説明

データ処理装置及びデータ処理方法並びに電子機器

【課題】視聴者に違和感を与えない再生処理を行うことができるデータ処理装置及びデータ処理方法並びに携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】符号化されているデータから所定の時間情報を抽出して時間情報テーブルを生成する時間情報テーブル生成部204と、時間情報テーブルを参照して時間情報が一定の時間間隔で抽出されているか否かを判断する判断部205と、データの欠落時間を算出するデータ欠落時間算出部206と、欠落時間が所定の時間よりも長いと判断した場合には、当該欠落時間を省略しつつ任意のデータを挿入して再生処理を行うように制御し、欠落時間が所定の時間よりも短いと判断した場合には、当該欠落時間を省略せずに任意のデータを挿入して前記再生処理を行うように制御する制御部207とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化されているデータを復号処理し、復号処理後のデータを再生処理するデータ処理装置及びデータ処理方法並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電子機器は、例えば、テレビ放送波を受信するアンテナ部と、アンテナ部で受信したテレビ放送波を復調処理する復調処理部と、復調処理された信号(トランスポートストリーム(TS))を音声TSと映像TSとに分離する分離処理部と、分離処理された音声TSをデコード処理する音声TSデコード処理部と、分離処理された映像TSをデコード処理する映像TSデコード処理部と、音声TSデコード処理部によりデコード処理された音声を出力するスピーカと、映像TSデコード処理部によりデコード処理された映像を出力するディスプレイと、TSから同期信号を抽出し、音声と映像の同期処理を行う同期処理部と、を備えるものがある。
【0003】
また、このような携帯電子機器では、受信したコンテンツをメモリに録画することができる機能も有している。
【0004】
ここで、コンテンツの録画時に、ストリームが欠落している場合には、欠落している部分に前画面を表示又は黒画像等を挿入することにより実時間を変えないで再生する方法(以下、第1の再生方法という。)や、また、特許文献1に提案されているように、欠落した部分を飛ばすことにより実時間を短縮して再生する方法(以下、第2の再生方法という。)がある。
【特許文献1】特開2006−238003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第1の再生方法を採用する携帯電子機器において、例えば、数分間にも及ぶ長時間分のストリームの欠落が生じた場合、数分間も前画面や黒画像等が無音状態で再生されることになり、視聴者に違和感を与えてしまい、好ましい再生形態ではない。
【0006】
また、第2の再生方法を採用する携帯電子機器において、例えば、数秒程度の短期間のストリームの欠落が生じた場合、その数秒間の画像や音声が短縮されてしまうため、視聴者に違和感を与えてしまい、好ましい再生形態ではない。
【0007】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、視聴者に違和感を与えない再生処理を行うことができるデータ処理装置及びデータ処理方法並びに電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデータ処理装置は、上述の課題を解決するために、所定の規格に準拠して符号化されているデータを復号処理し、復号処理後のデータを再生処理するデータ処理装置であって、受信したデータの欠落時間を算出するデータ欠落時間算出手段と、再生処理される前記データに欠落が生じている場合、前記データ欠落時間算出手段により算出された欠落時間に基づいて、前記欠落に対して前記データの再生時間を短縮して再生する第1の処理と、前記データの欠落部分に任意のデータを挿入する第2の処理とを切り替える制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記データ処理装置では、前記制御手段は、前記データ欠落時間算出手段により算出された前記欠落時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、前記欠落時間が前記所定の時間よりも長いと判断した場合には、再生処理される時間から当該欠落時間を省略して前記第1の処理を行うように制御し、前記欠落時間が前記所定の時間よりも短いと判断した場合には、当該欠落時間を省略せずに任意のデータを挿入して前記第2の処理を行うように制御することが好ましい。
【0010】
また、上記データ処理装置では、前記符号化されているデータから一定の時間間隔で所定の時間情報を含むパケットを抽出して時間情報テーブルを生成する時間情報テーブル生成手段と、前記時間情報テーブルを参照して前記時間情報が前記一定の時間間隔で抽出されているか否かを判断する判断手段と、を備え、前記データ欠落時間算出手段は、前記判断手段により前記時間情報が前記一定の時間間隔で抽出されていないと判断されたときには、データの欠落時間を算出することが好ましい。
