説明

デッキプレート

【課題】強度が強い構造であるというデッキプレートの特性を生かしつつ、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させることにより該断熱材などが割れるのを防止することができ、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができるデッキプレートなどを提供する。
【解決手段】金属板を折り曲げ成形することにより、複数の凸部及び凹部が交互に規則的に配列された折板材11aを備えたデッキプレート10aにおいて、凹部を覆う凹部用蓋12aが設けられていると共に、凹部用蓋12aの蓋上部平面14aは、凸部の上フランジ13a・上フランジ13aと同一平面となるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築、土木、車両、その他の構造物に用いられるデッキプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築、土木、車両、その他の構造物においては、例えば、特許文献1に開示された外壁構造を構成するためのパネルのように、金属板を折り曲げて成形した折板材が広く使われている。
【0003】
特に、屋根板材、屋根下地材及び床板材などに用いられる折板材には、フラット屋根やデッキプレートと呼ばれるものなどがある。
【0004】
図6は、従来のフラット屋根100の構成を示す斜視図である。フラット屋根100は、金属板を折り曲げて成形した折板材であり、図6に示すように、フラット面101a〜101cと、支持部102a〜102cとから構成されるものである。
【0005】
フラット面101a〜101cは、フラット屋根100の上部を構成する平面部(以下「フラットな面」と呼ぶことがある。)である。また、支持部102a〜102cは、フラット屋根100の断面形状がT字を並べたような構造となるように、金属板の一部を織り込んでかしめて形成したものであり、フラット面101a〜101cを支持するためのものである。
【0006】
一方、デッキプレートは、床鋼板とも呼ばれ、強度を保つのに合理的な形状を波付けした広幅帯鋼である。また、デッキプレートは、通常冷間で圧延成形によって加工される。また、デッキプレートは、コンクリートスラブの型枠として、特にサポートが不要なため高層ビルなどに多く利用されている折板材である。デッキプレートの形状には、溝の深いもの、浅いもの、ピッチの大小や特殊な溝のものなど様々な種類のものがある。
【0007】
また、デッキプレートは、日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standard:以下「JIS」と呼ぶ。非特許文献2参照。)における規格番号G3352(2003)の工業規格名でもある。JISによるデッキプレートは、建築、土木、車両、その他の構造物に用いられる冷間成形されたデッキプレートであるとされている。
【0008】
次に、図7(a)・図7(b)に基づき従来のデッキプレート及びそれを用いた屋根下地構造の例について説明する。図7(a)は、従来の屋根下地構造200を説明するための断面図であり、図7(b)は、屋根下地構造200を構成するデッキプレート201の断面形状などを説明するための断面図である。
【0009】
屋根下地構造200は、図7(a)に示すように、複数枚のデッキプレート201a〜201c(図7(a)では、デッキプレート201が3枚の場合を図示している。小文字のアルファベットは、これら3枚のデッキプレートを区別するため便宜上付したものである。)が、一列に互いに連結されて構成されるものである。
【0010】
次に、図7(b)に基づきデッキプレート201の構造について説明する。デッキプレート201の断面形状は、図7(b)に示すように、凸部202、及び凹部203が交互に規則的に配列され、波を描くような構造となっている。このような構造を採用することにより、通常鋼板と比較して、該通常鋼板を成形加工したデッキプレートの強度が高められている。
【0011】
ここで、図7(a)に基づき、デッキプレートの強度特性を規定する各種パラメータついて説明する。高さHは、デッキプレートの高さである。単位幅Bは、デッキプレートの断面形状を形成する一構成単位のデッキプレートの凹凸が隣接する方向に対する幅であり、通常はデッキプレートにおける隣接する凸部間の間隔で与えられる。
【0012】
溝上寸法b1は、隣接する凸部間の距離である。溝下寸法b2は凹部の底面における凹凸が隣接する方向の幅である。表示厚さtは、デッキプレートを構成する金属板の板厚である。有効製品幅Wは、1枚のデッキプレートの凹凸が隣接する方向の全幅である。これらのパラメータを合理的な値に設定することや、デッキプレートを構成する素材の性質などによって、デッキプレートの強度特性が定まる。
【0013】
ところで、図8に示すように、屋根板構造の技術分野においては、断熱効果や防水効果を高めるために、屋根板、或いは屋根下地材の上に断熱板を敷き、さらにその上に防水シートを敷く施工法が多く採られている。
【0014】
図8は、該施工法により断熱・防水効果を高めた従来のデッキプレートを用いた屋根板構造300の概要について説明するための斜視図である。
【0015】
屋根板構造300は、図8に示すように、複数枚のデッキプレートで構成される屋根下地301と、屋根下地301の上部に設けられる断熱板302と、断熱板302の上部に設けられる防水シート303とから構成される。
【0016】
前記施工法による屋根板構造300によれば、断熱材である断熱板302の使用により、その断熱効果を高め、室内で使われるエアコンなどによる空調費を軽減したり、高い省エネ効率を実現することができる。また、防水シート303の使用により、耐候性に優れ、例えば、多雪地帯におけるスガモレに対し優れた防水性を発揮させることが可能である。
【特許文献1】特開2005−336999号公報(平成17年12月8日公開)
【非特許文献1】「日本工業規格(JIS G3352:2003)デッキプレート」,日本工業規格ホームページ,http://www.jisc.go.jp/app/pager?id=16914,2003年改正
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、図8に示す、前記施工法では、まず、屋根下地301の上部に断熱板302を敷設する作業を行った後、断熱板302の上部に防水シート303を敷設する作業が必要である。防水シート303を敷設する作業は、作業者が、断熱板302の上に立って作業を行う必要がある。
【0018】
このため、図8に示す、屋根板構造300のように、凹部及び凸部が存在するデッキプレートを屋根下地301として用いた場合、前記施工法での作業や雪の重さなどにより、断熱板302が割れてしまうという問題点がある。
【0019】
従って、屋根下地301の上面は、できるだけ、フラットな面であることが好ましい。このような観点からは、前記の図6に示した、フラット屋根100のようにフラットな面が広範囲に形成されていることが好ましい。
