トイレ装置
【課題】トイレ室壁面の比較的高い位置に取り付けられたとしても、着座使用及び立位使用の使用者を、使用者の体格によらず確実に検知することが可能なトイレ装置を提供すること。
【解決手段】このトイレ装置としての擬音発生装置10は、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、水平よりも下方に向けて光信号を送信することで、第一検知領域SA1と第二検知領域SA2とに分けて光信号を送信するように構成されており、第一検知領域SA1から反射される第一反射信号と、第二検知領域SA2から反射される第二反射信号とに基づいて、便座WSに着座している使用者Hの存在有無と、便座WSに着座していない使用者Hの存在有無との双方を判断する。
【解決手段】このトイレ装置としての擬音発生装置10は、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、水平よりも下方に向けて光信号を送信することで、第一検知領域SA1と第二検知領域SA2とに分けて光信号を送信するように構成されており、第一検知領域SA1から反射される第一反射信号と、第二検知領域SA2から反射される第二反射信号とに基づいて、便座WSに着座している使用者Hの存在有無と、便座WSに着座していない使用者Hの存在有無との双方を判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室の壁面に設けられるトイレ装置であって、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ室の壁面に設けられるトイレ装置であって、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置が制御対象とする機能部は様々なものがある。例えば、便器に水を流すためのバルブが機能部であれば、トイレ装置はバルブが有する機能である水の供給を制御すべく、バルブの開閉を制御する。また、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄装置が機能部であれば、トイレ装置は衛生洗浄装置が有する機能である水の吐出や揺動を制御すべく、ノズルやポンプの駆動を制御する。
【0003】
このように機能部を制御するトイレ装置は、バルブやノズルやポンプに制御信号を出力してそれらの動作を制御するものである。そのような制御信号の出力は、使用者からの操作を受け付けて行うこともあれば、使用者の位置を検知する検知センサーの検知結果に基づいて行うこともある。従って、このようなトイレ装置は、便座に座っている使用者や立っている使用者が操作をしやすい位置に取り付けられるものである。その前提で、更に検知センサーによる検知精度を高めるため、下記特許文献1に記載されているような技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−173970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術は、便座の開閉によって、着座使用か立位使用かを判別し、それぞれに適した検知範囲となるように検知センサーの検知エリアを切り替えている。具体的には、便座が開いている場合には立位使用であると判断して、便器の先端よりも外側の領域を検知エリアとしている。また、便座が閉じている場合には着座使用であると判断して、便器を含む領域を検知エリアとしている。このように検知エリアを切り替える技術は、便器を使用する際の使用者の横方向の位置に対応するものであるから、その限りにおいては効果的なものである。
【0006】
しかしながら、このような工夫をもってしても、使用者を確実に捕捉できない場合がある。特に、信号を送信する投光部と、投光部が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光部とを有し、受信した反射信号に応じた受信信号を出力する反射型センサーを検知センサーに利用した場合にその現象が起きる場合がある。本発明者らはこの現象に対して、投光部が送信した光信号が使用者に当たらずに抜けてしまい、受光部が反射信号を受けることができない現象が起きていると考えた。
【0007】
このような送信した光信号の抜け現象の原因は単純ではなく、様々な要因が寄与しているのではないかと本発明者らは考えている。一つの原因は、公共トイレ操作系JISの制定に見られるように、バリアフリーの考え方に対応することが求められ、従来に比較してトイレ装置の壁面への設置高さが高くなってきていることにある。このようにトイレ装置を比較的高めに設置すると、立位使用の場合は大きな問題とならない一方で、着座使用時には送信する光信号の高さも高くなり、光信号の抜け現象に繋がるおそれがある。特に、使用者が子供の場合には、座高が低いことに加えて、着座姿勢が安定せずに上半身を動かすことが想定され、光信号の抜け現象に繋がるおそれがある。
【0008】
また、上述したトイレ装置には、小便が便器内の溜水に突入する音をマスキングするために擬音を発生するものも含まれる。このような擬音発生装置としてのトイレ装置は、従来は検知センサーの人体検知によって擬音を発生していたものであり、特段の操作部がなかったため、トイレ室壁面の比較的低い位置に取り付けられていたものである。しかしながら最近では、擬音発生を停止するための操作部を備えたものも要望されており、そのように検知センサーと操作部とを備えるものであれば、上述したトイレ装置と同様に比較的高い位置に設置する必要がある。この種の擬音発生機能を有するトイレ装置では、従来の設置位置に対応させてトイレ装置から比較的高めの位置に光信号を送信するように構成されている。このような擬音発生機能を有するトイレ装置をそのまま比較的高い位置に取り付ければ、上述したような光信号の抜け現象はより顕著に発生することが想定される。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置であって、トイレ室壁面の比較的高い位置に取り付けられたとしても、着座使用及び立位使用の使用者を、使用者の体格によらず確実に検知することが可能なトイレ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係るトイレ装置は、トイレ室の壁面に設けられ、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置であって、光信号を送信する投光部と、前記投光部が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光部と、を有し、受信した反射信号に応じた受信信号を出力する反射型センサーと、前記機能部における機能の実行を指示する操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号を出力する操作指示部と、前記反射型センサーから出力される受信信号に基づいて使用者の存在有りと判断すると、前記機能部における機能を実行させる一方で、その判断の結果に係らず、前記操作指示部から出力される操作信号に基づいて前記機能部における機能を実行させる制御部と、を備える。前記投光部は、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、水平よりも下方に向けて光信号を送信することで、第一検知領域と第二検知領域とに分けて光信号を送信するように構成されている。前記制御部は、前記第一検知領域から反射される第一反射信号と、前記第二検知領域から反射される第二反射信号とに基づいて、トイレ室に設けられている便座に着座している使用者の存在有無と、前記便座に着座していない使用者の存在有無との双方を判断する。
【0011】
本発明によれば、投光部は、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、第一検知領域と第二検知領域とに分けて光信号を送信するので、第一検知領域及び第二検知領域が着座使用の際に使用者がいる位置や立位使用の際に使用者がいる位置を含むように構成することができ、着座使用及び立位使用の使用者を確実に検知することができる。更に、投光部は、水平よりも下方に向けて光信号を送信するので、特に着座使用の使用者の腰周りから太ももの位置に光信号を送信することができる。着座使用の使用者は、便座に腰掛けて使用しているので、便座に直接触れている太ももやその太ももに直結する腰周りは動き難い部位となっている。そこで本発明のように、光信号を水平よりも下方に向けて送信することで、使用者の動き難い位置に確実に光信号を照射することができる。従って、投光部を、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、水平よりも下方に向けて光信号を送信するように構成するという簡単な構成で、着座使用及び立位使用の使用者を、使用者の体格によらず確実に検知することが可能となる。
【0012】
また本発明に係るトイレ装置では、前記反射型センサーが、横方向において前記第一検知領域と前記第二検知領域とが対称領域となるように光信号を送信しており、その対称軸は、前記反射型センサーと前記操作指示部と前記制御部とが収められている本体部の水平方向における中心を通るように構成されていることも好ましい。
【0013】
本発明に係るトイレ装置が設置されるのはトイレ室であり、便器を挟んで壁が立設され、その壁間の距離は可能な限り狭められる場合がある。そのため、このトイレ装置は、便器から見て左側側壁に取り付けられる場合もあれば、便器から見て右側側壁に取り付けられる場合もある。そこでこの好ましい態様では、反射型センサーが、横方向において第一検知領域と第二検知領域とが対称領域となるように光信号を送信しており、その対称軸は、本体部の水平方向における中心を通るように構成している。このように構成することで、トイレ装置を左側側壁に取り付けても、右側側壁に取り付けても検知性能が変化しないので、左側側壁にも右側側壁にも取り付けることができる。従って、左側側壁用のトイレ装置と右側側壁用のトイレ装置とを準備する必要が無く、一種類のトイレ装置で対応することができるので、施工作業が極めて楽なものとなる。
