説明

データ多重化装置及びデータ多重化方法

【課題】複数の番組の画質の均等化を図りながら、画質の時間的変動を抑えて、高画質な番組多重を図ることができるデータ多重化装置を得ることを目的とする。
【解決手段】リアルタイムデータレート制御部4が、多重化部3から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを計測し、その平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefに近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、複数の番組のメディアデータを効率よく多重化して出力するデータ多重化装置及びデータ多重化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、デジタル放送のように、伝送帯域が限られている状況化では、複数の番組を効率よく多重化して出力する必要があり、以下の特許文献1には、複数の番組を効率よく多重化して出力するデータ多重化装置(統計多重を行うデータ多重化装置)が開示されている。
一般に、ビデオデータを符号化する場合、入力画像の複雑さや動きの大きさなどが異なると、同じ画質のビデオ符号化データを生成する場合でも符号量が大きく変動する。
上記のデータ多重化装置では、複数の番組を多重化して出力する際、複数の番組のビデオの画質が均等になるように、各番組の入力画像の複雑さを符号化前に調査し、複雑な入力画像の番組には多くの符号量を割り当て、複雑でない入力画像の番組には少ない符号量を割り当てるようにしている。
このとき、符号量の合計が伝送帯域と一致するように制御することで、限られた伝送帯域の中で、複数の番組の画質を同等に保ちながら、複数の番組の多重化を行うことが可能となる。
【0003】
また、以下の特許文献2には、統計多重を行う際に、空いている帯域で他のデータを多重する方法が開示されている。
統計多重によって可変レートのデータの総和を出力レートに合わせ込めない場合、空いている帯域で他のデータを多重することで効率的な多重化を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4441839号
【特許文献2】特許第4206559号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のデータ多重化装置は以上のように構成されているので、ある時刻において、複数の番組の画質を均等にすることを目的として、符号量の配分を行うようにしている。このため、入力画像が複雑な番組と入力画像が複雑でない番組が混在する場合、入力画像が複雑でない番組に割り当てる符号量を減らして、入力画像が複雑な番組により多くの符号量を割り当てることで、入力画像が複雑な番組の画質低下を抑えることができる。しかし、全ての番組の入力画像が複雑な場合、符号量を減らせる番組が存在しないため、全ての番組で画質低下が発生してしまう課題があった。
また、ある時刻において、複数の番組の画質を均等にすることは可能であるが、ある1つの番組に着目すると、時刻の経過に伴って画質が変動してしまうため(番組の入力画像の複雑さは逐次変動するため)、時間軸方向では番組の画質を安定させることが困難である課題があった。
さらに、他のデータを用いて出力レートの合わせ込みを行う場合には、他のデータの伝送容量が保証できないという課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、複数の番組の画質の均等化を図りながら、画質の時間的変動を抑えて、高画質な番組多重を図ることができるデータ多重化装置及びデータ多重化方法を得ることを目的とする。
さらに、同時に送出する他のデータの伝送容量を保証することができるデータ多重化装置及びデータ多重化方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るデータ多重化装置は、リアルタイムデータ符号化手段から出力された符号化データ及び非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータのうち、リアルタイムデータ符号化手段から出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化し、その多重化データの帯域と所定の伝送レートの差分の範囲内で、非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータを多重化して出力する多重化手段を設け、リアルタイムデータレート制御手段が、多重化手段から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートを計測し、その平均レートが所望の平均レートに近づくように、リアルタイムデータ符号化手段から出力される符号化データの符号量を制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、リアルタイムデータ符号化手段から出力された符号化データ及び非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータのうち、リアルタイムデータ符号化手段から出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化し、その多重化データの帯域と所定の伝送レートの差分の範囲内で、非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータを多重化して出力する多重化手段を設け、リアルタイムデータレート制御手段が、多重化手段から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートを計測し、その平均レートが所望の平均レートに近づくように、リアルタイムデータ符号化手段から出力される符号化データの符号量を制御するように構成したので、複数の番組の画質の均等化を図りながら、画質の時間的変動を抑えて、高画質な番組多重を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1によるデータ多重化装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるデータ多重化装置の処理内容(データ多重化方法)を示すフローチャートである。
【図3】多重化部3から出力される多重化データの一例を示す説明図である。
【図4】3種類のビデオ画質をほぼ一定にしてビデオデータを符号化したときの各ビデオデータの符号化データのビットレートを示す説明図である。
【図5】図4のビデオデータの符号化データの情報量の累計結果を示す説明図である。
【図6】情報量の累計結果と、所望の累計情報量(リアルタイムデータの符号化データの所望の平均レートを120kbpsとする場合の所望の累計情報量)との差を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるデータ多重化装置を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態2によるデータ多重化装置の処理内容(データ多重化方法)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるデータ多重化装置を示す構成図である。
