説明

トレーサビリティシステム

【課題】生産履歴の改ざん等を防止し、食に対する信頼性を向上させることを可能とする。
【解決手段】鶏卵17に生産履歴を付して流通させ、鶏卵17の流通時又は流通後に生産履歴を追跡可能とするトレーサビリティシステム1であって、出荷すべき鶏卵17の生産履歴を、賞味期限等ラベル13に付設した非接触記憶媒体14に書き込む書込クレードル15と、書込クレードル15による非接触記憶媒体14への書き込み動作を制御する書込端末16とを、GPセンター2に備え、書込端末16は、非接触記憶媒体14への生産履歴の書き込みを1回のみ許容し、非接触記憶媒体14への情報の追記、及び、非接触記憶媒体14に書き込まれた情報の書き換えを禁止するトレーサビリティシステム1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食製品に生産履歴を付して流通させ、その食製品の流通時又は流通後に生産履歴を追跡可能とするトレーサビリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出荷した食製品の生産履歴を追跡するトレーサビリティシステムとして、種々のシステムが提案されており、例えば、特許文献1には、種鶏場からGPセンター(卵選別包装施設)に至るまでの生産履歴をバーコード化又は記号化して管理するシステムが記載されている。このシステムは、GPセンターにおいて、種鶏場に関する情報(例えば、種卵(種鶏が生まれた卵)の情報)、孵化場に関する情報(例えば、種卵が孵化した日付や孵化環境)、育雛・育成場に関する情報(例えば、雛鶏の飼育環境や疾病検査の有無)、採卵鶏農場に関する情報(例えば、成鶏(種鶏)の飼育環境や疾病検査の有無)をバーコード化又は記号化し、卵、又は卵を包装するパッケージに直接印字するように構成される。
【0003】
また、出荷鶏卵の生産履歴を管理する他のシステムとして、特許文献2には、ICタグを利用したシステムが記載されている。このシステムは、鶏卵を搬送する搬送装置と、搬送路上の鶏卵を秤量する秤量装置と、秤量結果に従って鶏卵を選別・包装する包装装置と、鶏卵の包装容器にICタグを取り付ける取付装置と、ICタグに鶏卵の生産履歴(生産地名、採卵鶏の飼育環境、採卵鶏の餌の種類、賞味期限、成分表示等)を書き込む書込装置とを備える。同システムでは、ICタグへの情報の書き込み、ICタグからの情報の読み出しにパスワード認証を求めるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−344040号公報
【特許文献2】特開2003−325074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムにおいては、生産履歴をバーコード化又は記号化して鶏卵に付すようにしているが、バーコードのコード形態や記号の意味合いが知られてしまうと、容易にバーコード等を偽造して発行することが可能になるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載のシステムにおいては、ICタグに対する情報の読み書きにパスワード認証を求めるが、ICタグへの情報の追記(例えば、販売店名等を追記)を可能とすべく、関係者の全員にパスワードが知らされているため、第三者による情報の改ざんや偽造を防止することはできても、流通過程での関係者による改ざん等を防止することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、生産履歴の改ざん等を防止し、食に対する信頼性を向上させることが可能なトレーサビリティシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、食製品に生産履歴を付して流通させ、その食製品の流通時又は流通後に生産履歴を追跡可能とするトレーサビリティシステムであって、出荷すべき食製品の生産履歴を、該食製品に付随して移動する非接触記憶媒体に書き込む書込手段と、該書込手段による前記非接触記憶媒体への書き込み動作を制御する書込制御手段とを、出荷施設に備え、前記書込制御手段は、前記非接触記憶媒体への前記生産履歴の書き込みを1回のみ許容し、該非接触記憶媒体への情報の追記、及び、該非接触記憶媒体に書き込まれた情報の書き換えを禁止することを特徴とする。
【0009】
そして、本発明によれば、非接触記憶媒体への生産履歴の書き込みを1回のみ許容するため、出荷後の工場、店舗等での情報の改ざんや偽造を防止することができ、食に対する信頼性を向上させることが可能になる。
【0010】
