データ伝送状態把握方法および装置
【課題】中継地点のデジタル伝送の状態を示す2次元表示データ情報を、受信側に迅速に伝送し、伝播状況の表示が得られる事を目的とする。
【解決手段】デジタル変調方式により変調された伝送信号TSを2次元にマッピングし、送受信し受信した2次元のデータを識別することで伝送信号TSを再生するデジタル伝送装置において、一定期間毎に2次元表示データ情報を受信側に送信し、受信側に伝送状態表示情報のメモリを設け、伝送状態表示情報に基づいたアドレスのメモリのデータに整数Nを書込み、表示アドレスに従いメモリを読み出し、読出したアドレスのメモリのデータは1ずつ減算する。
【解決手段】デジタル変調方式により変調された伝送信号TSを2次元にマッピングし、送受信し受信した2次元のデータを識別することで伝送信号TSを再生するデジタル伝送装置において、一定期間毎に2次元表示データ情報を受信側に送信し、受信側に伝送状態表示情報のメモリを設け、伝送状態表示情報に基づいたアドレスのメモリのデータに整数Nを書込み、表示アドレスに従いメモリを読み出し、読出したアドレスのメモリのデータは1ずつ減算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号を受信し、送信を行う中継装置の、伝送状態の可視化及び再伝送技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像や音声信号の無線伝送には、数年前はアナログFMによる方法で映像や音声を伝送していたが、近年、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式やOFDM(Orthgonal Frequency Division Multiplexing)方式などによるデジタル伝送方式が用いられるようになっている。
【0003】
このとき、伝送対象となるデータは、映像や音声信号をMPEG処理により圧縮したTS(Transport Stream)などの伝送信号であるが、この場合、一般的には、デジタル変調した伝送信号を2次元データにマッピングして送信側から伝送し、受信側で2次元のデータを識別して伝送信号を再生する方式のデジタル伝送装置が使用される。ところで、上記したアナログ方式の場合、受信電界レベルによって映像や音声のS/Nが変化し、このため、例えばマラソンの中継など、電界レベルの変化が激しい移動伝送においては、中継された映像がノイズや乱れの多い品位の低い画像になり易かった。しかし、デジタル伝送方式によれば、デジタル化された情報が伝送されるので、エラー訂正処理が適用でき、このため、受信電界レベルが変化している伝送環境のもとでも、エラー訂正が働く電界レベル範囲であれば、同一の品位の映像が中継できる。反面、デジタル伝送方式では、電界レベルが或る限界値を下回るとエラー訂正が効かなくなり、この場合、突然、映像信号の再生が不可能になってしまうが、このときの電界レベルの下限値は、受信側での識別判定処理における信号状態により、或る程度、把握が可能である。例えば、伝送量が60Mbpsと比較的多い64QAM方式の場合、C/Nの最小値は27dB程度なので受信電界レベルの下限値は約−70dBmとなり、従って、映像の再生には、これ以上のレベルが必要になる。また、伝送量が35Mbpsと比較的少ない16QAM2方式の場合は、C/Nの最小値は18dB程度なので受信電界レベルの下限値は約−80dBmで、これ以上のレベルなら映像が再生できる。
そこで、このようなデータ訂正処理が適用されたデジタル伝送装置では、従来から、受信電界レベルの下限値を伝送状態や同期再生状態から把握できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
そこで、以下、このようなデジタル伝送装置の一例について、図9により説明する。この図9は、データ訂正処理が適用されたデジタル伝送装置をA地点からB地点に映像を中継する場合に適用したときの従来技術の一例を示すブロック図で、この場合、例えば走行中のマラソン選手の画像を捉えている移動車などの撮像現場がA地点で、B地点は放送局に相当し、これらの間は、例えばマイクロ波帯の電波を用いた無線伝送形式となる。
【0005】
そして、まずA地点では、図示していないテレビカメラで撮像した映像信号がMPEGエンコーダ1に入力され、ここで圧縮データTSに変換された後、変調モードを決める働きをするマッピング部2に入力され、2次元のデータDmに変換される。
【0006】
そして、このデータDmがMOD(変調器)3により変調され、例えば130MHz帯の中間周波信号Dmodとなり、送信高周波部4に供給される。そして、ここでマイクロ波帯の信号に周波数変換され、電力増幅されてからアンテナ5によりマイクロ波W1として送信され、B地点にあるアンテナ6に向けて伝送される。こうしてB地点のアンテナ6に伝達されたマイクロ波W1は、ここでマイクロ波信号として受信され、受信高周波部7に入力される。そこで、受信高周波部7は、受信された微弱な信号を増幅し、マイクロ波帯から130MHz帯の中間周波信号Ddemに変換する。
【0007】
そこで、この中間周波信号DdemをDEM(復調器)8に入力し、ここで時間タイミング再生処理と周波数再生処理を施し、同相成分Iと直交成分Qの2次元のデータDd に復調する。そして、このデータDdが識別判定部9で再生圧縮データTSr に復元された上でMPEGデコーダ10に入力され、映像信号に伸張されることになる。
【0008】
このとき、上述のように、受信電界レベルに下限値があるので、伝送状態や同期再生状態の良否を把握する必要があり、このためDEM8から出力される2次元のデータDd を表示装置11にも取り込み、そこにあるオシロスコープのX−Y入力に供給し、短時間の表示ではあるが、コンスタレーション(Constellation)図形が観測できるようにしてある。
【0009】
このとき、表示装置11のオシロスコープに表示されるコンスタレーション図形は図11(a)、(b)に示すようになる。ここで、図11の(a)は、伝送状態や同期再生状態が良好なときの表示で、この場合、各マッピング点は小さく纏まっている。しかし、状態が悪くなると、図11(b)に示すように、各マッピング点が散らばり、ぼやけた状態になってゆく。
【0010】
