トラクタ
【課題】エンジンを搭載する車体フレームの前端部に凹陥部を形成するので、バッテリを下方に落し込んで保持することができ、後方への空気流入経路が充分に確保でき、バッテリの取付構造も簡単な構成で足る。また、重心が低くなって機体の重量バランスが安定する。
【解決手段】エンジン6を搭載支持する左右の車体フレーム1の前端部において、該左右の車体フレーム1の左右幅を前端側のみ幅広くした幅広部Lを構成すると共に、該幅広部Lにバッテリ9を設けるにあたり、左右の車体フレーム1の幅広部Lにバッテリ9の一部を収納するためにバッテリ9を落し込んで保持する凹陥部10を形成、又はバッテリ9を載置するプレート10aを構成した。
【解決手段】エンジン6を搭載支持する左右の車体フレーム1の前端部において、該左右の車体フレーム1の左右幅を前端側のみ幅広くした幅広部Lを構成すると共に、該幅広部Lにバッテリ9を設けるにあたり、左右の車体フレーム1の幅広部Lにバッテリ9の一部を収納するためにバッテリ9を落し込んで保持する凹陥部10を形成、又はバッテリ9を載置するプレート10aを構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業機械であるトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンを搭載する機体フレーム上に支持体を設置し、この支持体上にラジエータとバッテリを集中配置した構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−29127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構成のものでは、エンジン、ラジエータ、バッテリが略同一平面上に設置され、また、バッテリはラジエータの前側直近に設置されているため、ラジエータへの空気流入経路が充分に確保されず、バッテリの取付構造も複雑になる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、エンジン(E)を搭載支持する左右の車体フレーム(1)の前端部において、該左右の車体フレーム(1)の左右幅を前端側のみ幅広くした幅広部(L)構成すると共に、該幅広部(L)にバッテリ(9)を設けるにあたり、左右の車体フレーム(1)の幅広部(L)にバッテリ(9)の一部を収納するためにバッテリ(9)を落し込んで保持する凹陥部(10)を形成、又はバッテリ(9)を載置するプレート(10a)を構成したことを特徴とするトラクタとしたものである。
【0006】
車体フレーム(1)の前端部に形成された凹陥部(10)にバッテリ(9)を落し込んで保持、又はプレート(10a)にバッテリ(9)を載せるため、バッテリ(9)が下方に低く設置されることになる。そして、後方のエンジン側への空気の流入経路が大きく開放され、ラジエータを通じての冷却効率を高めることができる。バッテリ(9)は凹陥部(10)によって保持したり、プレート(10a)に載せるため、取付構造も簡単な構成で足り、また、重量物であるバッテリが低い位置となるので、重心が下がり機体のバランスが安定する。
【発明の効果】
【0007】
要するに、本発明によれば、エンジンを搭載する車体フレームの前端部に凹陥部を形成するので、バッテリを下方に落し込んで保持することができ、後方への空気流入経路が充分に確保でき、バッテリの取付構造も簡単な構成で足る。また、重量物であるバッテリが低位に設置されるので、重心が低くなって機体の重量バランスが安定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】トラクタの側面図
【図2】トラクタ要部の平面図
【図3】同上要部の側面図
【図4】燃料タンクの要部の側面図
【図5】同上斜視図
【図6】同上斜視図
【図7】安全フレームの要部の側面図
【図8】同上要部の正面図
【図9】同上要部の分解斜視図
【図10】別実施例の要部の斜視図
【図11】別実施例の安全フレーム要部の側面図
【図12】同上要部の正面図
【図13】同上別実施例の要部の斜視図
【図14】同上別実施例の安全フレーム要部の側面図
【図15】キャビン付トラクタの側面図
【図16】フロントアクスルケースの平面図
【図17】同上正面図
【図18】冶具を備えたフロントアクスルケースの平面図
【図19】同上別実施例の冶具を備えたフロントアクスルケース要部の平面図
【図20】別実施例のフロントアクスルケース要部の平面図
【図21】同上別実施例の要部の平面図
【図22】トラクタ一部の平面図
【図23】従来のオイルクーラ圧制御回路図
【図24】本例のオイルクーラ圧制御回路図
