トランジスタ電力増幅器のための入力回路及びそのような回路を設計するための方法
回路であって、入力整合ネットワークと、入力整合ネットワークの出力に接続されるトランジスタ14とを有し、入力整合ネットワーク12は、該入力整合ネットワーク12が相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに第1の入力インピーダンスを有し、該入力整合ネットワーク12が相対的に高い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに、第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有する、回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的にはトランジスタ電力増幅器に関し、より詳細には、そのようなトランジスタ電力増幅器のための入力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において知られているように、広い範囲の入力電力レベルにわたって線形に、且つ高い効率で増幅器を動作させることが望ましい場合が多い。そのような電力増幅器を設計するために、高入力電力レベルにおける性能と低入力電力レベルにおける性能との妥協を図る固定入力インピーダンスネットワークが設計される。
【0003】
同じく当該技術分野において知られているように、窒化ガリウム(GaN)トランジスタは、高い電圧(典型的には、20V〜50V)及び高い電流密度(最大で1.5A/mm)において動作する、バンドギャップが広い半導体デバイスである。外周が大きなデバイス(2mm以上)の場合に、そのデバイスは、2GHz〜20GHzの周波数範囲にわたって6W/mmを生成することが実証されている。40GHzまでのさらに高い周波数において、そのトランジスタは、4W/mmまでの出力電力を生成することが知られている。
【0004】
1つのタイプのGaNは、図4に示されるように、ガンマゲート(すなわち、フィールドプレートとも呼ばれることがある突出部がゲートドレイン領域の中に延在しているゲート)を含む。その突出部の目的は、GaNの広いバンドギャップ特性を利用するために、トランジスタが高い電圧において動作できるように、その領域内のフィールドを小さくすることである。これは、Sバンド、Cバンド、Xバンド及びKuバンドにおける本発明の全てのMMIC設計用途において一般的に用いられるタイプのトランジスタである。GaNのようなトランジスタは、軍事レーダ、通信及び商用の基地局の用途において用いるための高電力増幅器を設計するために用いられる。電力増幅器は通常、規定電力レベルにおいて規定周波数帯域にわたって動作するように設計される。その帯域内の所与の周波数において、増幅器応答は、その伝達特性、すなわち、出力電力対入力電力(駆動)によって評価される。入力駆動レベルが増加すると、その出力電力は、最初は入力電力の一次関数であるが、最終的には飽和又は圧縮に達する。
【0005】
既知のように、小信号はトランジスタ(FET)の線形動作を意味し、大信号はトランジスタの非線形動作を意味する。線形動作は、定義により、システム又は増幅器の最小の摂動を意味する。20dB未満の利得で1Wの飽和出力電力を生成する増幅器の場合、数ミリワットの入力駆動電力を加えることは、線形動作と見なされるであろう。その増幅器の応答は、一次式Pout=(SS Gain)×Pinによって与えられる。ただし、SS Gainは増幅器の小信号利得であり、この式では定数である。Pinが増加すると、その関係は或る入力駆動レベルまで持続するが、そのレベルを超えると、SS GainがLS Gain(大信号利得)によって置き換えられ、もはや定数ではなくなる。或る駆動レベルでは、LS GainはSS Gainよりも1dBだけ低く、Pout対Pin伝達曲線内において1dB圧縮点と呼ばれる領域内にある。図5に示されるように、1dB圧縮点を超えると、通常の増幅器は、Pinが1dB増加する毎に、利得が1dB降下するという利得応答(1dB/1dB)に従う。1dB/2dB又は1dB/3dB等の勾配を示すことによって大信号領域においてこの利得応答から逸脱する増幅器は、緩圧縮を有すると言うことができる。
【0006】
電圧及び電流の空間及び時間依存性があるマイクロ波周波数では、電圧ではなく、電力を用いることが習慣になっている。電圧は電力の平方根に比例する。増幅器の各電力レベルは電圧及び電流に対応する。小信号方式では、電圧及び電流は正弦曲線を成す。大信号方式では、正弦曲線を入力することによって、電圧及び電流形状が歪んでいる出力が生成される可能性がある。それゆえ、電力に関して述べるのが容易になる。小信号領域では、電圧と電流とを単純に乗算することによって電力を得ることができる。大信号領域では、電力は、複素電圧及び電流を1サイクルにわたって積分したものである。
【0007】
トランジスタ又は電力増幅器の典型的な伝達特性が図5に示されており、図5には、低い方の入力電力レベルにおける線形領域、及び高い方の入力電力レベルにおける完全な(hard)飽和領域が示される。同じ図5には、理想的なトランジスタの伝達特性を例示する実線もプロットされる。いずれの曲線もPin(dBm)(入力駆動レベル)を付された共通のX軸を有する。上側の曲線はPout又は電力出力対Pinである。下側の曲線はdB単位の利得対Pinである。
【0008】
フィールドプレートを有するGaN系トランジスタ及び高い電圧において動作する電力増幅器は、同じ図5において破線によって示される「緩圧縮」特性を示すことが観測されている。そのトランジスタの1dB圧縮はPin=9dBmにおいて生じるが、一方、「理想的な」トランジスタはPin=13dBm以上の場合に飽和する。緩圧縮に起因して、理想的でないFETは、デバイスの電力飽和を得るために、より高い入力駆動レベルを必要とすることになり、そのようなFETを用いて設計された増幅器も、通常よりも高い駆動を必要とするであろう。さらに、2段GaN増幅器では、段間のFET比を控えめに選択する必要があるため、それも効率低下の一因になるであろう。
【0009】
トランジスタのための入力インピーダンスを設計するために用いられる方法は通常、以下の通りである。最初に、出力同調器負荷を50オームに整合させる。次に、小信号ソースプルを用いて、最良の出力電力を得るための最良の信号源整合を特定する(ソース又はロードプルは、最適な性能が達成されるまで、スミスチャートの周辺でトランジスタの入力整合又は出力整合のいずれかを変更する技法を指している)。代替的には、デバイスの通常動作範囲内の所定の周波数、ここでは、たとえば3GHzの周波数において、そのデバイスのSパラメータから、スミスチャート上の信号源整合位置を得ることもできる。この信号源整合は、デバイスの入力に対する小信号共役整合とも呼ばれる。次に、この信号源整合を固定して、そのデバイスにおいて、低駆動レベルから高駆動レベルまでのロードプルが実行される。その駆動レベルは、出力を少なくとも3dB圧縮させるほど十分に高くすべきである。次に、低駆動レベルから高駆動レベルまでの電力及び効率等高線が生成され、電力及び効率負荷目標の位置が書き込まれる。次に、電力及び効率負荷目標において、Pout対Pin伝達曲線が得られる。また、そのシステムは、いくつかある測定関連パラメータの中でも、Gt及びGp(変換器利得及び電力利得)、デバイス入力からの反射電力(S11)又は反射減衰量も記録する。その伝達曲線Pout対Pinは、図5に示されるように、緩圧縮特性を示すことは明らかである。デバイスを飽和させるために必要とされる入力駆動レベルに留意されたい。
【0010】
したがって、GaNデバイスの入力を従来の小信号共役整合を用いて整合させるか、又は低駆動において整合させるとき、Pout対Pinの伝達特性によって示されるように、そのデバイスは望ましい1dB/1dBの急な折れ曲がりではなく、「緩」圧縮特性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願人らは、固定入力インピーダンスネットワーク(すなわち、低入力電力レベル及び高入力電力レベルの両方において同じ成分を有する入力インピーダンス)を用いるとき、高入力電力レベルにおいて増幅器効率が著しく劣化することを発見した。この著しい劣化は、そのような入力インピーダンスネットワークがフィールドプレートを有するトランジスタのゲート電極に結合されるときに、及びGaNトランジスタ電力増幅器と一体にされるときに、本出願人らによって特定されている。より詳細には、GaNトランジスタに関しては、そのようなトランジスタは緩圧縮を示す(すなわち、そのトランジスタの線形増幅領域と、そのトランジスタの非線形増幅領域との間が徐々に移行する)ことがわかっている。
【0012】
さらに詳細には、本出願人らは、デバイスの入力において、相対的に低い信号入力駆動レベルではなく、相対的に高い信号入力駆動レベルにおける整合手順を用いるときに、GaNデバイスにおける緩圧縮を著しく低減することができるか、又は解消することができることを発見した。より詳細には、大信号条件下、又は高駆動でデバイスを再び整合させ、その後、電力又は効率電力負荷において伝達曲線を掃引する際に、伝達特性内の緩圧縮特性は大幅に低減されるか、又は解消される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、回路であって、入力整合ネットワークと、インピーダンスネットワークの出力に結合されるトランジスタとを有し、入力整合ネットワークは、該入力整合ネットワークが相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに第1の入力インピーダンスを有し、該入力整合ネットワークが相対的に高い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに、第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有する、回路が提供される。
【0014】
一つの実施の形態では、トランジスタはフィールドプレートを有する。
一つの実施の形態では、トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである。
本発明の別の特徴によると、回路であって、入力電極を有するトランジスタと、入力信号を供給される入力を有し、トランジスタの入力電極に接続される出力を有する入力整合ネットワークと、入力信号を供給される電力レベル検知回路とを有し、入力整合ネットワークは、電力レベル検知回路に応答して、入力信号が相対的に低い電力レベルを有することを上記電力レベル検知回路が検知するときに、入力整合ネットワークが第1の入力インピーダンスを有するように構成し、入力信号が相対的に高い電力レベルを有することを上記電力レベル検知回路が検知するときに、入力整合ネットワークが第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有するように構成する、回路が提供される。
