説明

トルテロジン及びココアパウダーを含有する製剤及びその使用

ココアパウダーを含むトルテロジン含有医薬製剤、この製剤を製造するための方法、及び、この製剤の過活動膀胱を治療するための使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルテロジン(場合によっては、その塩、複合体、プロドラッグ及び代謝物を含む)の新規な経口投与用医薬製剤、トルテロジン(場合によっては、その塩、プロドラッグ及び代謝体を含む)の過活動膀胱に対して効果を発揮するために経口で投与される医薬品の製造における使用、並びに、トルテロジン(場合によっては、その塩、プロドラッグ及び代謝物を含む)の経口投与による過活動膀胱の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トルテロジンは過活動膀胱の治療のための有効で安全な化合物である。トルテロジンの合成及びその過活動膀胱の治療への使用はUS 5,382,600 (Pharmacia & Upjohn AB)に開示されている。最適の効果/副作用プロフィールは、一日二回、1又は2mgの経口投与量で得られる。
【0003】
トルテロジンの分子量は325.0であり、酒石酸塩としては475.6となる。鏡像異性体的純度は>99%である。pKa値は9.87であり、水への溶解度は室温で約11mg/mLである。分配係数(Log P)はn−オクタノールとリン酸緩衝液との間で、pH7.32で1.83である。
【0004】
【化1】

トルテロジン、PNU−200583
N,N−ジイソ−プロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−3−フェニルプロパンアミン
【0005】
トルテロジン代謝の主代謝経路は、チトクロームP450 2D6により媒介され、5−HM代謝物、(R)−N,N−ジイソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルフェニル)−3−フェニルプロパンアミンが生成される。この代謝物は、トルテロジンと類似の薬理学的プロフィールを有している(Nilvebran L, Gillberg P-G, Sparf B. “Antimuscarinic potency and bladder selectivity of PNU-200577, a major metabolite of tolterodine." Pharmacol. Toxicol. (1997) 81: 195-207を参照せよ)。トルテロジンとの薬理学的プロフィールの類似性に関しては、Brynne N, Dalen P, Alvan G, Bertilsson L and Gabrielsson J, Clin Pharmacol Ther 1998 (63): 529-39を参照せよ。
【0006】
N−脱アルキル化代謝物はCYP3Aにより媒介され、そしてさらに、N−脱アルキル化5−ヒドロキシ代謝物へと代謝される。下記の図式を参照せよ。
【化2】

