説明

データ処理装置

【課題】メモリバス帯域の拡張や動作周波数の向上を必要とせずにNAL化処理の高速化を実現することが可能な、データ処理装置を得る。
【解決手段】NAL化装置2は、符号化された画像データのペイロードを符号化装置1から入力可能なデータ処理部20と、CPU5の制御によってバス7を介して入力された非画像データのペイロードを格納可能なデータバッファ23とを備える。データ処理部20には、所定のNALヘッダを、CPU5の制御によってバス7を介して入力可能である。データ処理部20は、データバッファ23から読み出した非画像データのペイロードにNALヘッダを付加することにより、第1のNALユニット60を生成し、画像データのペイロードにNALヘッダを付加することにより、第2のNALユニット70を生成し、第1のNALユニット60と第2のNALユニット70とを配列することにより、アクセスユニット90を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置に関し、特に、H.264規格におけるNAL化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
H.264規格では、動画像を符号化する符号化処理と、ビットストリームをPESパケット(PES:Packetized Elementary Stream)に多重化するPES化処理との間に、NAL化処理(NAL:Network Abstraction Layer)が規定されている。NAL化処理では、符号化データやパラメータセットからNALユニットが生成され、さらには複数のNALユニットが所定の順序で配列されてアクセスユニットが生成される。
【0003】
従来のシステムでは、DSP(Digital Signal Processor)やCPUを用いたソフトウェア処理によって、NAL化処理が行われていた。ソフトウェア処理において処理速度の高速化を図るためには、メモリバス帯域の拡張や動作周波数の向上が必要となる。
【0004】
なお、H.264規格のNAL化処理に関連する技術は、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−203950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、ソフトウェア処理において処理速度の高速化を図るためには、メモリバス帯域の拡張や動作周波数の向上が必要となる。しかし、メモリバス帯域の拡張は、メモリ容量の増大を引き起こすため、部品点数が増大するなど、システム設計上のデメリットが発生する。また、動作周波数の向上は、消費電力の増大を引き起こすため、同じくシステム設計上のデメリットが発生する。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、メモリバス帯域の拡張や動作周波数の向上を必要とせずにNAL化処理の高速化を実現することが可能な、データ処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るデータ処理装置は、外部の符号化装置によって符号化された画像データのペイロードを前記符号化装置から入力可能なデータ処理部と、非画像データのペイロードを、外部の制御装置の制御によって外部バスを介して入力可能であり、入力された前記非画像データのペイロードを格納可能なデータバッファとを備え、前記データ処理部には、所定のNAL(Network Abstraction Layer)ヘッダを、前記制御装置の制御によって前記外部バスを介して入力可能であり、前記データ処理部は、前記データバッファから読み出した前記非画像データのペイロードに前記NALヘッダを付加することにより、非画像データに対応する第1のNALユニットを生成し、前記画像データのペイロードに前記NALヘッダを付加することにより、画像データに対応する第2のNALユニットを生成し、前記第1のNALユニットと前記第2のNALユニットとを配列することにより、アクセスユニットを生成することを特徴とするものである。
【0009】
第2の発明に係るデータ処理装置は、第1の発明に係るデータ処理装置において特に、前記データ処理部は、複数のNALユニットを格納可能なレジスタを有し、前記データ処理部は、生成した前記第1のNALユニット及び前記第2のNALユニットをこの順に前記レジスタに格納し、前記レジスタから、前記第1のNALユニット及び前記第2のNALユニットをこの順に出力することにより、前記アクセスユニットを生成することを特徴とするものである。
【0010】
第3の発明に係るデータ処理装置は、第1又は第2の発明に係るデータ処理装置において特に、前記データバッファには、所定のダミーデータを格納可能であり、前記データ処理部は、前記ダミーデータを前記データバッファから繰り返し読み出すことにより、フィラーNALを生成可能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
