説明

データ伝送方法

【課題】伝送条件に合った伝送パラメータを伴う伝送を保証し、同時にできるだけ僅かな付加的な自由な送信容量を必要とする方法または装置を提供すること。
【解決手段】a)送信者はデータを受信者に伝送し、伝送の伝送パラメータを、無線チャネルの第1のチャネル品質に基づいて調整し、b)受信者はデータを受信し、c)受信者はデータから、使用されている伝送パラメータを介して第1のチャネル品質を求め、d)受信されたデータの品質を介して、第2の、目下のチャネル品質を求め、e)受信者は第1のチャネル品質と第2のチャネル品質を比較し、f)第1のチャネル品質および第2のチャネル品質が所定のトレランス値を越えて相違している場合には、g)受信者は差を送信者に伝達し、送信者は新たに第1のチャネル品質を求め、これに基づいて少なくとも1つの伝送パラメータを調整する、データ伝送方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信者と受信者の間の無線データチャネルを介したデータ伝送方法に関する。ここでは、データ伝送パラメータが、無線データチャネルのクオリティに依存して設定される。
【背景技術】
【0002】
データが送信者から受信者に伝送されるときには次のことが重要である。すなわち一方ではデータが受信者の要求を満たすクオリティに達し、他方ではデータ伝送ができるだけ僅かなリソースで行われることが重要である。
【0003】
伝送経路上のエラーの影響をデータが受けないようにするために、データは符号化される。さらに、殊に無線通信網の場合には送信者はさらに自身の送信出力を伝送条件に合わせることができる。
【0004】
目下の伝送に適した符号化を行うために、送信者は受信側の受信クオリティを知らなければならない。適応した符号化の枠内で、変調方式およびコードレートが整合される。移動通信網ではこれに関連して、adaptiv Modulation and Coding(AMC)という言葉が用いられる。変調方式とは、情報搬送信号に依存してキャリアが変えられ方式のことである。無線通信の領域内では例えばQPSK変調方式(横軸位相偏移変調)または16QAM(横軸振幅変調)がある。コードレートは、例えば、1秒毎に何キロビット(Kbps)伝送されるのかをあらわす。
【0005】
しばしば変調方式は変調および符号化方式MCSに拡張される。ここでは変調方式の他に付加的にコードレートが示される。
【0006】
これを以下で特別な通信ネットワーク、すなわちUMTS移動無線システムの例に基づいてより詳細に説明する。ここでまずは幾つかの概念を導入する。
【0007】
使用されている概念
通信システムまたは通信ネットワークとは、データを交換するためのストラクチャのことである。これは例えばGSMネットワーク(Global System of Mobile Communications)またはUMTSネットワーク(Universal Mobile Telecommunications System)である。通信システムには一般的に、ターミナルとベースステーションが設けられている。UMTSでは、通信システムまたは無線伝送ネットワークは少なくともベースステーション(ここではノードB(NodeB)とも称される)と、個々のベースステーションを接続する無線ネットワーク制御装置(RNC)を有する。「Universal Terrestrial Radio Access Network」UTRANは、UMTSネットワークの機能的な部分である。ここでは例えば無線インターフェースも使用可能である。無線インターフェースは規格化されており、データ交換に対する物理的およびプロトコール的な拘束の全体を定めている。これは例えば変調方法、帯域幅、周波数ストローク、アクセス方法、防護プロシージャまたは仲介技術である。すなわちUTRANは、少なくともベースステーションと少なくとも1つのRNCを含む。
【0008】
セルラー方式の移動通信システムには、種々異なる機能伝送技術が設けられている。これは、どのように物理的な接続リソースが分割されるのかを定める。UMTSの場合には現在、周波数分割複信(FDD)モード並びに時分割複信(TDD)モードが設けられている。FDDモードの場合には、データ伝送はいわゆる「アップリンク」および「ダウンリンク」から種々異なる周波数で周波数多重分割によって行われる。また、ここではTDDモードでデータ伝送はアップリンクおよびダウンリンクから同じ周波数で時間多重分割によって行われる。
【0009】
ベースステーションは、通信ネットワークにおける中央ユニットである。これはセルラー方式移動無線ネットワークの場合には、移動無線ネットワークのセル内のターミナルまたは通信端末機器を、1つまたは複数の無線チャネルを介してコントロール。ベースステーションは、ベースステーションとターミナルの間にエアインターフェースを供給する。このエアインターフェースは、モバイル加入者との無線操作の処理を担い、物理的な無線接続を監視する。さらにこれは有効メッセージおよび状態メッセージをターミナルへ伝送する。ベースステーションは仲介機能を有しておらず、供給機能しか有していない。ベースステーションは少なくとも1つの送信/受信ユニットを含む。
【0010】
ターミナルは、任意の通信端末機器である。これを介して、ユーザは通信システム内で通信を行う。例えば移動無線端末機器または無線モジュールを有する携帯可能なコンピュータがこれに該当する。ターミナルはしばしば「モバイルステーション」(MS)またはUMTSでは「ユーザ・イクイップメント」(UE)とも称される。
【0011】
移動無線では、2つの接続方向が区別される。「ダウンリンク」(DL)は、ベースステーションからターミナルへの伝送方向を示す。「アップリンク」(UL)は、ターミナルからベースステーションへの反対の伝送方向を示す。
【0012】
例えばUMTS移動無線網等のブロードバンド伝送システム内では、チャネルは、使用される全伝送容量の部分領域である。本願の枠内では無線チャネルとして、無線通信路が示される。
【0013】
移動無線システム(例えばUMTS)では、データ伝送のために2種類の物理的チャネルがある:固定割り当てされたチャネルないし「専用チャネル」および共通で使用されるチャネルないしは「コモンチャネル」である。専用チャネルの場合には、物理的なリソースが、特定のターミナルに対する情報伝送のためだけに予約される。コモンチャネルでは、全てのターミナルに向けられている情報が伝送され、これは例えばダウンリンクにおける「primary Common Control Physical Channel」(P−CCPCH)である。または全てのターミナルは物理的なリソースをシェアする。これは各ターミナルがこれを短期間のみ使用できることで行われる。これは例えば、アップリンクにおける「Physical Random Access Channel」 (PRACH)の場合である。
【0014】
共通チャネルまたは専用チャネルを介した伝送時には、データは、拡張コードないしはより確実な伝送に対する「チャネリゼーションコード:Channelisation Codes」による帯域幅拡張の他に、付加的に、特別な接続を識別する「スクランブリング:Scrambling」プロシージャを受ける。このために、伝送方向、チャネルタイプおよび無線伝送技術に依存して種々異なるタイプの「Scrambling Code」が使用される。