【0020】
しかしながら、フラット屋根100では、上述のようにフラット面101a〜101cを、通常、金属板を織り込んでかしめて形成した、紙面上における左右方向の断面形状が、幅の狭い略逆T字状の支持部102a〜102cで支持する構造となっており、構造的に強度が弱いという問題点がある。
【0021】
一方、従来のデッキプレートは、上述したように、強度を保つのに合理的な形状として波を描くような構造を採っており、応力に対する耐性を示す物理量としての断面2次モーメントや断面係数などは、フラット屋根100より高い。
【0022】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、強度が強い構造であるというデッキプレートの特性を生かしつつ、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させることにより該断熱材などが割れるのを防止することができ、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができるデッキプレートなどを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明のデッキプレートは、前記課題を解決するために、金属板を折り曲げ成形することにより、複数の凸部及び凹部が交互に規則的に配列された折板材を備えたデッキプレートにおいて、前記凹部を覆う凹部用蓋が設けられていると共に、前記凹部用蓋の蓋上部平面は、前記凸部の凸部上部平面と同一平面となるように形成されていることを特徴としている。
【0024】
前記構成によれば、折板材は、金属板を折り曲げ成形することにより、複数の凸部及び凹部が交互に規則的に配列された構造である。それゆえ、応力に対する耐性を示す物理量としての断面2次モーメントや断面係数などが、前記構造を有していない折板材と比較して高い。よって、強度が強い構造であるというデッキプレートの特性を生かすことができる。
【0025】
なお、JISによれば、この折板材の素材である金属板の例として普通鋼、耐候性鋼、及びステンレス鋼などが例示されているが、これらに限られず、各種金属、各種合金など必要に応じて適宜選択すれば良い。
【0026】
また、デッキプレートは、前記折板材の凹部を覆う凹部用蓋が設けられていると共に、前記凹部用蓋の蓋上部平面は、前記凸部の凸部上部平面と同一平面となるように形成されている。
【0027】
それゆえ、デッキプレートの上面には、凸部上部平面に加えて、該凸部上部平面と同一平面となる凹部用蓋の蓋上部平面が存在することになるので、フラットな面が占める割合が、凹部用蓋の無いデッキプレートと比較して圧倒的に高くなる。したがって、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させることにより該断熱材などが割れるのを防止することができる。また、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができる。
【0028】
なお、凹部用蓋は、溶接などで、取り外せないようにしても良いし、後述するように、取り外し自在としても良い。溶接などで取り外せないようにした場合には、デッキプレートの強度を高めることができ、凹部用蓋が容易にはずれないようにすることができる。
【0029】
以上により、強度が強い構造であるというデッキプレートの特性を生かしつつ、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させることにより該断熱材などが割れるのを防止することができ、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができるデッキプレートを提供することができる。
【0030】
また、本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記凸部上部平面における、前記折板材の凹凸の隣接する方向の幅の、前記凸部上部平面と、前記凹部の凹部下部平面との距離である凸部高さに対する比が、1〜3であることが好ましい。
【0031】
ここで、前記の比が3よりも大きいとデッキプレートにおける凸部の相対的高さは低くなり、荷重により、凹凸が隣接する方向へ凸部が倒れにくくなる。したがって、凹部用蓋を設ける意義がなくなる。このため、折板材が通常鋼板であるとした場合に、前記比は3以下であることが好ましい。
【0032】
一方、前記の比が1よりも小さいと、デッキプレートにおける凸部の相対的高さは高くなるが、1枚の折板材における凹凸の密度が高くなる。この結果、荷重により、凹凸が隣接する方向へ凸部が倒れにくくなる。したがって、この場合も、凹部用蓋を設ける意義がなくなる。したがって、前記比は1以上であることが好ましい。
【0033】
この結果、デッキプレートの強度を実用に耐えうる強度に保ちつつ、荷重によるデッキプレートの凸部の転倒を防止することができる。
【0034】
また、本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記凹部には、前記凹部用蓋を係止させるための凹部係止部が設けられていることが好ましい。
【0035】
また、本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記凹部用蓋には、前記凹部係止部に係止されるための蓋被係止部が設けられていることが好ましい。
【0036】
前記構成によれば、凹部用蓋をデッキプレートの凹部に係止させることができる。それゆえ、デッキプレートから凹部用蓋が容易に外れないようにすることができる。
【0037】
また、本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記凹部用蓋は、前記凹部に押圧状態で嵌合される蓋嵌合部を有していることが好ましい。
【0038】
前記構成によれば、凹部用蓋とデッキプレートの凹部とを嵌合させた場合に、凹部用蓋の蓋嵌合部が押圧状態で嵌合されたときの弾性力を利用することができる。よって、該弾性力により、さらにデッキプレートから凹部用蓋が容易に外れないようにすることができる。また、該弾性力によりデッキプレートにおける凹部用蓋の耐圧特性を高めることもできる。
【0039】
本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記蓋嵌合部における下端部は、前記凹部用蓋で前記凹部を覆った場合に該凹部の底面に当接するように形成されていることが好ましい。
【0040】
前記構成によれば、デッキプレートと凹部用蓋とを嵌合させた場合に、前記蓋嵌合部における下端部が、デッキプレートの凹部の底面に当接する。それゆえ、前記蓋嵌合部における下端部で、凹部用蓋を支持することができる。よって、さらに、デッキプレートにおける凹部用蓋の耐圧特性を高めることができる。
【0041】
本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記凹部用蓋は、取り外し自在であることが好ましい。
