デジタル制御工程でパッケージを製造する方法及び装置
パッケージがデジタル制御工程で製造される。デジタル印刷機101が、印刷済加工中製品を製造し、切断機104がそれらからブランク・パッケージ105を切断する。コンベア・ライン107が、この印刷済加工中製品をデジタル印刷機101から切断機104まで自動的に移送する。デジタル制御システム109が、少なくともデジタル印刷機101及び切断機104とデジタル制御情報を交換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも印刷段階及び切断段階を含む工程におけるパッケージの製造に関する。特に本発明は、そのような製造工程の、柔軟性及び信頼性を与え、特定製品向けの検証及び認証を可能にする、複合集中型のデジタル制御への統合に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に製品パッケージは、巻取り紙又はシートとして処理され、その上に色彩、図形及び記号を印刷機で印刷できるダンボール及び同様な材料から製造される。印刷に加えて、パッケージの製造は、表面処理及び切断段階、折り込み、サイズの塗布及び他の段階を含むことができる。
【0003】
パッケージ製造に含まれる印刷は、均一で高印刷品質の、比較的容易且つ迅速な印刷プレートの製造、及びこのプレートの長い耐用年数などの良く知られた利点を有するオフセット技術によって行われている。印刷機の拡張機能として、印刷済材料の表面が保護され、水希釈可能なラッカー又は水溶性ラッカーのいずれかを使用してその所望の最終外観が与えられるラッカー塗布段階が存在する場合がある。他の種類の表面処理も実行可能である。次の段階で、ブランク・パッケージは型抜きプレスによって印刷済材料から切り離され、折り畳みに必要な折り目が作られる。サイズがブランク・パッケージの所望のスポットに塗布され、それらは製造工程の最後にそれらの最終の形態に折られる。
【0004】
パッケージの従来型の製造工程の1つの欠点は、それを単一の製品又は少量のシリーズものの製造に対して適用するのが得意ではないことである。オフセット技術の印刷プレートに変化する図形を生じさせるどのような部分も加えることは困難又は不可能である。例えば製薬業界は、製品の法的責任によって必要とされる追跡を可能にするように、単一のパッケージの精度で他と区別できるパッケージを必要とし、したがってパッケージの外観は、流通網の追跡を助け、オリジナル製品を偽造品から区別するために使用される場合がある。オフセット技術を使用する印刷プラントで個別の識別子を有するパッケージを可能にすることは、現に存在する印刷機に加えて別個のインクジェット、マトリックス又は他の印刷ヘッドの使用を必要としてきた。
【0005】
製薬業界はまた、高度な安全レベルを要求する、パッケージ業界の顧客の好個の一例である。紛らわしい方式でパッケージされた製品が流通及び消費者の手に最終的に渡らないように、異なるパッケージが製造工程中に混合することは許されない。この厳しい安全規定によって、製造ラインで製造されるパッケージの種類が変更されるとき、作業者は、新たな材料を運び入れる前に機械及び機械の周辺地域から前の種類のパッケージに関連する材料を除去しなければならない。材料を移動させることは、製造の効率を悪化させる停止時間を生じさせ、特に製造すべきバッチが比較的小さい場合、製造の効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、単一の製品及び少量のシリーズものの製造が迅速、円滑、安全であるような、パッケージを製造するための方法及び装置を提供することである。本発明の別の目的は、製品の追跡及び認証を支援するための、パッケージ業界の可能性を改善することである。本発明のさらなる目的は、高度の品質及び安全規定がパッケージに対して設定され、円滑な製造に重点が置かれるラインを、柔軟に設計し、様々な目的を果たすように構築できるように、パッケージの製造ラインにモジュール式の解決策を採用するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、単一の加工中製品の精度でデジタル制御情報を生じさせ、配信し、且つ/又は利用することができる、デジタル制御モジュールからパッケージの製造ラインを組み立てることによって達成される。
【0008】
本発明によるパッケージの製造装置は、
印刷済加工中製品を製造するためのデジタル印刷機と、
印刷済加工中製品からブランク・パッケージを切断するための切断機と、
印刷済加工中製品を前記デジタル印刷機から前記切断機に自動的に輸送するためのコンベア・ラインと、
デジタル制御情報を少なくとも前記デジタル印刷機と前記制御システムの間、及び前記切断機と前記制御システムの間で伝達できるように構成されるデジタル制御システムとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によるパッケージの製造方法は、
デジタル印刷機によって印刷済加工中製品を製造するステップと、
製造された印刷済加工中製品をデジタル印刷機から切断機に自動的に運搬するステップと、
印刷済加工中製品からブランク・パッケージを切断するステップと、
前記デジタル印刷機と制御システムの間で、且つ切断機と前記制御システムの間でデジタル制御情報を伝達するステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
このデジタル印刷機は、一続きの製造においてでさえ、識別子などの個別に変化する印刷及び印刷の部分を生じさせることができるようなものとして知られる特徴を有する。余り知られていないことは、印刷工程のこのデジタル制御は、必要なとき単一の加工中製品の精度で個別化することができる、制御情報の他の発生及び使用も含むことである。例えば、このデジタル印刷機は位置合わせの成功を測定することができ、単一の印刷済シートの精度で、シート上のどこにこの印刷が収まったかについての情報を記憶することができる。この位置合わせ情報の元々の使用はデジタル印刷機の内部自動調整に関するが、それが印刷機から外に伝達される場合は、製造ラインの他の段階、例えば切断又は他の引き続く処理段階を制御するのに利用することができる。
【0011】
パッケージの製造ラインに印刷及び切断などのいくつかの段階が存在する場合、他の利点もこの共通のデジタル制御によって達成することができる。互いに異なる製品を必ずしも別個の運転で製造する必要はなく、様々な段階を実行する製造ラインの機械は、例えば加工中製品上に印刷された識別子を読むことによって、それらがどんな種類の制御情報を与えられているか、それらがどんな種類の監視を独自で行うかに従って、運転中にそれらの機能を円滑に変更することができる。工程の1つの段階で発生する情報は、変更を必要とする最初の加工中製品が次の作業段階に到着する前に、その次の作業段階のための変更に対して十分準備できるように、集中型の制御を介して事前に前に送ることができる。同様に、工程の1つの段階で発生する情報は、例えば新たな加工中製品を、欠陥の理由で途中の工程から取り除かれたものと置き換えるために自動的に準備されるように、後ろ向きにも伝達することができる。この集中型の制御は、製造工程内の製造ロット、及び単一の加工中製品の進行も追跡することができる。それは、製造中及び製造後に、正しい数の加工中製品が正しい順番で各作業段階を通過したことを保証するために使用することができる。
【0012】
パッケージの製造ラインのこの集中型のデジタル制御は、多くの利点をもたらす。パッケージの製造は、作業用ファイルを作成することから個別に識別可能な最終製品まで、オンデマンドの原理で働く連続工程になり、最終製品は、以下の動作、即ち印刷、切断、折り目付け、サイジング及び折り込みのうちの少なくとも1つの工程を終えたブランク・パッケージである。この工程は、手動で行われる中間の段階も、別個の中間の貯蔵又は1つの機械から別の機械に製品を移動させることも必要としない。品目の余計な取り外し、中断及び調整作業の減少によって時間とエネルギが節約され、それに起因してパッケージの製造工程のカーボン・フットプリントは以前より小さくなる。
【0013】
以下に本発明を、例示として示される好ましい実施例及び添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】パッケージを製造するために使用されるデジタル制御装置の原理を示す図である。
【図2】デジタル制御工程でパッケージを製造するための装置を示す図である。
【図3】本発明の一実施例によるコンベア・ラインの原理を示す図である。
【図4】図3のコンベア・ラインに適するモジュールの側面図である。
【図5】図4のモジュールの正面図である。
【図6】スタックを回転させることができるモジュールの原理を示す図である。
【図7】コンベア・モジュールの機能的流れ図である。
【図8】コンベア・モジュールの動作を制御する方法を示す図である。
【図9】デジタル制御工程でパッケージを製造するための、本発明の一実施例による方法の一部分を示す図である。
【図10】図9の方法の最終部分を示す図である。
【図11】本工程のデジタル制御に含まれる、パッケージの製造装置の構成部品を示す図である。
【図12】3台の印刷機が1台の切断機を共用する装置を示す図である。
【図13】スタックをコンベア・ライン上で互いを通り越して案内することができる装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施例によるデジタル制御工程でパッケージを製造するための装置を概略的に示す。この装置は、印刷済加工中製品を製造するためのデジタル印刷機101を備える。本明細書を作成している時点では、代表的なデジタル印刷機は電子写真に基づく枚葉給紙の機械であるが、本発明は特定の印刷技術にも、シートのみを取り扱う印刷機にも限定されない。デジタル印刷機101の最も基本的な機能的特徴は、それが電気的な入力情報を受け取り、結果として個別に印刷済加工中製品を生じさせることができることである。
【0016】
パッケージが製造されるとき、デジタル印刷機101による印刷は、特定の製造シリーズにわたり1つの加工中製品と別の加工中製品と、大部分が同じであるが、個別の識別子部分が各加工中製品に印刷される場合があることが想定され得る。個別の識別子部分によって運搬される情報を、加工中製品及び/又は加工中製品から後で作られるパッケージのその後の機械的処理段階で容易に利用するために、それが文字列、バー・コード、2次元バー・コード、又は別の機械読み取り可能なコードなどの機械読み取り可能な識別子を含むことが好ましい。デジタル印刷機101が導電性印刷インクの取り扱いが可能な場合は、それらは、完全に又は部分的に別個である印刷済電気回路を加工中製品上に形成するように使用することさえできる。
【0017】
上記した枚葉給紙の機械である場合、デジタル印刷機101内に供給される原材料の一片はシート102と呼ぶことができる。出てくる一片は印刷済加工中製品103である。
【0018】
図1による装置は、印刷後の様々な作業段階を含むことができる。通常は、印刷されるべき材料から作られるパッケージは切断段階を必要とし、ブランク・パッケージは、一般に四角形のシート又は連続巻取り紙の形態の印刷済加工中製品から切断される。この切断は例えば、2枚のプレートのような部品からなる型抜き工具を備える型抜きプレスによって行うことができる。この切断は、レーザー、水又は蒸気ジェット、空気ジェット、制御可能な切断チップ又は別の切断器具によっても行うことができる。多様な代替作業方法が利用可能であるので、図1の機械104は一般に切断機と呼ばれる。それは印刷済加工中製品103を取り込み、切断されたブランク・パッケージ105を生じさせるように構成される。この切断によって廃棄物106も生じ、それは(図1に図示しない)廃棄物除去処理を介してこの工程を出る。特に、この切断機が型抜きプレスの場合は、加工中製品の表面上のヒートシール可能な又は冷間シール可能な箔の導電性の図形又は装飾目的のための図形を切断機によって形成することができ、この箔は適切な方式で型抜き工具のプレートの間に供給される。
【0019】
1つの印刷済加工中製品を、1つ又は複数のブランク・パッケージにすることができる。印刷済加工中製品1つにつき、より好ましくはブランク・パッケージ1つにつき1つの識別子をデジタル印刷機によって作り出すことができる。印刷済加工中製品1つにつき複数の識別子及び/又はブランク・パッケージ1つにつき複数の識別子を使用することもできる。その場合これらの識別子は、同じ技術(例えば、ブランク・パッケージの異なる部分に2つのバー・コード)を使用することができ、或いは完全に異なるもの(例えば、通常のインクで印刷されるバー・コードと導電性インクで印刷される電気回路)とすることができる。これらの識別子は、例えば印刷済加工中製品がそれ自身の識別子を有し、この加工中製品から切断されるブランク・パッケージそれぞれがそれらの識別子を有するように、或いは同じ印刷済加工中製品から切断されるブランク・パッケージそれぞれが、印刷済加工中製品を他と区別する共通の部分と、問題の印刷済加工中製品から切断されるブランク・パッケージを他と区別する特定部分とを有するように、異なるレベルの階層を有することができる。
【0020】
印刷済加工中製品103をデジタル印刷機101から切断機104に自動的に移送するために、図1の装置はコンベア・ライン107を備える。その詳細な実現例は本発明の一般的な原理に対して本質的なものではないが、このコンベア・ライン107をデジタル制御コンベア・モジュール108から組み立てることによって、いくつかの主要な利点を得ることができる。図1は、少なくともデジタル印刷機101及び切断機104に、通常コンベア・ライン107にも接続された情報ラインを有するデジタル制御システム109も概略的に示す。このデジタル制御システム109は、これらの情報ラインに沿ってデジタル制御情報を伝達できるように構成される。通常、このデジタル制御システム109は、この装置によって取り扱われる印刷済加工中製品上で、且つ/又はこの装置の異なる部分でブランク・パッケージ上で読み取られた識別子の情報を、識別子読み取り器から得られる情報に従って、記憶するようにも構成される。このデジタル制御情報の内容及び使用については後述する。この情報ラインの物理的な実現例は、本発明に対して本質的なものではない。これらは、例えば光学的又は電気的ケーブルで接続することができ、又はそれらは無線で接続することができる。
【0021】
