説明

トロンビンレセプターアンタゴニストの硫酸水素塩の結晶多形

【課題】トロンビンレセプターアンタゴニストの硫酸水素塩の結晶多形形態を提供する。
【解決手段】下式に示すプロセスに従い、トロンビンレセプターアンタゴニスト化合物1から硫酸水素塩の結晶多形形態である化合物2が得られる。化合物2は、化合物1より安定性が高められている。該化合物は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓症性脳卒中、末梢脈管疾患、炎症性障害、脳虚血、または癌を処置するための薬学的組成物に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、トロンビンレセプターアンタゴニストの硫酸水素塩の結晶多形、その硫酸水素塩を合成するためのプロセス、およびその硫酸水素塩を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
トロンビンは、種々の細胞型において種々の活性を有することが公知であり、トロンビンレセプターは、ヒト血小板、脈管平滑筋細胞、内皮細胞、および線維芽細胞などの細胞型において存在することが公知である。従って、トロンビンレセプターアンタゴニスト(プロテアーゼ活性化レセプター(PAR)としても公知である)は、血栓症性障害、炎症性障害、アテローム性動脈硬化症性障害、および線維増殖性障害、ならびにトロンビンおよびそのレセプターが病理的役割を果たす他の障害の処置において有用であることが、あり得る。
【0003】
トロンビンレセプターアンタゴニストペプチドが、トロンビンレセプターにおけるアミノ酸の置換を含む構造活性研究に基づいて、同定されている。非特許文献1において、テトラペプチドおよびペンタペプチドは、強力なトロンビンレセプターアンタゴニストとして開示されている(例えば、N−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−NHおよびN−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−Arg−NH)。ペプチドトロンビンレセプターアンタゴニストもまた、1994年2月17日公開の特許文献1に開示される。
【0004】
トロンビンレセプターアンタゴニストは、種々の疾患または状態を処置する際に特に有用であるとして文献において示唆されている。そのような疾患または状態としては、例えば、血栓症、脈管再狭窄、深部静脈性血栓症、肺塞栓症、脳梗塞、心疾患、播種性血管内凝固症候群、高血圧、炎症、リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、神経障害、および/または悪性腫瘍(Suzuki,Shuichi,特許文献2(2002)、特許文献3(2002)、および特許文献4(2002))、不整脈、炎症、アンギナ、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、虚血状態、新脈管形成関連障害、癌、および神経変性障害(Zhang,Han−cheng,特許文献5(2001)、特許文献6(2001)、および特許文献7(2001))、肝臓障害、腎臓障害、および肺障害(非特許文献2)、癌(非特許文献3)、黒色腫(非特許文献4)、腎細胞癌腫(非特許文献5)、腎疾患、急性腎不全、、慢性腎不全、腎血管ホメオスタシス(非特許文献6)、糸球体腎炎(非特許文献7)、炎症(非特許文献8)、慢性気道疾患(非特許文献9)、膀胱炎症(非特許文献10)、神経変性疾患および/もしくは神経毒性疾患、神経変性状態および神経毒性状態、神経変性損傷および/もしくは神経毒性損傷(Traynelis,Stephen Francis「Treatment of neurodegenerative
disease and conditions using PAR−1 antagonists」特許文献8(2002))、放射線線維症、内皮機能不全(非特許文献11)、腹膜疾患(非特許文献12)、ならびに創傷(非特許文献13)が挙げられる。
【0005】
トロンビンレセプターアンタゴニストはまた、潜在的な抗脈管新生剤(非特許文献14)、化学療法に対する腫瘍細胞の耐性因子(非特許文献15)、血小板凝集インヒビター、ならびに平滑筋細胞増殖インヒビター、内皮細胞増殖インヒビター、線維芽細胞増殖インヒビター、腎臓細胞増殖インヒビター、骨肉腫細胞増殖インヒビター、筋肉細胞増殖インヒビター、癌細胞増殖インヒビター、および/または神経膠細胞増殖インヒビター(Suzuki,上記)として示唆されている。
【0006】
置換トロンビンレセプターアンタゴニストが、特許文献9、特許文献10、および米国特許出願第10/271,715号において開示されている。
【0007】
米国特許出願第10/412,982号(これは、その全体が本明細書において参考として援用される)は、式(I):
【0008】
【化4】

を有する種類のトロンビンレセプターアンタゴニスト化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩および溶媒を教示する。その置換基および構造的特徴は、米国特許出願第10/412,982号の明細書において定義される通りである。そのようなトロンビンレセプターアンタゴニスト化合物を調製するための一般的プロセスもまた、その米国特許出願第10/412,982号において開示されている。
【0009】
米国特許出願第10/412,982号は、実施例11、表1において同定される特定のトロンビンレセプターアンタゴニスト化合物(本明細書において化合物1として同定される)をさらに開示する。化合物1は、構造:
【0010】
【化5】

