説明

トナー担持体、現像装置及び画像形成装置

【課題】断線によってトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなるのを抑制できるトナー担持体並びにそのトナー担持体を備えた現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】ローラ部材と、ローラ部材に設けられた複数の電極と、前記電極と電気的に接続され、現像装置に設けられた電源から給電される給電部と、を備えたトナー担持体において、前記給電部から前記電極に電気が流れる経路が2つ以上形成されるように、給電部と電極とを電気的に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられるトナー担持体、並びに、そのトナー担持体を備えた現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー担持体の表面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるホッピング現像方式を採用した画像形成装置が知られている。ホッピング現像方式では、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、トナー担持体軸方向に長尺で周方向に所定のピッチで配設された複数のホッピング電極を具備する筒状のトナー担持体を有している。複数のホッピング電極のうち、偶数番目の配列位置にあるものをA相電極とし、トナー担持ローラの一端側に設けられA相電極の一端と電気的に接続されたA相用給電部を介してA相用電源からA相電極に電気を流してA相の繰り返しパルス電圧が印加される。一方、奇数番目の配列位置にあるものをB相電極とし、トナー担持ローラの他端側に設けられB相電極の一端と電気的に接続されたB相用給電部を介してB相用電源からB相電極に電気を流してB相の繰り返しパルス電圧が印加される。これにより、互いに隣り合うA相電極とB相電極との間に交番電界を形成して、前記交番電界によってトナーに対して働く静電気力によりトナーを電極間でホッピングさせる。そして、ホッピングさせたトナーを、潜像担持体上の潜像に付着させることで現像を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、A相用給電部からA相電極に電気が流れる経路やB相用給電部からB相電極に電気が流れる経路が、電極の一端と給電部とを電気的に接続する接続部分を通る1経路しかないと、その経路の途中で断線が生じた際に給電部から電極に電気が流れなくなる。そのため、トナー担持体上でトナーをホッピンさせる電界が形成できなくなるといった問題が生じる。
【0004】
ところで、A相電極とB相電極とを、両者間に少なくとも1つの絶縁層を介在させる互いに異なった階層に形成した多層構造のトナー担持体を用いることが考えられる。これは、特許文献1に記載のトナー担持体のように同一平面上にA相電極とB相電極とを配置した構成で、A相電極とB相電極との間で電流のリークが生じ、トナー担持体上でトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなってしまうという不具合を解決するものである。
【0005】
このような、絶縁層を介在させてA相電極とB相電極とを異なった階層に形成した多層構造のトナー担持体を用いた場合においても、特許文献1に記載のトナー担持体と同様に、電極の一端と電気的に接続された給電部を介して電源から電極に電気を流してパルス電圧を印加し、給電部から電極に電気が流れる経路が電極の一端と給電部とを電気的に接続する接続部分を通る1経路しかないと、上述したのと同様の問題が生じる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、断線によってトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなるのを抑制できるトナー担持体、並びに、そのトナー担持体を備えた現像装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、ローラ部材と、該ローラ部材に設けられた複数の電極と、前記電極と電気的に接続され、現像装置に設けられた電源から給電される給電部と、を備えたトナー担持体において、前記給電部から前記電極に電気が流れる経路が2つ以上形成されるように、該給電部と該電極とを電気的に接続したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のトナー担持体において、上記複数の電極は、上記ローラ部材表面に配設された1つ以上の第1の電極と、該ローラ部材表面と該第1の電極とを覆うように該ローラ部材上に形成された絶縁層上に配設された複数の第2の電極とであり、上記給電部は、前記第1の電極と電気的に接続され現像装置に設けられた第1の電源から給電される第1の給電部と、前記第2の電極と電気的に接続され現像装置に設けられた第2の電源から給電される第2の給電部とであり、前記第2の給電部から前記第2の電極に電気が流れる経路が2つ以上形成されるように、該第2の給電部と該第2の電極とを電気的に接続したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のトナー担持体において、上記第2の電極は、上記ローラ部材の軸方向に長尺な導電性部材であり、該導電性部材をローラ部材軸方向一端側から他端側に向かって螺旋状、直線状または波線状で配設したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2のトナー担持体において、上記第2の電極は、幅がほぼ一定であり、直線形状、曲線形状または多角形状をした線状の導電性部材であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3または4のトナー担持体において、隣り合う第2の電極が互いに直線、曲線または多角形状の導体で接続された接点を持ち、隣り合う第2の電極が電気的に接続されたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5のトナー担持体において、上記ローラ部材は軸中心で回転可能なように現像装置に軸支されるものであり、上記接点は、前記ローラ部材の回転方向と平行であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5のトナー担持体において、上記ローラ部材は軸中心で回転可能なように現像装置に軸支されるものであり、上記接点は、前記ローラ部材の回転方向と平行でないことