説明

トマトベースソースの製造方法及び電子レンジ用容器詰調味液

【課題】調味液に生トマトを加えて電子レンジで加熱調理するトマトベースソースの製造方法であって、トマトの固形感を有するトマトベースソースが得られるトマトベースソースの製造方法を提供する。また、前記トマトソースの製造方法に使用する電子レンジ用容器詰調味液を提供する。
【解決手段】柑橘果汁及び食用油脂を配合した調味液に、皮付きの生トマトを加えて電子レンジで加熱調理するトマトベースソースの製造方法。前記トマトベースソースの製造方法に使用する電子レンジ用容器詰調味液であって、柑橘果汁及び食用油脂を配合してある電子レンジ用容器詰調味液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味液に生トマトを加えて電子レンジで加熱調理するトマトベースソースの製造方法であって、より詳しくは、トマトの固形感を有するトマトベースソースが得られるトマトベースソースの製造方法及び当該トマトベースソースの製造方法に使用する電子レンジ用容器詰調味液に関する。
【背景技術】
【0002】
ポモドーロソース、サルサソース、ミートソース等のトマトベースソースは、生トマトの皮を湯剥きした後、荒く砕いて配合しトマトの青臭さが無くなるまで鍋等で長時間煮込み調理することにより作られる。このトマトベースソースを、家庭で作る場合、鍋等で長時間加熱調理する際に鍋から離れられず手間がかかることから、加工工場で大量生産されたレトルト品、あるいは冷凍品等の容器入りの製品が広く利用されている。これら従来の容器入りトマトソースは、開封して温めるだけで喫食可能となるため非常に便利ではあるものの、加熱殺菌によりトマトのフレッシュな風味が失われ、トマトの固形感もなく、作りたての美味しさや手作り感には欠けるものであった。
【0003】
このような中、温めるだけでなく、自分で一手間加えてから電子レンジで加熱調理することにより、手作り感がありながらも短時間で喫食可能となる食品が提案されており、PCT/JP2008/060030号公報(特許文献1)には、液状食品がパウチに充填されており、そこに固形具材を投入し、電子レンジで加熱調理することにより加熱料理が得られるパウチ詰め液状食品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】PCT/JP2008/060030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、手作り感を損なわない範囲で、家庭で簡便にトマトベースソースを製造する方法として、食塩等で下味を付けた調味液に生トマトのカット品を加えて電子レンジで加熱調理することによりトマトベースソースを製造することを試みた。その結果、加熱殺菌された従来の容器入りのトマトベースソースに比べてフレッシュなトマト風味を有したソースとなったものの、トマトの青臭さがなくなるまで電子レンジ加熱を行った場合、トマトが煮崩れて固形感が失われてしまい手作り感のあるトマトベースソースが得られなかった。このように煮崩れてトマトの固形感がなくなってしまう原因としては、電子レンジ加熱では短時間に強い熱がかかり、しかも、水分が多く柔らかいトマトが直接電子レンジで加熱されるためであると考えられた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、調味液に生トマトを加えて電子レンジで加熱調理するトマトベースソースの製造方法であって、トマトの固形感を有するトマトベースソースが得られるトマトベースソースの製造方法を提供するものである。また、当該トマトソースの製造方法に使用する容器入り調味液を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく使用原料等、様々な諸条件について鋭意研究を重ねた結果、生トマトを皮付きのまま用い、更に、生トマトを加えて煮込む調味液に特定の原料を配合するならば、電子レンジにより加熱調理しても、意外にもトマトの煮崩れが防止され、トマトの固形感を有するトマトベースソースが得られることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)柑橘果汁及び食用油脂を配合した調味液に、皮付きの生トマトを加えて電子レンジで加熱調理するトマトベースソースの製造方法、
(2)皮付きの生トマトの長径が2〜10cmである(1)記載のトマトベースソースの製造方法、
