説明

デジタル放送受信装置及びプログラム

【課題】テレビ放送の受信出力中に視聴を中断して一時録画するような事態が起きたとしても、現在の記憶容量などの状況下で効果的な録画を実現できるようにする。
【解決手段】高解像度のデジタルテレビ放送を受信する12セグ受信モードと低解像度のデジタルテレビ放送を受信する1セグ受信モードとを切り替え可能なテレビ放送受信部11を有し、CPU1は、12セグ受信モードでのテレビ放送の受信出力中にその視聴を一時中断が指示された際に、12セグ受信モードから1セグ受信モードに切り替えると共に、この1セグ受信モードで受信したテレビ放送の録画を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高解像度のデジタルテレビ放送を受信する第1受信モードと低解像度のデジタルテレビ放送を受信する第2受信モードとを切り替え可能なデジタル放送受信装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地上デジタルテレビ放送では、放送局毎に割り当てられている1チャンネルを13セグメントに分割し、この分割帯域の中の12セグメントを高画質、高音質のハイビジョン放送用(高解像度12セグ放送用)とし、残りの1セグメントを移動体機器用(簡易型低解像度の1セグ放送用)としている。このようなデジタルテレビ放送を受信可能な携帯電話装置としては、例えば、テレビ放送の視聴中において、電話着信時には現在視聴中の放送内容を録画する録画動作を開始し、通話終了時にはその録画を継続しつつ最初から録画内容を逐次再生出力(追っかけ再生)するようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−111004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述の12セグ放送は、視聴には適しているものの高解像度であるが故に、それを録画しようとすると非常に多くの記憶容量が必要となるため、記憶容量の少ない携帯型受信装置では、メモリ残量との関係で12セグ放送を録画することが難しくなる場合がある。従って、上述した先行技術では、例えば、12セグ放送の受信視聴中に電話着信を検出したものとすると、その視聴を一時中断して録画を開始しなければならなくなるが、12セグ放送を一時的に録画する場合であっても、その録画によって記憶容量が直ぐに不足してしまう可能性が高くなる。このことは、電池を電源とする携帯端末装置であっても同様であり、直ぐに電池残量不足になってしまう可能性が高い。
【0004】
この発明の課題は、テレビ放送の受信出力中に視聴を中断して一時録画するような事態が起きたとしても、現在の記憶容量などの状況下で効果的な録画を実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、高解像度のデジタルテレビ放送を受信する第1受信モードと低解像度のデジタルテレビ放送を受信する第2受信モードとを切り替え可能なデジタル放送受信装置であって、前記第1受信モードでのテレビ放送の受信出力中に一時中断が指示されたか否かを判別する判別手段と、この判別手段によって一時中断が指示されたと判別された際に、前記第1受信モードから前記第2受信モードへの切り替えを行う切替手段と、この切替手段によって第2受信モードに切り替えられた際に、当該第2受信モードで受信したテレビ放送の録画動作を開始させる動作制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【0006】
請求項1に従属する発明として、前記切替手段は、デジタルテレビ放送の受信出力中に一時中断が指示されたときの受信モードが第1受信モードであることを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0007】
請求項1に従属する発明として、前記切替手段は、第2受信モードへの切り替えに先立って、第1受信モードで受信していた番組と同一番組を第2受信モードで受信可能であることを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記切替手段は、第2受信モードへの切り替えに先立って、既に録画実行中でないことを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1に従属する発明として、前記切替手段は、第2受信モードへの切り替えに先立って、録画用メモリの空き残量が所定容量以下であることを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