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2、3、4、5、6または7のトナー担持体において、上記第2の給電部が、上記ローラ部材の軸方向端部にあることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、複数の電極を有するトナー担持体と、該トナー担持体の表面に少なくともトナーを含む現像剤を供給する現像剤供給手段と、該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを潜像担持体と対向する現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、前記トナー担持体として、請求項1、2、3、4、5、6、7または8のトナー担持体を用いることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、潜像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により少なくともトナーを含む現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像手段として、請求項9の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、給電部から電極に電気が流れる経路が2つ以上形成されるように、給電部と電極とが電気的に接続されているので、1つの経路中で断線が生じても、他の経路を通って給電部から電極に電気を流すことができる。よって、給電部から電極に電気が流れる経路が1つしかない構成よりも、給電部から電極に電気を安定して流すことができ、その分、前記断線によりトナー担持体上でトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、断線によってトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなるのを抑制できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】トナー担持ローラの給電部が設けられた側とは反対側のトナー担持ローラの軸端部分に各外側電極を繋ぐ導体を配設したトナー担持ローラの模式図。
【図2】本実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図3】実施形態に係る複写機における感光体と現像装置とを示す概略構成図。
【図4】トナー担持ローラを回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図。
【図5】トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図。
【図6】(a)外側電極をトナー担持ローラ軸方向に平行で配置したトナー担持ローラの模式図。(b)外側電極を螺旋状で配置したトナー担持ローラの模式図。
【図7】内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフ。
【図8】内側電極及び外側電極への給電構成をローラ軸に沿って切断したときの模式図。
【図9】給電構成を模式的に示す斜視図。
【図10】トナー担持ローラの片側の軸端部分に設けられた給電部でのみ各外側電極が繋がれたトナー担持ローラの模式図。
【図11】内側電極及び外側電極への給電構成をローラ軸に沿って切断したときの模式図。
【図12】給電構成を模式的に示す斜視図。
【図13】(a)直線状の外側電極をトナー担持ローラ軸方向に平行で配置したトナー担持ローラの模式図。(b)直線状の外側電極をトナー担持ローラの一端側から他端側に向かってトナー担持ローラの表面に巻きつくような螺旋状に配置したトナー担持ローラの模式図。(c)曲線状(波線状)の外側電極4をトナー担持ローラの長手方向に配置したトナー担持ローラの模式図。(d)多角形状の外側電極をトナー担持ローラの長手方向に配置したトナー担持ローラの模式図。
【図14】(a)外側電極がトナー担持ローラ軸方向に平行な直線状パターンで配設された場合の外側電極と規制ブレードとの関係を表した図。(b)外側電極がトナー担持ローラの一端側から他端側に向かってトナー担持ローラの表面に巻きつくような螺旋状で配設された場合の外側電極と規制ブレードとの関係を表した図。
【図15】(a)井桁構造の外側電極が配設されたトナー担持ローラの模式図。(b)間隔をあけた井桁構造の外側電極が配設されたトナー担持ローラの模式図。(c)千鳥構造の外側電極が配設されたトナー担持ローラの模式図。(d)隣り合う外側電極を曲線状の導体で接続した場合のトナー担持ローラの模式図。(e)隣り合う外側電極をトナー担持ローラの回転方向に対して斜めに配設された直線状の導体で接続した場合のトナー担持ローラの模式図。(f)隣り合う外側電極を多角形状の直線の導体で接続した場合のトナー担持ローラの模式図。
【図16】(a)螺旋状で外側電極を配設し、隣り合う外側電極を相互に導体で接続した場合の第1の例を示したトナー担持ローラの模式図。(b)螺旋状で外側電極を配設し、隣り合う外側電極を相互に導体で接続した場合の第2の例を示したトナー担持ローラの模式図。(c)螺旋状で外側電極を配設し隣り合う外側電極を相互に導体で接続した場合の第3の例を示したトナー担持ローラの模式図。(d)螺旋状で外側電極を配設し隣り合う外側電極を相互に導体で接続した場合の第4の例を示したトナー担持ローラの模式図。(e)曲線状(波線状)の外側電極の隣り合う外側電極を相互に導体で接続した場合のトナー担持ローラの模式図。(f)多角形状の外側電極の隣り合う外側電極を相互に導体で接続した場合のトナー担持ローラの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本発明の一実施形態に係るデジタル複写機(以下、単に複写機という)の概略構成図である。ADF201にある原稿トレイ202に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、操作部上のプリントキーが押下されると、一番上の原稿からコンタクトガラス206上の所定の位置に給送される。給送された原稿は、読み取り装置250によってコンタクトガラス206上の原稿の画像データを読み取り後、給送ベルト204および反転駆動コロによって排出口A(原稿反転排出時の排出口)に排出される。さらに、原稿トレイ202に次の原稿が有ることを検知した場合、前原稿と同様にコンタクトガラス206上に給送される。
【0012】
