説明

トナー組成物

【課題】出発原料のばらつきによる影響を最小化し、かつ既存の処理装置及び機械類を利用することが可能な、改良されたトナー製造方法を提供する。
【解決手段】ラテックス樹脂のモノマー成分を所定の安定剤と接触させることによってエマルションを形成し、エマルションの一部を反応器に添加し、反応器内のエマルションを架橋剤と接触させ、任意に開始剤を反応器に添加し、ゲルラテックスを含むシード粒子を反応器内で形成し、ラテックス樹脂を含む追加のモノマーと任意に追加の安定剤とを反応器に添加し、得られる前記ラテックス樹脂を回収するステップを含み、ゲルラテックスは、得られるラテックス樹脂の粒径を低減させるのに十分な量で存在する製法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタル、イメージ・オン・イメージのようなゼログラフィ装置及び同様の装置を含む静電写真装置に適したトナーを提供するのに有用なプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
トナーの調製のために、例えば、樹脂を顔料と共に溶融混練又は押出しし、微粉化及び粉末化してトナー粒子を提供する従来プロセスのような多くのプロセスが公知である。トナーは、エマルション凝集法によって製造することもできる。エマルション凝集(EA)タイプのトナーを調製する方法は当業者の技術範囲内であり、トナーは、着色剤と乳化重合によって形成されるラテックス・ポリマーとを凝集させることによって形成することができる。
【0003】
そこで用いられるラテックスを形成するために使用される材料の品質のばらつき、並びに出発原料内の不純物の存在は、サイズが大きすぎるためにその意図される用途には適さない粒子の形成をもたらすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2,874,063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出発原料のばらつきによる影響を最小化し、かつ既存の処理装置及び機械類を利用することが可能な、改良されたトナー製造方法が依然として望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
トナーの製造方法及びそれにより製造されるトナーが提供される。実施形態において、本開示の方法は、ラテックス樹脂のモノマー成分を次式
【化1】

(I)

の安定剤と接触させることによってエマルションを形成し、ここでR1は水素又はメチル基であり、R2及びR3は約1個から約12個の炭素原子を含むアルキル基及びフェニル基から独立して選択され、nは約0から約20であり、このエマルションの一部を反応器に添加し、反応器内のエマルションを架橋剤と接触させ、任意に開始剤を反応器に添加し、ゲルラテックスを含むシード粒子を反応器内で形成し、ラテックス樹脂を含む追加のモノマーと任意に追加の安定剤とを反応器に添加し、得られたラテックス樹脂を回収するステップを含むことができ、ゲルラテックスは、得られるラテックス樹脂の粒径を低減させるのに十分な量で存在する。
【0007】
他の実施形態において、本開示のプロセスは、ラテックス樹脂のモノマー成分を架橋剤と接触させることによってエマルションを形成し、エマルションに開始剤を添加してゲルラテックスを含むマスターバッチを形成し、マスターバッチの一部を反応器に添加し、ラテックス樹脂の追加モノマー成分及び次式
【化2】

(I)

の安定剤を添加し、ここでR1は水素又はメチル基であり、R2及びR3は約1個から約12個の炭素原子を含むアルキル基及びフェニル基から独立して選択され、nは約0から約20までの数であり、得られたラテックス樹脂を回収するステップを含むことができ、ゲルラテックスは、得られるラテックス樹脂の粒径を低減させるのに十分な量で存在する。
【0008】
さらに他の実施形態において、本開示のプロセスは、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、及びそれらの組合せからなる群から選択されるモノマーをジビニルベンゼン、ドデカンジアクリレート、1,4−ブタンジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、アジドベンゾイルヒドラジド、4−(p−アジドサリチルアミド)ブチルアミン、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される架橋剤及びベータカルボキシエチルアクリレートを含む安定剤と接触させることによってエマルションを形成し、エマルションに開始剤を添加してゲルラテックスを含むマスターバッチを形成し、マスターバッチの一部を反応器に添加し、追加のモノマー及び任意に追加の安定剤を反応器に添加し、得られたラテックス樹脂を回収するステップを含むことができ、ゲルラテックスは、得られるラテックス樹脂の粒径を低減させるのに十分な量で存在する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示に従って製造された樹脂の粒径を対照樹脂と比較して示すグラフである。