を有する。
【0011】
化合物1は、良好なトロンビンレセプターアンタゴニスト活性(効力)および選択性を示し、血栓症、他の心血管状態および非心血管状態を処置するために有用である。同時係属中である米国特許出願第10/705,282号(本明細書において参考として援用される)は、トロンビンレセプターアンタゴニストについての種々の適応症および併用処方物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第94/03479号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/88092号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/85850号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/85855号パンフレット
【特許文献5】国際公開第01/00659号パンフレット
【特許文献6】国際公開第01/00657号パンフレット
【特許文献7】国際公開第01/00656号パンフレット
【特許文献8】国際公開第02/71847号パンフレット
【特許文献9】米国特許第6,063,847号明細書
【特許文献10】米国特許第6,326,380号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Bernatowiczら、J.Med.Chem.(1996)vol.39,pp.4879〜4887
【非特許文献2】Chambers,R.C.「Coagulation cascade proteases and tissue fibrosis」Biochemical Society Transactions,2002,30(2),pp.194〜200
【非特許文献3】Nguyen,Quang−De「RhoA− and RhoD−dependent regulatory switch of Gα subunit signaling by PAR−1 receptors in cellular invasion」FASEB Journal,2002,16(6),pp.565〜576
【非特許文献4】Tellez,Carmen「Role and regulation of the thrombin receptor (PAR−1) in human melanoma」Oncogene 22,2003,pp.3130〜3137
【非特許文献5】Kaufman,R.「Meizothrombin,an intermediate of prothrombin cleavage potently activates renal carcinoma cells by interaction with PAR−type thrombin receptors」Oncology Reports,2003,10(2),pp.493〜496
【非特許文献6】Tognetto,Michele「Proteinase−activated receptor−1(PAR−1)activation contracts the isolated human renal artery in vitro」British Journal of Pharmacology,2003,139(1),pp.21〜27
【非特許文献7】Ahn,Ho−Sam「Nonpeptide thrombin receptor antagonists」Drugs of the Future,2001,26(11),pp.1065〜1085
【非特許文献8】Meli,Rosaria「Thrombin and PAR−1 activating peptide increase iNOS expression in cytokine−stimulated C6 glioma cells」Journal of Neurochemistry,2001,79(3),pp.556〜563
【非特許文献9】Roche,Nicolas,「Effect of acute and chronic inflammatory stimuli on expression of protease−activated receptors 1 and 2 alveolar macrophages」Journal of Allergy and Clinical Immunology,2003,111(2),pp.367〜373
【非特許文献10】D’Andrea,Michael R.「Expression of protease−activated receptor−1,−2,−3and −4 in control and experimentally inflamed mouse bladder」American Journal of Pathology,2003,162(3),pp.907〜923
【非特許文献11】Wang,Junru「Deficiency of microvascular thrombomodulin and up−regulation of protease−activated receptor−1 in irradiated rat intestine:possible link between endothelial dysfunction and chronic radiation fibrosis」American Journal of Pathology,2002 June、160(6),pp.2063〜72
【非特許文献12】Tanaka,Nobuhisa「Thrombin−induced Ca2+ mobilization in human gingival fibroblasts is mediated by protease−activated receptor−1(PAR−1)」Life Sciences,2003,73,pp.301〜310
【非特許文献13】Strukova,S.M.「Thrombin,a regulator of reparation processes in wound healing」Bioorganicheskaya Khimiya,1998,24(4),pp.288〜292
【非特許文献14】Chan,Barden「Antiangiogenic property of human thrombin」Microvascular Research,2003,66(1),pp.1〜14
【非特許文献15】Schiller,H.「Thrombin as a survival factor for cancer cells:thrombin activation in malignant effusions in vivo and inhibition of idarubicin−induced cell death in vitro」Int’l.J.of Clinical Pharmacology and Therapeutics,2002,40(8),pp.329〜335
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
化合物1の熱力学的特性を改善することが、有益である。一致する物理的特性を有する、化合物1に関連する化合物の安定な結晶形態を生成することが、さらに有益である。本発明は、これらの利点および他の利点を提供することを求める。これらは、本明細書が進行するにつれて明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以下を提供する。
(項目1)
式:
【化1】


の化合物2の結晶多形形態1であって、11.2°(2θ)、16.4°(2θ)、19.2°(2θ)、および21.0°(2θ)という特徴的ピーク位置を有する粉末X線回折パターンを示す、結晶多形。
(項目2)
項目1の化合物2の結晶多形であって、9.9°(2θ)、11.2°(2θ)、16.4°(2θ)、19.2°(2θ)、21.0°(2θ)、22.1°(2θ)、23.7°(2θ)、および26.7°(2θ)という特徴的ピーク位置を有する粉末X線回折パターンを示す、結晶多形。
(項目3)
項目1の化合物2の結晶多形であって、9.9°(2θ)、11.2°(2θ)、12.6°(2θ)、14.5°(2θ)、16.4°(2θ)、19.2°(2θ)、21.0°(2θ)、22.1°(2θ)、23.7°(2θ)、26.7°(2θ)、28.2°(2θ)、および30.8°(2θ)という特徴的ピーク位置を有する粉末X線回折パターンを示す、結晶多形。
(項目4)
項目1の化合物2の結晶多形であって、図1において示される粉末X線回折パターンと実質的に同じ粉末X線回折パターンを示す、結晶多形。
(項目5)
式:
【化2】


の化合物2の結晶多形形態1であって、図3において示される示差走査熱量測定パターンと実質的に同じ示差走査熱量測定パターンを示す、結晶多形。
(項目6)
反応:
【化3】


に従って化合物1から化合物2を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、
d)化合物1を有機溶媒中において混合して混合物を形成する工程;
e)該混合物を温度約40℃〜約80℃まで加熱する工程;および
f)該加熱された混合物に硫酸を添加する工程;
を包含する、プロセス。
(項目7)
項目6に記載のプロセスであって、前記有機溶媒は、アルコール類、ニトリル類、エステル類、ケトン類、エーテル類、およびこれらの混合物からなる群より選択される、プロセス。
(項目8)
項目7に記載のプロセスであって、前記有機溶媒は、アセトニトリルである、プロセス。
(項目9)
項目6に記載のプロセスであって、前記硫酸は、アセトニトリルとの混合物の状態である、プロセス。
(項目10)
項目6に記載のプロセスであって、前記温度は、約50℃である、プロセス。
(項目11)
項目1に記載の化合物2の結晶多形形態1と、少なくとも1種の賦形剤またはキャリアとを含む、薬学的組成物。
(項目12)
トロンビンレセプターを阻害するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする哺乳動物に対して、有効量の項目1の化合物2の結晶多形形態1を投与する工程;
を包含する、方法。
(項目13)
血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓症性脳卒中、末梢脈管疾患、炎症性障害、脳虚血、または癌を処置するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする哺乳動物に対して、有効量の項目1の化合物2の結晶多形形態1を投与する工程;
を包含する、方法。
(項目14)
血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓症性脳卒中、末梢脈管疾患、炎症性障害、脳虚血、または癌を処置するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする哺乳動物に対して、有効量の項目1の化合物2の結晶多形形態1を少なくとも1種のさらなる心・血管作動薬と組み合わせて投与する工程;
を包含する、方法。
(項目15)
項目14に記載の方法であって、前記少なくとも1種のさらなる心・血管作動薬は、トロンボキサンA2生合成インヒビター、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、トロンボキサンアンタゴニスト、アデノシン二リン酸インヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、アンジオテンシンアンタゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素インヒビター、中性エンドペプチダーゼインヒビター、抗凝固剤、利尿剤、および血小板凝集インヒビターからなる群より選択される、方法。
(項目16)
項目15に記載の方法であって、前記少なくとも1種のさらなる心・血管作動薬は、アスピリンまたはクロピドグレル硫酸水素塩である、方法。
(項目17)
精製形態の、項目1の化合物2の結晶多形形態1。
(項目18)
項目6に記載のプロセスの生成物である、化合物2の結晶多形形態1。
【0016】
本発明は、式:
【0017】
【化6】