図2は、デジタル制御工程でパッケージを製造するための、本発明の第2の実施例による装置を示す軸測投影図である。この装置も、デジタル印刷機101と、切断機104と、コンベア・ライン107とを備える。さらにこの装置は、デジタル印刷機の後方にあり印刷済加工中製品の表面にラッカーの保護及び仕上げ被覆を塗布するように構成される被覆ユニット201を備える。本装置は、この被覆ユニット201の後方に、表面処理された印刷済加工中製品をスタック状に収集するように構成されるスタッカー202を備える。完成したスタックは、コンベア・ライン107に沿って切断機104まで移動する。このコンベア・ライン107は、コンベア・モジュール108から組み立てられる。図2に示さないが切断機104の後方に装置内に容易に配置されるさらなる処理段階は、廃棄物除去と、サイズの塗布と、折り込みとを含む。
【0022】
図2による装置で使用できるデジタル印刷機の実例には、ゼロックス社によって製造されるDocuColor及びDocuTech印刷機が含まれる。図2による装置で使用できる切断機の例には、Kama GmbHによって製造されるKama ProCut型抜きプレスが含まれる。
【0023】
一般に、パッケージをその最終形態に機械的に折り込む段階は、折り目付けが必要である。この折り目付けは、折り込み段階の前に行われ、切断機械又は折り込み機械と組み合わされた折り目付け機械或いは単独の折り目付け機械で行うことができる。デジタル制御装置を用いることによる利点として、複数の段階の全てが単一の製品の自動取り扱いに適した技術を使用する場合、1つの好ましい解決策は、切断機及び折り目付け機械として共に水切断機を使用することである。その場合この水切断機は、加工中製品からブランク・パッケージを切断するための比較的高速の水ジェットと、折り目を作るためのかなり低速の水ジェット及び/又は水スプレイ・ヘッドと加工中製品の間に配置され、水ジェットを止める保護被覆とを使用するように構成される。単一の製品を処理するのに適した、折り目を付ける方法の別の実例は、デジタル制御折り目付けホイール又はピン状の折り目付けヘッドを使用することである。このヘッドは、ボールペンの書き込みヘッドと類似する軸受部品を有することができる。
【0024】
特に型抜き技術を利用する切断機の処理能力(単位時間当たり取り扱われる加工中製品)は、その技術が本明細書作成時点に知られているデジタル印刷機の処理能力よりかなり高くすることができる。処理能力のこの差は、印刷と型抜きの間の工程の任意の段階を、例えば型抜き工具の交換の時間の間、印刷済加工中製品を一時的に貯蔵する際にデジタル制御工程の範囲を出ないように、それらを一時的に貯蔵するように構成されるバッファーとして使用するように有効に使用することができる。このバッファーは、型抜き段階が再び動作するとき、一時的に貯蔵された印刷済加工中製品を前方に供給するように構成される。この集中型のデジタル制御は、型抜き機のスイッチオフが制御情報を生じさせ、それに基づいてデジタル制御システムがバッファー部に命令を伝達してバッファーを開始させる、完全自動バッファリングを可能にする。同様に、型抜き機の再起動により、制御情報を生じ、それに基づいてデジタル制御システムがバッファー部に一時的に貯蔵された印刷済加工中製品の前方への供給を開始するための命令を伝達する。
【0025】
図2による装置では、このバッファーはスタッカー202とコンベア・ライン107から構成される。印刷及びラッカー塗布からくる印刷済加工中製品は、一回に1つずつのスタック状にコンベア・ライン107上を前方に移動し、スタッカー202は、このスタックを収集するように構成される。バッファーされる印刷済加工中製品の最大数は、コンベア・ライン107に使用可能な長さをスタックの長さで割り(これによって、コンベア・ライン107上に次々に収容されるスタックの数が得られる)、この暫定的な結果に単一のスタックが収容できる加工中製品の最大可能数を掛けることによって得られる。
【0026】
図2による装置では、この製造ラインはスタッカー202及び切断機104の場所で、横方向に90度の角度を形成する。この製造ラインは、これらの機械のところで真直ぐにも延びることもでき、又は別の方向に別の角度だけ曲がることもできる。しかし、この図に示す90度の横方向の曲がりは、いくつかの利点を提供する。印刷及びラッカー塗布から来るとき、印刷済加工中製品は通常長方形であり、その前方縁部が移動方向に対して直角な位置で工程内を進む。その場合、互いに直角な2つの縁部案内部(図示せず)をスタッカー202に配置することが容易であり、それらのうちの1つは、前記前方縁部がこの縁部停止案内部にぶつかるとき印刷済加工中製品の移動を停止させる。加工中製品の側面のうちの移動方向にあった側面は、縁部停止案内部に対して直角な他の縁部案内部の方向に設定される。この場所及び位置に停止する印刷済加工中製品が特定の高さのスタックまで蓄積するとき、それを横方向に、即ち縁部停止案内部の方向から縁部案内部を有さない側に移動させることによって、スタッカーから離れるように移送するのが容易である。類似の案内装置を、切断機104の供給区画内に構築することができる。
【0027】
図3は、デジタル制御コンベア・ライン107を概略的に示す。それは、標準サイズのコンベア・モジュール108から構成され、この実例ではそれらの5つが順々に配置されている。図では、コンベア・ライン107上の加工中製品の移動の主たる方向は、左から右である。移動の方向に対する最初のコンベア・モジュールは、スタッカー202のベース・プレート301の上部に配置され、それによってスタッカー202によって収集されるスタックが、最初のコンベア・モジュールの上に直接形成される。移動の方向に対して最後のコンベア・モジュールは、切断機104のベース・プレート302の上に配置され、それによってそれは切断機104の供給ベースとして機能する。スタッカー202と切断機104の間に、コンベア・ラインのベース303が存在し、その上に他のコンベア・モジュールが配置される。このコンベア・モジュールを別の機械(例えば、スタッカー又は切断機)の内部に浮遊式に配置することは、その場合コンベア・ラインの他の部分がどのように配置され、加工中製品が別の形でどのようにコンベア・ライン上を移動するかに関わらず、加工中製品を問題の機械の動作に対して適切な場所及び位置に位置合わせを行うのが容易になるので好ましい。
【0028】
図4及び5は、コンベア・モジュールの実例を側面図(図4)及び正面図(図5)として詳細に示す。このコンベア・モジュールは、別々のベースを必要としないが、図では正方形断面を有する、コンベア・モジュールの長手方向の支持チューブ402に取り付けられた脚401を備える。脚に加えて又は脚の代わりにホイールを使用することができ、これによってこのモジュールは、移動させるのがより容易になる。各支持チューブの一端部は孔403を備え、他端部はこの孔に適した横断面を有するピン404を備える。モジュールを順々に配置するとき、それらの互いの位置合わせは、互いに接触する連続するモジュールの端部の孔内にこのピンを挿入することによって確実にすることができる。この図は、支持チューブの側面上に作られる細長い孔405とその中を移動し締め付けることができるクランプねじ406とを使用することによって、ピン404を後退可能に、且つその長さについて調節可能にする容易な方法を示す。完成したコンベア・ラインのモジュールが使用中振動によって互いに分離しないように、使いやすい方法でそれらをかみ合わせることは価値のあることである。図4及び5は、支持チューブの一端部のフック407と他端部の蝶番付輪408から構成される迅速なロッキングの一実例を示し、この輪はフックに対応し、ロッキング・レバーが設けられている。他の型式のロッキングも使用することができる。
【0029】
各支持チューブ402は、L字形異型材409によって支持チューブに取り付けられた、このモジュールの長さのほとんど初めから終わりまでモジュールの側面上を延びるE字形異型材410を有する。このE字形異型材に形成されている溝がモジュールの外側に位置し、これによってモジュールの側面に様々な付属品を設けることがより容易になる。例えば、この溝の狭い部分を通り嵌合するL字形異型材409及び識別子読み取り器411がE字形異型材のこの溝にねじで取り付けられ、それらの対応するねじはこの溝の広い部分内にある。E字形異型材410の形状及び位置をより容易に理解するように、このねじは図5に示されていない。フォトセル又は他の識別子(図示せず)を識別子読み取り器411内に設置することができ、コンベア・モジュール上のスタックの存在及び/又は移動を識別し、この識別に対応する電気信号をコンベア・モジュールの制御ロジック(図示せず)に伝達する。E字形異型材410の溝がモジュールの長さをほとんど初めから終わりまでモジュールの側面上を延びるので、所望の数の識別子読み取り器411を使用することができ、それらはモジュールの長手方向の適切なスポットに容易に取り付けることができる。E字形異型材の溝に締め付けられるねじに基づく無段の取り付けによって、モジュールの長手方向で識別が行われる場所を非常に正確に選択する機会が与えられる。
【0030】
運搬されるべき品目を移送する部品として、このコンベア・モジュールは、1つ又は複数のベルト412を備える。本明細書に記載されるこのモジュールの実例は、2本の順次連続するベルト412を備える。ベルトを移動させるために必要な(複数の)モータ、ベルト・プーリー及び他の部品は、モジュールの内側の、(複数の)ベルトによって画成される空間の内側に残る空間内に設けられる。この同じ空間内に電源及びモジュールの制御ロジックによって必要とされる電気回路も収容される。このE字形異型材410に、このモジュールとシステムの他の部品との間の電力供給と情報伝達を手配するための適切な数の孔、コネクタ及び同様な部品を設けることができる。
【0031】
図6は、1つのモジュール内にのみ小さな変更を行うことによってモジュール・コンベア・ライン内に回転部を設けるために使用できる原理を示す。図6に示す2つの最上部品は、図4及び5に示す部品と本質的に同様であることができる。ブロック602は、図4及び5に示す(他のモジュールと連結するために使用されるピン及び迅速なロッキングなしの)支持チューブ402と、L字形異型材409と、E字形異型材410と、識別子読み取り器411とを含むことができる。ブロック601は、ベルト412及びモータと、ベルト・プーリーと、上記で参照が行われたが図4及び5に示されない制御ロジック及び他の機能部品を含むことができる。回転フレーム602の下に、回転機構603が存在し、その下に回転モジュールをベースに対して支持し、隣接するモジュールに取り付けるのに必要な孔、ピン及び迅速なロッキングを備える静止フレーム604が存在する。
【0032】
図7は、コンベア・モジュールの機能的な流れ図の一実例を示す。動作電力を導入するために、ブロック701は必要なコネクタを備える。このモジュールから任意の長さのコンベア・ラインを容易に設けるために、連結部を接続する態勢があるように構成するのが好ましい。したがって、動作電力の入力ブロック701から動作電力の対応する出力ブロック702へ直接的に接続されている。電力分配ブロック703は、電気を必要とするモジュールの部品に電力を分配するように構成される。制御情報を伝達するために、このモジュールは、特定の制御情報バスに接続するために必要なコネクタを備える。図7の実例は、制御情報の別々の入力ブロック704と出力ブロック705を示すが、制御情報バスへの接続は、1つの2方向接続ブロックのみを介して行うこともできることは明らかである。
【0033】
このモジュールの基本的な制御部分は、制御ロジック706から構成され、それは例えば、プログラム化可能なロジック回路又は単純なマイクロプロセッサである。図7は、制御ロジックに使用可能な記憶装置707と、この記憶装置内に記憶されたプログラムを使用できる制御ロジック706を別々に示し、必要なときこの記憶装置は、識別子、読み込まれた測定情報及び同様な情報用の中間記憶装置としても使用することができる。制御ロジック706に接続される識別子ブロック708は、例えばフォトセル、リミット・スイッチ及び他のセンサを含むことができ、それらを介して制御ロジック706は、モジュールの動作、運搬される品目の位置及び移動、及び他の必要な要因についての情報を受け取るように構成される。さらに、この制御ロジック706は、(1つ又は複数の)モータの制御ブロック709に、ブロック710で(1つ又は複数の)モータを制御する制御命令を与えるように構成される。
【0034】
図8は、コンベア・モジュールの制御ロジックによって実行することができるプログラムの簡単な実例を示す。このプログラムによって制御され、コンベア・モジュールは他のコンベア・モジュールと、運搬されるべき品目を受け取るための、且つ/又は運搬されるべき品目を前に送るための、コンベア・モジュールの準備についての情報を交換するように構成される。スペース801で、この制御ロジックは、そのコンベア・モジュールに先行するモジュールから制御情報バスを介して運搬されるべき品目が来つつあると言うメッセージを受け取る。スペース802で、制御ロジックは、そのコンベア・モジュールが運搬されるべき品目を受け取る準備ができているかどうか、例えばそのコンベア・モジュールから、前に運搬された品目が無くなっているかどうかを検査する。準備ができていない場合は、制御ロジックはスペース803で、制御情報バスを介して前のモジュールに否定的なメッセージを与え、スペース801に戻る。このコンベア・モジュールが運搬されるべき品目を受け取る準備ができている場合、制御ロジックはスペース804で、制御情報バスを介して前のモジュールに肯定的なメッセージを与え、スペース805でベルトを移動させる(1つ又は複数の)モータを作動させる。スペース806で、この制御ロジックは、品目が所望どおりに移動したか否か、例えば前のモジュールの側面上の縁部のフォトセルが、光ビームが遮断され、次いで光ビームが再度自由に通過したことを報告したかどうかを検査する。この条件がまだ満たされていない場合、制御ロジックはスペース805で、ベルトの移動を継続させる。品目が所望どおりに移動したとき、この場合は品目が問題のコンベア・モジュール内に受け取られたとき、スペース807でベルトは停止させられる。
【0035】