【0011】
また、上記データ処理装置では、データ欠落時間算出手段は、前記判断手段により前記時間情報が前記一定の時間間隔で抽出されていないと判断されたときには、前記符号化されているデータが欠落を生じていると推定し、前記一定の時間間隔になっていない箇所の直前の時間情報と直後の時間情報とに基づいてデータの欠落時間を算出することが好ましい。
【0012】
また、上記データ処理装置では、前記制御手段は、前記欠落時間が所定の時間よりも長いと判断した場合には、前記欠落時間に任意のデータを挿入して前記再生処理を行うことが好ましい。
【0013】
また、上記データ処理装置では、前記データ欠落時間算出手段は、前記直前の時間情報が属するパケットを解析し、再生開始のタイミングを規定する第1の再生開始時間情報と再生時間を取得し、前記直後の時間情報が属するパケットを解析し、再生開始のタイミングを規定する第2の再生開始時間情報を取得し、前記第1の再生開始時間情報と、前記再生時間と、前記第2の再生開始時間情報とから前記データの欠落時間を算出することが好ましい。
【0014】
また、上記データ処理装置では、前記任意のデータは、黒画像のデータ又は直前の画像のデータであることが好ましい。
【0015】
また、上記データ処理装置では、前記制御手段は、前記任意のデータの挿入とともにデータが欠落した旨を視覚的又は聴覚的に報知するように制御することが好ましい。
【0016】
本発明に係るデータ処理方法は、上述の課題を解決するために、所定の規格に準拠して符号化されているデータを復号処理し、復号処理後のデータを再生処理するデータ処理方法であって、受信したデータの欠落時間を算出するデータ欠落時間算出工程と、再生処理される前記データに欠落が生じている場合、前記データ欠落時間算出工程により算出された欠落時間に基づいて、前記欠落に対して前記データの再生時間を短縮して再生する第1の処理と、前記データの欠落部分に任意のデータを挿入する第2の処理とを切り替える切替工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、上記データ処理方法では、前記切替工程は、前記データ欠落時間算出工程により算出された前記欠落時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、前記欠落時間が前記所定の時間よりも長いと判断した場合には、再生処理される時間から当該欠落時間を省略して前記第1の処理を行うように切り替え、前記欠落時間が前記所定の時間よりも短いと判断した場合には、当該欠落時間を省略せずに任意のデータを挿入して前記第2の処理を行うように切り替えることが好ましい。
【0018】
本発明に係る電子機器は、上述の課題を解決するために所定の規格に準拠して符号化されているデータを復号処理し、復号処理後のデータを再生処理する電子機器であって、、受信したデータの欠落時間を算出するデータ欠落時間算出手段と、再生処理される前記データに欠落が生じている場合、前記データ欠落時間算出手段により算出された欠落時間に基づいて、前記欠落に対して前記データの再生時間を短縮して再生する第1の処理と、前記データの欠落部分に任意のデータを挿入する第2の処理とを切り替える制御手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、上記電子機器では、前記制御手段は、前記データ欠落時間算出手段により算出された前記欠落時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、前記欠落時間が前記所定の時間よりも長いと判断した場合には、再生処理される時間から当該欠落時間を省略して前記第1の処理を行うように制御し、前記欠落時間が前記所定の時間よりも短いと判断した場合には、当該欠落時間を省略せずに任意のデータを挿入して前記第2の処理を行うように制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、視聴者に違和感を与えない再生処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下、本発明に係るデータ処理装置を備える電子機器として携帯電話機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であっても良い。
【0022】
図1及び図2により、携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)における正面図を示す。また、図2(A)は、携帯電話機1を開いた状態における左側面図を示し、図2(B)は、携帯電話機1を開いた状態における右側面図を示す。
【0023】
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とはヒンジ機構を備える連結部4を介して連結され、該携帯電話機1を開状態及び閉状態に変形可能なように構成されている。