【0007】
5−HM代謝物のCH2OH基においてカルボン酸基が形成される場合は、さらにもう1つの代謝物が生成される。さらに、N−脱アルキル化5−HM代謝物のCH2OH基においてカルボン酸基が形成される場合は、さらにもう1つの代謝物が生成される。
【0008】
本発明のトルテロジンは、R−異性体、S−異性体及びラセミ混合物、並びに、それらの塩、複合体、プロドラッグ及び代謝物も包含する。主要な効果は、R−異性体及びラセミ混合物から、並びに、それらの塩、複合体、プロドラッグ及び代謝物から得られる。塩の例は、トルテロジン1−酒石酸塩及びトルテロジンメシル酸塩である。複合体の例は、トルテロジンとベータ−シクロデキストリンとの、及び、トルテロジンとイオン交換組成物(例えば、イオン交換樹脂酸塩)との複合体である。
【0009】
先行技術
上記のUS 5,382,600は、本発明の1つに類似するどのような製剤も開示していない。
WO 98/03067はトルテロジンのS−異性体の経皮投与を開示している。
WO 00/12070はトルテロジンのR−異性体、及び、ラセミ体の経皮投与を開示している。
【0010】
本発明の1つに類似したトルテロジン含有製剤に関する先行技術は見つからない。
【0011】
チョコレート(それ自体、ココアパウダーとは異なっている)は、医薬品の成分としては非常に稀にしか使われておらず、これまでは下剤の中でのみ使われていたにすぎない。1つの例は、Novartis社から販売されている、センノシドを含有しているチョコレート処理した下剤片のExLax(R)である。フェノールフタレインをチョコレートと一緒に製剤化した下剤であるPurexは、1950年代に販売されていた。トルテロジンとチョコレートを含有している組成物については何も知られていない。
【0012】
今回、驚くべきことに、液体なしで投与でき、トルテロジンのような悪味成分の味覚を充分に遮断し、場合によっては緩衝剤も有している、トルテロジンの経口投与用医薬製剤が、味覚遮蔽剤及び風合付与剤(texturizer)としてのココアパウダーを含有するトルテロジン含有製剤により得られた。これまで類似の製剤は開示されておらず、そして当業者は、発明的な努力なしには、本発明の製剤を想到することはできない。
【0013】
それゆえ、本発明は、さらに以下に記載されているように、新規性及び発明性の両方を有している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、排尿筋不安定、排尿筋過反射、頻尿、尿意逼迫及び急迫性尿失禁を含む、過活動膀胱に対して効果を発揮するための、トルテロジン(場合によっては、その塩、複合体、プロドラッグ及び代謝物を含む)の経口投与用医薬製剤を提供する。投与はヒト又は動物に対して行うことができる。
【0015】
この投与は液体の添加なしで実施できる。添加液体がない投与は、例えば旅行中のように水又は他の適当な液体が利用できないような、どのような状況においても大きな利点となる。また、この投与は目立たない(discreet)ので、講演で、及び、劇場で大きな利点を有する。さらに、本発明の製剤の使用は、飲み込むというよりはむしろ口腔中で溶解するはずなので、従来型の錠剤を飲み込むことが困難などのような人に対しても大きな利点を有する。したがって、本発明の特別に有用な投与剤形は、水又は他の液体を飲む必要がなく、口腔中で崩壊又は溶解する剤形である。
【0016】
この製剤は、治療上有効量のトルテロジンを含有する投与剤形である。ここでの「治療上有効量」とは、排尿筋不安定、排尿筋過反射、頻尿、尿意逼迫及び急迫性尿失禁を含む過活動膀胱に対して効果を発揮するに充分な用量である。「頻尿」とは主に24時間で8回を超えるか、又は、夜に2回を超える尿意を意味する。「尿意逼迫」とは主に頻発する強い突発的な尿意を意味する。「急迫性尿失禁」とは主に、突発的な尿意の後の不随意の排尿を意味する。