図1において、リアルタイムデータ符号化部1a,1bは例えばエンコーダなどから構成されており、復号装置側でリアルタイムに復号されて再生されることが想定されるリアルタイムデータ(例えば、ビデオデータやオーディオデータなどを含むメディアデータ)をリアルタイムに符号化して、そのリアルタイムデータの符号化データを出力する処理を実施する。
図1では、2台のリアルタイムデータ符号化部1a,1bがデータ多重化装置に多重化されている例を示しているが、1台だけ搭載されていてもよし、3台以上搭載されていてもよい。
なお、リアルタイムデータ符号化部1a,1bはリアルタイムデータ符号化手段を構成している。
【0011】
非リアルタイムデータ出力部2a,2bは例えばサーバなどから構成されており、復号装置側で非リアルタイムに復号されて再生(復号装置側で一旦蓄積されてから復号されて再生)されることが想定される非リアルタイムデータ(例えば、以前から蓄積している符号化されたデータやファイルなど)を出力する処理を実施する。
図1では、2台の非リアルタイムデータ出力部2a,2bがデータ多重化装置に多重化されている例を示しているが、1台だけ搭載されていてもよいし、3台以上搭載されていてもよい。
なお、非リアルタイムデータ出力部2a,2bは非リアルタイムデータ出力手段を構成している。
【0012】
多重化部3は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、リアルタイムデータ符号化部1a,1b及び非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された符号化データのうち、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化し、その多重化データの帯域と所定の伝送レートの差分の範囲内(残っている伝送レートの範囲内)で、非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された非リアルタイムデータを多重化して出力する処理を実施する。
なお、多重化部3は多重化手段を構成している。
【0013】
リアルタイムデータレート制御部4は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、多重化部3から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートを計測し、その平均レートが所望の平均レートに近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御する処理を実施する。
即ち、リアルタイムデータレート制御部4は多重化部3から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートが所望の平均レートより高い場合、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与え、そのリアルタイムデータの符号化データの平均レートが所望の平均レートより低い場合、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える処理を実施する。
なお、リアルタイムデータレート制御部4はリアルタイムデータレート制御手段を構成している。
【0014】
図1では、データ多重化装置の構成要素であるリアルタイムデータ符号化部1a,1b、非リアルタイムデータ出力部2a,2b、多重化部3及びリアルタイムデータレート制御部4のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、データ多重化装置がコンピュータで構成される場合、リアルタイムデータ符号化部1a,1b、非リアルタイムデータ出力部2a,2b、多重化部3及びリアルタイムデータレート制御部4の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにしてもよい。
図2はこの発明の実施の形態1によるデータ多重化装置の処理内容(データ多重化方法)を示すフローチャートである。
【0015】
次に動作について説明する。
まず、リアルタイムデータ符号化部1a,1bは、初期画質レベルを設定する(ステップST1)。
リアルタイムデータ符号化部1a,1bは、復号装置側でリアルタイムに復号されて再生されることが想定されるリアルタイムデータ(例えば、ビデオデータを含むメディアデータ)を入力すると、その設定した画質レベルが得られるように、そのリアルタイムデータをリアルタイムに符号化して、そのリアルタイムデータの符号化データを出力する(ステップST2)。
【0016】
リアルタイムデータ符号化部1a,1bでは、画質を安定させるため、出力する符号化データのデータ量が時間の経過に伴って変化することを想定している。
即ち、入力画像が複雑であれば、符号化データのデータ量が一時的に多くなる一方、入力画像が複雑でなければ、符号化データのデータ量が少なくなることを想定している。
なお、リアルタイムデータ符号化部1a,1bは、デジタル放送で、1つの番組を構成する複数のメディアを含む符号化データ列(例えば、MPEG−2 TS)を出力する装置に相当する。
【0017】
非リアルタイムデータ出力部2a,2bは、復号装置側で非リアルタイムに復号されて再生(復号装置側で一旦蓄積されてから復号されて再生)されることが想定される非リアルタイムデータ(例えば、以前から蓄積している符号化されたデータやファイルなど)を出力する(ステップST3)。
なお、非リアルタイムデータは、図示せぬ非リアルタイムデータ出力部2a,2bの内部メモリに蓄積されているデータであってもよいし、外部から入力されたデータであってもよい。
【0018】
多重化部3は、リアルタイムデータ符号化部1a,1bからリアルタイムデータの符号化データを受け、非リアルタイムデータ出力部2a,2bから非リアルタイムデータを受けると、それらの符号化データの中で、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化する(ステップST4)。
ただし、多重化部3は、所定の伝送レートTRNrateの範囲内で、リアルタイムデータの符号化データを多重化する。
【0019】
多重化部3は、リアルタイムデータの符号化データが多重化されている多重化データの帯域である出力レートOUTrateが所定の伝送レートTRNrateに到達していなければ(OUTrate<TRNrate)、残っている伝送レート(=TRNrate−OUTrate)の範囲内で、非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された非リアルタイムデータを多重化する(ステップST5,ST6)。
多重化データの出力レートOUTrateが所定の伝送レートTRNrateに到達していれば(OUTrate=TRNrate)、非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された非リアルタイムデータは多重化されない。