【0015】
一つの実施の形態では、入力整合ネットワークは、入力信号が相対的に高い電力レベルを有することを上記電力レベル検知回路が検知するときに、入力信号とトランジスタの入力電極との間に直列に結合される第1のインダクタを有し、入力信号が相対的に低い電力レベルを有することを上記電力レベル検知回路が検知するときに、入力信号とトランジスタの入力電極との間に直列に結合される第2のインダクタを有する。
【0016】
一つの実施の形態では、入力整合ネットワークは、一対の電気的構成要素と、少なくとも1つのスイッチとを備える。該スイッチは、電力レベル検知回路に応答して、相対的に高い電力レベル又は相対的に低い電力レベルの一方において入力整合ネットワークから一対の電気的構成要素の一方を電気的に切り離すように動作すると共に、相対的に高い電力レベル又は相対的に低い電力レベルの他方において、一対の電気構成要素の上記一方を入力整合ネットワークに電気的に結合するように動作する。
【0017】
したがって、本発明は、入力信号電力レベルに依存する構成要素(すなわち、構成可能な入力整合ネットワーク)を組み込む。最初に、最適な小信号入力整合ネットワーク構成がGaNトランジスタに取り付けられる。これは、低駆動電力(すなわち、低信号電力レベル)において増幅用トランジスタに良好な安定性、反射減衰量及びRF入力からの電力伝達を与えるが、高駆動電力(すなわち、高信号電力レベル)における性能不良を犠牲にしている。その後、高入力信号電力レベルにおいてのみ、再構成された入力整合ネットワークを用いて、緩圧縮を生じることなく最大性能を実現するのに最適である値まで位相角を回転させる(すなわち、整合させる)。たとえば、外周が2.5mmのトランジスタの場合に、Sバンドにおいて、この入力整合ネットワークは、スミスチャート上で元の位相角を10度だけ時計回りに回転させる必要がある。再構成された入力整合ネットワークは、電力検知ダイオードによって起動される、RF経路内のスイッチを介して第1の整合ネットワークから切り離される。駆動電力が高くなると、電力検知ダイオード及び関連する回路は、RFスイッチを開いて(空乏モードスイッチ動作)、第2の整合ネットワークを第1の整合ネットワークに接続し、最適な大信号整合点まで回転させる。ダイオードのサイズ及びバイアスは、増幅段FET外周に基づいて、設定された駆動レベルにおいて「ターンオン」するように選択されるであろう。そのような構成によれば、入力整合ネットワークは、低入力信号駆動電力レベルにおいてインピーダンス整合を提供する構成と、高入力信号駆動電力レベルにおいてインピーダンス整合を提供するための異なる構成とを有する。
【0018】
したがって、本発明は、「スマート」で調整可能又は構成可能な入力整合ネットワークと、今理解したばかりの複雑なGaN緩圧縮とを組み合わせる。本発明は、低駆動時及び高駆動時の安定性及び性能に関する問題に最適な解決策を提供する。
【0019】
本発明によれば、GaNトランジスタデバイスのための入力ネットワークを設計するための方法が提供される。その方法は、相対的に高い入力信号電力レベルを用いて、入力ネットワークを通じてデバイスを駆動すること;デバイスの出力を所定の出力電力レベルにしたまま、入力ネットワークのパラメータを変更すること;入力ネットワークパラメータが変更されるのに応じて、デバイスの伝達関数性能パラメータを測定すること;及び測定された伝達関数性能パラメータから入力ネットワークパラメータを選択することを含む。
【0020】
本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明において記述される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、その説明及び図面から、そして特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるガリウムヒ素電力増幅器の回路図である。
【図2A】図1の増幅器が相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときの、そのような増幅器の出力段を形成する共通ソース構成のトランジスタの入力インピーダンスの等価回路図である。
【図2B】図1の増幅器が相対的に高い電力レベルを有する入力信号を供給されるときの、そのような増幅器の出力段を形成する共通ソース構成のトランジスタの入力インピーダンスの等価回路図である。
【図3A】図1の増幅器が相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときの、そのような増幅器の出力段を形成する共通ソース構成のトランジスタの入力に結合される入力整合ネットワークの等価回路図である。
【図3B】図1の増幅器が相対的に高い電力レベルを有する入力信号を供給されるときの、そのような増幅器の出力段を形成する共通ソース構成のトランジスタの入力に結合される入力整合ネットワークの等価回路図である。
【図4】トランジスタの囲まれた領域において拡大して示されるガンマゲート(フィールドプレート)を有するGaNトランジスタデバイスの断面図である。
【図5】「理想的な」トランジスタデバイスと比べた、図1のGaN FETの出力電力(Pout)対入力電力(Pin)伝達特性の曲線を示す図である。
【図6】デバイスを試験し、本発明において記述される結果を生成するために用いられるロードプルベンチテスト構成10を示す図である。
【図7】FETが最大電力を得るための負荷において終端されるときの、共役小信号源整合(破線)及び大信号源整合(実線)の場合の2.5mmGaN FETデバイスのPout対Pin特性の曲線を示す図である。
【図8】デバイスが最大効率を得るための負荷において終端されるときの、共役小信号源整合(破線)及び大信号源整合(実線)の場合の2.5mmGaN FETデバイスのPout対Pin特性の曲線を示す図である。
【図9】スミスチャート上の被試験デバイスのための小信号源及び大信号源整合の位置を示す図である。
【図10】図1のGaNトランジスタデバイスの小信号モデルを示す図である。
【図11】被試験デバイスのための大信号動的負荷線を重ね合わせられているCgs対Vds及びVgsのプロットである。
【0022】
種々の図面内の類似の参照符号は類似の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで図1を参照すると、電力増幅回路10が、RF入力信号に結合するための入力端子13を有する入力整合ネットワーク12と、入力整合ネットワーク12の出力16に結合されるトランジスタ14を有する出力段15とを備えることがわかる。ここで、トランジスタ14は、フィールドプレートを有するガリウムヒ素(GaN)電界効果トランジスタ(FET)である。以下でさらに詳述されるように、入力整合ネットワーク12は、入力信号の電力レベルに応じて構成可能である。より詳細には、入力整合ネットワーク12は、そのような入力整合ネットワーク12が相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときには第1の入力インピーダンスを有するように構成され、そのような入力整合ネットワーク12が相対的に高い電力レベルを有する入力信号であるときには、第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有するように構成される。
【0024】
より詳細には、増幅回路10は、入力13に接続され、それゆえ入力信号を供給される電力レベル検知回路18を備える。以下でさらに詳述されるように、入力整合ネットワーク12は、入力信号が相対的に高い電力レベルを有することをそのような電力レベル検知回路18が検知するときに、入力信号とトランジスタ14の入力電極16との間に直列に結合される第1のインダクタL1を有し、また入力整合ネットワーク12は、入力信号とトランジスタ14の入力電極16との間に直列に結合される第2のインダクタL2を有し、それゆえ、入力信号が相対的に低い電力レベルを有することをそのような電力レベル検知回路18が検知するときに、インダクタL1及びL2は並列に接続される。
【0025】
相対的に低い入力信号電力レベルの場合のトランジスタ14への入力インピーダンスが図2Aに示されており、相対的に高い入力信号電力レベルの場合のトランジスタ14への入力インピーダンスが図2Bに示される。したがって、相対的に低い入力信号電力レベルでは、トランジスタ14への入力インピーダンスは、この例では、16.8pFキャパシタと直列に接続される5.90オーム抵抗器であり(ここで、トランジスタ14は2.5mmの外周を有し、直列の抵抗器−キャパシタ(RC)値は3GHzに対して規定される)、一方、同じ周波数であるが、相対的に高い入力信号電力レベルにおいて動作する同じトランジスタ14は、4.33pFキャパシタと直列に接続される6.41オーム抵抗器の入力インピーダンスを有する。したがって、入力インピーダンスキャパシタンスは、高電力レベルの入力信号と低電力レベルの入力信号との間で約300パーセント変化する。以下でさらに詳述されるように、相対的に低い入力信号電力レベルでは、入力整合ネットワーク12は、図3Aに示されるように構成され、相対的に高い入力信号電力レベルの場合、入力整合ネットワークは図3Bに示されるように構成される。入力整合ネットワーク12が低い入力信号電力レベルの条件に対して構成されるとき、図3Aに示されるように、インダクタL1及びL2を並列に組み合わせることによって与えられる0.422nHがトランジスタの入力インピーダンスと直列に接続され、入力整合ネットワークが高い入力信号電力レベルの条件に対して構成されるとき、図3Bに示されるように、インダクタL1によって与えられる0.897nHインダクタが、トランジスタの入力インピーダンスと直列に接続されることに留意されたい。
【0026】
入力整合ネットワーク12を図3Aに示される構成又は図3Bに示される構成のいずれかに再構成することは、入力信号の電力を検知し、ライン19上に、スイッチ20、22、ここではたとえば、空乏モードFET Q2及びQ3のための制御信号を生成する電力レベル検知回路18を用いて行なわれる。
【0027】
この回路図では、低入力信号電力レベルの場合に図2Aに示され、高入力信号電力レベルの場合に図2Bに示される直列RCとして表される、GaN FET(すなわち、トランジスタ14)のゲートインピーダンスは、再構成可能な入力整合ネットワーク12を通じて、特性システムインピーダンス、この場合には50オーム(すなわち、増幅器10の入力インピーダンス)と同じように見える(すなわち、インピーダンス整合する)ように変換される。