そこで、このオシロスコープに表示されるコンスタレーション図形を観察することにより、伝送状態や同期再生状態を知ることができ、電界レベルが伝送可能範囲に達しているか否かが判断でき、伝送状態表示情報として認識することができる。
【0011】
そして、これにより、映像伝送の受信が中断する虞れの発生を予想し、それに備えて予め用意してある別のプログラムに切換えるなどの処置をとることができる。
伝送路W1の状態は、常に一定ではなく、伝送路途中にある、川や海または水田の水位等によって時々刻々変化する。従って、デジタル伝送の回線状況の変化を長時間保存することは、オシロスコープでは困難である。
【0012】
また、オシロスコープのX軸の周波数応答は通常1MHz未満であり、高速な信号点変化には追従できないため、通常は観測用に専用の間引きした信号を用意しなければならない。
【0013】
例えば、放送局からA地点が遠い場合、或いは途中に電波の伝播に障害となる物があった場合、放送局までの途中に中継部を設ける必要が生じる。この場合、図10に示すように、B地点にあるのが中継部で、例えば小高い丘などに設置され、そしてC地点が放送局になる。従って、この場合は、図9で説明したシステム構成に、更に送信高周波部12と送信用のアンテナ13を加えて中継地点とし、さらに放送局等の受信部に受信用のアンテナ14、それに受信高周波部(Rx)15と電話回線等の低速回線と表示データ伝送表示装置21を加えたものである。
【0014】
そして、送信高周波部12とアンテナ13はB地点に設置され、アンテナ14と受信高周波部15はC地点に設置されて、これらの間の伝送に例えばマイクロ波帯の電波W2を用いた2段中継伝送となる。
【0015】
ここで、中継部にある再送信装置12は、識別判定部9から出力される再生圧縮データTSr を入力し、アンテナ13からマイクロ波の電波W2に乗せて送信させ、C地点のアンテナ14で受信されるようにする。
【0016】
そこで、アンテナ14はマイクロ波の電波W2を受信し、受信装置15で映像信号を再生することになるが、この場合、C地点にある放送局では、B地点での受信状態は監視できない。
【0017】
以上説明したように、ある特定の一つ又は複数の中継地点の伝送状態の監視を行う場合では、途中の中継地点での受信状態が放送局では把握する手段が無かった。
そこで、電話回線等を用いて受信状態の情報を伝送していた。具体的には、B地点にI&Q信号値に相当するアドレスに1を書込んだメモリ内容を出力する表示データ伝送表示装置20を配置し、これを電話回線等の低速回線などを介してC地点の表示データ伝送表示装置21に接続する。また、メモリを行単位に区分し、その単位での書込みの有無を記憶する履歴メモリを設け、この履歴メモリの内容から、書込みの無い行単位は伝送を省略し、伝送を間引くことにより伝送速度を高める。(特許文献3参照)
以上のように、表示データ伝送表示装置20が第1のメモリからコンスタレーション情報を読出して通信回線に出力し、表示データ伝送表示装置21が通信回線を介して受信したコンスタレーション情報を第2のメモリに書込むことにより、伝送状態を把握することができる。
【特許文献1】特開平6−326735号
【特許文献2】特開2002−223459号
【特許文献3】特開2005−51755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、電話回線は伝送の容量が少ないため、表示すべきコンスタレーション点の数が少なく、収束したコンスタレーションか、散らばったコンスタレーションかは一瞬では判断し難い。
【0019】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、複数段中継伝送の場合でも最終地点で途中の中継点での受信状態の監視が容易に得られるようにしたデジタル伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記課題を解決するため、デジタル変調した伝送信号を2次元データにマッピングして少なくとも一つの中継地点から伝送し、受信側で前記2次元データを識別して伝送信号を再生する方式のデジタル伝送方法において、
前記中継地点における前記伝送信号の伝送状態を表示する伝送状態表示情報を、抽出して前記受信側に送出し、前記受信側において、前記送出された伝送状態表示情報を受信して、伝送状態表示情報を読出して出力するメモリは、前記伝送状態表示情報の受信手段から出力される伝送状態表示情報に基づいてアドレスを決定しメモリの書込みを行い、表示アドレスに従い前記メモリの読み出しを行う。
【0021】
また、前記メモリのデータ書込は、当該アドレスを読出した結果データDxyに整数Mを加算し、値が整数B以上となった場合はBに置換を行った後、書込みを行い、前記メモリの読出は、当該アドレスを読出した結果データDlnに整数Nを減算し、演算結果値が0未満となった場合は0に置換を行った後、書込みを行い、表示の実施は、読出したDlnの値に応じて決定を行う。
【0022】
さらに、前記メモリ書込で当該アドレスを読出した結果Dxyに加算する整数Mを、前記メモリ読出で当該アドレスを読出した結果Dlnに減算する整数Nより大きく設定する。
【0023】
ところで、デジタル変調方式により変調された伝送信号TSを2次元データにマッピングして少なくとも一つの中継地点からから伝送し、受信側で前記2次元データを識別することで伝送信号TSを再生するデジタル伝送装置において、前記中継地点側に前記中継地点の伝送状態を表示する伝送状態表示情報を、伝送信号TSに重畳して送出する送信手段を設け、前記受信側に伝送状態表示情報の受信手段を設け、前記送出された伝送状態表示情報を受信して、当該伝送状態表示情報の書込みと、当該伝送状態表示情報の読み出し及び出力を行なうメモリを設け、前記のデジタル伝送状態把握方法に基づいて前記メモリの書込みを行うメモリ書き込み制御部と、表示アドレスに従い前記メモリの読み出しを行うメモリ読み出し制御部と、前記メモリ書き込み制御部と前記メモリ読み出し制御部の動作を切り替えるコントロール部とで、構成する。
【0024】
