データ中継システム、データ中継方法および中継装置
【課題】遠距離に配置された装置間のデータ中継伝送を単一周波数を用いて行う場合に、伝送区間の途中にある中継装置において、新たな端末の収容を可能とし、中継装置の接続にかかる制約を排除すること。
【解決手段】遠距離に配置された装置間のデータ中継伝送を単一周波数を用いて行う場合に、伝送区間の途中にある中継装置において、新たな端末の収容を可能とし、中継装置の接続にかかる制約を排除する。Master10と、Master10に時分割多元接続され、Master10側から発出されたデータおよびMaster10側に向かうデータを単一周波数(周波数F1)の信号を用いて中継するREP20,30と、REP20,30に時分割多元接続されるSlave21,22,31〜33と、を備え、REP20,30は、自身に時分割多元接続されるSlave21,22,31〜33のMasterとして動作する。
【解決手段】遠距離に配置された装置間のデータ中継伝送を単一周波数を用いて行う場合に、伝送区間の途中にある中継装置において、新たな端末の収容を可能とし、中継装置の接続にかかる制約を排除する。Master10と、Master10に時分割多元接続され、Master10側から発出されたデータおよびMaster10側に向かうデータを単一周波数(周波数F1)の信号を用いて中継するREP20,30と、REP20,30に時分割多元接続されるSlave21,22,31〜33と、を備え、REP20,30は、自身に時分割多元接続されるSlave21,22,31〜33のMasterとして動作する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠距離に配置された装置間のデータ中継を行うデータ中継システム、データ中継方法および中継装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メディアアクセス制御(MAC:Media Access Control)の一方式として時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)がある。このTDMAは、親局(Master)装置と複数の子局(Slave)装置との間で通信を行う場合のアクセス制御方式であり、メディア(通信ケーブル、無線、電力線など)に対するアクセスが時分割で行われることと、複数のSlave装置を効率よく収容できるという特徴がある。
【0003】
ただし、TDMAは、Master装置とSlave装置との間の通信であり、遠距離の通信を行う目的で、例えば、これらの装置間を光ファイバで接続した場合には、遠距離での通信が可能となる。一方、例えば無線や電力線を使用した場合には、信号の減衰が光ファイバに比べて遙かに大きいので、遠距離に配置されたMaster装置とSlave装置との間で所望の通信を行うためには、信号の中継伝送が必須となる。
【0004】
従来、無線を利用したデータ中継方式として、例えば、異なる周波数を用いて中継する中継方法が存在する。しかしながら、無線を利用するデータ中継方式であっても、例えば無線LANのように限られた周波数チャネルしか使用できない場合には、同一周波数が割り当てられたノード間の距離を十分に離間することができないため、データ中継に伴う干渉の発生を抑止することが困難となる。
【0005】
一方、単一周波数を用いた場合であっても、ノード間の通信を間欠的に行うことで、干渉の発生を防止したデータ中継方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−143046号公報(第4頁〜6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1などの従来技術では、中継伝送に直接的に関係する装置間同士によるデータ中継のみが考慮されているだけであり、中継伝送に直接的に関係しない他の装置が保有するデータの中継については全く考慮されていない。例えば、インターネットへのアクセスサービスを提供する場合、一般家庭のユーザ端末を収容しながら、これらのユーザ端末のデータを局舎まで中継するような伝送形態を考えるとき、中継装置で新たな複数のユーザを収容しながら中継することが望ましいが、従来技術のような中継装置に対する考え方では、伝送区間の途中にある中継装置において、新たな端末を収容することができないという課題があった。
【0008】
また、従来技術では、中継装置が一列に並んだ場合のみを対象としているため、例えば中継装置が並列に並んで配列されているような場合や、中継装置が分岐して配列されているような場合には、上述のような中継手法をそのまま適用することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、遠距離に配置された装置間のデータ中継伝送を単一周波数を用いて行う場合に、伝送区間の途中にある中継装置において、新たな端末の収容を可能とし、中継装置の接続にかかる制約を排除したデータ中継方法、データ中継システムおよび中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかるデータ中継システムは、親局装置と、前記親局装置に時分割多元接続され、該親局装置側から発出されたデータおよび該親局装置側に向かうデータを単一周波数の信号を用いて中継する1〜複数の中継装置と、少なくとも前記中継装置に時分割多元接続される子局装置と、を備え、前記中継装置は、自身に時分割多元接続される子局装置の親局として動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるデータ中継システムによれば、親局装置に時分割多元接続され、親局装置側から発出されたデータおよび親局装置側に向かうデータを単一周波数の信号を用いて中継する中継装置が、時分割多元接続される子局装置の親局として動作するので、中継装置において、新たな端末の収容が可能となる。また、例えば中継装置が一列に並んだ場合にしか適用できないといった、中継装置の接続にかかる従来の制約を排除することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかるデータ中継システムの接続構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示したデータ中継システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【図3】図3は、図2に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【図5】図5は、図4に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態4にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【図7】図7は、図6に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態5にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【図9】図9は、図8に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図10】図10は、各装置が動作周期内でMaster動作またはSlave動作を行う動作タイミングを示したテーブルである。
【図11】図11は、新動作テーブルへの切り替え動作を示すシーケンス図である。
【図12】図12は、本発明のデータ中継システムにおける構成変更の一例(REP追加)を示す図である。
【図13】図13は、システムの構成に変更があった場合の新パラメータへの切り替え動作を示すシーケンス図である。
【図14】図14は、中継器を有さない装置間通信を説明する図である。
【図15】図15は、中継器を介在させ、複数周波数を用いた中継伝送を説明する図である。
【図16】図16は、中継伝送における干渉の問題を説明するための図である。
【図17】図17は、中継器が一般家庭のユーザ端末を収容する概念を示す図である。
【図18】図18は、一般家庭のユーザ端末を収容する中継器が親局から分岐接続されている場合の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施の形態にかかるデータ中継方法およびデータ中継システムを説明する前に、まず、上記において提起した3つの問題点、すなわち(1)中継伝送にかかる干渉の問題、(2)中継器における端末収容の問題、(3)中継器の接続構成にかかる制約の問題について図14〜図18を参照して説明する。
【0014】
(中継伝送にかかる干渉の問題)
まず、図14に示すように、装置101と装置102との間の距離が遠すぎる場合、これらの装置だけでは、通信データを伝送することができない。そこで、図15に示すように、装置101と装置102との間に幾つかの中継器(同図の例では、中継器103〜105)を介在させるとともに、装置と中継器あるいは中継器間で行われる通信の干渉を防止するために、異なる周波数を用いた中継伝送が行われる。
【0015】
しかしながら、無線LANのように限られた周波数チャネルしか使えない場合、ある周波数が割り当てられた区間のノードと、この周波数と同一の周波数が割り当てられた他の区間のノードとの距離を十分に離間させることができないために干渉が発生する場合がある。例えば、図15において、周波数が3個しか使用できない場合、周波数Aと周波数Dは同一周波数とせざるを得ない。
【0016】
ところが、周波数Aを使用している図15の左側の装置101と、周波数D(=A)を使用している同図の右側の装置102との間では、相互に干渉が発生する可能性がある。このことは、図16に示すように、隣接装置同士間では送受信を行うために十分なレベルの信号が届くが、それ以上に距離が離れると、送受信を行うためのレベル以下に信号が減衰するものの、雑音として影響を与えないレベルまでには達していないことに起因するものである。
【0017】
例えば、図16に示すように、装置101は周波数Aを用いて中継器103と通信し、中継器105も周波数Aを用いて装置102と通信しているとする。このとき、中継器103が周波数Aで装置101に向けて送信するとき、逆方向にもその信号が届く。すなわち、中継器103の送信信号は、中継器105の位置では雑音として影響を与えるレベルで到達する。このとき中継器105が装置102からの信号を受信しようとしていたとすると、装置102からの信号と中継器103からの信号とが干渉してしまい、正常に受信できなくなる。
【0018】
(中継装置における端末収容の問題)
例えば、インターネットへのアクセスサービスを提供する場合、図17に示すように、親局10aのデータを中継する中継器20a,30a,40aにおいて、一般家庭のユーザ端末21a〜23a、ユーザ端末31a,32a、ユーザ端末41a〜43aをそれぞれ収容し、かつ、これらのユーザ端末のデータを局舎まで中継することが望ましい形態である。しかしながら、従来技術は、図15に示すような2つの装置101、102間の通信データを中継することが考慮されているだけであり、中継伝送に直接的に関係しない他の装置間の通信データを中継することが想定されていない。したがって、従来技術では、図17に示すような、接続形態を採ることができない。
【0019】
(中継器の接続構成にかかる制約)
また、従来技術は、図17に示すような中継器が一列に並んだ場合のみを対象としているため、例えば、図18に示すような、親局10aに2つの中継器20a,50aが接続されるような、ネットワーク構成に分岐がある場合に対応することができない。
【0020】
本願発明者は、上述のような3つの問題点に着目し、これらの問題点を克服することができるデータ中継システムおよびデータ中継方法を発案するに至った。そこで、以下に、本発明にかかるデータ中継システムおよびデータ中継方法の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す各実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0021】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるデータ中継システムの接続構成を示す図である。また、図2は、図1に示したデータ中継システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【0022】
(システムの構成)
図1および図2において、本実施の形態にかかるデータ中継システムは、Master装置(以下「Master」と表記)、Repeater装置(以下「REP」と表記)およびSlave装置(以下「Slave」と表記)を備えて構成される。ここで、Master10は、TDMAにおける親局装置であり、Slave11,12は、Master10に接続された子局装置である。また、REP20,30は、TDMAにおける中継装置であり、Slave21,22,31〜33は、各REPにそれぞれ接続された子局装置である。なお、これらの各図では、Slaveの台数をMasterあたり2台、REPあたり2台または3台として設定しているが、TDMAにおけるSlave収容可能台数までのSlave台数を接続することが可能である。また、接続される接続台数が増加したとしても、以下に説明する動作が変更されることはない。
【0023】
(システムの動作)
つぎに、本実施の形態にかかるデータ中継システムの動作について説明する。なお、図2の全ての装置は、単一周波数F1で動作するものとする。また、干渉の発生を回避するため、全ての装置がTDMAにおける3フレーム時間おきに動作するものとする。また、これらの3フレーム(時間)を、それぞれ、時刻1、時刻2および時刻3として表記する。
【0024】
図2に示すように、Master10、Slave11,12およびREP20は時刻1のときに動作し、REP20、Slave21,22およびREP30は時刻2のときに動作し、REP30およびSlave31〜33は時刻3のときに動作する。また、以後、時刻1〜時刻3の動作が繰り返し実行される。
【0025】
図3は、図2に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。なお、以下の説明において、「Master動作」とは、Master装置として機能するときの動作を指すときに使用し、「Slave動作」とは、Slave装置として機能するときの動作を指すときに使用する。
【0026】
図3において、
(1)時刻1では、Master10はMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20はSlave動作を行う。
(2)時刻2では、REP20はMaster動作を行い、Slave21,22およびREP30はSlave動作を行う。
(3)時刻3では、REP30はMaster動作を行い、Slave31〜33はSlave動作をそれぞれ行う。