(3)調味液及び加えた生トマトの合計300gあたり、600W×2分相当以上、600W×10分相当以下の条件で電子レンジで加熱調理する(1)又は(2)に記載のトマトベースソースの製造方法、
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載のトマトベースソースの製造方法に使用する電子レンジ用容器詰調味液であって、柑橘果汁及び食用油脂を配合した調味液が容器に充填されてなり、容器内に皮付きの生トマトを投入し、電子レンジで加熱調理することによりトマトベースソースを得られるようにする電子レンジ用容器詰調味液、
(5)容器が皮付きの生トマトの投入口となるジッパー部と電子レンジによる加熱調理時に蒸気を排出する蒸気抜き機構とを有したパウチである(4)記載の電子レンジ用容器詰調味液、
(6)容器へ投入する皮付き生トマトの大きさ及び量、並びに電子レンジ加熱条件についての説明表示を備えている(4)又は(5)に記載の電子レンジ用容器詰調味液、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトマトベースソースの製造方法によれば、トマトのフレッシュな美味しさを有し、しかも、トマトの固形感があり手作り感のあるトマトベースソースを電子レンジ加熱を利用して簡便に得ることができる。更に、本発明の電子レンジ用容器詰調味液を使用すれば、皮付きの生トマトを加えて電子レンジ加熱するだけで簡便にトマトベースソースを得ることができる。したがって、本発明によれば、簡便で安全性の高い電子レンジを利用した電子レンジ調理方法の普及拡大に貢献できる。また、このような電子レンジ調理に使用する調理ソースの需要拡大に貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のトマトベースソースの製造方法及び電子レンジ用容器詰調味液を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0011】
本発明のトマトベースソースとは、トマトが配合されたトマト風味のソースをいい、具体的には、例えば、ポモドーロソース、サルサソース、アラビアータソース、ミートソース等が挙げられる。
【0012】
本発明のトマトベースソースの製造方法においては、まず、生トマトを用意する。本発明に用いる生トマトは特に限定するものではなく、例えば、一般的に食される生食用のトマトの他、調理用トマトやミニトマト等が挙げられる。ここで、本発明においては、生トマトを皮つきのまま用いることに特徴を有する。一般的にトマトベースソースに生トマトを配合するときは、皮を湯剥きして用いるのに対し、本発明においては、皮付きのまま後述する調味液に加えて電子レンジ加熱することにより、トマトの煮崩れが防止されてトマトの固形感を有したトマトベースソースが得られる。なお、従来トマトベースソースを作る際にトマトの皮を湯剥きして用いるのはトマトの皮により口当たりが悪くなることを防止するためであるが、本発明においては、皮付き生トマトが電子レンジにより直接加熱されるためか、皮により口当たりが損なわれ難い傾向がある。
【0013】
前記皮付きの生トマトとしては、ホールのものでもカットしたものでもよいが、より固形感あるベースソースが得られ易いことから、トマトの大きさは長径が2cm以上であることが好ましく、3cm以上であることがより好ましい。一方、皮付き生トマトの大きさが大きすぎると煮込み調理に時間がかかることから、長径が10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましい。更に、前記大きさの範囲内であることに加えて、より煮崩れ防止効果が高い点から、ホールトマト、特にホールのミニトマト、あるいは、ホールトマトのハーフカットを用いると特に固形感のあるトマトベースソースが得られ大変好ましい。
【0014】
次に、前記皮付きの生トマトを加える本発明の調味液を用意する。本発明の調味液は、柑橘果汁及び食用油脂を配合していることを特徴とする。本発明の調味液は、このように柑橘果汁及び食用油脂の両方が配合してあることにより、皮付きの生トマトを加えて電子レンジ調理した際にトマトの皮が剥け難くなり、その結果、トマトの煮崩れが防止されてトマトの固形感を有したトマトベースソースが得られる。後述の試験例に示すように、調味液に柑橘果汁及び食用油脂の両方を配合した場合に限り、電子レンジ加熱時にトマトの皮が剥け難くなる効果が得られることから、本発明においては、柑橘果汁と食用油脂が相乗的に作用しているものと推察される。