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、トラクタを示すものであり、この車体フレーム1の前部側にエンジンEを搭載し、開閉自在のボンネット2によって被覆されている。エンジンEの回転動力をミッションケース3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前車輪4及び後車輪5に伝えるように構成している。エンジンEの後方に前車輪4,4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。
【0010】
エンジンE及びその前側にラジエータ8を搭載する車体フレーム1の前端部は、後部側より左右横方向に幅広く形成してバッテリ9の設置が行え易くなるように構成されている。このように幅広く形成されたフレームの前端部分には上面より下方に低く陥没する凹陥部10が形成され、そして、この凹陥部10には前記バッテリ9を落し込んで保持する構成としている。
【0011】
ミッションケース3の後上部には油圧シリンダケース13が搭載され、このシリンダケース13の左右両側には、油圧昇降機構の一部を構成するリフトアーム14が回動自在に取り付けられている。リフトアーム14は昇降用油圧シリンダの伸縮作動により上下動する。車体後部には、トップリンク15と左右のロアーリンク16からなる3点リンク機構を設け、同リンク機構にロータリ作業機R等を装着するようにしている。
【0012】
樹脂性燃料タンク17には、この給油口に設けられたキャップ18の外側を覆う開閉蓋19が設けられている。この開閉蓋19は、鍵20を備えた取付ベース21に対して蝶番22を介して揺動開閉可能に構成され、蓋を開けた時にはこれが180度反転するようにすれば、この蓋の内側部分に給油口キャップを置くことができる。蓋を閉めた時には取付ベースに鍵でもってロックできるように構成されている。従って、給油口にキャップ部を覆う開閉蓋を設けることで、給油時にキャップ部からの泥土やほこりの侵入を防ぐことができ、また、鍵を設けることにより燃料の盗難を防ぐことができ、更に、蓋を開けた時には、キャップを保管することができるので、キャップの紛失防止を図ることもできる。
【0013】
車体のリヤフレームから上方に突設する固定側フレーム23Aと、支点ピン24回りに起伏可能な可倒側フレーム23Bとからなる安全フレーム23の構成例について説明すると、図7〜図9に示す実施例では、可倒側フレーム23B側の保持プレート25と、固定側フレーム23A側の支持プレート26を貫通して可倒側フレームを固定するロックピン27にあって、該ロックピン27には半月状のカット面27a及び係止ピン用穴27bを設け、また、固定側フレームの支持プレート26内側には、前記ロックピンと同一形状の半月状貫通孔26aを設けた構成としている。
【0014】
このような構成によると、ロックピンを差し込んだ際には、ロックピンの半月状のカット面とこれと同形状の半月状貫通孔によってロックピンが回動しなくなり、ロックピン抜け止め用の係止ピンが振動で触れてもフレーム等に干渉せず、ガタ音の発生を防止することができる。なお、ロックピンを挿通する貫通孔にはゴムブッシュ28などを嵌入しておくと、振動を吸収できてガタ音の発生もなくなる。
【0015】
また、図10に示す実施例では、ロックピン27に輪状溝27cを設け、固定側フレームの支持プレート26側には、支点越え可能なロックファスナー29を設け、該ロックファスナーのロック部をロックピンの輪状溝に引っ掛けることで、ロックピンのガタ発生を防止する構成としている。
【0016】
更に、図11及び図12に示す実施例では、可倒側フレームと固定側フレームとの間において、正面視で所定の角度を付けた傾斜プレート30と、この傾斜プレートと同じ角度を持つ楔型プレート31を設け、傾斜プレートに対し楔型プレートを嵌入固定することにより、ロックピンがガタつかないようにして上下のフレーム23A,23Bのガタを防止する構成としている。なお、楔型プレートはロックプレート31aにて固定される。
【0017】
また、図13に示す実施例では、上記図12に示す構成において、この楔型プレート31は、コの字型プレート32に圧縮スプリング33を介してスライド可能に支持してあり、そして、楔型プレートにはロック用係止ピン34を設け、楔型プレート31を圧縮スプリングに抗して傾斜プレート30側にスライドさせた状態で、ロック用係止ピン34を回動させ、コの字型プレート32に設けた切欠溝32aに引っ掛けることによりロックする構成としている。
【0018】