(4)時刻4以降は、時刻1〜3までの動作が繰り返し実行される。
【0027】
上述のように、この実施の形態のデータ中継方法(中継システム)では、TDMAにおけるMaster/Slaveの各組ごとに動作時間を時分割しているので、単一周波数を使用した場合であっても、相互に干渉することはない。
【0028】
また、それぞれのMaster、Slaveは、TDMAにおける通常のMaster動作またはSlave動作を行う一方で、自装置が動作する時刻以外は動作休止を行えばよい。したがって、特別な追加機能は不要である。
【0029】
また、REPは、Slave動作とMaster動作の両方を行う必要があるが、同時に動作することはなく、ある時間はSlave動作、ある時間はMaster動作と、片方だけの動作を行えばよい。
【0030】
さらに、REPは、Master動作するときに下位の装置(下位のSlaveおよび/または下位のREP)にそのデータを送信するとともに、当該下位の装置から受信したデータを保持すればよい。一方、Slave動作をするときに上位の装置(Master、あるいは上位のREP)から受信したデータを保持するとともに、当該上位の装置にそのデータを送信すればよい。REPは、これらの処理に基づいてデータの両方向の中継を行うことができる。
【0031】
(各装置におけるタイミング認識処理)
つぎに、各装置が動作するタイミングの認識処理について図3を参照して説明する。
【0032】
まず、Master、Slave、REPの3種類の全装置に対して、以下のパラメータが設定される。
(1)装置種別(Master、Slave、REPのいずれかを設定)
(2)動作周期
【0033】
また、装置種別に応じて、以下のパラメータが設定される。
(1)Master:自装置のMACアドレス
(2)Slave:MasterのMACアドレス
(3)REP:MasterのMACアドレスおよび自装置のMACアドレス
なお、動作周期はMasterおよびREPの合計台数である。
上記のパラメータが設定されると、以下のように各装置が動作可能となる。
【0034】
(Masterの動作)
Masterは、立ち上げ時に任意のタイミングでMaster動作を開始する。以後、パラメータとして設定された「動作周期」間隔で、Masterとして動作する。なお、Masterとして動作する時間以外は動作を休止する(図3のMaster(10)の欄参照)。なお、本実施の形態にかかるMasterは、TDMAのMasterであるため、フレーム先頭を示す信号(以下「ビーコン(Beacon)」と呼称)がフレームの先頭に挿入されて送信される。また、ビーコンには、自装置のMACアドレスが挿入されるものとする。
【0035】
(Slaveの動作)
Slaveは、自装置が保持する「MasterのMACアドレス」と一致するMACアドレスが含まれるビーコンを探査する。所望のビーコンを受信できると、ビーコンを受信したフレーム時間にSlaveとして動作し、以後「動作周期」間隔でSlaveとして動作する。その他の時間は動作を休止する(図3のSlave欄参照)。
【0036】
(REPの動作)
REPは、上記したSlaveの動作と同様に、ビーコンを探査して所望のビーコン(ビーコンに含まれるMACアドレスが、自身の保有する「MasterのMACアドレス」と一致する)を確認することができると、「動作周期」間隔でSlaveとして動作を開始する。そして、Slaveとして動作した次のフレーム時間でMasterとしての動作を行う。なお、Master動作を行う際には、ビーコンに自装置のMACアドレスを入れて送信する(図3のREP欄参照)。
【0037】
以上のように、通常のTDMAの動作の仕組みを持った各装置に、装置種別、動作周期、MACアドレスのパラメータを設定することで、Master動作、Slave動作、休止動作の各動作時刻を各装置自身によって自律的に決定することができるので、干渉を生じさせることのないTDMAによる中継伝送を単一周波数を用いて実現することができる。
【0038】
また、単一周波数の信号を用いて中継伝送するREPにおいて、新たな端末の収容が可能となる。さらに、例えばREPが一列に並んだ場合にしか適用できないといった、REPの接続にかかる従来の制約を排除することもできる。
【0039】
なお、上記の動作において、ビーコンの誤検出を回避する観点から、所望のビーコンを動作周期間隔で連続して受信できることの確認を行った後に、Slave動作を開始することが好ましい。
【0040】
また、上記の説明では、ビーコンの識別のためにMasterのMACアドレスを予めビーコンに含めるものとしたが、複数種類のビーコンをあらかじめ定義しておき、MasterのMACアドレスの代わりにビーコン番号をMaster、Slave、REPに設定し、Masterは設定された番号のビーコンを送信し、SlaveとREPはSlave動作時に、設定された番号のビーコンを探査することで代替してもよい。このようにすれば、ビーコンにMACアドレスを入れて送信する必要はない。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1では、動作周期をパラメータとして各装置に予め設定するとしたが、Masterが送信するビーコンに動作周期の情報も含ませるようにしてもよい。この場合、SlaveまたはREPがビーコンを受信する際、ビーコンからMasterのMACアドレスおよび動作周期を取り出すことにより、SlaveおよびREPが動作周期を認識することができる。なお、REPの場合には、REP自身がMaster動作する際に、受信した動作周期を含ませたビーコンを送信すればよい。
【0042】
このように、Master動作する装置が、動作周期を含ませたビーコンを送信することにより、動作周期のパラメータをMasterだけに設定すればよいので、設定が簡易になるという効果が得られる。
【0043】
実施の形態3.
(システムの構成)
図4は、本発明の実施の形態3にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。同図に示すデータ中継システムは、図2に示した実施の形態1の構成と比較すると、Masterに2つのREP(20,50)が接続されており、REPが並列に並んで配列されている点が本質的な相違点である。
【0044】
(システムの動作)
つぎに、本実施の形態にかかるデータ中継システムの動作について図4および図5を参照して説明する。ここで、図5は、図4に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。なお、図4の全ての装置は、実施の形態1と同様に、単一周波数F1で動作し、動作周期のパラメータが各装置に設定されているものとする。また、本実施の形態における動作周期の考え方は、実施の形態1と同様であり、具体的には、MasterおよびREPの合計台数である「6」が設定される。
【0045】
図5において、
(1)時刻1では、Master10がMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20,50がSlave動作を行う。
(2)時刻2では、REP20がMaster動作を行い、Slave21,22およびREP30がSlave動作を行う。
(3)時刻3では、REP30がMaster動作を行い、Slave31,32およびREP40がSlave動作を行う。
(4)時刻4では、REP40がMaster動作を行い、Slave41,42がSlave動作を行う。
(5)時刻5では、REP50がMaster動作を行い、Slave51,52およびREP60がSlave動作を行う。
(5)時刻6では、REP60がMaster動作を行い、Slave61,62がSlave動作を行う。
(6)時刻7以降は、時刻1〜6までの動作が繰り返し実行される。
【0046】
図5および上記の説明から明らかなように、REP50の動作が、図3の場合と異なる。すなわち、図3の場合は、Slave動作を行った全てのREPは、次のフレーム時間でMaster動作を行っていた。これに対し、図5の場合では、REP20,30,40,60は同様にSlave動作を行った後、次のフレーム時間でMaster動作を行っているが、RTEP装置50はSlave動作を行った後、3フレーム時間だけ休止してからMaster動作を行っている。これは、図4に示すようにREPの分岐に伴って行われる必須の動作である。
【0047】
(各装置におけるタイミング認識処理)
つぎに、各装置が動作するタイミングの認識処理について図5を参照して説明する。
【0048】
まず、実施の形態1と同様に、Master、Slave、REPの3種類の全装置に対して、装置種別、動作周期のパラメータが設定される。
また、装置種別に応じて、以下のパラメータも設定される。
(1)Master:自装置のMACアドレス
(2)Slave:MasterのMACアドレス
(3)REP:MasterのMACアドレス、自装置のMACアドレスおよび切り替え遅延
なお、動作周期は、上述のように「6」が設定される。
【0049】
一方、この実施の形態では、「切り替え遅延」というパラメータが設定される。この切り替え遅延は、REPにおいて、Slaveとして動作してからMasterとして動作するまでのフレーム時間である。図5の例では、REP20,30,40,60はSlave動作後、直ちにMaster動作しているため、切り替え遅延=0である。一方、REP50は、Slave動作後、3フレーム休止してからMaster動作しているため、切り替え遅延=3である。
【0050】
MasterおよびSlaveにおける動作タイミングの決定は、実施の形態1と同一である。なお、MasterおよびSlaveは、動作周期毎に一度、Master動作あるいはSlave動作のいずれかの動作を動作周期間隔で実行する。
【0051】
また、REPにおけるSlave動作のタイミングは、実施の形態1と同様に所望のビーコンを受信したフレーム時間から「動作周期」間隔で動作する。一方、REPにおけるMaster動作のタイミングは、Slave動作したフレーム時間から「切り替え遅延」に基づいて決まるフレーム時間後にMaster動作を行う。
【0052】
つぎに、「切り替え遅延」の値の決定手法について説明する。Master、REPのMaster動作する時刻が、例えば図4に示すように決定されると、REPがSlave動作する時刻(=TS)とMaster動作する時刻(=TM)が決まる。このとき、切り替え遅延は以下の式で求められる。
【0053】
切り替え遅延=TM−TS−1
【0054】
例えば、REP20は、TM=2、TS=1であるため、切り替え遅延=2−1−1=0となる。
一方、REP50はTM=5、TS=1であるため、切り替え遅延=5−1−1=3となる。
【0055】
以上のように、この実施の形態では、通常のTDMAの動作の仕組みを持った各装置に、装置種別、動作周期、MACアドレスおよび切り替え遅延のパラメータを設定するようにしているので、ネットワーク構成に中継装置の分岐部が存在する場合であっても、Master動作、Slave動作、休止動作の各動作時刻を各装置自身によって自律的に決定することができ、干渉の発生を抑止したTDMAによるデータ中継を実現することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、動作周期および切り替え遅延のパラメータを各装置に予め設定するとしたが、Masterが送信するビーコンに動作周期および切り替え遅延のパラメータを含ませるようにしてもよい。
【0057】
実施の形態4.
(システムの構成)
図6は、本発明の実施の形態4にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。同図に示すデータ中継システムは、図4に示した実施の形態2の構成と装置構成(トポロジ)は同一であるが、REP30、Slave21,22を収容するREP20と、Slave61,62を収容するREP60とが干渉を生じさせない距離以上に離間されて配置されている場合を想定している。また、REP60、Slave51,52を収容するREP50と、Slave41,42を収容するREP40との間も、干渉を生じさせない距離以上に離間されて配置されている場合を想定している。
【0058】
(システムの動作)
つぎに、本実施の形態にかかるデータ中継システムの動作について図6および図7を参照して説明する。ここで、図7は、図6に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。なお、図6の全ての装置は、実施の形態1と同様に、単一周波数F1で動作し、動作周期のパラメータが各装置に設定されているものとする。一方、本実施の形態における動作周期は、実施の形態3とは異なり、MasterおよびREPの合計台数である「6」ではなく、「4」が設定されている。
【0059】
図7において、
(1)時刻1では、Master10がMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20,50がSlave動作を行う。
(2)時刻2では、REP20がMaster動作を行い、Slave21,22およびREP30がSlave動作を行う。さらに、REP60がMaster動作を行い、Slave61,62がSlave動作を行う。
(3)時刻3では、REP30がMaster動作を行い、Slave31,32およびREP40がSlave動作を行う。
(4)時刻4では、REP40がMaster動作を行い、Slave41,42がSlave動作を行う。さらに、REP50がMaster動作を行い、Slave51,52およびREP60がSlave動作を行う。
(5)時刻5以降は、時刻1〜4までの動作が繰り返し実行される。
【0060】
動作周期は各装置共に「4」が設定される。一方、REPにおける切り替え遅延は、以下のように決定される。
(1)REP20,30,40:切り替え遅延=0
(2)REP50:切り替え遅延=2
(3)REP60:切り替え遅延=1
【0061】
図6に示す構成は、同一時刻に動作させても干渉が生起しないREP同士の組合せが存在する場合の一例を示したものであり、このような構成の場合には、動作周期をMasterおよびREPの合計台数よりも減らすことができる。その結果、実施の形態3と同一の構成(トポロジー)であっても、動作周期を実施の形態3よりも短くすることができ、データを中継する際の遅延時間を短縮することができる。
【0062】
なお、動作タイミングの決定に必要なパラメータは、実施の形態3と同様に、動作周期および切り替え遅延だけでよい。したがって、動作周期および切り替え遅延のパラメータを設定することで、Master動作、Slave動作、休止動作の各動作時刻を各装置自身によって自律的に決定することができ、干渉の発生を抑止したTDMAによるデータ中継を実現することができる。また、干渉の可能性のないREP同士を同時刻に動作させるようにしているので、実施の形態3の場合よりも動作周期を短くすることができ、遅延時間の短縮化が可能となる。
【0063】
実施の形態5.