【0028】
より詳細には、ここではたとえば、キャパシタC8として示される結合ネットワークCNが、入力信号の一部を電力レベル検知回路18に供給する。結合ネットワークCNは、複数の潜在的な構成(抵抗器、キャパシタ、結合ライン等)において実装される場合があることは理解されたい。この結合ネットワークCNは、結合係数に応じて、検出器バイアスネットワークBNとは独立して状態変化のためのしきい値を調整する能力を有し、ここで、バイアスネットワークBNは、たとえば、電圧源(V+)と、結合ネットワークCN、ここではキャパシタC8及び電力レベル検知回路18のダイオードD1の間の接合部21との間に接続される抵抗器R6として示される。バイアスネットワークBNは、複数の潜在的な構成(抵抗器、インダクタ、抵抗分圧回路等)において実装される場合があり、特にDCバイアス電圧を導入することを通じて、同じく状態変化のためのしきい値を独立して調整する能力を有するが、電力レベル検知回路18は受動回路(passively)(バイアスなし)でも十分に動作するであろう。また、電力レベル検知回路18はキャパシタC1も備える。キャパシタC1は、ダイオードD1を通じて、負のRF半サイクルにおいて充電し、D1に与えられる信号レベルに関連する出力レベルで、低リップルで徐々に負になる電圧を負荷抵抗器R5に供給する。抵抗器R5にかかる電位は、同時に、分離バイアス抵抗器R1及びR2を通じて、ライン19上で空乏モードFET(d−FET)Q2及びQ3のゲート(すなわち、スイッチ20、22)に切替信号を供給している。バイアス抵抗器R3及びR4は、Q2及びQ3トランジスタを適切に切り替えられるようにするために組み込まれる場合がある。この結果、以下のような動作が行われる。(1)低いRF入力信号電力レベルによって抵抗器R5にかかる電位が生成されるが、その電位はトランジスタQ2及びQ3の絶対ピンチオフ電圧未満である;d−FETドレイン及びソースが実質的に短絡され、インダクタL1及びL2が並列に接続されて、トランジスタ14の入力インピーダンスを最適に整合させる換算値が得られ、それにより、その入力整合ネットワークを図3Aに示されるネットワークに構成する;一方、(2)高レベルのRF入力信号電力によって抵抗器R5にかかる電位が生成され、その電位はトランジスタQ2及びQ3の絶対ピンチオフ電圧よりも高く、d−FETドレイン及びソースが実質的に開放され、インダクタL2が入力整合ネットワークから電気的に切り離されて、結果として、インダクタL1だけがトランジスタ14の入力に直列に接続され、所望の位相角回転を与え、入力整合ネットワーク12の固定値構成要素の残りの部分を通じて、トランジスタ14の入力に、ここではたとえば、13における50オームRF入力に最適に整合させる。状態変化のためのしきい値は、入力信号RF電力レベル、結合ネットワークCNの結合係数及び位置、バイアスネットワーク構成BN及びオプションのバイアス、ダイオードD1出力電圧感度、及び抵抗器R5の値によって制御される。種々の無効成分構成及び抵抗成分構成を利用して複数の入力整合ネットワークが実現される場合があるため、インダクタL1及びL2は同じように簡単にキャパシタとすることができることは理解されたい。この回路図では、再構成可能な素子がRF信号の流れ(13〜16)と直列を成すが、RF信号の流れと並列に構成することもでき、それは再び、入力整合ネットワークの構成選択による。最も重要なことは、誘導性、容量性、抵抗性のいずれにしても、それらの素子が、Q2及びQ3のような空乏モード(すなわち、d−FET)スイッチングトランジスタの場合に低レベルにおいて合成され、高レベルにおいて分離されることである。図示される並列再構成可能素子の場合、増幅器10への入力においてRF駆動レベルが低レベルから高レベルに変化する場合、概念上のインダクタ及び抵抗器の値は増加するか、又は概念上のキャパシタの値は減少する。
【0029】
また、入力整合ネットワーク12は、図に示されるように配置されるインダクタL5及び一対のキャパシタC6及びC7を有する非構成可能部分24も備える。
入力整合ネットワーク12の出力16は、キャパシタC2を通じて、トランジスタ14のゲートに結合されるRF交流(AC)である。トランジスタ14のゲート及びドレインへのバイアスは電圧Vg及びVdによって与えられ、そのようなバイアスは、それぞれインダクタL3及びL4を通じてゲート及びドレインに結合される直流(DC)であり、その他にACがあるが、電源において不要なRF信号を防ぐために、図に示されるように、ACはキャパシタC3及びC4を通じてそれぞれグランドに結合される。
【0030】
したがって、増幅器10は、電力レベル検知回路18によって制御される再構成可能入力整合ネットワーク12を備える1段増幅器である。利得段は、DCブロッキングキャパシタC2及びC5(Vgバイアス及びVdバイアスが動くのを抑制する)、DCバイアス注入チョークL3及びL4、並びにRFバイパスキャパシタC3及びC4を含む。再構成可能入力整合ネットワーク12は、固定値入力整合素子L5、C6及びC7を含む部分整合ネットワークを含む。スイッチングトランジスタQ2及びQ3、ゲート分離抵抗器R1及びR2、バイアスプルダウン抵抗器R3及びR4は、実際のスイッチ機能を形成する。電力レベル検知回路18は、RF結合素子(CN)と、DCバイアスネットワーク(BN)と、整流ダイオードD1、RFバイパスキャパシタC1及び負荷抵抗器5を含む検出器回路とを備える。この結果として、RF入力振幅に関連する調整可能な出力信号が生成され、その信号がQ2及びQ3の切替を起動する。スイッチ起動しきい値は、CN結合係数、BNバイアスレベル、及び抵抗器R1/R2及びR5を利用する抵抗分圧ネットワークを変更することによって調整される。
【0031】
ここで図6を参照すると、本明細書において記述される結果を生成するために用いられるロードプルベンチテスト構成10が示される。構成10は、Maury社によって製造される商用ユニットである。本発明の発見は、フィールドプレートを有するGaN FETに関する3GHzの周波数でのロードプル測定の過程において生じた。図6に示されるように、その構成は被試験デバイス(DUT)12を含み、この事例では、被試験デバイス(DUT)12は2.64mm(12×220μm(um))GaN FETデバイスであった。デバイス12の左右には、14及び16によって示されるソースチューナ及びロードチューナがある。また、構成10は、RFソース18、反射電力センサ20、方向性結合器22、ゲートバイアスT24、ソースチューナ26、入力ケーブル及びプローブ28、ドレインバイアスT32、出力経路34、電力計36、チューナコントローラ38、並びにゲート及びドレインのためのバイアスシステム34も備える。ソースチューナ14によって、デバイス12の入力に対する信号源の整合を設定できるようになり、一方、ロードチューナ16は、種々の出力負荷整合条件を走査するように設定することができる。システムソフトウエアは、電力及び効率のための両方の出力負荷曲線を計算し、プロットする。同様に、固定された出力負荷整合に対して、そのシステムは、最適な信号源整合を特定できるようにする。
【0032】
実験手順は、結果として緩圧縮を生じる上記の標準的な方法(又は旧来の方法)と、緩圧縮を低減するか又は解消する、記述される新たな手順とを用いて、デバイスロードプルを実行するために構成10を使用する。ここでは、デバイスのQ点が28V及び100mA/mmに設定される。
【0033】
デバイス12のための入力インピーダンスを設計する手順は以下の通りである。上記のように、負荷を50オームに整合させて、デバイス12において小信号ソースプルを実行して、最良の電力を得るための最良の信号源整合を特定する。代替的には、この実験のために選択された周波数である3GHzにおけるデバイスのSパラメータから、スミスチャート上の信号源整合位置を得ることもできる。この信号源整合は、デバイス12の入力に対する小信号共役整合とも呼ばれる。次に、この信号源整合を固定して、低駆動レベルから高駆動レベルまでのデバイス12のロードプルが実行される。その駆動レベルは、出力を少なくとも3dB圧縮させるほど十分に高くすべきである。しかしながら、ここで、旧来の手順とは異なり、デバイス12の出力はその最適な電力目標にあり、大信号入力駆動レベルにおいてデバイス12上でソースプルが実行され、電力及び効率負荷目標においてPout対Pin伝達曲線が得られる。また、そのシステムは、いくつかある測定関連パラメータの中でも、Gt及びGp(変換器利得及び電力利得)、デバイス入力からの反射電力(S11)又は反射減衰量も記録する。その新たな信号源整合(大信号源整合)位置は、小信号共役整合点からスミスチャート上で約10度〜15度だけ時計回りに回転させることがわかる。同じステップに従って、効率負荷条件下で大信号源整合の位置を得ることができる。これらの両方の大信号源整合点の位置はスミスチャート上で互いに極めて接近しているため、それらの点は同一である(being one and the same)と見なすことができることがわかった。次に、この信号源整合が固定され、電力掃引(伝達曲線)が、電力及び効率の両方の負荷目標の場合に実行される。それらの掃引は、両方の負荷条件の場合に、緩圧縮が著しく低減されることを示す。元の小信号源整合と新たな大信号源整合との間の規則的な間隔の点に対して伝達曲線が得られる。この同じ技法がXバンドにおけるGaNトランジスタに適用されており、信号源入力整合の同じ約10度の時計回りの回転が正しいことがわかっている。
【0034】
こうして、GaNトランジスタデバイスのための入力ネットワークを設計するための方法が提供される。その方法は、相対的に大きな入力信号電力レベルを用いて、入力ネットワークEを通じてデバイスを駆動すること;及びデバイスの出力を所定の出力電力レベルにしたまま、入力ネットワークEのパラメータを変更することを含む。すなわち、Eは入力チューナであり、そのデバイスに対して、スミスチャートを通じて種々の整合が提示されるようにすることができる。同様に、Hは出力チューナであり、同じく変更することもできる。その方法はさらに、入力ネットワークパラメータが変更されるのに応じて、デバイスの伝達関数性能パラメータを測定すること;及び測定された伝達関数性能パラメータから入力ネットワークパラメータを選択することを含む。
測定の解析