【0020】
多重化部3は、リアルタイムデータの符号化データが多重化されている多重化データの出力レートOUTrateが一時的に所定の伝送レートTRNrateを超えることがある場合を想定して、非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された非リアルタイムデータを一時的に格納する入力バッファ等を内部に備えており、一時的な符号化データの過多に対応可能な構成になっている。
したがって、多重化部3は、非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された全ての非リアルタイムデータを多重化することができない場合、一部の非リアルタイムデータを入力バッファに一時的に格納し、多重化が可能なタイミングで、入力バッファから非リアルタイムデータを読み出して多重化する。
【0021】
多重化部3は、リアルタイムデータの符号化データ及び非リアルタイムデータを多重化すると、その多重化データを出力する(ステップST7)。
多重化部3が上記のような処理を行うことで、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先して多重化しながら、非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された非リアルタイムデータを所定の伝送レートTRNrateになるまで多重化することができる。
仮に、リアルタイムデータの符号化データと非リアルタイムデータを合わせても、多重化データの出力レートOUTrateが所定の伝送レートTRNrateに到達しない場合は、例えば、スタッフィングデータ等を多重化することで、多重化データの出力レートOUTrateが所定の伝送レートTRNrateに達するようにすることも可能である。
【0022】
リアルタイムデータレート制御部4は、多重化部3が多重化データを出力すると、その多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを計測する(ステップST8)。
リアルタイムデータレート制御部4は、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを計測すると、その平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefに近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御する。
【0023】
即ち、リアルタイムデータレート制御部4は、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefより高い場合(ステップST9)、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える(ステップST10)。
符号化データの符号量を下げる指示としては、例えば、先に設定されている画質レベルを下げる(画質を低下させる)指示が考えられる。
これにより、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力されるリアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateが下がるため、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを所望の平均レートAVEraterefに近づけることが可能になる。
【0024】
リアルタイムデータレート制御部4は、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefより低い場合(ステップST9)、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える(ステップST11)。
符号化データの符号量を上げる指示としては、例えば、先に設定されている画質レベルを上げる(画質を向上させる)指示が考えられる。
これにより、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力されるリアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateが上がるため、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを所望の平均レートAVEraterefに近づけることが可能になる。
【0025】
ここでは、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefより高い場合、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える一方、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefより低い場合、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与えるものを示したが、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateと所望の平均レートAVEraterefとの差が小さい場合(差が所定の閾値より小さい場合)、符号化データの符号量を変更する指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与えないようにしてもよい。
この場合、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateと所望の平均レートAVEraterefが近いときには画質レベルが変更されなくなるため、画質を安定させることができる。
【0026】
なお、リアルタイムデータレート制御部4は、多重化部3から出力された多重化データの調査を行わずに、多重化部3よりリアルタイムデータのレート情報の通知を受けて、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するようにしてもよい。
以降、ステップST2の処理に戻り、ステップST2〜ST11の処理が繰り返し実施される。
【0027】
ここで、図3は多重化部3から出力される多重化データの一例を示す説明図である。
ただし、図3では、3台のリアルタイムデータ符号化部1と、1台の非リアルタイムデータ出力部2がデータ多重装置に搭載されている場合の多重化データの一例を示している。
多重化部3は、上述したように、多重化データの出力レートOUTrateが所定の伝送レートTRNrateと一致するように、リアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)と非リアルタイムデータとを多重化するので、リアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)と非リアルタイムデータとの合計レートは、常に伝送レートTRNrateと一致する。
【0028】
ただし、リアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)の出力レートは、入力画像の複雑さ等により変動する。