【0015】
データシーケンスからのビットは主にシンボルと称され、帯域幅拡張シーケンスのビットがチップと称される。
【0016】
移動無線システム(例えばUMTS)では、「回線交換」サービスの他に「パケット交換」サービスも設けられている。これを介してデータはパケット毎に搬送される。
【0017】
既に存在している「Downlink-Shared-Channel」(DSCH)に対する拡張は、いわゆるHigh Speed Downlink Shared Channel(HSDSCH)である。これには相応するコントロールチャネル、例えば「HS−DSCHに対するShared Control Channel(HS−SCCH)が割り当てられている。
【0018】
UMTSにおけるHSDPAの場合におけるチャネル品質の特定
これまでは、送信者(例えばベースステーション)がチャネル品質をデータ受信時に識別することを可能にするために、メッセージまたはチャネル測定メッセージがデータの送信者に送られていた。送信者はこれに基づいて、受信者でデータが受信されるときのチャネル品質を見積もることができる。UMTSシステムにおけるHSDPAの場合に対してはダウンリンクデータ伝送の場合には、これは例えば以下のように経過する:モバイルステーションは規格化されたメッセージないしCQIメッセージ(CQI:チャネル品質識別子)をベースステーションに送る。このCQIメッセージは事前に定められた規格化された形式で、受信者によって測定されたチャネル品質に関する情報を含む。ここからベースステーションは、データが受信される受信時に伴うチャネル品質を求める。求められたチャネル品質に基づいて、ベースステーションは、モバイルステーションへのデータの送出のためにデータ伝送パラメータを選択する。このようなデータ伝送パラメータは例えば変調方式、符号化レートまたは送信出力である。
【0019】
しかしチャネル品質は、時間の経過において変化する。従って、規則的な間隔でCQIメッセージがモバイルステーションからベースステーションへ送られ、チャネル品質は再び新たに定められ、伝達される。
【0020】
要約すると、CQIメッセージの送出は、送信者におけるチャネル品質を知っていなければならないという問題を解決する。しかしCQIメッセージは送信されなければならず、アップリンクにおいて(すなわちモバイルステーションからベースステーションへの伝送において)リソースを占有する。このようなリソース負荷をできるだけ僅かに維持し、また充分な精度でチャネル情報を知るために、以下の改善が可能である。
【0021】
1)CQIメッセージが各フレーム内で伝送されるのではなく、すなわち、可能な最大頻度で伝送されるのではなく、k個のフレームにおいて一度だけ伝送される。ここでkはベースステーションからモバイルステーションへ伝達される。従って例えば速度が遅い場合には、伝送特性はそれほど迅速には変化せず、低減されたCQIメッセージ伝送レートで充分である。これに対して、チャネルが時間とともに著しく変化する、モバイルステーションが迅速に動く場合には、より高い伝送レートが必要とされる(すなわちkはより小さくなる)。
【0022】
2)データの復号化が受信側で不成功に終わった場合に、CQIメッセージが正確に伝送される。これはベースステーションに、いわゆるNACK(Negative ACKnowledge)によって伝達される。NACKに続いて、モバイルステーションはこの提案に従ってCQIを送る。これに基づいてベースステーションはその後、より良好な設定を行うことができる。
【0023】
しかしこの方法は、以下に示すようにこの問題を確実に解決しない:
伝送クオリティが過度に悪くなく、過度に良好な場合には、典型的には全てのメッセージが正確に受信され、NACKは送信されず、ACK(Positives ACKowledge, ポジティブ確認)が送信される。しかし過度に良好なクオリティを伴う伝送は同じように副次的に最適である。なぜならこれによってリソース(殊にベースステーションの送信出力ないしは全ての他のモバイルステーションでは付加的な妨害)が占有されるからである。これは本来では必要ではなく、従って他の接続に対して使用されるべきである。
【0024】
さらに、ARQ方法(殊にHARQハイブリッドARQ)の最適な作用は次の場合には得られない。すなわち、全てのまたはほぼ全てのパケットが直ちに正しく受信されるのではなく、約10%〜30%で復号化が失敗に終わる場合である。このような場合には繰り返し伝送が要求されなければならないが、これは高いリソースコストを必要とする。しかし他方では70〜90%の確率で正しく復号化されればよい場合には、より高い復号化レートが要求される場合よりも格段に僅かな出力で伝送が実行される。従って合計でエネルギーないしリソースが節約される。
【0025】
しかしこのような実現に関連して、これは次のことを意味する。すなわち、必要でないのにもかかわらず、最適な設定時にもまだ10%〜30%の場合にCQIメッセージが送出されることを意味する。設定は既に最適であり、変えられる必要はないのでこれは不必要である。
【0026】
さらなる提案では、少なくとも速度が高い場合には目下のチャネル状態は伝送されず、数個のフレームを遡った過去が平均化される。この背景には次のような事実がある。すなわち迅速な漸減(ファストフェイディング)によって生じるチャネル特性は、速度が高い場合には迅速に変化し、これに関する情報がベースステーションで生じる際にはすでに古くなっているという事実である。しかしモバイルステーションの一般的な位置および大きな空間のストラクチャでのシャドーイングおよび回折現象によって生じる付加的なチャネル減衰(いわゆる「ログノーマルフェイディング」)は緩慢に変化し、それほど速くは古くならない。平均化によって、迅速なフェイディングによる変動が除去され、より正確な平均値が求められる。このような方法は、それ自体最適な迅速な伝送の問題を解決しない。しかしこれは少なくとも平均的な伝送品質に関する知識をより良いものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
このような従来技術に基づいて、本願の課題は、伝送条件に合った伝送パラメータを伴う伝送を保証し、それと同時にできるだけ僅かな付加的な自由な送信容量を必要とする方法または装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上述の課題は、送信者(BS,MS)と受信者(MS,BS)の間での、通信網(CN)の無線チャネルを介したデータ伝送方法であって、伝送パラメータを以下のステップで調整し:すなわち、
a)前記送信者はデータを前記受信者に伝送し、当該伝送は少なくとも1つの伝送パラメータによって特徴付けられており、当該伝送パラメータを、送信者に既知の、前記無線チャネルの第1のチャネル品質に基づいて調整し、
b)前記受信者はデータを受信し、
c)前記受信者は当該データから、少なくとも1つの使用されている伝送パラメータを介して、送信者に既知の第1のチャネル品質を求め、
d)受信されたデータの品質を介して、第2の、目下のチャネル品質を求め、
e)前記受信者は第1のチャネル品質と第2のチャネル品質を比較し、
f)第1のチャネル品質および第2のチャネル品質が所定のトレランス値を越えて相違している場合には、