なお、図14に示すように、固定側フレーム23A側と可倒側フレーム23B側とにスプリング保持プレート35a,35bを設け、これらプレート35a,35b間には圧縮スプリング33を設けることで、このスプリングの反力にてロックピンのガタ音を抑制するように構成することもできる。また、可倒側フレーム23Bにベルト36を設けておくと、このベルトを運転席側から引っ張れば強いスプリングでも可倒側フレームを容易にロック位置まで引き上げることができて便利である。また、このベルトは、不使用時はばたつかないように貼付自在なテープ等で接着しておくとよい。
【0019】
図15に示すキャビン付トラクタにおいて、運転部を覆うキャビン38内に外部に通じる空気弁40を設け、ドア39の開閉に連動して空気弁が開閉する構成とする。キャビン機ではドアを閉める時に内圧が上がり、ドアの閉まりが悪くなる問題があるが、本例ではドアが開いている時には空気弁が開き、ドアを閉める時の内圧の上昇を防ぐことによって上記問題点を解消することができる。
【0020】
次に、ズーム仕様トラクタのフロントズームシリンダの位置合わせの構成について説明する。現行トラクタのズーム仕様では、ステアリング操作により位置合わせするものであるが、ハンドルでの微調整がやり難く、位置が合っているかどうかの目視確認もし難い。本例では、位置合わせ時にステアリングシリンダ41の横側部に図16に示すような冶具42を取り付けできる構成とし、この冶具42によりトレッド伸長方向時での位置合わせが確実に行えるように構成している。
【0021】
この構成によれば、異なる冶具を用いることによって希望のトレッドに的確に位置合わせすることができる。上記構成の冶具では、一箇所のトレッドしか使用できないが、異なるトレッドに対応させるためには、異なる別の冶具を使用する必要がある。これに代わる別の冶具としては、図18に示すような一種類の部品で複数以上のトレッドに対応できるように構成することもできる。かかる冶具は、90度回転させる毎に4方向(42a〜42d)にそれぞれ違ったトレッドに対応させることが可能となる。
【0022】
なお、図18において、位置合わせ時にガイドシリンダ43に接当するよう位置合わせピン(仮想線で示す)44をフロントアクスルケース45に取り付け、トレッド縮小時にガイドシリンダがピンに接当しで止まるよう位置合わせすることができる。また、図19に示すような冶具を用いることもできる。つまり、一齣づつ継ぎ足したり、一齣づつ取り除いたりして実質長さを可変(凹凸部材の組み合わせ)とすることによっても位置合わせが的確に行え、複数以上のトレッドに対応することができる。
【0023】
また、図20に示す実施例では、ガイドシリンダ43と平行に位置合わせピン44を設けた構成としている。トレッド縮小方向時にガイドシリンダ43のヘッド部43aがピン44に接当する時が、縮小方向でのトレッド調整位置となるようになっている。
【0024】
図21に示す実施例では、ガイドシリンダ43と平行に手動の油圧ジャッキ46とリターンスプリング47を設けた構成としている。これによれば、手動で簡単に位置合わせが可能となり、ジャッキの圧を抜いて微速走行を行うことにより、リターンスプリングの力でトレッドが縮小し、手動でのジャッキ操作によりトレッドを広げながら位置合わせを行うことができる。なお、この油圧ジャッキに代えてパンタグラフジャッキを用いてもよい。これによれば、リターンスプリングの必要がなくなる。
【0025】
従来のフロントズーム仕様では、フロントズームを伸縮移動させるとき、ステアリングを切り、ストッパピンにナックルアームを当ててステアリングシリンダを動かすが、図16、図17に示すように、ナックルアーム48とファイナルケース49を連結ピン50にて連結固定することで、ハンドル操作でシリンダが動きだし、操作が速く簡単に行える。また、別の手段として、ファイナルケース49の上下49a,49bをピン等で連結して上部ファイナルケース49aに対する下部ファイナルケース49bの回動を不能状態にロックするように構成してもよい。
【0026】
従来、前車輪のトレッド変更のために、フロントアクスルシリンダ及びタイロッド長さを変更するが、いずれもパワステの力を利用して行うように構成されたものが知られている。この時、位置の微調整の際に、ハンドル操作と位置確認のためにキャビン内外を行き来することが多く手間を要していた。そこで、ステアリングシリンダに連通する油圧回路をオービットとは別に、もう一つの油圧回路を設け、この別系油圧回路のバルブのオン・オフによりズーム操作可能とし、そして、このオン・オフスイッチをキャビンの外側から操作し易い位置(例えば、図15に示す左ドア39付近に設けるオン・オフスイッチ52参照)に設ける。これによると、キャビン内に行かずともステアリングシリンダの操作を可能とし、位置調整の効率が良くなる。なお、上記構成において、別途設ける油路をオービットへ流れる油路から分岐させて利用する構成としてもよく、余分な油路を少なくし、簡便な構成となる。