(システムの構成)
図8は、本発明の実施の形態5にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。ところで、これまでに説明した各実施の形態では、動作周期内に1回のみのMaster動作あるいはSlave動作がある場合について詳述してきた。一方、本実施の形態では、2回以上のMaster動作あるいはSlave動作を行う装置が含まれる場合のデータ中継方法を提供するものである。なお、この手法により、例えば収容されるSlaveが多いSlave、あるいは高スループットを実現したいSlaveの動作頻度を上げることが可能となる。
【0064】
(システムの動作)
つぎに、本実施の形態にかかるデータ中継システムの動作について図8および図9を参照して説明する。ここで、図9は、図8に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。なお、図8の全ての装置は、実施の形態1と同様に、単一周波数F1で動作し、動作周期のパラメータが各装置に設定されているものとする。一方、本実施の形態における動作周期は、実施の形態1,2、あるいは実施の形態3とも異なり、「8」が設定されている。
【0065】
図9において、
(1)時刻1では、Master10がMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20,40がSlave動作を行う。
(2)時刻2では、REP20がMaster動作を行い、Slave21〜25、REP30がSlave動作を行う。
(3)時刻3では、REP30がMaster動作を行い、Slave31〜33がSlave動作を行う。
(4)時刻4では、REP40がMaster動作を行い、Slave41がSlave動作を行う。
(5)時刻5では、REP20がMaster動作を行い、Slave21〜25、REP30がSlave動作を行う。
(6)時刻6では、REP30がMaster動作を行い、Slave31〜33がSlave動作を行う。
(7)時刻7では、Master10がMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20,40がSlave動作を行う。
(8)時刻8では、REP20がMaster動作を行い、Slave21〜25、REP30がSlave動作を行う。
(9)時刻9以降は、時刻1〜8の動作が繰り返し実行される。
【0066】
なお、上述のように本実施の形態の動作周期は「8」であり、MasterとREPの合計台数より大きな値に設定されている。このため、Master10は1動作周期内で2回のMaster動作を実行し、REP20は1動作周期内で3回のMaster動作を実行し、REP30は1動作周期内で2回のMaster動作を実行し、REP40は1動作周期内で1回のMaster動作を実行する。
【0067】
(各装置におけるタイミング認識処理)
つぎに、各装置が動作するタイミングの認識処理について図9および図10を参照して説明する。ここで、図10は、各装置が動作周期内でMaster動作またはSlave動作を行う動作タイミングが示されているテーブルである。
【0068】
まず、Master、Slave、REPの3種類の全装置に対して、以下のパラメータが設定される。
(1)装置種別(Master、Slave、REPのいずれかを設定)
(2)動作周期
(3)動作テーブル
【0069】
また、装置種別に応じて、以下のパラメータも設定される。
(1)Master:自装置のMACアドレス
(2)Slave:MasterのMACアドレス
(3)REP:MasterのMACアドレスおよび自装置のMACアドレス
【0070】
このとき、各装置は、図10に示すテーブルのうち、該当する一行分のデータを持っている。例えば、Master10は、フレーム時間1に「M1」、フレーム時間7に「M」と書かれたテーブルを保持し、REP20はフレーム時間1と7に「S」、フレーム時間2に「M1」、フレーム時間5と8に「M」と書かれたテーブルを保持している。ここで、「M」はMaster動作をする相対時刻であること、「S」はSlave動作をする相対時刻であることを示している。また、「M1」は動作周期内で複数回Master動作する場合の最初のMaster動作であることを示している。なお、ここで示したフレーム時間の数値は、図8に記述している「時刻」とは異なり、「相対時刻」である。したがって、「フレーム時間1」においては、Master以外は必ずSlave動作となる。
【0071】
図10に戻って、MasterおよびREPは、動作テーブルで「M」または「M1」と書かれているフレーム時間では、フレーム時間の先頭にフレーム時間開始を示すビーコンを送信する。また、ビーコンには自装置のMACアドレスを入れて送信する。さらに、「M1」と書かれているフレーム時間では、「M1」であることを示す情報(1ビットで可)を入れて送信する。
【0072】
Master10は、起動時の任意のタイミングをフレーム時間1と認識し、動作テーブルのフレーム時間1に書かれた「M1」という情報に基づいて、Master動作を行い、かつ、ビーコンに情報「M1」を入れて送信する。以後、フレーム時間毎に動作テーブルが読み出される。フレーム時間7では、動作テーブルに「M」と書かれているため、Master動作を行う。その他の時間では休止する。以後、動作周期=8(フレーム時間×8)で動作を繰り返す。
【0073】
Slave11,12は、ビーコンを監視し、MasterのMACアドレスと一致し、かつ、「M1」と書かれたビーコンを受信できるまでビーコンの探査を行う。所望のビーコンが受信できると、そのフレーム時間をフレーム時間1と認識し、Slave動作を行う。以後、動作テーブルに従って動作する。本例では、フレーム時間7においてもSlave動作を行う。
【0074】
REP20は、ビーコンを監視し、MasterのMACアドレスと一致し、かつ、「M1」と書かれたビーコンを受信できるまでビーコンの探査を行う。所望のビーコンが受信できると、そのフレーム時間をフレーム時間1と認識し、Slave動作を行う。以後、動作テーブルに従って動作する。本例では、フレーム時間2で「M1」のMaster動作(すなわち、複数回Master動作する場合の最初のMaster動作)を行い、フレーム時間5,8でMaster動作、フレーム時間7でSlave動作を行う。
【0075】
REP30は、ビーコンを監視し、MasterのMACアドレスと一致し、かつ、「M1」と書かれたビーコンを受信できるまでビーコンの探査を行う。所望のビーコンが受信できると、そのフレーム時間をフレーム時間1と認識し、Slave動作を行う。以後、動作テーブルに従って動作する。本例ではフレーム時間2で「M1」のMaster動作を行い、フレーム時間5でMaster動作、フレーム時間4,7でSlave動作を行う。なお、本装置の動作の場合、上位のMasterであるREP20が「M1」動作する時間をフレーム時間1と認識するため、図10に示す動作テーブルでのフレーム時間と、図9に示す時刻とは一致しない。具体的に、図10の方がフレーム時間1個分左にずれることになる。
【0076】
同様に、他のSlave、REPも、MasterのMACアドレスと一致し、かつ、「M1」の情報の入ったビーコンの受信タイミングをフレーム時間1と認識した上で、動作テーブルに従って動作する。
【0077】
以上の動作を行うことで、装置毎に可変設定された動作頻度に基づいて、干渉することなく中継動作することが可能となる。特に、収容されているSlave数が多く、トラヒック発生の多い箇所の動作頻度を多く設定することにより、データの中継遅延を減少させることが可能となる。
【0078】
なお、上記説明では、動作テーブルは各装置に初期設定する(図10の1行分)としたが、Master10に図10の全ての行のテーブルを設定し、他の装置には動作テーブルを初期設定せず、自装置が動作テーブルの何行目を参照すればよいかだけの情報を設定してもよい。この場合、Master10が送信するビーコンに全ての動作テーブル情報を入れて送信して下位装置に伝えていくことにすれば、各装置への個別の設定は不要である。また、下位REPは、動作テーブルが入手できるまではSlave動作のみを行う(動作テーブルの入手まではMaster動作するタイミングを認識できないため。なお、Slaveとして動作するタイミングはMasterのMACアドレスが含まれるビーコンを探査することで認識可)。また、動作テーブルの伝達手法として、ビーコン以外にも、アプリケーションレイヤの通信によって、動作テーブルを入手するようにしてもよい。なお、この場合も、動作テーブルの入手までは、Slave動作のみを行えばよい。
【0079】
実施の形態6.
上述の実施の形態5では、各装置に動作周期と動作テーブルのパラメータを予め設定する必要があった。したがって、実施の形態5にかかる手法のみでは、動作タイミングを運用中に変更することができない。また、実施の形態5にかかる手法では、パラメータを変更する際には、装置をリセットする必要があるため、その間、通信が切断されてしまう。そこで、本実施の形態では、動作タイミングを運用中に変更する手法について説明する。
【0080】
まず、動作タイミングを運用中に変更する手法の概要について説明する。なお、通常時(運用時)の動作は、実施の形態5と同一であり、その説明を省略する。
【0081】
動作タイミングを変更する際には、まず、動作テーブルを変更する必要がある。このため、旧動作テーブルから新動作テーブルに切り替えるためのタイミング情報をMasterから下位装置に転送した後、一斉に新動作テーブルに切り替えることを行う。なお、切り替えタイミングは、動作周期の最後のフレーム時間が終わったタイミングとする。
【0082】
新動作テーブルは、Master動作する装置がビーコンに含めて通知しても、アプリケーションレイヤで通信することで通知してもよい。なお、新動作テーブルへの切り替えタイミングは、フレーム時間単位で切り替える必要があるため、アプリケーションレイヤを利用した通知処理では、ネットワークの規模が大きくなると、全装置における同時切り替え処理が困難となる場合がある。このような場合には、切り替えタイミングの情報は、ビーコンを利用して通知することが好ましい。
【0083】
つぎに、新動作テーブルへの切り替え動作について図11を参照して説明する。ここで、図11は、新動作テーブルへの切り替え動作を示すシーケンス図である。
【0084】
まず、新動作テーブルの情報をMaster10から下位の装置へ通知する(ステップS10)。この通知は、図10に示す現在の動作テーブルに基づいて決定される図9の動作タイミングチャートに従って行われる。具体的には、Master10からSlave11,12およびREP20,40(シーケンスSQ101:時刻1)、REP20からSlave21〜25およびREP30(シーケンスSQ102:時刻2)、REP30からSlave31〜33(シーケンスSQ103:時刻3)、REP40からSlave41(シーケンスSQ104:時刻4)、REP20からSlave21〜25およびREP30(シーケンスSQ105:時刻5)、REP30からSlave31〜33(シーケンスSQ106:時刻6)、Master10からSlave11,12およびREP20,40(シーケンスSQ107:時刻7)、REP20からSlave21〜25およびREP30(シーケンスSQ108:時刻8)、という各シーケンスに従って新動作テーブルが全装置に通知される。なお、この通知には時間がかかってもよい。また、新動作テーブルの情報が通知されるまでの間は、現在使用している動作テーブルで動作を続ける。
【0085】
いま、動作周期のn(nは自然数)倍の時間の経過後、全装置に新動作テーブルを通知できたものとする(ステップS15)このときの時刻を8n(動作周期「8」×n)フレームとする。
【0086】
つぎに、新動作テーブルが通知できた時刻のつぎの時刻、すなわち時刻8n+1から、新動作テーブルへの切り替えタイミング情報をビーコンに入れ、新動作テーブルの通知と同様な手順にてMaster10から全装置に対して通知する(ステップ20、シーケンスSQ121〜128)。
【0087】
切り替えタイミングの情報として、例えば「次の動作周期タイミング」という情報とする。各装置は、現在の動作周期を認識しているため、この情報に基づいて、切り替えタイミングを認識することができる。また、「次の動作周期タイミング」という切り替えタイミング情報に代えて、「動作周期のL倍の時間後」と伝達してもよい。この場合、全装置は動作周期が1周するたびにLの値を1ずつ減らしていく。そして、L=1(次の動作周期で切り替え)となると、その動作周期終了後に、全装置は新動作テーブルで動作を開始する。
【0088】
上記のようなステップで動作させることで、運用中に動作テーブルを変更することができ、Slaveの追加・削除などネットワーク構成変更に応じた柔軟な動作を行うことが可能となる。
【0089】
また、上記の説明において、「新動作テーブルを各装置に通知する」、と説明したが、実施の形態1〜5で説明したように動作テーブルを用いずに動作周期と切り替え遅延のパラメータで動作させている場合には、動作周期および切り替え遅延の各情報を上記と同様にビーコンあるいはアプリケーションレイヤで各装置に通知してから、切り替えタイミングの情報をビーコンで転送するとともに、現在の動作周期の切れ目で、新しいパラメータ(動作周期、切り替え遅延)に変更するような手順とすればよい。
【0090】
実施の形態7.