【0014】
また本発明に係るトイレ装置では、前記反射型センサーが、前記第一検知領域に光信号を送信する第一投光素子と、前記第二検知領域に光信号を送信する第二投光素子と、前記第一投光素子及び前記第二投光素子が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光素子とを有しており、前記第一投光素子と前記第二投光素子との間の中間位置に前記受光素子が配置されていることも好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、第一投光素子と第二投光素子との間の中間位置に受光素子を配置することで、第一投光素子から送信される光信号と第二投光素子から送信される光信号との双方を一つの受光素子で受信することができる。従って、受光素子を共用とすることで投光素子や受光素子によって占有する領域を狭めることができ、トイレ装置を容易に小型化することができる。このように、トイレ装置を小型化することで、バリアフリーの観点から取り付け位置が厳密に指定され、その許容範囲が狭くなったとしても、容易に対応することができる。
【0016】
また本発明に係るトイレ装置では、前記受光素子が、前記第一投光素子及び前記第二投光素子よりも下側に配置されていることも好ましい。
【0017】
上述したように本発明では、投光部は水平よりも下方に向けて光信号を送信するので、反射信号は下方から戻ってくることになる。そこでこの好ましい態様では、受光素子を第一投光素子及び第二投光素子よりも下側に配置することで、反射信号をより信号強度の強い光量の多い状態で受信することができ、検知性能をより向上させることができる。
【0018】
また本発明に係るトイレ装置では、前記受光素子が、受光面が水平よりも下方に向くように配置されていることも好ましい。
【0019】
この好ましい態様では、受光素子の受光面を水平よりも下方に向けて配置しているので、下方から戻ってくる反射信号をより信号強度の強い光量の多い状態で受信することができ、検知性能をより向上させることができる。
【0020】
また本発明に係るトイレ装置では、前記受光素子の上方に、水平よりも下方に向けて光信号を送信するように第三投光素子を配置することも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、受光素子の上方、すなわち第一投光素子と第二投光素子との間に第三投光素子を配置するので、第一投光素子による第一検知領域と第二投光素子による第二検知領域との間に、第三検知領域を形成することができる。従って、検知領域の中抜けを確実に防止することができ、検知性能をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置であって、トイレ室壁面の比較的高い位置に取り付けられたとしても、着座使用及び立位使用の使用者を、使用者の属性に係わらず確実に検知することが可能なトイレ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態である擬音発生装置をトイレ室に設けた状態を示す概略側面図である。
【図2】本発明の実施形態である擬音発生装置をトイレ室に設けた状態を示す概略平面図である。
【図3】本発明の実施形態である擬音発生装置をトイレ室に設けた状態を示す概略正面図である。
【図4】本発明の実施形態である擬音発生装置を図2の場合とは反対側の壁に設けた状態を示す概略平面図である。
【図5】本発明の実施形態である擬音発生装置の外観を示す図である。
【図6】本発明の実施形態である擬音発生装置に用いられる素子ホルダーの外観を示す図である。
【図7】本発明の実施形態である擬音発生装置の制御的な構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態である擬音発生装置の投光素子が送信する光信号の波形を示す図である。
【図9】本発明の実施形態である擬音発生装置をトイレ室に設置する際の初期設定の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態である擬音発生装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図6に示す素子ホルダーに投光素子を追加した場合の素子ホルダーの外観を示す図である。
【図12】図11に示す素子ホルダーを用いた場合の擬音発生装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0025】
本発明の実施形態に係るトイレ装置としての擬音発生装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、擬音発生装置10をトイレ室TRに取り付けた状態を示す概略側面図である。図2は、擬音発生装置10をトイレ室TRに取り付けた状態を示す概略平面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、トイレ室TRは、床FLと、後壁BWと、右側側壁RWと、左側側壁LWと、ドアDRとを有している。床FLの後壁BW側には、大便器CSが設置されている。大便器CSには、便座WSが取り付けられている。
【0027】
左側側壁LWには、ペーパーホルダーRPと、擬音発生装置10(トイレ装置)とが取り付けられている。ペーパーホルダーRPは、トイレットペーパーを保持するためのものである。ペーパーホルダーRPは、大便器CSのドアDR側先端よりもドアDR側に近寄った位置に取り付けられている。ペーパーホルダーRPが取り付けられている高さは、便座WS先端から約150mm〜400mmの高さとなっている。
【0028】
ペーパーホルダーRPの上方には、擬音発生装置10が取り付けられている。擬音発生装置10は、使用者Hが便座WSに着座して用便する場合に、小便が溜水に突入する際の音をマスキングするための擬音を発生する装置である。擬音発生装置10が取り付けられている高さは、便座WS先端から約400mm〜550mmの高さであって、ペーパーホルダーRPから約100〜200mmの高さとなっている。
【0029】
擬音発生装置10は、スピーカー101と、反射型センサー102と、運転スイッチ103(操作指示部)とを備えている。スピーカー101は、擬音を発生するための音声発生装置である。反射型センサー102は、投光素子と受光素子とを有している。反射型センサー102の投光素子から送信される光信号は、対象物に当たって反射し、その反射信号を受光素子が受信することで対象物存在の有無を検知している。
【0030】
反射型センサー102から送信される光信号は、第一検知領域SA1と、第二検知領域SA2とに分けて送信されている。第一検知領域SA1と第二検知領域SA2とは、擬音発生装置10の中心線CLを挟んで対称な方向及び対称な形状となるように形成されている。
【0031】
図1及び図2に示す擬音発生装置10では、便座WSに使用者H(位置H2)が着座し、着座使用している場合は、第二検知領域SA2で検知している。一方、便座WSに着座せずに使用者H(位置H1)が立位使用している場合は、第一検知領域SA1で検知している。
【0032】
反射型センサー102から送信される光信号は、水平方向よりも下方向(床FLに向う方向)に向けて送信されている。この状態を説明するため、図3に、擬音発生装置10をトイレ室TRに取り付けた場合のドアDR側から見た正面図を示す。図3に示すように、反射型センサー102から送信される光信号は、水平基準線HLよりも床FL側に向けて下向きに送信している。従って、第一検知領域SA1及び第二検知領域SA2は、水平基準線HLよりも下側に広がるように形成されている。このように第一検知領域SA1及び第二検知領域SA2を下向きに形成することで、便座WSに着座している使用者H(位置H2)を確実に検知することができる。
【0033】
擬音発生装置10は、右側側壁RWに取り付けることも可能である。擬音発生装置10をトイレ室TRの右側側壁RWに取り付けた状態を図4に示す。図4に示すように、擬音発生装置10を右側側壁RWに取り付けると、便座WSに使用者H(位置H2)が着座し、着座使用している場合は、第一検知領域SA1で検知する。一方、便座WSに着座せずに使用者H(位置H1)が立位使用している場合は、第二検知領域SA2で検知する。
【0034】
続いて、本実施形態の擬音発生装置10の外観を図5に示す。図5に示すように、擬音発生装置10は、本体部10Bに、スピーカー101と、反射型センサー102と、運転スイッチ103とが設けられている。反射型センサー102は、本体部10Bの中心線CLを跨ぐ位置に設けられている。
【0035】
反射型センサー102は、第一投光素子102aと、第二投光素子102bと、受光素子102cとを有している。第一投光素子102aと第二投光素子102bとは、本体部10Bの中心線CLを跨いで対称な位置に配置されている。受光素子102cは、本体部10Bの中心線CL上に配置されている。
【0036】
図6に、反射型センサー102に用いられる素子ホルダー102hを示す。図6に示すように、第一投光素子102aは、取付穴102aaに取り付けられている。同様に、第二投光素子102bは取付穴102baに、受光素子102cは取付穴102caに、それぞれ取り付けられている。本実施形態の場合、第一投光素子102a及び第二投光素子102bは、水平基準線HL(図2参照)から下方に約20度の方向を向くように取り付けられている。また、第一投光素子102a及び第二投光素子102bは、中心線CLに対してそれぞれが外側に約23度開いた方向を向くように取り付けられている。