フィールドプレートを有するGaN FETは、緩やかな利得圧縮特性を示し、その緩圧縮の程度はデバイスに対して与えられる出力負荷インピーダンスと共に変化することが観測されている。たとえば、電力負荷インピーダンスに対して整合するデバイスは非常に緩やかな圧縮特性を有し、一方、効率負荷に対して整合するデバイスは、著しく改善された圧縮特性を示すことが観測されている。これがPout対Pinとして(from)図7及び図8に示されており、それは電力及び効率負荷の場合に測定されたロードプルデータである。図7及び図8は、2つの異なる出力負荷整合条件、電力負荷及び効率負荷の場合のGaN FETの測定されたロードプルデータを与えることに留意されたい。いずれの図面も、Pout、利得及び効率対Pinをプロットする。各図中の破線は、結果として緩圧縮を生じる小信号入力源整合条件に対応する。実線による曲線は、大信号条件下で入力信号源整合が設定されるときに、緩圧縮がいかに低減されるかを示す。2つの図から、図7は、FET出力が電力負荷と整合しており、緩圧縮の問題をさらに明らかに示す。図8では、FETがその出力において効率負荷に整合しており、図7ほど深刻ではない。
【0035】
破線である曲線の場合の信号源整合は、デバイスの入力に対する標準的な小信号共役整合である。被測定デバイスは、フィールド/ガンマゲートが24V、100mA/mmでバイアスをかけられている2.5mmGaN FETであり、CW測定は3GHzにおいて実行される。共役小信号源整合(破線)及び大信号源整合(実線)による2.5mmGaN FETのPout対Pin特性が示される。そのデバイスは、最大電力を得るための負荷において終端される。
【0036】
小信号源整合下では、そのデバイスが著しい量の緩圧縮を示すことが、特に図7から明白である。デバイスの入力を大信号駆動条件下で再び整合させるとき、その圧縮特性は、実線によって示されるように、「正常」に近くなる。緩圧縮の指標は、入力駆動レベルと共に利得が減少する割合である。図7においてデータをさらに解析すると、標準的な信号源整合の場合(破線)に、そのデバイスがPin=15dBmにおいて1dB圧縮点に達することがわかる。Pin=15dBmから25dBmまで、利得は0.3dB/dBの割合で降下し、それを超えると、0.9dB/dBの割合で降下する。大信号源整合条件(実線)の場合、そのデバイスはPin=21dBmにおいて1dB圧縮に達し、その後、利得は0.9dB/dBの割合で降下し、それは、従来から容認される1dB/dBの利得減少の指標に極めて近く、典型的にはGaAs pHEMTで観測される値である。このデータから、大信号整合の場合には、PAEピークが15.6dBの利得で4.4dB圧縮されたデバイスで生じ、一方、小信号入力整合の場合には、PAEピークにおけるデバイスの利得は12.9dBであり、そのデバイスは7.1dB圧縮であることにも留意されたい。この違いは、各段の入力において2段電力増幅器(PA)を整合させる方法、増幅器においてFETのサイズを決める方法において意味を持ち、結果として、電力増幅器の効率に影響を及ぼす。
【0037】
小信号源整合インピーダンス及び大信号源整合インピーダンスの位置が、図9のスミスチャートにおいて示される。大信号条件下で最良の信号源整合を得るために、その信号源インピーダンスは、小信号源整合位置から少なくとも10度の時計回りの回転を経て、15度程度に大きく回転することができる。所与の大信号Pinの場合に、信号源整合を小信号の場合から大信号の場合に回転させるのに応じて、先に図7において示されたように、緩圧縮の程度が「不良」から正常に移行する。すなわち、トランジスタに信号を供給する入力ネットワークは、インピーダンススミスチャート上でトランジスタのゲート−ソースインピーダンスの複素共役をプロットし、その後、インピーダンススミスチャート上でそのプロットを10度〜15度だけ時計回りに回転させて、入力ネットワークの入力インピーダンスを得ることによって設計される。
【0038】
緩圧縮現象は一般的には高電圧デバイス(>15V動作)に特有であり、詳細には、フィールドプレートを有するGaNデバイスに特有である。この動作を理解する1つの方法は、図10に示されるGaN FETの小信号モデルに基づく。そのデバイスの入力整合は、3つの固有パラメータ、Cgs−ゲート−ソースキャパシタンス、Cgd−ゲート−ドレインキャパシタンス及びgm−相互コンダクタンスによって一次に(to a first order)制御される。Rs(ソース抵抗)及びRg(ゲート抵抗)も入力インピーダンスに寄与するが、これらは寄生と見なされ、バイアスへの依存性はない。Cgs、Cgd及びgmは大きくバイアスに依存し、すなわち、Vds(ドレイン−ソース電圧)及びVgs(ゲート−ソース電圧)の関数である。たとえば、図11は、Vgs及びVdsと共にCgsがいかに変化するかを示す。デバイスのAB級動作の場合に、大信号駆動レベルに対する動的負荷線がCgs面に重ね合わせられるとき、Q点及び小信号整合条件におけるCgs値が高駆動レベルにおいてもはや有効でないことが明白である。実際には、本発明者は、等価な大信号Cgs値を導出することができる。同様の解析が、Cgd及びgmの場合にも当てはまるであろう。大信号条件下のデバイスの性能は、新たな小信号入力駆動依存モデルによって表すことができ、そのモデルでは、パラメータCgs、gm及びCgdは以下のように表すことができる。
【0039】
Cgs=A1+B1*Pin+C1*Pin2
gm=A2+B2*Pin+C2*Pin2
Cgd=A3+B3*Pin+C3*Pin2
ただし、A1は定数であり、B1は定数であり、C1は定数であり、A2は定数であり、B2は定数であり、A3は定数であり、B3は定数であり、C3は定数である。
【0040】
複数の実施形態が説明されてきた。それでもなお、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を行なうことができることは理解されよう。たとえば、そのインピーダンス整合ネットワークの代わりに、そのようなネットワークが低入力信号及び高入力信号の両方の電力レベルにおいてインピーダンス整合を提供するように、インダクタ及びキャパシタから成る他の構成及び異なる受動素子を用いることもできることは理解されたい。さらに、共通ソース構成が説明されてきたが、そのインピーダンス整合ネットワークは、共通ゲート又は共通ドレインのような、他のトランジスタ構成に合わせて適切に変更することもできる。さらに、スイッチ20及び22のためにエンハンスメントモードトランジスタが用いられる場合には、低入力信号及び高入力信号の両方の電力レベルにおいてインピーダンス整合を提供するために、その入力整合ネットワークは他の受動素子構成を用いて適切に変更されるであろう。したがって、他の実施形態も添付の特許請求の範囲内にある。
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的にはトランジスタ電力増幅器に関し、より詳細には、そのようなトランジスタ電力増幅器のための入力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において知られているように、広い範囲の入力電力レベルにわたって線形に、且つ高い効率で増幅器を動作させることが望ましい場合が多い。そのような電力増幅器を設計するために、高入力電力レベルにおける性能と低入力電力レベルにおける性能との妥協を図る固定入力インピーダンスネットワークが設計される。
【0003】
同じく当該技術分野において知られているように、窒化ガリウム(GaN)トランジスタは、高い電圧(典型的には、20V〜50V)及び高い電流密度(最大で1.5A/mm)において動作する、バンドギャップが広い半導体デバイスである。外周が大きなデバイス(2mm以上)の場合に、そのデバイスは、2GHz〜20GHzの周波数範囲にわたって6W/mmを生成することが実証されている。40GHzまでのさらに高い周波数において、そのトランジスタは、4W/mmまでの出力電力を生成することが知られている。
【0004】
1つのタイプのGaNは、図4に示されるように、ガンマゲート(すなわち、フィールドプレートとも呼ばれることがある突出部がゲートドレイン領域の中に延在しているゲート)を含む。その突出部の目的は、GaNの広いバンドギャップ特性を利用するために、トランジスタが高い電圧において動作できるように、その領域内のフィールドを小さくすることである。これは、Sバンド、Cバンド、Xバンド及びKuバンドにおける本発明の全てのMMIC設計用途において一般的に用いられるタイプのトランジスタである。GaNのようなトランジスタは、軍事レーダ、通信及び商用の基地局の用途において用いるための高電力増幅器を設計するために用いられる。電力増幅器は通常、規定電力レベルにおいて規定周波数帯域にわたって動作するように設計される。その帯域内の所与の周波数において、増幅器応答は、その伝達特性、すなわち、出力電力対入力電力(駆動)によって評価される。入力駆動レベルが増加すると、その出力電力は、最初は入力電力の一次関数であるが、最終的には飽和又は圧縮に達する。
【0005】
既知のように、小信号はトランジスタ(FET)の線形動作を意味し、大信号はトランジスタの非線形動作を意味する。線形動作は、定義により、システム又は増幅器の最小の摂動を意味する。20dB未満の利得で1Wの飽和出力電力を生成する増幅器の場合、数ミリワットの入力駆動電力を加えることは、線形動作と見なされるであろう。その増幅器の応答は、一次式Pout=(SS Gain)×Pinによって与えられる。ただし、SS Gainは増幅器の小信号利得であり、この式では定数である。Pinが増加すると、その関係は或る入力駆動レベルまで持続するが、そのレベルを超えると、SS GainがLS Gain(大信号利得)によって置き換えられ、もはや定数ではなくなる。或る駆動レベルでは、LS GainはSS Gainよりも1dBだけ低く、Pout対Pin伝達曲線内において1dB圧縮点と呼ばれる領域内にある。図5に示されるように、1dB圧縮点を超えると、通常の増幅器は、Pinが1dB増加する毎に、利得が1dB降下するという利得応答(1dB/1dB)に従う。1dB/2dB又は1dB/3dB等の勾配を示すことによって大信号領域においてこの利得応答から逸脱する増幅器は、緩圧縮を有すると言うことができる。
【0006】
電圧及び電流の空間及び時間依存性があるマイクロ波周波数では、電圧ではなく、電力を用いることが習慣になっている。電圧は電力の平方根に比例する。増幅器の各電力レベルは電圧及び電流に対応する。小信号方式では、電圧及び電流は正弦曲線を成す。大信号方式では、正弦曲線を入力することによって、電圧及び電流形状が歪んでいる出力が生成される可能性がある。それゆえ、電力に関して述べるのが容易になる。小信号領域では、電圧と電流とを単純に乗算することによって電力を得ることができる。大信号領域では、電力は、複素電圧及び電流を1サイクルにわたって積分したものである。
【0007】
