説明

データ収集システム

【課題】 スタンドアロン型のデータ収集処理と、ネットワーク型のデータ収集処理とを並列実行するデータ収集子機を含むデータ収集システムを安価に提供することを目的とする。
【解決手段】 データ収集親機1へ測定データを送信するデータ収集子機であって、ユーザ端末42から入力される第1設定データ及びデータ収集親機1から送信される第2設定データを記憶する設定データ記憶部203を備え、第2設定データは、上記第1設定データの格納後における設定データ記憶部203の空き領域に格納される。また、第1設定データに基づいて取得した第1測定データと、第2設定データに基づいて取得された第2測定データとを保持する測定データ記憶部205を備え、第1測定データが、第1設定データによって指定された記憶領域に格納され、第2測定データが、その他の記憶領域に格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集システムに係り、更に詳しくは、2以上の各データ収集子機がそれぞれ測定データを取得し、データ収集親機がこれらの測定データを収集するデータ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の生産ラインでは、生産工程ごとに配置された計測器や加工機等の生産機器をプログラマブルコントローラの制御下で動作させている。この様な生産機器からデータを取得して蓄積することができれば、各生産機器の稼働状況を把握することができ、また、生産中の製品について品質チェックも行うことができる。このため、プログラマブルコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)や計測器などに接続され、測定データを自動的に取得し、蓄積していくデータ収集装置が既に知られている。
【0003】
このような従来のデータ収集装置は、通常、生産工程ごとに分散して配置されている。このため、各データ収集装置に蓄積された測定データは、フレキシブルディスクやメモリカードなどの可搬性記憶媒体に記録され、ユーザによって、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置に集められて処理されていた。つまり、各データ収集装置に蓄積された測定データの収集や照合は、ユーザ自身が行わなければならず煩雑であった。
【0004】
そこで、生産工程ごとに配置されているデータ収集装置をネットワークを介して情報処理装置に接続し、各データ収集装置によって取得された複数の測定データを1つの情報処理装置に自動的に収集し、データベース化することが考えられる。ここでは、ネットワーク接続されたデータ収集装置及び情報処理装置をそれぞれデータ収集子機及びデータ収集親機と呼び、また、ネットワーク接続された機器からなるシステムをデータ収集システムと呼ぶことにする。この様なデータ収集システムを用いれば、ユーザは、データ収集親機にアクセスするだけで、各データ収集子機によって取得された測定データを利用することができる。つまり、各データ収集子機が設置された場所に行く必要がなくなり、利便性が高いと考えられる。
【0005】
なお、従来のデータ収集装置では、測定データの収集に関する一連の自動処理が独立した機器内において完結している。本明細書では、このようなデータ収集処理をスタンドアロン型と呼び、ネットワークを介して他の機器へ測定データを送信するデータ収集処理をネットワーク型と呼んで区別する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したとおり、スタンドアロン型のデータ収集装置は、既に様々な生産設備や試験研究設備に適用されている。このような状況下で、上記データ収集システムが利用可能になれば、同一工程にスタンドアロン型のデータ収集装置と、ネットワーク型のデータ収集子機とが併設されるケースが想定される。例えば、ネットワーク型のデータ収集システムを導入する際におけるユーザ負担軽減の観点から、スタンドアロン型のデータ収集装置の運用を維持しつつ、ネットワーク型のデータ収集子機が追加導入される場合が考えられる。また、測定データの利用目的等に応じて、スタンドアロン型とネットワーク型を使い分けるような場合も考えられる。
【0007】