1に従属する発明として、前記切替手段は、第2受信モードへの切り替えに先立って、電源電池の残量が所定容量以下であることを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、電話通信手段を更に備え、前記判別手段は、前記第1受信モードでのテレビ放送の受信出力中に前記電話通信手段によって電話着信が検出されたか否かに基づいて前記一時中断が指示されたか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、前記判別手段は、一時中断が指示されたか否かを判別するほか、その一時中断の終了が指示されたか否かを判別し、前記動作制御手段は、前記第2受信モードで受信したテレビ放送の録画中に前記判別手段によって一時中断の終了が指示されたと判別された際に、前記第2受信モードで録画した録画内容の再生動作を開始させる、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項8に従属する発明として、前記動作制御手段は、前記録画内容の再生が終了した際に、前記第2受信モードでの録画動作を終了させ、前記切替手段は、前記第2受信モードでの録画を終了した際に、第2受信モードから第1受信モードへの切り替えを行う、ようにしたことを特徴とする請求項9記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項1に従属する発明として、前記判別手段は、前記第1受信モードでのテレビ放送の受信出力中に一時中断が指示されたか否かを判別するほか、その一時中断の終了が指示されたか否かを判別し、前記動作制御手段は、前記判別手段によって一時中断の終了が指示されたと判別された際に、前記第2受信モードでの録画動作を終了させ、前記切替手段は、前記第2受信モードでの録画を終了した際に、第2受信モードから第1受信モードへの切り替えを行う、ようにしたことを特徴とする請求項10記載の発明であってもよい。
【0015】
また、上述した課題を解決するために請求項11記載の発明は、コンピュータに対して、高解像度のデジタルテレビ放送を受信する第1受信モードでのテレビ放送の受信出力中に一時中断が指示されたか否かを判別する機能と、前記一時中断が指示されたと判別された際に、前記第1受信モードから低解像度のデジタルテレビ放送を受信する第2受信モードに切り替える機能と、前記第2受信モードに切り替えられた際に、当該第2受信モードで受信したテレビ放送の録画を開始動作する機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、テレビ放送の受信出力中に視聴を中断して一時録画する事態が起きたとしても、現在の記憶容量などの状況下で効果的な録画を実現できるほか、ユーザにあっては高解像度によるテレビ視聴中にその視聴をどうしても一時中断しなければならないような状況になっても、一時中断中の放送内容を後で視聴することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1〜図4を参照して本発明の実施形態を説明する。
この実施形態は、デジタル放送受信装置として、デジタル放送受信機能を備えた携帯電話装置に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この携帯電話装置は、例えば、2つの筐体(操作部筐体、表示部筐体)が開閉可能に取り付けられた折り畳み自在なもので、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、テレビ機能、録画機能、再生機能などが備えられている。このテレビ機能は、高解像度のデジタルテレビ放送(12セグ放送)を受信する第1受信モード(12セグ受信モード)と、12セグ放送よりも低解像度のデジタルテレビ放送(1セグ放送)を受信する第2受信モード(1セグ受信モード)との切り替えが可能となっている。なお、録画機能は、テレビ放送を録画する機能であり、再生機能は、その録画内容を再生する機能であり、また、録画とはテレビ映像の記録に限らず、テレビ音声の録音も含む意味である(以下、同様)。
【0018】