【0024】
ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。そして、開状態における表状態とは、後述する表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2におけるフロントケース2aに配置される操作キー群11とが同じ側を向くように配置された状態であり、裏状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが反対側を向くように配置された状態をいう。
【0025】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bにより構成される。この操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部(マイク)12とがそれぞれ露出するように構成される。ここで、操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。また、マイク12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側とは反対の外端部側に配置される。つまり、マイク12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0026】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0027】
操作部側筐体2における一方の側面には、図2(A)に示すように、外部機器(例えば、ホスト装置)とデータの送受信を行うためのインターフェース16と、ヘッドホン/マイク端子17と、着脱可能な外部メモリのインターフェース18と、バッテリを充電するための充電端子19とが設けられている。なお、インターフェース16、ヘッドホン端子/マイク端子17及びインターフェース18は、不使用時において着脱可能な防塵対策用のキャップで覆われている。
【0028】
操作部側筐体2における他方の側面には、図2(B)に示すように、一対のサイドキー20と、撮像時に使用される操作キー21と、電波の受信角度を調整可能な放送波受信用のアンテナ部22とが配置される。このサイドキー20には、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。ここで、上述と同様に、サイドキー20が使用者により押圧されることで、携帯電話機1においてサイドキー20に割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0029】
また、表示部側筐体3は、外面がフロントケース3aとリアケース3bにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケース3aには、図1に示すように、各種情報を表示するための所定形状のディスプレイ30と、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31とが露出するように配置される。ここで、音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声出力部31は、携帯電話機1が開状態において他方の端部側に配置される。
【0030】
なお、本実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でも良い。
【0031】
つぎに、図3の機能ブロック図を参照して、携帯電話機1の各機能について説明する。携帯電話機1は、図3に示すように、外部機器(無線基地局等)と通信を行う通信部100と、所定の処理を行う処理部150と、放送波を受信する放送波受信部200と、を備えている。
【0032】
通信部100の構成と動作について説明する。通信部100は、所定の通信方式(例えば、CDMA(Code Division Mulitiple Access)2000_1x等)に基づいて、基地局を介して他の通信端末装置との間で電話による通信やメールによる通信等を行うアンテナ部101と、送信処理を行う送信回路と受信処理を行う受信回路とにより構成される通信処理部102と、を備える。
【0033】
アンテナ部101は、例えば、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で基地局と通信を行う。なお、使用周波数帯は、800MHz以外の周波数帯であっても良い。また、アンテナ部101は、複数の使用周波数帯に対応できるように構成されていても良い。
【0034】
通信処理部102は、アンテナ部101によって受信した信号を受信回路により復調処理し、処理後の信号を処理部150に供給し、また、処理部150から供給された信号を送信回路により変調処理し、アンテナ部101を介して外部機器に送信する。
【0035】