運搬される品目が前方に移動するように、制御ロジックはスペース808で、制御情報バスを介して次のモジュールに品目についてのメッセージを与え、スペース809で次のモジュールの準備ができていると報告するかどうか検査する。準備ができていない場合は、制御ロジックはスペース807に戻る。次のモジュールの準備ができていると報告するとき、制御ロジックはスペース805で、(複数の)モータを起動開始させ、次いで品目が所望どおりに移動するまで(例えば次のモジュールの側面上の縁部のフォトセルが、光ビームが遮断され、次いで光ビームが再度自由に通過したことを報告するまで)スペース805及び806によって形成されるループを周回する。その後、スペース807でベルトを停止させるときにこのプログラムは終了し、制御ロジックは再度同じプログラムを実行する準備ができている。
【0036】
当然ながら、図8に示すプログラムは非常に簡単な実例でしかなく、様々な方法で、例えばそれに様々な緊急管理機能を結合させること、運搬されるべき品目をコンベア・ライン上で後ろ向きにも移送するように準備すること、運搬される品目上の機械読み取り可能な識別子を読み取ることができるようにコンベア・モジュールをプログラムすること或いは、最初に又は最後に働くコンベア・ラインのコンベア・モジュールに対して特別な機能を用意すること等々によって多様化することができる。そのような追加、変更及び多様化を行う方法は、この記載に照らしてそのような分野の技術者に明らかである。
【0037】
図9及び10は、デジタル制御工程でパッケージを製造するための、本発明の一実施例による方法を示す。これらの図は、印刷機、スタッカー、コンベア・ライン及び切断機の特定の例示的な工程段階の実現例を示す。各ユニットの下で、左欄は加工中製品の物理的な取り扱いに属する段階を含み、右欄は動作の制御に属する段階を含む。段階901で、印刷機はデジタル制御システムから作業ファイルを入力情報として受け取る。この作業ファイルには、問題の運転中にどれくらい多くの、どのような種類の印刷済加工中製品を印刷機が製造すべきであるかについての情報が含まれている。個別の識別子を有するパッケージを製造することがデジタル制御工程の特徴の1つであるので、作業ファイルに従って、この印刷機は各個別の印刷済加工中製品に対して個別の識別子を作り出すべきであることが本明細書では想定される。段階902でこの印刷機は、特定の個別の印刷済加工中製品の印刷を準備する。
【0038】
段階903で印刷機はシートを取り入れ、段階904でシートの位置合わせを測定する。段階905で、印刷機は所望の印刷をシート上に印刷し、それによってシートは印刷済加工中製品になる。段階906で印刷機は、印刷済加工中製品を工程内で前方に送る。この供給段階906は、印刷済加工中製品上の識別子を読み取るステップを含み、前方に送られた印刷済加工中製品についての情報を印刷機の記憶装置に記憶させることができる。段階901〜906は、デジタル印刷機技術では公知である。
【0039】
この集中型のデジタル制御を使用する工程は、工程の1つの段階で収集された情報を、単一の加工中製品の精度で、工程の他の段階でさらに利用することができるという点で、単なるデジタル印刷機の従来型の使用とは異なる。工程の動作の一部分は、印刷済加工中製品の取り扱い中に形成され電気の形態で記憶される情報から構成され、この装置を制御するデジタル制御システムの記憶装置内で特定の印刷済加工中製品又は加工中製品のバッチに明白に関連する、いわゆるメタ情報に基づくことができる。印刷済加工中製品の具体的な一部分である、デジタル印刷機によって加工中製品上に形成される個別の識別子は、そのようなメタ情報ではない。そうではなくメタ情報の実例は、デジタル印刷機が段階907及び908で記憶することができる情報を含む。それはその記憶装置内に、例えば特定の識別子によって識別される印刷済加工中製品が製造された時点、印刷段階でその位置合わせがどの程度成功したか、いつそれが印刷機から前方に送られたか、それがどの、より大きな作業単位に属しているか、どのような種類の周囲条件(温度、湿度、塵埃濃度、振動、等)がその製造の時点に関連するかについての情報をも記憶することができる。図9で、収集されたメタ情報が段階908の後で集中方式でデジタル制御システム内に記憶されることが想定されている。
【0040】
印刷のためにバッチ処理を使用する、公知のデジタル印刷機技術と比較した場合の他の相違点は、段階901によって説明される入力情報の読み込みが追加の入力情報の読み込みも含むことができることであり、それによってこのデジタル制御システムは印刷機に、何らかの理由のために意図されたように製造工程を完全に通過しなかった、おそらくは前に製造された製品の代わりに、代替の印刷済加工中製品を製造するように指示する。例えば、切断機内で供給の故障が起き、それに起因していくつかの印刷済加工中製品が駄目になり、それらから正常のブランク・パッケージを切断することが不可能な場合、失われた(個別の識別子が設けられた)そのようなブランク・パッケージについての情報が、その工程に関連する識別子の何らかの読み込み段階で形成され、使用者の操作なしで印刷機に対するデジタル制御システムを介して完全に循環させることもでき、印刷機はそれらと置き換えるように新たなものを自動的に印刷する。
【0041】
段階911でスタッカーは、デジタル制御システムから印刷済加工中製品を中にスタックすべきスタックのサイズ、どのようにそれらの個別の識別子がスタッキングに影響するか、例えばどんな種類の識別子が設けられた加工中製品を同じスタック内にスタックすべきではないかに関する情報を受け取る。特定の印刷済加工中製品が段階912でスタッカー内に取り込まれるとき、その個別の識別子は段階913で読み込まれる。読み込まれた識別子と制御システムから受け取った入力情報に基づき、問題の印刷済加工中製品の取り扱い、それを準備されつつあるスタックに加えるべきか、そのための新たなスタックを形成すべきかに関する決定が段階914で行われる。スタックの収集は段階915で行われる。段階916は、スタッカー内の特定加工中製品向けの情報の記憶を記述し、この情報は例えば、いつ個別の識別子によって識別される特定の印刷済加工中製品がこのスタックに移送されたかを示すことができる。これに先立って受け取った入力情報によるスタックの準備ができたとき、それは段階917で前方に送られる。
【0042】
図9では、コンベア・ラインもデジタル制御システムの直接制御下にあることが想定されている。これは必要ないが、工程内のコンベア・ラインに先行するスタッカーなどのデバイスに、コンベア・ラインの別のモジュールがこのデバイスに先行していたと仮定した場合、それがコンベア・ラインのモジュールを模倣するように、即ち同じ制御情報バスを介して実際の最初のモジュールにそのモジュールが受け取るであろうのと同じ制御情報を与えるように、プログラムすることができる。図9に示す段階921は、非常に簡単なものとすることができる。このデジタル制御システムは、制御システムがスタッカーから完成したスタックが成功裏に最初のコンベア・モジュール上に収集された情報を受け取ったとき、コンベア・ラインの最初のモジュールに開始命令を単純に与えることができる。実際にはもう、コンベア・ライン上へのスタックの取り入れ段階(段階922)も実行されている。
【0043】
段階923でコンベア・ラインは、装置の次の区域に運搬されるべき品目を移送するのに必要である、運搬される品目の移送及び予定の回転を実行する。モジュール式コンベア・ラインのコンベア・モジュールが、モジュールの相互通信を制御し、運搬の前進を管理する一体化されたロジックを含むことが上記で想定されている。当然ながら、各コンベア・モジュールを装置の集中型のデジタル制御システムに個別に接続し、次いでそのシステムがモジュールの制御を手配することは可能であるが、これは制御システムの必要とされる制御機能性により大きな複雑性を生じさせ、コンベア・モジュールの数の変更を含む解決策の拡張性を損なうであろう。
【0044】
コンベア・ラインは、必ずしも情報収集機能性を含む必要は無い。しかし完全を期して、段階925でコンベア・ラインが、実行された移送及び回転についての情報、及び段階924として提示された特定加工中製品向けの又は特定スタック向けの識別子を読み取ることについての情報を収集できることが図9に想定されている。段階926では、特定のスタックがコンベア・ラインを通り運搬されている。これに関連する報告をデジタル制御システムに与えることが段階927として示されているが、スタッカーから得られた情報によれば、コンベア・ラインに供給された特定のスタック内にスタックされた印刷済加工中製品の識別子を読み込んだことを示す形態の、運搬が成功したことについての情報も工程内でこのコンベア・ラインに続くデバイスから来ることもできる。
【0045】
段階1001で、切断機はデジタル制御システムから、例えば印刷済加工中製品の個別の識別子が、どの切断工具によって(又はデジタル的に供給されるどの切断命令に従って)切断するべきであるかを、どのように指示しているかについての入力情報を受け取る。段階1002で、切断機はコンベア・ラインからスタックを受け取り、次に順に段階1003で切断すべき印刷済加工中製品をスタックから選定する。識別子を読み取るステップは段階1004として示されており、これに基づいて、加工中製品を取り扱うことについての決定が段階1005で行われる。例えば、手動によって交換された切断工具を使用する場合でも、切断機はそれを自動的に識別し、正しい工具が使用されている場合、段階1005での決定は直ちに切断を許可し、或いは動作を中断し、工具を正しい切断工具と交換するように作業者に指示する。実際の切断は段階1006として示され、段階1007として前記加工中製品の取り扱いを記述する情報を収集し、その情報をデジタル制御システムに供給する。この切断機(並びに他の機械)は、例えばその機械に入ってくる加工中製品を監視し、識別することを意図するだけではなく、それらのうちのどれが成功裏にこの機械を通過したかを確実にすることも意図している場合は、いくつかの識別子読み込み段階を含むことができる。
【0046】
一実例として、N数のa型式のパッケージとM数のb型式のパッケージとを製造することが意図され、N及びMが整数であり、a及びbは単にここで使用されるパッケージ型式の名前に過ぎない状況が考えられる。各パッケージは個別の識別子を受け取る。最初のパッケージのこの識別子は、シリーズa(1)、a(2)、a(3)、...、a(N)を形成し、第2のパッケージの識別子は、シリーズb(1)、b(2)、b(3)、...、b(M)を形成する。最初の段階でこのデジタル印刷機は、加工中製品から必要なN数のa型式のパッケージを製造するために十分な数の加工中製品を印刷する。同時にこのデジタル印刷機は、印刷済加工中製品上に識別子a1、a2、a3、...、aNを作り出す。これら全ては、図9の作業段階901〜908を十分長い間周回することによって行われる。その後、このデジタル印刷機は、b型式のパッケージのための印刷済加工中製品を製造し始める。
【0047】
デジタル印刷機とスタッカーの間に故障が発生し、その結果として、k及びtが整数であり且つ(k+t)≦Nである、識別子a(k)、a(k+1)、a(k+2)、...、a(k+t)を有するa型式のパッケージを製造するために使用すべきであった印刷済加工中製品が工程から抜け落ちたと仮定しよう。この故障の結果が発見されたとき、a型式のパッケージの印刷の遅い段階であったのでb型式のパッケージの印刷も既に開始していたときにこれが起きることも仮定しよう。各印刷済加工中製品がスタッカーに到着するとき、段階913に対応してその識別子が読み込まれる。段階916及び/又は段階918から、所与の識別子が欠けていたことを示す情報がデジタル制御システムに行く。
【0048】
デジタル制御システムの機能をプログラムする方式に応じて、デジタル制御システムはこの状況を様々な方法で修正することができる。一実例では、この制御システムは、読み込まれた以下の識別子の順序が正しくなかったことが発見された後直ぐに、段階915でスタッカーにa型式のパッケージに関連する印刷済加工中製品のスタッキングを中止するように命令する。この蓄積されたスタック(識別子a(1)、a(2)、a(3)、...、a(k−1))はコンベア・ライン上を前方に送られ、印刷済加工中製品の残り(識別子a(k+t+1)、a(k+t+2)、a(k+t+3)、...、a(N))はそれらの自身のスタック内にスタックされる。段階1001で、このデジタル制御システムは、これらの2つのスタックはa型式のパッケージの方式で切断すべきであること、その後、いくつかのb型式のパッケージが切断されるべく来つつあること、次いで再度a型式のパッケージが来ることを示す情報を切断機に伝達する。
【0049】
その間にこのデジタル制御システムは、段階901の方式で、デジタル印刷機に対してb型式のパッケージのための印刷済加工中製品の製造を中止し、識別子a(k)、a(k+1)、a(k+2)、...、a(k+t)を有するa型式のパッケージがそれから製造される印刷済加工中製品を再製造する命令を伝達している。これらの印刷済加工中製品のうちの最初の1つがスタッカーに到着するとき、この機械は段階913でそれを検出し、それまで蓄積されてきた、b型式のパッケージに関連する印刷済加工中製品のスタッキングを段階915で停止し、a型式のパッケージに関連する印刷済加工中製品の新たなスタックの収集を開始する。したがって、欠けているa型式のパッケージは完全に自動的に製造され、それらは他のものよりわずかに遅れて切断機に来る。コンベア・ラインが、現に存在する伝播経路に対して平行な側線(サイドトラック)を含み、該側線の上にコンベア・ラインがそれ自体としては正しい順番で収集されたスタックを移送することができ、その後に前の順番から欠けていた印刷済加工中製品の1つ又は複数のスタックが側線に到着する場合、順番が混乱するのを避けることができる。所望の印刷についての最終的な検証は、切断機から出て来るブランク・パッケージ上の全ての所望の識別子が読み込まれたことを示す、段階1007で収集される情報を検査することによって得られる。
【0050】
図11は、本工程のデジタル制御と直接的に関係する、本発明の一実施例による装置、例えば図2の装置の部品を示す。この制御システムの中央処理部分は、プログラム記憶装置1103に記憶されるプログラムを実行し、情報を記憶し、記憶された情報を読み取るために情報記憶装置1104を使用するように構成される、制御コンピュータ1101の中央処理装置1102を備える。この中央処理装置1102は、制御コンピュータ1101と工程内の実際の取り扱い及び製造段階を管理するデバイスとの間の拡張容易な情報通信解決策を形成するバス・インターフェイス1105を介して、制御バス1111と通信する。
【0051】