【0027】
フロントズームの構成において、トレッドを拡げる時には、拡げる車輪と反対側にステアリングを一杯に切るが、変更量が多い場合には、ハンドルの切り直しが必要となる場合がある。図22に示すように、切れ角調整ピン51を取り付けできるように構成することで、ステアリングが一杯に切れる前にナックルアーム48が調整ピン51に当たるようになり、一回のハンドル操作でのトレッドの変更量が増加し、トレッドを拡げる時の作業性が向上する。
【0028】
従来、トラクタで使用されているオイルクーラは、図23に示すような回路に構成され、特に、ミッションオイルを冷却することを目的としていることから、エンジン始動時の低温においては、オイルクーラでオイルを冷却する必要がない。逆に、低温時にオイルクーラにオイルを流すことはオイル粘性の関係から高圧となり、オイルクーラの耐久性に影響を与える問題がある。
【0029】
これに対し、本例では、図24に示すように、オイルクーラ53を使用しているトラクタにバルブ54を設ける。このバルブ54は、オイルクーラの入口側手前に設ける。そして、バルブ54からの配管は、一方がオイルクーラへ、他方がバイパス回路55とし、オイルクーラと並列となるよう構成する。バルブ54の開閉はタイマー56により作動する構成とし、タイマー時間はトラクタの機種毎に設定するものとする。例えば、エンジン始動後の10分間はオイルクーラ側を遮断してバイパス回路に流し、10分後からオイルクーラにオイルを流す構成とする。従って、エンジン始動時の初期に不必要なオイルクーラへのオイルの供給をなくし、オイルクーラの耐久性向上が図れる。
【符号の説明】
【0030】
E エンジン
L 幅広部
1 車体フレーム
9 バッテリ
10 凹陥部
10a プレート
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業機械であるトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンを搭載する機体フレーム上に支持体を設置し、この支持体上にラジエータとバッテリを集中配置した構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−29127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構成のものでは、エンジン、ラジエータ、バッテリが略同一平面上に設置され、また、バッテリはラジエータの前側直近に設置されているため、ラジエータへの空気流入経路が充分に確保されず、バッテリの取付構造も複雑になる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、エンジン(E)を搭載支持する左右の車体フレーム(1)の前端部において、該左右の車体フレーム(1)の左右幅を前端側のみ幅広くした幅広部(L)構成すると共に、該幅広部(L)にバッテリ(9)を設けるにあたり、左右の車体フレーム(1)の幅広部(L)にバッテリ(9)の一部を収納するためにバッテリ(9)を落し込んで保持する凹陥部(10)を形成、又はバッテリ(9)を載置するプレート(10a)を構成したことを特徴とするトラクタとしたものである。
【0006】
車体フレーム(1)の前端部に形成された凹陥部(10)にバッテリ(9)を落し込んで保持、又はプレート(10a)にバッテリ(9)を載せるため、バッテリ(9)が下方に低く設置されることになる。そして、後方のエンジン側への空気の流入経路が大きく開放され、ラジエータを通じての冷却効率を高めることができる。バッテリ(9)は凹陥部(10)によって保持したり、プレート(10a)に載せるため、取付構造も簡単な構成で足り、また、重量物であるバッテリが低い位置となるので、重心が下がり機体のバランスが安定する。
【発明の効果】
【0007】
要するに、本発明によれば、エンジンを搭載する車体フレームの前端部に凹陥部を形成するので、バッテリを下方に落し込んで保持することができ、後方への空気流入経路が充分に確保でき、バッテリの取付構造も簡単な構成で足る。また、重量物であるバッテリが低位に設置されるので、重心が低くなって機体の重量バランスが安定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】トラクタの側面図