【0015】
本発明に配合する前記柑橘果汁は、レモン、すだち、かぼす、シークワーサー、ユズ、ライムなどを常法により搾汁した搾汁液そのもののほか、濃縮果汁液並びにこれらの希釈果汁液であってもよい。これらの柑橘果汁のうち、レモン果汁を用いるとよりトマトの美味しさが引き立つため好ましい。
【0016】
前記柑橘果汁の配合量は、製品に対し生換算で好ましくは0.1〜5%、より好ましくは0.5〜3%であるとよい。柑橘果汁が前記範囲より少ない配合量であると、電子レンジ加熱時に、トマトの皮を剥け難くする効果が得られ難く、トマトの固形感が失われやすくなり、一方、前記範囲より多い配合量であると、味のバランスが悪くなる傾向がある。
【0017】
本発明に配合する前記食用油脂としては、食用に供される油脂であればいずれのもので良い。具体的には、例えば菜種油、大豆油、オリーブ油、紅花油、コーン油、サフラワー油、綿実油、ヒマワリ油、これらを精製したサラダ油等の植物油脂や、パーム油、魚油、卵黄油、バター、牛脂、豚脂等の動物油脂、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂等が挙げられる。
【0018】
前記食用油脂の配合量は、製品に対し好ましくは10〜30%、より好ましくは15〜25%であるとよい。食用油脂が前記範囲より少ない配合量であると、トマトの皮を剥け難くする効果が得られ難く、トマトの固形感が失われやすくなり、一方、前記範囲より多い配合量であると得られたソースの口当たりが悪くなるためである。
【0019】
また、本発明の前記調味液には、トマト加工品を予め配合してあると皮付きの生トマトに由来するフレッシュなトマト風味に加えてトマトのコクや旨みを充分に有したトマトベースソースが得られ好ましい。トマト加工品としては、トマトを加工したものであれば特に限定するものではなく、例えば、トマト加工品の日本農林規格(平成16年10月29日農水告1968号)に記載されているトマトジュース、トマトピューレ、トマトペースト、トマトケチャップ、トマトソース、濃縮トマトなどが挙げられる。
【0020】
本発明の前記調味液の粘度としては、皮付き生トマトを加えて電子レンジで加熱する際に、皮付きトマトの青臭さがなくなるまで充分に煮込みことができるように、粘度が好ましくは4Pa・s以下、より好ましくは3Pa・s以下であることが好ましい。一方、粘度が低すぎても加えた皮付き生トマトと調味液が一体感のあるなめらか状態となり難いことから、調味液の粘度は好ましくは0.1Pa・s以上である。調味液の粘度は、常法により澱粉等の増粘剤を配合して調整することができる。なお、本発明における調味液の粘度の測定は、当該ソースをBH形粘度計で、品温60℃、回転数20rpmの条件で、粘度が0.375Pa・s未満のときローターNo.1、0.375Pa・s以上1.5Pa・s未満のときローターNo.2、1.5Pa・s以上3.75Pa・s未満のときローターNo.3、3.75Pa・s以上7.5Pa・s未満のときローターNo.4、7.5Pa・s以上のときローターNo.5を使用し、測定開始後ローターが3回転した時の示度により求めた値である。なお、調味液に具材が含まれる場合は、調味液を10メッシュの網目に通して具材を取り除いたものを測定する。
【0021】
なお、本発明の前記調味液には、柑橘果汁、食用油脂、トマト加工品及び澱粉等の他に、例えば、玉葱、ニンニク、ネギ等の野菜、牛肉、豚肉、鶏肉等の肉類、アサリ、エビ、イカ等の魚介類、胡椒、ローリエ、バジル、タイム、オレガノ、セージ等のスパイス、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、小麦粉、加工澱粉、キサンタンガム、ペクチン、ゼラチン等の増粘剤、野菜エキス、肉エキス等の動植物エキス、着色料、保存料等の原料を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。
【0022】
上述した本発明の調味液は、柑橘果汁及び食用油脂、更に必要に応じてトマト加工品、種々の調味料等を配合する他は、常法に準じて、原料を混合することにより製造することができる。
【0023】
続いて、上述した本発明の調味液及び皮付き生トマトを電子レンジ調理が可能な容器に入れる。調味液と皮付き生トマトの配合割合は料理によるが、調味液100部に対して生トマトを10部〜200部程度とすればよい。容器としては、例えば、電子レンジ加熱耐性を備えた耐熱性樹脂製のパウチや、カップ状又は深皿状等に成形した施蓋可能な容器、あるいは、陶器製の皿等を用いることができる。