例えばこのデジタル印刷機は、制御バス1111に接続するためのそれ自身のバス・インターフェイス1121を有する。印刷機の処理装置1122は、バス・インターフェイス1121と制御バス1111を介して制御コンピュータ1101と通信し、デジタル印刷機の内部では、デジタル印刷機の例えば識別子読み取り器1123とアクチュエータ1124と通信する。同様な制御機能は、工程の他のデジタル制御機械にも存在し、一例として、バス・インターフェイス1131と、スタッカー1132の処理装置と、(一つ又は複数の)識別子読み取り器1133と、アクチュエータ1134とを備えるスタッカーを示す。他の同様なデバイスとして、コンベア・ラインと、切断機と、折り目付け機械等が考えられる。典型的な制御バスは、数十又は数百のユニットであっても接続することができるので、同様な制御を有する任意の数のデジタル制御機械を、制御コンピュータ1101の下で機能するように制御バス1111を介して接続することができる。
【0052】
図11は、どのように単一の識別子読み取り器1142及びアクチュエータ1152をそれらの自身のバス・インターフェイス1141及び1151を介して制御バス1111に接続できるかも示す。それらは、それら自身のプログラム化可能な働きを有さず、通り過ぎる加工中製品上の識別子を読み込み制御コンピュータに報告する、又はその工程に関連する機能のスイッチのオンオフをするなどの単純な、標準的な仕事のみ実行する。例えば、その工程に使用され、それ自体デジタル制御される任意の機械の制御アーキテクチャが識別子読み取り器を図11のブロック1123及び1133と同様な方式でその機械内へ組み込まない場合、別個の識別子読み取り器を問題の機械又はその環境内に組み込み、制御バス1111に直接的に接続することができる。この識別子読み取り器がより大きな機械の一部分であるか制御バス1111に直接的に接続される単一のデバイスであるかに関わりなく、全ての識別子読み取り器は、デジタル印刷機によって作り出された個別の識別子を読み込み、且つどの識別子を読み込んだかについての情報をデジタル制御システムに伝達するように通常構成される。
【0053】
使用者のためにこの制御コンピュータ1101は、ユーザー・インターフェイス1106と、キーボード1161、ディスプレイ1171及びオーディオ部品1181などの、インターフェイスで接続される実際の使用者機器とを備える。このオーディオ部品は、例えば音響信号発生デバイス又はイヤホーンを含むことができる。本発明の一実施例によれば、MP3プレーヤーなどの音響再生機を制御コンピュータ内に組み込むことができる。それは、例えば必要なプログラムがプログラム記憶装置1103内に記憶され、これらのプログラムを実行することによって、中央処理装置1102(又はこの目的のために設けられる補助処理装置)が情報記憶装置1104内に記憶されたデジタル・オーディオ・ファイルを処理し、記憶し、再生することができるように実行することができる。生成される音響は、オーディオ部品1181にふさわしいイヤホーンを介して使用者が聴くように導かれる。使用者は、キーボード1161によって再生すべきオーディオ・ファイルの選択などの、プログラムの実行に影響を及ぼす機会が提供される。ディスプレイ1171は、オフライン機器又はパーソナル・コンピュータの部品として実装されるMP3プレーヤーと同様な方式で、プログラムの実行に関する情報を表示することができる。
【0054】
制御コンピュータ内に組み込まれたオーディオ・ファイルの録音及び再生機器は、機械を操作する作業者を楽しませるために音楽を再生すること以外の目的のためにも使用することができる。操作作業の実行及びパッケージ製造工程の制御に関する様々な命令をオーディオ・ファイル内に記憶させることができ、作業者はその命令を必要に応じて様々な状況で選択的に聴くことができる。1つの可能性は、オーディオ部品1181に無線マイクロフォンを接続し、緊急事態で作業者がそれを故障している工程の部分の近くに持って行き、そのノイズを情報記憶装置1104内にデジタル・オーディオ・ファイルの形態で記憶させることである。機械修理者が後で現場に来るとき、機械修理者が問題の故障についてトラブル・シューティングをするとき、この記憶されたオーディオ・ファイルを利用することができる。
【0055】
工程の遠隔制御及び大規模な自動化のための可能性のために、この制御コンピュータ1101は、ネットワーク・インターフェイス1107を装備することが好ましく、それを介して2方向遠隔接続1191が実現可能になる。
【0056】
図12は、一方ではデジタル印刷機1201、1202及び1203間の、他方では切断機1221などの任意のそれに続く工程段階との間の処理能力の差を有効に使用する装置の平面図を概略的に示す。デジタル印刷機1201、1202及び1203のコンベア・ラインは(スタッキング)尾部から切断機まで複合体を形成し、スタックは直線移送モジュール(例えば、モジュール1211及び1212)によって前方に移動し、一方向に回転するモジュール(例えば、モジュール1213)によって90度回転し、或いは多機能モジュール(例えば、モジュール1214)によって直線的に又はどちらの方向にも90度回転することのどちらもすることができる。モジュール1213及び1214の構造は、図6に示す原理に従うことができる。本来は3方向のコンベア・ラインを切断機1221の前で1つに組み合わせ、それによって任意のデジタル印刷機からの印刷済加工中製品のスタックを切断機に導くことができる。できるだけ円滑に適切な回転で、印刷済加工中製品を切断機に導くために、装置全体を共通のコンピュータ(図示せず)によって制御できるように構築するのが好ましい。
【0057】
図13は、上記で述べた側線がコンベア・ライン内に組み入れられた装置の平面図を概略的に示す。モジュールによって形成されるコンベア・ラインがデジタル印刷機1301の(スタッキング)尾部から出て、そのラインは、直線的に移送するモジュール(例えば、モジュール1311)と、90度回転するモジュール(例えば、モジュール1313)と、必要に応じてスタックを直線的にか又はその移動方向を90度側方向に回転させるかのどちらかに移動させるモジュール(例えば、モジュール1312)を備えることができる。図13による装置で、1つのスタックが一度に1つのモジュール上に収まる場合、互いに右方向にある4つのスタックを側線上に導いて待機させることができ、その後で製造された印刷済加工中製品のスタックをそれらを通り越して切断機1321に運ぶことができる。
【0058】
1つの機械から別の機械までのコンベア・ラインとして、含まれるモジュールの数が比較的短いもののみが上記で取り扱われている。本発明は、コンベア・モジュールから組み立てられるコンベア・ラインの長さ、即ちその中に含まれるコンベア・モジュールの数を限定しない。例えば、障害のない動作のために、この印刷機は、例えば切断機よりかなり厳しい環境要因(温度、湿度、塵埃の無さ、振動等)に対する要求を設定することを考慮に入れるべきである。したがって必要な場合それらを製造領域内の異なる場所に配置することによってコンベア・ラインは必要な場合、壁、柱及び他の障害物をバイパスして1つの場所から別の場所に続くように十分長くすることが好ましい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも印刷段階及び切断段階を含む工程におけるパッケージの製造に関する。特に本発明は、そのような製造工程の、柔軟性及び信頼性を与え、特定製品向けの検証及び認証を可能にする、複合集中型のデジタル制御への統合に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に製品パッケージは、巻取り紙又はシートとして処理され、その上に色彩、図形及び記号を印刷機で印刷できるダンボール及び同様な材料から製造される。印刷に加えて、パッケージの製造は、表面処理及び切断段階、折り込み、サイズの塗布及び他の段階を含むことができる。
【0003】
パッケージ製造に含まれる印刷は、均一で高印刷品質の、比較的容易且つ迅速な印刷プレートの製造、及びこのプレートの長い耐用年数などの良く知られた利点を有するオフセット技術によって行われている。印刷機の拡張機能として、印刷済材料の表面が保護され、水希釈可能なラッカー又は水溶性ラッカーのいずれかを使用してその所望の最終外観が与えられるラッカー塗布段階が存在する場合がある。他の種類の表面処理も実行可能である。次の段階で、ブランク・パッケージは型抜きプレスによって印刷済材料から切り離され、折り畳みに必要な折り目が作られる。サイズがブランク・パッケージの所望のスポットに塗布され、それらは製造工程の最後にそれらの最終の形態に折られる。
【0004】
パッケージの従来型の製造工程の1つの欠点は、それを単一の製品又は少量のシリーズものの製造に対して適用するのが得意ではないことである。オフセット技術の印刷プレートに変化する図形を生じさせるどのような部分も加えることは困難又は不可能である。例えば製薬業界は、製品の法的責任によって必要とされる追跡を可能にするように、単一のパッケージの精度で他と区別できるパッケージを必要とし、したがってパッケージの外観は、流通網の追跡を助け、オリジナル製品を偽造品から区別するために使用される場合がある。オフセット技術を使用する印刷プラントで個別の識別子を有するパッケージを可能にすることは、現に存在する印刷機に加えて別個のインクジェット、マトリックス又は他の印刷ヘッドの使用を必要としてきた。
【0005】
製薬業界はまた、高度な安全レベルを要求する、パッケージ業界の顧客の好個の一例である。紛らわしい方式でパッケージされた製品が流通及び消費者の手に最終的に渡らないように、異なるパッケージが製造工程中に混合することは許されない。この厳しい安全規定によって、製造ラインで製造されるパッケージの種類が変更されるとき、作業者は、新たな材料を運び入れる前に機械及び機械の周辺地域から前の種類のパッケージに関連する材料を除去しなければならない。材料を移動させることは、製造の効率を悪化させる停止時間を生じさせ、特に製造すべきバッチが比較的小さい場合、製造の効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、単一の製品及び少量のシリーズものの製造が迅速、円滑、安全であるような、パッケージを製造するための方法及び装置を提供することである。本発明の別の目的は、製品の追跡及び認証を支援するための、パッケージ業界の可能性を改善することである。本発明のさらなる目的は、高度の品質及び安全規定がパッケージに対して設定され、円滑な製造に重点が置かれるラインを、柔軟に設計し、様々な目的を果たすように構築できるように、パッケージの製造ラインにモジュール式の解決策を採用するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、単一の加工中製品の精度でデジタル制御情報を生じさせ、配信し、且つ/又は利用することができる、デジタル制御モジュールからパッケージの製造ラインを組み立てることによって達成される。
【0008】
本発明によるパッケージの製造装置は、
印刷済加工中製品を製造するためのデジタル印刷機と、
印刷済加工中製品からブランク・パッケージを切断するための切断機と、
印刷済加工中製品を前記デジタル印刷機から前記切断機に自動的に輸送するためのコンベア・ラインと、
デジタル制御情報を少なくとも前記デジタル印刷機と前記制御システムの間、及び前記切断機と前記制御システムの間で伝達できるように構成されるデジタル制御システムとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によるパッケージの製造方法は、
デジタル印刷機によって印刷済加工中製品を製造するステップと、
製造された印刷済加工中製品をデジタル印刷機から切断機に自動的に運搬するステップと、
印刷済加工中製品からブランク・パッケージを切断するステップと、
前記デジタル印刷機と制御システムの間で、且つ切断機と前記制御システムの間でデジタル制御情報を伝達するステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
このデジタル印刷機は、一続きの製造においてでさえ、識別子などの個別に変化する印刷及び印刷の部分を生じさせることができるようなものとして知られる特徴を有する。余り知られていないことは、印刷工程のこのデジタル制御は、必要なとき単一の加工中製品の精度で個別化することができる、制御情報の他の発生及び使用も含むことである。例えば、このデジタル印刷機は位置合わせの成功を測定することができ、単一の印刷済シートの精度で、シート上のどこにこの印刷が収まったかについての情報を記憶することができる。この位置合わせ情報の元々の使用はデジタル印刷機の内部自動調整に関するが、それが印刷機から外に伝達される場合は、製造ラインの他の段階、例えば切断又は他の引き続く処理段階を制御するのに利用することができる。
【0011】
パッケージの製造ラインに印刷及び切断などのいくつかの段階が存在する場合、他の利点もこの共通のデジタル制御によって達成することができる。互いに異なる製品を必ずしも別個の運転で製造する必要はなく、様々な段階を実行する製造ラインの機械は、例えば加工中製品上に印刷された識別子を読むことによって、それらがどんな種類の制御情報を与えられているか、それらがどんな種類の監視を独自で行うかに従って、運転中にそれらの機能を円滑に変更することができる。工程の1つの段階で発生する情報は、変更を必要とする最初の加工中製品が次の作業段階に到着する前に、その次の作業段階のための変更に対して十分準備できるように、集中型の制御を介して事前に前に送ることができる。同様に、工程の1つの段階で発生する情報は、例えば新たな加工中製品を、欠陥の理由で途中の工程から取り除かれたものと置き換えるために自動的に準備されるように、後ろ向きにも伝達することができる。この集中型の制御は、製造工程内の製造ロット、及び単一の加工中製品の進行も追跡することができる。それは、製造中及び製造後に、正しい数の加工中製品が正しい順番で各作業段階を通過したことを保証するために使用することができる。
【0012】
パッケージの製造ラインのこの集中型のデジタル制御は、多くの利点をもたらす。パッケージの製造は、作業用ファイルを作成することから個別に識別可能な最終製品まで、オンデマンドの原理で働く連続工程になり、最終製品は、以下の動作、即ち印刷、切断、折り目付け、サイジング及び折り込みのうちの少なくとも1つの工程を終えたブランク・パッケージである。この工程は、手動で行われる中間の段階も、別個の中間の貯蔵又は1つの機械から別の機械に製品を移動させることも必要としない。品目の余計な取り外し、中断及び調整作業の減少によって時間とエネルギが節約され、それに起因してパッケージの製造工程のカーボン・フットプリントは以前より小さくなる。