g)受信者は差を送信者に伝達し、引き続き、送信者は新たに第1のチャネル品質を求め、これに基づいて少なくとも1つの伝送パラメータを調整する、
ことを特徴とする、データ伝送方法、ないしは、この方法を実行することができるように構成されている、プロセッサユニットを有するモバイルステーション、この方法を実行することができるように構成されている、プロセッサユニットを有するベースステーションおよび、このモバイルステーションおよびベースステーションを含む通信網によって解決される。本発明の有利な構成および発展形態は従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】伝送パラメータが伝送条件に合わせられる形式の通信網におけるモバイルステーションとベースステーションの間の通信を概略的に示した図。
【図2】チャネルパラメータの調整の流れに関するフローチャート。
【図3】CQIマッピングテーブルからの抜粋。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の核となる部分は、目下使用されている伝送パラメータが伝送状態に整合していない、すなわち良すぎるまたは悪すぎることを受信側確認すると、データ受信側が正確に、チャネル測定のための付加的なメッセージをデータ送信側に送るということである。
【0031】
本発明を以下で、選択された実施例に基づいてより詳細に説明する。これは部分的に図示されている。
【実施例】
【0032】
以下では、HSDPA伝送に関連した例を引き合いに出すが、本発明はその多様な構成において、パケット交換方式またはパケット指向の伝送ないしチャネルにのみ適用されるのではなく、連続または回線交換方式の伝送にも適用可能である。同じようにダウンリンク方向へ限定されることはなく、同じようにアップリンク方向への伝送も可能である。ここではベースステーションとは異なり、モバイルステーションはリソースをセルに分割する権限を有していないことが考慮される。
【0033】
図1では、モバイルステーションMSは、ベースステーションBSにチャネル測定の伝送に対するメッセージCQIをHSDPAアップリンクコントロールチャネル「HS-DSCHに対するDedicated Physical Control Channel(アップリンク)」HS-DPCCHを介して伝送する。モバイルステーションは、このようなチャネル品質をパイロットチャネルの受信に基づいて測定し、これをCQIメッセージにおいて知らせる。UMTS内では、使用されているパイロットチャネルは「Primary Common Control Physical Channel(PCCPC)」または「Secundary Common Control Physical Channel(SCCPC)」である。チャネル測定のためのこのようなメッセージ(CQI)は規格化されており、従ってベースステーションBSは、どのチャネル品質がモバイルステーションにあるのかを認識している(UMTSではこのために「Primary Common Control Physical Channel(PCCPC)または「Secundary Common Control Physical Channel(SCCPC)」が用いられる)。チャネル品質を特定する際には、次のことが想定される。すなわちHSDPAデータチャネルHS−DSCHの出力が、パイロットチャネルの出力に対して所定の割合であり、しかし場合によってはベースステーションがこれとの偏差を考慮するということが想定される。伝送されたチャネル品質に基づいてベースステーションはデータ伝送パラメータを設定する。これによってデータがベースステーションBSからモバイルステーションMSへ、HSDPAデータチャネルHS−DSCHを介して伝送される。このような伝送パラメータは、例えば、変調方式および符号化方式、符号化レート、ベースステーションの送信出力等である。モバイルステーションは、ベースステーションからパケット単位で伝送されたデータを受信する。
【0034】
ここでモバイルステーションMSは種々異なる様式で、どの伝送パラメータが使用されたのかを確認する。
【0035】
a)UMTS−HSDPAでは、パケットの前に、変調方式および符号化方式に関する伝送パラメータ情報が伝送される。これはHS−SCCH上で行われ、並列かつ時間的に僅かに、データを搬送するHS−DSCHの前に送信される。
【0036】
b)伝送された出力はこのようにしてはモバイルステーションMSに伝送されない。従ってモバイルステーションMSは、送信出力の絶対値を求めることができず(これは例えばHSDPAパイロットチャネルを介したCQIメッセージの伝送時には可能である)、伝送が良すぎるのか悪すぎるのか相対的な値だけを確認することができる。
【0037】
図2には、伝送パラメータ設定の経過が再び概略的にまとめられている。
【0038】
送信出力、チャネル品質および他の伝送パラメータとの関係を以下に示す:
変調および符号化方式MCSは、例えば観測された信号雑音比、いわゆるSNR(Signal to Noise Ratio)と、MCSを所定のブロックエラーレート(例えば10%)で受信するのに必要なSNRとの差(これはデシベル(dB)であらわされる)に変換される。比較的弱い出力の2デシベルでも機能する変調および符号化方式MCSには2dbの値が割り当てられる。機能するとはこの場合には、例えばブロックエラーレートが10%を超えないことである。
【0039】
しかしHSDPAの場合には、単位としてむしろ変調および符号化方式MCSのナンバーが使用される。図3にはリストの1部が示されている。ここでは伝送エラーに関して異なる頑強性を有している種々異なる変調方式および符号化方式がリストアップされている。単位dBで差を表現する代わりに、このリスト内の指標も使用可能である。この場合には2は次のことを意味する。すなわち2つの単位ぶんだけより確実な変調および符号化方式を使用するべきであるということを意味する。目下の伝送がこのリストからの変調および符号化方式MCSによって実行されている場合、この代わりに2つのポジションぶんだけより頑強なMCSが使用されるべきであることを意味している。このリストからの変調および符号化方式が使用されていない場合、目下使用されている変調および符号化方式MCSがはじめに、他の、しかしながら等しい変調および符号化方式に変換され、この等しい変調および符号化方式MCSに関して差が形成される。
【0040】
伝送パラメータの少なくとも1つの部分を知らせる他に、変調MSが受信されたデータパケットを復号し、連続した確率判断を介して、推定されるオリジナルデータコンテンツまたは有効データコンテンツに達することが可能である。これはその後、どのコード化された表現がこの有効データコンテンツを理想的に所持しているのかを求め、どの程度、非理想的なチャネル品質がデータパケットを伝送の間に変えたのかが確認される。ここからエラーレート、例えばブロックエラーレートが定められる。
【0041】
通信システム、すなわちベースステーションまたはモバイルステーションによって、どのエラーレートが伝送に適用され得るのかが確定される。
【0042】
モバイルステーションMSによって求められた伝送レートが特定の所定のトレランス値を上回ると、モバイルステーションMSは新たなチャネル測定をチャネル測定メッセージCQIを介して伝達する。