CPU1は、二次電池を備えた電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話装置の全体動作を制御する中核的な中央演算処理装置である。記憶部3は、内部メモリであり、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図3及び図4に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納され、また、そのデータ領域には、録画メモリRDなどが設けられている。記録メディア4は、着脱自在な可搬型メモリ(外部メモリ)で、例えば、SDカード、ICカードなどによって構成され、撮影画像などを保存する。なお、録画メモリRDは、記録メディア4としてもよい。メモリ5は、ワーク領域を有する内部メモリであり、必要に応じてメモリ5内の各種のデータは、記憶部3にセーブされる。
【0019】
電話通信部6は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局(図示せず)との間でデータの送受信を行う電話通信手段で、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部7を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを音声信号処理部7から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。
【0020】
操作部8は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、この操作部8には、数値キー、文字キーのほか、着信応答を指示するオフフック釦8a、通話終了を指示するオンフック釦8b、テレビ機能の起動や終了を指示するテレビオン/オフキー8c、テレビ放送の受信出力中にその中断や中断終了を指示する中断/終了キー8dなどが設けられており、CPU1は、操作部8からの入力信号に応じた処理を実行する。表示部9は、例えば、高精細液晶あるいは有機ELを使用し、待受画像、テレビ映像などを表示する。報知部10は、電話やメール着信時に駆動されて着信報知を行う。
【0021】
テレビ放送受信部11は、テレビ局から送信基地局を介して発信された地上波デジタル放送を受信するもので、高解像度のデジタルテレビ放送(12セグ放送)と低解像度のデジタルテレビ放送(1セグ放送)とを受信可能となっている。なお、インターネットラジオのように無線通信網、インターネットを介してデジタル放送をダウンロード受信することもできる。そして、テレビ放送受信部11は、テレビ映像及び音声情報以外にも電子番組表(EPG)なども含めて受信可能なもので、TVアンテナに接続されていて放送信号を抽出する受信部(アナログ回路部)と、受信した放送信号をOFDM(直交周波数分割多重)復調したり、多重化されている放送信号から映像、音声、データ(文字データ)に分離して復号化したり、圧縮データの解凍などを行うデジタル回路部を有している。
【0022】
このテレビ放送受信部11によって受信したテレビ映像データ及び文字データは、表示部9から表示出力され、また、テレビ音声データは、サウンドスピーカ12から音声出力される。CPU1は、12セグ受信モードでの視聴中において、その一時中断が指示された際に、12セグ受信モードから1セグ受信モードに切り替えると共に、この1セグ受信モードで受信したテレビ放送を録画する録画動作を開始し、その後、一時中断の終了が指示された際に、1セグ受信モードで録画した録画内容を再生する再生動作を開始するようにしている。
【0023】
この場合、録画動作を継続しつつその録画内容を最初から逐次再生出力する追っかけ再生(早送り再生)を行うようにしている。ここで、一時中断の指示は、テレビ放送の受信出力中に中断/終了キー8dが操作されたとき、あるいは電話着信が検出されたときに行われる。このようにテレビ放送受信出力中に中断/終了キー8dが操作されたり、電話着信が検出されたりした際に開始される録画動作を、以下、“一時録画”と呼称する。
【0024】
図2は、12セグ放送の受信出力中にその一時中断が指示された際に、それ以降の動作内容を時系列的に説明するための図であり、図2(a)は、放送の受信状況、(b)は、録画状況、(c)は、視聴状況を示している。
図示の例は、12セグ放送を5分間視聴した時点でその一時中断が指示され、その中断状態が5分間続いた場合を示している。この場合、12セグ放送の受信出力中での中断指示に応答して、CPU1は、12セグ受信モードから1セグ受信モードに切り替えるほか、この1セグ受信モードで受信したテレビ放送を一時録画する録画動作が開始させる。
【0025】
そして、この中断状態が5分間続いたのち、その中断終了が指示されると、録画動作を継続しつつその録画内容を最初から逐次再生出力する追っかけ再生を開始する。この場合、追っかけ再生が1.5倍の早送り再生であれば、一時録画を開始した時点から15分が経過した時点、つまり、1セグ放送の録画内容を早送り再生する追っかけ再生を開始してから10分が経過した時点でその録画内容が全て出力(視聴)されたことになるため、この時点で追っかけ再生を終了すると共に、1セグ受信モードから12セグ受信モードに切り替えて元の12セグ放送を視聴可能な状態にする。