【図2】本開示に従って製造された樹脂の分子量を対照樹脂と比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、トナー粒子を製造するために使用することができるラテックス樹脂を調製するために用いられる材料における不純物及び/又はばらつきの存在に起因する問題を回避することができる、トナー粒子の調製のためのプロセスを提供する。実施形態において、本開示のトナー粒子は、シード樹脂の形成の際にゲルラテックスを用いて製造することができ、シード樹脂は、本明細書では実施形態においてシード粒子と呼ばれることもあり、次にこれを用いて所望の物理的特性及びモルホロジーを有するトナー粒子の製造に適したラテックス樹脂を製造することができる。驚くべきことに、ゲルラテックスをシード粒子として使用することによって、樹脂の形成に用いられる他の出発原料に不純物又はばらつきがあり、望ましくない物理的特性及びモルホロジーを有する、すなわち実施形態においては望ましくないほど大きな粒径を有するラテックス樹脂がもたらされかねない場合でさえも、適切な粒径を有するラテックス樹脂を製造することができることが見出された。
【0011】
ここで開示されるトナーは、ラテックス・ポリマーと顔料とを組み合わせることによって調製される。ラテックスは当業者の技術範囲内のいかなる方法によって調製されることもできるが、実施形態において、ラテックスは乳化重合によって調製されることができ、トナーはエマルション凝集トナーを含むことができる。エマルション凝集は、どちらもサブミクロンのラテックスと顔料粒子とを凝集してトナーサイズの粒子にすることを伴い、粒径の成長は、例えばサブミクロンであり、実施形態においては約3ミクロンから約10ミクロンまでである。実施形態において、ラテックス、及び結果として得られるトナーは半連続式重合プロセスによって製造することができ、このプロセスにおいて、先ずシード粒子が形成され、その後、追加モノマー、及びラテックスを形成するために用いられる材料を添加することができる。次に、得られたラテックスを用いて、本開示のトナー粒子を形成することができる。他の実施形態において、バッチ式乳化重合プロセスを用いて、ラテックス、及び結果として得られるトナーを形成することができる。
樹脂
【0012】
ラテックスエマルションを調製するために適したモノマーはどれでも、本プロセスにおいて用いることができる。ラテックスエマルションの形成において、したがってその結果得られるラテックスエマルション内のラテックス粒子の形成において有用な適切なモノマーには、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、それらの組合せ等、並びにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0013】
実施形態において、ラテックスの樹脂は、少なくとも1つのポリマーを含むことができる。実施形態において、少なくとも1つとは、約1から約20とすることができ、実施形態においては約3から約10とすることができる。ポリマーは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又は交互共重合体とすることができる。それに加えて、ビスフェノールAとプロピレンオキシド又はプロピレンカーボネートとの反応から得られるポリエステル樹脂、特に、得られた生成物をその後でフマル酸と反応させて得られるようなポリエステルを含むもの、及びジメチルテレフタレートと1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール及び/又はペンタエリスリトールとの反応から得られる分枝ポリエステル樹脂を用いることもできる。
実施形態において、ポリ(スチレン−コ−ブチルアクリレート)をラテックス樹脂として用いることができる。このラテックスのガラス転移温度は約35℃から約75℃までとすることができ、実施形態においては、約40℃から約65℃とすることができる。
【0014】
実施形態において、ラテックスは、界面活性剤又はコサーファクタント(co−surfactant)を含む水相中で調製することができる。この水相と共に用いることができ、ラテックス分散体を形成させることができる界面活性剤は、固形分に対して約0.01から約15重量パーセントまでの、実施形態においては固形分の固形分に対して約0.1から約10重量パーセントまでのイオン性又は非イオン性界面活性剤とすることができる。
使用することができるアニオン性界面活性剤には、硫酸塩及びスルホン酸塩、二スルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキル硫酸塩及びスルホン酸塩、Aldrichから入手可能なアビエンチン酸のような酸、第一工業製薬株式会社から入手されるNEOGEN R(商品名)、NEOGEN SC(商品名)、それらの混合物等が含まれる。他の適切な界面活性剤には、実施形態において、任意に上記のアニオン性界面活性剤と組み合わされる、Dow Chemical Companyから入手されるアルキルジフェニルオキシドジスルホネートであるDOWFAX(商品名)2A1が含まれる。
特定の界面活性剤又はその組合せの選択、並びに各々の使用量は当業者の技術範囲内である。
【0015】
実施形態において、トナー組成物を製造するのに適したラテックス樹脂を形成するために、ゲルラテックスを用いることができる。「ゲルラテックス」は、実施形態において、例えば、架橋樹脂若しくはポリマー又はそれらの混合物、又は架橋された非架橋樹脂を含むことができる。
【0016】