【0043】
この手法は次のような利点を有している:
伝送パラメータは上述したように目下の状態に合わせられ、しかもCQIメッセージの不必要な送信によって、伝送リソースが浪費されることはない。このような出力整合は、伝送が良すぎる場合にも、悪すぎる場合にも使用される。過度に良好な伝送も、リソース利用の観点においては最適ではない。なぜなら本来は必要ではなく、従って他の接続に使用されるほうが良い多くのリソース、殊にベースステーションの送信出力ないし付加的に全ての他のモバイルステーションでの障害が占領されてしまうからである。さらに、殊にARQ方法(Automatic Repeat Request)、殊にハイブリットARQのHARQを用いたパケットデータ伝送の場合には、全てのまたはほぼ全てのパケットがただちに正しく受信される場合には最適な作動は得られない。むしろ次のような場合にリソースに関して最適な作動が得られる。すなわち約10〜30%の割合で復号化が失敗する場合である。このような場合には繰り返し伝送が要求され、これは相応のより高いリソースコストおよびより大きな遅延を意味するが、より高い復号化レートが要求される場合と比べて、70〜90%の確率で正しく復号化されればよい場合には、格段に僅かな出力で伝送が実現される。従って全体的にリソースが節約される。
【0044】
別の利点は、データチャネルのチャネル品質が考慮されることである。データチャネルの品質は、パイロットチャネルの品質と例えば次の点で異なる。すなわち、異なるスクランブルコードによって両方がランダム化されるという点で異なる。すなわち、いわゆる「一次」または「二次」スクラブルコードである。スクランブルコードは信号の帯域幅拡張に用いられる。なぜなら異なるスクランブルコードによってランダム化された信号は、異なって干渉する(stoeren)からである。殊に同じスクランブルコードでランダム化された信号は、異なるスクランブルコードでランダム化された信号よりも僅かに干渉し、パイロットチャネルは、データチャネルより多かれ少なかれ他の伝送によって干渉される。この場合には、データチャネル上の測定は、パイロットチャネル上の測定よりも正確である。さらにUMTSでは、ベースステーションを介した放射がしばしばいわゆるtransmit dieversity methodで行われる。ここではデータは複数のアンテナを介して放射される。モバイルステーションMSは、クオリティの計算時にこれを考慮することを試みるが、放射は種々異なるパラメータによって影響されるので、パイロットチャネルからのデータチャネルのクオリティの見積もりが、全ての場合において正確である、または満足される結果のみを供給しているかは確かではない。
【0045】
発明の実施例
−チャネル品質特定メッセージCQIないしはこれに属するフィードバックによって、ベースステーションに接続のクオリティが伝達される。
【0046】
実質的にその後、チャネル品質メッセージCQIに基づいて、変調および符号化方式が提案される。なぜならコードレートは、コードの数およびトランスポートブロックの大きさから計算されるからである。
【0047】
このような情報および別の判断基準に基づいて、ベースステーションは、ダウンリンクにおいて使用されるいわゆるトランスポートフォーマット(TF)を求める。トランスポートフォーマット(TF)は、パケットの内容を格段に確実に、すなわちビット精度で定め、これに使用される伝送リソースを定める。このために、トランスポートフォーマットTFは以下の情報を含む:
−使用されているチャネリゼーションコード(Channelisation-Code)の数および識別番号。チャネリゼーションコードは個々のサービスまたはユーザを別個にするために使用される。
−変調方法
−トランスポートブロックのサイズ
−冗長性および配置(Konstellation)バージョン。これは、どのビットがパケットのどの箇所に伝送されるべきかを正確に定める。
−さらに、付加的なコントロール情報が伝送される。これは、主にはトランスポートフォーマットの特定に用いられるのではなく、パケットの正しい処理に必要とされる。
−ハイブリッドIRQプロセスの認識番号。これは、パケットの多重伝送の場合にこれを復号化等のために正しく重ねるために用いられる。
−いわゆる「新データ識別子」。これは、新たなパケット伝送を、繰り返し伝送または先行パケットの繰り返し伝送と区別するために用いられる。
【0048】
以下では、有利な構成を、本発明の個々の特徴ないしその発展形態に関連して説明する。
【0049】
1.トレランス値
約1dBステップに相当するCQIフィードバックのシグナリングステップにおけるトレランスおよび偏差の記述。トレランスはここで、CQI伝送が開始されることなく存在し得る最大に許容される受信クオリティの偏差をあらわしている。
【0050】
過度に高い/低いクオリティに対する種々異なるトレランス値の記述。これによって意識的にモバイルステーションはサービスのより高い/低いクオリティを割り当て、このような個々の閾値を上回る/下回る場合に、モバイルステーションは新たなCQIだけを送る。
【0051】
トレランス値の記述。これは求められたチャネル品質と、使用されているMCSに必要なチャネル品質との間の最大の偏差を示す。これは上述したように、デシベルで示される。これによってどの程度出力が強くまたは出力が弱く、ないしはどのくらい多くのデシベルだけより頑強な、または頑強でない変調および符号化方式で作動されなければならないのかがあらわされる。このようなトレランス値は例えばモバイルステーションによって確定される。これは低いまたは高いサービスクオリティを伴うサービスに対して異なる。この場合にはモバイルステーションは、次のような場合にのみ、チャネル測定に対する新たなメッセージCQIを送る。すなわち、モバイルステーションによって設定されている個々の閾値を上回るないしは下回る場合である。チャネル品質の相応の割当は当然、ベースステーションの側からも行われる。
【0052】
2.サービスクオリティの調整設定
過度に良いまたは悪いクオリティで送られる、すなわち規定されたブロックエラーレートに達するのに必要とされるのよりも良好なまたはより不良なクオリティを有するデータパケットが、明確に示される(このためにはシグナリング情報の1ビットが必要である)。この場合、モバイルステーションはこのようなデータパケットを無視して、CQIを送らない。
【0053】
3.トランスポートフォーマットの変更
目下使用されているTFを、CQIフィードバックにおいて知らされる次のTFへ変換し、これがトレランス内であるか否かが比較される。変換時にはTFが計算される。このTFの有効データビット毎の伝送エネルギーは、知らされるTFの有効データビット毎の伝送エネルギーと最も近似している。図3に示されている表を参照するとこれは以下のことを意味する。すなわち表内に、整数ではない指標もさらに存在することを意味している。すなわち指標5〜5.7である。
【0054】
この表はCQI値と称される指標を示している。第2の列ではトランスポートブロックサイズが示されている。すなわちどれ位多くのビットがトランスポートブロック内にあるのかが示されている。次の列では、どれくらい多くの物理的高速ダウンリンクチャネルHS−PDSCHが伝送に割り当てられているのかが示されている。第4の列では変調方式が示されており、第5の列では基準出力整合が示されている。