【0042】
前記構成によれば、凹部用蓋は、取り外すことができるので、一の凹部用蓋と他の凹部用蓋との交換が可能となる。それゆえ、必要に応じて、所望の構成を備える凹部用蓋を選択して利用することができる。
【0043】
本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記折板材は、隣接する他の折板材と連結可能に設けられていると共に、該折板材の凹凸の隣接する方向に対する一方及び他方の端部のそれぞれには、隣接する他の折板材に連結させるための、一方連結部及び他方連結部が形成されており、前記折板材の一方連結部又は他方連結部のそれぞれに、前記他の折板材における他方連結部又は一方連結部を連結させた場合に、連結凹部が形成されるように、前記一方及び他方の端部は、形成されていると共に、前記連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋が設けられた場合に、前記凸部の凸部上部平面は、前記連結凹部用蓋の蓋上部平面と同一平面となるように形成されていることが好ましい。
【0044】
前記構成によれば、デッキプレートを構成する折板材は、隣接する他の折板材と連結可能に設けられている。また、該折板材の凹凸の隣接する方向に対する一方及び他方の端部のそれぞれには、隣接する他の折板材に連結させるための、一方連結部及び他方連結部が形成されている。それゆえ、複数枚のデッキプレートを連結させることができる。
【0045】
また、デッキプレートを構成する折板材の一方連結部又は他方連結部のそれぞれに、前記他の折板材における他方連結部又は一方連結部を連結させた場合に、連結凹部が形成されるように、前記一方及び他方の端部は、形成されている。さらに、前記連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋が設けられた場合に、前記凸部の凸部上部平面は、前記連結凹部用蓋の蓋上部平面と同一平面となるように形成されている。さらに、連結凹部用蓋は取り外し可能である。
【0046】
それゆえ、複数枚のデッキプレート同士を連結させた後に、連結凹部を連結凹部用蓋で覆うことができるので、施工が容易であり、他方連結部又は一方連結部を連結させた場合の連結部付近に雨水が溜まり、該連結部付近から雨水などが漏れるのを防止することができる。
【0047】
また、本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記連結凹部用蓋における連結凹部への嵌合幅と、前記凹部用蓋における凹部への嵌合幅とは、同一に形成されていることが好ましい。
【0048】
前記構成によれば、凹部用蓋及び連結凹部用蓋は、それぞれ、連結凹部及び凹部に転用させることが可能となる。それゆえ、これらの蓋を別々に生産するという面倒な作業を行う必要がなく、生産効率を高めると共に、生産コストを低減させることができる。
【0049】
また、デッキプレートを構成する折板材の一方連結部又は他方連結部のそれぞれに、前記他の折板材における他方連結部又は一方連結部を連結させた場合に、連結凹部が形成されるように、前記一方及び他方の端部は、形成されている。さらに、前記連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋が設けられた場合に、前記凸部の凸部上部平面は、前記連結凹部用蓋の蓋上部平面と同一平面となるように形成されている。さらに、連結凹部用蓋は取り外し可能である。
【0050】
それゆえ、複数枚のデッキプレート同士を連結させた後に、連結凹部を連結凹部用蓋で覆うことができるので、施工が容易であり、他方連結部又は一方連結部を連結させた場合の連結部付近に雨水が溜まり、該連結部付近から雨水などが漏れるのを防止することができる。
【0051】
また、本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記折板材の一方連結部と、この折板材に隣接する折板材の他方連結部とが互いに掛止されると共に、前記連結凹部用蓋は、前記連結凹部に嵌合される連結凹部用蓋嵌合部を有していることが好ましい。
【0052】
前記構成によれば、折板材の一方連結部と、この折板材に隣接する折板材の他方連結部とが互いに掛止されるようになっている。また、連結凹部用蓋は、前記連結凹部に嵌合される連結凹部用蓋嵌合部を有している。ところで、折板材の一方連結部とこの折板材に隣接する折板材の他方連結部との掛止状態が崩れ、一方連結部と他方連結部との距離が狭まると、連結凹部が掛止されている状態が崩れてしまう。しかしながら、前記構成によれば、連結凹部を覆う、連結凹部用蓋嵌合部を有する連結凹部用蓋を、該連結凹部に嵌合させることにより、前記距離が狭まるのを防止することができる。それゆえ、連結凹部用蓋で、連結凹部を覆うことにより、折板材の一方連結部と、この折板材に隣接する折板材の他方連結部とが互いに掛止されている状態を維持し易くすることができる。
【0053】
また、本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記凹部用蓋に、エンボス加工による加工形状が形成されていることことが好ましい。
【0054】
また、本発明のデッキプレートは、前記構成に加えて、前記凸部平面に、エンボス加工による加工形状が形成されていることが好ましい。
【0055】
前記構成によれば、凸部平面又は凹部用蓋に、エンボス加工による加工形状が形成されている。それゆえ、エンボス加工が施されていないものと比較して、強度を高めることができる。
【0056】
また、本発明のデッキプレートは、前記課題を解決するために、金属板を折り曲げ成形することにより、凸部が1つである折板材を備えたデッキプレートにおいて、該折板材は、隣接する他の折板材と連結可能に設けられていると共に、前記凸部の一方及び他方の端部のそれぞれには、隣接する他の折板材に連結させるための、一方連結部及び他方連結部が形成されており、前記折板材の一方連結部又は他方連結部のそれぞれに、前記他の折板材における他方連結部又は一方連結部を連結させた場合に、連結凹部が形成されるように、前記一方及び他方の端部は、形成されていると共に、前記一方連結部又は他方連結部の少なくとも一方側の連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋が設けられていると共に、前記凸部の凸部上部平面は、前記連結凹部用蓋の蓋上部平面と同一平面となるように形成されていることを特徴としている。
【0057】
前記構成によれば、折板材は、金属板を折り曲げ成形することにより、凸部が1つである構造である。それゆえ、デッキプレート一枚の重量を、凸部が複数ある折板材を備えたデッキプレートよりも小さくでき、運搬性や施工性を良くすることが可能である。
【0058】
また、デッキプレートを構成する該折板材は、隣接する他の折板材と連結可能に設けられている。また、前記凸部の一方及び他方の端部のそれぞれには、隣接する他の折板材に連結させるための、一方連結部及び他方連結部が形成されている。それゆえ、複数枚のデッキプレートを連結させることができる。