【0037】
また、受光素子102cは、第一投光素子102aと第二投光素子102bとの間の中間位置であって、第一投光素子102a及び第二投光素子102bよりは下方に配置されている。受光素子102cは、その受光面が下方を向いて、第一投光素子102a及び第二投光素子102bから送信される光信号が反射した反射信号を受信しやすいように配置されている。
【0038】
続いて図7に、本実施形態の擬音発生装置10の制御的な構成を示すブロック図を示す。図7に示すように、擬音発生装置10は、制御部としてのCPU104と、運転スイッチ103と、受光素子102cと、第一投光素子102aと、第二投光素子102bと、スピーカー101とを備えている。
【0039】
操作指示部としての運転スイッチ103を使用者Hが操作すると、その操作に応じた操作指示信号がCPU104に出力される。本実施形態の場合、操作指示信号は擬音発生の停止なので、CPU104は、スピーカー101からの擬音発生を停止させる。
【0040】
CPU104は、第一投光素子102a及び第二投光素子102bから光信号を送信させる。この光信号は対象物としての使用者Hや大便器CSや便座WSに当たって反射し、その反射に伴って反射信号が受光素子102cへと向う。受光素子102cは、反射信号を受信すると、その反射信号に応じた受信信号をCPU104に出力する。
【0041】
第一投光素子102a及び第二投光素子102bから送信される光信号の波形を図8に示す。図8に示すように、第一投光素子から送信される光信号と、第二投光素子から送信される光信号とは、周期がずれており、同時に送信しても判別可能なように構成されている。
【0042】
続いて、本実施形態に係る擬音発生装置10をトイレ室TRに取り付ける際の初期設定について図9を参照しながら説明する。図9は、擬音発生装置10をトイレ室TRに設置する際の初期設定の手順を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS01では、トイレ室TRに擬音発生装置10を取り付ける。具体的には、図1〜図3に示すようにトイレ室TRの左側側壁LWに取り付けても、図4に示すようにトイレ室TRの右側側壁RWに取り付けてもよい。
【0044】
ステップS01に続くステップS02では、複数の検知領域に各投光素子からそれぞれ異なる光信号を送信する。具体的には、第一投光素子102a及び第二投光素子102bから、図8に例示したような光信号を送信する。第一投光素子102a及び第二投光素子102bから送信された光信号は、反射されて反射信号となり受光素子102cがそれを受信する。
【0045】
擬音発生装置10が、図1〜図3に示すようにトイレ室TRの左側側壁LWに取り付けられていれば、第一投光素子102aから送信された光信号に対する反射信号の信号強度(光量)よりも、第二投光素子102bから送信された光信号に対する反射信号の信号強度(光量)が大きくなる。第二投光素子102bが送信する光信号が照射される第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがある一方、第一投光素子102aが送信する光信号が照射される第一検知領域SA1側にはそのような機器類が配置されていないためである。
【0046】
一方、擬音発生装置10が、図4に示すようにトイレ室TRの右側側壁RWに取り付けられていれば、第二投光素子102bから送信された光信号に対する反射信号の信号強度(光量)よりも、第一投光素子102aから送信された光信号に対する反射信号の信号強度(光量)が大きくなる。第一投光素子102aが送信する光信号が照射される第一検知領域SA1側に大便器CS及び便座WSがある一方、第二投光素子102bが送信する光信号が照射される第二検知領域SA2側にはそのような機器類が配置されていないためである。
【0047】
このような背景を利用して、ステップS02に続くステップS03では、送信された光信号の反射量(反射信号の信号強度)が大きいのが、第一検知領域SA1であるか否か判断する。送信された光信号の反射量(反射信号の信号強度)が大きいのが、第一検知領域SA1であれば、ステップS04の処理に進み、第二検知領域SA2であれば、ステップS07の処理に進む。
【0048】
ステップS04では、第一検知領域SA1に大便器CS及び便座WSがあり、それらから光信号が反射され反射信号が戻ってきていると判断する。ステップS04に続くステップS05では、第一投光素子102aが送信する光信号が照射される第一検知領域SA1側に大便器CS及び便座WSがあり、第二投光素子102bが送信する光信号が照射される第二検知領域SA2側にドアDRがあるものと判断する。
【0049】
ステップS05に続くステップS06では、第一検知領域SA1側に大便器CS及び便座WSがあり、第二検知領域SA2側にドアDRがあるものとして、それぞれの反射信号の強度を反射量閾値として学習する。
【0050】
一方、ステップS07では、第二検知領域SA2に大便器CS及び便座WSがあり、それらから光信号が反射され反射信号が戻ってきていると判断する。ステップS07に続くステップS08では、第二投光素子102bが送信する光信号が照射される第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一投光素子102aが送信する光信号が照射される第一検知領域SA1側にドアDRがあるものと判断する。
【0051】
ステップS08に続くステップS09では、第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがあるものとして、それぞれの反射信号の強度を反射量閾値として学習する。
【0052】
続いて、本実施形態に係る擬音発生装置10の動作について、図10を参照しながら説明する。図10は、擬音発生装置10の動作を示すフローチャートである。尚、図10に示すフローチャートは、図9の初期設定を行った結果、第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがある場合(図1〜図3参照)について説明している。
【0053】
ステップS11では、第一投光素子102aから光信号の送信を行う一方で、第二投光素子102bからの光信号の送信は停止している。第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがある場合、使用者Hは第一検知領域SA1側から大便器CSに近づくことになるので、第一検知領域SA1のみを有効検知領域としている。
【0054】
ステップS11に続くステップS12では、第一検知領域SA1からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第一検知領域SA1からの反射量が変化しなければステップS12の処理を繰り返し、第一検知領域SA1からの反射量が変化していればステップS13の処理に進む。
【0055】
ステップS13では、スピーカー101から擬音を発生させる。ステップS13に続くステップS14では、第二投光素子102bからも光信号の送信を開始する。ステップS14に続くステップS15では、第二検知領域SA2からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第二投光素子102bから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第二検知領域SA2からの反射量が変化しなければステップS22の処理に進み、第二検知領域SA2からの反射量が変化していればステップS16の処理に進む。
【0056】
ステップS22では、使用者Hは位置H1(図1参照)において立位使用しているものと判断し、ステップS19の処理に進む。
【0057】
ステップS16では、使用者Hは位置H2(図1参照)において着座使用しているものと判断し、ステップS17の処理に進む。
【0058】
ステップS16に続くステップS17では、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第二投光素子102bから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っているか判断する。第二投光素子102bから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っていれば、ステップS18の処理に進み、下回っていなければステップS17の処理を継続する。
【0059】
このステップS17の処理は、使用者Hが位置H2から立ち去ったか否かを判断するステップである。従って、使用者Hの用便が終了したものと判断できる処理で代替可能である。例えば、所定時間の経過を条件として、ステップS18の処理に進むことも好ましいものである。
【0060】
ステップS18では、第一検知領域SA1からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第一検知領域SA1からの反射量が変化しなければステップS18の処理を繰り返し、第一検知領域SA1からの反射量が変化していればステップS19の処理に進む。このステップS18の処理は、使用者Hが位置H1に留まっているか否かを判断するものである。
【0061】
ステップS19では、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っているか判断する。第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っていれば、ステップS20の処理に進み、下回っていなければステップS19の処理を継続する。