このため、所望の平均レートAVErateref(図3の中段の点線)が予め設定され、リアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)の出力レートの合計が、所望の平均レートAVEraterefの付近で変動する。
【0029】
例えば、リアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)の出力レートの合計が、所望の平均レートAVEraterefを超えた場合には、リアルタイムデータレート制御部4が、3台のリアルタイムデータ符号化部1に対して、符号化データの符号量を下げる指示を出力することで、リアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)の出力レートが下がり、最終的に符号化データ(1)〜(3)の出力レートの合計が所望の平均レートAVEraterefに近づくことになる。
逆に、リアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)の出力レートの合計が、所望の平均レートAVEraterefに満たない場合には、リアルタイムデータレート制御部4が、3台のリアルタイムデータ符号化部1に対して、符号化データの符号量を上げる指示を出力することで、リアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)の出力レートが上がり、最終的に符号化データ(1)〜(3)の出力レートの合計が所望の平均レートAVEraterefに近づくことになる。
【0030】
このように、実際に出力しているリアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)の出力レートの合計を監視し、所望の平均レートAVEraterefとの差に応じて符号化データ(1)〜(3)の符号量を調整することで、リアルタイムデータの総レートと非リアルタイムデータの総レートを所望のレートに近づけることができる。
このとき、リアルタイムデータの符号化データ(1)〜(3)の一時的な符号量の増減を許しているため、急激な画質低下は発生せずに、安定した画質のリアルタイム番組の多重化が行える。
【0031】
ただし、リアルタイムデータレート制御部4は、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを計測する際、ある期間毎に平均レートAVErateを計測して、その平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefに近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御しようとすると、その時点でのリアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを所望の平均レートAVEraterefに近づけることができるが、長い期間で見ると、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefからずれてしまうことがある。
【0032】
そこで、リアルタイムデータレート制御部4は、多重化部3から多重化データの出力が開始された時点TSTARTから多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データのデータ量Dを累積するとともに、その出力開始時点TSTARTから現時点TNOWに至るまでの経過時間ΔT(=TNOW−TSTART)と所望の平均レートAVEraterefを乗算する。
そして、リアルタイムデータレート制御部4は、データ量Dの累積値Daccumと、経過時間ΔTと所望の平均レートAVEraterefの乗算結果ΔT×AVEraterefとを比較し、データ量Dの累積値Daccumが乗算結果ΔT×AVEraterefより大きければ、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える。
一方、データ量Dの累積値Daccumが乗算結果ΔT×AVEraterefより小さければ、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える。
このようにすることで、データ量Dの累積値Daccumを所望のデータ総量に近づけることができるため、長い期間で見ても、リアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを所望の平均レートAVEraterefに近づけることができる。
【0033】
図4は3種類のビデオ画質をほぼ一定にしてビデオデータを符号化したときの各ビデオデータの符号化データのビットレートを示す説明図である。
各ビデオデータの符号化データは、ビットレートが時々刻々と変動し、3つの符号化データの総出力レートも変動する。
図5は図4のビデオデータの符号化データの情報量の累計結果を示す説明図である。
また、図6は情報量の累計結果と、所望の累計情報量(リアルタイムデータの符号化データの所望の平均レートを120kbpsとする場合の所望の累計情報量)との差を示す説明図である。
図5のように、符号化データの総出力レートのレート変動を多少許容することで、画質が一定の符号化処理を行えるとともに、所望の平均レートも達成することができる。
【0034】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、リアルタイムデータ符号化部1a,1b及び非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された符号化データのうち、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化し、その多重化データの出力レートOUTrateと所定の伝送レートTRNrateの差分の範囲内で、非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された非リアルタイムデータを多重化して出力する多重化部3を設け、リアルタイムデータレート制御部4が、多重化部3から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを計測し、その平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefに近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するように構成したので、複数の番組の画質の均等化を図りながら、画質の時間的変動を抑えて、高画質な番組多重を図ることができる効果を奏する。
