説明

トレハロースとタンパク質との飲料用添加混合物

本発明は、飲料用添加物を提供する。添加物は、通常は苦味/厚紙味のある1種又は2種以上のタンパク質と、トレハロースとを含有する混合物を含む。添加物は、通常は苦味/厚紙味のある1種以上のタンパク質を含有するものの、飲料のフレーバーに対するこの添加物の効果は、思いがけず、実質的に中立である。本発明はまた、脱水された形態で混合物を簡単に処理して貯蔵することを可能にする。混合物は脱水され、次いで飲料への添加前又は添加中に再水和される。脱水及びこれに続く再水和は、処理上、保存上、取扱い上、及び貯蔵上の利点を得ることを可能にし、この場合、タンパク質又は添加物に対する損傷はほとんどない。本発明は、添加物、及び添加物を含有する飲料を提供する。加えて、本発明は添加物の製造方法、及びフレーバー飲料の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は飲料用栄養添加物に関する。より具体的には、本発明は、トレハロースと、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質とを含む栄養添加物に関する。本発明は一般に、このような添加物、及び関連する処理上の利点及びフレーバー上の利点に関する。
背景
【0002】
ビジネスやその他の生活面の加速度的な進展を背景に、人々はしばしば、より短時間に多数のことを成し遂げる方法を探し求める。多忙な人々にとって魅力的な時間節約手段は、彼等の活動の中により効率的に食事を組み入れる方法を見いだすことである。このような人々はしばしば、利用しやすく手早く摂取することができる高栄養食品を探し求める。従って、栄養サプリメントからの栄養価が高められた飲料が魅力的になる。
【0003】
タンパク質は、このような飲料の重要な栄養源である。例えば乳清タンパク質は、食品系におけるその機能性、並びに完全タンパク質としてのその栄養価が知られている重要な食品成分である。一例としては、健康用途及びスポーツ用途において、乳清タンパク質の分枝鎖アミノ酸レベルが有意であることにより、乳清タンパク質は、運動中及び運動後の筋肉再生のための望ましいサプリメント成分にされる。或る健康促進効能の主張、例えば血圧低下や免疫系の増強とともに、乳清の特定成分が同定されている。残念ながら、乳清及びその他の有用なタンパク質は一般に、苦味/厚紙味のあるフレーバーを有し、このフレーバーは飲料中に独特の不快臭をもたらす。加えて、乳清及びその他のタンパク質を使用すると、処理が困難になることがある。例えば、貯蔵をより簡単にできるように乳清及びその他のタンパク質を脱水すると、タンパク質は容易に変性し、タンパク質としての価値を失うおそれがある。
【0004】
乳清タンパク質、又は通常は苦味/厚紙味のあるその他のタンパク質の使用を可能にし、しかも、飲料のフレーバーに対して中立の効果を有する添加物が利用可能であるならば、このことは飲料産業にとって重要なものになる。また、このような添加物が、貯蔵のための脱水混合物として製造することができ、次いで、飲料に添加する際に容易に再水和することができるならば、このことも重要なものになる。最後に、タンパク質が再水和されたときに、実質的に損傷を受けなければ、このことも重要なものになる。
【0005】
発明の概要
本発明は思いがけなく、必要とされる添加物を提供する。本発明は、トレハロースと、通常は苦味/厚紙味のある1種又は2種以上のタンパク質との混合物を提供する。混合物は貯蔵のために脱水することができ、次いで、タンパク質に対して実質的に損傷を与えることなしに再水和することができる。さらに、脱水された混合物、又は飲料への添加時に再水和された混合物は、飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有する。
【0006】
本発明の1実施態様は、フレーバー飲料の製造に関する。この方法は、下記工程:(1) 通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質にトレハロースを添加し;該トレハロースが、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質全体にわたって実質的に分配され;そして該トレハロースと、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質とが混合物を形成し;(2) 該混合物から水を除去し、該混合物は実質的に脱水され;(3) 該混合物をフレーバー飲料に添加し;該混合物は該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有する、工程を含む。
【0007】
本発明の別の観点は、フレーバー飲料の製造方法に関する。この方法は、下記工程:(1) 乳清タンパク質にトレハロースを添加し;該トレハロースが、該乳清タンパク質全体にわたって実質的に分配され;そして該トレハロースと該乳清タンパク質とが混合物を形成し;(2) 該混合物から水を除去し、該混合物は実質的に脱水され;(3) 該混合物をフレーバー飲料に添加し;該混合物は該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有する、工程を含む。
【0008】
本発明の別の観点は、飲料用添加物の製造方法に関する。この方法は、下記工程:(1) 通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質にトレハロースを添加し;該トレハロースが、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質全体にわたって実質的に分配され;そして該トレハロースと、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質とが混合物を形成し;(2) 該混合物から水を除去し、該混合物は実質的に脱水され;(3) 該実質的に脱水された混合物を該添加物の少なくとも一部に配合し;該添加物は該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有する、工程を含む。
