説明

トレイ分離ユニット、及びトレイ分離ユニットを備えたトレイ分離装置、ならびにトレイ分離方法

【課題】トレイ群100の上端からトレイを上方に分離させ、その際、トレイ群100の最上トレイ1Aの高さがばらついても安定して分離取り出すことができるようにする。
【解決手段】トレイ分離ユニット25は、トレイ群100の最上トレイ1Aの内側外端部1bを上方に移動することを選択的に阻止する上半月状板28、および上半月状板28に対し側面視で所定量下方に配置され所定角度回転した際に最上トレイ1Aの直下トレイ1Bの外縁鍔部1aの平面視内に挿入する下半月状板29とを備えた回転分離部27と、前記回転分離部27を所定角度回転させる回転駆動部26aとを備えている。最上トレイ1Aを上方に分離取り出す際は回転分離部27を所定角度回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ分離ユニット、及びトレイ分離ユニットを備えたトレイ分離装置、ならびにトレイ分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の容器やトレイ(以下トレイと呼ぶ)を上下に積み重ねてトレイ群を用意し、そのトレイ群の最下にあるトレイを下方に分離する分離取出装置は種々提案されている。
【0003】
特許文献1、最下部の容器を下方に落下させる容器の分離取出装置で、上段支持部材と下段支持部材と断面視方向に傾斜面に形成された分離部材を一体的に回転させるものであり、直上の容器を上段支持部材にて支持する状態でそれまで下部支持部材で支持されていた最下の容器の周辺部を分離部材が上方から接触し押し下げて落下・分離させ、図示していないコンベア等で移動させるものである。
【0004】
特許文献2も、特許文献1とほぼ同様に、トレイ群の最下端トレイを落下取り出しする回転機構であって、トレイの積層方向に一致した回転軸に対し傾斜した弧状の回転鍔部を備え、この回転鍔部が上記最下端トレイおよびその直上トレイの鍔部間に嵌入され、弧状の回転鍔部の傾斜上端部が最下端トレイおよび直上トレイの鍔部間に挿入し、回転に伴って回転鍔部と最下端トレイ鍔部の係合が回転鍔部の傾斜下側に移行することによって、最下端トレイを落下取り出しするものである。
【0005】
特許文献3も、特許文献1とほぼ同様に、薄板材が積み重ねられた薄板トレイ群から最下端の薄板を下方に落下取り出しする薄板分離装置であって、回転軸に対して一対の円板を取付け、各円板の周縁一部には薄板の縁部が外れ落下する切欠を互いに円周方向に所定角度だけ異なった位置に形成されており、回転軸の回転により、最下端の薄板が上方の円板から下方の円板に落下し最後には下方の円板から落下して、薄板が薄板トレイ群から順次分離されるものである。
【0006】
【特許文献1】実公昭53−22940号公報(実用新案登録請求の範囲、第2図―第8図参照)
【特許文献2】実開平1―164108号公報(実用新案登録請求の範囲、第1図、第2図参照)
【特許文献3】特開昭53−100570号公報(特許請求の範囲、第10図〜第12図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記各特許文献は、トレイが積み重ねられたトレイ群から分離取り出されるのは、最下端のトレイが下方に分離取り出されるものである。
従って、上記のように下方に取り出されたトレイは、次の工程にトレイを搬送するための搬送装置がトレイ群を収納している収納容器の下方に配置される必要性がある。この搬送装置は、例えば特許文献1に見られるようにベルトコンベア等である。上記搬送装置は分離取出し装置の下方に配置されることが必要とされるため、上記トレイの分離取出し装置の下部は、上記搬送装置の配置や搬送作業を妨げない構造にする必然性がある。したがって、分離取出し装置の設置基台が不安定になりやすく、また分離取出し装置の下部構造が脆弱になりやすい。
【0008】
さらに、上記各特許文献に見られるようにトレイが積み重ねられているため、トレイ群の最下端またはその直上のトレイを、下方に落下させるまでは分離取出し装置が支えることになる。例えば、特許文献1では、上段支持部材または下段支持部材が最下端またはその直上の容器を一時的に支えるものである。上記最下端またはその直上の容器は、その上方に積み重ねられた容器の重量を受けて支えることになり、容器の材質や大きさ、厚さにより、或いは容器に収納する被収納物により異なるが、重い重量になることもありうる。そこで、上段支持部材または下段支持部材に損傷が起こりやすくなり、あるいは強度を確保することにより高価な材料を選定し、厚さを厚くすることにより、高価で大きな分離装置になってしまいやすい。しかも、上段支持部材または下段支持部材が回転する際には、上記最下端またはその直上の容器と摩擦係合するがその場合は高圧下になり、摩滅と発熱が生じ、分離装置の損傷、分離作業時の電力消費量の増大という問題を有することになる。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するもので、トレイ群の上端からトレイを上方に取り出すことを実現して、トレイ群から分離されたトレイの搬送装置設置や搬送作業の制約を少なくし、あわせて損傷や電力の少ないトレイの分離取出しユニットや当該装置を実現することを目的とする。
さらに、積み重ねられたトレイ群の最上のトレイの高さがばらついても、安定して分離取り出しを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明実施態様1のトレイ分離ユニットは、外縁鍔部とこの外縁鍔部の平面視内方でかつ側面視上方に段差を有して形成された内側外端部とを備えたトレイが側面視の上下方向に複数個積み重ねられてトレイ群が構成され、このトレイ群から各トレイを側面視で上方向に分離し得るトレイ分離ユニットであって、このトレイ分離ユニットは、前記トレイ群のうち最上部に配置された最上トレイの前記内側外端部を上方に移動することを選択的に阻止し得る上半月状板、および上半月状板に対し側面視で所定量下方に配置された下半月状板とを備えた回転分離部と、前記回転分離部に一体化された回転軸を有し、前記回転軸を介して前記回転分離部を所定角度回転させる回転駆動部とを備え、前記回転分離部の前記上半月状板は、上半月状爪部および前記上半月状爪部が形成されていない上切り欠部を備え、前記下半月状板は、下半月状爪部および前記下半月状爪部が形成されていない下切り欠部を備えており、前記上半月状板および前記下半月状板は、前記回転軸が第1所定位置まで回転した初期時には、前記上半月状爪部は、平面視で前記最上トレイの内側外端部に重なりかつ側面視で当該内側外端部の上面に当接して上方向の移動を阻止可能であり、その際、前記下半月状爪部は、平面視で前記最上トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置しかつ側面視で前記最上トレイの外縁鍔部とその直下に配置されている直下トレイの外縁鍔部との間に形成されている間隙内に位置しており、前記回転駆動部により前記回転軸が第2所定位置まで回転した中間回転時には、前記上半月状爪部は、平面視で前記最上トレイの内側外端部と重なりかつ側面視で当該内側外端部の上面に当接して前記上方向の移動を阻止可能であり、その際、前記下半月状爪部は、平面視で前記直下トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視で前記間隙内に位置しており、前記回転駆動部により前記回転軸が第3所定位置まで回転したトレイ分離時には、前記上半月状爪部は、平面視で前記最上トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置し、前記下半月状爪部は、平面視で前記直下トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視では前記間隙内に位置し、前記最上トレイが、前記上半月状板の前記上切り欠部から上方に分離され得る、ように形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記本発明実施態様1の構成によれば、上記トレイ分離ユニットは、トレイ群の上部からトレイを分離することができる。従って、トレイを分離・取り出す際には上記トレイ分離ユニットが最上のトレイとだけ接触するだけでよく、トレイをトレイ群の下部から分離・取り出す場合の様にトレイ群全体の重みを受け止める必要がない。従って、上記トレイ分離ユニットや取り出されるトレイの損傷を防止する。しかもその際、上記トレイ分離ユニットは、その上半月状板が最上トレイの内側外端部と回転接触する際は、トレイ群全体の重量を受けるような大きな重量を受けることが無いので前記回転接触時の摩擦が少なく駆動力も低下し省電力化が図れる。