【0059】
デッキプレートは、前記一方連結部又は他方連結部の少なくとも一方側の連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋を設けられていると共に、前記凸部の凸部上部平面は、前記連結凹部用蓋の蓋上部平面と同一平面となるように形成されている。
【0060】
それゆえ、デッキプレートの上面には、凸部上部平面に加えて、該凸部上部平面と同一平面となる連結凹部用蓋の蓋上部平面が存在することになるので、フラットな面が占める割合が、連結凹部用蓋の無いデッキプレートと比較して圧倒的に高くなるようにすることができる。
【0061】
また、2以上のデッキプレートを連結させた場合には、連結することによって形成される連結凹部に、取り外し自在の連結凹部用蓋を設けることにより、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させ、該断熱材などが割れるのを防止することができる。よって、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができる。
【発明の効果】
【0062】
本発明のデッキプレートは、以上のように、デッキプレートの凹部を覆う蓋が設けられていると共に、前記蓋の蓋上部平面は、デッキプレートの凸部の凸部上部平面と同一平面となるように形成されているものである。
【0063】
それゆえ、強度が強い構造であるというデッキプレートの特性を生かしつつ、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させることにより該断熱材などが割れるのを防止することができ、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができるデッキプレートを提供することができるという効果を奏する。
【0064】
また、本発明のデッキプレートは、以上のように、金属板を折り曲げ成形することにより、凸部が1つである折板材を備えたデッキプレートにおいて、該折板材は、隣接する他の折板材と連結可能に設けられていると共に、前記凸部の一方及び他方の端部のそれぞれには、隣接する他の折板材に連結させるための、一方連結部及び他方連結部が形成されており、前記折板材の一方連結部又は他方連結部のそれぞれに、前記他の折板材における他方連結部又は一方連結部を連結させた場合に、連結凹部が形成されるように、前記一方及び他方の端部は、形成されていると共に、前記一方連結部又は他方連結部の少なくとも一方側の連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋が設けられていると共に、前記凸部の凸部上部平面は、前記連結凹部用蓋の蓋上部平面と同一平面となるように形成されているものである。
【0065】
以上によれば、折板材は、金属板を折り曲げ成形することにより、凸部が1つである構造である。それゆえ、デッキプレート一枚の重量を、凸部が複数ある折板材を備えたデッキプレートよりも小さくでき、運搬性や施工性を良くすることが可能であるという効果を奏する。
【0066】
また、デッキプレートを構成する該折板材は、隣接する他の折板材と連結可能に設けられている。また、前記凸部の一方及び他方の端部のそれぞれには、隣接する他の折板材に連結させるための、一方連結部及び他方連結部が形成されている。それゆえ、複数枚のデッキプレートを連結させることができるという効果を奏する。
【0067】
また、デッキプレートは、前記一方連結部又は他方連結部の少なくとも一方の連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋を設けられていると共に、前記凸部の凸部上部平面は、前記連結凹部用蓋の蓋上部平面と同一平面となるように形成されている。
【0068】
それゆえ、デッキプレートの上面には、凸部上部平面に加えて、該凸部上部平面と同一平面となる連結凹部用蓋の蓋上部平面が存在することになるので、フラットな面が占める割合が、連結凹部用蓋の無いデッキプレートと比較して圧倒的に高くなるようにすることができるという効果を奏する。また、2以上のデッキプレートを連結させた場合には、連結することによって形成される連結凹部に、取り外し自在の連結凹部用蓋を設けることにより、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させ、該断熱材などが割れるのを防止することができる。よって、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
本発明の一実施形態について図1〜図5(b)に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、上述したように、デッキプレートは日本工業規格となっているが、本発明の適用範囲は前記規格などによって限定されるものではない。
【0070】
〔1.デッキプレートの基本構成について〕
まず、図1及び図2(a)〜図2(c)に基づき本発明の一実施形態であるデッキプレート10a(以下、説明の便宜のため、デッキプレートが複数枚存在している場合には、アルファベットの小文字を付してデッキプレート10a、デッキプレート10bなどと区別して記載する。)の基本構成について説明する。
【0071】
図1は、デッキプレート10a・デッキプレート10bの構成を説明するための斜視図である。また、図2(a)は、デッキプレート10a・デッキプレート10bの断面形状を示す断面図であり、図2(b)は、デッキプレート10aにおける凹部用蓋の一例である凹部用蓋12aの断面形状を示す断面図である。図2(c)は、デッキプレート10a・デッキプレート10bにおける連結凹部用蓋の一例である連結凹部用蓋12bの断面形状を示す断面図である。なお、凹部用蓋12a及び連結凹部用蓋12bは、それぞれ連結凹部用蓋及び凹部用蓋として用いることも可能である。
【0072】
デッキプレート10aは、図1に示すように、折板材11a及び凹部用蓋12aとを備えているものである。なお、上述したように、凹部用蓋12aの替わりに、連結凹部用蓋12bの構成を有する凹部用蓋を備えていても良い。
【0073】
また、JISによれば、この折板材11aの素材である金属板の例として普通鋼、耐候性鋼、及びステンレス鋼などが例示されているが、これらに限られず、各種金属、各種合金など必要に応じて適宜選択すれば良い。また、普通鋼を加工することによって構成されるデッキプレートは圧延したままのものと、めっきを施したものとがあるが、めっきは、普通鋼以外の金属板に施されていても良い。
【0074】
ところで、図1では、デッキプレート10aの凹部(詳細は、以下で説明するが、デッキプレート10aとデッキプレート10bとの連結部が形成する連結凹部は除く。)が1つの場合を示している(凹部用蓋12aが取り付けられている凹部のみ)が、このような場合に限られず、デッキプレート10aの凹部は複数であってもかまわない。
【0075】