の化合物2の結晶多形形態1を提供し、これは、11.2°(2θ)、16.4°(2θ)、19.2°(2θ)、および21.0°(2θ)という特徴的ピーク位置を有する粉末X線回折パターンを示す。より好ましくは、この結晶多形は、9.9°(2θ)、11.2°(2θ)、16.4°(2θ)、19.2°(2θ)、21.0°(2θ)、22.1°(2θ)、23.7°(2θ)、および26.7°(2θ)という特徴的ピーク位置を有する粉末X線回折パターンを示す。なおより好ましくは、この結晶多形は、9.9°(2θ)、11.2°(2θ)、12.6°(2θ)、14.5°(2θ)、16.4°(2θ)、19.2°(2θ)、21.0°(2θ)、22.1°(2θ)、23.7°(2θ)、26.7°(2θ)、28.2°(2θ)、および30.8°(2θ)という特徴的ピーク位置を有する粉末X線回折パターンを示す。
【0018】
さらなる実施形態において、本発明は、図1において示される粉末X線回折パターンと実質的に同じ粉末X線回折パターンを示す、化合物2の結晶多形形態1を提供する。
【0019】
さらなる実施形態において、本発明は、図3において示される示差走査熱量測定パターンと実質的に同じ示差走査熱量測定パターンを示す、化合物2の結晶多形形態1を提供する。
【0020】
さらなる実施形態において、本発明は、反応:
【0021】
【化7】

に従って化合物1から化合物2を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
a)化合物1を有機溶媒中において混合して混合物を形成する工程;
b)この混合物を温度約40℃〜約80℃まで加熱する工程;および
c)この加熱された混合物に硫酸を添加する工程;
を包含する。
【0022】
なおさらなる実施形態において、本発明は、上記のプロセスの生成物である、化合物2の結晶多形形態1を提供する。
【0023】
好ましくは、上記有機溶媒は、アルコール類、ニトリル類、エステル類、ケトン類、エーテル類、およびこれらの混合物からなる群より選択される。なおより好ましくは、上記有機溶媒は、アセトニトリルである。好ましくは、上記硫酸は、アセトニトリルとの混合物の状態である。好ましくは、上記温度は、約50℃である。
【0024】
さらなる実施形態において、本発明は、化合物2の結晶多形形態1と、少なくとも1種の賦形剤またはキャリアとを含む、薬学的組成物を提供する。
【0025】
なおさらなる実施形態において、本発明は、トロンビンレセプターを阻害するための方法を提供し、この方法は、
そのような処置を必要とする哺乳動物に対して、有効量の化合物2の結晶多形形態1を投与する工程;
を包含する。
【0026】
なおさらなる実施形態において、本発明は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓症性脳卒中、末梢脈管疾患、炎症性障害、脳虚血、または癌を処置するための方法を提供し、この方法は、
そのような処置を必要とする哺乳動物に対して、有効量の化合物2の結晶多形形態1を投与する工程;
を包含する。
【0027】
なおさらなる実施形態において、本発明は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓症性脳卒中、末梢脈管疾患、炎症性障害、脳虚血、または癌を処置するための方法を提供し、この方法は、
そのような処置を必要とする哺乳動物に対して、有効量の化合物2の結晶多形形態1を少なくとも1種のさらなる心・血管作動薬と組み合わせて投与する工程;
を包含する。好ましくは、上記少なくとも1種のさらなる心・血管作動薬は、トロンボキサンA2生合成インヒビター、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、トロンボキサンアンタゴニスト、アデノシン二リン酸インヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、アンジオテンシンアンタゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素インヒビター、中性エンドペプチダーゼインヒビター、抗凝固剤、利尿剤、および血小板凝集インヒビターからなる群より選択される。より好ましくは、上記少なくとも1種のさらなる心・血管作動薬は、アスピリンまたはクロピドグレル硫酸水素塩である。
【0028】
なおさらなる実施形態において、本発明は、精製形態の化合物2の結晶多形形態1を提供する。
【0029】
本発明のさらなる理解が、以下の図面、説明、および特許請求の範囲から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、Rigaku MiniFlex回折計を使用して作成された、アセトニトリルから結晶化された化合物2の形態1の粉末X線回折(PXRD)パターンのグラフである。このグラフは、回折角(2θ°)に対する数/秒によって規定される、ピーク強度をプロットする。
【図2】図2は、室温にてアセトン中の硫酸水素塩スラリーから合成された化合物2の形態2の粉末X線回折(PXRD)パターンのグラフである。このグラフは、Rigaku MiniFlex回折計を使用して作成された。このグラフは、回折角(2θ°)に対する数/秒によって規定される、ピーク強度をプロットする。
【図3】図3は、アセトニトリルから結晶化された化合物2の形態1の変調示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムのグラフである。このグラフは、測定サンプル温度(℃)に対する正規化した熱流(ワット/グラム単位(「W/g」))をプロットする。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(詳細な説明)
米国特許出願第10/412,982号において考察されるように、化合物1
【0032】
【化8】

は、強力なトロンビンレセプターアンタゴニストである。
【0033】
しかし、化合物1の遊離塩基形態は、結晶の安定性が劣っていることに悩まされることが見出された。化合物1の硫酸水素塩は、優れた安定性特徴および実質的に同様の活性を示すことが見出された。本明細書中で使用される場合、「硫酸水素(塩)」とは、−HSOを意味する。化合物2は、構造
【0034】
【化9】