【0055】
4.チャネル測定に対する付加的なメッセージの送信時点の整合
データ要求ないし「パケットコール」の終了時には、比較的少ないビットだけが残っている。これはその後、最後の伝送でモバイルステーションへ送信される。このような最後の伝送時には、サイズ(詳細には有効バイトの数)はもはや伝送条件に最適に整合されない(しかしさらに出力は整合される)。従ってここでは比較的僅かな、残存ビットが過度に多いエネルギーで、ひいては過度に良好な受信クオリティによって伝送される。これによって次のことが生じる。すなわちモバイルステーションはCQIを送るが、これは不必要である。なぜなら、チャネル特性に関する誤った情報が原因で過度に良好なクオリティは設定されないからである。有る程度の数の有効ビットを下回ると、過度に良好な伝送に基づいてCQIメッセージが送られないようにすることでこれは阻止される。伝送が過度に悪質である場合には、CQIメッセージが送られ得る。しかし、パケットコールがほぼ終了しており、最適化を行う価値がもはや(ほぼ)ないので、CQIメッセージが送られないように定めることもできる。
【0056】
さらに、付加的なCQIがデータパケットの最初の伝送時にのみ送信され、繰り返し時には送信されないようにすることが可能である。なぜなら、繰り返し伝送は一般的に、最初の伝送より低いエネルギーで送出されるからである:繰り返し伝送時には、それまでに伝送された全ての伝送が組み合わされ、従って、最後の繰り返しのエネルギーだけでなく、全エネルギーが使用可能になる。
【0057】
付加的なCQIメッセージも各(可能な)TTI(Transmission Time Interval:伝送時間間隔)で送出されるのではなく、所定のラスタでのみ送信される。これは、有利には、通常のCQIが送信されるラスタkよりも小さい。これは以下の利点を有している:
伝送の遅延および新たに伝送されるCQIを使用することによって、このような新たなCQIはいずれにせよ次のフレームには使用されず、典型的に7つまたはより多くのフレームの後で始めて使用される(いわゆる往復遅延または応答遅延)。すなわちベースステーションは、7フレーム後に初めて、伝送されたCQIに反応する。従ってその前に、設定が誤っていたことをこれに再び思い出させるのは無意味である。7フレーム後に、設定がまだ変わらない場合にのみ新たなCQIを送ることに意味がある。なぜなら「第1の」ものは、正しく伝送されていなかったらしいからである。
【0058】
5.ベースステーションに関する観点
ベースステーション側では、次のような問題が生じる。すなわち、所与のフレーム内でCQIメッセージが伝送されたか否かをベースステーションが確認しなければならないという問題である。このために種々異なる方法が使用される。これらの方法は自然に即しているが、完全ではない(出力測定、復号化後の復号計量(Dekodermetrik)の評価)。先験的に、付加的なCQIが有る程度のラスタでのみ生じることが知られている場合には、ベースステーションはこのラスタでのみ復号化を試みればよい。これによってベースステーション内での計算コストが節約される。付加的に、CQIメッセージ実際に送出されていない間にCQIメッセージが誤って検出される頻度が低くなる。なぜならこのようなエラーに対する機会が減るからである。
【0059】
さらに、前述したデータ要求の終了ないし「パケットコールの終了」に伴う問題が緩和される:付加的なCQIメッセージが送信されるとき、または送信され得るときに、このような最後のデータパケットが送信される場合にのみ、過度に高いクオリティはこのようなCQIメッセージによってクレームが付けられる(moniert)。これが他の時点で送出される場合には、モバイルステーションは次のことを認識する。すなわち、その後に別のデータパケットは続かず、「パケットコールの終了」状況を認識し、CQIメッセージを送信しない。
【0060】
ベースステーションはこのような最後のデータパケットを有利には、モバイルステーションがCQIメッセージに応答しない時点で送ることもできる。
【0061】
6.チャネル品質特定メッセージCQIの符号化
定期的なCQIメッセージは典型的には絶対的に、5ビットの分解能で符号化される。すなわち32の種々異なるレポートが可能である。(実際には、このうちの31のみが使用され、1つの符号化は他の目的に使用される)。しかし不定期なCQIを差分(differentiell)符号化することも可能である。この場合にこれは最後の基準値(例えば最後のCQI)に対する偏差のみを含む。ここでは典型的には32値の全体的なダイミック特性が必要とされるのではなく、より少ない値で足りる。5ビットよりも僅かに符号化すればよいので、符号化はより確実になる。
【0062】
より信頼性のある符号化に対する可能性は、5ビットとは異なるコードを使用することである。さらなる有利な可能性は、はじめに例えば伝送されるべき3ビットから、2ビットのチェックサムを計算することである。このチェックサムはその後、3有効ビットで伝送される。これによって、ビット数は一定に5ビットにとどまり、同じコーディングおよびデコーディングアルゴリズムが使用される。このチェックサムはその後、受信の際にベースステーション内で使用され、DTX検出(DTX:Discontinuous Transmission)の信頼性が改善される。
【0063】
チェックサムは任意の既知の方法で計算される。チェックサムの最適な計算は次のように行われる。すなわち、依存するチェックサムの計算および従来のコードから生じるコード全体の符号化特性符号化特性が最適になるように行われる。例えば全コードの距離スペクトルまたは最小の距離が最適化される。
【0064】
差分符号化に対する基準は様々に選択される:
−最後の定期的に伝送されるCQI値である。これは、見逃された不定期なCQIメッセージがエラーを増殖させないという利点を有している。
【0065】
−最後に伝送されるCQI値である、すなわち定期的または不定期的である。これは、目下の値が使用され、これによって、差分符号化されるべき偏差が小さくなるという利点を有している。
【0066】
−目下伝送されたTFの値である。これは、これが絶対的な基準であり、ここではエラーが増殖されないという利点を有している。この場合には基本は、パワーアップおよびパワーダウンコマンドによるコントロールインプリメンテーションに似ている。
【0067】
差分符号化の細分化:モバイルステーションが可能な最大CQI値または可能な最小CQI値を選択すると、すなわち表から最初の値または最後の値を選択すると、モバイルステーションは差分符号化として、目下の値とこの極限値の実際の差分を伝送するのではなく、極限値の方向における最大の差分値を伝送する。ベースステーションは自身の側で、受信されたこの差分値から計算された新たな値を極限値に制限する。これによって、ベースステーションがその前に、誤ったデコーディングを行い、すなわち僅かに誤ったCQI値を想定した場合にも、ベースステーション自身が正確に極限値を求めることが保証される。
【0068】