実施の形態6では、運用中に動作テーブルを変更する場合の一例を示した。一方、本実施の形態では、装置を増設する場合の動作について説明する。装置増設の例として、図12に示すようにMaster10とREP20,30、Slave11,12,21,22,31,32の構成で動作しているときに、Slave41,42を収容するために、REP40を増設する場合を想定する。このとき、動作周期は「3」から「4」に変更される。
【0091】
この場合、全装置に新パラメータ(動作周期=4)を設定してから立ち上げ直すことでも動作は可能であるが、サービス中のSlave11,12,21,22,31,32の通信が切断されるという影響がある。また、上位の装置から接続していくため、システムが大規模の場合には、下位の装置での通信断時間が長くなってしまうという欠点がある。本実施の形態は、このような欠点を回避するための手法として非常に有用である。
【0092】
つぎに、システムの構成に変更があった場合の新パラメータへの切り替え動作について図13を参照して説明する。ここで、図13は、新パラメータへの切り替え動作を示すシーケンス図である。
【0093】
図12の上段部に示す装置構成で動作しているとき、Slave41,42およびREP40が追加され、図12の下段部に示す装置構成に変更されたものとする。このような場合、新規に追加した装置が通信開始できるまでの時間は長くても許容できると考えられるが、既存装置の通信断は発生しないことが望ましい。そのため、動作周期を即時に変更することは好ましくなく、動作しているREP、Slaveに動作周期変更を通知してから一斉に切り替えることが好ましい。
【0094】
そこで、新たに追加したREP40は、まず、REP30のSlaveとして動作させる。より詳細には、所望のMasterのMACアドレスが含まれるビーコンを探査し、ビーコンが見つかると、そのときのフレーム時間でSlave動作を開始する(ステップS51)。なお、上述の実施の形態2のように、ビーコンに動作周期の情報が含まれている場合には、ビーコンの探査によって動作周期を認識することができ、当該動作周期でSlave動作が繰り返される。
【0095】
REP40は、上位MasterであるREP30に自身がREPであるということを通知(参入通知)する(シーケンスSQ501)。REP30は、追加された装置がREPであることを理解すると、そのREPがMasterとして動作する動作周期を与える必要があるため、上位のMasterであるREP20にREP40が新規追加されたことを通知する(シーケンスSQ502)。同様に、REP20はMaster10にREP40が新規追加されたことを通知する(シーケンスSQ503)。
【0096】
Master10は、REP40が追加されたことを認識し、新たなパラメータを計算する(ステップS52)。このとき、直列に接続された場合であれば、動作周期のみを通知するだけでよいが、分岐して接続された場合には、動作周期および切り替え遅延(休止時間)のパラメータも通知する必要がある。なお、本例では、直列に接続された場合を一例として示しているので、REPの切り替え遅延は全て0であり、動作周期のみを計算すればよい。
【0097】
そして、Master10によって計算された新パラメータ(動作周期)は、Master10から下位の装置(REP、Slave)に通知される(シーケンスSQ504〜SQ506)。なお、既存装置は、旧パラメータで動作を続けているため、既存装置の通信断を回避するという目的では、この通知に時間がかかっても構わない。このため、アプリケーションレイヤで通信を行っても、あるいは、ビーコンの中に新パラメータを入れて通知してもよい。ただし、アプリケーションレイヤで通知する場合には、1対1の通信であるため、配下の装置に個別に通知が必要である。なお、ビーコンで通知する場合は、配下の装置にブロードキャストされるため、1回送信すればよい。
【0098】
図13のシーケンスでは、新パラメータの通知がノイズ等により失敗してもリカバリが可能なようにREP、Slaveから「新パラメータ受領応答」を返信することにしている(シーケンスSQ507〜SQ509)。Master動作を行う装置は、「新パラメータ受領応答」が受領できない配下の装置があれば、再度「新パラメータ通知」を送信する。
【0099】
全ての装置に新パラメータが通知できたことをMaster10が確認できると、Master10から「切り替えタイミング通知」として、新パラメータに切り替えるタイミング情報を通知する(シーケンスSQ510〜SQ515)。このタイミング情報の単位は、フレーム時間とし、現在の動作周期の整数倍とする。図13の例では、動作周期が3であり、その2倍の6フレーム時間後から切り替えることとしている。切り替えタイミングは、フレーム時間単位の精度が要求されるため、アプリケーションレイヤではなく、ビーコンに入れて通知することが好ましい。
【0100】
つぎに、新パラメータに切り替えるタイミング情報の通知に関して、より詳細に説明する。まず、Master10は、切り替えタイミング=6として配下のSlave11,12およびREP20に通知する(シーケンスSQ510)。REP20は、つぎのフレーム時間でMaster動作を行うため、前時刻で受信した切り替えタイミングの値から1減算し、切り替えタイミング=5を通知する(シーケンスSQ511)。以下同様に、REP30は、切り替えタイミング=4を通知する(シーケンスSQ512)。ここで、つぎの時刻は、Master10の動作タイミングであるが、Master10は、前回の通知時に、切り替えタイミング=6を通知したが、今回は、前回通知した切り替えタイミング=6から現在の動作周期である3を減じた値である切り替えタイミング=3を通知する(シーケンスSQ513)。以後、各REPは、切り替えタイミングの値から1ずつ減算して後段に通知する(シーケンスSQ514,SQ515)。新規端末であるSlave41,42を収容するREP40は、REP30からのビーコンに含まれる切り替えタイミングの値から、新パラメータで動作する開始時刻を把握する。具体的には、切り替えタイミング=0となるフレーム時間で新パラメータによる動作が開始される(ステップS53)。
【0101】
図13の例では、切り替え遅延=0のため、REP40は、REP30から通知された切り替えタイミング=1を受信したフレーム時間の次のフレーム時間から、新パラメータ(動作周期=4)での動作およびMaster動作の双方が可能となる。実際には、Master10のMaster動作開始時刻を時刻1とするとき、時刻4のときにREP40はMaster動作を開始する(ステップS57)。なお、その他の装置(Master、REP、Slave)も、切り替えタイミング=0となる時間から、新パラメータ(動作周期、切り替え遅延)による動作(Master動作、Slave動作)が開始される(ステップS54〜S56,S58)。
【0102】
一方、REP40の配下にあるSlave41,42は、REP40がMaster動作を開始してから、ようやくMaster10のMACアドレスが含まれるビーコンの受信が可能となり、REP40との通信が可能となる。
【0103】
なお、上記の説明では、装置を増設する場合の動作について、実施の形態1〜5に示すような「動作テーブルを用いずに動作周期と切り替え遅延のパラメータで動作する」場合を一例として説明したが、実施の形態6,7に示すような「動作テーブルで動作する」場合であっても、本実施の形態の手法を適用することができる。この場合、新たな動作テーブルの情報を上記と同様にビーコンあるいはアプリケーションレイヤで各装置に通知するとともに、新動作テーブルへの切り替えタイミングの情報をビーコンで転送するような手順をとればよい。
【0104】
上記のようなステップにより、新しいREPを追加した場合でも、システムの運用中に既存装置の通信を切断することなく新たなREPを収容することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上のように、本発明は、遠距離に配置された装置間のデータ中継を単一周波数を用いて行うデータ中継システムおよびデータ中継方法として有用である。
【符号の説明】
【0106】
10 Master(親局)
11,21〜25,31〜33,41,42,51,52,61,62 Slave(子局、端末)
20,30,40,50,60 REP(Reapeater:中継器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠距離に配置された装置間のデータ中継を行うデータ中継システム、データ中継方法および中継装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メディアアクセス制御(MAC:Media Access Control)の一方式として時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)がある。このTDMAは、親局(Master)装置と複数の子局(Slave)装置との間で通信を行う場合のアクセス制御方式であり、メディア(通信ケーブル、無線、電力線など)に対するアクセスが時分割で行われることと、複数のSlave装置を効率よく収容できるという特徴がある。
【0003】
ただし、TDMAは、Master装置とSlave装置との間の通信であり、遠距離の通信を行う目的で、例えば、これらの装置間を光ファイバで接続した場合には、遠距離での通信が可能となる。一方、例えば無線や電力線を使用した場合には、信号の減衰が光ファイバに比べて遙かに大きいので、遠距離に配置されたMaster装置とSlave装置との間で所望の通信を行うためには、信号の中継伝送が必須となる。
【0004】
従来、無線を利用したデータ中継方式として、例えば、異なる周波数を用いて中継する中継方法が存在する。しかしながら、無線を利用するデータ中継方式であっても、例えば無線LANのように限られた周波数チャネルしか使用できない場合には、同一周波数が割り当てられたノード間の距離を十分に離間することができないため、データ中継に伴う干渉の発生を抑止することが困難となる。
【0005】
一方、単一周波数を用いた場合であっても、ノード間の通信を間欠的に行うことで、干渉の発生を防止したデータ中継方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−143046号公報(第4頁〜6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1などの従来技術では、中継伝送に直接的に関係する装置間同士によるデータ中継のみが考慮されているだけであり、中継伝送に直接的に関係しない他の装置が保有するデータの中継については全く考慮されていない。例えば、インターネットへのアクセスサービスを提供する場合、一般家庭のユーザ端末を収容しながら、これらのユーザ端末のデータを局舎まで中継するような伝送形態を考えるとき、中継装置で新たな複数のユーザを収容しながら中継することが望ましいが、従来技術のような中継装置に対する考え方では、伝送区間の途中にある中継装置において、新たな端末を収容することができないという課題があった。
【0008】
また、従来技術では、中継装置が一列に並んだ場合のみを対象としているため、例えば中継装置が並列に並んで配列されているような場合や、中継装置が分岐して配列されているような場合には、上述のような中継手法をそのまま適用することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、遠距離に配置された装置間のデータ中継伝送を単一周波数を用いて行う場合に、伝送区間の途中にある中継装置において、新たな端末の収容を可能とし、中継装置の接続にかかる制約を排除したデータ中継方法、データ中継システムおよび中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかるデータ中継システムは、親局装置と、前記親局装置に時分割多元接続され、該親局装置側から発出されたデータおよび該親局装置側に向かうデータを単一周波数の信号を用いて中継する1〜複数の中継装置と、少なくとも前記中継装置に時分割多元接続される子局装置と、を備え、前記中継装置は、自身に時分割多元接続される子局装置の親局として動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるデータ中継システムによれば、親局装置に時分割多元接続され、親局装置側から発出されたデータおよび親局装置側に向かうデータを単一周波数の信号を用いて中継する中継装置が、時分割多元接続される子局装置の親局として動作するので、中継装置において、新たな端末の収容が可能となる。また、例えば中継装置が一列に並んだ場合にしか適用できないといった、中継装置の接続にかかる従来の制約を排除することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかるデータ中継システムの接続構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示したデータ中継システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【図3】図3は、図2に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【図5】図5は、図4に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態4にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【図7】図7は、図6に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態5にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【図9】図9は、図8に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図10】図10は、各装置が動作周期内でMaster動作またはSlave動作を行う動作タイミングを示したテーブルである。