第1〜第3の発明に係るデータ処理装置によれば、NAL化装置としてのデータ処理装置がハードウェアによって構成されているため、メモリバス帯域の拡張や動作周波数の向上を伴うことなく、NAL化処理の高速化を実現することが可能となる。しかも、非画像データのペイロードの入力処理及びNALヘッダの入力処理を、外部の制御装置の制御によるソフトウェア処理で実行することにより、全ての処理をハードウェア構成で実現する場合と比較して、装置構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0012】
特に第2の発明に係るデータ処理装置によれば、複数のNALユニットを所定の順序で配列することによるアクセスユニットの生成処理を、ハードウェア構成とソフトウェア処理との協働によって簡易に実現することが可能となる。
【0013】
特に第3の発明に係るデータ処理装置によれば、フィラーNALの生成処理を、ハードウェア構成とソフトウェア処理との協働によって簡易に実現することが可能となる。しかも、データバッファからのダミーデータの読み出しを繰り返すことにより、データバッファの容量以上の大容量のフィラーNALを生成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0015】
図1は、H.264規格に準拠した画像処理システムの構成の一部を抜き出して示すブロック図である。図1に示すように、この画像処理システムは、符号化装置1、NAL化装置2、PES化装置3、DRAM等のメモリ4、及びCPU5(制御装置)を備えて構成されている。符号化装置1、NAL化装置2、PES化装置3、及びメモリ4は、バス6に接続されている。符号化装置1、NAL化装置2、PES化装置3、及びCPU5は、バス7に接続されている。
【0016】
符号化装置1は、動画像の符号化処理を行うことにより符号化データを生成する。NAL化装置2は、符号化データに基づいてNALユニットの生成処理及びアクセスユニットの生成処理を行う。PES化装置3は、アクセスユニットをPESパケットに多重化する処理を行う。
【0017】
図2は、図1に示したNAL化装置2の具体的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、NAL化装置2は、インタフェース10〜14、データ処理部20、DMAバッファ21(DMA:Direct Memory Access)、コントローラ22、及びデータバッファ23を備えて構成されている。
【0018】
データバッファ23の出力にはデータ処理部20が接続されており、データ処理部20の出力にはDMAバッファ21が接続されている。コントローラ22は、データ処理部20、DMAバッファ21、及びデータバッファ23にそれぞれ接続されており、これらの動作を制御する。
【0019】
インタフェース10には、NAL化装置2の内部において、データ処理部20及びコントローラ22が接続されている。また、インタフェース10には、NAL化装置2の外部において、符号化装置1が接続されている。従って、データ処理部20は、インタフェース10を介して符号化装置1に接続されている。変形例として、NAL化装置2の外部において、インタフェース10にはバス6が接続されていても良い。この変形例の場合、データ処理部20は、インタフェース10及びバス6を介して、メモリ4(及び符号化装置1)に接続されている。
【0020】
インタフェース11には、NAL化装置2の内部において、DMAバッファ21が接続されている。また、インタフェース11には、NAL化装置2の外部において、バス6が接続されている。従って、DMAバッファ21は、インタフェース11及びバス6を介して、メモリ4(及びPES化装置3)に接続されている。
【0021】
インタフェース12には、NAL化装置2の内部において、コントローラ22が接続されている。また、インタフェース12には、NAL化装置2の外部において、バス7が接続されている。従って、コントローラ22は、インタフェース12及びバス7を介して、CPU5に接続されている。
【0022】
インタフェース13には、NAL化装置2の内部において、データ処理部20が接続されている。また、インタフェース13には、NAL化装置2の外部において、バス7が接続されている。従って、データ処理部20は、インタフェース13及びバス7を介して、CPU5に接続されている。
【0023】
インタフェース14には、NAL化装置2の内部において、データバッファ23が接続されている。また、インタフェース14には、NAL化装置2の外部において、バス7が接続されている。従って、データバッファ23は、インタフェース14及びバス7を介して、CPU5に接続されている。
【0024】
図3は、図2に示したデータ処理部20の具体的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、データ処理部20は、インタフェース40〜44、レジスタ30〜34、選択回路50、及び処理部51,52を備えて構成されている。