第1トレイ208、第2トレイ209、第3トレイ210に積載された転写紙は、各々第1給紙装置211、第2給紙装置212、第3給紙装置213によって給紙され、縦搬送装置214によって感光体215に当接する位置まで搬送される。読み取り装置250にて読み込まれた画像データは、書き込み装置257からのレーザによって感光体215に書き込まれ、現像装置227を通過することによってトナー像が形成される。そして、転写紙は感光体215の回転と等速で搬送ベルト216によって搬送されながら、感光体215上のトナー像が転写される。その後、定着装置217にて画像を定着させ、排紙装置218に搬送される。排紙装置218に搬送された転写紙は、ステープルモードを行わない場合は、排紙トレイ219に排紙される。
【0013】
なお、現像装置227に本発明のトナー担持体を使用することにより、2相の電極を異なる面上に形成しても少ない電力で現像剤をホッピングさせることができ、高信頼かつ高寿命なトナー担持体を有する現像装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
【0014】
図3は、実施形態に係る複写機における感光体215と現像装置227とを示す概略構成図である。同図において、ドラム状の感光体215は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体215の図中右側方には、トナー担持体であるトナー担持ローラ2を有する現像装置227が配設されている。
【0015】
現像装置227は、トナー担持ローラ2の他、トナー供給ローラ18や規制ブレード31を有している。表面がスポンジからなるトナー供給ローラ18は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、現像装置227内に収容されているトナーをローラ表面に担持する。同図では、トナー供給ローラ18の回転方向として、トナー担持ローラ2との対向部で表面をトナー担持ローラ2とは逆方向に移動させる方向に設定した例を示した。これとは逆に、前記対向部で表面をトナー担持ローラ2と同じ方向に移動させる方向に設定してもよい。
【0016】
トナー供給ローラ18の金属からなる回転軸部材には、供給バイアス電源24によって供給バイアスが印加される。一方、トナー担持ローラ2には、後述する内側電極や外側電極が複数形成されており、それら電極にはパルス電源25A,25Bによって繰り返しのパルス電圧(後述する内側電圧や外側電圧)が印加される。これらパルス電圧の平均値は、前述した供給バイアスよりも、トナーの帯電極性とは逆極性側に大きな値になっている。これにより、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ2との間には、トナーを前者から後者に静電移動させる電界が形成される。
【0017】
トナー供給ローラ18の表面に担持されたトナーは、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ2との当接部において、トナー供給ローラ18からトナー担持ローラ2に供給される。このときの供給量については、供給バイアスの大きさによって調整することが可能である。なお、供給バイアスは、直流電圧であっても、交流電圧であっても、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスであってもよい。
【0018】
トナー担持ローラ2の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ2の図中反時計回り方向の回転に伴って周回移動する。トナー担持ローラ2の表面において、トナー供給ローラ18との対向部を通過してから、感光体215に対向する現像領域に進入する前の箇所には、片持ち支持される規制ブレード31が配設されている。トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら、ローラの回転に伴って全体的に図中反時計回り方向に移動するトナーは、トナー担持ローラ2と規制ブレード31との間に進入すると、規制ブレード31によりトナー担持ローラ2上のトナーが薄層化されトナー量が規制される。その後、トナー担持ローラ2の回転に伴ってトナー担持ローラ2と規制ブレード31との間を抜けると、トナー担持ローラ2上のトナーは再びトナー担持ローラ表面上でホッピングしながら、現像領域へと搬送される。
【0019】
トナー担持ローラ2は、現像装置227のケーシング11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体215に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ2と感光体215とが対向している位置が、本複写機における現像領域となっている。トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ2と感光体215上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像に寄与しなかったトナーは、ホッピングしながらトナー担持ローラ2の回転によってさらに搬送されて、繰り返し利用される。
【0020】
次に、本複写機におけるトナー担持ローラ2の具体的構成について説明する。
図4は、本複写機におけるトナー担持ローラ2を回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。なお、説明の都合上、表層6や絶縁層5は図示していない。また、図5は、本複写機におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。本複写機のトナー担持ローラ2は、中空状のローラ部材で構成されており、その最内周に位置する最内周電極部材又は内周側電極部材としての内側電極3aと、最外周側に位置していて内側電極3aへ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される最外周電極部材としての櫛歯状の外側電極4aとを備えている。また、内側電極3aと外側電極4aとの間にはこれらの間を絶縁するため厚さ0.2[μm]から100[μm]の絶縁層5が設けられている。また、外側電極4aの外周面側を覆う保護層としての表層6も設けられている。すなわち、本複写機のトナー担持ローラ2は、内周側から順に、内側電極3a、絶縁層5、外側電極4a、表層6の4層構造となっている。
【0021】