また、処理部150は、操作キー群11と、マイク12と、ディスプレイ30と、音声出力部31と、所定のデータが格納されるメモリ151と、所定の音処理を行う音処理部152と、所定の画像処理を行う画像処理部153と、被写体を撮像するカメラ部23と、着信音等が出力されるスピーカ154と、各構成部分を制御する主制御部155等を備えている。なお、メモリ151は、着脱可能なメモリであって、放送波受信部200等により受信されたコンテンツが保存される。
【0036】
また、放送波受信部200の構成と動作について説明する。放送波受信部200は、図4に示すように、アンテナ部22と、アンテナ部22に接続されている受信処理部201と、受信処理部201により処理された信号が供給される復号処理部202と、復号処理部202により復号処理された信号が供給される再生処理部203と、受信処理部201により処理された信号が供給される時間情報テーブル生成部204(時間情報テーブル生成手段)と、時間情報テーブル生成部204に接続されている判断部205(判断手段)と、判断部205に接続されているデータ欠落時間算出部206(データ欠落時間算出手段)と、データ欠落時間算出部206に接続され、所定の制御を行う制御部207(制御手段)とを備える。また、放送波受信部200は、受信処理部201により処理された信号(ストリーム)をメモリ151に書き込み、また、メモリ151から読み出す書込・読出部208を備えている。
【0037】
アンテナ部22は、空間を伝播してくる信号を受信し、受信した信号を受信処理部201に供給する。また、アンテナ部22は、上述したように、電波の受信角度を調整可能なように構成されている。また、アンテナ部22により受信される信号は、所定の規格(例えば、MPEG(moving picture experts group)2)に準拠して符号化されているものとする。
【0038】
受信処理部201は、所定の処理を行う。具体的には、受信処理部201は、所定方式により変調・圧縮処理されたデジタル放送信号を受信し、受信したデジタル放送信号に基づいて、放送局が送り出したTS(Transport Stream)パケットの復元処理を行う。
【0039】
ここで、TSパケットについて説明する。TSパケットには、映像TSパケットと、音声TSパケットと、字幕や番組情報等の付加情報が含まれている。また、この付加情報には、復号処理の開始タイミングを規定する時刻情報(DTS、decoding time stamp)や、再生を行うタイミングを規定する時刻情報(PTS、Presentation Time Stamp)等が含まれている。
【0040】
また、TSパケットは、188バイトの固定長パケットであり、図5に示すように、4バイト固定のヘッダと、184バイト可変長であるアダプテーションフィールドと、ペイロードとから構成されている。また、ヘッダには、PID(Paket Identifier)が記述されており、パケットの識別を可能としている。
【0041】
また、同じPIDである複数のTSパケットのペイロード部分がつなぎ合わされることにより、PES(Packetized Elementary Stream)パケットが構成される。
【0042】
また、PESパケットには、パケットごとに一定の時間間隔でPCR(Program Clock Reference)が含まれている。ここで、PCRは、復号処理部202により符号化されているデータを復号処理する際及び、再生処理部203により復号処理後のデータを再生処理する際に参照される基準の時間情報である。したがって、PCRを参照することにより、システムの時間情報を得ることができる。
【0043】
また、PESパケットは、単一のメディア情報をあるプレゼンテーションの単位でパケット化されており、メディア再生の時間管理を行う単位となる。したがって、一つのPESパケットで、一つのフレームを構成する。
【0044】
復号処理部202は、受信処理部201により復元処理された後の信号に係るデータ、又は書込・読出部208によりメモリ151から読み出されたデータをパケットごとに復号処理する。
【0045】
再生処理部203は、復号処理部202による復号処理後のデータを再生処理し、処理後の映像信号をディスプレイ30に供給し、処理後の音声信号をスピーカ154に供給する。
【0046】
時間情報テーブル生成部204は、符号化されているデータに一定の時間間隔でパケットごとに含まれている所定の時間情報を抽出して時間情報テーブルを生成する。ここで、所定の時間情報とは、例えば、MPEG2において規定されているPCRである。
【0047】
判断部205は、時間情報テーブルを参照して時間情報が一定の時間間隔で抽出されているか否かを判断する。
【0048】
データ欠落時間算出部206は、判断部205により時間情報が一定の時間間隔で抽出されていないと判断されたときには、符号化されているデータが欠落を生じていると推定し、一定の時間間隔になっていない箇所の直前の時間情報と直後の時間情報とに基づいてデータの欠落時間を算出する。
【0049】