【0009】
本発明の別の観点は、飲料用添加物の製造方法に関する。この方法は、下記工程:(a) 乳清タンパク質にトレハロースを添加し;該トレハロースが、該乳清タンパク質全体にわたって実質的に分配され;そして該トレハロースと、該乳清タンパク質とが混合物を形成し;(b) 該混合物から水を除去し、該混合物は実質的に脱水され;(c) 該実質的に脱水された混合物を該添加物の少なくとも一部に配合し;該添加物は該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有する、工程を含む。
【0010】
本発明の別の観点は、飲料用添加物に関する。この添加物は、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質と、トレハロースとを含み、該トレハロースが、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質全体にわたって実質的に分配されており;該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質と、トレハロースとが、実質的に脱水された混合物を形成しており;そして、該添加物が、該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有している。
【0011】
本発明の別の観点は、飲料用添加物に関する。この添加物は、乳清タンパク質とトレハロースとを含み、該トレハロースが、該乳清タンパク質全体にわたって実質的に分配されており;該乳清タンパク質とトレハロースとが、実質的に脱水された混合物を形成しており;そして、該添加物が、該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有している。
【0012】
本発明の別の観点は、飲料に関する。この飲料は添加物を含み;該添加物が、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質と、トレハロースとを含み、該トレハロースが、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質全体にわたって実質的に分配されており;該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質と、トレハロースとが、実質的に脱水された混合物を形成しており;そして該添加物が、該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有している。
【0013】
本発明の別の観点は、飲料に関する。この飲料は添加物を含み;該添加物が、乳清タンパク質とトレハロースとを含み、該トレハロースが、該乳清タンパク質全体にわたって実質的に分配されており;該乳清タンパク質とトレハロースとが、実質的に脱水された混合物を形成しており;そして該添加物が、該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有している。
【0014】
本発明のさらに別の観点は、本明細書中に記載された種々の方法によって製造されたフレーバー飲料に関する。
【0015】
本発明のさらに別の観点は、本明細書中に記載された種々の方法によって製造された飲料用添加物に関する。
発明の詳細な説明
【0016】
定義
「飲料」-本明細書中に使用されるこの用語は下記のものを含む:1)本発明の添加物を添加することができる飲料、1)本発明の添加物が添加されつつある飲料、及び1)本発明の添加物が添加されている飲料。
「脱水」-1種又は2種以上の溶質を含有する溶液から、熱、真空又はその他の乾燥法を用いて水を除去することにより、残存生成物が、湿分約10%未満の実質的に自由流動性の粉末であり、微生物成長を支持して維持することができず、そして周囲温度の貯蔵において安定であるようにする。
「通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質」-本発明によって検討される、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質は、乳清タンパク質、大豆タンパク質、及びカゼイン・タンパク質を含む。特定の用語「通常は苦味/厚紙味のある」は、乳清タンパク質、大豆タンパク質、及びカゼイン・タンパク質に通常付随する強い苦味及び厚紙味によって容易に特徴付けられる。
「再水和」-乾燥タンパク質粉末に水を添加することにより、粉末が完全に溶解されるように、そして種々の成分が自然の、又は自然に近い構造及び機能性に戻されるようにする。
【0017】
略語
% パーセント;特に断りのない限り重量/重量を基準として記載
°F カ氏度
psi ポンド/平方インチ・ゲージ
TREa 非晶質形態を成すトレハロース
TREalpha 代わりの無水結晶形態(TREbetaの代わり)を成すトレハロース
TREbeta 無水結晶形態を成すトレハロース
TREh 二水和物結晶形態を成すトレハロース
Tg ガラス転移温度
WPI 乳清タンパク質分離物
【0018】
詳細な説明
本発明は、思いがけない結果を有する飲料用添加物を提供する。添加物は、通常は苦味/厚紙味のある1種又は2種以上のタンパク質と、トレハロースとを含有する混合物を含む。添加物は、通常は苦味/厚紙味のある1種以上のタンパク質を含有するものの、飲料のフレーバーに対するこの添加物の効果は、思いがけず、実質的に中立である。