トランジスタ又は電力増幅器の典型的な伝達特性が図5に示されており、図5には、低い方の入力電力レベルにおける線形領域、及び高い方の入力電力レベルにおける完全な(hard)飽和領域が示される。同じ図5には、理想的なトランジスタの伝達特性を例示する実線もプロットされる。いずれの曲線もPin(dBm)(入力駆動レベル)を付された共通のX軸を有する。上側の曲線はPout又は電力出力対Pinである。下側の曲線はdB単位の利得対Pinである。
【0008】
フィールドプレートを有するGaN系トランジスタ及び高い電圧において動作する電力増幅器は、同じ図5において破線によって示される「緩圧縮」特性を示すことが観測されている。そのトランジスタの1dB圧縮はPin=9dBmにおいて生じるが、一方、「理想的な」トランジスタはPin=13dBm以上の場合に飽和する。緩圧縮に起因して、理想的でないFETは、デバイスの電力飽和を得るために、より高い入力駆動レベルを必要とすることになり、そのようなFETを用いて設計された増幅器も、通常よりも高い駆動を必要とするであろう。さらに、2段GaN増幅器では、段間のFET比を控えめに選択する必要があるため、それも効率低下の一因になるであろう。
【0009】
トランジスタのための入力インピーダンスを設計するために用いられる方法は通常、以下の通りである。最初に、出力同調器負荷を50オームに整合させる。次に、小信号ソースプルを用いて、最良の出力電力を得るための最良の信号源整合を特定する(ソース又はロードプルは、最適な性能が達成されるまで、スミスチャートの周辺でトランジスタの入力整合又は出力整合のいずれかを変更する技法を指している)。代替的には、デバイスの通常動作範囲内の所定の周波数、ここでは、たとえば3GHzの周波数において、そのデバイスのSパラメータから、スミスチャート上の信号源整合位置を得ることもできる。この信号源整合は、デバイスの入力に対する小信号共役整合とも呼ばれる。次に、この信号源整合を固定して、そのデバイスにおいて、低駆動レベルから高駆動レベルまでのロードプルが実行される。その駆動レベルは、出力を少なくとも3dB圧縮させるほど十分に高くすべきである。次に、低駆動レベルから高駆動レベルまでの電力及び効率等高線が生成され、電力及び効率負荷目標の位置が書き込まれる。次に、電力及び効率負荷目標において、Pout対Pin伝達曲線が得られる。また、そのシステムは、いくつかある測定関連パラメータの中でも、Gt及びGp(変換器利得及び電力利得)、デバイス入力からの反射電力(S11)又は反射減衰量も記録する。その伝達曲線Pout対Pinは、図5に示されるように、緩圧縮特性を示すことは明らかである。デバイスを飽和させるために必要とされる入力駆動レベルに留意されたい。
【0010】
したがって、GaNデバイスの入力を従来の小信号共役整合を用いて整合させるか、又は低駆動において整合させるとき、Pout対Pinの伝達特性によって示されるように、そのデバイスは望ましい1dB/1dBの急な折れ曲がりではなく、「緩」圧縮特性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願人らは、固定入力インピーダンスネットワーク(すなわち、低入力電力レベル及び高入力電力レベルの両方において同じ成分を有する入力インピーダンス)を用いるとき、高入力電力レベルにおいて増幅器効率が著しく劣化することを発見した。この著しい劣化は、そのような入力インピーダンスネットワークがフィールドプレートを有するトランジスタのゲート電極に結合されるときに、及びGaNトランジスタ電力増幅器と一体にされるときに、本出願人らによって特定されている。より詳細には、GaNトランジスタに関しては、そのようなトランジスタは緩圧縮を示す(すなわち、そのトランジスタの線形増幅領域と、そのトランジスタの非線形増幅領域との間が徐々に移行する)ことがわかっている。
【0012】
さらに詳細には、本出願人らは、デバイスの入力において、相対的に低い信号入力駆動レベルではなく、相対的に高い信号入力駆動レベルにおける整合手順を用いるときに、GaNデバイスにおける緩圧縮を著しく低減することができるか、又は解消することができることを発見した。より詳細には、大信号条件下、又は高駆動でデバイスを再び整合させ、その後、電力又は効率電力負荷において伝達曲線を掃引する際に、伝達特性内の緩圧縮特性は大幅に低減されるか、又は解消される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、回路であって、入力整合ネットワークと、インピーダンスネットワークの出力に結合されるトランジスタとを有し、入力整合ネットワークは、該入力整合ネットワークが相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに第1の入力インピーダンスを有し、該入力整合ネットワークが相対的に高い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに、第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有する、回路が提供される。
【0014】
一つの実施の形態では、トランジスタはフィールドプレートを有する。
一つの実施の形態では、トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである。
本発明の別の特徴によると、回路であって、入力電極を有するトランジスタと、入力信号を供給される入力を有し、トランジスタの入力電極に接続される出力を有する入力整合ネットワークと、入力信号を供給される電力レベル検知回路とを有し、入力整合ネットワークは、電力レベル検知回路に応答して、入力信号が相対的に低い電力レベルを有することを上記電力レベル検知回路が検知するときに、入力整合ネットワークが第1の入力インピーダンスを有するように構成し、入力信号が相対的に高い電力レベルを有することを上記電力レベル検知回路が検知するときに、入力整合ネットワークが第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有するように構成する、回路が提供される。
【0015】
一つの実施の形態では、入力整合ネットワークは、入力信号が相対的に高い電力レベルを有することを上記電力レベル検知回路が検知するときに、入力信号とトランジスタの入力電極との間に直列に結合される第1のインダクタを有し、入力信号が相対的に低い電力レベルを有することを上記電力レベル検知回路が検知するときに、入力信号とトランジスタの入力電極との間に直列に結合される第2のインダクタを有する。
【0016】
一つの実施の形態では、入力整合ネットワークは、一対の電気的構成要素と、少なくとも1つのスイッチとを備える。該スイッチは、電力レベル検知回路に応答して、相対的に高い電力レベル又は相対的に低い電力レベルの一方において入力整合ネットワークから一対の電気的構成要素の一方を電気的に切り離すように動作すると共に、相対的に高い電力レベル又は相対的に低い電力レベルの他方において、一対の電気構成要素の上記一方を入力整合ネットワークに電気的に結合するように動作する。
【0017】
したがって、本発明は、入力信号電力レベルに依存する構成要素(すなわち、構成可能な入力整合ネットワーク)を組み込む。最初に、最適な小信号入力整合ネットワーク構成がGaNトランジスタに取り付けられる。これは、低駆動電力(すなわち、低信号電力レベル)において増幅用トランジスタに良好な安定性、反射減衰量及びRF入力からの電力伝達を与えるが、高駆動電力(すなわち、高信号電力レベル)における性能不良を犠牲にしている。その後、高入力信号電力レベルにおいてのみ、再構成された入力整合ネットワークを用いて、緩圧縮を生じることなく最大性能を実現するのに最適である値まで位相角を回転させる(すなわち、整合させる)。たとえば、外周が2.5mmのトランジスタの場合に、Sバンドにおいて、この入力整合ネットワークは、スミスチャート上で元の位相角を10度だけ時計回りに回転させる必要がある。再構成された入力整合ネットワークは、電力検知ダイオードによって起動される、RF経路内のスイッチを介して第1の整合ネットワークから切り離される。駆動電力が高くなると、電力検知ダイオード及び関連する回路は、RFスイッチを開いて(空乏モードスイッチ動作)、第2の整合ネットワークを第1の整合ネットワークに接続し、最適な大信号整合点まで回転させる。ダイオードのサイズ及びバイアスは、増幅段FET外周に基づいて、設定された駆動レベルにおいて「ターンオン」するように選択されるであろう。そのような構成によれば、入力整合ネットワークは、低入力信号駆動電力レベルにおいてインピーダンス整合を提供する構成と、高入力信号駆動電力レベルにおいてインピーダンス整合を提供するための異なる構成とを有する。
【0018】
したがって、本発明は、「スマート」で調整可能又は構成可能な入力整合ネットワークと、今理解したばかりの複雑なGaN緩圧縮とを組み合わせる。本発明は、低駆動時及び高駆動時の安定性及び性能に関する問題に最適な解決策を提供する。
【0019】
本発明によれば、GaNトランジスタデバイスのための入力ネットワークを設計するための方法が提供される。その方法は、相対的に高い入力信号電力レベルを用いて、入力ネットワークを通じてデバイスを駆動すること;デバイスの出力を所定の出力電力レベルにしたまま、入力ネットワークのパラメータを変更すること;入力ネットワークパラメータが変更されるのに応じて、デバイスの伝達関数性能パラメータを測定すること;及び測定された伝達関数性能パラメータから入力ネットワークパラメータを選択することを含む。
【0020】
本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明において記述される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、その説明及び図面から、そして特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるガリウムヒ素電力増幅器の回路図である。
【図2A】図1の増幅器が相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときの、そのような増幅器の出力段を形成する共通ソース構成のトランジスタの入力インピーダンスの等価回路図である。
【図2B】図1の増幅器が相対的に高い電力レベルを有する入力信号を供給されるときの、そのような増幅器の出力段を形成する共通ソース構成のトランジスタの入力インピーダンスの等価回路図である。
【図3A】図1の増幅器が相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときの、そのような増幅器の出力段を形成する共通ソース構成のトランジスタの入力に結合される入力整合ネットワークの等価回路図である。