しかしながら、同一工程に、スタンドアロン型のデータ収集装置と、ネットワーク型のデータ収集子機とを併設すれば、スペース効率やコストパフォーマンスが低下してしまうと考えられる。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、スタンドアロン型のデータ収集処理と、ネットワーク型のデータ収集処理とを並列実行することができるデータ収集子機を安価に実現し、当該データ収集子機を含むデータ収集システムを安価に提供することを目的とする。また、スタンドアロン型のデータ収集装置からネットワーク型のデータ収集システムへ段階的に移行することができ、移行時におけるユーザの負担を軽減することができるデータ収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明によるデータ収集システムは、測定データを取得する複数のデータ収集子機と、各データ収集子機から測定データを収集するデータ収集親機とを備えたデータ収集システムであって、上記データ収集子機が、ユーザ端末が接続される端末I/F部と、上記端末I/F部を介して入力される第1設定データ及び上記データ収集親機から送信される第2設定データを記憶する設定データ記憶部と、上記第1設定データに基づいて第1測定データを取得する第1データ取得部と、上記第2設定データに基づいて第2測定データを取得する第2データ取得部とを備え、上記第2設定データが、上記第1設定データの格納後における上記設定データ記憶部の空き領域に格納される。
【0010】
この様な構成により、ユーザ端末から入力された第1設定データに基づいてデータ収集処理を行うデータ収集子機に対し、データ収集親機から第2設定データを送信し、この第2設定データに基づくデータ収集処理も行わせることができる。その際、第1設定データの格納後における設定データ記憶部の空き領域に第2設定データを格納することによって、設定データ記憶部を共用するとともに、第1設定データの記憶領域を優先的に確保することができる。
【0011】
第2の本発明によるデータ収集システムは、上記データ収集子機が、上記第1測定データ及び第2測定データを格納する測定データ記憶部と、上記測定データ記憶部に保持されている第2測定データを上記データ収集親機に送信するデータ送信部とを備え、上記第1データ取得部が、第1設定データによって指定された記憶領域に第1測定データを格納し、上記第2データ取得部が、その他の記憶領域に第2測定データを格納するように構成される。
【0012】
この様な構成により、第1測定データ及び第2測定データの格納先として、測定データ記憶部を共用することができる。その際、第1測定データの記憶領域を第1設定データによって指定することによって、測定データ記憶部内に蓄積される第1測定データのために所望の記憶領域を確保しておくことができる。また、第1測定データのみ又は第2測定データのみを格納する場合であれば、測定データ記憶部の全領域を使用することができ、いずれの場合にもメモリ資源を有効活用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スタンドアロン型のデータ収集処理と、ネットワーク型のデータ収集処理とを並列実行する際にメモリ資源を共用化することにより、データ収集子機を安価に実現することができる。従って、当該データ収集子機を用いたデータ収集システムを安価に提供することができる。
【0014】
このようなデータ収集システムを用いれば、スタンドアロン型からネットワーク型のデータ収集処理へ段階的に移行させることができ、移行時におけるユーザの作業負担と経済的負担をともに軽減することができる。特に、スタンドアロン型のデータ収集装置及びネットワーク型のデータ収集子機を併用する場合に比べて、スペース効率やコストパフォーマンスを向上させることができる。
【0015】
また、スタンドアロン型のデータ収集処理の実行時、ネットワーク型のデータ収集処理の実行時、あるいは、これらの並列実行時のいずれの場合においても、データ収集子機のメモリ資源を有効活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の実施の形態によるデータ収集システムを含む計測システムの一例を示した図である。この計測システムは、データ収集装置5及びデータ収集システム7を用いて、生産ラインの各工程で計測された計測データの収集及び蓄積を行っている。図中のデータ収集装置5は、従来のデータ収集装置であり、このデータ収集装置5と、本実施の形態によるデータ収集システム7とは、同一の生産ラインに適用されているが、互いに独立してデータ収集処理を行っている。
【0017】
外部機器61〜65は、製品が順次に搬送される生産ライン上に配置され、それぞれの工程における測定データ、例えば、寸法データや温度データを保持するPLCや測定装置などである。
【0018】
データ収集装置5は、1又は2以上の外部機器61に接続されたスタンドアロン型のデータ収集装置である。このデータ収集装置5は、所定のデータ取得条件が成立すれば外部機器61から測定データを取得し、当該データ収集装置5内に蓄積していく。このデータ収集処理は、ユーザがスタートボタン50を操作することによって開始される。この様にしてデータ収集装置5内に蓄積された測定データは、フレキシブルディスクやメモリカードなどの可搬性記録媒体を用いて、データ収集装置5から取り出される。また、データ収集装置5の設定変更は、当該データ収集装置5に接続したユーザ端末43を用いて行われる。
【0019】
