説明

トラックフレーム内の配管配置構造

【課題】部品点数を削減して、構成を簡素化することが可能なトラックフレーム内の配管配置構造を提供する。
【解決手段】トラックフレーム71内のチルト配管53の配置構造では、トラックフレーム71の左右の両側面に対して、それぞれ第1開口部71a、第2開口部71bが形成されている。第1開口部71aは、メインフレーム70との対向側の側面におけるピボットシャフト51の近傍に形成されている。第2開口部71bは、作業機6の支持フレーム61との接続側の側面におけるトラニオン52の近傍に形成されている。作業機6を駆動するチルトシリンダ62に対して圧油を供給するチルト配管53は、上記第1・第2開口部71a,71bを最短距離で結ぶように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルドーザのチルトシリンダ等に対して圧油を供給するためにトラックフレーム内に設けられた配管の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ブルドーザ等の建設機械では、ブレード等の作業機を油圧シリンダに供給される圧油によって駆動している。この油圧シリンダは、トラックフレームの外側に取り付けられたブレード等の作業機を駆動するために、メインフレーム側に設置された油圧ポンプからゴムホース等配管を通じてトラックフレーム内を通過した圧油が供給される。
例えば、特許文献1には、メインフレームとトラックフレームとをピボットシャフトによって接続し、ピボットシャフト接続部分の近傍と、トラックフレームの外側の面における作業機のトラニオン近傍とに、それぞれ配管設置用の開口穴を設け、トラニオン近傍からメインフレーム側に対してほぼ直角にパイプ材等を介して圧油を供給する配管を配設したブルドーザのトラックフレーム構造が開示されている。
【特許文献1】実開平5−94060号公報(平成5年12月21日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のトラックフレーム構造では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示されたトラックフレーム構造では、圧油を供給する配管を、メインフレームとの接続側においてトラックフレームの内面側に沿うように設置してカバー部材で覆い、トラックフレームの内外側の部材間を一体として連結されたパイプ材を介して設置している。
【0004】
このため、配管や配管を保護する部品点数が増加し、構成が複雑化してしまうという問題がある。
本発明の課題は、配管にかかる負荷を低減しつつ、部品点数を削減して、構成を簡素化することが可能なトラックフレーム内の配管配置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造は、油圧シリンダによって駆動される作業機が取り付けられた建設機械のトラックフレーム内における配管の配置構造であって、第1開口部と、第2開口部と、配管と、を備えている。第1開口部は、建設機械のメインフレームとトラックフレームとを回転可能な状態で接続する第1回転軸の近傍に形成されている。第2開口部は、作業機とトラックフレームとを回転可能な状態で接続する第2回転軸の近傍に形成されている。配管は、第1開口部と第2開口部との間を最短距離で結ぶように配置されている。
【0006】
ここでは、トラックフレームの内外側面にそれぞれ接続されるメインフレーム、作業機との接続部分近傍を通過して、作業機を駆動する油圧シリンダに対して圧油を供給する配管を、各接続部分に含まれる第1・第2回転軸近傍に形成された第1・第2開口部を最短距離で結ぶように配置している。
ここで、上記建設機械には、作業機としてブレード等を搭載したブルドーザやトリミングドーザ等が考えられる。また、上記配管とは、例えば、ブルドーザの場合のアウトサイドドーザに取り付けられたチルト用の油圧シリンダに対して圧油を供給する油圧配管が含まれる。さらに、上記第1回転軸としては、メインフレームとトラックフレームとを接続するピボットシャフト等が考えられる。上記第2回転軸としては、ブレード等の作業機をトラックフレームの外側面に回転可能な状態で取り付けるトラニオン等が考えられる。
【0007】
通常、トラックフレームにおける両側面に対して取り付けられたピボットシャフト(第1回転軸)とトラニオン(第2回転軸)とは、トラックフレームにおける前後方向においてずれた位置に配置されている。本発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造では、ピボットシャフト等に相当する第1回転軸との接続部分近傍と、トラニオン等に相当する第2回転軸との接続部分近傍とを、最短距離で結ぶように斜めに配管を配置している。