【図2】トラクタ要部の平面図
【図3】同上要部の側面図
【図4】燃料タンクの要部の側面図
【図5】同上斜視図
【図6】同上斜視図
【図7】安全フレームの要部の側面図
【図8】同上要部の正面図
【図9】同上要部の分解斜視図
【図10】別実施例の要部の斜視図
【図11】別実施例の安全フレーム要部の側面図
【図12】同上要部の正面図
【図13】同上別実施例の要部の斜視図
【図14】同上別実施例の安全フレーム要部の側面図
【図15】キャビン付トラクタの側面図
【図16】フロントアクスルケースの平面図
【図17】同上正面図
【図18】冶具を備えたフロントアクスルケースの平面図
【図19】同上別実施例の冶具を備えたフロントアクスルケース要部の平面図
【図20】別実施例のフロントアクスルケース要部の平面図
【図21】同上別実施例の要部の平面図
【図22】トラクタ一部の平面図
【図23】従来のオイルクーラ圧制御回路図
【図24】本例のオイルクーラ圧制御回路図
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、トラクタを示すものであり、この車体フレーム1の前部側にエンジンEを搭載し、開閉自在のボンネット2によって被覆されている。エンジンEの回転動力をミッションケース3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前車輪4及び後車輪5に伝えるように構成している。エンジンEの後方に前車輪4,4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。
【0010】
エンジンE及びその前側にラジエータ8を搭載する車体フレーム1の前端部は、後部側より左右横方向に幅広く形成してバッテリ9の設置が行え易くなるように構成されている。このように幅広く形成されたフレームの前端部分には上面より下方に低く陥没する凹陥部10が形成され、そして、この凹陥部10には前記バッテリ9を落し込んで保持する構成としている。
【0011】
ミッションケース3の後上部には油圧シリンダケース13が搭載され、このシリンダケース13の左右両側には、油圧昇降機構の一部を構成するリフトアーム14が回動自在に取り付けられている。リフトアーム14は昇降用油圧シリンダの伸縮作動により上下動する。車体後部には、トップリンク15と左右のロアーリンク16からなる3点リンク機構を設け、同リンク機構にロータリ作業機R等を装着するようにしている。
【0012】
樹脂性燃料タンク17には、この給油口に設けられたキャップ18の外側を覆う開閉蓋19が設けられている。この開閉蓋19は、鍵20を備えた取付ベース21に対して蝶番22を介して揺動開閉可能に構成され、蓋を開けた時にはこれが180度反転するようにすれば、この蓋の内側部分に給油口キャップを置くことができる。蓋を閉めた時には取付ベースに鍵でもってロックできるように構成されている。従って、給油口にキャップ部を覆う開閉蓋を設けることで、給油時にキャップ部からの泥土やほこりの侵入を防ぐことができ、また、鍵を設けることにより燃料の盗難を防ぐことができ、更に、蓋を開けた時には、キャップを保管することができるので、キャップの紛失防止を図ることもできる。
【0013】
車体のリヤフレームから上方に突設する固定側フレーム23Aと、支点ピン24回りに起伏可能な可倒側フレーム23Bとからなる安全フレーム23の構成例について説明すると、図7〜図9に示す実施例では、可倒側フレーム23B側の保持プレート25と、固定側フレーム23A側の支持プレート26を貫通して可倒側フレームを固定するロックピン27にあって、該ロックピン27には半月状のカット面27a及び係止ピン用穴27bを設け、また、固定側フレームの支持プレート26内側には、前記ロックピンと同一形状の半月状貫通孔26aを設けた構成としている。
【0014】
このような構成によると、ロックピンを差し込んだ際には、ロックピンの半月状のカット面とこれと同形状の半月状貫通孔によってロックピンが回動しなくなり、ロックピン抜け止め用の係止ピンが振動で触れてもフレーム等に干渉せず、ガタ音の発生を防止することができる。なお、ロックピンを挿通する貫通孔にはゴムブッシュ28などを嵌入しておくと、振動を吸収できてガタ音の発生もなくなる。
【0015】
また、図10に示す実施例では、ロックピン27に輪状溝27cを設け、固定側フレームの支持プレート26側には、支点越え可能なロックファスナー29を設け、該ロックファスナーのロック部をロックピンの輪状溝に引っ掛けることで、ロックピンのガタ発生を防止する構成としている。
【0016】