上記トレーサビリティシステムにおいて、前記非接触記憶媒体が、所定の桁数を有するパスワードを用いたパスワード認証により情報の書き込みを認可するように構成され、前記書込制御手段が、前記非接触記憶媒体への前記生産履歴の書き込み時又は書き込み後に、前記パスワード認証用のパスワードを、無作為に生成する符号列に変更することができる。これにより、非接触記憶媒体への生産履歴の書き込みを1回のみ許容し、以後の情報の追記、情報の書き換えを禁止することが可能になる。
【0011】
上記トレーサビリティシステムにおいて、前記非接触記憶媒体が、貼着可能なシールに付設され、前記出荷施設に、前記生産履歴が書き込まれた非接触記憶媒体が付されたシールを前記出荷すべき食製品に貼着する貼着手段を備えることができる。
【0012】
上記トレーサビリティシステムにおいて、前記生産履歴が書き込まれた非接触記憶媒体の記憶情報を読み取る読取手段と、該読取手段によって読み取った情報を、該非接触記憶媒体に付される固有の識別情報と関連づけて管理する管理サーバとを、前記出荷施設に備えることができ、これによれば、生産履歴を書き込んだ非接触記憶媒体を管理することが可能になる。
【0013】
上記トレーサビリティシステムにおいて、前記生産履歴が書き込まれた非接触記憶媒体の記憶情報を読み取る第2の読取手段と、該第2の読取手段によって読み取った該非接触記憶媒体の識別情報に基づき、該非接触記憶媒体が正規のものであるか否かを前記出荷施設の管理サーバに問い合わせる照合端末とを、店舗又は公共施設に備えることができる。これによれば、購入した食製品に付された非接触記憶媒体が正規のものであるか否かを消費者が確認することができ、非接触記憶媒体の偽装を発見することが可能になる。
【0014】
上記トレーサビリティシステムにおいて、前記生産履歴が書き込まれた非接触記憶媒体の記憶情報を読み取る第3の読取手段と、該第3の読取手段によって読み取った情報を表示する表示手段とを、店舗又は公共施設に備えることができる。これによれば、消費者が生産履歴を手軽に閲覧することができ、利便性を向上させることが可能になる。
【0015】
上記トレーサビリティシステムにおいて、前記書込手段が、前記食製品に付随して移動する非接触記憶媒体に前記管理サーバのURLをさらに書き込むとともに、前記表示手段が、前記第3の読取手段によって読み取った情報のうち、少なくとも、該情報を読み取った非接触記憶媒体の識別情報と前記管理サーバのURLとを二次元バーコード化して表示することができ、これによれば、携帯電話等の携帯端末を通じて、非接触記憶媒体が正規のものであるか否かの照合依頼を行うことが可能になる。
【0016】
上記トレーサビリティシステムにおいて、前記書込手段が、前記食製品に付随して移動する非接触記憶媒体に前記管理サーバのURLをさらに書き込むとともに、前記店舗又は公共施設に、前記第3の読取手段によって読み取った情報のうち、少なくとも、該情報を読み取った非接触記憶媒体の識別情報と前記管理サーバのURLとを印刷する印刷手段を備えることができる。これによれば、消費者が、自宅の情報端末を利用して、非接触記憶媒体が正規のものであるか否かの照合依頼を行うことが可能になる。
【0017】
上記トレーサビリティシステムにおいて、前記非接触記憶媒体を、RFID又は非接触ICタグとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、生産履歴の改ざん等を防止し、食に対する信頼性を向上させることが可能なトレーサビリティシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかるトレーサビリティシステムの一実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1の賞味期限等ラベル及び非接触記憶媒体を示す平面図である。
【図3】図1の賞味期限等ラベルの貼着状態を示す図であり、(a)は、賞味期限等ラベルを鶏卵に貼着した場合、(b)は、賞味期限等ラベルをパッケージに貼着した場合を示す図である。
【図4】鶏卵等を出荷する際の処理を示すフローチャートである。
【図5】生産履歴を店舗で閲覧する際の処理を示すフローチャートである。
【図6】非接触記憶媒体の偽造の有無を確認するための処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、本発明にかかるトレーサビリティシステムを、出荷鶏卵の生産履歴を追跡するシステムに適用した場合を例にとって説明する。
【0021】
図1〜図3は、本発明にかかるトレーサビリティシステムの一実施の形態を示し、このトレーサビリティシステム1は、GPセンター(卵選別包装施設)2と、店舗3と、ネットワーク(例えば、インターネット)4を介してGPセンター2と接続される公共施設5等から構成される。
【0022】