【0017】
トルテロジンの用量は顕著な副作用を引き起こす用量より低いことが好ましい。
【0018】
本発明は目立たない自己投与に適合している。ここで「目立たない自己投与」とは、治療の必要性があることに対して注意を引かないような自己投与を意味している。
【0019】
本発明はまた過活動膀胱の治療のために本発明の製剤を使用する方法、及び、医薬品を製造するための本発明の製剤の使用方法をも提供する。本発明の他の特性は、一部は明白であり、及び、一部はこの後示される。
【0020】
本発明の目的は、トルテロジンの、ココアパウダーを含有する新規な経口投与用医薬製剤を提供することである。
本発明の第二の目的は、該製剤の製造方法を提供することである。
本発明の第三の目的は、過活動膀胱の治療のための該製剤を用いた治療法を提供することである。
【0021】
本発明の更なる目的は、当業者には明白となるだろう、そして、また他の目的もこの後の明細書及び請求の範囲から明白になるだろう。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製剤により提供される主な利点を以下に挙げる:
1)この製剤は適切な味覚遮断を提供する;
2)この製剤は投与時にいかなる添加液体も必要としない;
3)投与時に液体を添加しないことによって、液体と一緒に投与される従来型の錠剤と比較して、尿負荷が増加しないので、治療の必要性も増加しない;
4)この製剤は目立たない自己投与を提供する;
5)この製剤は、従来型錠剤のようには、患者が即時に医薬品との関連性を感受することがない;
6)この製剤は、特に緩衝剤を加えたときに、迅速な経粘膜吸収性を提供し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の主要な目的は、排尿筋不安定、排尿筋過反射、頻尿、尿意逼迫及び急迫性尿失禁のような過活動膀胱を治療するために有用な、トルテロジンを含有する医薬製剤を提供することである。
【0024】
より特定すれば、本発明の目的は、経粘膜投与のために、口腔中で、唾液若しくは機械的浸食又はその組合せの助けを借りて又は借りることなく、主に崩壊及び/又は溶解し、その後この製剤が口腔中の組織に粘着性を示すような、トルテロジン含有製剤を提供することである。
【0025】
好ましくは、この製剤は、投与時に液体を添加する必要がないようなものである。投与時に液体を添加しないことによって、液体と一緒に投与される従来型の錠剤と比較して、尿負荷が増加しないので、治療の必要性も増加しない。追加の尿も産生されない。
【0026】
緩衝剤の場合による添加は、唾液の局所的なpHを一過性に変化させる。それによりトルテロジンの大部分はよりイオン化度の低い形態に変換される。その結果、経粘膜透過が亢進され、そして活性成分の吸収を促進する。当業者には緩衝系の選択が活性成分の1つ又はそれ以上のpKaに依存していることが明らかである。
【0027】
驚くべきことに、トルテロジンそれ自体及び/又は緩衝剤のような悪味成分の十分な味覚遮断が、ココアパウダーの使用により達成されることが明らかになっている。ココアパウダーは味覚遮断剤及び風合付与剤として作用する。
【0028】
ココアパウダーは、ある程度脂肪を除去し粉末化したカカオニブ(cocoa nib)として定義される。カカオニブは殻を除いたカカオ豆と定義される。カカオバターはカカオ豆の中心部(仁核又はニブ)から取り出した脂肪と定義される。
【0029】
ココアパウダーは炒ったカカオ豆から製造される。これは複合的な化合物で、デンプン、カカオバター、アミノ酸、タンパク質、キサンチン、アミン、単又は多糖類、リン脂質、フラボノイド、ピラジン等から成っている。
【0030】
好ましい実施例は、400mgの質量を有し、以下の好ましい組成(w/w)を有している製剤である:
【表1】