更に、図11及び図12に示す実施例では、可倒側フレームと固定側フレームとの間において、正面視で所定の角度を付けた傾斜プレート30と、この傾斜プレートと同じ角度を持つ楔型プレート31を設け、傾斜プレートに対し楔型プレートを嵌入固定することにより、ロックピンがガタつかないようにして上下のフレーム23A,23Bのガタを防止する構成としている。なお、楔型プレートはロックプレート31aにて固定される。
【0017】
また、図13に示す実施例では、上記図12に示す構成において、この楔型プレート31は、コの字型プレート32に圧縮スプリング33を介してスライド可能に支持してあり、そして、楔型プレートにはロック用係止ピン34を設け、楔型プレート31を圧縮スプリングに抗して傾斜プレート30側にスライドさせた状態で、ロック用係止ピン34を回動させ、コの字型プレート32に設けた切欠溝32aに引っ掛けることによりロックする構成としている。
【0018】
なお、図14に示すように、固定側フレーム23A側と可倒側フレーム23B側とにスプリング保持プレート35a,35bを設け、これらプレート35a,35b間には圧縮スプリング33を設けることで、このスプリングの反力にてロックピンのガタ音を抑制するように構成することもできる。また、可倒側フレーム23Bにベルト36を設けておくと、このベルトを運転席側から引っ張れば強いスプリングでも可倒側フレームを容易にロック位置まで引き上げることができて便利である。また、このベルトは、不使用時はばたつかないように貼付自在なテープ等で接着しておくとよい。
【0019】
図15に示すキャビン付トラクタにおいて、運転部を覆うキャビン38内に外部に通じる空気弁40を設け、ドア39の開閉に連動して空気弁が開閉する構成とする。キャビン機ではドアを閉める時に内圧が上がり、ドアの閉まりが悪くなる問題があるが、本例ではドアが開いている時には空気弁が開き、ドアを閉める時の内圧の上昇を防ぐことによって上記問題点を解消することができる。
【0020】
次に、ズーム仕様トラクタのフロントズームシリンダの位置合わせの構成について説明する。現行トラクタのズーム仕様では、ステアリング操作により位置合わせするものであるが、ハンドルでの微調整がやり難く、位置が合っているかどうかの目視確認もし難い。本例では、位置合わせ時にステアリングシリンダ41の横側部に図16に示すような冶具42を取り付けできる構成とし、この冶具42によりトレッド伸長方向時での位置合わせが確実に行えるように構成している。
【0021】
この構成によれば、異なる冶具を用いることによって希望のトレッドに的確に位置合わせすることができる。上記構成の冶具では、一箇所のトレッドしか使用できないが、異なるトレッドに対応させるためには、異なる別の冶具を使用する必要がある。これに代わる別の冶具としては、図18に示すような一種類の部品で複数以上のトレッドに対応できるように構成することもできる。かかる冶具は、90度回転させる毎に4方向(42a〜42d)にそれぞれ違ったトレッドに対応させることが可能となる。
【0022】
なお、図18において、位置合わせ時にガイドシリンダ43に接当するよう位置合わせピン(仮想線で示す)44をフロントアクスルケース45に取り付け、トレッド縮小時にガイドシリンダがピンに接当しで止まるよう位置合わせすることができる。また、図19に示すような冶具を用いることもできる。つまり、一齣づつ継ぎ足したり、一齣づつ取り除いたりして実質長さを可変(凹凸部材の組み合わせ)とすることによっても位置合わせが的確に行え、複数以上のトレッドに対応することができる。
【0023】
また、図20に示す実施例では、ガイドシリンダ43と平行に位置合わせピン44を設けた構成としている。トレッド縮小方向時にガイドシリンダ43のヘッド部43aがピン44に接当する時が、縮小方向でのトレッド調整位置となるようになっている。
【0024】
図21に示す実施例では、ガイドシリンダ43と平行に手動の油圧ジャッキ46とリターンスプリング47を設けた構成としている。これによれば、手動で簡単に位置合わせが可能となり、ジャッキの圧を抜いて微速走行を行うことにより、リターンスプリングの力でトレッドが縮小し、手動でのジャッキ操作によりトレッドを広げながら位置合わせを行うことができる。なお、この油圧ジャッキに代えてパンタグラフジャッキを用いてもよい。これによれば、リターンスプリングの必要がなくなる。
【0025】