GPセンター2は、鶏卵を梱包・包装して出荷するための施設であり、GPセンター2には、管理情報11を記憶する管理情報記憶部12と、管理情報記憶部12に記憶された管理情報11や、後述する管理サーバ22のURLを、賞味又は消費期限ラベル(シール)13に付設(内設)された非接触記憶媒体14に書き込む書込クレードル15と、書込クレードル15の書き込み動作を制御したり、非接触記憶媒体14への管理情報11の書き込みの成否を管理する書込端末16と、非接触記憶媒体14に管理情報11が書き込まれた状態の賞味期限等ラベル13を、鶏卵17、又は鶏卵17を詰めたパッケージ17a(図3参照)等に、機械的又は人為的に貼り付ける貼着工程18と、非接触記憶媒体14に書き込まれた情報を読み取る読取クレードル19と、読取クレードル19で読み取った情報を表示したり、管理サーバ22に送信する読取端末20と、読取クレードル19で読み取った情報を、非接触記憶媒体14に付される固有の識別情報(例えば、シリアルナンバー)と関連づけてデータベース21に登録し、出荷される鶏卵17等に付された非接触記憶媒体14を管理する管理サーバ22とが設置される。
【0023】
ここで、管理情報11は、種鶏場、孵化場、育雛・育成場及び採卵鶏農場からGPセンター2に寄せられる鶏卵の生産履歴情報である。この管理情報11には、図2に示すように、採卵日、採卵する成鶏舎場所に関する情報、ロットに関する情報、卵選別包装施設に関する情報、採卵鶏農場に関する情報、成鶏舎に採卵鶏を導入した育雛・育成場に関する情報、育雛・育成場に初生雛を導入した孵化場に関する情報、孵化場に種卵を導入した種鶏場に関する情報等が含まれる。
【0024】
また、非接触記憶媒体14は、RFIDや非接触ICタグ等の無線通信によって情報の書き込み、読み取りが可能な記憶媒体であり、固有の識別情報が記憶領域に書き込まれた状態でGPセンター2に納入される。この非接触記憶媒体14は、パスワード認証により情報の書き込みを認可するように構成されており(但し、読み取り時のパスワード認証は不要)、この書き込みを認可するためのパスワード(以下、適宜、「書込パスワード」という)は、例えば、4桁以上の数字、英文字及び半角記号の組み合わせから構成される。
【0025】
書込パスワードは、非接触記憶媒体14の工場出荷時には、所定のデフォルト値(例えば、オール「1」等の単純な値)に設定される。この書込パスワードの初期値は、非接触記憶媒体14の納入時にGPセンター2の担当者に通知されるか、或いは、初期値を記載した用紙が非接触記憶媒体14に同梱されて納入されることで、GPセンター2側に知らされる。尚、書込パスワードの初期値は、非接触記憶媒体14の全てで共通の値としてもよいし、非接触記憶媒体14毎に異なる値としてもよい。
【0026】
さらに、非接触記憶媒体14は、不用意に情報の書き込み、読み取りが行われないように、書込クレードル15、読取クレードル19に密着させた状態(書込クレードル15等に非接触記憶媒体14を載置した状態)でのみ、情報の書き込み等が可能になるように構成される。一般に、RFID等の非接触記憶媒体では、媒体のサイズが小さくなるほど、通信距離が短くなるため、本実施の形態にかかる非接触記憶媒体14は、上記の条件を満足するような小サイズのものとされる。
【0027】
店舗3は、GPセンター2から出荷された鶏卵17を販売する食品スーパー等の施設であり、店舗3には、非接触記憶媒体14に書き込まれた情報を読み取る読取クレードル31と、読取クレードル31で読み取った情報(数値ばかりが並んだ情報)を、消費者が見易い形式(例えば、項目付けした一覧形式)の情報に編集する編集端末32と、編集端末32で編集した情報を表示する店舗用ディスプレイ33とが設置される。
【0028】
公共施設5は、市役所、病院、駅等の施設であり、本実施の形態では、鶏卵17等に貼着された賞味期限等ラベル13の非接触記憶媒体14が正規のものであるか否かを照合するための施設として利用される。公共施設5には、非接触記憶媒体14に書き込まれた情報を読み取る読取クレードル41と、読取クレードル41によって読み取った情報に含まれる識別情報を用い、非接触記憶媒体14の登録の有無をGPセンター2に問い合わせる照合用端末42とが設置される。
【0029】
次に、上記構成を有するトレーサビリティシステム1の動作について、図1〜図6を参照しながら説明する。ここでは、(1)鶏卵17等を出荷する際の処理、(2)生産履歴を店舗3で閲覧する際の処理、(3)非接触記憶媒体14の偽造の有無を確認するための処理に場合分けしながら、動作説明を行う。
【0030】
先ず、(1)鶏卵17等を出荷する際の処理について、図4を中心に参照しながら説明する。ここでは、10桁の書込パスワードを用いる場合を例にとって説明する。
【0031】