つまり、本発明は、蓄積かつ表示用のメモリに、送られたコンスタレーション情報を、残像を伴う形で書き込み、少ないドットでも表示されるドット数を増やす処理を電気的に行い、伝送信号TSに多重して受信端に伝送する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、常時表示されるドット数が増加し、コンスタレーション等による伝送状態が速やかに伝送できるので、最終伝送地点でも中継点での受信状態を容易に監視することができる。収束状況を確認し易い。具体的には、小さな点に収束している様子が瞬時に判る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明による第一の実施例の構成と基本動作について図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8を用いて詳細に説明する。図1と図2は本発明のメモリ空間のxyアドレスと画面の走査線内位置hおよび走査線番号vとのアドレス対応の概要処理を示す模式図であり、図3と図4は本発明のコンスタレーション情報の残像的動作を示す模式図である。図5は本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図であり、図6は本発明の伝送表示装置21の構成を示す詳細システム構成図であり、図7は本発明のフレーム内のコンスタレーション情報のTS信号とメモリ書き込みと映像表示の関係の基本的動作のタイムチャートを示す模式図であり、図8はフレーム間のコンスタレーション情報の残像的動作のタイムチャートを示す模式図である。
【0027】
まず、本発明の第1の実施形態の伝播状況表示機能を備えたデジタル中継システムの一例を示すシステム構成図の図5を説明する。この図5の実施形態は、構成上は、図10の従来技術において、電話回線などの低速回線Mを削除し、かわりに表示データをTS信号に多重することにより、C地点でも、途中の中継点であるB地点での受信状態の監視が得られるようにしたものである。
【0028】
ここで、まず、伝送表示装置20は、DEM8から2次元データDd を入力し、この2次元データDd を、TS信号多重による伝送に適合させた送信データTDt に変換し、多重化部(MUX)30に送出する働きをする。
【0029】
そして、このとき、伝送表示装置20は、映像信号に送信データTDt が重畳された信号、すなわちコンスタレーション情報重畳映像信号CVを出力するようになっていて、このコンスタレーション情報重畳映像信号CVを図示してない表示装置に供給することにより、B地点での受信状態の監視が得られるようにしてある。
【0030】
また、伝送表示装置21は、前述の様に、TS信号に多重化された送信データTDtを受信データTDrとして入力し、これを処理して元の2次元のデータDdに復元し、コンスタレーション情報重畳映像信号CVを出力する働きをする。
【0031】
そこで、ここにも、B地点と同様、図示してない表示装置例えばオシロスコープを設け、復元したデータDd を該オシロスコープのX−Y入力に供給することにより、コンスタレーション図形が表示され、この結果、C地点でも、途中の中継点であるB地点での受信状態を監視することができる。
【0032】
本発明の基本動作を図1と図2、図7と図8を用いて説明してから、伝送表示装置21の動作を図6、図7と図8を用いて説明する。
【0033】
コンスタレーション情報を記憶するメモリのアドレスと画面の対応の概要処理を示す模式図の図1に示すように、走査線に応じて、書き込みと読み出しのモードを切り替える。図2に示すように、xyアドレス期間(ブランキング期間を含む)には、コンスタレーション情報を、その情報に応じたアドレスのデータをまず読み出しその値に4を加算する形で書き込む。t4〜t6期間に存在する、hvアドレス期間には、読み出したコンスタレーション情報を、情報に応じたアドレスのドットのデータに値−1を行う加算する形で書き込みを行う。
【0034】
フレーム間の基本的動作のタイムチャートである図8に示すように、頻度の少ないドットの場合、書き込まれたコンスタレーションのドットのデータは、読出しの度に1ずつ減算され4フレーム後には値0となり、以降のフレームでは表示されなくなる。頻度の多いドットの場合、書き込まれたコンスタレーションのドットのデータは、読出しの度に1ずつ減算されるが、F5において、再度+4の書込みが行われるため、4フレーム後に消滅しない。結果的に7フレーム後に値0となり、合計6フレーム期間の表示が行われる。
【0035】
フレーム間のコンスタレーション情報の残像的動作の概要タイムチャートである図8に示すように、時間的に稀にしか届かないコンスタレーションのドットでも、最低4フレームの期間繰り返し表示が行われる。
【0036】
具体的には、図6、図7と図8において、表示制御部211は、受信データTDrからコンスタレーション情報xyと、有効なデータであることを示すイネーブル(enable:以下ENと略す)信号を出力する。書込み制御部212は、状態変化のきっかけとなるストローブ(strobe:以下STと略す)信号ST1=Hであれば、コンスタ情報抽出部211からのコンスタレーション情報xyをアドレスに見立てて、かつ、EN信号とのANDにて、書込みアドレスAxyを出力し、コンスタレーションのドットのデータD(xy)を入出力する。
【0037】
切替部214は、ST2=Hであれば、書込み制御部212とメモリ213を接続し、ST2=Lであれば、読み出し制御部215とメモリ213を接続する。メモリ213は、ST2=Hであれば、書込み制御部212と接続し、ST2=Lであれば、読み出し制御部215と接続される。なおメモリのデータData(xy)のビット幅を7と仮定する。
読み出し制御部215は、ST3=Hであれば、表示エリアに相当する走査線のアドレスAhvを出力し、コンスタレーションのドットのデータD(hv)を入出力する。ゲート&Sync付加部216は、データD(hv)が1以上であれば、表示エリアにコンスタレーション表示を行い、ST4に従って、表示エリアに相当する同期信号を付加し出力する。
【0038】
書込み制御部212は、xyアドレス期間(ブランキング期間を含む)には、コンスタレーション情報を、その情報に応じたアドレスのデータをまず読み出しその値に4を加算する形でメモリ213に書き込む。値が7を超える場合は、7に置換し書き込む。
【0039】