【図11】図11は、新動作テーブルへの切り替え動作を示すシーケンス図である。
【図12】図12は、本発明のデータ中継システムにおける構成変更の一例(REP追加)を示す図である。
【図13】図13は、システムの構成に変更があった場合の新パラメータへの切り替え動作を示すシーケンス図である。
【図14】図14は、中継器を有さない装置間通信を説明する図である。
【図15】図15は、中継器を介在させ、複数周波数を用いた中継伝送を説明する図である。
【図16】図16は、中継伝送における干渉の問題を説明するための図である。
【図17】図17は、中継器が一般家庭のユーザ端末を収容する概念を示す図である。
【図18】図18は、一般家庭のユーザ端末を収容する中継器が親局から分岐接続されている場合の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施の形態にかかるデータ中継方法およびデータ中継システムを説明する前に、まず、上記において提起した3つの問題点、すなわち(1)中継伝送にかかる干渉の問題、(2)中継器における端末収容の問題、(3)中継器の接続構成にかかる制約の問題について図14〜図18を参照して説明する。
【0014】
(中継伝送にかかる干渉の問題)
まず、図14に示すように、装置101と装置102との間の距離が遠すぎる場合、これらの装置だけでは、通信データを伝送することができない。そこで、図15に示すように、装置101と装置102との間に幾つかの中継器(同図の例では、中継器103〜105)を介在させるとともに、装置と中継器あるいは中継器間で行われる通信の干渉を防止するために、異なる周波数を用いた中継伝送が行われる。
【0015】
しかしながら、無線LANのように限られた周波数チャネルしか使えない場合、ある周波数が割り当てられた区間のノードと、この周波数と同一の周波数が割り当てられた他の区間のノードとの距離を十分に離間させることができないために干渉が発生する場合がある。例えば、図15において、周波数が3個しか使用できない場合、周波数Aと周波数Dは同一周波数とせざるを得ない。
【0016】
ところが、周波数Aを使用している図15の左側の装置101と、周波数D(=A)を使用している同図の右側の装置102との間では、相互に干渉が発生する可能性がある。このことは、図16に示すように、隣接装置同士間では送受信を行うために十分なレベルの信号が届くが、それ以上に距離が離れると、送受信を行うためのレベル以下に信号が減衰するものの、雑音として影響を与えないレベルまでには達していないことに起因するものである。
【0017】
例えば、図16に示すように、装置101は周波数Aを用いて中継器103と通信し、中継器105も周波数Aを用いて装置102と通信しているとする。このとき、中継器103が周波数Aで装置101に向けて送信するとき、逆方向にもその信号が届く。すなわち、中継器103の送信信号は、中継器105の位置では雑音として影響を与えるレベルで到達する。このとき中継器105が装置102からの信号を受信しようとしていたとすると、装置102からの信号と中継器103からの信号とが干渉してしまい、正常に受信できなくなる。
【0018】
(中継装置における端末収容の問題)
例えば、インターネットへのアクセスサービスを提供する場合、図17に示すように、親局10aのデータを中継する中継器20a,30a,40aにおいて、一般家庭のユーザ端末21a〜23a、ユーザ端末31a,32a、ユーザ端末41a〜43aをそれぞれ収容し、かつ、これらのユーザ端末のデータを局舎まで中継することが望ましい形態である。しかしながら、従来技術は、図15に示すような2つの装置101、102間の通信データを中継することが考慮されているだけであり、中継伝送に直接的に関係しない他の装置間の通信データを中継することが想定されていない。したがって、従来技術では、図17に示すような、接続形態を採ることができない。
【0019】
(中継器の接続構成にかかる制約)
また、従来技術は、図17に示すような中継器が一列に並んだ場合のみを対象としているため、例えば、図18に示すような、親局10aに2つの中継器20a,50aが接続されるような、ネットワーク構成に分岐がある場合に対応することができない。
【0020】
本願発明者は、上述のような3つの問題点に着目し、これらの問題点を克服することができるデータ中継システムおよびデータ中継方法を発案するに至った。そこで、以下に、本発明にかかるデータ中継システムおよびデータ中継方法の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す各実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0021】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるデータ中継システムの接続構成を示す図である。また、図2は、図1に示したデータ中継システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。
【0022】
(システムの構成)
図1および図2において、本実施の形態にかかるデータ中継システムは、Master装置(以下「Master」と表記)、Repeater装置(以下「REP」と表記)およびSlave装置(以下「Slave」と表記)を備えて構成される。ここで、Master10は、TDMAにおける親局装置であり、Slave11,12は、Master10に接続された子局装置である。また、REP20,30は、TDMAにおける中継装置であり、Slave21,22,31〜33は、各REPにそれぞれ接続された子局装置である。なお、これらの各図では、Slaveの台数をMasterあたり2台、REPあたり2台または3台として設定しているが、TDMAにおけるSlave収容可能台数までのSlave台数を接続することが可能である。また、接続される接続台数が増加したとしても、以下に説明する動作が変更されることはない。
【0023】
(システムの動作)
つぎに、本実施の形態にかかるデータ中継システムの動作について説明する。なお、図2の全ての装置は、単一周波数F1で動作するものとする。また、干渉の発生を回避するため、全ての装置がTDMAにおける3フレーム時間おきに動作するものとする。また、これらの3フレーム(時間)を、それぞれ、時刻1、時刻2および時刻3として表記する。
【0024】
図2に示すように、Master10、Slave11,12およびREP20は時刻1のときに動作し、REP20、Slave21,22およびREP30は時刻2のときに動作し、REP30およびSlave31〜33は時刻3のときに動作する。また、以後、時刻1〜時刻3の動作が繰り返し実行される。
【0025】
図3は、図2に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。なお、以下の説明において、「Master動作」とは、Master装置として機能するときの動作を指すときに使用し、「Slave動作」とは、Slave装置として機能するときの動作を指すときに使用する。
【0026】
図3において、
(1)時刻1では、Master10はMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20はSlave動作を行う。
(2)時刻2では、REP20はMaster動作を行い、Slave21,22およびREP30はSlave動作を行う。
(3)時刻3では、REP30はMaster動作を行い、Slave31〜33はSlave動作をそれぞれ行う。
(4)時刻4以降は、時刻1〜3までの動作が繰り返し実行される。
【0027】
上述のように、この実施の形態のデータ中継方法(中継システム)では、TDMAにおけるMaster/Slaveの各組ごとに動作時間を時分割しているので、単一周波数を使用した場合であっても、相互に干渉することはない。
【0028】
また、それぞれのMaster、Slaveは、TDMAにおける通常のMaster動作またはSlave動作を行う一方で、自装置が動作する時刻以外は動作休止を行えばよい。したがって、特別な追加機能は不要である。
【0029】
また、REPは、Slave動作とMaster動作の両方を行う必要があるが、同時に動作することはなく、ある時間はSlave動作、ある時間はMaster動作と、片方だけの動作を行えばよい。
【0030】
さらに、REPは、Master動作するときに下位の装置(下位のSlaveおよび/または下位のREP)にそのデータを送信するとともに、当該下位の装置から受信したデータを保持すればよい。一方、Slave動作をするときに上位の装置(Master、あるいは上位のREP)から受信したデータを保持するとともに、当該上位の装置にそのデータを送信すればよい。REPは、これらの処理に基づいてデータの両方向の中継を行うことができる。
【0031】
(各装置におけるタイミング認識処理)
つぎに、各装置が動作するタイミングの認識処理について図3を参照して説明する。
【0032】
まず、Master、Slave、REPの3種類の全装置に対して、以下のパラメータが設定される。
(1)装置種別(Master、Slave、REPのいずれかを設定)
(2)動作周期
【0033】
また、装置種別に応じて、以下のパラメータが設定される。
(1)Master:自装置のMACアドレス
(2)Slave:MasterのMACアドレス
(3)REP:MasterのMACアドレスおよび自装置のMACアドレス
なお、動作周期はMasterおよびREPの合計台数である。
上記のパラメータが設定されると、以下のように各装置が動作可能となる。
【0034】
(Masterの動作)
Masterは、立ち上げ時に任意のタイミングでMaster動作を開始する。以後、パラメータとして設定された「動作周期」間隔で、Masterとして動作する。なお、Masterとして動作する時間以外は動作を休止する(図3のMaster(10)の欄参照)。なお、本実施の形態にかかるMasterは、TDMAのMasterであるため、フレーム先頭を示す信号(以下「ビーコン(Beacon)」と呼称)がフレームの先頭に挿入されて送信される。また、ビーコンには、自装置のMACアドレスが挿入されるものとする。
【0035】
(Slaveの動作)
Slaveは、自装置が保持する「MasterのMACアドレス」と一致するMACアドレスが含まれるビーコンを探査する。所望のビーコンを受信できると、ビーコンを受信したフレーム時間にSlaveとして動作し、以後「動作周期」間隔でSlaveとして動作する。その他の時間は動作を休止する(図3のSlave欄参照)。
【0036】
(REPの動作)
REPは、上記したSlaveの動作と同様に、ビーコンを探査して所望のビーコン(ビーコンに含まれるMACアドレスが、自身の保有する「MasterのMACアドレス」と一致する)を確認することができると、「動作周期」間隔でSlaveとして動作を開始する。そして、Slaveとして動作した次のフレーム時間でMasterとしての動作を行う。なお、Master動作を行う際には、ビーコンに自装置のMACアドレスを入れて送信する(図3のREP欄参照)。
【0037】
以上のように、通常のTDMAの動作の仕組みを持った各装置に、装置種別、動作周期、MACアドレスのパラメータを設定することで、Master動作、Slave動作、休止動作の各動作時刻を各装置自身によって自律的に決定することができるので、干渉を生じさせることのないTDMAによる中継伝送を単一周波数を用いて実現することができる。
【0038】
また、単一周波数の信号を用いて中継伝送するREPにおいて、新たな端末の収容が可能となる。さらに、例えばREPが一列に並んだ場合にしか適用できないといった、REPの接続にかかる従来の制約を排除することもできる。
【0039】
なお、上記の動作において、ビーコンの誤検出を回避する観点から、所望のビーコンを動作周期間隔で連続して受信できることの確認を行った後に、Slave動作を開始することが好ましい。
【0040】
また、上記の説明では、ビーコンの識別のためにMasterのMACアドレスを予めビーコンに含めるものとしたが、複数種類のビーコンをあらかじめ定義しておき、MasterのMACアドレスの代わりにビーコン番号をMaster、Slave、REPに設定し、Masterは設定された番号のビーコンを送信し、SlaveとREPはSlave動作時に、設定された番号のビーコンを探査することで代替してもよい。このようにすれば、ビーコンにMACアドレスを入れて送信する必要はない。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1では、動作周期をパラメータとして各装置に予め設定するとしたが、Masterが送信するビーコンに動作周期の情報も含ませるようにしてもよい。この場合、SlaveまたはREPがビーコンを受信する際、ビーコンからMasterのMACアドレスおよび動作周期を取り出すことにより、SlaveおよびREPが動作周期を認識することができる。なお、REPの場合には、REP自身がMaster動作する際に、受信した動作周期を含ませたビーコンを送信すればよい。
【0042】
このように、Master動作する装置が、動作周期を含ませたビーコンを送信することにより、動作周期のパラメータをMasterだけに設定すればよいので、設定が簡易になるという効果が得られる。
【0043】
実施の形態3.