を有する。
【0035】
化合物2の2種類の別個の結晶多形が存在することが、見出された。これらの2種類の形態は、本明細書中では、形態1および形態2と呼ばれる。形態2は、不安定であり、そして経時的に形態1の結晶構造へと戻ることが、見出された。上記硫酸水素塩の2種類の結晶形態は、多形と呼ばれ得る。
【0036】
多形は、化合物が、異なる結晶形態へと結晶化しながら同じ化学式を維持する能力として、特徴付けられ得る。所定の薬物の結晶多形は、同じ様式で互いに結合している同じ原子を含むその薬物の他のすべての結晶多形と化学的に同一であるが、その結晶形態が異なる。このことは、1種以上の物理的特性(例えば、安定性、溶解度、融点、嵩密度、流れ特性、バイオアベイラビリティなど)に影響を与え得る。
【0037】
化合物2は、回転が制限された少なくとも1つの結合を有する。すべての互変異性体および回転異性体が、本発明の一部であるとして企図される。
【0038】
化合物2は、非溶媒和形態および溶媒和形態(水和形態を含む)にて存在し得る。一般的に、この溶媒和形態(薬学的に受容可能な溶媒(例えば、水、エタノールなど)との溶媒和)は、本発明の目的のためには非溶媒和形態と等価である。
【0039】
本明細書全体を通して使用される場合、以下の用語は、そうではないと示されない限りは、以下の意味を有することが理解される。
【0040】
「患者」とは、ヒトおよび他の動物の両方を包含する。
【0041】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を包含する。
【0042】
「多形」とは、別の結晶形態とは異なるが同じ化学式を共有する、物質の結晶形態である。
【0043】
「アルコール」とは、ヒドロキシル基(−OH)を含む有機化合物を意味する。
【0044】
「ニトリル」とは、−C≡N基を含む有機化合物を意味する。
【0045】
「エステル」とは、式RC(O)ORの有機化合物を意味し、この2つのR基は、独立してアルキルまたはアリールであり、括弧は、囲まれたOがCに二重結合していることを示す。
【0046】
「ケトン」とは、2つのアルキル基に結合したカルボニル基(C=O)を含む有機化合物を意味する。
【0047】
「賦形剤」とは、希釈剤として使用されるか、または処方物に対して形態もしくはコンシステンシーを付与するために使用される、本質的に不活性な物質を意味する。
【0048】
「有効」または「治療上有効」とは、トロンビンレセプターの拮抗作用において有効であり、従って、望ましい治療効果、改善効果、阻害効果、または防止効果を生じる、本発明の化合物もしくは組成物を記載する。「有効量」または「治療上有効な量」とは、トロンビンレセプターの拮抗作用において有効であり、従って、望ましい治療効果、改善効果、阻害効果、または防止効果を生じる、本発明の化合物もしくは組成物の量を記載する。
【0049】
(サンプル調製)
化合物2の形態1は、粉末X線回折(「PXRD」)分析および変調示差走査熱量(「DSC」)分析のために、乾燥粉末として分析された。分析の前に、ミクロナイザーが、この物質を粉砕して分類するために使用された。濾過された窒素が、粉砕チャンバの外周の周囲に規則的な間隔を空けて位置するジェット(jet)を通して導入された。操作の間に、高速の渦が生成される。この物質が、外周壁付近にてこの渦に注入される。そのジェット付近の強力な速度勾配は、懸濁粒子をコロイド状にさせ、衝撃によって互いに減少する。比較的重い過剰な大きさの粒子が、遠心力によって粉砕領域において保持される。供給速度および粉砕ガス圧が、結果としての粒子サイズを制御する主要な要因である。粉砕ガスは、上記チャンバの中央上部にある出口を通って出て行き、その粉砕ガスによって微粉化産物を収集バッグ中へと引き込む。その一群が、供給速度150g/分(「g/分」)および粉砕圧(mil pressure)50psigにて、4インチミクロナイザーにおいて微粉化された。粉砕された物質は、二重ポリエチレンバッグで内張りされた円筒型容器中に収集され、そして冷蔵領域において保存された。
【0050】
微粉化の後、サンプルは、いかなる形態変化も妨げるために最小限の調製を行って分析された。そのサンプルは、軽く摩擦されて、粒子が一緒になって凝集されないことを確保した。いかなる溶媒も、乾燥工程もしくは他の調製工程も、これらの分析のためには使用されなかった。PXRDデータおよびDSCデータは、各々、単一の形態を独自に同定し得る。
【0051】
(粉末X線回折)
このPXRD分析は、Rigaku MiniFlex(登録商標)回折装置(1999年製造)を使用して実施された。この装置は、θ/2θ走査軸構成および銅照射源(Kα)である、可変発散スリットを使用する。多形サンプルが、粉末形態で供給され、その後、最小限の力で携帯型だぼ(dowel)を使用して、一面のSiコーティングされた低バックグラウンド散乱アルミニウムプレート上に配置された。結晶シリコン標準物が、ピーク位置精度をチェックするために使用された。そのサンプルは、1分間当たり54回転(「rpm」にて回転させつつ周囲条件に暴露されて、その結晶の好ましい方向が減少された。このデータは、Materials Data Inc.(「MDI」)から得たJADE(登録商標)パターン処理ソフトウェアバージョン5.0を使用して評価した。このソフトウェアは、自動的に最終フィルタリングを行い、バックグラウンドを一致させ、そして各ピークの面積および高さを測定する。そのX線パターンは、9点Savitzky−Golay放物型フィルターでフィルタリングされたが、こうしなければ、このX線パターンは、バックグラウンド補正もK−α2ピーク除去もしていない、本質的に生のパターンである。
【0052】
上記の方法および装置を使用して、化合物2の形態1が、PXRD分析に供された。PXRDパターンが作成された。このPXRDパターンは、図1に提示される。そのピークの強度(y軸は、数/秒である)が、2θ角に対してプロットされる(x軸は、°(2θ)である)。さらに、このデータは、2θ角に対する収集時間/工程について正規化された検出器による数を用いてプロットされた。これらのプロフィールと一致するピーク位置(2θ X軸上)が、表1において提示される。これらのPXRDピークの位置は、化合物2の結晶多形形態1の特徴である。
【0053】
(表1)
(化合物2の形態1についてのPXRDピーク位置)
【0054】
【化10】

表1において提示される化合物2の形態1結晶構造のPXRDピーク位置から始めて、最も特徴的なピーク位置、が選択され得、そしてこの結晶構造を他の結晶構造と簡便に区別するための相対強度によってグループ分けされ得る。このような独特なピークの選択が、表2において提示される。従って、化合物2の形態1の結晶構造は、ピーク位置グループ番号1(4つの特徴的PXRDピーク位置からなる)によって同定され得る。より好ましくは、化合物2の形態1の結晶構造は、ピーク位置グループ2(グループ番号1の4つの特徴的なPXRDピーク位置と、さらなる4つのピーク位置とからなる)によって同定され得る。なおより好ましくは、化合物2の結晶構造の形態1は、ピーク位置グループ3(グループ番号2の8つの特徴的なPXRDピーク位置と、さらなる4つのピーク位置とからなる)によって同定され得る。
【0055】
(表2)
(化合物2の形態1についての特徴的なPXRDピーク位置)
【0056】
【化11】

化合物2の形態2もまた、PXRD分析に供された。形態2の結晶が、室温においてアセトン中の硫酸水素塩スラリーから合成された。形態2の結晶は、微粉化されなかった。形態2の結晶構造を分析するために使用された結晶サンプル調製、分析装置、および分析技術は、上記のような形態1に対して適用されたものと、それ以外は同様であった。形態2物質のPXRDプロフィールが、図2において提示される。化合物2の形態2の結晶構造のPXRDピーク位置が、表3において提示される。表1において提示されるPXRDピーク位置と、表3において提示されるPXRDピーク位置との比較は、形態1と形態2とが化合物2の硫酸水素塩の別個の結晶多形であるという結論を支持する。
【0057】
(表3)
(化合物2の形態2のPXRDピーク位置)
【0058】
【化12】