【0025】
レジスタ30〜33の各出力には選択回路50が接続されている。選択回路50の出力には処理部51が接続されている。処理部51の出力にはレジスタ34が接続されている。レジスタ34の出力には処理部52が接続されている。
【0026】
インタフェース40には、データ処理部20の内部において、レジスタ30が接続されている。また、インタフェース40には、データ処理部20の外部において、インタフェース10が接続されている。従って、レジスタ30は、インタフェース40を介して、インタフェース10に接続されている。
【0027】
インタフェース41には、データ処理部20の内部において、レジスタ31,32が接続されている。また、インタフェース41には、データ処理部20の外部において、インタフェース13が接続されている。従って、レジスタ31,32は、インタフェース41を介して、インタフェース13に接続されている。
【0028】
インタフェース42には、データ処理部20の内部において、レジスタ33が接続されている。また、インタフェース42には、データ処理部20の外部において、データバッファ23が接続されている。従って、レジスタ33は、インタフェース42を介して、データバッファ23に接続されている。
【0029】
インタフェース43には、データ処理部20の内部において、選択回路50が接続されている。また、インタフェース43には、データ処理部20の外部において、コントローラ22が接続されている。従って、選択回路50は、インタフェース43を介して、コントローラ22に接続されている。
【0030】
インタフェース44には、データ処理部20の内部において、処理部52が接続されている。また、インタフェース44には、データ処理部20の外部において、DMAバッファ21が接続されている。従って、処理部52は、インタフェース44を介して、DMAバッファ21に接続されている。
【0031】
以下、本実施の形態に係るNAL化装置2の動作について説明する。
【0032】
<非画像データに対応するNALユニットの生成>
NAL化装置2は、画像データ(以下の説明では例としてスライスデータとする)に対応するNALユニットの生成を開始する前に、AUデリミタ(Access Unit Delimiter)、SPS(Sequence Parameter Set)、PPS(Picture Parameter Set)、及びSEI(Supplemental Enhancement Information)等の、各種の非画像データに対応するNALユニットの生成を行う。
【0033】
図4は、非画像データに対応するNALユニット60の構成を示す図である。NALユニット60は、NALヘッダ61、非画像データに対応するRBSP62(RBSP:Raw Byte Sequence Payload)、及び必要に応じてトレイリングビット63が、この順に配列された構成を有している。トレイリングビット63は、バイトアライメント処理を行うための調整用のビットであり、必要に応じてトレイリングビット63を付加することにより、RBSP62とトレイリングビット63との合計のビット長が、8ビット(1バイト)の整数倍の長さに揃えられる。トレイリングビット63の付加の要否の判定処理、及び付加処理は、図3に示す処理部51によって実行される。
【0034】
図2,3を参照して、NALヘッダ61に関するデータは、CPU5の制御によって、バス7からインタフェース13,41を介して、レジスタ32に格納される。また、NALヘッダ61に関するデータは、レジスタ32からデータS3として選択回路50に入力される。
【0035】
RBSP62に関するデータは、CPU5の制御によって、バス7からインタフェース14を介して、データバッファ23に格納される。また、RBSP62に関するデータは、コントローラ22の制御によって、データバッファ23から読み出され、インタフェース42を介して、レジスタ33に格納される。また、RBSP62に関するデータは、レジスタ33からデータS4として選択回路50に入力される。
【0036】
コントローラ22は、データS3,S4をこの順に選択すべき旨の選択信号S5を、インタフェース43を介して選択回路50に入力する。その結果、データS3(NALヘッダ)及びデータS5(RBSP)がこの順に配列されたデータS6が、選択回路50から出力される。また、処理部51が必要に応じてデータS6にトレイリングビット63を付加することにより、図4に示した構成のNALユニット60が生成される。処理部51から出力されたNALユニット60は、レジスタ34に格納される。
【0037】
非画像データに対応するNALユニット60としては、必要に応じて、AUデリミタに関するNALユニット60A、SPSに関するNALユニット60B、PPSに関するNALユニット60C、及びSEIに関するNALユニット60Dがこの順に生成され、生成された順にレジスタ34に格納される(図7参照)。