【0012】
また、最上トレイの分離時には、上記トレイ分離ユニットの下半月状爪部が直下トレイの外縁鍔部を上方に移動することを阻止するだけでよいので、前記下半月状爪部にいたずらな圧力がかからず、前記下半月状爪部の損傷が防止され、強強度は要求されることがない。よって薄型でしかもプラスチック等の通常使用されている安価な材料を使用することが出来る。
更に、上記トレイ分離ユニットは、前述の初期時から、前述の中間回転時を経て、前述のトレイ分離時までの回転角は、90度程度という少ない角度で最上トレイをトレイ群から分離することができ、この観点からも省電力化が図れるものである。
【0013】
本発明実施態様2のトレイ分離装置は、本発明実施態様1に記載されたトレイ分離ユニットを複数個備えたトレイ分離ユニット支持フレームと、前記トレイ分離ユニット支持フレームを側面視で上下方向に移動させる上下移動手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、本発明実施態様2のトレイ分離装置は、前述したようにトレイ群の上方からトレイを分離・取り出すものであるため、トレイ群の下部から分離・取り出す場合の様に、分離されたトレイを搬送するトレイ搬送ユニットの配置や動作がトレイ分離装置の設置やその分離動作を妨げることがほとんどない。すなわち、トレイ搬送ユニットは、トレイ分離装置の上方に配置できるので、その上方場所に自在に配置でき、その搬送動作もトレイ分離装置を上述のように妨げることがほとんどない。
【0015】
さらに、本発明実施態様2のトレイ分離装置は、前述のトレイ分離ユニット支持フレームを設け、このトレイ分離ユニット支持フレームに前記トレイ分離ユニットを複数個備えているので、平面視で複数箇所にて最上トレイを分離することができ、最上トレイを分離しやすく取り出しやすくする。
しかも、上記トレイ分離ユニット支持フレームを側面視で上下に移動させる上下移動手段を設けたので、上記トレイ分離ユニットの上半月状爪部が最上トレイの内側外端部上面に接触すると、前述の上下移動手段が下方に移動することにより上半月状爪部をさらに下方に押圧することができる。このため、トレイ群の最上トレイが平面視の場所によって水平度が保たれていない場合でも複数箇所のトレイ分離ユニットの上半月状爪部によって最上トレイの水平度が確保できる。従って、複数個のトレイ分離ユニットによる最上トレイの分離作用が確実に行われることができる。
【0016】
本発明実施態様3のトレイ分離装置は、本発明実施態様2に記載されたトレイ分離装置であって、さらに前記トレイ群を側面視で上方に押し上げる押上げ手段、を備えたことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、上記トレイ群は、上記押上げ手段により押し上げられるので、トレイ群において積み重ねられたトレイが少なくなっていた場合でも、最上トレイは上記のように上方に押し上げられるので、上記トレイ分離ユニットによる最上トレイの分離作業が良好に行われるようになる。
【0018】
本発明実施態様4のトレイ分離装置は、本発明実施態様2または本発明実施態様3に記載に記載されたトレイ分離装置であって、前記トレイ群のうち前記最上トレイの側面視で上下方向の位置を検出する位置検出装置を備え、前記最上トレイが前記位置検出装置により所定位置であることが検出されるまで前記押上げ手段が前記トレイ群を上方に押し上げるか、もしくは前記上下移動手段が前記トレイ分離ユニット支持フレームを下方に移動させる制御部と、を有することを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、上記位置検出装置により前記トレイ群のうち前記最上トレイの側面視高さが確実に検出されるものである。
このため、上記位置検出装置と上記制御手段とにより、前記最上トレイが所定位置であることが検出されるまで前記押上げ手段が前記トレイ群を上方に押し上げるか、もしくは前記上下移動手段が前記トレイ分離ユニット支持フレームを下方に移動させることができ、最上トレイの高さ位置に対して上記トレイ分離ユニットの高さ位置を所定範囲内に確保することができる。よって、上記トレイ分離ユニットによる最上トレイの分離作業がより確実に行うことができる。
例えば、上記押上げ手段は、上記位置検出装置により最上トレイの高さ位置が所定位置に達したことを検出するまで上記制御手段によりトレイ群を押上げ動作する。あるいは、上記前記上下移動手段は、上記位置検出装置により検出された最上トレイの高さ位置まで上記制御手段によりが前記トレイ分離ユニット支持フレームを下方に移動させるものである。
【0020】
本発明実施態様5のトレイ分離装置は、本発明実施態様2乃至本発明実施態様4のいずれか1つに記載されたトレイ分離装置であって、前記初期時において、前記上半月状爪部が側面視で前記内側外端部の上面に当接した場合、前記上半月状爪部が前記内側外端部を側面視下方に対し相対的に押し下げる押下げ手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、前記初期時において、前記上半月状爪部が側面視で前記内側外端部の上面に当接した場合、前記上半月状爪部が前記内側外端部を側面視下方に対し相対的に押し下げるので、前記上半月状爪部が前記内側外端部の上面に当接したままの状態が確保されることになる。よって、前記初期時から前記中間回転時までの回転動作において、前記上半月状爪部は、平面視で前記最上トレイの内側外端部と重なりかつ側面視で当該内側外端部の上面に当接して前記上方向の移動を阻止した状態のままで、前記下半月状爪部の高さ位置はほぼ不変であり、前記下半月状爪部は側面視で前記間隙内に位置しながら平面視で前記直下トレイの外縁鍔部と重なる平面視位置まで回転する動作が確実にスムースに行われる。すなわち、前記初期時において、前記上半月状爪部が側面視で前記内側外端部の上面に当接した際に前記上半月状爪部が前記内側外端部を側面視下方に相対的に押し下げることをしないと、前記上半月状爪部が前記内側外端部から上方に離れ、前述の下半月状爪部の高さ位置も上方に移動することになる。よって、前記下半月状爪部が前述の間隙から外れてしまい、前記下半月状爪部が上記間隙内に挿入できず、直下トレイの外縁鍔部の上方移動を防止することが出来なくなり、最上トレイのみを分離することができない。本発明実施態様5によれば、このような不具合を確実に防止することができるものである。
【0022】
上記前記上半月状爪部が前記内側外端部を側面視下方に対し相対的に押し下げる押下手段は、具体的にはどのような手段でもよい。例えば、トレイ分離ユニットをその保持部材(例えばコ字状アーム)に対し、コイルバネ、板バネ、磁石の磁力を利用した磁石バネなどにより、側面視下方に押し下げる構成としてもよい。あるいはトレイ群を押上げる押上手段を設けるようにしてもよい。あるいは、上記押下手段と押上手段を併設して用いてもよい。
【0023】
本発明実施態様6のトレイ分離装置は、本発明実施態様2乃至本発明実施態様5のいずれか1項に記載されたトレイ分離装置であって、前記トレイ分離ユニットは、前記回転軸が第3所定位置まで回転したトレイ分離時において、平面視で前記最上トレイを支持し前記トレイ群から搬送する搬送装置の移動範囲外の所定位置に配置されていることを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、前記トレイ分離ユニットは、前記回転軸が第3所定位置まで回転したトレイ分離時において、前記最上トレイを支持し前記トレイ群から搬送する搬送装置の移動範囲外の所定位置に配置されているので、搬送装置のトレイ搬送動作を妨げることがなく、良好なトレイ搬送動作を実現できるものである。
【0025】
本発明実施態様7のトレイ分離装置は、本発明実施態様2乃至本発明実施態様6のいずれか1項に記載されたトレイ分離装置であって、前記トレイ分離ユニットは、平面視で前記最上トレイの中心部を中心に対向した位置に1ユニットづつ配置されていることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、前記トレイ分離ユニットは、平面視で前記最上トレイの中心部を中心に対向した位置に1ユニットづつ配置されているので、最上トレイの水平度が確保しやすく、最上トレイの分離を安定して行うことができる。
【0027】