内側電極3aは、トナー担持ローラ2の基体としても機能しており、ステンレス鋼やアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、内側電極3aの構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。外側電極4aは導体で構成され、ローラの一方の軸端部から他方の軸端部に、図6(a)に示すようにトナー担持ローラ軸方向に平行な直線状で配置されることでトナー担持ローラ2の全域に外側電極4aを配置している。また、図6(b)に示すように外側電極4aを螺旋状で配置してもよい。例えば、外側電極4aは、ローラの軸方向に直径5μmから200μmの線状の電極を、ローラの軸端部から20[μm]から500[μm]の間隔で複数パターンを直線状に配置したり、あるいは螺旋状に巻き付けて配置したりする。絶縁層5は、レジストや光硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂などで構成されている。
【0022】
本複写機では、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3aの外側電極4aとは対向していない部分(外側電極4aの櫛歯間に位置する内側電極3aの部分)と外側電極4aの櫛歯部分との間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3aに絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0023】
次に、内側電極3a及び外側電極4aに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ2上の内側電極3a及び外側電極4aには、それぞれパルス電源25A,25Bから第1電圧である内側電圧及び第2電圧である外側電圧が印加される。パルス電源25A,25Bが印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波で三角波でもよい。また、本複写機では、フレア用電極を形成するための電極が内側電極3a及び外側電極4aの2相構成であり、各電極3a,4aには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0024】
図7は、内側電極3a及び外側電極4aにそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
本複写機において、各電圧は矩形波であり、内側電極3aと外側電極4aにそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧は、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極3aと外側電極4aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるフレア用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。
また、本複写機において、内側電圧と外側電圧の中心値V0は、画像部電位(静電潜像部分の電位)と非画像部電位(地肌部分の電位)との間に設定され、現像条件によって適宜変動する。
【0025】
ここで、この内側電極3aと外側電極4aとに電位差を生じさせると電界が発生する。電界は内側電極3aと外側電極4a間で発生するため、絶縁層5の厚さが厚くなりすぎると、電界が弱くなるため、十分な電界を確保するためには電極間の電位差を大きくする必要がある。そのためローラに高電圧を印可することになりローラの耐久性が低下する。そのため絶縁層5には、高電圧をかけなくても効率よく電界を取り出すための、適正な誘電率を持つ材質の選定と、適正なコート厚さの設定とを行うのが望ましい。
【0026】
図8は、本複写機における内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図である。図9は、同給電構成を模式的に示す斜視図である。 本複写機における内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成において、内側電極3aは、トナー担持ローラ2のローラ軸と一体化されており、そのローラ軸端面が給電部3bとなる。ローラ軸端面で構成される給電部3bには、パルス電源25Aに接続された第1給電部材としての給電ブラシ7が当接している。一方、トナー担持ローラ2の外周面一端部分には表層6が設けられておらず、トナー担持ローラ2の外周面における外側電極4aの一端部部分は露出しており、この露出面が給電部4bとなる。その露出面で構成される給電部4bには、パルス電源25Bに接続された第2給電部材としての給電コロ8が当接している。この給電コロ8は、回転自在に支持されており、トナー担持ローラ2の回転に伴い、給電部4bに当接したまま連れ回り回転する。
【0027】
また、本複写機のように、トナー担持ローラ2の外周面に外側電極4aの一部分を露出させ、その露出部分を給電部4bとして、これに第2給電部材を当接させて給電する方式を採用する場合、その給電部4bは、トナー担持ローラ2上における現像幅(感光体上において静電潜像が形成され得る領域と対向し得る領域幅)よりも軸方向外側に位置することが望まれる。なぜなら、給電部4bが現像幅内に位置すると、トナー担持ローラ2と給電部4bとの間で押しつぶされたトナーが現像に寄与することになり、その部分で現像不良が発生するからである。より好ましくは、給電部4bは、トナー担持ローラ2上におけるトナー供給幅(トナー供給スリーブ19からトナーが供給される領域幅)よりも軸方向外側に位置することが望まれる。なぜなら、給電部4bがトナー供給幅内に位置すると、トナー担持ローラ2と給電部4bとの間に多量のトナーが介在し、給電不良が起きやすくなるからである。本複写機では、給電部4bがトナー担持ローラ2上におけるトナー供給幅よりも軸方向外側に位置するように構成している。更に、本複写機では、トナー供給幅内のトナーが給電部4bに付着しないように、ローラ一端部に位置する給電部4bの軸方向中央側に図示しないトナーシールが設けられている。
【0028】
なお、本複写機では、第2給電部材として、給電部4bに連れ回り回転する給電コロ8を用いているが、これに限らず、例えば、導電性ブラシや導電性板バネなどを用いてもよい。なお、導電性ブラシや、導電性板バネなどのように給電部4bに対して摺動する第2給電部材を用いる場合、給電部4bとの接点部分の摩耗を抑制するために導電性グリスなど充填するとよい。
【0029】
また、本複写機では、内側電極3aの給電部がローラ軸端面である場合について説明したが、これに限らず、例えばローラ軸の周面やローラ本体部の端面を給電部としてもよい。
【0030】
ここで、例えば特開平3−21967号公報には、担持体を駆動させて現像剤を潜像担持体に搬送する現像装置において、トナー担持体によって搬送される現像剤を予備荷電する予備荷電手段を設けると共に、このトナー担持体上に電界カーテンを作用させる電界カーテン発生手段を設けたことを特徴とする現像装置について開示されている。