また、データ欠落時間算出部206は、直前の時間情報が属するパケットを解析し、再生開始のタイミングを規定する第1の再生開始時間情報と再生時間を取得し、直後の時間情報が属するパケットを解析し、再生開始のタイミングを規定する第2の再生開始時間情報を取得し、第1の再生開始時間情報と、再生時間と、第2の再生開始時間情報とからデータの欠落時間を算出する構成であっても良い。
【0050】
制御部207は、データ欠落時間算出部206により算出された欠落時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、欠落時間が所定の時間よりも長いと判断した場合には、当該欠落時間を省略して再生処理部203による再生処理を行うように制御し(第1の処理)、欠落時間が所定の時間よりも短いと判断した場合には、当該欠落時間を省略せずに任意のデータを挿入して再生処理部203による再生処理を行うように制御する(第2の処理)。なお、再生処理部203は、第1の処理において任意のデータを挿入して再生処理を行うように制御する構成にしても良い。
【0051】
また、任意のデータは、例えば、黒画像のデータ又は直前の画像のデータである。また、制御部207は、例えば、黒画像又は直前の画像を挿入するときには、画面が次第に明るくなり映像が現れるように挿入(フェードイン挿入)し、黒画像又は直前の画像のデータを消去するときには、映像が次第に消えて行くように消去(フェードアウト)しても良い。また、制御部207は、黒画像又は直前の画像を挿入する際に、画面中に映像が何秒欠落したのかを示すメッセージを併せて挿入しても良い。
【0052】
<実施例>
ここで、放送波受信部200の具体的な動作について説明する。なお、以下では、映像PESにおいて一定期間(図6中のa−b期間)においてデータ(ストリーム)の欠落が生じたものとする。
【0053】
また、PCRは、上述したように、システムの時間情報を保持しており、図6に示すように、映像PESにおいて所定の時間間隔(例えば、0.5s間隔)で配置されているので、PCRを監視することにより、データの欠落を予測することができる。
【0054】
時間情報テーブル生成部204は、各映像PESからPCRのみを抽出し、時間情報テーブルAを生成する(図6を参照)。判断部205は、時間情報テーブル生成部204により生成された時間情報テーブルを監視し、PCRが所定の時間間隔で抽出されているか否かを判断する。図6に示す例では、PRC3〜PCR5を抽出することができない。
【0055】
判断部205は、時間情報テーブルを参照し、PCR3〜PCR5が抽出できていないことを把握し、データが欠落していると判断する。
【0056】
データ欠落時間算出部206は、判断部205の判断結果に基づいて、PCR2〜PCR6の間における正確な欠落時間を算出する。データ欠落時間算出部206は、PCR6が配置されている位置から前に向かって、映像PESの先頭をサーチする(図7(A)中の「A1」)。データ欠落時間算出部206は、最初にサーチされた映像PES1にデータの欠落が生じていないかどうかを判定する(図7(A)中の「A2」)。
【0057】
データ欠落時間算出部206は、映像PES1にデータの欠落が生じていないと判定した場合には、映像PES1のヘッダを解析し、PTS1と再生開始時間(DRU1)を取得する(7(A)中の「A3」)。なお、一般的には、PESは、複数のコンテンツのパケットが多重化されているため、同一のコンテンツにおける映像PESが連続していることは稀であるが、本実施例では、便宜上、同一のコンテンツにおける映像PESが連続しているものとして説明する。
【0058】
つぎに、データ欠落時間算出部206は、PCR2が配置されている位置から後ろに向かって映像PESの先頭をサーチする(図7(B)中の「B1」)。データ欠落時間算出部206は、最初にサーチされた映像PES2にデータの欠落が生じていないかどうかを判定する(図7(B)中の「B2」)。
【0059】
データ欠落時間算出部206は、映像PES2にデータの欠落が生じていないと判定した場合には、映像PES2のヘッダを解析し、PTS2を取得する(図7(B)中の「B3」)。
【0060】
データ欠落時間算出部206は、所定の演算(PTS2−(PTS1+DRU1))を行い、データの欠落時間を算出する。
【0061】
制御部207は、データ欠落時間算出部206による演算結果からデータの欠落時間が所定の時間よりも長いか短いかを判断する。
【0062】
制御部207は、欠落時間が所定の時間(例えば、3s)よりも長いと判断した場合には、当該欠落時間を省略して再生処理部203による再生処理を行うように制御する。したがって、例えば、欠落時間が4s〜60sの56sであった場合には、所定の時間よりも長いので、制御部207の制御により、再生処理部203からディスプレイ30に出力される画像は、図8(A)に示すように、再生時間を短縮しつつ黒画像等の任意の画像が挿入されて再生が行われる。したがって、本発明では、長期間に渡るデータの欠落が生じた場合において、長時間に渡って前画面や黒画像等が無音状態で再生されることはないので、視聴者に違和感を与えず、良好な再生形態を実現することができる。