実施形態において、ジビニル芳香族又はジビニルアクリレート若しくはメタクリレートモノマー、又はジアクリル酸若しくはジメタクリル酸モノマーのような架橋剤を用いて、架橋樹脂を形成することができる。適切な架橋剤には、ジビニルベンゼン、ドデカンジアクリレート、1,4−ブタンジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、アジドベンゾイルヒドラジド、4−(p−アジドサリチルアミド)ブチルアミン(ASBA)、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、それらの組合せ等があるが、それらに限定されない。架橋剤は、架橋樹脂の重量の約0.01パーセントから約25パーセントまで、実施形態においては架橋樹脂の重量の約0.5から約15パーセントまでの量で存在することができる。
【0017】
実施形態において、ゲルラテックスは、上記のような架橋樹脂を非架橋樹脂と組み合わせて含むことができる。
ゲルラテックスは、例えばサブミクロンの架橋樹脂粒子を含むことができ、これは、例えば容量平均直径が約10ナノメートルから約200ナノメートルまでの、実施形態においては容量平均直径が約20ナノメートルから約100ナノメートルまでの大きさを有する。ゲルラテックスは、上記のような界面活性剤を含む水の水相中に懸濁されることができる。界面活性剤は、固形分の重量に対して約0.5から約5パーセント、実施形態においては、固形分の重量に対して約0.7から約2パーセントの量で存在することができる。
架橋樹脂は、上記の樹脂のいずれかを含む架橋ポリマーとすることができる。
【0018】
実施形態において、ゲルラテックス、ラテックス、又はその両方の形成のために、開始剤を添加することができる。
開始剤は、適切な量、例えばモノマーに対して約0.1から約8重量パーセント、実施形態においては、モノマーに対して約0.2から約5重量パーセントで添加することができる。
【0019】
実施形態において、ゲルラテックス、ラテックス、又はその両方の形成の際に、連鎖移動剤を用いることができる。適切な連鎖移動剤には、本開示に従って乳化重合が行われるときにポリマーの分子量特性を制御するための、モノマーの重量の約0.05から約10パーセント、実施形態においてはモノマーの重量の約0.1から約5パーセントの量の、ドデカンチオール、オクタンチオール、四臭化炭素、それらの組合せ等が含まれるが、それらに限定されない。
【0020】
ラテックス・ポリマー中のゲルラテックスの量は、ラテックスを形成するために用いられるその他のモノマーの重量の約0.1%から約20%まで、実施形態においてはラテックスを形成するために用いられるその他のモノマーの重量の約0.5%から約10%までとすることができる。
安定剤
【0021】
実施形態において、ラテックス樹脂を形成するときに安定剤を入れることが有利であり得る。適切な安定剤は、カルボン酸官能基を有するモノマーを含む。実施形態において、適切な安定剤は、次式(I)のものとすることができ、
【化3】

(I)

ここで、R1は水素又はメチル基であり、R2及びR3は約1個から約12個の炭素原子を含むアルキル基及びフェニル基から独立して選択され、nは約0から約20であり、実施形態においては約1から約10である。そのような安定剤の例には、ベータカルボキシエチルアクリレート(ここではポリ(2−カルボキシエチル)アクリレートと呼ばれることもある)(β−CEA)、ポリ(2−カルボキシエチル)アクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、それらの組合せ等が含まれる。
【0022】
実施形態において、カルボン酸官能基を有する安定剤は、より良好な乳化重合の結果を達成するために、ナトリウム、カリウム及び/又はカルシウムのような金属イオンを含むこともできる。金属イオンは、カルボン酸官能基を有する安定剤の重量の約0.001から約10パーセント、実施形態においてはカルボン酸官能基を有する安定剤の重量の約0.5から約5パーセントの量で存在することができる。
【0023】
実施形態において、ラテックスを形成する際にベータ−カルボキシエチルアクリレート(β−CEA)のようなアクリレートを入れることが望ましいことがある。従って、実施形態において、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート−ベータ−カルボキシエチルアクリレート)をラテックスとして用いることができる。このラテックスのガラス転移温度は、約45℃から約65℃まで、実施形態においては約48℃から約62℃までとすることができる。
【0024】
上記の安定剤の使用により起こり得る1つの潜在的な問題点は、安定剤の複数のバッチを形成する際に生じ得るばらつきである。安定剤の品質の一貫性は、それらの材料によって製造されるトナーの粒径を含めた、トナーの製造に影響を与えることがある。例えば、β−CEAは、マイケル付加反応によってアクリル酸から製造することができる。反応温度はβ−CEAのカルボン酸価における重要な因子であり、温度が高いほどカルボン酸基は少なくなるが、ある場合には、同じプロセス時間で、マイケル反応はもっと低い反応速度で、室温で進行することがあり、その結果、カルボン酸基が多くなる。
【0025】
従って、β−CEAの品質は、特にカルボン酸基の数のばらつきに関してバッチ毎に一貫せず、これは一部には異なる処理温度の結果であり得る。例えば、β−CEAがカルボン酸基を多く含むほど、そのような安定剤を用いて製造されるラテックスはより大きな粒径を有することがあり、これが、エマルション凝集プロセスでトナー粒子を形成する妨げとなり得る。従って、低品質のβ−CEAは、低品質収量、広いラテックス粒径分布、短いラテックス貯蔵寿命、反応器の汚れの多さ、及び高い発熱反応に起因する反応温度制御の困難さを含む、ラテックス合成に関する問題を引き起こすことがある。
【0026】
この品質のばらつきに加えて、場合によっては、β−CEAは、望ましくないことがある大きい粒径の、すなわち実施形態においては約300nmを越える、ラテックス粒子をもたらす不純物を有することもある。