当業者は、同じ化合物の所定の結晶形態についてのPXRDピーク位置の測定値が、誤差限界内で変化することを認識する。米国特許出願第10/449,650号において、一貫したサンプル調製技術および限定数の分析機器を使用して、すべてのピーク位置間の最大サンプル−サンプル2−Σ値は、0.4であることが見出された。これらのデータを収集するために上記機器に適用された較正技術は、業界基準内にあるが、必ずしも最先端技術ほど厳密ではない。サンプル調製技術は変化し得かつ他の分析技術がピーク位置を測定するために使用され得るという事実を考慮すると、約±0.5°(2θ)という誤差限界が、このデータに適用され得る。標準化されたサンプル調製技術、サンプル分析機器の使用、およびその機器の非常に正確な較正は、その再現性を、約±0.3°(2θ)以下にまで増加し得る。
【0059】
(示差走査熱量測定法)
上記多形サンプルを試験するために使用されるDSC機器は、TAInstruments(登録商標)モデル2920(2001年製造)であった。これは、冷蔵冷却システムを備えた。そのDSCセル/サンプルチャンバーは、40ml/分の超高純度窒素ガスで清浄にされた。この機器は、高純度インジウムで較正された。このモデルを用いて測定されたサンプル温度の精度は、約±1℃以内にある。融解熱は、相対誤差約±0.5%以内にて測定され得る。このサンプルは、圧力開放用の2つのピンホールを含む蓋が付いた標準的アルミニウムDSCパン(pan)中に配置された。約2mgのサンプル粉末が、そのパンの底部に配置され、パンと接触するように軽く叩かれた。そのサンプルの重量が、正確に測定され、そして0.01mgまで記録された。この機器は、空の参照パンを使用した。この機器は、変調速度が40秒毎に±1℃で約250℃までの2℃/分の動的加熱傾斜を開始する前に約1分間、約0℃にてサンプルを平衡化するようにプログラムされた。
【0060】
その熱流(これはサンプル重量によって正規化された)が、測定されたサンプル温度に対してプロットされた。このデータが、ワット/グラム(「W/g」)の単位で記録された。このプロットは、吸熱ピークが下を向く。その吸熱融解ピークは、この分析における、外挿された開始温度および外挿された終結(発端)温度、ピーク温度、および融解熱について、評価された。
【0061】
化合物2の形態1についてのDSCプロフィールが、図3において提示される。図3は、融解の開始は、約200.6℃にて生じ、その融解吸熱は、約206.4℃である。その融解熱は、約52.3ジュール/グラム(「J/g」)である。融解温度と融解熱との組み合わせが、この形態を他の形態と区別するために使用され得る。
【0062】
(硫酸水素塩の合成)
上記硫酸水素塩(下記の化合物2)の調製が、スキーム1において示される。スキーム1は、以下の略語を使用する:Meは、メチルである;Etは、エチルである;Fは、フルオロである。
【0063】
(スキーム1:化合物2の一般合成)
【0064】
【化13】