【0062】
このステップS19の処理は、使用者Hが位置H1から立ち去ったか否かを判断するステップである。従って、使用者Hが立ち去ったものと判断できる処理で代替可能である。例えば、所定時間の経過を条件として、ステップS20の処理に進むことも好ましいものである。
【0063】
ステップS20では、第二投光素子102bからの光信号の送信を停止する。ステップS20に続くステップS21では、スピーカー101からの擬音の発生を停止する。
【0064】
上述した実施形態では、投光素子として、第一投光素子102a及び第二投光素子102bの二つの素子を用いている。投光素子の数は二つに限られるものではなく、第一検知領域SA1と第二検知領域SA2との間の隙間が発生することを防止するため、投光素子の数を増やすことも好ましいものである。図11に、第三投光素子102dを設けた素子ホルダー202hを示す。
【0065】
図11に示すように、第三投光素子102dは、第一投光素子102aと第二投光素子102bとの間であって、受光素子102cの上方に配置されている。第三投光素子102dは、取付穴102aaと取付穴102baとの間の取付穴102daに取り付けられている。第三投光素子102dも、第一投光素子102a及び第二投光素子102bと同様に、下方に向けて取り付けられている。
【0066】
このように投光素子を三つにした場合の、擬音発生装置10の動作について図12を参照しながら説明する。尚、図12に示すフローチャートは、図9の初期設定を行った結果、第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがある場合(図1〜図3参照)について説明している。
【0067】
ステップS31では、第一投光素子102aから光信号の送信を行う一方で、第二投光素子102b及び第三投光素子102dからの光信号の送信は停止している。第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがある場合、使用者Hは第一検知領域SA1側から大便器CSに近づくことになるので、第一検知領域SA1のみを有効検知領域としている。
【0068】
ステップS31に続くステップS32では、第一検知領域SA1からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第一検知領域SA1からの反射量が変化しなければステップS32の処理を繰り返し、第一検知領域SA1からの反射量が変化していればステップS33の処理に進む。
【0069】
ステップS33では、スピーカー101から擬音を発生させる。ステップS33に続くステップS34では、第二投光素子102b及び第三投光素子102dからも光信号の送信を開始する。ステップS34に続くステップS35では、第二検知領域SA2及び第三検知領域(第三投光素子102dが光信号を照射する領域)からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第二投光素子102b及び第三投光素子102dから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が、反射量閾値を超えているか判断する。第二検知領域SA2及び第三検知領域からの反射量が変化しなければステップS42の処理に進み、第二検知領域SA2及び第三検知領域からの反射量が変化していればステップS36の処理に進む。
【0070】
ステップS42では、使用者Hは位置H1(図1参照)において立位使用しているものと判断し、ステップS39の処理に進む。
【0071】
ステップS36では、使用者Hは位置H2(図1参照)において着座使用しているものと判断し、ステップS37の処理に進む。
【0072】
ステップS36に続くステップS37では、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第二投光素子102b及び第三投光素子102dから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っているか判断する。第二投光素子102b第三投光素子102dから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っていれば、ステップS38の処理に進み、下回っていなければステップS37の処理を継続する。
【0073】
このステップS37の処理は、使用者Hが位置H2から立ち去ったか否かを判断するステップである。従って、使用者Hの用便が終了したものと判断できる処理で代替可能である。例えば、所定時間の経過を条件として、ステップS38の処理に進むことも好ましいものである。
【0074】
ステップS38では、第一検知領域SA1からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第一検知領域SA1からの反射量が変化しなければステップS38の処理を繰り返し、第一検知領域SA1からの反射量が変化していればステップS39の処理に進む。このステップS38の処理は、使用者Hが位置H1に留まっているか否かを判断するものである。
【0075】
ステップS39では、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っているか判断する。第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っていれば、ステップS40の処理に進み、下回っていなければステップS39の処理を継続する。
【0076】
このステップS39の処理は、使用者Hが位置H1から立ち去ったか否かを判断するステップである。従って、使用者Hが立ち去ったものと判断できる処理で代替可能である。例えば、所定時間の経過を条件として、ステップS40の処理に進むことも好ましいものである。
【0077】
ステップS40では、第二投光素子102b第三投光素子102dからの光信号の送信を停止する。ステップS40に続くステップS41では、スピーカー101からの擬音の発生を停止する。
【0078】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0079】
TR:トイレ室
DR:ドア
FL:床
BW:後壁
RW:右側側壁
LW:左側側壁
CS:大便器
WS:便座
RP:ペーパーホルダー
H:使用者
10:擬音発生装置(トイレ装置)
10B:本体部
101:スピーカー
102:反射型センサー
102a:第一投光素子(投光部)
102b:第二投光素子(投光部)
102c:受光素子(受光部)
102d:第三投光素子(投光部)
102h,202h:素子ホルダー
102aa:取付穴
102ba:取付穴
102ca:取付穴
102da:取付穴
103:運転スイッチ(操作指示部)
104:CPU(制御部)
SA1:第一検知領域
SA2:第二検知領域
CL:中心線
HL:水平基準線
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室の壁面に設けられるトイレ装置であって、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ室の壁面に設けられるトイレ装置であって、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置が制御対象とする機能部は様々なものがある。例えば、便器に水を流すためのバルブが機能部であれば、トイレ装置はバルブが有する機能である水の供給を制御すべく、バルブの開閉を制御する。また、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄装置が機能部であれば、トイレ装置は衛生洗浄装置が有する機能である水の吐出や揺動を制御すべく、ノズルやポンプの駆動を制御する。
【0003】
このように機能部を制御するトイレ装置は、バルブやノズルやポンプに制御信号を出力してそれらの動作を制御するものである。そのような制御信号の出力は、使用者からの操作を受け付けて行うこともあれば、使用者の位置を検知する検知センサーの検知結果に基づいて行うこともある。従って、このようなトイレ装置は、便座に座っている使用者や立っている使用者が操作をしやすい位置に取り付けられるものである。その前提で、更に検知センサーによる検知精度を高めるため、下記特許文献1に記載されているような技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−173970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術は、便座の開閉によって、着座使用か立位使用かを判別し、それぞれに適した検知範囲となるように検知センサーの検知エリアを切り替えている。具体的には、便座が開いている場合には立位使用であると判断して、便器の先端よりも外側の領域を検知エリアとしている。また、便座が閉じている場合には着座使用であると判断して、便器を含む領域を検知エリアとしている。このように検知エリアを切り替える技術は、便器を使用する際の使用者の横方向の位置に対応するものであるから、その限りにおいては効果的なものである。
【0006】
しかしながら、このような工夫をもってしても、使用者を確実に捕捉できない場合がある。特に、信号を送信する投光部と、投光部が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光部とを有し、受信した反射信号に応じた受信信号を出力する反射型センサーを検知センサーに利用した場合にその現象が起きる場合がある。本発明者らはこの現象に対して、投光部が送信した光信号が使用者に当たらずに抜けてしまい、受光部が反射信号を受けることができない現象が起きていると考えた。