【0008】
これにより、第1・第2回転軸においてトラックフレームや作業機が回転した場合でも、第1・第2回転軸の近傍同士を結ぶように配置されているため、配管が回転の影響を受けて移動する量を最小限とすることができる。そして、略直角に配管を配置した従来の構造と比較して、例えば、パイプ材1本を溶接等によってトラックフレーム内に固定して配管を通すだけで済むため、カバー部材や接続部分の部品等のような部品を削減することができる。この結果、配管にかかる負荷を低減しつつ、配管を保護する部品点数を削減して構成を簡素化することができる。
【0009】
第2の発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造は、第1の発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造であって、第1回転軸は、ピボットシャフトである。そして、第2回転軸は、トラニオンである。
ここでは、トラックフレーム内における配管を通す両端部にそれぞれ形成された第1・第2開口部の近傍に取り付けられた第1・第2回転軸として、メインフレームとトラックフレームとをつなぐピボットシャフト、およびトラックフレームと作業機(アウトサイドドーザ等)とをつなぐトラニオンを特定している。
【0010】
これにより、ブルドーザ等の建設機械の側面視において、ピボットシャフトとトラニオンとが建設機械の前後方向においてずれて配置されている場合でも、それらのトラックフレームへの取付部分の近傍に形成された第1・第2開口部同士を最短距離で結ぶように配管を配置することで、配管を保護する部品点数を削減することができる。このため、トラックフレーム内を通過してブレードのチルト用やピッチ用等の油圧シリンダに対して、簡素化された配管配置構造によって圧油を供給することができる。
【0011】
第3の発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造は、第1または第2の発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造であって、第1開口部と第2開口部とを最短距離でつなぐように、トラックフレーム内に固定されたパイプ材を、さらに備えている。
ここでは、トラックフレーム内において第1・第2開口部を最短距離で結ぶように配置された配管を保護するために、第1・第2開口部を最短距離で結ぶようにパイプ材を設けている。
これにより、トラックフレーム内において配管が損傷することを防止するとともに、第1・第2開口部へ配管を通す作業をパイプ材に沿って容易に行うことができる。
【0012】
第4の発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造は、第3の発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造であって、パイプ材は、トラックフレームに対して溶接によって固定されている。
【0013】
ここでは、トラックフレーム内において、第1・第2開口部をつなぐように設置されるパイプ材は、トラックフレームに対して溶接によって固定される。
これにより、パイプ材とトラックフレームとの接続部分を隙間無く強固に固定することができる。この結果、トラックフレーム周囲へ土砂が流れ込んだ場合でも、トラックフレームの内部へ土砂が侵入することを防止することができる。
【0014】
第5の発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造は、第3または第4の発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造であって、第2開口部は、楕円形状になるように形成されている。
ここでは、例えば、作業機との接続側となるトラニオン近傍に形成された第2開口部を、楕円形状になるように形成している。
【0015】
ここで、第1開口部と第2開口部とを最短距離で結ぶように配置されたためにトラックフレーム内において斜めに配置された断面が略円径のパイプ材は、トラックフレームとの接続される面上においては、楕円形状となる。