【0035】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、リアルタイムデータレート制御部4が、多重化部3から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateを計測し、その平均レートAVErateが所望の平均レートAVEraterefに近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するものを示したが、多重化部3から出力された多重化データに含まれている非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を計測し、その平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’に近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するようにしてもよい。
【0036】
図7はこの発明の実施の形態2によるデータ多重化装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
リアルタイムデータレート制御部5は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、多重化部3から出力された多重化データに含まれている非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を計測し、その平均レートAVErat’が所望の平均レートAVErateref’に近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御する処理を実施する。
即ち、リアルタイムデータレート制御部5は多重化部3から出力された多重化データに含まれている非リアルタイムデータの平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’より高い場合、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与え、その非リアルタイムデータの平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’より低い場合、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える処理を実施する。
なお、リアルタイムデータレート制御部5はリアルタイムデータレート制御手段を構成している。
【0037】
図7では、データ多重化装置の構成要素であるリアルタイムデータ符号化部1a,1b、非リアルタイムデータ出力部2a,2b、多重化部3及びリアルタイムデータレート制御部5のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、データ多重化装置がコンピュータで構成される場合、リアルタイムデータ符号化部1a,1b、非リアルタイムデータ出力部2a,2b、多重化部3及びリアルタイムデータレート制御部5の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにしてもよい。
図8はこの発明の実施の形態2によるデータ多重化装置の処理内容(データ多重化方法)を示すフローチャートである。
【0038】
次に動作について説明する。
ただし、リアルタイムデータレート制御部5以外は、上記実施の形態1と同様であるため、リアルタイムデータレート制御部5の処理内容のみを説明する。
リアルタイムデータレート制御部5は、多重化部3が多重化データを出力すると、その多重化データに含まれている非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を計測する(ステップST21)。
リアルタイムデータレート制御部5は、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を計測すると、その平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’に近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御する。
【0039】
即ち、リアルタイムデータレート制御部5は、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’より高い場合(ステップST22)、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える(ステップST23)。
符号化データの符号量を上げる指示としては、例えば、先に設定されている画質レベルを上げる(画質を向上させる)指示が考えられる。
これにより、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力されるリアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateが上がるため、多重化部3で非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力される非リアルタイムデータが多重化される割合が低下する。そのため、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を所望の平均レートAVErateref’に近づけることが可能になる。
【0040】
リアルタイムデータレート制御部5は、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’より低い場合(ステップST22)、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える(ステップST24)。
符号化データの符号量を下げる指示としては、例えば、先に設定されている画質レベルを下げる(画質を低下させる)指示が考えられる。
これにより、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力されるリアルタイムデータの符号化データの平均レートAVErateが下がるため、多重化部3で非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力される非リアルタイムデータが多重化される割合が上昇する。そのため、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を所望の平均レートAVErateref’に近づけることが可能になる。
【0041】
ここでは、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’より高い場合、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える一方、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’より低い場合、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与えるものを示したが、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’と所望の平均レートAVErateref’との差が小さい場合(差が所定の閾値より小さい場合)、符号化データの符号量を変更する指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与えないようにしてもよい。