本発明実施態様8のトレイ分離方法は、外縁鍔部とこの外縁鍔部の平面視内方でかつ側面視上方に段差を持って形成された内側外端部とを備えたトレイが側面視の上下方向に複数個積み重ねられてトレイ群が構成され、前記トレイ群のうち最上部に配置された最上トレイの前記内側外端部を上方に移動することを選択的に阻止し得る上半月状板、および前記上半月状板に対し側面視で所定量下方に配置された下半月状板、前記上半月状板及び下半月状板とを一体的に回転させる回転駆動部とを備え、前記上半月状板は上半月状爪部およびその爪部が形成されていない上切り欠部を備え、前記下半月状板は下半月状爪部およびその爪部が形成されていない下切り欠部を備えたトレイ分離ユニットを用い、前記トレイ群から各トレイを側面視で上方向に分離するするトレイ分離方法であって、前記トレイ群または前記トレイ分離ユニットを側面視で所定の上下方向位置まで移動する所定位置移動工程と、前記上半月状爪部が、平面視で前記最上トレイの内側外端部に重なりかつ側面視で当該内側外端部の上面に当接して最上トレイの上方移動を阻止し、同時に、前記下半月状爪部が、平面視で前記最上トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置しかつ側面視で前記最上トレイの外縁鍔部とその直下に位置している直下トレイの外縁鍔部との間に構成された間隙内に位置する第1所定位置まで前記回転駆動部により回転する回転分離部初期位置セット工程と、前記上半月状爪部が、平面視で前記最上トレイの内側外端部と重なりかつ側面視では当該内側外端部の上面に当接したまま、前記下半月状爪部が、平面視で前記直下トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視で前記隙間内に位置する第2所位置まで前記回転駆動部により回転する回転分離部中間回転位置セット工程と、前記上半月状爪部が、平面視で前記最上トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置し、前記下半月状爪部が、平面視で前記直下トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視で前記隙間内に位置する第3所定位置まで前記回転駆動部により回転する回転分離部トレイ分離位置セット工程と、前記回転分離部トレイ分離位置セット工程後に、前記最上トレイを前記トレイ群から側面視で上方に分離する最上トレイ分離工程と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、上記本発明実施態様1のトレイ分離ユニットを用いたトレイ分離装置として、上述した作用効果と同様の作用効果を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、トレイ群の上端からトレイを上方に取り出すことができ、その取り出されたトレイの搬送装置の設置や搬送作業の制約を少なくし、損傷や電力の少ないトレイの分離を可能とすることができる。
さらに、積み重ねられたトレイ群の最上のトレイの高さがばらついても、安定して分離でき、取り出しやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
【0031】
図1は、トレイ1が側面視方向に積み重ねられたトレイ群100がトレイ収納容器2に収納され、トレイ群100の最上に位置している最上トレイ1Aが所定位置まで搬送されるためトレイ搬送ユニット3に吸着されている状態の主要部断面図であり、図2は、図1に図示された最上トレイ1Aがトレイ搬送ユニット3に吸着された図を示しており、(a)は最上トレイ1Aがトレイ搬送ユニット3に吸着された搬送前の平面図、(b)は所定位置まで搬送されたトレイ1とトレイ搬送ユニット3を示す搬送後の平面図である。
【0032】
ここでトレイ1は、硬質のプラスチック材からなり、例えば半導体のベアチップをトレイ1内の所定収納ブロック内に収納するためのものである。
このトレイ1の材質は、上記に限定されるものではなく、軟質のプラスチックであってもよく、また発泡スチロール樹脂でもよく、あるいはプラスチック以外でも良く、たとえば紙やガラスや木材でも、あるいはそれらの混合又は合成材質であってもよい。またトレイ1に収納または載置される対象物は、どのようなものでもよく、半導体のモールドした半導体実装品、電子部品、カプセル状あるいは粒状の薬剤などでもよい。さらに上記トレイ1は、弁当箱であってもよく、食品を収納する容器であってもよい。
【0033】
上記トレイ1は、図1に図示されているように、平面視形状が略長方形状である。この平面視形状は、どのようでもよく、たとえば楕円形状、略三角形やその他の多角形状であってもよい。
上記トレイ1は最外端の外縁鍔部1aとその平面視内方に形成された内側外端部1bとを備えている。この上記内側外端部1bの上面は、上記外縁鍔部1aの上面と段差h1を有し、また上記内側外端部1bの外周部は上記外縁鍔部1aの外端から距離b1だけ内方に外縁鍔部1aと略相似形状に形成され、側壁を有している。なお、上記外縁鍔部1aの側壁は、全周が連続した周壁となっているが、不連続に形成されていてもよい。その不連続に形成されるとは、たとえば、円柱や角柱が上記外縁鍔部1aの外端から距離b1が確保されるように内側に突出形成されている場合である。
【0034】
上記のトレイ1が断面視で上下方向に多数個積み重ねられてトレイ群100が形成されている。積み重ねられた際に互いのトレイ1同士が平面視方向にズレないように、また上記のように上記内側外端部1bの上面と上記外縁鍔部1aの上面とが段差h1を有するように、トレイ1の裏面には、その直下の直下トレイの内側外端部1bがはまり込むような凹み(図示は省略)が形成されている。この凹みを設けなくとも、上記内側外端部1bの上面側に部分的な穴か凹みを、上記外縁鍔部の裏面側に対向して凸部か突出ピン部を設けるようにしてもよい。それとは逆に、上記内側外端部1bの上面側に凸部か突出ピン部を、上記外縁鍔部の裏面側に対向して穴か凹みを設けるようにしてもよい。
【0035】
上記により複数のトレイ1は積み重ねられてトレイ群100が得られる。
上記トレイ群100は、トレイ収納容器2に収納されている。このトレイ収納容器2に収納されたトレイ群100から、後述のトレイ分離ユニット25により上方取出しが可能に分離された最上トレイ1Aが、トレイ搬送ユニット3によりチャックされて所定位置に搬送されるものである。
上記トレイ搬送ユニット3は、ロボットにより動作する搬送アーム4と、搬送アーム4の下端にバネ5を介して上下方向に弾性移動可能に取付けられた真空チャック6とを有している。上記真空チャック6が最上トレイ1Aの上表面に吸着してから、搬送アーム4、4が上方に移動し、その後所定位置である図2(b)に移動し、その移動後に図2(b)にて真空チャック6が上記最上トレイ1Aを切り離し所定位置に載置するようにしている。
【0036】
次に、本発明の実施形態であるトレイ分離ユニット25を備えたトレイ分離装置200について説明する。
図3〜図5には、上記トレイ分離装置200の全体が図示されている。上記トレイ分離ユニット25は、上記トレイ分離装置200の中に組み込まれているものである。
図3は、上記トレイ分離装置200の主要部を示す平面図で図1のトレイ搬送ユニット3を取り除いた平面図、図4は、図3のA方向から見た一部断面を施した主要部の正側面図、図5は、図3のB方向から見た一部断面を施した主要部の左側面図である。
【0037】
各図において、7は金属からなる基枠であって、金属のコ字状アーム8を図4の側面視で上下方向に移動可能に保持している。このコ字状アーム8の突出部8a、8aが基枠7のスライド溝7a、7a内に挿入され、鋼材のボール9,9により上下方向にスムースに移動できるように保持されている。
上記コ字状アーム8は、図3のように、左アーム部8bと右アーム部8cを備えており、上記左アーム部8bと右アーム部8cとの間に前述のトレイ収納容器2とその中に収納されたトレイ群100が配置されている。
【0038】
上記トレイ群100の下部は、トレイ群載置台10が配置されている。このトレイ群載置台10の下方には図示しない案内部材に案内されて上下移動が可能に構成された押上部材11が配置されている。上記トレイ群載置台10は、押上部材11上に載置されていることになる。上記押上部材11の外壁には歯型11aが形成されており、この歯型11aは駆動モータMにより回転駆動される歯車12に噛合っており、駆動モータMの回転により押上部材11が移動することによりトレイ群載置台10が上方向又は下方向に移動する。