化合物2の調製は、好ましくは、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、エステル(例えば、酢酸エチル)、ケトン(例えば、アセトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)、およびそれらの混合物からなる群より選択される、有機溶媒中で達成される。
【0065】
一般的には、化合物1が、溶媒または溶媒混合物中に配置され、化合物1が溶解して溶液になるまで、(必要である場合には)熱が化合物1に適用される。適用される熱は、その溶媒中の化合物1の濃度に依存して、変化し得る(例えば、その溶媒温度を約40℃〜約80℃まで上昇されるのに充分な熱)。その溶液が形成した後、熱の適用は、その温度を維持するために継続される。同じ溶媒中の硫酸溶液が、ゆっくり添加される。その結晶は、その硫酸溶液を添加する間に、溶液から析出(come out)し得る。あるいは、化合物1は、懸濁物中にある溶媒または他の混合物中にある溶媒と、融解することなく接触させられ得る。
【0066】
上記のプロセスにおける溶媒としての、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、およびテトラヒドロフランの使用は、各々が、形態1の結晶多形を生成することが見出された。
【0067】
結晶化を制御するため、ならびに壁上での生成物がエンクラステーションを最小化および/または防止するために、反応溶媒中に化合物2の飽和溶液に種晶を入れることもまた、好ましい。生成物のエンクラステーションは、収率損失および単離された結晶化生成物質中への溶媒捕捉を生じる。捕捉された溶媒は、しばしば、長期間の乾燥の後でさえも、好ましいレベルまで低下され得ない。生成物エンクラステーションの可能性を回避するために、その化合物2溶液に少量の結晶化合物2(例えば、約0.1重量%〜約0.2重量%)が種晶として入れられることが、好ましい。
【0068】
代表的な合成手順は、以下の通りである。約5gの化合物1が、約25mlのアセトニトリル中に溶解された。その溶液は、約10分間攪拌され、その後、約50℃まで加熱された。約6mlのアセトニトリル中の2M硫酸が、この加熱された反応混合物に添加された。化合物2が、アセトニトリル中の硫酸を添加する間に、沈殿した。硫酸溶液の添加後に、この反応混合物は、室温に冷却する前に1時間攪拌された。沈殿した固体が、濾過され、そして約30mlのアセトニトリルで洗浄された。その湿った固体が、室温にて減圧下で約1時間乾燥され、その後、80℃にて約12時間乾燥されて、5gの結晶形態の化合物2が提供された。その収率は、約85%であった。その後、その生成物は、PXRD分析およびDSC分析に供された。これらの分析は、それぞれ、図1および図3において示されるプロットを生じた。これらの図は、その生成物が形態1の多形であるという事実を反映した。
【0069】
(化合物の活性、薬学的組成物、および使用方法)
一実施形態において、本発明は、化合物2の形態1、その薬学的組成物、化合物2を生成するための方法、ならびに種々の障害、症状、および疾患を処置するために化合物2もしくはその薬学的組成物を使用するための方法を包含する。化合物2は、トロンビンレセプターアンタゴニストとしての活性を示す。トロンビンレセプターアンタゴニストは、血栓症に関連する疾患、アテローム性動脈硬化症に関連する疾患、再狭窄に関連する疾患、高血圧に関連する疾患、狭心症に関連する疾患、不整脈に関連する疾患、心不全に関連する疾患、脳虚血に関連する疾患、脳卒中に関連する疾患、神経変性疾患に関連する疾患、および癌に関連する疾患の処置において有用であり得る。トロンビンレセプターアンタゴニストはまた、プロテアーゼ活性化レセプター(PAR)アンタゴニストとしても公知である。化合物2が1メンバーである化合物の種類はまた、代表的には、カンナビノイド(CB)レセプターに結合する。この種類は、慢性間接リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗鬆症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺の炎症性障害および胃腸の炎症性障害、ならびに気道障害(例えば、可逆性気道閉塞、慢性喘息、および気管支炎)の処置において有用であり得る。
【0070】
(処方物および投与)
本発明によって記載される化合物から薬学的組成物を調製するためには、不活性な薬学的に受容可能なキャリアが、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物としては、散剤、錠剤、分散顆粒、カプセル剤、カシェ剤、および坐剤が挙げられる。散剤および錠剤は、約0.1%〜約95%の活性成分から構成され得る。適切な固体キャリア(例えば、微結晶性セルロース、糖質、またはラクトース)が、当該分野で公知である。錠剤、散剤、カシェ剤、およびカプセル剤が、経口投与のために適切な固体投与形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアおよび種々の組成物の製造方法の例が、A.Gennaro編,The Science and Practice of Pharmacy,第20版,Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,MD(2000)において見出され得る。
【0071】
液体形態調製物としては、溶液、懸濁物、および乳濁物が挙げられる。例として、非経口注射用の水溶液もしくは水−プロピレングルコール溶液、または経口溶液用、経口懸濁物用、および経口乳濁物用の甘味料および乳白剤の添加が、言及され得る。液体形態調製物としてはまた、鼻内投与用溶液が挙げられ得る。
【0072】
吸入のために適切なエアロゾル調製物としては、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性圧縮ガス(例えば、窒素))と組み合わされ得る、溶液および粉末形態固体が挙げられ得る。
【0073】
また、使用直前に経口投与用液体形態調製物もしくは非経口投与用液体形態調製物へと変換されることが意図される、固体形態調製物も包含される。そのような液体形態としては、溶液、懸濁物、および乳濁物が挙げられる。
【0074】
本発明の化合物はまた、経皮送達可能であり得る。その経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル、および/または乳濁物の形態を採り得る。その経皮組成物は、この目的のために当該分野で慣用的であるような、マトリックス型もしくはレザバ型の経皮パッチ中に含まれ得る。
【0075】
好ましくは、化合物2の形態1は、経口投与される。好ましくは、その薬学的調製物は、単位投与形態である。そのような形態において、その調製物は、適切な量の活性成分(例えば、望ましい目的を達成するために有効な量)を含む適切なサイズの単位用量へと細分される。
【0076】
上記に列挙された疾患または状態の処置のための化合物2の形態1の1日量は、約1日につき、約0.001mg/体重1kg〜約100mg/体重1kgであり、好ましくは、約0.01mg/kg〜約10mg/kgである。従って、平均体重70kgに関して、その投与レベルは、1回投与または2回分割投与〜4回分割投与にて与えられる、1日につき、薬物約0.1mg〜約700mgである。
【0077】
化合物2の形態1の投与量および投与頻度は、患者の年齢、患者の状態、および患者の大きさ、ならびに処置される症状の重篤度などの要因を考慮して、主治医の判断に従って調節される。
【0078】
本発明のさらなる実施形態は、化合物2の形態1を、少なくとも1種のさらなる治療上有効な因子とともに投与することを包含する。企図されるさらなる治療上有効な因子は、化合物2とは原子構成または原子配置のいずれかが異なる、因子である。本発明の新規な化合物と組み合わせて使用され得る治療上有効な因子としては、炎症、リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、神経障害および/または悪性腫瘍、新脈管形成関連障害、癌、肝臓障害、腎臓障害、肺障害、黒色腫、腎細胞癌腫、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管ホメオスタシス、糸球体腎炎、慢性気道疾患、膀胱炎症、神経変性疾患および/または神経毒性疾患、神経変性状態および/または神経変性状態、神経変性損傷および/または神経毒性損傷、放射線線維症、内皮機能不全、歯周疾患、および創傷の処置において使用されかつ公知である、薬物が挙げられる。化合物2と組み合わせて投与され得る治療上有効な因子のさらなる例としては、化学療法に対する腫瘍細胞の耐性因子、平滑筋細胞の増殖インヒビター、内皮細胞の増殖インヒビター、線維芽細胞の増殖インヒビター、腎細胞の増殖インヒビター、骨肉腫細胞の増殖インヒビター、筋細胞の増殖インヒビター、癌細胞の増殖インヒビター、および/または神経膠細胞の増殖インヒビターが挙げられる。上記の治療上有効な因子は、心血管因子であり得る。
【0079】
