパン303、極性304、ゲイン305を設定する。
【0032】
ここで、ゼロ点302は、例えばセンサ出力電圧A〜Eのオフセットを調整する項目である。変位センサ201を例にとると、基準位置では出力電圧が0Vとなるべきであるが、センサの経年変化などで0Vでなくなることがある。そのオフセット分を、ゼロ点302で調整する。スパン303では、センサ201〜205が測定した物理量と出力電圧の比率を調整する。同様に変位センサ201を例にとると、変位量と出力電圧の比率となる。本来は、1mmの変位量あたり出力電圧1V等の一定の比率に設定されているが、センサの経年変化などでこの比率に誤差を生じたときに、その誤差をスパン303で調整する。
【0033】
極性304では、例えばセンサ出力電圧A〜Eの正負を変更する。正の値の信号に対して、極性を反転させて負の値の信号とすることができる。ゲインでは、増幅度を調整する。対象とする信号にゲインを乗算して、増幅度を調整する。これらの各設定項目において、必要なパラメータが調整可能なように設定用のボタン306、307等が用意されている。
【0034】
例えば、306は調整用UP・DOWNボタンであり、307は調整用選択ボタンである。調整用UP・DOWNボタン306では、数値のUP・DOWNを三角ボタンで操作する。上向きの三角ボタンを押すと数値が上がり、逆に下向きの三角ボタンを押すと数値が下がる。また、調整用選択ボタン307では、事前に決められた複数個の値から選択する。具体的には、下向きの三角ボタンを押すと選択可能な値が表示される。図3の極性の場合は、“1”または“−1”が選択可能で、どちらかひとつを選択して調整する。308は終了ボタンであり、調整用画面を終了させる時に押す。
【0035】
パラメータ調整装置140によるパラメータ調整動作は、以上のように実行される。設定するパラメータの内のどれか一つでも更新されると、この更新情報は図2に示したネットワーク130を介して、サーボアンプユニット120に通知される。サーボアンプユニット120内では、最初にインタ−フェース装置225に更新情報が通知される。その後インタ−フェース装置225から、パラメータ管理装置227に更新情報が通知される。パラメータの更新通知を受けて、パラメータ管理装置227は記憶装置226の該当するパラメータを書換える。その後、サーボ制御部222は一連のサーボ制御動作の中で、最新のパラメータを記憶装置226から読み込み、演算に使用する。
【0036】
次に図2及び図4を用いて、パラメータ管理装置227におけるパラメータの更新動作を説明する。図4に、パラメータ管理装置227におけるパラメータの更新動作をフローチャートで示す。ステップ410では、図2に示したパラメータ調整装置140を参照して「終了通知」が通知された否かを確認する。「終了通知」が通知されている場合は、パラメータ調整動作を終了する。「終了通知」が通知されていない場合は次に進む。
【0037】
ステップ420では、パラメータの「更新通知」が通知されているか否かを、図2に示したインターフェース装置225を参照して確認する。インターフェース装置225を参照して、パラメータの「更新通知」が通知されていないときは、ステップ430からステップ440へ進む。パラメータの「更新通知」が通知されているときは、ステップ430からステップ450へ進む。
【0038】
ステップ440では、インタ−フェース装置225を介してネットワーク130に接続されたパラメータ調整装置140からの通知があるまで動作を休止する。インターフェース装置225から何らかの通知があったら、再びステップ410に戻り、上記動作を繰り返す。
【0039】
ステップ430で「更新通知」が通知されていたら、ステップ450へ進み、「更新通知」に示された更新されたパラメータについてだけ、図2に示す記憶装置226の内容を書換える。その際、書込み通知装置231に対して「書込み中」であることを、通知する。書込み通知装置231はこの「書き込み中」の通知を受け取ると、サーボ制御部222に対して、パラメータ管理装置227が記憶装置226に「書込み中」であることを通知する。そして、書込みが終了した場合は、書込み通知装置231に対して「書込みが終了」したことを通知する。
【0040】
書込み通知装置231が「書込みが終了」の通知を受け取ると、サーボ制御部222に対して、パラメータ管理装置227が記憶装置226への「書込みが終了」したことを通知する。パラメータ書込みが終了したら、1秒間だけ、パラメータの「更新通知」が通知されるか否かを確認する。「更新通知」が通知されたら、ステップ480に進む。