折板材11aの断面形状は、図1及び図2(a)に示すように、波形を描くように凸部と凹部とが交互に規則的に配列された構造をしている。折板材11aの凸部の上面は、図2(a)に示すように、通常は平面となっており、JISによれば、一般的なデッキプレートの上フランジに相当する部分であるので、上フランジ(凸部上部平面又は凸部)13a・上フランジ(凸部上部平面又は凸部)13aと呼ぶ。
【0076】
なお、図1に示すように、上フランジ13a・上フランジ13aには、エンボス加工による加工形状(図1の上フランジ13a・上フランジ13a上に、デッキプレート10aにおける凹凸の隣接する方向の、複数の平行線に沿う凹部として形成されている加工形状)が形成されていることが好ましい。これにより、前記加工形状を有していないものと比較して、上フランジ13a・上フランジ13aひいてはデッキプレート10aの強度を高めることができる。
【0077】
また、図2(a)に示すように、折板材11aの凹部の底面も通常は平面となっており、JISによれば、一般的なデッキプレートの下フランジに相当する部分であるので、下フランジ(凹部下部平面,凹部)15aと呼ぶ。なお、図1及び図2(a)に示すように、下フランジ15aの複数箇所に適宜リブ(図1及び図2(a)では、下フランジ15aにおけるデッキプレート10aの凹凸の隣接する方向に対して直交する方向2つの平行線に沿って形成された凸部として示されている。)を設けることが好ましい。これにより、下フランジ15aひいてはデッキプレート10aの強度を高めることができる。
【0078】
さらに、図2(a)に示すように、折板材11aの、隣接する上フランジ13aと下フランジ15aとを繋げる面は、JISによれば、一般的なデッキプレートのウェブに相当する部分であるためウエブ(凹部嵌合部,凸部又は凹部)16a1Rと呼ぶ(以下、説明の便宜のため、凹部又は後述する連結凹部の右にあるウエブには、アルファベットの大文字でRを下付き文字として付し、ウエブ16a1Rなどと呼ぶ。一方、凹部又は連結凹部の左にあるウエブには、アルファベットの大文字でLを下付き文字として付し、ウエブ16(連結凹部嵌合部,連結凹部又は凸部)a1Lなどと呼ぶ。)。
【0079】
言い換えると、デッキプレート10aの折板材11aの断面形状は、上フランジ13a、下フランジ15a、及びウェブ16a1Rを一構成単位として、該単位が繰り返されて波形を描くような構造となっている。
【0080】
こうして、デッキプレート10aの凸部は、上フランジ13a及び上フランジ13aの、デッキプレート10aにおける凹凸の隣接する方向の両端に繋がる2つのウエブ16a1R・ウエブ16a1Lで構成されることになる(凸部)。
【0081】
また、別の観点からは、デッキプレート10aの凹部が、下フランジ15a及び下フランジ15aの、デッキプレート10aにおける凹凸の隣接する方向の両端に繋がる2つのウエブ16a1R・ウエブ(凹部嵌合部,凸部又は凹部)16a2Lで構成されるとも言える(凹部)。
【0082】
凹部用蓋12aは、デッキプレート10aの凹部を覆うものである。凹部用蓋12aは、溶接などで、取り外せないようにしても良いし、後述するように、取り外し自在としても良い。なお、溶接などで取り外せないようにした場合には、デッキプレート10aの強度を高めることができ、凹部用蓋12aが容易にはずれないようにすることができる。また、凹部用蓋12aの蓋上部平面14aは、デッキプレート10aの凸部の上フランジ13a・上フランジ13aと同一平面となるように形成されている。
【0083】
上述のように、デッキプレート10aにおける折板材11aは、金属板を折り曲げ成形することにより、複数の凸部及び凹部が交互に規則的に配列された構造である。それゆえ、応力に対する耐性を示す物理量としての断面2次モーメントや断面係数などが、このような構造を有していない折板材と比較して高い。よって、強度が強い構造であるというデッキプレートの特性を生かすことができる。
【0084】
また、デッキプレート10aには、折板材11aの凹部を覆う凹部用蓋12aが設けられていると共に、凹部用蓋12aの蓋上部平面14aは、デッキプレート10aの凸部の上フランジ13a・上フランジ13aと同一平面となるように形成されている。
【0085】
それゆえ、デッキプレート10aの上面はフラットな面が占める割合が、凹部用蓋の無いデッキプレートと比較して圧倒的に高い。したがって、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させることにより該断熱材などが割れるのを防止することができる。また、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができる。
【0086】
以上により、強度が強い構造であるというデッキプレートの特性を生かしつつ、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させることにより該断熱材などが割れるのを防止することができ、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができるデッキプレート10aを提供することができる。
【0087】
〔2.デッキプレートにおける凹部用蓋の構成の詳細〕
次に、図2(a)〜図2(b)及び図3(a)に基づき、デッキプレート10aにおける凹部を覆うための蓋の例である凹部用蓋12aの構成の詳細について説明する。
【0088】
なお、〔2.デッキプレートにおける凹部用蓋の構成〕の詳細において説明すること以外の構成は、〔1.デッキプレートの基本構成〕と同じである。また、説明の便宜上、〔1.デッキプレートの基本構成〕の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
まず、図2(a)・図2(b)及び図3(a)に基づき、デッキプレート10aにおける凹部用蓋12aの構成について説明する。図2(b)は、凹部用蓋12aの断面形状を示す断面図である。また、図3(a)は、凹部用蓋12aの全体構成の概要を示す斜視図である。
【0090】
凹部用蓋12aは図3(a)に示すような全体構成となっており、図2(b)にも示すように、蓋上部平面14a、及び蓋嵌合部17a・蓋嵌合部17aとから構成されるものである。
【0091】
蓋上部平面14aは、凹部用蓋12aの上部に形成された平面である。なお、蓋上部平面14aは、図3(a)に示すように、複数箇所に、適宜エンボス加工による加工形状(図3(a)の蓋上部平面14a上に、凹部用蓋12aの短手方向の複数の平行線に沿う凹部として形成されている加工形状)が形成されていることが好ましい。これにより、蓋上部平面14aひいては、凹部用蓋12aの強度を高めることができる。
【0092】
蓋嵌合部17a・蓋嵌合部17aは、デッキプレート10aの凹部に対して押圧状態で嵌合される部分である。なお、凹部用蓋12aにおいては、押圧状態は、図2(a)に示すように、ウエブ16a1R・ウエブ(凹部嵌合部,凸部又は凹部)16a2Lに対して、蓋嵌合部17a・蓋嵌合部17aにおける凹部用蓋12aの、短手方向の弾性力によるものとなっている。