なお、上記歯型11aと歯車12に代えて、ラックとピニオンで構成してもよく、あるいはウォーム歯車とウォームを用いて駆動モータMの回転によりウォームが回転しこのウォームに噛合うウォーム歯車が減速回転するように構成してもよい。
【0039】
上記駆動モータMは、制御部13により回転数や回転速度が制御されるが、この制御部13は、前述した最上トレイ1Aの上面位置が所定位置まで上昇した際の検出信号を受けることにより前記駆動モータ11を停止させるように制御する。
前述した最上トレイ1Aの上面位置が所定位置まで上昇した際の検出信号は、次のように送信される。
最上トレイ1Aの所定位置に相当する高さ位置には、位置検出装置を構成する検出光を発する発光ダイオード14と、上記検出光を受光する受光素子15とが配置されている。
上記発光ダイオード14と受光素子15は、図3のように最上トレイ1Aの長手方向の中間部を通過する位置を上記検出光が通過するように対向して配置している。
上記発光ダイオード14は左支柱16に、受光素子15は右支柱17に設置されている。
【0040】
一方、図5の様に、前述したコ字状アーム8は、基枠7のスライド溝7a内を上下方向(図5の左右方向)に移動できるように構造されている。その移動は、コ字状アーム8の側面視で下方に配置されたコ字状アーム駆動部18による。このコ字状アーム駆動部18は、エアーシリンダーで構成されており、連結部材19によりコ字状アーム8に連結してスライド溝7a内を上下方向(図5の左右方向)に移動できるものである。
【0041】
なお、図4、図5に見られるように、トレイ収納容器2、基枠7、駆動モータM、歯車12、左支柱16、右支柱17、コ字状アーム駆動部18等は、ベース台20に設置されているものである。
【0042】
ここで、トレイ分離ユニット25周辺の構造を説明する。
前述したコ字状アーム8には、図3のように、左アーム部8bと右アーム部8cとが分岐してトレイ群100の左右に配置されている。
図3において、上記左アーム部8bと右アーム部8cにおいて、トレイ群100に対向する側にあたる内壁には、上記トレイ分離ユニットを取付ける取付具21が小ネジ(図示せず)により、あるいは接着剤や溶接により接合されている。
【0043】
上記取付具21は、上記左アーム部8bの根元側(図3では上側)と先端側(図3の下側)には別々の取付具21、21が配置され、また上記右アーム部8cの根元側(図3では上側)と先端側(図3の下側)にも別々の取付具21、21が配置されている。上記各々の根元側に配置された取付具21、21はトレイ群100を挟んで対向配置されており、上記先端側に配置された取付具21、21はトレイ群100を挟んで対向配置されている。また上記根元側に配置された取付具21、21と、上記先端側に配置された取付具21、21は、前述した最上トレイ1Aの位置検出装置を構成する発光ダイオード14と上記受光素子15とを結ぶ平面視での検出位置、つまりトレイ群100の平面視での中央位置に対し線対称位置に配置されている。
なお、上記取付具21は、ブロック形状であり、合成樹脂や金属で構成されている。
【0044】
各々の上記取付具21には、平面視で2箇所の案内穴22が設けられている。この案内穴22内には、前述のトレイ分離ユニットに固定された連結棒23が図4の断面視で上下方向に移動可能に案内されて貫通している。この連結棒23は、下端に鍔部が形成され、この鍔部と取付具21の下面との間には、コイルバネ24が挿入されており、このコイルバネ24は、連結棒23を断面視で下方に押し下げている。なお、上記鍔部は、例えばナットで形成し、連結棒23の下端に形成したネジにねじこんで形成しても、その以外の方法で形成してもよい。
なお、上記バネ手段は、後述するが、初期時において前記上半月状爪部が側面視で前記内側外端部の上面に当接した場合、前記上半月状爪部が前記内側外端部を側面視下方に対し相対的に押し下げる押下げ手段である。
上記連結棒23の上端は、後で詳述するトレイ分離ユニットのエアーシリンダーの下面に一体に取付けられている。
【0045】
トレイ分離ユニット25は、断面視で図4、図5に図示されているように、上記連結棒23の上端側に配置・構成されている。従って、トレイ分離ユニット25は、各連結棒23に案内されて図4の断面視で上下に移動可能であり、前記コイルバネ24により断面視で下方に弾性力を受けて配置されている。
また、平面視では図3に図示されているように、トレイ群100の周囲に配置されている。前記トレイ分離ユニット25の平面視での配置場所は、前述したように各取付具21の配置場所と同様である。
【0046】
トレイ分離ユニット25は、前記連結棒23の上端が固定されているエアーシリンダー26と、エアーシリンダー26から突出しているエアーシリンダー回転軸26aに一体化されて所定角度回転する回転分離部27とを備えている。
トレイ分離ユニット25は、図6に詳細に図示されている。図6の(a)はトレイ分離ユニット25の平面図、(b)は(a)のトレイ分離ユニット25を右方向から見た右側面図、(c)は(a)のトレイ分離ユニット25を下方向から見た下側面図である。
【0047】
前述した回転分離部27は、合成樹脂からなり例えばナイロン(米国デュポン社の登録商標)等の低摩擦で高強度かつ帯電しない材料で構成されている。
上記回転分離部27は、本発明のトレイ分離装置に取付けられ前述のトレイ群100から最上トレイ1Aを分離する際に、上記最上トレイ1Aの前記内側外端部1bを後述するように上方に移動することを選択的に阻止する上半月状板28、および上半月状板28に対し側面視で所定量下方に配置された下半月状板29、さらには上記上半月状板28と上記下半月状板29とを連結する連結部30とを備えている。
また前記上半月状板28は、上半月状爪部28aおよび上半月状爪部28aがカットされている(形成されていない)上切り欠部28bを備えており、前記下半月状板29は、下半月状爪部29aおよび下半月状爪部29aがカットされている(形成されていない)下切り欠部29bを備えている。
【0048】
前記上半月状爪部28aは外形が半径Rの円弧状に形成されており、前記下半月状爪部29aも外形が半径rの円弧状に形成されている。上記半径Rは半径rより大きい。
また前記上半月状爪部28aにおける上切り欠部28bとの境界縁である上半月状爪部縁28cは、前記下半月状爪部29aにおける下切り欠部29bとの境界縁である下半月状爪部縁29cに対して、略直角に配置されている。図6(a)と図7(a)において、その平面視で、下半月状爪部縁29cは上半月状爪部縁28cに対して時計回りに略90度進んだ位置に形成されていることになる。
【0049】
前記上半月状板28および前記下半月状板29は、次の様に形成されている。
なお、後述の説明は、本発明のトレイ分離装置に取付けられ前述のトレイ群100から最上トレイ1Aを分離する際に、平面図である図3および、前記エアーシリンダー回転軸26aが第1所定位置まで回転した初期時での関係部材の平面図である図7の(a)とその側面図である(b)、前記エアーシリンダー回転軸26aが第2所定位置まで回転した中間回転時での関係部材の平面図である図7の(c)とその側面図である(d)、前記エアーシリンダー回転軸26aが第3所定位置まで回転したトレイ分離時での関係部材の平面図である図7の(e)とその側面図である(d)に基づいて行う。
【0050】
すなわち、前記エアーシリンダー回転軸26aが第1所定位置まで回転した初期時(図3、または図7の(a)と(b)の図示位置)では、前記上半月状爪部28aは、平面視で前記最上トレイ1Aの内側外端部1bに重なりかつ側面視で前記最上トレイ1Aの内側外端部1bの上面に当接して最上トレイ1Aの上方向の移動を阻止可能であり、同時に、前記下半月状爪部29aは、平面視で前記最上トレイ1Aの外縁鍔部1aと重ならない外方に位置し、側面視で最上トレイ1Aの外縁鍔部1aとその直下の直下トレイ1Bの外縁鍔部1aとの間に確保されている段差(間隙)h1内に位置している。
【0051】
また、前記エアーシリンダー回転軸26aが第2所定位置まで回転した中間回転時(図7の(c)、(d)では、前記上半月状爪部28aは、平面視で前記最上トレイ1Aの内側外端部1bと重なり側面視では前記最上トレイ1Aの内側外端部1bの上面に当接し、前記下半月状爪部29aは、平面視で前記直下トレイ1Bの外縁鍔部1aと重なり側面視で前記間隙h1内に位置している。
【0052】
前記エアーシリンダー回転軸26aが第3所定位置まで回転(図7(c)の角度θが約30度から60度、好ましくは45度回転)したトレイ分離時(図7の(e)、(d)では、前記上半月状爪部28aは、平面視で前記最上トレイ1Aの外縁鍔部1aと重ならない外方に位置し、前記下半月状爪部29aは、平面視で前記直下トレイ1Bの外縁鍔部1aと重なり側面視では前記間隙h1内に位置するように構成されている。この場合、前記最上トレイ1Aは、前記上半月状板28の前記上切り欠部28bから上方に分離され得る、