この場合、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’と所望の平均レートAVErateref’が近いときには画質レベルが変更されなくなるため、画質を安定させることができる。
【0042】
また、リアルタイムデータレート制御部5は、多重化部3から出力された多重化データの調査を行わずに、多重化部3より非リアルタイムデータのレート情報の通知を受けて、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するようにしてもよい。
以降、ステップST2の処理に戻り、ステップST2〜ST24の処理が繰り返し実施される。
【0043】
ただし、リアルタイムデータレート制御部5は、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を計測する際、ある期間毎に平均レートAVErate’を計測して、その平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’に近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御しようとすると、その時点での非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を所望の平均レートAVErateref’に近づけることができるが、長い期間で見ると、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’が所望の平均レートAVErateref’からずれてしまうことがある。
【0044】
そこで、リアルタイムデータレート制御部5は、多重化部3から多重化データの出力が開始された時点TSTARTから多重化データに含まれている非リアルタイムデータのデータ量Dを累積するとともに、その出力開始時点TSTARTから現時点TNOWに至るまでの経過時間ΔT(=TNOW−TSTART)と所望の平均レートAVErateref’を乗算する。
そして、リアルタイムデータレート制御部5は、データ量Dの累積値Daccumと、経過時間ΔTと所望の平均レートAVErateref’の乗算結果ΔT×AVErateref’とを比較し、データ量Dの累積値Daccumが乗算結果ΔT×AVErateref’より大きければ、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える。
一方、データ量Dの累積値Daccumが乗算結果ΔT×AVErateref’より小さければ、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化部1a,1bに与える。
このようにすることで、データ量Dの累積値Daccumを所望のデータ総量に近づけることができるため、長い期間で見ても、非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を所望の平均レートAVErateref’に近づけることができる。
【0045】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、リアルタイムデータ符号化部1a,1b及び非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された符号化データのうち、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化し、その多重化データの出力レートOUTrateと所定の伝送レートTRNrateの差分の範囲内で、非リアルタイムデータ出力部2a,2bから出力された非リアルタイムデータを多重化して出力する多重化部3を設け、リアルタイムデータレート制御部5が、多重化部3から出力された多重化データに含まれている非リアルタイムデータの平均レートAVErate’を計測し、その平均レートAVErate’が所望の平均レートAVEraterefに近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するように構成したので、複数の番組の画質の均等化を図りながら、画質の時間的変動を抑えて、高画質な番組多重を図ることができるとともに、非リアルタイムデータの平均レートを保証することができる効果を奏する。
【0046】
なお、この実施の形態2では、リアルタイムデータレート制御部5が、多重化部3から出力された多重化データに含まれている非リアルタイムデータの平均レートAVErate’が所望の平均レートAVEraterefに近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するものを示したが、非リアルタイムデータ出力部2a,2bが非リアルタイムデータを固定レートで多重化部3に出力し、多重化部3が、非リアルタイムデータを一時的に入力バッファ(図示せず)に蓄積しながら多重化を行う場合、リアルタイムデータレート制御部5が、多重化部3の入力バッファに蓄積された非リアルタイムデータのデータ総量に基づいて、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するようにしてもよい。
この場合も、非リアルタイムデータの出力データ総量を所望の値に保つことができる。また、リアルタイムデータに含まれるビデオ画質の急激な変動を抑えることができる。
【0047】
図6に示すように、実際のリアルタイムデータの総量と所望のリアルタイムデータの総量との差が大きくなると、非リアルタイムデータの総量も所望の非リアルタイムデータの総量からずれてしまう。
例えば、非リアルタイムデータを或るレートで伝送することを想定した場合、実際のデータ総量と想定のデータ総量の差を想定レートで割った時間だけ、非リアルタイムデータの送信タイミングがずれることになる。
図6の例では、非リアルタイムデータの想定レートが120kbpsとして、実際のリアルタイムデータの総量と所望のリアルタイムデータの総量との差が12kbyteであった場合、12k×8/120k=0.8となり、非リアルタイムデータの送信タイミングが、0.8秒だけ想定のタイミングよりずれることになる。
【0048】
そのため、非リアルタイムデータの実際のデータ総量と想定のデータ総量との差が、ある閾値を超えないように、リアルタイムデータレート制御部5が、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御することで、非リアルタイムデータの送信タイミングが、想定の送信タイミングから大きく変動することがなくなる。
このように、非リアルタイムデータの実際のデータ総量と想定のデータ総量との差が所定の閾値以下になるように制御することで、非リアルタイムデータの送信タイミングが、想定の送信タイミングから大きくずれることがなくなり、復号装置側で想定したタイミングで受信することが可能になる。
【0049】