差分符号化に対する値領域としては、例えば−4dB、−2dB、+2dB、+4dBが可能である。すなわち2dBのステップ幅である。0dBオプションは、符号化可能である必要はない。なぜならこの場合には単に付加的なCQIが送信されないからである。択一的なステップ幅は−6dB、−2dB、+2dB、+6dB;またはむしろ−8dB、−2dB、+2dB、+8dBである。このようなステップ幅によって、一方では小さい変化を知らせることも(2dB)、大きい変化(8dB)を知らせることもできる。4dBの変化の場合には2つのメッセージが順次、+2dBで送られなければならず、6dBの変化の場合には3つのメッセージがそれぞれ+2dBで送られるか、または+8dBに続いて−2dBが送られなければならない。このような進歩的な離散化(Diskretisierung)によって、迅速に所望の値が調整設定される。差分符号化は、+/−2dBの小さい偏差よりも、+/−8dB等の大きな偏差に適している。
【0069】
偏差の離散化はトレランスに依存しても行われる。トレランスが大きい場合には、暗黙的に粗い離散化も使用される。トレランスが小さい場合には、微細な区別が使用される。使用されるべき離散化は知らされる必要はなく、暗黙的にトレランスシグナリングによって与えられる。
【0070】
7.チャネル品質特定メッセージCQIを形成するための選択肢
提案されたCQIメッセージ形成とは択一的に、チャネル特性を見積もる以下の方法も使用可能である:
多くのNACKが受信されると、これは不良なチャネルを示唆するので、悪化を伝達するCQIメッセージが送信されたかのごとくに、符号化が相応に整合されるまたは整合されるべきである。これと同様に、僅かなNACKしか受信されない場合には、これは過度に良好な設定を示唆する。すなわち符号化はやや僅かに粗く選択されるべきである。または送信出力が低減されるべきである。どれくらい多くのないしどれくらい僅かなNACKが具体的に実行されるべきかには多くのオプションがある。例えば平滑な平均値が形成される、または変数が形成される。この変数は、NACK/ACKの場合に所与の値だけ増分/減分され、付加的に0と1の間のファクタ(忘却係数:Vergessensfaktor)によって多重化される。多重化に対して択一的に、各場合においてはまたはACK/NACKが送信された場合にのみ、変数の値が有る程度の値だけ低減されてもよい。このような変数が有る程度の値を下回る、または上回ると、送信品質が相応に整合される。このような方法は次のような利点を有している。すなわちアップリンクにおける付加的なシグナリングが必要でないという利点である。しかし変化は主に有る程度遅れて実行される。特別な場合には、固定数のACK/NACKの後にクオリティが整合される。ここでこの固定数は直接的に順次連続しなければならない、または最後の整合からの合計で数えられる(またはACKとNACKの間の差分として)。
【0071】
別の改善策として次のことも定められる。すなわち、モバイルステーションがそれぞれ有る程度の数のNACKないしACKの後にCQIメッセージを送るように定められる。これによって各NACKの後の不必要なCQIメッセージが阻止される。この方法は、例14内に示された方法と組み合わされてもよい。すなわち、上述した変数が値を上回るまたは下回ると、CQIメッセージの送信が行われる。
【0072】
標準的には、CQIによって目下のチャネル特性が伝送される。適切な方法で求められたチャネル特性を伝送することも可能である。しかしここで示された実施例は、同じように2つの方法に使用される。フィリップス方法(目下のチャネル品質を、迅速漸減(ファストフェイディング)を考慮するために伝達するのではなく、平均化されたチャネル品質を、「対数正規フェイディング」(緩慢な漸減)を突き止めるために伝送する)と組み合わせる場合、目下の平均化された伝送クオリティが最後に知らされた伝送クオリティと異なる場合に、例えば付加的なCQIメッセージが送られる。
【0073】
さらに、全ての実施例を組み合わせることもできる。すなわちデータ伝送がアクティブな場合にはCQIメッセージが頻繁に送信され、データが受信されていない場合にはまれに送信される。これによって、どちらにせよデータが生じない時点での、不必要なCQIメッセージの送信が回避される。
【0074】
有利には、全ての方法、殊に上述の実施例を次のような方法と組み合わせることができる。すなわち、新たなデータの送信前に、伝送ギャップの後に、ベースステーションによって特定のCQIメッセージが要求される方法と組み合わせることができる。
【0075】
8.データないしパイロットチャネルでの測定
データがモバイルステーションに送られない時間にはモバイルステーションはデータチャネルでの測定を行わない。従って1つの実施例では、モバイルステーションはこのような場合にはパイロットチャネル上でクオリティを測定し、データが送信される場合にはモバイルステーションはデータチャネル上のクオリティを測定する。
【0076】
データチャネル上のクオリティが測定される場合には、以下の実施可能性がある:一方では直接的に信号雑音比(SNR Signal Noise Ratio)が測定される(これは信号強度および雑音強度を測定することによって実行される)。このSNRおよびモバイルステーションのデータ処理の既知の性能から、CQIが計算される。択一的に受信されたデータが復号化され、引き続き再び符号化されてもよい。元来受信されたビットと再符号化されたビットを比較することによってロービットエラーレートが計算され、これに基づいてCQIメッセージが計算される。
【0077】
9.その他
すなわち言い換えれば、少なくとも1つのデータ伝送パラメータを設定する方法である。データ伝送パラメータは、モバイルステーションとベースステーションの間で伝送されるべきデータの少なくとも1つの特性を定める。
−モバイルステーションはベースステーションにチャネル測定(テスト)メッセージを送る。
−ベースステーションはこのようなチャネル測定メッセージに基づいてチャネル品質を求める。
−少なくとも1つのデータ伝送パラメータの設定を、データチャネルの事前に求められたチャネル品質に依存して行う。
−このような求められたチャネル品質は、送信者に、データを改善する目的で、データチャネルを介して、チャネル測定メッセージによって伝達される。
ここで
−チャネル品質は、データチャネルを直接的に使用して測定される。
−目下測定されたチャネル品質と、事前に伝達されたチャネル品質との差が所定の閾値よりも大きい場合にチャネル測定メッセージが送信者に伝達される。
【0078】
10.構成の利点
本発明は複数のエレメントを有する。これらのエレメントは個々にそれ自体で、しかし殊に相互の組み合わせでもチャネル品質(CQI)の報告を改善する:
核となるのは次のような考えである。すなわち、目下使用されている伝送が最適でないことをモバイルステーションが確認した場合、すなわち目下の符号化/出力がモバイルステーション側での過度に良好な受信クオリティにつながってしまう場合、または過度に悪いクオリティにつながってしまう場合、付加的なCQIを送るという考えである。従来技術とは異なって、モバイルステーションはこのためにパイロットチャネルの受信クオリティを評価し、ここから適切なトランスポートフォーマット(データ/パイロットチャネルの所定の出力比を想定して)を計算するのではなく、モバイルステーションは目下のトランスポートフォーマットを分析して、実際のデータ出力のもとでこれが適切であるか否かを検査する。
【0079】