【0007】
このような送信した光信号の抜け現象の原因は単純ではなく、様々な要因が寄与しているのではないかと本発明者らは考えている。一つの原因は、公共トイレ操作系JISの制定に見られるように、バリアフリーの考え方に対応することが求められ、従来に比較してトイレ装置の壁面への設置高さが高くなってきていることにある。このようにトイレ装置を比較的高めに設置すると、立位使用の場合は大きな問題とならない一方で、着座使用時には送信する光信号の高さも高くなり、光信号の抜け現象に繋がるおそれがある。特に、使用者が子供の場合には、座高が低いことに加えて、着座姿勢が安定せずに上半身を動かすことが想定され、光信号の抜け現象に繋がるおそれがある。
【0008】
また、上述したトイレ装置には、小便が便器内の溜水に突入する音をマスキングするために擬音を発生するものも含まれる。このような擬音発生装置としてのトイレ装置は、従来は検知センサーの人体検知によって擬音を発生していたものであり、特段の操作部がなかったため、トイレ室壁面の比較的低い位置に取り付けられていたものである。しかしながら最近では、擬音発生を停止するための操作部を備えたものも要望されており、そのように検知センサーと操作部とを備えるものであれば、上述したトイレ装置と同様に比較的高い位置に設置する必要がある。この種の擬音発生機能を有するトイレ装置では、従来の設置位置に対応させてトイレ装置から比較的高めの位置に光信号を送信するように構成されている。このような擬音発生機能を有するトイレ装置をそのまま比較的高い位置に取り付ければ、上述したような光信号の抜け現象はより顕著に発生することが想定される。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置であって、トイレ室壁面の比較的高い位置に取り付けられたとしても、着座使用及び立位使用の使用者を、使用者の体格によらず確実に検知することが可能なトイレ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係るトイレ装置は、トイレ室の壁面に設けられ、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置であって、光信号を送信する投光部と、前記投光部が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光部と、を有し、受信した反射信号に応じた受信信号を出力する反射型センサーと、前記機能部における機能の実行を指示する操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号を出力する操作指示部と、前記反射型センサーから出力される受信信号に基づいて使用者の存在有りと判断すると、前記機能部における機能を実行させる一方で、その判断の結果に係らず、前記操作指示部から出力される操作信号に基づいて前記機能部における機能を実行させる制御部と、を備える。前記投光部は、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、水平よりも下方に向けて光信号を送信することで、第一検知領域と第二検知領域とに分けて光信号を送信するように構成されている。前記制御部は、前記第一検知領域から反射される第一反射信号と、前記第二検知領域から反射される第二反射信号とに基づいて、トイレ室に設けられている便座に着座している使用者の存在有無と、前記便座に着座していない使用者の存在有無との双方を判断する。
【0011】
本発明によれば、投光部は、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、第一検知領域と第二検知領域とに分けて光信号を送信するので、第一検知領域及び第二検知領域が着座使用の際に使用者がいる位置や立位使用の際に使用者がいる位置を含むように構成することができ、着座使用及び立位使用の使用者を確実に検知することができる。更に、投光部は、水平よりも下方に向けて光信号を送信するので、特に着座使用の使用者の腰周りから太ももの位置に光信号を送信することができる。着座使用の使用者は、便座に腰掛けて使用しているので、便座に直接触れている太ももやその太ももに直結する腰周りは動き難い部位となっている。そこで本発明のように、光信号を水平よりも下方に向けて送信することで、使用者の動き難い位置に確実に光信号を照射することができる。従って、投光部を、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、水平よりも下方に向けて光信号を送信するように構成するという簡単な構成で、着座使用及び立位使用の使用者を、使用者の体格によらず確実に検知することが可能となる。
【0012】
また本発明に係るトイレ装置では、前記反射型センサーが、横方向において前記第一検知領域と前記第二検知領域とが対称領域となるように光信号を送信しており、その対称軸は、前記反射型センサーと前記操作指示部と前記制御部とが収められている本体部の水平方向における中心を通るように構成されていることも好ましい。
【0013】
本発明に係るトイレ装置が設置されるのはトイレ室であり、便器を挟んで壁が立設され、その壁間の距離は可能な限り狭められる場合がある。そのため、このトイレ装置は、便器から見て左側側壁に取り付けられる場合もあれば、便器から見て右側側壁に取り付けられる場合もある。そこでこの好ましい態様では、反射型センサーが、横方向において第一検知領域と第二検知領域とが対称領域となるように光信号を送信しており、その対称軸は、本体部の水平方向における中心を通るように構成している。このように構成することで、トイレ装置を左側側壁に取り付けても、右側側壁に取り付けても検知性能が変化しないので、左側側壁にも右側側壁にも取り付けることができる。従って、左側側壁用のトイレ装置と右側側壁用のトイレ装置とを準備する必要が無く、一種類のトイレ装置で対応することができるので、施工作業が極めて楽なものとなる。
【0014】
また本発明に係るトイレ装置では、前記反射型センサーが、前記第一検知領域に光信号を送信する第一投光素子と、前記第二検知領域に光信号を送信する第二投光素子と、前記第一投光素子及び前記第二投光素子が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光素子とを有しており、前記第一投光素子と前記第二投光素子との間の中間位置に前記受光素子が配置されていることも好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、第一投光素子と第二投光素子との間の中間位置に受光素子を配置することで、第一投光素子から送信される光信号と第二投光素子から送信される光信号との双方を一つの受光素子で受信することができる。従って、受光素子を共用とすることで投光素子や受光素子によって占有する領域を狭めることができ、トイレ装置を容易に小型化することができる。このように、トイレ装置を小型化することで、バリアフリーの観点から取り付け位置が厳密に指定され、その許容範囲が狭くなったとしても、容易に対応することができる。
【0016】
また本発明に係るトイレ装置では、前記受光素子が、前記第一投光素子及び前記第二投光素子よりも下側に配置されていることも好ましい。
【0017】
上述したように本発明では、投光部は水平よりも下方に向けて光信号を送信するので、反射信号は下方から戻ってくることになる。そこでこの好ましい態様では、受光素子を第一投光素子及び第二投光素子よりも下側に配置することで、反射信号をより信号強度の強い光量の多い状態で受信することができ、検知性能をより向上させることができる。
【0018】
また本発明に係るトイレ装置では、前記受光素子が、受光面が水平よりも下方に向くように配置されていることも好ましい。
【0019】
この好ましい態様では、受光素子の受光面を水平よりも下方に向けて配置しているので、下方から戻ってくる反射信号をより信号強度の強い光量の多い状態で受信することができ、検知性能をより向上させることができる。
【0020】
また本発明に係るトイレ装置では、前記受光素子の上方に、水平よりも下方に向けて光信号を送信するように第三投光素子を配置することも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、受光素子の上方、すなわち第一投光素子と第二投光素子との間に第三投光素子を配置するので、第一投光素子による第一検知領域と第二投光素子による第二検知領域との間に、第三検知領域を形成することができる。従って、検知領域の中抜けを確実に防止することができ、検知性能をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置であって、トイレ室壁面の比較的高い位置に取り付けられたとしても、着座使用及び立位使用の使用者を、使用者の属性に係わらず確実に検知することが可能なトイレ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態である擬音発生装置をトイレ室に設けた状態を示す概略側面図である。
【図2】本発明の実施形態である擬音発生装置をトイレ室に設けた状態を示す概略平面図である。
【図3】本発明の実施形態である擬音発生装置をトイレ室に設けた状態を示す概略正面図である。
【図4】本発明の実施形態である擬音発生装置を図2の場合とは反対側の壁に設けた状態を示す概略平面図である。
【図5】本発明の実施形態である擬音発生装置の外観を示す図である。