シード粒子
【0027】
本開示によれば、驚くべきことに、ラテックスの形成のための半連続式エマルション凝集プロセスの間にインサイチュで(現場で)シード樹脂粒子を形成する際にゲルラテックスを使用することにより、β−CEAのような安定剤及び/又はラテックスを形成するために用いられるその他の材料におけるばらつき又は不純物による問題を最小化及び/又は回避することができ、それゆえ望ましい粒径のラテックスを製造することができることが見いだされた。「シード樹脂」は、本明細書では実施形態において「シード粒子」と呼ばれることもあり、これは、実施形態において、シード粒子をインサイチュで(同じ反応器内で、すなわち、バッチプロセス毎に単一のラテックスを製造するために1つの反応器のみを用いて)形成する場合には、上記のゲルラテックスを任意にβ−CEAのような高品質又は低品質の安定剤と共に含むことができる。
【0028】
本開示によれば、モノマーを反応器内に入れ、架橋剤で架橋させ、適切な開始剤で反応開始させることができ、その結果、約20nmから約100nmの粒径を有するラテックスシード粒子を形成することができる。一旦ゲルラテックス・シード粒子が形成されたら、次に残りのモノマーを時間をかけて添加して、EAプロセスでトナー粒子を作成する際に使用するのに適切であり得る最終的な有効ラテックスサイズまで、すなわち実施形態においては約120nmから約800nmまで、他の実施形態においては約150nmから約500nmまで、シード粒子を成長させる。このようにして製造されるラテックス粒子の分子量は、約20kpseから約100kpseまで、実施形態においては約25kpseから約60kpseまでとすることができる。得られるラテックスの粒子は狭い粒径分布を有することができ、これは幾何学経分布(GSD)と呼ばれることもあり、MicroTrac超微細粒度分布測定装置(Ultra Fine Particle Analyzer)を使用して測定すると、約1.02から約1.2、実施形態においては約1.03から約1.15である。
【0029】
実施形態において、β−CEAのような安定剤はゲルラテックスの形成の最初から添加することができ、又は、実施形態においては、安定剤はゲルラテックスの形成の後で添加することができる。実施形態において、ゲルラテックスと安定剤との混合物を最初に形成し、その後でラテックスを形成するために用いられるモノマーを添加することができる。他の実施形態において、ゲルラテックスを用いて半連続式エマルション凝集プロセスの間にシード粒子を形成することができ、その後で、大きすぎる粒子を製造することが既知のβ−CEAが添加される。
【0030】
乳化重合プロセスにおいて、反応物は、混合容器のような適切な反応器に加えられる。適切な量の少なくとも2つのモノマー、実施形態においては約2から約10のモノマー、架橋剤、界面活性剤(単数又は複数)、本開示の安定剤、場合によっては開始剤、場合によっては連鎖移動剤、等を反応器内で組み合わせることができ、乳化重合プロセスが開始される。実施形態において、ラテックスを形成するために用いられる少なくとも2つのモノマーと安定剤とが反応器に添加され、その後で架橋剤が添加される。次に開始剤が任意に界面活性剤及び連鎖移動剤と共に反応器に添加され、重合が起こってゲルラテックスを形成することができ、このゲルラテックスはここではシード樹脂又はシード粒子とも呼ばれる。追加のモノマー及び安定剤を反応器に添加することができ、そしてラテックス樹脂を回収することができる。乳化重合をもたらすように選択される反応条件には、例えば約45℃から約120℃まで、実施形態においては約60℃から約90℃までの温度が含まれる。
シードマスターバッチ
【0031】
他の実施形態において、上記のゲルラテックスを任意にβ−CEAの様な安定剤と共に含むストックのシードマスターバッチを独立した反応器内で形成することによって、β−CEAにおけるばらつき又は不純物に関する問題を最小化又は回避することができ、望ましい粒径のトナーを製造することができる。「シードマスターバッチ」は、実施形態において、少なくとも2つの独立した反応器合成を含むことができる。第1の合成は、上記のような単一反応器プロセスにおいてインサイチュでシード粒子を作成するプロセスの代わりにシードマスターバッチを作成することを伴う。次にこのシードマスターバッチを、このシードマスターバッチの一部を用いて第2の反応器内で新しいラテックスのバッチを開始することによって多数のラテックスバッチを合成するために、用いることができる。従って、シードマスターバッチを用いると、約20nmから約100nmまでの粒径の粒子を有するゲルラテックスを、大きな、例えば約3000ガロンの反応器の中で作成することができる。シードマスターバッチの利点には、シードマスターバッチから1ガロン、100ガロン、又は1クオートの試料のうちのどれを取ったとしても、シード粒子を形成するために用いられるゲルラテックスのサイズ、分子量及び化学組成が同一であることが含まれる。
【0032】
シードマスターバッチ由来のゲルラテックスの一部を、次に第2の反応器内でラテックス粒子を形成する際のシードとして用いることができる。これらのラテックス粒子は、次に、トナー粒子の作成の際に用いるのに適しているであろう。実施形態において、シードマスターバッチ由来のシードは、ゲルラテックスのみを含むことができ、又はゲルラテックスと、主モノマーの添加の開始から約5分間から約30分間までの間のシードの安定性を高めるためのβ−CEAのような安定剤との両方を含むことができる。