【図3B】図1の増幅器が相対的に高い電力レベルを有する入力信号を供給されるときの、そのような増幅器の出力段を形成する共通ソース構成のトランジスタの入力に結合される入力整合ネットワークの等価回路図である。
【図4】トランジスタの囲まれた領域において拡大して示されるガンマゲート(フィールドプレート)を有するGaNトランジスタデバイスの断面図である。
【図5】「理想的な」トランジスタデバイスと比べた、図1のGaN FETの出力電力(Pout)対入力電力(Pin)伝達特性の曲線を示す図である。
【図6】デバイスを試験し、本発明において記述される結果を生成するために用いられるロードプルベンチテスト構成10を示す図である。
【図7】FETが最大電力を得るための負荷において終端されるときの、共役小信号源整合(破線)及び大信号源整合(実線)の場合の2.5mmGaN FETデバイスのPout対Pin特性の曲線を示す図である。
【図8】デバイスが最大効率を得るための負荷において終端されるときの、共役小信号源整合(破線)及び大信号源整合(実線)の場合の2.5mmGaN FETデバイスのPout対Pin特性の曲線を示す図である。
【図9】スミスチャート上の被試験デバイスのための小信号源及び大信号源整合の位置を示す図である。
【図10】図1のGaNトランジスタデバイスの小信号モデルを示す図である。
【図11】被試験デバイスのための大信号動的負荷線を重ね合わせられているCgs対Vds及びVgsのプロットである。
【0022】
種々の図面内の類似の参照符号は類似の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで図1を参照すると、電力増幅回路10が、RF入力信号に結合するための入力端子13を有する入力整合ネットワーク12と、入力整合ネットワーク12の出力16に結合されるトランジスタ14を有する出力段15とを備えることがわかる。ここで、トランジスタ14は、フィールドプレートを有するガリウムヒ素(GaN)電界効果トランジスタ(FET)である。以下でさらに詳述されるように、入力整合ネットワーク12は、入力信号の電力レベルに応じて構成可能である。より詳細には、入力整合ネットワーク12は、そのような入力整合ネットワーク12が相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときには第1の入力インピーダンスを有するように構成され、そのような入力整合ネットワーク12が相対的に高い電力レベルを有する入力信号であるときには、第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有するように構成される。
【0024】
より詳細には、増幅回路10は、入力13に接続され、それゆえ入力信号を供給される電力レベル検知回路18を備える。以下でさらに詳述されるように、入力整合ネットワーク12は、入力信号が相対的に高い電力レベルを有することをそのような電力レベル検知回路18が検知するときに、入力信号とトランジスタ14の入力電極16との間に直列に結合される第1のインダクタL1を有し、また入力整合ネットワーク12は、入力信号とトランジスタ14の入力電極16との間に直列に結合される第2のインダクタL2を有し、それゆえ、入力信号が相対的に低い電力レベルを有することをそのような電力レベル検知回路18が検知するときに、インダクタL1及びL2は並列に接続される。
【0025】
相対的に低い入力信号電力レベルの場合のトランジスタ14への入力インピーダンスが図2Aに示されており、相対的に高い入力信号電力レベルの場合のトランジスタ14への入力インピーダンスが図2Bに示される。したがって、相対的に低い入力信号電力レベルでは、トランジスタ14への入力インピーダンスは、この例では、16.8pFキャパシタと直列に接続される5.90オーム抵抗器であり(ここで、トランジスタ14は2.5mmの外周を有し、直列の抵抗器−キャパシタ(RC)値は3GHzに対して規定される)、一方、同じ周波数であるが、相対的に高い入力信号電力レベルにおいて動作する同じトランジスタ14は、4.33pFキャパシタと直列に接続される6.41オーム抵抗器の入力インピーダンスを有する。したがって、入力インピーダンスキャパシタンスは、高電力レベルの入力信号と低電力レベルの入力信号との間で約300パーセント変化する。以下でさらに詳述されるように、相対的に低い入力信号電力レベルでは、入力整合ネットワーク12は、図3Aに示されるように構成され、相対的に高い入力信号電力レベルの場合、入力整合ネットワークは図3Bに示されるように構成される。入力整合ネットワーク12が低い入力信号電力レベルの条件に対して構成されるとき、図3Aに示されるように、インダクタL1及びL2を並列に組み合わせることによって与えられる0.422nHがトランジスタの入力インピーダンスと直列に接続され、入力整合ネットワークが高い入力信号電力レベルの条件に対して構成されるとき、図3Bに示されるように、インダクタL1によって与えられる0.897nHインダクタが、トランジスタの入力インピーダンスと直列に接続されることに留意されたい。
【0026】
入力整合ネットワーク12を図3Aに示される構成又は図3Bに示される構成のいずれかに再構成することは、入力信号の電力を検知し、ライン19上に、スイッチ20、22、ここではたとえば、空乏モードFET Q2及びQ3のための制御信号を生成する電力レベル検知回路18を用いて行なわれる。
【0027】
この回路図では、低入力信号電力レベルの場合に図2Aに示され、高入力信号電力レベルの場合に図2Bに示される直列RCとして表される、GaN FET(すなわち、トランジスタ14)のゲートインピーダンスは、再構成可能な入力整合ネットワーク12を通じて、特性システムインピーダンス、この場合には50オーム(すなわち、増幅器10の入力インピーダンス)と同じように見える(すなわち、インピーダンス整合する)ように変換される。
【0028】
より詳細には、ここではたとえば、キャパシタC8として示される結合ネットワークCNが、入力信号の一部を電力レベル検知回路18に供給する。結合ネットワークCNは、複数の潜在的な構成(抵抗器、キャパシタ、結合ライン等)において実装される場合があることは理解されたい。この結合ネットワークCNは、結合係数に応じて、検出器バイアスネットワークBNとは独立して状態変化のためのしきい値を調整する能力を有し、ここで、バイアスネットワークBNは、たとえば、電圧源(V+)と、結合ネットワークCN、ここではキャパシタC8及び電力レベル検知回路18のダイオードD1の間の接合部21との間に接続される抵抗器R6として示される。バイアスネットワークBNは、複数の潜在的な構成(抵抗器、インダクタ、抵抗分圧回路等)において実装される場合があり、特にDCバイアス電圧を導入することを通じて、同じく状態変化のためのしきい値を独立して調整する能力を有するが、電力レベル検知回路18は受動回路(passively)(バイアスなし)でも十分に動作するであろう。また、電力レベル検知回路18はキャパシタC1も備える。キャパシタC1は、ダイオードD1を通じて、負のRF半サイクルにおいて充電し、D1に与えられる信号レベルに関連する出力レベルで、低リップルで徐々に負になる電圧を負荷抵抗器R5に供給する。抵抗器R5にかかる電位は、同時に、分離バイアス抵抗器R1及びR2を通じて、ライン19上で空乏モードFET(d−FET)Q2及びQ3のゲート(すなわち、スイッチ20、22)に切替信号を供給している。バイアス抵抗器R3及びR4は、Q2及びQ3トランジスタを適切に切り替えられるようにするために組み込まれる場合がある。この結果、以下のような動作が行われる。(1)低いRF入力信号電力レベルによって抵抗器R5にかかる電位が生成されるが、その電位はトランジスタQ2及びQ3の絶対ピンチオフ電圧未満である;d−FETドレイン及びソースが実質的に短絡され、インダクタL1及びL2が並列に接続されて、トランジスタ14の入力インピーダンスを最適に整合させる換算値が得られ、それにより、その入力整合ネットワークを図3Aに示されるネットワークに構成する;一方、(2)高レベルのRF入力信号電力によって抵抗器R5にかかる電位が生成され、その電位はトランジスタQ2及びQ3の絶対ピンチオフ電圧よりも高く、d−FETドレイン及びソースが実質的に開放され、インダクタL2が入力整合ネットワークから電気的に切り離されて、結果として、インダクタL1だけがトランジスタ14の入力に直列に接続され、所望の位相角回転を与え、入力整合ネットワーク12の固定値構成要素の残りの部分を通じて、トランジスタ14の入力に、ここではたとえば、13における50オームRF入力に最適に整合させる。状態変化のためのしきい値は、入力信号RF電力レベル、結合ネットワークCNの結合係数及び位置、バイアスネットワーク構成BN及びオプションのバイアス、ダイオードD1出力電圧感度、及び抵抗器R5の値によって制御される。種々の無効成分構成及び抵抗成分構成を利用して複数の入力整合ネットワークが実現される場合があるため、インダクタL1及びL2は同じように簡単にキャパシタとすることができることは理解されたい。この回路図では、再構成可能な素子がRF信号の流れ(13〜16)と直列を成すが、RF信号の流れと並列に構成することもでき、それは再び、入力整合ネットワークの構成選択による。最も重要なことは、誘導性、容量性、抵抗性のいずれにしても、それらの素子が、Q2及びQ3のような空乏モード(すなわち、d−FET)スイッチングトランジスタの場合に低レベルにおいて合成され、高レベルにおいて分離されることである。図示される並列再構成可能素子の場合、増幅器10への入力においてRF駆動レベルが低レベルから高レベルに変化する場合、概念上のインダクタ及び抵抗器の値は増加するか、又は概念上のキャパシタの値は減少する。
【0029】
また、入力整合ネットワーク12は、図に示されるように配置されるインダクタL5及び一対のキャパシタC6及びC7を有する非構成可能部分24も備える。
入力整合ネットワーク12の出力16は、キャパシタC2を通じて、トランジスタ14のゲートに結合されるRF交流(AC)である。トランジスタ14のゲート及びドレインへのバイアスは電圧Vg及びVdによって与えられ、そのようなバイアスは、それぞれインダクタL3及びL4を通じてゲート及びドレインに結合される直流(DC)であり、その他にACがあるが、電源において不要なRF信号を防ぐために、図に示されるように、ACはキャパシタC3及びC4を通じてそれぞれグランドに結合される。
【0030】