これにより、第2開口部を、パイプ材との接続部分に合わせて楕円形状とすることで、トラックフレームに対するパイプ材の接続部分における隙間を無くすことができる。この結果、建設機械の外側に露出する足回りの部分であるトラックフレーム内への土砂の浸入を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るトラックフレーム内の配管配置構造によれば、部品点数を削減して、構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係るトラックフレーム内の配管配置構造を採用したブルドーザ(建設機械)1について、図1〜図6を用いて説明すれば以下の通りである。
[ブルドーザ1全体の構成]
本実施形態に係るブルドーザ1は、不整地において整地作業を行う建設機械であって、図1に示すように、主として、キャブ2、車体フレーム3、作業機6、走行装置7を備えている。
【0018】
キャブ2には、運転者が着座するためのオペレータシートや各種操作のためのレバー、ペダルおよび計器類等が内装されている。キャブ2は、底部が図示しないフロアフレームによって構成されており、フロアフレーム上にピラーや側板が載置されている。
車体フレーム3は、作業機6および走行装置7が取り付けられており、その上部にはキャブ2が載置されている。また、車体フレーム3は、内部にエンジン(図示せず)等が設けられており、エンジンにおいて発生した回転駆動力が、終減速装置35を経由して後述する走行装置7のスプロケット73に伝達される。なお、この車体フレーム3の内部構成については、後段にて詳述する。
【0019】
作業機6は、図1に示すように、地面を削り取って土砂を押し運ぶための機構であって、ブレード60と、支持フレーム61と、チルトシリンダ(油圧シリンダ)62と、リフトシリンダ63とを有している。ブレード60は、車体フレーム3の前方に設けられており、前面が湾曲した板状の形状を有している。支持フレーム61は、一端がブレード60に固定され、他端が走行装置7のトラックフレーム71に取り付けられている。そして、支持フレーム61は、トラックフレーム71のトラニオン(第2回転軸)52を中心に回転可能な状態で、トラックフレーム71側からブレード60を支持している。チルトシリンダ62は、トラックフレーム71内から支持フレーム61内部を通って供給される圧油によって伸縮して、ブレード60の角度を調整する。リフトシリンダ63は、整地作業時等において必要に応じて伸縮してブレード60の高さ位置を調整する。なお、チルトシリンダ62に対して圧油を供給するチルト配管(配管)53のトラックフレーム71内における配置構造については、後段にて詳述する。
【0020】
走行装置7は、履帯P、車両前後方向に沿って配設された左右一対のトラックフレーム71、走行輪であるアイドラ72およびスプロケット73等を有している。そして、走行装置7は、車体フレーム3の左右下部にそれぞれ設けられ、無端状の履帯Pを巻いて不整地における走行を可能としている。
[トラックフレーム71内部およびその周辺の構成]
ここで、トラックフレーム71内およびその周辺におけるチルト配管53の配置構造について、図2〜図6を用いて説明すれば以下の通りである。なお、トラックフレーム71は、メインフレーム70の左右両側に1つずつ、ほぼ共通の構成で設けられているが、ここではメインフレーム70の左側に設けられたトラックフレーム71を例として挙げて説明する。
【0021】
本実施形態のチルト配管53は、ブタジエンゴム等のゴム系の素材等によって形成されており、作業機6のブレード60の角度を調整するために圧油を供給する。そして、チルト配管53は、図示しない油圧ポンプから送り出された圧油を、図2および図3に示すように、メインフレーム70内からトラックフレーム71、支持フレーム61の内部を介して、チルトシリンダ62まで送り込む。
【0022】
より詳細には、図3および図4に示すように、チルト配管53は、メインフレーム70側からトラックフレーム71の左右の側面にそれぞれ形成された第1開口部71aと第2開口部71bとを介してトラックフレーム71内を斜めに通過する。そして、トラックフレーム71の外側の側面に取り付けられた作業機6との接続部分(トラニオン52)を経て、支持フレーム61内を通過して、チルトシリンダ62へと接続されている。
【0023】
すなわち、トラックフレーム71には、チルト配管53をチルトシリンダ62まで配設するために、第1開口部71aと第2開口部71bとがそれぞれ左右の両側面に形成されている。また、トラックフレーム71における左右両側面にそれぞれ形成された第1・第2開口部71a,71b間を最短距離で結ぶように、パイプ材55が設けられている。