【0093】
それゆえ、凹部用蓋12aとデッキプレート10aの凹部とを嵌合させた場合に、凹部用蓋12aの蓋嵌合部17a・蓋嵌合部17aが押圧状態で嵌合されたときの弾性力を利用することができる。よって、該弾性力により、デッキプレート10aから凹部用蓋12aが容易に外れないようにすることができる。また、該弾性力によりデッキプレート10aにおける凹部用蓋12aの耐圧特性を高めることもできる。
【0094】
ところで、デッキプレート10aの凹部には、図2(a)に示すように、凹部用蓋12aを係止させる、ウエブ16a1R・ウエブ16a2Lのそれぞれの一部を突出させた凹部係止部(凹部)18a1R,凹部係止部(凹部)18a2Lが設けられている。
【0095】
一方、図2(b)に示すように、凹部用蓋12aにおける蓋嵌合部17a・蓋嵌合部17aは、下端部をそれぞれS字上・Z字状に湾曲させて形成した蓋被係止部19a,蓋被係止部19aが設けられている。
【0096】
それゆえ、凹部用蓋12aをデッキプレート10aの凹部(ウエブ16a1R・ウエブ16a2L・下フランジ15aで構成される凹部)に係止させることができる。それゆえ、デッキプレートから凹部用蓋12aが容易に外れないようにすることができる。
【0097】
次に、凹部用蓋12aの他の例について説明する。凹部用蓋12aにおける蓋嵌合部17a・蓋嵌合部17aは、詳細は後述するが、図2(a)・図2(c)に示す連結凹部用蓋12bにおける連結凹部用蓋嵌合部17b及び連結凹部用蓋嵌合部17bのように構成しても良い。
【0098】
すなわち、蓋嵌合部17a・蓋嵌合部17aのそれぞれの下端部は、凹部用蓋12aでデッキプレート10aの凹部を覆った場合に、該凹部の底面である下フランジ15aに当接するように形成されていることが好ましい(図示せず)。
【0099】
これにより、、デッキプレート10aと凹部用蓋12aとを嵌合させた場合に、蓋嵌合部17a及び蓋嵌合部17aのそれぞれの下端部がデッキプレート10aの凹部の底面である下フランジ15aに当接する。それゆえ、蓋嵌合部17a・蓋嵌合部17aのそれぞれの下端部で、凹部用蓋12aを支持することができる。よって、さらに、凹部用蓋12aのデッキプレート10aにおける耐圧特性を高めることができる。
【0100】
なお、連結凹部用蓋12bにおける連結凹部への嵌合幅と、凹部用蓋12aにおける凹部への嵌合幅とは、同一に形成されていることが好ましい。
【0101】
これにより、凹部用蓋12a及び連結凹部用蓋12bは、それぞれ、連結凹部及び凹部に転用させることが可能となる。それゆえ、これらの蓋を別々に生産するという面倒な作業を行う必要がなく、生産効率を高めると共に、生産コストを低減させることができる。
【0102】
なお、デッキプレート10aの凹部用蓋12a及び連結凹部用蓋12bは、取り外し自在であることが好ましい。
【0103】
これにより、凹部用蓋12aは、取り外すことができるので、凹部用蓋12aと他の凹部用蓋として例えば、連結凹部用蓋12bとの交換が可能となる。それゆえ、必要に応じて、所望の構成を備える凹部用蓋を選択して利用することができる。
【0104】
〔3.デッキプレートの連結構造及び凸部上部平面における幅の、凸部高さに対する比について〕
つぎに、図4に基づき、デッキプレート10a・デッキプレート10bの連結構造について説明する。図4は、デッキプレート10aの連結構造を説明するための断面図である。図4に示すように、デッキプレート10aを構成する折板材11aは、折板材11aと隣接する、デッキプレート10bを構成する他の折板材11bと連結可能に設けられている。
【0105】
また、折板材11aの連結凹部下フランジ(連結凹部,一方の端部,又は他方の端部)15a・連結凹部下フランジ(連結凹部,一方の端部,又は他方の端部)15aのそれぞれには、折板材11aと隣接する、デッキプレート10bを構成する他の折板材11bなどに連結させるための、左連結部(一方連結部,他方連結部,一方の端部,他方の端部,及び連結凹部)20a及び右連結部(一方連結部,他方連結部,一方の端部,他方の端部,及び連結凹部)20aが形成されている。
【0106】
また、デッキプレート10bの連結凹部下フランジ(連結凹部,一方の端部、又は他方の端部)15bには、左連結部(一方連結部,他方連結部,一方の端部,他方の端部,及び連結凹部)20bが形成されている。それゆえ、デッキプレート10aとデッキプレート10bとを連結させることができる。
【0107】
また、図4では、デッキプレート10aを構成する折板材11aの右連結部20aと、デッキプレート10bを構成する折板材11bの左連結部20bとを連結させて、デッキプレート10aとデッキプレート10bとを連結させた様子を示している。
【0108】
このように、折板材11aの連結凹部下フランジ15a・連結凹部下フランジ15aのそれぞれの端部をS字上に湾曲させて形成した右連結部20a・左連結部20bを連結させることによって、ウエブ(連結凹部嵌合部,連結凹部又は凸部)16a2R、ウエブ(連結凹部嵌合部,連結凹部又は凸部)16b1L、及び連結凹部下フランジ(連結凹部,一方の端部,又は他方の端部)15aで構成される連結凹部が形成される。
【0109】
さらに、前記連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋12bが設けられた場合に、上フランジ13a、上フランジ13a、及び上フランジ13bは、蓋上部平面14bと同一平面となるように形成されている。なお、連結凹部用蓋12bは取り外し可能である。
【0110】
これにより、デッキプレート10aとデッキプレート10bとを連結させた後に、前記連結凹部を連結凹部用蓋12bで覆うことができるので、施工が容易であり、右連結部20aと左連結部20bとを連結させた場合の連結部付近に雨水が溜まり、該連結部付近から雨水などが漏れるのを防止することができる。
【0111】
図4に示すように、右連結部20aと左連結部20bとは、互いに掛止される構造により、連結凹部が形成されている。一方、図2(c)に示すように、連結凹部用蓋12bは、連結凹部に嵌合される連結凹部用蓋嵌合部17b・連結凹部用蓋嵌合部17bを有している。
【0112】
ところで、折板材11aの右連結部20aと折板材11bの左連結部20bとの距離が狭まると、連結凹部が掛止されている状態が壊れてしまう。しかしながら、前記構成によれば、連結凹部を覆う、連結凹部用蓋嵌合部17b・連結凹部用蓋嵌合部17bを有する連結凹部用蓋12bを、該連結凹部と嵌合させることにより、前記距離が狭まるのを防止することができる。それゆえ、連結凹部用蓋12bで、連結凹部を覆うことにより、右連結部20aと左連結部20bとが互いに掛止されている状態を維持し易くすることができる。
【0113】
次に、図4に基づき、デッキプレートの凸部上部平面における幅の、凸部高さに対する比について説明する。図4は、デッキプレート10aの凸部上部平面の幅Aの凸部高さBに対する比を説明するための断面図である。
【0114】