TF(トランスポートフォーマット)が適切でない場合、すなわち多すぎるまたは少なすぎる出力で送信される場合、モバイルステーションはCQIを送る。
【0080】
CQIフィードバックによって、ベースステーションは接続のクオリティを伝達する。
【0081】
実質的には、このようなフィードバックによって、変調および符号化方式(MCS)が提案される。なぜなら、コードレートはコードの数とトランスポートブロックのサイズから計算されるからである。
【0082】
このような情報およびさらなる判断基準に基づいて、ベースステーションはダウンリンクにおいて使用されるトランスポートフォーマット(TF)を求める。このTFは、パケットの内容を格段に正確に、すなわち各ビットまで正確に定め、並びに正確にこれに使用される伝送リソースを正確に定める。これに加えてこれには以下の情報が含まれる:
−使用されているチャネリゼーションコードの数および識別番号
−変調種類
−トランスポートブロックのサイズ
−冗長性および配置バージョン(これはどのビットがパケットのどの箇所に伝送されるのかを正確に定める)
さらに、付加的な制御情報がベースステーションからUEへ伝送される。これは一次的にはトランスポートフォーマットを定めるのには用いられないが、パケットの正確な処理に必要である。
【0083】
1.ハイブリッドARQプロセスの識別番号(これはパケットの多重伝送を正確に重ねるために用いられる)。
−ニューデータ識別子。これは新たなパケットの伝送と以前のパケットの繰り返し伝送を区別するために用いられる。
【0084】
このような明確には要求されていないCQIの場合、通常の絶対的な符号化が使用されるのではなく、デルタ符号化が使用される。これはどの程度(どの位のdBぶんだけ)受信された出力が高すぎるのか、または低すぎるのかを示す。このようなメッセージは、僅か数ビットで知らされ、例えば2ビットは値−3dB,−6dB,+3dB,+6dBを示す(理由:偏差は一方では定められたトレランス領域を越えていなければないが、しかし他方では、格段に大きい必要はない。なぜならそうでない場合には既に以前にCQIが送られているので、時間経過において非常に大きい偏差は蓄積されない)。このような事実は次のことに使用される。すなわち使用されていないビットがチェックサムとして使用され、CQIメッセージの識別がベースステーションによって改善されることに使用される:これはDTX検出のことであり、受信された信号が実際にCQIを含むか否か、または全く含まれていないか否か(すなわち雑音だけが受信されている)をベースステーションは判断しなければならない。
【0085】
さらに、モバイルステーションへのデータ伝送がアクティブである場合には、付加的なまたは定期的なCQIを頻繁に送出することが可能である。しかしデータ伝送がアクティブでない場合、すなわちモバイルステーションがデータに対して直接的にのみ受信可能である場合には、CQIは低いレートでしか送出されない。
【符号の説明】
【0086】
CN 通信網、 MS モバイルステーション、 BS ベースステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信者(BS,MS)と受信者(MS,BS)の間での、通信網(CN)の無線チャネルを介したデータ伝送方法であって、
伝送パラメータを以下のステップで調整し:すなわち、
a)前記送信者はデータを前記受信者に伝送し、当該伝送は少なくとも1つの伝送パラメータによって特徴付けられており、当該伝送パラメータを、送信者に既知の、前記無線チャネルの第1のチャネル品質に基づいて調整し、
b)前記受信者はデータを受信し、
c)前記受信者は当該データから、少なくとも1つの使用されている伝送パラメータを介して、送信者に既知の第1のチャネル品質を求め、
d)受信されたデータの品質を介して、第2の、目下のチャネル品質を求め、
e)前記受信者は第1のチャネル品質と第2のチャネル品質を比較し、
f)第1のチャネル品質および第2のチャネル品質が所定のトレランス値を越えて相違している場合には、
g)受信者は差を送信者に伝達し、引き続き、送信者は新たに第1のチャネル品質を求め、これに基づいて少なくとも1つの伝送パラメータを調整する、
ことを特徴とする、データ伝送方法。
【請求項2】
前記送信者はベースステーション(BS)であり、前記受信者はモバイルステーション(MS)である、またはこの反対である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記無線チャネルはパケット指向チャネルであり、
データを少なくとも1つの個別のデータパケットに分割する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記無線チャネルは連続型データチャネルである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ステップa)は以下の部分ステップを含み:すなわち、
a1)データ受信者はデータ送信者に、前記無線チャネルに割り当てられたコントロール無線チャネルを介してチャネル測定メッセージを送り、
a2)前記送信者は当該チャネル測定メッセージに基づいて、前記無線チャネルの第1のチャネル品質を求める、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記データを少なくとも1つのデータパケットの形で受信し、ステップc)は択一的に以下の部分ステップを含み:すなわち、
c1)データパケットを復号化し、少なくとも1つの伝送パラメータを求め、
および/または
c1)少なくとも1つの伝送パラメータを受信者に知らせる、
請求項1から5までいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記データを少なくとも1つのデータパケットの形で受信し、ステップd)は以下の部分ステップを含み:すなわち、
d1)受信されたデータパケットを復号化し、
d2)確率決断を考慮して、前記データパケットの有効データコンテンツを求め、
d3)テストデータパケットに対する、前記伝送パラメータに関して存在する情報を用いて、当該求められた前記有効データコンテンツを符号化し、
d4)受信されたデータパケットの伝送品質を、前記データパケットとテストデータパケットの間の差に基づいて求める、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第2のチャネル品質を、受信されたデータパケットの信号雑音比を介して突き止める、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
伝送パラメータを伝送出力によって形成し、所定のトレランス値をステップfにおいて前記伝送出力に関連して示す、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記トレランス値は直接的または間接的に、どのエラーレートがデータパケットで許容されるかを示す、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記ステップg)を、チャネル測定メッセージを新たに送信することによって実行する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記第1のチャネル品質を、前記無線データチャネルに割り当られたパイロットチャネルに基づいて突き止める、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