【0033】
実施形態において、シードマスターバッチは、モノマーと架橋剤とを組み合わせてゲルラテックスを形成することによって形成することができる。大きすぎる粒子を形成することが既知のβ−CEAを含む安定剤は、ゲルラテックスの形成の間に、又はその後で添加することができる。
【0034】
一旦シードマスターバッチが形成されたら、次にマスターバッチの一部を用いて、エマルション凝集ラテックス樹脂の更なるバッチにシードを与えることができる。例えば、このマスターバッチの一部を次に反応器に添加し、その後、追加のモノマー及び上記のような安定剤を含む、ラテックス樹脂を形成するために用いられる反応物を添加して、それにより所望のラテックス樹脂を形成することができる。ラテックス樹脂の形成の際に同じシードが用いられるので、これにより、バッチ間でサイズ及びカウント(count)が一貫した粒子を形成することを可能にすることができる。次に、このように製造されたラテックスを用いて、所望のサイズの、実施形態においてはトナー組成物の形成において使用するのに適したサイズのトナー粒子を形成することができる。
【0035】
上記のように、シードマスターバッチは、ゲルラテックスを安定剤と共に又は安定剤なしで含むことができる。ゲルラテックスが安定剤を含む場合、モノマーの添加の間に、ラテックス樹脂を形成するために用いられる残りのモノマーと共にさらに安定剤を添加することは任意である。ゲルラテックスが安定剤を含まない場合、モノマーの添加の間に、ラテックス樹脂を形成するために用いられる残りのモノマーと共に安定剤を添加しなければならない。
【0036】
上記のように、次にマスターバッチの一部を反応器に添加し、その後で任意に添加剤とラテックス樹脂を形成するために用いられる追加のモノマーとを添加して、それにより所望のラテックス樹脂を形成することができる。
【0037】
ゲルラテックスは、主モノマー添加の間に、高度に安定な粒子を提供することができる。従って、シードマスターバッチを形成するゲルラテックスを用いると、不良β−CEAに付随する大きな粒子の形成を制御することができる。
【0038】
シードマスターバッチの形成の際に、反応物は、混合容器のような適切な反応器に添加することができる。適切な量の少なくとも2つのモノマー、実施形態においては約2から約10のモノマー、界面活性剤(単数又は複数)、架橋剤、場合によっては開始剤、場合によっては連鎖移動剤、任意に上記のような安定剤、等を反応器内で組み合わせることができ、乳化重合によるシードマスターバッチの形成が開始される。シードマスターバッチの形成において乳化重合をもたらすように選択される反応条件は、シード樹脂をインサイチュで形成するための反応条件と同様であり、例えば約45℃から約120℃まで、実施形態においては約60℃から約90℃までの温度を含むことができる。
【0039】
上記のようにシードマスターバッチを形成した後、実施形態において、マスターバッチの一部をシードとして、追加モノマー、界面活性剤(単数又は複数)、場合によっては開始剤、場合によっては連鎖移動剤、任意に安定剤、等のような反応物の添加と共に反応器に添加することができる。反応物は反応器内で組み合わされることができ、乳化重合プロセスを開始することができる。乳化重合をもたらすように選択される反応条件には、例えば約45℃から約120℃まで、実施形態においては約60℃から約90℃までの温度が含まれる。
【0040】
ここで開示されるようなゲルラテックスの使用は、その他の場合には大きすぎる粒径を有するラテックス樹脂を製造することが知られているβ−CEAの悪影響を最小化させる。従って、インサイチュでシード粒子を形成するために、又はマスターバッチを形成するためにゲルラテックスを用いることによって、その他の場合には大きすぎる粒径を有するトナーを製造することが知られている安定剤を使用した場合でさえも、トナーの製造のために許容できる粒径、すなわち実施形態においては約80nmから約800nm、他の実施形態においては約170nmから約240nmのラテックス粒子を得ることができる。
【0041】
従って、ゲルラテックスをシード樹脂又はシード粒子として用いることで、不良β−CEAに付随する大きなラテックス樹脂粒子の形成を制御することができ、得られるラテックス樹脂の粒径を低減させるこができる。
【0042】
ラテックス粒子の形成後、ラテックス樹脂粒子を用いてトナーを形成することができる。実施形態において、トナーは本開示のラテックス粒子と着色剤とを、本開示の安定剤、界面活性剤、凝析剤、ワックス、表面添加剤、及び任意にそれらの混合物といった1つ又はそれ以上の添加剤と共に凝集及び融合させることによって調製することができる、エマルション凝集タイプのトナーとすることができる。
着色剤
【0043】
トナーを製造するために、上記のようにして製造されたラテックス粒子を着色剤に添加することができる。実施形態において、着色剤は分散体とすることができる。着色剤分散体は、例えば、容量平均直径が例えば約50から約500nmまで、実施形態においては約100から約400nmまでの粒径を有するサブミクロンの着色剤粒子を含むことができる。着色剤粒子は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物を含む水性の水相内に懸濁させることができる。適切な界面活性剤には、上記の界面活性剤のいずれもが含まれる。実施形態において、界面活性剤はイオン性とすることができ、着色剤の重量の約0.1から約25パーセント、実施形態においては着色剤の重量の約1から約15パーセントの量で分散体中に存在することができる。
【0044】