【図6】本発明の実施形態である擬音発生装置に用いられる素子ホルダーの外観を示す図である。
【図7】本発明の実施形態である擬音発生装置の制御的な構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態である擬音発生装置の投光素子が送信する光信号の波形を示す図である。
【図9】本発明の実施形態である擬音発生装置をトイレ室に設置する際の初期設定の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態である擬音発生装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図6に示す素子ホルダーに投光素子を追加した場合の素子ホルダーの外観を示す図である。
【図12】図11に示す素子ホルダーを用いた場合の擬音発生装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0025】
本発明の実施形態に係るトイレ装置としての擬音発生装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、擬音発生装置10をトイレ室TRに取り付けた状態を示す概略側面図である。図2は、擬音発生装置10をトイレ室TRに取り付けた状態を示す概略平面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、トイレ室TRは、床FLと、後壁BWと、右側側壁RWと、左側側壁LWと、ドアDRとを有している。床FLの後壁BW側には、大便器CSが設置されている。大便器CSには、便座WSが取り付けられている。
【0027】
左側側壁LWには、ペーパーホルダーRPと、擬音発生装置10(トイレ装置)とが取り付けられている。ペーパーホルダーRPは、トイレットペーパーを保持するためのものである。ペーパーホルダーRPは、大便器CSのドアDR側先端よりもドアDR側に近寄った位置に取り付けられている。ペーパーホルダーRPが取り付けられている高さは、便座WS先端から約150mm〜400mmの高さとなっている。
【0028】
ペーパーホルダーRPの上方には、擬音発生装置10が取り付けられている。擬音発生装置10は、使用者Hが便座WSに着座して用便する場合に、小便が溜水に突入する際の音をマスキングするための擬音を発生する装置である。擬音発生装置10が取り付けられている高さは、便座WS先端から約400mm〜550mmの高さであって、ペーパーホルダーRPから約100〜200mmの高さとなっている。
【0029】
擬音発生装置10は、スピーカー101と、反射型センサー102と、運転スイッチ103(操作指示部)とを備えている。スピーカー101は、擬音を発生するための音声発生装置である。反射型センサー102は、投光素子と受光素子とを有している。反射型センサー102の投光素子から送信される光信号は、対象物に当たって反射し、その反射信号を受光素子が受信することで対象物存在の有無を検知している。
【0030】
反射型センサー102から送信される光信号は、第一検知領域SA1と、第二検知領域SA2とに分けて送信されている。第一検知領域SA1と第二検知領域SA2とは、擬音発生装置10の中心線CLを挟んで対称な方向及び対称な形状となるように形成されている。
【0031】
図1及び図2に示す擬音発生装置10では、便座WSに使用者H(位置H2)が着座し、着座使用している場合は、第二検知領域SA2で検知している。一方、便座WSに着座せずに使用者H(位置H1)が立位使用している場合は、第一検知領域SA1で検知している。
【0032】
反射型センサー102から送信される光信号は、水平方向よりも下方向(床FLに向う方向)に向けて送信されている。この状態を説明するため、図3に、擬音発生装置10をトイレ室TRに取り付けた場合のドアDR側から見た正面図を示す。図3に示すように、反射型センサー102から送信される光信号は、水平基準線HLよりも床FL側に向けて下向きに送信している。従って、第一検知領域SA1及び第二検知領域SA2は、水平基準線HLよりも下側に広がるように形成されている。このように第一検知領域SA1及び第二検知領域SA2を下向きに形成することで、便座WSに着座している使用者H(位置H2)を確実に検知することができる。
【0033】
擬音発生装置10は、右側側壁RWに取り付けることも可能である。擬音発生装置10をトイレ室TRの右側側壁RWに取り付けた状態を図4に示す。図4に示すように、擬音発生装置10を右側側壁RWに取り付けると、便座WSに使用者H(位置H2)が着座し、着座使用している場合は、第一検知領域SA1で検知する。一方、便座WSに着座せずに使用者H(位置H1)が立位使用している場合は、第二検知領域SA2で検知する。
【0034】
続いて、本実施形態の擬音発生装置10の外観を図5に示す。図5に示すように、擬音発生装置10は、本体部10Bに、スピーカー101と、反射型センサー102と、運転スイッチ103とが設けられている。反射型センサー102は、本体部10Bの中心線CLを跨ぐ位置に設けられている。
【0035】
反射型センサー102は、第一投光素子102aと、第二投光素子102bと、受光素子102cとを有している。第一投光素子102aと第二投光素子102bとは、本体部10Bの中心線CLを跨いで対称な位置に配置されている。受光素子102cは、本体部10Bの中心線CL上に配置されている。
【0036】
図6に、反射型センサー102に用いられる素子ホルダー102hを示す。図6に示すように、第一投光素子102aは、取付穴102aaに取り付けられている。同様に、第二投光素子102bは取付穴102baに、受光素子102cは取付穴102caに、それぞれ取り付けられている。本実施形態の場合、第一投光素子102a及び第二投光素子102bは、水平基準線HL(図2参照)から下方に約20度の方向を向くように取り付けられている。また、第一投光素子102a及び第二投光素子102bは、中心線CLに対してそれぞれが外側に約23度開いた方向を向くように取り付けられている。
【0037】
また、受光素子102cは、第一投光素子102aと第二投光素子102bとの間の中間位置であって、第一投光素子102a及び第二投光素子102bよりは下方に配置されている。受光素子102cは、その受光面が下方を向いて、第一投光素子102a及び第二投光素子102bから送信される光信号が反射した反射信号を受信しやすいように配置されている。
【0038】
続いて図7に、本実施形態の擬音発生装置10の制御的な構成を示すブロック図を示す。図7に示すように、擬音発生装置10は、制御部としてのCPU104と、運転スイッチ103と、受光素子102cと、第一投光素子102aと、第二投光素子102bと、スピーカー101とを備えている。
【0039】
操作指示部としての運転スイッチ103を使用者Hが操作すると、その操作に応じた操作指示信号がCPU104に出力される。本実施形態の場合、操作指示信号は擬音発生の停止なので、CPU104は、スピーカー101からの擬音発生を停止させる。
【0040】
CPU104は、第一投光素子102a及び第二投光素子102bから光信号を送信させる。この光信号は対象物としての使用者Hや大便器CSや便座WSに当たって反射し、その反射に伴って反射信号が受光素子102cへと向う。受光素子102cは、反射信号を受信すると、その反射信号に応じた受信信号をCPU104に出力する。
【0041】
第一投光素子102a及び第二投光素子102bから送信される光信号の波形を図8に示す。図8に示すように、第一投光素子から送信される光信号と、第二投光素子から送信される光信号とは、周期がずれており、同時に送信しても判別可能なように構成されている。
【0042】
続いて、本実施形態に係る擬音発生装置10をトイレ室TRに取り付ける際の初期設定について図9を参照しながら説明する。図9は、擬音発生装置10をトイレ室TRに設置する際の初期設定の手順を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS01では、トイレ室TRに擬音発生装置10を取り付ける。具体的には、図1〜図3に示すようにトイレ室TRの左側側壁LWに取り付けても、図4に示すようにトイレ室TRの右側側壁RWに取り付けてもよい。
【0044】
ステップS01に続くステップS02では、複数の検知領域に各投光素子からそれぞれ異なる光信号を送信する。具体的には、第一投光素子102a及び第二投光素子102bから、図8に例示したような光信号を送信する。第一投光素子102a及び第二投光素子102bから送信された光信号は、反射されて反射信号となり受光素子102cがそれを受信する。
【0045】
擬音発生装置10が、図1〜図3に示すようにトイレ室TRの左側側壁LWに取り付けられていれば、第一投光素子102aから送信された光信号に対する反射信号の信号強度(光量)よりも、第二投光素子102bから送信された光信号に対する反射信号の信号強度(光量)が大きくなる。第二投光素子102bが送信する光信号が照射される第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがある一方、第一投光素子102aが送信する光信号が照射される第一検知領域SA1側にはそのような機器類が配置されていないためである。
【0046】
一方、擬音発生装置10が、図4に示すようにトイレ室TRの右側側壁RWに取り付けられていれば、第二投光素子102bから送信された光信号に対する反射信号の信号強度(光量)よりも、第一投光素子102aから送信された光信号に対する反射信号の信号強度(光量)が大きくなる。第一投光素子102aが送信する光信号が照射される第一検知領域SA1側に大便器CS及び便座WSがある一方、第二投光素子102bが送信する光信号が照射される第二検知領域SA2側にはそのような機器類が配置されていないためである。