【0024】
前記調味液及び皮付き生トマトを入れた容器は、容器ごと電子レンジに入れて電子レンジ加熱調理を行う。電子レンジ加熱調理は、加えた生トマトの青臭さを充分に取り除き、また、トマトの好ましいテクスチャーや旨みを加熱により引き出す点から少なくとも調味液が沸騰して煮込み調理がされる加熱条件、具体的には、調味液と加えた生トマトの合計300gあたり、好ましくは出力600W×2分相当以上の加熱をすることが好ましい。一方、加熱条件の上限としては、あまり加熱時間が長すぎても生トマトのフレッシュな風味が損なわれれるとともにトマトの固形感が損なわれ易いことから、調味液と加えた生トマトの合計300gあたり、好ましくは出力600W×10分相当以下の加熱条件で加熱することが好ましい。ここで、上述した600W×2分相当とは、出力300Wであれば4分、出力400Wであれば3分、出力800Wであれば1.5分というように、出力ワット数と時間との積の値が同じになるように換算して計算した条件以上の電子レンジ加熱を行うことである。また、調味液と加えた生トマトの合計が例えば600gであれば、出力ワット数と時間との積の値が300gの場合の2倍となるように電子レンジ加熱を行う。
【0025】
以上の電子レンジ加熱調理により得られたトマトベースソースは、トマトの青臭さがなく、フレッシュなトマトの風味を有し、しかも、トマトの固形感を有した手作り感のある大変好ましいものとなる。
【0026】
次に、上述したトマトベースソースの製造方法に使用する本発明の電子レンジ用容器詰調味液について説明する。本発明の電子レンジ用容器詰調味液は、柑橘果汁及び食用油脂を配合した調味液が容器に充填され、容器内に皮付きの生トマトを投入し、電子レンジで加熱調理することによりトマトベースソースを得られるようにしたものである。前記本発明の電子レンジ用容器詰調味液によれば、柑橘果汁及び食用油脂を配合した調味液が容器詰めしてあることにより、保管が可能となり、必要なときに皮付きの生トマトを容器内に投入して電子レンジ調理するだけで簡便にトマトベースソースを製造することができる。
【0027】
この電子レンジ用容器詰調味液に使用する容器としては、レンジ調理が可能な種々の容器を用いることができる。このような容器としては、例えば、耐熱性樹脂性の成形容器の他、底面にマチをもたせたスタンディングパウチ、底面及び側面にマチをもたせたガゼット袋、四方シール袋などが挙げられる。また、これら容器としては、皮付き生トマトを容器内に投入した後電子レンジ調理する前に当該容器を再封するためのジッパー部や、電子レンジ加熱調理時に蒸気を容器外に排出する蒸気抜き機構を備えていることが好ましい。蒸気抜き機構としては、従来より電子レンジ対応包装袋で使用されているものであればよい。また、蒸気抜き機構としては、ジッパー部が電子レンジ加熱時にパウチが膨張する際の圧力で部分的に開口するようにジッパー部の嵌合を調整したものであってもよい。
【0028】
更に、前記容器には、電子レンジ加熱調理する際に加えるトマトの好ましい切り方、大きさ、投入量、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間などの説明表示を備えることが好ましい。特に、説明表示の具体的な内容として、トマトの投入量、大きさ、電子レンジ加熱のワット数と時間については、これらが電子レンジ加熱後のトマトベースソースの出来の善し悪しに大きく影響するため、できるだけ表示することが望まれる。このような説明表示は、容器の表面に印刷することにより形成してもよく、容器の梱包箱等の外装材に印刷することにより形成してもよく、容器とは別個の紙片に印刷し、その紙片を容器に添付するようにしてもよい。
【0029】
このような電子レンジ用容器詰調味液は、例えば、上述した調味液を前記容器に容器詰めし、必要に応じて中心部分の品温が120℃で4分相当以上のレトルト処理や、凍結処理をすることにより製造できる。特にレトルト処理をしたレトルト品であると、長期保存できて好ましい。
【0030】
続いて、本発明の電子レンジ用容器詰調味液を使用してトマトベースソースを製造する方法を説明する。
【0031】
まず、電子レンジ用容器詰調味液に付された説明表示の内容に沿ってトマトの計量及び必要に応じカットを行った後、電子レンジ用容器詰調味液を開封し、そこからトマトを投入してジッパーにより再封する。