【0013】
以下に本発明を、例示として示される好ましい実施例及び添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】パッケージを製造するために使用されるデジタル制御装置の原理を示す図である。
【図2】デジタル制御工程でパッケージを製造するための装置を示す図である。
【図3】本発明の一実施例によるコンベア・ラインの原理を示す図である。
【図4】図3のコンベア・ラインに適するモジュールの側面図である。
【図5】図4のモジュールの正面図である。
【図6】スタックを回転させることができるモジュールの原理を示す図である。
【図7】コンベア・モジュールの機能的流れ図である。
【図8】コンベア・モジュールの動作を制御する方法を示す図である。
【図9】デジタル制御工程でパッケージを製造するための、本発明の一実施例による方法の一部分を示す図である。
【図10】図9の方法の最終部分を示す図である。
【図11】本工程のデジタル制御に含まれる、パッケージの製造装置の構成部品を示す図である。
【図12】3台の印刷機が1台の切断機を共用する装置を示す図である。
【図13】スタックをコンベア・ライン上で互いを通り越して案内することができる装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施例によるデジタル制御工程でパッケージを製造するための装置を概略的に示す。この装置は、印刷済加工中製品を製造するためのデジタル印刷機101を備える。本明細書を作成している時点では、代表的なデジタル印刷機は電子写真に基づく枚葉給紙の機械であるが、本発明は特定の印刷技術にも、シートのみを取り扱う印刷機にも限定されない。デジタル印刷機101の最も基本的な機能的特徴は、それが電気的な入力情報を受け取り、結果として個別に印刷済加工中製品を生じさせることができることである。
【0016】
パッケージが製造されるとき、デジタル印刷機101による印刷は、特定の製造シリーズにわたり1つの加工中製品と別の加工中製品と、大部分が同じであるが、個別の識別子部分が各加工中製品に印刷される場合があることが想定され得る。個別の識別子部分によって運搬される情報を、加工中製品及び/又は加工中製品から後で作られるパッケージのその後の機械的処理段階で容易に利用するために、それが文字列、バー・コード、2次元バー・コード、又は別の機械読み取り可能なコードなどの機械読み取り可能な識別子を含むことが好ましい。デジタル印刷機101が導電性印刷インクの取り扱いが可能な場合は、それらは、完全に又は部分的に別個である印刷済電気回路を加工中製品上に形成するように使用することさえできる。
【0017】
上記した枚葉給紙の機械である場合、デジタル印刷機101内に供給される原材料の一片はシート102と呼ぶことができる。出てくる一片は印刷済加工中製品103である。
【0018】
図1による装置は、印刷後の様々な作業段階を含むことができる。通常は、印刷されるべき材料から作られるパッケージは切断段階を必要とし、ブランク・パッケージは、一般に四角形のシート又は連続巻取り紙の形態の印刷済加工中製品から切断される。この切断は例えば、2枚のプレートのような部品からなる型抜き工具を備える型抜きプレスによって行うことができる。この切断は、レーザー、水又は蒸気ジェット、空気ジェット、制御可能な切断チップ又は別の切断器具によっても行うことができる。多様な代替作業方法が利用可能であるので、図1の機械104は一般に切断機と呼ばれる。それは印刷済加工中製品103を取り込み、切断されたブランク・パッケージ105を生じさせるように構成される。この切断によって廃棄物106も生じ、それは(図1に図示しない)廃棄物除去処理を介してこの工程を出る。特に、この切断機が型抜きプレスの場合は、加工中製品の表面上のヒートシール可能な又は冷間シール可能な箔の導電性の図形又は装飾目的のための図形を切断機によって形成することができ、この箔は適切な方式で型抜き工具のプレートの間に供給される。
【0019】
1つの印刷済加工中製品を、1つ又は複数のブランク・パッケージにすることができる。印刷済加工中製品1つにつき、より好ましくはブランク・パッケージ1つにつき1つの識別子をデジタル印刷機によって作り出すことができる。印刷済加工中製品1つにつき複数の識別子及び/又はブランク・パッケージ1つにつき複数の識別子を使用することもできる。その場合これらの識別子は、同じ技術(例えば、ブランク・パッケージの異なる部分に2つのバー・コード)を使用することができ、或いは完全に異なるもの(例えば、通常のインクで印刷されるバー・コードと導電性インクで印刷される電気回路)とすることができる。これらの識別子は、例えば印刷済加工中製品がそれ自身の識別子を有し、この加工中製品から切断されるブランク・パッケージそれぞれがそれらの識別子を有するように、或いは同じ印刷済加工中製品から切断されるブランク・パッケージそれぞれが、印刷済加工中製品を他と区別する共通の部分と、問題の印刷済加工中製品から切断されるブランク・パッケージを他と区別する特定部分とを有するように、異なるレベルの階層を有することができる。
【0020】
印刷済加工中製品103をデジタル印刷機101から切断機104に自動的に移送するために、図1の装置はコンベア・ライン107を備える。その詳細な実現例は本発明の一般的な原理に対して本質的なものではないが、このコンベア・ライン107をデジタル制御コンベア・モジュール108から組み立てることによって、いくつかの主要な利点を得ることができる。図1は、少なくともデジタル印刷機101及び切断機104に、通常コンベア・ライン107にも接続された情報ラインを有するデジタル制御システム109も概略的に示す。このデジタル制御システム109は、これらの情報ラインに沿ってデジタル制御情報を伝達できるように構成される。通常、このデジタル制御システム109は、この装置によって取り扱われる印刷済加工中製品上で、且つ/又はこの装置の異なる部分でブランク・パッケージ上で読み取られた識別子の情報を、識別子読み取り器から得られる情報に従って、記憶するようにも構成される。このデジタル制御情報の内容及び使用については後述する。この情報ラインの物理的な実現例は、本発明に対して本質的なものではない。これらは、例えば光学的又は電気的ケーブルで接続することができ、又はそれらは無線で接続することができる。
【0021】
図2は、デジタル制御工程でパッケージを製造するための、本発明の第2の実施例による装置を示す軸測投影図である。この装置も、デジタル印刷機101と、切断機104と、コンベア・ライン107とを備える。さらにこの装置は、デジタル印刷機の後方にあり印刷済加工中製品の表面にラッカーの保護及び仕上げ被覆を塗布するように構成される被覆ユニット201を備える。本装置は、この被覆ユニット201の後方に、表面処理された印刷済加工中製品をスタック状に収集するように構成されるスタッカー202を備える。完成したスタックは、コンベア・ライン107に沿って切断機104まで移動する。このコンベア・ライン107は、コンベア・モジュール108から組み立てられる。図2に示さないが切断機104の後方に装置内に容易に配置されるさらなる処理段階は、廃棄物除去と、サイズの塗布と、折り込みとを含む。
【0022】
図2による装置で使用できるデジタル印刷機の実例には、ゼロックス社によって製造されるDocuColor及びDocuTech印刷機が含まれる。図2による装置で使用できる切断機の例には、Kama GmbHによって製造されるKama ProCut型抜きプレスが含まれる。
【0023】
一般に、パッケージをその最終形態に機械的に折り込む段階は、折り目付けが必要である。この折り目付けは、折り込み段階の前に行われ、切断機械又は折り込み機械と組み合わされた折り目付け機械或いは単独の折り目付け機械で行うことができる。デジタル制御装置を用いることによる利点として、複数の段階の全てが単一の製品の自動取り扱いに適した技術を使用する場合、1つの好ましい解決策は、切断機及び折り目付け機械として共に水切断機を使用することである。その場合この水切断機は、加工中製品からブランク・パッケージを切断するための比較的高速の水ジェットと、折り目を作るためのかなり低速の水ジェット及び/又は水スプレイ・ヘッドと加工中製品の間に配置され、水ジェットを止める保護被覆とを使用するように構成される。単一の製品を処理するのに適した、折り目を付ける方法の別の実例は、デジタル制御折り目付けホイール又はピン状の折り目付けヘッドを使用することである。このヘッドは、ボールペンの書き込みヘッドと類似する軸受部品を有することができる。
【0024】
特に型抜き技術を利用する切断機の処理能力(単位時間当たり取り扱われる加工中製品)は、その技術が本明細書作成時点に知られているデジタル印刷機の処理能力よりかなり高くすることができる。処理能力のこの差は、印刷と型抜きの間の工程の任意の段階を、例えば型抜き工具の交換の時間の間、印刷済加工中製品を一時的に貯蔵する際にデジタル制御工程の範囲を出ないように、それらを一時的に貯蔵するように構成されるバッファーとして使用するように有効に使用することができる。このバッファーは、型抜き段階が再び動作するとき、一時的に貯蔵された印刷済加工中製品を前方に供給するように構成される。この集中型のデジタル制御は、型抜き機のスイッチオフが制御情報を生じさせ、それに基づいてデジタル制御システムがバッファー部に命令を伝達してバッファーを開始させる、完全自動バッファリングを可能にする。同様に、型抜き機の再起動により、制御情報を生じ、それに基づいてデジタル制御システムがバッファー部に一時的に貯蔵された印刷済加工中製品の前方への供給を開始するための命令を伝達する。
【0025】
図2による装置では、このバッファーはスタッカー202とコンベア・ライン107から構成される。印刷及びラッカー塗布からくる印刷済加工中製品は、一回に1つずつのスタック状にコンベア・ライン107上を前方に移動し、スタッカー202は、このスタックを収集するように構成される。バッファーされる印刷済加工中製品の最大数は、コンベア・ライン107に使用可能な長さをスタックの長さで割り(これによって、コンベア・ライン107上に次々に収容されるスタックの数が得られる)、この暫定的な結果に単一のスタックが収容できる加工中製品の最大可能数を掛けることによって得られる。
【0026】
図2による装置では、この製造ラインはスタッカー202及び切断機104の場所で、横方向に90度の角度を形成する。この製造ラインは、これらの機械のところで真直ぐにも延びることもでき、又は別の方向に別の角度だけ曲がることもできる。しかし、この図に示す90度の横方向の曲がりは、いくつかの利点を提供する。印刷及びラッカー塗布から来るとき、印刷済加工中製品は通常長方形であり、その前方縁部が移動方向に対して直角な位置で工程内を進む。その場合、互いに直角な2つの縁部案内部(図示せず)をスタッカー202に配置することが容易であり、それらのうちの1つは、前記前方縁部がこの縁部停止案内部にぶつかるとき印刷済加工中製品の移動を停止させる。加工中製品の側面のうちの移動方向にあった側面は、縁部停止案内部に対して直角な他の縁部案内部の方向に設定される。この場所及び位置に停止する印刷済加工中製品が特定の高さのスタックまで蓄積するとき、それを横方向に、即ち縁部停止案内部の方向から縁部案内部を有さない側に移動させることによって、スタッカーから離れるように移送するのが容易である。類似の案内装置を、切断機104の供給区画内に構築することができる。
【0027】
図3は、デジタル制御コンベア・ライン107を概略的に示す。それは、標準サイズのコンベア・モジュール108から構成され、この実例ではそれらの5つが順々に配置されている。図では、コンベア・ライン107上の加工中製品の移動の主たる方向は、左から右である。移動の方向に対する最初のコンベア・モジュールは、スタッカー202のベース・プレート301の上部に配置され、それによってスタッカー202によって収集されるスタックが、最初のコンベア・モジュールの上に直接形成される。移動の方向に対して最後のコンベア・モジュールは、切断機104のベース・プレート302の上に配置され、それによってそれは切断機104の供給ベースとして機能する。スタッカー202と切断機104の間に、コンベア・ラインのベース303が存在し、その上に他のコンベア・モジュールが配置される。このコンベア・モジュールを別の機械(例えば、スタッカー又は切断機)の内部に浮遊式に配置することは、その場合コンベア・ラインの他の部分がどのように配置され、加工中製品が別の形でどのようにコンベア・ライン上を移動するかに関わらず、加工中製品を問題の機械の動作に対して適切な場所及び位置に位置合わせを行うのが容易になるので好ましい。
【0028】
図4及び5は、コンベア・モジュールの実例を側面図(図4)及び正面図(図5)として詳細に示す。このコンベア・モジュールは、別々のベースを必要としないが、図では正方形断面を有する、コンベア・モジュールの長手方向の支持チューブ402に取り付けられた脚401を備える。脚に加えて又は脚の代わりにホイールを使用することができ、これによってこのモジュールは、移動させるのがより容易になる。各支持チューブの一端部は孔403を備え、他端部はこの孔に適した横断面を有するピン404を備える。モジュールを順々に配置するとき、それらの互いの位置合わせは、互いに接触する連続するモジュールの端部の孔内にこのピンを挿入することによって確実にすることができる。この図は、支持チューブの側面上に作られる細長い孔405とその中を移動し締め付けることができるクランプねじ406とを使用することによって、ピン404を後退可能に、且つその長さについて調節可能にする容易な方法を示す。完成したコンベア・ラインのモジュールが使用中振動によって互いに分離しないように、使いやすい方法でそれらをかみ合わせることは価値のあることである。図4及び5は、支持チューブの一端部のフック407と他端部の蝶番付輪408から構成される迅速なロッキングの一実例を示し、この輪はフックに対応し、ロッキング・レバーが設けられている。他の型式のロッキングも使用することができる。
【0029】