【0019】
本発明はまた、脱水された形態で混合物を簡単に処理して貯蔵することを可能にする。混合物は脱水され、次いで飲料への添加前又は添加中に再水和される。脱水及びこれに続く再水和は、処理上、保存上、取扱い上、及び貯蔵上の利点を得ることを可能にし、この場合、タンパク質又は添加物に対する損傷はほとんどない。
【0020】
本発明によって検討される、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質は、乳清タンパク質、大豆タンパク質及びカゼイン・タンパク質を含む。「通常は苦味/厚紙味のある」という用語は、乳清タンパク質、大豆タンパク質、及びカゼイン・タンパク質と通常関連する強い苦味及び厚紙味によって容易に特徴付けられる。
【0021】
本発明によって検討される、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質は、分離形態、縮合形態、及び加水分解形態を含む。例えば、本発明は、乳清タンパク質分離物、乳清タンパク質縮合物、乳清タンパク質加水分解物、大豆タンパク質分離物、大豆タンパク質縮合物、大豆タンパク質加水分解物、カゼイン・タンパク質分離物、カゼイン・タンパク質縮合物、及びカゼイン・タンパク質加水分解物を検討する。
【0022】
トレハロースと、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質との混合物は、重量比約5/95から約99/1の範囲の、タンパク質に対するトレハロースの相対量を含有することができる。約20/80から約99/1の比が好ましいが、特定の重量比が重要であるとは思われない。本発明の効果を支援するためには、或る特定量のトレハロースが必要であるとは考えられる(例えば5%トレハロース)。しかし、本発明の効果は、十分なトレハロース(例えば5%トレハロース)が存在する限り、事実上任意の量のタンパク質に対して生じると期待される。特定の重量比は重要でないと考えられはするものの、約50/50の比が本発明者によって試験に基づき評価されている。
【0023】
本発明によって検討される飲物は:(1)スポーツ飲料、例えばゲータレード、パワーレード、及びその他の類似の飲料;(2)食事代用飲料、例えばヨーグルト・ベースの飲物、例えばスムージー、ミルク・ベースの飲物、大豆ベースの飲物、及びその他の類似の飲料;(3)栄養補助飲料、例えばスリムファスト、及びその他の類似の飲料;(4)フルーツジュース;(5)ソーダ水、及び(6)その他の類似の飲料を含む。本発明は栄養補給が望まれる事実上任意の飲料にとって有用であると考えられる。
【0024】
飲料に添加された混合物中の、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質の量は、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質が飲料の約0.5%から約20%を形成するような範囲にあることができる。好ましい範囲は約1%から約10%である。通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質の特定の量は、栄養、テクスチャー、フレーバー及びコストを考慮することによりコントロールされる。通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質の特定の量は重要とは考えられないものの、約1.67%の量が本発明者によって試験に基づき評価されている。
【0025】
トレハロースは、アルファ1-1グリコシド結合を有するグルコース二糖であり、この結合により、グルコース二糖は対称性の糖になる。対称性の糖は、食品及び製薬の分野において数多くの用途を有する。トレハロースは固相において多形である。安定な二水和物結晶TREhに加えて、分子は無水結晶形態TREbeta、及び非晶質形態TREaをも含む。僅かに高い温度及び真空において、代わりの無水結晶TREalphaを形成することもできる。TREalphaは、TREhの結晶アーキテクチャーを維持する。なぜならば、湿分除去速度が、分子が弛緩してよりコンパクトな構造になることを許さないからである。湿分に晒されると、TREalphaは急速にTREhに変化することになる。高熱及び真空により、TREh結晶は溶融され、水が急速に除去され、その結果、TREbetaに対応する構成が生じる。トレハロースの別の重要な特性は、二糖にしてはガラス転移温度Tgが特に高いことである (マルトテトラオースに匹敵) 。
【0026】
トレハロースは、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質(Davisco Foods, Incorporated製のBiPro(登録商標)と呼ばれる血清タンパク質分離物(WPI)に添加された。トレハロースは、WPI固形分含量と等しいレベルで溶液中に添加された。その結果生じた溶液を噴霧乾燥させることにより、乾燥重量を基準として50%のトレハロースと50%の乳清タンパク質分離物とを含有する安定な粉末を産出した。その結果生じた粉末の構造は、トレハロースによって封入されたタンパク質粒子であり、約300ミクロンのサイズであることが測定された。粒子のトレハロース成分は非晶質であった(示差走査熱量測定によって検出)。同時乾燥させられたこの混合物は、一次タンパク質成分として、そして4:1の炭水化物:タンパク質飲料中の炭水化物成分として使用された。タンパク質は、その種々の成分が自然の、又は自然に近い構造及び機能性に戻されるように、飲物中で再水和されることが見いだされた。加えて、同時乾燥させられた混合物は、同様のレベルの同じタンパク質とトレハロースとを別個の成分として添加する場合と比較して、不快なタンパク質臭の少ない、よりきれいなフレーバーをもたらした。また、トレハロースは、タンパク質と同時乾燥させられるときに、還元糖を含有する溶液中のメイラード褐変反応を遅延させることも観察された。従って、トレハロースは一緒に噴霧乾燥させられると、乾燥プロセス中及び貯蔵中にタンパク質を安定化し、そして食品中のタンパク質の他の不所望な影響を軽減する可能性を有すると結論付けられる。