読み出し制御部215は、t4〜t6期間に存在する、hvアドレス期間には、読み出したコンスタレーション情報を、情報に応じたアドレスのデータに値−1を行う加算する形でメモリ213に書き込みを行う。値が0を下回る場合は、0に置換し書き込む。
【0040】
上記の説明は、xyモードでの書込み値を4とししたため、最低4フレームの期間繰り返し表示が行われた。xyモードでの書込み値を増やすことで、残像の表示期間は増加する。
【0041】
図3に、本発明の受信状態良好のコンスタレーション表示の一例を示す説明図、図4に本発明の受信状態悪のコンスタレーション表示の一例を示す説明図を示す。
以上に説明した実施形態では、伝送表示装置20と伝送表示装置21の双方にメモリを設け、これらのメモリ間でコンスタレーション配置情報の授受を行うようにしたので、メモリの読出速度を遅くすることができ、従って、映像信号と共にマイクロ波に乗せて伝送するなど、データ伝送速度が高くとれない手段を用いても、なんら支障無くコンスタレーション配置情報を伝送することができる。
【0042】
ところで、マイクロ波による見通し間伝播の場合、その伝播状況は、例えば伝播経路にある河川の水位の変化などによって時々刻々変化する。従って、この場合、一定の期間に渡り、伝播状況を保存して表示する必要があるが、このことは従来のオシロスコープ単独では困難で、長時間の重ね書き表示は従来技術では対応できない。
【0043】
また、一般的なオシロスコープの場合、そのX軸の周波数応答は通常1MHz未満であり、高速な信号点変化には追従できないため、通常は観測用に専用の間引きした信号を用意しなければならない。
【0044】
しかし、以上の実施形態では、フレーム単位で書込んたデータをメモリ間で伝送する方式になっているので、フレーム期間単位で伝播状況が保存され、従って、そのままオシロスコープでコンスタレーションが表示でき、構成が簡略化される。
【0045】
ところで、以上の実施形態では、2次元のI信号とQ信号によるコンスタレーションの表示についてだけ説明したが、しかし、本発明では、メモリに書込んで伝送すべき情報についてコンスタレーションに限定されるものではなく、例えば遅延プロファイルや、スペクトル状態であっても良い。
【0046】
また、中継地点は1箇所に限定されるものではなく、その中継地点からのコンスタレーションデータを、映像伝送信号の最終受信地点とは異なる別個の監視地点で集約することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のコンスタレーション表示の画面概略動作
【図2】本発明のメモリ内容のアクセス動作を示す説明図
【図3】本発明の受信状態良好のコンスタレーション表示の一例を示す説明図
【図4】本発明の受信状態悪のコンスタレーション表示の一例を示す説明図
【図5】本発明の伝播状況表示機能を備えたデジタル中継システムの一例を示すシステム構成図
【図6】本発明の伝送表示装置21の構成を示す詳細システム構成図
【図7】本発明のフレーム内のタイムチャートを示す説明図
【図8】本発明のフレーム間のタイムチャートを示す説明図
【図9】伝播状況表示機能を備えた従来技術によるデジタル中継システムの一例を示すシステム構成図
【図10】伝播状況表示機能を備えた従来技術によるデジタル中継システムの他の一例を示すシステム構成図
【図11】デジタル伝送状態における、信号点形態の関連を示す説明図
【符号の説明】
【0048】
1:MPEGエンコーダ
2:マッピング部
3:MOD(変調部)
4:送信高周波部
5:アンテナ(送信側)
6:アンテナ(受信側)
7:受信高周波部
8:DEM(復調部)
9:識別判定部
10:MPEGデコーダ
12:送信高周波部(中継側)
13:アンテナ(送信側)
14:アンテナ(受信側)
15:受信高周波部(受信側)
20:伝送表示装置(中継側)
21:伝送表示装置(受信側)
30:MUX
211、212:書込み制御部
213:メモリ
214:切替器
215:読出し制御部
216:ゲート&Sync付加部
217:コントロール部
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号を受信し、送信を行う中継装置の、伝送状態の可視化及び再伝送技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像や音声信号の無線伝送には、数年前はアナログFMによる方法で映像や音声を伝送していたが、近年、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式やOFDM(Orthgonal Frequency Division Multiplexing)方式などによるデジタル伝送方式が用いられるようになっている。
【0003】
このとき、伝送対象となるデータは、映像や音声信号をMPEG処理により圧縮したTS(Transport Stream)などの伝送信号であるが、この場合、一般的には、デジタル変調した伝送信号を2次元データにマッピングして送信側から伝送し、受信側で2次元のデータを識別して伝送信号を再生する方式のデジタル伝送装置が使用される。ところで、上記したアナログ方式の場合、受信電界レベルによって映像や音声のS/Nが変化し、このため、例えばマラソンの中継など、電界レベルの変化が激しい移動伝送においては、中継された映像がノイズや乱れの多い品位の低い画像になり易かった。しかし、デジタル伝送方式によれば、デジタル化された情報が伝送されるので、エラー訂正処理が適用でき、このため、受信電界レベルが変化している伝送環境のもとでも、エラー訂正が働く電界レベル範囲であれば、同一の品位の映像が中継できる。反面、デジタル伝送方式では、電界レベルが或る限界値を下回るとエラー訂正が効かなくなり、この場合、突然、映像信号の再生が不可能になってしまうが、このときの電界レベルの下限値は、受信側での識別判定処理における信号状態により、或る程度、把握が可能である。例えば、伝送量が60Mbpsと比較的多い64QAM方式の場合、C/Nの最小値は27dB程度なので受信電界レベルの下限値は約−70dBmとなり、従って、映像の再生には、これ以上のレベルが必要になる。また、伝送量が35Mbpsと比較的少ない16QAM2方式の場合は、C/Nの最小値は18dB程度なので受信電界レベルの下限値は約−80dBmで、これ以上のレベルなら映像が再生できる。