以上の作用が実現されるような形状と高さに前記上半月状板28と前記下半月状板29は形成されている。
【0053】
上述した動作を行わせるにあたり、前記上半月状板28と前記下半月状板29の形状を図7に基づいて詳述する。
図7(a)の前記上半月状爪部28aと前記最上トレイ1Aの内側外端部1bとの平面視での重なり量c1は、前記上半月状爪部28aの円弧半径Rから、前記上半月状爪部28aの円弧中心点(エアーシリンダー回転軸26aの回転軸)から前記最上トレイ1Aの外縁鍔部1aまでの距離eと、前記最上トレイ1Aの外縁鍔部1aから内側外端部1bまでの距離b1を差し引いた幅である。
図7(e)の前記下半月状爪部29aと前記直下トレイ1Bの外縁鍔部1aとの平面視での重なり量c4は、前記下半月状爪部29aの円弧半径rから、前記下半月状爪部29aの円弧中心点(エアーシリンダー回転軸26aの回転軸)から前記直下トレイ1Bの外縁鍔部1aまでの距離eと、前記直下トレイ1Bの外縁鍔部1aから内側外端部1bまでの距離b1を差し引いた幅である。
【0054】
図7(a)の前記上半月状爪部28aと前記最上トレイ1Aの内側外端部1bとの平面視での重なり量c1は、図7(c)の同様の重なり量c2より大きく最大となる。
図7(e)の前記下半月状爪部29aと前記直下トレイ1Bの外縁鍔部1aとの平面視での重なり量c4は、図7(c)の同様の重なり量c3より大きく最大となる。
図7(a)の前記下半月状板29の下半月状爪部縁29cと前記最上トレイ1Aの外縁鍔部1aとの平面視での隙間d1は、図7(e)の前記上半月状板28の上半月状爪部縁28cと前記最上トレイ1Aの外縁鍔部1aとの平面視での隙間d2とほぼ同程度に確保されている。
また、図7(a)の上記重なり量c1は、上記隙間d1より大きく確保され、図7(e)の上記重なり量c4は、隙間d2より大きく確保されており、平面視でのバラツキを考慮しても上記c1とc4がゼロ以下となることがないようにしている。
さらに、図7(c)の重なり量c3と図7(e)の重なり量c4は、各トレイ1の外縁鍔部1aから内側外端部1bまでの距離b1より小さくなるように設定されている。
なお、上記の作用が実現されるならば、前記上半月状板28と前記下半月状板29の形状は、各図のように円弧状でなくともよい。
【0055】
次に、トレイ分離装置200の動作を説明する。
まず、トレイ収納容器2が図3、図4、図5の図示されているような所定場所にセットされる前に、トレイ収納容器2の上側から各トレイ1を詰め込む。トレイ収納容器2の底にはトレイ群載置台10が置かれているので、このトレイ群載置台10の上にトレイ1が積み重ねられてトレイ群100が載置されることになる。
このようにトレイ群100が収納されたトレイ収納容器2は、使用者によって図3の手前側から上方側に向かってスライド挿入し、図3、図4、図5の図示されているような所定場所にセットされる。このトレイ収納容器2が上記所定場所に挿入セットされるためには、ベース台20にレール等の案内部(図示は省略)が構成され、また上記所定場所まで案内スライドされると位置決め部材(図示は省略)により位置決め保持されるものである。
【0056】
上記スライドの前には、押上部11は駆動モータMによりベース台20の上面から突出しないように下方に移動させられている。
なお、上記トレイ収納容器2が上記所定場所に挿入セットされた際、トレイ群100の最上トレイ1Aの高さは、前述の発光ダイオード14と受光素子15を結ぶ高さより低くなっている。上記トレイ群100は、上述した高さとなるように各トレイ1の載置量が規定されている。
【0057】
また、コ字状アーム8は、上記トレイ収納容器2が上記所定場所に挿入セットされる前は、コ字状アーム駆動部18により上記トレイ収納容器2の上方の待機位置に移動している。従って、コ字状アーム8に取付けられたトレイ分離ユニット25も、トレイ収納容器2に収納されたトレイ群100の最上トレイ1Aよりも上方に待機されていることになる。
この待機位置において、コ字状アーム8の左アーム部8bと右アーム部8cに取付けられているトレイ分離ユニット25の上半月状板28及び下半月状板29の平面視での位置は、図3の位置となるまでエアーシリンダー回転軸26aが回転しセットされる。この回転セットは、制御部13によりエアーシリンダー26を制御しエアーシリンダー回転軸26aを所定角度だけ回転制御するように構成していてもよい。
【0058】
しかるのち、作業者により駆動モータMの駆動用スイッチがオンされると、駆動モータMが回転し、押上部11とともにトレイ群載置台10が上昇し、従ってトレイ群100も上昇する。この状態で、最上トレイ1Aが所定位置まで上昇すると、最上トレイ1Aが前述の発光ダイオード14の発光を妨げるようになるので受光素子15が受光できなくなる。すると、制御部13は、上記受光素子15が受光できなくなった検出信号を受けて駆動モータMの駆動を停止させる。従って、最上トレイ1Aが所定位置にセットされることになる。
【0059】
前述の制御部13は、上記受光素子15が受光できなくなった検出信号を受けた際に、さらにコ字状アーム駆動部18も制御しその駆動を開始させる。このためコ字状アーム8が最上トレイ1A側に降下し始める。このコ字状アーム8には、前述したように取付具21が固定されており、取付具21に連結棒23が上下移動可能に保持され、その上端にトレイ分離ユニット25が配置されている。このトレイ分離ユニット25において、上半月形状板28と下半月形状板29は、平面視で図3、図7の(a)の位置に位置決めされている。
【0060】
従って、コ字状アーム8が最上トレイ1A側に降下し始めると、トレイ分離ユニット25も同様に降下し始める。
やがて、トレイ分離ユニット25の上半月形状板28において、前述した上半月状爪部28aが、最上トレイ1Aの内側外端部1bに当たる。この場合、上記トレイ分離ユニット25は、図3に図示されているように左側2箇所、右側2箇所に配置されているので、トレイ群100が側面視で傾いている(通常は、傾いている)場合、側面視で最も高い内側外端部1b場所に対向する上半月状爪部28aが当接する。さらにコ字状アーム8は降下を続けることになるが、最初に当接した上半月状爪部28aは、その下方のコイルバネ24が撓むことにともないそのバネ力により当接している内側外端部1bを押し下げることになる。更に降下すると次に高い内側外端部1bに対向する上半月状爪部28aが当接しその下方のコイルバネ24が撓み、そのバネ力により当該内側外端部1bを押し下げることになる。このようにして、4箇所全ての上半月状爪部28aが対向する内側外端部1bを押し下げることになるので、最上トレイ1Aの4箇所の内側外端部1bは、側面視でほぼ水平に整えられることになる。
【0061】
上記4箇所全ての上半月状爪部28aが対向する内側外端部1bを押し下げることができる予め定められた所定位置までコ字状アーム8が降下するようにコ字状アーム駆動部18は駆動し、コ字状アーム8が所定位置に達すると、コ字状アーム駆動部18の駆動は停止するよう制御部13により制御されている。
なお、上記コ字状アーム駆動部18の上記所定位置まで駆動する駆動制御は、上記の他に、4箇所全ての上半月状爪部28aが対向する内側外端部1bを押し下げることを検出したならば、上記コ字状アーム駆動部18を停止するように制御しても良い。たとえば上記コイルバネ24に撓みが生じたことを検出する圧力センサーを上記コイルバネ24の直下に配設しておき、4箇所全ての圧力センサーに新たな押圧力が生じたならば、上記コ字状アーム駆動部18を停止するように制御しても良い。
【0062】
上記のように、コ字状アーム8が上述の予め定められた所定位置まで降下し上記4箇所全ての上半月状爪部28aが対向する内側外端部1bを押し下げ、コ字状アーム駆動部18の駆動が停止した状態が前述した初期時で、トレイ群100とトレイ分離ユニット25の回転分離部27の関係は、図3、および図7の(a)、(b)のようになっている。
すなわち、前記上半月状爪部28aは、平面視で前記最上トレイ1Aの内側外端部1bに重なりかつ側面視で前記最上トレイ1Aの内側外端部1bの上面に当接して最上トレイ1Aの上方向の移動を阻止可能であり、同時に、前記下半月状爪部29aは、平面視で前記最上トレイ1Aの外縁鍔部1aと重ならない外方に位置し、側面視で最上トレイ1Aの外縁鍔部1aとその直下の直下トレイ1Bの外縁鍔部1aとの間に確保されている段差(間隙)h1内に位置しているのである。