【0041】
ステップ480では、さらに5秒間ネットワーク130からの通知を待つ。5秒間何の通知もないときは、ネットワーク130へ未接続としてステップ410に戻る。また、「通知あり」の場合は、ネットワーク130へ接続状態として、ステップ410に戻る。
【0042】
ステップ450に戻り、「更新通知」が通知されていないときは、ステップ460に進む。ステップ460では、前回のパラメータ更新から10秒経過する間、その状態で監視し続け、この10秒間にパラメータが変更されたらステップ480に進む。この10秒間にいずれのパラメータも変更されていないときは、ステップ470に進む。
【0043】
ステップ470では、現在のパラメータ内容を、図示していない外部記憶装置に書込む。その後ステップ480に進む。ステップ480で、ネットワーク130からの上記通知を5秒間待ち、ネットワーク130への接続状態情報を得る。その後再びステップ410に戻る。以下、この一連の動作を繰り返す。
【0044】
次に、図2および図5を用いて、サーボ制御部222の動作を説明する。図5に、サーボ制御部222の動作をフローチャートで示す。ステップ510では、図2に示したパラメータ調整装置140から「終了通知」が通知されているか否かを確認する。「終了通知」が通知されていたら、サーボ弁110のサーボ制御を終了する。「終了通知」が通知されていないときは、次に進む。
【0045】
ステップ520では、図2に示したA/Dコンバータ221の状態を確認し、問題なければ次のステップ530へ進む。また、前回確認時にエラー状態となり、図2に示すデジタル入出力装置224を介して図示しない表示器を点灯させているときは、デジタル入出力装置224を介して表示器を消灯させる。問題がある場合は、エラー状態として、デジタル入出力装置224を介して表示器を点灯させる。
【0046】
ステップ530では、図2に示した記憶装置226から、制御演算で使用するパラメータを取り込む。この時点で書込み通知装置231から「書込み通知」が通知されているかを確認する。「書込み通知」が通知されている場合は、パラメータ管理装置227が記憶装置226に対して書込みしているので、衝突によるパラメータデータ破壊を避けるため、パラメータを取り込まずそれまで用いていたパラメータを継続使用する。書込み通知装置231から「書込み通知」が通知されていないときは、記憶装置226からパラメータを取り込み、次のステップに移る。
【0047】
ステップ540では、デジタル入出力装置224を介して図示しない上位からのデジタル入力信号を取り込み、油圧加振機100のサーボ制御に反映する。次にステップ550で、A/Dコンバータ221からA/D変換結果を取得する。ステップ560では、サーボ制御の演算処理を実行する。
【0048】
ステップ570では、ステップ560で演算した結果を、D/Aコンバータ223に渡す。D/Aコンバータ223では、上記結果をデジタル/アナログ変換して、アナログ電圧を出力する。ステップ580では、上記ステップ520で取り扱った表示器を消灯または点灯させる。再びステップ510に戻り、上記一連の動作を繰り返す。
【0049】
本実施例によれば、油圧加振機を制御するサーボ制御部と調整用パラメータの設定作業を行うパラメータ調整用装置を個々に独立して動作させているときに、両者が同一パラメータにアクセスしてもサーボ制御部の処理を優先しているので、パラメータデータが破壊されることはない。また、両者が同一パラメータにアクセスした場合であっても、少なくともサーボ制御手段に処理待ちを生じさせないので、一連のサーボ制御動作を繰返し実行できる。
【0050】
また本実施例によれば、調整用パラメータを設定するパラメータ調整用手段はネットワークからの「終了通知」やパラメータ「更新通知」を確認し、所定時間通知されないときには動作を休止するので、制御装置の処理負荷を減らして安定した制御を実現できる。さらに、パラメータ調整時に、作業自体及びパラメータをデジタル表示しているので、定量的な把握が可能となる。
【0051】
なお上記実施例では油圧加振機のデジタルサーボシステムを例にとり説明したが、本発明は油圧加振機に限らず、デジタルサーボを利用する機会であれば、どのようなものにも適用できる。ただし、パラメータ調整装置とサーボ制御装置が異なっている必要はある。