【0026】
次に、この実施形態における携帯電話装置の動作概念を図3及び図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。なお、図3、図4は、携帯電話装置の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図3、図4のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0027】
図3は、テレビオン/オフキー8cによってテレビ放送受信部11の起動が指示された際に実行開始されるフローチャートである。
先ず、CPU1は、テレビ放送受信部11が起動すると、前回のテレビ機能の終了時に設定されていた受信モードを今回の受信モードとして選択する処理を行う(ステップA1)。すなわち、前回のテレビ機能の終了時に第1受信モード(12セグ受信モード)が設定されていた場合には、この12セグ受信モードを選択し、第2受信モード(1セグ受信モード)が設定されていた場合には、この1セグ受信モードを選択する。そして、この選択受信モードでチャンネルを指定するが、この場合も前回のテレビ機能の終了時に設定されていたチャンネルを今回のチャンネルとして指定する。
【0028】
このような初期化処理(ステップA1、2)が終わると、テレビ放送受信部11から指定チャンネルの放送番組を受信し、その映像データ、音声データを出力させる受信出力動作を開始したのち(ステップA3)、その受信出力を継続しながら操作待ち状態となる(ステップA4)。いま、何らかの操作が行われると(ステップA4でYES)、それはチャンネルを変更する操作であるか(ステップA5)、受信モードを変更する操作であるか(ステップA6)、テレビ放送の受信出力中にその中断を指示する操作であるか(ステップA7)、テレビ機能の駆動終了を指示する操作であるかを調べる(ステップA8)。
【0029】
いま、チャンネル変更操作が行われたときには(ステップA5でYES)、上述のステップA3に戻り、新たに指定されたチャンネルの放送番組を受信出力させる。また、受信モードの変更操作が行われたときには(ステップA6でYES)、上述のステップA2に戻り、新たに選択された受信モードでチャンネル指定を行う。また、テレビ放送の受信出力中に中断/終了キー8dが操作されてその中断が指示されたときには(ステップA7でYES)、後述するステップA10に移る。また、テレビオン/オフキー8cが操作されてテレビ終了が指示されたときには(ステップA8でYES)、この図3のフロー終了となる。また、その他の操作が行われたときには(ステップA8でNO)、その操作対応の処理として、例えば、音量変更処理などを実行したのち(ステップA9)、上述のステップA4に戻り、操作待ち状態となる。
【0030】
また、上述の一時中断の指示操作に応答して(ステップA7でYES)、1セグ放送を録画(一時録画)するかの要否を問う確認メッセージを表示させる(ステップA10)。ここで、1セグ放送の一時録画を拒否する応答操作が行われたときには(ステップA11でNO)、テレビ放送の出力を停止させる出力OFF処理を実行したのち(ステップA27)、上述の中断終了が指示されるまで待ち状態となるが(ステップA28)、いま、中断/終了キー8dが操作されて中断終了が指示されると(ステップA28でYES)、テレビ放送の出力を再開させる出力ON処理を実行したのち(ステップA25)、上述のステップA4に戻り、操作待ち状態となる。
【0031】
一方、1セグ放送の一時録画の要否を問う確認メッセージが表示されている状態において(ステップA10)、1セグ放送の一時録画を肯定する応答操作が行われたときには(ステップA11でYES)、現在の受信モードは、12セグ受信モードであるかを調べる(ステップA12)。いま、現在の受信モードが12セグ受信モードの場合、つまり、12セグ受信モードでのテレビ放送の受信出力中に一時中断が指示された場合には(ステップA12でYES)、サイマル放送の有無を調べるために1セグ放送の中に同一チャンネルで同一番組が含まれているか、言い換えれば、12セグ放送で視聴されていたチャンネルの番組が1セグ放送でも現在放送中であるかを調べる(ステップA13)。
【0032】