【0047】
このような背景を利用して、ステップS02に続くステップS03では、送信された光信号の反射量(反射信号の信号強度)が大きいのが、第一検知領域SA1であるか否か判断する。送信された光信号の反射量(反射信号の信号強度)が大きいのが、第一検知領域SA1であれば、ステップS04の処理に進み、第二検知領域SA2であれば、ステップS07の処理に進む。
【0048】
ステップS04では、第一検知領域SA1に大便器CS及び便座WSがあり、それらから光信号が反射され反射信号が戻ってきていると判断する。ステップS04に続くステップS05では、第一投光素子102aが送信する光信号が照射される第一検知領域SA1側に大便器CS及び便座WSがあり、第二投光素子102bが送信する光信号が照射される第二検知領域SA2側にドアDRがあるものと判断する。
【0049】
ステップS05に続くステップS06では、第一検知領域SA1側に大便器CS及び便座WSがあり、第二検知領域SA2側にドアDRがあるものとして、それぞれの反射信号の強度を反射量閾値として学習する。
【0050】
一方、ステップS07では、第二検知領域SA2に大便器CS及び便座WSがあり、それらから光信号が反射され反射信号が戻ってきていると判断する。ステップS07に続くステップS08では、第二投光素子102bが送信する光信号が照射される第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一投光素子102aが送信する光信号が照射される第一検知領域SA1側にドアDRがあるものと判断する。
【0051】
ステップS08に続くステップS09では、第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがあるものとして、それぞれの反射信号の強度を反射量閾値として学習する。
【0052】
続いて、本実施形態に係る擬音発生装置10の動作について、図10を参照しながら説明する。図10は、擬音発生装置10の動作を示すフローチャートである。尚、図10に示すフローチャートは、図9の初期設定を行った結果、第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがある場合(図1〜図3参照)について説明している。
【0053】
ステップS11では、第一投光素子102aから光信号の送信を行う一方で、第二投光素子102bからの光信号の送信は停止している。第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがある場合、使用者Hは第一検知領域SA1側から大便器CSに近づくことになるので、第一検知領域SA1のみを有効検知領域としている。
【0054】
ステップS11に続くステップS12では、第一検知領域SA1からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第一検知領域SA1からの反射量が変化しなければステップS12の処理を繰り返し、第一検知領域SA1からの反射量が変化していればステップS13の処理に進む。
【0055】
ステップS13では、スピーカー101から擬音を発生させる。ステップS13に続くステップS14では、第二投光素子102bからも光信号の送信を開始する。ステップS14に続くステップS15では、第二検知領域SA2からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第二投光素子102bから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第二検知領域SA2からの反射量が変化しなければステップS22の処理に進み、第二検知領域SA2からの反射量が変化していればステップS16の処理に進む。
【0056】
ステップS22では、使用者Hは位置H1(図1参照)において立位使用しているものと判断し、ステップS19の処理に進む。
【0057】
ステップS16では、使用者Hは位置H2(図1参照)において着座使用しているものと判断し、ステップS17の処理に進む。
【0058】
ステップS16に続くステップS17では、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第二投光素子102bから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っているか判断する。第二投光素子102bから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っていれば、ステップS18の処理に進み、下回っていなければステップS17の処理を継続する。
【0059】
このステップS17の処理は、使用者Hが位置H2から立ち去ったか否かを判断するステップである。従って、使用者Hの用便が終了したものと判断できる処理で代替可能である。例えば、所定時間の経過を条件として、ステップS18の処理に進むことも好ましいものである。
【0060】
ステップS18では、第一検知領域SA1からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第一検知領域SA1からの反射量が変化しなければステップS18の処理を繰り返し、第一検知領域SA1からの反射量が変化していればステップS19の処理に進む。このステップS18の処理は、使用者Hが位置H1に留まっているか否かを判断するものである。
【0061】
ステップS19では、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っているか判断する。第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っていれば、ステップS20の処理に進み、下回っていなければステップS19の処理を継続する。
【0062】
このステップS19の処理は、使用者Hが位置H1から立ち去ったか否かを判断するステップである。従って、使用者Hが立ち去ったものと判断できる処理で代替可能である。例えば、所定時間の経過を条件として、ステップS20の処理に進むことも好ましいものである。
【0063】
ステップS20では、第二投光素子102bからの光信号の送信を停止する。ステップS20に続くステップS21では、スピーカー101からの擬音の発生を停止する。
【0064】
上述した実施形態では、投光素子として、第一投光素子102a及び第二投光素子102bの二つの素子を用いている。投光素子の数は二つに限られるものではなく、第一検知領域SA1と第二検知領域SA2との間の隙間が発生することを防止するため、投光素子の数を増やすことも好ましいものである。図11に、第三投光素子102dを設けた素子ホルダー202hを示す。
【0065】
図11に示すように、第三投光素子102dは、第一投光素子102aと第二投光素子102bとの間であって、受光素子102cの上方に配置されている。第三投光素子102dは、取付穴102aaと取付穴102baとの間の取付穴102daに取り付けられている。第三投光素子102dも、第一投光素子102a及び第二投光素子102bと同様に、下方に向けて取り付けられている。
【0066】
このように投光素子を三つにした場合の、擬音発生装置10の動作について図12を参照しながら説明する。尚、図12に示すフローチャートは、図9の初期設定を行った結果、第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがある場合(図1〜図3参照)について説明している。
【0067】
ステップS31では、第一投光素子102aから光信号の送信を行う一方で、第二投光素子102b及び第三投光素子102dからの光信号の送信は停止している。第二検知領域SA2側に大便器CS及び便座WSがあり、第一検知領域SA1側にドアDRがある場合、使用者Hは第一検知領域SA1側から大便器CSに近づくことになるので、第一検知領域SA1のみを有効検知領域としている。
【0068】
ステップS31に続くステップS32では、第一検知領域SA1からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第一検知領域SA1からの反射量が変化しなければステップS32の処理を繰り返し、第一検知領域SA1からの反射量が変化していればステップS33の処理に進む。
【0069】
ステップS33では、スピーカー101から擬音を発生させる。ステップS33に続くステップS34では、第二投光素子102b及び第三投光素子102dからも光信号の送信を開始する。ステップS34に続くステップS35では、第二検知領域SA2及び第三検知領域(第三投光素子102dが光信号を照射する領域)からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第二投光素子102b及び第三投光素子102dから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が、反射量閾値を超えているか判断する。第二検知領域SA2及び第三検知領域からの反射量が変化しなければステップS42の処理に進み、第二検知領域SA2及び第三検知領域からの反射量が変化していればステップS36の処理に進む。
【0070】
ステップS42では、使用者Hは位置H1(図1参照)において立位使用しているものと判断し、ステップS39の処理に進む。
【0071】
ステップS36では、使用者Hは位置H2(図1参照)において着座使用しているものと判断し、ステップS37の処理に進む。
【0072】