各支持チューブ402は、L字形異型材409によって支持チューブに取り付けられた、このモジュールの長さのほとんど初めから終わりまでモジュールの側面上を延びるE字形異型材410を有する。このE字形異型材に形成されている溝がモジュールの外側に位置し、これによってモジュールの側面に様々な付属品を設けることがより容易になる。例えば、この溝の狭い部分を通り嵌合するL字形異型材409及び識別子読み取り器411がE字形異型材のこの溝にねじで取り付けられ、それらの対応するねじはこの溝の広い部分内にある。E字形異型材410の形状及び位置をより容易に理解するように、このねじは図5に示されていない。フォトセル又は他の識別子(図示せず)を識別子読み取り器411内に設置することができ、コンベア・モジュール上のスタックの存在及び/又は移動を識別し、この識別に対応する電気信号をコンベア・モジュールの制御ロジック(図示せず)に伝達する。E字形異型材410の溝がモジュールの長さをほとんど初めから終わりまでモジュールの側面上を延びるので、所望の数の識別子読み取り器411を使用することができ、それらはモジュールの長手方向の適切なスポットに容易に取り付けることができる。E字形異型材の溝に締め付けられるねじに基づく無段の取り付けによって、モジュールの長手方向で識別が行われる場所を非常に正確に選択する機会が与えられる。
【0030】
運搬されるべき品目を移送する部品として、このコンベア・モジュールは、1つ又は複数のベルト412を備える。本明細書に記載されるこのモジュールの実例は、2本の順次連続するベルト412を備える。ベルトを移動させるために必要な(複数の)モータ、ベルト・プーリー及び他の部品は、モジュールの内側の、(複数の)ベルトによって画成される空間の内側に残る空間内に設けられる。この同じ空間内に電源及びモジュールの制御ロジックによって必要とされる電気回路も収容される。このE字形異型材410に、このモジュールとシステムの他の部品との間の電力供給と情報伝達を手配するための適切な数の孔、コネクタ及び同様な部品を設けることができる。
【0031】
図6は、1つのモジュール内にのみ小さな変更を行うことによってモジュール・コンベア・ライン内に回転部を設けるために使用できる原理を示す。図6に示す2つの最上部品は、図4及び5に示す部品と本質的に同様であることができる。ブロック602は、図4及び5に示す(他のモジュールと連結するために使用されるピン及び迅速なロッキングなしの)支持チューブ402と、L字形異型材409と、E字形異型材410と、識別子読み取り器411とを含むことができる。ブロック601は、ベルト412及びモータと、ベルト・プーリーと、上記で参照が行われたが図4及び5に示されない制御ロジック及び他の機能部品を含むことができる。回転フレーム602の下に、回転機構603が存在し、その下に回転モジュールをベースに対して支持し、隣接するモジュールに取り付けるのに必要な孔、ピン及び迅速なロッキングを備える静止フレーム604が存在する。
【0032】
図7は、コンベア・モジュールの機能的な流れ図の一実例を示す。動作電力を導入するために、ブロック701は必要なコネクタを備える。このモジュールから任意の長さのコンベア・ラインを容易に設けるために、連結部を接続する態勢があるように構成するのが好ましい。したがって、動作電力の入力ブロック701から動作電力の対応する出力ブロック702へ直接的に接続されている。電力分配ブロック703は、電気を必要とするモジュールの部品に電力を分配するように構成される。制御情報を伝達するために、このモジュールは、特定の制御情報バスに接続するために必要なコネクタを備える。図7の実例は、制御情報の別々の入力ブロック704と出力ブロック705を示すが、制御情報バスへの接続は、1つの2方向接続ブロックのみを介して行うこともできることは明らかである。
【0033】
このモジュールの基本的な制御部分は、制御ロジック706から構成され、それは例えば、プログラム化可能なロジック回路又は単純なマイクロプロセッサである。図7は、制御ロジックに使用可能な記憶装置707と、この記憶装置内に記憶されたプログラムを使用できる制御ロジック706を別々に示し、必要なときこの記憶装置は、識別子、読み込まれた測定情報及び同様な情報用の中間記憶装置としても使用することができる。制御ロジック706に接続される識別子ブロック708は、例えばフォトセル、リミット・スイッチ及び他のセンサを含むことができ、それらを介して制御ロジック706は、モジュールの動作、運搬される品目の位置及び移動、及び他の必要な要因についての情報を受け取るように構成される。さらに、この制御ロジック706は、(1つ又は複数の)モータの制御ブロック709に、ブロック710で(1つ又は複数の)モータを制御する制御命令を与えるように構成される。
【0034】
図8は、コンベア・モジュールの制御ロジックによって実行することができるプログラムの簡単な実例を示す。このプログラムによって制御され、コンベア・モジュールは他のコンベア・モジュールと、運搬されるべき品目を受け取るための、且つ/又は運搬されるべき品目を前に送るための、コンベア・モジュールの準備についての情報を交換するように構成される。スペース801で、この制御ロジックは、そのコンベア・モジュールに先行するモジュールから制御情報バスを介して運搬されるべき品目が来つつあると言うメッセージを受け取る。スペース802で、制御ロジックは、そのコンベア・モジュールが運搬されるべき品目を受け取る準備ができているかどうか、例えばそのコンベア・モジュールから、前に運搬された品目が無くなっているかどうかを検査する。準備ができていない場合は、制御ロジックはスペース803で、制御情報バスを介して前のモジュールに否定的なメッセージを与え、スペース801に戻る。このコンベア・モジュールが運搬されるべき品目を受け取る準備ができている場合、制御ロジックはスペース804で、制御情報バスを介して前のモジュールに肯定的なメッセージを与え、スペース805でベルトを移動させる(1つ又は複数の)モータを作動させる。スペース806で、この制御ロジックは、品目が所望どおりに移動したか否か、例えば前のモジュールの側面上の縁部のフォトセルが、光ビームが遮断され、次いで光ビームが再度自由に通過したことを報告したかどうかを検査する。この条件がまだ満たされていない場合、制御ロジックはスペース805で、ベルトの移動を継続させる。品目が所望どおりに移動したとき、この場合は品目が問題のコンベア・モジュール内に受け取られたとき、スペース807でベルトは停止させられる。
【0035】
運搬される品目が前方に移動するように、制御ロジックはスペース808で、制御情報バスを介して次のモジュールに品目についてのメッセージを与え、スペース809で次のモジュールの準備ができていると報告するかどうか検査する。準備ができていない場合は、制御ロジックはスペース807に戻る。次のモジュールの準備ができていると報告するとき、制御ロジックはスペース805で、(複数の)モータを起動開始させ、次いで品目が所望どおりに移動するまで(例えば次のモジュールの側面上の縁部のフォトセルが、光ビームが遮断され、次いで光ビームが再度自由に通過したことを報告するまで)スペース805及び806によって形成されるループを周回する。その後、スペース807でベルトを停止させるときにこのプログラムは終了し、制御ロジックは再度同じプログラムを実行する準備ができている。
【0036】
当然ながら、図8に示すプログラムは非常に簡単な実例でしかなく、様々な方法で、例えばそれに様々な緊急管理機能を結合させること、運搬されるべき品目をコンベア・ライン上で後ろ向きにも移送するように準備すること、運搬される品目上の機械読み取り可能な識別子を読み取ることができるようにコンベア・モジュールをプログラムすること或いは、最初に又は最後に働くコンベア・ラインのコンベア・モジュールに対して特別な機能を用意すること等々によって多様化することができる。そのような追加、変更及び多様化を行う方法は、この記載に照らしてそのような分野の技術者に明らかである。
【0037】
図9及び10は、デジタル制御工程でパッケージを製造するための、本発明の一実施例による方法を示す。これらの図は、印刷機、スタッカー、コンベア・ライン及び切断機の特定の例示的な工程段階の実現例を示す。各ユニットの下で、左欄は加工中製品の物理的な取り扱いに属する段階を含み、右欄は動作の制御に属する段階を含む。段階901で、印刷機はデジタル制御システムから作業ファイルを入力情報として受け取る。この作業ファイルには、問題の運転中にどれくらい多くの、どのような種類の印刷済加工中製品を印刷機が製造すべきであるかについての情報が含まれている。個別の識別子を有するパッケージを製造することがデジタル制御工程の特徴の1つであるので、作業ファイルに従って、この印刷機は各個別の印刷済加工中製品に対して個別の識別子を作り出すべきであることが本明細書では想定される。段階902でこの印刷機は、特定の個別の印刷済加工中製品の印刷を準備する。
【0038】
段階903で印刷機はシートを取り入れ、段階904でシートの位置合わせを測定する。段階905で、印刷機は所望の印刷をシート上に印刷し、それによってシートは印刷済加工中製品になる。段階906で印刷機は、印刷済加工中製品を工程内で前方に送る。この供給段階906は、印刷済加工中製品上の識別子を読み取るステップを含み、前方に送られた印刷済加工中製品についての情報を印刷機の記憶装置に記憶させることができる。段階901〜906は、デジタル印刷機技術では公知である。
【0039】
この集中型のデジタル制御を使用する工程は、工程の1つの段階で収集された情報を、単一の加工中製品の精度で、工程の他の段階でさらに利用することができるという点で、単なるデジタル印刷機の従来型の使用とは異なる。工程の動作の一部分は、印刷済加工中製品の取り扱い中に形成され電気の形態で記憶される情報から構成され、この装置を制御するデジタル制御システムの記憶装置内で特定の印刷済加工中製品又は加工中製品のバッチに明白に関連する、いわゆるメタ情報に基づくことができる。印刷済加工中製品の具体的な一部分である、デジタル印刷機によって加工中製品上に形成される個別の識別子は、そのようなメタ情報ではない。そうではなくメタ情報の実例は、デジタル印刷機が段階907及び908で記憶することができる情報を含む。それはその記憶装置内に、例えば特定の識別子によって識別される印刷済加工中製品が製造された時点、印刷段階でその位置合わせがどの程度成功したか、いつそれが印刷機から前方に送られたか、それがどの、より大きな作業単位に属しているか、どのような種類の周囲条件(温度、湿度、塵埃濃度、振動、等)がその製造の時点に関連するかについての情報をも記憶することができる。図9で、収集されたメタ情報が段階908の後で集中方式でデジタル制御システム内に記憶されることが想定されている。
【0040】
印刷のためにバッチ処理を使用する、公知のデジタル印刷機技術と比較した場合の他の相違点は、段階901によって説明される入力情報の読み込みが追加の入力情報の読み込みも含むことができることであり、それによってこのデジタル制御システムは印刷機に、何らかの理由のために意図されたように製造工程を完全に通過しなかった、おそらくは前に製造された製品の代わりに、代替の印刷済加工中製品を製造するように指示する。例えば、切断機内で供給の故障が起き、それに起因していくつかの印刷済加工中製品が駄目になり、それらから正常のブランク・パッケージを切断することが不可能な場合、失われた(個別の識別子が設けられた)そのようなブランク・パッケージについての情報が、その工程に関連する識別子の何らかの読み込み段階で形成され、使用者の操作なしで印刷機に対するデジタル制御システムを介して完全に循環させることもでき、印刷機はそれらと置き換えるように新たなものを自動的に印刷する。
【0041】
段階911でスタッカーは、デジタル制御システムから印刷済加工中製品を中にスタックすべきスタックのサイズ、どのようにそれらの個別の識別子がスタッキングに影響するか、例えばどんな種類の識別子が設けられた加工中製品を同じスタック内にスタックすべきではないかに関する情報を受け取る。特定の印刷済加工中製品が段階912でスタッカー内に取り込まれるとき、その個別の識別子は段階913で読み込まれる。読み込まれた識別子と制御システムから受け取った入力情報に基づき、問題の印刷済加工中製品の取り扱い、それを準備されつつあるスタックに加えるべきか、そのための新たなスタックを形成すべきかに関する決定が段階914で行われる。スタックの収集は段階915で行われる。段階916は、スタッカー内の特定加工中製品向けの情報の記憶を記述し、この情報は例えば、いつ個別の識別子によって識別される特定の印刷済加工中製品がこのスタックに移送されたかを示すことができる。これに先立って受け取った入力情報によるスタックの準備ができたとき、それは段階917で前方に送られる。
【0042】
図9では、コンベア・ラインもデジタル制御システムの直接制御下にあることが想定されている。これは必要ないが、工程内のコンベア・ラインに先行するスタッカーなどのデバイスに、コンベア・ラインの別のモジュールがこのデバイスに先行していたと仮定した場合、それがコンベア・ラインのモジュールを模倣するように、即ち同じ制御情報バスを介して実際の最初のモジュールにそのモジュールが受け取るであろうのと同じ制御情報を与えるように、プログラムすることができる。図9に示す段階921は、非常に簡単なものとすることができる。このデジタル制御システムは、制御システムがスタッカーから完成したスタックが成功裏に最初のコンベア・モジュール上に収集された情報を受け取ったとき、コンベア・ラインの最初のモジュールに開始命令を単純に与えることができる。実際にはもう、コンベア・ライン上へのスタックの取り入れ段階(段階922)も実行されている。
【0043】
段階923でコンベア・ラインは、装置の次の区域に運搬されるべき品目を移送するのに必要である、運搬される品目の移送及び予定の回転を実行する。モジュール式コンベア・ラインのコンベア・モジュールが、モジュールの相互通信を制御し、運搬の前進を管理する一体化されたロジックを含むことが上記で想定されている。当然ながら、各コンベア・モジュールを装置の集中型のデジタル制御システムに個別に接続し、次いでそのシステムがモジュールの制御を手配することは可能であるが、これは制御システムの必要とされる制御機能性により大きな複雑性を生じさせ、コンベア・モジュールの数の変更を含む解決策の拡張性を損なうであろう。
【0044】
コンベア・ラインは、必ずしも情報収集機能性を含む必要は無い。しかし完全を期して、段階925でコンベア・ラインが、実行された移送及び回転についての情報、及び段階924として提示された特定加工中製品向けの又は特定スタック向けの識別子を読み取ることについての情報を収集できることが図9に想定されている。段階926では、特定のスタックがコンベア・ラインを通り運搬されている。これに関連する報告をデジタル制御システムに与えることが段階927として示されているが、スタッカーから得られた情報によれば、コンベア・ラインに供給された特定のスタック内にスタックされた印刷済加工中製品の識別子を読み込んだことを示す形態の、運搬が成功したことについての情報も工程内でこのコンベア・ラインに続くデバイスから来ることもできる。