第1開口部71aは、図4および図5に示すように、トラックフレーム71におけるメインフレーム70と対向する側の側面に形成された貫通穴である。そして、第1開口部71aは、メインフレーム70とトラックフレーム71とを相対回転可能な状態で接続するピボットシャフト(第1回転軸)51の近傍に形成されている。なお、ピボットシャフト51は、ブルドーザ1が走行中に岩等の障害物に乗り上げる等した場合に、メインフレーム70に対してトラックフレーム71が左右別々に相対回転する際の回転中心となる。このため、トラックフレーム71がメインフレーム70に対して回転した場合でも、メインフレーム70とトラックフレーム71とにまたがって配置されるチルト配管53が引っ張られる量を最小限とすることができる。
【0024】
第2開口部71bは、図4および図6に示すように、トラックフレーム71における作業機6の支持フレーム61との接続側の側面に形成された貫通穴である。そして、第2開口部71bは、支持フレーム61をトラックフレーム71に対して回転可能な状態で取り付けるためのトラニオン(第2回転軸)52の内部を通過するように形成されている。なお、トラニオン52は、図1に示すリフトシリンダ63を駆動して作業機6を高さ方向において上下動させる際に、作業機6の支持フレーム61の回転中心となる。このため、リフトシリンダ63によって、トラニオン52を中心として作業機6を高さ方向に上下動させた場合でも、チルト配管53が引っ張られる量を最小限とすることができる。さらに、第2開口部71bは、後述する断面が略円径のパイプ材55との接続部分の形状に合わせて楕円形状になるように形成されている。これにより、パイプ材55との接続部分において、隙間無くパイプ材55をトラックフレーム71の内面側に対して取り付けることで、トラックフレーム71内への土砂の浸入を回避することができる。
【0025】
パイプ材55は、図4等に示すように、断面が略円径の鋼管によって形成されており、内部の中空部分にチルト配管53を通すことで、トラックフレーム71内におけるチルト配管53の損傷を防いでいる。また、パイプ材55は、作業機6との接続側となるトラニオン52内に形成された第2開口部71bとの接続部分において、溶接によって固定されている。これにより、楕円形状に形成された第2開口部71bとの接続部分において、隙間なく強固に、パイプ材55をトラックフレーム71の内面側に対して固定することができる。
【0026】
<チルト配管53の設置工程の流れ>
ここでは、上述したチルト配管53をトラックフレーム71内に設置する工程について説明する。
まず、左右の両側面に第1・第2開口部71a,71bが形成されたトラックフレーム71の内部に、パイプ材55を溶接によって固定する。
【0027】
次に、トラックフレーム71に固定されたパイプ材55の一方の端部から他方の端部までチルト配管53を挿入していく。
次に、メインフレーム70側の側面に形成された第1開口部71aの部分に、配管カバー75(図3および図4参照)を取り付ける。
次に、トラックフレーム71を左右に貫通するように配置されたチルト配管53の端部を、メインフレーム70側の配管と接続する。
【0028】
次に、ピボットシャフト51の部分において、左右のトラックフレーム71をメインフレーム70の左右両側面に対して取り付ける。
最後に、トラックフレーム71の外側のトラニオン52の部分において、それぞれ作業機6の支持フレーム61を取り付ける。
本実施形態のトラックフレーム71内におけるチルト配管53の配置構造では、以上のように、トラックフレーム71内にパイプ材55を固定した後でチルト配管53を通して組み立てていく。
【0029】
これにより、トラックフレーム71の左右側面に形成された第1・第2開口部71a,71bを通過してトラックフレーム71を貫通するようにチルト配管53を設置する際には、パイプ材55の一方の端部からチルト配管53を挿入していくだけで済むため、作業性が向上する。
また、第1・第2開口部71a,71bを最短距離で結ぶようにチルト配管53を設置するために、パイプ材55をトラックフレーム71内において斜めに配置している。
【0030】
これにより、トラックフレーム71を貫通するようにチルト配管53を配置する場合でも、直角に曲がる部分等がないため、スムーズにチルト配管53を設置することができる。
[本トラックフレーム71内のチルト配管53の配置構造の特徴]
(1)
本実施形態のトラックフレーム71内のチルト配管53の配置構造では、図4に示すように、トラックフレーム71の左右の両側面に対して、それぞれ第1開口部71a、第2開口部71bが形成されている。第1開口部71aは、メインフレーム70との対向側の側面におけるピボットシャフト51の近傍に形成されている。第2開口部71bは、作業機6の支持フレーム61との接続側の側面におけるトラニオン52の近傍に形成されている。そして、作業機6を駆動するチルトシリンダ62に対して圧油を供給するチルト配管53は、上記第1・第2開口部71a,71bを最短距離で結ぶように配置されている。