上記実施の形態1,2では、リアルタイムデータ符号化部1a,1bが、リアルタイムデータとして、例えば、ビデオデータを含むメディアデータを符号化する際、設定した画質レベルが得られるように、そのリアルタイムデータをリアルタイムに符号化(ビデオ画質が一定になるように符号化)し、リアルタイムデータレート制御部4,5から符号量を下げる指示を受けると、画質が少し低下するように符号化処理を実施して、符号化データの符号量を低下させる。逆に、リアルタイムデータレート制御部4,5から符号量を上げる指示を受けると、画質が少し向上するように符号化処理を実施して、符号化データの符号量を増加させる。
このように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bでは、符号化データの出力レートを直接制御するのではなく、画質レベルを制御するようにしているので、リアルタイムデータレート制御部4,5から指示を受けなければ、画質が一定になる。また、リアルタイムデータレート制御部4,5から指示を受けても、画質を安定的に少しだけ調整するため、画質の変動は抑えられる。
なお、リアルタイムデータ符号化部1a,1bが画質レベルを制御するのではなく、符号化データの出力レートを所望のレートに合わせようとすると、入力画像の複雑さに依存して画質レベルが変動してしまうため、画質レベルが安定しなくなる不具合を生じることが想定される。
【0050】
上記実施の形態1,2では、リアルタイムデータレート制御部4,5が、逐次、平均レートAVErate(AVErate’)が所望の平均レートAVErateref(AVErateref’)に近づくように、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するものを示したが、リアルタイムデータレート制御部4,5が制御を行う度に、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの画質が変動する。
リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの画質の変動を抑制するため、リアルタイムデータレート制御部4,5における符号量の制御回数及び制御幅を制限し、所定の制御回数及び制御幅の範囲内で、リアルタイムデータレート制御部4,5が符号化データの符号量を制御するようにしてもよい。
【0051】
リアルタイムデータレート制御部4,5における符号量の制御回数として、例えば、1分間の上限制御回数“N回”が設定された場合、リアルタイムデータレート制御部4,5における制御回数が、1分間でN回を超えないように制限される。
また、リアルタイムデータレート制御部4,5における符号量の制御幅として、例えば、1回の制御による画質の上限変動幅Wが設定された場合、リアルタイムデータレート制御部4,5における1回の制御で、画質の上限変動幅Wを超えないように制限される。
【0052】
ここでは、リアルタイムデータレート制御部4,5における符号量の制御回数及び制御幅を制限するものを示したが、リアルタイムデータレート制御部4,5が、多重化部3から多重化データの出力が開始された時点TSTARTから非リアルタイムデータのデータ量Dを累積し、そのデータ量Dの累積値Daccumと所望のデータ総量の差が所定値を超えた場合に限り、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量を制御するようにしてもよい。
これにより、データ量Dの累積値Daccumと所望のデータ総量の差が所定値の範囲内で変動している間は、リアルタイムデータ符号化部1a,1bから出力される符号化データの符号量が制御されないため、リアルタイムデータの画質が安定する。また、差が所定値の範囲を超えた場合でも、大きく画質を変えるような制御を与えず、少しずつ画質を変更するようにすることで、画質変化をなだらかに推移させることができる。
【0053】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1a,1b リアルタイムデータ符号化部(リアルタイムデータ符号化手段)、2a,2b 非リアルタイムデータ出力部(非リアルタイムデータ出力手段)、3 多重化部(多重化手段)、4,5 リアルタイムデータレート制御部(リアルタイムデータレート制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
復号装置側でリアルタイムに復号されて再生されることが想定されるリアルタイムデータをリアルタイムに符号化して、上記リアルタイムデータの符号化データを出力するリアルタイムデータ符号化手段と、復号装置側で非リアルタイムに復号されて再生されることが想定される非リアルタイムデータを出力する非リアルタイムデータ出力手段と、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力された符号化データ及び上記非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータのうち、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化し、その多重化データの帯域と所定の伝送レートの差分の範囲内で、上記非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータを多重化して出力する多重化手段と、上記多重化手段から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートを計測し、上記平均レートが所望の平均レートに近づくように、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力される符号化データの符号量を制御するリアルタイムデータレート制御手段とを備えたデータ多重化装置。
【請求項2】
リアルタイムデータレート制御手段は、多重化手段から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートが所望の平均レートより高い場合、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化手段に与え、上記リアルタイムデータの符号化データの平均レートが所望の平均レートより低い場合、符号化データの符号量を上げる指示を上記リアルタイムデータ符号化手段に与えることを特徴とする請求項1記載のデータ多重化装置。
【請求項3】
リアルタイムデータレート制御手段は、多重化手段から多重化データの出力が開始された時点から上記多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データのデータ量を累積するとともに、上記多重化データの出力が開始された時点から現時点に至るまでの経過時間と所望の平均レートを乗算し、上記データ量の累積値が上記経過時間と所望の平均レートの乗算結果より大きければ、符号化データの符号量を下げる指示をリアルタイムデータ符号化手段に与え、上記データ量の累積値が上記経過時間と所望の平均レートの乗算結果より小さければ、符号化データの符号量を上げる指示を上記リアルタイムデータ符号化手段に与えることを特徴とする請求項1記載のデータ多重化装置。
【請求項4】