ここで、1セグ放送にサイマル放送が無ければ(ステップA13でNO)、録画不可を示すメッセージを表示させる(ステップA26)。そして、上述の場合と同様に、12セグ放送の出力を停止させる出力OFF処理を実行したのち(ステップA27)、上述の中断終了が指示されるまで待ち状態となる(ステップA28)。また、1セグ放送にサイマル放送が有れば(ステップA13でYES)、12セグ受信モードから1セグ受信モードに切り替えると共に(ステップA14)、テレビ放送の出力を停止させる出力OFF処理を実行する(ステップA15)。
【0033】
そして、12セグ受信モードから1セグ受信モードに切り替えたことを示すために12セグフラグ(図示せず)をセットしたのち(ステップA16)、1セグ受信モードで受信した1セグ放送の一時録画を開始して、その受信内容を録画メモリRDに書き込む(ステップA17)。一方、現在の受信モードが1セグ受信モードであれば(ステップA12でNO)、そのままステップA17に移り、1セグ受信モードで受信した1セグ放送の一時録画を開始する。
【0034】
このようにして録画を開始したのちは、中断/終了キー8dが再び操作されて中断終了が指示されるまで待ち状態となる(ステップA18)。いま、中断終了が指示されると、録画メモリRDの内容を最初から逐次再生出力する追っかけ再生を開始する(ステップA19)。この追っかけ再生中においてCPU1は、現在の再生位置と録画位置とを比較し、再生位置が録画位置に追いついたか否かを監視し(ステップA20)、再生位置が録画位置に追いつくまで録画動作を継続しながら再生動作を続ける。
【0035】
いま、追っかけ再生中に再生位置が録画位置に追いついたときには(ステップA20でYES)、この時点で録画動作の終了を指示すると共に(ステップB21)、その録画内容を削除する(ステップB22)。そして、上述した12セグフラグのセット有無を調べ(ステップA23)、このフラグがセットされていなければ、1セグ放送の出力を中断していた場合であるから、1セグ放送の出力を再開させる出力ON処理を実行するが(ステップA25)、12セグフラグがセットされていれば(ステップA23でYES)、1セグ受信モードから元の12セグ受信モードに切り替えたのち(ステップA24)、12セグ放送の出力を再開させる出力ON処理を実行する(ステップA25)。その後、上述のステップA3に戻り、操作待ち状態となる。
【0036】
図4は、電話着信の割込みに応じて実行開始されるフローチャートである。
先ず、CPU1は、電話通信部6から着信信号を受信すると、報知部10を駆動して着信報知を行う(ステップB1)。ここで、テレビ動作中(テレビ放送受信部11が駆動中)であるかを調べたり(ステップB2)、オフフック釦8aが操作されたかを調べたりするが(ステップB13)、テレビ動作中ではなく(ステップB2でNO)、オフフック釦8aも操作されなければ(ステップB13でNO)、この時点で図4のフローの終了となる。
【0037】
また、オフフック釦8aが操作されたときには(ステップB13でYES)、通話可能状態とする通話処理を実行したのち(ステップB14)、オンフック釦8bの操作待ち状態となる(ステップB15)。ここで、オンフック釦8bが操作されると、回線切断を行ったのち(ステップB16)、上述の一時中断の指示で実行開始される録画(一時録画)中かを調べるが(ステップB17)、いま、テレビ動作中でなければ、一時録画中でもないので(ステップB17でNO)、この時点で図4のフローの終了となる。
【0038】
一方、電話着信時にテレビ動作中であれば(ステップB2でYES)、電話着信に応じてテレビ放送の出力を中断する旨のメッセージを表示させる(ステップB3)。そして、オフフック釦8aの操作有無を調べ(ステップB4)、オフフック釦8aが操作されなければ、この時点で図4のフローの終了となるが、オフフック釦8aが操作されると(ステップB4でYES)、テレビ放送の出力を停止させる出力OFF処理を実行したのち(ステップB5)、既に録画実行中(別途録画中)であるかを調べる(ステップB6)。すなわち、別途録画中とは、上述の一時録画以外の録画を実行中であることを示し、現在視聴中の番組録画あるいは視聴以外の番組(裏番組)の録画を実行中であるかを調べる。いま、別途録画中であれば(ステップB6でYES)、上述のステップB14に移って通話処理を実行するが、別途録画中でなければ(ステップB6でNO)、現在の受信モードは、12セグ受信モードであるかを調べる(ステップB7)。
【0039】