【0031】
これにより、トラックフレーム71の左右の両側面に対してそれぞれ取り付けられた回転軸であるピボットシャフト51およびトラニオン52の近傍を通過するようにチルト配管53が設置されているため、トラックフレーム71に対して、メインフレーム70や作業機6が相対回転した場合でも、チルト配管53が引っ張られる量を最小限とすることができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、トラックフレーム71の両側面に形成された第1・第2開口部71a,71bを最短距離で結ぶようにチルト配管53を配置している。このため、チルト配管53をトラックフレーム71の長手方向に沿って配置した後、ほぼ直角に曲げるようにしてトラックフレーム71内を通過させる従来の構成と比較して、部品点数を削減して構成を簡素化することができる。
【0033】
(2)
本実施形態のトラックフレーム内のチルト配管53の配置構造では、図4等に示すように、トラックフレーム71の左右両側面に取り付けられる第1・第2回転軸として、メインフレーム70側にピボットシャフト51、作業機6の支持フレーム61側にトラニオン52を、それぞれ設けている。
【0034】
これにより、例えば、作業機6を駆動する際に支持フレーム61を、トラニオン52を中心として回転させた場合でも、その近傍を通過するように配置されたチルト配管53が引っ張られて損傷を受ける等の不具合の発生を回避することができる。
(3)
本実施形態のトラックフレーム内のチルト配管53の配置構造では、図4等に示すように、トラックフレーム71内におけるチルト配管53が設置される部分に沿って、パイプ材55を取り付けている。
【0035】
これにより、トラックフレーム71内において、チルト配管53を露出させた結果、損傷を受けてしまう等の問題を防止して、チルト配管53を保護することができる。
(4)
本実施形態のトラックフレーム内のチルト配管53の配置構造では、図4および図6等に示すように、パイプ材55を溶接によってトラックフレーム71に対して固定している。
【0036】
これにより、パイプ材55とトラックフレーム71との接続部分を隙間無く強固に接続することができる。この結果、パイプ材55とトラックフレーム71との接続部分から土砂等の浸入を防止することができる。
(5)
本実施形態のトラックフレーム71内のチルト配管53の配置構造では、図4等に示すように、トラックフレーム71の作業機6との連結側における面におけるパイプ材55との接続部分が楕円形状になるように、第2開口部71bが形成されている。
【0037】
これにより、略円径の断面を有するパイプ材55との連結部分において、パイプ材55とトラックフレーム71との溶接接続を隙間無く行うことができる。この結果、トラックフレーム71において、特に、土砂等が入り込み易い両外側の面からトラックフレーム71内への土砂等の浸入を確実に防止することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0038】
(A)
上記実施形態では、トラックフレーム71内に配置される配管を、パイプ材55の内部に配置した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、パイプ材を用いないで、トラックフレーム内に配管を設置してもよい。
ただし、トラックフレーム内における配管の損傷等の問題を考慮すれば、上記実施形態のように、パイプ材等によって覆われるように配管を設置することが好ましい。
【0039】
(B)
上記実施形態では、トラックフレーム71内に配置される配管を保護するためのパイプ材55と、トラックフレーム71の外側の面との接続部分に、楕円形の開口部(第2開口部71b)を形成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
例えば、パイプ材の断面形状が正方形の場合には長方形の開口部を形成する等、パイプ材の形状によって接続部分に形成される開口部の形状を設定すればよい。
(C)
上記実施形態では、トラックフレーム71内に配置される配管を保護するためのパイプ材55と、トラックフレーム71の外側面との接続部分だけに、略楕円形状の第2開口部71bを形成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