そこで、このようなデータ訂正処理が適用されたデジタル伝送装置では、従来から、受信電界レベルの下限値を伝送状態や同期再生状態から把握できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
そこで、以下、このようなデジタル伝送装置の一例について、図9により説明する。この図9は、データ訂正処理が適用されたデジタル伝送装置をA地点からB地点に映像を中継する場合に適用したときの従来技術の一例を示すブロック図で、この場合、例えば走行中のマラソン選手の画像を捉えている移動車などの撮像現場がA地点で、B地点は放送局に相当し、これらの間は、例えばマイクロ波帯の電波を用いた無線伝送形式となる。
【0005】
そして、まずA地点では、図示していないテレビカメラで撮像した映像信号がMPEGエンコーダ1に入力され、ここで圧縮データTSに変換された後、変調モードを決める働きをするマッピング部2に入力され、2次元のデータDmに変換される。
【0006】
そして、このデータDmがMOD(変調器)3により変調され、例えば130MHz帯の中間周波信号Dmodとなり、送信高周波部4に供給される。そして、ここでマイクロ波帯の信号に周波数変換され、電力増幅されてからアンテナ5によりマイクロ波W1として送信され、B地点にあるアンテナ6に向けて伝送される。こうしてB地点のアンテナ6に伝達されたマイクロ波W1は、ここでマイクロ波信号として受信され、受信高周波部7に入力される。そこで、受信高周波部7は、受信された微弱な信号を増幅し、マイクロ波帯から130MHz帯の中間周波信号Ddemに変換する。
【0007】
そこで、この中間周波信号DdemをDEM(復調器)8に入力し、ここで時間タイミング再生処理と周波数再生処理を施し、同相成分Iと直交成分Qの2次元のデータDd に復調する。そして、このデータDdが識別判定部9で再生圧縮データTSr に復元された上でMPEGデコーダ10に入力され、映像信号に伸張されることになる。
【0008】
このとき、上述のように、受信電界レベルに下限値があるので、伝送状態や同期再生状態の良否を把握する必要があり、このためDEM8から出力される2次元のデータDd を表示装置11にも取り込み、そこにあるオシロスコープのX−Y入力に供給し、短時間の表示ではあるが、コンスタレーション(Constellation)図形が観測できるようにしてある。
【0009】
このとき、表示装置11のオシロスコープに表示されるコンスタレーション図形は図11(a)、(b)に示すようになる。ここで、図11の(a)は、伝送状態や同期再生状態が良好なときの表示で、この場合、各マッピング点は小さく纏まっている。しかし、状態が悪くなると、図11(b)に示すように、各マッピング点が散らばり、ぼやけた状態になってゆく。
【0010】
そこで、このオシロスコープに表示されるコンスタレーション図形を観察することにより、伝送状態や同期再生状態を知ることができ、電界レベルが伝送可能範囲に達しているか否かが判断でき、伝送状態表示情報として認識することができる。
【0011】
そして、これにより、映像伝送の受信が中断する虞れの発生を予想し、それに備えて予め用意してある別のプログラムに切換えるなどの処置をとることができる。
伝送路W1の状態は、常に一定ではなく、伝送路途中にある、川や海または水田の水位等によって時々刻々変化する。従って、デジタル伝送の回線状況の変化を長時間保存することは、オシロスコープでは困難である。
【0012】
また、オシロスコープのX軸の周波数応答は通常1MHz未満であり、高速な信号点変化には追従できないため、通常は観測用に専用の間引きした信号を用意しなければならない。
【0013】
例えば、放送局からA地点が遠い場合、或いは途中に電波の伝播に障害となる物があった場合、放送局までの途中に中継部を設ける必要が生じる。この場合、図10に示すように、B地点にあるのが中継部で、例えば小高い丘などに設置され、そしてC地点が放送局になる。従って、この場合は、図9で説明したシステム構成に、更に送信高周波部12と送信用のアンテナ13を加えて中継地点とし、さらに放送局等の受信部に受信用のアンテナ14、それに受信高周波部(Rx)15と電話回線等の低速回線と表示データ伝送表示装置21を加えたものである。
【0014】
そして、送信高周波部12とアンテナ13はB地点に設置され、アンテナ14と受信高周波部15はC地点に設置されて、これらの間の伝送に例えばマイクロ波帯の電波W2を用いた2段中継伝送となる。
【0015】
ここで、中継部にある再送信装置12は、識別判定部9から出力される再生圧縮データTSr を入力し、アンテナ13からマイクロ波の電波W2に乗せて送信させ、C地点のアンテナ14で受信されるようにする。
【0016】
そこで、アンテナ14はマイクロ波の電波W2を受信し、受信装置15で映像信号を再生することになるが、この場合、C地点にある放送局では、B地点での受信状態は監視できない。
【0017】
以上説明したように、ある特定の一つ又は複数の中継地点の伝送状態の監視を行う場合では、途中の中継地点での受信状態が放送局では把握する手段が無かった。
そこで、電話回線等を用いて受信状態の情報を伝送していた。具体的には、B地点にI&Q信号値に相当するアドレスに1を書込んだメモリ内容を出力する表示データ伝送表示装置20を配置し、これを電話回線等の低速回線などを介してC地点の表示データ伝送表示装置21に接続する。また、メモリを行単位に区分し、その単位での書込みの有無を記憶する履歴メモリを設け、この履歴メモリの内容から、書込みの無い行単位は伝送を省略し、伝送を間引くことにより伝送速度を高める。(特許文献3参照)
以上のように、表示データ伝送表示装置20が第1のメモリからコンスタレーション情報を読出して通信回線に出力し、表示データ伝送表示装置21が通信回線を介して受信したコンスタレーション情報を第2のメモリに書込むことにより、伝送状態を把握することができる。
【特許文献1】特開平6−326735号
【特許文献2】特開2002−223459号