【符号の説明】
【0052】
100〜103…油圧加振機(被制御対象)、110〜113…サーボ弁(被制御手段)、120〜123…サーボアンプユニット、130…ネットワーク、140…パラメータ調整装置、141…電源ユニット、200…デジタルサーボアンプシステム、201…変位センサ、202、203…圧カセンサ、204…加速度センサ、204a…センサヘッド、204b…アンプ、205…荷重センサ、221…A/Dコンバータ、222…サーボ制御部、223…D/Aコンバータ、224…デジタル入出力装置、225…インターフェース装置、226…記憶装置、227…パラメータ管理装置、228…コントロール基板、229…電圧電流変換装置、231…書込み通知装置、250…パラメータ調整装置、300…パラメータ調整用画面、301…調整項目名称、302…ゼロ点、303…スパン、304…極性、305…ゲイン、306…調整用UP・DOWNボタン、307…調整用選択ボタン、308…終了ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク経由でパラメータを調整するパラメータ調整装置を有し、被制御対象の状態を検出するセンサの信号と目標指令とをデジタル信号に変換し、前記パラメータ調整装置が調整したパラメータを用いてデジタル制御信号をサーボアンプユニットが生成し、このサーボアンプユニットの制御信号に基づいて前記被制御対象が有する被制御手段を制御するデジタルサーボアンプシステムにおいて、
前記サーボアンプユニットは、デジタル変換されたセンサ信号と指令信号とを比較演算して制御信号を生成するサーボ制御部と、前記演算に使用するパラメータを管理するパラメータ管理装置と、前記パラメータ管理装置がパラメータを書き込む記憶装置と、前記パラメータ管理装置が前記記憶装置にパラメータを書込み中に前記サーボ制御部に通知する書込み通知装置とを有し、
前記パラメータ管理装置は、前記パラメータ調整装置からのパラメータ更新通知に基づいて前記記憶装置に更新されたパラメータを書込んでいるときは、前記サーボ制御部が前記記憶装置へアクセスすることを禁止することを特徴とするデジタルサーボアンプシステム。
【請求項2】
前記サーボ制御部は、前記記憶装置へのアクセスを禁止されているときは、それまで使用していたパラメータを用いて制御信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のデジタルサーボアンプシステム。
【請求項3】
前記パラメータ調整装置からの終了通知やパラメータ更新通知を確認し、予め定めた時間通知がない場合は前記パラメータ管理装置は動作を休止するよう指令することを特徴とする請求項1に記載のデジタルサーボアンプシステム。
【請求項4】
前記パラメータ調整装置は、各パラメータが一覧表示されたユーザインターフェース画面を表示可能な表示手段を有し、この表示画面上でユーザがデジタルデータ入力可能になっていることを特徴とする請求項1に記載のデジタルサーボアンプシステム。
【請求項5】
前記が被制御対象が加振機であり、被制御手段がサーボ弁であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のデジタルサーボアンプシステム。
【請求項6】
ネットワーク経由でパラメータを調整するパラメータ調整装置からの更新指令に基づいて、デジタルサーボアンプシステムのパラメータを調整するパラメータ調整方法において、
このデジタルサーボアンプシステムの被制御対象が有する被制御手段をサーボ制御部がパラメータを用いて制御するときに、前記パラメータ調整装置からの更新指令に基づいてパラメータ管理装置が記憶装置に記憶されたパラメータを更新しているときは、サーボ制御部が前記記憶措置へのアクセスを禁止して、それまで使用していたパラメータを継続使用させることを特徴とするデジタルサーボアンプシステムのパラメータ調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−53513(P2012−53513A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193257(P2010−193257)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】