【0031】
実施例
以下に本発明の実施態様の製造に関する非限定的な実施例を示す。
【0032】
実施例1:好ましい実施態様の製造
約400mgの質量を有する製剤は、以下の好ましい組成(w/w)により製造される:
【表2】

【0033】
ココアパウダーは非アルカリ化型及びアルカリ化型で使用される。両方とも本発明の製剤では有用である。アルカリ化ココアパウダーはある程度低刺激性の味覚が望ましい場合に好まれる。
【0034】
水素化したダイズ油の一部分を溶解させる。固形成分、すなわち、トルテロジン一酒石酸塩、ココアパウダー、マンニトール、トウモロコシデンプン、アスパルターム、アセスルファム−K、二酸化チタン、グルタミン酸一ナトリウム塩、及び、矯味矯臭剤(固体の場合)を加え、そして混合する。固形成分の粒子径の減少は、ロール精砕機中で粉砕することにより行われる。もし、固形成分がすでに必要とされる粒子径を有している場合、例えば、脂肪成分との混合前に粉砕した場合、ロール精砕を省くことができる。ロール精砕機で処理した後、混合物を残りの溶解した脂肪成分と混合し、又は、固化した場合は、再溶解させ、次に、残りの溶解した水素化ダイズ油と混合する。溶解物の混合は適当な混合機の中で行われる。液体成分、すなわち、ダイズレシチン及び矯味矯臭剤(液体の場合)を加える。錠剤又は他の固形投与剤形は、続いて、適切な技術、例えば、成型化、押出成型化、又は、香錠化(pastillation)を含む凝結化(congealing)を用いて、場合によっては適当な前処理の後で、製造される。他の適切な製造方法を使用することもできる。
【0035】
実施例2:他の実施態様の製造
実施例1と原則的に同じ方法で、約500mgの質量を有し、以下の好ましい組成(w/w)を有している製剤を製造する:
【表3】