なお、図3の平面視で右2箇所の上記回転分離部27、27は、上切り欠部28b、28bが図3での手前側に位置し、左2箇所の上記回転分離部27、27は、上切り欠部28b、28bが図3での奥側に位置している。また各々の下切り欠部29b、29bは、トレイ1の側辺側に平行に配置されていることになる。
【0063】
しかるのち、各エアーシリンダー26のエアーシリンダー回転軸26aが第2所定位置まで所定角度回転する。この回転方向は、図3の平面視で右2箇所の上記回転分離部27、27は時計回りで、図3の平面視で左2箇所の上記回転分離部27、27も時計回りである。
前記エアーシリンダー回転軸26aが第2所定位置まで回転した状態が前述した中間回転時である。その状態において、上記図3の平面視で右2箇所の上記回転分離部27、27における平面視位置は、図7の(c)、(d)のごとくである。また上記中間回転時において、上記図3の平面視で左2箇所の上記回転分離部27、27における平面視位置は、上記右2箇所の上記回転分離部27、27と点対称になっている。
上記回転分離部27、27において、上記第2所定位置は上記初期時の位置に対して30度から60度、好ましくは45度(図7(c)のθの角度)時計回りに回転した位置である。
上記中間回転時において、前記上半月状爪部28aは、平面視で前記最上トレイ1Aの内側外端部1bと重なり側面視では前記最上トレイ1Aの内側外端部1bの上面に当接し、前記下半月状爪部29aは、平面視で前記直下トレイ1Bの外縁鍔部1aと重なり側面視で前記間隙h1内に位置している。したがって、前記最上トレイ1Aは側面視で上方向への移動は規制されている。
【0064】
この後、各エアーシリンダー26のエアーシリンダー回転軸26aが第3所定位置まで所定角度回転する。この回転方向は、図3の平面視で右2箇所の上記回転分離部27、27は時計回りで、図3の平面視で左2箇所の上記回転分離部27、27も時計回りである。
前記エアーシリンダー回転軸26aが第3所定位置まで回転した状態が前述したトレイ分離時である。その状態において、上記図3の平面視で右2箇所の上記回転分離部27、27における平面視位置は、図7の(e)、(f)のごとくである。また上記トレイ分離時において、上記図3の平面視で左2箇所の上記回転分離部27、27における平面視位置は、上記右2箇所の上記回転分離部27、27と点対称になっている。
上記回転分離部27、27において、上記第1所定位置は上記初期時の位置に対してほぼ90度時計回りに回転した位置である。
【0065】
上記トレイ分離時において、前記上半月状爪部28aは、平面視で前記最上トレイ1Aの外縁鍔部1aと重ならない外方に位置し、前記下半月状爪部29aは、平面視で前記直下トレイ1Bの外縁鍔部1aと重なり側面視では前記間隙h1内に位置している。この場合、上切り欠部28bは、最上トレイ1Aの外縁鍔部1aの外側に位置しており、この外縁鍔部1aとほぼ平面視で平行である。このような最上トレイ1Aおよび直下トレイ1Bと上半月状板28および下半月状板29との平面視および側面視での位置関係は、図3の平面視で右および左の各2箇所の上記回転分離部27、27、27、27において全て同様である。
従って、前記最上トレイ1Aは、前記上半月状板28の前記上切り欠部28bから上方に分離され得るようになっている。
また、直下トレイ1Bは、各4箇所の前記下半月状爪部29aにより上方への移動が阻止されている。
【0066】
上記の様に、トレイ分離ユニット25がトレイ分離時の位置にセットされると、図1と図2で説明したトレイ搬送ユニット3が最上トレイ1Aをしかるべき搬送先に搬送するものである。
すなわち、図1のようにトレイ搬送ユニット3が最上トレイ1Aの上方から降下して、搬送アーム4,4の下面側に装着された真空チャック6、6が最上トレイ1Aの内側外端部1bの上面を吸着し、しかるのちトレイ搬送ユニット3が上昇することにより上記最上トレイ1Aが直下トレイ1Bから分離して上昇することになる。
この分離の際は、最上トレイ1Aは前記上切り欠部28bをすり抜けるのでトレイ搬送ユニット3とともに上昇することができ、上記直下トレイ1Bはその外縁鍔部1aが上記前記下半月状爪部29aにより上方への移動が阻止されていることからトレイ群100に留まることになる。従って、最上トレイ1Aは、トレイ群100から分離されることになる。
【0067】
最上トレイ1Aを吸着し上方に持ち上げたトレイ搬送ユニット3は、図2の(b)のような設定されている搬送先に搬送し、そこに最上トレイ1Aを置くことになり、こうして一連の搬送作業が終了することになる。
【0068】
上記搬送作業が終了するが終了すると、各トレイ分離ユニット25は、各エアーシリンダー26によって反時計回りに約90度回転し、図3の配置場所に戻ることになる。この図3の各トレイ分離ユニット25は、最初の初期時である。
なお、上記搬送作業が終了するが終了した後の各トレイ分離ユニット25は、時計回りで図3の上記初期時位置に戻るように構成してもよいものである。
【0069】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、第1実施形態がトレイ分離ユニット25を4箇所配置しているのに対し、トレイ分離ユニット125を2箇所に配置した点が異なる。
図8には、第2実施形態におけるトレイ分離装置の主要部の平面図が示されている。
【0070】
図8において、トレイ分離ユニット125は、左アーム部8bと右アーム部8cに各々1箇所配置されている。トレイ分離ユニット125は、左アーム部8bの手前側と、右アーム部8cの奥側に配置され、各々は発光ダイオード14と受光素子15を結ぶラインに対し対称の位置関係に配置されている。その他は、第1実施形態と同様である。
従って、トレイ分離ユニット125は少なくなり、装置が簡便になる。また各トレイ分離ユニット125、125は、トレイ群100の平面視で中央ラインに対称の位置に配置されているので、各トレイ分離ユニット125、125が最上トレイ1Aを押圧する際に平面視でのバランスが取れることから、図7の各工程が確実に行われることができるものである。
【0071】
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、第1実施形態がコ字状アーム8が一つの基枠7により案内支持されているのに対し、コ字状アームが上下に設けられて両者が一体化している点、およびこの一体化されたコ字状アーム(一体化コ字状アーム)208が2箇所に設けられた基枠207、207によりそれぞれ案内支持されている点が異なる。
図9には、第3実施形態におけるトレイ分離装置の主要部の平面図が示されている。
【0072】
図9において、一方の基枠207は第1実施形態と同様の個所に設置されており、他方の基枠207が図9の手前側に設置されている。
上記一体化コ字状アーム208は、その突出部208aが図9の手前側と奥側とに各々1箇所形成されており、各々が手前側と奥側とに各々に設けられた基枠207、207とに案内支持されているものである。
この案内支持は第1実施形態の場合と同様で、金属のボールにより支持されている。
【0073】
上記一体化コ字状アーム208には、トレイ分離ユニット225、225が配置されているが、図9の平面視で手前側の右側に1箇所、奥側の左側に1箇所が配置されている。
各トレイ分離ユニット225、225は、図9の平面視でトレイ群100の幅方向(図9の左右方向)の中央ラインに対して左右対称位置に配置されているから第2実施形態の場合と同様に、各トレイ分離ユニット225、225が最上トレイ1Aを押圧する際に平面視でのバランスが取れるものである。したがって、図7の各工程が確実に行われるものである。
なお、トレイ分離ユニットは、上記2箇所に限定されるものではなく、例えば上記一体化コ字状アーム208の左アーム部208bと右アーム部208cにも設置してもよいものである。
【0074】
次に、各実施形態に適用できる変形例について説明する。
〔変形例1〕
各トレイ分離ユニット25、125、225は、取付具21に上下移動可能に設置されていたが、コ字状アーム8や一体化コ字状アーム208に直接上下移動可能に設置してもよい。
すなわち、コ字状アーム8や一体化コ字状アーム208に、第1実施形態の場合と同様案内穴22を形成し、連結棒23を貫通しコイルバネ24を介して連結棒23の上端に上記各トレイ分離ユニット25、125、225を取付けるものである。
【0075】
〔変形例2〕