【0063】
また、制御部207は、欠落時間が所定の時間(例えば、3s)よりも短いと判断した場合には、当該欠落時間を省略せずに再生処理部203による再生処理を行うように制御する。したがって、例えば、欠落時間が4s〜6sの2sであった場合には、所定の時間より短いので、制御部207の制御により、再生処理部203からディスプレイ30に出力される画像は、図8(B)に示すように、再生時間が省略されることなく黒画像等の任意の画像が挿入されて再生が行われる。したがって、本発明では、数秒程度の短期間のデータの欠落が生じた場合において、その数秒間の画像や音声が短縮されることがないので、視聴者に違和感を与えず、良好な再生形態を実現することができる。なお、図8(B)では、2箇所(4s〜6s、及び12s)で短時間のデータ欠落が生じた場合の再生制御を示している。
【0064】
このようにして、本発明に係る携帯電話機1では、データの欠落時間に応じて適宜表示方法を変更するので、視聴者に対して視聴しやすい再生形態を提供することができる。
【0065】
なお、制御部207は、欠落時間が所定の時間と同等であれば、再生時間を省略するように制御しても良いし、また、再生時間を省略しないように制御しても良い。
【0066】
また、上述では映像PESが一定期間においてストリームの欠落が生じた場合について例示したが、これに限られず、本発明は、音声PESが一定期間においてストリームの欠落が生じた場合であっても対応可能である。
【0067】
また、本実施例においては、復号処理部202と、再生処理部203と、時間情報テーブル生成部204と、判断部205と、データ欠落時間算出部206と、制御部207とは、放送波受信部200に備えられているものとしたが、これに限られず、これらは、処理部150に備えられても良い。また、本実施例においては、判断部205と、データ欠落時間算出部206と、制御部207とによって各処理がそれぞれ独立して実行されるものとして説明したが、これに限られず、主制御部155により一体的に実行されるような構成であっても良い。
【0068】
また、本実施例において、判断部205は、MPEG2−TS内のPCRの規則性に基づいてデータの欠落判定を行うものとして説明したが、これに限られず、TOTや映像又は音声のPTSの規則性に基づいてデータの欠落判定を行う構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】携帯電話機を開いた状態(第1開状態)における正面図を示す。
【図2】(A)携帯電話機を開いた状態における左側面図を示し、(B)携帯電話機を開いた状態における右側面図を示す。
【図3】本発明に係る携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る携帯電話機に備えられている放送波処理部の機能を示すブロック図である。
【図5】TSパケットの構成について示す図である。
【図6】PCRの説明に供する図である。
【図7】データの欠落時間を算出する方法についての説明に供する図である。
【図8】データの欠落時間に応じて制御が行われた後の再生画像の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 携帯電話機
22 アンテナ部
151 メモリ
200 放送波処理部
201 受信処理部
202 復号処理部
203 再生処理部
204 時間情報テーブル生成部(時間情報テーブル生成手段)
205 判断部(判断手段)
206 データ欠落時間算出部(データ欠落時間算出手段)
207 制御部(制御手段)
208 書込・読出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の規格に準拠して符号化されているデータを復号処理し、復号処理後のデータを再生処理するデータ処理装置であって、
受信したデータの欠落時間を算出するデータ欠落時間算出手段と、
再生処理される前記データに欠落が生じている場合、前記データ欠落時間算出手段により算出された欠落時間に基づいて、前記欠落に対して前記データの再生時間を短縮して再生する第1の処理と、前記データの欠落部分に任意のデータを挿入する第2の処理とを切り替える制御手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記データ欠落時間算出手段により算出された前記欠落時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、前記欠落時間が前記所定の時間よりも長いと判断した場合には、再生処理される時間から当該欠落時間を省略して前記第1の処理を行うように制御し、
前記欠落時間が前記所定の時間よりも短いと判断した場合には、当該欠落時間を省略せずに任意のデータを挿入して前記第2の処理を行うように制御することを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記符号化されているデータから一定の時間間隔で所定の時間情報を含むパケットを抽出して時間情報テーブルを生成する時間情報テーブル生成手段と、