【0031】
また、特開2007−133376公報には、互いに絶縁された状態で所定方向に並ぶ複数の電極を有する電極パターンを備えた表面移動可能なトナー担持体を具備し、複数の電極における所定の電極を起点にした奇数番目の電極の集合体である奇数番目電極群と、偶数番目の電極の集合体である偶数番目電極群との間に電位差を生起せしめることで、トナー担持体の表面上の現像剤を電極間で移動させながら、トナー担持体の表面移動によって潜像担持体との対向位置まで搬送して潜像担持体上の潜像に付着させる現像装置において、奇数番目の電極と偶数番目の電極とにそれぞれ互いに位相ズレしたパルス電圧を印加することで、トナー担持体の表面上の現像剤を電極間で移動させるようにした現像装置について開示されている。
【0032】
更には、互いに異なる電圧が印加される複数種類の電極部材を備え、複数種類の電極部材を外周面法線方向で互いに異なる位置に配置し、各電極部材間に絶縁層を介在させた、外周面に担持された現像剤を現像領域へ搬送するためのトナー担持体も提案されている。
【0033】
これら提案されている装置を実現するためには、トナー担持体として、表面に微細ピッチで電極パターンが形成されたローラ状部品が必要となる。このローラ状部品の特に電極パターンの形成が重要であり、実現可能性のある技術としてスクリーン印刷に代表される有版印刷法がある。これは、電極パターンが形成された版を用いて印刷用インクの代わりに導電性ペーストを基板に印刷した後、加熱焼成を行うことにより電極パターンとするものである。有版印刷法は版を必要とするため、少量多品種の生産には向かないが、大量生産では低コスト化が見込める方法である。
【0034】
また、他の技術としてはインクジェット法がある。これは、インクジェットヘッドを用いて導電性インクを基板にオンデマンドに吐出、パターン形成した後、加熱焼成を行うことにより電極パターンとするものであり、マスクレスのため少量多品種の生産には向いている。
【0035】
また他の技術としていわゆるフォトリソグラフィーを用いたパターン形成法がある。これは、基材表面に形成した感光性材料に選択的に露光を行うことでパターン形成し、このパターン開口に従って基材表面に予め形成されている金属膜の除去を行うことで、または、このパターン開口に従って金属膜を堆積することにより電極パターンを形成する方法である。微細で高精度なパターン形成が可能な方法である。
【0036】
しかしながら特開平3−21967号公報及び特開2007−133376公報に開示されている現像装置を構成するトナー担持体は、いずれも同一表面上に2相の電極を有している。そのために、隣接するいずれの電極間で短絡が生じても、すべての電極間で電位差が生じなくなり、現像剤をホッピングさせることができなくなるという問題がある。
また、電極は、いずれもトナー担持体の長手方向に長く伸びたパターンであり、両端からそれぞれ異なる相の電源に接続されているために、いずれの電極が断線しても、その近傍においては電圧がかからず現像剤をホッピングさせることができなくなるという問題がある。
【0037】
ローラを2相の電極が絶縁層により分離された異なる面に形成された構成にすると、同一平面内の隣接する電極間の短絡や2相の電極間での電流のリークなどに対して、特開平3−21967号公報及び特開2007−133376公報に開示されている構造よりは強くなる。
【0038】
詳しく説明すると、ホッピング現像方式で濃度ムラのない現像を実現するためには、トナー担持体における電極の配設ピッチを数十[μm]といった微小なものにする必要がある。ところが、微小ピッチで配設された電極に対して、トナーの良好なホッピングのために振幅の大きなパルス電圧を印加すると、電極間で電流のリークを発生させ易くなってしまう。このリークは、具体的には次のようにして発生する。即ち、トナー担持体において、絶縁性基体の表面に沿って所定の間隙を介して並んでいる2相の電極であるA相電極とB相電極との間には、絶縁材料を介在させている。A相電極とB相電極との対向領域に絶縁材料を介在させることで、両電極間での放電の発生を抑えている。ところが、A相電極とB相電極と絶縁材料とは、何れも絶縁性基体の表面という同一平面上に形成されており、A相電極と絶縁性基体との界面、絶縁材料と絶縁性基体との界面、B相電極と絶縁性基体との界面が連続して繋がった状態にある。A相電極とB相電極とのうち、少なくとも何れか一方に振幅の大きなパルス電圧が印加されると、その連続した界面で電極間の放電が発生して電流のリークを引き起こしてしまうことがある。このようなリークが生じるとA相電極とB相電極との間で電位差が生じなくなり、トナー担持体上でトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなってしまう。
【0039】
そこで、A相電極とB相電極とを、両者間に少なくとも1つの絶縁層を介在させる互いに異なった階層に形成した多層構造のトナー担持体を用いることが考えられる。このトナー担持体においては、円筒状基体の表面の全域に金属層を被覆して、この金属層をA相電極として機能させている。A相電極の表面上には、樹脂からなる絶縁層を積層している。更に、この絶縁層の表面上において、トナー担持体長手方向に長尺であり周方向に所定ピッチで並ぶ複数のB相電極を形成している。A相電極は、筒状の1つの大きな電極であるが、トナー担持体の周方向においては、所定ピッチで並ぶ複数のB相電極の間にそれぞれA相電極が存在することになる。このため、トナー担持体の表面上において、複数のB相電極と、A相電極におけるB相電極間に相当する箇所との間で、トナーをホッピングさせることが可能である。また、筒状の大きなA相電極と、複数のB相電極とを、互いの間に絶縁層を介在させる別々の階層に形成したことで、A相電極とB相電極とを連続した界面で繋げない構造になっている。よって、振幅の比較的大きなパルス電圧を印加してもA相電極とB相電極との間での放電の発生が抑えられ電流のリークが引き起こされるのを抑制することができる。
【0040】
このローラを製造する工法としては、フォトリソグラフィー工法や、スクリーン印刷やグラビア印刷などの有版印刷工法、インクジェット工法などが考えられる。
【0041】
これらの工法は平板に対しては良好な生産性を示すが、ローラに対してはいずれも安定した工法とはいえず、ローラの配線パターンが断線する可能性がある。例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などの有版印刷では、導電性ペーストの転写率の低下によって配線パターン断線しやすい。インクジェット方式においては、原理上インクのドットを連結してパターン形成するために、線幅が不均一になり断線が生じやすい。