【0036】
実施例3:さらなる実施態様の製造
実施例1と原則的に同じ方法で、約200mg〜約1000mgの質量を有し、以下の組成(w/w)を有している製剤を製造する:
【表4】

【0037】
実施例4:代わりの実施態様の製造
有用な実施態様が、上記実施例の実施態様における賦形剤のいくつかと、等しく機能する代替化合物とを、交換することで得られる。
ココアパウダーは、その非アルカリ化型、アルカリ化型又はそれらの混合型で用いることができる。
【0038】
希釈剤は、ショ糖、果糖、グルコース、ガラクトース、乳糖、麦芽糖、転化糖、製薬的に受容できるポリオール(例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト及びグリセロール)、又は、ポリデキストロース、又はデンプン、又はそれらのあらゆる混合物の1つ又はそれ以上の化合物から選ぶことができるが、ココアパウダーの味覚遮断効果を十分に残す範囲までである。
【0039】
脂質成分は、脂肪成分であり、1つ又はそれ以上の下記の化合物から選ぶことができる:
− カカオバター、並びに、カカオバター均等物(CBE)、カカオバター置換物(CBS)、カカオバター交換物(CBR)及びカカオバター改良物(CBI)を含むカカオバターの代替物、
− ココナッツ油、パーム核油及び他の類似の油で、主にラウリン酸及びミリスチン酸がベースになっているもの、
− パーム油、シアバター(shea butter)、カリトバター(karite butter)、イリッペバター(illipe butter)、マンゴ核油、サラノキ油脂(sal fat)、及び他の類似の脂肪で、主に、パルミチン酸、オレイン酸及びステアリン酸がベースになっているもの、
− トウモロコシ油、ヒマワリ油、混成ヒマワリ油、ダイズ油、ナタネ油、カノーラ油、オリーブ油、米ヌカ油、綿実油、ラッカセイ(ピーナッツ)油、及び他の油で、主に、オレイン酸、リノール酸及びリノレイン酸がベースになっているもの、及び、適当な融点まで水素化されたもの、
− 魚油、獣脂、ラード、乳脂及び他の動物由来の脂肪、並びに
− 酸性触媒、アルカリ触媒又は酵素触媒を用いずに脂肪酸とグリセロールを化学反応させて得られた合成脂肪、再エステル化脂肪、固体脂肪、
ここで、該化合物は単一成分又は互いの混合物として、粗製物のまま又は物理的若しくはアルカリ処理による精製物として、又は、接触水素化、インターエステル化、トランスエステル化及び分画を含む更なる工程に付されて、使用される。
【0040】
場合によって用いる緩衝剤は、炭酸、重炭酸、酢酸、グルコン酸、グリセロリン酸、リン酸若しくはグリシン酸のナトリウム塩、カリウム塩若しくはアンモニウム塩、又はそれらの混合物の1又はそれ以上から選ぶことができる。しかしながら、ほとんどのリン酸塩は、それらの味が通常受け入れ難く、そして遮蔽することも困難であることから、あまり適してはいない。緩衝剤の添加は、口腔粘膜を介した取り込みを増加することができる。
【0041】
甘味剤は、ショ糖、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、グリシルリジン、タウマチン(タリン)、スクラロース、ジヒドロカルコン(ネオヘスペリジンジヒドロカルコン)、アリターム、ミラクリン(ミラクルフルーツ)、モネリン(セレンジピテイベリー)、ステブシド及び/又はそれらの塩、のような人工甘味料の1又はそれ以上から選ぶことができる。
【0042】
乳化剤は、好ましくは、ダイズレシチン及び/又は卵レシチンであるが、以下のもので交換できる:
− 非イオン性界面活性剤、例えば、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカスター油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド及びそのエステル、ポリオキシエチレンステアリン酸、脂肪酸のポリグリセロールエステル(ポリグリセロールポリリシノール酸(PGPR)を含む)、ソルビタン脂肪酸エステル、
− アニオン性界面活性剤、例えば、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ラクチレート、特に、ナトリウム及び/又はカルシウムステアロイルアセチレート、ラウリル硫酸ナトリウム並びにラタノール、
− 両イオン性界面活性剤、例えば、両性イオン性リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン、
又は、それらの混合物、画分若しくは誘導体、又はレシチンとの混合物。
【0043】
本発明の製剤は、主に、融解性及び/又はしゃぶることのできる経口錠剤の性質を有するが、また他の、例えば頬内パッチ、頬内ペースト及び頬内噴霧のような経口投与用の適切な投与形態をも含んでもいる。
【0044】
本発明は、さらに他の過活動膀胱に対して有効性を有する1又はそれ以上の活性薬剤、例えば、オキソブチニン、エメプロミウム、トロスピウム、プロパネテリン及びダリフェナシン、を含有するトルテロジン含有製剤もまた包含する。
【0045】
さらに、本発明は、上記のトルテロジン含有経口投与用医薬製剤であって、場合によっては過活動膀胱に対して効果のある1又はそれ以上の他の薬剤と共に、さらに場合によっては、1又はそれ以上の他の投与経路、例えば、経皮投与、経口(peroral)投与、吸入による投与、クリームによる投与、軟膏及び膣坐薬、及び/又は、注射による投与を介して、過活動膀胱に対して有効な薬剤の投与と同時に患者に投与することによる、過活動膀胱の治療を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココアパウダーを含有することを特徴とする、トルテロジン(場合により、その塩、複合体、プロドラッグ及び代謝物を含む)を含有する経口投与用医薬製剤。
【請求項2】