本発明の新規な化合物と組み合わせて使用され得る心血管因子としては、抗血栓症活性を有する薬物、抗血小板凝集活性を有する薬物、抗アテローム性動脈硬化症活性を有する薬物、抗再狭窄活性を有する薬物、および/または抗凝固活性を有する薬物が挙げられる。そのような薬物は、血栓症関連疾患(血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓症性脳卒中および血栓塞栓症性脳卒中、末梢脈管疾患、他の心血管疾患、脳虚血、炎症性障害、および癌が挙げられる)、ならびにトロンビンおよびそのレセプターが病理的役割を果たす他の障害を処置する際に有用である。適切な心血管因子は、トロンボキサンA2生合成インヒビター(例えば、アスピリン);トロンボキサンアンタゴニスト(例えば、セラトロダスト、ピコタミド、およびラマトロバン);アデノシン二リン酸(ADP)インヒビター(例えば、クロピドグレル);シクロオキシゲナーゼインヒビター(例えば、アスピリン、メロキシカム、ロフェコキシブ、およびセレコキシブ);アンジオテンシンアンタゴニスト(例えば、バルサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、およびエプロサルタン);エンドセリンアンタゴニスト(例えば、テゾセンタン);ホスホジエステラーゼインヒビター(例えば、ミルリノオンおよびエノキシモン);アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター(例えば、カプトプリル、エナラプリル、エナリプリラート、スピラプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、フォシノプリル、トランドラプリル、リシノプリル、モエキシプリル、およびベナザプリル);中性エンドペプチダーゼインヒビター(例えば、カンドキサトリルおよびエカドトリル);抗凝固剤(例えば、キシメラガトラン、フォンダパリン、およびエノキサパリン);利尿剤(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、エタクリン酸、フロセミド、およびアミロリド);血小板凝集インヒビター(例えば、アブシキシマブおよびエプチフィバチド);ならびにGP IIb/IIIaアンタゴニストからなる群より選択される。
【0080】
化合物2の形態1と組み合わせて使用するための好ましい薬物の型は、トロンボキサンA2生合成インヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、およびADPアンタゴニストである。上記組み合わせにおいて使用するために特に好ましいのは、アスピリンおよびクロピログレル硫酸水素塩である。
【0081】
本発明のさらなる実施形態は、化合物2の形態1を、1種よりも多くのさらなる治療上有効な因子とともに投与することを包含する。これらの実施形態において、そのさらなる治療上有効な因子は、同じ状態の処置において一般的に使用されるものであっても、そうではなくてもよい。例えば、化合物2の形態1が、2種の心血管因子とともに投与され得る。あるいは、化合物2の形態1は、心血管因子と、炎症の処置において有用な治療上有効な因子とともに、投与され得る。
【0082】
本発明が、化合物2の形態1と1種以上の他の治療上有効な因子との組み合わせを含む場合、その2種以上の活性成分は、同時もしく連続して共投与され得るか、または化合物2の形態1と他の治療上有効な因子とを薬学的に受容可能なキャリア中に含む、単一の薬学的組成物が、投与され得る。その組み合わせの成分は、従来の任意の投与形態(例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁物、溶液、坐剤、鼻用スプレーなど)において、個別にかまたは一緒に投与され得る。他の治療上活性な因子の投与量は、公開された資料から決定され得、それは、1mg/用量〜100mg/用量の範囲であり得る。
【0083】
本明細書において、用語「1種以上のさらなる心血管因子」とは、1種〜3種のさらなる薬物が化合物2の形態1と組み合わせて投与され得ること;好ましくは、1種のさらなる化合物が化合物2の形態1と組み合わせて投与されることを、意味する。このさらなる心血管因子は、化合物2の形態1に関して、連続的に投与され得るか、または同時投与され得る。
【0084】
全身送達の速度は、当業者によって、
(a)適切な活性成分;
(b)薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリア(その改変体が、選択された特定の活性成分の活性を妨害しない限り)
(c)賦形剤もしくはキャリアの型、およびその賦形剤もしくはキャリアの両立する望ましい厚みおよび透過性(膨潤特性);
(d)その賦形剤もしくはキャリアの時間依存性条件;
(e)その活性成分の粒径;ならびに
(f)その賦形剤もしくはキャリアのpH依存性条件;
のうちのいずれか1つ以上を操作することによって、満足ゆくように制御され得る。
【0085】
薬学的に受容可能な賦形剤もしくは薬学的に受容可能なキャリアは、矯味矯臭剤;薬剤グレードの染料もしくは色素;溶媒;共溶媒;緩衝系;界面活性剤;保存剤;甘味料;増粘剤(viscosity agent);充填剤;滑択剤(lubricant);潤滑剤(glidant);崩壊剤;結合剤;および樹脂を包含する。
【0086】
従来の矯味矯臭剤(例えば、Remington’s Pharmaceutical
Sciences,第18版,Mack Publishing Co.,1288〜1300(1990)(これは、本明細書において参考として援用される)において記載される矯味矯臭剤)が、使用され得る。本発明の薬学的組成物は、一般的には、0%〜約2%の矯味矯臭剤を含む。
【0087】
従来の染料および/または色素(例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients,the American Pharmaceutical Association & the Pharmacetical Society of Great Britain,81〜90(1986)(これは、本明細書中に参考として援用される)もまた、使用され得る。本発明の薬学的組成物は、一般的には、0%〜約2%の染料および/または色素を含む。
【0088】
本発明の薬学的組成物は、一般的には、約0.1%〜約99.9%の溶媒を含む。好ましい溶媒は、水である。好ましい共溶媒は、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどを包含する。本発明の薬学的組成物は、0%〜約50%の共溶媒を含み得る。
【0089】
好ましい緩衝系は、酢酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;ホウ酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;炭酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;リン酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;コハク酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;リンゴ酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;酒石酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;クエン酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;酢酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;安息香酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;グリセリン酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;グルコン酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;グルタール酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩;ならびにグルタミン酸と、そのナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩を包含する。特に好ましい緩衝系は、リン酸とその塩;酒石酸とその塩;クエン酸とその塩;および酢酸とその塩である。本発明の薬学的組成物は、一般的には、0%〜約5%の緩衝剤を含む。
【0090】
好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、スクロースモノエステル、ラノリンエステルおよびラノリンエーテル、アルキル硫酸塩、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩、および脂肪酸アンモニウム塩を包含する。本発明の薬学的組成物は、一般的には、0%〜約2%の界面活性剤を含む。
【0091】
好ましい保存剤は、フェノール;パラヒドロキシ安息香酸アルキルエステル;o−フェニルフェノール安息香酸およびその塩;ホウ酸およびその塩;ソルビン酸およびその塩;クロロブタノール;ベンジルアルコール;チメロサール;酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀;ニトロメルソール;塩化ベンザルコニウム;塩化セチルピリジニウム;メチルパラベン;およびプロピルパラベンを包含する。特に好ましい保存剤は、安息香酸塩、塩化セチルメチルピリジニウム、メチルパラベン、およびプロピルパラベンである。本発明の薬学的組成物は、一般的には、0%〜約2%の保存剤を含む。
【0092】
好ましい甘味料は、スクロース、グルコース、サッカリン、ソルビトール、マンニトール、およびアスパルテームを包含する。特に好ましい保存剤は、スクロースおよびサッカリンである。本発明の薬学的組成物は、0%〜約5%の甘味料を含む。