【0042】
ここで、図10に示すようにトナー担持ローラ2の片側の軸端部分に設けられた給電部4bからのみ外側電極4aに給電を行う構成の場合、外側電極4aの任意の部分では、給電部4bから供給された電気が流れる経路が1つしかなく、その経路の途中で一箇所でも断線した場合には、給電部4bから見てその断線箇所から先の外側電極4aに電気が流れない部分が発生する。そのため、その電気が流れない部分の外側電極4a近傍のトナー担持ローラ上でトナーをホッピングさせる電界を形成することができなくなる。
【0043】
したがって、工法の改善とともに、ローラの電極構造自身にも、断線しにくい、あるいは、断線しても機能に影響が少ない、つまりロバストな電極が必要になる。
【0044】
[構成例1]
そのため、本構成例においては、図1に示すように、トナー担持ローラ2の給電部4bが設けられた側とは反対側のトナー担持ローラ2の軸端部分に各外側電極4aを繋ぐ導体4cを配設している。これにより、給電部4bから外側電極4aの任意の部分への給電ルートを少なくとも2経路確保できるので、その経路の途中の一箇所で断線が生じたとしても、断線が生じていない他の経路を介して給電部4bから前記外側電極4aの任意の部分に給電が行われるので、前記外側電極4aの任意の部分への給電が途切れるのを抑制することができる。
【0045】
また、トナー担持ローラ2の片側の軸端部分にだけ給電部4bを設けるのではなく、トナー担持ローラ2の両方の軸端部分それぞれに給電部4bを設ける構成であっても、同様の効果を得ることができる。
【0046】
図11は、トナー担持ローラ2の両方の軸端部分に外側電極4aの給電部4bを設けた場合における内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図である。図12は、同給電構成を模式的に示す斜視図である。
【0047】
内側電極3a及び外側電極4aへの給電構成において、内側電極3aは、トナー担持ローラ2のローラ軸と一体化されており、そのローラ軸端面が給電部3bとなる。ローラ軸端面で構成される給電部3bには、パルス電源25Aに接続された第1給電部材としての給電ブラシ7が当接している。一方、トナー担持ローラ2の外周面両端部分には表層6が設けられておらず、トナー担持ローラ2の外周面における外側電極4aの両端部分は露出しており、この露出面が給電部4bとなる。その露出面で構成される給電部4bには、パルス電源25Bに接続された第2給電部材としての給電コロ8が当接している。この給電コロ8は、回転自在に支持されており、トナー担持ローラ2の回転に伴い、給電部4bに当接したまま連れ回り回転する。外側電極4aに外側電圧を印加するための第2給電部材が複数あれば、一部の第2給電部材で接触不良による給電不良が生じても、他の第2給電部材により給電を行うことができるので、安定した給電を行うことが可能となる。
【0048】
また、本複写機のように、トナー担持ローラ2の外周面に外側電極4aの一部分を露出させ、その露出部分を給電部4bとして、これに第2給電部材を当接させて給電する方式を採用する場合、その給電部4bは、トナー担持ローラ2上における現像幅(感光体上において静電潜像が形成され得る領域と対向し得る領域幅)よりも軸方向外側に位置することが望まれる。なぜなら、給電部4bが現像幅内に位置すると、トナー担持ローラ2と給電部4bとの間で押しつぶされたトナーが現像に寄与することになり、その部分で現像不良が発生するからである。より好ましくは、給電部4bは、トナー担持ローラ2上におけるトナー供給幅(トナー供給スリーブ19からトナーが供給される領域幅)よりも軸方向外側に位置することが望まれる。なぜなら、給電部4bがトナー供給幅内に位置すると、トナー担持ローラ2と給電部4bとの間に多量のトナーが介在し、給電不良が起きやすくなるからである。
【0049】
トナー担持ローラ2に対する外側電極4aの配置構成としては、図13(a)に示すような直線状の外側電極4aをトナー担持ローラ2の長手方向にトナー担持ローラ2の軸方向に平行で配置したものであっても良いし、図13(b)に示すような直線状の外側電極4aをトナー担持ローラ2の一端側から他端側に向かってトナー担持ローラ2の表面に巻きつくような螺旋状に配置しても良い。さらに、図13(c)に示すような曲線状(波線状)の外側電極4aをトナー担持ローラ2の長手方向に配置しても良いし、図13(d)に示すような多角形状の外側電極4aをトナー担持ローラ2の長手方向に配置しても良いし、また、曲線状や多角形状の外側電極4aをトナー担持ローラ2の一端側から他端側に向かってトナー担持ローラ2の表面に巻きつくような螺旋状に配置してもよい。
【0050】
図14は外側電極4aと規制ブレード31との関係を表した図である。図14(a)に示すように、規制ブレード31はトナー担持ローラ2に近接して配置されるが、外側電極4aがトナー担持ローラの軸方向に平行な直線状パターンで配設されていると、トナー担持ローラ2の回転に従って、規制ブレード31との対向箇所を通過するトナー担持ローラ2の表面に外側電極4aのある部分とない部分で高低差が生じ、規制ブレード31の近傍では、規制ブレード31とトナー担持ローラ2との間にあるトナーによって、押し付け力が変化し外側電極4aに繰り返し負荷を発生させたり、規制ブレード31に押し上げ力の変動が発生したりする。外側電極4aへの繰り返し負荷が生じると外側電極4aの耐久性が低下し、使用中に外側電極4aが断線する可能性が高くなる。また、規制ブレード31の押上げ力の変動が生じると、トナー担持ローラ2と規制ブレード31との間隔が変動し、規制ブレード31によるトナー担持ローラ2上のトナーの規制量を一定にできなくなり、画像の再現性が劣化する。
【0051】
そのため、図14(b)に示すように、外側電極4aをトナー担持ローラ2の軸方向に平行な直線ではなく、トナー担持ローラ2の一端側から他端側に向かってトナー担持ローラ2の表面に巻きつくような螺旋状に外側電極4aを配置することで、トナー担持ローラ2が回転しても外側電極4aのどこかの部分は常に規制ブレード31と一定の距離関係にあるので、上述したような外側電極4aへの繰り返し負荷や規制ブレード31の押上げ力の変動を最小限に抑えることができる。よって、その分、外側電極4aに断線が生じたり、画像の再現性が劣化したりするのを抑制することができる。
【0052】
[構成例2]
上述したような断線に伴う給電部4bから外側電極4aへの給電不良を抑制するためには、上述したように外側電極4aの任意の部分が給電部4bと複数の経路で電気的に接続されていれば良い。このような複数の経路を確保するためには、隣り合う外側電極4aがトナー担持ローラ軸方向の複数の場所で電気的に接続されていればよい。