データ収集システム7は、ネットワーク3を介して接続されたデータ収集親機1及びデータ収集子機21〜23により構成される。ここでは、1つのデータ収集親機1及び2以上のデータ収集子機21〜23がイーサネット(登録商標)を介して接続され、データ収集親機1と各データ収集子機21〜23との間でIP(Internet Protocol)パケットの送受信を行っているものとする。
【0020】
各データ収集子機21〜23は、それぞれが1又は2以上の外部機器62〜65に接続されており、所定のデータ取得条件が成立すれば、外部機器62〜65から測定データを取得する。このデータ取得処理は、データ収集親機1からの指示に基づいて開始され、外部機器62〜65から取得した測定データは、データ収集子機21〜23内に一旦蓄積された後、ネットワーク3を介してデータ収集親機1へ伝送される。また、各データ収集子機21〜23の動作を規定する子機設定データは、データ収集親機1内に保持されており、ネットワーク3を介して、データ収集親機1からデータ収集子機21〜23へダウンロードされる。
【0021】
データ収集親機1は、各データ収集子機21〜23に蓄積されている測定データを収集し、データ収集親機1内のデータベースに格納している。このデータ収集処理は、ユーザがデータ収集親機1のスタートボタン10を操作することによって開始される。すなわち、スタートボタン10が押されると、データ収集親機1からデータ収集子機21〜23へ収集開始パケットが出力され、各データ収集子機21〜23においてデータ取得処理が開始される。このデータ取得処理で得られた測定データがデータ収集親機1へ収集され、データベース化される。また、データ収集親機1内のデータベースの閲覧や、データ収集親機1が保持している子機設定データ及び親機設定データの更新は、データ収集親機1に接続したユーザ端末41を用いて行われる。
【0022】
データ収集システム7を構成する各データ収集子機21〜23は、上述した通り、取得した測定データをデータ収集親機1へ自動的に送信するネットワーク型のデータ収集処理を行っている。ただし、データ収集子機23は、このようなネットワーク型のデータ収集処理に加えて、スタンドアロン型のデータ収集処理も並列実行することができる。つまり、ここでは、データ収集子機21,22がネットワーク型のデータ収集処理のみを実行し、データ収集子機23がネットワーク型及びスタンドアロン型のデータ収集処理を並列実行するものとする。この様なデータ収集子機23を本明細書ではデュアル型と呼ぶことにする。
【0023】
デュアル型のデータ収集子機23は、スタンドアロン型及びネットワーク型の設定データを保持している。スタンドアロン型のデータ収集処理は、スタンドアロン型の設定データに基づいて行われ、取得した測定データは、ユーザが取り出すまでデータ収集子機23内に蓄積される。このスタンドアロン型の設定データは、データ収集子機23に接続されたユーザ端末42によって更新される。また、当該データ収集処理は、データ収集子機23のスタートボタン200の操作によって開始される。一方、ネットワーク型のデータ収集処理は、データ収集親機1からダウンロードされたネットワーク型の設定データに基づいて行われ、データ収集親機1からの収集開始パケットによって開始される。
【0024】
図2は、図1のデータ収集装置5の一構成例を示したブロック図である。スタンドアロン型のデータ収集装置5は、スタートボタン50、端末I/F(インターフェース)部51、動作設定部52、設定データ記憶部53、データ取得部54、測定データ記憶部55及び可搬性記録媒体56により構成される。
【0025】
設定データ記憶部53は、データ収集装置5の動作を規定する設定データを保持している。この設定データは、端末I/F部51を介してユーザ端末43から与えられ、動作設定部52によって設定データ記憶部53に格納される。この設定データ記憶部53には、例えばフラッシュROMが用いられる。
【0026】
データ取得部54は、外部機器61から測定データを取得し、測定データ記憶部55に格納している。測定データを取得するタイミングは、設定データ記憶部53内の設定データによって決定される。すなわち、データ取得部54は、上記設定データによって指定されたデータ取得条件が成立するたびに、外部機器61から測定データを取得している。このデータ取得処理は、ユーザによるスタートボタン50の操作信号に基づいて開始され、その後に取得した全ての測定データが測定データ記憶部55に蓄積されていく。この測定データ記憶部55には、例えばSRAMが用いられている。
【0027】
この様にして測定データ記憶部55に蓄積された測定データは、ユーザ操作によって取り出される。例えば、フレキシブルディスクやメモリカードなどの可搬性記録媒体56へ記録して取り出される。なお、可搬性記録媒体56への記録方法は、設定データ記憶部53内の設定データによって決定される。この様にして、スタンドアロン型のデータ収集装置5では、測定データの取得に関する一連の自動処理が、データ収集装置5内で完結している。
【0028】