本開示に従ってトナーを形成するのに有用な着色剤には、顔料、染料、顔料と染料との混合物、顔料混合物、染料混合物等が含まれる。着色剤は、例えば、カーボンブラック、シアン、イエロー、マゼンタ、レッド、オレンジ、ブラウン、グリーン、ブルー、バイオレット、又はそれらの混合物とすることができる。
着色剤が顔料である実施形態において、顔料は、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン又はRHODAMINE B(商品名)タイプ、レッド、グリーン、オレンジ、ブラウン、バイオレット、イエロー、蛍光着色剤等とすることができる。
【0045】
着色剤は、本開示のトナー中に、トナーの重量の約1から約25パーセントの量で、実施形態においてはトナーの重量の約2から約15重量パーセントの量で存在することができる。
【0046】
得られた、任意に分散体の形態とされるラテックスと、着色剤分散体とを撹拌し、約35℃から約70℃まで、実施形態においては約40℃から約65℃までの温度に加熱して、容量平均直径が約2ミクロンから約10ミクロンまで、実施形態においては容量平均直径が約5ミクロンから約8ミクロンまでのトナー凝集体を得ることができる。
ワックス
【0047】
本開示のトナーを製造するために、ワックス分散体を上記のラテックス樹脂に添加することができる。本開示の実施形態によるワックス分散体は、例えば、天然植物性ワックス、天然動物性ワックス、ミネラルワックス、及び/又は合成ワックスを含むことができる。
凝析剤(coagulant)
【0048】
実施形態において、凝析剤を、ラテックスと水性着色剤分散体との凝集の間に又はその前に添加することができる。凝析剤は、処理条件に応じて、約1分間から約60分間まで、実施形態においては約1.25分間から約20分間までの時間にわたって添加することができる。
凝集剤(aggregating agent)
【0049】
複合体形成を引き起こすことができるどのような凝集剤も、本開示のトナーの形成において用いることができる。アルカリ土類塩又は遷移金属塩のどちらも凝集剤として用いることができる。
pH調整剤
【0050】
幾つかの実施形態において、エマルション凝集プロセスの速度を制御するために、pH調整剤をラテックス、着色剤、及び任意に添加剤に添加することができる。本開示のプロセスにおいて用いられるpH調整剤は、生成される生成物に悪影響を与えないいかなる酸又は塩基であってもよい。適切な塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、及び任意にそれらの組合せのような、金属水酸化物を含むことができる。適切な酸は、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸、酢酸、及び任意にそれらの組合せを含む。
添加剤
【0051】
トナーは、有効量、例えばトナーに対して約0.1から約10重量パーセント、実施形態においてはトナーに対して約0.5から約7重量パーセントの帯電添加剤(charge additive)を含むこともできる。
【0052】
一旦、トナー粒子が適切な最終粒径に到達したら、混合物のpHを約3.5から約7まで、実施形態においては約4から約6.5の値まで塩基で調節することができる。塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムなどの例えばアルカリ金属水酸化物のような、どのような塩基も含むことができる。アルカリ金属水酸化物は、混合物の重量の約0.1から約30パーセントまで、実施形態においては混合物の重量の約0.5から約15重量パーセントの量で添加することができる。
【0053】
次に、得られた、任意に分散体の形態とされるラテックスと、安定剤と、任意のワックスと、着色剤分散体と、任意の凝析剤と、任意の凝集剤とのブレンドを撹拌し、ラテックスのTg未満の温度、すなわち実施形態においては約30℃から約70℃まで、実施形態においては約40℃から約65℃まで、約0.2時間から約6時間にわたって、実施形態においては約0.3時間から約5時間までの時間にわたって加熱して、凝集粒子を形成することができる。
【0054】
実施形態において、次に、任意にシェルを凝集粒子上に形成することができる。ラテックスを形成するための上記のラテックスのいずれも、シェル・ラテックスを形成するために用いることができる。実施形態において、シェル・ラテックスを形成するためにスチレン−n−ブチルアクリレート共重合体を用いることができる。実施形態において、シェルを形成するために用いられるラテックスは約35℃から約75℃までの、実施形態においては約40℃から約70℃までのガラス転移温度を有することができる。
【0055】
用いられる場合、シェル・ラテックスは、浸漬、噴霧等を含む当業者の技術範囲内のいずれかの方法によって施すことができる。シェル・ラテックスは、トナー粒子の所望の最終粒径、すなわち実施形態においては約2ミクロンから約10ミクロンまで、他の実施形態においては約4ミクロンから約8ミクロンまでの粒径に達するまで施すことができる。
【0056】
ラテックス、着色剤、任意のワックス、及びいずれかの添加剤の混合物は、その後、合体される。合体は、撹拌すること、及び約80℃から約99℃までの温度で約0.5から約12時間まで、実施形態においては約1から約6時間までの時間にわたって加熱することを含むことができる。合体は、さらに撹拌することによって促進することができる。
【0057】