【特許文献3】特開2005−51755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、電話回線は伝送の容量が少ないため、表示すべきコンスタレーション点の数が少なく、収束したコンスタレーションか、散らばったコンスタレーションかは一瞬では判断し難い。
【0019】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、複数段中継伝送の場合でも最終地点で途中の中継点での受信状態の監視が容易に得られるようにしたデジタル伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記課題を解決するため、デジタル変調した伝送信号を2次元データにマッピングして少なくとも一つの中継地点から伝送し、受信側で前記2次元データを識別して伝送信号を再生する方式のデジタル伝送方法において、
前記中継地点における前記伝送信号の伝送状態を表示する伝送状態表示情報を、抽出して前記受信側に送出し、前記受信側において、前記送出された伝送状態表示情報を受信して、伝送状態表示情報を読出して出力するメモリは、前記伝送状態表示情報の受信手段から出力される伝送状態表示情報に基づいてアドレスを決定しメモリの書込みを行い、表示アドレスに従い前記メモリの読み出しを行う。
【0021】
また、前記メモリのデータ書込は、当該アドレスを読出した結果データDxyに整数Mを加算し、値が整数B以上となった場合はBに置換を行った後、書込みを行い、前記メモリの読出は、当該アドレスを読出した結果データDlnに整数Nを減算し、演算結果値が0未満となった場合は0に置換を行った後、書込みを行い、表示の実施は、読出したDlnの値に応じて決定を行う。
【0022】
さらに、前記メモリ書込で当該アドレスを読出した結果Dxyに加算する整数Mを、前記メモリ読出で当該アドレスを読出した結果Dlnに減算する整数Nより大きく設定する。
【0023】
ところで、デジタル変調方式により変調された伝送信号TSを2次元データにマッピングして少なくとも一つの中継地点からから伝送し、受信側で前記2次元データを識別することで伝送信号TSを再生するデジタル伝送装置において、前記中継地点側に前記中継地点の伝送状態を表示する伝送状態表示情報を、伝送信号TSに重畳して送出する送信手段を設け、前記受信側に伝送状態表示情報の受信手段を設け、前記送出された伝送状態表示情報を受信して、当該伝送状態表示情報の書込みと、当該伝送状態表示情報の読み出し及び出力を行なうメモリを設け、前記のデジタル伝送状態把握方法に基づいて前記メモリの書込みを行うメモリ書き込み制御部と、表示アドレスに従い前記メモリの読み出しを行うメモリ読み出し制御部と、前記メモリ書き込み制御部と前記メモリ読み出し制御部の動作を切り替えるコントロール部とで、構成する。
【0024】
つまり、本発明は、蓄積かつ表示用のメモリに、送られたコンスタレーション情報を、残像を伴う形で書き込み、少ないドットでも表示されるドット数を増やす処理を電気的に行い、伝送信号TSに多重して受信端に伝送する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、常時表示されるドット数が増加し、コンスタレーション等による伝送状態が速やかに伝送できるので、最終伝送地点でも中継点での受信状態を容易に監視することができる。収束状況を確認し易い。具体的には、小さな点に収束している様子が瞬時に判る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明による第一の実施例の構成と基本動作について図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8を用いて詳細に説明する。図1と図2は本発明のメモリ空間のxyアドレスと画面の走査線内位置hおよび走査線番号vとのアドレス対応の概要処理を示す模式図であり、図3と図4は本発明のコンスタレーション情報の残像的動作を示す模式図である。図5は本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図であり、図6は本発明の伝送表示装置21の構成を示す詳細システム構成図であり、図7は本発明のフレーム内のコンスタレーション情報のTS信号とメモリ書き込みと映像表示の関係の基本的動作のタイムチャートを示す模式図であり、図8はフレーム間のコンスタレーション情報の残像的動作のタイムチャートを示す模式図である。
【0027】
まず、本発明の第1の実施形態の伝播状況表示機能を備えたデジタル中継システムの一例を示すシステム構成図の図5を説明する。この図5の実施形態は、構成上は、図10の従来技術において、電話回線などの低速回線Mを削除し、かわりに表示データをTS信号に多重することにより、C地点でも、途中の中継点であるB地点での受信状態の監視が得られるようにしたものである。
【0028】
ここで、まず、伝送表示装置20は、DEM8から2次元データDd を入力し、この2次元データDd を、TS信号多重による伝送に適合させた送信データTDt に変換し、多重化部(MUX)30に送出する働きをする。
【0029】
そして、このとき、伝送表示装置20は、映像信号に送信データTDt が重畳された信号、すなわちコンスタレーション情報重畳映像信号CVを出力するようになっていて、このコンスタレーション情報重畳映像信号CVを図示してない表示装置に供給することにより、B地点での受信状態の監視が得られるようにしてある。
【0030】
また、伝送表示装置21は、前述の様に、TS信号に多重化された送信データTDtを受信データTDrとして入力し、これを処理して元の2次元のデータDdに復元し、コンスタレーション情報重畳映像信号CVを出力する働きをする。
【0031】
そこで、ここにも、B地点と同様、図示してない表示装置例えばオシロスコープを設け、復元したデータDd を該オシロスコープのX−Y入力に供給することにより、コンスタレーション図形が表示され、この結果、C地点でも、途中の中継点であるB地点での受信状態を監視することができる。
【0032】
本発明の基本動作を図1と図2、図7と図8を用いて説明してから、伝送表示装置21の動作を図6、図7と図8を用いて説明する。
【0033】