図4に示す凸部上部平面の幅Aは、折板材11aの上フランジ13a又は上フランジ13aのデッキプレート10aの凹凸の隣接する方向の幅である。また、凸部高さBは、上フランジ13a又は上フランジ13aと下フランジ15aとの距離である。このとき、比A/Bは、1〜3の値をとることが好ましい。
【0115】
ここで、比A/Bが3よりも大きいとデッキプレート10aにおける凸部の相対的高さは低くなり、荷重により、凹凸が隣接する方向へ凸部が倒れにくくなる。したがって、凹部用蓋12aを設ける意義がなくなる。このため、折板材11aが通常鋼板であるとした場合に、比A/Bは3以下であることが好ましい。
【0116】
一方、比A/Bが1よりも小さいと、デッキプレート10aにおける凸部の相対的高さは高くなるが、1枚の折板材11aにおける凹凸の密度が高くなる。この結果、荷重により、凹凸が隣接する方向へ凸部が倒れにくくなる。したがって、この場合も、凹部用蓋12aを設ける意義がなくなる。したがって、比A/Bは1以上であることが好ましい。
【0117】
これにより、、デッキプレート10aの強度を実用に耐えうる強度に保ちつつ、荷重によるデッキプレートの凸部の転倒を防止することができる。
【0118】
〔4.凸部が1つであるデッキプレートの例〕
次に、図5(a)・図5(b)に基づき、凸部が1つである場合のデッキプレート10aについて説明する。
【0119】
デッキプレート10aは、図5(a)・図5(b)に示すように、金属板を折り曲げ成形することにより、凸部が1つである折板材11aを備えたものである。それゆえ、デッキプレート10a一枚の重量を、凸部が複数ある折板材を備えたデッキプレートよりも小さくでき、運搬性や施工性を良くすることが可能である。
【0120】
また、デッキプレート10aを構成する折板材11aは、隣接するデッキプレート10bを構成する他の折板材11bと連結可能に設けられている。
【0121】
また、折板材11aの連結凹部下フランジ15a・連結凹部下フランジ15aのそれぞれには、折板材11aと隣接する、デッキプレート10bを構成する他の折板材11bなどに連結させるための、左連結部20a・右連結部20aが形成されている。
【0122】
また、デッキプレート10bの連結凹部下フランジ15bには、左連結部20bが形成されている。それゆえ、デッキプレート10aとデッキプレート10bとを連結させることができる。
【0123】
折板材11aにおける凸部は、凸部の上部における平面である上フランジ(凸部上部平面)13a、ウエブ(連結凹部嵌合部,連結凹部又は凸部)16a及びウエブ(連結凹部嵌合部,連結凹部又は凸部)16aで構成されるものである(凸部)。
【0124】
また、図5(a)では、デッキプレート10aを構成する折板材11aの右連結部20aと、デッキプレート10bを構成する折板材11bの左連結部20bとを連結させて、デッキプレート10aとデッキプレート10bとを連結させた様子を示している。
【0125】
このように、折板材11aの連結凹部下フランジ15a・連結凹部下フランジ15aの端部をそれぞれS字上・鉤爪上に湾曲させて形成した右連結部20a・左連結部20bを連結させることによって、ウエブ16a、ウエブ(連結凹部嵌合部,連結凹部又は凸部)16b、及び連結凹部下フランジ15aで構成される連結凹部が形成される。なお、連結凹部は、連結凹部下フランジ15a側の左連結部20aと他のデッキプレートの右連結部とで形成されていても良い。
【0126】
さらに、前記連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋12bが設けられている場合に、上フランジ13aは、蓋上部平面14bと同一平面となるように形成されている。なお、連結凹部用蓋12bは取り外し可能である。それゆえ、デッキプレート10aの上面には、上フランジ13aに加えて、上フランジ13aと同一平面となる連結凹部用蓋12bの蓋上部平面14bが存在することになるので、フラットな面が占める割合が、連結凹部用蓋12bの無いデッキプレートと比較して圧倒的に高くなるようにすることができる。
【0127】
また、折板材11aと折板材11bとをを連結させた場合には、連結することによって形成される連結凹部に、取り外し自在の連結凹部用蓋12bを設けることにより、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させ、該断熱材などが割れるのを防止することができる。よって、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができる。
【0128】
図5(b)は、デッキプレート10aとデッキプレート10bとによって形成された連結凹部に取り外し自在の連結凹部用蓋12bが設けられている様子を示している。
【0129】
これにより、デッキプレート10aとデッキプレート10bとを連結させた後に、前記連結凹部を連結凹部用蓋12bで覆うことができるので、施工が容易であり、右連結部20aと左連結部20bとを連結させた場合の連結部付近に雨水が溜まり、該連結部付近から雨水などが漏れるのを防止することができる。
【0130】
図5(a)に示すように、右連結部20aと左連結部20bとは、互いに掛止される構造により、連結凹部が形成されている。一方、連結凹部用蓋12bは、連結凹部に嵌合される連結凹部用蓋嵌合部17b・連結凹部用蓋嵌合部17bを有している。
【0131】
ところで、折板材11aの右連結部20aと折板材11bの左連結部20bとの距離が狭まると、連結凹部が掛止されている状態が壊れてしまう。しかしながら、前記構成によれば、連結凹部を覆う、連結凹部用蓋嵌合部17b・連結凹部用蓋嵌合部17bを有する連結凹部用蓋12bを、該連結凹部と嵌合させることにより、前記距離が狭まるのを防止することができる。それゆえ、連結凹部用蓋12bで、連結凹部を覆うことにより、右連結部20aと左連結部20bとが互いに掛止されている状態を維持し易くすることができる。
【0132】
〔5.まとめ〕
以上により、強度が強い構造であるというデッキプレートの特性を生かしつつ、断熱材などを上に載せた場合でも該断熱材などに加わる圧力を分散させることにより該断熱材などが割れるのを防止することができ、施工作業中の作業者や雪の重さなどの荷重に耐え、断熱板や防水シートなどを敷設する作業を容易化することができるデッキプレート10aなどを提供することができる。
【0133】
なお、本発明は、上述したデッキプレートの例に限定されるものではなく、本発明を実施するための最良の形態の欄で説明した技術的手段の範囲内で種々の変更が可能であり、各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、屋根板、屋根下地等の屋根構造物や、床板などの床構造物など、建築、土木、車両、その他の構造物において使用される、金属板を折り曲げて成形した折板材に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明におけるデッキプレートの実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は、前記デッキプレートの断面形状を示す断面図であり、(b)は、前記デッキプレートにおける凹部用蓋の一例の断面形状を示す断面図である。(c)は、本発明におけるデッキプレートにおける連結凹部用蓋の一例を示す断面図である。