図3は、図1のデータ収集親機1の一構成例を示したブロック図である。このデータ収集親機1は、スタートボタン10、端末I/F(インターフェース)部11、子機設定記憶部12、親機設定記憶部13、データベース記憶部14、子機設定送信部15、データ収集部16及びネットワークI/F部17により構成される。
【0029】
ネットワークI/F部17は、ネットワーク3を介して、データ収集子機21〜23に接続されている。子機設定記憶部12は、ネットワーク3に接続される可能性のある全てのデータ収集子機21〜23について、それぞれの子機設定データを保持している。これらの子機設定データは、端末I/F部11を介して、ユーザ端末41から与えられる。同様にして、当該データ収集親機1の動作を規定する親機設定データもユーザ端末41から与えられ、親機設定記憶部13に格納される。
【0030】
子機設定送信部15は、ネットワーク3に接続されているデータ収集子機21〜23を監視し、この監視結果に基づいて、データ収集子機21〜23へ子機設定データを送信している。例えば、新たにデータ収集子機21〜23が検出された場合や、古い子機設定データを保持しているデータ収集子機21〜23が検出された場合に、当該データ収集子機21〜23に対し、子機設定記憶部12内に保持されている子機設定データを送信する。
【0031】
データ収集部16は、各データ収集子機21〜23から測定データを収集し、データベース記憶部14に格納する。このデータ収集処理は、スタートボタン10の操作信号に基づいて開始される。ユーザがスタートボタン10を操作すると、データ収集部16が、各データ収集子機21〜23へ収集開始パケットを送信し、その後、各データ収集子機21〜23から測定データを含むデータパケットが送信される。このデータパケットを受信したデータ収集部16が、これらの測定データを整理してデータベース記憶部14に格納する。この様にしてデータベース記憶部14内に蓄積された測定データは、端末I/F部11を介して、ユーザ端末41から閲覧することができる。
【0032】
図4は、図1のデータ収集子機21,22の一構成例を示したブロック図である。ネットワーク型のデータ収集子機21,22は、動作設定部202、設定データ記憶部203、データ取得部204、測定データ記憶部205、データ送信部207及びネットワークI/F部208により構成される。
【0033】
設定データ記憶部203は、データ収集子機21,22の動作を規定する設定データを保持している。この設定データは、ネットワークI/F部208を介してデータ収集親機1から与えられ、動作設定部202によって設定データ記憶部203に格納される。
【0034】
データ取得部204は、外部機器62,63から測定データを取得し、測定データ記憶部205に格納している。測定データを取得するタイミングは、設定データ記憶部203内の設定データによって決定される。すなわち、データ取得部204は、上記設定データによって指定されたデータ取得条件が成立するたびに、外部機器62,63から測定データを取得している。このデータ取得処理は、データ収集親機1からの収集開始パケットに基づいて開始される。
【0035】
データ送信部207は、ネットワークI/F部208を介して、測定データ記憶部205内に保持されている測定データをデータ収集親機1へ送信している。このデータ送信は、図示しないタイマー部からのタイムアップ信号に基づいて周期的に行われる。また、測定データ記憶部205がオーバーフローしないように、測定データ記憶部205内に一定量以上の測定データが蓄積された場合にもデータ送信が行われる。
【0036】
図5は、図1のデータ収集子機23の一構成例を示したブロック図である。このデータ収集子機23はデュアル型であり、図4に示したネットワーク型のデータ収集子機21,22と比較すれば、スタートボタン200、端末I/F部201及び可搬性記録媒体206を有するとともに、2つのデータ取得部204a,204bを有する点で異なる。
【0037】
設定データ記憶部203は、スタンドアロン型及びネットワーク型の設定データをともに保持している。スタンドアロン型の設定データは、端末I/F部201を介して、ユーザ端末42から入力される。一方、ネットワーク型の設定データは、ネットワークI/F部208を介して、データ収集親機1から入力される。動作設定部202は、設定データ記憶部203としてのフラッシュROMの記憶領域をスタンドアロン型及びネットワーク型の記憶領域に区分し、これらの設定データをそれぞれに割り当てられた記憶領域に格納している。
【0038】
データ取得部204aは、ネットワーク型の設定データに基づいて、外部機器64から測定データを取得している。つまり、ネットワーク型のデータ収集処理のためのデータ取得を行っている。データ取得部204aが取得した測定データは、測定データ記憶部205に一時格納された後、データ送信部207によってデータ収集親機1へ送信される。つまり、この一連のデータ収集処理は、ネットワーク型のデータ収集子機21,22の場合と全く同様である。
【0039】