実施形態において、次に、トナー凝集体をさらに合体させるために、混合物のpHを、例えば酸によって、約3.5から約6まで、実施形態においては約3.7から約5.5まで下げることができる。適切な酸には、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸及び/又は酢酸が含まれる。添加される酸の量は、混合物の重量の約0.1から約30重量パーセント、実施形態においては混合物の重量の約1から約20重量パーセントとすることができる。
【0058】
混合物を冷却し、洗浄し、乾燥させることができる。冷却は、約20℃から約40℃まで、実施形態においては約22℃から約30℃までの温度で、約1時間から約8時間まで、実施形態においては約1.5時間から約5時間までの時間にわたって行うことができる。
【0059】
実施形態において、合体されたトナースラリーの冷却は、例えば氷、ドライアイス等のような冷却媒体を添加することによってクエンチして、約20℃から約40℃まで、実施形態においては約22℃から約30℃までの温度に急速冷却することを含むことができる。クエンチは、例えば約2リットル未満、実施形態においては約0.1リットルから約1.5リットルまでのような少量のトナーに対しては実行可能であり得る。例えば規模が約10リットルを越えるような大規模プロセスについては、冷却媒体をトナー混合物中に導入するにしても又はジャケット付反応器冷却を使用するとしても、いずれにしても実行可能でも現実的でもない。
【0060】
次に、トナースラリーを洗浄することができる。洗浄は、約7から約12までのpH、実施形態においては約9から約11までのpHで行うことができる。洗浄は、約30℃から約70℃まで、実施形態においては約40℃から約67℃までの温度で行うことができる。洗浄は、濾過と、トナー粒子を含む濾過ケークを脱イオン水中で再スラリー化することを含むことができる。濾過ケークは、脱イオン水で1回又はそれ以上の回数洗浄することができ、又はスラリーのpHを酸で調節してpH約4で脱イオン水で1回洗浄し、その後、任意に脱イオン水で1回又はそれ以上の回数洗浄することができる。
【0061】
乾燥は、約35℃から約75℃まで、実施形態においては約45℃から約60℃までの温度で行うことができる。乾燥は、粒子の水分レベルが約1重量パーセント、実施形態においては約0.7重量パーセント未満の設定目標を下回るまで続けることができる。
【0062】
本開示のトナーは、約3.5から約10ミクロンまで、実施形態においては約4.5から約8.5ミクロンまでの粒径を有する粒子を持つことができる。得られるトナー粒子は、約0.9から約0.99まで、実施形態においては約0.94から約0.98までの真円度を有することができる。球状のトナー粒子がこの範囲内の真円度を有する場合、像保持部材の表面上に残る球状トナー粒子は像保持部材の接触部分と接触チャージャとの間を通過し、変形されるトナーの量は少なく、従ってトナー膜形成の発生を防ぐことができ、その結果、欠陥のない安定な像品質を長期間にわたって得ることができる。
使用
【0063】
本開示によるトナーは、プリンタ、複写機等を含む種々の像形成デバイスにおいて用いることができる。本開示に従って製造されるトナーは、約90パーセントを上回るトナー転写効率で稼働することができる、例えばクリーナを持たないコンパクト機の設計に伴うプロセス、又は優れた解像度、許容できる信号対雑音比、及び画像の均一性を有する高品質カラー画像を提供するように設計されたプロセスのような、像形成プロセス用、特にゼログラフィ・プロセス用として優れている。さらに、本開示のトナーは、デジタル像形成システム及びプロセスのような電子写真像形成及び印刷プロセス用として選択することができる。
【0064】
像形成プロセスは、電子印刷装置内で像を形成し、その後で本開示のトナー組成物で像を現像することを含む。静電的手段によって光導電性材料の表面上で像を形成及び現像することは、当業者の技術範囲内である。基本的なゼログラフィ・プロセスは、光導電性絶縁層上に均一な静電荷を配置し、その層を光と影の像で露光して、光で露光された層の領域上の電荷を散逸させ、その結果得られる静電潜像を、当該分野で「トナー」と呼ばれる微細物質を像の上に堆積させることによって現像することを伴う。トナーは通常、層の放電された領域に誘引されるので、静電潜像に対応するトナー像が形成される。次に、この粉末の像を、紙のような支持表面に転写することができる。転写された像を、その後、熱によって支持表面上に永続的に定着させることができる。
【0065】
現像剤組成物は、本開示の実施形態で得られるトナーを鋼鉄、フェライト等のような、被覆された担体を含む公知の担体粒子と混合することによって調製することができる。そのような現像剤のトナー対担体の質量比は、現像剤組成物に対して約2から約20パーセント、実施形態においては約2.5から約5パーセントである。担体粒子は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなポリマーコーティングがその上を覆い、その中に導電性カーボンブラックのような導電性成分が分散された、コアを含むことができる。担体のコーティングは、メチルシルセスキオキサンのようなシリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデンのようなフルオロポリマー、ポリフッ化ビニリデンとアクリルのように摩擦電気系列表中で近接していない樹脂の混合物、アクリルのような熱硬化性樹脂、それらの混合物及び他の公知の成分を含む。
【0066】
現像は、放電領域現像を通じて行われることができる。放電領域現像において、受光体は帯電され、次に、現像されるべき領域が放電される。現像フィールドとトナーの電荷は、トナーの電荷が受光体上の帯電領域によって反発され、放電領域に誘引されるようになっている。この現像プロセスは、レーザスキャナにおいて用いられる。