(システムの構成)
図4は、本発明の実施の形態3にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。同図に示すデータ中継システムは、図2に示した実施の形態1の構成と比較すると、Masterに2つのREP(20,50)が接続されており、REPが並列に並んで配列されている点が本質的な相違点である。
【0044】
(システムの動作)
つぎに、本実施の形態にかかるデータ中継システムの動作について図4および図5を参照して説明する。ここで、図5は、図4に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。なお、図4の全ての装置は、実施の形態1と同様に、単一周波数F1で動作し、動作周期のパラメータが各装置に設定されているものとする。また、本実施の形態における動作周期の考え方は、実施の形態1と同様であり、具体的には、MasterおよびREPの合計台数である「6」が設定される。
【0045】
図5において、
(1)時刻1では、Master10がMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20,50がSlave動作を行う。
(2)時刻2では、REP20がMaster動作を行い、Slave21,22およびREP30がSlave動作を行う。
(3)時刻3では、REP30がMaster動作を行い、Slave31,32およびREP40がSlave動作を行う。
(4)時刻4では、REP40がMaster動作を行い、Slave41,42がSlave動作を行う。
(5)時刻5では、REP50がMaster動作を行い、Slave51,52およびREP60がSlave動作を行う。
(5)時刻6では、REP60がMaster動作を行い、Slave61,62がSlave動作を行う。
(6)時刻7以降は、時刻1〜6までの動作が繰り返し実行される。
【0046】
図5および上記の説明から明らかなように、REP50の動作が、図3の場合と異なる。すなわち、図3の場合は、Slave動作を行った全てのREPは、次のフレーム時間でMaster動作を行っていた。これに対し、図5の場合では、REP20,30,40,60は同様にSlave動作を行った後、次のフレーム時間でMaster動作を行っているが、RTEP装置50はSlave動作を行った後、3フレーム時間だけ休止してからMaster動作を行っている。これは、図4に示すようにREPの分岐に伴って行われる必須の動作である。
【0047】
(各装置におけるタイミング認識処理)
つぎに、各装置が動作するタイミングの認識処理について図5を参照して説明する。
【0048】
まず、実施の形態1と同様に、Master、Slave、REPの3種類の全装置に対して、装置種別、動作周期のパラメータが設定される。
また、装置種別に応じて、以下のパラメータも設定される。
(1)Master:自装置のMACアドレス
(2)Slave:MasterのMACアドレス
(3)REP:MasterのMACアドレス、自装置のMACアドレスおよび切り替え遅延
なお、動作周期は、上述のように「6」が設定される。
【0049】
一方、この実施の形態では、「切り替え遅延」というパラメータが設定される。この切り替え遅延は、REPにおいて、Slaveとして動作してからMasterとして動作するまでのフレーム時間である。図5の例では、REP20,30,40,60はSlave動作後、直ちにMaster動作しているため、切り替え遅延=0である。一方、REP50は、Slave動作後、3フレーム休止してからMaster動作しているため、切り替え遅延=3である。
【0050】
MasterおよびSlaveにおける動作タイミングの決定は、実施の形態1と同一である。なお、MasterおよびSlaveは、動作周期毎に一度、Master動作あるいはSlave動作のいずれかの動作を動作周期間隔で実行する。
【0051】
また、REPにおけるSlave動作のタイミングは、実施の形態1と同様に所望のビーコンを受信したフレーム時間から「動作周期」間隔で動作する。一方、REPにおけるMaster動作のタイミングは、Slave動作したフレーム時間から「切り替え遅延」に基づいて決まるフレーム時間後にMaster動作を行う。
【0052】
つぎに、「切り替え遅延」の値の決定手法について説明する。Master、REPのMaster動作する時刻が、例えば図4に示すように決定されると、REPがSlave動作する時刻(=TS)とMaster動作する時刻(=TM)が決まる。このとき、切り替え遅延は以下の式で求められる。
【0053】
切り替え遅延=TM−TS−1
【0054】
例えば、REP20は、TM=2、TS=1であるため、切り替え遅延=2−1−1=0となる。
一方、REP50はTM=5、TS=1であるため、切り替え遅延=5−1−1=3となる。
【0055】
以上のように、この実施の形態では、通常のTDMAの動作の仕組みを持った各装置に、装置種別、動作周期、MACアドレスおよび切り替え遅延のパラメータを設定するようにしているので、ネットワーク構成に中継装置の分岐部が存在する場合であっても、Master動作、Slave動作、休止動作の各動作時刻を各装置自身によって自律的に決定することができ、干渉の発生を抑止したTDMAによるデータ中継を実現することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、動作周期および切り替え遅延のパラメータを各装置に予め設定するとしたが、Masterが送信するビーコンに動作周期および切り替え遅延のパラメータを含ませるようにしてもよい。
【0057】
実施の形態4.
(システムの構成)
図6は、本発明の実施の形態4にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。同図に示すデータ中継システムは、図4に示した実施の形態2の構成と装置構成(トポロジ)は同一であるが、REP30、Slave21,22を収容するREP20と、Slave61,62を収容するREP60とが干渉を生じさせない距離以上に離間されて配置されている場合を想定している。また、REP60、Slave51,52を収容するREP50と、Slave41,42を収容するREP40との間も、干渉を生じさせない距離以上に離間されて配置されている場合を想定している。
【0058】
(システムの動作)
つぎに、本実施の形態にかかるデータ中継システムの動作について図6および図7を参照して説明する。ここで、図7は、図6に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。なお、図6の全ての装置は、実施の形態1と同様に、単一周波数F1で動作し、動作周期のパラメータが各装置に設定されているものとする。一方、本実施の形態における動作周期は、実施の形態3とは異なり、MasterおよびREPの合計台数である「6」ではなく、「4」が設定されている。
【0059】
図7において、
(1)時刻1では、Master10がMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20,50がSlave動作を行う。
(2)時刻2では、REP20がMaster動作を行い、Slave21,22およびREP30がSlave動作を行う。さらに、REP60がMaster動作を行い、Slave61,62がSlave動作を行う。
(3)時刻3では、REP30がMaster動作を行い、Slave31,32およびREP40がSlave動作を行う。
(4)時刻4では、REP40がMaster動作を行い、Slave41,42がSlave動作を行う。さらに、REP50がMaster動作を行い、Slave51,52およびREP60がSlave動作を行う。
(5)時刻5以降は、時刻1〜4までの動作が繰り返し実行される。
【0060】
動作周期は各装置共に「4」が設定される。一方、REPにおける切り替え遅延は、以下のように決定される。
(1)REP20,30,40:切り替え遅延=0
(2)REP50:切り替え遅延=2
(3)REP60:切り替え遅延=1
【0061】
図6に示す構成は、同一時刻に動作させても干渉が生起しないREP同士の組合せが存在する場合の一例を示したものであり、このような構成の場合には、動作周期をMasterおよびREPの合計台数よりも減らすことができる。その結果、実施の形態3と同一の構成(トポロジー)であっても、動作周期を実施の形態3よりも短くすることができ、データを中継する際の遅延時間を短縮することができる。
【0062】
なお、動作タイミングの決定に必要なパラメータは、実施の形態3と同様に、動作周期および切り替え遅延だけでよい。したがって、動作周期および切り替え遅延のパラメータを設定することで、Master動作、Slave動作、休止動作の各動作時刻を各装置自身によって自律的に決定することができ、干渉の発生を抑止したTDMAによるデータ中継を実現することができる。また、干渉の可能性のないREP同士を同時刻に動作させるようにしているので、実施の形態3の場合よりも動作周期を短くすることができ、遅延時間の短縮化が可能となる。
【0063】
実施の形態5.
(システムの構成)
図8は、本発明の実施の形態5にかかるデータ中継システムの接続構成および当該システムにおけるデータ中継方法の概念を示す図である。ところで、これまでに説明した各実施の形態では、動作周期内に1回のみのMaster動作あるいはSlave動作がある場合について詳述してきた。一方、本実施の形態では、2回以上のMaster動作あるいはSlave動作を行う装置が含まれる場合のデータ中継方法を提供するものである。なお、この手法により、例えば収容されるSlaveが多いSlave、あるいは高スループットを実現したいSlaveの動作頻度を上げることが可能となる。
【0064】
(システムの動作)
つぎに、本実施の形態にかかるデータ中継システムの動作について図8および図9を参照して説明する。ここで、図9は、図8に示した各装置の動作タイミングを示すタイムチャートである。なお、図8の全ての装置は、実施の形態1と同様に、単一周波数F1で動作し、動作周期のパラメータが各装置に設定されているものとする。一方、本実施の形態における動作周期は、実施の形態1,2、あるいは実施の形態3とも異なり、「8」が設定されている。
【0065】
図9において、
(1)時刻1では、Master10がMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20,40がSlave動作を行う。
(2)時刻2では、REP20がMaster動作を行い、Slave21〜25、REP30がSlave動作を行う。
(3)時刻3では、REP30がMaster動作を行い、Slave31〜33がSlave動作を行う。
(4)時刻4では、REP40がMaster動作を行い、Slave41がSlave動作を行う。
(5)時刻5では、REP20がMaster動作を行い、Slave21〜25、REP30がSlave動作を行う。
(6)時刻6では、REP30がMaster動作を行い、Slave31〜33がSlave動作を行う。
(7)時刻7では、Master10がMaster動作を行い、Slave11,12およびREP20,40がSlave動作を行う。