したがって、増幅器10は、電力レベル検知回路18によって制御される再構成可能入力整合ネットワーク12を備える1段増幅器である。利得段は、DCブロッキングキャパシタC2及びC5(Vgバイアス及びVdバイアスが動くのを抑制する)、DCバイアス注入チョークL3及びL4、並びにRFバイパスキャパシタC3及びC4を含む。再構成可能入力整合ネットワーク12は、固定値入力整合素子L5、C6及びC7を含む部分整合ネットワークを含む。スイッチングトランジスタQ2及びQ3、ゲート分離抵抗器R1及びR2、バイアスプルダウン抵抗器R3及びR4は、実際のスイッチ機能を形成する。電力レベル検知回路18は、RF結合素子(CN)と、DCバイアスネットワーク(BN)と、整流ダイオードD1、RFバイパスキャパシタC1及び負荷抵抗器5を含む検出器回路とを備える。この結果として、RF入力振幅に関連する調整可能な出力信号が生成され、その信号がQ2及びQ3の切替を起動する。スイッチ起動しきい値は、CN結合係数、BNバイアスレベル、及び抵抗器R1/R2及びR5を利用する抵抗分圧ネットワークを変更することによって調整される。
【0031】
ここで図6を参照すると、本明細書において記述される結果を生成するために用いられるロードプルベンチテスト構成10が示される。構成10は、Maury社によって製造される商用ユニットである。本発明の発見は、フィールドプレートを有するGaN FETに関する3GHzの周波数でのロードプル測定の過程において生じた。図6に示されるように、その構成は被試験デバイス(DUT)12を含み、この事例では、被試験デバイス(DUT)12は2.64mm(12×220μm(um))GaN FETデバイスであった。デバイス12の左右には、14及び16によって示されるソースチューナ及びロードチューナがある。また、構成10は、RFソース18、反射電力センサ20、方向性結合器22、ゲートバイアスT24、ソースチューナ26、入力ケーブル及びプローブ28、ドレインバイアスT32、出力経路34、電力計36、チューナコントローラ38、並びにゲート及びドレインのためのバイアスシステム34も備える。ソースチューナ14によって、デバイス12の入力に対する信号源の整合を設定できるようになり、一方、ロードチューナ16は、種々の出力負荷整合条件を走査するように設定することができる。システムソフトウエアは、電力及び効率のための両方の出力負荷曲線を計算し、プロットする。同様に、固定された出力負荷整合に対して、そのシステムは、最適な信号源整合を特定できるようにする。
【0032】
実験手順は、結果として緩圧縮を生じる上記の標準的な方法(又は旧来の方法)と、緩圧縮を低減するか又は解消する、記述される新たな手順とを用いて、デバイスロードプルを実行するために構成10を使用する。ここでは、デバイスのQ点が28V及び100mA/mmに設定される。
【0033】
デバイス12のための入力インピーダンスを設計する手順は以下の通りである。上記のように、負荷を50オームに整合させて、デバイス12において小信号ソースプルを実行して、最良の電力を得るための最良の信号源整合を特定する。代替的には、この実験のために選択された周波数である3GHzにおけるデバイスのSパラメータから、スミスチャート上の信号源整合位置を得ることもできる。この信号源整合は、デバイス12の入力に対する小信号共役整合とも呼ばれる。次に、この信号源整合を固定して、低駆動レベルから高駆動レベルまでのデバイス12のロードプルが実行される。その駆動レベルは、出力を少なくとも3dB圧縮させるほど十分に高くすべきである。しかしながら、ここで、旧来の手順とは異なり、デバイス12の出力はその最適な電力目標にあり、大信号入力駆動レベルにおいてデバイス12上でソースプルが実行され、電力及び効率負荷目標においてPout対Pin伝達曲線が得られる。また、そのシステムは、いくつかある測定関連パラメータの中でも、Gt及びGp(変換器利得及び電力利得)、デバイス入力からの反射電力(S11)又は反射減衰量も記録する。その新たな信号源整合(大信号源整合)位置は、小信号共役整合点からスミスチャート上で約10度〜15度だけ時計回りに回転させることがわかる。同じステップに従って、効率負荷条件下で大信号源整合の位置を得ることができる。これらの両方の大信号源整合点の位置はスミスチャート上で互いに極めて接近しているため、それらの点は同一である(being one and the same)と見なすことができることがわかった。次に、この信号源整合が固定され、電力掃引(伝達曲線)が、電力及び効率の両方の負荷目標の場合に実行される。それらの掃引は、両方の負荷条件の場合に、緩圧縮が著しく低減されることを示す。元の小信号源整合と新たな大信号源整合との間の規則的な間隔の点に対して伝達曲線が得られる。この同じ技法がXバンドにおけるGaNトランジスタに適用されており、信号源入力整合の同じ約10度の時計回りの回転が正しいことがわかっている。
【0034】
こうして、GaNトランジスタデバイスのための入力ネットワークを設計するための方法が提供される。その方法は、相対的に大きな入力信号電力レベルを用いて、入力ネットワークEを通じてデバイスを駆動すること;及びデバイスの出力を所定の出力電力レベルにしたまま、入力ネットワークEのパラメータを変更することを含む。すなわち、Eは入力チューナであり、そのデバイスに対して、スミスチャートを通じて種々の整合が提示されるようにすることができる。同様に、Hは出力チューナであり、同じく変更することもできる。その方法はさらに、入力ネットワークパラメータが変更されるのに応じて、デバイスの伝達関数性能パラメータを測定すること;及び測定された伝達関数性能パラメータから入力ネットワークパラメータを選択することを含む。
測定の解析
フィールドプレートを有するGaN FETは、緩やかな利得圧縮特性を示し、その緩圧縮の程度はデバイスに対して与えられる出力負荷インピーダンスと共に変化することが観測されている。たとえば、電力負荷インピーダンスに対して整合するデバイスは非常に緩やかな圧縮特性を有し、一方、効率負荷に対して整合するデバイスは、著しく改善された圧縮特性を示すことが観測されている。これがPout対Pinとして(from)図7及び図8に示されており、それは電力及び効率負荷の場合に測定されたロードプルデータである。図7及び図8は、2つの異なる出力負荷整合条件、電力負荷及び効率負荷の場合のGaN FETの測定されたロードプルデータを与えることに留意されたい。いずれの図面も、Pout、利得及び効率対Pinをプロットする。各図中の破線は、結果として緩圧縮を生じる小信号入力源整合条件に対応する。実線による曲線は、大信号条件下で入力信号源整合が設定されるときに、緩圧縮がいかに低減されるかを示す。2つの図から、図7は、FET出力が電力負荷と整合しており、緩圧縮の問題をさらに明らかに示す。図8では、FETがその出力において効率負荷に整合しており、図7ほど深刻ではない。
【0035】
破線である曲線の場合の信号源整合は、デバイスの入力に対する標準的な小信号共役整合である。被測定デバイスは、フィールド/ガンマゲートが24V、100mA/mmでバイアスをかけられている2.5mmGaN FETであり、CW測定は3GHzにおいて実行される。共役小信号源整合(破線)及び大信号源整合(実線)による2.5mmGaN FETのPout対Pin特性が示される。そのデバイスは、最大電力を得るための負荷において終端される。
【0036】
小信号源整合下では、そのデバイスが著しい量の緩圧縮を示すことが、特に図7から明白である。デバイスの入力を大信号駆動条件下で再び整合させるとき、その圧縮特性は、実線によって示されるように、「正常」に近くなる。緩圧縮の指標は、入力駆動レベルと共に利得が減少する割合である。図7においてデータをさらに解析すると、標準的な信号源整合の場合(破線)に、そのデバイスがPin=15dBmにおいて1dB圧縮点に達することがわかる。Pin=15dBmから25dBmまで、利得は0.3dB/dBの割合で降下し、それを超えると、0.9dB/dBの割合で降下する。大信号源整合条件(実線)の場合、そのデバイスはPin=21dBmにおいて1dB圧縮に達し、その後、利得は0.9dB/dBの割合で降下し、それは、従来から容認される1dB/dBの利得減少の指標に極めて近く、典型的にはGaAs pHEMTで観測される値である。このデータから、大信号整合の場合には、PAEピークが15.6dBの利得で4.4dB圧縮されたデバイスで生じ、一方、小信号入力整合の場合には、PAEピークにおけるデバイスの利得は12.9dBであり、そのデバイスは7.1dB圧縮であることにも留意されたい。この違いは、各段の入力において2段電力増幅器(PA)を整合させる方法、増幅器においてFETのサイズを決める方法において意味を持ち、結果として、電力増幅器の効率に影響を及ぼす。
【0037】
小信号源整合インピーダンス及び大信号源整合インピーダンスの位置が、図9のスミスチャートにおいて示される。大信号条件下で最良の信号源整合を得るために、その信号源インピーダンスは、小信号源整合位置から少なくとも10度の時計回りの回転を経て、15度程度に大きく回転することができる。所与の大信号Pinの場合に、信号源整合を小信号の場合から大信号の場合に回転させるのに応じて、先に図7において示されたように、緩圧縮の程度が「不良」から正常に移行する。すなわち、トランジスタに信号を供給する入力ネットワークは、インピーダンススミスチャート上でトランジスタのゲート−ソースインピーダンスの複素共役をプロットし、その後、インピーダンススミスチャート上でそのプロットを10度〜15度だけ時計回りに回転させて、入力ネットワークの入力インピーダンスを得ることによって設計される。
【0038】
緩圧縮現象は一般的には高電圧デバイス(>15V動作)に特有であり、詳細には、フィールドプレートを有するGaNデバイスに特有である。この動作を理解する1つの方法は、図10に示されるGaN FETの小信号モデルに基づく。そのデバイスの入力整合は、3つの固有パラメータ、Cgs−ゲート−ソースキャパシタンス、Cgd−ゲート−ドレインキャパシタンス及びgm−相互コンダクタンスによって一次に(to a first order)制御される。Rs(ソース抵抗)及びRg(ゲート抵抗)も入力インピーダンスに寄与するが、これらは寄生と見なされ、バイアスへの依存性はない。Cgs、Cgd及びgmは大きくバイアスに依存し、すなわち、Vds(ドレイン−ソース電圧)及びVgs(ゲート−ソース電圧)の関数である。たとえば、図11は、Vgs及びVdsと共にCgsがいかに変化するかを示す。デバイスのAB級動作の場合に、大信号駆動レベルに対する動的負荷線がCgs面に重ね合わせられるとき、Q点及び小信号整合条件におけるCgs値が高駆動レベルにおいてもはや有効でないことが明白である。実際には、本発明者は、等価な大信号Cgs値を導出することができる。同様の解析が、Cgd及びgmの場合にも当てはまるであろう。大信号条件下のデバイスの性能は、新たな小信号入力駆動依存モデルによって表すことができ、そのモデルでは、パラメータCgs、gm及びCgdは以下のように表すことができる。