トレイ分離ユニット25、125、225の上半月状板28および下半月状板29の平面視形状、さらには上切り部28bおよび下切り部29bの平面視形状は、前述の形状に限定されるものではなく、図7の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の動作が実現できるならばどのような形状でもよい。
例えば、上半月状板28および下半月状板29の平面視形状は、円弧形状ではなく多角形状でもよく楕円形状でもよい。同様に上切り部28bおよび下切り部29bの平面視形状も、円弧形状ではなく多角形状でもよく楕円形状でもよい。
【0076】
上記コ字状アーム駆動部18、エアーシリンダー26は、上述したようなエアーシリンダーに限定されるものではなく、他の駆動装置であってもよい。
たとえば、エアーシリンダー26はステッピングモータでもよい。また上記コ字状アーム駆動部18は、電磁回転モータであってもよい。
【0077】
〔応用例1〕
上記のトレイ分離ユニットは、トレイ群100の側面視で最上トレイ1Aを上方に分離搬送するものであった。
本発明のトレイ分離ユニットの応用例としては、トレイ群100を側面視で逆向きに配置して最下の最下トレイを下方に分離取り出すものに適用してもよい。
すなわち、応用例1のトレイ分離ユニットは、外縁鍔部とこの外縁鍔部の平面視内方でかつ側面視下方に段差を有して形成された内側外端部とを備えたトレイが側面視の上方向に複数個積み重ねられてトレイ群が構成され、このトレイ群から各トレイを側面視で下方向に分離し得るトレイ分離ユニットであって、このトレイ分離ユニットは、前記トレイ群のうち最下部に配置された最下トレイの前記内側外端部を下方に移動することを選択的に阻止し得る下半月状板、および下半月状板に対し側面視で所定量上方に配置された上半月状板とを備えた回転分離部と、前記回転分離部に一体化された回転軸を有し、前記回転軸を介して前記回転分離部を所定角度回転させる回転駆動部とを備え、前記回転分離部の前記下半月状板は、下半月状爪部および前記下半月状爪部が形成されていない下切り欠部を備え、前記上半月状板は、上半月状爪部および前記上半月状爪部が形成されていない上切り欠部を備えており、前記下半月状板および前記上半月状板は、前記回転軸が第1所定位置まで回転した初期時には、前記下半月状爪部は、平面視で前記最下トレイの内側外端部に重なりかつ側面視で当該内側外端部の下面に当接して下方向の移動を阻止可能であり、その際、前記上半月状爪部は、平面視で前記最下トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置しかつ側面視で前記最下トレイの外縁鍔部とその直上に配置されている直上トレイの外縁鍔部との間に形成されている間隙内に位置しており、前記回転駆動部により前記回転軸が第2所定位置まで回転した中間回転時には、前記下半月状爪部は、平面視で前記最下トレイの内側外端部と重なりかつ側面視で当該内側外端部の下面に当接して前記下方向の移動を阻止可能であり、その際、前記上半月状爪部は、平面視で前記直上トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視で前記間隙内に位置しており、前記回転駆動部により前記回転軸が第3所定位置まで回転したトレイ分離時には、前記下半月状爪部は、平面視で前記最下トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置し、前記上半月状爪部は、平面視で前記直上トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視では前記間隙内に位置し、前記最下トレイが、前記下半月状板の前記下切り欠部から下方に分離され得る、ように形成されている。
【0078】
〔応用例2〕
応用例2は、上記応用例1のトレイ分離ユニットを用いたトレイ分離装置である。
この場合は、図4−図6に図示されているトレイ群載置台10、押上部11、歯車12、モータM、制御部13、発光ダイオード14、受光素子15、左支柱16、右支柱17、コ字状アーム駆動部18、連結部材19、取付具21、連結棒23、コイルバネ24、等は不要である。なお、上記トレイ分離ユニットを保持するために、前述のコ字状アーム8は必要であるが、側面視で上下に移動させる必要はなく、たとえばベース台20に固定するようにしてもよい。またトレイ収納容器2は、底部壁は無く下方に開放されているものである。
上記のトレイ分離ユニットは、図7の各図のように回転移動することにより、最下トレイを下方に分離するものである。
【0079】
なお、本発明の趣旨を変えない範囲で、上記各実施形態、変形例、応用例を可変してもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のトレイ分離ユニット、及びトレイ分離ユニットを備えたトレイ分離装置、ならびにトレイ分離方法は、上述したような各種のトレイの分離のために適用できるものである。上記トレイは、例えば半導体のベアチップ、半導体実装品、電子部品、カプセル状あるいは粒状の薬剤などの容器や弁当箱あるいは食品を収納する容器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1実施形態におけるトレイ収納容器2のトレイ群から最上トレイが所定位置までトレイ搬送ユニットにより搬送される状態の主要部断面図。
【図2】最上トレイがトレイ搬送ユニットにより搬送される状態の平面図を示し、(a)は搬送前の平面図、(b)は搬送後の平面図。
【図3】上記トレイ分離装置の主要部を示す平面図で図1のトレイ搬送ユニットを取り除いた平面図。
【図4】図3のA方向から見た一部断面を施した主要部の正側面図。
【図5】図3のB方向から見た一部断面を施した主要部の左側面図。
【図6−(a)】トレイ分離ユニットを示した図で、(a)はトレイ分離ユニット25の平面図。
【図6−(b)】トレイ分離ユニットを示した図で、((b)は(a)のトレイ分離ユニット25を右方向から見た右側面図。
【図6−(c)】トレイ分離ユニットを示した図で、(c)は(a)のトレイ分離ユニット25を下方向から見た下側面図。
【図7−(a)】トレイ群の各トレイとトレイ分離ユニットとの分離動作を示す動作図で、(a)は初期時の平面図。
【図7−(b)】トレイ群の各トレイとトレイ分離ユニットとの分離動作を示す動作図で、(b)は初期時の側面図。
【図7−(c)】トレイ群の各トレイとトレイ分離ユニットとの分離動作を示す動作図で、(c)は中間回転時の平面図。
【図7−(d)】トレイ群の各トレイとトレイ分離ユニットとの分離動作を示す動作図で、(d)は中間回転時の側面図。
【図7−(e)】トレイ群の各トレイとトレイ分離ユニットとの分離動作を示す動作図で、(e)はトレイ分離時の平面図。
【図7−(f)】トレイ群の各トレイとトレイ分離ユニットとの分離動作を示す動作図で、(f)はトレイ分離時の側面図。
【図8】本発明の第2実施形態におけるトレイ分離装置の主要部の平面図。
【図9】本発明の第3実施形態におけるトレイ分離装置の主要部の平面図。
【符号の説明】
【0082】
1:トレイ、1a:外縁鍔部、1b:内側外端部、1A:最上トレイ、1B:直下トレイ、2:トレイ収納容器、3:トレイ搬送ユニット、4:搬送アーム、5:バネ、6:真空チャック、7、207:基枠、7a:スライド溝、8、108:コ字状アーム、8a、208a:突出部、8b、208b:左アーム部、8c、208c:右アーム部、9:ボール、10:トレイ群載置台、11:押上部、11a:歯型、12:歯車、13:制御部、14:発光ダイオード、15:受光素子、16:左支柱、17:右支柱、18:コ字状アーム駆動部、19:連結部材、20:ベース台、21:取付具、22:案内穴、23:連結棒、24:コイルバネ、25、125、225:トレイ分離ユニット、26:エアーシリンダー、26a:エアーシリンダー回転軸、27:回転分離部、28:上半月状板、28a:上半月状爪部、28b:上切り欠部、28c:上半月状爪部縁、29:下半月状板、29a:下半月状爪部、29b:下切り欠部、29c:下半月状爪部縁、30:連結部、100:トレイ群、200:トレイ分離装置、208:一体化コ字状アーム、M:駆動モータ、R、r:半径、h1:トレイの段差(間隙)、b1:距離、c1〜c4:重なり量、d1、d2:隙間、e:距離、θ:回転角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外縁鍔部とこの外縁鍔部の平面視内方でかつ側面視上方に段差を有して形成された内側外端部とを備えたトレイが側面視の上下方向に複数個積み重ねられてトレイ群が構成され、このトレイ群から各トレイを側面視で上方向に分離し得るトレイ分離ユニットであって、このトレイ分離ユニットは、