【0067】
現像は特許文献1に開示されている磁気ブラシ現像プロセスによって達成されることもできる。この方法は、本開示のトナーと磁性担体粒子を含む現像剤材料を磁石によって担持することを伴う。磁石の磁場は、磁性担体をブラシ状の形状で配列させ、この「磁気ブラシ」が受光体の静電潜像を帯びた表面と接触することになる。トナー粒子は、受光体の放電領域への静電引力によってブラシから静電像へと引きつけられ、その結果、像が現像される。実施形態において、導電性磁気ブラシプロセスは、現像剤が導電性担体粒子を含み、バイアスをかけられた磁石から担体粒子を通して受光体までの間に電流を導通することができる場合に用いられる。
像形成
【0068】
ここで開示されるトナーを用いて、像形成法を想定することもできる。像形成プロセスは、電子印刷磁性像特性認識装置内で像を形成し、その後、本開示のトナー組成物によって像を現像することを含む。静電的手段によって光導電性材料の表面上で像を形成及び現像することは、当業者の技術範囲内である。基本的なゼログラフィ・プロセスは、光導電性絶縁層上に均一な静電荷を配置し、その層を光と影の像で露光して、光で露光された層の領域上の電荷を散逸させ、その結果得られた静電潜像を、像の上に微細物質、例えばトナーを堆積させることによって現像することを伴う。トナーは通常、層の電荷を保持している領域に誘引されるので、静電潜像に対応するトナー像が形成される。次に、この粉末像を、紙のような支持表面に転写することができる。転写された像を、その後、熱によって支持表面上に永続的に定着させることができる。光導電層を均一に帯電させ、次に層を光と影の像で露光して潜像を形成する代わりに、層を像の形状に直接帯電させて潜像を形成することができる。その後、粉末像を光導電層に定着させ、粉末像の転写を排除することができる。溶媒又はオーバーコート処理のような他の適切な定着手段で、上記の熱定着ステップを置き換えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラテックス樹脂のモノマー成分を次式
【化1】

(I)

の安定剤と接触させることによってエマルションを形成し、ここでR1は水素又はメチル基であり、R2及びR3は約1個から約12個の炭素原子を含むアルキル基及びフェニル基から独立して選択され、nは約0から約20であり、
前記エマルションの一部を反応器に添加し、
前記反応器内の前記エマルションを架橋剤と接触させ、
任意に開始剤を前記反応器に添加し、
ゲルラテックスを含むシード粒子を前記反応器内で形成し、
前記ラテックス樹脂を含む追加のモノマーと任意に追加の安定剤とを前記反応器に添加し、
得られる前記ラテックス樹脂を回収するステップを含み、
前記ゲルラテックスは、前記得られるラテックス樹脂の粒径を低減させるのに十分な量で存在することを特徴とする製法。
【請求項2】
ラテックス樹脂のモノマー成分を架橋剤と接触させることによってエマルションを形成し、
前記エマルションに開始剤を添加して、ゲルラテックスを含むマスターバッチを形成し、
前記マスターバッチの一部を反応器に添加し、
前記ラテックス樹脂の追加のモノマー成分及び次式
【化2】

(I)

の安定剤を添加し、ここでR1は水素又はメチル基であり、R2及びR3は約1個から訳12個の炭素原子を含むアルキル基及びフェニル基から独立して選択され、nは約0から約20までの数であり、
得られたラテックス樹脂を回収するステップを含み、
前記ゲルラテックスは、前記得られるラテックス樹脂の粒径を低減させるのに十分な量で存在することを特徴とする製法。
【請求項3】
スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、及びそれらの組合せからなる群から選択されるモノマーをジビニルベンゼン、ドデカンジアクリレート、1,4−ブタンジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、アジドベンゾイルヒドラジド、4−(p−アジドサリチルアミド)ブチルアミン、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される架橋剤及びベータカルボキシエチルアクリレートを含む安定剤と接触させることによってエマルションを形成し、
前記エマルションに開始剤を添加して、ゲルラテックスを含むマスターバッチを形成し、
前記マスターバッチの一部を反応器に添加し、
追加のモノマー及び任意に追加の安定剤を前記反応器に添加し、
得られたラテックス樹脂を回収するステップを含み、
前記ゲルラテックスは、前記得られるラテックス樹脂の粒径を低減させるのに十分な量で存在することを特徴とする製法。
【請求項4】
前記ラテックス樹脂を着色剤分散体及び任意のワックス分散体と接触させて、容量平均直径が約3.5ミクロンから約10ミクロンまで、真円度が約0.9から約0.99までのトナー粒子を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の製法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−263667(P2009−263667A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97811(P2009−97811)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】