【0039】
Cgs=A1+B1*Pin+C1*Pin2
gm=A2+B2*Pin+C2*Pin2
Cgd=A3+B3*Pin+C3*Pin2
ただし、A1は定数であり、B1は定数であり、C1は定数であり、A2は定数であり、B2は定数であり、A3は定数であり、B3は定数であり、C3は定数である。
【0040】
複数の実施形態が説明されてきた。それでもなお、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を行なうことができることは理解されよう。たとえば、そのインピーダンス整合ネットワークの代わりに、そのようなネットワークが低入力信号及び高入力信号の両方の電力レベルにおいてインピーダンス整合を提供するように、インダクタ及びキャパシタから成る他の構成及び異なる受動素子を用いることもできることは理解されたい。さらに、共通ソース構成が説明されてきたが、そのインピーダンス整合ネットワークは、共通ゲート又は共通ドレインのような、他のトランジスタ構成に合わせて適切に変更することもできる。さらに、スイッチ20及び22のためにエンハンスメントモードトランジスタが用いられる場合には、低入力信号及び高入力信号の両方の電力レベルにおいてインピーダンス整合を提供するために、その入力整合ネットワークは他の受動素子構成を用いて適切に変更されるであろう。したがって、他の実施形態も添付の特許請求の範囲内にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路であって、
入力整合ネットワークと、
インピーダンスネットワークの出力に結合されるトランジスタとを備え、
前記入力整合ネットワークは、該入力整合ネットワークが相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに第1の入力インピーダンスを有し、該入力整合ネットワークが相対的に高い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに、前記第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有する、回路。
【請求項2】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
回路であって、
入力電極を有するトランジスタと、
入力信号を供給される入力を有し、前記トランジスタの前記入力電極に接続される出力を有する入力整合ネットワークと、
前記入力信号を供給される電力レベル検知回路とを備え、
前記入力整合ネットワークは、前記電力レベル検知回路に応答して、前記入力信号が相対的に低い電力レベルを有することを前記電力レベル検知回路が検知するときに、前記入力整合ネットワークが第1の入力インピーダンスを有するように構成し、前記入力信号が相対的に高い電力レベルを有することを前記電力レベル検知回路が検知するときに、前記入力整合ネットワークが第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有するように構成する、回路。
【請求項6】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである、請求項5に記載の回路。
【請求項8】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記入力整合ネットワークは、前記入力信号が相対的に高い電力レベルを有することを前記電力レベル検知回路が検知するときに、前記入力信号と前記トランジスタの前記入力電極との間に直列に結合される第1のインダクタを有し、前記入力信号が相対的に低い電力レベルを有することを前記電力レベル検知回路が検知するときに、前記入力信号と前記トランジスタの前記入力電極との間に直列に結合される第2のインダクタを有する、請求項5に記載の回路。
【請求項10】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項9に記載の回路。
【請求項11】
前記トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである、請求項9に記載の回路。
【請求項12】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項11に記載の回路。
【請求項13】
前記トランジスタは電界効果トランジスタであり、前記入力電極は、該トランジスタのゲート電極である、請求項9に記載の回路。
【請求項14】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項13に記載の回路。
【請求項15】
前記トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである、請求項13に記載の回路。
【請求項16】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項15に記載の回路。
【請求項17】
前記入力整合ネットワークは、
一対の電気的構成要素と、
少なくとも1つのスイッチとを備え、
前記少なくとも1つのスイッチは、前記電力レベル検知回路に応答して、前記相対的に高い電力レベル又は前記相対的に低い電力レベルの一方において前記入力整合ネットワークから前記一対の電気的構成要素の一方を電気的に切り離すように動作すると共に、前記相対的に高い電力レベル又は前記相対的に低い電力レベルの他方において、前記一対の電気構成要素の前記一方を前記入力整合ネットワークに電気的に結合するように動作する、請求項5に記載の回路。
【請求項18】
前記電気的構成要素は、異なるインダクタンスを有するインダクタである、請求項17に記載の回路。
【請求項1】
回路であって、
入力整合ネットワークと、
インピーダンスネットワークの出力に結合されるトランジスタとを備え、
前記入力整合ネットワークは、該入力整合ネットワークが相対的に低い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに第1の入力インピーダンスを有し、該入力整合ネットワークが相対的に高い電力レベルを有する入力信号を供給されるときに、前記第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有する、回路。
【請求項2】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
回路であって、
入力電極を有するトランジスタと、
入力信号を供給される入力を有し、前記トランジスタの前記入力電極に接続される出力を有する入力整合ネットワークと、
前記入力信号を供給される電力レベル検知回路とを備え、
前記入力整合ネットワークは、前記電力レベル検知回路に応答して、前記入力信号が相対的に低い電力レベルを有することを前記電力レベル検知回路が検知するときに、前記入力整合ネットワークが第1の入力インピーダンスを有するように構成し、前記入力信号が相対的に高い電力レベルを有することを前記電力レベル検知回路が検知するときに、前記入力整合ネットワークが第1の入力インピーダンスとは異なる入力インピーダンスを有するように構成する、回路。
【請求項6】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである、請求項5に記載の回路。
【請求項8】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記入力整合ネットワークは、前記入力信号が相対的に高い電力レベルを有することを前記電力レベル検知回路が検知するときに、前記入力信号と前記トランジスタの前記入力電極との間に直列に結合される第1のインダクタを有し、前記入力信号が相対的に低い電力レベルを有することを前記電力レベル検知回路が検知するときに、前記入力信号と前記トランジスタの前記入力電極との間に直列に結合される第2のインダクタを有する、請求項5に記載の回路。
【請求項10】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項9に記載の回路。
【請求項11】
前記トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである、請求項9に記載の回路。
【請求項12】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項11に記載の回路。
【請求項13】
前記トランジスタは電界効果トランジスタであり、前記入力電極は、該トランジスタのゲート電極である、請求項9に記載の回路。
【請求項14】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項13に記載の回路。
【請求項15】
前記トランジスタは窒化ガリウムトランジスタである、請求項13に記載の回路。
【請求項16】
前記トランジスタはフィールドプレートを有する、請求項15に記載の回路。
【請求項17】
前記入力整合ネットワークは、
一対の電気的構成要素と、
少なくとも1つのスイッチとを備え、
前記少なくとも1つのスイッチは、前記電力レベル検知回路に応答して、前記相対的に高い電力レベル又は前記相対的に低い電力レベルの一方において前記入力整合ネットワークから前記一対の電気的構成要素の一方を電気的に切り離すように動作すると共に、前記相対的に高い電力レベル又は前記相対的に低い電力レベルの他方において、前記一対の電気構成要素の前記一方を前記入力整合ネットワークに電気的に結合するように動作する、請求項5に記載の回路。
【請求項18】
前記電気的構成要素は、異なるインダクタンスを有するインダクタである、請求項17に記載の回路。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−538582(P2010−538582A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524071(P2010−524071)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/070622
【国際公開番号】WO2009/035767
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/070622
【国際公開番号】WO2009/035767
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】
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