データが伝送されない場合には、前記第2のチャネル品質を、前記無線データチャネルに割り当てられたパイロットチャネルに基づいて突き止める、請求項1または2〜12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記トレランス値を出力レベルとして示し、定められたコードレートを伴う、定められた変調を用いて、特定のエラーレートを得る、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記トレランス値を選択的に、送信者または受信者または通信ネットワークによって事前に設定する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記無線チャネルを介して少なくとも2つの通信サービスが行われ、前記トレランス値は別個に各通信サービスに対して調整可能であり、サービス品質を固定する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
データパケットグループにおける個々のデータパケットに対して、どのデータ品質が当該データパケットに割り当てられたのかを特徴付ける、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記データパケットグループはパケットコールのデータパケットである、請求項15記載の方法。
【請求項19】
データパケットグループの最後のnデータパケットに対して、前記第2のチャネル品質が前記第1のチャネル品質とトレランス値を上回って異なっている場合、データパケット送信者への伝達は行わず、ここでnは1から、前記データパケットグループ内のデータパケットの数までの整数である、請求項16から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
データ送信者への差の伝達を、チャネル測定メッセージを介して行う、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記チャネル測定メッセージを、別の定期的に設けられているチャネル測定メッセージに対して付加的に送出する、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
付加的なチャネル測定メッセージを時間間隔で送出し、
当該時間間隔は、前記定期的なチャネル測定メッセージが送出される時間間隔よりも狭い、請求項21記載の方法。
【請求項23】
定期的なまたは不定期的なチャネル測定メッセージの送出に対する前記時間間隔を、伝送されるデータ量に合わせる、請求項1から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
少なくともj個のデータパケットが順次、自身のエラーレートに関する所定のトレランス領域内で受信されない場合には、付加的なチャネル測定メッセージを送信し、ここでjは1よりも大きい整数である、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
定期的なチャネル測定メッセージを絶対的に所定の分解能で符号化し、前記付加的なチャネル測定メッセージを基準値からの偏差に関して差分符号化する、請求項1から24までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記基準値として、最後の既知の第1のチャネル品質を使用する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記基準値として、定期的に伝送されるチャネル測定メッセージに基づいて求められた最後の既知の第1のチャネル品質を使用する、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記基準値は、データパケットの前記伝送特性全体から構成される、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記チャネル測定メッセージを固定数のm個のビットで符号化し、ここで(m−x)個のビットは情報を搬送し、残りのx個のビットから(m−x)個のビットのチェックサムを形成する、請求項1から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記チャネル測定メッセージを、その可能な最大値に対する差に関して差分符号化する、請求項1から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
差分符号化に対するステップ幅を設定する、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記差分符号化のステップ幅はトレランス値に依存している、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記無線チャネルはUMTSネットワークの構成部分である、請求項1から32までのいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記無線データチャネルをHS−DSCHによって構成する、請求項1から3および5から33までのいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
請求項1から34までのいずれか1項に記載された方法を実行することができるように構成されている、プロセッサユニットを有するモバイルステーション。
【請求項36】
請求項1から34までのいずれか1項に記載された方法を実行することができるように構成されている、プロセッサユニットを有するベースステーション。
【請求項37】
請求項35に記載されたモバイルステーションおよび請求項36に記載されたベースステーションを含む通信網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−93843(P2010−93843A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280409(P2009−280409)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【分割の表示】特願2005−518412(P2005−518412)の分割
【原出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(507189219)ノキア シーメンス ネットワークス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (40)
【氏名又は名称原語表記】Nokia Siemens Networks GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】St. Martin Str. 76, D−81541 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】