【0053】
例えば、隣り合う外側電極4aを直線状の導体4dで接続し、図15(a)に示すような井桁構造の外側電極4aや、図15(b)に示すような間隔をあけた井桁構造の外側電極4aや、図15(c)に示すような千鳥構造の外側電極4aなどにすることで、上述したような断線に伴う給電部4bから外側電極4aへの給電不良を抑制することができる。また、隣り合う外側電極4aが導体4dで接続される接点をトナー担持ローラ2の回転方向と平行に配設すれれば、トナー担持ローラ2の製造時の手間もかからず、比較的安価に断線への耐性を向上させることができる。
【0054】
しかしながら、トナー担持ローラ2の回転方向と平行に前記接点を配置した場合には、トナーと外側電極4aとの関係により、現像時にトナー担持ローラ2の回転方向に筋が出ることがある。このような筋は印字時に画像不良となる虞がある。
【0055】
そこで、隣り合う外側電極4aを曲線状または直線状の導体4dで接続し、前記接点をトナー担持ローラ2の回転方向と平行でない配置にすることによって、上述したような筋の発生を抑制し、画像品質を向上させることができる。例えば、図15(d)に示すように隣り合う外側電極4aを曲線状の導体4dで接続したり、図15(e)に示すように隣り合う外側電極4aをトナー担持ローラ2の回転方向に対して斜めに配設された直線状の導体4dで接続したり、図15(f)に示すように隣り合う外側電極4aを多角形状の直線の導体4dで接続したりすれば、上述したような断線に伴う給電部4bから外側電極4aへの給電不良を抑制することができ、且つ、画像品質を確保できる。
【0056】
また、図16(a)、図16(b)、図16(c)及び図16(d)に示すように、トナー担持ローラ2の一端側から他端側に向かってトナー担持ローラ2の表面に巻きつくような螺旋状で外側電極4aを配設した構成でも、隣り合う外側電極4aを相互に導体4dで接続したり、図16(e)に示すような曲線状(波線状)の外側電極4aや図16(f)に示すような多角形状の外側電極4aの隣り合う外側電極4aを相互に導体4dで接続したりしても良い。
【0057】
また、外側電極4aと、隣り合う外側電極4aを繋ぐ導体4dとをそれぞれ多角形状にした場合には、外側電極4aと、隣り合う外側電極4aを繋ぐ導体4dとによってハニカム形状(図示せず)が形成されるため、上述したような断線に伴う給電部4bから外側電極4aへの給電不良を抑制することができる。
【0058】
また、図15や図16で示したように、隣り合う外側電極4aが導体4dで接続される接点を複数設ける構成を採用することで、トナー担持ローラ2が回転しても外側電極4aのどこかの部分は常に規制ブレード31と一定の距離関係にあるので、上述したような外側電極4aへの繰り返し負荷や規制ブレード31の押上げ力の変動を最小限に抑えることができる。よって、その分、外側電極4aに断線が生じたり、画像の再現性が劣化したりするのを抑制することができる。
【0059】
以上、本実施形態によれば、ローラ部材と、ローラ部材表面に配設された1つ以上の第1の電極である内側電極3aと、ローラ部材表面と内側電極3aとを覆うようにローラ部材上に形成された絶縁層5と、絶縁層5上に配設された複数の第2の電極である外側電極4aと、内側電極3aと電気的に接続され、現像装置227に設けられた第1の電源から給電される第1の給電部である給電部3bと、外側電極4aと電気的に接続され、現像装置227に設けられた第2の電源から給電される第2の給電部である給電部4bと、を備えたトナー担持体であるトナー担持ローラ2において、給電部4bから外側電極4aに電気が流れる経路が2つ以上形成されるように、給電部4bと該外側電極4aとを電気的に接続したことで、1つの経路中で断線が生じても、他の経路を通って給電部4bから外側電極4aに電気を流すことができる。よって、給電部4bから外側電極4aに電気が流れる経路が1つしかない構成よりも、給電部4bから外側電極4aに電気を安定して流すことができ、その分、前記断線によりトナー担持ローラ2上でトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなるのを抑制することができる。また、内側電極3aと外側電極4aとを互いの間に絶縁層5を介在させてローラ部材上に別々の階層で形成したので、内側電極3aと外側電極4aとが連続した界面で繋がっていない構造になる。これにより、内側電極3aと外側電極4aとの間で電流のリークが引き起こされるのを抑制することができる。よって、前記リークが生じて内側電極3aと外側電極4aとの間で電位差が生じなくなり、トナー担持ローラ2上でトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなってしまうことを抑制することできる。
また、本実施形態によれば、上記外側電極4aが、上記ローラ部材の軸方向に長尺な導電性部材であり、前記導電性部材をローラ部材軸方向一端側から他端側に向かって螺旋状、直線状または波線状で配設したことで、トナー担持体の表面全域に規則正しく外側電極4aが配置されるので、安定且つ均一な電界を発生させることができる。
また、本実施形態によれば、上記外側電極4aは、幅がほぼ一定であり、直線形状、曲線形状または多角形状をした線状の導電性部材であることで、トナー担持体の表面全域に規則正しく外側電極4aが配置されるので、安定且つ均一な電界を発生させることができる。
また、本実施形態によれば、隣り合う外側電極4aが互いに直線、曲線または多角形状の導体4dで接続された接点を持ち、隣り合う外側電極4aが電気的に接続されたことで、ある外側電極4aの隣りに位置する他の外側電極4aを介して給電部4bから外側電極4aに電気が流れる経路を形成することができる。
また、本実施形態によれば、上記ローラ部材は軸中心で回転可能なように現像装置227に軸支されるものであり、上記接点は、ローラ部材の回転方向と平行であることで、トナー担持ローラ2の製造時の手間もかからず、比較的安価に断線への耐性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、上記ローラ部材は軸中心で回転可能なように現像装置227に軸支されるものであり、上記接点は、ローラ部材の回転方向と平行でないことで、上述したような筋の発生を抑制し、画像品質を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、給電部4bが、上記ローラ部材の軸方向端部にあることで、上述したように現像不良が生じたり給電不良が生じたりするのを抑制することができる。また、トナー担持ローラ2の軸方向端部を除いた中央部から周辺部で安定した電界を形成することができる。