コンスタレーション情報を記憶するメモリのアドレスと画面の対応の概要処理を示す模式図の図1に示すように、走査線に応じて、書き込みと読み出しのモードを切り替える。図2に示すように、xyアドレス期間(ブランキング期間を含む)には、コンスタレーション情報を、その情報に応じたアドレスのデータをまず読み出しその値に4を加算する形で書き込む。t4〜t6期間に存在する、hvアドレス期間には、読み出したコンスタレーション情報を、情報に応じたアドレスのドットのデータに値−1を行う加算する形で書き込みを行う。
【0034】
フレーム間の基本的動作のタイムチャートである図8に示すように、頻度の少ないドットの場合、書き込まれたコンスタレーションのドットのデータは、読出しの度に1ずつ減算され4フレーム後には値0となり、以降のフレームでは表示されなくなる。頻度の多いドットの場合、書き込まれたコンスタレーションのドットのデータは、読出しの度に1ずつ減算されるが、F5において、再度+4の書込みが行われるため、4フレーム後に消滅しない。結果的に7フレーム後に値0となり、合計6フレーム期間の表示が行われる。
【0035】
フレーム間のコンスタレーション情報の残像的動作の概要タイムチャートである図8に示すように、時間的に稀にしか届かないコンスタレーションのドットでも、最低4フレームの期間繰り返し表示が行われる。
【0036】
具体的には、図6、図7と図8において、表示制御部211は、受信データTDrからコンスタレーション情報xyと、有効なデータであることを示すイネーブル(enable:以下ENと略す)信号を出力する。書込み制御部212は、状態変化のきっかけとなるストローブ(strobe:以下STと略す)信号ST1=Hであれば、コンスタ情報抽出部211からのコンスタレーション情報xyをアドレスに見立てて、かつ、EN信号とのANDにて、書込みアドレスAxyを出力し、コンスタレーションのドットのデータD(xy)を入出力する。
【0037】
切替部214は、ST2=Hであれば、書込み制御部212とメモリ213を接続し、ST2=Lであれば、読み出し制御部215とメモリ213を接続する。メモリ213は、ST2=Hであれば、書込み制御部212と接続し、ST2=Lであれば、読み出し制御部215と接続される。なおメモリのデータData(xy)のビット幅を7と仮定する。
読み出し制御部215は、ST3=Hであれば、表示エリアに相当する走査線のアドレスAhvを出力し、コンスタレーションのドットのデータD(hv)を入出力する。ゲート&Sync付加部216は、データD(hv)が1以上であれば、表示エリアにコンスタレーション表示を行い、ST4に従って、表示エリアに相当する同期信号を付加し出力する。
【0038】
書込み制御部212は、xyアドレス期間(ブランキング期間を含む)には、コンスタレーション情報を、その情報に応じたアドレスのデータをまず読み出しその値に4を加算する形でメモリ213に書き込む。値が7を超える場合は、7に置換し書き込む。
【0039】
読み出し制御部215は、t4〜t6期間に存在する、hvアドレス期間には、読み出したコンスタレーション情報を、情報に応じたアドレスのデータに値−1を行う加算する形でメモリ213に書き込みを行う。値が0を下回る場合は、0に置換し書き込む。
【0040】
上記の説明は、xyモードでの書込み値を4とししたため、最低4フレームの期間繰り返し表示が行われた。xyモードでの書込み値を増やすことで、残像の表示期間は増加する。
【0041】
図3に、本発明の受信状態良好のコンスタレーション表示の一例を示す説明図、図4に本発明の受信状態悪のコンスタレーション表示の一例を示す説明図を示す。
以上に説明した実施形態では、伝送表示装置20と伝送表示装置21の双方にメモリを設け、これらのメモリ間でコンスタレーション配置情報の授受を行うようにしたので、メモリの読出速度を遅くすることができ、従って、映像信号と共にマイクロ波に乗せて伝送するなど、データ伝送速度が高くとれない手段を用いても、なんら支障無くコンスタレーション配置情報を伝送することができる。
【0042】
ところで、マイクロ波による見通し間伝播の場合、その伝播状況は、例えば伝播経路にある河川の水位の変化などによって時々刻々変化する。従って、この場合、一定の期間に渡り、伝播状況を保存して表示する必要があるが、このことは従来のオシロスコープ単独では困難で、長時間の重ね書き表示は従来技術では対応できない。
【0043】
また、一般的なオシロスコープの場合、そのX軸の周波数応答は通常1MHz未満であり、高速な信号点変化には追従できないため、通常は観測用に専用の間引きした信号を用意しなければならない。
【0044】
しかし、以上の実施形態では、フレーム単位で書込んたデータをメモリ間で伝送する方式になっているので、フレーム期間単位で伝播状況が保存され、従って、そのままオシロスコープでコンスタレーションが表示でき、構成が簡略化される。
【0045】
ところで、以上の実施形態では、2次元のI信号とQ信号によるコンスタレーションの表示についてだけ説明したが、しかし、本発明では、メモリに書込んで伝送すべき情報についてコンスタレーションに限定されるものではなく、例えば遅延プロファイルや、スペクトル状態であっても良い。
【0046】
また、中継地点は1箇所に限定されるものではなく、その中継地点からのコンスタレーションデータを、映像伝送信号の最終受信地点とは異なる別個の監視地点で集約することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のコンスタレーション表示の画面概略動作
【図2】本発明のメモリ内容のアクセス動作を示す説明図
【図3】本発明の受信状態良好のコンスタレーション表示の一例を示す説明図
【図4】本発明の受信状態悪のコンスタレーション表示の一例を示す説明図
【図5】本発明の伝播状況表示機能を備えたデジタル中継システムの一例を示すシステム構成図
【図6】本発明の伝送表示装置21の構成を示す詳細システム構成図
【図7】本発明のフレーム内のタイムチャートを示す説明図
【図8】本発明のフレーム間のタイムチャートを示す説明図
【図9】伝播状況表示機能を備えた従来技術によるデジタル中継システムの一例を示すシステム構成図
【図10】伝播状況表示機能を備えた従来技術によるデジタル中継システムの他の一例を示すシステム構成図
【図11】デジタル伝送状態における、信号点形態の関連を示す説明図