【0027】
炭水化物、特にオリゴ糖は、或る特定のタンパク質安定化効果を有することが知られている。例えば、トレハロースは、脱水中及び再水和中にタンパク質を安定化して、再水和時にタンパク質の変性を生じさせないか、又は最小限に抑えるようにすることができる。このような発見は、Sussich他「Reversible dehydration of trehalose and anhydrobiosis from solution state to an exotic crystal(トレハロースの可逆脱水、及び溶液状態から外来結晶への脱水仮死)」Carbohydrate Research、第443巻、2001年、第165から176頁;並びに、Murray及びLiang「Enhancement of the foaming properties of protein dried in the presence of trehalose(トレハロースの存在において乾燥させられたタンパク質の発泡特性の増強)」Journal of Agriculture Food Chemistry、第47巻、1999年、第4894から4991頁に報告されている。しかし本発明は、トレハロースが思いがけなく、飲料サプリメント中のタンパク質からの不快臭の発生を、他の糖よりも著しく良好に軽減できることを実証した。本明細書中に実証されているように、トレハロースは、天然溶液から食品タンパク質と一緒に噴霧乾燥させられると、フレーバーに対して著しく効果的な影響を与える。トレハロースはまた、或る特定の他の機能性に対する効果の改善を示す。例えばトレハロースは、多くの他の糖(例えばスクロース又はグルコース)よりも急速に水中に溶け、そして共溶質として、タンパク質、及び溶解度又は分散性が低いその他の分子の溶解又は分散を容易にする。
【0028】
改善手段の上記簡単な概要は、下記実施例から当業者に明らかになる。実施例は、本発明の思想及び本発明の特定の実施態様を説明するように意図されるものであり、本発明を限定するものではない。本発明のこの開示内容を読んだ後、当業者は、付加的な実施態様を構想することができるようになる。全てのこのような実施態様が本発明に含まれるのが本発明者の意図である。
【0029】
実施例
実施例1
トレハロースと乳清との混合物の噴霧乾燥を、Le Sueur, MN在Davisco Food's処理施設で行った。264ポンドの結晶性トレハロース二水和物(90% トレハロース)を、標準的なプロペラ・ミキサーを使用して、1080ポンドの22%血清タンパク質分離物溶液(BiPro(登録商標))中にブレンドすることにより、17.6%トレハロースと17.6%WPIとを含有する溶液を産出した。トレハロースが完全に溶解されたことが見極められるまで、溶液を20分間にわたって50°Fでブレンドした。結果として生じたブレンドを、下記パラメーターでDavisco's Coulter 乾燥器内で噴霧乾燥させた。これらのパラメーターは、乳清タンパク質分離物を乾燥させるのに使用される典型的なものである:
・入口温度 385から395°F
・ノズル圧 850 +/- 35 psi
・出口温度 205から215°F
・目標湿度 6.0から4.5%
・乾燥速度 1時間当たり200ポンド
・保持時間 2分間
・冷却温度 50°F
結果として生じた混合物は粉末であった。結果として生じた粉末の構造は、トレハロースによって封入されたタンパク質粒子であり、約300ミクロンのサイズであることが測定された。結果として生じた混合物は本明細書中ではBT-100と呼ぶ。
【0030】
実施例2
実施例1で調製されたトレハロース/BiPro(登録商標)混合物の試料を、炭水化物:タンパク質が4:1の水ベース飲料に添加することにより、タンパク質強化型のすぐ飲むことができる飲料を製造した。
下記工程を含む手順を用いて、混合物を飲料に添加した:
1. BT-100(実施例1で調製されたトレハロース/BiPro(登録商標)混合物)をスクロースと混合した。次いでブレンド全体を水にゆっくりと添加した。BT-100及びスクロースが完全に溶解されるのに十分な時間を置いた。
2. クエン酸ナトリウム及びリン酸一カリウムを、静かに撹拌しながら添加した。
3. 酸味料ブレンドの50%をゆっくりと添加し、そして溶液を15分間にわたって混合させておいた。pHを測定した。pHが3.5以上である場合には、酸味料ブレンドの25%(残りの半分)を添加し、溶液を再び15分間にわたって混合させておき、pHが3.4を下回らないことを保証するように、pHを測定した。pHが3.3に達するまで酸味料ブレンドの残りを添加した。
4. フレーバーを添加した。
5. 着色料を添加した。
6. 15分間にわたって撹拌し、pHが3.3であることを保証するようにpHを測定した。
7. 30秒間にわたって190°Fまで加熱し、好適なパッケージ内に高温で充填し、そして直ちに冷却した。
【0031】
混合物添加後の飲物の配合を表1に記載する:
【表1】

【0032】
比較例1
トレハロース二水和物とBiPro(登録商標)タンパク質とを、実施例2において使用される同じ飲料に、別個の成分として添加することにより、タンパク質強化型のすぐ飲むことができる飲物を製造した。