(8)時刻8では、REP20がMaster動作を行い、Slave21〜25、REP30がSlave動作を行う。
(9)時刻9以降は、時刻1〜8の動作が繰り返し実行される。
【0066】
なお、上述のように本実施の形態の動作周期は「8」であり、MasterとREPの合計台数より大きな値に設定されている。このため、Master10は1動作周期内で2回のMaster動作を実行し、REP20は1動作周期内で3回のMaster動作を実行し、REP30は1動作周期内で2回のMaster動作を実行し、REP40は1動作周期内で1回のMaster動作を実行する。
【0067】
(各装置におけるタイミング認識処理)
つぎに、各装置が動作するタイミングの認識処理について図9および図10を参照して説明する。ここで、図10は、各装置が動作周期内でMaster動作またはSlave動作を行う動作タイミングが示されているテーブルである。
【0068】
まず、Master、Slave、REPの3種類の全装置に対して、以下のパラメータが設定される。
(1)装置種別(Master、Slave、REPのいずれかを設定)
(2)動作周期
(3)動作テーブル
【0069】
また、装置種別に応じて、以下のパラメータも設定される。
(1)Master:自装置のMACアドレス
(2)Slave:MasterのMACアドレス
(3)REP:MasterのMACアドレスおよび自装置のMACアドレス
【0070】
このとき、各装置は、図10に示すテーブルのうち、該当する一行分のデータを持っている。例えば、Master10は、フレーム時間1に「M1」、フレーム時間7に「M」と書かれたテーブルを保持し、REP20はフレーム時間1と7に「S」、フレーム時間2に「M1」、フレーム時間5と8に「M」と書かれたテーブルを保持している。ここで、「M」はMaster動作をする相対時刻であること、「S」はSlave動作をする相対時刻であることを示している。また、「M1」は動作周期内で複数回Master動作する場合の最初のMaster動作であることを示している。なお、ここで示したフレーム時間の数値は、図8に記述している「時刻」とは異なり、「相対時刻」である。したがって、「フレーム時間1」においては、Master以外は必ずSlave動作となる。
【0071】
図10に戻って、MasterおよびREPは、動作テーブルで「M」または「M1」と書かれているフレーム時間では、フレーム時間の先頭にフレーム時間開始を示すビーコンを送信する。また、ビーコンには自装置のMACアドレスを入れて送信する。さらに、「M1」と書かれているフレーム時間では、「M1」であることを示す情報(1ビットで可)を入れて送信する。
【0072】
Master10は、起動時の任意のタイミングをフレーム時間1と認識し、動作テーブルのフレーム時間1に書かれた「M1」という情報に基づいて、Master動作を行い、かつ、ビーコンに情報「M1」を入れて送信する。以後、フレーム時間毎に動作テーブルが読み出される。フレーム時間7では、動作テーブルに「M」と書かれているため、Master動作を行う。その他の時間では休止する。以後、動作周期=8(フレーム時間×8)で動作を繰り返す。
【0073】
Slave11,12は、ビーコンを監視し、MasterのMACアドレスと一致し、かつ、「M1」と書かれたビーコンを受信できるまでビーコンの探査を行う。所望のビーコンが受信できると、そのフレーム時間をフレーム時間1と認識し、Slave動作を行う。以後、動作テーブルに従って動作する。本例では、フレーム時間7においてもSlave動作を行う。
【0074】
REP20は、ビーコンを監視し、MasterのMACアドレスと一致し、かつ、「M1」と書かれたビーコンを受信できるまでビーコンの探査を行う。所望のビーコンが受信できると、そのフレーム時間をフレーム時間1と認識し、Slave動作を行う。以後、動作テーブルに従って動作する。本例では、フレーム時間2で「M1」のMaster動作(すなわち、複数回Master動作する場合の最初のMaster動作)を行い、フレーム時間5,8でMaster動作、フレーム時間7でSlave動作を行う。
【0075】
REP30は、ビーコンを監視し、MasterのMACアドレスと一致し、かつ、「M1」と書かれたビーコンを受信できるまでビーコンの探査を行う。所望のビーコンが受信できると、そのフレーム時間をフレーム時間1と認識し、Slave動作を行う。以後、動作テーブルに従って動作する。本例ではフレーム時間2で「M1」のMaster動作を行い、フレーム時間5でMaster動作、フレーム時間4,7でSlave動作を行う。なお、本装置の動作の場合、上位のMasterであるREP20が「M1」動作する時間をフレーム時間1と認識するため、図10に示す動作テーブルでのフレーム時間と、図9に示す時刻とは一致しない。具体的に、図10の方がフレーム時間1個分左にずれることになる。
【0076】
同様に、他のSlave、REPも、MasterのMACアドレスと一致し、かつ、「M1」の情報の入ったビーコンの受信タイミングをフレーム時間1と認識した上で、動作テーブルに従って動作する。
【0077】
以上の動作を行うことで、装置毎に可変設定された動作頻度に基づいて、干渉することなく中継動作することが可能となる。特に、収容されているSlave数が多く、トラヒック発生の多い箇所の動作頻度を多く設定することにより、データの中継遅延を減少させることが可能となる。
【0078】
なお、上記説明では、動作テーブルは各装置に初期設定する(図10の1行分)としたが、Master10に図10の全ての行のテーブルを設定し、他の装置には動作テーブルを初期設定せず、自装置が動作テーブルの何行目を参照すればよいかだけの情報を設定してもよい。この場合、Master10が送信するビーコンに全ての動作テーブル情報を入れて送信して下位装置に伝えていくことにすれば、各装置への個別の設定は不要である。また、下位REPは、動作テーブルが入手できるまではSlave動作のみを行う(動作テーブルの入手まではMaster動作するタイミングを認識できないため。なお、Slaveとして動作するタイミングはMasterのMACアドレスが含まれるビーコンを探査することで認識可)。また、動作テーブルの伝達手法として、ビーコン以外にも、アプリケーションレイヤの通信によって、動作テーブルを入手するようにしてもよい。なお、この場合も、動作テーブルの入手までは、Slave動作のみを行えばよい。
【0079】
実施の形態6.
上述の実施の形態5では、各装置に動作周期と動作テーブルのパラメータを予め設定する必要があった。したがって、実施の形態5にかかる手法のみでは、動作タイミングを運用中に変更することができない。また、実施の形態5にかかる手法では、パラメータを変更する際には、装置をリセットする必要があるため、その間、通信が切断されてしまう。そこで、本実施の形態では、動作タイミングを運用中に変更する手法について説明する。
【0080】
まず、動作タイミングを運用中に変更する手法の概要について説明する。なお、通常時(運用時)の動作は、実施の形態5と同一であり、その説明を省略する。
【0081】
動作タイミングを変更する際には、まず、動作テーブルを変更する必要がある。このため、旧動作テーブルから新動作テーブルに切り替えるためのタイミング情報をMasterから下位装置に転送した後、一斉に新動作テーブルに切り替えることを行う。なお、切り替えタイミングは、動作周期の最後のフレーム時間が終わったタイミングとする。
【0082】
新動作テーブルは、Master動作する装置がビーコンに含めて通知しても、アプリケーションレイヤで通信することで通知してもよい。なお、新動作テーブルへの切り替えタイミングは、フレーム時間単位で切り替える必要があるため、アプリケーションレイヤを利用した通知処理では、ネットワークの規模が大きくなると、全装置における同時切り替え処理が困難となる場合がある。このような場合には、切り替えタイミングの情報は、ビーコンを利用して通知することが好ましい。
【0083】
つぎに、新動作テーブルへの切り替え動作について図11を参照して説明する。ここで、図11は、新動作テーブルへの切り替え動作を示すシーケンス図である。
【0084】
まず、新動作テーブルの情報をMaster10から下位の装置へ通知する(ステップS10)。この通知は、図10に示す現在の動作テーブルに基づいて決定される図9の動作タイミングチャートに従って行われる。具体的には、Master10からSlave11,12およびREP20,40(シーケンスSQ101:時刻1)、REP20からSlave21〜25およびREP30(シーケンスSQ102:時刻2)、REP30からSlave31〜33(シーケンスSQ103:時刻3)、REP40からSlave41(シーケンスSQ104:時刻4)、REP20からSlave21〜25およびREP30(シーケンスSQ105:時刻5)、REP30からSlave31〜33(シーケンスSQ106:時刻6)、Master10からSlave11,12およびREP20,40(シーケンスSQ107:時刻7)、REP20からSlave21〜25およびREP30(シーケンスSQ108:時刻8)、という各シーケンスに従って新動作テーブルが全装置に通知される。なお、この通知には時間がかかってもよい。また、新動作テーブルの情報が通知されるまでの間は、現在使用している動作テーブルで動作を続ける。
【0085】
いま、動作周期のn(nは自然数)倍の時間の経過後、全装置に新動作テーブルを通知できたものとする(ステップS15)このときの時刻を8n(動作周期「8」×n)フレームとする。
【0086】
つぎに、新動作テーブルが通知できた時刻のつぎの時刻、すなわち時刻8n+1から、新動作テーブルへの切り替えタイミング情報をビーコンに入れ、新動作テーブルの通知と同様な手順にてMaster10から全装置に対して通知する(ステップ20、シーケンスSQ121〜128)。
【0087】
切り替えタイミングの情報として、例えば「次の動作周期タイミング」という情報とする。各装置は、現在の動作周期を認識しているため、この情報に基づいて、切り替えタイミングを認識することができる。また、「次の動作周期タイミング」という切り替えタイミング情報に代えて、「動作周期のL倍の時間後」と伝達してもよい。この場合、全装置は動作周期が1周するたびにLの値を1ずつ減らしていく。そして、L=1(次の動作周期で切り替え)となると、その動作周期終了後に、全装置は新動作テーブルで動作を開始する。
【0088】
上記のようなステップで動作させることで、運用中に動作テーブルを変更することができ、Slaveの追加・削除などネットワーク構成変更に応じた柔軟な動作を行うことが可能となる。
【0089】
また、上記の説明において、「新動作テーブルを各装置に通知する」、と説明したが、実施の形態1〜5で説明したように動作テーブルを用いずに動作周期と切り替え遅延のパラメータで動作させている場合には、動作周期および切り替え遅延の各情報を上記と同様にビーコンあるいはアプリケーションレイヤで各装置に通知してから、切り替えタイミングの情報をビーコンで転送するとともに、現在の動作周期の切れ目で、新しいパラメータ(動作周期、切り替え遅延)に変更するような手順とすればよい。
【0090】
実施の形態7.