出荷にあたっては、先ず、GPセンター2において、書込担当のオペレータが、非接触記憶媒体14を内蔵した賞味期限等ラベル13を、書込クレードル15の書込面に載置するとともに、書込端末16を通じて、管理情報11の書き込みに必要な入力作業を行う(ステップS1)。この入力作業では、非接触記憶媒体14の書込パスワードの初期値とともに、オペレータ名、書込期日等の入力を行う。
【0032】
それらの入力作業が完了した後、書込端末16を通じて、オペレータが書込指示を行うと、書込端末16が、管理情報記憶部12の管理情報11、管理サーバ22のURL等を書込クレードル15に送信する。次いで、書込クレードル15において、オペレータ名等の入力された情報とともに、管理情報11及び管理サーバ22のURLを、非接触記憶媒体14に書き込む(ステップS2)。
【0033】
次に、書込クレードル15が、非接触記憶媒体14に書き込んだ情報を読み取り、読み取った情報を書込端末16に送信する。そして、書込端末16において、非接触記憶媒体14への書き込みの成否を判定し、その結果を画面表示してオペレータに通知する(ステップS3)。
【0034】
上記の際、非接触記憶媒体14への書き込みが正常に行われていた場合には、書込端末16が、乱数発生機能等を利用してランダムな書込パスワード(以下、「ランダムパスワード」という)を生成し、書込クレードル15に書込パスワードの変更を指示する。これを受けて、書込クレードル15が、非接触記憶媒体14の書込パスワードを書き換え、工場出荷時に付された初期値からランダムパスワードに変更する(ステップS4)。
【0035】
前述の通り、書込パスワードは、10桁の英数字及び半角記号で構成されるため、ランダムパスワードは、(10(0から9までの数字の数)+m(英字の数)+n(記号の数))の10乗通りのパターンで無作為に生成されることになる。このため、非接触記憶媒体14に設定したランダムパスワードを再現又は解読するには、数百億又は数千億通りのパターンの中から1つを見付け出す必要があり、現実的に不可能なものとなる。このように、非接触記憶媒体14に管理情報11等を書き込んだ後に、書込パスワードを再現不可能な符号列に変えてしまうことで、以後の情報の追記、書き換えを禁止する。
【0036】
尚、非接触記憶媒体14への書き込みが正常に行われていなかった場合には、書込端末16の画面に「書き込みエラー」を表示し、オペレータに対して、書込処理のやり直しを促す。
【0037】
書込パスワードの変更が終了すると、貼付装置又は手作業により、賞味期限等ラベル13を鶏卵17等に貼り付け(ステップS5)、その後、登録担当のオペレータが、鶏卵17等に貼着された賞味期限等ラベル13を読取クレードル19の読取面にかざす。そして、読取クレードル19において、非接触記憶媒体14に書き込まれた情報(固有の識別情報、管理情報11及び管理サーバ22のURL)を読み取り、読取端末20に送信する(ステップS6)。
【0038】
次いで、読取端末20が、読取クレードル19から送信された情報を表示するとともに、送信された情報を管理サーバ22に転送する。次に、管理サーバ22が、非接触記憶媒体14から読み取った管理情報11を、非接触記憶媒体14の識別情報と関連づけてデータベース21に登録する(ステップS7)。次いで、登録の成否を読取端末20に通知し、読取端末20の画面に表示する(ステップS8)。その後、ステップS1〜S8の処理が終了した鶏卵17等について、順に出荷する(ステップS9)。
【0039】
このように、本実施の形態では、非接触記憶媒体14に管理情報11を書き込んだ後に、情報の書き込みを認可するための書込パスワードをランダムパスワードに変更し、非接触記憶媒体14への情報の追記、書き換えが不可能な状態にして鶏卵17等を出荷するため、出荷後の工場、店舗等での情報の改ざんや偽装を防止することができ、食に対する信頼性を向上させることが可能になる。
【0040】
次に、(2)生産履歴を店舗3で閲覧するための方法について、図5を中心に参照しながら説明する。
【0041】
生産履歴の閲覧にあたっては、先ず、店舗3において、消費者が購入又は購入予定の鶏卵17等を、店舗3に設置された読取クレードル31の読取面にかざし、読取クレードル31によって、鶏卵17等の賞味期限等ラベル13の非接触記憶媒体14に書き込まれた管理情報11を読み取る(ステップS11)。
【0042】
次いで、読み取った管理情報11を編集端末32に送信し、消費者が見易い状態の表示用情報に編集する(ステップS12)。その後、編集した情報を店舗用ディスプレイ33に送信し、店舗用ディスプレイ33の表示画面に表示する(ステップS13)。
【0043】
このように、管理情報11を読み取る装置と、読み取った情報を表示するための装置とを、店舗3に設置することで、鶏卵17の購入時に消費者が生産履歴を手軽に閲覧することができ、利便性を向上させることが可能になる。