前記時間情報テーブルを参照して前記時間情報が前記一定の時間間隔で抽出されているか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記データ欠落時間算出手段は、前記判断手段により前記時間情報が前記一定の時間間隔で抽出されていないと判断されたときには、データの欠落時間を算出することを特徴とする請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
データ欠落時間算出手段は、
前記判断手段により前記時間情報が前記一定の時間間隔で抽出されていないと判断されたときには、前記符号化されているデータが欠落を生じていると推定し、前記一定の時間間隔になっていない箇所の直前の時間情報と直後の時間情報とに基づいてデータの欠落時間を算出することを特徴とする請求項3記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記欠落時間が所定の時間よりも長いと判断した場合には、前記欠落時間に任意のデータを挿入して前記再生処理を行うことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記データ欠落時間算出手段は、前記直前の時間情報が属するパケットを解析し、再生開始のタイミングを規定する第1の再生開始時間情報と再生時間を取得し、
前記直後の時間情報が属するパケットを解析し、再生開始のタイミングを規定する第2の再生開始時間情報を取得し、前記第1の再生開始時間情報と、前記再生時間と、前記第2の再生開始時間情報とから前記データの欠落時間を算出することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記任意のデータは、黒画像のデータ又は直前の画像のデータであることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記任意のデータの挿入とともにデータが欠落した旨を視覚的又は聴覚的に報知するように制御することを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
所定の規格に準拠して符号化されているデータを復号処理し、復号処理後のデータを再生処理するデータ処理方法であって、
受信したデータの欠落時間を算出するデータ欠落時間算出工程と、
再生処理される前記データに欠落が生じている場合、前記データ欠落時間算出工程により算出された欠落時間に基づいて、前記欠落に対して前記データの再生時間を短縮して再生する第1の処理と、前記データの欠落部分に任意のデータを挿入する第2の処理とを切り替える切替工程とを備えることを特徴とするデータ処理方法。
【請求項10】
前記切替工程は、前記データ欠落時間算出工程により算出された前記欠落時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、前記欠落時間が前記所定の時間よりも長いと判断した場合には、再生処理される時間から当該欠落時間を省略して前記第1の処理を行うように切り替え、前記欠落時間が前記所定の時間よりも短いと判断した場合には、当該欠落時間を省略せずに任意のデータを挿入して前記第2の処理を行うように切り替えることを特徴とする請求項9記載のデータ処理方法。
【請求項11】
所定の規格に準拠して符号化されているデータを復号処理し、復号処理後のデータを再生処理する電子機器であって、
受信したデータの欠落時間を算出するデータ欠落時間算出手段と、
再生処理される前記データに欠落が生じている場合、前記データ欠落時間算出手段により算出された欠落時間に基づいて、前記欠落に対して前記データの再生時間を短縮して再生する第1の処理と、前記データの欠落部分に任意のデータを挿入する第2の処理とを切り替える制御手段とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
前記制御手段は、前記データ欠落時間算出手段により算出された前記欠落時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、前記欠落時間が前記所定の時間よりも長いと判断した場合には、再生処理される時間から当該欠落時間を省略して前記第1の処理を行うように制御し、
前記欠落時間が前記所定の時間よりも短いと判断した場合には、当該欠落時間を省略せずに任意のデータを挿入して前記第2の処理を行うように制御することを特徴とする請求項11記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−182721(P2009−182721A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19945(P2008−19945)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】