下記工程を含む手順を用いて、別個の成分を飲物に添加した:
1. BiPro(登録商標)乳清タンパク質分離物を、スクロース及びトレハロースと混合した。次いでブレンド全体を水にゆっくりと添加した。BiPro(登録商標)乳清タンパク質分離物、スクロース、及びトレハロースが完全に溶解されるのに十分な時間を置いた。
2. クエン酸ナトリウム及びリン酸一カリウムを、静かに撹拌しながら添加した。
3. 酸味料ブレンドの50%をゆっくりと添加し、そして溶液を15分間にわたって混合させておいた。pHを測定した。pHが3.5以上である場合には、酸味料ブレンドの25%(残りの半分)を添加し、溶液を再び15分間にわたって混合させておき、pHが3.4を下回らないことを保証するように、pHを測定した。pHが3.3に達するまで酸味料ブレンドの残りを添加した。
4. フレーバーを添加した。
5. 着色料を添加した。
6. 15分間にわたって撹拌し、pHが3.3であることを保証するようにpHを測定した。
7. 30秒間にわたって190°Fまで加熱し、好適なパッケージ内に高温で充填し、そして直ちに冷却した。
トレハロース二水和物及びBiPro(登録商標)タンパク質の添加後の飲物の配合を表1に記載する:
【0033】
実施例3
実施例2及び比較例1において調製された配合物を、味全体、タンパク質の苦味、及びタンパク質の厚紙味に関して、この分野の熟練した当業者によって試験した。
官能試験の結果を表2に示す。
【表2】

【0034】
表2のデータによって示されるように、実施例2で調製された飲料は、比較例1で調製された飲料よりもきれいなフレーバーをもたらした。具体的には、実施例2の飲料は、比較例1の飲料のタンパク質の強い苦味及びタンパク質の強い厚紙味を欠いていた。実施例2の添加物は、飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有することが結論付けられた。
【0035】
多数の実施態様及び実施例において本発明の原理を示し、説明してきたが、当業者には明らかなように、このような原理を逸脱することなしに、配列や詳細において本発明に変更を加えることができる。添付の特許請求の範囲の思想及び範囲に含まれる全ての変更形を我々は主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーバー飲料の製造方法であって、下記工程:
(a) 通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質にトレハロースを添加し;該トレハロースが、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質全体にわたって実質的に分配され;そして該トレハロースと、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質とが混合物を形成し;
(b) 該混合物から水を除去し、該混合物は実質的に脱水され;
(c) 該混合物をフレーバー飲料に添加し;該混合物は該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有する
工程を含む、フレーバー飲料の製造方法。
【請求項2】
フレーバー飲料の製造方法であって、下記工程:
(a) 乳清タンパク質にトレハロースを添加し;該トレハロースが、該乳清タンパク質全体にわたって実質的に分配され;そして該トレハロースと該乳清タンパク質とが混合物を形成し;
(b) 該混合物から水を除去し、該混合物は実質的に脱水され;
(c) 該混合物をフレーバー飲料に添加し;該混合物は該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有する
工程を含む、フレーバー飲料の製造方法。
【請求項3】
該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質が、大豆タンパク質及びカゼイン・タンパク質から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質が、分離物、縮合物、及び加水分解物から成る群から選択された形態を成す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該飲料が、スポーツ飲料、食事代用飲料、栄養補助飲料、フルーツジュース、及びソーダ水から成る群から選択される、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項6】
飲料用添加物の製造方法であって、下記工程:
(a) 通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質にトレハロースを添加し;該トレハロースが、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質全体にわたって実質的に分配され;そして該トレハロースと、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質とが混合物を形成し;
(b) 該混合物から水を除去し、該混合物は実質的に脱水され;
(c) 該実質的に脱水された混合物を該添加物の少なくとも一部に配合し;該添加物は該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有する
工程を含む、飲料用添加物の製造方法。
【請求項7】
飲料用添加物の製造方法であって、下記工程:
(a) 乳清タンパク質にトレハロースを添加し;該トレハロースが、該乳清タンパク質全体にわたって実質的に分配され;そして該トレハロースと、該乳清タンパク質とが混合物を形成し;