【0032】
次に、蒸気抜き機構から内容物がこぼれ難いように蒸気抜き機構が上部にくるように容器を電子レンジに入れ、上述した所定のワット数と時間で電子レンジ加熱調理を行う。電子レンジ加熱時には、電子レンジ加熱調理により直接的に調味液とトマトが加熱されるのに加え、ジッパー部により容器が閉じられていることから、発生した蒸気によっても調味液とトマトとがいわゆる蒸らし効果により加熱される。発生した蒸気は、蒸気抜き機構から排出されるため、容器の破裂は防止される。
【0033】
加熱調理後は、容器を開口し得られたトマトベースソースを皿等に盛り付ければよい。以上のようにして得られたトマトベースソースは、トマトの青臭さがなく、フレッシュなトマトの風味を有し、しかも、トマトの固形感を有した手作り感のあるものとなる。
【0034】
以下、本発明について、実施例、比較例、並びに試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0035】
[実施例1]
【0036】
(1)生トマト
へたをとった皮付きの生ミニトマト(長径3cm)150gを用意した。
【0037】
(2)電子レンジ用容器詰調味液
下記配合割合の原料を用意した。まず、ニーダーに菜種油、ニンニクを投入し炒めた。次に、タマネギ、トマトペースト、白ワイン、食塩、砂糖、レモン果汁、加工澱粉、清水を投入し撹拌混合しながら品温90℃になるまで加熱して電子レンジ用調味液を得た。
【0038】
(3)電子レンジ用容器詰調味液
次に、得られた電子レンジ用調味液140gをジッパー付きスタンドパウチ(電子レンジ加熱時にパウチが膨張する際の圧力で部分的に開口するようにジッパー部の嵌合を調整した蒸気抜き機構を有するもの、パウチサイズ:縦220mm×横140mm×折込(マチ)40mm、材質:(パウチ)ポリエステル/ポリアミド/無延伸ポリプロピレン、(ジッパー部)ポリプロピレン、最大密封充填可能容量:820mL)に充填密封後、レトルト処理(115℃、15分間)し、パウチ内に調味液(140g)が充填されている電子レンジ用容器詰調味液を得た。得られた調味液の粘度は1.8Pa・sであった。更に、得られた電子レンジ用容器詰調味液は、調味液に加える皮付き生トマトの好ましい切り方、大きさ、投入量、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間などの説明表示を印刷した紙製の化粧箱に封入した。
【0039】
<配合割合>
菜種油 20%
ニンニク 5%
タマネギ 10%
トマトペースト 5%
白ワイン 7%
食塩 2%
砂糖 1%
加工澱粉 3%
レモン果汁 1.2%
清水 残 余
――――――――――――――――――――――――――――――
合計 100%
【0040】
(4)電子レンジによる加熱調理
(3)の電子レンジ用容器詰調味液のジッパーを開封し、(1)の皮付きの生ミニトマト150gをホールのまま入れ、再度ジッパーを閉じた。次に、生ミニトマト投入後の容器詰調味液を電子レンジで加熱調理(600W×4分間)をし、開封してこれを皿にあけて食した。
【0041】
得られたトマトベースソースは、トマトの青臭さがなく、フレッシュなトマトの風味を有し、しかも、トマトの固形感を有した手作り感のある大変好ましいものであった。
【0042】
[比較例1]
実施例1のトマトベースソースにおいてレモン果汁を配合しなかった以外は同様にして容器詰調味液を得た。得られた容器詰調味液を用いた他は実施例1と同様にしてミニトマトを加えて電子レンジによる加熱調理を行い、トマトベースソースを得た。得られたトマトベースソースはトマトの固形感が失われており好ましいものではなかった。
【0043】
[比較例2]
実施例1のトマトベースソースにおいて菜種油を配合しなかった以外は同様にして容器詰調味液を得た。得られた容器詰調味液を用いた他は実施例1と同様にしてミニトマトを加えて電子レンジによる加熱調理を行い、トマトベースソースを得た。得られたトマトベースソースはトマトの固形感が失われており好ましいものではなかった。
【0044】
[実施例2]
【0045】
(1)トマト
へたをとった皮付きの生中玉トマト(長径5cm)1個(150g)をハーフカットした。
【0046】
(2)電子レンジ用調味液
下記配合割合の原料を用意した。まず、ニーダーにオリーブ油、ニンニクを投入し炒めた。次に、しめじ、エリンギ、トマトペースト、白ワイン、食塩、砂糖、すだち果汁、レモン果汁、加工澱粉、清水を投入し撹拌混合しながら品温90℃になるまで加熱して電子レンジ用調味液を得た。