【0038】
なお、図4には示さないが、必要に応じて、各NALユニット60の先頭に、所定のスタートコードを挿入することも可能である。図2,3を参照して、スタートコードに関するデータは、CPU5の制御によって、バス7からインタフェース13,41を介して、レジスタ31に格納される。また、スタートコードに関するデータは、レジスタ31からデータS2として選択回路50に入力される。選択回路50に対し、データS3の前にデータS2を選択させることにより、データS2(スタートコード)、データS3(NALヘッダ)、データS5(RBSP)、及びトレイリングビットがこの順に配列されたNALユニット60を生成することができる。
【0039】
<スライスデータに対応するNALユニットの生成>
非画像データに対応するNALユニット60の生成が完了すると、次にNAL化装置2は、スライスデータに対応するNALユニットの生成処理を行う。この処理の開始タイミングは、CPU5からバス7及びインタフェース12を介してコントローラ22に通知される。
【0040】
図5は、スライスデータに対応するNALユニット70の構成を示す図である。NALユニット70は、図4に示したNALユニット60と同様に、NALヘッダ71、スライスデータに対応するRBSP72、及び必要に応じてトレイリングビット73が、この順に配列された構成を有している。トレイリングビット73は、バイトアライメント処理を行うための調整用のビットであり、必要に応じてトレイリングビット73を付加することにより、RBSP72とトレイリングビット73との合計のビット長が、8ビット(1バイト)の整数倍の長さに揃えられる。トレイリングビット73の付加の要否の判定処理、及び付加処理は、図3に示す処理部51によって実行される。
【0041】
図2,3を参照して、NALヘッダ71に関するデータは、CPU5の制御によって、バス7からインタフェース13,41を介して、レジスタ32に格納される。また、NALヘッダ71に関するデータは、レジスタ32からデータS3として選択回路50に入力される。
【0042】
RBSP72に関するデータは、符号化装置1からインタフェース10,40を介して、レジスタ30に格納される。あるいは、RBSP72に関するデータは、符号化装置1からバス6を介してメモリ4に書き込まれた後、メモリ4からバス6及びインタフェース10,40を介して、レジスタ30に格納される。また、RBSP72に関するデータは、レジスタ30からデータS1として選択回路50に入力される。
【0043】
コントローラ22は、データS3,S1をこの順に選択すべき旨の選択信号S5を、インタフェース43を介して選択回路50に入力する。その結果、データS3(NALヘッダ)及びデータS1(RBSP)がこの順に配列されたデータS6が、選択回路50から出力される。また、処理部51が必要に応じてデータS6にトレイリングビット73を付加することにより、図5に示した構成のNALユニット70が生成される。処理部51から出力されたNALユニット70は、レジスタ34に格納される。
【0044】
この時点では、非画像データに対応するNALユニット60A〜60Dがすでにレジスタ34に格納されているため、スライスデータに対応するNALユニット70は、NALユニット60Dの後に、レジスタ34に格納されることとなる(図7参照)。
【0045】
なお、図5には示さないが、必要に応じて、NALユニット70の先頭に、所定のスタートコードを挿入することも可能である。スタートコードの挿入手法は、上述の手法と同様である。
【0046】
<フィラーNALの生成>
本実施の形態に係るNAL化装置2においては、スライスデータに対応するNALユニット70を生成した後、必要に応じて、フィラーNALを生成することが可能である。この処理の開始タイミングは、CPU5からバス7及びインタフェース12を介してコントローラ22に通知される。
【0047】
図6は、フィラーNAL80の構成を示す図である。フィラーNAL80は、図4に示したNALユニット60と同様に、NALヘッダ81、フィラーNALに対応するRBSP82、及び必要に応じてトレイリングビット83が、この順に配列された構成を有している。トレイリングビット83は、バイトアライメント処理を行うための調整用のビットであり、必要に応じてトレイリングビット83を付加することにより、RBSP82とトレイリングビット83との合計のビット長が、8ビット(1バイト)の整数倍の長さに揃えられる。トレイリングビット83の付加の要否の判定処理、及び付加処理は、図3に示す処理部51によって実行される。
【0048】
図2,3を参照して、NALヘッダ81に関するデータは、CPU5の制御によって、バス7からインタフェース13,41を介して、レジスタ32に格納される。また、NALヘッダ81に関するデータは、レジスタ32からデータS3として選択回路50に入力される。
【0049】