復号装置側でリアルタイムに復号されて再生されることが想定されるリアルタイムデータをリアルタイムに符号化して、上記リアルタイムデータの符号化データを出力するリアルタイムデータ符号化手段と、復号装置側で非リアルタイムに復号されて再生されることが想定される非リアルタイムデータを出力する非リアルタイムデータ出力手段と、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力された符号化データ及び上記非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータのうち、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化し、その多重化データの帯域と所定の伝送レートの差分の範囲内で、上記非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータを多重化して出力する多重化手段と、上記多重化手段から出力された多重化データに含まれている非リアルタイムデータの平均レートを計測し、上記平均レートが所望の平均レートに近づくように、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力される符号化データの符号量を制御するリアルタイムデータレート制御手段とを備えたデータ多重化装置。
【請求項5】
リアルタイムデータレート制御手段は、多重化手段から出力された多重化データに含まれている非リアルタイムデータの平均レートが所望の平均レートより高い場合、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化手段に与え、上記非リアルタイムデータの平均レートが所望の平均レートより低い場合、符号化データの符号量を下げる指示を上記リアルタイムデータ符号化手段に与えることを特徴とする請求項4記載のデータ多重化装置。
【請求項6】
リアルタイムデータレート制御手段は、多重化手段から多重化データの出力が開始された時点から上記多重化データに含まれている非リアルタイムデータのデータ量を累積するとともに、上記多重化データの出力が開始された時点から現時点に至るまでの経過時間と所望の平均レートを乗算し、上記データ量の累積値が上記経過時間と所望の平均レートの乗算結果より大きければ、符号化データの符号量を上げる指示をリアルタイムデータ符号化手段に与え、上記データ量の累積値が上記経過時間と所望の平均レートの乗算結果より小さければ、符号化データの符号量を下げる指示を上記リアルタイムデータ符号化手段に与えることを特徴とする請求項4記載のデータ多重化装置。
【請求項7】
リアルタイムデータレート制御手段は、データ量の累積値と所望のデータ総量の差が所定値以下になるように、リアルタイムデータ符号化手段から出力される符号化データの符号量を制御することを特徴とする請求項6記載のデータ多重化装置。
【請求項8】
リアルタイムデータ符号化手段は、リアルタイムデータがビデオデータを含むメディアデータである場合、上記リアルタイムデータを符号化する際、上記ビデオデータの画質が一定になるように符号化を行うことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のデータ多重化装置。
【請求項9】
リアルタイムデータレート制御手段における符号量の制御回数及び制御幅が制限されており、所定の制御回数及び制御幅の範囲内で、上記リアルタイムデータレート制御手段が符号化データの符号量を制御することを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のデータ多重化装置。
【請求項10】
リアルタイムデータレート制御手段は、多重化手段から多重化データの出力が開始された時点から非リアルタイムデータのデータ量を累積し、上記データ量の累積値と所望のデータ総量の差が所定値を超えた場合に限り、符号化データの符号量を制御することを特徴とする請求項9記載のデータ多重化装置。
【請求項11】
リアルタイムデータ符号化手段が、復号装置側でリアルタイムに復号されて再生されることが想定されるリアルタイムデータをリアルタイムに符号化して、上記リアルタイムデータの符号化データを出力するリアルタイムデータ符号化処理ステップと、非リアルタイムデータ出力手段が、復号装置側で非リアルタイムに復号されて再生されることが想定される非リアルタイムデータを出力する非リアルタイムデータ出力処理ステップと、多重化手段が、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力された符号化データ及び上記非リアルタイムデータ符号化手段から出力された非リアルタイムデータのうち、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化し、その多重化データの帯域と所定の伝送レートの差分の範囲内で、上記非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータを多重化して出力する多重化処理ステップと、リアルタイムデータレート制御手段が、上記多重化手段から出力された多重化データに含まれているリアルタイムデータの符号化データの平均レートを計測し、上記平均レートが所望の平均レートに近づくように、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力される符号化データの符号量を制御するリアルタイムデータレート制御処理ステップとを備えたデータ多重化方法。
【請求項12】
リアルタイムデータ符号化手段が、復号装置側でリアルタイムに復号されて再生されることが想定されるリアルタイムデータをリアルタイムに符号化して、上記リアルタイムデータの符号化データを出力するリアルタイムデータ符号化処理ステップと、非リアルタイムデータ出力手段が、復号装置側で非リアルタイムに復号されて再生されることが想定される非リアルタイムデータを出力する非リアルタイムデータ出力処理ステップと、多重化手段が、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力された符号化データ及び上記非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータのうち、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力されたリアルタイムデータの符号化データを優先的に多重化し、その多重化データの帯域と所定の伝送レートの差分の範囲内で、上記非リアルタイムデータ出力手段から出力された非リアルタイムデータを多重化して出力する多重化処理ステップと、リアルタイムデータレート制御手段が、上記多重化手段から出力された多重化データに含まれている非リアルタイムデータの平均レートを計測し、上記平均レートが所望の平均レートに近づくように、上記リアルタイムデータ符号化手段から出力される符号化データの符号量を制御するリアルタイムデータレート制御処理ステップとを備えたデータ多重化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−90039(P2012−90039A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234412(P2010−234412)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】