【0093】
好ましい増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボマー、ポビドン、アカシア、ガーゴム、キサンタンガム、およびトラガカントを包含する。特に好ましい増粘剤は、メチルセルロース、カルボマー、キサンタンガム、ガーゴム、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびケイ酸アルミニウムマグネシウムである。本発明の薬学的組成物は、一般的には、0%〜約5%の増粘剤を含む。
【0094】
好ましい充填剤は、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、三塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、圧縮糖(compressible sugar)、デンプン、硫酸カルシウム、右旋性微結晶性セルロースを包含する。本発明の薬学的組成物は、一般的には、0%〜約90%の充填剤を含む。
【0095】
好ましい滑択剤/潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびタルクを包含する。本発明の薬学的組成物は、0%〜7%、好ましくは約1%〜約5%の滑択剤/潤滑剤を含む。
【0096】
好ましい崩壊剤は、デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム(sodium starch glycolate)、クロスポビドンおよびクロスカルメロースナトリウム、および微結晶性セルロースを包含する。本発明の薬学的組成物は、0%〜約20%、好ましくは約4%〜約15%の崩壊剤を含む。
【0097】
好ましい結合剤は、アカシア、トラガカント、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、糖質溶液(例えば、スクロースおよびソルビトール)、ならびにエチルセルロースを包含する。本発明の薬学的組成物は、0%〜約12%、好ましくは約1%〜約10%の結合剤を含む。
【0098】
熟練の処方者にとって公知であるさらなる因子が、単一投与形態を生成するために本発明の化合物と合わされ得る。あるいは、さらなる因子が、複数投与形態の一部として、哺乳動物に別個に投与され得る。
【0099】
薬学的組成物は、代表的には、約0.1%〜約99.9%(重量/重量、または体積/体積(好ましくは、重量/重量))の活性成分(化合物2の形態1)、好ましくは約5%〜約95%、より好ましくは約20%〜約80%を含む。化合物2の形態1を含む薬学的組成物を調製するために、不活性な薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリアが、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物は、散剤、錠剤、分散顆粒、カプセル剤、カシェ剤、および坐剤を包含する。適切な固体賦形剤または固体キャリアは、当該分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖質、およびラクトースである。錠剤、散剤、カシェ剤、およびカプセル剤が、経口投与のために適切な固体投与形態として使用され得る。薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリアならびに種々の組成物の製造方法の例が、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mark Publishing Co.(1990)(これは、その全体が参考として本明細書中に援用される)において見出され得る。
【0100】
液体形態調製物は、溶液、懸濁物、および乳濁物を包含する。一般的な液体形態調製物は、非経口注射用の水溶液もしくは水−プロピレングルコール溶液、または経口溶液用、経口懸濁物用、および経口乳濁物用の甘味料および乳白剤の添加を包含する。液体形態調製物はまた、鼻内投与用溶液も包含し得る。
【0101】
単位用量調製物中の化合物2の形態1の量は、約0.01mgから約4,000mgまで、好ましくは約0.02mgから約2,000mgまで、より好ましくは約0.03mgから約1,000mgまで、なおより好ましくは約0.04mgから約500mgまで、そして最も好ましくは約0.05mgから約250mgまで、特定の適用に従って変化または調整され得る。経口投与のために推奨される代表的な毎日投与レジメンは、2回分割投与〜4回分割投与にて、約0.02mg/日〜約2,000mg/日の範囲であり得る。便宜上、全1日投与量は、必要な場合には、その日の間に分割されて少しずつ投与され得る。代表的には、本発明の薬学的組成物は、約1回/日〜約5回/日、または連続注入として、投与される。そのような投与は、長期治療または短期治療として使用され得る。
【0102】
本発明の化合物と組み合わせて使用される薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリアは、実用的なサイズ−投与量関係を提供するために充分な濃度にて使用される。この薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリアは、全体的に、本発明の薬学的組成物の約0.1%〜約99.9%(重量/重量、または体積/体積)(好ましくは、重量/重量)を含み得、好ましくは、約5重量%〜約95重量%、より好ましくは約20重量%〜約80重量%を含む。
【0103】
患者の状態が改善した場合、維持用量の本発明の化合物、組成物、または組み合わせが、望ましい場合または保証される場合には、投与され得る。その後、投与量もしくは投与頻度、またはその両方が、その改善された状態が保持されるレベルまで、その症状の関数として低減され得る。その症状が、望ましいレベルまで軽減された場合、処置は停止すべきである。しかし、患者は、何らかの疾患症状が再発した場合には、長期間ベースで断続的処置を必要とし得る。
【0104】
任意の特定の患者についての具体的な投与レジメンおよび処置レジメンは、変化し得、それは、種々の要因(使用される具体的な化合物の活性、患者の年齢、患者の体重、患者の全身的健康状態、患者の性別、および患者の食餌、投与時間、排泄速度、具体的な薬物の組み合わせ、処置される症状の重篤度および経過、処置される状態に対する患者の素因、ならびに主治医の判断が挙げられる)に依存する。特定の状態についての適切な投与レジメンの決定は、当業者の範囲内にある。化合物2の形態1またはその薬学的組成物の、投与量および投与頻度は、上記に列挙された要因に基づいて、主治医の判断に従って調節され得る。当業者が認識する通り、上記に列挙された用量よりも低用量または高用量が、必要とされ得る。
【0105】
例えば、適切な投与レベルは、患者の体重に基づくことが、しばしばある。例えば、約0.01mg/体重kg/日〜約100mg/体重kg/日、好ましくは約0.5mg/体重kg/日〜約75mg/体重kg/日、より好ましくは約1mg/体重kg/日〜約50mg/体重kg/日である投与レベルの本発明の化合物および本明細書中に記載される組成物が、種々の生物学的障害(特に、血栓症および他の心血管状態)の処置のために、治療上有用である。体重が異なる2人の患者の間では、体重が重い方の患者には、より高用量が試用され、他のすべての事項は等しい。
【0106】
(多形純度)
好ましくは、化合物2の結晶多形形態1は、化学的不純物(例えば、化合物2の調製の間に生成される副産物)および他の多形結晶形態を、実質的には含まない。本発明の目的のためには、化学的不純物を「実質的には含まない」とは、約5重量%以下の化学的不純物、好ましくは約3重量%以下の化学的不純物、より好ましくは約2重量%以下の化学的不純物、なおより好ましくは約1重量%以下の化学的不純物を意味する。化合物についての用語「精製された」または「精製形態の」とは、本明細書中に記載されるかまたは当業者にとって周知である精製プロセスから得られた後に、本明細書中に記載されるかまたは当業者にとって周知である標準的分析技術によって特徴付けられるために充分な純度である、その化合物の物理的状態を指す。化合物2の結晶多形形態1の精製形態は、化学的不純物を実質的には含まない。
【0107】
作業例において示される以外、またはそうではないと示される以外は、成分の量、反応条件などを表現するために本明細書中および特許請求の範囲において使用されるすべての数字は、すべての場合に用語「約」によって修飾されていると理解される。上記説明は、本発明の改変および変化形すべてを詳述することは意図されない。上記の実施形態に対して、本発明の概念から逸脱することなく変化がなされ得ることが、当業者によって認識される。従って、本発明は、上記の特定の実施形態には限定されないが、特許請求の範囲の言語によって定義されるような本発明の精神および範囲内にある改変を網羅することが意図されることが、理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−189425(P2010−189425A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100422(P2010−100422)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【分割の表示】特願2006−547629(P2006−547629)の分割
【原出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】