【0045】
段階1001で、切断機はデジタル制御システムから、例えば印刷済加工中製品の個別の識別子が、どの切断工具によって(又はデジタル的に供給されるどの切断命令に従って)切断するべきであるかを、どのように指示しているかについての入力情報を受け取る。段階1002で、切断機はコンベア・ラインからスタックを受け取り、次に順に段階1003で切断すべき印刷済加工中製品をスタックから選定する。識別子を読み取るステップは段階1004として示されており、これに基づいて、加工中製品を取り扱うことについての決定が段階1005で行われる。例えば、手動によって交換された切断工具を使用する場合でも、切断機はそれを自動的に識別し、正しい工具が使用されている場合、段階1005での決定は直ちに切断を許可し、或いは動作を中断し、工具を正しい切断工具と交換するように作業者に指示する。実際の切断は段階1006として示され、段階1007として前記加工中製品の取り扱いを記述する情報を収集し、その情報をデジタル制御システムに供給する。この切断機(並びに他の機械)は、例えばその機械に入ってくる加工中製品を監視し、識別することを意図するだけではなく、それらのうちのどれが成功裏にこの機械を通過したかを確実にすることも意図している場合は、いくつかの識別子読み込み段階を含むことができる。
【0046】
一実例として、N数のa型式のパッケージとM数のb型式のパッケージとを製造することが意図され、N及びMが整数であり、a及びbは単にここで使用されるパッケージ型式の名前に過ぎない状況が考えられる。各パッケージは個別の識別子を受け取る。最初のパッケージのこの識別子は、シリーズa(1)、a(2)、a(3)、...、a(N)を形成し、第2のパッケージの識別子は、シリーズb(1)、b(2)、b(3)、...、b(M)を形成する。最初の段階でこのデジタル印刷機は、加工中製品から必要なN数のa型式のパッケージを製造するために十分な数の加工中製品を印刷する。同時にこのデジタル印刷機は、印刷済加工中製品上に識別子a1、a2、a3、...、aNを作り出す。これら全ては、図9の作業段階901〜908を十分長い間周回することによって行われる。その後、このデジタル印刷機は、b型式のパッケージのための印刷済加工中製品を製造し始める。
【0047】
デジタル印刷機とスタッカーの間に故障が発生し、その結果として、k及びtが整数であり且つ(k+t)≦Nである、識別子a(k)、a(k+1)、a(k+2)、...、a(k+t)を有するa型式のパッケージを製造するために使用すべきであった印刷済加工中製品が工程から抜け落ちたと仮定しよう。この故障の結果が発見されたとき、a型式のパッケージの印刷の遅い段階であったのでb型式のパッケージの印刷も既に開始していたときにこれが起きることも仮定しよう。各印刷済加工中製品がスタッカーに到着するとき、段階913に対応してその識別子が読み込まれる。段階916及び/又は段階918から、所与の識別子が欠けていたことを示す情報がデジタル制御システムに行く。
【0048】
デジタル制御システムの機能をプログラムする方式に応じて、デジタル制御システムはこの状況を様々な方法で修正することができる。一実例では、この制御システムは、読み込まれた以下の識別子の順序が正しくなかったことが発見された後直ぐに、段階915でスタッカーにa型式のパッケージに関連する印刷済加工中製品のスタッキングを中止するように命令する。この蓄積されたスタック(識別子a(1)、a(2)、a(3)、...、a(k−1))はコンベア・ライン上を前方に送られ、印刷済加工中製品の残り(識別子a(k+t+1)、a(k+t+2)、a(k+t+3)、...、a(N))はそれらの自身のスタック内にスタックされる。段階1001で、このデジタル制御システムは、これらの2つのスタックはa型式のパッケージの方式で切断すべきであること、その後、いくつかのb型式のパッケージが切断されるべく来つつあること、次いで再度a型式のパッケージが来ることを示す情報を切断機に伝達する。
【0049】
その間にこのデジタル制御システムは、段階901の方式で、デジタル印刷機に対してb型式のパッケージのための印刷済加工中製品の製造を中止し、識別子a(k)、a(k+1)、a(k+2)、...、a(k+t)を有するa型式のパッケージがそれから製造される印刷済加工中製品を再製造する命令を伝達している。これらの印刷済加工中製品のうちの最初の1つがスタッカーに到着するとき、この機械は段階913でそれを検出し、それまで蓄積されてきた、b型式のパッケージに関連する印刷済加工中製品のスタッキングを段階915で停止し、a型式のパッケージに関連する印刷済加工中製品の新たなスタックの収集を開始する。したがって、欠けているa型式のパッケージは完全に自動的に製造され、それらは他のものよりわずかに遅れて切断機に来る。コンベア・ラインが、現に存在する伝播経路に対して平行な側線(サイドトラック)を含み、該側線の上にコンベア・ラインがそれ自体としては正しい順番で収集されたスタックを移送することができ、その後に前の順番から欠けていた印刷済加工中製品の1つ又は複数のスタックが側線に到着する場合、順番が混乱するのを避けることができる。所望の印刷についての最終的な検証は、切断機から出て来るブランク・パッケージ上の全ての所望の識別子が読み込まれたことを示す、段階1007で収集される情報を検査することによって得られる。
【0050】
図11は、本工程のデジタル制御と直接的に関係する、本発明の一実施例による装置、例えば図2の装置の部品を示す。この制御システムの中央処理部分は、プログラム記憶装置1103に記憶されるプログラムを実行し、情報を記憶し、記憶された情報を読み取るために情報記憶装置1104を使用するように構成される、制御コンピュータ1101の中央処理装置1102を備える。この中央処理装置1102は、制御コンピュータ1101と工程内の実際の取り扱い及び製造段階を管理するデバイスとの間の拡張容易な情報通信解決策を形成するバス・インターフェイス1105を介して、制御バス1111と通信する。
【0051】
例えばこのデジタル印刷機は、制御バス1111に接続するためのそれ自身のバス・インターフェイス1121を有する。印刷機の処理装置1122は、バス・インターフェイス1121と制御バス1111を介して制御コンピュータ1101と通信し、デジタル印刷機の内部では、デジタル印刷機の例えば識別子読み取り器1123とアクチュエータ1124と通信する。同様な制御機能は、工程の他のデジタル制御機械にも存在し、一例として、バス・インターフェイス1131と、スタッカー1132の処理装置と、(一つ又は複数の)識別子読み取り器1133と、アクチュエータ1134とを備えるスタッカーを示す。他の同様なデバイスとして、コンベア・ラインと、切断機と、折り目付け機械等が考えられる。典型的な制御バスは、数十又は数百のユニットであっても接続することができるので、同様な制御を有する任意の数のデジタル制御機械を、制御コンピュータ1101の下で機能するように制御バス1111を介して接続することができる。
【0052】
図11は、どのように単一の識別子読み取り器1142及びアクチュエータ1152をそれらの自身のバス・インターフェイス1141及び1151を介して制御バス1111に接続できるかも示す。それらは、それら自身のプログラム化可能な働きを有さず、通り過ぎる加工中製品上の識別子を読み込み制御コンピュータに報告する、又はその工程に関連する機能のスイッチのオンオフをするなどの単純な、標準的な仕事のみ実行する。例えば、その工程に使用され、それ自体デジタル制御される任意の機械の制御アーキテクチャが識別子読み取り器を図11のブロック1123及び1133と同様な方式でその機械内へ組み込まない場合、別個の識別子読み取り器を問題の機械又はその環境内に組み込み、制御バス1111に直接的に接続することができる。この識別子読み取り器がより大きな機械の一部分であるか制御バス1111に直接的に接続される単一のデバイスであるかに関わりなく、全ての識別子読み取り器は、デジタル印刷機によって作り出された個別の識別子を読み込み、且つどの識別子を読み込んだかについての情報をデジタル制御システムに伝達するように通常構成される。
【0053】
使用者のためにこの制御コンピュータ1101は、ユーザー・インターフェイス1106と、キーボード1161、ディスプレイ1171及びオーディオ部品1181などの、インターフェイスで接続される実際の使用者機器とを備える。このオーディオ部品は、例えば音響信号発生デバイス又はイヤホーンを含むことができる。本発明の一実施例によれば、MP3プレーヤーなどの音響再生機を制御コンピュータ内に組み込むことができる。それは、例えば必要なプログラムがプログラム記憶装置1103内に記憶され、これらのプログラムを実行することによって、中央処理装置1102(又はこの目的のために設けられる補助処理装置)が情報記憶装置1104内に記憶されたデジタル・オーディオ・ファイルを処理し、記憶し、再生することができるように実行することができる。生成される音響は、オーディオ部品1181にふさわしいイヤホーンを介して使用者が聴くように導かれる。使用者は、キーボード1161によって再生すべきオーディオ・ファイルの選択などの、プログラムの実行に影響を及ぼす機会が提供される。ディスプレイ1171は、オフライン機器又はパーソナル・コンピュータの部品として実装されるMP3プレーヤーと同様な方式で、プログラムの実行に関する情報を表示することができる。
【0054】
制御コンピュータ内に組み込まれたオーディオ・ファイルの録音及び再生機器は、機械を操作する作業者を楽しませるために音楽を再生すること以外の目的のためにも使用することができる。操作作業の実行及びパッケージ製造工程の制御に関する様々な命令をオーディオ・ファイル内に記憶させることができ、作業者はその命令を必要に応じて様々な状況で選択的に聴くことができる。1つの可能性は、オーディオ部品1181に無線マイクロフォンを接続し、緊急事態で作業者がそれを故障している工程の部分の近くに持って行き、そのノイズを情報記憶装置1104内にデジタル・オーディオ・ファイルの形態で記憶させることである。機械修理者が後で現場に来るとき、機械修理者が問題の故障についてトラブル・シューティングをするとき、この記憶されたオーディオ・ファイルを利用することができる。
【0055】
工程の遠隔制御及び大規模な自動化のための可能性のために、この制御コンピュータ1101は、ネットワーク・インターフェイス1107を装備することが好ましく、それを介して2方向遠隔接続1191が実現可能になる。
【0056】
図12は、一方ではデジタル印刷機1201、1202及び1203間の、他方では切断機1221などの任意のそれに続く工程段階との間の処理能力の差を有効に使用する装置の平面図を概略的に示す。デジタル印刷機1201、1202及び1203のコンベア・ラインは(スタッキング)尾部から切断機まで複合体を形成し、スタックは直線移送モジュール(例えば、モジュール1211及び1212)によって前方に移動し、一方向に回転するモジュール(例えば、モジュール1213)によって90度回転し、或いは多機能モジュール(例えば、モジュール1214)によって直線的に又はどちらの方向にも90度回転することのどちらもすることができる。モジュール1213及び1214の構造は、図6に示す原理に従うことができる。本来は3方向のコンベア・ラインを切断機1221の前で1つに組み合わせ、それによって任意のデジタル印刷機からの印刷済加工中製品のスタックを切断機に導くことができる。できるだけ円滑に適切な回転で、印刷済加工中製品を切断機に導くために、装置全体を共通のコンピュータ(図示せず)によって制御できるように構築するのが好ましい。
【0057】
図13は、上記で述べた側線がコンベア・ライン内に組み入れられた装置の平面図を概略的に示す。モジュールによって形成されるコンベア・ラインがデジタル印刷機1301の(スタッキング)尾部から出て、そのラインは、直線的に移送するモジュール(例えば、モジュール1311)と、90度回転するモジュール(例えば、モジュール1313)と、必要に応じてスタックを直線的にか又はその移動方向を90度側方向に回転させるかのどちらかに移動させるモジュール(例えば、モジュール1312)を備えることができる。図13による装置で、1つのスタックが一度に1つのモジュール上に収まる場合、互いに右方向にある4つのスタックを側線上に導いて待機させることができ、その後で製造された印刷済加工中製品のスタックをそれらを通り越して切断機1321に運ぶことができる。
【0058】
1つの機械から別の機械までのコンベア・ラインとして、含まれるモジュールの数が比較的短いもののみが上記で取り扱われている。本発明は、コンベア・モジュールから組み立てられるコンベア・ラインの長さ、即ちその中に含まれるコンベア・モジュールの数を限定しない。例えば、障害のない動作のために、この印刷機は、例えば切断機よりかなり厳しい環境要因(温度、湿度、塵埃の無さ、振動等)に対する要求を設定することを考慮に入れるべきである。したがって必要な場合それらを製造領域内の異なる場所に配置することによってコンベア・ラインは必要な場合、壁、柱及び他の障害物をバイパスして1つの場所から別の場所に続くように十分長くすることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷済加工中製品(103)を製造するためのデジタル印刷機(101)と、
前記印刷済加工中製品(103)からブランク・パッケージ(105)を切断するための切断機(104)と、
前記印刷済加工中製品を前記デジタル印刷機(101)から前記切断機(104)まで自動的に移送するためのコンベア・ライン(107)と、
少なくとも前記デジタル印刷機(101)と前記制御システム(109)の間、並びに前記切断機(104)と前記制御システム(109)の間でデジタル制御情報を伝達するように構成されるデジタル制御システム(109)とを備えることを特徴とする、デジタル制御工程でパッケージを製造するための装置。
【請求項2】