例えば、トラックフレームにおける内側面とパイプ材との接続部分にも、略楕円形状の開口部を形成してもよい。
この場合には、トラックフレームの内側からの異物等の浸入を防止することができる。
(D)
上記実施形態では、トラックフレーム71における内外の側面に対してそれぞれ開口部(第1・第2開口部71a,71b)を形成し、これらの開口部を通過させるようにチルト配管53を配置した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
例えば、作業機とトラックフレームとの接続部分がトラックフレームにおける上面にある場合には、トラックフレームの内側面に形成された開口部から、上面に形成された開口部を通過させて配管を設置するようにしてもよい。
(E)
上記実施形態では、本発明に係るトラックフレーム71内の配管配置構造を、ブルドーザ1のチルト配管53の配置構造に対して適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
例えば、トリミングドーザのピッチ配管のように、他の建設機械のトラックフレームに搭載された配管の配置構造に対しても同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のトラックフレーム内の配管配置構造は、配管にかかる負荷を低減しつつ、配管を保護する部品点数を削減して、構成を簡素化することができるという効果を奏することから、各種建設機械に設置された配管の配置構造に対しても広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係るトラックフレーム内の配管配置構造が採用されたブルドーザの外観を示す側面図。
【図2】図1のブルドーザに含まれるトラックフレーム周辺の構成を示す外観図。
【図3】図2のトラックフレーム内におけるチルト配管の配置を示す断面図。
【図4】図3のトラックフレーム内におけるチルト配管の配置を示す拡大断面図。
【図5】図4のトラックフレームにおけるメインフレーム側の配管配置構造を示す図。
【図6】図4のトラックフレームにおけるメインフレーム側の配管配置構造を示す図。
【符号の説明】
【0046】
1 ブルドーザ(建設機械)
2 キャブ
3 車体フレーム
6 作業機
7 走行装置
35 終減速装置
51 ピボットシャフト(第1回転軸)
52 トラニオン(第2回転軸)
53 チルト配管(配管)
55 パイプ材
60 ブレード
61 支持フレーム
62 チルトシリンダ(油圧シリンダ)
63 リフトシリンダ
70 メインフレーム
71 トラックフレーム
71a 第1開口部
71b 第2開口部
72 アイドラ
73 スプロケット
75 配管カバー
P 履帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧シリンダによって駆動される作業機が取り付けられた建設機械のトラックフレーム内における配管の配置構造であって、
前記建設機械のメインフレームと前記トラックフレームとを回転可能な状態で接続する第1回転軸の近傍に形成された第1開口部と、
前記作業機と前記トラックフレームとを回転可能な状態で接続する第2回転軸の近傍に形成された第2開口部と、
前記第1開口部と前記第2開口部との間を最短距離で結ぶように配置された前記配管と、
を備えているトラックフレーム内の配管配置構造。
【請求項2】
前記第1回転軸は、ピボットシャフトであって、
前記第2回転軸は、トラニオンである、
請求項1に記載のトラックフレーム内の配管配置構造。
【請求項3】
前記第1開口部と前記第2開口部とを最短距離でつなぐように、前記トラックフレーム内に固定されたパイプ材を、さらに備えている、
請求項1または2に記載のトラックフレーム内の配管配置構造。
【請求項4】
前記パイプ材は、前記トラックフレームに対して溶接によって固定されている、
請求項3に記載のトラックフレーム内の配管配置構造。
【請求項5】
前記第2開口部は、楕円形状になるように形成されている、
請求項3または4に記載のトラックフレーム内の配管配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−29352(P2009−29352A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197775(P2007−197775)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】