【0044】
次に、(3)非接触記憶媒体14の偽造の有無を確認するための処理について、図6を中心に参照しながら説明する。
【0045】
公共施設5において、消費者が購入後の鶏卵17等、又は鶏卵17等から剥がした賞味期限等ラベル13を、公共施設5に設置された読取クレードル41の読取面にかざし、読取クレードル41によって、賞味期限等ラベル13の非接触記憶媒体14に書き込まれた管理情報11を読み取る(ステップS21)。
【0046】
次いで、読み取った管理情報11を照合用端末42に送信し、その後、照合用端末42において、送信された管理情報11の中から非接触記憶媒体14の識別情報及び管理サーバ22のURLを取り出す。次に、取り出した識別情報を、ネットワーク4を介して、管理サーバ22に送信し、照合を依頼する(ステップS22)。
【0047】
次いで、管理サーバ22が、受信した識別情報と、データベース21に記憶された情報とを照合し、受信した識別情報がデータベース21に登録されたものであるか否かを判別する(ステップS23)。次に、ネットワーク4を介して、照合結果を公共施設5の照合用端末42に返信し、照合用端末42が、照合結果を表示する(ステップS24)。
【0048】
上記の処理により、購入した鶏卵17に付された非接触記憶媒体14が正規のものであるか否かを消費者が確認することができ、非接触記憶媒体14の偽装を発見することが可能になる。これにより、消費者が不当な表示に騙されるのを抑制し得るとともに、偽造の蔓延を抑制する環境作りが可能になる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0050】
例えば、上記実施の形態においては、本発明にかかるトレーサビリティシステムを鶏卵のトレーサビリティシステムに適用した場合を例示したが、本発明は、鶏卵の生産履歴管理に限定されるものではなく、生産日、生産者及び販売店等の記載が求められる食製品であれば、生鮮食品(肉、野菜等)、調味料(醤油等)、加工食品(サラダ等)の如何を問わず、広く適用することが可能である。
【0051】
また、上記実施の形態においては、非接触記憶媒体14に管理情報11を書き込んだ後に書込パスワードを変更するが、書込パスワードの変更は、管理情報11を書き込む際(例えば、管理情報11を書き込む直前)に行ってもよい。
【0052】
さらに、上記実施の形態においては、非接触記憶媒体14を賞味期限等ラベル13に付設するが、非接触記憶媒体14は、鶏卵17に付随して流通するものであれば、如何なるものに付してもよく、例えば、パッケージ17aやパッケージ17aに取り付ける紙タグに付すようにしてもよい。この際、必ずしも、貼着を利用して非接触記憶媒体14を付す必要はなく、パッケージ17a等に非接触記憶媒体14を埋設するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態においては、管理情報11を非接触記憶媒体14のみに書き込むが、管理情報11の一部(例えば、採卵日や採卵場所)を賞味期限等ラベル13にも印字したり、それらを印字した別途のシールを賞味期限等ラベル13に貼り付けるようにしてもよい。
【0054】
さらに、上記実施の形態においては、読取クレードル31、編集端末32及び店舗用ディスプレイ33を店舗3に設置するが、これらを公共施設5に設置し、公共施設5で生産履歴を閲覧できるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態においては、非接触記憶媒体14が正規のものであるか否かを照合するための装置を公共施設5に設置するが、これらの装置を店舗3に設置し、店舗3から照合依頼を行い得るように構成することもできる。
【0056】
さらに、上記実施の形態においては、賞味期限等ラベル13(非接触記憶媒体14)を公共施設5に持ち込んで、正規品であるか否かの照合を依頼するように構成するが、非接触記憶媒体14の識別情報と管理サーバ22のURLとを二次元バーコード化して店舗用ディスプレイ33に表示することで、携帯電話等の携帯端末を通じて照合依頼を行い得るようにしてもよい。この場合、消費者は、携帯端末のカメラ機能を用い、店舗用ディスプレイ33に表示された二次元バーコードを読み取ることで、携帯端末から管理サーバ22にアクセスすることができる。
【0057】
また、店舗3において、読取クレードル31によって読み取った管理情報11又は店舗用ディスプレイ33の表示画面を印刷するためのプリンタを設置し、消費者の自宅から照合依頼を行い得るように構成することもできる。この場合、消費者は、非接触記憶媒体14の識別情報と管理サーバ22のURLとが印刷された印刷物を持ち帰ることで、自宅の情報端末(PC等)を利用して管理サーバ22にアクセスすることができる。尚、読取クレードル31、編集端末32及び店舗用ディスプレイ33を公共施設5に設置した場合には、上記のプリンタは、公共施設5に設置することになる。