RBSP82に関するデータとしては、CPU5の制御によって、所定のダミーデータ(例えば0xFF)が、データバッファ23に格納される。ここで、データバッファ23のデータ容量を1ページとすると、フィラーNAL80のRBSP82は、通常、Nページ(Nは自然数)分のデータサイズを有している。
【0050】
コントローラ22の制御によって、ダミーデータは、データバッファ23から読み出され、インタフェース42を介して、レジスタ33に格納される。また、レジスタ33からデータS4として選択回路50に入力される。
【0051】
コントローラ22は、データS3,S4をこの順に選択すべき旨の選択信号S5を、インタフェース43を介して選択回路50に入力する。このとき、データS4に関しては、CPU5からコントローラ22に通知されているRBSP82のデータサイズに応じて、データバッファ23からレジスタ33へのダミーデータの読み出しと、レジスタ33から選択回路50へのデータS4の入力とが、繰り返し実行される。
【0052】
その結果、データS3(NALヘッダ)とNページ分のデータS4(RBSP)とがこの順に配列されたデータS6が、選択回路50から出力される。また、処理部51が必要に応じてデータS6にトレイリングビット83を付加することにより、図6に示した構成のフィラーNAL80が生成される。処理部51から出力されたフィラーNAL80は、レジスタ34に格納される。
【0053】
この時点では、非画像データに対応するNALユニット60A〜60Dと、スライスデータに対応するNALユニット70とがすでにレジスタ34に格納されているため、フィラーNAL80は、NALユニット70の後に、レジスタ34に格納されることとなる(図7参照)。
【0054】
なお、図6には示さないが、必要に応じて、フィラーNAL80の先頭に、所定のスタートコードを挿入することも可能である。スタートコードの挿入手法は、上述の手法と同様である。
【0055】
また、フィラーNAL80がレジスタ34に格納された後、上述した非画像データに対応するNALユニット60の生成と同様の手法により、EOS(End Of Sequence)に関するNALユニット60Eと、EOS(End Of Stream)に関するNALユニット60Fとが、必要に応じて生成され、フィラーNAL80の後にレジスタ34に格納される。
【0056】
<アクセスユニットの生成>
図7は、レジスタ34の格納内容を示す図である。また、図8は、アクセスユニット90の構成を示す図である。
【0057】
図7を参照して、これまでの動作により、レジスタ34には、AUデリミタに関するNALユニット60A、SPSに関するNALユニット60B、PPSに関するNALユニット60C、SEIに関するNALユニット60D、スライスデータ(主ピクチャ)に対応するNALユニット70、フィラーNAL80、EOSに関するNALユニット60E、及びEOSに関するNALユニット60Fが、この順に格納されている。
【0058】
レジスタ34に格納された順に(つまり格納された時刻が古い順に)、レジスタ34からこれらのNALユニットを出力することにより、図8に示すように、AUデリミタを先頭とするアクセスユニット90が得られる。
【0059】
図3を参照して、アクセスユニット90は、データS7としてレジスタ34から出力され、処理部52に入力される。処理部52は、スタートコードのビットパターンと同一のビットパターンがアクセスユニット90内に存在しているか否かをチェックし、存在している場合には、所定のビット列をそのビットパターン内に挿入する。これにより、アクセスユニット90内における疑似スタートコードの発生が防止される。変形例として、処理部52は、データ処理部20の内部ではなく、データ処理部20の外部、例えば、インタフェース14とデータバッファ23との間、又はインタフェース10とデータ処理部20との間に配置することも可能である。
【0060】
アクセスユニット90は、データS8として処理部52から出力され、インタフェース44を介して、DMAバッファ21に格納される。そして、DMAバッファ21からインタフェース11及びバス6を介して、メモリ4に格納される。DMAバッファ21からメモリ4へのアクセスユニット90の転送は、コントローラ22の制御により、DMAバッファ21の容量がフルになった時点で開始される。コントローラ22は、アクセスユニット90をメモリ4に転送している間は、データ処理部20によるNAL化処理を停止させることができる。その間、レジスタ30へのスライスデータの入力も停止する必要があるため、コントローラ22は、前段の符号化装置1に対してWait信号を出力する。
【0061】
NAL化装置2からのアクセスユニット90の出力が完了すると、コントローラ22は、インタフェース12及びバス7を介して、その完了の旨をCPU5に通知する。この通知は、CPU5への割り込み処理として実行される。CPU5は、これを受けて、NAL化装置2の後段のPES化装置3に対して、PES化処理の開始命令を送出する。