(b) 該混合物から水を除去し、該混合物は実質的に脱水され;
(c) 該実質的に脱水された混合物を該添加物の少なくとも一部に配合し;該添加物は該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有する
工程を含む、飲料用添加物の製造方法。
【請求項8】
該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質が、大豆タンパク質及びカゼイン・タンパク質から成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質が、分離物、縮合物、及び加水分解物から成る群から選択された形態を成す、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
該飲料が、スポーツ飲料、食事代用飲料、栄養補助飲料、フルーツジュース、及びソーダ水から成る群から選択される、請求項6、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項11】
通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質と、トレハロースとを含む飲料用添加物であって、該トレハロースが、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質全体にわたって実質的に分配されており;該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質と、トレハロースとが、実質的に脱水された混合物を形成しており;そして、該添加物が、該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有している、飲料用添加物。
【請求項12】
乳清タンパク質とトレハロースとを含む飲料用添加物であって、該トレハロースが、該乳清タンパク質全体にわたって実質的に分配されており;該乳清タンパク質とトレハロースとが、実質的に脱水された混合物を形成しており;そして、該添加物が、該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有している、飲料用添加物。
【請求項13】
該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質が、大豆タンパク質及びカゼイン・タンパク質から成る群から選択される、請求項11に記載の添加物。
【請求項14】
該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質が、分離物、縮合物、及び加水分解物から成る群から選択された形態を成す、請求項11に記載の添加物。
【請求項15】
該飲料が、スポーツ飲料、食事代用飲料、栄養補助飲料、フルーツジュース、及びソーダ水から成る群から選択される、請求項11、請求項12又は請求項13に記載の添加物。
【請求項16】
添加物を含む飲料であって、該添加物が、通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質と、トレハロースとを含み、該トレハロースが、該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質全体にわたって実質的に分配されており;該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質と、トレハロースとが、実質的に脱水された混合物を形成しており;そして該添加物が、該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有している、添加物を含む飲料。
【請求項17】
添加物を含む飲料であって、該添加物が、乳清タンパク質とトレハロースとを含み、該トレハロースが、該乳清タンパク質全体にわたって実質的に分配されており;該乳清タンパク質とトレハロースとが、実質的に脱水された混合物を形成しており;そして該添加物が、該飲料のフレーバーに対して実質的に中立の効果を有している、添加物を含む飲料。
【請求項18】
該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質が、大豆タンパク質及びカゼイン・タンパク質から成る群から選択される、請求項16に記載の添加物。
【請求項19】
該通常は苦味/厚紙味のあるタンパク質が、分離物、縮合物、及び加水分解物から成る群から選択された形態を成す、請求項16に記載の添加物。
【請求項20】
該飲料が、スポーツ飲料、食事代用飲料、栄養補助飲料、フルーツジュース、及びソーダ水から成る群から選択される、請求項16、請求項17又は請求項18に記載の添加物。
【請求項21】
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の方法によって製造されたフレーバー飲料。
【請求項22】
請求項6、請求項7又は請求項8に記載の方法によって製造された添加物。

【公表番号】特表2006−526418(P2006−526418A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515212(P2006−515212)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017814
【国際公開番号】WO2004/107883
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505040062)カーギル,インコーポレイティド (23)
【Fターム(参考)】