前記装置が、前記デジタル印刷機(101)と前記コンベア・ライン(107)の間に、前記印刷済加工中製品をスタック状として収集し、前記収集されたスタックを前記コンベア・ライン(107)に供給するように構成されるスタッカー(202)を備え、前記デジタル制御システム(109)が、前記スタッカー(202)と前記デジタル制御システム(109)との間でデジタル制御情報を伝達するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記切断機(104)及び前記スタッカー(202)のうちの少なくとも1つが、前記切断機(104)又は前記スタッカー(202)内で取り扱われる前記印刷済加工中製品から、予め前記デジタル印刷機によって作り出されていた前記個別の識別子を読み取り、識別子読み取り器がどの識別子を読み込んだかについての情報を前記デジタル制御システム(109)に伝達するように構成される、識別子読み取り器(1123、1133)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記デジタル制御システム(109)が、前記システムに含まれる前記識別子読み取り器(1123、1133、1142)から得られた前記情報に従って、前記デジタル印刷機(101)によって作り出されたどの識別子が、前記システムによって取り扱われる前記印刷済加工中製品及び/又はブランク・パッケージから読み込まれたかについての情報を記憶するように構成されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記デジタル制御システム(109)が、前記印刷済加工中製品の取り扱い中に形成されるメタ情報であって、前記デジタル制御システムの前記記憶装置(1104)内で特定の印刷済加工中製品又は加工中製品のバッチに明白に関連するメタ情報を記憶するように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記メタ情報が、前記デジタル印刷機(101)によって作り出された、印刷済加工中製品の印刷の位置合わせに関する情報を含むことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記識別子読み取り器(1123、1133、1142)から受け取った、特定の印刷済加工中製品が前記製造工程全体を通過しなかったことを示す情報に応答して、前記デジタル制御システム(109)が、代わりの印刷済加工中製品を製造するために前記デジタル印刷機(101)を制御するように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記デジタル印刷機(101)と前記切断機(104)の間に、前記印刷済加工中製品を一時的に貯蔵するように構成されるバッファー部を備えることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記デジタル制御システム(109)が、前記切断機(104)のスイッチオフに対する応答として、前記印刷済加工中製品を前記バッファー部に一時的に貯蔵するのを開始させる命令を伝達するように構成され、
前記デジタル制御システム(109)が、前記切断機(104)のスイッチオンに対する応答として、前記バッファー部に前記一時的に貯蔵された、印刷済加工中製品を前方に供給するのを開始させる命令を伝達するように構成されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コンベア・ライン(107)が、分離可能な迅速開放ロッキングによって互いに連結され、デジタル的に制御される、連続した複数のコンベア・モジュール(108)から構成されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記コンベア・ライン(107)の最初のコンベア・モジュールが前記コンベア・ラインに先行する前記機械(202)の内部に浮遊式に配置され、
前記コンベア・ライン(107)の最後のコンベア・モジュールが、前記コンベア・ラインに続く前記機械(104)の内部に浮遊式に配置されることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
各コンベア・モジュール(108)が、運搬されるべき品目を受け取るための、且つ/又は運搬されるべき前記品目を前方に供給するための前記コンベア・モジュール(108)の準備完了に関する情報を他のコンベア・モジュールと交換するように構成されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記デジタル制御システムが、制御コンピュータと、該制御コンピュータ内に含まれ、オーディオ・ファイルを録音及び再生するための一体化された録音再生機器とを備えることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
デジタル印刷機(101)によって印刷済加工中製品(103)を製造するステップと、
前記製造された印刷済加工中製品を前記デジタル印刷機から切断機(104)まで自動的に運搬するステップと
前記印刷済加工中製品からブランク・パッケージ(105)を切断するステップと、
前記デジタル印刷機(101)と制御システム(109)の間及び前記切断機(104)と前記制御システム(109)の間でデジタル制御情報を伝達するステップとを含むことを特徴とする、デジタル制御工程でパッケージを製造する方法。
【請求項15】
前記デジタル印刷機の後の前記印刷済加工中製品の特定の取り扱い段階において、前記デジタル印刷機によって前記印刷済加工中製品上に作り出された識別子が機械的に読み込まれ、どの識別子が読み込まれたかについての情報が前記制御システムに報告されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
特定の印刷済加工中製品が前記製造工程全体を通過しなかったことを示す、前記識別子を機械的に読み込むことによって得られる情報に対する応答として、前記デジタル印刷機が代わりの印刷済加工中製品を製造するように命令されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
印刷済加工中製品の取り扱い中に形成され、デジタル制御システムの記憶装置内に、特定の印刷済加工中製品又は加工中製品のバッチと明白に関連するメタ情報を記憶するステップを含むことを特徴とする、請求項14から16までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
印刷済加工中製品(103)を製造するためのデジタル印刷機(101)と、
前記印刷済加工中製品(103)からブランク・パッケージ(105)を切断するための切断機(104)と、
前記印刷済加工中製品を前記デジタル印刷機(101)から前記切断機(104)まで自動的に移送するためのコンベア・ライン(107)と、
少なくとも前記デジタル印刷機(101)と前記制御システム(109)の間、並びに前記切断機(104)と前記制御システム(109)の間でデジタル制御情報を伝達するように構成されるデジタル制御システム(109)とを備えることを特徴とする、デジタル制御工程でパッケージを製造するための装置。
【請求項2】
前記装置が、前記デジタル印刷機(101)と前記コンベア・ライン(107)の間に、前記印刷済加工中製品をスタック状として収集し、前記収集されたスタックを前記コンベア・ライン(107)に供給するように構成されるスタッカー(202)を備え、前記デジタル制御システム(109)が、前記スタッカー(202)と前記デジタル制御システム(109)との間でデジタル制御情報を伝達するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記切断機(104)及び前記スタッカー(202)のうちの少なくとも1つが、前記切断機(104)又は前記スタッカー(202)内で取り扱われる前記印刷済加工中製品から、予め前記デジタル印刷機によって作り出されていた前記個別の識別子を読み取り、識別子読み取り器がどの識別子を読み込んだかについての情報を前記デジタル制御システム(109)に伝達するように構成される、識別子読み取り器(1123、1133)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記デジタル制御システム(109)が、前記システムに含まれる前記識別子読み取り器(1123、1133、1142)から得られた前記情報に従って、前記デジタル印刷機(101)によって作り出されたどの識別子が、前記システムによって取り扱われる前記印刷済加工中製品及び/又はブランク・パッケージから読み込まれたかについての情報を記憶するように構成されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記デジタル制御システム(109)が、前記印刷済加工中製品の取り扱い中に形成されるメタ情報であって、前記デジタル制御システムの前記記憶装置(1104)内で特定の印刷済加工中製品又は加工中製品のバッチに明白に関連するメタ情報を記憶するように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記メタ情報が、前記デジタル印刷機(101)によって作り出された、印刷済加工中製品の印刷の位置合わせに関する情報を含むことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記識別子読み取り器(1123、1133、1142)から受け取った、特定の印刷済加工中製品が前記製造工程全体を通過しなかったことを示す情報に応答して、前記デジタル制御システム(109)が、代わりの印刷済加工中製品を製造するために前記デジタル印刷機(101)を制御するように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記デジタル印刷機(101)と前記切断機(104)の間に、前記印刷済加工中製品を一時的に貯蔵するように構成されるバッファー部を備えることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記デジタル制御システム(109)が、前記切断機(104)のスイッチオフに対する応答として、前記印刷済加工中製品を前記バッファー部に一時的に貯蔵するのを開始させる命令を伝達するように構成され、
前記デジタル制御システム(109)が、前記切断機(104)のスイッチオンに対する応答として、前記バッファー部に前記一時的に貯蔵された、印刷済加工中製品を前方に供給するのを開始させる命令を伝達するように構成されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コンベア・ライン(107)が、分離可能な迅速開放ロッキングによって互いに連結され、デジタル的に制御される、連続した複数のコンベア・モジュール(108)から構成されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記コンベア・ライン(107)の最初のコンベア・モジュールが前記コンベア・ラインに先行する前記機械(202)の内部に浮遊式に配置され、
前記コンベア・ライン(107)の最後のコンベア・モジュールが、前記コンベア・ラインに続く前記機械(104)の内部に浮遊式に配置されることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
各コンベア・モジュール(108)が、運搬されるべき品目を受け取るための、且つ/又は運搬されるべき前記品目を前方に供給するための前記コンベア・モジュール(108)の準備完了に関する情報を他のコンベア・モジュールと交換するように構成されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記デジタル制御システムが、制御コンピュータと、該制御コンピュータ内に含まれ、オーディオ・ファイルを録音及び再生するための一体化された録音再生機器とを備えることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
デジタル印刷機(101)によって印刷済加工中製品(103)を製造するステップと、
前記製造された印刷済加工中製品を前記デジタル印刷機から切断機(104)まで自動的に運搬するステップと
前記印刷済加工中製品からブランク・パッケージ(105)を切断するステップと、
前記デジタル印刷機(101)と制御システム(109)の間及び前記切断機(104)と前記制御システム(109)の間でデジタル制御情報を伝達するステップとを含むことを特徴とする、デジタル制御工程でパッケージを製造する方法。
【請求項15】
前記デジタル印刷機の後の前記印刷済加工中製品の特定の取り扱い段階において、前記デジタル印刷機によって前記印刷済加工中製品上に作り出された識別子が機械的に読み込まれ、どの識別子が読み込まれたかについての情報が前記制御システムに報告されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
特定の印刷済加工中製品が前記製造工程全体を通過しなかったことを示す、前記識別子を機械的に読み込むことによって得られる情報に対する応答として、前記デジタル印刷機が代わりの印刷済加工中製品を製造するように命令されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
印刷済加工中製品の取り扱い中に形成され、デジタル制御システムの記憶装置内に、特定の印刷済加工中製品又は加工中製品のバッチと明白に関連するメタ情報を記憶するステップを含むことを特徴とする、請求項14から16までのいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−518686(P2011−518686A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505544(P2011−505544)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050325
【国際公開番号】WO2009/130393
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(508096585)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050325
【国際公開番号】WO2009/130393
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(508096585)
【Fターム(参考)】
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