【符号の説明】
【0048】
1:MPEGエンコーダ
2:マッピング部
3:MOD(変調部)
4:送信高周波部
5:アンテナ(送信側)
6:アンテナ(受信側)
7:受信高周波部
8:DEM(復調部)
9:識別判定部
10:MPEGデコーダ
12:送信高周波部(中継側)
13:アンテナ(送信側)
14:アンテナ(受信側)
15:受信高周波部(受信側)
20:伝送表示装置(中継側)
21:伝送表示装置(受信側)
30:MUX
211、212:書込み制御部
213:メモリ
214:切替器
215:読出し制御部
216:ゲート&Sync付加部
217:コントロール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル変調した伝送信号を2次元データにマッピングして少なくとも一つの中継地点から伝送し、受信側で前記2次元データを識別して伝送信号を再生する方式のデジタル伝送方法において、
前記中継地点における前記伝送信号の伝送状態を表示する伝送状態表示情報を、抽出して前記受信側に送出し、
前記受信側において、前記送出された伝送状態表示情報を受信して、伝送状態表示情報を書込みおよび読出して伝送状態を表示出力するメモリは、
前記伝送状態表示情報の受信手段から出力される伝送状態表示情報に基づいて
アドレスを決定しメモリのデータ書込みを行い、表示アドレスに従い前記メモリのデータの読み出しを行うことを特徴とするデジタル伝送状態把握方法。
【請求項2】
請求項1のデジタル伝送状態把握方法において、前記メモリのデータ書込は、当該アドレスを読出した結果データDxyに整数Mを加算し、値が整数B以上となった場合はBに置換を行った後、書込みを行い、前記メモリのデータの読出は、当該アドレスを読出した結果データDlnに整数Nを減算し、演算結果値が0未満となった場合は0に置換を行った後、書込みを行い、表示の実施は、読出したDlnの値に応じて決定を行うことを特徴とするデジタル伝送状態把握方法。
【請求項3】
請求項2のデジタル伝送状態把握方法において、前記メモリのデータ書込で当該アドレスを読出した結果Dxyに加算する整数Mを、前記メモリのデータ読出で当該アドレスを読出した結果Dlnに減算する整数Nより大きく設定したことを特徴とするデジタル伝送状態把握方法。
【請求項4】
デジタル変調方式により変調された伝送信号TSを2次元データにマッピングして少なくとも一つの中継地点からから伝送し、受信側で前記2次元データを識別することで伝送信号TSを再生するデジタル伝送装置において、前記中継地点側に前記中継地点の伝送状態を表示する伝送状態表示情報を、伝送信号TSに重畳して送出する送信手段を設け、前記受信側に伝送状態表示情報の受信手段と、前記送出された伝送状態表示情報を受信して伝送状態表示情報を書込みおよび読出して伝送状態を表示出力するメモリを設け、前記伝送状態表示情報の受信手段から出力される伝送状態表示情報に基づいてアドレスを決定し前記メモリのデータ書込みを行うメモリ書き込み制御部と、表示アドレスに従い前記メモリの読み出しを行うメモリ読み出し制御部と、前記メモリ書き込み制御部と前記メモリ読み出し制御部の動作を切り替えるコントロール部とで、構成したことを特徴とするデジタル伝送装置。
【請求項1】
デジタル変調した伝送信号を2次元データにマッピングして少なくとも一つの中継地点から伝送し、受信側で前記2次元データを識別して伝送信号を再生する方式のデジタル伝送方法において、
前記中継地点における前記伝送信号の伝送状態を表示する伝送状態表示情報を、抽出して前記受信側に送出し、
前記受信側において、前記送出された伝送状態表示情報を受信して、伝送状態表示情報を書込みおよび読出して伝送状態を表示出力するメモリは、
前記伝送状態表示情報の受信手段から出力される伝送状態表示情報に基づいて
アドレスを決定しメモリのデータ書込みを行い、表示アドレスに従い前記メモリのデータの読み出しを行うことを特徴とするデジタル伝送状態把握方法。
【請求項2】
請求項1のデジタル伝送状態把握方法において、前記メモリのデータ書込は、当該アドレスを読出した結果データDxyに整数Mを加算し、値が整数B以上となった場合はBに置換を行った後、書込みを行い、前記メモリのデータの読出は、当該アドレスを読出した結果データDlnに整数Nを減算し、演算結果値が0未満となった場合は0に置換を行った後、書込みを行い、表示の実施は、読出したDlnの値に応じて決定を行うことを特徴とするデジタル伝送状態把握方法。
【請求項3】
請求項2のデジタル伝送状態把握方法において、前記メモリのデータ書込で当該アドレスを読出した結果Dxyに加算する整数Mを、前記メモリのデータ読出で当該アドレスを読出した結果Dlnに減算する整数Nより大きく設定したことを特徴とするデジタル伝送状態把握方法。
【請求項4】
デジタル変調方式により変調された伝送信号TSを2次元データにマッピングして少なくとも一つの中継地点からから伝送し、受信側で前記2次元データを識別することで伝送信号TSを再生するデジタル伝送装置において、前記中継地点側に前記中継地点の伝送状態を表示する伝送状態表示情報を、伝送信号TSに重畳して送出する送信手段を設け、前記受信側に伝送状態表示情報の受信手段と、前記送出された伝送状態表示情報を受信して伝送状態表示情報を書込みおよび読出して伝送状態を表示出力するメモリを設け、前記伝送状態表示情報の受信手段から出力される伝送状態表示情報に基づいてアドレスを決定し前記メモリのデータ書込みを行うメモリ書き込み制御部と、表示アドレスに従い前記メモリの読み出しを行うメモリ読み出し制御部と、前記メモリ書き込み制御部と前記メモリ読み出し制御部の動作を切り替えるコントロール部とで、構成したことを特徴とするデジタル伝送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−97029(P2007−97029A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286204(P2005−286204)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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