現在の受信モードが12セグ受信モードの場合、つまり、12セグ受信モードでのテレビ放送の受信出力中に着信が検出された場合には(ステップB7でYES)、録画メモリRDの空き残量を検出して、この空き残量は所定容量を超えているかを調べる(ステップB8)。ここで、空き残量が所定容量以下であれば(ステップB8でNO)、12セグ受信モードから1セグ受信モードに切り替えると共に(ステップB10)、12セグ受信モードから1セグ受信モードに切り替えたことを示すために12セグフラグ(図示せず)をセットしたのち(ステップB11)、1セグ放送の一時録画を開始する(ステップB12)。
【0040】
また、録画メモリRDの空き残量が所定容量を超えていて、12セグ放送を録画するのに十分な残量が有れば(ステップB8でYES)、電源部2の電池残量を検出して、この電池残量は所定容量を超えているかを調べる(ステップB9)。ここで、残量が所定容量以下であれば、12セグ受信モードから1セグ受信モードに切り替えると共に(ステップB10)、12セグフラグをセットしたのち(ステップB11)、1セグ放送の一時録画を開始する(ステップB12)。また、電池残量が所定容量を超えて、12セグ放送を録画するのに十分な電池残量が有れば(ステップB9でYES)、12セグ放送の一時録画を開始する(ステップB12)。一方、現在の受信モードが1セグ受信モードであれば(ステップB7でNO)、そのままステップB12に移り、1セグ放送の一時録画を開始する。
【0041】
このようにして一時録画を開始したのちは(ステップB12)、次のステップB14に移り、通話処理を行う。ここで、オンフック釦8aが操作されると(ステップB15でYES)、回線切断を行ったのち(ステップB16)、一時中断指示に応じた一時録画中かを調べるが(ステップB17)、いま、一時録画中でなければ(別途録画中の場合も含む)、この時点で図4のフローの終了となる。また、一時録画中であれば(ステップB17でYES)、一時録画した内容を再生出力させて確認するかを問う確認メッセージを表示させる(ステップB18)。そして、録画内容を再生確認するために追っかけ再生が指示されたかを調べる(ステップB19)。
【0042】
いま、追っかけ再生が指示されたときには(ステップB19でYES)、一時録画を継続しつつその録画内容を1.5倍の速度で追っかけ再生する動作を開始する(ステップB19)。この追っかけ再生中においてCPU1は、現在の再生位置と録画位置とを比較し、再生位置が録画位置に追いついたか否かを監視し(ステップB22)、追いつくまで追っかけ再生を続ける。いま、再生位置が録画位置に追いついたときには(ステップB22でYES)、この時点で録画動作の終了を指示すると共に(ステップB23)、その録画内容を削除する(ステップB24)。そして、12セグフラグがセットされているかを調べ(ステップB25)、セットされていれば、1セグ受信モードから元の12セグ受信モードに切り替えたのち(ステップB26)、12セグ放送の出力を再開させる出力ON処理を実行するが(ステップB27)、12セグフラグがセットされていなければ(ステップB25でNO)、1セグ放送の出力を再開させる出力ON処理を実行する(ステップB27)。
【0043】
また、追っかけ再生が指示されなければ(ステップB19でNO)、録画動作の終了を指示して一時録画を終了させる(ステップB20)。そして、12セグフラグがセットされていれば(ステップB25でYES)、1セグ受信モードから元の12セグ受信モードに切り替えたのち(ステップB26)、12セグ放送の出力を再開させる出力ON処理を実行する(ステップB27)。また、12セグフラグがセットされていなければ(ステップB25でNO)、1セグ放送の出力を再開させる出力ON処理を実行する(ステップB27)。このように再生が指示されなければ、一時録画を終了させたのち、その録画内容は後で視聴されるものとして保存したまま放送出力を開始させる。
【0044】
以上のように、この実施形態においてCPU1は、高解像度のデジタルテレビ放送を受信する12セグ受信モードでのテレビ放送の受信出力中にその視聴を一時中断が指示された際に、低解像度のデジタルテレビ放送を受信する1セグ受信モードに切り替えると共に、この1セグ受信モードで受信したテレビ放送の録画を開始するようにしたので、現在のメモリ残量、電池残量などの状況下で効果的な録画を実現できるほか、ユーザにあっては高解像度によるテレビ視聴中に、その視聴をどうしても一時中断しなければならないような状況になっても、一時中断中での放送内容を後で視聴することができる。
【0045】
テレビ放送の受信出力中に一時中断が指示されたときの受信モードが12セグ受信モードであることを条件に、1セグ受信モードに切り替えるようにしたので、特別な操作を行わなくても受信モードを切り替えることができる。
【0046】