データ取得部204bは、スタンドアロン型の設定データに基づいて、外部機器65から測定データを取得している。つまり、スタンドアロン型のデータ収集処理のためのデータ取得を行っている。データ取得部204bが取得した測定データは、測定データ記憶部205に蓄積されていく。このデータ収集処理は、スタートボタン200の操作によって開始され、取得した測定データは、ユーザが可搬性記録媒体206又はユーザ端末42を用いて取り出すまで、測定データ記憶部205に蓄積されている。つまり、この一連のデータ収集処理は、スタンドアロン型のデータ収集装置5の場合と全く同様である。
【0040】
測定データ記憶部205には、短時間の電源遮断によってデータを喪失しないように電池でバックアップされたSRAMが用いられている。このSRAMの記憶領域は、スタンドアロン型及びネットワーク型の記憶領域に区分されており、データ取得部204a,204bが取得した測定データは、データ取得部204a,204bに割り当てられた記憶領域にそれぞれ格納される。
【0041】
図6は、データ収集子機23における記憶領域の割り当ての一例を示した図であり、図中の(a)には、設定データ記憶部203について記憶領域の割り当ての一例が示され、(b)には、測定データ記憶部205について記憶領域の割り当ての一例が示されている。
【0042】
動作設定部202は、スタンドアロン型の設定データをネットワーク型の設定データよりも優先して設定データ記憶部203に格納する。つまり、設定データ記憶部203内では、スタンドアロン型の設定データの記憶領域a1が優先的に確保され、残された空き領域a2にネットワーク型の設定データが格納される。
【0043】
ユーザ端末42からスタンドアロン型の設定データが入力された場合、動作設定部202は、設定データ記憶部203内に保持されている従前の設定データにかかわらず、新たなスタンドアロン型の設定データに対して優先的に記憶領域a1を割り当てる。このため、設定データ記憶部203内にネットワーク型の設定データが格納されている場合、スタンドアロン型の設定データの書き込みによって、従前の設定データは上書きされる。
【0044】
これに対し、データ収集親機1からネットワーク型の設定データを受信した場合、動作設定部202は、スタンドアロン型の設定データが既に格納されている記憶領域a1以外の空き領域a2に、新たなネットワーク型の設定データを格納する。従って、ネットワーク型の設定データの書き込みによって、従前のスタンドアロン型の設定データが上書きされることはない。なお、記憶領域a2が、データ収集親機1から受信した設定データを格納するのに必要な領域よりも小さい場合、動作設定部202は、当該設定データの書き込みを行わない。
【0045】
次に、測定データ記憶部205の領域割り当てについて説明する。スタンドアロン型の設定データには、測定データ記憶部205内における記憶領域の割当情報が含まれている。ここでは、割当情報として、スタンドアロン型の測定データを格納可能な記憶領域b1の指定情報が含まれているものとする。この場合、ネットワーク型の測定データは、設定データ記憶部203内の残された空き領域b2に格納される。つまり、スタンドアロン型のデータ取得部204aは、この割当情報に基づいて、記憶領域b1に測定データを格納し、また、ネットワーク型のデータ取得部204bは、この割当情報に基づいて、記憶領域b2に測定データを格納している。このため、ネットワーク型及びスタンドアロン型のいずれか一方のデータ収集処理において、何らかの異常が発生し、測定データ記憶部205内の測定データの数が異常に増大するような場合であっても、他方のデータ収集処理にその影響が及ぶことはない。
【0046】
なお、データ送信部207は、測定データ記憶部205に所定量以上の測定データが蓄積された場合に当該測定データの送信を行っており、上記所定量は、ネットワーク型の測定データに割り当てられた測定データ記憶部205の記憶領域b2に応じて決定される。
【0047】
図7は、データ収集子機23における記憶領域の割り当ての他の例を示した図である。図中の設定データ記憶部203には、スタンドアロン型の設定データのみが格納され、また、測定データ記憶部205の全記憶領域が、スタンドアロン型のデータ取得部204aが使用する領域として指定されている。この場合、データ収集子機23は、ネットワーク型のデータ収集処理を行うことはできないが、設定データ記憶部203及び測定データ記憶部205の記憶エリアを最大限に使用して、スタンドアロン型のデータ収集処理を実行することができる。つまり、デュアル型のデータ収集子機23は、記憶容量の大きなスタンドアロン型のデータ収集装置5として利用することができる。
【0048】