【符号の説明】
【0058】
1 トレーサビリティシステム
2 GPセンター
3 店舗
4 ネットワーク
5 公共施設
11 管理情報
12 管理情報記憶部
13 賞味又は消費期限ラベル
14 非接触記憶媒体
15 書込クレードル
16 書込端末
17 鶏卵
17a パッケージ
18 貼着工程
19 読取クレードル
20 読取端末
21 データベース
22 管理サーバ
31 読取クレードル
32 編集端末
33 店舗用ディスプレイ
41 読取クレードル
42 照合用端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食製品に生産履歴を付して流通させ、その食製品の流通時又は流通後に生産履歴を追跡可能とするトレーサビリティシステムであって、
出荷すべき食製品の生産履歴を、該食製品に付随して移動する非接触記憶媒体に書き込む書込手段と、該書込手段による前記非接触記憶媒体への書き込み動作を制御する書込制御手段とを、出荷施設に備え、
前記書込制御手段は、前記非接触記憶媒体への前記生産履歴の書き込みを1回のみ許容し、該非接触記憶媒体への情報の追記、及び、該非接触記憶媒体に書き込まれた情報の書き換えを禁止することを特徴とするトレーサビリティシステム。
【請求項2】
前記非接触記憶媒体は、所定の桁数を有するパスワードを用いたパスワード認証により情報の書き込みを認可するように構成され、
前記書込制御手段は、前記非接触記憶媒体への前記生産履歴の書き込み時又は書き込み後に、前記パスワード認証用のパスワードを、無作為に生成する符号列に変更することを特徴とする請求項1に記載のトレーサビリティシステム。
【請求項3】
前記非接触記憶媒体が、貼着可能なシールに付設され、
前記出荷施設に、前記生産履歴が書き込まれた非接触記憶媒体が付されたシールを前記出荷すべき食製品に貼着する貼着手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のトレーサビリティシステム。
【請求項4】
前記生産履歴が書き込まれた非接触記憶媒体の記憶情報を読み取る読取手段と、該読取手段によって読み取った情報を、該非接触記憶媒体に付される固有の識別情報と関連づけて管理する管理サーバとを、前記出荷施設に備えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のトレーサビリティシステム。
【請求項5】
前記生産履歴が書き込まれた非接触記憶媒体の記憶情報を読み取る第2の読取手段と、該第2の読取手段によって読み取った該非接触記憶媒体の識別情報に基づき、該非接触記憶媒体が正規のものであるか否かを前記出荷施設の管理サーバに問い合わせる照合端末とを、店舗又は公共施設に備えることを特徴とする請求項4に記載のトレーサビリティシステム。
【請求項6】
前記生産履歴が書き込まれた非接触記憶媒体の記憶情報を読み取る第3の読取手段と、該第3の読取手段によって読み取った情報を表示する表示手段とを、店舗又は公共施設に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトレーサビリティシステム。
【請求項7】
前記書込手段が、前記食製品に付随して移動する非接触記憶媒体に前記管理サーバのURLをさらに書き込むとともに、前記表示手段が、前記第3の読取手段によって読み取った情報のうち、少なくとも、該情報を読み取った非接触記憶媒体の識別情報と前記管理サーバのURLとを二次元バーコード化して表示することを特徴とする請求項6に記載のトレーサビリティシステム。
【請求項8】
前記書込手段が、前記食製品に付随して移動する非接触記憶媒体に前記管理サーバのURLをさらに書き込むとともに、前記店舗又は公共施設に、前記第3の読取手段によって読み取った情報のうち、少なくとも、該情報を読み取った非接触記憶媒体の識別情報と前記管理サーバのURLとを印刷する印刷手段を備えることを特徴とする請求項6に記載のトレーサビリティシステム。
【請求項9】
前記非接触記憶媒体が、RFID又は非接触ICタグであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトレーサビリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−257836(P2011−257836A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129873(P2010−129873)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】