【図3】(a)は、前記凹部用蓋の一例を示す斜視図であり、(b)は、前記連結凹部用蓋の一例を示す斜視図である。
【図4】前記デッキプレートの連結構造及び凸部上部平面の幅の凸部高さに対する比を説明するための断面図である。
【図5】(a)は、本発明におけるデッキプレートの他の実施の形態における連結構造を示す断面図であり、(b)は、該連結構造における連結凹部に連結凹部用蓋を設けた場合を示す断面図である。
【図6】従来のフラット屋根を説明するための斜視図である。
【図7】従来のデッキプレートを用いた屋根下地構造を説明するための断面図であり、(b)は、従来のデッキプレートの各部の名称を説明するための断面図である。
【図8】従来のデッキプレート、断熱板、及び防水シートを用いた屋根板構造を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0136】
10a,10b デッキプレート
11a,11b 折板材
12a 凹部用蓋
12b 連結凹部用蓋
13a,13a,13b 上フランジ(凸部上部平面又は凸部)
14a,14b 蓋上部平面
15a 下フランジ(凹部下部平面,凹部)
15a,15a,15b 連結凹部下フランジ(連結凹部,一方の端部又は他方の端部)
16a,16a,16b ウエブ(連結凹部嵌合部,連結凹部又は凸部)
16a1L,16a2R,16b1L ウエブ(連結凹部嵌合部,連結凹部又は凸部)
16a1R,16a2L ウエブ(凹部嵌合部,凸部又は凹部)
17a,17a 蓋嵌合部
17b,17b 連結凹部用蓋嵌合部
18a1R,18a2L 凹部係止部,凹部
18a,18a,18b 連結凹部係止部,連結凹部
18a1L,18a2R,18b1L 連結凹部係止部,連結凹部
19a,19a 蓋被係止部
19b,19b 連結凹部用蓋被係止部
20a,20b 左連結部(一方連結部,他方連結部,一方の端部,他方の端部,及び連結凹部)
20a 右連結部(一方連結部,他方連結部,一方の端部,他方の端部,及び連結凹部)
A 凸部上部平面の幅
B 凸部高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を折り曲げ成形することにより、複数の凸部及び凹部が交互に規則的に配列された折板材を備えたデッキプレートにおいて、
前記凹部を覆う凹部用蓋が設けられていると共に、
前記凹部用蓋の蓋上部平面は、前記凸部の凸部上部平面と同一平面となるように形成されていることを特徴とするデッキプレート。
【請求項2】
前記凸部上部平面における、前記折板材の凹凸の隣接する方向の幅の、前記凸部上部平面と、前記凹部の凹部下部平面との距離である凸部高さに対する比が、1〜3であることを特徴とする請求項1に記載のデッキプレート。
【請求項3】
前記凹部には、前記凹部用蓋を係止させるための凹部係止部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のデッキプレート。
【請求項4】
前記凹部用蓋には、前記凹部係止部に係止されるための蓋被係止部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のデッキプレート。
【請求項5】
前記凹部用蓋は、前記凹部に押圧状態で嵌合される蓋嵌合部を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項6】
前記蓋嵌合部における下端部は、前記凹部用蓋で前記凹部を覆った場合に該凹部の底面に当接するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のデッキプレート。
【請求項7】
前記凹部用蓋は、取り外し自在であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項8】
前記折板材は、隣接する他の折板材と連結可能に設けられていると共に、
該折板材の凹凸の隣接する方向に対する一方及び他方の端部のそれぞれには、隣接する他の折板材に連結させるための、一方連結部及び他方連結部が形成されており、
前記折板材の一方連結部又は他方連結部のそれぞれに、前記他の折板材における他方連結部又は一方連結部を連結させた場合に、連結凹部が形成されるように、前記一方及び他方の端部は、形成されていると共に、
前記連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋が設けられた場合に、
前記凸部の凸部上部平面は、前記連結凹部用蓋の蓋上部平面と同一平面となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項9】
前記連結凹部用蓋における連結凹部への嵌合幅と、前記凹部用蓋における凹部への嵌合幅とは、同一に形成されていることを特徴とする請求項8記載のデッキプレート。
【請求項10】
前記折板材の一方連結部と、この折板材に隣接する折板材の他方連結部とが互いに掛止されると共に、
前記連結凹部用蓋は、前記連結凹部に嵌合される連結凹部用蓋嵌合部を有していることを特徴とする請求項8に記載のデッキプレート。
【請求項11】
前記凹部用蓋に、エンボス加工による加工形状が形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項12】
前記凸部平面に、エンボス加工による加工形状が形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項13】
金属板を折り曲げ成形することにより、凸部が1つである折板材を備えたデッキプレートにおいて、
該折板材は、隣接する他の折板材と連結可能に設けられていると共に、
前記凸部の一方及び他方の端部のそれぞれには、隣接する他の折板材に連結させるための、一方連結部及び他方連結部が形成されており、
前記折板材の一方連結部又は他方連結部のそれぞれに、前記他の折板材における他方連結部又は一方連結部を連結させた場合に、連結凹部が形成されるように、前記一方及び他方の端部は、形成されていると共に、
前記一方連結部又は他方連結部の少なくとも一方側の連結凹部に、該連結凹部を覆う取り外し自在の連結凹部用蓋が設けられていると共に、前記凸部の凸部上部平面は、前記連結凹部用蓋の蓋上部平面と同一平面となるように形成されていることを特徴とするデッキプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−180031(P2008−180031A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15596(P2007−15596)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(598042275)株式会社 セキノ興産 (15)
【Fターム(参考)】