説明

トモグラフィー光照射野顕微鏡

光トモグラフィーシステムが、対物レンズと、コンピューター制御式光源と、集光レンズアセンブリと、光学軸に沿って整列しているマイクロレンズアレイとを含む光照射野顕微鏡を備える。標本を収容する担体が、標本の種々の視角を与えるように回転ドライバーに結合される。光センサーアレイが、対物レンズから光子を受光するように配置されている。コンピューターが、コンピューター制御式光源及び集光レンズアセンブリ並びに回転ドライバーを制御するように接続され、光センサーアレイから画像を受信するように結合され、光照射野顕微鏡は、標本の1組の種々の視角ごとに、標本内の一連の焦点面を同時に捕捉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には医用画像データの解析に関し、より詳細には、生体細胞撮像装置においてトモグラフィー光照射野顕微鏡を利用することに関する。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2009年1月19日に出願されたMathew D. Watsonの「Tomographic Light Field Microscope」と題する先に出願された同時係属中の米国仮特許出願第61/145,717号の利益を主張し、この米国仮特許出願はこの参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
光トモグラフィーの分野では、複数の視点からの連続的な走査を用いて、事実上、無限の数の隣接する焦点面から投影画像を取得する。光学撮像システムの焦点面は、一度の検出器の露出中に、焦点面に対して垂直な軸に沿って標本の厚みの端から端まで機械的に平行移動される。これは多くの場合に焦点面を「走査する」と言われる。そのプロセスは、単一の照明/検出サブシステムを用いて順次に、又は幾つかの照明/検出サブシステムを用いて同時に、複数の視点から繰り返される。このようにして、1組の疑似投影画像を生成し、それらの画像を3Dトモグラフィー画像再構成アルゴリズムに入力することができる。開示される方法は、小さな物体の高解像度光トモグラフィーのような応用形態において役立つことがある。1つのそのようなシステムが、2003年11月18日に出願されたFauver他への「Method and Apparatus of Shadowgram Formation for Optical Tomography」と題する係属中の米国特許出願第10/716,744号に対応する、米国特許出願公開第2004−0076319号として、2004年4月22日に公開された。米国特許出願第10/716,744号は参照により本明細書に援用される。
【0004】
Fauverは、圧電変換器(PZT)を用いて、約40ミクロン又はそれ以上の軸方向距離だけ対物レンズを動かす。1つの有用な実施形態では、マイクロ対物レンズ位置決めシステムが適切なPZTを提供し、そのPZTは光学「z」軸に沿って上下に駆動されて、対物レンズの焦点面が走査される。そのような機械的な構成は、対物レンズの質量、及び圧電素子の速度のような制限要因に起因して、走査速度に限界がある。
【0005】
光照射野顕微鏡の一例が、2008年4月4日に出願された「Microscopy Arrangements and Approaches」と題する係属中の米国特許出願第12/089,371号に対応する、米国特許出願公開第2008−0266655号として、2008年10月30日に公開されたLevoy他の特許出願において記述されている。図1は、「A」における集光レンズと、「B」における標本と、「C」における対物レンズと、「F」におけるマイクロレンズアレイと、「G」における光センサーアレイとを含む、光照射野顕微鏡10を示す。Levoy他は、一度のカメラ露出から焦点画像のスタックを合成する光照射野顕微鏡を開示している。焦点スタック画像を累積することは、疑似投影画像を得るために対物レンズを走査することと実質的に同じである。その合成はデコンボリューションステップを利用し、プロセッサがトモグラフィーを用いて標本の3次元ボリュームデータセットを計算する。マイクロレンズアレイFによれば、カメラの解像度と比べて画像の横方向解像度を小さくしたまま、z軸情報を抽出できるようになる。しかしながら、Levoy他は、複数の視点から物体を撮像するための技法を開示していない。米国特許出願第12/089,371号は参照により本明細書に援用される。
【0006】
それゆえ、疑似投影画像を収集する際の従来技術の限界に対する解決策としては、光トモグラフィーシステム内のスループットを高めることが望ましい。本発明によって利用されるまで、回転する標本担体から疑似投影画像を収集するのに、光トモグラフィーシステムは利用されてこなかった。
【0007】
本発明の新規な特徴を、特に添付の特許請求の範囲に詳細に示すが、本発明は、構成及び内容の両方に関し、図面と併せて以下の詳細な説明から、他の目的及びその特徴とともによりよく理解されかつ評価されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来技術の光照射野顕微鏡の概略図である。
【図2】回転する標本担体を用いる光照射野顕微鏡を含む、光トモグラフィーシステムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで図2を参照すると、回転する標本担体を用いる光照射野顕微鏡を含む、光トモグラフィーシステムの一例が示される。その光トモグラフィーシステムは、図1に関して実質的に上記で説明されたように構成される光照射野顕微鏡10Aを含む。光センサーアレイGによって撮像するための複数の種々の視点を与えるように、担体100が、標本を保持し、光学z軸に対して回転するように構成される。1つの有用な実施形態では、標本担体は、液体環境又はゲル環境において生体細胞を保持するようなサイズを有する毛管を備えることができ、液体又はゲルは、毛管を光トモグラフィーシステム内のレンズと整合させる光学特性を得るように選択される。
【0010】
Fauver他の光トモグラフィーシステムと比べて、本明細書において提示される光トモグラフィーシステムは、疑似投影画像を取得するのに対物レンズを走査する必要はない。これはシステムの複雑さを低減する。光照射野顕微鏡と比べて、本明細書において提示される光トモグラフィーシステムは、細胞担体を加えて、細胞周囲の全ての方向から画像を捕捉できるようにする。複数の画像が3D再構成の解像度を改善すると考えられる。
【0011】
本明細書では本発明の特定の実施形態を例示し説明したが、当業者であれば多数の変更及び変形を思いつくことが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内にある全ての変更及び変形を網羅するように意図されることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光トモグラフィーシステムであって、
対物レンズと、コンピューター制御式光源と、集光レンズアセンブリと、光学軸に沿って整列しているマイクロレンズアレイとを含む光照射野顕微鏡と、
標本を収容する担体と、
前記担体を回転させて前記標本の種々の視角を与えるように結合される回転ドライバーと、
前記対物レンズから光子を受光するように配置される光センサーアレイと、
前記コンピューター制御式光源及び前記集光レンズアセンブリ並びに前記回転ドライバーを制御するように接続され、前記光照射野顕微鏡が、前記標本の1組の種々の視角ごとに前記標本内の一連の焦点面を同時に捕捉する前記光センサーアレイから画像を受信するように結合されるコンピューターと、
を備える、光トモグラフィーシステム。
【請求項2】
前記標本は、光学収差を低減するように、均一な媒体を提供する屈折率整合材料を用いた毛細管内に保持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記屈折率整合材料は、光学ゲル、油、体液、ポリマー及びエポキシからなる群から選択される材料を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記標本は生物標本を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記標本は、吸収性色素、吸収性及び光散乱性色素、抗体標識、金属粒子と接合した抗体、量子ドット、プラスチック微小球、蛍光標識及び分子マーカーからなる群から選択される少なくとも1つの染色剤で染色された生物標本を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記担体は毛細管を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記担体は細胞担体を含む、請求項1に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−517510(P2013−517510A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550076(P2012−550076)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2011/021660
【国際公開番号】WO2011/094097
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(511205390)ヴィジョンゲイト,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】