なお、ネットワーク型のデータ収集処理を実行するために必要とされる記憶領域が、設定データ記憶部203及び測定データ記憶部205に残されていない場合、データ収集親機1は、当該データ収集子機23が、ネットワーク3に接続されていない場合と同様に動作する。すなわち、データ収集親機1は、データ収集子機21〜23の検出時に、各データ収集子機21〜23における設定データ記憶部203及び測定データ記憶部205の空き領域を確認している。この結果、十分な空き領域がないと判断した場合には、データ収集子機23へ設定データを送信せず、また、当該データ収集子機23についてはデータ収集処理も行わない。
【0049】
なお、図7の場合とは逆に、設定データ記憶部203にネットワーク型の設定データのみを格納し、また、測定データ記憶部205の全記憶領域をネットワーク型のデータ取得部204aが使用する領域として指定することもできる。この場合、データ収集子機23は、スタンドアロン型のデータ収集処理を行うことはできないが、設定データ記憶部203及び測定データ記憶部205の記憶エリアを最大限に使用して、ネットワーク型のデータ収集処理を実行することができる。
【0050】
本実施の形態によれば、データ収集親機1及びデータ収集子機21〜23をネットワーク接続して構成されるデータ収集システム7において、スタンドアロン型及びネットワーク型のデータ収集処理を並列実行可能なデータ収集子機23を採用している。このようなデュアル型のデータ収集子機23を用いれば、スタンドアロン型のデータ収集装置5からネットワーク型のデータ収集子機21への移行を段階的に行うことができ、移行時におけるユーザの負担を緩和することができる。また、スタンドアロン型のデータ収集装置5及びネットワーク型のデータ収集子機21をともに設置する場合に比べて、設置スペースを小さくすることができる。
【0051】
また、このデータ収集子機23は、設定データ記憶部203及び測定データ記憶部205の記憶領域を区分して、各データ収集処理に割り当てて、設定データ記憶部203及び測定データ記憶部205を共用している。このため、デュアル型のデータ収集子機23を安価に実現することができる。
【0052】
さらに、デュアル型のデータ収集子機23は、スタンドアロン型のデータ収集処理のみに使用すれば、設定データ記憶部203及び測定データ記憶部205として広い記憶領域を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態によるデータ収集システムを含む計測システムの一例を示した図である。
【図2】図1のデータ収集装置5の一構成例を示したブロック図である。
【図3】図1のデータ収集親機1の一構成例を示したブロック図である。
【図4】図1のデータ収集子機21,22の一構成例を示したブロック図である。
【図5】図1のデータ収集子機23の一構成例を示したブロック図である。
【図6】データ収集子機23における記憶領域の割り当ての一例を示した図である。
【図7】データ収集子機23における記憶領域の割り当ての他の例を示した図である。
【符号の説明】
【0054】
1 データ収集親機
21〜23 データ収集子機
200 スタートボタン
201 端末I/F部
202 動作設定部
203 設定データ記憶部
204,204a,204b データ取得部
205 測定データ記憶部
206 可搬性記録媒体
207 データ送信部
208 ネットワークI/F部
3 ネットワーク
41〜43 ユーザ端末
5 データ収集装置
61〜65 外部機器
7 データ収集システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定データを取得する複数のデータ収集子機と、各データ収集子機から測定データを収集するデータ収集親機とを備えたデータ収集システムにおいて、
いずれかの上記データ収集子機は、ユーザ端末が接続される端末I/F部と、
上記端末I/F部を介して入力される第1設定データ及び上記データ収集親機から送信される第2設定データを記憶する設定データ記憶部と、
上記第1設定データに基づいて第1測定データを取得する第1データ取得部と、
上記第2設定データに基づいて第2測定データを取得する第2データ取得部とを備え、
上記第2設定データは、上記第1設定データの格納後における上記設定データ記憶部の空き領域に格納されることを特徴とするデータ収集システム。
【請求項2】
上記データ収集子機は、上記第1測定データ及び第2測定データを格納する測定データ記憶部と、
上記測定データ記憶部に保持されている第2測定データを上記データ収集親機に送信するデータ送信部とを備え、
上記第1データ取得部は、第1設定データによって指定された記憶領域に第1測定データを格納し、
上記第2データ取得部は、その他の記憶領域に上記第2測定データを格納することを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−215997(P2006−215997A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31117(P2005−31117)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】