トルテロジンが本質的にR−異性体型であることを特徴とする、請求項1の製剤。
【請求項3】
トルテロジンが本質的にS−異性体型であることを特徴とする、請求項1の製剤。
【請求項4】
トルテロジンが本質的にラセミ体型であることを特徴とする、請求項1の製剤。
【請求項5】
トルテロジン代謝物、(R)-N,N−ジイソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−フェニル)−3−フェニルプロパンアミンを、場合によりトルテロジンと共に投与することを特徴とする、請求項1の製剤。
【請求項6】
1又はそれ以上の脂質成分をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの製剤。
【請求項7】
1又はそれ以上の脂質成分が、
− カカオバター、並びに、カカオバター均等物(CBE)、カカオバター置換物(CBS)、カカオバター交換物(CBR)及びカカオバター改良物(CBI)を含むカカオバターの代替物、
− ココナッツ油、パーム核油及び他の類似の油で、主にラウリン酸及びミリスチン酸がベースになっているもの、
− パーム油、シアバター、カリトバター、イリッペバター、マンゴ核油、サラノキ油脂、及び他の類似の脂肪で、主に、パルミチン酸、オレイン酸及びステアリン酸がベースになっているもの、
− トウモロコシ油、ヒマワリ油、混成ヒマワリ油、ダイズ油、ナタネ油、カノーラ油、オリーブ油、米ヌカ油、綿実油、ラッカセイ(ピーナッツ、グランドナッツ)油、及び他の油で、主に、オレイン酸、リノール酸及びリノレイン酸がベースになっているもの、及び、適当な融点まで水素化されたもの、
− 魚油、獣脂、ラード、乳脂及び他の動物由来の脂肪、並びに
− 酸性触媒、アルカリ触媒又は酵素触媒を用いずに脂肪酸とグリセロールを化学反応させて得られた合成脂肪、再エステル化脂肪、固体脂肪
から選ばれ、ここで、該化合物は単一成分又は互いの混合物として、粗製物のまま又は物理的若しくはアルカリ処理による精製物として、又は、水素化、インターエステル化、トランスエステル化及び分画を含む更なる工程に付されて使用されることを特徴とする請求項6の製剤。
【請求項8】
1又はそれ以上の脂質成分が、カカオバター均等物(CBE)、カカオバター置換物(CBS)、及びカカオバター交換物(CBR)から選ばれることを特徴とする、請求項7の製剤。
【請求項9】
1又はそれ以上の緩衝剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの製剤。
【請求項10】
1又はそれ以上の緩衝剤が、炭酸、重炭酸、酢酸、グルコン酸、グリセロリン酸、リン酸若しくはグリシン酸のナトリウム塩、カリウム塩若しくはアンモニウム塩、又はそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項9の製剤。
【請求項11】
1又はそれ以上の甘味剤及び場合により1又はそれ以上の矯味矯臭剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかの製剤。
【請求項12】
1又はそれ以上の甘味剤が、ショ糖、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、グリシルリジン、タウマチン(タリン)、スクラロース、ジヒドロカルコン(ネオヘスペリジンジヒドロカルコン)、アリターム、ミラクリン(ミラクルフルーツ)、モネリン(セレンジピティベリー)、ステブシド及び/又はそれらの塩から選ばれることを特徴とする、請求項11の製剤。
【請求項13】
1又はそれ以上の乳化剤/可溶化剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかの製剤。
【請求項14】
1又はそれ以上の乳化剤/可溶化剤が、
− レシチン、好ましくは、ダイズレシチン及び/又は卵レシチン、
− 非イオン性界面活性剤、例えば、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカスター油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド及びそのエステル、ポリオキシエチレンステアリン酸、脂肪酸のポリグリセロールエステル(ポリグリセロールポリリシノール酸(PGPR)を含む)、ソルビタン脂肪酸エステル、
− アニオン性界面活性剤、例えば、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ラクチレート、特に、ナトリウム及び/又はカルシウムステアロイルアセチレート、ラウリル硫酸ナトリウム並びにラタノール、
− 両イオン性界面活性剤、例えば、両性イオン性リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン、
又は、それらの混合物、画分若しくは誘導体、又はレシチンとの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項13の製剤。
【請求項15】
1又はそれ以上の乳化剤/可溶化剤がレシチン、好ましくは、ダイズレシチン及び/又は卵レシチンから選ばれることを特徴とする、請求項14の製剤。
【請求項16】
さらに、ショ糖、果糖、グルコース、ガラクトース、乳糖、麦芽糖、転化糖、製薬的に受容できるポリオール(例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト及びグリセロール)、又はポリデキストロース、又はデンプン、又はそれらの任意の混合物の1つ又はそれ以上の化合物から選ばれる物質を含有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかの製剤。
【請求項17】
その単位投与が約400mgの質量、及び、以下のものを含むことを特徴とする、経口投与用医薬製剤:
【表1】