【0047】
(3)電子レンジ用容器詰め調味液
次に、得られた電子レンジ用調味液140gをジッパー付きスタンドパウチ(実施例1と同じ)に充填密封後、レトルト処理(115℃、15分間)し、パウチ内に調味液(140g)が充填されている電子レンジ用容器詰調味液を得た。得られた調味液の粘度は1.8Pa・sであった。更に、得られた電子レンジ調理用の容器入り調味液は、調味液に加える皮付き生トマトの好ましい切り方、大きさ、投入量、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間などの説明表示を印刷した紙製の化粧箱に封入した。
【0048】
<配合割合>
オリーブ油 20%
ニンニク 5%
しめじ 5%
エリンギ 5%
トマトペースト 5%
白ワイン 8%
食塩 2%
砂糖 1%
加工澱粉 3%
すだち果汁 1%
レモン果汁 0.2%
清水 残 余
――――――――――――――――――――――――――――――
合計 100%

【0049】
(4)電子レンジによる加熱調理
(3)の電子レンジ用容器詰調味液のジッパーを開封し、(1)のハーフカットした皮付きの生中玉トマト150gを入れ、再度ジッパーを閉じた。次に、生トマト投入後の容器入り調味液を電子レンジで加熱調理(600W×4分間)をし、開封してこれを皿にあけて食した。
【0050】
得られたトマトベースソースは、トマトの青臭さがなく、フレッシュなトマトの風味を有し、しかも、トマトの固形感を有した手作り感のある大変好ましいものであった。
【0051】
[試験例1]
皮付き生トマトを加えて加熱する溶液の違いがトマトの皮の剥けやすさに与える影響について調べるため以下の試験を行った。つまり、配合原料の異なる下記4種類の溶液を用意した。次に、これらを鍋に入れて沸騰状態に加熱した後、それぞれ皮付きの中玉トマト(長径5cm)を1コ(150g)ずつを投入し、トマトの皮が湯剥きされるまでの時間を測定してトマトの皮の剥けやすさについて評価した。
【0052】
【表1】

【0053】
表1より、レモン果汁及び油脂が配合されている溶液に皮付き生トマトを加えた場合は、レモン果汁のみを配合した溶液、油脂のみを配合した溶液及び清水を用いた場合と比較し、明らかにトマトの皮が剥け難くなっていることが理解される。したがって、本発明においては、調味液として、このように柑橘果汁及び食用油脂の両方が配合した調味液を用いることで、調味液に皮付きの生トマトを加えて電子レンジ調理した際にトマトの皮が剥け難くなり、その結果、トマトの煮崩れが防止されることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柑橘果汁及び食用油脂を配合した調味液に、皮付きの生トマトを加えて電子レンジで加熱調理することを特徴とするトマトベースソースの製造方法。
【請求項2】
皮付きの生トマトの長径が2〜10cmである請求項1記載のトマトベースソースの製造方法。
【請求項3】
調味液及び加えた生トマトの合計300gあたり、600W×2分相当以上、600W×10分相当以下の条件で電子レンジで加熱調理する請求項1又は2に記載のトマトベースソースの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のトマトベースソースの製造方法に使用する電子レンジ用容器詰調味液であって、柑橘果汁及び食用油脂を配合した調味液が容器に充填されてなり、容器内に皮付きの生トマトを投入し、電子レンジで加熱調理することによりトマトベースソースを得られるようにする電子レンジ用容器詰調味液。
【請求項5】
容器が皮付きの生トマトの投入口となるジッパー部と電子レンジによる加熱調理時に蒸気を排出する蒸気抜き機構とを有したパウチである請求項4記載の電子レンジ用容器詰調味液。
【請求項6】
容器へ投入する皮付き生トマトの大きさ及び量、並びに電子レンジ加熱条件についての説明表示を備えている請求項4又は5に記載の電子レンジ用容器詰調味液。

【公開番号】特開2011−10563(P2011−10563A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155031(P2009−155031)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】