【0062】
変形例として、DMAバッファ21とレジスタ34(図3参照)とを兼用しても良い。他の変形例として、DMAバッファ21を省略し、データ処理部20から出力されたアクセスユニット90を、インタフェース11を介して後段のPES化装置3に直接的に(つまりバス6及びメモリ4を経由することなく)入力しても良い。
【0063】
<まとめ>
このように本実施の形態に係るNAL化装置2によれば、NAL化装置2(データ処理装置)がハードウェアによって構成されているため、メモリバス帯域の拡張や動作周波数の向上を伴うことなく、NAL化処理の高速化を実現することが可能となる。しかも、非画像データのペイロードの入力処理及びNALヘッダの入力処理を、CPU5の制御によるソフトウェア処理で実行することにより、全ての処理をハードウェア構成で実現する場合と比較して、装置構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態に係るNAL化装置2によれば、複数のNALユニットを所定の順序で配列することによるアクセスユニット90の生成処理を、ハードウェア構成とソフトウェア処理との協働によって簡易に実現することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態に係るNAL化装置2によれば、フィラーNAL80の生成処理を、ハードウェア構成とソフトウェア処理との協働によって簡易に実現することが可能となる。しかも、データバッファ23からのダミーデータの読み出しを繰り返すことにより、データバッファ23の容量以上の大容量のフィラーNAL80を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】H.264規格に準拠した画像処理システムの構成の一部を抜き出して示すブロック図である。
【図2】図1に示したNAL化装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したデータ処理部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図4】非画像データに対応するNALユニットの構成を示す図である。
【図5】スライスデータに対応するNALユニットの構成を示す図である。
【図6】フィラーNALの構成を示す図である。
【図7】レジスタの格納内容を示す図である。
【図8】アクセスユニットの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 符号化装置
2 NAL化装置
3 PES化装置
4 メモリ
5 CPU
6,7 バス
20 データ処理部
21 DMAバッファ
22 コントローラ
23 データバッファ
30〜34 レジスタ
50 選択回路
60,70 NALユニット
61,71,81 NALヘッダ
62,72,82 RBSP
80 フィラーNAL
90 アクセスユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の符号化装置によって符号化された画像データのペイロードを前記符号化装置から入力可能なデータ処理部と、
非画像データのペイロードを、外部の制御装置の制御によって外部バスを介して入力可能であり、入力された前記非画像データのペイロードを格納可能なデータバッファと
を備え、
前記データ処理部には、所定のNAL(Network Abstraction Layer)ヘッダを、前記制御装置の制御によって前記外部バスを介して入力可能であり、
前記データ処理部は、
前記データバッファから読み出した前記非画像データのペイロードに前記NALヘッダを付加することにより、非画像データに対応する第1のNALユニットを生成し、
前記画像データのペイロードに前記NALヘッダを付加することにより、画像データに対応する第2のNALユニットを生成し、
前記第1のNALユニットと前記第2のNALユニットとを配列することにより、アクセスユニットを生成する、データ処理装置。
【請求項2】
前記データ処理部は、複数のNALユニットを格納可能なレジスタを有し、
前記データ処理部は、生成した前記第1のNALユニット及び前記第2のNALユニットをこの順に前記レジスタに格納し、前記レジスタから、前記第1のNALユニット及び前記第2のNALユニットをこの順に出力することにより、前記アクセスユニットを生成する、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記データバッファには、所定のダミーデータを格納可能であり、
前記データ処理部は、前記ダミーデータを前記データバッファから繰り返し読み出すことにより、フィラーNALを生成可能である、請求項1又は2に記載のデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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