【請求項18】
その単位投与が約500mgの質量、及び、以下のものを含むことを特徴とする、経口投与用医薬製剤:
【表2】

【請求項19】
その単位投与が約200mg〜約1000mgの質量、及び、以下のものを含むことを特徴とする、トルテロジン(場合により、その塩、複合体、プロドラッグ及び代謝物を含む)を含有する経口投与用医薬製剤:
【表3】

【請求項20】
過活動膀胱に対して有効な1又はそれ以上の他の薬剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜19のいずれかの製剤。
【請求項21】
1又はそれ以上の他の薬剤が、オキソブチニン、エメプロミウム、トロスピウム、プロパネテリン及びダリフェナシンから選ばれることを特徴とする、請求項20の製剤。
【請求項22】
経口投与剤形として製剤化され、主に頬内粘膜及び/又は口腔中の他の粘膜を介したトルテロジンの放出を提供する、請求項1〜21のいずれかの製剤。
【請求項23】
過活動膀胱の治療に有用な医薬の製造のための、請求項1〜22のいずれかの製剤の使用。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれかのトルテロジン含有経口投与用医薬製剤を投与することを含む、患者の過活動膀胱の治療のための方法。
【請求項25】
請求項1〜22のいずれかのトルテロジン含有経口投与用医薬製剤と、トルテロジン及び/又は、過活動膀胱に対して有効性のある1又はそれ以上の他の薬剤とを、1又はそれ以上の他の投与経路を介して、同時に患者に投与することを含む、患者における過活動膀胱の治療のための方法。
【請求項26】
1又はそれ以上の他の投与経路が、経皮及び経口投与、並びに、吸入及び注射投与から選ばれる、請求項25の患者における過活動膀胱の治療のための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココアパウダーを含有することを特徴とする、トルテロジン(場合により、その塩、複合体、プロドラッグ及び代謝物を含む)を含有する経口投与用医薬製剤。
【請求項2】
トルテロジンが本質的にR−異性体型であることを特徴とする、請求項1の製剤。
【請求項3】
トルテロジンが本質的にS−異性体型であることを特徴とする、請求項1の製剤。
【請求項4】
トルテロジンが本質的にラセミ体型であることを特徴とする、請求項1の製剤。
【請求項5】
トルテロジン代謝物、(R)-N,N−ジイソプロピル−3−(2−ヒドロキシ−5−
ヒドロキシメチル−フェニル)−3−フェニルプロパンアミンを、場合によりトルテロジンと共に投与することを特徴とする、請求項1の製剤。
【請求項6】
1又はそれ以上の脂質成分をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの製剤。
【請求項7】
1又はそれ以上の脂質成分が、
− カカオバター、並びに、カカオバター均等物(CBE)、カカオバター置換物(CBS)、カカオバター交換物(CBR)及びカカオバター改良物(CBI)を含むカカオバターの代替物、
− ココナッツ油、パーム核油及び他の類似の油で、主にラウリン酸及びミリスチン酸がベースになっているもの、
− パーム油、シアバター、カリトバター、イリッペバター、マンゴ核油、サラノキ油脂、及び他の類似の脂肪で、主に、パルミチン酸、オレイン酸及びステアリン酸がベースになっているもの、
− トウモロコシ油、ヒマワリ油、混成ヒマワリ油、ダイズ油、ナタネ油、カノーラ油、オリーブ油、米ヌカ油、綿実油、ラッカセイ(ピーナッツ、グランドナッツ)油、及び他の油で、主に、オレイン酸、リノール酸及びリノレイン酸がベースになっているもの、及び、適当な融点まで水素化されたもの、
− 魚油、獣脂、ラード、乳脂及び他の動物由来の脂肪、並びに
− 酸性触媒、アルカリ触媒若しくは酵素触媒を用いて又は触媒を用いずに脂肪酸とグリセロールを化学反応させて得られた合成脂肪、再エステル化脂肪、固体脂肪
から選ばれ、ここで、該化合物は単一成分又は互いの混合物として、粗製物のまま又は物理的若しくはアルカリ処理による精製物として、又は、接触水素化、インターエステル化、トランスエステル化及び分画を含む更なる工程に付されて使用されることを特徴とする請求項6の製剤。
【請求項8】
1又はそれ以上の脂質成分が、カカオバター均等物(CBE)、カカオバター置換物(CBS)、及びカカオバター交換物(CBR)から選ばれることを特徴とする、請求項7の製剤。
【請求項9】
1又はそれ以上の緩衝剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの製剤。
【請求項10】
1又はそれ以上の緩衝剤が、炭酸、重炭酸、酢酸、グルコン酸、グリセロリン酸、リン酸若しくはグリシン酸のナトリウム塩、カリウム塩若しくはアンモニウム塩、又はそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項9の製剤。
【請求項11】
1又はそれ以上の甘味剤及び場合により1又はそれ以上の矯味矯臭剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかの製剤。
【請求項12】
1又はそれ以上の甘味剤が、ショ糖、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、グリシルリジン、タウマチン(タリン)、スクラロース、ジヒドロカルコン(ネオヘスペリジンジヒドロカルコン)、アリターム、ミラクリン(ミラクルフルーツ)、モネリン(セレンジピティベリー)、ステブシド及び/又はそれらの塩であることを特徴とする、請求項11の製剤。
【請求項13】
1又はそれ以上の乳化剤/可溶化剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかの製剤。
【請求項14】
1又はそれ以上の乳化剤/可溶化剤が、
− レシチン、好ましくは、ダイズレシチン及び/又は卵レシチン、
− 非イオン性界面活性剤、例えば、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカスター油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド及びそのエステル、ポリオキシエチレンステアリン酸、脂肪酸のポリグリセロールエステル(ポリグリセロールポリリシノール酸(PGPR)を含む)、ソルビタン脂肪酸エステル、
− アニオン性界面活性剤、例えば、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ラクチレート、特に、ナトリウム及び/又はカルシウムステアロイルアセチレート、ラウリル硫酸ナトリウム並びにラタノール、
− 両イオン性界面活性剤、例えば、両性イオン性リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン、
又は、それらの混合物、画分若しくは誘導体、又はレシチンとの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項13の製剤。
【請求項15】
1又はそれ以上の乳化剤/可溶化剤がレシチン、好ましくは、ダイズレシチン及び/又は卵レシチンから選ばれることを特徴とする、請求項14の製剤。
【請求項16】
さらに、ショ糖、果糖、グルコース、ガラクトース、乳糖、麦芽糖、転化糖、製薬的に
受容できるポリオール(例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト及びグリセロール)、又はポリデキストロース、又はデンプン、又はそれらの任意の混合物の1つ又はそれ以上の化合物から選ばれる物質を含有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかの製剤。
【請求項17】
その単位投与が約400mgの質量を有し、及び、以下のものを含むことを特徴とする、経口投与用医薬製剤:
【表1】