前記トレイ群のうち最上部に配置された最上トレイの前記内側外端部を上方に移動することを選択的に阻止し得る上半月状板、および上半月状板に対し側面視で所定量下方に配置された下半月状板とを備えた回転分離部と、
前記回転分離部に一体化された回転軸を有し、前記回転軸を介して前記回転分離部を所定角度回転させる回転駆動部とを備え、
前記回転分離部の前記上半月状板は、上半月状爪部および前記上半月状爪部が形成されていない上切り欠部を備え、前記下半月状板は、下半月状爪部および前記下半月状爪部が形成されていない下切り欠部を備えており、
前記上半月状板および前記下半月状板は、
前記回転軸が第1所定位置まで回転した初期時には、前記上半月状爪部は、平面視で前記最上トレイの内側外端部に重なりかつ側面視で当該内側外端部の上面に当接して上方向の移動を阻止可能であり、その際、前記下半月状爪部は、平面視で前記最上トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置しかつ側面視で前記最上トレイの外縁鍔部とその直下に配置されている直下トレイの外縁鍔部との間に形成されている間隙内に位置しており、
前記回転駆動部により前記回転軸が第2所定位置まで回転した中間回転時には、前記上半月状爪部は、平面視で前記最上トレイの内側外端部と重なりかつ側面視で当該内側外端部の上面に当接して前記上方向の移動を阻止可能であり、その際、前記下半月状爪部は、平面視で前記直下トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視で前記間隙内に位置しており、
前記回転駆動部により前記回転軸が第3所定位置まで回転したトレイ分離時には、前記上半月状爪部は、平面視で前記最上トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置し、前記下半月状爪部は、平面視で前記直下トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視では前記間隙内に位置し、前記最上トレイが、前記上半月状板の前記上切り欠部から上方に分離され得る、
ように形成されていることを特徴とするトレイ分離ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載されたトレイ分離ユニットを複数個備えたトレイ分離ユニット支持フレームと、
前記トレイ分離ユニット支持フレームを側面視で上下方向に移動させる上下移動手段と、
を備えることを特徴とするトレイ分離装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたトレイ分離装置であって、
さらに前記トレイ群を側面視で上方に押し上げる押上げ手段、
を備えたことを特徴とするトレイ分離装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載に記載されたトレイ分離装置であって、
前記トレイ群のうち前記最上トレイの側面視で上下方向の位置を検出する位置検出装置を備え、
前記最上トレイが前記位置検出装置により所定位置であることが検出されるまで前記押上げ手段が前記トレイ群を上方に押し上げるか、もしくは前記上下移動手段が前記トレイ分離ユニット支持フレームを下方に移動させる制御部と、
を有することを特徴とするトレイ分離装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載されたトレイ分離装置であって、
さらに、前記初期時において、前記上半月状爪部が側面視で前記内側外端部の上面に当接した場合、前記上半月状爪部が前記内側外端部を側面視下方に対し相対的に押し下げる押下げ手段、
を備えたことを特徴とするトレイ分離装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載されたトレイ分離装置であって、
前記トレイ分離ユニットは、前記回転軸が第3所定位置まで回転したトレイ分離時において、平面視で前記最上トレイを支持し前記トレイ群から搬送する搬送装置の移動範囲外の所定位置に配置されている
ことを特徴とするトレイ分離装置。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載されたトレイ分離装置であって、
前記トレイ分離ユニットは、平面視で前記最上トレイの中心部を中心に対向した位置に1ユニットづつ配置されている
ことを特徴とするトレイ分離装置。
【請求項8】
外縁鍔部とこの外縁鍔部の平面視内方でかつ側面視上方に段差を持って形成された内側外端部とを備えたトレイが側面視の上下方向に複数個積み重ねられてトレイ群が構成され、前記トレイ群のうち最上部に配置された最上トレイの前記内側外端部を上方に移動することを選択的に阻止し得る上半月状板、および前記上半月状板に対し側面視で所定量下方に配置された下半月状板、前記上半月状板及び下半月状板とを一体的に回転させる回転駆動部とを備え、前記上半月状板は上半月状爪部およびその爪部が形成されていない上切り欠部を備え、前記下半月状板は下半月状爪部およびその爪部が形成されていない下切り欠部を備えたトレイ分離ユニットを用い、
前記トレイ群から各トレイを側面視で上方向に分離するするトレイ分離方法であって、
前記トレイ群または前記トレイ分離ユニットを側面視で所定の上下方向位置まで移動する所定位置移動工程と、
前記上半月状爪部が、平面視で前記最上トレイの内側外端部に重なりかつ側面視で当該内側外端部の上面に当接して最上トレイの上方移動を阻止し、同時に、前記下半月状爪部が、平面視で前記最上トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置しかつ側面視で前記最上トレイの外縁鍔部とその直下に位置している直下トレイの外縁鍔部との間に構成された間隙内に位置する第1所定位置まで前記回転駆動部により回転する回転分離部初期位置セット工程と、
前記上半月状爪部が、平面視で前記最上トレイの内側外端部と重なりかつ側面視では当該内側外端部の上面に当接したまま、前記下半月状爪部が、平面視で前記直下トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視で前記隙間内に位置する第2所位置まで前記回転駆動部により回転する回転分離部中間回転位置セット工程と、
前記上半月状爪部が、平面視で前記最上トレイの外縁鍔部と重ならない外方に位置し、前記下半月状爪部が、平面視で前記直下トレイの外縁鍔部と重なりかつ側面視で前記隙間内に位置する第3所定位置まで前記回転駆動部により回転する回転分離部トレイ分離位置セット工程と、
前記回転分離部トレイ分離位置セット工程後に、前記最上トレイを前記トレイ群から側面視で上方に分離する最上トレイ分離工程と、
を備えたことを特徴とするトレイ分離方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−(a)】
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【図6−(b)】
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【図6−(c)】
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【図7−(a)】
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【図7−(b)】
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【図7−(c)】
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【図7−(d)】
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【図7−(e)】
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【図7−(f)】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−314330(P2007−314330A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147629(P2006−147629)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(591093494)株式会社ミスズ工業 (58)
【Fターム(参考)】