1セグ受信モードへの切り替えに先立って、12セグ受信モードで受信していた番組と同一番組を1セグ受信モードで受信可能であることを条件に、1セグ受信モードに切り替えるようにしたので、受信モードが切り替わっても同一番組を引き続き視聴することができる。
【0047】
1セグ受信モードへの切り替えに先立って、既に録画実行中(別途録画中)でないことを条件に、1セグ受信モードに切り替えるようにしたので、既に実行中の録画への影響を防ぐことができる。
【0048】
1セグ受信モードへの切り替えに先立って、録画メモリRDの空き残量が所定容量以下であることを条件に、1セグ受信モードに切り替えるようにしたので、録画途中での空き残量不足を極力抑えることができる。例えば、12セグ放送を5分間録画するのに必要とされる録画メモリRDの使用容量(MB)は、12セグ放送の符号化レートを20Mbpsとすると、20Mbps÷8×60秒×5分=約750MBとなるのに対して、1セグ放送を5分間録画するのに必要とされる録画メモリRDの使用容量(MB)は、1セグ放送の符号化レートを256kbpsとすると、256bps÷8×60秒×5分=約9.6MBとなり、1セグ放送録画時の使用容量を大幅に削減することができる。
【0049】
1セグ受信モードへの切り替えに先立って、電源電池の残量が所定容量以下であることを条件に、1セグ受信モードに切り替えるようにしたので、録画途中での電池残量不足を極力抑えることができる。
【0050】
12セグ受信モードでのテレビ放送の受信出力中に電話着信が検出されたか否かに基づいて一時中断が指示されたか否かを判別するようにしたので、12セグ放送の視聴中での着信時に、12セグ放送の受信出力を中断して1セグ放送を録画することができる。
【0051】
一時中断の終了が指示された際に、1セグ受信モードで録画した録画内容の再生を開始するようにしたので、中断解除の直後に中断中に放送されていた内容を視聴することができる。
【0052】
録画内容の再生が終了した際に、1セグ受信モードでの録画を終了すると共に、12セグ受信モードに切り替えるようにしたので、再生終了の直後に高音質の放送を視聴することができる。
【0053】
一時中断の終了が指示された際に、1セグ受信モードでの録画を終了すると共に、12セグ受信モードに切り替えるようにしたので、中断解除の直後に現在の放送内容を視聴することができる、中断中の録画内容は後で視聴することができる。
【0054】
なお、上述した実施形態においては、一時中断の指示をテレビ放送の受信出力中に中断/終了キー8dが操作されたとき、あるいは電話着信が検出されたときとしたが、録画メモリRDの空き残量が所定容量以下のメモリ残量不足となったとき、電源電池の残量が所定容量以下の電池残量不足となったときを一時中断の指示としてもよく、このメモリ残量不足、電池残量不足で12セグ受信モードから1セグ受信モードに切り替えて一時録画を行ったのち、既存の録画内容の消去や新たなメモリの追加などによってメモリ残量不足が解消されたり、充電器に接続されて電池残量不足が解消したりしたときに、1セグ受信モードから12セグ受信モードに切り替えるようにしてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態において、追っかけ再生とて1.5倍で再生するようにしたが、その早送り速度は任意であり、また、追っかけ再生にも限らず、再生時には通常の倍速で再生するようにしてもよい。
その他、デジタル放送受信機能を備えた携帯電話装置に限らず、デジタル放送受信機能を備えたパーソナルコンピュータ・PDA(個人用の携帯情報端末)などのほか、デジタルテレビ装置自体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】デジタル放送受信装置として適用したデジタル放送受信機能を備えた携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】12セグ放送の受信出力中にその一時中断が指示された際に、それ以降の動作内容を時系列的に説明するための図で、(a)は、放送の受信状況、(b)は、録画状況、(c)は、視聴状況を示した図。
【図3】テレビオン/オフキー8cによってテレビ放送受信部11の起動が指示された際に実行開始されるフローチャート。
【図4】電話着信の割込みに応じて実行開始されるフローチャート。
【符号の説明】
【0057】
1 CPU
2 電源部
3 記憶部
6 電話通信部
4 記録メディア
8 操作部
9 表示部
10 報知部
11 テレビ放送受信部
12 サウンドスピーカ
8a オフフック釦
8b オンフック釦
8c テレビオン/オフキー
8d 中断/終了キー