また、本実施形態によれば、複数の電極を有するトナー担持体と、トナー担持体の表面に少なくともトナーを含む現像剤を供給する現像剤供給手段と、複数の電極にパルス電圧を印加することによって、トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界をトナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、トナー担持体の表面に担持されているトナーを潜像担持体と対向する現像領域へ搬送して潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって潜像を現像する現像装置227において、前記トナー担持体として、本発明のトナー担持ローラ2を用いることで、前記断線によりトナー担持ローラ2上でトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなるのが抑えられ、濃度ムラなどの現像不良が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、潜像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により少なくともトナーを含む現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像手段として、本発明のトナー担持ローラ2を備えた現像装置227を用いることで、前記断線によりトナー担持ローラ2上でトナーをホッピングさせる電界が形成されなくなるのが抑えられ、濃度ムラなどの現像不良が生じるのを抑制することができ、良好な画像形成を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
2 トナー担持ローラ
3a 内側電極
3b 給電部
4a 外側電極
4b 給電部
5 絶縁層
6 表層
7 給電ブラシ
8 給電コロ
11 ケーシング
18 トナー供給ローラ
19 トナー供給スリーブ
24 供給バイアス電源
25A パルス電源
25B パルス電源
31 規制ブレード
202 原稿トレイ
204 給送ベルト
206 コンタクトガラス
208 トレイ
209 トレイ
210 トレイ
211 給紙装置
212 給紙装置
213 給紙装置
214 縦搬送装置
215 感光体
216 搬送ベルト
217 定着装置
218 排紙装置
219 排紙トレイ
227 現像装置
250 読み取り装置
257 書き込み装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開平3−21967号公報
【特許文献2】特開2007−133376公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ部材と、
該ローラ部材に設けられた複数の電極と、
前記電極と電気的に接続され、現像装置に設けられた電源から給電される給電部と、を備えたトナー担持体において、
前記給電部から前記電極に電気が流れる経路が2つ以上形成されるように、該給電部と該電極とを電気的に接続したことを特徴とするトナー担持体。
【請求項2】
請求項1のトナー担持体において、
上記複数の電極は、上記ローラ部材表面に配設された1つ以上の第1の電極と、該ローラ部材表面と該第1の電極とを覆うように該ローラ部材上に形成された絶縁層上に配設された複数の第2の電極とであり、
上記給電部は、前記第1の電極と電気的に接続され現像装置に設けられた第1の電源から給電される第1の給電部と、前記第2の電極と電気的に接続され現像装置に設けられた第2の電源から給電される第2の給電部とであり、
前記第2の給電部から前記第2の電極に電気が流れる経路が2つ以上形成されるように、該第2の給電部と該第2の電極とを電気的に接続したことを特徴とするトナー担持体。
【請求項3】
請求項2のトナー担持体において、
上記第2の電極は、上記ローラ部材の軸方向に長尺な導電性部材であり、該導電性部材をローラ部材軸方向一端側から他端側に向かって螺旋状、直線状または波線状で配設したことを特徴とするトナー担持体。
【請求項4】
請求項2のトナー担持体において、
上記第2の電極は、幅がほぼ一定であり、直線形状、曲線形状または多角形状をした線状の導電性部材であることを特徴とするトナー担持体。
【請求項5】
請求項3または4のトナー担持体において、
隣り合う第2の電極が互いに直線、曲線または多角形状の導体で接続された接点を持ち、隣り合う第2の電極が電気的に接続されたことを特徴とするトナー担持体。
【請求項6】
請求項5のトナー担持体において、
上記ローラ部材は軸中心で回転可能なように現像装置に軸支されるものであり、
上記接点は、前記ローラ部材の回転方向と平行であることを特徴とするトナー担持体。
【請求項7】
請求項5のトナー担持体において、
上記ローラ部材は軸中心で回転可能なように現像装置に軸支されるものであり、
上記接点は、前記ローラ部材の回転方向と平行でないことを特徴とするトナー担持体。
【請求項8】
請求項2、3、4、5、6または7のトナー担持体において、
上記第2の給電部が、上記ローラ部材の軸方向端部にあることを特徴とするトナー担持体。
【請求項9】
複数の電極を有するトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に少なくともトナーを含む現像剤を供給する現像剤供給手段と、
該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、
該トナー担持体の表面に担持されているトナーを潜像担持体と対向する現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、
前記トナー担持体として、請求項1、2、3、4、5、6、7または8のトナー担持体を用いることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
潜像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により少なくともトナーを含む現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記現像手段として、請求項9の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−59394(P2011−59394A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209259(P2009−209259)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】