ステップS36に続くステップS37では、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第二投光素子102b及び第三投光素子102dから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っているか判断する。第二投光素子102b第三投光素子102dから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っていれば、ステップS38の処理に進み、下回っていなければステップS37の処理を継続する。
【0073】
このステップS37の処理は、使用者Hが位置H2から立ち去ったか否かを判断するステップである。従って、使用者Hの用便が終了したものと判断できる処理で代替可能である。例えば、所定時間の経過を条件として、ステップS38の処理に進むことも好ましいものである。
【0074】
ステップS38では、第一検知領域SA1からの反射量が変化したか判断する。具体的には、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が超えているか判断する。第一検知領域SA1からの反射量が変化しなければステップS38の処理を繰り返し、第一検知領域SA1からの反射量が変化していればステップS39の処理に進む。このステップS38の処理は、使用者Hが位置H1に留まっているか否かを判断するものである。
【0075】
ステップS39では、初期設定の際に学習した反射量閾値に対して、第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っているか判断する。第一投光素子102aから送信される光信号に対する反射信号の信号強度が下回っていれば、ステップS40の処理に進み、下回っていなければステップS39の処理を継続する。
【0076】
このステップS39の処理は、使用者Hが位置H1から立ち去ったか否かを判断するステップである。従って、使用者Hが立ち去ったものと判断できる処理で代替可能である。例えば、所定時間の経過を条件として、ステップS40の処理に進むことも好ましいものである。
【0077】
ステップS40では、第二投光素子102b第三投光素子102dからの光信号の送信を停止する。ステップS40に続くステップS41では、スピーカー101からの擬音の発生を停止する。
【0078】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0079】
TR:トイレ室
DR:ドア
FL:床
BW:後壁
RW:右側側壁
LW:左側側壁
CS:大便器
WS:便座
RP:ペーパーホルダー
H:使用者
10:擬音発生装置(トイレ装置)
10B:本体部
101:スピーカー
102:反射型センサー
102a:第一投光素子(投光部)
102b:第二投光素子(投光部)
102c:受光素子(受光部)
102d:第三投光素子(投光部)
102h,202h:素子ホルダー
102aa:取付穴
102ba:取付穴
102ca:取付穴
102da:取付穴
103:運転スイッチ(操作指示部)
104:CPU(制御部)
SA1:第一検知領域
SA2:第二検知領域
CL:中心線
HL:水平基準線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室の壁面に設けられ、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置であって、
光信号を送信する投光部と、前記投光部が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光部と、を有し、受信した反射信号に応じた受信信号を出力する反射型センサーと、
前記機能部における機能の実行を指示する操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号を出力する操作指示部と、
前記反射型センサーから出力される受信信号に基づいて使用者の存在有りと判断すると、前記機能部における機能を実行させる一方で、その判断の結果に係らず、前記操作指示部から出力される操作信号に基づいて前記機能部における機能を実行させる制御部と、を備え、
前記投光部は、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、水平よりも下方に向けて光信号を送信することで、第一検知領域と第二検知領域とに分けて光信号を送信するように構成されており、
前記制御部は、前記第一検知領域から反射される第一反射信号と、前記第二検知領域から反射される第二反射信号とに基づいて、トイレ室に設けられている便座に着座している使用者の存在有無と、前記便座に着座していない使用者の存在有無との双方を判断することを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記反射型センサーは、横方向において前記第一検知領域と前記第二検知領域とが対称領域となるように光信号を送信しており、その対称軸は、前記反射型センサーと前記操作指示部と前記制御部とが収められている本体部の水平方向における中心を通るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記反射型センサーは、前記第一検知領域に光信号を送信する第一投光素子と、前記第二検知領域に光信号を送信する第二投光素子と、前記第一投光素子及び前記第二投光素子が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光素子とを有しており、
前記第一投光素子と前記第二投光素子との間の中間位置に前記受光素子が配置されていることを特徴とする請求項2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記受光素子は、前記第一投光素子及び前記第二投光素子よりも下側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記受光素子は、受光面が水平よりも下方に向くように配置されていることを特徴とする請求項4に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記受光素子の上方に、水平よりも下方に向けて光信号を送信するように第三投光素子を配置することを特徴とする請求項4に記載のトイレ装置。
【請求項1】
トイレ室の壁面に設けられ、予め定められた機能を実行する機能部における当該機能の実行を制御するトイレ装置であって、
光信号を送信する投光部と、前記投光部が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光部と、を有し、受信した反射信号に応じた受信信号を出力する反射型センサーと、
前記機能部における機能の実行を指示する操作を受け付けて、その操作に応じた操作信号を出力する操作指示部と、
前記反射型センサーから出力される受信信号に基づいて使用者の存在有りと判断すると、前記機能部における機能を実行させる一方で、その判断の結果に係らず、前記操作指示部から出力される操作信号に基づいて前記機能部における機能を実行させる制御部と、を備え、
前記投光部は、横方向において異なる少なくとも二つの方向に、水平よりも下方に向けて光信号を送信することで、第一検知領域と第二検知領域とに分けて光信号を送信するように構成されており、
前記制御部は、前記第一検知領域から反射される第一反射信号と、前記第二検知領域から反射される第二反射信号とに基づいて、トイレ室に設けられている便座に着座している使用者の存在有無と、前記便座に着座していない使用者の存在有無との双方を判断することを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記反射型センサーは、横方向において前記第一検知領域と前記第二検知領域とが対称領域となるように光信号を送信しており、その対称軸は、前記反射型センサーと前記操作指示部と前記制御部とが収められている本体部の水平方向における中心を通るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記反射型センサーは、前記第一検知領域に光信号を送信する第一投光素子と、前記第二検知領域に光信号を送信する第二投光素子と、前記第一投光素子及び前記第二投光素子が送信する光信号が反射された反射信号を受信する受光素子とを有しており、
前記第一投光素子と前記第二投光素子との間の中間位置に前記受光素子が配置されていることを特徴とする請求項2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記受光素子は、前記第一投光素子及び前記第二投光素子よりも下側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記受光素子は、受光面が水平よりも下方に向くように配置されていることを特徴とする請求項4に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記受光素子の上方に、水平よりも下方に向けて光信号を送信するように第三投光素子を配置することを特徴とする請求項4に記載のトイレ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−77466(P2012−77466A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221404(P2010−221404)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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