RD 録画メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高解像度のデジタルテレビ放送を受信する第1受信モードと低解像度のデジタルテレビ放送を受信する第2受信モードとを切り替え可能なデジタル放送受信装置であって、
前記第1受信モードでのテレビ放送の受信出力中に一時中断が指示されたか否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって一時中断が指示されたと判別された際に、前記第1受信モードから前記第2受信モードへの切り替えを行う切替手段と、
この切替手段によって第2受信モードに切り替えられた際に、当該第2受信モードで受信したテレビ放送の録画動作を開始させる動作制御手段と、
を具備したことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記切替手段は、デジタルテレビ放送の受信出力中に一時中断が指示されたときの受信モードが第1受信モードであることを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記切替手段は、第2受信モードへの切り替えに先立って、第1受信モードで受信していた番組と同一番組を第2受信モードで受信可能であることを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記切替手段は、第2受信モードへの切り替えに先立って、既に録画実行中でないことを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記切替手段は、第2受信モードへの切り替えに先立って、録画用メモリの空き残量が所定容量以下であることを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記切替手段は、第2受信モードへの切り替えに先立って、電源電池の残量が所定容量以下であることを条件に、第2受信モードへの切り替えを行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
電話通信手段を更に備え、
前記判別手段は、前記第1受信モードでのテレビ放送の受信出力中に前記電話通信手段によって電話着信が検出されたか否かに基づいて前記一時中断が指示されたか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項8】
前記判別手段は、一時中断が指示されたか否かを判別するほか、その一時中断の終了が指示されたか否かを判別し、
前記動作制御手段は、前記第2受信モードで受信したテレビ放送の録画中に前記判別手段によって一時中断の終了が指示されたと判別された際に、前記第2受信モードで録画した録画内容の再生動作を開始させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項9】
前記動作制御手段は、前記録画内容の再生が終了した際に、前記第2受信モードでの録画動作を終了させ、
前記切替手段は、前記第2受信モードでの録画を終了した際に、第2受信モードから第1受信モードへの切り替えを行う、
ようにしたことを特徴とする請求項8記載のデジタル放送受信装置。
【請求項10】
前記判別手段は、一時中断が指示されたか否かを判別するほか、その一時中断の終了が指示されたか否かを判別し、
前記動作制御手段は、前記判別手段によって一時中断の終了が指示されたと判別された際に、前記第2受信モードでの録画動作を終了させ、
前記切替手段は、前記第2受信モードでの録画を終了した際に、第2受信モードから第1受信モードへの切り替えを行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項11】
コンピュータに対して、
高解像度のデジタルテレビ放送を受信する第1受信モードでのテレビ放送の受信出力中に一時中断が指示されたか否かを判別する機能と、
前記一時中断が指示されたと判別された際に、前記第1受信モードから低解像度のデジタルテレビ放送を受信する第2受信モードに切り替える機能と、
前記第2受信モードに切り替えられた際に、当該第2受信モードで受信したテレビ放送の録画動作を開始する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−87710(P2010−87710A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252780(P2008−252780)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】