従来のフロントズーム仕様では、フロントズームを伸縮移動させるとき、ステアリングを切り、ストッパピンにナックルアームを当ててステアリングシリンダを動かすが、図16、図17に示すように、ナックルアーム48とファイナルケース49を連結ピン50にて連結固定することで、ハンドル操作でシリンダが動きだし、操作が速く簡単に行える。また、別の手段として、ファイナルケース49の上下49a,49bをピン等で連結して上部ファイナルケース49aに対する下部ファイナルケース49bの回動を不能状態にロックするように構成してもよい。
【0026】
従来、前車輪のトレッド変更のために、フロントアクスルシリンダ及びタイロッド長さを変更するが、いずれもパワステの力を利用して行うように構成されたものが知られている。この時、位置の微調整の際に、ハンドル操作と位置確認のためにキャビン内外を行き来することが多く手間を要していた。そこで、ステアリングシリンダに連通する油圧回路をオービットとは別に、もう一つの油圧回路を設け、この別系油圧回路のバルブのオン・オフによりズーム操作可能とし、そして、このオン・オフスイッチをキャビンの外側から操作し易い位置(例えば、図15に示す左ドア39付近に設けるオン・オフスイッチ52参照)に設ける。これによると、キャビン内に行かずともステアリングシリンダの操作を可能とし、位置調整の効率が良くなる。なお、上記構成において、別途設ける油路をオービットへ流れる油路から分岐させて利用する構成としてもよく、余分な油路を少なくし、簡便な構成となる。
【0027】
フロントズームの構成において、トレッドを拡げる時には、拡げる車輪と反対側にステアリングを一杯に切るが、変更量が多い場合には、ハンドルの切り直しが必要となる場合がある。図22に示すように、切れ角調整ピン51を取り付けできるように構成することで、ステアリングが一杯に切れる前にナックルアーム48が調整ピン51に当たるようになり、一回のハンドル操作でのトレッドの変更量が増加し、トレッドを拡げる時の作業性が向上する。
【0028】
従来、トラクタで使用されているオイルクーラは、図23に示すような回路に構成され、特に、ミッションオイルを冷却することを目的としていることから、エンジン始動時の低温においては、オイルクーラでオイルを冷却する必要がない。逆に、低温時にオイルクーラにオイルを流すことはオイル粘性の関係から高圧となり、オイルクーラの耐久性に影響を与える問題がある。
【0029】
これに対し、本例では、図24に示すように、オイルクーラ53を使用しているトラクタにバルブ54を設ける。このバルブ54は、オイルクーラの入口側手前に設ける。そして、バルブ54からの配管は、一方がオイルクーラへ、他方がバイパス回路55とし、オイルクーラと並列となるよう構成する。バルブ54の開閉はタイマー56により作動する構成とし、タイマー時間はトラクタの機種毎に設定するものとする。例えば、エンジン始動後の10分間はオイルクーラ側を遮断してバイパス回路に流し、10分後からオイルクーラにオイルを流す構成とする。従って、エンジン始動時の初期に不必要なオイルクーラへのオイルの供給をなくし、オイルクーラの耐久性向上が図れる。
【符号の説明】
【0030】
E エンジン
L 幅広部
1 車体フレーム
9 バッテリ
10 凹陥部
10a プレート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)を搭載支持する左右の車体フレーム(1)の前端部において、該左右の車体フレーム(1)の左右幅を前端側のみ幅広くした幅広部(L)構成すると共に、該幅広部(L)にバッテリ(9)を設けるにあたり、左右の車体フレーム(1)の幅広部(L)にバッテリ(9)の一部を収納するためにバッテリ(9)を落し込んで保持する凹陥部(10)を形成、又はバッテリ(9)を載置するプレート(10a)を構成したことを特徴とするトラクタ。
【請求項1】
エンジン(E)を搭載支持する左右の車体フレーム(1)の前端部において、該左右の車体フレーム(1)の左右幅を前端側のみ幅広くした幅広部(L)構成すると共に、該幅広部(L)にバッテリ(9)を設けるにあたり、左右の車体フレーム(1)の幅広部(L)にバッテリ(9)の一部を収納するためにバッテリ(9)を落し込んで保持する凹陥部(10)を形成、又はバッテリ(9)を載置するプレート(10a)を構成したことを特徴とするトラクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−5995(P2011−5995A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152572(P2009−152572)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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