【請求項18】
その単位投与が約500mgの質量を有し、及び、以下のものを含むことを特徴とする、経口投与用医薬製剤:
【表2】

【請求項19】
その単位投与が約200mg〜約1000mgの質量を有し、及び、以下のものを含むことを特徴とする、トルテロジン(場合により、その塩、複合体、プロドラッグ及び代謝物を含む)を含有する経口投与用医薬製剤:
【表3】

【請求項20】
過活動膀胱に対して有効な1又はそれ以上の他の薬剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜19のいずれかの製剤。
【請求項21】
1又はそれ以上の他の薬剤が、オキソブチニン、エメプロミウム、トロスピウム、プロパネテリン及びダリフェナシンから選ばれることを特徴とする、請求項20の製剤。
【請求項22】
経口投与剤形として製剤化され、主に頬内粘膜及び/又は口腔中の他の粘膜を介したトルテロジンの放出を提供する、請求項1〜21のいずれかの製剤。
【請求項23】
過活動膀胱の治療に有用な医薬の製造のための、請求項1〜22のいずれかの製剤の使用。
【請求項24】
患者の過活動膀胱の治療のための、請求項1〜22のいずれかのトルテロジン含有経口投与用医薬製剤。
【請求項25】
患者の過活動膀胱の治療のために、トルテロジン及び/又は、過活動膀胱に対して有効性のある1又はそれ以上の他の薬剤と一緒に、1又はそれ以上の他の投与経路を介して同時に投与する、請求項1〜22のいずれかのトルテロジン含有経口投与用医薬製剤。
【請求項26】
1又はそれ以上の他の投与経路が、経皮投与、経口投与、吸入投与及び注射から選ばれる、請求項25のトルテロジン含有経口投与用医薬製剤。

【公表番号】特表2006−521347(P2006−521347A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506376(P2006−506376)
【出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000859
【国際公開番号】WO2004/084864
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505275262)ファイザー・ヘルス・アクチエボラーグ (7)
【Fターム(参考)】