実施の形態6では、運用中に動作テーブルを変更する場合の一例を示した。一方、本実施の形態では、装置を増設する場合の動作について説明する。装置増設の例として、図12に示すようにMaster10とREP20,30、Slave11,12,21,22,31,32の構成で動作しているときに、Slave41,42を収容するために、REP40を増設する場合を想定する。このとき、動作周期は「3」から「4」に変更される。
【0091】
この場合、全装置に新パラメータ(動作周期=4)を設定してから立ち上げ直すことでも動作は可能であるが、サービス中のSlave11,12,21,22,31,32の通信が切断されるという影響がある。また、上位の装置から接続していくため、システムが大規模の場合には、下位の装置での通信断時間が長くなってしまうという欠点がある。本実施の形態は、このような欠点を回避するための手法として非常に有用である。
【0092】
つぎに、システムの構成に変更があった場合の新パラメータへの切り替え動作について図13を参照して説明する。ここで、図13は、新パラメータへの切り替え動作を示すシーケンス図である。
【0093】
図12の上段部に示す装置構成で動作しているとき、Slave41,42およびREP40が追加され、図12の下段部に示す装置構成に変更されたものとする。このような場合、新規に追加した装置が通信開始できるまでの時間は長くても許容できると考えられるが、既存装置の通信断は発生しないことが望ましい。そのため、動作周期を即時に変更することは好ましくなく、動作しているREP、Slaveに動作周期変更を通知してから一斉に切り替えることが好ましい。
【0094】
そこで、新たに追加したREP40は、まず、REP30のSlaveとして動作させる。より詳細には、所望のMasterのMACアドレスが含まれるビーコンを探査し、ビーコンが見つかると、そのときのフレーム時間でSlave動作を開始する(ステップS51)。なお、上述の実施の形態2のように、ビーコンに動作周期の情報が含まれている場合には、ビーコンの探査によって動作周期を認識することができ、当該動作周期でSlave動作が繰り返される。
【0095】
REP40は、上位MasterであるREP30に自身がREPであるということを通知(参入通知)する(シーケンスSQ501)。REP30は、追加された装置がREPであることを理解すると、そのREPがMasterとして動作する動作周期を与える必要があるため、上位のMasterであるREP20にREP40が新規追加されたことを通知する(シーケンスSQ502)。同様に、REP20はMaster10にREP40が新規追加されたことを通知する(シーケンスSQ503)。
【0096】
Master10は、REP40が追加されたことを認識し、新たなパラメータを計算する(ステップS52)。このとき、直列に接続された場合であれば、動作周期のみを通知するだけでよいが、分岐して接続された場合には、動作周期および切り替え遅延(休止時間)のパラメータも通知する必要がある。なお、本例では、直列に接続された場合を一例として示しているので、REPの切り替え遅延は全て0であり、動作周期のみを計算すればよい。
【0097】
そして、Master10によって計算された新パラメータ(動作周期)は、Master10から下位の装置(REP、Slave)に通知される(シーケンスSQ504〜SQ506)。なお、既存装置は、旧パラメータで動作を続けているため、既存装置の通信断を回避するという目的では、この通知に時間がかかっても構わない。このため、アプリケーションレイヤで通信を行っても、あるいは、ビーコンの中に新パラメータを入れて通知してもよい。ただし、アプリケーションレイヤで通知する場合には、1対1の通信であるため、配下の装置に個別に通知が必要である。なお、ビーコンで通知する場合は、配下の装置にブロードキャストされるため、1回送信すればよい。
【0098】
図13のシーケンスでは、新パラメータの通知がノイズ等により失敗してもリカバリが可能なようにREP、Slaveから「新パラメータ受領応答」を返信することにしている(シーケンスSQ507〜SQ509)。Master動作を行う装置は、「新パラメータ受領応答」が受領できない配下の装置があれば、再度「新パラメータ通知」を送信する。
【0099】
全ての装置に新パラメータが通知できたことをMaster10が確認できると、Master10から「切り替えタイミング通知」として、新パラメータに切り替えるタイミング情報を通知する(シーケンスSQ510〜SQ515)。このタイミング情報の単位は、フレーム時間とし、現在の動作周期の整数倍とする。図13の例では、動作周期が3であり、その2倍の6フレーム時間後から切り替えることとしている。切り替えタイミングは、フレーム時間単位の精度が要求されるため、アプリケーションレイヤではなく、ビーコンに入れて通知することが好ましい。
【0100】
つぎに、新パラメータに切り替えるタイミング情報の通知に関して、より詳細に説明する。まず、Master10は、切り替えタイミング=6として配下のSlave11,12およびREP20に通知する(シーケンスSQ510)。REP20は、つぎのフレーム時間でMaster動作を行うため、前時刻で受信した切り替えタイミングの値から1減算し、切り替えタイミング=5を通知する(シーケンスSQ511)。以下同様に、REP30は、切り替えタイミング=4を通知する(シーケンスSQ512)。ここで、つぎの時刻は、Master10の動作タイミングであるが、Master10は、前回の通知時に、切り替えタイミング=6を通知したが、今回は、前回通知した切り替えタイミング=6から現在の動作周期である3を減じた値である切り替えタイミング=3を通知する(シーケンスSQ513)。以後、各REPは、切り替えタイミングの値から1ずつ減算して後段に通知する(シーケンスSQ514,SQ515)。新規端末であるSlave41,42を収容するREP40は、REP30からのビーコンに含まれる切り替えタイミングの値から、新パラメータで動作する開始時刻を把握する。具体的には、切り替えタイミング=0となるフレーム時間で新パラメータによる動作が開始される(ステップS53)。
【0101】
図13の例では、切り替え遅延=0のため、REP40は、REP30から通知された切り替えタイミング=1を受信したフレーム時間の次のフレーム時間から、新パラメータ(動作周期=4)での動作およびMaster動作の双方が可能となる。実際には、Master10のMaster動作開始時刻を時刻1とするとき、時刻4のときにREP40はMaster動作を開始する(ステップS57)。なお、その他の装置(Master、REP、Slave)も、切り替えタイミング=0となる時間から、新パラメータ(動作周期、切り替え遅延)による動作(Master動作、Slave動作)が開始される(ステップS54〜S56,S58)。
【0102】
一方、REP40の配下にあるSlave41,42は、REP40がMaster動作を開始してから、ようやくMaster10のMACアドレスが含まれるビーコンの受信が可能となり、REP40との通信が可能となる。
【0103】
なお、上記の説明では、装置を増設する場合の動作について、実施の形態1〜5に示すような「動作テーブルを用いずに動作周期と切り替え遅延のパラメータで動作する」場合を一例として説明したが、実施の形態6,7に示すような「動作テーブルで動作する」場合であっても、本実施の形態の手法を適用することができる。この場合、新たな動作テーブルの情報を上記と同様にビーコンあるいはアプリケーションレイヤで各装置に通知するとともに、新動作テーブルへの切り替えタイミングの情報をビーコンで転送するような手順をとればよい。
【0104】
上記のようなステップにより、新しいREPを追加した場合でも、システムの運用中に既存装置の通信を切断することなく新たなREPを収容することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上のように、本発明は、遠距離に配置された装置間のデータ中継を単一周波数を用いて行うデータ中継システムおよびデータ中継方法として有用である。
【符号の説明】
【0106】
10 Master(親局)
11,21〜25,31〜33,41,42,51,52,61,62 Slave(子局、端末)
20,30,40,50,60 REP(Reapeater:中継器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局装置と、
前記親局装置に時分割多元接続され、前記親局装置から送信された信号を中継する中継装置と、
前記中継装置に時分割多元接続された子局装置と、
を備え、
前記中継装置は、自身に時分割多元接続される子局装置の親局として動作し、
時分割多元接続の動作周期にかかるパラメータが前記親局装置および前記中継装置に設定されるとともに、自身の動作タイミングを決定するパラメータが前記中継装置に設定され、
前記動作周期にかかるパラメータおよび前記自身の動作タイミングを決定するパラメータに基づいて前記中継装置が動作すること、
を特徴とするデータ中継システム。
【請求項2】
前記動作周期にかかるパラメータおよび前記自身の動作タイミングを決定するパラメータが、システムの動作時に親局として動作する装置からビーコン信号またはアプリケーションレイヤの信号に含められて伝達されることを特徴とする請求項1に記載のデータ中継システム。
【請求項3】
前記ビーコン信号または前記アプリケーションレイヤの信号に含められて上位装置から伝達された新たなパラメータが前記中継装置および前記子局装置にて一旦保持され、
現在のパラメータから新たなパラメータへの一斉変更を行う際の切り替えタイミングを示す信号が前記親局装置から前記ビーコン信号に含まれて伝達されることを特徴とする請求項2に記載のデータ中継システム。
【請求項4】
前記動作周期のパラメータ値が、システム内の親局装置および中継装置の合計数に一致することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ中継システム。
【請求項5】
前記動作周期のパラメータ値が、システム内の親局装置および中継装置の合計数よりも小さな値に設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ中継システム。
【請求項6】
前記動作周期のパラメータ値が、システム内の親局装置および中継装置の合計数よりも大きな値に設定され、
前記親局装置および前記中継装置のうちの特定の装置が、前記動作周期内で親局として複数回動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ中継システム。
【請求項7】
親局装置と、前記親局装置に時分割多元接続され、前記親局装置から送信された信号を中継する中継装置と、前記中継装置に時分割多元接続される子局装置と、を備え、
前記中継装置は、自身に時分割多元接続される子局装置の親局として動作するデータ中継システムに適用可能なデータ中継方法であって、
前記親局装置および前記子局装置では、時分割多元接続の動作周期にかかるパラメータを設定し、前記中継装置では、時分割多元接続の動作周期および自身の動作タイミングを決定するパラメータを設定するパラメータ設定ステップと、
前記パラメータ設定ステップにおいて設定された動作周期にかかるパラメータおよび自身の動作タイミングを決定するパラメータに基づいて前記親局装置および前記中継装置が信号を送信する信号送信ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ中継方法。
【請求項8】
新たな中継装置の参入を上位装置側に通知する参入通知ステップと、前記動作周期および前記自身の動作タイミングを決定するパラメータにかかる新パラメータを算出するパラメータ算出ステップと、をさらに有し、
前記パラメータ算出ステップは、前記参入通知ステップによって通知された中継装置の参入位置に基づいて前記動作周期および前記自身の動作タイミングを決定するパラメータにかかる新パラメータを算出することを特徴とする請求項7に記載のデータ中継方法。
【請求項9】
親局装置に時分割多元接続されるとともに、前記親局装置から送信された信号を中継する中継装置であって、
自身に時分割多元接続された子局装置の親局として動作し、
時分割多元接続の動作周期にかかるパラメータおよび自身の動作タイミングを決定するパラメータが設定され、
前記動作周期にかかるパラメータおよび前記自身の動作タイミングを決定するパラメータに基づいて動作すること、
を特徴とする中継装置。
【請求項1】
親局装置と、
前記親局装置に時分割多元接続され、前記親局装置から送信された信号を中継する中継装置と、
前記中継装置に時分割多元接続された子局装置と、
を備え、
前記中継装置は、自身に時分割多元接続される子局装置の親局として動作し、
時分割多元接続の動作周期にかかるパラメータが前記親局装置および前記中継装置に設定されるとともに、自身の動作タイミングを決定するパラメータが前記中継装置に設定され、
前記動作周期にかかるパラメータおよび前記自身の動作タイミングを決定するパラメータに基づいて前記中継装置が動作すること、
を特徴とするデータ中継システム。
【請求項2】
前記動作周期にかかるパラメータおよび前記自身の動作タイミングを決定するパラメータが、システムの動作時に親局として動作する装置からビーコン信号またはアプリケーションレイヤの信号に含められて伝達されることを特徴とする請求項1に記載のデータ中継システム。
【請求項3】
前記ビーコン信号または前記アプリケーションレイヤの信号に含められて上位装置から伝達された新たなパラメータが前記中継装置および前記子局装置にて一旦保持され、
現在のパラメータから新たなパラメータへの一斉変更を行う際の切り替えタイミングを示す信号が前記親局装置から前記ビーコン信号に含まれて伝達されることを特徴とする請求項2に記載のデータ中継システム。
【請求項4】
前記動作周期のパラメータ値が、システム内の親局装置および中継装置の合計数に一致することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ中継システム。
【請求項5】
前記動作周期のパラメータ値が、システム内の親局装置および中継装置の合計数よりも小さな値に設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ中継システム。
【請求項6】
前記動作周期のパラメータ値が、システム内の親局装置および中継装置の合計数よりも大きな値に設定され、
前記親局装置および前記中継装置のうちの特定の装置が、前記動作周期内で親局として複数回動作することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ中継システム。
【請求項7】
親局装置と、前記親局装置に時分割多元接続され、前記親局装置から送信された信号を中継する中継装置と、前記中継装置に時分割多元接続される子局装置と、を備え、
前記中継装置は、自身に時分割多元接続される子局装置の親局として動作するデータ中継システムに適用可能なデータ中継方法であって、
前記親局装置および前記子局装置では、時分割多元接続の動作周期にかかるパラメータを設定し、前記中継装置では、時分割多元接続の動作周期および自身の動作タイミングを決定するパラメータを設定するパラメータ設定ステップと、
前記パラメータ設定ステップにおいて設定された動作周期にかかるパラメータおよび自身の動作タイミングを決定するパラメータに基づいて前記親局装置および前記中継装置が信号を送信する信号送信ステップと、
を備えたことを特徴とするデータ中継方法。
【請求項8】
新たな中継装置の参入を上位装置側に通知する参入通知ステップと、前記動作周期および前記自身の動作タイミングを決定するパラメータにかかる新パラメータを算出するパラメータ算出ステップと、をさらに有し、
前記パラメータ算出ステップは、前記参入通知ステップによって通知された中継装置の参入位置に基づいて前記動作周期および前記自身の動作タイミングを決定するパラメータにかかる新パラメータを算出することを特徴とする請求項7に記載のデータ中継方法。
【請求項9】
親局装置に時分割多元接続されるとともに、前記親局装置から送信された信号を中継する中継装置であって、
自身に時分割多元接続された子局装置の親局として動作し、
時分割多元接続の動作周期にかかるパラメータおよび自身の動作タイミングを決定するパラメータが設定され、
前記動作周期にかかるパラメータおよび前記自身の動作タイミングを決定するパラメータに基づいて動作すること、
を特徴とする中継装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−70406(P2012−70406A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241435(P2011−241435)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【分割の表示】特願2008−524688(P2008−524688)の分割
【原出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【分割の表示】特願2008−524688(P2008−524688)の分割
【原出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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